JP3032716B2 - コンクリート橋脚の補強方法及び緊張材の定着方法 - Google Patents

コンクリート橋脚の補強方法及び緊張材の定着方法

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JP3032716B2
JP3032716B2 JP8189893A JP18989396A JP3032716B2 JP 3032716 B2 JP3032716 B2 JP 3032716B2 JP 8189893 A JP8189893 A JP 8189893A JP 18989396 A JP18989396 A JP 18989396A JP 3032716 B2 JP3032716 B2 JP 3032716B2
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和道 佐々木
保久 藤原
一清 玉置
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日本道路公団
住友建設株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、既存のコンクリ
ート橋脚を補強して耐震性に優れたものとするコンクリ
ート橋脚の補強方法、及び上記補強方法での使用に適し
た緊張材の定着方法、に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現代社会においては、道路、鉄道等の交
通手段の重要性がますます増大するのにともない、橋梁
等の橋造物の耐震性もより大きなものが要求される。こ
のため、橋脚等の橋造物の設計規準の見直しも行われ、
大きな地震にも耐え得る構造に設計されるようになって
いる。しかし、既存の構造物の中には、その構築当時の
規準により設計されたために充分な耐震性を有しないも
のがある。このような構造物は現在の規準によって照査
すると、大きな地震が生じたときに重大な損傷を受ける
おそれがあり、早急に補強する必要が生じている。
【0003】このような状況において、耐震性が不足す
る橋脚の補強工事が行われており、従来から広く用いら
れている方法として、 橋脚の外周面に鋼板を巻き立
てる方法 橋脚の外周面にコンクリートを巻き立て、
部材寸法を増大する方法がある。上記に記載した鋼板
を巻き立てる方法は、図9に示すように、橋脚の柱状部
分101の周面を囲むように鋼板102を巻き立て、橋
脚コンクリート101aとの間に樹脂103又はモルタ
ル等を注入して一体化する工法である。このような補強
方法では鋼板102で周面を拘束するので、コンクリー
トの剥落又は鉄筋が外側に膨らみ出すのを防止すること
ができ、破壊までの変形量が増大する。また、水平方向
の地震動によって生じるせん断力に対して鋼板自体が抵
抗し、せん断耐力が向上する。
【0004】一方、上記に記載したコンクリートを巻
き立てる方法は、コンクリート橋脚の回りを囲むように
鉄筋コンクリート部材を打ちたし、一体化させて補強す
るものである。この方法では、上記鋼板を巻き立てる方
法と同様に橋脚を周囲から拘束するとともに、部材断面
を増大して地震時に生じる応力度の低減を図ることがで
きる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の技術では次のような問題点がある。コンク
リートの橋脚は、図9に示すような正方形に近い断面又
は円形の断面の支柱を有するものだけではなく、橋梁の
軸線方向の寸法(図10中に示すL1 )に対して、軸線
と直角方向の寸法(図10中に示すL2 )が大きい断面
形状の橋脚がある。つまり橋脚の躯体が壁状となってい
るもので、幅員が大きい高速道路の高架橋等で多く用い
られている。このようなコンクリート橋脚では、上記の
ように鋼板を巻き立てる方法やコンクリートを巻き立て
る方法で補強を行っても、橋梁の軸線と直角方向の面で
コンクリートの躯体を拘束する効果は小さく、曲げ破壊
に至るまでの変形すなわちエネルギーの吸収量はさほど
大きくはならない。また、巻き立てた鋼板、又はコンク
リートのみでは橋梁の軸線方向へのせん断破壊に対して
抵抗する部材の増加はわずかであり、充分なせん断抵抗
力を得ることは難しい。
【0006】上記問題点のうち、周面の拘束力が不足す
る点に対して、巻き立てる鋼板の厚さを増大したり、リ
ブを付加すること、又は巻き立てるコンクリートの厚さ
を増大することも考えられる。しかし、鋼板厚の増大や
リブの付加によって重量が大きくなり、施工性が著しく
悪くなる。複数のブロックに分割して建て込み、接合す
るとしても、現場での溶接作業が多くなり、コストも多
大となる。また、巻き立てるコンクリートの厚さを大き
くすると重量が増大し、基礎の耐力が不足する場合が生
じる。さらに橋脚断面の増加によって桁下空間の利用に
支障が生じる場合もある。
【0007】一方、巻き立てた鋼板又は鉄筋コンクリー
トによる拘束効果を大きくするために、図11に示すよ
うに、壁状のコンクリート躯体111の厚さ方向(橋梁
の軸線方向)に貫通孔を穿設し、鉄筋を配置するか又は
PC鋼材112を挿通してプレストレスを導入すること
が考えられる。しかし、鉄筋を配置する場合には、この
鉄筋と鋼板とを接合しなければ拘束効果は大きくなら
ず、それぞれの鉄筋を鋼板と接合する作業が必要とな
る。また、鉄筋では強度が小さく充分な補強効果を得る
ために数多くの鉄筋を配置する必要が生じ、削孔のため
にかえってコンクリート躯体を損傷してしまうおそれも
ある。
【0008】PC鋼材を用いてプレストレスを導入する
場合には、PC鋼材112の長さが小さいために鋼材の
伸びが少なく、確実にプレストレスを導入することが難
しいという問題がある。また、コンクリートの乾燥収縮
やクリープによる緊張力の低減量が大きく、プレストレ
スの信頼性が乏しくなる。さらに、PC鋼材の定着具1
13が躯体111の側面に突出し、防錆処理が必要とな
るし、外観も著しく損なわれる。また、定着具が突出す
ることによって桁下空間の利用に支障が生じることもあ
る。
【0009】本願発明は上記のような事情に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、既存の壁状のコンクリー
ト橋脚の耐震性を有効に増大することができるコンクリ
ート橋脚の補強方法、及びこの補強方法での使用に適し
た緊張材の定着方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本願の請求項1に記載の発明は、 コンクリート
橋脚の躯体にほぼ水平方向の複数の貫通孔を穿設する工
程と、 前記貫通孔の位置と対応する開口を備えた鋼板
を、前記コンクリート橋脚の躯体の側面に沿って設置す
る工程と、 前記躯体とこの躯体を支持するフーチング
との接合部に、前記鋼板の外側に密接してコンクリート
を追加打設するとともに、前記貫通孔を穿設した位置に
は、該貫通孔と連続し、追加打設したコンクリートを貫
通するダクトを設ける工程と、 非金属繊維を主材とす
る緊張材を、前記貫通孔及びダクト内に挿通し、該緊張
材の少なくとも一端から、緊張力を導入して仮定着する
工程と、 前記緊張材に緊張力を導入した状態で、前記
ダクト内又は前記ダクト内と前記貫通孔内にグラウトを
充填し、追加打設したコンクリートと前記緊張材と を一
体化する工程と、 前記グラウトの硬化後、前記仮定着
を解放して、前記追加打設したコンクリートと前記緊張
材との付着力を介して、前記コンクリート橋脚の躯体に
プレストレスを導入する工程と、を含むコンクリート橋
脚の補強方法を提供するものである。
【0011】なお、上記仮定着を解放する工程は、定着
具を除去することによって行ってもよいし、仮定着部と
躯体のコンクリート面との間で緊張材を切断することに
よって行ってもよい。
【0012】上記非金属繊維には、炭素繊維、ガラス繊
維の他、アラミド繊維、ビニロン繊維等の有機繊維等が
含まれ、鋼材よりも弾性係数の小さい材料の繊維であ
る。そして上記緊張材としては、これらの繊維を束ね、
結合用の樹脂等によってロッド状にしたものや、線状材
にしてより合わせたもの等を用いることができる。
【0013】このような補強方法では、コンクリートの
躯体の下端付近に穿設したほぼ水平方向の貫通孔に緊張
材を挿通し、緊張力を導入して既存の橋脚の下端付近に
水平方向のプレストレスを導入することができる。これ
により、地震等によって橋脚の下端部に生じる大きなせ
ん断力に対して、大きな抵抗力を有することになる。ま
た、この緊張材の張力は、追加打設されたコンクリート
を介して、橋脚の躯体に作用し、コンクリートの表面を
抑えるので、コンクリートの表面が剥離したり、主鉄筋
が外側へ膨らみ出したりするのを有効に抑制することが
できる。したがって、橋脚の下端に大きな曲げモーメン
トが作用したときにも、破壊までのエネルギーの吸収量
が増大して耐震性が向上する。
【0014】また、緊張材として非金属繊維を主材とす
るものを用いているので、弾性係数が小さく、伸び量が
大きくなって、コンクリートの躯体にプレストレスを導
入するときに、緊張材が短くても緊張力の管理が容易と
なり、確実に所定のプレストレスを導入することができ
る。また、コンクリートの乾燥収縮やクリープによる緊
張力の低減量が少なく、長期にわたって確実に所定のプ
レストレスが維持され る。したがって、壁状の橋脚であ
ってもせん断耐力を有効に増大させることができる。
【0015】上記緊張材は、特に、アラミド繊維を主材
とするロッドであって、そ周面に螺旋状又は環状の凸部
が形成されているものが望ましい。上記アラミド繊維を
主材とするロッドは大きな引張強度を有するとともに、
弾性係数がPC鋼材の1/3〜1/4程度と小さくなっ
ているので、プレストレス導入時の緊張材の伸びが大き
く、有効にプレストレスが導入される。
【0016】また、このロッドの外周面には環状又はら
せん状の凸部が設けられているので、このロッドの周囲
グラウト材が充填されて一体となったときに、ロッド
グラウト材との間に大きな付着力が働くとともに、凸
部が硬化したグラウト材等に係止されるように作用し、
強固に一体化される。したがってロッドの緊張力は端部
から短い範囲でコンクリートに伝達され、コンクリート
の躯体の広い範囲で有効にプレストレスが作用すること
になる。
【0017】さらに、この緊張材は、緊張力が導入され
た状態でコンクリートと付着し、一体化されているの
で、緊張力は付着力によってコンクリートに伝達され
る。つまり、いわゆるプレテンション方式と同様に緊張
材がコンクリートに定着されているので、緊張材の端部
に鋼プレート、くさび等の定着具を用いる必要がなく、
コンクリート橋脚の側面に突出部分等を生じない。
【0018】請求項2に記載の発明は、 コンクリート
橋脚の躯体にほぼ水平方向の複数の貫通孔を穿設する工
程と、 前記貫通孔の位置と対応する開口を備えた鋼板
を、前記コンクリート橋脚の躯体の側面に沿って設置す
る工程と、 非金属繊維を主材とする緊張材を前記貫通
孔のそれぞれに挿通し、一端付近に外側への張り出し部
有し、金属からなる筒状部材を前記緊張材に外挿する
とともに、該筒状部材を他端から前記貫通孔内に挿入す
る工程と、 前記緊張材の少なくとも一端から緊張力を
導入し、仮定着する工程と、 前記筒状部材の張り出し
部を前記鋼板の外面に当接した状態で、少なくとも該筒
状部材内にグラウト材を充填し、これを硬化させて該筒
状部材の内面とグラウト材と、及びグラウト材と緊張力
が導入された前記緊張材とを付着させ、一体化する工程
と、 前記緊張材の仮定着を解放する工程とを含むこと
を特徴とするコンクリート橋脚の補強方法を提供するも
のである。
【0019】この補強方法では、コンクリート橋脚の躯
体を貫通するように配置された緊張材は、引張力が導入
され仮定着された状態で、グラウト材を介して筒状部材
と一体化される。そして、仮定着が解放されると引張力
は、筒状部材の張り出し部からこれが当接された鋼板を
介してコンクリートの躯体に伝達され、水平方向のプレ
ストレスが導入される。このとき緊張材と結合された筒
状部材の張り出し部がコンクリート躯体の外側面に建て
込まれた鋼板に係止されているので、この鋼板をコンク
リート面に強く押し付けることになり、コンクリートの
外側面が膨らみ出そうとするときに、これを強く拘束す
ることになる。したがってせん断に対する補強効果とと
もに曲げ破壊に対しても大きな補強効果が得られる。な
お、非金属繊維を主材とする緊張材を用いることによっ
確実に所定のプレストレスを導入でき、長期にわたっ
て維持される点は、請求項1に記載の発明と同じであ
る。
【0020】請求項3に記載の発明は、 コンクリート
部材内に設けられたダクトに緊張材を挿通し、この緊張
材に引張力を導入するとともに、前記ダクトが開口する
コンクリート部材の定着端面付近でこの緊張材をコンク
リート部材に定着する緊張材の定着方法であって、 一
端付近に外側への張り出し部を有する筒状部材を、前記
ダクト内に挿通された緊張材に外挿するとともに、定着
端面における前記ダクトの開口から、該筒状部材の他端
を該ダクト内に挿入し、前記張り出し部を前記定着端面
に当接する工程と、 前記緊張材に引張力を導入し、仮
定着する工程と、 少なくとも前記筒状部材内にグラウ
ト材を充填して該筒状部材と前記緊張材とを一体化する
工程と、 前記仮定着を解放する工程とを含むものであ
る。
【0021】この緊張材の定着方法では、引張力が導入
され仮定着された緊張材とこれに外挿された筒状部材と
はグラウト材によって一体化され、緊張材の仮定着を解
放することによって、筒状部材の張り出し部がコンクリ
ート部材の定着端面に係止される。したがって、緊張材
はこの筒状部材の張り出し部を介してコンクリートに定
着され、プレストレスが導入される。
【0022】このとき緊張材を定着するためのくさびや
ナットを用いないので定着具が定着端面より大きく突出
することがない。また、周面の付着によって緊張材を筒
状部材と結合するのでアラミド繊維や炭素繊維を主材と
するロッド等を緊張材として用いたときにも、これらの
緊張材に機械的な損傷を与えることがなく緊張材の定着
部が弱点となることもない。さらに、筒状部材の内面に
複数の凸部又は凹部を設けたり、内面を粗く仕上げるこ
とによって緊張材と筒状部材の結合をより強固にし、確
実に緊張材を定着することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本願に係る発明の実施の形
態を図に基づいて説明する。図1は、請求項1又は請求
項2に記載の発明の一実施形態であるコンクリート橋脚
の補強方法によって補強が施される橋脚を示す概略図で
あり、(a)図は正面図、(b)図は側面図である。
の橋脚は鉄筋コンクリートからなり、フーチング21
と、この上に立ち上げられた躯体22とを有し、躯体の
上端で沓23を介して橋桁24を支持するものである。
上記躯体22の断面形状は橋梁の軸線方向の寸法より軸
線と直角方向の寸法が著しく大きく、壁状の構造体とな
っており、コンクリート内にフーチング21から連続し
て立ち上げられた主筋と水平方向の帯筋とが配置されて
いる。
【0024】本実施形態の補強方法は、上記ような橋脚
の耐震性を向上させるためのものであり、次のように行
なわれる。 まず、橋脚の躯体22に、橋梁の軸線方向に
水平な貫通孔22a,22bを穿設した後、図1に示す
ように躯体22を囲むように鋼板31を設置する。この
鋼板31には、図2又は図3に示すように、穿設した貫
通孔22a,22bと対応する位置に開口が設けられて
いる。この鋼板31と躯体22のコンクリートとの間隙
にはモルタル等が注入され、一体化される。また、躯体
22のフーチング21との接合部には、鋼板31の周り
を囲むようにさらに鉄筋コンクリート部材32が追加打
設される。この鉄筋コンクリート部材32は、フーチン
グ21に穿設された穴に挿入して定着された鉄筋(図示
しない)によってフーチングと一体化されている。な
お、この鉄筋コンクリート部材32を打設する部分の貫
通孔22bは、図3に示すように、あらかじめ型枠内に
設置されたシース等により、この鉄筋コンクリート部材
32を貫通するように設けられたダクトと連続してい
る。
【0025】次に、上記貫通孔22aに緊張材25が挿
通され、さらに図4(a)に示すように、定着治具であ
る筒状部材33が緊張材25に外挿されるとともに、躯
体コンクリートの側面から貫通孔22a内に挿入され
る。この緊張材25はアラミド繊維を樹脂バインダーで
固めてロッド状にし、周面にはらせん状の凸部を設けた
ものであり、部材厚(橋梁の軸線方向の寸法)のほぼ1
/2より小さいピッチで複数配置されている。また、上
記筒状部材33は、図4(b)に示すように、金属性の
円筒33bの一端に外側へ張り出すフランジ33aを有
するものであり、貫通孔内へ他端から挿入されたとき
に、このフランジ33aが鋼板31と当接するようにな
っている。
【0026】上記緊張材25は、一端からジャッキ29
によって緊張力が導入され、台座28を介して仮定着さ
れる[図5(a)]。これにより、躯体22のコンクリ
ートにプレストレスが導入される。さらに、貫通孔内に
グラウトポンプ30からグラウト材が注入される。この
とき、貫通孔の全長にわたってグラウトを施すのが望ま
しいが、筒状部材33内だけにグラウトを行ってもよ
い。上記グラウト材26が硬化した後、図6に示すよう
に、緊張材25を筒状部材33の端面に合わせて切断
し、仮定着を解放する。
【0027】一方、躯体下端部の鉄筋コンクリート部材
32を追加打設した部分は、図7に示すように、筒状部
材を用いず、グラウト材26によって追加打設したコン
クリート32と緊張材25とを一体化し、この部分を介
して躯体22のコンクリートにプレストレスを導入す
る。
【0028】このプレストレスを導入する工程は、次の
ように行なわれる。 図8(a)に示すように、緊張材2
5を貫通孔に挿通する。この緊張材は、図8(b)に示
すように、一端を定着具7で保持し、仮定着用の台座8
aを介して鉄筋コンクリート部材32に反力を取らせる
とともに、他端からジャッキ9によって引張力を導入す
る。そして、台座8bを介して仮定着する。この状態
で、図8(c)に示すように、グラウトポンプ10を用
いて貫通孔内にグラウトを施し、緊張材25と鉄筋コン
クリート部材32とを強固に一体化させる。このとき、
グラウト材としては高強度モルタルや無収縮モルタルを
用いることができる。また、エポキシ樹脂等を用いても
よい。グラウト材6が硬化した後、図8(d)に示すよ
うに、仮定着を解放し、緊張材25を鉄筋コンクリート
部材32の端面に合わせて切断して完成する。上記仮定
着の解放は、定着具を除去することによって行ってもよ
いし、仮定着部と鉄筋コンクリート部材32の面との間
緊張材を切断することによって行ってもよい。
【0029】なお、上記コンクリート橋脚の補強方法
おける筒状部材33を用いた緊張材25の定着方法は、
請求項3、請求項4又は請求項5に記載の発明の一実施
形態でもある。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
発明に係るコンクリート橋脚の補強方法では、橋脚の下
端付近にほぼ水平方向に貫通して配置された緊張材に張
力を導入し、追加打設されたコンクリートを介して水平
方向にプレストレスを導入することによって、せん断破
壊及び曲げ破壊に対して充分な耐力を有するものとする
ことができる。また、緊張材は弾性係数が小さいので部
材の寸法が小さい場合にも、確実に有効なプレストレス
を導入することができる。
【0031】請求項2に記載の発明に係るコンクリート
橋脚の補強方法では、橋脚が壁状の構造となっていて部
材厚が小さい既存の橋脚に対しても、有効にプレストレ
スを導入し、せん断破壊及び曲げ破壊に対する耐力を増
大することができる。また、橋脚の躯体の周面をより強
固に拘束することができ、コンクリートの剥離や主筋が
膨らみ出すのを有効に防止して、既存の橋脚の耐震性能
を大きく向上させることができる。
【0032】請求項3、請求項4又は請求項5に記載の
発明に係る緊張材の定着方法では、くさびやナットを用
いることなく緊張材をコンクリート部材に定着すること
ができる。したがって炭素繊維やアラミド繊維等を主材
とする緊張材を用いても、定着部が弱点となることを回
避することができ、さらにプレストレスを定着端面から
導入することができ、プレストレスが有効に作用する範
囲を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1又は請求項2に記載の発明の一実施形
態であるコンクリート橋脚の補強方法の一工程を示す図
であって、既存の橋脚に削孔及び鋼板の建て込みを行な
った状態を示す図である。
【図2】図1に示すコンクリート橋脚の部分拡大断面図
である。
【図3】図1に示すコンクリート橋脚の部分拡大断面図
である。
【図4】請求項2に記載の発明の一実施形態であるコン
クリート橋脚の補強方法の一工程を示す図であって、緊
張材の定着治具である筒状部材を装着した状態を示す拡
大断面図及び上記筒状部材の概略斜視図である。
【図5】請求項2に記載の発明の一実施形態であるコン
クリート橋脚の補強方法の一工程を示す図であって、緊
張材への引張力の導入及びグラウトの注入を行なう工程
を示す図である。
【図6】請求項2に記載の発明の一実施形態であるコン
クリート橋脚の補強方法が施された橋脚の部分拡大断面
図である。
【図7】請求項1に記載の発明の一実施形態であるコン
クリート橋脚の補強方法が施された橋脚の部分拡大断面
図である。
【図8】請求項1に記載の発明の一実施形態であるコン
クリート橋脚の補強方法の一工程を示す図であって、緊
張材への引張力の導入及びグラウトの注入を行なう工程
を示す図である。
【図9】従来から知られているコンクリート橋脚の耐震
補強方法を示す概略図及びこの補強が行なわれた橋脚の
平断面図である。
【図10】従来の補強方法では問題点が生じる橋脚の形
状を示す概略図である。
【図11】図10に示す橋脚の平断面図である。
【符号の説明】 21 フーチング 22 躯体 23 沓 24 橋桁 25 緊張材 6,26 グラウト材 7 定着具 8,28 台座 9,29 ジャッキ 10,30 グラウトポンプ 31 鋼板 32 鉄筋コンクリート部材 33 筒状部材
フロントページの続き (72)発明者 川上 哲治 千葉県船橋市海神6丁目15番15号301 (72)発明者 熊谷 紳一郎 東京都新宿区荒木町13番地の4 住友建 設株式会社内 (72)発明者 佐々木 和道 北海道札幌市中央区大通西10丁目4番16 号 住友建設株式会社北海道支店内 (72)発明者 藤原 保久 東京都新宿区荒木町14番地 住友建設株 式会社東京支店内 (72)発明者 玉置 一清 東京都新宿区荒木町13番地の4 住友建 設株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−69965(JP,A) 特開 平5−5365(JP,A) 特開 平8−158315(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E01D 19/02 E01D 21/00 E04C 5/08 E04G 21/12 104

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート橋脚の躯体にほぼ水平方
    向の複数の貫通孔を穿設する工程と、 前記貫通孔の位置と対応する開口を備えた鋼板を、前記
    コンクリート橋脚の躯体の側面に沿って設置する工程
    と、 前記躯体とこの躯体を支持するフーチングとの接合部
    に、前記鋼板の外側に密接してコンクリートを追加打設
    するとともに、前記貫通孔を穿設した位置には、該貫通
    孔と連続し、追加打設したコンクリートを貫通するダク
    トを設ける工程と、 非金属繊維を主材とする緊張材を、前記貫通孔及びダク
    ト内に挿通し、該緊張材の少なくとも一端から、緊張力
    を導入して仮定着する工程と、 前記緊張材に緊張力を導入した状態で、前記ダクト内又
    は前記ダクト内と前記貫通孔内にグラウトを充填し、追
    加打設したコンクリートと前記緊張材とを一体化する工
    程と、 前記グラウトの硬化後、前記仮定着を解放して、前記追
    加打設したコンクリートと前記緊張材との付着力を介し
    て、前記コンクリート橋脚の躯体にプレストレスを導入
    する工程と、を含むことを特徴とするコンクリート橋脚
    の補強方法。
  2. 【請求項2】 コンクリート橋脚の躯体にほぼ水平方
    向の複数の貫通孔を穿設する工程と、 前記貫通孔の位置と対応する開口を備えた鋼板を、前記
    コンクリート橋脚の躯体の側面に沿って設置する工程
    と、 非金属繊維を主材とする緊張材を前記貫通孔のそれぞれ
    に挿通し、一端付近に外側への張り出し部を有し、金属
    からなる筒状部材を前記緊張材に外挿するとともに、該
    筒状部材を他端から前記貫通孔内に挿入する工程と、 前記緊張材の少なくとも一端から緊張力を導入し、仮定
    着する工程と、 前記筒状部材の張り出し部を前記鋼板の外面に当接した
    状態で、少なくとも該筒状部材内にグラウト材を充填
    し、これを硬化させて該筒状部材の内面とグラウト材
    と、及びグラウト材と緊張力が導入された前記緊張材と
    を付着させ、一体化する工程と、 前記緊張材の仮定着を解放する工程とを含むことを特徴
    とするコンクリート橋脚の補強方法。
  3. 【請求項3】 コンクリート部材内に設けられたダク
    トに緊張材を挿通し、この緊張材に引張力を導入すると
    ともに、前記ダクトが開口するコンクリート部材の定着
    端面付近でこの緊張材をコンクリート部材に定着する緊
    張材の定着方法であって、 一端付近に外側への張り出し部を有する筒状部材を、前
    記ダクト内に挿通された緊張材に外挿するとともに、定
    着端面における前記ダクトの開口から、該筒状部材の他
    端を該ダクト内に挿入し、前記張り出し部を前記定着端
    面に当接する工程と、 前記緊張材に引張力を導入し、仮定着する工程と、 少なくとも前記筒状部材内にグラウト材を充填して該筒
    状部材と前記緊張材とを一体化する工程と、 前記仮定着を解放する工程とを含むことを特徴とする緊
    張材の定着方法。
  4. 【請求項4】 請求項3 に記載の緊張材の定着方法に
    おいて、 前記筒状部材は、 内周面に、複数の凸部又は凹部を有
    するものを用いることを特徴とする緊張材の定着方法。
  5. 【請求項5】 請求項3 に記載の緊張材の定着方法に
    おいて、 前記筒状部材は、 内周面が、グラウト材との付着力を
    増大するように粗く仕上げられているものを用いること
    を特徴とする緊張材の定着方法。
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