JP7018804B2 - 分析用試料埋込樹脂の作製方法 - Google Patents

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Description

この発明は、分析の対象とする微小な粒状試料を、分析に先立ち、樹脂材料に埋め込んで固定して、分析用試料埋込樹脂を作製する方法に関するものであり、特には、樹脂材料中の粒状試料の分散性の向上を図る技術を提案するものである。
たとえば、鉱石、スラグ、汚泥、粉塵もしくは、電気電子機器等のリサイクル原料その他の不均一な組成および粒径の粒子からなる粒状試料の元素含有量、粒度分布、単体分離度などを計測して分析するに際しては、その粒状試料を構成する粒子が微小であることから、分析装置にセットする前に、当該粒状試料を樹脂材料に埋め込んで固定して、試料埋込樹脂を得ることが一般に行われている。なお、このような分析装置の一例として、鉱物解析システム(Mineral Liberation Analyzer、MLA)は、SEM-EDSをベースとして鉱石粒子の解析を行うものであり、特に鉱物資源の分野で用いられている。
かかる試料埋込樹脂では、分析精度を高めるため、樹脂材料中の粒状試料の粒子の凝集をできる限り取り除き、粒状試料が樹脂材料中に十分に分散し、分離偏析がない代表組成になっていることが求められる。
それゆえに従来は、試料埋込樹脂を作製する場合、はじめに、粒状試料に対して篩別を行って篩上と篩下に分けた後にさらにそれらを混合し、その混合試料を液体状樹脂材料とともに容器に投入し、容器内を手動作業でかき混ぜるとともに、真空デシケーターを用いた液体状樹脂材料の脱泡、超音波撹拌機による容器内の攪拌を行った後、液体状樹脂材料を大気中で硬化させることとしていた。またここでは、試料埋込樹脂中の粒状試料の分散性を高めるため、容器に、液体状樹脂材料を投入するに先立って、グラファイトを投入し、これを粒状試料と混合させることもある。さらに断面を作製して測定する場合もある。
しかるに、このようにして試料埋込樹脂を作製しても、分析装置で分析した際に、微小な粒子の凝集が少なからず存在し、当該凝集を十分に抑制できなかったので、分析装置が凝集粒子を一個の粒子として誤認することに起因する分析精度の低下が否めないという問題があった。また、上述した作製方法では、試料埋込樹脂の作製に多くの時間および手間を要する他、手動作業が含まれることから、作業者に応じて、作製される試料埋込樹脂の粒状試料の分散性にばらつきが生じる。しかも、そのような労力にもかかわらず、小さな粒子の凝集は十分に防止することができなかった。
ここで、特許文献1の従来の技術の項目には、磁性材料、金属粉射出成形材料その他の種々の粉体の性状を測定ないし評価するに際し、特に磁石原料粉などの粉体を粒子単位に分離するため、水、アルコール、液状樹脂、油等の溶媒に観察対象とする粉体を溶かし、場合によっては超音波振動を与えることが記載されている。
特開平7-43275号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているような超音波振動の付与によっては、先述したように粒子の凝集を確実になくすことはできないので、より高い精度で分析を行うには分散性が不十分となる。また、エタノールによる洗浄や固液分離、乾燥は手間がかかり、分析前の作業工数を増大させる。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題に対処することを課題とするものであり、その目的は、樹脂材料中の粒状試料の粒子の凝集を十分に抑制し、樹脂材料中の粒状試料の分散性を向上させることのできる分析用試料埋込樹脂の作製方法を提供することにある。
発明者は鋭意検討の結果、容器内に投入した粒状試料と液体状樹脂材料との混合攪拌に、自転公転撹拌機を用いることにより、粒子の凝集が効果的に抑制されて、樹脂材料中の粒状試料の分散性を有効に向上でき、分離偏析もない代表組成を得ることを見出した。これは、粒状試料および液体状樹脂材料を投入した容器を自転させながら公転させることで、渦巻流と上下対流の相互効果に基いて、液体状樹脂材料の硬化時の粒子の凝集が抑制されること、ならびに、自転公転撹拌機で粒状試料の粒子どうしが混練されて、粒子表面に付着した他の粒子が剥ぎ取られること、さらに、摩擦熱による温度上昇があり、液体状樹脂材料の硬化時間が短縮されること等によるものと考えられるが、この発明は、このような理論に限定されるものではない。
かかる知見に基き、この発明の分析用試料埋込樹脂の作製方法は、粒径が不均一な粒子からなり複数種類の単体及び/又は化合物を含む分析対象の粒状試料を、樹脂材料に埋め込んで、該樹脂材料中に前記粒状試料を固定した試料埋込樹脂を作製する方法であって、容器内に、前記粒状試料を液体状樹脂材料とともに投入し、粒状試料および液体状樹脂材料入りの前記容器を、自転公転撹拌機で自転させつつ該自転とは逆の回転方向に公転させることにより、容器内の粒状試料および液体状樹脂材料を攪拌してから、液体状樹脂材料を硬化させ、前記自転公転撹拌機での撹拌の初期段階を大気雰囲気とし、その後の少なくとも終期段階を真空雰囲気とするというものである。
また、この発明の分析用試料埋込樹脂の作製方法は、粒径が不均一な粒子からなり複数種類の単体及び/又は化合物を含む分析対象の粒状試料を、樹脂材料に埋め込んで、該樹脂材料中に前記粒状試料を固定した試料埋込樹脂を作製する方法であって、容器内に、前記粒状試料を液体状樹脂材料とともに投入し、粒状試料および液体状樹脂材料入りの前記容器を、自転公転撹拌機で自転させつつ該自転と同じ回転方向に公転させることにより、容器内の粒状試料および液体状樹脂材料を攪拌してから、液体状樹脂材料を硬化させ、前記自転公転撹拌機での撹拌の初期段階を大気雰囲気とし、その後の少なくとも終期段階を真空雰囲気とするというものである。
ここで、自転公転撹拌機による攪拌時の公転速度は、400rpm~2000rpmとすることが好ましい。
自転公転撹拌機による攪拌時間は、1分~30分とすることが効果的である。
この発明の分析用試料埋込樹脂の作製方法では、自転公転撹拌機による攪拌後、液体状樹脂材料の硬化が完了するまでの時間を、30分~60分とすることが好ましい。
ところで、容器に投入する液体状樹脂材料に対する粒状試料の割合は、100体積%~300体積%とすることが好適である。
この発明の分析用試料埋込樹脂の作製方法では、前記粒状試料を構成する粒子を鉱石粒子とすることができる。
この発明の分析用試料埋込樹脂の作製方法では、自転公転撹拌機で自転させる前記容器として、粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器が複数個配置されたものを用いることができる。
この発明の分析用試料埋込樹脂の作製方法によれば、粒状試料および液体状樹脂材料入りの前記容器を、自転公転撹拌機で自転させつつ公転させることにより、容器内を攪拌して液体状樹脂材料中で粒状試料を分散させてから、液体状樹脂材料を硬化させるので、樹脂材料中の粒状試料の粒子の凝集が十分に抑制され、それにより、樹脂材料中の粒状試料の分散性を向上させることができる。
この発明の一の実施形態で粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器を自転させつつ公転させる際の様子を模式的に示す斜視図である。 他の実施形態で粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器を自転させつつ公転させる際の様子を模式的に示す斜視図である。 さらに他の実施形態で粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器を複数個配置した容器を自転させつつ公転させる際の様子を模式的に示す斜視図である。 実施例の粗選給鉱を用いて作製した試料埋込樹脂の埋め込み固定された粒状試料の粒度分布を、埋め込み前の粒状試料の粒度分布計による粒度分布とともに示すグラフである。 実施例の粗選精鉱を用いて作製した試料埋込樹脂の埋め込み固定された粒状試料の粒度分布を、埋め込み前の粒状試料の粒度分布計による粒度分布とともに示すグラフである。 実施例の一次精選精鉱を用いて作製した試料埋込樹脂の埋め込み固定された粒状試料の粒度分布を、埋め込み前の粒状試料の粒度分布計による粒度分布とともに示すグラフである。 実施例の粗選給鉱を用いて手動攪拌法で作製した試料埋込樹脂の表面の反射電子像及び鉱物種マップである。 実施例の粗選給鉱を用いてミキサー攪拌法で作製した試料埋込樹脂の断面および表面の反射電子像及び鉱物種マップである。 実施例の粗選精鉱を用いて手動攪拌法で作製した試料埋込樹脂の表面の反射電子像及び鉱物種マップである。 実施例の粗選精鉱を用いてミキサー攪拌法で作製した試料埋込樹脂の表面の反射電子像及び鉱物種マップである。 実施例の一次精選精鉱を用いて手動攪拌法で作製した試料埋込樹脂の表面の反射電子像及び鉱物種マップである。 実施例の一次精選精鉱を用いてミキサー攪拌法で作製した試料埋込樹脂の断面および表面の反射電子像及び鉱物種マップである。
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態に係る分析用試料埋込樹脂の作製方法では、粒径が不均一な粒子からなり複数種類の単体及び/又は化合物を含む分析対象の粒状試料を、樹脂材料に埋め込んで、該樹脂材料中に前記粒状試料を固定した試料埋込樹脂を作製するに当り、容器内に、前記粒状試料を液体状樹脂材料とともに投入し、次いで、粒状試料および液体状樹脂材料入りの前記容器を、自転公転撹拌機で自転させつつ該自転とは逆の回転方向に、又は該自転と同じ回転方向に公転させることにより、容器内の粒状試料および液体状樹脂材料を攪拌し、その後、液体状樹脂材料を硬化させる。
(粒状試料)
分析の対象とする粒状試料は、鉱石、スラグ、汚泥、粉塵もしくは、電気電子機器を含むそのリサイクル原料等に対して所定の処理を施すこと等によって、比較的小さい粒子となったものとすることができる。このような粒状試料は通常、組成および粒径の意図的な均一化が行われていないので、組成が異なるとともに粒径も異なる不均一な多種類の粒子からなる。
なかでも、鉱石粒子からなる粒状試料を対象とする場合、このような鉱石粒子は銅鉱石を含むことがあり、これには、たとえば、輝銅鉱、銅藍、黄銅鉱、班銅鉱、硫砒銅鉱、ブロシャン銅鉱等が含まれ得る。銅鉱石以外にも黄鉄鉱、磁鉄鉱、ケイ酸塩鉱物、輝水鉛鉱、金粒子等も含まれ得る。なおケイ酸塩鉱物としては、正長石、曹長石、斜長石、白雲母、黒雲母、石英等がある。
スラグからなる粒状試料を対象とする場合、スラグ自体がSiO2、CaO、Al23、FeO及びFe34等を含む複雑な組成を持ち、さらにスラグ中にマット粒子やメタル粒子を含む場合がある。
電気電子機器からなる粒状試料の場合、基板に含まれる樹脂部や回路を構成する金属部、難燃剤部等の様々な組成を持つ粒子が存在する。
汚泥、粉塵に至っては単一の組成となっている場合はまず無い。
粒状試料を構成する粒子の粒径は、たとえば1μm~700μm、典型的には20μm~200μmの範囲で、比較的全体的に分布していて不均一である。なお、粒度分布計で測定できる粒度は、たとえば0.243μm~2000μmである場合があるが、上述したような粒状試料の粒径はこの範囲で不均一に分布している。
(樹脂材料)
上述した粒状試料を埋め込んで固定するための樹脂材料としては、後述する容器への投入の際および攪拌の際に液体状に維持でき、かつその後に硬化させることができれば様々なものを用いることができるが、たとえば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができ、このなかでも、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂が好ましい。アクリル樹脂は電子線照射に弱いことから、電流量を増やすことができず、それにより測定に時間を要し、またフェノール樹脂は樹脂以外のものが含有されていることがあり、それが測定試料と判別ができない懸念があるからである。
(分析用試料埋込樹脂の作製方法)
上記の粒状試料および樹脂材料にて分析用の試料埋込樹脂を作製するには、はじめに、図1及び2に例示するような底付き円筒状等の所定の容器1に、粒状試料2を液体状樹脂材料3とともに投入する。
またここでは、必要に応じて、エポキシ樹脂等の液体状樹脂材料3を攪拌後の加熱で硬化させるための樹脂硬化剤を使用することができる。この場合、事前に液体状樹脂材料3と樹脂硬化剤を所定の比率で混合して調合しておき、それを粒状試料2とともに容器1に投入することができる。樹脂硬化剤としては、液体状樹脂材料3の種類に適合する公知のものを用いることが可能である。
この実施形態では、後述するように自転公転撹拌機により液体状樹脂材料3中に粒状試料2を十分に分散させることができるので、グラファイト等をさらに投入することを要しない。すなわち、容器1には、樹脂硬化剤を除き粒状試料2および液体状樹脂材料3のみを投入することができる。またここでは、手作業および超音波による容器1内の粒状試料2および液体状樹脂材料3の攪拌を行わないこととすることができる。さらに、従来行っていた粒状試料2の容器1への投入前の篩別も不要である。したがって、この実施形態では、試料埋込樹脂の作製に要する作業を飛躍的に簡略化することができ、作業工数の低減、作業時間の短縮を実現することができる。
容器1に投入する液体状樹脂材料3に対する粒状試料2の割合は、100体積%~300体積%とすることが好適である。より好ましくは、200体積%~300体積%とする。これはすなわち、粒状試料2の割合が少なすぎると、粒子が凝集する可能性が否めず、また粒状試料の2の割合が多すぎると、固結できず、測定面を露出させる面だし研磨時に破損することが懸念されるからである。
次いで、粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器4を、所定の自転公転撹拌機にセットし、当該自転公転撹拌機の機能に基き、図1及び2のそれぞれに矢印で示すように、粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器4の自転および公転を同時に行って、容器1内の粒状試料2および液体状樹脂材料3を攪拌する。より詳細には、底付き円筒状の容器1の底部を斜め下側に向けてその中心軸を傾斜させて配置し、その中心軸を自転軸として粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器4を自転させるとともに、容器1から距離をおいて自転軸が所定の角度θで傾斜するように公転軸を設定し、その公転軸の周りに粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器4を公転させる。
これにより、自転と公転の相互作用によって発生する渦巻流と上下対流によって、液体状樹脂材料3中の気泡を押し出し、泡を巻きこむことなく、粒状試料2および液体状樹脂材料3を撹拌させて、その分散を促進させることができる。しかもここでは、自転公転撹拌機による攪拌時に、液体状樹脂材料3や粒子等との摩擦熱によって温度が上昇し、液体状樹脂材料3が若干硬化することから、後述するような液体状樹脂材料3を硬化させる際の時間を短縮できる他、そのような若干の硬化により、内部の粒状試料2の粒子の沈降度合の違いによる粒子の存在の偏りを抑制することができる。
自転公転撹拌機としては、粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器4のこのような自転および公転を行い得るものであれば特に問わず、たとえば公知のものを用いることができる。自転公転撹拌機での公転と自転は、図1に示すように、互いに逆の回転方向とすることができ、あるいは図2に示すように、互いに同じ回転方向とすることができる。つまり、公転と自転の相対的な回転方向は特に問わず、使用する自転公転撹拌機や、粒状試料2ないし液体状樹脂材料3の状態等に応じて適宜設定することができる。
また図3に示すように、粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器4を複数個配置した容器4aを自転及び公転させることもできる。自転公転撹拌機によってはテーブルとも称され得るこの容器4aも、粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器とみなすことができる。この場合、容器4aの中心軸を自転軸として容器4aを自転させるとともに、該自転軸が所定の角度θで傾斜するように公転軸を設定し、その公転軸の周りに容器4aを公転させる。図3に示すところでは、容器4aの中心軸の周囲に、粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器4を互いに等間隔で四個配置しているが、容器4a内での粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器4の配置態様や個数はこれに限定されるものではない。このように粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器4を複数個配置した容器4aを自転及び公転させることにより、一度で複数個の粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器4の粒状試料2を分散させることができるので、作業効率を大きく向上させることができる。
ここで、自転公転撹拌機による攪拌時の公転速度は、400rpm~2000rpmとすることが好ましい。公転速度が遅すぎる場合、凝集粒ができることが懸念され、この一方で、公転速度が速すぎる場合、摩擦により粒が摩耗するおそれがある。この観点から、公転速度は400rpm~2000rpmとすることが好ましい。
またここで、自転公転撹拌機による攪拌時の公転速度に対する自転速度の比率は、樹脂の上下対流が発生し、粒子同士が摩耗しない範囲であればよく、例えば公転速度に対して0.4~0.6倍とすることが好適である。自転速度が遅すぎると、上下対流が起きないために凝集粒が存在することが考えられる。一方、自転速度が速すぎると、渦巻流と上下対流のスピードが早くなり、粒子同士が摩耗して本来の粒度とは異なってしまう懸念がある。
なお、上述した公転速度および自転速度は、自転公転撹拌機で設定可能である。
自転公転撹拌機による攪拌時の自転軸の、公転軸に対する角度θは、好ましくは30°~60°、より好ましくは40°~50°として、自転軸を公転軸から傾斜させて攪拌を行うことができる。自転軸の傾斜角度θが小さいと、比重の大きいものが容器底部に沈降しやすい状態となり、また傾斜角度θが大きいと容器から樹脂がこぼれ、必要な樹脂量を容器に充填できない状態となる可能性がある。傾斜角度θは、材料の性質に合わせて適宜設定することができる。
ところで、上述したような自転公転撹拌機による攪拌は、粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器4の周囲の雰囲気を真空雰囲気として行うことが、液体状樹脂材料3に混入し得るマイクロバブルを除去できる点で好適である。このようなマイクロバブルは、粒子の凝集を生じさせる要因の一つになるところ、自転公転撹拌機で真空雰囲気にて攪拌することにより、マイクロバブル除去のためにこれまで行っていた真空デシケーターの使用を省略することができる。真空雰囲気とする場合、マイクロバブルを有効に除去するとの観点から、最大到達真空度は、たとえば1.0kPa以下、好ましくは0.67kPa以下とすることができる。なお、さらに圧力を低下させても効果はそれほど変化せず、またそのような低い圧力に到達するまでに時間がかかる。
但し、液体状樹脂材料3中に粒状試料2がほとんど分散していない攪拌の初期段階から、自転公転撹拌機内の粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器4の周囲を真空雰囲気とすれば、容器1の開口の表面近傍に存在する粒状試料2が飛散することが懸念される。これを防止するため、攪拌の初期段階は、大気雰囲気として重力の作用の下で攪拌を行い、その後、真空雰囲気に切り替えてさらに攪拌することが好適である。つまり、攪拌の初期段階は大気雰囲気とし、その後の少なくとも終期段階は真空雰囲気とすることが好ましい。
ここで攪拌の初期段階は、自転公転撹拌機による攪拌の開始時点から、30秒~60秒が経過したときまでとすることができる。その後に真空雰囲気とする時間は、60秒~30分とすることができる。
自転公転撹拌機による攪拌時間は、上述したように途中で大気雰囲気から真空雰囲気に切り替える場合はそれらの合計の時間として、好ましくは1分~30分、より好ましくは5分~15分とすることができる。攪拌時間が短い場合は、液体状樹脂材料3中での粒状試料2の分散が不十分となることが懸念され、この一方で、攪拌時間が長すぎると、液体状樹脂材料3中で粒状試料2の粒子が相互に衝突することに起因する粒子の破壊が生じるおそれがある。
このように自転公転撹拌機を用いて、容器1内の粒状試料2および液体状樹脂材料3を攪拌した後は、所定の温度、たとえば20℃~60℃まで加熱されることで、先述の樹脂硬化剤の作用と相俟って、液体状樹脂材料3を硬化させる。それにより、硬化した樹脂材料中に粒状試料が埋め込まれて固定された試料埋込樹脂を作製することができる。
ここで、攪拌後から液体状樹脂材料3を硬化させるまで長い時間をおくと、容器1内の液体状樹脂材料3中で粒状試料2が、重力の作用により沈降して分散性が低下することが懸念される。逆に攪拌後から液体状樹脂材料3を硬化させるまでの時間が短いと、加熱時に粒状試料2の温度が上昇している懸念があり、この場合、粒状試料2が熱により変質する可能性がある。そのため、自転公転撹拌機による攪拌後、液体状樹脂材料3の硬化が完了するまでの時間は、好ましくは30分~60分、より好ましくは30分~40分とする。
以上に述べたようにして作製された試料埋込樹脂では、試料埋込樹脂における樹脂材料中に分散した粒状試料の粒子の粒度分布が、埋め込み前の粒状試料の粒度分布とほぼ同一、つまりほぼ同様の傾向となっていることが、粒子どうしの凝集抑制の観点から好適である。
そして、このような試料埋込樹脂は、様々な分析装置を用いた粒状試料の元素含有量、粒度分布、単体分離度などの分析に供することができる。特にここで、粒状試料を構成する粒子を鉱石粒子とした場合、その試料埋込樹脂は、鉱物解析システム(Mineral Liberation Analyzer、MLA)による分析に有効に用いることができる。
次に、この発明の分析用試料埋込樹脂の作製方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、それに限定されることを意図するものではない。
表1に示すように、粒状試料であるサンプルとしての粗選給鉱、粗選精鉱および一次精選精鉱のそれぞれについて、超音波撹拌機を用いた方法(手動攪拌法)と、自転公転撹拌機を用いた方法(ミキサー攪拌法)のそれぞれを用いて、試料埋込樹脂を作製した。
通常法では、篩を用いてサンプルを篩別し、その篩下と篩上を混合し、1インチのクリアカップにその混合サンプルとグラファイトを同当量投入し、手動作業にてそれらを混合した。次いで、エポキシ樹脂(Buehler社製のエポキュア2)の主剤と硬化剤を2:1の割合で混合し、それを真空デシケーターで脱泡した後、サンプルと同当量を上記のクリアカップに流し込んで手動作業で十分に混合させた。その後、超音波撹拌機で9分間攪拌し、そして、真空デシケーターで10分間脱泡し、残りのエポキシ樹脂をクリアカップに流し込んだ後、大気中でエポキシ樹脂を硬化させた。
ミキサー攪拌法では、サンプルを上記と同様のエポキシ樹脂とともにクリアカップに投入した後、自転公転撹拌機(シンキー社製のあわとり練太郎(登録商標))を用いて攪拌を行った。その後、大気中でエポキシ樹脂を硬化させた。このときの攪拌の条件は表1に示すとおりである。なお、表1の回転数は公転の回転数である。その他の条件として、自転速度は公転速度に対して1/2とし、自転軸の傾斜角度は公転軸に対して45°とした。なお、公転軸は鉛直方向に平行とした。
Figure 0007018804000001
上記の各方法で得られた試料埋込樹脂について、その樹脂材料に埋め込み固定された粒状試料の粒度をMLAにより測定した粒度分布の結果を、埋め込み前の粒状試料の粒度を粒度分布計(日機装株式会社製MT3300EX)で測定した結果ととともに図4~6にグラフで示す。
また、粗選給鉱についての手動攪拌法とミキサー攪拌法による試料埋込樹脂の反射電子像及び鉱物種マップをそれぞれ図7及び8に、粗選精鉱についての手動撹拌法とミキサー撹拌法による試料埋込樹脂の反射電子像及び鉱物種マップをそれぞれ図9及び10に、一次精選精鉱についての手動撹拌法とミキサー撹拌法による試料埋込樹脂の反射電子像及び鉱物種マップをそれぞれ図11及び12に示す。なおここで、反射電子像は反射電子強度の像であり、鉱物種マップは鉱物ごとのエネルギースペクトルと標準鉱物スペクトルの同定により、鉱物種をマップで表したものである。図7、9~11は、円柱状の試料埋込樹脂の一方の端面である表面についてのものであり、図8および12は、当該表面および、円柱状の試料埋込樹脂の軸線方向に沿う断面についてのものである。
図4~6に示すところから、ミキサー攪拌法で特に真空雰囲気とした場合は、手動攪拌法に比して、埋め込み前の粒状試料と粒度分布計の傾向が近似していることが解かる。また、図7、9、11に示す手動攪拌法による試料埋込樹脂の写真では、粒子どうしの大きな凝集が確認されるのに対し、図8、10、12に示すミキサー攪拌法による試料埋込樹脂の写真では、そのような凝集がほとんどないことが明らかである。
したがって、この発明によれば、樹脂材料中の粒状試料の粒子の凝集を抑制し、樹脂材料中の粒状試料の分散性を向上できることが解かった。
1 容器
2 粒状試料
3 液体状樹脂材料
4、4a 粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器
θ 公転軸に対する自転軸の傾斜角度

Claims (8)

  1. 粒径が不均一な粒子からなり複数種類の単体及び/又は化合物を含む分析対象の粒状試料を、樹脂材料に埋め込んで、該樹脂材料中に前記粒状試料を固定した試料埋込樹脂を作製する方法であって、
    容器内に、前記粒状試料を液体状樹脂材料とともに投入し、粒状試料および液体状樹脂材料入りの前記容器を、自転公転撹拌機で自転させつつ該自転とは逆の回転方向に公転させることにより、容器内の粒状試料および液体状樹脂材料を攪拌してから、液体状樹脂材料を硬化させ
    前記自転公転撹拌機による撹拌の初期段階を大気雰囲気で行い、その後の少なくとも終期段階を真空雰囲気で行う、分析用試料埋込樹脂の作製方法。
  2. 粒径が不均一な粒子からなり複数種類の単体及び/又は化合物を含む分析対象の粒状試料を、樹脂材料に埋め込んで、該樹脂材料中に前記粒状試料を固定した試料埋込樹脂を作製する方法であって、
    容器内に、前記粒状試料を液体状樹脂材料とともに投入し、粒状試料および液体状樹脂材料入りの前記容器を、自転公転撹拌機で自転させつつ該自転と同じ回転方向に公転させることにより、容器内の粒状試料および液体状樹脂材料を攪拌してから、液体状樹脂材料を硬化させ
    前記自転公転撹拌機による撹拌の初期段階を大気雰囲気で行い、その後の少なくとも終期段階を真空雰囲気で行う、分析用試料埋込樹脂の作製方法。
  3. 自転公転撹拌機による攪拌時の公転速度を、400rpm~2000rpmとする、請求項1又は2に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
  4. 自転公転撹拌機による攪拌時間を、1分~30分とする、請求項1~のいずれか一項に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
  5. 自転公転撹拌機による攪拌後、液体状樹脂材料の硬化が完了するまでの時間を、30分~60分とする、請求項1~のいずれか一項に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
  6. 容器に投入する液体状樹脂材料に対する粒状試料の割合を、100体積%~300体積%とする、請求項1~のいずれか一項に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
  7. 前記粒状試料を構成する粒子を鉱石粒子とする、請求項1~のいずれか一項に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
  8. 自転公転撹拌機で自転させる前記容器として、粒状試料および液体状樹脂材料入りの容器が複数個配置されたものを用いる、請求項1~のいずれか一項に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
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