JP6989864B2 - ギャップ結合細胞間コミュニケーションモジュレータ及び糖尿病性眼疾患の治療のためのそれらの使用 - Google Patents

ギャップ結合細胞間コミュニケーションモジュレータ及び糖尿病性眼疾患の治療のためのそれらの使用 Download PDF

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Description

本発明は、ギャップ結合細胞間コミュニケーション(GJIC:gap junction intercellular communication)モジュレータ及び糖尿病性眼疾患の治療又は予防のそれらの使用に関し、より詳細には、糖尿病性網膜症及び糖尿病性黄斑浮腫の治療又は予防のためのそれらの使用に関する。本発明は更に、目へのギャップ結合細胞間コミュニケーションモジュレータの送達に適合した医薬組成物に関する。
細胞間コミュニケーションが細胞の恒常性、増殖、分化に不可欠であるという認識が高まっている。このようなコミュニケーションは、ギャップ結合によって促進されると考えられている。これらの構造は、細胞をカップリングし、「クロストーク」を可能にする経路であると考えられている。ギャップ結合間のクロストークは、「ギャップ結合細胞間コミュニケーション」(GJIC)と称される。一般に、ギャップ結合は、2つの隣接する細胞の細胞質を直接つなげる数百から数千の密集したチャネルのクラスターを含む、細胞膜の特殊な領域である。ギャップ結合チャネルは、2つの隣り合う細胞のそれぞれによって提供される2つのヘミチャネル、即ちコネクソンで構成される。各コネクソンは、コネキシンと称される6つのタンパク質で構成されている。
糖尿病性網膜症は、生産年齢の成人の視力喪失及び失明の主な原因である。網膜血管細胞の喪失は、初期の糖尿病性網膜症に特有の特徴である。網膜血管細胞喪失の加速は、少なくとも部分的には、高グルコース誘発性アポトーシスによることが知られている。
これらの状態に関する特定の問題は、糖尿病性網膜症の初期段階では通常、症状が限られているか症状がないことである。従って、病気が視力に影響を及ぼすまで気づかずに進行することがよくある。異常な網膜血管からの出血は、「浮遊」スポット(floating spot)の出現を引き起こす場合がある。これらのスポットは、自然と排除されるときもある。これは、迅速な治療なしでは出血が頻繁に再発し、恒久的な視力喪失のリスクが高まることを意味する。糖尿病性黄斑浮腫(DME:diabetic macular edema)が起こると、霧視を引き起こす可能性がある。更なる問題は、糖尿病性網膜症で失われた視力は不可逆的な可能性があることである。
末期糖尿病性網膜症又はDMEを、単独又は組み合わせて使用され得るいくつかの治療法で治療することができる。一般的に、これらの治療法は、末期糖尿病性網膜症で産生される増殖因子を標的とする。治療法としては、抗VEGF薬を硝子体ゲルに注入して血管内皮増殖因子(VEGF)と称されるタンパク質を遮断する抗VEGF注入療法が挙げられ、異常な血管を刺激して増殖させて流体を漏出させることができる。VEGFを遮断することで異常な血管の増殖を遅延させ(ブレーキをかけ)、網膜の水分を減少させることができる。利用可能な抗VEGF薬としては、アバスチン(ベバシズマブ)、ルセンティス(ラニビズマブ)、及びアイリー(アフリベルセプト)が挙げられ、これら3つの薬物はいずれも大半のDME患者の治療に安全で有効である。但し、患者の大半は、治療の最初の6か月間、月1回の抗VEGF注射を必要とする。その後、注射の必要性は少なくなり:典型的には治療の2回目の6か月間に3回~4回、治療の2年目に約4回、3年目に2回、4年目に1回、及び5年目には注射は必要なくなる。病気が安定するにつれ、拡張眼科検査の必要性は少なくなる。しかしながら、これらの治療法はいずれも眼科専門医によって適用される必要があり、注射による投与を必要とする。
従って、当技術分野では、糖尿病性眼疾患、特に初期の糖尿病性網膜症及び糖尿病性黄斑浮腫の更なる治療が必要とされている。
概して、本発明は、糖尿病性眼疾患の治療又は予防の方法、特に、典型的にはヒト患者の糖尿病性網膜症及び糖尿病性黄斑浮腫の治療又は予防に使用するためのギャップ結合細胞間コミュニケーション(GJIC)モジュレータである化合物に関する。いくつかの好ましい態様において、本発明は特に、初期の糖尿病性網膜症の治療又は予防に関する。
ギャップ結合細胞間コミュニケーション(GJIC)の役割は様々な組織で広く研究されてきたが、本発明は、糖尿病網膜におけるアポトーシス細胞死及び周皮細胞遊走への関与に関する。ギャップ結合チャネルにより、イオン、栄養素、及び他のシグナル伝達分子(最大1kD)が隣接する細胞間を通過できる。重要なのは、コネキシン43(Cx43)媒介GJICは網膜の細胞成長、血管緊張、及び細胞死の調節に重要な役割を果たしているため、網膜血管の恒常性を維持するための不可欠な要因である。Cx43は網膜で豊富に発現されており、これはかなりの量のギャップ結合のカップリングを示唆している。しかしながら、高グルコース及び糖尿病の条件下では、Cx43の発現はダウンレギュレートされ、その機能が障害され、それにより網膜血管細胞のGJIC活性が損なわれる。更に、高グルコース及び糖尿病誘発性のCx43ダウンレギュレーション及びGJIC活性の低下は、糖尿病のマウス、ラット、及びヒトの網膜における血管細胞死の増加に重要な役割を果たし、無細胞毛細血管の数の有意な増加及び周皮細胞の喪失を示す。
本明細書に記載される実験では、ギャップ結合モジュレータであるダネガプチド(2S,4R)-1-(2-アミノアセチル)-4-ベンゾイルアミノ-ピロリジン-2-カルボン酸(J.Med.Chem.52(4):908-911,2009)の投与は、高グルコース条件下での細胞間GJ脱共役を防止し、網膜血管細胞の高グルコース誘発アポトーシスを予防する。本明細書に記載される実験は、in vitroで見られるこれらの保護効果が糖尿病のin vivoモデルに変換されるかどうかをさらに検討した。特に、本出願に開示される結果は、ダネガプチドの投与が糖尿病ラットの網膜における無細胞毛細血管の発生及び周皮細胞の喪失を予防できるかどうかを検討した。細胞カップリング、血管の堅さ/血管漏出及びアポトーシスの代用として透過性を伝える3つの異なるin vitroシステムを試験した。
さらに、目に存在する血管を含む血管は、相互作用する2つの細胞型で構成されていることが知られている、Songら、Neuro-Oncology,July2005,453-464を参照されたい。従って、内皮細胞は血管壁の内壁を形成し、周皮細胞は血管チューブの表面を囲み、血管の増殖を支持及び維持し、血管からの漏出を阻止するのに役立つ。従って、血管が周皮細胞を失うと、血管が出血して過膨張し、浮腫、糖尿病性網膜症、最終的には失明等の状態に至ることから、周皮細胞は機能的に重要である。網膜内皮細胞に対するGJICモジュレータの効果に加えて、本出願は、ラット糖尿病性網膜症モデルにおける周皮細胞の喪失がGJICモジュレータの投与により有意に減少され得ることを示す。
さらに、ダネガプチドの送達様式の有効性を、浸透圧ポンプを使用する硝子体内注射経路及び全身送達経路において判断した。
従って、第1の態様では、本発明は、ヒト被験体において糖尿病性眼疾患を治療又は予防する方法で使用するための本明細書に記載されるGJICモジュレータ化合物を提供し、該方法は、治療有効量の上記GJICモジュレータ化合物;又はその薬学的に許容可能な塩を被験体に投与することを含む。
好ましくは、GJICモジュレータ化合物は、(2S,4R)-1-(2-アミノアセチル)-4-ベンゾイルアミノ-ピロリジン-2-カルボン酸及びAc-DTyr-DPro-DHyp-Gly-DAla-Gly-NH;又はその薬学的に許容可能な塩若しくは水和物から選択される。
好ましくは、GJICモジュレータ化合物は、早期糖尿病性網膜症及び糖尿病性黄斑浮腫の治療又は予防に使用するためのものである。これは、糖尿病性網膜症の現在の治療形態の多くが、網膜から分泌される増殖因子が新しい血管の増殖を引き起こす、増殖性糖尿病性網膜症(PDR)等の疾患の進行期の治療に焦点を当てているため、有利である。従って、本発明は、進行段階の状態よりも前の時点での糖尿病性眼疾患の治療又は予防のためのアプローチを提供する。
更なる態様では、本発明は、目へのGJICモジュレータ化合物の送達に適合した医薬組成物を提供する。
本明細書に記載されるGJICモジュレータ化合物は、糖尿病性眼疾患の間に細胞が自身を保護することを可能にし得る。特定の理論に拘束されることを望まないが、発明者らは、化合物が細胞に対して安定化効果を有し、ミトコンドリアが漏出性になる傾向を低減し、及び/又は細胞が漏出性外細胞膜を発生させる傾向を低減し、及び/又は細胞の細胞間カップリングを改善すると考える。上記化合物は、より良好な細胞間のカップリングをもたらし、細胞が利用可能なエネルギー(ATP)を共有できるようにして、カルシウムシグナル伝達を含む細胞間シグナル伝達を可能とし得る。
更なる態様において、本発明は、ヒト被験体において初期の糖尿病性眼疾患又は糖尿病性黄斑浮腫を治療又は予防する医薬を調製するための:(2S,4R)-1-(2-アミノアセチル)-4-ベンゾイルアミノ-ピロリジン-2-カルボン酸;及びAc-DTyr-DPro-DHyp-Gly-DAla-Gly-NH;又はその薬学的に許容可能な塩若しくは水和物から選択される化合物の使用を提供し、該方法は、治療有効量の該化合物、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは水和物をヒト被験体に投与することを含む。
更なる態様において、本発明は、ヒト被験体における初期段階の糖尿病性眼疾患又は糖尿病性黄斑浮腫を治療又は予防する方法を提供し、該方法は、治療有効量の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは水和物をヒト被験体に投与することを含み、ここで、該化合物は:(2S,4R)-1-(2-アミノアセチル)-4-ベンゾイルアミノ-ピロリジン-2-カルボン酸;及びAc-DTyr-DPro-DHyp-Gly-DAla-Gly-NH;又はその薬学的に許容可能な塩若しくは水和物から選択される。
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の方法で使用するための、本明細書に記載のGJICモジュレータ化合物を含む医薬組成物を、すなわち上記GJICモジュレータ化合物及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。好ましくは、GJICモジュレータは、点眼製剤で、コンタクトレンズを介して、鼻腔スプレーを介して、又は注射、例えば硝子体内注射を介して投与するためのものである。
次に、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、限定ではなく例として説明する。しかしながら、本開示を考慮すれば、本発明の様々なさらなる態様及び実施形態が当業者には明らかとなるであろう。
「及び/又は」は、本明細書で使用される場合、2つの指定された特徴又は構成要素のそれぞれの具体的な開示として、他方の有無にかかわらず解釈される。例えば、「A及び/又はB」は、それぞれが個別に本明細書に記載されているかのように、(i)A、(ii)B、並びに(iii)A及びBのそれぞれの具体的な開示とみなされる。
別段の指示がない限り、上記の特徴の説明及び定義は、本発明の特定の態様又は実施形態に限定されず、記載される全ての態様及び実施形態に等しく適用される。
糖尿病ラットの目のAC及びPLの発生に対する200nM又は1000nMのダネガプチド(DG)硝子体内注射の効果。(A)AC及び(B)PLの数は、非糖尿病ラットの網膜と比較して、糖尿病ラットの網膜で有意に増加した(**=p<0.01)。糖尿病ラットの網膜への1000nMダネガプチドの硝子体内注射は、未治療の糖尿病ラットの網膜と比較して、PLの数を有意に減少させた(=p<0.05)。ACの数は、ダネガプチドで治療されたグループで減少したが、おそらくは動物の数が少なかった(n=3)ために統計上の有意性には達しなかった。 糖尿病ラットの網膜のAC及びPLの発生に対するダネガプチド(DG)の効果。(A)WT、(B)DM、(C)DM+1000nM DGの硝子体内注射(IV)、(D)DM+dH20のIV、(E)DM+浸透圧ポンプ(OP)DG、及び(F)DM+OP dH20ラットによる網膜血管網を示す代表的な画像。AC(矢印);PL(白抜き矢印)。累積RTDデータを示すグラフ図は、非糖尿病ラットの網膜と比較して、糖尿病ラットの網膜では(G)AC及び(H)PLの数が著しく増加していることを示す。重要なことに、ダネガプチドの硝子体内(IV)注射は、糖尿病ラットの網膜における対照としての水のIV注射と比較して、AC及びPLの数を有意に減少させた。さらに、浸透圧ポンプ(OP)を介したダネガプチドの全身送達は、糖尿病ラットの網膜におけるOPを介した水の全身送達と比較して、AC及びPLの数を大幅に減少させた。細胞間カップリングの改善により、ダネガプチド治療網膜のAC及びPLの発生が予防された(**=p<0.001;=p<0.01;n=6匹~9匹/群)。 網膜血管漏出に対するダネガプチド(DG)の効果。累積IVPデータを示すグラフ図は、糖尿病ラットの網膜における網膜血管漏出が、非糖尿病ラットの網膜における網膜血管漏出と比較して、著しく増加していることを示す。重要なことに、糖尿病のラット網膜における対照としての水のIV注射と比較して、DGの硝子体内(IV)注射は血管漏出を有意に減少させた。さらに、浸透圧ポンプ(OP)を介したDGの全身送達は、糖尿病ラットの網膜におけるOPを介した水の全身送達と比較して、血管漏出を有意に減少させた。細胞間カップリングを改善することで、DG処理網膜の糖尿病誘発性血管漏出を予防した。(**=p<0.001;1群当たりの動物n=8~10)。 網膜血管透過性に対するダネガプチド(DG)の効果。網膜ホールマウントの代表的な画像は、(A)野生型(WT)、(B)糖尿病(DM)、(C)DM+1000nM DGの硝子体内注射(IV)、(D)DM+dH20のIV)、(E)DM+浸透圧ポンプ(OP)DG及び(F)DM+OP dHOラットの毛細血管網を示す。細胞間カップリングを改善することで、DG治療網膜の糖尿病誘発性血管漏出を予防した。スケールバー=50μm。 ダネガプチドは、NOISeqBIOを使用して4時間での遺伝子発現の幾つかの変化を逆転させる。赤色のバーは、ダウンレギュレートされた遺伝子を指す。緑色のバーは、ダウンレギュレートされた遺伝子を指す。閾値:Padj<0.05。
発明の詳細な説明
定義
特に指定されない限り、特定の用語に対して以下の定義が提供される。
本明細書及び特許請求の範囲では、天然アミノ酸の標準的な3文字及び1文字コードが使用される。本明細書における「ペプチド」という用語は、ペプチド結合によって連結された2つ以上のアミノ酸部分(アミノ酸残基)の鎖を指す。一般に、ペプチドは、1つ若しくは複数の天然起源のアミノ酸及び/又は1つ若しくは複数の非天然起源のアミノ酸を含んでもよい。
本文脈において、「天然アミノ酸」という用語は、次の20個のアミノ酸の1つを指す:Ala(A)、Cys(C)、Ser(S)、Thr(T)、Asp(D)、Glu(E)、Asn(N)、Gln(Q)、His(H)、Arg(R)、Lys(K)、Ile(I)、Leu(L)、Met(M)、Val(V)、Phe(F)、Tyr(Y)、Trp(W)、Gly(G)、及びPro(P)。天然起源のペプチド分子では、これらのアミノ酸(キラル中心を欠くGlyを除く)は一般にL-アミノ酸残基の形で存在するが、本発明での使用に適した化合物にはD-アミノ酸残基(Ac-DTyr-DPro-DHyp-Gly-DAla-Gly-NH等)を含むペプチドが含まれる。
アミノ酸の3文字コードは、当技術分野で使用されている。Hypは4-ヒドロキシプロリンを指す。
本発明で使用する化合物は、2つ以上の不斉原子(キラル中心とも称される)を含むことがあり、ジアステレオマーが発生する可能性がある。本発明での使用に適した化合物には、そのようなジアステレオマーが含まれる。
本明細書で使用される「血管細胞」という用語には、内皮細胞及び周皮細胞が含まれる。
糖尿病性眼疾患
糖尿病性眼疾患は、糖尿病患者に影響を与える一群の目の状態である。これらの状態には、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、白内障、及び緑内障が含まれる。糖尿病性眼疾患の全ての形態は、重度の視力喪失や失明を引き起こす可能性があるため、糖尿病の深刻な合併症である。
糖尿病性網膜症は、網膜血管の変化を伴い、網膜血管の出血又は流体の漏出を引き起こして、視力を歪める可能性がある。糖尿病性網膜症は、糖尿病患者の視力喪失の最も一般的な原因であり、生産年齢の成人の失明の主な原因である。DMEは、黄斑と称される網膜の領域に腫脹を引き起こす糖尿病性網膜症の結果である。
糖尿病による慢性的な高血糖は、網膜の小さな血管の損傷と関連しており、糖尿病性網膜症を引き起こす。網膜は光を検出し、視神経を通してそれを脳に送られる信号に変換する。糖尿病性網膜症は、網膜の血管からの流体の漏出又は出血(血が出る)を引き起こし、視力を歪める場合がある。その最も進行した段階では、網膜の表面で新しい異常な血管が増殖(数が増加)し、それが網膜の瘢痕化及び細胞の喪失につながる可能性がある。
一般に、糖尿病性網膜症は4つの段階を経て進行する(https://nei.nih.gov/health/diabetic/retinopathyを参照されたい)。
1.軽度の非増殖性網膜症。微小動脈瘤と称される、網膜の小さな血管におけるバルーン状の腫脹の小さな領域が、疾患の初期段階で発生する。これらの微小動脈瘤は、網膜に流体を漏出させる場合がある。
2.中等度の非増殖性網膜症。病気が進行するにつれて、網膜に栄養を与える血管が腫れて変形することがある。また、血液を運ぶ能力を失う可能性もある。両方の状態が、網膜の外観に特徴的な変化を引き起こし、DMEに寄与する可能性がある。
3.重度の非増殖性網膜症。さらに多くの血管が遮断され、網膜の領域への血液供給が奪われる。これらの領域は、網膜に新しい血管を成長させる信号を送る増殖因子を分泌する。
4.増殖性糖尿病性網膜症(PDR)。この進行した段階で、網膜から分泌される増殖因子は、網膜の内面に沿って、目を満たす流体である硝子体ゲルへと成長する新しい血管の増殖を誘発する。新しい血管は壊れやすいため、漏出や出血が起こりやすくなる。付随する瘢痕組織は収縮して網膜剥離を引き起こす可能性があり、これは壁紙が壁から剥がれるように、基底組織から網膜を引き離す。網膜剥離は永久的な視力喪失につながる可能性がある。
本発明はギャップ結合の役割を標的とするため、好ましい態様では、本発明は、初期糖尿病性網膜症、すなわち、上記のステージ1~ステージ3、より好ましくは上記のステージ1及びステージ2、さらにより好ましくは上記のステージ1の患者の治療若しくは予防に関し、又は増殖性糖尿病性網膜症のステージ4及び/又はステージ3において新しい血管の増殖を引き起こす実質的なレベルの増殖因子の放出の前に起こる、糖尿病性眼疾患を発症するリスクがある1型又は2型糖尿病の患者の予防療法としてなる。
糖尿病性黄斑浮腫(DME)は、黄斑と称される網膜の領域での流体の蓄積(浮腫)である。黄斑は、読書、顔の認識、及び運転に使用される鋭くまっすぐな視覚にとって重要である。DMEは、糖尿病性網膜症の人々の視力喪失の最も一般的な原因である。糖尿病性網膜症患者の約半数がDMEを発症する。糖尿病性網膜症が悪化するにつれて発生する可能性が高くなるが、DMEは疾患のどの段階でも発生する可能性がある。
糖尿病性眼疾患のリスクがある糖尿病患者には、全てのタイプの糖尿病(1型、2型、及び妊娠)が含まれる。糖尿病性眼疾患を発症するリスクは、人が糖尿病にかかる時間が長くなるほど増加する。例として、糖尿病と診断されたアメリカ人の40パーセント~45パーセントが糖尿病性網膜症のある段階を有するが、それに気づいているのは約半数に過ぎない。妊娠中に糖尿病を発症した、又は糖尿病にかかった女性は、糖尿病性網膜症の急速な発症又は悪化を起こす可能性がある。したがって、本発明は、これら全てのタイプの患者の治療に使用され得る。
加えて、本発明の医学的な使用及び方法は、血糖コントロールのもとにおかれている患者の予防的使用に用いることができる。かかる治療では、慢性的に高い血糖レベルを有する患者が血糖コントロールのもとにおかれると、眼組織は高いグルコース利用可能性に慣れてしまっていて、正常なグルコースレベルが達成されるとストレスを受けるようになる可能性がある。したがって、本発明は、患者が血糖コントロールのもとにおかれる際の保護的治療として使用され得る。
これらの患者は、糖尿病性網膜症の悪化を経験するリスクがあり、血糖値が制御されているため、保護され得る。
糖尿病性網膜症の初期段階では、通常症状はない。この病気は、視力に影響を及ぼすまで気付かずに進行することがよくある。異常な網膜血管からの出血は、「浮遊」スポット(floating spot)の出現を引き起こす場合がある。これらのスポットは、自然と排除されるときもある。しかしながら、迅速な治療なしでは、出血がしばしば再発し、永久的な視力喪失のリスクが高まる。DMEが起こると、視力障害を引き起こす可能性がある。
糖尿病性網膜症及びDMEは、視力検査(視力検査表による検査の使用により、さまざまな距離でその人の見る能力を測定する)、眼圧測定(眼内圧の測定、瞳孔拡張(眼の表面に置かれた液滴が瞳孔を拡張(拡大)し、医師が網膜及び視神経を検査できるようにする))、及び/又は超音波に似た手法で、音波の代わりに光波を使用して体内の組織の画像をキャプチャする光干渉断層法(OCT)、を含み得る包括的な拡張眼科検査の間に検出されることがある。OCTは、目等の光が透過できる組織の詳細な画像を提供する。また、包括的な拡張眼科検査により、医師は、網膜の血管の変化、漏出している血管若しくは脂肪沈着等の漏出血管のおそれがある兆候、黄斑の腫れ(DME)、レンズの変化及び/又は神経組織の損傷を確認することもできる。血管漏出DME又は重度の糖尿病性網膜症が疑われる場合、フルオレセイン血管造影を使用して、損傷又は漏出血管を探すことができる。この試験では、蛍光染料を血流、多くの場合、腕の静脈に注入する。色素が目に到達すると、網膜血管の写真を撮影する。本発明者らがラットで作成した血管漏出データには密接な翻訳リンクがあり、この同じ方法を使用して、ヒトの血管漏出を診断することができる。
眼内注射、全身投与、経口投与、点鼻薬、点眼薬、又はコンタクトレンズを含むがこれらに限定されない様々な投与経路を本発明の方法に関連して用いることができる。
これに関連して、50nM~5μMの範囲の被験体の血漿中の投与化合物(又はその薬学的に許容可能な塩若しくは水和物)の濃度の達成が望ましい場合がある。本明細書で提供されるin vitro研究は、網膜血管の微小環境において50nM~100nMのGJICモジュレータ化合物の濃度に達した場合に最適な効果が観察されることを示した。例として、これは、50nM~100nMの血漿濃度が標的にされた場合、浸透圧ポンプにより、又は網膜血管への濃度勾配を可能にする、硝子体におけるより高い濃度を標的とする目への局所注射により、達成され得る。これらのデータは、網膜組織の微小環境で50nM~100nMに達するように投与される有効量を教示する。
本発明による使用に適した化合物
本発明に従う使用に十分適している化合物の例は、1-(2-アミノアセチル)-4-ベンゾイルアミノ-ピロリジン-2-カルボン酸、例えばその(2S,4R)ジアステレオマー[すなわち。(2S,4R)-1-(2-アミノアセチル)-4-ベンゾイルアミノ-ピロリジン-2-カルボン酸]、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは水和物である。この化合物の別名の例は、(2S,4R)-1-(2-アミノアセチル)-4-ベンズアミドピロリジン-2-カルボン酸である。
後者の化合物の他のジアステレオマー(すなわち、2S4S、2R4R、2S4R又は2R4Sジアステレオマー)も、本発明と関連する使用に価値がある可能性がある。
本発明での使用に適した別の化合物(ペプチド)は、Ac-DTyr-DPro-DHyp-Gly-DAla-Gly-NH(上記参照)である。
これらの化合物の特定の形態は、それぞれダネガプチド及びロチガプチドと称されることもある。
ダネガプチドの薬学的に許容可能な塩には、ダネガプチド塩酸塩が含まれる。
上に引用される化合物に加えて、本発明に関連する使用に適したさらなる化合物としては、抗不整脈ペプチドAAP(Aonumaら、Chem.Pharm.Bull.(Tokyo),28,3332-3339(1980)),AAP10(Dheinら、Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol.,350,174-184(1994);Mullerら、Eur.J.Pharmacol.,327,65-72(1997))、HP5(米国特許第4,775,743号に開示される)、及び国際公開第02/077017号又は国際公開第2007/078990号に開示される他の抗不整脈ペプチドのような、特定の他のGJIC調節化合物が挙げられる。
本明細書に記載の化合物を組み合わせて使用できることが理解されよう。例えば、複数のGJICモジュレータ化合物を、本明細書に記載の方法で、同時に又は連続して投与することができる。
薬学的に許容可能な塩
酸性部分を有する本発明に従う使用に適した化合物の薬学的に許容可能な塩は、有機又は無機塩基を使用して形成され得る。塩基と形成される適切な塩としては、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩等の金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はマグネシウム塩;モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ-、ジ-又はトリ-低級アルキルアミン(例、エチル-tert-ブチル-、ジエチル-、ジイソプロピル-、トリエチル-、トリブチル又はジメチルプロピルアミン)、又はモノ、ジ又はトリヒドロキシ低級アルキルアミン(例えば、モノ、ジ又はトリエタノールアミン)等のアンモニア塩及び有機アミン塩が挙げられる。分子内塩も形成され得る。本発明による使用に適した化合物が塩基性部分(例えば、1-(2-アミノアセチル)-4-ベンゾイルアミノ-ピロリジン-2-カルボン酸、及びその列挙されるジアステレオマーの場合のように)を含む場合、塩は有機酸又は無機酸を使用して形成され得る。例えば、塩は、次の酸:酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸又はカンファースルホン酸から形成され得る。他の既知の薬学的に許容可能な酸も使用され得る。既に述べたように(上記参照)、1-(2-アミノアセチル)-4-ベンゾイルアミノ-ピロリジン-2-カルボン酸の(2S,4R)ジアステレオマーの好ましい塩形態は塩酸塩一水和物である。
本教示はまた、本発明に従って使用するのに適しているとして本明細書に開示されている化合物のプロドラッグの使用にまで及ぶ場合がある。本明細書で使用される「プロドラッグ」は、哺乳動物被験体、特にヒト被験体に投与された場合、開示される種類の化合物を産生、生成、又は放出する部分を指す。プロドラッグは、親化合物から日常的な操作により、又はin vivoのいずれかで修飾が切断されるように、化合物に存在する官能基を修飾することにより調製され得る。プロドラッグの例として、化合物のヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル又はカルボキシ基に付加(結合)された1つ又は複数の分子部分を含む本明細書に開示される化合物が挙げられ、治療される被験体に投与されるとin vivoで切断されて、それぞれ遊離ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル又はカルボキシ基を形成する。プロドラッグの例としては、本発明に従って使用するための本明細書に開示される化合物中のアルコール及びアミンの官能基の酢酸、ギ酸及び安息香酸誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいプロドラッグの例としては、オキサゾリジノン又はイミダゾリジノンのプロドラッグが挙げられる。エステルプロドラッグは、C1~6アルコール等の低級アルコールで形成されてもよい。プロドラッグの調製及び使用については、T.Higuchi及びV.Stella,´´Pro-drugs as Novel Delivery Systems,´´Vol.14of the A.C.S.Symposium Series,and in Bioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987において考察されている。
医薬組成物
本発明に従って使用される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは水和物は、適切な薬学的組成物の形態で投与され得て、これは単独又は組み合わせて、当技術分野で既知の任意の許容される方法により投与され得る。本文脈に関連する医薬組成物は、本発明に従って使用するための本明細書に開示される化合物を、1つ又は複数の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、ビヒクル又は賦形剤と混合して含み得る。一般に、本発明に従って使用される医薬組成物は、点眼薬、コンタクトレンズ、鼻腔スプレー、硝子体内又は全身への化合物の投与に適合され得る。
有用な製剤には、本教示の化合物の持続放出を提供する製剤が含まれ得る。これらは、その後の投与(1回目の投与後)に特に有用である。上記組成物は、好ましくは液体製剤の形態であり、それらの調製方法は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,17th Ed.,Alfonso R.Gennaro(Ed.),Mark Publishing Company,Easton,PA,U.S.A.,1985に一般的に記載されている。かかる組成物は、一般に、選択された投与経路に適合する形態で投与量を提供するために、適切な担体と共に、有効量の本教示の1つ又は複数の活性化合物を含む。好ましくは、担体は、ビヒクル、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤及び/又は安定化剤の形態である。担体を構成する賦形剤は、活性医薬成分(複数の場合もある)と適合性でなければならず、好ましくは、治療される被験者に有害になることなく化合物を安定化することができる。
持続性又は持続放出製剤の形態を使用して、化合物又は組成物の投与後、例えば経皮注射又は堆積により、治療有効量の製剤が何時間又は何日もかけて血流に送達されるようにすることができる。持続放出に適した製剤は、L-乳酸、D-乳酸、DL-乳酸、グリコリド、グリコール酸、及びそれらの異性体等の生分解性ポリマーを含んでもよい。同様に、担体又は希釈剤は、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレート等の当技術分野で知られている任意の持続放出材料を単独で又はワックスと混合して含むことができる。
他の持続放出製剤には、限定されないが、リポソーム、ミクロスフェア、エマルジョン又はミセル及び液体安定化剤と組み合わせた本明細書に開示される化合物の少なくとも1つを含む製剤が含まれる。
本発明による化合物(又はその薬学的な塩又は水和物)の投与は、単一の単位投与形態(例えば、ボーラスの形態)で、又は経時的に頻回投与の形態での連続療法として実施され得る。あるいは、連続注入システム又は遅効性デポー製剤を使用してもよい。本発明に従って使用するための2つ以上の化合物(又はその医薬組成物)は、同時又は任意の順序で連続して同時投与され得る。さらに、上記化合物及び組成物は、例えば糖尿病患者が糖尿病性網膜症又は糖尿病性黄斑浮腫を発症するリスクがあるとみなされる場合、予防目的のために同様の方法で投与され得る。最終的には、各患者の担当医が個々に最適な投与計画を決定する。
治療用途
本明細書で特定される化合物を用いて本発明に従って治療又は予防され得る状態には、特にヒト被験体における糖尿病性網膜症(及び特定の初期糖尿病性網膜症)及び糖尿病性黄斑浮腫等の糖尿病性眼疾患が含まれる。
本発明によれば、1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩若しくは水和物(例えば、適切な医薬組成物の形態で)は、それを必要とする個体に治療有効量で投与され得る。
本明細書で使用される「治療有効量」とは、所与の脳血管状態又は病理の症状を軽減することができる、好ましくは、その状態又は病理を有する被験体の生理学的反応を部分的又は全体的に正常化することができる量を指す。症状の軽減又は生理学的反応の正常化は、当技術分野で知られている方法を使用して決定することができ、所与の状態又は病状によって変化する可能性がある。有効量は、薬の効能、患者の年齢と体質、体重、薬の薬物動態プロファイル等の要因を考慮して、当業者によって決定され、一般に薬は各患者又は患者グループに処方される。
化合物の有効量は、少なくとも約100μg/kg体重/日、少なくとも約300μg/体重/日、及び少なくとも約1000μg/kg体重/日等、少なくとも約10μg/kg体重/日であってもよい。他方、化合物又は二量体の有効量は、最大で約100mg/kg体重/日、例えば最大で約50mg/kg体重/日及び最大で約10mg/kg体重/日であってもよい。化合物の有効量は約100μg/kg体重/日、約300μg/kg体重/日又は約1000μg/kg体重となると予想される。
本明細書に記載されるin vitro系で提供される実験は、in vitro系(細胞カップリングアッセイ/SLDT)で行われる用量発見により、50nM~100nMの濃度が微小環境で最適であることを示し、またin vivoパイロット研究では、100nMの注射が200nMの注射よりも優れていることを示した。
GJICモジュレータ化合物
本発明による使用のための化合物(ペプチド)は、固相合成又は液相合成によって適切に合成され得る。これに関して、例えば、Fieldsら、「Principles and practice of solid-phase peptide synthesis」,Synthetic Peptides(2002,2nd Edition)を参照することができる。
その(2S、4R)ジアステレオマー等の、1-(2-アミノアセチル)-4-ベンゾイルアミノ-ピロリジン-2-カルボン酸の調製に関して、その合成及び精製の適切な方法は国際公開第2007/078990号に記載され、ここで、(2S、4R)異性体は「化合物2」と示されている(国際公開第2007/078990号はその全体を参照することにより本明細書の一部をなす)。
(2S,4R)ジアステレオマーの有用な塩形態の例は塩酸塩一水和物であり、その調製は国際公開第2008/079266号に記載されており、本明細書では化合物Xとも称される(国際公開第2008/079266号はその全体を参照することにより本明細書の一部をなす)。
Ac-DTyr-DPro-DHyp-Gly-DAla-Gly-NHに関して、その固相合成及び精製は国際公開第01/62775号に記載されており(該化合物は「化合物2」と示される)、国際公開第01/62775号はその全体を参照することにより本明細書の一部をなす。
動物
全ての動物研究は、眼科及び視覚の研究における動物の使用に関するARVO声明に従って実施された。ダネガプチドの最適濃度を決定するパイロット研究では、それぞれ体重200gの12匹のSprague-Dawley雄性ラットを使用した。12匹のラットのうち9匹にストレプトゾトシン(STZ)(55mg/kg体重)を腹腔内注射して、6週間糖尿病を誘発させた。残りの3匹は非糖尿病対照として使用した。糖尿病の6週間後、動物を屠殺し、網膜を分離した。AC及びPLの数に対する1000nMダネガプチドの効果を判断する追跡調査では、それぞれ200gの36匹のSprague-Dawley雄性ラットを使用した。36匹のラットのうち30匹にSTZを注射して、15週間糖尿病を誘発させた。残りの6匹の動物は非糖尿病対照としての役割をはたした。15週間の糖尿病の後、動物を屠殺し、網膜を分離した。動物の糖尿病状態を確認するため、STZ注射の2日後又は3日後に血液と尿のグルコース濃度を確認した。血中グルコースレベルを、各動物で週に2回~3回、及び死亡時に測定した。糖尿病群は、350mg/dL超の血糖値を有するラットであった。糖尿病ラットは、血糖レベルを維持するために必要に応じてNPHインスリン注射を受けた。
網膜トリプシン消化
摘出された目を少なくとも24時間10%ホルマリンに入れた。次に、カミソリの刃で目を半分に切り、網膜を分離して、0.5Mグリシンに24時間~48時間置いた。Kuwabara&Cogan(Studies of retinal vascular patterns.I.Normal architecture.Archives of ophthalmology1960;64:904-911)に従ってRTDを行った。各網膜は3%トリプシンによる一連の洗浄を経て、網膜の非血管塊を除去した。次に、網膜毛細血管網を分離し、シラン被覆スライドにマウントした。
無細胞毛細血管及び周皮細胞の喪失の評価
RTDは、Bobbieら、(Reduced connexin43expression and its effect on the development of vascular lesions in retinas of diabetic mice.Investigative ophthalmology&visual science2010;51:3758-3763)に記載される通り、過ヨウ素酸-シッフとヘマトキシリンで染色した。顕微鏡に取り付けられたデジタルカメラを使用して10個の代表的な視野を撮像し、AC及びPLについて画像を分析した。アポトーシス性の周皮細胞は、空のシェルとしての基底膜の突出を含む顕著な組織学的特徴に基づいてPLと同定された。周皮細胞と内皮細胞の両方を欠く毛細血管をACとみなした。
結果
ダネガプチドはラット網膜内皮細胞においてGJICを保ち、アポトーシスを減少させる
ラット網膜内皮細胞(RREC)を通常(N;5mM)又はHG(30mM)の培地で3日間、5日間、7日間増殖させ、並行してHG培地で増殖させた細胞を3日間、5日間、7日間、Cx43を介する細胞カップリングを安定させるAAP10類縁である100nMダネガプチド(DG)に曝露した。さらに、N培地で増殖させた細胞を、GJカップリングを阻止するCx43遮断薬(陰性対照)、又はGJICを保護する陽性対照AAP10で処理した。GJICを判断するために、3つの時点でスクレープロード色素転写(SLDT)アッセイを行った。同様に、細胞を、アポトーシス及び細胞単層透過性について、それぞれ示差色素染色アッセイ及びin vitro透過性アッセイにより評価した。
ダネガプチドで処理したRRECは、GJICの保存、細胞死の減少、細胞単層透過性の低下を示した。SLDTアッセイは、HG条件下で増殖し、3日間、5日間、及び7日間ダネガプチドに曝露された細胞は、GJICを保存することを示した。同様に、ダネガプチドは、3つの時点全てでHG誘発性アポトーシスから細胞をレスキューした。さらに、5日目までに細胞単層の透過性が著しく低下した。N培地で増殖させた細胞を対照AAP10に曝露すると、アポトーシス又は透過性の変化は認められなかった。細胞カップリングを減少させたCx43遮断薬に曝露された細胞は、過剰なアポトーシス及び細胞単層透過性を示した。
これらの知見は、HG媒介細胞間カップリングの低下の予防が、糖尿病性網膜症に関連するアポトーシス及び過剰な血管透過性を阻止するための有用な戦略となり得ることを示唆する。
ダネガプチドは、無細胞毛細血管(AC)及び周皮細胞の喪失(PL)の発生を防止する
図1及び図2に示す結果は、Cx43ギャップ結合カプラーであるダネガプチドの投与により、糖尿病ラットの網膜におけるAC及びPLの発生が防止されることを示す。ダネガプチドの硝子体内注射又は全身送達を介してGJICモジュレータ化合物によって促進される改善された細胞間カップリングは、糖尿病ラットの網膜において網膜血管細胞死から保護した。
この研究による知見は、ギャップ結合カプラーの投与が網膜の網膜血管細胞死に対して保護的であることを示唆する。さらに、糖尿病網膜における細胞間カップリングの減少及び損なわれたGJIC活性は、少なくとも部分的には、糖尿病性網膜症で観察される網膜血管細胞死の増加に寄与することを示している。したがって、本出願の結果は、細胞間結合の改善が、糖尿病性網膜症又は糖尿病性黄斑浮腫の病因に関連する網膜血管細胞喪失の治療又は予防の戦略として使用され得ることを示している。
GJICモジュレータ化合物は網膜細胞死から保護する
糖尿病性網膜症(DR)では、細胞間カップリングが損なわれているようであり、網膜血管細胞死と網膜血管病変の発生につながる。この研究は、ギャップ結合モジュレータの投与が糖尿病ラットの網膜における網膜血管細胞死に対して保護的であるかどうかを評価する。
Cx43ギャップ結合カプラーであるダネガプチド(DG)の最適濃度を決定するため、2つの濃度(200nM又は1000nM)をストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病ラットへの硝子体内注射で試験した。糖尿病をSTZにより6週間誘発し、研究の終わりに眼球を摘出し、網膜を毛細血管網の分離のため網膜トリプシン消化(RTD)に供し、ヘマトキシリン及び過ヨウ素酸シッフ(PAS)試薬で染色して、無細胞毛細血管の数(AC)及び周皮細胞の喪失(PL)を分析した。このパイロット研究に基づき、追跡調査では1000nMのダネガプチドを硝子体内に注入して、網膜血管細胞死に対する細胞カップリングの改善効果を判断した。さらに、浸透圧ポンプを使用してダネガプチドを全身投与した。この研究で使用したラットの数は、1群当たり少なくとも6匹であった。全体として、ラットを6つのグループ:野生型(WT)対照ラット、STZ誘発糖尿病ラット、ダネガプチドを硝子体内に注射した糖尿病ラット、水を硝子体内に注射した糖尿病ラット、ダネガプチドを全身送達した糖尿病ラット、及び水を全身送達した糖尿病ラットに分けた。糖尿病をSTZにより15週間誘発し、研究の終わりに網膜を分離し、AC及びPLの分析のためRTDを行った。
網膜血管系は、糖尿病ラットのACの発生と比較して(対照の296±26%、p<0.001)、硝子体内注射又はダネガプチドの全身投与のいずれかで治療された糖尿病ラットのACの発生の有意な減少を示した(それぞれ、対照の134±28%、p<0.01、及び対照の133±37%、p<0.001)。同様に、糖尿病ラットのPL数と比較して(335±40%、p<0.005)、ダネガプチドが硝子体内又は全身投与された糖尿病ラットの網膜毛細血管は、PL数の有意な減少を示した(それぞれ、対照の112±62%、p<0.01、及び対照の103±65%、p<0.005)。この研究による知見は、細胞間カップリングの改善が、糖尿病性網膜症に関連する網膜血管細胞死に対して保護的であることを示す。
糖尿病性網膜症の動物モデルにおける網膜血管病変の予防におけるダネガプチドの治療可能性の判断
Cx43を介するギャップ結合細胞間コミュニケーション(GJIC)の改善が網膜血管細胞死及び過剰な網膜血管透過性を防止するかどうかを判断するため、ダネガプチドを硝子体内及び浸透圧ポンプを介してラットに投与した。60匹の雄性Sprague Dawleyラットを無作為に6つのグループに割り当て、各グループは10匹のラット:非糖尿病ラット、糖尿病ラット、DG(1000nM濃度)を硝子体内に注射した糖尿病ラット、ビヒクルとして滅菌水を硝子体内に注射した糖尿病ラット、浸透圧ポンプを介してDG(100nM血漿DG濃度を達成するため70mg/mL)を全身投与した糖尿病ラット、浸透圧ポンプを介して対照として滅菌水を全身投与した糖尿病ラットで構成された。糖尿病を15週間誘発させ、研究の終わりに、全ての動物を犠牲にし、それらの網膜を(i)in vivo透過性(IVP)、(ii)RTD、及び(iii)血管漏出、AC及びPL、並びに網膜の厚さに関する分析のために光干渉断層撮影(OCT:optical coherence tomography)にそれぞれ供した。
生体内透過性データ
高血糖ストレス下の網膜血管透過性に対する細胞間カップリングの改善効果を判断するため、FITC-デキストラン尾静脈注射後の網膜毛細血管におけるFITC-デキストランの血管外漏出を評価した。糖尿病ラットの網膜毛細血管網は、非糖尿病ラットのものと比較して血管漏出の増加を示した(対照の214±17%と対照の100±22%との対、p<0.001)。重要なことに、DGにより硝子体内治療された糖尿病ラットの網膜毛細血管網は、対照として水で硝子体内治療した糖尿病ラットのものと比較して、血管漏出の有意な減少を示した(対照の149±22%と対照の241±14%との対、p<0.001)(図3、図4)。同様に、DGで全身治療した糖尿病ラットの網膜毛細血管網は、対照として水で全身治療した糖尿病ラットのものと比較して、血管漏出の有意な減少を示した(対照の143±14%と対照の224±14%との対、p<0.001)(図3、図4)。さらに、DGの硝子体内注射で治療した糖尿病ラットとDGで全身治療した糖尿病ラットの間で、血管漏出に有意な差はなかった。
In vitro糖尿病性網膜症モデルにおけるダネガプチドのトランスクリプトーム効果
In vitro糖尿病性網膜症モデルにおけるダネガプチドのトランスクリプトーム効果を、1)ダネガプチドの有無にかかわらず、糖尿病様状態におけるトランスクリプトーム変化を明らかにする、及び2)以前に観察された機能的効果をトランスクリプトーム修飾に関連付ける、及び3)糖尿病様細胞に対するダネガプチドの効果に関与する経路を特定するために調べた。ラット由来の初代網膜内皮細胞を、4種類の実験条件、正常グルコース培地(NG)、高グルコース培地(HG)、高グルコース培地+ダネガプチド100nM(HG_DG100)及び高グルコース培地+ダネガプチド1000nM(HG_DG1000)でのin vitro実験のため蒔いた。サンプルは、4つの時間点(蒔いてから4時間後、蒔いてから1日後、蒔いてから3日後、蒔いてから5日後)に評価した。
これらの実験は、ダネガプチドがHG細胞の遺伝子発現の変化を誘発し、一部の遺伝子についてはNG条件と比較してHGによって誘発された変化を逆転させることを示した。また、実験により、通常のグルコース条件と比較して、ダネガプチドが高グルコースに曝露された細胞で遺伝子発現の変化を誘発すること、及びダネガプチドが高グルコース条件で差次的に発現するいくつかの遺伝子の発現を逆転させることが確認された(図5)。特に、上記実験では、Fscn3(HG対NGでダウンレギュレートされ、ダネガプチドにより逆転されるアクチン束化タンパク質)が、ミオシン及びカドヘリンと関連して、高グルコースに曝露された細胞で共通してダウンレギュレートされ、糖尿病性網膜症で変化するGlcNacプロセスと関連付けられることがわかった。また、ヒト糖尿病で役割を果たす可能性のある遺伝子Tpcn2は、HG対NGでダウンレギュレートされ、4時間でダネガプチドによって逆転され、Sp3依存性糖尿病性網膜症経路に関与するESR1と相互作用する。1dにおいて、実験はCacybp遺伝子がHG対NGでダウンレギュレートされ、ダネガプチドによって逆転されることを見出した。この遺伝子は、糖尿病性網膜症を引き起こす高血糖誘発性Ang2経路の主要な上流調節因子であるSIN3Aと機能的に相互作用する。
本明細書に引用された、又は情報開示陳述書の一部として提出された参照文献を含む本出願と共に提出された全ての出版物、特許及び特許出願は、それらの全体を参照することにより本明細書の一部をなす。

Claims (10)

  1. ヒト被験体の初期糖尿病性網膜症又は糖尿病性黄斑浮腫を治療又は予防する方法における使用のための医薬であって、以下から選択される化合物:
    (2S,4R)-1-(2-アミノアセチル)-4-ベンゾイルアミノ-ピロリジン-2-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩若しくは水和物を含み
    前記方法が、前記被験体に治療有効量の前記化合物、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは水和物を投与することを含む、医薬
  2. 前記方法が、ヒト被験体における初期糖尿病性網膜症又は糖尿病性黄斑浮腫の予防のためである、請求項1に記載の治療又は予防の方法における使用のための医薬
  3. 前記糖尿病性網膜症が、軽度の非増殖性網膜症又は中等度の非増殖性網膜症である、請求項1又は2に記載の治療又は予防の方法における使用のための医薬
  4. 前記化合物が、糖尿病性黄斑浮腫の治療又は予防で使用するためのものである、請求項に記載の治療又は予防の方法における使用のための医薬
  5. 患者が血糖コントロールのもとにおかれるため、前記化合物が、慢性的に高い血糖値を有する前記患者の予防的治療のためのものである、請求項に記載の治療又は予防の方法における使用のための医薬
  6. 前記化合物が、前記網膜における周皮細胞の喪失を阻止する、請求項1~のいずれか1項に記載の治療又は予防の方法における使用のための医薬
  7. 前記化合物が、前記網膜における血管漏出を阻止する、請求項1~のいずれか1項に記載の治療又は予防の方法における使用のための医薬
  8. 前記化合物が、網膜内皮細胞のアポトーシスを阻止する、請求項1~のいずれか1項に記載の治療又は予防の方法における使用のための医薬
  9. 前記ヒト被験体又は患者が、1型糖尿病、2型糖尿病又は妊娠糖尿病を患っている、請求項1~のいずれか1項に記載の治療又は予防の方法における使用のための医薬
  10. 前記投与される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは水和物の濃度が、網膜血管の微小環境において50nM~100nMに達する、請求項1~のいずれか1項に記載の治療又は予防の方法における使用のための医薬
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