JP6946214B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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Description
(1)本発明の一態様に係るステアリング装置は、軸線に沿って延在するとともに、軸線方向の第1端側にステアリングホイールが取り付けられる内側部材と、前記軸線方向に前記内側部材を移動可能に支持するガイド部、及び前記ガイド部に対して前記軸線方向の前記第1端側に位置し、前記軸線方向に沿って延びるスリットが形成された保持部を有する外側部材と、前記外側部材における前記ガイド部に対して前記軸線方向の第2端側に位置する部分には、径方向で前記外側部材を貫通する肉抜き部が形成され、前記スリットの間隔を縮小させて前記外側部材に対する前記内側部材の移動を前記保持部により規制するロック状態、及び前記スリットの間隔を拡大させて前記外側部材に対する前記内側部材の移動を許容するロック解除状態に切り替えるテレスコ調整機構と、を備え、前記ガイド部の内周面には、前記スリットに隣接し前記内側部材の外周面を摺動可能に支持する支持面と、前記支持面に対して前記軸線方向の前記第2端側に位置するとともに、前記肉抜き部に隣接し前記径方向において前記軸線からの距離が前記軸線から前記支持面までの距離よりも長く形成された規制面と、が前記外側部材と一体に形成され、前記ガイド部は、前記内側部材の軸線方向での位置に関わらず、全長に亘って前記内側部材に軸線方向でラップしている。
特に、本態様では、ガイド部において、支持面よりも第2端側に規制面を有しているので、衝突荷重によって内側部材が径方向に傾こうとした際、内側部材が規制面に接触することで、内側部材の径方向への傾きが規制される。これにより、上述したこじりの発生を抑制できる。そのため、二次衝突時において、内側部材を軸線方向にスムーズに移動させることができるので、二次衝突時における軸線方向での所望の移動量を確保することができる。その結果、二次衝突時における衝撃吸収能力の更なる向上を図ることができる。
しかも、本態様では、軸線から規制面までの距離が軸線から支持面までの距離よりも長くなっている。そのため、内側部材が外側部材に対して軸線方向のみに移動する場合には、内側部材の外周面が規制面に接触しないようになっている。これにより、内側部材の外周面と、ガイド筒部の内周面と、の間の摺動抵抗が過大になるのを抑制できる。
一方、内側部材と支持面との接触面積を低減することで(規制面を拡大することで)、内側部材と支持面との摺動抵抗が低下する。この場合、例えば衝突荷重の吸収量を減少させることができる。このように、支持面と規制面との面積比を変更して衝撃荷重の吸収量(摺動抵抗)を変更できる。そのため、求められる衝撃荷重の吸収量が異なるような場合であっても、大幅な設計変更を伴うことなく所望の衝撃吸収能力を得ることができる。また、インナコラムと支持面との接触面積を低減することで、アウタコラムの体積を削減して、軽量化を図ることもできる。
上記(2)の態様によれば、支持面及び規制面によって内側部材の全周を取り囲むことができるので、上述したこじりの発生を確実に抑制できる。
[ステアリング装置]
図1は、ステアリング装置1が搭載された車両3の斜視図である。
図1に示すように、ステアリング装置1は、車両3に搭載されている。ステアリング装置1は、ステアリングホイール2の回転操作に伴って車輪5の舵角を調整する。なお、以下の説明における前後上下左右等の向きは、特に記載が無ければ車両3における向きと同一とする。また、図中矢印UPは上方を示し、矢印FRは前方を示している。
図2に示すように、ステアリング装置1は、アウタコラム(外側部材)11と、インナコラム(内側部材)12と、ステアリングシャフト(内側部材)13と、テレスコ調整機構14と、を主に備えている。本実施形態のステアリング装置1では、インナコラム12及びステアリングシャフト13(後述するリアシャフト40)のそれぞれの軸線Oが同軸上に配置されている。以下の説明では、インナコラム12及びステアリングシャフト13の軸線Oの延びる方向を単に軸線方向といい、軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という場合がある。
アウタコラム11は、前部が後部よりも大径に形成された筒状に形成されている。アウタコラム11内には、インナコラム12が挿入されている。アウタコラム11は、軸線方向に移動可能にインナコラム12を支持している。具体的に、アウタコラム11は、保持筒部(保持部)21、ガイド筒部(ガイド部)22及び大径筒部23が後方から前方にかけて連なって形成されている。
図3に示すように、保持筒部21は、軸線Oと同軸上に配置された円筒状に形成されている。すなわち、保持筒部21の内周面における曲率半径は、軸線Oを中心として全周に亘って一様に形成されている。保持筒部21における周方向の一部(本実施形態では保持筒部21の下部)には、スリット24が形成されている。スリット24は、保持筒部21を径方向(上下方向)に貫通するとともに、軸線方向に延在している。スリット24は、保持筒部21における軸線方向の全体に亘って形成されている。
図3、図4に示すように、大径筒部23は、ガイド筒部22の後端縁から軸線方向に沿って後方に延設されている。大径筒部23は、例えば軸線方向から見た正面視で上下方向に扁平した円形状に形成されている。径方向において、軸線Oと大径筒部23の内周面との距離は、インナコラム12の外周面が大径筒部23の内周面に全周に亘って接触しないような長さに設定されている。
図4に示すように、インナコラム12は、軸線方向に延びる円筒状に形成されている。インナコラム12の外径は、上述した保持筒部21やガイド筒部22の内径よりも僅かに小さくなっている。インナコラム12は、アウタコラム11内に挿入されている。インナコラム12は、上述した保持筒部21やガイド筒部22の内周面上を摺動可能に、保持筒部21やガイド筒部22に支持されている。図4の例において、インナコラム12の軸線方向の長さは、アウタコラム11の軸線方向の長さに比べて長くなっている。
ステアリングシャフト13は、リアシャフト40及びフロントシャフト41(図2参照)を備えている。リアシャフト40は、上述したインナコラム12内に軸受42を介して軸線O回りに回転可能に支持されている。リアシャフト40の後端部は、インナコラム12の後端部よりも軸線方向に沿って後方に突出している。リアシャフト40の後端部には、ステアリングホイール2(図1参照)が連結されている。
図2に示すように、テレスコ調整機構14は、アウタコラム11に対するインナコラム12(及びステアリングシャフト13)の前後方向への移動が規制されたロック状態、及び前後方向への移動が許容されたロック解除状態を切り替える。具体的に、テレスコ調整機構14は、リヤブラケット51と、操作機構53と、ガイドレール54と、を主に備えている。
リヤブラケット51は、軸線方向において上述した締付部26(図3参照)と同等の位置に配置されている。リヤブラケット51は、アウタコラム11の左右両側及び上方を取り囲むように形成されている。リヤブラケット51は、左右両側に側板部51a,51bを有している。側板部51a,51bは、アウタコラム11を左右両側から挟持している。リヤブラケット51は、アウタコラム11を介してステアリング装置1を車体4(図1参照)に固定している。
図6に示すように、第1ガイド孔63は、テレスコ領域63aと、テレスコ領域63aに対して軸線方向の後方に連なる荷重吸収領域63bと、を有している。
テレスコ領域63aは、上下方向の幅が一様に形成されている。テレスコ領域63a内では、アウタコラム11に対するインナコラム12の移動に伴い、回動軸55がインナコラム12に対して軸線方向に相対移動する。
図7に示すように、第2ガイド孔64は、テレスコ領域64aと、テレスコ領域64aに対して軸線方向の後方に連なる荷重吸収領域64bと、を有している。
テレスコ領域64aは、上述した第1ガイド孔63のテレスコ領域63aと同等の構成をなしている。
図8は、図2のVIII−VIII線に相当する断面図である。図9は、ガイド筒部22の軸線Oに直交する方向からの拡大断面図である。
図8、図9に示すように、上述したガイド筒部22は、軸線方向の前方に位置する部分ほど内径が大きい多段筒状に形成されている。具体的に、ガイド筒部22は、ガイド筒部22の後部に位置する小径部68と、小径部68の前方に連なる大径部69と、を有している。本実施形態において、保持筒部21及びガイド筒部22は、インナコラム12の軸線方向での位置に関わらず、全長に亘ってインナコラム12に軸線方向でラップしている。なお、ガイド筒部22は、3段以上の多段筒状に形成しても構わない。
次に、上述したステアリング装置1の作用について説明する。始めに、ステアリング装置1のテレスコピック動作(前後位置調整)について説明する。以下の説明では、ステアリング装置1がロック状態にあるときを初期状態とする。
図2に示すように、ステアリングホイール2の前後方向の位置を調整する場合には、まず操作レバー56を回動操作して、ステアリング装置1をロック解除状態とする。具体的には、締結カム57の厚さが減少する方向(例えば、下方)に操作レバー56を回動操作することで、締付部26同士が各側板部51a,51bとともに離間して保持筒部21が拡径される。これにより、保持筒部21によるインナコラム12の挟持が解除され、ステアリング装置1がロック解除状態となる。
その結果、ステアリングホイール2が前後方向における所望の位置で固定される。
二次衝突の際には、ステアリングホイール2に対して前方に向けた衝突荷重が運転者から作用する。衝突荷重が所定以上の場合には、ステアリングホイール2がインナコラム12やステアリングシャフト13とともに、アウタコラム11に対して軸線方向の前方に移動する。具体的に、ステアリング装置1では、インナコラム12が保持筒部21の内周面やガイド筒部22の支持面68a上を摺動することで、アウタコラム11に対して軸線方向の前方に移動する。そして、アウタコラム11とインナコラム12との間の摺動抵抗等により、二次衝突時に運転者に加わる衝撃荷重が緩和される。
この構成によれば、インナコラム12が支持面68aを摺動しながら、アウタコラム11に対して軸線方向に移動する。そのため、テレスコピック動作時や、衝突荷重の入力時等において、アウタコラム11に対してインナコラム12をスムーズに案内できる。
特に、本実施形態では、ガイド筒部22において、支持面68aよりも前方に規制面69aを有している。そのため、衝突荷重によってインナコラム12が径方向(例えば、上方)に傾こうとした際、インナコラム12の前部が規制面69aに接触することで、インナコラム12の径方向への傾きが規制される。これにより、上述したこじりの発生を抑制できる。よって、二次衝突時において、インナコラム12を軸線方向の前方にスムーズに移動させることができるので、二次衝突時における軸線方向での所望の移動量を確保することができる。その結果、二次衝突時における衝撃吸収能力の更なる向上を図ることができる。
また、支持面68aと規制面69aとの面積比を変更することで、アウタコラム11とインナコラム12との間の摺動抵抗を変更できる。例えば、インナコラム12と支持面68aとの接触面積を増加させることで、インナコラム12と支持面68aとの摺動抵抗が増加する。この場合、例えば衝突荷重の吸収量を増加させることができる。
一方、インナコラム12と支持面68aとの接触面積を低減することで(規制面69aを拡大することで)、インナコラム12と支持面68aとの摺動抵抗が低下する。この場合、例えば衝突荷重の吸収量を減少させることができる。このように、支持面68aと規制面69aとの面積比を変更して衝撃荷重の吸収量(摺動抵抗)を変更できる。そのため、求められる衝撃荷重の吸収量が異なるような場合であっても、大幅な設計変更を伴うことなく所望の衝撃吸収能力を得ることができる。また、インナコラム12と支持面68aとの接触面積を低減することで、アウタコラム11の体積を削減して、軽量化を図ることもできる。
そのため、支持面68a及び規制面69aによってインナコラム12の全周を取り囲むことができるので、上述したこじりの発生を確実に抑制できる。
この構成によれば、上述したこじりの発生を抑制した上で、アウタコラム11の更なる軽量化を図ることができる。
例えば、上述した実施形態では、軸線Oが前後方向に交差している構成について説明していたが、この構成のみに限られない。軸線Oは、車両3の前後方向に一致していてもよく、左右方向に傾いていても構わない。
また、ガイド筒部22の後部において、周方向の一部が支持面68aを構成し、その他の面は軸線Oの距離が軸線Oから支持面68aまでの距離よりも長く設定しても構わない。さらに、ガイド筒部22の前部において、周方向の一部が規制面69aを構成し、その他の面は軸線Oの距離が軸線Oから規制面69aまでの距離よりも短く設定しても構わない。
上述した実施形態では、支持面68a及び規制面69aが軸線方向で連なる構成について説明したが、この構成のみに限らず。支持面68a及び規制面69aが軸線方向で離間していても構わない。
上述した実施形態では、保持部が筒状の保持筒部21である場合について説明したが、この構成のみに限られない。保持部は、スリット24の拡縮によってインナコラム12を保持可能な構成であれば構わない。
2…ステアリングホイール
11…アウタコラム(外側部材)
12…インナコラム(内側部材)
13…ステアリングシャフト(内側部材)
14…テレスコ調整機構
21…保持筒部(保持部)
22…ガイド筒部(ガイド部)
24…スリット
68…小径部
68a……支持面
69…大径部
69a……規制面
Claims (2)
- 軸線に沿って延在するとともに、軸線方向の第1端側にステアリングホイールが取り付けられる内側部材と、
前記軸線方向に前記内側部材を移動可能に支持するガイド部、及び前記ガイド部に対して前記軸線方向の前記第1端側に位置し、前記軸線方向に沿って延びるスリットが形成された保持部を有する外側部材と、
前記外側部材における前記ガイド部に対して前記軸線方向の第2端側に位置する部分には、径方向で前記外側部材を貫通する肉抜き部が形成され、
前記スリットの間隔を縮小させて前記外側部材に対する前記内側部材の移動を前記保持部により規制するロック状態、及び前記スリットの間隔を拡大させて前記外側部材に対する前記内側部材の移動を許容するロック解除状態に切り替えるテレスコ調整機構と、を備え、
前記ガイド部の内周面には、
前記スリットに隣接し前記内側部材の外周面を摺動可能に支持する支持面と、
前記支持面に対して前記軸線方向の前記第2端側に位置するとともに、前記肉抜き部に隣接し前記径方向において前記軸線からの距離が前記軸線から前記支持面までの距離よりも長く形成された規制面と、
が前記外側部材と一体に形成され、
前記ガイド部は、前記内側部材の軸線方向での位置に関わらず、全長に亘って前記内側部材に軸線方向でラップしている
ステアリング装置。 - 前記ガイド部は、
筒状に形成されるとともに、前記支持面により内周面が構成された小径部と、
筒状に形成されるとともに、前記規制面により内周面が構成された大径部と、を備えている
請求項1に記載のステアリング装置。
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