JP6955958B2 - 構造物の振動変位抑制構造 - Google Patents
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Description
この耐震補強構造における固化改良体は、鉛直方向範囲に所定深度まで造成されるとともに、水平方向範囲に構造物の上部外周よりも外側の領域まで造成されている。
このような固化改良体を造成することによって、構造物の耐震強度を高めることができ、構造物が支持している橋桁などの構造体が地震によってずれたり破損したりするトラブルを低減することができる。
そこで、本発明者らは、地震動に対する抵抗力を増加させて構造物の耐震強度を高めるのではなく、地震動に起因する構造物の振動変位を抑制することで、構造物が支持している構造体に地震による振動が作用し難くなる技術の検討を行った。
構造物が支持している構造体へ地震による振動が作用し難くなれば、その構造体が地震動の影響を受け難くなって、地震動に起因するトラブルを低減することが可能になる。
構造物を挟む配置に対を成して設けられ、杭体が結合されている変位抑制体と、
前記変位抑制体と前記構造物の間に介装された摺接体と、
前記変位抑制体を前記構造物に向けて押圧する押圧体と、
を備え、
前記押圧体はケーブル部材であり、該ケーブル部材は緊張力が付与された状態でその両端がそれぞれ前記対を成す変位抑制体に接続されているようにした。
かかる構成の構造物の振動変位抑制構造であれば、例えば、地震動によって、対を成す変位抑制体が対向する方向と交差する方向の揺れが構造物に作用した場合、構造物と変位抑制体との間に摩擦力が作用することでエネルギー吸収され、構造物の振動は増幅されることなく減衰されるので、その構造物の振動変位を抑制することができる。
また、摺接体の材料と緊張力を選定することで、構造物と変位抑制体との間に作用する摩擦力を調整することができ、構造物の振動変位を効率よく抑制する調整が可能になっている。
このように構造物の振動変位を抑制することができれば、例えば、構造物である橋脚が支持している橋桁が地震動の影響を受け難くなるので、その橋桁に角折れや目違いといった不同変位が生じ難くなり、地震動に起因する橋桁のトラブルを低減することができる。
つまり、この構造物の振動変位抑制構造は、地震動などに起因する構造物の振動変位を抑制することができ、その構造物(例えば橋脚)が支持している構造体(例えば橋桁)に不具合が生じるのを低減することができる。
特に、ケーブル部材は緊張力が付与された状態でその両端がそれぞれ対を成す変位抑制体に接続されているようにすることで、押圧体(ケーブル部材)は、その両端にそれぞれ繋がれた変位抑制体同士を引き寄せ合う力(緊張力)によって、対を成す変位抑制体をバランスよく構造物に向けて押圧することができ、構造物の両側に良好に摩擦力を作用させることができる。
構造物を挟む配置に対を成して設けられ、杭体が結合されている変位抑制体と、
前記変位抑制体と前記構造物の間に介装された摺接体と、
前記変位抑制体を前記構造物に向けて押圧する押圧体と、
を備え、
前記構造物の側面には、前記対を成す変位抑制体が対向する向きと交差する方向に所定間隔をあけて前記変位抑制体と並ぶ配置に移動規制部が設けられているようにした。
かかる構成の構造物の振動変位抑制構造であれば、例えば、地震動によって、対を成す変位抑制体が対向する方向と交差する方向の揺れが構造物に作用した場合、構造物と変位抑制体との間に摩擦力が作用することでエネルギー吸収され、構造物の振動は増幅されることなく減衰されるので、その構造物の振動変位を抑制することができる。
また、摺接体の材料と緊張力を選定することで、構造物と変位抑制体との間に作用する摩擦力を調整することができ、構造物の振動変位を効率よく抑制する調整が可能になっている。
このように構造物の振動変位を抑制することができれば、例えば、構造物である橋脚が支持している橋桁が地震動の影響を受け難くなるので、その橋桁に角折れや目違いといった不同変位が生じ難くなり、地震動に起因する橋桁のトラブルを低減することができる。
つまり、この構造物の振動変位抑制構造は、地震動などに起因する構造物の振動変位を抑制することができ、その構造物(例えば橋脚)が支持している構造体(例えば橋桁)に不具合が生じるのを低減することができる。
そして、例えば、対を成す変位抑制体が対向する方向と交差する方向の揺れが構造物に作用し、その基礎構造体が大きく揺れた場合、移動規制部が変位抑制体に突き当たりその移動が規制されることで、構造物の振動はそれ以上増幅されないようになっているので、構造物の振動変位を好適に抑制することができる。
前記変位抑制体は、前記構造物のフーチングを挟む配置に設けられているようにする。
前記変位抑制体は、前記構造物のフーチングよりも上の位置にある構造物本体を挟む配置に設けられているようにする。
前記構造物には、前記対を成す変位抑制体が対向する方向の貫通孔が形成されており、
前記ケーブル部材は、前記貫通孔に挿通されているようにする。
前記構造物は、橋桁を支持している橋脚であり、
前記対を成す変位抑制体は、前記橋桁の延在方向に沿って対向し、前記橋脚を挟む配置にあるようにする。
このように橋脚の振動変位を抑制することができれば、橋脚が支持している橋桁が地震動の影響を受け難くなるので、その橋桁に角折れや目違いといった不同変位が生じ難くなり、地震動に起因する橋桁のトラブルを低減することができる。
鉄筋コンクリート製の橋脚1は、構造物本体である橋脚本体1aと、橋脚1の下部に設けられたフーチング1bを備えて構成されており、橋脚1のフーチング1bには支持層Sまで達する複数の杭1cが結合されている。
この橋脚1上に沓3を介して橋桁2が設置されており、その橋桁2を橋脚1が支持している。
なお、橋脚1に支持されている橋桁2にはその延在方向に沿って、例えば鉄道の軌道が敷設されている。
実施形態1の構造物の振動変位抑制構造100は、例えば、図1(a)(b)(c)に示すように、橋脚1を挟む配置に対を成して設けられた変位抑制体10と、変位抑制体10と橋脚1の間に介装された摺接体20と、変位抑制体10を橋脚1に向けて押圧する押圧体30等を備えている。
特に、対を成す変位抑制体10は、橋桁2の延在方向に沿って対向する配置に設けられており、その橋桁2の延在方向に沿って橋脚1(フーチング1b)を挟んでいる。
この変位抑制体10には、支持層Sまで達する杭体11が結合されている。
なお、変位抑制体10を地中に埋設することで、橋桁2下の用地を平坦に維持することができるので、その橋桁2下の用地を活用することが可能になっている。
この摺接体20は、変位抑制体10と橋脚1(フーチング1b)の間に適正な摩擦力が作用するよう調整するために配設されている。
摺接体20としては、例えば、コンクリート製の板状部材や、金属製の板状部材、あるいは樹脂製の板状部材を用いることができる。摺接体20の材料を選択することで、橋脚1と変位抑制体10との間に作用する摩擦力を調整することができる。
本実施形態では、変位抑制体10と橋脚1(フーチング1b)の間に、それぞれ1枚の摺接体20を設置しているが、2枚以上の摺接体20を設置して摩擦力の調整を行うようにしてもよい。その際、異なる材質の摺接体20を重ねて設置してもよい。
ここでの押圧体30は、一端が一方の変位抑制体10に繋がれ、他端が他方の変位抑制体10に繋がれているケーブル部材であり、ケーブル部材には両端に繋がれた変位抑制体10同士を引き寄せ合う緊張力が掛けられている。換言すれば、この押圧体30は、緊張力が付与された状態でその両端がそれぞれ対を成す変位抑制体10に接続されている。
このようなケーブル状の押圧体30であれば、対を成す変位抑制体10をバランスよく橋脚1のフーチング1bに向けて押圧することができる。
なお、押圧体30(ケーブル部材)の端部には固定板31が固設されており、押圧体30と変位抑制体10とを繋いでいる。
また、ここでの緊張力は必要とする摩擦力に応じて、摺接体20の材質と緊張力により決定する。
つまり、実施形態1の構造物の振動変位抑制構造100は、地震動などに起因する橋脚1の振動変位を抑制することができ、その橋脚1が支持している橋桁2に生じる不具合を低減することができる。
次に、本発明に係る構造物の振動変位抑制構造の実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
特に、対を成す変位抑制体10は、橋桁2の延在方向に沿って対向する配置に設けられており、その橋桁2の延在方向に沿って橋脚1の橋脚本体1a(構造物本体)を挟んでいる。
この摺接体20は、変位抑制体10と橋脚1(橋脚本体1a)の間に適正な摩擦力が作用するよう調整するために配設されている。
このように、実施形態2の構造物の振動変位抑制構造100は、地震動などに起因する橋脚1の振動変位を抑制することができ、その橋脚1が支持している橋桁2に生じる不具合を低減することができる。
次に、本発明に係る構造物の振動変位抑制構造の実施形態3について説明する。なお、実施形態2(実施形態1)と同一部分には同符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
この押圧体30(ケーブル部材)は、張力が付与された状態でその両端がそれぞれ対を成す変位抑制体10に接続されている。
また、橋脚1の橋脚本体1aには、対を成す変位抑制体10が対向する方向であって、橋桁2の延在方向に沿う貫通孔1dが形成されている。
特に、橋桁2の延在方向と交差する方向に橋脚1が大きく揺れた場合、押圧体30(ケーブル部材)が貫通孔1dの内周面に押されるように伸ばされるので、その押圧体30(ケーブル部材)が復元する緊張力によっても橋脚1の振動が減衰されるようになって、橋脚1の振動変位を好適に抑制することができる。
このように、実施形態3の構造物の振動変位抑制構造100は、地震動などに起因する橋脚1の振動変位を抑制することができ、その橋脚1が支持している橋桁2に生じる不具合を低減することができる。
次に、本発明に係る構造物の振動変位抑制構造の実施形態4について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
本実施形態では、橋桁2の延在方向に沿う向きで対を成すように、一対の移動規制部1eがフーチング1bの両側面にそれぞれ固設されている。
具体的には、移動規制部1eは、対を成す変位抑制体10が対向する向きと交差する方向であって、橋桁2の延在方向と交差する方向に、所定間隔をあけて変位抑制体10と並ぶ配置に設けられている。
本実施形態では、橋桁2の延在方向に沿う向きで対を成すように、二組の変位抑制体10が設けられている。そして、フーチング1bの一方の側面の移動規制部1eの両側に所定間隔をあけて変位抑制体10が設けられ、フーチング1bの他方の側面の移動規制部1eの両側に所定間隔をあけて変位抑制体10が設けられている。
実施形態4での押圧体30は、その一端部が移動規制部1eに固定され、他端部に固定板31が固設されており、この押圧体30には固定板31を移動規制部1eに向けて引き寄せるテンションが掛けられている。
そして、この押圧体30が固定板31を移動規制部1eに引き寄せるように、固定板31を変位抑制体10に向けて引き寄せて、その変位抑制体10を橋脚1のフーチング1bに向けて押圧するようになっている。
特に、固定板31と変位抑制体10の間にも摺接体20が介装されており、変位抑制体10と固定板31の間に適正な摩擦力が作用するように設計されている。
特に、橋桁2の延在方向と交差する方向に橋脚1が大きく揺れた場合、移動規制部1eが変位抑制体10に突き当たりその移動が規制されることで、橋脚1の振動はそれ以上増幅されないようになっているので、橋脚1の振動変位を抑制することができる。
このように、実施形態4の構造物の振動変位抑制構造100は、地震動などに起因する橋脚1の振動変位を抑制することができ、その橋脚1が支持している橋桁2に生じる不具合を低減することができる。
1a 橋脚本体(構造物本体)
1b フーチング
1c 杭
1d 貫通孔
1e 移動規制部
1f あと施工アンカー
2 橋桁
3 沓
10 変位抑制体
11 杭体
20 摺接体
30 押圧体(ケーブル部材)
31 固定板
100 構造物の振動変位抑制構造
S 支持層
Claims (6)
- 構造物を挟む配置に対を成して設けられ、杭体が結合されている変位抑制体と、
前記変位抑制体と前記構造物の間に介装された摺接体と、
前記変位抑制体を前記構造物に向けて押圧する押圧体と、
を備え、
前記押圧体はケーブル部材であり、該ケーブル部材は緊張力が付与された状態でその両端がそれぞれ前記対を成す変位抑制体に接続されていることを特徴とする構造物の振動変位抑制構造。 - 構造物を挟む配置に対を成して設けられ、杭体が結合されている変位抑制体と、
前記変位抑制体と前記構造物の間に介装された摺接体と、
前記変位抑制体を前記構造物に向けて押圧する押圧体と、
を備え、
前記構造物の側面には、前記対を成す変位抑制体が対向する向きと交差する方向に所定間隔をあけて前記変位抑制体と並ぶ配置に移動規制部が設けられていることを特徴とする構造物の振動変位抑制構造。 - 前記構造物には、前記対を成す変位抑制体が対向する方向の貫通孔が形成されており、
前記ケーブル部材は、前記貫通孔に挿通されていることを特徴とする請求項1に記載の構造物の振動変位抑制構造。 - 前記変位抑制体は、前記構造物のフーチングを挟む配置に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の構造物の振動変位抑制構造。
- 前記変位抑制体は、前記構造物のフーチングよりも上の位置にある構造物本体を挟む配置に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の構造物の振動変位抑制構造。
- 前記構造物は、橋桁を支持している橋脚であり、
前記対を成す変位抑制体は、前記橋桁の延在方向に沿って対向し、前記橋脚を挟む配置にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の構造物の振動変位抑制構造。
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