以下、図面を参照し、本発明の車両制御装置、車両制御方法、及びプログラムの実施形態について説明する。
<実施形態>
[全体構成]
図1は、実施形態の車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両(以下、自車両Mと称する)は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせを含む。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、ファインダ14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、運転操作子80と、自動運転制御装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離及び方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置及び速度を検出してもよい。
ファインダ14は、LIDAR(Light Detection and Ranging)である。ファインダ14は、自車両Mの周辺に光を照射し、散乱光を測定する。ファインダ14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。ファインダ14は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12及びファインダ14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12及びファインダ14の検出結果をそのまま自動運転制御装置100に出力してよい。車両システム1から物体認識装置16が省略されてもよい。
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi−Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。通信装置20は、「通信部」の一例である。
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に第1地図情報54を保持している。
GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。
ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。
経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。地図上経路は、MPU60に出力される。
ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61を含み、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された地図上経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロック毎に推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、地図上経路に分岐箇所が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報或いは車線の境界の情報、車線の種別の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。
運転操作子80は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール、異形ステア、ジョイスティックその他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量或いは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、自動運転制御装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210及びステアリング装置220のうち一部または全部に出力される。
自動運転制御装置100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部160と、記憶部180とを備える。第1制御部120と、第2制御部160とのそれぞれは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め自動運転制御装置100の記憶部180に格納されていてもよいし、DVDやCD−ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶部180にインストールされてもよい。
記憶部180は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)などにより実現される。記憶部180は、例えば、プロセッサによって読み出されて実行されるプログラムを格納する。
図2は、第1制御部120及び第2制御部160の機能構成図である。第1制御部120は、例えば、認識部130と、行動計画生成部140とを備える。認識部130は、例えば、他車両認識部131と、乗員認識部132と、接触可能性判定部133とを備える。行動計画生成部140は、例えば、接触回避運転制御部141と、通信制御部142とを備える。また、接触可能性判定部133と、接触回避運転制御部141と、第2制御部160とを合わせたものが、「運転制御部」の一例である。
第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示などがある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現されてよい。これによって、自動運転の信頼性が担保される。
認識部130は、カメラ10、レーダ装置12及びファインダ14から物体認識装置16を介して入力された情報に基づいて、自車両Mの周辺状況を認識する。具体的には、認識部130は、自車両Mの周辺にある物体の位置及び速度、加速度等の状況を認識する。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、表現された領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、或いは「行動状態」(例えば車線変更をしている又はしようとしているか否か)を含んでもよい。
また、認識部130は、例えば、自車両Mが走行している車線(走行車線)を認識する。例えば、認識部130は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。なお、認識部130は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレールなどを含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。また、認識部130は、一時停止線、障害物、赤信号、料金所、その他の道路事象を認識する。
認識部130は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。認識部130は、例えば、自車両Mの基準点の車線中央からの乖離及び自車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自車両Mの相対位置及び姿勢として認識してもよい。これに代えて、認識部130は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
また、認識部130は、上記の認識処理において、認識精度を導出し、認識精度情報として行動計画生成部140に出力してもよい。例えば、認識部130は、一定期間において、道路区画線を認識できた頻度に基づいて、認識精度情報を生成する。認識部130の他車両認識部131、乗員認識部132及び接触可能性判定部133の機能については、後述する。
行動計画生成部140は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、自車両Mの周辺状況に対応した自動運転が実行されるように、自車両Mが将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば、0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。行動計画生成部140の接触回避運転制御部141及び通信制御部142の機能については、後述する。
第2制御部160は、例えば、取得部162と、速度制御部164と、操舵制御部166とを備える。取得部162は、行動計画生成部140、または、接触回避運転制御部141により生成された目標軌道の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。速度制御部164は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。操舵制御部166は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部164および操舵制御部166の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部166は、自車両Mの前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機等の組み合わせと、これらを制御するECUとを備える。ECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
[障害物の接触回避運転制御について]
以下、他車両も含めた障害物の接触回避運転制御について説明する。他車両認識部131は、認識部130によって認識された自車両Mの周辺を移動する障害物のうち、走行する他車両を認識する。障害物は、例えば、移動体であるが、静止している物体を含んでもよい。具体的には、障害物は、他車両、歩行者、自転車、動物、物体、或いは、全自動または操縦により移動可能なロボット等である。他車両とは、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、自動運転される車両である。他車両認識部131は、例えば、カメラ10の撮像画像に含まれる物体の形状や大きさ、挙動等により、自車両Mの周辺を走行する他車両を認識する。また、他車両認識部131は、認識した他車両の位置、移動方向、移動速度を認識する。
乗員認識部132は、自車両Mに搭乗した乗員の有無及び自車両Mの周辺を走行する他車両に搭乗した乗員の有無を認識する。乗員認識部132は、例えば、シートの着座センサの検出結果、ハンドルのグリップセンサの検出結果、或いは、自車両Mの車内を撮像した撮像画像に基づいて、自車両Mに乗員が搭乗している(或いは搭乗していない)ことを認識する。また、乗員認識部132は、他車両認識部131により認識された他車両をカメラ10が撮像した撮像画像に基づいて、他車両に乗員が搭乗している(或いは搭乗していない)ことを認識する。なお、乗員認識部132は、他車両に乗員が搭乗していることを示す情報を車車間通信によって受信してもよい。
接触可能性判定部133は、認識部130によって認識された自車両Mの周辺の障害物と、自車両Mとが接触する可能性を判定する。接触可能性判定部133は、例えば、自車両Mと障害物との距離および相対速度に基づいて、距離が所定値以内の障害物に対し、衝突余裕時間(TTC:Time-To Collision)を算出する。具体的には、接触可能性判定部133は、障害物との距離を、障害物との相対速度で除算した値を衝突余裕時間として算出する。そして、接触可能性判定部133は、算出した衝突余裕時間が、障害物を回避する制御(以下、接触回避運転制御)の作動開始条件を満たす場合に(例えば、閾値以下である場合)、その障害物と接触する可能性があると判定する。
接触回避運転制御部141は、障害物との接触を回避するための制御を行う。接触可能性判定部133により自車両Mと障害物とが接触する可能性があると判定された場合に、接触回避運転制御を行う。具体的には、接触回避運転制御部141は、自車両Mの操舵または加減速のうち一方または双方を制御して自車両Mが障害物と接触する可能性が低減するように、自車両Mの各部を制御する接触回避運転制御を行う。
[自車両Mと他車両との接触回避運転制御について]
以下、自車両Mと、他車両との接触回避運転制御について説明する。ここで、接触回避運転制御部141によって障害物との接触を回避する接触回避運転制御が行われることにより、自車両Mが他車両の走行の妨げになる場合がある。また、他車両に障害物との接触を回避する接触回避運転制御が行われることにより、他車両が自車両Mの走行の妨げになる場合がある。走行が妨げられた車両は、走行を妨げている車両が通過するまでの間、停止されたり、移動方向に走行する目標軌道から逸れて、障害物を回避するような軌道で走行したりする場合がある。この場合、走行が妨げられている車両は、走行が妨げられない場合と比較して、移動時間が長くなったり、目標軌道から逸れることよる急な進路変更により乗り心地が悪くなったりする可能性がある。例えば、自車両Mや他車両は、乗員が搭乗していない場合、他の車両の走行を妨げないことが好ましく、乗員が搭乗している場合、他の車両に走行が妨げられないことが好ましい。
これに伴い、接触回避運転制御部141は、接触可能性判定部133によって自車両Mが障害物と接触する可能性があると判定された場合、自車両Mと、他車両とのそれぞれが有人か(乗員が搭乗しているか)否かを判定し、判定結果に基づいて、接触回避運転制御の作動態様を決定する。
図3は、接触回避運転制御部141が決定する接触回避運転制御の作動態様の一例を示す図である。接触回避運転制御部141は、(1)自車両Mが有人であって、かつ他車両が有人である場合、相互に接触回避運転制御を行うと決定し、(2)自車両Mが無人であって、かつ他車両が無人である場合、相互に接触回避運転制御を行うと決定し、(3)自車両Mが有人であって、かつ他車両が無人である場合、自車両Mの接触回避運転制御を優先すると決定し、(4)自車両Mが無人であって、かつ他車両が有人である場合、他車両の接触回避運転制御を優先すると決定する。
接触回避運転制御部141は、上述した(1)及び(2)の作動態様において、自車両Mと他車両とのそれぞれが接触を回避する。具体的には、自車両Mは、障害物と接触する可能性がなくなるように、接触回避運転制御を行い、他車両も同様に、障害物と接触する可能性がなくなるように、接触回避運転制御を行う。
また、接触回避運転制御部141は、上述した(3)の作動態様において、自車両Mを優先する接触回避運転制御を行う。具体的には、接触回避運転制御部141は、自車両Mを優先する接触回避運転制御を行うことを示す情報(以下、自車優先回避情報)を生成する。自車優先回避情報には、例えば、自車両Mが接触回避運転制御を行う場合の目標軌道や、他車両に要求する接触回避運転制御に関する情報が含まれる。他車両に要求する接触回避運転制御に関する情報には、例えば、他車両に要求する接触回避運転制御の目標軌道等が含まれる。ここで、自車両Mと他車両とのそれぞれが接触回避運転制御を行う場合、自車両Mが他車両の挙動を推定することが困難であるが、自車優先回避情報によって要求する目標軌道通りに他車両が走行することにより、自車両Mが他車両の挙動を推定しやすくなる。
通信制御部142は、接触回避運転制御部141によって生成された自車優先回避情報を通信装置20によって他車両に送信する。通信制御部142が通信装置20によって自車優先回避情報を送信する他車両は、自車両Mが接触回避運転制御を行う際に自車両Mの周辺に存在する他車両である。他車両は、自車両Mから自車優先回避情報を受信し、自車両Mから指示された接触回避運転制御を行う。これにより、自車両Mは、他車両に所望する接触回避運転制御を行わせ、他車両に自車両Mを優先させる。
また、接触回避運転制御部141は、上述した(4)の作動態様において、他車両を優先する接触回避運転制御を行う。接触回避運転制御部141は、例えば、他車両を優先する接触回避運転制御を行うことを示す情報(以下、他車優先回避情報)を他車両から通信装置20によって受信し、他車両から指示された接触回避運転制御を行う。他車優先回避情報には、例えば、他車両が接触回避運転制御を行う場合の目標軌道や、自車両Mに要求する接触回避運転制御に関する情報が含まれる。自車両Mに要求する接触回避運転制御に関する情報には、例えば、自車両Mに要求する接触回避運転制御の目標軌道等が含まれる。これにより、自車両Mは、他車両が所望する接触回避運転制御を行い、自車両Mよりも他車両を優先する。
以下、図を参照し、自車両M及び他車両がいずれも接触回避運転制御を行う場面であり、作動態様(1)〜(4)の各場面の処理の詳細について説明する。
[作動態様(1):自車両M及び他車両がいずれも有人の場合]
<自車両M及び他車両がいずれも接触回避運転制御を行う>
図4は、作動態様(1)となる場面の一例を示す図である。図中、Mは自車両Mを表し、mは他車両を表し、bは障害物(この一例では、歩行者)を表す。X方向は、自車両Mの進行方向であり、Y方向は、道路幅方向である。L1は、自車両Mが走行する自車線を表し、L2は、自車両Mに隣接する対向車線を表し、LM1は、自車線L1の進行方向に対し左側の道路区画線を表し、LM2は、自車線L1の進行方向に対し右側の道路区画線を表し、LM3は、対向車線L2の進行方向に対し左側の道路区画線を表す。図示する一例において、自車両Mは、自車線L1を走行し、他車両mは、対向車線L2を走行する。以降の説明において、障害物bの位置は、車両が接触回避運転制御を行わずに直進しても、車両が障害物bの横をすれ違うことが可能な位置である場合について説明する。
図4に示される場面において、自車両M及び他車両mは、いずれも有人であり、いずれも自動運転される車両である。また、図4に示される場面では、自車線L1において、自車両Mの左側に障害物b1が存在し、対向車線L2において、他車両mの左側に障害物b2が存在する。したがって、図4に示される場面は、自車両M及び他車両mがいずれも接触回避運転制御を行う場面であり、この場面において、接触回避運転制御部141は、自車両Mと他車両mとが相互に接触回避運転制御を行う(つまり、作動態様(1))と決定する。具体的には、接触回避運転制御部141は、障害物b1と自車両Mとの接触を回避する接触回避運転制御を行う。また、他車両mは、障害物b2と他車両mとの接触を回避する接触回避運転制御を行う。これにより、自車両Mは、障害物b1との接触を回避し、他車両mは、障害物b2との接触を回避することができる。
図4に示される場面において、接触回避運転制御部141は、接触回避運転制御に伴い、自車両Mの基準点(以下、基準点PM)が、障害物b1から離れるように(換言すると、道路区画線LM2に寄るように)制御する。また、他車両mは、他車両mの基準点(以下、基準点Pm)が、障害物b2から離れるように(換言すると、道路区画線LM2に寄るように)制御される。この場合、自車両Mと、他車両mとは、接触回避運転制御を行うタイミング(図示する時刻t1)において、共に道路区画線LM2に寄るように制御される。
この接触回避運転制御に伴い、自車両Mと他車両mとが接触する可能性がある場合、自車両M及び他車両mは、それぞれが更に接触回避運転制御を行い、互いの接触を回避する。接触する可能性ある場合とは、例えば、時刻t1における基準点PMと、基準点Pmとの距離(以下、距離Dy1)が所定の閾値(以下、閾値Dth1)未満であると推定される場合である。この接触回避運転制御における自車両Mと他車両mとの優先度合に差はなく、自車両Mと他車両mとは、それぞれが適宜、接触回避運転制御を行う。図4に示される場面においては、距離Dy1が閾値Dth1以上であるため、自車両Mと他車両mとは、互いの接触を回避する接触回避運転制御を行わない。上述した制御により、自車両Mと他車両mとは、互いの接触を回避することができる。
なお、作動態様(2)となる自車両M及び他車両mがいずれも無人である場合についても、同様の処理が行われるため、説明を省略する。
[作動態様(3):自車両Mが有人であり、他車両が無人の場合]
<自車両M及び他車両がいずれも接触回避運転制御を行う>
図5は、作動態様(3)となる場面の一例を示す図である。図5に示される場面において、自車両Mは、有人であり、他車両mは、無人である。また、図5に示される場面は、図4に示される場面と同様に自車両Mと他車両mとがいずれも接触回避運転制御を行う場面である。この場面において、接触回避運転制御部141は、自車両Mの接触回避運転制御を優先すると(つまり、作動態様(3))と決定する。
ここで、他車両mが、道路区画線LM2に寄る方向に移動する接触回避運転制御を行う場合、他車両mの接触回避運転制御が自車両Mの走行の妨げになる場合がある。図示する一例では、自車両Mが接触回避運転制御に伴い、道路区画線LM2を超えて走行するため、他車両mが接触回避運転制御を行うと、自車両Mの走行の妨げになる。
接触回避運転制御部141は、自車両Mを優先する自車優先回避情報を生成し、通信制御部142は、接触回避運転制御部141によって生成された自車優先回避情報を通信装置20によって他車両mに送信する。他車両mは、受信した自車優先回避情報に基づいて、自車両Mから指示された接触回避運転制御を行う。図5に示される一例において、他車両mは、自車両Mが接触回避運転制御を行うタイミング(図示する時刻t1)において停止することを、自車優先回避情報によって指示される。他車両mは、自車優先回避情報に基づいて、時刻t1において障害物b2から所定の閾値(図示する閾値Dth2)だけ手前の位置において、停止する。閾値Dth2とは、例えば、数[m]程度の距離の長さを示す値である。これにより、自車両Mは、他車両mに所望する接触回避運転制御を行わせ、他車両に自車両Mを優先させることができる。
[作動態様(4):自車両Mが無人であり、他車両が有人の場合]
<自車両M及び他車両がいずれも接触回避運転制御を行う>
図6は、作動態様(4)となる場面の一例を示す図である。図6に示される場面において、自車両Mは、無人であり、他車両mは、有人である。また、図6に示される場面は、図4〜5に示される場面と同様に自車両Mと他車両mとがいずれも接触回避運転制御を行う場面である。この場面において、接触回避運転制御部141は、他車両mの接触回避運転制御を優先する(つまり、作動態様(4))と決定する。
接触回避運転制御部141は、通信装置20によって他車優先回避情報を他車両mから受信し、他車両から指示された接触回避運転制御を行う。図6に示される一例では、他車両mが接触回避運転制御に伴い、道路区画線LM2を超えて走行するため、自車両Mが接触回避運転制御を行うと、他車両mの走行の妨げになる。したがって、他車両mは、他車優先回避情報によって他車両mが接触回避運転制御を行うタイミング(図示する時刻t1)において、自車両Mに停止することを指示する。このため、自車両Mは、時刻t1において障害物b1から所定の閾値(図示する閾値Dth2)だけ手前の位置において、停止する。また、接触回避運転制御部141は、例えば、時刻t1以降の所定のタイミングにおいて(例えば、他車両mとすれ違った後)走行を開始し、障害物b1が自車線L1に存在していれば、障害物b1を回避する接触回避運転制御を行ってもよく、障害物b1が自車線L1から退避していれば接触回避運転制御を行わなくてもよい。これにより、自車両Mは、他車両mの所望する接触回避運転制御を行い、自車両Mよりも他車両mを優先させることができる。
ここで、他車両mが他車優先回避情報を自車両Mに送信する機能を備えていない場合がある。この場合には、接触回避運転制御部141は、他車優先回避情報の受信の有無にかかわらず、接触回避運転制御を行ってもよい。図7は、作動態様(4)となる場面の他の例を示す図である。図7に示される場面において、自車両Mは、無人であり、他車両mは、有人である。また、図7に示される場面は、図4〜6に示される場面と同様に自車両Mと他車両mとがいずれも接触回避運転制御を行う場面である。
図7に示される場面では、図6の場面とは異なり、自車両Mは、他車両mから他車優先回避情報を受信しない。また、図7に示される場面では、他車両mが接触回避運転制御に伴い、道路区画線LM2を超えて走行しない(つまり、他車両mは、対向車線L2内を走行する)。接触回避運転制御部141は、例えば、作動態様(4)と決定し、且つ所定条件を満たす場合には、接触回避運転制御を行わない。この所定条件とは、例えば、障害物b1の位置が、自車両Mが接触回避運転制御を行わずに直進しても、自車両Mが障害物b1の横をすれ違うことが可能な位置である場合等である。上述したように、障害物b1の位置は、自車両Mが接触回避運転制御を行わずに直進しても、自車両Mが障害物b1の横をすれ違うことが可能な位置である。したがって、自車両Mは、自車両Mの乗員が障害物b1と接触する不安を抱くことを抑制するために、障害物b1との距離を空けるような接触回避運転制御を行う必要がない。この場合、自車両Mは、他車両mによる自車両Mの軌道推定を予測し易くすることを優先して(つまり、他車両mを優先して)走行しても良い。図7に示される場面において、接触回避運転制御部141は、所定条件を満たすと判断し、接触回避運転制御を行わず走行(直進)する。この場合、他車両mは、自車両Mが接触回避運転制御に伴い急な進路変更等を行わないため、接触回避運転制御に伴う自車両Mの軌道推定を容易に行うことができる。
以下、自車両Mと他車両mとのうち、いずれかが接触回避運転制御を行う場面について説明する。
[作動態様(1):自車両M及び他車両がいずれも有人の場合]
<自車両Mと他車両とのうち、他車両が接触回避運転制御を行う>
図8は、作動態様(1)となる場面において他車両mが接触回避運転制御を行う場面の一例を示す図である。図8に示される場面において、自車両M及び他車両mは、いずれも有人であり、いずれも自動運転される車両である。また、図8に示される場面では、対向車線L2において、他車両mの左側に障害物b2が存在する。したがって、図8に示される場面は、自車両Mと他車両mとのうち、他車両mが接触回避運転制御を行う場面である。
他車両mは、基準点Pmが、障害物b2から離れるように(換言すると、道路区画線LM2に寄るように)制御される。接触回避運転制御部141は、他車両mが接触回避運転制御を行うことに伴い、接触可能性判定部133によって自車両Mと他車両mとが接触する可能性があると判定される場合、自車両Mと他車両mとが相互に接触回避運転制御を行う(つまり、作動態様(1))と決定する。
この接触回避運転制御における自車両Mと他車両mとの優先度合に差はなく、自車両Mと他車両mとは、それぞれが適宜、接触回避運転制御を行う。図8に示される場面においては、距離Dy1が閾値Dth1以上であるため、自車両Mと他車両mとは、互いの接触を回避する接触回避運転制御を行わない。上述した制御により、自車両Mと他車両mとは、互いの接触を回避することができる。
<自車両Mと他車両とのうち、自車両Mが接触回避運転制御を行う>
図9は、作動態様(1)となる場面において自車両Mが接触回避運転制御を行う場面の一例を示す図である。図9に示される場面において、自車両M及び他車両mは、いずれも有人であり、いずれも自動運転される車両である。また、図9に示される場面では、自車線L1において、自車両Mの左側に障害物b1が存在する。したがって、図9に示される場面は、自車両Mと他車両mとのうち、自車両Mが接触回避運転制御を行う場面であり、この場面において、接触回避運転制御部141は、自車両Mと他車両mとが相互に接触回避運転制御を行う(つまり、作動態様(1))と決定する。
接触回避運転制御部141は、障害物b1と自車両Mとの接触を回避する接触回避運転制御を行う。この接触回避運転制御に伴い、自車両Mが他車両mと接触する可能性がある場合、自車両M及び他車両mは、それぞれが更に接触回避運転制御を行い、互いの接触を回避する。自車両M及び他車両mのそれぞれが互いの接触を回避する処理の詳細については、上述した図8の場合と同様であるため、説明を省略する。
なお、作動態様(2)となる自車両M及び他車両mがいずれも無人である場合において、自車両Mと他車両mとのうち、一方が接触回避運転制御を行う場合についても、同様の処理が行われるため、説明を省略する。
[作動態様(3):自車両Mが有人であり、他車両が無人の場合]
<自車両Mと他車両とのうち、他車両が接触回避運転制御を行う>
図10は、作動態様(3)となる場面において他車両mが接触回避運転制御を行う場面の一例を示す図である。図10に示される場面は、他車両mが接触回避運転制御に伴い道路区画線LM2を超えて走行する(つまり、時刻t1における距離Dy1が閾値Dth1未満であると推定される)ため、他車両mが接触回避運転制御を行うと、自車両Mの走行の妨げになる。接触回避運転制御部141は、自車両Mを優先する自車優先回避情報を生成し、他車両mは、受信した自車優先回避情報に基づいて、自車両Mから指示された接触回避運転制御を行う。図10に示される一例において、自車優先回避情報によって他車両mに指示する接触回避運転制御は、図5に示す接触回避運転制御と同様であるため、説明を省略する。これにより、自車両Mは、他車両mに所望する接触回避運転制御を行わせ、他車両に自車両Mを優先させることができる。
<自車両Mと他車両とのうち、自車両Mが接触回避運転制御を行う>
図11は、作動態様(3)となる場面において自車両Mが接触回避運転制御を行う場面の一例を示す図である。図11に示される場面において、自車両Mは、有人であり、他車両mは、無人である。また、図11に示される場面は、自車両Mと他車両mとのうち、自車両Mが接触回避運転制御を行う場面である。
図11に示される場面では、自車両Mが接触回避運転制御に伴い、道路区画線LM2を超えて走行するため、他車両mの走行が自車両Mの走行の妨げになる。接触回避運転制御部141は、自車両Mを優先する自車優先回避情報を生成し、他車両mは、受信した自車優先回避情報に基づいて、自車両Mから指示された接触回避運転制御を行う。図11に示される一例において、他車両mは、自車優先回避情報によって自車両Mが接触回避運転制御を行うタイミング(図示する時刻t1)において、自車両Mの回避方向と同様の方向に走行することを指示される。他車両mは、自車優先回避情報に基づいて、時刻t1において障害物b1から離れるように(換言すると、道路区画線LM3に寄るように)走行する。この時、接触回避運転制御部141は、距離Dy1が閾値Dth1以上になるように、他車両の接触回避運転制御を指示する自車優先回避情報を生成し、他車両mを制御する。これにより、自車両Mは、他車両mに所望する接触回避運転制御を行わせ、他車両mに自車両Mを優先させることができる。また、これにより、自車両Mが接触回避運転制御することに伴い、自車両Mと他車両mとが接近することを抑制し、自車両Mに搭乗する乗員が、接触回避運転制御に伴い他車両mと接触する不安を抱くことを抑制することができる。
図12は、作動態様(3)となる場面において自車両Mが接触回避運転制御を行う場面の他の例を示す図である。図12に示される場面は、図11に示される場面と異なり、道路幅が狭く、他車両mが自車両Mの回避方向と同様の方向に走行することが困難であるため、他車両mの走行が自車両Mの走行の妨げになる。接触回避運転制御部141は、自車両Mを優先する自車優先回避情報を生成し、他車両mは、受信した自車優先回避情報に基づいて、自車両Mから指示された接触回避運転制御を行う。図12に示される一例において、接触回避運転制御部141は、自車両Mの接触回避運転制御の妨げにならない位置において停止することを他車両mに指示する自車優先回避情報を生成する。自車両Mの接触回避運転制御の妨げにならない位置とは、例えば、自車両Mが障害物b1から最も離れるように走行する位置(例えば、時刻t1における基準点PM)から所定の閾値(図示する閾値Dth3)以上前方の位置である。閾値Dth3とは、例えば、数[m]程度の長さを示す値である。これにより、自車両Mは、他車両mに所望する接触回避運転制御を行わせ、他車両に自車両Mを優先させることができる。
[作動態様(4):自車両Mが無人であり、他車両が有人の場合]
<自車両Mと他車両とのうち、他車両が接触回避運転制御を行う>
図13は、作動態様(4)となる場面において他車両mが接触回避運転制御を行う場面の一例を示す図である。図13に示される場面において、自車両Mは、無人であり、他車両mは、有人である。また、図13に示される場面は、自車両Mと他車両mとのうち、他車両mが接触回避運転制御を行う場面である。
図13に示される場面では、他車両mが接触回避運転制御に伴い、道路区画線LM2を超えて走行するため、自車両Mの走行が他車両mの走行の妨げになる。接触回避運転制御部141は、他車両mから受信した他車優先回避情報に基づいて、他車両mから指示された接触回避運転制御を行う。図13に示される一例において、自車両Mは、他車優先回避情報によって他車両mが接触回避運転制御を行うタイミング(図示する時刻t1)において、他車両mの回避方向と同様の方向に走行することが指示される。自車両Mは、他車優先回避情報に基づいて、時刻t1において障害物b2から離れるように(換言すると、道路区画線LM1に寄るように)走行する。これにより、自車両Mは、他車両mが所望する接触回避運転制御を行い、自車両Mよりも他車両mを優先させることができる。
図14は、作動態様(4)となる場面において他車両mが接触回避運転制御を行う場面の他の例を示す図である。図14に示される場面は、図13に示される場面と異なり、道路幅が狭く、自車両Mが他車両mの回避方向と同様の方向に走行することが困難であるため、自車両Mの走行が他車両mの走行の妨げになる。接触回避運転制御部141は、他車両mから受信した他車優先回避情報に基づいて、他車両mから指示された接触回避運転制御を行う。図14に示される一例において、接触回避運転制御部141は、他車優先回避情報に基づいて、他車両mの接触回避運転制御の妨げにならない位置において、自車両Mを停止させる。他車両mの接触回避運転制御の妨げにならない位置とは、例えば、他車両mが障害物b2から最も離れるように走行する位置(例えば、時刻t1における基準点Pm)から所定の閾値(図示する閾値Dth3)以上前方の位置である。これにより、自車両Mは、他車両mの所望する接触回避運転制御を行い、自車両Mよりも他車両mを優先させることができる。
<自車両Mと他車両とのうち、自車両Mが接触回避運転制御を行う>
図15は、作動態様(4)となる場面において自車両Mが接触回避運転制御を行う場面の一例を示す図である。図15に示される場面において、自車両Mは、無人であり、他車両mは、有人である。また、図15に示される場面は、通常であれば、自車両Mが障害物b1に対する接触回避運転制御を行う場面である。
また、図15に示される場面では、図13〜14の場面とは異なり、自車両Mは、他車両mから他車優先回避情報を受信しない。また、図15に示される場面では、他車両mが道路区画線LM2を超えて走行しない(つまり、他車両mは、対向車線L2内を走行する)。また、図15に示される場面では、上述した所定条件(自車両Mが目標軌道を変更しなくても障害物b1の横をすれ違うことが可能である場合)が満たされる。したがって、接触回避運転制御部141は、例えば、作動態様(4)と決定し、且つ所定条件を満たす場合には、接触回避運転制御を行わない。この場合、他車両mは、自車両Mが接触回避運転制御に伴い急な進路変更等を行わないため、接触回避運転制御に伴う自車両Mの軌道推定を容易に行うことができる。
図16は、作動態様(4)となる場面において自車両Mが接触回避運転制御を行う場面の他の例を示す図である。図16に示される場面では、図13〜14の場面とは異なり、自車両Mは、他車両mから他車優先回避情報を受信しない。また、図16に示される場面では、図15の場面とは異なり、自車両Mが接触回避運転制御に伴い、道路区画線LM2を超えて走行するため、自車両Mが接触回避運転制御を行うと、他車両mの走行の妨げになる。したがって、接触回避運転制御部141は、自車両Mを、時刻t1において障害物b1から閾値Dth1だけ手前の位置に停止させる。自車両Mを、時刻t1において障害物b1から閾値Dth1だけ手前の位置に停止させる処理の詳細については、上述した図6の場合と同様であるため、説明を省略する。
[作動態様(4)において所定条件を満たす場合]
なお、上述では、接触回避運転制御部141が作動態様(4)において、所定条件を満たす場合には、接触回避運転制御を行わない場合(例えば、図7や図15の場面)について説明したが、これに限られない。ここで、自車両Mが接触回避運転制御を行わずとも、障害物b1と接触しない場合であっても、他車両mの搭乗者や自車両Mの周辺に存在する他者は、障害物b1と自車両Mとが接触する不安を抱く場合がある。このような不安を抑制するため、接触回避運転制御部141は、作動態様(4)において、所定条件を満たす場合において、接触回避運転制御を行ってもよい。
[他車両が自車優先回避情報を受信不可能な場合]
また、上述では、作動態様(3)の場面において、他車両は、接触回避運転制御部141が送信した自車優先回避情報に基づいて接触回避運転制御を行う場合について説明したが、これに限られない。他車両は、例えば、自車優先回避情報を受信する機能を備えていない場合がある。この場合には、接触回避運転制御部141は、作動態様(3)の場面において、作動態様(4)の場合と同様に、自車両Mよりも他車両を優先する接触回避運転制御を行ってもよい。
[他車両が他車優先回避情報を生成不可能な場合]
また、上述では、作動態様(4)の場面において、自車両Mは、他車両から受信した他車優先回避情報に基づいて接触回避運転制御を行う場合について説明したが、これに限られない。他車両は、例えば、他車優先回避情報を生成する機能を備えていない場合がある。この場合には、接触回避運転制御部141は、他車優先回避情報を生成し、通信制御部142は、接触回避運転制御部141によって生成された他車優先回避情報を他車両に送信する。他車両は、自車両Mから受信した他車優先回避情報によって接触回避運転制御を行う。これにより、接触回避運転制御部141は、他車両が他車優先回避情報を生成する機能を備えていない場合であっても、自車両Mよりも他車両を優先させることができる。
[障害物bが他車両である場合]
また、上述では、障害物bが歩行者である場合について説明したが、これに限られない。障害物bは、例えば、対向車線L2を走行する他車両であってもよく、この場合、接触回避運転制御部141は、接触可能性判定部133によって自車両Mが他車両と接触する可能性があると判定されることに伴い、接触回避運転制御を行ってもよい。
[自車両Mや他車両が手動運転車両である場合]
また、上述では、自車両Mや他車両が自動運転される車両である場合について説明したが、これに限られない。自車両Mや他車両は、例えば、手動運転される車両であってもよい。この場合、接触回避運転制御部141は、手動運転時のアシスト機能として接触回避運転制御を行ってもよい。具体的には、接触回避運転制御部141は、接触回避運転制御を行う場面において、手動運転が行う接触回避運転がに重畳して接触回避運転制御を行う。これにより、接触回避運転制御部141は、手動運転による接触回避運転が障害物bを回避するには不足している場合や、誤った接触回避運転を行っている場合等、接触回避運転制御を重畳し、より確実に障害物bを回避することができる。
[処理フローチャート]
図17は、自動運転制御装置100の処理の一例を示すフローチャートである。まず、他車両認識部131は、自車両Mの周辺の障害物のうち、他車両を認識する(ステップS100)。次に、乗員認識部132は、自車両Mが有人であるか否かを判定する(ステップS102)。自車両Mが有人である場合、乗員認識部132は、他車両が有人であるか否かを判定する(ステップS104)。自車両Mが有人であって、かつ他車両が有人である場合(つまり、作動態様(1)の場合)、接触回避運転制御部141は、相互に障害物を回避する接触回避運転制御を行うと決定し、実行する(ステップS106)。また、自車両Mが有人であって、かつ他車両が無人である場合(つまり、作動態様(3)の場合)、接触回避運転制御部141は、自車両Mを優先する接触回避運転制御を行うと決定し、実行する(ステップS108)。
自車両Mが無人である場合、乗員認識部132は、他車両が有人であるか否かを判定する(ステップS110)。自車両Mが無人であって、かつ他車両が有人である場合(つまり、作動態様(4)の場合)、接触回避運転制御部141は、他車両を優先する接触回避運転制御を行うと決定し、実行する(ステップS112)。ステップS112の制御の詳細については、後述する。また、自車両Mが無人であって、かつ他車両が無人である場合(つまり、作動態様(2)の場合)、接触回避運転制御部141は、相互に障害物を回避する接触回避運転制御を行うと決定し、実行する(ステップS114)。
図18は、ステップS112の処理の詳細を示すフローチャートである。上述したステップS112において、接触回避運転制御部141は、通信装置20が他車優先回避情報を受信したか否かを判定する(ステップS200)。接触回避運転制御部141は、通信装置20が他車優先回避情報を受信した場合、他車優先回避情報に示される他車両の指示に基づいて、接触回避運転制御を行う(ステップS202)。他車両の指示に基づく接触回避運転制御には、他車両が指示する目標軌道を走行する制御や、他車両の指示に基づいて接触回避運転制御を行わない制御が含まれる。接触回避運転制御部141は、通信装置20が他車優先回避情報を受信しない場合、所定条件が成立するか否かを判定する(ステップS204)。所定条件は、例えば、自車両Mが接触回避運転制御を行うことにより、乗員が搭乗する他車両が障害物に接触することである。接触回避運転制御部141は、所定条件が成立しない場合、接触回避運転制御を行わない(ステップS206)。接触回避運転制御部141は、所定条件が成立する場合、通常の接触回避運転制御を行う(ステップS208)。
以上説明したように、本実施形態の自動運転制御装置100は、自車両Mの周辺に存在する障害物を認識する認識部130と、自車両Mの乗員の操作に依らずに、自車両Mの操舵または加減速のうち一方または双方を制御する運転制御部(この一例では、接触可能性判定部133と、接触回避運転制御部141と、第2制御部160)とを備え、運転制御部は、他車両認識部131によって認識された障害物である他車両との接触を回避する際に、自車両Mと他車両とのそれぞれが有人であるか否かを判定し、判定結果に基づいて、回避する制御の作動態様を決定する。これにより、本実施形態の自動運転制御装置100は、乗員が搭乗している車両(自車両Mや他車両)に配慮した走行をさせることができる。
[ハードウェア構成]
上述した実施形態の自動運転制御装置100は、例えば、図19に示すようなハードウェアの構成により実現される。図19は、実施形態の自動運転制御装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
自動運転制御装置100は、通信コントローラ100−1、CPU100−2、RAM100−3、ROM100−4、フラッシュメモリやHDD等の二次記憶装置100−5、およびドライブ装置100−6が、内部バスあるいは専用通信線によって相互に接続された構成となっている。ドライブ装置100−6には、光ディスク等の可搬型記憶媒体が装着される。二次記憶装置100−5に格納されたプログラム100−5aがDMAコントローラ(不図示)等によってRAM100−3に展開され、CPU100−2によって実行されることで、第1制御部120、および第2制御部160が実現される。また、CPU100−2が参照するプログラムは、ドライブ装置100−6に装着された可搬型記憶媒体に格納されていてもよいし、ネットワークNWを介して他の装置からダウンロードされてもよい。
上記実施形態は、以下のように表現することができる。
情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に格納されたプログラムを実行するハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサは、前記プログラムを実行することにより、
車両の周辺に存在する障害物を認識し、
前記車両の乗員の操作に依らずに、前記車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御して認識した障害物との接触を回避し、更に前記車両と前記障害物とが接触する場合、前記車両と前記車両の周辺に存在する他車両とのそれぞれが有人か否かを判定し、判定結果に基づいて、回避する制御の作動態様を決定する、
ように構成されている、車両制御システム。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。