JP6986756B2 - 液晶表示素子用シール剤組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、可視光線に対する遮光性が高く、紫外線に対する光硬化性も高い液晶表示素子用シール剤組成物を提供することを目的とする。
[1]硬化性化合物(A)、光重合開始剤(B)及び窒化ジルコニウム(C)を含む液晶表示素子用シール剤組成物。
[2]前記成分(B)の配合量が、前記成分(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部である[1]に記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
[3]前記成分(B)が、ジアルキルアミノベンゾイル基を有するポリエーテル化合物を含む[1]又は[2]に記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
[4]前記成分(B)が、チオキサントン類を含む[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
[5]前記成分(A)が、部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂を含む[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
[6]さらに熱硬化剤(D)を含む[1]〜[4]のいずれかに記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載された液晶表示素子用シール剤組成物の硬化物でシールされた液晶表示体。
液晶表示素子用シール剤組成物は、硬化性化合物(A)、光重合開始剤(B)及び窒化ジルコニウム(C)(以下、それぞれ成分(A)、成分(B)及び成分(C)ともいう)を含む。
液晶表示素子用シール剤に含まれる硬化性化合物としては、光で硬化し得る樹脂が挙げられ、光及び熱の両方で硬化し得る樹脂が好ましい。例えば、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル化エポキシ樹脂、部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。硬化性化合物は、部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂が好ましい。本明細書において、(メタ)アクリルとは、メタクリル及び/又はアクリルを意味し、(メタ)アクリレートは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味する。また、(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂中の全てのエポキシ基が(メタ)アクリル酸と反応した樹脂を意味する。部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂中の一部のエポキシ基が(メタ)アクリル酸と反応した樹脂を意味し、すなわち、樹脂中にエポキシ基と(メタ)アクリル基を有する。
液晶表示素子用シール剤組成物中の硬化性化合物の配合量は特に限定されないが、10〜90重量%が好ましく、20〜85重量%がより好ましく、30〜80重量%がさらに好ましい。
液晶表示素子用シール剤組成物は、光によって硬化する。したがって、光重合開始剤を含む。
光重合開始剤は、光によって、ラジカル又はカチオンを生じ、重合反応を開始させる化合物であれば、特に制限されない。
光の中でも、紫外線、具体的には、100〜400nmの波長の光によって、重合反応を開始させる化合物が好ましく、340〜400nmの波長の光によって、重合反応を開始させる化合物がより好ましい。
本発明の光重合開始剤において、光開始性化合物と可視光増感性化合物とのモル比(光開始性化合物/可視光増感性化合物)は、安定で十分なラジカルを供給する観点から、好ましくは1/5〜5/1、より好ましくは1/3〜3/1、さらに好ましくは1/2〜2/1である。
式中、n1は、0〜50であり、好ましくは1〜45である。
窒化ジルコニウムは、光の波長が300〜400nmにおいて、光の透過率が最大となるとともに、光の波長が400nmを超えると均一で高い遮光性能を示す。すなわち、紫外線領域とそれ以外の領域とで、光の透過率に著しい差がある。
したがって、この窒化ジルコニウムと、紫外線領域の光によって重合を開始する上記光重合開始剤とを組み合わせることによって、本発明の液晶表示素子用シール剤組成物は、紫外線により硬化するとともに、紫外線以外の領域の光に対し、優れた遮光性を示す。
窒化ジルコニウムの市販品としては、三菱マテリアル電子化成株式会社製UB−1等が挙げられる。
窒化ジルコニウムの配合量としては、特に限定されないが、硬化性化合物100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは5〜40重量部、さらに好ましくは10〜30重量部である。
液晶表示素子用シール剤組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、任意に以下の更なる成分を含有していてもよい。
液晶表示素子用シール剤組成物は、光に加え、熱によって硬化させて用いることもできる。
熱によって硬化させる場合は、熱硬化剤及び熱ラジカル開始剤を含むことが好ましい。
液晶表示素子用シール剤組成物は、フィラーを含んでいてもよい。
フィラーは、液晶表示素子用シール剤組成物の粘度制御や液晶表示素子用シール剤組成物を硬化させた硬化物の強度向上、または線膨張性を抑えることによって液晶表示素子用シール剤組成物の接着信頼性を向上させる等の目的で添加される。フィラーは、特に限定されず、公知の無機フィラー及び有機フィラーが挙げられる。無機フィラーとして、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、カオリン、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素が挙げられる。有機フィラーとして、ポリメタクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、これらを構成するモノマーと他のモノマーとを共重合させて得られる共重合体、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、及びゴム微粒子が挙げられ、特に応力緩和の観点から有機フィラーが好ましい。フィラーの配合量は、硬化性化合物100重量部に対して、2〜40重量部であることが好ましく、5〜30重量部であることがより好ましい。
液晶表示素子用シール剤組成物は、カップリング剤を含んでいてもよい。
カップリング剤は、液晶表示基板との接着性をさらに良好とすることを目的として添加される。カップリング剤は、特に限定されず、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのカップリング剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。カップリング剤の量は、硬化性化合物100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、0.5〜5重量部であることがより好ましい。
液晶表示素子用シール剤組成物は、分散剤、顔料、染料等の着色成分、保存安定剤、可塑剤、粘弾性調整剤、界面活性調整剤(濡れ剤や消泡剤)を含んでいてもよい。顔料、染料等の着色成分は、紫外線透過性に影響を与えない範囲で使用することが好ましい。
液晶表示素子用シール剤組成物を実施例記載の条件で硬化させて得た硬化物の厚さ1μm当たりのOD値は、バックライトからの光漏れを防止する観点から、0.01〜3.0が好ましく、0.02〜2.0がより好ましい。
なお、OD値は、以下の式により求められる値である。
OD(λ)=log10T(λ)−log10I(λ)
ここで、(λ)は波長、T(λ)は波長帯における透過光量、I(λ)は波長帯における入射光量である。OD値は、実施例記載の方法で測定することができる。
液晶表示素子用シール剤組成物は、上記必須成分と必要に応じて任意成分を混合することにより製造することができる。
液晶表示素子用シール剤組成物の硬化物でシールされた液晶表示体は、対向するガラス、樹脂等の透明基板と、対向するガラス、樹脂等の透明基板を接着する液晶表示素子用シール剤組成物の硬化物と、対向するガラス、樹脂等の透明基板及び液晶表示素子用シール剤組成物の硬化物で封止された液晶とを備える。
硬化性化合物の合成
攪拌機、温度計、還流冷却管を備えた500mlガラス製4ツ口フラスコを用意し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂;エピクロンEXA850CRP〔DIC社製〕を340g(2.0当量/エポキシ基)、メタクリル酸86.1g(1.0当量)、PS−PPh3(トリフェニルホスフィノポリスチレン、2.0mmol/g)〔バイオタージ社製〕750mg(1.5ミリ当量/TPP(トリフェニルホスフィン)触媒量(g))を混合しオイルバスを用いて100〜110℃で攪拌した。水酸化ナトリウム(1N/100)で反応液を酸価滴定し、メタクリル酸残存量を計算し、始めに加えたメタクリル酸量とメタクリル酸残量から反応率を算出し、反応率が99.5%以上になるまで加熱攪拌して反応させた。反応液を60℃まで冷却し、目開き10μmのナイロンメッシュNY−10HC(スイスSefar社製)で触媒のPS−PPh3を除去し、部分メタクリル化エポキシ樹脂(A−1)を得た。得られた樹脂のエポキシ当量は、468g/eqであった。
化合物B−1(n1=6〜9)の合成
デナコールEX−830(PEG400のジグリシジルエーテル(n1=6〜9)ナガセケムテックス社製)26.8g(0.1エポキシ当量)、4−ジメチルアミノ安息香酸16.5g(0.1当量)、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド3.71g(0.02当量)、MIBK(メチルイソブチルケトン)25gをフラスコに入れ、オイルバスを用いて110℃で24時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、クロロホルム50gに溶解させ、水100mlで6回洗浄した。有機相の溶媒を減圧留去し、化合物B−1を35.3g得た。
化合物B−2(n2=6〜9)の合成
デナコールEX−830(PEG400のジグリシジルエーテル(n2=6〜9)ナガセケムテックス社製)26.8g(0.1エポキシ当量)、2−ヒドロキシ−9H−チオキサンテン−9−オン22.83g(0.1当量)、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド3.71g(0.02当量)、MIBK40gをフラスコに入れ、オイルバスを用いて110℃で72時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、クロロホルム50gに溶解させ、水100mlで6回洗浄した。有機相の溶媒を減圧留去し、化合物B−2を36.2g得た。
(1)試験片作成方法
6μmスペーサーを散布した0.05mmtの離型PETに、実施例及び比較例の組成物を塗布し、塗布面に0.05mmtの離型PETを重ね、該離型PETに組成物が挟まれた積層物の上下面をさらに0.5mmtガラスで挟み、該ガラスに挟まれた積層物の上下面をクリップで挟みしばらく静置したものに対し、片面からUV 3,000mJ/cm2を照射したものを測定サンプル1とし、片面からUV 3,000mJ/cm2を照射した後、熱風循環オーブンにおいて120℃で60分硬化したものを測定サンプル2とした。
白黒透過濃度計(X−Rite 361T(V)、エックスライト社製)を用いて測定サンプル2を測定した。
(3)ギャップ
測定サンプル2において、離型PET間の硬化した組成物の高さをギャップとして、マイクロメータで測定した。
(4)光硬化性基反応率
測定サンプル1において、UVを照射していない側の離型PETを剥がし、ゲルマニウムATR法によるFT−IR測定(装置:Spectrum One、パーキンエルマー社製)をした。
反応率は、以下のようにして求めた。
得られたIRスペクトルの(メタ)アクリル基のピーク面積より(メタ)アクリル基の反応率(転化率)を算出した。具体的には(メタ)アクリル基の吸収1620〜1650cm−1の面積の減少をベンゼン環の二重結合の吸収1480〜1520cm−1の面積を基準として計算した。
硬化性化合物(A)として部分メタクリル化エポキシ樹脂(A−1)100重量部(100g)に光重合開始剤(B)として化合物B−1を2重量部と化合物B−2を2重量部、熱硬化剤(D)を22.8重量部、カップリング剤(G)を1.5重量部溶解し、窒化ジルコニウム(C)10重量部を加えて混合し、液晶表示素子用シール剤組成物を得た。
〔実施例2〕〜〔実施例4〕、〔比較例1〕〜〔比較例6〕は表1に示した組成で実施例1と同様にして液晶表示素子用シール剤組成物を得た。
窒化ジルコニウム:三菱マテリアル電子化成株式会社製「UB−1」
チタンブラック:三菱マテリアル電子化成株式会社製「13M−T」
カーボンブラック:三菱ケミカル株式会社製「♯2600」
熱硬化剤:ADEKA社製「アデカハードナー EH−5030」
カップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン 信越化学社製「KBM−403」
Claims (7)
- 硬化性化合物(A)、光重合開始剤(B)及び窒化ジルコニウム(C)を含む液晶表示素子用シール剤組成物。
- 前記成分(B)の配合量が、前記成分(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部である請求項1に記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
- 前記成分(B)が、ジアルキルアミノベンゾイル基を有するポリエーテル化合物を含む請求項1又は2に記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
- 前記成分(B)が、チオキサントン類を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
- 前記成分(A)が、部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
- さらに熱硬化剤(D)を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載された液晶表示素子用シール剤組成物の硬化物でシールされた液晶表示体。
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