JP6988447B2 - モータの制御方法、およびモータの制御装置 - Google Patents

モータの制御方法、およびモータの制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、モータの制御方法、およびモータの制御装置に関する。
従来、回転子と固定子とからなる電動機において、回転子が回転する際に生じる磁束の変化によって複数次数の電磁加振力が発生する。電磁加振力は、電動機の騒音や振動の発生要因となる。
これに対して、回転子のスキュー構造によってとある次数(12次)の電磁加振力を低減するとともに、固定子に供給する電流を制御することによって他の次数(6次)の電磁加振力を低減して、複数次数の電磁加振力を同時に低減する手法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開2014−174572号
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、12次の電磁加振力は固定子のスキュー構造によって生じる位相差を利用して低減できるものの、6次の電磁加振力に対しては、位相が異なる二つの電流を流すために二つのインバータを設け、各インバータを個別に電流制御する必要がある。そのため、インバータを二つ設けることによりコストが増加する課題がある。
本発明は、インバータを二つ設けることを要さずに、複数次数の電磁加振力を同時に低減する技術を提供することを目的とする。
本発明によるモータの制御方法は、永久磁石と、軸方向に分割された永久磁石を周方向に所定の角度ずらして配置するスキュー構造を有するロータと、ロータを回転可能に収容するステータと、を備えるモータの制御方法である。モータの制御方法は、ロータの回転に同期して回転するdq軸直交座標系においてモータに所望のトルクを発生させる基本波電流に対して、スキュー構造によって複数に分割されたロータのそれぞれに発生する電磁加振力の相殺効果が最大となるように電磁加振力の位相と振幅を制御する高調波電流を重畳する高調波電流制御を実行する。
本発明によれば、スキュー構造を有するロータに対して基本波電流に高調波電流を重畳する高調波電流制御を行うので、インバータを二つ設けることを要さずに複数次数の電磁加振力を同時に低減することができる。
図1は、一実施形態のモータ制御装置の構成例を示す制御ブロック図である。 図2は、一実施系形態のロータの構成例を示す概略構成図である。 図3は、高調波電流制御による電磁加振力の位相制御を説明する図である。 図4は、高調波電流制御による電磁加振力の振幅制御を説明する図である。 図5は、高調波電流制御による電磁加振力の低減効果を説明する図である 図6は、スキュー構造と高調波電流制御とによる電磁加振力の低減効果を説明する図である。 図7は、スキュー構造の有無による電流制御時における制御電流量の比較を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係るモータの制御方法を実現するモータの制御装置110の構成例を示す制御ブロック図である。
モータの制御装置110(以下「モータ制御装置110」と称する)は、1個、又は複数のコントローラにより構成される。コントローラは、例えば、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および、入出力インタフェース(I/Oインタフェース)等から構成される。モータ制御装置110を構成するコントローラは、基本波電流制御回路100と、高調波電流制御回路200とを備え、以下に説明する各機能を実現するようにプログラムされている。
基本波電流制御回路100は、後述する3相交流モータ50に供給される三相交流電流(モータ電流)iu、iv、iwの励磁電流成分に対応するd軸と、トルク電流成分に対応するq軸とからなる直交座標系、すなわち、3相交流モータ50の回転に同期して回転するdq軸直交座標系において、モータ50に所望のトルクを発生させるモータ電流iu、iv、iwの基本波成分(基本波電流)を制御する回路である。
本実施形態の基本波電流制御回路100は、PI−dq電流制御器1、dq−3相変換器2、非干渉制御器3、減算器11、12および加算器13、14を備えている。減算器11、12は、d軸、q軸の実電流id、iqと電流指令値id、iqとの偏差(id−id)、(iq−iq)をそれぞれ演算する。
PI−dq電流制御器1は、減算器11、12で演算された基本波電流偏差(id−id)、(iq−iq)をPI演算(比例・積分演算)することにより、dq軸電圧指令値vd、vqを算出する。
非干渉制御器3は、dq軸座標系における速度起電力を補償してdq軸電流の応答性を改善するために、dq軸座標系の速度起電力を補償するためのd軸補償電圧Vd_cmpとq軸補償電圧Vq_cmpとを算出する。加算器13、14は、PI−dq電流制御器1の出力と、d軸補償電圧Vd_cmpおよびq軸補償電圧Vq_cmpとをそれぞれ加算して、d軸とq軸の基本は電圧指令値vd、vqを算出する。dq/3相変換部2は、モータ50の基本波電流の位相θeに基づいて、d軸とq軸の電圧指令値vd、vqを3相交流電圧指令値vu、vv、vwに変換する。
加算器15、16、17は、dq/3相変換器2で変換された3相交流電圧指令値vu、vv、vwと、後述するdhqh/3相変換器9で変換された3相交流電圧指令値vu**、vv**、vw**とをそれぞれ加算して、加算結果を電力変換器4に出力する。
電力変換器4は、インバータである。電力変換器4は、IGBTなどの電力変換素子により、加算器15、16、17から出力される電圧指令値に従って、バッテリなどの不図示の直流電源の直流電圧をスイッチングして、3相交流電圧U、V、Wをモータ50に印加する。
電流センサ20、21は、モータ50のU相とV相の実電流iu、ivを検出する。3相/dq変換器5は、基本波電流位相θeに基づいて、モータ50の実電流iu、iv、iwをd軸とq軸の実電流id、iqへ変換する。なお、3相交流電流iu、iv、iwの和は0であるため、任意の2相(iu、iv)の電流を検出すれば、残りの1相(iw)の電流を演算により求めることができる。
モータ50の詳細については後述する。エンコーダPSは、モータ50に連結され、モータ50の回転位置θmを検出する。位相速度演算器10は、エンコーダPSからの回転位置信号θmに基づいて、基本波位相θeを演算するとともに、基本波電流の位相θeに基づいて後述するdq/dhqh座標変換に用いる位相θehを演算する。
高調波電流制御回路200は、基本波電流制御回路100のみでモータ電流iu、iu、iwを制御した場合に発生する所定次数の高調波成分と同等の周波数で回転する直交座標系、すなわち、基本波電流成分の周波数の整数倍の周波数で回転する高調波座標系(dhqh軸直交座標系)において、モータ電流iu、iv、iwに含まれる高調波成分を制御する回路である。
本実施形態の高調波電流制御回路200は、ハイパスフィルタ6、dq/dhqh変換器7、PI−dhqh電流制御器8、dhqh/3相変換器9、および、減算器18、19を備えている。ハイパスフィルタ6は、d軸、q軸の実電流id、iqにフィルタ処理を施して高周波成分を抽出する。dq/dhqh変換器7は、上述した高調波座標系(dhqh軸座標系)を有し、d軸、q軸の実電流id、iqの高調波成分をそれぞれ、dhqh軸座標系の実電流idh、iqhに変換する。
減算器18、19は、dh軸の実電流idh、qh軸の実電流iqhと、電流指令値idh、iqhとの偏差をそれぞれ演算する。
PI−dhqh電流制御器8は、減算器18、19の演算結果に基づいて、dh軸とqh軸の高調波電圧指令値vdhおよび高調波電圧指令値vqhを演算する。そして、dhqh/3相変換器9は、dh軸高調波電圧指令値vdhおよびqh軸高調波電圧指令値vqhを3相交流電圧指令値vu**、vv**、vw**に変換する。dhqh/3相変換器9で変換された3相交流電圧指令値vu**、vv**、vw**は、上述の加算器15、16、17にそれぞれ出力される。
モータ50は、永久磁石同期モータであって、内部埋め込み磁石構造のロータ(回転子)と、当該ロータを回転可能に収容するステータ(固定子)とを備えたいわゆるIPMモータである。
図2は、本実施形態のモータ50を説明するための概略構成図である。図2では、モータ50を構成するロータ51および永久磁石52a、52bと、軸53が示されている。本実施形態のモータ50は、軸方向において二つに分割された永久磁石52a、52bが周方向に相互に所定の角度(スキュー角)ずらして配置されたロータスキュー構造(段スキュー)を有している。なお、図2では、モータ50の特徴を見やすくするために、ステータを割愛するとともに、永久磁石52a、52bはその一部のみが示されている。
図2で示すロータ51は、軸方向に引かれた一点鎖線を基準として、回転方向(周方向)に機械角度+θ分ずらしたプラススキュー部51aと、機械角度−θ分ずらしたマイナススキュー部51bとから構成される。なお、図2に基づけば、上述した所定のスキュー角は2θとなる。モータ50が4極対のモータである場合は、2θは、例えば3.5degに設定される。
ここで、ロータスキュー構造(以下単にスキュー構造と称する)、及び、高調波電流制御のそれぞれによる電磁加振力の低減手法について説明する。なお、本明細書における電磁加振力は、周方向加振力(トルクリップル)と、半径方向加振力とを含むが、スキュー構造、および高調波電流制御がそれぞれ抑制対象とする電磁加振力は、それぞれ周方向加振力および半径方向加振力の何れであってもよい。
段スキューを有するモータでは、ロータが軸方向に複数に分割(輪切り)され、それぞれが周方向に相互にずらして構成される。また、通常、永久磁石はロータの軸方向と平行に直線状に嵌装されるが、段スキューを有するモータでは、永久磁石もロータと同様に分割され、それぞれが周方向に相互にずらして構成される。このような段スキューを有するモータでは、その回転駆動時に発生するトルク変動が同時には起こらず、スキュー角に応じて分散されるので、分散されたトルク変動が相互に打ち消し合うことにより電磁加振力を低減することができる。
他方、従来の高調波電流制御では、モータ電流iu、iv、iwに含まれる電磁加振力の原因となる高調波成分を直接的に打ち消すような高調波成分を基本波電流成分に重畳することにより、電磁加振力を低減することができる。
しかしながら、上記の手法は、それぞれ以下のような課題を有している。まず、スキュー構造を用いた手法では、モータの設計段階で抑制対象となる次数を定め、当該次数に応じたスキュー角度を決める必要がある。また、設計段階で決定されたスキュー角度をその後変更することは原則できない。すなわち、スキュー構造を用いた手法は、単一の次数成分しか低減することができない。そのため、複数次数の電磁加振力が発生する場合、他の次数の電磁加振力の影響により発生するモータ騒音あるいは振動が課題となる。
また、高調波電流制御も、抑制対象として設定できる次数は原則一つである。さらに、高調波電流制御のみで電磁加振力を低減する場合、すなわち、スキュー構造と併用しない高調波電流制御では、上述のとおり電磁加振力の高調波成分を直接的に打ち消すような高調波成分を基本波電流成分に重畳する。このため、モータに要求されるトルクが大きくなると、モータ負荷の上昇によって基本波電流の振幅も大きくなるので、これに伴って大きくなる電磁加振力を抑制するために、重畳する高周波電流の値を大きくする必要がある。その結果、モータの効率が悪化するという課題がある。
すなわち、上記の手法はそれぞれ単一の次数成分のみを低減することしかできないため、複数次数の電磁加振力が発生する場合には、上記の手法を単一で行っても電磁加振力の低減効果が不十分であるという課題がある。また、特許文献1に開示されたようなスキュー構造と電流制御とを組み合わせる手法では、ステータスキューを前提とする電流制御であるため、インバータを二つ設けることによるコスト増加の課題がある。また、特許文献1に開示された電流制御は、電磁加振力の高調波成分を直接的に打ち消すような制御電流を基本波電流に重畳するものであるため、上述したように、モータに要求されるトルクが大きくなると、重畳する制御電流の値を大きくする必要があり、消費電力量が増加するという課題がある。
そこで、本実施形態のモータ制御装置110では、スキュー構造と高調波電流制御とを併用する。換言すると、モータ制御装置110は、スキュー構造を有するモータ50に対して高調波電流制御を行う。そして、本実施形態の高調波電流制御は、上で述べた従来の高調波電流制御とは異なる。より具体的には、モータ制御装置110は、とある次数の電磁加振力を低減するスキュー角が設定されたモータ50において、プラススキュー部51aに発生する電磁加振力とマイナススキュー部51bに発生する電磁加振力の位相をそれぞれ調整(高調波電流制御)することにより、モータ50に発生する複数次数の電磁加振力を同時に低減する。以下、詳細を説明する。
本実施形態のモータ制御装置110は、電気角6n次の複数次数において、6次と12次の電磁加振力を低減可能に構成される。図2を用いて上述したとおり、本実施形態のロータ51は、軸方向において二つに分割された永久磁石52a、52bが周方向に所定のスキュー角(2θ)ずらして配置された段スキューを有している。
本実施形態におけるロータ51のスキュー角2θは、12次の電磁加振力を低減可能に設定される。具体的には、スキュー角2θは、プラススキュー部51aに発生する12次の電磁加振力と、マイナススキュー部51bに発生する12次の電磁加振力との位相差が電気角180degとなるように設定される。これにより、プラススキュー部51aに発生する12次の電磁加振力と、マイナススキュー部51bに発生する12次の電磁加振力とが打ち消し合うので、モータ50に発生する12次の電磁加振力を低減させることができる。
この状態では、6次の電磁加振力を低減できないため、本実施形態のモータ制御装置110は、6次の電磁加振力を対象とする高調波電流制御を実施する。
ここで、基本波電流に重畳する高調波電流(以下、「制御電流」とも称する)の振幅と位相を変化させると、プラススキュー部51aに発生する電磁加振力の振幅と位相、およびマイナススキュー部51bに発生する電磁加振力の振幅と位相もそれぞれ変化する。この特性を活かし、本実施形態の高調波電流制御は、基本波電流に高調波電流を制御重畳することによって、電磁加振力の位相と振幅を制御する。より具体的には、本実施形態の高調波電流制御においては、基本波電流に重畳する高調波電流の目標値を、電磁加振力が最小になる点ではなく、スキュー構造による電磁加振力の相殺効果が最大となる点、すなわち、プラススキュー部51aの電磁加振力とマイナススキュー部51bの電磁加振力との位相差が180deg、振幅差が0Nmとなるように設定する。
図3は、高調波電流制御による電磁加振力の位相制御を説明するための図であって、プラススキュー部51a及びマイナススキュー部51bの各電磁加振力の位相差と、基本波電流に重畳する制御電流の位相との関係を示している。横軸は、制御電流の位相[deg]を示し、縦軸は、各電磁加振力の位相差[deg]を示す。
図示するように、本実施形態の高調波電流制御によれば、制御電流の位相を変化させることにより、プラススキュー部51aとマイナススキュー部51bとの6次の電磁加振力の位相差を180degに制御することができる。詳細には、高調波電流制御に用いる制御電流の位相を190deg〜200deg、または、250deg〜260degに制御することにより、モータ50のプラススキュー側とマイナススキュー側の6次の電磁加振力の位相差を略180degに制御することができる。
図4は、高調波電流制御による電磁加振力の振幅制御を説明するための図であって、プラススキュー部51a及びマイナススキュー部51bの各電磁加振力の振幅差と、基本波電流に重畳する制御電流(高調波電流)の位相との関係を示している。横軸は、制御電流の位相[deg]を示し、縦軸は、プラススキュー部51aの6次の電磁加振力とマイナススキュー部51bの6次の電磁加振力との振幅差[Nm]を示す。
図示するように、本実施形態の高調波電流制御によれば、制御電流の位相を変化させることにより、プラススキュー部51aとマイナススキュー部51bとの6次の電磁加振力との振幅差を0Nmに制御することができる。詳細には、高調波電流制御に用いる制御電流の位相を略100deg、または、190deg〜200degに制御することにより、モータ50のプラススキュー側とマイナススキュー側の6次の電磁加振力の振幅差を略ゼロに制御することができる。
図5は、本実施形態の高調波電流制御による電磁加振力の低減効果を説明する図である。横軸は、制御電流の位相[deg]を示し、縦軸は、モータ50に発生する6次の電磁加振力(トルクリップル)の低減効果[dB]を示している。
図から、制御電流の位相を120deg〜280degの範囲内に制御することによって電磁加振力を低減することができること、制御電流の位相を190deg程度に制御すれば、最も高い電磁加振力の低減効果を得ることができること等が分かる。
すなわち、本実施形態の高調波電流制御では、基本波電流成分に重畳する制御電流の位相を略190degに制御するのが好ましい。これにより、プラススキュー部51aとマイナススキュー部51bとの6次の電磁加振力の位相差を略180degとし、且つ、振幅差を0Nmとすることができる(図3、4参照)。その結果、プラススキュー部51aの回転に起因して発生する6次の電磁加振力と、マイナススキュー部51bの回転に起因して発生する6次の電磁加振力とが相殺され、モータ50の6次の電磁加振力を効果的に低減することができる(図5参照)。
図6は、本実施形態のスキュー構造と高調波電流制御とによる電磁加振力の低減効果を説明する図である。横軸は電磁加振力の電気角次数を示し、縦軸は電磁加振力の大きさ[Nm]を示している。図中の実線は、スキュー構造と高調波電流制御とを併用した場合、すなわち、本実施形態のモータ制御装置110により制御されたモータ50の電磁加振力の大きさを示す。図中の点線は、モータ制御装置110において、高調波電流制御を行わない場合のモータ50の電磁加振力の大きさを示す。図中の一点鎖線は、効果の比較対象として、スキュー構造を有さず、高調波電流制御も行わない場合のモータの電磁加振力の大きさを示す。
図から分かるように、モータ制御装置110は、モータ50が有するスキュー構造によって12次の電磁加振力を低減でき、さらに、スキュー構造だけでは改善することができなかった6次の電磁加振力を高調波電流制御によって低減することができている。
なお、スキュー構造により低減する対象次数は、高調波電流制御により低減する対象次数よりも大きいことがより好ましい。一般的に、電流制御は周波数が高い方が制御が困難になる。したがって、より周波数の高い領域の電磁加振力をスキュー構造で打ち消すことで、それよりも制御が容易な低周波側の領域にある電磁加振力を高調波電流制御の対象次数とすることにより、制御の安定性を向上させることができる。また、スキュー構造により低減する対象次数をより大きく設定することで、モータ50のスキュー角をより小さくすることができるので、スキュー構造を有するモータ50全体のトルク変動〈平均トルク〉への影響をより小さくすることができる。
また、スキュー構造を持たないモータに対して従来の電流制御により電磁加振力を低減しようとすると、モータに要求されるトルクが高い領域(高負荷領域)ではより多くの制御電流を重畳する必要がある。これに対して、本実施形態の高調波電流制御は、スキュー構造を有するモータ50に対して行うので、上述したように、スキュー構造による相殺効果を利用して対象次数の電磁加振力を低減する。すなわち、本実施形態の高調波電流制御では、基本波電流に重畳する高調波電流の振幅と位相を制御するだけの制御電流量によって電磁加振力を低減するので、従来の電流制御よりも消費電力量を小さくすることができる。
図7は、制御対象のモータがスキュー構造を有しているか否かでの電流制御時における制御電流量の比較を示す図である。横軸は制御対象モータが出力するモータトルク[Nm]を示し、縦軸は電流制御時に基本波電流に重畳する制御電流量(高調波電流量)を示す。図中の実線は、スキュー構造を有する本実施形態のモータ50を対象とする制御電流量を示す。図中の点線は、スキュー構造を有さないモータを対象とする従来の制御電流量を示している。
図から、従来の電流制御量はモータトルクが大きくなるほど、増加することが分かる。一方で、本実施形態の高調波電流制御における制御電流量は、モータトルクが大きくなっても特に100Nm以上においては増加しておらず、電力消費量を従来に比べて大きく低減できていることが分かる。
以上、一実施形態のモータ制御装置110は、永久磁石52a、52bと、軸方向に分割された永久磁石52a、52bを周方向に所定の角度ずらして配置するスキュー構造を有するロータ51と、ロータ51を回転可能に収容するステータと、を備えるモータ50の制御装置である。モータ制御装置110は、ロータ51の回転に同期して回転するd軸およびq軸からなるdq軸直交座標系においてモータ50に所望のトルクを発生させる基本波電流に対して、モータに発生する電磁加振力を低減するための高調波電流を重畳する高調波電流制御を実行する。また、一実施形態のモータ制御装置110によれば、所定の角度(スキュー角)は、モータ50に発生する所定の電気角次数の電磁加振力を低減可能に設定される。さらに、高調波電流制御は、スキュー構造が低減する所定の電気角次数とは異なる電気角次数の電磁加振力を低減する高調波電流を基本波電流に重畳する。これにより、スキュー構造を利用した電磁加振力の低減手法と、高調波電流制御による電磁加振力の低減手法とを併用することができるので、モータ50に発生する複数次数の電磁加振力を同時に低減することができる。なお、基本波電流制御および高調波電流制御は一つのインバータにより実現可能であるため、従来のようにインバータを二つ用いることによるコストの増加を回避することができる。
また、一実施形態のモータ制御装置110によれば、高調波電流制御は、電磁加振力の位相と振幅とを制御するための高調波電流を基本波電流に重畳する。これにより、基本波電流に重畳する高調波電流の振幅と位相を制御するだけの制御電流量によって電磁加振力を低減することができるので、電磁加振力低減のための従来の電流制御よりも消費電力量を小さくすることができる。
そして、一実施形態のモータ制御装置110によれば、高調波電流制御は、スキュー構造によって複数に分割されたロータ51のそれぞれに発生する電磁加振力(プラススキュー部51aの回転に起因して発生する電磁加振力と、マイナススキュー部51bの回転に起因して発生する電磁加振力)が相互に打ち消し合うように当該電磁加振力の位相と振幅を制御する高調波電流を基本波電流に重畳する。これにより、スキュー構造による電磁加振力の相殺効果を利用して、スキュー構造だけでは改善することができなかった他の次数の電磁加振力を低減することができる。
また、一実施形態のモータ制御装置110によれば、スキュー構造によって低減する電磁加振力の電気角次数は、高調波電流制御によって低減する電磁加振力の電気角次数より大きい。これにより、高調波電流制御が低減対象とする次数の電磁加振力を、スキュー構造が低減対象とする次数の電磁加振力よりも制御が容易な低周波側にある電磁加振力に設定することができるので、制御の安定性を向上させることができる。
また、一実施形態のモータ制御装置110によれば、高調波電流制御は、dq軸直交座標系とは異なる基本波電流の周波数の整数倍の周波数で回転するdhqh直交座標系(dq/dhqh変換器7)を用いて高調波電流を制御する。これにより、高調波電流制御を基本波電流性制御とは別個に独立して行うことができるので、より緻密な制御を可能とすることができる。
また、一実施形態のモータ制御装置110によれば、スキュー構造および高調波電流制御がそれぞれ低減する電磁加振力は、ロータ51の径方向加振力とロータ51の周方向加振力のいずれか一方である。すなわち、一実施形態のモータ制御装置110によれば、スキュー構造によって低減する電磁加振力の方向と、高調波電流制御によって低減する電磁加振力の方向とが異方向であってもよい。これにより、スキュー構造によって低減する電磁加振力は12次の半径方向加振力とし、高調波電流制御によって低減する電磁加振力は6次の周方向加振力(トルクリップル)とする等、問題とする振動モードに応じて対象とする電磁加振力の方向を適宜設定することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、モータ制御装置110が低減する電磁加振力の対象次数は6次と12次である旨説明したが、これに限られない。制御対象のモータ特性等に応じて、6の倍数次数(6n次数)のいずれか、あるいは5次、7次等の6n次数以外の次数を対象としてもよい。
また、ロータ51は軸方向に2分割である旨説明したが、これに限られない。上述した技術思想を適用する限り、2段以上のスキュー構造を有するロータ51を対象としてもよい。
また、基本波電流制御および高調波電流制御を実現する基本波電流制御回路100および高調波電流制御回路200は上述した構成に限られない。例えば、非干渉制御器3を削除してもよい。なお、本発明にかかる基本波電流制御および高調波電流制御を実現する構成は、特許3852289号又は特許4019842号に開示された構成を用いてもよい。
50…モータ
51、51a、51b…ロータ
52a、52b…永久磁石
100…基本波電流制御部(基本波電流制御回路)
200…高調波電流制御部(基本波電流制御回路)

Claims (7)

  1. 永久磁石と、
    軸方向に分割された前記永久磁石を周方向に所定の角度ずらして配置するスキュー構造を有するロータと、
    前記ロータを回転可能に収容するステータと、を備えるモータの制御方法であって、
    前記ロータの回転に同期して回転するdq軸直交座標系において前記モータに所望のトルクを発生させる基本波電流に対して、前記スキュー構造によって複数に分割された前記ロータのそれぞれに発生する電磁加振力の相殺効果が最大となるように当該電磁加振力の位相と振幅を制御する高調波電流を重畳する高調波電流制御を実行する、
    ことを特徴とするモータの制御方法。
  2. 請求項1に記載のモータの制御方法において、
    前記所定の角度は、前記モータに発生する所定の電気角次数の電磁加振力を低減可能に設定される、
    ことを特徴とするモータの制御方法。
  3. 請求項2に記載のモータの制御方法において、
    前記高調波電流制御は、前記所定の電気角次数とは異なる電気角次数の電磁加振力を低減する高調波電流を前記基本波電流に重畳する、
    ことを特徴とするモータの制御方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のモータの制御方法において、
    前記スキュー構造によって低減する前記電磁加振力の電気角次数は、前記高調波電流制御によって低減する前記電磁加振力の電気角次数より大きい、
    ことを特徴とするモータの制御方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のモータの制御方法において、
    前記高調波電流制御は、前記dq軸直交座標系とは異なる前記基本波電流の周波数の整数倍の周波数で回転するdhqh直交座標系を用いて前記高調波電流を制御する、
    ことを特徴とするモータの制御方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のモータの制御方法において、
    前記電磁加振力は前記ロータの径方向加振力と前記ロータの周方向加振力とを含み、
    前記スキュー構造および前記高調波電流制御がそれぞれ低減する前記電磁加振力は、前記ロータの径方向加振力と前記ロータの周方向加振力のいずれか一方である、
    ことを特徴とするモータの制御方法。
  7. 永久磁石と、
    軸方向に分割された前記永久磁石を周方向に所定の角度ずらして配置するスキュー構造を有するロータと、
    前記ロータを回転可能に収容するステータと、を備えるモータの制御装置であって、
    前記制御装置は、
    前記ロータの回転に同期して回転するdq軸直交座標系において前記モータに所望のトルクを発生させる基本波電流を制御する基本波電流制御部と、
    前記基本波電流に対して、前記スキュー構造によって複数に分割された前記ロータのそれぞれに発生する電磁加振力の相殺効果が最大となるように当該電磁加振力の位相と振幅を制御する高調波電流を重畳する高調波電流制御部と、を備える、
    ことを特徴とするモータの制御装置。
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