以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(電動パワーステアリング装置)
図1は、本実施形態の電動パワーステアリング装置を搭載した車両を模式的に示した斜視図である。図2は、本実施形態の電動パワーステアリング装置の模式図である。図1に示すように、車両101は、電動パワーステアリング装置100を搭載している。図2を参照して電動パワーステアリング装置100の概要を説明する。
電動パワーステアリング装置100は、運転者(操作者)から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール91と、ステアリングシャフト92と、ユニバーサルジョイント96と、インターミディエイトシャフト97と、ユニバーサルジョイント98と、第1ラックアンドピニオン機構99と、タイロッド72とを備える。また、電動パワーステアリング装置100は、ステアリングシャフト92の操舵トルクを検出するトルクセンサ94と、電動モータ30と、電動モータ30を制御する電子制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)という。)10と、減速装置75と、第2ラックアンドピニオン機構70とを備える。車速センサ82、電源装置83(例えば車載のバッテリ)、及びイグニッションスイッチ84は、車体に備えられる。車速センサ82は、車両101の走行速度を検出する。車速センサ82は、検出した車速信号SVをCAN(Controller Area Network)通信によりECU10に出力する。ECU10には、イグニッションスイッチ84がオンの状態で電源装置83から電力が供給される。
電動駆動装置1は、電動モータ30と電動モータ30のシャフト31の反負荷側に固定したECU10とを備える。
図2に示すように、ステアリングシャフト92は、入力軸92Aと、出力軸92Bと、トーションバー92Cとを備える。入力軸92Aは、一方の端部がステアリングホイール91に接続され、他方の端部がトーションバー92Cに接続される。出力軸92Bは、一方の端部がトーションバー92Cに接続され、他方の端部がユニバーサルジョイント96に接続される。なお、トルクセンサ94は、トーションバー92Cのねじれを検出することで、ステアリングシャフト92に加わる操舵トルクを検出する。トルクセンサ94は、検出した操舵トルクに応じた操舵トルク信号TをCAN通信によりECU10に出力する。ステアリングシャフト92は、ステアリングホイール91に付与された操舵力により回転する。
インターミディエイトシャフト97は、アッパーシャフト97Aと、ロアシャフト97Bとを有し、出力軸92Bのトルクを伝達する。アッパーシャフト97Aは、ユニバーサルジョイント96を介して出力軸92Bに接続される。一方、ロアシャフト97Bは、ユニバーサルジョイント98を介して第1ラックアンドピニオン機構99の第1ピニオンシャフト99Aに接続される。アッパーシャフト97Aとロアシャフト97Bとは、例えば、スプライン結合されている。
第1ラックアンドピニオン機構99は、第1ピニオンシャフト99Aと、第1ピニオンギヤ99Bと、ラックシャフト99Cと、第1ラック99Dとを有する。第1ピニオンシャフト99Aは、一方の端部がユニバーサルジョイント98を介してロアシャフト97Bに接続され、他方の端部が第1ピニオンギヤ99Bに接続される。ラックシャフト99Cに形成された第1ラック99Dは、第1ピニオンギヤ99Bと噛み合う。ステアリングシャフト92の回転運動は、インターミディエイトシャフト97を介して第1ラックアンドピニオン機構99に伝達される。この回転運動は、第1ラックアンドピニオン機構99によりラックシャフト99Cの直線運動に変換される。タイロッド72は、ラックシャフト99Cの両端にそれぞれ接続される。
電動モータ30は、運転者の操舵をアシストするための補助操舵トルクを発生させるモータである。電動モータ30は、ブラシレスモータでもよいし、ブラシ及びコンミテータを有するブラシモータでもよい。
ECU10は、回転角度センサ23aを備える。回転角度センサ23aは、電動モータ30の回転位相を検出する。ECU10は、回転角度センサ23aから電動モータ30の回転位相信号を取得し、トルクセンサ94から操舵トルク信号Tを取得し、車速センサ82から車両101の車速信号SVを取得する。ECU10は、回転位相信号と操舵トルク信号Tと車速信号SVとに基づいて、アシスト指令の補助操舵指令値を算出する。ECU10は、算出された補助操舵指令値に基づいて、電流を電動モータ30に供給する。
減速装置75は、電動モータ30のシャフト31と一体に回転するウォームシャフト75Aと、ウォームシャフト75Aと噛み合うウォームホイール75Bとを備える。したがって、シャフト31の回転運動は、ウォームシャフト75Aを介してウォームホイール75Bに伝達される。なお、本実施形態において、シャフト31の減速装置75側を負荷側端部といい、シャフト31の減速装置75とは反対側を反負荷側端部という。
第2ラックアンドピニオン機構70は、第2ピニオンシャフト71Aと、第2ピニオンギヤ71Bと、第2ラック71Cとを有する。第2ピニオンシャフト71Aは、一方の端部がウォームホイール75Bと同軸、かつ一体に回転するように固定される。第2ピニオンシャフト71Aは、他方の端部が第2ピニオンギヤ71Bに接続される。ラックシャフト99Cに形成された第2ラック71Cは、第2ピニオンギヤ71Bと噛み合う。電動モータ30の回転運動は、減速装置75を介して第2ラックアンドピニオン機構70に伝達される。この回転運動は、第2ラックアンドピニオン機構70によりラックシャフト99Cの直線運動に変換される。
ステアリングホイール91に入力された運転者の操舵力は、ステアリングシャフト92、及びインターミディエイトシャフト97を介して、第1ラックアンドピニオン機構99に伝達される。第1ラックアンドピニオン機構99は、伝達された操舵力をラックシャフト99Cの軸方向に加わる力としてラックシャフト99Cに伝達する。この際、ECU10は、ステアリングシャフト92に入力された操舵トルク信号Tをトルクセンサ94から取得する。ECU10は、車速信号SVを車速センサ82から取得する。ECU10は、電動モータ30の回転位相信号を回転角度センサ23aから取得する。そして、ECU10は、制御信号を出力して電動モータ30の動作を制御する。電動モータ30が作り出した補助操舵トルクは、減速装置75を介して第2ラックアンドピニオン機構70に伝達される。第2ラックアンドピニオン機構70は、補助操舵トルクをラックシャフト99Cの軸方向に加わる力としてラックシャフト99Cに伝達する。このようにして、運転者のステアリングホイール91の操舵が電動パワーステアリング装置100によりアシストされる。
図3は、本実施形態のECUの配置例を示す模式図である。図3に示すように、ECU10及び電動モータ30を備える電動駆動装置1は、第1ラックアンドピニオン機構99及び第2ラックアンドピニオン機構70近傍に配置されている。このように、電動パワーステアリング装置100は、第2ラックアンドピニオン機構70にアシスト力が付与されるラックアシスト方式であるがこれに限定されない。電動パワーステアリング装置100は、例えば、ステアリングシャフト92にアシスト力が付与されるコラムアシスト方式、及び第1ピニオンギヤ99Bにアシスト力が付与されるピニオンアシスト方式でもよい。
図4は、本実施形態の電動モータの断面を模式的に示す断面図である。図5は、本実施形態の電動モータの配線を示す模式図である。電動モータ30は、図4に示すように、ハウジング930と、ステータコア931を有するステータと、ロータ932とを備える。ステータは、円筒状であるステータコア931と、複数の第1コイル37と、複数の第2コイル38を含む。ステータコア931は、環状のバックヨーク931aと、バックヨーク931aの内周面から突出する複数のティース931bとを備える。ティース931bは、周方向に12個配置されている。ロータ932は、ロータヨーク932aと、マグネット932bとを含む。マグネット932bは、ロータヨーク932aの外周面に設けられている。マグネット932bの数は、例えば8つである。
図4に示すように、第1コイル37は、複数のティース931bのそれぞれに集中巻きされている。第1コイル37は、ティース931bの外周にインシュレータを介して集中巻きされる。全ての第1コイル37は、第1コイル系統に含まれる。本実施形態の第1コイル系統は、第1パワー基板25Aのインバータ回路251(図6参照)によって、電流が供給され、励磁される。第1コイル系統は、例えば第1コイル37を6つ含む。6つの第1コイル37は、2つの第1コイル37が周方向で互いに隣接するように配置されている。隣接する第1コイル37を1つのグループとした第1コイルグループGr1が、周方向に等間隔に3つ配置されている。すなわち、第1コイル系統は、周方向に等間隔に並べられた3つの第1コイルグループGr1を備えている。なお、第1コイルグループGr1は、必ずしも3つでなくてもよく、nを自然数としたときに周方向に等間隔に3n個配置されていればよい。また、nは奇数である方が望ましい。
図4に示すように、第2コイル38は、複数のティース931bのそれぞれに集中巻きされている。第2コイル38は、ティース931bの外周にインシュレータを介して集中巻きされる。第2コイル38が集中巻きされるティース931bは、第1コイル37が集中巻きされるティース931bとは異なるティース931bである。全ての第2コイル38は、第2コイル系統に含まれる。第2コイル系統は、第2パワー基板25Bのインバータ回路251(図6参照)によって電流が供給され、励磁される。第2コイル系統は、例えば第2コイル38を6つ含む。6つの第2コイル38は、2つの第2コイル38が周方向で互いに隣接するように配置されている。隣接する第2コイル38を1つのグループとした第2コイルグループGr2が、周方向に等間隔に3つ配置されている。すなわち、第2コイル系統は、周方向に等間隔に並べられた3つの第2コイルグループGr2を備えている。なお、第2コイルグループGr2は、必ずしも3つでなくてもよく、nを自然数としたときに周方向に等間隔に3n個配置されていればよい。また、nは奇数である方が望ましい。
図5に示すように、6つの第1コイル37は、第1U相電流I1uにより励磁される2つの第1U相コイル37Ua及び第1U相コイル37Ubと、第1V相電流I1vにより励磁される2つの第1V相コイル37Va及び第1V相コイル37Vbと、第1W相電流I1wにより励磁される2つの第1W相コイル37Wa及び第1W相コイル37Wbとを含む。第1U相コイル37Ubは、第1U相コイル37Uaに対して直列に接続されている。第1V相コイル37Vbは、第1V相コイル37Vaに対して直列に接続されている。第1W相コイル37Wbは、第1W相コイル37Waに対して直列に接続されている。第1コイル37のティース931bに対する巻き方向は、全て同じ方向である。また、第1U相コイル37Ub、第1V相コイル37Vb及び第1W相コイル37Wbは、スター結線(Y結線)で接合されている。
図5に示すように、6つの第2コイル38は、第2U相電流I2uにより励磁される2つの第2U相コイル38Ua及び第2U相コイル38Ubと、第2V相電流I2vにより励磁される2つの第2V相コイル38Va及び第2V相コイル38Vbと、第2W相電流I2wにより励磁される2つの第2W相コイル38Wa及び第2W相コイル38Wbとを含む。第2U相コイル38Ubは、第2U相コイル38Uaに対して直列に接続されている。第2V相コイル38Vbは、第2V相コイル38Vaに対して直列に接続されている。第2W相コイル38Wbは、第2W相コイル38Waに対して直列に接続されている。第2コイル38のティース931bに対する巻き方向は、全て同じ方向であり、第1コイル37の巻き方向と同じである。また、第2U相コイル38Ub、第2V相コイル38Vb及び第2W相コイル38Wbは、スター結線(Y結線)で接合されている。
図4に示すように、3つの第1コイルグループGr1は、第1UVコイルグループGr1UVと、第1VWコイルグループGr1VWと、第1UWコイルグループGr1UWと、からなる。第1UVコイルグループGr1UVは、周方向で互いに隣接する第1U相コイル37Ub及び第1V相コイル37Vaを含む。第1VWコイルグループGr1VWは、周方向で互いに隣接する第1V相コイル37Vb及び第1W相コイル37Waを含む。第1UWコイルグループGr1UWは、周方向で互いに隣接する第1U相コイル37Ua及び第1W相コイル37Wbを含む。
図4に示すように、3つの第2コイルグループGr2は、第2UVコイルグループGr2UVと、第2VWコイルグループGr2VWと、第2UWコイルグループGr2UWと、からなる。第2UVコイルグループGr2UVは、周方向で互いに隣接する第2U相コイル38Ub及び第2V相コイル38Vaを含む。第2VWコイルグループGr2VWは、周方向で互いに隣接する第2V相コイル38Vb及び第2W相コイル38Waを含む。第2UWコイルグループGr2UWは、周方向で互いに隣接する第2U相コイル38Ua及び第2W相コイル38Wbを含む。
第1U相電流I1uにより励磁される第1コイル37は、第2U相電流I2uにより励磁される第2コイル38に、ステータコア931の径方向で対向している。以下の説明において、ステータコア931の径方向は、単に径方向と記載される。例えば、図4に示すように、径方向で第1U相コイル37Uaが第2U相コイル38Uaに対向し、第1U相コイル37Ubが第2U相コイル38Ubに対向している。
第1V相電流I1vにより励磁される第1コイル37は、第2V相電流I2vにより励磁される第2コイル38に、径方向で対向している。例えば、図4に示すように、径方向で第1V相コイル37Vaが第2V相コイル38Vaに対向し、第1V相コイル37Vbが第2V相コイル38Vbに対向している。
第1W相電流I1wにより励磁される第1コイル37は、第2W相電流I2wにより励磁される第2コイル38に、径方向で対向している。例えば、図4に示すように、径方向で第1W相コイル37Waが第2W相コイル38Waに対向し、第1W相コイル37Wbが第2W相コイル38Wbに対向している。
図6は、本実施形態の電動モータとECUとの関係を示す模式図である。図6に示すように、ECU10は、制御演算部241と、モータ回転角検出回路23と、モータ回転数演算部22と、ゲート駆動回路242と、遮断駆動回路243と、インバータ回路251とを備えている。
制御演算部241は、モータ電流指令値を演算する。モータ回転数演算部22は、モータ電気角θmを演算し、制御演算部241に出力する。ゲート駆動回路242には、制御演算部241から出力されるモータ電流指令値が入力される。
電動モータ30は、図6に示すように、回転角度センサ23aを備えている。回転角度センサ23aは、例えば磁気センサである。モータ回転角検出回路23は、回転角度センサ23aからの検出値をモータ回転数演算部22に供給する。モータ回転数演算部22は、回転角度センサ23aの検出値に基づいてモータ電気角θmを演算し、制御演算部241に出力する。
制御演算部241には、トルクセンサ94で検出された操舵トルク信号Tと、車速センサ82で検出された車速信号SVと、モータ回転数演算部22から出力されるモータ電気角θmと、が入力される。制御演算部241は、操舵トルク信号T、車速信号SV及びモータ電気角θmに基づいてモータ電流指令値を算出し、ゲート駆動回路242に出力する。
ゲート駆動回路242は、電流指令値に基づいて第1パルス幅変調信号を演算し、第1パワー基板25Aのインバータ回路251に出力する。インバータ回路251は、第1パルス幅調変信号のデューティ比に応じて、3相の電流値となるようにスイッチング素子252をスイッチングして第1U相電流I1u、第1V相電流I1v及び第1W相電流I1wを含む3相交流を生成する。第1U相電流I1uが第1U相コイル37Ua及び第1U相コイル37Ubを励磁し、第1V相電流I1vが第1V相コイル37Va及び第1V相コイル37Vbを励磁し、第1W相電流I1wが第1W相コイル37Wa及び第1W相コイル37Wbを励磁する。
ゲート駆動回路242は、電流指令値に基づいて第2パルス幅変調信号を演算し、第2パワー基板25Bのインバータ回路251に出力する。インバータ回路251は、第2パルス幅調変信号のデューティ比に応じて、3相の電流値となるようにスイッチング素子252をスイッチングして第2U相電流I2u、第2V相電流I2v及び第2W相電流I2wを含む3相交流を生成する。第2U相電流I2uが第2U相コイル38Ua及び第2U相コイル38Ubを励磁し、第2V相電流I2vが第2V相コイル38Va及び第2V相コイル38Vbを励磁し、第2W相電流I2wが第2W相コイル38Wa及び第2W相コイル38Wbを励磁する。
インバータ回路251には、例えば、スイッチング素子252と平滑コンデンサ253とを有している。スイッチング素子252としては、例えば、電界効果トランジスタである。平滑コンデンサ253としては、例えば、電解コンデンサが用いられている。
図6に示すように、電動パワーステアリング装置100は、電動モータ30の各相の電流値を検出するための電流検出回路254を備える。例えば、電流検出回路254は、シャント抵抗を備える。電流検出回路254で検知した電流値は、制御演算部241に送出される。なお、電流検出回路254は、電動モータ30の各相の電流値を検出するように接続してもよい。
電流遮断回路255は、インバータ回路251と、第1コイル37又は第2コイル38との間に配置されている。電流検出回路254で検知した電流値が異常と判断される場合は、制御演算部241は、遮断駆動回路243を介して電流遮断回路255を駆動し、インバータ回路251から第1コイル37へ流れる電流を遮断できる。また、制御演算部241は、遮断駆動回路243を介して電流遮断回路255を駆動し、インバータ回路251から第2コイル38へ流れる電流を遮断できる。このように、第1コイル37へ流れる電流と、第2コイル38へ流れる電流とは、制御演算部241にそれぞれ独立して制御される。
制御演算部241には、操舵トルク信号T、車速信号SVといった制御基板24への入出力信号がコネクタCNTを介して入力される。第1パワー基板25A、第2パワー基板25Bの少なくとも1つには、コネクタCNTを介して電源装置83から電力を伝送する電力配線PWが接続される。本実施形態において、第1パワー基板25A及び第2パワー基板25Bには、コネクタCNT及び制御基板24を介して電源装置83からの電力配線PWが電気的に接続される。
図7は、本実施形態の電動駆動装置の分解斜視図である。図8は、本実施形態の基板組立体の分解斜視図である。図7に示すように、電動駆動装置1は、ECU10と、電動モータ30とを含む。ECU10は、基板組立体200と、カバー210とを備える。図7及び図8に示すように、基板組立体200は、第1パワー基板25Aと、第2パワー基板25Bと、制御基板24と、ヒートシンク40と、蓋部材60、62、64とを備える。基板組立体200には、ヒートシンク40の3面に対し、第1パワー基板25Aと、第2パワー基板25Bと、制御基板24と、が取り付けられている。
図9は、第1パワー基板の斜視図である。図10は、図9のA1−A2切断線で切断した概略断面図である。図8及び図9に示すように、第1パワー基板25Aは、基板26と、図6に示すインバータ回路251、電流検出回路254及び電流遮断回路255を構成する電子部品256とを備える。
図9及び図10に示すように、基板26は、リードフレーム基板である。リードフレーム基板とは、リードフレームを金型に組み込み、樹脂等の絶縁材でモールドして形成される基板である。リードフレームとは、金属板を配線パターンの形状に合わせて加工した金属部材である。リードフレームは、例えば、金属板(アルミニウム板、銅板、アルミニウム、銅の少なくとも1つを含む合金の板材など)にプレス加工、打ち抜き加工、レーザ加工及びエッチング等を行うことで形成される。これによれば、基板26は、銅箔等で配線パターンを形成するプリント基板と比較して、配線抵抗を抑制できる。したがって、基板26は、プリント基板よりも、ジュール熱を抑制することができる。なお、基板26は、アルミニウム、銅、又はこれらの少なくとも1つを含む合金などから形成される金属基板又はFR4(Flame Retardant Type 4)等から形成される樹脂基板でもよい。
基板26は、リードフレーム271H、272L、274R、276F、278Mと、リード端子部279と、絶縁材280と、貫通孔26hと、モータ接続端子片261、262、263とを備える。リードフレーム271H、272L、274R、276F、278Mは、銅、アルミニウム、又はこれらの少なくとも1つを含む合金などの導体である。リードフレーム271H、272L、274R、276F、278Mは、電子部品256が実装される位置に合わせた配線パターンの形状に形成される。リードフレーム271H、272Lは、リードフレーム274R、276F、278Mよりも、断面積が大きい。したがって、リードフレーム271H、272Lは、リードフレーム274R、276F、278Mよりも配線抵抗を小さくできる。
図10に示すように、リードフレーム274Rは、基板26の裏面26R側に配置される。リードフレーム276Fは、基板26の表面26F側に配置される。リードフレーム276Fは、リードフレーム274Rと基板26の厚み方向において重なるように配置される。このような配置によれば、複数のリードフレームを厚さ方向と直交する方向に並べて配置する場合と比較して、基板26の面積を小さくすることができる。リードフレーム278Mは、リードフレーム274Rよりも基板26の表面26F側に配置され、かつ、リードフレーム276Fよりも基板26の裏面26R側に配置されている。
図9に示すように、リード端子部279は、基板26の外側に延伸する複数のリード端子である。リード端子部279の各リード端子は、リードフレーム271H、272L、274R、276F、278Mの内いずれかと一体に形成されている。図7に示すように、リード端子部279は、第1パワー基板25Aと制御基板24とを電気的に接続する。
絶縁材280は、リードフレーム271H、272L、274R、276F、278Mの間の隙間を埋めるように充填されている。これにより、リードフレーム271H、272L、274R、276F、278Mを絶縁させ、かつ、接着することができる。また、基板26を板形状に形成することができる。絶縁材280は、例えば、ポリカーボネート系の高熱伝導性樹脂である。これによれば、リードフレーム271H、272L、274R、276F、278M、及び電子部品256で発生した熱を効率よく放熱できる。なお、絶縁材280は、これに限定されない。絶縁材280は、絶縁性、放熱性、リードフレームとの密着性、基板26に求められる剛性等を考慮して適宜選択することが可能である。
図9に示すように、貫通孔26hは、基板26の厚み方向に基板26を貫通する開口部である。貫通孔26hは、基板26の四隅に形成されている。貫通孔26hは、ヒートシンク40に基板26を固定する場合に固定ネジが挿入される開口である。図8に示すように、基板26は、固定ネジが貫通孔26hを貫通してヒートシンク40のネジ穴40hに締結されることで固定される。
図9に示すように、モータ接続端子片261、262、263は、銅、アルミニウム、又はこれらの少なくとも1つを含む合金などの良導体の板材である。モータ接続端子片261は、第1パワー基板25Aの外側に延伸する張出部261Aと、張出部261Aから表面26Fと直交する方向に突出する突出部261Bと、突出部261Bから表面26Fと平行な方向に屈曲している屈曲部261Cとを備える。モータ接続端子片262は、第1パワー基板25Aの外側に延伸する張出部262Aと、張出部262Aから表面26Fと直交する方向に突出する突出部262Bと、突出部262Bから表面26Fと平行な方向に屈曲している屈曲部262Cとを備える。モータ接続端子片263は、第1パワー基板25Aの外側に延伸する張出部263Aと、張出部263Aから表面26Fと直交する方向に突出する突出部263Bと、突出部263Bから表面26Fと平行な方向に屈曲している屈曲部263Cとを備える。
図11は、本実施形態のモータ接続端子片とコイル配線との接続を説明するための説明図である。図7に示すように、電動モータ30には、反負荷側に突出するコイル配線321、322、323がある。コイル配線321、322、323は、銅線、アルミニウム線、アルミニウム、銅の少なくとも1つを含む合金などの線材であって、いわゆる板状の平角線である。図11に示すように、コイル配線321は、モータ接続端子片261の屈曲部261Cの平面と対向する。コイル配線321と屈曲部261Cとは、平面同士が接するように押し当てられ、抵抗溶接又はレーザ溶接されている。コイル配線322は、モータ接続端子片262の屈曲部262Cの平面と対向するように屈曲した形状に形成される。コイル配線322と屈曲部262Cとは、平面同士が接するように押し当てられ、抵抗溶接又はレーザ溶接されている。コイル配線323は、モータ接続端子片263の屈曲部263Cの平面と対向するように屈曲した形状に形成される。コイル配線323と屈曲部263Cとは、平面同士が接するように押し当てられ、抵抗溶接又はレーザ溶接されている。
第2パワー基板25Bは、第1パワー基板25Aと同様の構成を有するため、第1パワー基板25Aと同様の符号を付して、説明を省略する。
図12は、制御基板の底面図である。図13は、本実施形態のECUの平面図である。図14は、図13のB1−B2の矢印方向にみた断面矢視図である。図8に示すように、制御基板24は、樹脂等で形成されたプリント基板である。制御基板24は、電源端子Tdc、Tgndと、CAN端子Tcanと、入出力端子Tioと、チョークコイル49と、コンデンサ50とを備える。図12に示すように、制御基板24は、図6に示す制御演算部241、ゲート駆動回路242及び遮断駆動回路243を構成する電子部品245と、回転角度センサ23aを含むセンサ回路部21と、Hdc、Hgnd、Hio、Hcanと、リード挿入孔248と、貫通孔24H、を備える。
図8に示すように、電源端子Tdcは、電源装置83の電源電圧Vdcを供給する金属製端子である。電源端子Tgndは、電源装置83の負電源電圧(例えば、グランドなどの基準電圧)を供給する金属製端子である。図8及び図14に示すように、電源端子Tdc、Tgndは、保持部材24B1を貫通して制御基板24に接続される。保持部材24B1は、電源端子Tdc、Tgndが実装面24Fに対して垂直に所定の間隔で立設するように保持する樹脂部材である。保持部材24B1の幅w4は、貫通孔410の幅w1よりも小さい。これにより、保持部材24B1は、ヒートシンク40と干渉しない。図12及び図14に示すように、電源端子Tdcは、一方の端部が2又に分かれて貫通孔Hdcに挿入される。電源端子Tgndの一方の端部は、電源端子Tdc同様に、一方の端部が2又に分かれて貫通孔Hgndに挿入される。
図8に示すように、CAN端子Tcanは、CAN通信を行うための3本のピン端子である。図12及び図14に示すように、CAN端子Tcanは、保持部材24B2及び貫通孔Hcanを貫通して制御基板24に接続される。図14に示すように、保持部材24B2は、CAN端子Tcanが実装面24Fに対して垂直に所定の間隔で立設するように保持する樹脂部材である。保持部材24B2の幅w6は、貫通孔414の幅w3よりも小さい。これにより、保持部材24B2は、ヒートシンク40と干渉しない。
図8に示すように、入出力端子Tioは、CAN通信以外の方法でデータを入出力するための8本のピン端子である。図12及び図14に示すように、入出力端子Tioは、保持部材24B3及び貫通孔Hioを貫通して制御基板24に接続される。図14に示すように、保持部材24B3は、入出力端子Tioが実装面24Fに対して垂直に所定の間隔で立設するように保持する樹脂部材である。保持部材24B3の幅w5は、貫通孔412の幅w2よりも小さい。これにより、保持部材24B3は、ヒートシンク40と干渉しない。制御基板24の制御演算部241(図6参照)には、CAN端子Tcan及び入出力端子Tioを介して、操舵トルク信号T及び車速信号SV等の入出力信号が入力される。
図8に示すように、チョークコイル49及びコンデンサ50は、上述した電源装置83からの電力配線PWの高周波成分を減衰させるLCフィルターを構成する。チョークコイル49及びコンデンサ50は、制御基板24の実装面24Fに実装される。
図12に示すように、センサ回路部21は、制御基板24の実装面24Rに実装される。センサ回路部21は、図6に示すモータ回転角検出回路23及びモータ回転数演算部22を構成する電子部品、並びに回転角度センサ23aを含む。回転角度センサ23aは、例えば、スピンバルブセンサである。スピンバルブセンサは、反強磁性層等で磁化の向きが固定された強磁性体のピン層と、強磁性体のフリー層とで非磁性層を挟んだ素子で、磁束の向きの変化を検出できるセンサである。スピンバルブセンサには、GMR(Giant Magneto Resistance)センサ、TMR(Tunnel Magneto Resistance)センサがある。なお、回転角度センサ23aは、磁石32の回転を検出可能なセンサであればよい。回転角度センサ23aは、例えば、AMR(Anisotropic Magneto Resistance)センサ、又はホールセンサでもよい。
図15は、本実施形態のシャフト、磁石、回転角度センサの位置関係を説明するための説明図である。図7及び図15に示すように、磁石32は、シャフト31の反負荷側端部に固定されている。磁石32は、周方向にみて交互に配置されたS極及びN極を外周面に有する。
図15に示すように、制御基板24は、軸方向Axの延長線上に回転角度センサ23aが配置するようにヒートシンク40に組み付けられている。図12及び図15に示すように、回転角度センサ23aは、軸方向Axと直交する平面である実装面24Rに実装されている。回転角度センサ23aは、磁石32の磁場の変化を感知できるように、制御基板24に実装されている。磁石32と、回転角度センサ23aとは、軸方向Axにおいて、対向していることが望ましい。
図7、図8及び図12に示すように、リード挿入孔248には、第1パワー基板25A及び第2パワー基板25Bのリード端子部279が挿入され、半田などの金属ペーストで接合されている。なお、リード端子部279と制御基板24とは、リード端子部279の外周が弾性変形可能なように撓ませ、リード挿入孔248の内壁面の導体と接続できる、いわゆるプレスフィットと呼ばれる、ソルダーレスの電気的な接続であってもよい。また、リード端子部279と制御基板24とは、制御基板24に金属端子を設けて該端子とリード端子部279とをTIG接合することで接続されてもよい。
図12に示すように、貫通孔24hは、制御基板24の厚み方向に制御基板24を貫通する開口部である。貫通孔24hは、制御基板24の四隅に形成されている。貫通孔24hは、ヒートシンク40に制御基板24を固定する場合に固定ネジが挿入される開口である。
図16Aは、本実施形態のヒートシンクの正面図である。図16Bは、本実施形態のヒートシンクの左側面図である。図16Cは、本実施形態のヒートシンクの右側面図である。図16Dは、本実施形態のヒートシンクの平面図である。図16Eは、本実施形態のヒートシンクの底面図である。図16Fは、本実施形態のヒートシンクの背面図である。
ヒートシンク40は、放熱性の高い銅、アルミニウム、又はこれらの少なくとも1つを含む合金などの金属で構成されている。ヒートシンク40は、アルミニウムを含む金属で構成されていると、電磁波を減衰するシールド性もより高めることができる。図14及び図16Aから図16Fに示すように、ヒートシンク40は、第1面40aと、第2面40bと、第3面40cと、第4面40dと、ネジ穴40hとを備える。また、ヒートシンク40は、ボス402と、凹部406、408と、貫通孔410、412、414と、隔壁416、418とを備える。また、ヒートシンク40は、上側凹部420a、420bと、下側凹部422a、422bと、フランジ部424a、424bと、貫通孔426a、426bとを備える。
図8及び図16Aに示すように、第1面40aは、第1パワー基板25Aの裏面26Rが放熱材を介して接する面である。放熱材は、シリコーンポリマーに熱伝導性フィラーを混合した材料であり、TIM(Thermal Interface Material)と呼ばれる。第1面40aには、ネジ穴40hが四隅に形成されている。第1パワー基板25Aは、貫通孔26hに挿入されたネジがネジ穴40hに締結されることでヒートシンク40に固定される。
図8及び図16Fに示すように、第2面40bは、第2パワー基板25Bの裏面26Rが放熱材を介して接する面である。第2面40bには、ネジ穴40hが四隅に形成されている。第2パワー基板25Bは、貫通孔26hに挿入されたネジがネジ穴40hに締結されることでヒートシンク40に固定される。
図16A、図16E及び図16Fに示すように、ヒートシンク40は、第3面40cにボス402が形成されている。ボス402は、内部にタップが切られている。図14に示す高さh1は、ボス402の高さを示す。高さh1は、保持部材24B1の高さh2、保持部材24B2の高さh4及び保持部材24B3の高さh3よりも低い。図8、図14及び図16Eに示すように、制御基板24は、制御基板24の貫通孔24hに挿入されたネジがボス402に締結されることでヒートシンク40に固定される。貫通孔24hの径は、ボス402の外径よりも小さい。これにより、図14に示すように、制御基板24と第3面40cとは、ボス402の高さh1だけ離れて配置される。これによれば、制御基板24が熱及び振動等の影響で撓んだ場合でも、制御基板24とヒートシンク40の第3面40cとが接触し難くすることができる。また、第1パワー基板25A及び第2パワー基板25Bで発生した熱がヒートシンク40を介して制御基板24に伝わり難くすることができる。したがって、制御基板24に実装された電子部品245、コンデンサ50、チョークコイル49及びセンサ回路部21が熱によって劣化及び故障することを抑制することができる。
また、図7及び図8に示すように、制御基板24は、第1パワー基板25A及び第2パワー基板25Bが固定される面と交差する面に固定される。このように、制御基板24の実装面24F、24Rは、第1パワー基板25A及び第2パワー基板25Bの表面26Fが配置される平面とは異なる。これにより、ECU10の容積を小さくすることができる。
図14、図16D及び図16Eに示すように、第3面40cには、凹部406、408が形成されている。凹部406の内部には、コンデンサ50(図8参照)が配置される。凹部408の内部には、チョークコイル49が配置される。これにより、制御基板24をヒートシンク40に固定する場合に、チョークコイル49及びコンデンサ50がヒートシンク40と緩衝しない。したがって、制御基板24をヒートシンク40と近接して配置することができる。その結果、基板組立体200の軸方向Axの寸法を小さくすることができる。また、コンデンサ50が凹部406の内部に配置されるため、コンデンサ50の防爆弁が解放されたとしても、電解液が飛散しにくい。
図14及び図16Eに示すように、貫通孔410、412、414は、ヒートシンク40を軸方向Axに貫通する矩形の開口部である。貫通孔410には、電源端子Tdc、Tgndが軸方向Axに貫通して配置される。貫通孔412には、入出力端子Tioが軸方向Axに貫通して配置される。貫通孔414には、CAN端子Tcanが軸方向Axに貫通して配置される。
このように、ヒートシンク40には、凹部406、408及び貫通孔410、412、414が形成される。これにより、ヒートシンク40は、凹部406、408及び貫通孔410、412、414が形成されていないヒートシンクと比較して、表面積を大きくすることができる。したがって、ヒートシンク40は、凹部406、408及び貫通孔410、412、414が形成されていないヒートシンクよりも熱を放熱し易い。
図14及び図16Eに示すように、隔壁416は、貫通孔410及び凹部408が形成するヒートシンク40内部の空間と貫通孔412の内部の空間とを仕切る部材である。隔壁416は、ヒートシンク40と一体に形成される図14に示すように、隔壁416は、上部隔壁416aと、下部隔壁416bとを備える。上部隔壁416aは、貫通孔410と貫通孔412との間をヒートシンク40の第4面40dから凹部408の底面まで仕切る板部材である。下部隔壁416bは、凹部408と貫通孔412との間を上部隔壁416aから第3面40cまで仕切る板部材である。このような構造により、隔壁416は、貫通孔410及び凹部408が形成するヒートシンク40内部の空間と貫通孔412の内部の空間とをヒートシンク40の第3面40cから第4面40dに渡って仕切ることができる。これによれば、電源端子Tdc、Tgndで発生して入出力端子Tio及びCAN端子Tcanに達する電磁波の大部分を遮蔽できる。さらに、チョークコイル49で発生して入出力端子Tio及びCAN端子Tcanに達する電磁波の大部分を遮蔽できる。したがって、隔壁416は、入出力端子Tio及びCAN端子Tcanに生じるノイズを低減することができる。
図14に示す上部隔壁416aの厚みt1は、下部隔壁416bの厚みt2よりも大きい。これによれば、上部隔壁416aの厚みが厚みt2である場合と比較して、電源端子Tdc、Tgndで生じる電磁波を隔壁416でより吸収及び減衰させることができる。
図14及び図16Eに示すように、隔壁418は、貫通孔412と貫通孔414との間に配置される板形状の部材である。隔壁418は、ヒートシンク40と一体に形成される。図14に示すように、隔壁418は、貫通孔412と貫通孔414との間をヒートシンク40の第4面40dから第3面40cまで仕切る板部材である。すなわち、隔壁418は、入出力端子TioとCAN端子Tcanとの間に配置されている。これによれば、入出力端子Tioで発生してCAN端子Tcanに達する電磁波の大部分を遮蔽できる。さらに、CAN端子Tcanで発生して入出力端子Tioに達する電磁波の大部分を遮蔽できる。したがって、隔壁418は、入出力端子Tio及びCAN端子Tcanに生じるノイズを低減することができる。
図8、図16B及び図16Cに示すように、ヒートシンク40には、軸方向Axに延びて、ざぐり加工により凹んだ上側凹部420a、420b及び下側凹部422a、422bが設けられている。図8、図16B、図16C及び図16Dに示すように、上側凹部420aと下側凹部422aとの間には、フランジ部424aが形成されている。上側凹部420bと下側凹部422bとの間には、フランジ部424bが形成されている。フランジ部424a、424bは、ヒートシンク40と一体に形成される。図16Dに示すように、フランジ部424aには、フランジ部424aを軸方向Axに貫通する貫通孔426aが形成される。フランジ部424bには、フランジ部424bを軸方向Axに貫通する貫通孔426bが形成される。
図7に示すように、電動モータ30は、反負荷側にアダプタ330が設けられている。アダプタ330は、例えば、電動モータ30のハウジング930にネジ固定されている。アダプタ330には、軸方向Axに突出する固定部330a、330bが形成されている。固定部330a、330bには、ネジ穴330hが形成されている。固定部330aは、ヒートシンク40の下側凹部422aと嵌合する。また、固定部330bは、ヒートシンク40の下側凹部422bと嵌合する。これにより、電動モータ30に対するヒートシンク40の位置が決まる。そして、ヒートシンク40は、上側凹部420a、420bに挿入されたネジ部材430が貫通孔426a(図16D参照)を貫通してネジ穴330hに締結されることで電動モータ30の反負荷側に固定される。また、ヒートシンク40は、ネジ部材430が貫通孔426b(図16D参照)を貫通してネジ穴330hに締結されることで電動モータ30の反負荷側に固定される。
アダプタ330は、放熱性の高い銅、アルミニウム、又はこれらの少なくとも1つを含む合金などの金属で構成されている。これにより、アダプタ330は、ヒートシンク40の放熱の補助、及び電動モータ30が発する熱を外部に効率よく放熱することができる。なお、本実施形態において、アダプタ330は金属製に限定されず、樹脂製であってもよい。
図7及び図8に示すように、蓋部材60は、ヒートシンク40の貫通孔410を第4面40d側から覆う蓋部材である。蓋部材60は、樹脂等の絶縁体から形成される。蓋部材60は、絶縁性の樹脂に、導電性フィラー、軟磁性体のフィラーなどを含有してもよい。これにより、電源端子Tdc、Tgndからから発生する電磁波が信号線にノイズを生じさせることを抑制できる。
図8及び図14に示すように、蓋部材60は、フランジ部60aと、脚部60bと、孔60hとを備える。フランジ部60aは、平面視で矩形の形状であり、貫通孔410よりも大きく形成される。これにより、フランジ部60aの一部が第4面40dと当接できる。脚部60bは、角筒形状であり、外径が貫通孔410の径と略一致するように形成される。フランジ部60aと脚部60bとは、一体に形成される。孔60hは、フランジ部60aを軸方向Axに貫通する。孔60hは、フランジ部60aに2つ形成される。孔60hは、電源端子Tdc、Tgndの断面と略同じ形状である。図7に示すように、孔60hには、電源端子Tdc、Tgndが挿入される。これによれば、電源端子Tdc、Tgndを所定の距離だけ離すことができる。所定の距離とは、電源端子Tdc、Tgndと接続されるコネクタのピッチと同じ長さである。これにより、電源端子Tdc、Tgnd間の短絡を防止できるとともに、電源端子Tdc、Tgndをコネクタのピッチに合わせることができる。
図7及び図8に示すように、蓋部材62は、ヒートシンク40の貫通孔412を第4面40d側から覆う蓋部材である。蓋部材62は、樹脂等の絶縁体から形成される。蓋部材62は、絶縁性の樹脂に、導電性フィラー、軟磁性体のフィラーなどを含有してもよい。これにより、電磁波が信号線にノイズを生じさせることを抑制できる。
図8及び図14に示すように、蓋部材62は、フランジ部62aと、脚部62bと、孔62hとを備える。フランジ部62aは、平面視で矩形の形状であり、貫通孔412よりも大きく形成される。これにより、フランジ部62aの一部が第4面40dと当接できる。脚部62bは、角筒形状であり、外径が貫通孔412の径と略一致するように形成される。フランジ部62aと脚部62bとは、一体に形成される。孔62hは、フランジ部62aを軸方向Axに貫通する。孔62hは、フランジ部62aに8カ所形成される。孔62hは、入出力端子Tioの断面と略同じ形状である。図7に示すように、孔62hには、入出力端子Tioが挿入される。これによれば、入出力端子Tioを所定の距離だけ離すことができる。所定の距離とは、入出力端子Tioと接続されるコネクタのピッチと同じ長さである。これにより、入出力端子Tio間の短絡を防止できるとともに、入出力端子Tioをコネクタのピッチに合わせることができる。
図7及び図8に示すように、蓋部材64は、ヒートシンク40の貫通孔414を第4面40d側から覆う蓋部材である。蓋部材64は、樹脂等の絶縁体から形成される。蓋部材64は、絶縁性の樹脂に、導電性フィラー、軟磁性体のフィラーなどを含有してもよい。これにより、電磁波が信号線にノイズを生じさせることを抑制できる。
図8及び図14に示すように、蓋部材64は、フランジ部64aと、脚部64bと、孔64hとを備える。フランジ部64aは、平面視で矩形の形状であり、貫通孔414よりも大きく形成される。これにより、フランジ部64aの一部が第4面40dと当接できる。脚部64bは、角筒形状であり、外径が貫通孔414の径と略一致するように形成される。フランジ部64aと脚部64bとは、一体に形成される。孔64hは、フランジ部64aを軸方向Axに貫通する。孔64hは、フランジ部64aに3カ所形成される。孔64hは、CAN端子Tcanの断面と略同じ形状である。図7に示すように、孔64hには、CAN端子Tcanが挿入される。これによれば、CAN端子Tcanを所定の距離だけ離すことができる。所定の距離とは、CAN端子Tcanと接続されるコネクタのピッチと同じ長さである。これにより、CAN端子Tcan間の短絡を防止できるとともに、CAN端子Tcanをコネクタのピッチに合わせることができる。
なお、蓋部材60、62、64は、接着剤を介してヒートシンク40に固定されてもよい。また、蓋部材60、62、64は中間ばめ又は中間ばめによってヒートシンク40に固定されてもよい。これによれば、貫通孔410、412、414の内部に埃及び水等の異物が侵入し難くすることができる。
図7及び図14に示すように、電源装置83(図2参照)の電源電圧は、電源端子Tdc、Tgndを介して、制御基板24に供給されている。図6に示すように、制御基板24に供給された電源装置83の電源電圧が、上述したリード挿入孔248及びリード端子部279を介して、第1パワー基板25A及び第2パワー基板25Bに供給されている。
図17は、本実施形態のカバーの斜視図である。図7及び図17に示すように、カバー210は、金属製又は樹脂製である。カバー210は、カバー本体211と、コネクタCNTとを備える。カバー本体211は、天板211aと、側壁部材211bと、凹部216とを備える。
天板211aは、板形状の部材である。側壁部材211bは、一方の端部が天板211aの縁と接続する筒形状の部材である。側壁部材211bは、他方の端部に凹部216が形成されている。天板211aと側壁部材211bとは、一体に形成される。
コネクタCNTは、ガイド部材217a、217bと、角筒部材218、220、222とを備える。ガイド部材217a、217bは、コネクタCNTから電動モータ30側に向かって突出している。ガイド部材217a、217bは、コネクタCNTと一体に形成される。ガイド部材217aは、上側凹部420a(図7参照)と嵌合する。ガイド部材217bは、上側凹部420b(図7参照)と嵌合する。これにより、カバー210の基板組立体200に対する位置が決まる。
角筒部材218、220、222は、角筒形状の部材である。角筒部材218、220、222は、コネクタCNTから軸方向Axに立設して形成される。角筒部材218、220、222は、コネクタCNTと一体に形成される。角筒部材218には、CAN端子Tcanが挿入される。角筒部材220には、入出力端子Tioが挿入される。角筒部材222には、電源端子Tdc、Tgndが挿入される。
上述したように、図3に示す電動駆動装置1は、第1ラックアンドピニオン機構99及び第2ラックアンドピニオン機構70近傍に配置されている。このため、ECU10と電動モータ30との内部に、水分、塵ができるだけ入らないように、ECU10と電動モータ30との接合部分は、封止材を介して封止する。具体的には、ECU10と電動モータ30とは、図7に示す凸部330cと図17に示す凹部210aとが封止材を介して嵌合することで密閉される。封止材は、例えば、ゴムなどの弾性部材のOリング及び接着剤である。
図18は、本実施形態のコネクタの密閉構造を説明するための説明図である。図18は、コネクタCNT及びカバー本体211の断面を示している。図7に示すように、カバー210は、円筒のカバー本体211の正面に、コネクタCNTを露出させる貫通孔212を有している。図18に示すように、貫通孔212の内壁219は、カバー210の内側(軸方向Axの電動モータ30側)に突出する突起部221を備えている。コネクタCNTの外径側には、張り出し底部233と、張り出し底部233の径方向外側をカバー210の外側(軸方向Axの電動モータ30とは反対側)に屈曲させた堰部232を備える。張り出し底部233と、堰部232と、コネクタCNT本体との間には、凹状の貯留部231ができ、貯留部231に、突起部221の端部が挿入されている。
貯留部231に封止材が充填されると、貯留部231と、突起部221との間が封止され、カバー本体211と、コネクタCNTとの間には、密閉構造ができあがる。封止材は、ガスケット、接着剤、ゴムなどの弾性部材のOリングであってもよい。
上述したように、制御演算部241(図6参照)は、CAN端子Tcan及び入出力端子Tioを介して入力される操舵トルク信号T及び車速信号SV等に基づいてモータ電流指令値を算出する。したがって、CAN端子Tcan及び入出力端子Tioがノイズの影響を受け、誤った値が制御演算部241に伝達された場合には、操舵トルク信号Tとは大きく異なった補助操舵トルクが発生する可能性がある。この場合には、急にハンドルが重くなる又は軽くなる等の安全運転に支障をきたす可能性が生じる。
それに対し、本実施形態の電動駆動装置1は、外部との入出力信号を伝送するための入出力端子Tio及びCAN端子Tcanを備える。入出力端子Tioは、少なくとも一部が貫通孔412の内部に配置される。これによれば、入出力端子Tioの周囲がヒートシンク40に覆われるため、入出力端子Tioへのノイズの影響を低減することができる。また、CAN端子Tcanは、少なくとも一部が貫通孔414の内部に配置される。これによれば、CAN端子Tcanの周囲がヒートシンク40に覆われるため、CAN端子Tcanへのノイズの影響を低減することができる。したがって、制御演算部241には、ノイズによって誤った信号値が入力され難くなる。その結果、電動駆動装置1は、ノイズに起因するモータ電流指令値の変動を抑制することができる。
上述したように、制御基板25は、第1パワー基板25A及び第2パワー基板25Bに実装されたスイッチング素子252(図6参照)をオンオフ制御して電動モータ30に駆動電流を供給する。そのため、電源端子Tdc、Tgndには、スイッチングノイズを含む電流が流れる。そのため、従来の電動駆動装置は、電源端子で発生する電磁波によって信号線にノイズが生じる可能性があった。さらに、従来の電動駆動装置は、小型化が望まれているため、電源端子と信号線との距離を確保することでノイズを低減することが難しい。
それに対し、本実施形態の電動駆動装置1は、制御基板24が外部電源と電気的に接続される電源端子Tdc、Tgndを備える。電源端子Tdc、Tgndは、少なくとも一部が貫通孔410の内部に配置される。これによれば、電源端子Tdc、Tgndの周囲は、ヒートシンク40に覆われる。したがって、電源端子Tdc、Tgndから発生する電磁波がCAN端子Tcan及び入出力端子Tioにノイズを生じさせることを抑制できる。
本実施形態の電動駆動装置1は、CAN端子Tcanが保持部材24B2によって所定の距離離れて保持される。これにより、CAN端子Tcanが互いに短絡することを抑制できる。また、電動駆動装置1は、入出力端子Tioが保持部材24B3によって、所定の距離離れて保持される。これにより、入出力端子Tioが互いに短絡することを抑制できる。また、電動駆動装置1は、電源端子Tdc、Tgndが保持部材24B1によって所定の距離離れて保持される。これにより、電源端子Tdc、Tgnd短絡することを抑制できる。
本実施形態の電動駆動装置1は、図14に示すように、保持部材24B1の少なくとも一部が貫通孔410の内部に配置されている。また、電動駆動装置1は、保持部材24B2の少なくとも一部が貫通孔414の内部に配置されている。また、電動駆動装置1は、保持部材24B3の少なくとも一部が貫通孔412の内部に配置されている。このような構造により、保持部材24B1、24B2、24B3は、ヒートシンク40と干渉しない。したがって、制御基板24をヒートシンク40に近接して配置できる。その結果、電源端子Tdc、Tgnd、CAN端子Tcan及び入出力端子Tioのヒートシンク40に周囲が覆われていない部分を小さくできる。その結果、CAN端子Tcan及び入出力端子Tioへのノイズを低減できる。
本実施形態の電動駆動装置1は、貫通孔410が蓋部材60によって覆われる。また、電源端子Tdc、Tgndは、蓋部材60の孔60hを軸方向Axに貫通する。孔60hは、所定の間隔で形成されている。所定の間隔とは、電源端子Tdc、Tgndと接続されるコネクタのピッチと同じである。これによれば、電源端子Tdc、Tgndをコネクタと接続できる。
本実施形態の電動駆動装置1は、貫通孔412が蓋部材62によって覆われる。また、入出力端子Tioは、蓋部材62の孔62hを軸方向Axに貫通する。孔62hは、所定の間隔で形成されている。所定の間隔とは、入出力端子Tioと接続されるコネクタのピッチと同じである。これによれば、入出力端子Tioをコネクタと接続できる。また、電動駆動装置1は、貫通孔414が蓋部材64によって覆われる。また、CAN端子Tcanは、蓋部材64の孔64hを軸方向Axに貫通する。孔64hは、所定の間隔で形成されている。所定の間隔とは、CAN端子Tcanと接続されるコネクタのピッチと同じである。これによれば、CAN端子Tcanをコネクタと接続できる。
本実施形態の電動駆動装置1は、制御基板24がボス402と接した状態でヒートシンク40に固定される。これによれば、制御基板24は、ヒートシンク40からボス402の高さh1だけ離れて配置される。したがって、第1パワー基板25A及び第2パワー基板25Bで発生した熱がヒートシンク40を介して制御基板24に伝わることを抑制できる。その結果、制御基板24に実装された電子部品245等の劣化及び故障を抑制できる。
本実施形態の電動駆動装置1は、図14に示すように、貫通孔412と貫通孔414とを隔てる隔壁418を有する。これによれば、入出力端子Tioで発生した電磁波がCAN端子Tcanへ到達することを抑制できる。また、CAN端子Tcanで発生した電磁波が入出力端子Tioへ到達することを抑制できる。したがって、入出力端子Tio及びCAN端子Tcanのノイズを低減することができる。
本実施形態の電動駆動装置1は、第1パワー基板25A及び第2パワー基板25Bがリードフレーム基板である。また、図8に示すように、第1パワー基板25A及び第2パワー基板25Bは、軸方向Axに伸びて制御基板24と接続されるリード端子部279を備える。これによれば、リード端子部279を制御基板24のリード挿入孔248(図12参照)に挿入するだけで、第1パワー基板25A及び第2パワー基板25Bの位置決めをすることができる。
本実施形態の電動駆動装置1は、アダプタ330がカバー210の凹部210aと嵌合する凸部330cを備える。凹部210aには、封止材が配置される。これによれば、アダプタ330とカバー210とで基板組立体200を密閉できる。
本実施形態の電動パワーステアリング装置100は、入出力端子Tio及びCAN端子Tcanによって伝送される信号に基づいて、電動モータ30に供給される駆動電流を制御基板24が算出する。これによれば、電動モータ30が出力する補助操舵トルクがノイズの影響で変動することを抑制できる。