JP7024734B2 - 保護フィルム、電池、及び電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、保護フィルム、電池、及び電池の製造方法に関する。
従来、様々なタイプの電池が開発されており、リチウムイオン電池などのエネルギー密度の高い電池が開発されている。近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話等の高性能化に伴い、より高いエネルギー密度を有する電池が求められている。
また、電池の包装材料としては、従来、金属製のものが多用されているが、近年、電池に多様な形状が要求され、薄型化や軽量化も求められている。金属製の包装材料では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界がある。そこで、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る包装材料として、基材層/バリア層/熱融着性樹脂層が順次積層されたフィルム状の積層体も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
これらの電池においては、例えば、正極箔の両面に正極活物質を塗布した正極と、負極箔の両面に負極活物質を塗布した負極とを、セパレータを介して捲回し、その捲回体(電極群)を電池ケース内に収容したものが広く知られている。このような電池においては、捲回体(電極群)の捲回軸方向の両端部に、それぞれ正極と負極の金属箔を露出させた金属箔露出部を形成し、この金属箔露出部に電極端子や集電体が溶接等で接続されている(特許文献2を参照)。
特開2008-287971号公報 特開2014-49311号公報
特許文献2に記載されているように、超音波溶接、レーザ溶接、摩擦撹拌接合などによって金属箔露出部と集電体などを接合する場合、接合される金属箔露出部や集電体から微小な金属片が飛散することが知られている。このような微小な金属片が電極群の内部に混入すると、電池の内部でマイクロショートが発生するといった問題が生じ得る。
このような問題を解決するため、特許文献2には、金属箔露出部と接続板とから構成される接合部の少なくとも一部を、樹脂製粘着テープ、樹脂製粘着剤、または熱溶融樹脂剤で被覆する技術が開示されている。
しかしながら、本発明者らが検討を重ねたところ、樹脂製粘着テープなどで金属箔露出部を被覆した場合にも、金属箔露出部の溶接の際に発生した微小な金属片が、電極群の内部に混入することを十分に抑制できない場合があることを見出した。特に、近年の電池の高容量化により、電極の金属箔の積層数が増大しており、溶接時のエネルギーが大きくなっているため、溶接時に微細な金属片が飛散しやすくなっている。このため、金属箔露出部の溶接の際に発生した微小な金属片が、電極群の内部に混入するリスクが増大している。また、溶接時の発熱量も増えるため、従来の樹脂製粘着テープなどを用いる手法では、高温によって、樹脂製粘着テープが熱収縮して、形状を維持できず溶接部の周囲を保護できなくなる場合もある。さらに、従来の樹脂製粘着テープなどでは、絶縁性も不十分という問題もある。
このような状況下、本発明は、電池内において、電極の金属箔露出部が溶接される部分の周囲に好適に固定することができ、さらに、溶接時の高温による熱収縮が小さく、絶縁性にも優れた保護フィルムを提供することを主な目的とする。また、本発明は、当該保護フィルムを用いた電池、当該電池の製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、金属箔と当該金属箔の表面に位置する活物質層とを有する電極を備える電池に用いられる保護フィルムであって、電極には、金属箔が露出した金属箔露出部が設けられており、保護フィルムは、電極の金属箔露出部と金属端子とが溶接される部分の周囲の少なくとも一部を保護するために用いられ、保護フィルムは、少なくとも、粘着成分を含有する(粘着性を有する)第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えており、第1熱溶着性樹脂層が、保護フィルムの一方側の表面を構成している保護フィルムは、電池内において、電極の金属箔露出部が溶接される部分の周囲に好適に固定することができ、さらに、溶接時の高温による熱収縮が小さく、絶縁性にも優れることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 金属箔と前記金属箔の表面に位置する活物質層とを有する電極を備える電池に用いられる保護フィルムであって、
前記電極には、前記金属箔が露出した金属箔露出部が設けられており、
前記保護フィルムは、前記電極の前記金属箔露出部と金属端子とが溶接される部分の周囲の少なくとも一部を保護するために用いられ、
前記保護フィルムは、少なくとも、粘着性を有する第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えており、
前記第1熱溶着性樹脂層は、前記保護フィルムの一方側の表面を構成している、保護フィルム。
項2. 試験温度200℃、加熱時間10秒間の条件で測定される熱収縮率が、10%以下である、項1に記載の保護フィルム。
項3. 前記第1熱溶着性樹脂層を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を有している、項1または2に記載の保護フィルム。
項4. 前記第1熱溶着性樹脂層は、変性ポリオレフィンを含む、項1~3のいずれかに記載の保護フィルム。
項5. 前記第1熱溶着性樹脂層は、酸変性ポリオレフィンを含む、項1~4のいずれかに記載の保護フィルム。
項6. 前記第1熱溶着性樹脂層を赤外分光法で分析すると、無水マレイン酸に由来するピークが検出される、項1~5のいずれかに記載の保護フィルム。
項7. 前記第2熱溶着性樹脂層が、前記第1熱溶着性樹脂層とは反対側の表面を構成している、項1~6のいずれかに記載の保護フィルム。
項8. 前記第1熱溶着性樹脂層、前記中間層、及び前記第2熱溶着性樹脂層のうち少なくとも1層が着色されている、項1~7のいずれかに記載の保護フィルム。
項9. 前記電極の前記金属箔が、金属箔露出部において複数積層されている、項1~8のいずれかに記載の保護フィルム。
項10. 少なくとも、電極及び電解質を備えた電池素子が、電池用包装材料により形成された包装体中に収容されている電池であって、
前記電極は、金属箔と前記金属箔の表面に位置する活物質層とを備えており、
前記電極には、前記金属箔が露出した金属箔露出部が設けられており、
前記電極の前記金属箔露出部と金属端子とが溶接される部分の周囲の少なくとも一部が、項1~9のいずれかに記載の保護フィルムで被覆されている、電池。
項11. 金属箔と前記金属箔の表面に位置する活物質層とを有する電極を備える電池の製造方法であって、
前記電極には、前記金属箔が露出した金属箔露出部が設けられており、
前記電極の前記金属箔露出部と金属端子とが溶接予定部分の周囲の少なくとも一部を、項1~9のいずれかに記載の保護フィルムで被覆する工程と、
その後に前記金属箔露出部を前記金属端子と溶接する工程と、
を備える、電池の製造方法。
本発明によれば、電池内において、電極の金属箔露出部が溶接される部分の周囲に好適に固定することができ、さらに、溶接時の高温による熱収縮が小さく、絶縁性にも優れた保護フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、当該保護フィルムを用いた電池、当該電池の製造方法を提供することもできる。
電極の金属箔露出部が溶接される部分の一例の模式図である。 本発明の保護フィルムの一例の略図的断面図である。 本発明の保護フィルムの一例の略図的断面図である。 本発明の保護フィルムの一例の略図的断面図である。 本発明の保護フィルムの一例の略図的断面図である。 絶縁性評価の方法を説明するための模式図である。 本発明の電池の構造を説明するための模式図である。 加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡を用いたプローブの変位量測定におけるプローブの位置変化の概念図である。 加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡を用いたプローブの変位量測定において、プローブを設置する、積層フィルムの断面の耐熱性中間層の表面の位置を示す模式図である。 第1熱溶着性樹脂層の軟化点の測定において、プローブを設置する保護フィルムの第1熱溶着性樹脂層の主面を説明するための斜視図である。
本発明の保護フィルムは、金属箔と当該金属箔の表面に位置する活物質層とを有する電極を備える電池に用いられる保護フィルムであって、電極には、金属箔が露出した金属箔露出部が設けられており、保護フィルムは、電極の金属箔露出部と金属端子とが溶接される部分の周囲の少なくとも一部を保護するために用いられ、保護フィルムは、少なくとも、粘着性を有する第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えており、第1熱溶着性樹脂層は、保護フィルムの一方側の表面を構成していることを特徴としている。以下、本発明の保護フィルム、当該保護フィルムを用いた電池、及びこれらの製造方法について詳述する。
なお、本明細書において、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。
1.保護フィルム
本発明の保護フィルムは、電池内において、電極の金属箔露出部が溶接される部分(以下、「溶接部」、「溶接予定部分」ということがある)の周囲の少なくとも一部を保護するために用いられる。電池は、金属箔の表面に活物質層が形成された電極(正極及び負極)を備えている。また、電極には、電極の金属箔が露出した金属箔露出部が設けられている。具体的には、電極には、活物質層が存在せずに、電極の金属箔が露出した金属箔露出部が設けられている。また、金属箔露出部が金属端子などの導電性部材と溶接されて、電池の内部と外部とが電気的に接続されている。
図1は、電極の金属箔20が、金属箔露出部21において複数積層されており、複数の金属箔20の金属箔露出部21と金属端子30とを、溶接ヘッド40によって溶接する際の模式図を示している。図1においては、複数の金属箔20のうち、金属端子30に隣接している金属箔20の金属箔露出部21が金属端子30と溶接され、互いに隣接している複数の金属箔20同士も溶接される様子を示している。なお、図1は、電極の金属箔20の金属箔露出部21が溶接される部分の一例の模式図であり、金属箔露出部21の右端部の構造は省略している。
本発明においては、溶接部Pの周囲の少なくとも一部を、本発明の保護フィルム10で被覆することにより、溶接時に発生する微細な金属片から、溶接部Pの周囲を効果的に保護することができる。例えば、図1は、破線で囲まれた領域Rを、本発明の保護フィルム10で被覆する場合を図示しており、領域Rを本発明の保護フィルム10で被覆すると、溶接部Pから飛散する微細な金属片から、溶接部Pの周囲を効果的に保護することができる。溶接される部分(溶接部P)の周囲の少なくとも一部とは、例えば、溶接部Pの近傍、近辺、微細な金属片の飛散が懸念される範囲などを意味する。
溶接部Pの周囲の少なくとも一部を、本発明の保護フィルム10で被覆する際、保護フィルム10は、第1熱溶着性樹脂層1の表面が金属箔露出部21側になり、第2熱溶着性樹脂層2側の表面が外側となるようにして配置される。本発明の保護フィルム10がこのように配置されることにより、粘着性を備えている第1熱溶着性樹脂層1の表面を、溶接部Pの周囲に好適に固定することができる。すなわち、本発明の保護フィルムは、保護フィルムの第1熱溶着性樹脂層1の側が、金属箔露出部21と金属端子30とが溶接される部分の周囲の一部に接するように使用される。
また、例えば特許文献2に開示されたような、樹脂製粘着テープ、樹脂製粘着剤、熱溶融樹脂剤などで被覆する方法では、溶接時には、溶接部の周囲を金属片から保護できる場合にも、例えば樹脂製粘着テープなどの表面に付着した金属片は、容易に脱離する。このため、例えば電池が動いた際に、金属片も動いて、電極の内部に金属片が混入する場合がある。これに対して、後述のとおり、本発明の保護フィルム10において、第2熱溶着性樹脂層2が、第1熱溶着性樹脂層1とは反対側の表面を構成している場合、溶接時に発生した高温の金属片を、第2熱溶着性樹脂層2の表面に熱溶着させて捕捉することができる。熱溶着された金属片は、容易には第2熱溶着性樹脂層2の表面から脱離しないため、溶接部Pの周囲をより一層効果的に保護することができる。
溶接の方法としては、特に制限されず、超音波溶接、レーザ溶接などの従来公知の溶接方法を用いることができる。
なお、後述の通り、本発明の保護フィルムが用いられる電池は、例えば図7の模式図に示す様に、少なくとも、金属箔20と、金属箔20の表面に活物質層22とを有する電極、及び電解質などを備えた電池素子が、包装材料50によって形成された包装体中に収容された構造を有している。電極は、正極と負極とを備えており、正極と負極との間には、セパレータ23が配置される。本発明において、電池の内部50aとは、包装材料50によって電池素子が収容されている領域を意味し、電池の外部50bとは、包装材料50の外側を意味している。電池の内部50aと外部50bは、包装体を介して隔絶されている。
本発明の保護フィルム10は、例えば、図2から図5の模式図に示されるように、少なくとも、粘着性を有する第1熱溶着性樹脂層1と、耐熱性中間層3と、第2熱溶着性樹脂層2とをこの順に備えた積層体により構成されている。第1熱溶着性樹脂層1は、保護フィルム10の一方側の表面を構成している。
本発明の保護フィルム10の積層構成の具体例としては、図2に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/耐熱性中間層3/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える積層構成;図3に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/耐熱性中間層3/熱可塑性樹脂層4/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える積層構成;図4に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/熱可塑性樹脂層4/耐熱性中間層3/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える積層構成;図5に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/熱可塑性樹脂層4/耐熱性中間層3/熱可塑性樹脂層4/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える積層構成などが挙げられる。なお、後述の通り、第2熱溶着性樹脂層2は、第1熱溶着性樹脂層1と同様、粘着成分を含んで粘着性を有していてもよい。また、熱可塑性樹脂層4は、第1熱溶着性樹脂層1及び第2熱溶着性樹脂層2と同様、熱溶着性を有していてもよい。本発明の保護フィルムには、これらの層とは異なる他の層がさらに積層されていてもよい。
低コスト、製造工程の簡略化の観点から、保護フィルムを薄くすることが好ましく、本発明の保護フィルムは、図2に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/耐熱性中間層3/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える3層の積層構成を備えていることが好ましい。また、凹凸形状等への追従性の観点からは保護フィルムを厚くすることが好ましく、本発明の保護フィルムは、第1熱溶着性樹脂層1/耐熱性中間層3/第2熱溶着性樹脂層2の各層間に熱可塑性樹脂層を備えていることが好ましい。具体的には、図3に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/耐熱性中間層3/熱可塑性樹脂層4/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える4層の積層構成;図4に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/熱可塑性樹脂層4/耐熱性中間層3/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える4層の積層構成;図5に示されるような第1熱溶着性樹脂層1/熱可塑性樹脂層4/耐熱性中間層3/熱可塑性樹脂層4/第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える5層の積層構成を備えていることが好ましい。また、粘着性を有する(粘着成分が含まれている)第1熱溶着性樹脂層1が、熱可塑性樹脂層4を介して耐熱性中間層3に積層されることで、層間の接着強度を安定させることができるため、本発明の保護フィルムは、好ましくは、両面に粘着性を有する(粘着成分が含まれている)5層の積層構成(具体的には、粘着性を有する第1熱溶着性樹脂層1/熱可塑性樹脂層4/耐熱性中間層3/熱可塑性樹脂層4/粘着性を有する第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える積層構成)や、片面に粘着性を有する(粘着成分が含まれている)4層の積層構成(具体的には、粘着性を有する第1熱溶着性樹脂層1/熱可塑性樹脂層4/耐熱性中間層3/熱可塑性樹脂層4/粘着性を有しない(粘着成分を含まない)第2熱溶着性樹脂層2をこの順に備える積層構成)を備えていることが好ましい。
本発明の保護フィルムは、着色されていてもよい。具体的には、第1熱溶着性樹脂層1、耐熱性中間層3、及び第2熱溶着性樹脂層2のうち少なくとも1層が着色されていてもよい。本発明の保護フィルムの少なくとも1層が着色されていることにより、電極の金属箔露出部が溶接される部分の周囲の少なくとも一部が、本発明の保護フィルムで保護されていることを目視で容易に確認することができる。着色剤としては、特に制限されず、公知の顔料、染料等を使用することができる。着色剤の具体例としては、カーボンブラック等が挙げられる。
本発明の保護フィルムの厚みとしては、溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、さらに、優れた絶縁性を発揮させる観点から、好ましくは50~200μm程度、より好ましくは80~150μm程度が挙げられる。
低コスト、層間剥離の可能性を抑える観点からは、本発明の保護フィルムの層数は少ない方が好ましく、下限としては3以上、好ましい上限としては5以下が挙げられる。溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、かつ、優れた絶縁性を発揮させる観点からは、本発明の保護フィルムの層数としては、好ましくは3~5程度、より好ましくは3~4程度が挙げられる。
なお、電池の包装材料が、例えば、基材層/バリア層(一般に、アルミニウムなどの金属により構成されている)/熱融着性樹脂層が順次積層されたフィルム状の積層体(積層フィルム)によって構成されている場合、当該包装材料の熱融着性樹脂層側が対向するようにして、包装材料の周縁部がヒートシールされることにより、電極などの電池素子が包装材料によって密封される。このような場合、電極の金属箔露出部が溶接される部分の周囲に保護フィルムが配置され、溶接によって飛散した金属片が保護フィルムの表面に付着した状態で、保護フィルムの上から包装材料により密封される。そうすると、例えば、電極の金属箔20と、保護フィルム10と、金属片と、包装材料とが順に位置することになり、この状態でこれらが密封されると、金属片が保護フィルム10と包装材料の熱融着性樹脂層とを貫通し、金属片を介して金属箔20と包装材料のバリア層とが電気的に接続されて、短絡を生じる可能性がある。このような短絡を回避する観点からも、絶縁性に優れた本発明の保護フィルムは好適に使用することができる。
また、本発明の保護フィルムの一方面の面積としては、被覆する部分のサイズに応じて適宜設定することができる。
溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、かつ、優れた絶縁性を発揮させる観点からは、本発明の保護フィルムについて、試験温度200℃、加熱時間10秒間の条件で測定される熱収縮率は、上限としては、好ましくは約10%以下、より好ましくは約5%以下、さらに好ましくは約4%以下が挙げられ、下限としては、約0%以上、約0.1%以上が挙げられる。また、当該熱収縮率の範囲としては、好ましくは、0~10%程度、0~5%程度、0~4%程度、0.1~10%程度、0.1~5%程度、0.1~4%程度が挙げられる。熱収縮率は、JIS K 7133:1999の規定に準拠した方法により行うことができる。なお、JIS K 7133では、試験片サイズは120mm×120mmであることが規定されているが、当該試験片サイズよりも小さいサイズの試験片でしか熱収縮率を測定できない場合には、可能な範囲で当該試験片サイズに近い正方形の試験片について、同様に熱収縮率を測定する。
(第1熱溶着性樹脂層1)
本発明において、第1熱溶着性樹脂層1は、保護フィルムの一方側の表面を構成している層である。すなわち、第1熱溶着性樹脂層1は、本発明の保護フィルム10の一方側の最外層を構成している。
第1熱溶着性樹脂層1は、粘着性を有する(具体的には、粘着成分を含有する)。より具体的には、第1熱溶着性樹脂層1は、粘着成分を含有する熱溶着性樹脂組成物により構成されている。
粘着成分としては、第1熱溶着性樹脂層1に粘着性を付与できるものであれば、特に制限されず、例えば、ロジン、水添ロジン、重合ロジン、ロジンエステルなどロジンまたはその誘導体;α-ピネン、β-ピネン、リモネンなどのテルペン系樹脂;テルペンフェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂、水添石油樹脂などが挙げられる。また、水添されたテルペン樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂は、スチレン系ブロックコポリマーのエラストマー相に相溶し、ポリオレフィンなどの非極性部材への密着力向上に高い効果が見られ、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂などはスチレン相に相溶し、凝集力を高める効果を有している。このため、水添されたテルペン樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂と、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂などを組み合わせて粘着成分とすることもできる。
また、粘着成分としては、アモルファスポリオレフィンを用いることもできる。アモルファスポリオレフィンとしては、例えば、アモルファスポリプロピレン、またはアモルファスプロピレンと他のα-オレフィンとの共重合体などがあり、具体例としては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン-1共重合体、プロピレン・ブテン-1・エチレン・3元共重合体、プロピレン・ヘキセン-1・オクテン-1・3元重合体、プロピレン・ヘキセン-1・4-メチルペンテン-1・3元共重合体、プロピレン・ヘキセン-1・4-メチルペンテン-1・3元共重合体、ポリブテン-1などが挙げられる。対象となるアモルファスアルファポリオレフィンのうち、低分子量成分含有量の多い数平均分子量20000以下、ガラス転移点が-20℃以下のものが好ましい。
粘着成分としては、アモルファスポリオレフィンが好ましい。アモルファスポリオレフィンの市販品としては、例えば、REXtac2280(REXtac.LLC製)などが挙げられる。第1熱溶着性樹脂層1において、例えば、粘着成分としてREXtac2280を用い、かつ、熱溶着性樹脂として変性ポリオレフィンを用いる場合、REXtac2280の含有量としては、変性ポリオレフィン100質量部に対して、約10質量部程度、または約20質量部程度とすることが好ましい。
粘着成分は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
第1熱溶着性樹脂層1に含まれる粘着成分の割合としては、特に制限されないが、下限としては、好ましくは約1質量%以上、より好ましくは約5質量%以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約30質量%以下、より好ましくは約25質量%以下が挙げられる。また、粘着成分の割合の範囲としては、好ましくは、1~30質量%程度、1~25質量%程度、5~30質量%程度、5~25質量%程度が挙げられる。第1熱溶着性樹脂層1に含まれる粘着成分の割合がこのような値を有していることにより、本発明の保護フィルムは、優れた粘着性を発揮することができ、溶接部の周囲に本発明の保護フィルム10を好適に固定することができる。
第1熱溶着性樹脂層1に含まれる熱溶着性樹脂としては、特に制限されないが、優れた粘着性を発揮しつつ、溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、さらに、優れた絶縁性を発揮させる観点からは、好ましくは変性ポリオレフィン(すなわち、ポリオレフィン骨格を有している)が挙げられる。ポリオレフィン骨格を有している熱溶着性樹脂は、電解液等に対する耐溶剤性に優れるため、第1熱溶着性樹脂層1に含まれる熱溶着性樹脂として好ましい。第1熱溶着性樹脂層1を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を含んでいても含んでいなくてもよいが、前記の観点から、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましい。第1熱溶着性樹脂層1を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。
また、変性ポリオレフィンとしては、酸変性されたポリオレフィンであることが好ましい。酸変性されたポリオレフィンとしては、具体的には、不飽和カルボン酸またはその無水物で変性されたポリオレフィンが挙げられる。酸変性に使用される不飽和カルボン酸またはその無水物としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
変性されるポリオレフィンとしては、特に制限されないが、優れた粘着性を発揮しつつ、溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、さらに、優れた絶縁性を発揮させる観点からは、好ましくは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)などの結晶性または非晶性のポリプロピレン;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマーが挙げられる。これらのなかでも、変性されるポリオレフィンとしては、ポリプロピレンが好ましい。
優れた粘着性を発揮しつつ、溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、さらに、優れた絶縁性を発揮させる観点から、第1熱溶着性樹脂層1に含まれる熱溶着性樹脂の中でも、特に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリエチレンなどの変性ポリオレフィンが好ましい。
第1熱溶着性樹脂層1に含まれる熱溶着性樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
第1熱溶着性樹脂層1に含まれる熱溶着性樹脂の割合としては、特に制限されないが、下限としては、好ましくは約70質量%以上、より好ましくは約80質量%以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約95質量%以下、より好ましくは約90質量%以下が挙げられる。また、熱溶着性樹脂の割合の範囲としては、好ましくは、70~95質量%程度、70~90質量%程度、80~95質量%程度、80~90質量%程度が挙げられる。第1熱溶着性樹脂層1に含まれる熱溶着性樹脂の割合がこのような値を有していることにより、本発明の保護フィルムは、より優れた粘着性を発揮しつつ、溶接時の高温環境における熱収縮率を効果的に低減し、さらに、より優れた絶縁性を発揮することができる。
優れた粘着性を発揮しつつ、溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、さらに、優れた絶縁性を発揮させる観点からは、第1熱溶着性樹脂層1の軟化点としては、好ましくは約90℃以下、より好ましくは約80℃以下が挙げられる。また、第1熱溶着性樹脂層1の軟化点の下限としては、例えば約40℃以上、好ましくは50℃以上が挙げられる。熱溶着性樹脂層1の軟化点の好ましい範囲としては、40~90℃程度、40~80℃程度、50~90℃程度、50~80℃程度が挙げられる。本発明において、熱溶着性樹脂層1の軟化点は、後述の耐熱性中間層の軟化点と同様にして測定された値である。
第1熱溶着性樹脂層1の厚さは、特に制限されないが、優れた粘着性を発揮しつつ、溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、さらに、優れた絶縁性を発揮させる観点から、下限としては、好ましくは約5μm以上、より好ましくは約10μm以上、さらに好ましくは約20μm以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約200μm以下、より好ましくは約100μm以下、さらに好ましくは約50μm以下が挙げられる。また、第1熱溶着性樹脂層1の厚さの範囲としては、好ましくは、5~200μm程度、5~100μm程度、5~50μm程度、10~200μm程度、10~100μm程度、10~50μm程度、20~200μm程度、20~100μm程度、20~50μm程度が挙げられる。
(耐熱性中間層3)
本発明において、耐熱性中間層3は、第1熱溶着性樹脂層1と第2熱溶着性樹脂層2との間に位置しており、保護フィルムの優れた耐熱性を担保している。
耐熱性中間層3を構成する素材としては、耐熱性に優れていれば、特に制限されず、例えば、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、及びこれらの混合物や共重合物などが挙げられる。また、耐熱性中間層3の形状としても、特に制限されず、フィルム、不織布などが挙げられる。
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルなどが挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル-ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)などが挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレートなどが挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、さらに、優れた絶縁性を発揮させる観点から、これらの中でも耐熱性中間層3の素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、アラミド、ビニロン(ポリビニルアルコール)、またはポリアリレートが挙げられる。また、耐熱性中間層3の形状としては、フィルム、繊維不織布などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性中間層3は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイド繊維不織布、アラミド繊維不織布、ビニロン(ポリビニルアルコール)繊維不織布、またはポリアリレート繊維不織布により構成されていることが好ましい。
耐熱性中間層3は、加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡を用いたプローブの変位量測定において、保護フィルム10の断面の耐熱性中間層3表面にプローブを設置し、測定開始時のプローブのディフレクションの設定値は-4V、昇温速度5℃/分の条件で、プローブを40℃から220℃まで加熱した際に、プローブの位置が初期値よりも低下しないことが望ましい。耐熱性中間層3がこのような特性を備えていることにより、溶接時の高温環境における熱収縮率をより低減し、熱溶着後の外観をより良好なものとすることができる。
加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡を用いたプローブの変位量測定においては、まず、例えば図8の概念図に示すように、保護フィルムの断面の耐熱性中間層の表面(例えば、図9の保護フィルム10であれば、Qの位置)にプローブ90を設置する(図8の測定開始A)。このときの断面は、保護フィルムの中心部を通るように厚さ方向に切断して得られた、耐熱性中間層の断面が露出した部分である。切断は、市販品の回転式ミクロトームなどを用いて行うことができる。加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡としては、例えば、ANASIS INSTRUMENTS社製のafm plusシステムを用い、プローブとしてはカンチレバーThermaLever AN2-200(ばね定数0.5~3N/m)を使用することができる。プローブの先端半径は30nm以下、プローブのディフレクション(Deflection)の設定値は-4V、昇温速度5℃/分とする。次に、この状態でプローブを加熱すると、プローブ90からの熱により、図8のBのように耐熱性中間層3の表面が膨張して、プローブ90が押し上げられ、プローブ90の位置が初期値(プローブ90の温度が40℃である時の位置)よりも上昇する。さらに温度が上昇すると、耐熱性中間層3が軟化し、図8のCのように、プローブ90が耐熱性中間層3に突き刺さり、プローブ90の位置が下がる場合がある。なお、プローブ90の変位量測定においては、測定対象となる保護フィルムは室温(25℃)環境にあり、40℃に加熱されたプローブ90を保護フィルムの断面の耐熱性中間層の表面に設置して、測定を開始する。
本発明の保護フィルムにおいては、測定開始時のプローブのディフレクションの設定値は-4V、昇温速度5℃/分の条件で、プローブを40℃から220℃まで加熱した際に、保護フィルムの断面の耐熱性中間層の表面に設置したプローブの位置が初期値(プローブの温度が40℃である時の位置)よりも低下せず、さらに、160℃から200℃まで加熱した際に、保護フィルムの断面の耐熱性中間層の表面に設置したプローブの位置が低下しないことがより好ましい。保護フィルムを用いた部材の熱溶着工程は、通常、160℃から200℃程度に加熱して行われる。このため、プローブを160℃から200℃まで加熱した際に、保護フィルムの断面の耐熱性中間層の表面に設置したプローブの位置が低下しない保護フィルムは、特に高い耐熱性を発揮することができる。耐熱性をより一層高める観点から、プローブを40℃から250℃まで加熱した際に、保護フィルムの断面の耐熱性中間層の表面に設置したプローブの位置が初期値よりも低下せず、さらに、160℃から200℃まで加熱した際に、保護フィルムの断面の耐熱性中間層の表面に設置したプローブの位置が低下しないことがさらに好ましい。
耐熱性をより一層高める観点から、耐熱性中間層3の軟化点としては、例えば90℃以上、好ましくは約160℃以上、より好ましくは約200℃以上が挙げられる。また、耐熱性中間層3の軟化点の上限としては特に存在しないが、例えば約250℃以下が挙げられる。耐熱性中間層3の軟化点の好ましい範囲としては、90~250℃程度、160~250℃程度、200~250℃程度が挙げられる。本発明において、耐熱性中間層3の軟化点は、前述のプローブの変位量測定において、プローブのディフレクションが最大となった時の温度である。なお、耐熱性中間層3の軟化点の測定においては、測定対象とする耐熱性中間層の5つのサンプルについて、プローブのディフレクションが最大となった時の温度を読み取り、5つの温度の最大値と最小値を除いた3つの温度の平均値を、軟化点とする。
また、耐熱性中間層3の軟化点は、第1熱溶着性樹脂層1の軟化点よりも高いことが好ましい。さらに、耐熱性中間層3の軟化点は、第1熱溶着性樹脂層1の軟化点及び第2熱溶着性樹脂層2の軟化点よりも高いことが好ましい。耐熱性中間層3の軟化点は、第1熱溶着性樹脂層1の軟化点よりも30℃以上高いことが好ましく、60℃以上高いことがより好ましく、90℃以上高いことがさらに好ましい。また、耐熱性中間層3の軟化点は、第2熱溶着性樹脂層2の軟化点よりも8℃以上高いことが好ましく、30℃以上高いことがより好ましく、90℃以上高いことがさらに好ましい。
耐熱性中間層3の厚さは、特に制限されないが、溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、さらに、優れた絶縁性を発揮させる観点から、下限としては、好ましくは約5μm以上、より好ましくは約10μm以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約200μm以下、より好ましくは約100μm以下が挙げられる。また、耐熱性中間層3の厚さの範囲としては、好ましくは、5~200μm程度、5~100μm程度、10~200μm程度、10~100μm程度が挙げられる。
また、耐熱性中間層3が不織布により構成されている場合、不織布の目付としては、特に制限されないが、耐熱性中間層3に隣接する層(例えば、第1熱溶着性樹脂層1、第2熱溶着性樹脂層2、熱可塑性樹脂層4など)を不織布に十分含浸させて、層間の接着強度を安定させる観点からは、目付は小さいことが好ましく、下限としては、好ましくは約5g/m2以上が挙げられる。また、溶接時の高温環境における熱収縮率を低減する観点からは、目付は大きいことが好ましく、上限としては30g/m2以下が挙げられる。溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、さらに、優れた絶縁性を発揮させる観点から、当該目付の範囲としては、好ましくは5~30g/m2程度、より好ましくは7~25g/m2程度が挙げられる。
(第2熱溶着性樹脂層2)
本発明において、第2熱溶着性樹脂層2は、耐熱性中間層3の第1熱溶着性樹脂層1とは反対側に位置する層である。第2熱溶着性樹脂層2は、熱溶着性樹脂組成物により構成されている。
前述の通り、本発明の保護フィルム10において、第2熱溶着性樹脂層2が、第1熱溶着性樹脂層1とは反対側の表面を構成している場合には、溶接時に発生した高温の金属片を、第2熱溶着性樹脂層2の表面に熱溶着させて補足し得る。熱溶着された金属片は、容易には第2熱溶着性樹脂層2の表面から脱離しないため、溶接部の周囲をより一層効果的に保護することができる。このため、本発明の保護フィルム10において、第2熱溶着性樹脂層2は、第1熱溶着性樹脂層1とは反対側の表面を構成していることが好ましい。
第2熱溶着性樹脂層2に含まれる熱溶着性樹脂としては、特に制限されないが、溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、優れた絶縁性を発揮させ、さらに溶接時に発生した高温の金属片を、第2熱溶着性樹脂層2の表面に好適に熱溶着させる観点から、好ましくは変性ポリオレフィン(すなわち、ポリオレフィン骨格を有している)が挙げられる。すなわち、第2熱溶着性樹脂層2を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を含んでいても含んでいなくてもよいが、前記の観点から、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましい。ポリオレフィン骨格を有している熱溶着性樹脂は、電解液等に対する耐溶剤性に優れるため、第2熱溶着性樹脂層2に含まれる熱溶着性樹脂として好ましい。第2熱溶着性樹脂層2を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。
また、変性ポリオレフィンとしては、酸変性されたポリオレフィンであることが好ましい。酸変性されたポリオレフィンとしては、具体的には、不飽和カルボン酸またはその無水物で変性されたポリオレフィンが挙げられる。酸変性に使用される不飽和カルボン酸またはその無水物としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
変性されるポリオレフィンとしては、特に制限されないが、溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、優れた絶縁性を発揮させ、さらに溶接時に発生した高温の金属片を、第2熱溶着性樹脂層2の表面に好適に熱溶着させる観点から、好ましくは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)などの結晶性または非晶性のポリプロピレン;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマーが挙げられる。これらのなかでも、変性されるポリオレフィンとしては、ポリプロピレンが好ましい。
溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、優れた絶縁性を発揮させ、さらに溶接時に発生した高温の金属片を、第2熱溶着性樹脂層2の表面に好適に熱溶着させる観点から、第2熱溶着性樹脂層2に含まれる熱溶着性樹脂の中でも、特に、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどが好ましい。
第2熱溶着性樹脂層2に含まれる熱溶着性樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
第2熱溶着性樹脂層2に含まれる熱溶着性樹脂の割合としては、特に制限されないが、下限としては、好ましくは約70質量%以上、より好ましくは約80質量%以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約95質量%以下、より好ましくは約90質量%以下が挙げられる。また、熱溶着性樹脂の割合の範囲としては、好ましくは、70~95質量%程度、70~90質量%程度、80~95質量%程度、80~90質量%程度が挙げられる。第2熱溶着性樹脂層2に含まれる熱溶着性樹脂の割合がこのような値を有していることにより、本発明の保護フィルムは、より優れた粘着性を発揮しつつ、溶接時の高温環境における熱収縮率を効果的に低減し、さらに、より優れた絶縁性を発揮することができる。
第2熱溶着性樹脂層2には、必要に応じて、粘着性を有していてもよい(具体的には、粘着成分が含まれていてもよい)。第2熱溶着性樹脂層2に粘着成分が含まれている場合、第2熱溶着性樹脂層2は、第1熱溶着性樹脂層1と同様、粘着性を発揮することができる。第2熱溶着性樹脂層2が、第1熱溶着性樹脂層1とは反対側の表面を構成している場合には、第2熱溶着性樹脂層2に粘着成分が含まれていることにより、保護フィルム10の第1熱溶着性樹脂層1と第2熱溶着性樹脂層2の両面に、電極の金属箔露出部が溶接される部分の周囲への粘着性を付与することができ、第2熱溶着性樹脂層2の粘着力によって、溶接時に発生した高温の金属片を好適に粘着・熱溶着させて捕捉し得る。
第2熱溶着性樹脂層2に粘着成分が含まれている場合、粘着成分の種類としては、特に制限されず、第1熱溶着性樹脂層1で例示したものと同じものが例示される。また、第2熱溶着性樹脂層2における粘着成分及び熱溶着性樹脂の割合としては、特に制限されず、それぞれ、第1熱溶着性樹脂層1と同様の割合が挙げられる。
溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、優れた絶縁性を発揮させ、さらに溶接時に発生した高温の金属片を、第2熱溶着性樹脂層2の表面に好適に熱溶着させる観点からは、第2熱溶着性樹脂層2の軟化点としては、好ましくは約90℃以下、より好ましくは約80℃以下が挙げられる。また、第2熱溶着性樹脂層2の軟化点の下限としては、例えば約40℃以上、好ましくは50℃以上が挙げられる。熱溶着性樹脂層2の軟化点の好ましい範囲としては、40~90℃程度、40~80℃程度、50~90℃程度、50~80℃程度が挙げられる。本発明において、熱溶着性樹脂層2の軟化点は、前述の耐熱性中間層の軟化点と同様にして測定された値である。
第2熱溶着性樹脂層2の厚さは、特に制限されないが、溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、優れた絶縁性を発揮させる観点から、下限としては、好ましくは約5μm以上、より好ましくは約10μm以上、さらに好ましくは約20μm以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約200μm以下、より好ましくは約100μm以下、さらに好ましくは約50μm以下が挙げられる。また、第2熱溶着性樹脂層2の厚さの範囲としては、好ましくは、5~200μm程度、5~100μm程度、5~50μm程度、10~200μm程度、10~100μm程度、10~50μm程度、20~200μm程度、20~100μm程度、20~50μm程度が挙げられる。
(熱可塑性樹脂層4)
本発明において、熱可塑性樹脂層4は、必要に応じて、保護フィルム10に積層される層である。熱可塑性樹脂層4は、第1熱溶着性樹脂層1と耐熱性中間層3との間、耐熱性中間層3と第2熱溶着性樹脂層2との間に積層されていることが好ましい。保護フィルム10には、熱可塑性樹脂層4が1層積層されていてもよいし、2層以上積層されていてもよい。保護フィルム10における熱可塑性樹脂層4の積層数としては、好ましくは0~2程度、より好ましくは0~1程度が挙げられる。
熱可塑性樹脂層4を構成する熱可塑性樹脂としては、熱可塑性を備えていれば、特に制限されない。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、熱可塑性樹脂層4は、ポリオレフィンにより構成されていることが好ましく、変性ポリオレフィン(すなわち、ポリオレフィン骨格を有している)により構成されていることがより好ましい。変性ポリオレフィンとしては、第2熱溶着性樹脂層2で例示したものと同じものが好ましく例示される。すなわち、熱可塑性樹脂層4を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を含んでいても含んでいなくてもよいが、前記の観点から、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましい。ポリオレフィン骨格を有している熱可塑性樹脂は、電解液等に対する耐溶剤性に優れるため、熱可塑性樹脂層4に含まれる熱可塑性樹脂として好ましい。熱可塑性樹脂層4を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。
なお、熱可塑性樹脂層4には、必要に応じて、粘着性を有していてもよい(具体的には、粘着成分が含まれていてもよい)。熱可塑性樹脂層4に粘着成分が含まれている場合、熱可塑性樹脂層4は、第1熱溶着性樹脂層1と同様、粘着性を発揮することができる。熱可塑性樹脂層4に粘着成分が含まれている場合、粘着成分の種類としては、特に制限されず、第1熱溶着性樹脂層1で例示したものと同じものが例示される。また、熱可塑性樹脂層4における粘着成分の割合としては、特に制限されず、第1熱溶着性樹脂層1と同様の割合が挙げられる。
熱可塑性樹脂層4の軟化点としては、好ましくは約90℃以下、より好ましくは約80℃以下が挙げられる。また、熱可塑性樹脂層4の軟化点の下限としては、例えば約40℃以上、好ましくは約50℃以上が挙げられる。熱可塑性樹脂層4の軟化点の好ましい範囲としては、40~90℃程度、40~80℃程度、50~90℃程度、50~80℃程度が挙げられる。本発明において、熱可塑性樹脂層4の軟化点は、前述の耐熱性中間層の軟化点と同様にして測定された値である。
熱可塑性樹脂層4の厚さは、特に制限されないが、溶接時の高温環境における熱収縮率を低減し、さらに、優れた絶縁性を発揮させる観点から、下限としては、好ましくは約5μm以上、より好ましくは約10μm以上、さらに好ましくは約20μm以上が挙げられ、上限としては、好ましくは約200μm以下、より好ましくは約100μm以下、さらに好ましくは約50μm以下が挙げられる。また、熱可塑性樹脂層4の厚さの範囲としては、好ましくは、5~200μm程度、5~100μm程度、5~50μm程度、10~200μm程度、10~100μm程度、10~50μm程度、20~200μm程度、20~100μm程度、20~50μm程度が挙げられる。なお、熱可塑性樹脂層4が複数層設けられている場合、これらの厚さは、熱可塑性樹脂層4の1層の厚さを意味する。
(他の層)
本発明の保護フィルム10には、第1熱溶着性樹脂層1、第2熱溶着性樹脂層2、耐熱性中間層3、及び熱可塑性樹脂層4とは異なる他の層がさらに積層されていてもよい。
(添加剤)
本発明の保護フィルム10は、必要に応じて、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。なお、添加剤の種類、含有量などによっては、保護フィルム10が変色することもある。
(保護フィルムの製造方法)
本発明の保護フィルム10は、少なくとも、第1熱溶着性樹脂層1と、耐熱性中間層3と、第2熱溶着性樹脂層2と、必要に応じて設けられる熱可塑性樹脂層4とを積層することにより製造することができる。これらの層の積層方法としては、特に制限されず、例えば、サーマルラミネート法、サンドイッチラミネート法、押出しラミネート法などを用いて行うことができる。
また、本発明の保護フィルム10において、耐熱性中間層3が樹脂フィルムにより構成されている場合、耐熱性中間層3の両面に接着促進剤を塗布する(すなわち、接着促進剤層を設ける)ことにより、隣接する層(例えば、第1熱溶着性樹脂層1、第2熱溶着性樹脂層2、熱可塑性樹脂層4など)との密着強度を向上させ積層構造を安定させることができる。また、耐熱性中間層3の表面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の周知の易接着手段を講じることができる。
接着促進剤層を形成する接着促進剤としては、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリブタジエン系等の周知の接着促進剤を用いることができる。また、接着促進剤層は、2液硬化型接着剤や1液硬化型接着剤などの公知の接着剤を用いて形成することもできる。実験の結果では、トリイソシアネートモノマー、ポリメリックMDIから選ばれたイソシアネート成分からなるものがラミネート強度に優れ、かつ、ラミネート強度の低下が少なかった。イソシアネート系の接着促進剤としては、トリイソシアネートモノマー、ポリメリックMDIから選ばれたイソシアネート成分からなるものが、ラミネート強度に優れ、かつ、電解液浸漬後のラミネート強度の低下が少ない。特に、トリイソシアネートモノマーであるトリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネートやポリメリックMDIであるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(NCO含有率が約30%、粘度が200~700mPa・s)からなる接着促進剤によって形成することが特に好ましい。また、トリイソシアネートモノマーであるトリス(p-イソシアネートフェニル)チオホスフェートや、ポリエチレンイミン系を主剤とし、ポリカルボジイミドを架橋剤とした2液硬化型の接着促進剤により形成することも好ましい。
接着促進剤層は、耐熱性中間層3の片面または両面に設けることができる。接着促進剤層は、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法等の公知の塗布法で塗布・乾燥することにより形成することができる。接着促進剤の塗布量としては、トリイソシアネートからなる接着促進剤の場合は、20~100mg/m2、好ましくは40~60mg/m2であり、ポリメリックMDIからなる接着促進剤の場合は、40~150mg/m2、好ましくは60~100mg/m2であり、ポリエチレンイミン系を主剤とし、ポリカルボジイミドを架橋剤とした2液硬化型の接着促進剤の場合は、5~50mg/m2、好ましくは10~30mg/m2である。接着促進剤として公知の接着剤を用いる場合の塗布量の上限は、約10g/m2以下、下限は約1g/m2とすることも好ましい。なお、トリイソシアネートモノマーは、1分子中にイソシアネート基を3個持つモノマーであり、ポリメリックMDIは、MDIおよびMDIが重合したMDIオリゴマーの混合物であり、下記式で示されるものである。
Figure 0007024734000001
2.電池
本発明の電池は、図7の模式図に示すように、少なくとも、金属箔20と、金属箔20の表面に活物質層22を有する電極、及び電解質などを備えた電池素子が、包装材料50によって形成された包装体中に収容された構造を有している。電極は、正極と負極とを備えており、正極と負極との間には、セパレータ23が配置される。本発明において、電池の内部50aとは、包装材料50によって電池素子が収容されている領域を意味し、電池の外部50bとは、包装材料50の外側を意味している。電池の内部50aと外部50bは、包装体を介して隔絶されている。
電極には、金属箔が露出した金属箔露出部が設けられており、電極の金属箔露出部と金属端子とが溶接される部分の周囲の少なくとも一部が、本発明の保護フィルム10で被覆されている。より具体的には、本発明の電池は、金属箔の表面に活物質層が形成された電極(正極及び負極)を備えている。また、図1に示すように、電極には、電極の金属箔20が露出した金属箔露出部21(活物質層22が存在していない)が設けられている。金属箔露出部21において、金属箔20と金属端子30などの導電性部材とが溶接されている(溶接部P)。これにより、電池の内部と外部が電気的に接続されている。正極と負極とは、セパレータを介して配置されている。電極は、通常、捲回または積層されて包装材料内に収容されている。なお、本発明の電池においては、通常、正極と負極とがセパレータを介して積層された積層体を複数備えており、正極または負極の金属箔露出部21においては、それぞれ、複数の金属箔20が積層されている。そして、電極の金属箔20が複数積層されている部分において、金属箔20に金属端子30などの導電性部材が溶接されている。本発明の電池においては、電極に設けられた金属箔露出部21と金属端子30などの導電性部材とが溶接された部分(溶接部Pに対応)の周囲の少なくとも一部が、本発明の保護フィルム10で被覆されている(領域R)。
電極や電解液などの電池素子を収容する包装材料は、金属製であってもよいし、基材層/バリア層/熱融着性樹脂層が順次積層された積層フィルムであってもよい。
本発明の電池は、電極の金属箔露出部21と金属端子30とが溶接される部分の周囲の少なくとも一部を、本発明の保護フィルム10で被覆する工程と、金属箔露出部21を金属端子30と溶接する工程とを備える方法により製造することができる。本発明の保護フィルム10で被覆する方法は、前述のとおり、本発明の保護フィルム10の第1熱溶着性樹脂層1の表面を、溶接部の周囲の少なくとも一部に付着させる方法が挙げられる。第1熱溶着性樹脂層1が備える粘着力により、本発明の保護フィルム10を、溶接部の周囲に好適に固定することができる。また、前述の通り、溶接の方法としては、特に制限されず、超音波溶接、レーザ溶接などが採用できる。
本発明の保護フィルム10で被覆する部分は、電極の金属箔露出部が溶接される部分の周囲の一部であってもよいし、全部であってもよい。本発明の保護フィルム10で被覆する部分としては、溶接時に発生する微細な金属片が電極内部へ混入することを抑制できる場所を適宜選択すればよい。
電池の活物質層は、活物質、導電助剤、バインダなどの公知の材料によって構成することができ、種々の組み合わせが知られている。
例えば、正極に使用される活物質の具体例としては、LiCoO2、LiMn24、LiNiO2、LiFeO2、Li4Ti512、LiFePO4、LiNi1/3Mn1/3Co1/32、LiNi0.80Co0.15Al0.052、などのリチウム遷移金属複合酸化物などの正極活物質が挙げられる。正極活物質は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、負極に使用される活物質の具体例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、アモルファス炭素、カーボンブラック、またはこれらの成分に異種元素を添加した炭素材料や、金属リチウム及びその合金、スズ、ケイ素及びそれらの合金や、スズ、ケイ素、チタンの酸化物など、アルカリ金属イオンを吸蔵放出可能な材料を挙げることができる。負極活物質は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
導電助剤の具体例としては、黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素繊維、または金属粉末等が挙げられる。導電助剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
バインダの具体例としては、ポリフッ化ビニリデン、スチレン・ブタジエンゴム、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリル酸などが挙げられる。バインダは、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明の電池は、一次電池、二次電池のいずれであってもよいが、好ましくは二次電池である。二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、好ましくは、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において、樹脂の軟化点は、以下の方法により測定した値である。
(軟化点の測定)
加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡を用いたプローブの変位量測定を用いて、軟化点を測定した。耐熱性中間層の軟化点の測定では、まず、保護フィルムの断面の耐熱性中間層の表面にプローブを設置した。このときの断面は、保護フィルムの中心部を通るように厚さ方向に切断して得られた、耐熱性中間層の断面が露出した部分である。切断は、市販品の回転式ミクロトームなどを用いて行った。加熱機構付きのカンチレバー(プローブ)を取り付けられる原子間力顕微鏡としては、ANASIS INSTRUMENTS社製のafm plusシステムを用い、プローブとしてはカンチレバーThermaLever AN2-200(ばね定数0.5~3N/m)を使用した。プローブの先端半径は30nm以下、プローブのディフレクション(Deflection)の設定値は-4V、昇温速度5℃/分とした。次に、この状態でプローブを加熱すると、プローブからの熱により、耐熱性中間層の表面が膨張して、プローブが押し上げられ、プローブの位置が初期値(プローブの温度が40℃である時の位置)よりも上昇した。さらに加熱温度が上昇すると、耐熱性中間層が軟化し、プローブが耐熱性中間層に突き刺さり、プローブの位置が下がった。なお、プローブの変位量測定においては、測定対象となる保護フィルムは室温(25℃)環境にあり、40℃に加熱されたプローブを耐熱性中間層の表面に設置して、測定を開始した。耐熱性中間層の軟化点は、プローブの変位量測定において、プローブのディフレクションが最大となった時の温度とした。耐熱性中間層の軟化点の測定においては、測定対象とする耐熱性中間層の5つのサンプルについて、プローブのディフレクションが最大となった時の温度を読み取り、5つの温度の最大値と最小値を除いた3つの温度の平均値を、軟化点とした。
第1熱溶着性樹脂層の軟化点の測定においては、保護フィルムの第1熱溶着性樹脂層の主面1a(具体的には、第1熱溶着性樹脂層の耐熱性中間層側とは反対側の面、図10を参照)の表面にプローブを設置して、耐熱性中間層の軟化点の測定と同様にして測定を行った。第2熱溶着性樹脂層の軟化点の測定においては、保護フィルムの断面の第2熱溶着性樹脂層の表面にプローブを設置して、耐熱性中間層の軟化点の測定と同様にして測定を行った。
<保護フィルムの製造>
(実施例1)
耐熱性中間層としてのポリアリレート繊維からなる不織布(目付け14g/m2、厚さ60μm、軟化点160℃以上)の一方の面に、粘着成分と無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂を含む熱溶着性樹脂組成物を、Tダイ押出機で厚さ30μmに押出し塗布し、第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、軟化点54℃)を形成した。次に、耐熱性中間層の他方の面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を、Tダイ押出機で厚さ30μmに押出し塗布し、第2熱溶着性樹脂層(PPa、軟化点75℃)を形成し、粘着性を有する(粘着成分を含む)第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、厚さ30μm)/耐熱性中間層(ポリアリレート繊維不織布、目付け14g/m2、厚さ60μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された保護フィルムを得た。
(実施例2)
耐熱性中間層として、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(厚さ12μm、軟化点160℃以上)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着性を有する(粘着成分を含む)第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、30μm)/耐熱性中間層(PEN、厚さ12μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された保護フィルムを得た。
(実施例3)
耐熱性中間層としてのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(厚さ12μm、軟化点160℃以上)の一方の面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を、Tダイ押出機で厚さ30μmに押出し塗布し、熱可塑性樹脂層(PPa、軟化点75℃)を形成した。次に、熱可塑性樹脂層の表面に、粘着成分と無水マレイン酸変性ポリエチレンを含む熱溶着性樹脂組成物を、Tダイ押出機で厚さ30μmに押出し塗布し、第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、軟化点54℃)を形成した。次に、耐熱性中間層の他方の面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を、Tダイ押出機で厚さ30μmに押出し塗布し、第2熱溶着性樹脂層(PPa、軟化点75℃)を形成し、粘着性を有する(粘着成分を含む)第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、厚さ30μm)/熱可塑性樹脂層(PPa、厚さ30μm)/耐熱性中間層(PEN、厚さ12μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された保護フィルムを得た。
(実施例4)
耐熱性中間層として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂からなる不織布(目付け15g/m2、厚さ25μm、軟化点160℃以上)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着性を有する(粘着成分を含む)第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、30μm)/耐熱性中間層(PPS不織布、目付け15g/m2、厚さ25μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された保護フィルムを得た。
(実施例5)
実施例3において、第2熱溶着性樹脂層(PPa、軟化点75℃)を形成する無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂に、着色剤(カーボンブラック)を配合することで黒色に着色したこと以外は、実施例3と同様にして、粘着性を有する(粘着成分を含む)第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、厚さ30μm)/熱可塑性樹脂層(PPa、厚さ30μm)/耐熱性中間層(PEN、厚さ12μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、黒色、厚さ30μm)がこの順に積層された保護フィルムを得た。
(比較例1)
中間層として、ポリエチレン繊維からなる不織布(PE不織布、目付け10g/m2、厚さ25μm、軟化点50℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着性を有する(粘着成分を含む)第1熱溶着性樹脂層(粘着性PEa、厚さ30μm)/中間層(PE不織布、目付け10g/m2、厚さ25μm)/第2熱溶着性樹脂層(PPa、厚さ30μm)がこの順に積層された保護フィルムを得た。
(比較例2)
市販のアクリル系粘着テープ(ニチバン社製のナイスタック、厚さ90μm)を保護フィルムとした。
<熱収縮率の測定>
JIS K 7133:1999の規定に準拠した方法において、試験温度200℃、加熱時間10秒間の条件で、上記で得られた各保護フィルムの熱収縮率を測定した。結果を表1に示す。
<絶縁性の評価>
上記で得られた各保護フィルムの絶縁性を評価するために、まず、積層フィルムにより構成された包装材料を以下の手順により製造した。アルミニウム箔(厚さ40μm)の一方の面と、二軸延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)とをウレタン系接着剤(厚さ4μm)を介して積層した。次に、アルミニウム箔の他方の面と、未延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ30μm)とを酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリプロピレン)でサンドイッチラミネートすると共に、熱風により酸変性ポリプロピレン樹脂の軟化点以上の温度に加熱して、二軸延伸ナイロンフィルム(25μm)/アルミニウム箔(厚さ40μm)/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚さ15μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム(30μm)が順に積層された包装材料を製造した。
次に、得られた包装材料を長さ150mm(MD)×幅60mm(TD)の大きさに裁断した。同様に、長さ150mm(MD)×幅60mm(TD)の大きさに裁断した保護フィルムを1枚用意した。さらに、長さ100mm、幅5mm、厚さ0.1mmのニッケル製端子と、長さ100mm、φ24μmのニッケル製のワイヤを用意した。以下、図6の模式図を参照しながら、絶縁性評価の方法を説明する。まず、長さ方向と幅方向が一致するようにして、包装材料50の未延伸ポリプロピレンフィルム側の表面に、保護フィルム10の第1熱溶着性樹脂層側を重ねた。なお、比較例2においては、アクリル系粘着テープの粘着面とは反対側の面を重ねた。次に、これを長さ方向の中央部において、保護フィルム10が内側になるようにして2つ折りにした。次に、それぞれの長さ方向が一致するようにして、ニッケル製端子60の上に、ワイヤ70を載せ、ワイヤ70が動かないように端部をテープで固定した。次に、ワイヤ70を載せたニッケル製端子60を、2つ折りにされた保護フィルム10の間に挿入した。次に、テスター(HIOKI 3154 DIGITAL MΩ HiTESTER)を用意し、正極をニッケル製端子60につなぎ、負極を包装材料50のアルミニウム箔につないだ。このとき、ワニグチクリップで包装材料50を挟みこみ、ワニグチクリップをアルミニウム箔まで貫通させることで、負極を包装材料50のアルミニウム箔につないだ。この状態で、図6に示すように、7mm幅の金属バー80(温度190℃、ゲージ圧力0.22MPa、面圧1MPa)を用いて、ニッケル製端子60とワイヤ70を挿入した部分の包装材料50の上(ニッケル製端子60のワイヤ70が位置する側)から熱圧を加え、100Vでの抵抗値が200MΩ以下になるまでの時間(短絡までの時間)を測定した。なお、測定は、同様のサンプルを用いて、5回行った平均値(n=5)とした。結果を表1に示す。
Figure 0007024734000002
表1において、「粘着性PEa」は、粘着成分を含む無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂組成物により構成された第1熱溶着性樹脂層を意味し、「PPa」は、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂により構成された第2熱溶着性樹脂層を意味する。また、「PEN」はポリエチレンナフタレート、「PPS不織布」はポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂により構成された不織布、「PE不織布」はポリエチレンにより構成された不織布を意味する。
表1に示された結果から明らかなとおり、粘着性を有する(粘着成分を含有する)第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えており、第1熱溶着性樹脂層が、保護フィルムの一方側の表面を構成している実施例1~4の保護フィルムは、高温環境における熱収縮が小さく、絶縁性にも優れることが分かる。また、実施例5の保護フィルムの熱収縮率及び絶縁性評価は、実施例3と同様であった。一方、中間層の耐熱性の低いPE不織布により構成されている比較例1の保護フィルムは、熱収縮率が高く、絶縁性も低いことが分かる。また、アクリル系粘着テープを用いた比較例2は、絶縁性が低いことが分かる。
1 粘着性を有する(粘着成分を含む)第1熱溶着性樹脂層
1a 第1熱溶着性樹脂層の主面
2 第2熱溶着性樹脂層
3 耐熱性中間層
4 熱可塑性樹脂層
10 保護フィルム
20 金属箔
21 金属箔露出部
22 活物質層
23 セパレータ
30 金属端子
40 溶接ヘッド
50 包装材料
50a 電池の内部
50b 電池の外部
60 ニッケル製端子
70 ワイヤ
80 金属バー
90 プローブ
P 溶接部
Q 積層フィルムの断面の耐熱性中間層の表面の位置
R 保護フィルムで被覆される領域

Claims (11)

  1. 金属箔と前記金属箔の表面に位置する活物質層とを有する電極を備える電池に用いられる保護フィルムであって、
    前記電極には、前記金属箔が露出した金属箔露出部が設けられており、
    前記保護フィルムは、前記電極の前記金属箔露出部と金属端子とが溶接される部分の周囲の少なくとも一部を保護するために用いられ、
    前記保護フィルムは、少なくとも、粘着性を有する第1熱溶着性樹脂層と、耐熱性中間層と、第2熱溶着性樹脂層とをこの順に備えており、
    前記第1熱溶着性樹脂層は、前記保護フィルムの一方側の表面を構成しており、
    前記保護フィルムは、前記電極の前記金属箔露出部と金属端子とが溶接される部分の周囲であって、前記金属箔露出部の少なくとも一部を保護するために用いられる、保護フィルム。
  2. 試験温度200℃、加熱時間10秒間の条件で測定される熱収縮率が、10%以下である、請求項1に記載の保護フィルム。
  3. 前記第1熱溶着性樹脂層を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を有している、請求項1または2に記載の保護フィルム。
  4. 前記第1熱溶着性樹脂層は、変性ポリオレフィンを含む、請求項1~3のいずれかに記載の保護フィルム。
  5. 前記第1熱溶着性樹脂層は、酸変性ポリオレフィンを含む、請求項1~4のいずれかに記載の保護フィルム。
  6. 前記第1熱溶着性樹脂層を赤外分光法で分析すると、無水マレイン酸に由来するピークが検出される、請求項1~5のいずれかに記載の保護フィルム。
  7. 前記第2熱溶着性樹脂層が、前記第1熱溶着性樹脂層とは反対側の表面を構成している、請求項1~6のいずれかに記載の保護フィルム。
  8. 前記第1熱溶着性樹脂層、前記中間層、及び前記第2熱溶着性樹脂層のうち少なくとも1層が着色されている、請求項1~7のいずれかに記載の保護フィルム。
  9. 前記電極の前記金属箔が、金属箔露出部において複数積層されている、請求項1~8のいずれかに記載の保護フィルム。
  10. 少なくとも、電極及び電解質を備えた電池素子が、電池用包装材料により形成された包装体中に収容されている電池であって、
    前記電極は、金属箔と前記金属箔の表面に位置する活物質層とを備えており、
    前記電極には、前記金属箔が露出した金属箔露出部が設けられており、
    前記電極の前記金属箔露出部には金属端子が溶接されており、
    前記電極の前記金属箔露出部と金属端子とが溶接される部分の周囲の少なくとも一部が、請求項1~のいずれかに記載の保護フィルムで被覆されている、電池。
  11. 金属箔と前記金属箔の表面に位置する活物質層とを有する電極を備える電池の製造方法であって、
    前記電極には、前記金属箔が露出した金属箔露出部が設けられており、
    前記電極の前記金属箔露出部と金属端子とが溶接予定部分の周囲の少なくとも一部を、請求項1~のいずれかに記載の保護フィルムで被覆する工程と、
    前記金属箔露出部を前記金属端子と溶接する工程と、
    を備える、電池の製造方法。
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