JP5293374B2 - ステアリングホイールの位置調節装置 - Google Patents

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Description

この発明は、ステアリングホイールの上下位置及び前後位置を調節する為のステアリングホイールの位置調節装置の改良に関する。具体的には、二次衝突時にステアリングホイールの上下位置及び前後位置が不用意に変化する事を防止して、運転者の保護を図り易い構造を、低コストで実現するものである。
自動車用の操舵装置は、図25に示す様に構成して、ステアリングホイール1の回転をステアリングギヤユニット2の入力軸3に伝達し、この入力軸3の回転に伴って左右1対のタイロッド4、4を押し引きして、前車輪に舵角を付与する様にしている。前記ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト5の後端部に支持固定されており、このステアリングシャフト5は、円筒状のステアリングコラム6を軸方向に挿通した状態で、このステアリングコラム6に回転自在に支持されている。又、前記ステアリングシャフト5の前端部は、自在継手7を介して中間シャフト8の後端部に接続し、この中間シャフト8の前端部を、別の自在継手9を介して、前記入力軸3に接続している。
この様な操舵装置で、運転者の体格や運転姿勢に応じて、前記ステアリングホイール1の上下位置を調節する為のチルト機構や、前後位置を調節する為のテレスコピック機構が、従来から広く知られている。このうちのチルト機構を構成する為に、前記ステアリングコラム6を車体10に対して、幅方向(幅方向とは、車体の幅方向を言い、左右方向と一致する。本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ。)に設置した枢軸11を中心とする揺動変位を可能に支持している。又、前記ステアリングコラム6の後端寄り部分に固定した変位ブラケットを、前記車体10に支持した支持ブラケット12に対して、上下方向及び前後方向(前後方向とは、車体の前後方向を言う。本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ。)の変位を可能に支持している。このうち、前後方向の変位を可能とするテレスコピック機構を構成する為に、前記ステアリングコラム6を、アウタコラム13とインナコラム14とをテレスコープ状に伸縮自在に組み合わせた構造とし、前記ステアリングシャフト5を、アウタチューブ15とインナシャフト16とを、スプライン係合等により、トルク伝達自在に、且つ、伸縮自在に組み合わせた構造としている。尚、図示の例は、電動モータ17を補助動力源として前記ステアリングホイール1を操作する為に要する力の低減を図る、電動式パワーステアリング装置も組み込んでいる。
チルト機構やテレスコピック機構の場合、電動式のものを除き、調節レバーの操作に基づいて、前記ステアリングホイール1の位置を調節可能な状態としたり、調節後の位置に固定できる様にしている。例えば特許文献1には、図26〜27に示す様な、調節レバー18に基づく杆状部材19の回転に基づいて、カム装置20の軸方向寸法を拡縮させると同時にカム部材21を揺動変位させる構造が記載されている。この従来構造の場合、前記カム装置20の拡縮に基づき、アウタコラム13aに固定した可動側ブラケット22の、支持ブラケット12aに対する係脱を行わせる。又、前記カム部材21の揺動変位に基づき、インナコラム14aの前記アウタコラム13aに対する摺動の可否を切り換える。
上述の様な特許文献1に記載された従来構造の場合、それ以前の構造(従前構造)に比べれば、ステアリングホイール1の前後位置を固定する場合に於ける摩擦係合部の数を多くして、この前後位置固定に関する強度及び剛性を高くできる。但し、衝突事故の際にステアリングホイール1に加わる大きな衝撃荷重に拘らず、このステアリングホイール1の位置が変化しない様にして、運転者保護をより充実させる為には、改良の余地がある。この点に就いて、以下に説明する。
衝突事故の際には、自動車が他の自動車等とぶつかる、所謂一次衝突に続いて、運転者の身体がステアリングホイールにぶつかる、所謂二次衝突が発生する。この二次衝突の際にステアリングホイールには、斜め前上方に向いた、大きな衝撃荷重が加わる。一方、図25〜27に示した従来構造の場合、このステアリングホイール1を調節後の位置に固定する力は、摩擦力のみで得ている為、前記大きな衝撃荷重に基づいてこの位置がずれ動く可能性がある。具体的には、前記ステアリングホイール1の位置が、前方や上方にずれ動く可能性がある。この結果、このステアリングホイール1と運転者の身体との位置関係が、前記調節後の位置(適正位置)からずれた状態となる。この状態では、前記ステアリングホイール1の後方で開いた(膨張した)エアバッグが運転者の身体を効果的に受け止められなくなって、運転者保護の面から不利になる。
二次衝突時に於けるステアリングホイールのずれ動きを防止する為の構造として従来から、特許文献2、3に記載された構造が知られている。このうちの特許文献2に記載された従来構造の場合、ステアリングコラムの外周面に固定した板片の両側に1対の保持腕を配置し、二次衝突時にこの板片を、これら両保持腕により強く挟持して、前記ステアリングコラムの前方への変位を阻止する。この様な特許文献2に記載された従来構造の場合には、構成各部の精度を十分に確保しない限り、前記ステアリングコラムの前方への変位を阻止する力が不均一になり、この変位阻止が不確実になる可能性がある。又、前方へ(テレスコピック方向)の変位を阻止する構造で、上方へ(チルト方向)の変位を阻止する事はできない。
又、特許文献3には、ステアリングコラムに固定の可動側ブラケットに偏心カムを設け、このステアリングコラムが上方に変位する傾向になった場合にこの偏心カムの外周面を、車体側に設けた支持ブラケットの一部に食い込ませる事で、前記ステアリングコラムの上方への変位を阻止する構造が記載されている。この様な特許文献3に記載された従来構造の場合、この上方への変位を阻止する機能は優れているが、前方への変位を阻止する機能は持たない。特許文献2に記載された従来構造と特許文献3に記載された従来構造とを組み合わせれば、二次衝突時に前記ステアリングが前方に変位する事も上方に変位する事も、何れも抑えられるが、前記特許文献2に記載された従来構造の有する問題点はそのまま残るし、構造が非常に複雑になり、コストが嵩む事が避けられない。
特許第3783524号公報 米国特許第6039350号明細書 米国特許第7021660号明細書
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、ステアリングホイールの上下位置及び前後位置を調節できる、所謂チルト・テレスコステアリング装置に関して、特に精度を要求される事なく、二次衝突時にステアリングホイールの位置がずれ動く事を効果的に防止できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のステアリングホイールの位置調節装置は、従来から知られているステアリングホイールの位置調節装置と同様に、アウタコラムと、インナコラムと、ステアリングシャフトと、1対の支持板部と、杆状部材と、調節レバーとを備える。
このうちのアウタコラムは、筒状で、車体に固定の部分に対して前部を、直接又は他の部材を介して、幅方向に設置された枢軸を中心とする揺動変位を可能に支持されたもので、少なくとも軸方向一部の内径を拡縮可能としている。
又、前記インナコラムは、筒状で、前記アウタコラムの内径側に、軸方向の変位を可能に嵌合支持されている。
又、前記ステアリングシャフトは、前記インナコラムの内径側に回転自在に支持されて、このインナコラムの後端開口部よりも後方に突出した後端部にステアリングホイールを固定する。この様なステアリングシャフトは、例えばアウタチューブとインナシャフトとをセレーション係合させる等により、伸縮可能に構成する。但し、中間シャフト(図25に符号「8」で表した部材)を伸縮可能にする代わりに、ステアリングシャフトを伸縮しない構造とする事もできる。この場合には、ステアリングホイールの前後位置調節に伴って、前記ステアリングシャフトの前端部の、ステアリングコラムの前端開口部からの突出量が変化する。
又、前記両支持板部は、前記アウタコラムのうちで前記内径を拡縮可能とした部分を幅方向両側から挟む状態で、前記車体に支持されている。
又、前記杆状部材は、幅方向に配設された状態で、前記両支持板部の互いに整合する位置に形成された、前記枢軸を中心とする円弧方向に長い長孔と、前記アウタコラムの一部で前記インナコラムと干渉しない部分に形成した通孔とを挿通している。そして、回転に伴って、前記両支持板部の互いに対向する面同士の間隔を拡縮する。
更に、前記調節レバーは、前記杆状部材を回転させる為、基端部をこの杆状部材に結合固定している。
特に、本発明のステアリングホイールの位置調節装置に於いては、曲縁部と、支持軸と、1対のチルトロック用偏心カムと、テレスコロック用偏心カムとを備える。
又、前記曲縁部は、前記両支持板部の後端縁の少なくとも一部に設けられたもので、前記枢軸を中心とする凸円弧状である。
又、前記支持軸は、前記杆状部材と平行に配設された状態で、前記アウタコラムの一部に支持されている。
又、前記両チルトロック用偏心カムは、前記支持軸の両端部に支持されている。これら両チルトロック用偏心カムのうちで前記曲縁部に対向する部分は、上方に向かうに従って前記支持軸の中心からの距離が大きくなるチルトロック用凸円弧縁であって、このチルトロック用凸円弧縁に、チルトロック用凹凸部を形成している。このチルトロック用凹凸部の形状は、鋸歯状若しくは三角波状である。
又、前記テレスコロック用偏心カムは、この支持軸の中間部に支持されている。このテレスコロック用偏心カムのうちで前記インナコラムの外周面又はこのインナコラムに固定した部材の表面に対向する部分は、後方に向かうに従って前記支持軸の中心からの距離が大きくなるテレスコロック用凸円弧縁であって、このテレスコロック用凸円弧縁に、テレスコロック用凹凸部を形成している。このテレスコロック用凹凸部の形状も、鋸歯状若しくは三角波状である。
又、前記チルトロック用偏心カムとテレスコロック用偏心カムとのうちの一方の偏心カムの基部を前記支持軸に、この支持軸と共に回転する状態で固定している。同じく他方の偏心カムの基部をこの支持軸に、この支持軸に対する所定角度分の揺動変位を可能に支持している。
又、これら他方の偏心カムと支持軸との間に、この他方の偏心カムに設けたロック用凹凸部を相手部分に押し付ける方向の弾力を有する第一のばねを設けると共に、前記調節レバーと前記支持軸との間に第二のばねを設けている。
そして、この第二のばねにより、前記調節レバーを前記ステアリングホイールの位置を調節する状態から固定する状態にまで揺動変位させる事に伴って前記支持軸に、前記各偏心カムに設けた前記各ロック用凹凸部を相手部分に押し付ける方向の弾力を付与可能としている。
尚、本明細書及び特許請求の範囲中でのばねとは、弾性を有する部材の事を言い、金属ばねに限らず、ゴムの如きエラストマー等の弾性材を所望の形状に加工したもの(ゴムばね)も含む。
上述の様な本発明のステアリングホイールの位置調節装置を実施する場合、より具体的には、請求項2に記載した発明の様に、前記他方の偏心カムを前記テレスコロック用偏心カムとする。そして、このテレスコロック用偏心カムを、例えば前記アウタコラムの内径を拡縮可能にする為にこのアウタコラムの一部に設けたスリット状の不連続部に進入させた状態で、前記テレスコロック用凹凸部を前記インナコラムの外周面又はこのインナコラムに固定した部材の表面に対向させる。
又、前記テレスコロック用偏心カムと支持軸との間に前記第一のばねを掛け渡し、前記一方の偏心カムである1対のチルトロック用偏心カムの基部を、前記支持軸の両端部に外嵌固定する。
又、前記両チルトロック用偏心カムのうちの一方のチルトロック用偏心カムの一部に被駆動側係止腕部を、このチルトロック用偏心カムの径方向外方に突出する状態で形成する。そして、この被駆動側係止腕部の先端部と調節レバーの一部との間に第二のばねを掛け渡す事により、この調節レバーと前記支持軸との間にこの第二のばねを、前記一方のチルトロック用偏心カムを介して設ける。
上述の様に構成する本発明のステアリングホイールの位置調節装置は、次の様に作用して、ステアリングホイールの位置調節を可能にすると共に、二次衝突時にステアリングホイールの位置がずれ動く事を抑える。
ステアリングホイールの位置を調節する際には、調節レバーを所定方向に揺動させる事により、支持ブラケットを構成する1対の支持板部の互いに対向する面同士の間隔を拡げる。この状態では、前記調節レバーの動きが第二のばねを介して支持軸に伝達されて、この支持軸が所定方向に回転し、チルトロック用凸円弧縁が両支持板部の後端縁に設けられた曲縁部から離隔すると共に、テレスコロック用凸円弧縁がインナコラムの外周面又はこのインナコラムに固定した部材の表面から離隔する。そこで、アウタコラムを1対の支持板部に対し、インナコラムをこのアウタコラムに対し、それぞれ摺動させつつ、前記ステアリングホイールの位置を調節する。このステアリングホイールを所望の位置に調節した後、前記調節レバーを前記所定方向と逆方向に揺動させる。
この逆方向への揺動の結果、前記両支持板部の互いに対向する面同士の間隔が縮まり、これら両支持板部が前記アウタコラムを幅方向両側から強く挟持する。この結果、これら両支持板部に対してこのアウタコラムが移動する事を阻止されて、前記ステアリングホイールの上下位置が固定される。同時に、前記アウタコラムの内径が縮まって、このアウタコラムの内周面が前記インナコラムの外周面に強く押し付けられ、このインナコラムがこのアウタコラムに対して変位する事が阻止されて、前記ステアリングホイールの前後位置が固定される。
この様に、前記ステアリングホイールの上下位置及び前後位置が固定されるまで、前記調節レバーを揺動させた状態では、前記第二のばねにより前記支持軸が前記所定方向と逆方向に回転し、前記チルトロック用凸円弧縁のうち、この支持軸の中心からの距離が最も小さくなった部分若しくはその近傍部分が、前記両支持板部の後端縁に設けられた曲縁部に当接する。又、前記テレスコロック用凸円弧縁のうち、この支持軸の中心からの距離が最も小さくなった部分若しくはその近傍部分が、インナコラムの外周面又はこのインナコラムに固定した部材の表面に当接する。
この状態から、二次衝突に伴って前記インナコラム及び前記アウタコラムに、前上方に向いた衝撃荷重が加わると、前記チルトロック用凸円弧縁のチルトロック用凹凸部が前記曲縁部に食い込むと共に、前記テレスコロック用凸円弧縁のテレスコロック用凹凸部が前記インナコラムの外周面又はこのインナコラムに固定した部材の表面に食い込む。この結果、前記ステアリングホイールが前上方に変位する事を阻止する大きな力が加わり、このステアリングホイールの位置がずれ動く事を効果的に防止できる。この際、前記チルトロック用凹凸部を前記曲縁部に食い込ませる為に、前記テレスコロック用凹凸部を前記インナコラムの外周面又はこのインナコラムに固定した部材の表面に食い込ませる為に、それぞれ要する力は、初期段階で小さく、次第に大きくなる。この様な特性は、ステアリングホイールから前記インナコラム及び前記アウタコラムに伝わった衝撃エネルギを吸収して運転者を保護する面から好ましい。
本発明の実施の形態の第1例を示す側面図。 一部を切断して図1の右方から見た図。 一部を省略して図1と反対側から見た図。 図1の手前右下方から見た斜視図。 一部の部品を取り出して図4と同方向から見た状態で示す斜視図。 同じく上下に関して図5と逆方向から見た状態で示す斜視図。 更に一部の部品を取り出して図6と同方向から見た状態で示す斜視図。 同じく分解斜視図。 図2のイ−イ断面図。 アウタコラムを取り出して図1と同方向から見た側面図(A)、及び、(A)の右方から見た端面図(B)。 支持軸に対するテレスコロック用偏心カムの揺動角度の規制範囲を説明する為の、図7のロ−ロ断面に相当する図。 支持軸に対してテレスコロック用偏心カムを揺動可能とする事により誤差を吸収できる理由を説明する為に、図1のハ部拡大図(a)及び図11と同様の図(b)を、(A)(B)の2通りの状態で示す図。 調節レバーの回動に伴う、チルトロック用、テレスコロック用両偏心カムと相手部材との位置関係を説明する為に、図1のハ部拡大図(a)及び図11と同様の図(b)を、(A)〜(C)の3通りの状態で示す図。 チルトロック用偏心カムが過回動する事を防止する為のストッパ機構を説明する為、アウタコラムを取り出し、このチルトロック用偏心カムを一端まで回動させた状態(A)と他端まで回動させた状態(B)とを示すべく、図1と同方向から見た図。 二次衝突時に各部に加わる衝撃荷重の方向を説明する為の、自動車用の操舵装置の側面図。 二次衝突時に於けるチルトロック用偏心カムの挙動を説明する為の、図1のニ部拡大図(A)及び(A)のホ部拡大図(B)。 二次衝突時に於けるテレスコロック用偏心カムの挙動を説明する為の、図9のヘ部拡大図(A)及び(A)のト部拡大図(B)。 テレスコロック用凸円弧縁の形状が、二次衝突時に於けるインナコラムの変位量とこのインナコラムの動きを阻止する方向に加わる保持力との関係に及ぼす影響を説明する為の、テレスコロック用偏心カムを図1と同方向から見た図(A)、及び、前記変位量と前記保持力との関係を示す線図(B)。 調節レバーの回動量と、インナコラムをアウタコラムに対し保持する力との関係を説明する為の、これら回動量と保持する力との関係を示す線図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図11と同様の図。 同第3例を示す、図11と同様の図。 同第4例を示す、一部の部品を取り出して斜め後方から見た状態で示す斜視図。 更に一部の部品を取り出して図22と同方向から見た状態で示す斜視図。 図23のチ−チ断面図。 ステアリングホイールの位置調節装置を組み込んだ自動車用操舵装置の1例を示す、部分切断側面図。 従来から知られているステアリングホイールの位置調節装置の1例を示す縦断側面図。 図26の拡大リ−リ断面図。
[実施の形態の第1例]
図1〜19は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のステアリングホイールの位置調節装置は、図1〜4にその全体構成を示す様に、支持ブラケット12bに対してアウタコラム13bを、枢軸11aを中心とする揺動変位を可能に支持して、後述するステアリングホイール1(図25参照)の高さ位置を調節可能としている。又、前記アウタコラム13bの内径側にインナコラム14bを、軸方向の変位を可能に支持し、更にこのインナコラム14bの内側にステアリングシャフト5aを回転自在に支持して、前記ステアリングホイール1の前後位置を調節可能としている。前記ステアリングシャフト5aは、前述した図25の構造と同様に、アウタチューブ15aとインナシャフト16aとを、トルク伝達及び伸縮可能に、組み合わせて成る。この様なステアリングシャフト5aは、前記アウタコラム13bと前記インナコラム14bとから成るステアリングコラム6aの内径側に、単列深溝型の玉軸受とニードル軸受との組み合わせ等により、回転のみ自在に支持している。この状態で、前記ステアリングシャフト5a(を構成するアウタシャフト15a)の後端部で前記インナコラム14bの後端開口から突出した部分に、ステアリングホイール1を固定自在としている。
前記支持ブラケット12bは、それぞれが鋼板等の十分な強度及び剛性を有する金属板を塑性加工して成る前部素子23と後部素子24とを組み合わせて成る。これら両素子23、24は、通常時には相対変位しないが、二次衝突の発生時には、車体に対し結合固定した前記前部素子23に対して後部素子24が、衝撃エネルギを吸収しつつ前方に変位する様に構成している。この為に本例の場合には、前記前部素子23の幅方向両端寄り部分に前後方向に形成した長孔25a、25bの後端部にボルト26、26を、上方から挿通し、更にこれら両ボルト26、26を、前記後部素子24の幅方向両端寄り部分に挿通している。そして、これら両ボルト26、26とナット(図示省略)とを螺合させ、更に、これらボルト26、26とナットとを、所定のトルクで締め付けている。又、前記前部素子23と前記後部素子24との突き合わせ面に滑り板を挟持している。更に、前記前部素子23の上半部に設けた互いに平行な1対の側壁部27、27の互いに整合する位置に、前後方向に長い長孔28を形成している。
本例の場合、これら両長孔28に前記枢軸11aの両端部を、前後方向の変位を可能に係合させている。又、前記前部素子23と前記アウタコラム13bとの間に、伸長方向に塑性変形する事によりこの前部素子23に対するこのアウタコラム13bの前方への変位を許容する、エネルギ吸収部材を設けている。本例の場合には、上述の様な構造により、通常状態での前記両素子23、24同士の相対変位防止と、二次衝突時に於ける衝撃エネルギを吸収しながらの、この後部素子24の前方への変位許容とを可能としている。
尚、これら両素子23、24同士の相対変位防止と、二次衝突時に於ける衝撃エネルギを吸収しながらの、この後部素子24の前方への変位許容とを可能とする為の構造は、前記両長孔28を利用して構成する事もできる。この場合にこれら両長孔28は、それぞれの後端部の幅寸法を、中間部乃至前端部(この枢軸11aの両端部を支持する為の後端部以外の部分)の幅寸法よりも大きくする。そして、前記両長孔28の後端部に、前記枢軸11aの両端部を支持し、これら両長孔28の中間部乃至前端部の幅寸法を、この枢軸11aの両端部(若しくは、この枢軸11aの両端部に外嵌したスリーブ等)の外径よりも小さくする。そして、この枢軸11aの両端部を前記前部素子23の両側壁部27、27の前後方向中間部に、前後方向及び上下方向のがたつきなく支持する。
何れの構造に就いても、具体的作用に就いては後述する。
前記アウタコラム13bは、ハウジング部材とも称されるもので、例えばアルミニウム合金等の軽金属を鋳造する事により造られており、例えば図10に示す様に、主部29と、被枢支部30と、被挟持部31とを備える。このうちの主部29は、下端部にスリット状の不連続部32を、軸方向に関し、後端部乃至中間部に亙って設ける事により、前端部を除く部分を欠円筒状に形成している。従って、前記主部29のうちで少なくとも後端寄り部分の内径は、弾性的に拡縮可能である。又、前記被枢支部30は、前記主部29の前端部から上方に突出した状態で設けられたもので、左右両外側面同士が互いに平行である。更に、前記被挟持部31は、前記主部29の中間部下面に、前記不連続部32を左右両側から挟み、下方に突出する状態で設けられたもので、左右両外側面同士はほぼ平行で、これら両外側面同士の間隔が、前記主部29の外径よりも大きい。
上述の様なアウタコラム13bには、前記両側壁部27、27の中央部で前記両長孔28の後端部に挿通した前記枢軸11aを、前記被枢支部30の前端部に幅方向に貫通する状態で設けた通孔72(図10、14参照)に挿通している。又、前記枢軸11aの基端部に設けた大径の頭部と、同じく先端部に螺着したナットとにより、この枢軸11aの抜け止めを図っている。この構成により前記アウタコラム13bを前記支持ブラケット12bに対して、前記枢軸11aを中心とする揺動変位を可能に支持している。
一方、前記後部素子24は、例えば図1、2、3、5、6に示す様に、前記前部素子23の後端部下面に取り付ける為の、1対の取付板部33、33の後半部から下方に垂れ下がる状態で、左右1対の支持板部34、34を、互いに平行に設けている。そして、これら両支持板部34、34の互いに整合する部分に、前記枢軸11aを中心とする円弧方向(斜め上下方向)に長い長孔35、35(特許請求の範囲に記載した長孔)を形成している。そして、これら両長孔35、35と、前記アウタコラム13bの被挟持部31に左右方向に貫通する状態で設けた通孔73(図9、10、14参照)とに、例えば図4〜6に示す様な杆状部材19aを挿通している。この杆状部材19aは、回転に伴って前記両支持板部34、34の互いに対向する面同士の間隔を拡縮する為のもので、その両端部を、これら両支持板部34、34の外側面から突出させている。そして、前記杆状部材19aの基端部(図4〜6の左端部)に調節レバー18aの基部を結合固定すると共に、先端部(図4〜6の右端部)に外嵌した抑え板36の外側面をナット37により抑え付けて、この抑え板36の抜け止めを図っている。
更に、前記調節レバー18aの基端部内側面と一方(図4〜6の左方)の支持板部34の外側面との間にカム装置20(前述の図27参照)を設けて、前記調節レバー18aの回動に伴って、前記両側面同士の間隔を拡縮可能としている。前記ステアリングホイール1の位置調節を行う際には、図13の(C)−(a)に示す様に、前記調節レバー18aを下方に回動させて、この調節レバー18aの基端部内側面と前記一方の支持板部34の外側面との間隔を縮める。すると、1対の支持板部34、34の内側面同士の間隔が弾性的に拡がって、これら両支持板部34、34の内側面と前記アウタコラム13bの被挟持部31の外側面との当接部の面圧が低下乃至は喪失し、前記ステアリングホイール1の位置調節が可能になる。位置調節後、前記調節レバー18aを、図13の(A)−(a)に示す様に上方に回動させれば、前記調節レバー18aの基端部内側面と前記一方の支持板部34の外側面との間隔が拡がる代わりに前記両支持板部34、34の内側面同士の間隔が縮まり、これら両支持板部34、34の内側面と前記被挟持部31の外側面との当接部の面圧が大きくなって、前記ステアリングホイール1が調節後の位置に支持される。
以上の構成及び作用は、従来から知られているステアリングホイールの位置調節装置と同様である。
更に、本例の構造の場合には、例えば図10に示す様に、前記アウタコラム13bの被挟持部31の後端面に枢支用凸部38を、この被挟持部31よりも後方に突出する状態で設けている。この枢支用凸部38に関しても、前記不連続部32を幅方向両側から挟む状態で設けられている。又、図10の(B)に示す様に、前記枢支用凸部38の幅寸法W38は、前記被挟持部31の幅寸法W31よりも小さい(W38<W31)。従って、この被挟持部31の後端面幅方向両端部は、段差面39、39となっている。
上述の様な枢支用凸部38に幅方向に貫通する状態で形成した貫通孔40に支持軸41を、回転自在に挿通している。この支持軸41は、前記杆状部材19aと平行に配設されたもので、例えば図8に示す様に、基端部(図8の左端部)に頭部42を、先端部(図8の右端部)に雄ねじ部43を、それぞれ有する。又、これら頭部42と雄ねじ部43との間部分を、この頭部42の側から順番に、大径側非円柱部44と、円柱部45と、小径側非円柱部46としている。そして、これら各部44〜46のうち、両端部に存在する、大径側、小径側両非円柱部44、46に、それぞれチルトロック用偏心カム47a、47bを、前記支持軸41に対する相対回転を阻止した(この支持軸41と同期して回転する)状態で外嵌している。
ステアリングホイールの位置調節装置を組み立てた状態で、前記両チルトロック用偏心カム47a、47bのうちの幅方向外半部は、前記支持ブラケット12bの後部素子24に設けた、前記両支持板部34、34の後端縁に対向乃至は当接する(幅方向に関する位相が一致する)。これら両支持板部34、34の後端縁は、前記枢軸11aを中心とする凸円弧形の曲縁部48、48としている。従って、前記ステアリングホイール1の上下位置調節に伴い、前記後部素子24に対して前記支持軸41が昇降した場合でも、この支持軸41と前記両曲縁部48、48との距離が変化する事はない。又、前記両チルトロック用偏心カム47a、47bの外周縁部分のうちで前記両曲縁部48、48に対向する部分は、例えば図1、3、16に示す様に、上方(ステアリングホイール1の位置を固定した状態での位置関係で言う。本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ。)に向かうに従って前記支持軸41の中心からの距離が大きくなる方向に傾斜した(その中心がこの支持軸41の中心から上方に偏っている)チルトロック用凸円弧縁としている。そして、このチルトロック用凸円弧縁に、チルトロック用凹凸部49を形成している。又、一方(図4〜8の左方)のチルトロック用偏心カム47aの外周縁部に被駆動腕部52を、径方向外方に突出する状態で形成している。
更に、本例の構造の場合には、例えば図1、3、16に示す様に、前記両チルトロック用偏心カム47a、47bの外周縁部分のうちで前記チルトロック用凹凸部49を円周方向両側から挟む部分に、衝突時過回動防止用ストッパ50と調節時過回動防止用ストッパ51とを設けている。このうちの衝突時過回動防止用ストッパ50は、前記チルトロック用凹凸部49の上側(大径側端部)に隣接する部分に設けられたもので、その頂部が、このチルトロック用凹凸部49の外径側端部の、ほぼ接線位置に存在する。これに対して前記調節時過回動防止用ストッパ51は、前記チルトロック用凹凸部49の下端部(小径側端部)から円周方向に少し離れた部分に、当該部分から十分に突出する状態で設けている。ステアリングホイールの位置調節装置を組み立てた状態で、前記調節時過回動防止用ストッパ51の幅方向内半部は、前記段差面39、39と対向乃至は当接する(幅方向に関する位相が一致する)。尚、それぞれがこの様な構成を有する、前記両チルトロック用偏心カム47a、47bは、中炭素鋼、高炭素鋼、浸炭鋼、軸受鋼等の、前記支持ブラケット12bの後部素子24を構成する、低炭素鋼、アルミニウム系合金等の金属材料よりも硬い金属材料により造られている。
一方、前記支持軸41の中間部で、前記大径側非円柱部44のうちの円柱部45寄り端部に、テレスコロック用偏心カム53を、図11に示す様な構造により、前記支持軸41に対する所定角度だけの相対回転を可能に外嵌している。本例の場合、前記大径側非円柱部44を、互いに平行な1対の平坦面54、54を有する、断面小判形としている。又、前記テレスコロック用偏心カム53の基部(図11の左部)に形成した取付孔55を、基本となる形状が円形で、直径方向反対側2箇所位置に山形の突部56、56を、径方向内方に突出する状態で形成した非円形状としている。そして、これら両突部56、56と前記両平坦面54、54との係合に基づき、前記杆状部材19aに対して前記テレスコロック用偏心カム53を、図11に示した中立位置を中心として、反時計方向にθ1 分、時計方向にθ2 分だけ回転可能としている。尚、両角度θ1 、θ2 は、同じである必要はないが、同じであっても良い。
本例の場合には、これら両角度θ1 、θ2 を設定する事により、構成各部材の形状精度及び組立精度を高度に確保しなくても、前記テレスコロック用偏心カム53と前記インナコラム14bとの位置関係を適正にできる様にしている。即ち、前記両チルトロック用偏心カム47a、47bと前記両曲縁部48、48との位置関係を適正に規制した状態で、前記支持軸41と前記テレスコロック用偏心カム53との関係が、図12の(A)に示す様になったり、或は(B)に示す様になったりする可能性がある。この場合でも、前記両角度θ1 、θ2 を設定する事で、前記支持軸41と前記テレスコロック用偏心カム53との位置ずれを吸収できるので、前記構成各部材の形状精度及び組立精度を高度に確保する必要がなくなり、製造コストを抑えられる。
ステアリングホイールの位置調節装置を組み立てた状態で、前記テレスコロック用偏心カム53は、前記アウタコラム13bの不連続部32に入り込んで、前記インナコラム14bの外周面(本例の場合には下面)と対向乃至は当接する。この様なテレスコロック用偏心カム53の外周縁部のうちで、このインナコラム14bの外周面に対向する部分は、後方に向かうに従って前記支持軸41の中心からの距離が大きくなる方向に傾斜した(図18に示す様に、その中心O57がこの支持軸41の中心O41から後下方に偏っている)、テレスコロック用凸円弧縁としている。そして、このテレスコロック用凸円弧縁に、テレスコロック用凹凸部57を形成している。更に、本例の構造の場合には、前記テレスコロック用偏心カム53の外周縁部分のうちで、前記テレスコロック用凹凸部57の大径側端部よりも後方に外れた部分に、衝突時過回動防止用ストッパ58を、当該部分よりも十分後方に突出する状態で設けている。この様なテレスコロック用偏心カム53に関しても、中炭素鋼、高炭素鋼、浸炭鋼、軸受鋼等の、前記インナコラム14bを構成する、低炭素鋼、アルミニウム系合金等の金属材料よりも硬い金属材料により造られている。
上述の様なテレスコロック用偏心カム53と前記支持軸41との間に、例えば図4〜8、17に示す様に、第一のばねである、テレスコロック付勢ばね59を設けている。このテレスコロック付勢ばね59は、ばね鋼製の線材を曲げ形成して成るもので、前記支持軸41の大径側非円柱部44に相対回転を阻止した状態で外嵌可能な(軸方向から見た形状が小判形の)基部60と、この基部60から径方向外方に突出した弾性押圧部61と、この弾性押圧部61の先端部をクランク型に曲げ形成して成る係止部62とを備える。この様なテレスコロック付勢ばね59は、前記基部60を前記大径側非円柱部44に外嵌すると共に、前記係止部62を、前記テレスコロック用偏心カム53の後端部に形成した係止孔63に係止する事で、前記テレスコロック用偏心カム53と前記支持軸41との間に掛け渡している。この状態でこのテレスコロック用偏心カム53に、この支持軸41を中心として回動し、前記テレスコロック用凹凸部57を前記インナコラム14bの下面に押し付ける方向(図4〜7、9、11〜13、16、17で反時計方向)の弾力を付与している。
更に、前記調節レバー18aと前記支持軸41との間に、第二のばねである回動力伝達ばね64を設けて、この調節レバー18aの動きを前記支持軸41に伝達可能としている。本例の場合には、前記回動力伝達ばね64を、ばね鋼製の線材を曲げ形成する事により構成しており、基端寄り部分に、前記調節レバー18aの基端部に設けた駆動側係止孔65(図1、6、12、13参照)に係止する為の駆動側係止部66を、先端部に、前記チルトロック用偏心カム47aの被駆動腕部52の先端部に形成した被駆動側係止孔67に係止する為の被駆動側係止部68を、それぞれ形成している。又、中間部に、撓み量を確保する為のコイル部69を設けている。そして、前記駆動側係止孔65に駆動側係止部66を、被駆動側係止孔67に前記被駆動側係止部68を、それぞれ係止する事により、前記調節レバー18aと前記支持軸41とを、前記チルトロック用偏心カム47a及び前記回動力伝達ばね64を介して連結し、前記調節レバー18aの動きを前記支持軸41に伝達可能としている。尚、前記コイル部69は、多少の製造誤差に拘らず、前記チルトロック用偏心カム47aに適正な弾力を付与する為に設けている。
この様に構成する事により、この調節レバー18aを、図13の(A)−(a)に示す様に上方に回動させ、前記ステアリングホイール1の位置を固定する事に伴って、前記支持軸41を図4〜7、9、11〜13、16、17で反時計方向に回動させる様にしている。そして、この回動に伴って、前記支持軸41の両端部に固定した1対のチルトロック用偏心カム47a、47bのチルトロック用凹凸部49の下端部乃至中間部を、前記支持ブラケット側の曲縁部48、48に突き当てると共に、前記支持軸41の中間部に支持した前記テレスコロック用偏心カム53のテレスコロック用凹凸部57の前端寄り部分を、前記インナコラム14bの下面に突き当てる様にしている。
上述の様に構成する本例のステアリングホイールの位置調節装置は、次の様に作用して、このステアリングホイール1の上下位置及び前後位置を調節可能にすると共に、二次衝突時に前記ステアリングホイール1の位置が、上方や前方にずれ動く事を抑えて、このステアリングホイール1に衝突した運転者の保護充実を図る。
先ず、このステアリングホイール1の位置を調節する際には、前記調節レバー18a を、図13の(A)−(a)に示した状態から、同じく(C)−(a)に示す状態にまで、同図の時計方向に回動させる。この結果、前述した様にカム装置の働きにより、前記両支持板部34、34の内側面と前記アウタコラム13bの被挟持部31の外側面との当接部の面圧が低下乃至は喪失する。
又、この状態では、前記支持軸41も図13の時計方向に回動するので、この支持軸41に支持された、前記チルトロック用、テレスコロック用各偏心カム47a、47b、53も同図の時計方向に回動する。そして、図13の(C)−(a)に示す様に、前記チルトロック用凹凸部49全体が前記曲縁部48から離隔すると共に、図13の(C)−(b)に示す様に、前記テレスコロック用凹凸部57全体が、前記インナコラム14bの下面から離隔する。この状態で、前記ステアリングホイール1の上下位置及び前後位置の調節が可能になる。上下位置の調節は、前記杆状部材19aを前記両支持板部34、34の長孔35、35に沿って移動させつつ、前記アウタコラム13bを前記枢軸11aを中心に揺動変位させる事により行う。又、前後位置の調節は、前記インナコラム14bを前記アウタコラム13bに対し、軸方向に摺動させる事により行う。
本例の場合、前記両チルトロック用偏心カム47a、47bに、それぞれ調節時過回動防止用ストッパ51を設けている。従って、この調節時過回動防止用ストッパ51と前記両段差面39、39との係合により、前記両チルトロック用偏心カム47a、47bの回動量が制限される。この為、前記調節レバー18aの操作量が過大になっても(下方に向け、過剰に回動させても)、前記両チルトロック用偏心カム47a、47bが図13の時計方向に過剰に回動する事はない。この結果、前記調節レバー18aを下方に回動させた状態では、前記両チルトロック用偏心カム47a、47bの一部と前記両支持板部34、34の曲縁部48、48とが干渉する事はなく、前記ステアリングホイール1の上下位置調節を円滑に(運転者に違和感を与える事なく)行える。
上述の様にして前記ステアリングホイール1を所望の位置に調節した後、前記調節レバー18aを前記所定方向と逆方向(図13の反時計方向)に、例えば図1、図13の(A)−(a)に示す様に、前記調節レバー18aが前記アウタコラム13b及び前記インナコラム14bとほぼ平行になるまで、上方に揺動させる。この逆方向への揺動の結果、前述した様なカム装置の働きにより、前記両支持板部34、34が前記アウタコラム13bを幅方向両側から強く挟持して、前記ステアリングホイール1の上下位置が固定される。同時に、前記不連続部32の幅寸法が縮まる事により、前記アウタコラム13bの内径が縮まって、このアウタコラム13bの内周面が前記インナコラム14bの外周面に強く押し付けられ、これら両コラム13b、14bが軸方向に相対変位する事が阻止されて、前記ステアリングホイール1の前後位置が固定される。
この様に、前記ステアリングホイール1の位置が固定されるまで、前記調節レバー18aを上方に揺動させた状態では、前記回動力伝達ばね64により前記支持軸41が、この調節レバー18aと同方向(図13の反時計方向)に回転する。そして、図13の(A)−(a)に示す様に、前記チルトロック用偏心カム47a(47b)のチルトロック用凸円弧縁(チルトロック用凹凸部49)のうち、前記支持軸41の中心からの距離が最も小さくなった下端寄り部分が、前記両支持板部34、34の後端縁に設けられた前記曲縁部48に当接する。又、図13の(A)−(b)に示す様に、前記テレスコロック用偏心カム53のテレスコロック用凸円弧縁(テレスコロック用凹凸部57)のうち、前記支持軸41の中心からの距離が最も小さくなった前端部分が、前記インナコラム14bの下端部外周面(下面)に当接する。
尚、前記調節レバー18aを図13の(A)−(a)に示す様に上方に回動させた状態で、前記両支持板部34、34が前記アウタコラム13bを挟持する力が適正値になると同時に、前記両チルトロック用偏心カム47a、47bのチルトロック用凹凸部49の下端部乃至中間部(下端寄り部分)を前記支持ブラケット側の曲縁部48、48に突き当て、更に、前記テレスコロック用偏心カム53のテレスコロック用凹凸部57の前端寄り部分を、前記インナコラム14bの下面に突き当てる必要がある。このうち、挟持する力を適正値にすると同時に、前記チルトロック用凹凸部49の下端部乃至中間部を前記支持ブラケット側の曲縁部48、48に突き当てる事は、前記杆状部材19aの先端の雄ねじ部43に螺合させたナット37により前記抑え板36の軸方向位置を調節する事で、容易に行える。
但し、前記テレスコロック用偏心カム53を前記支持軸41に対し固定した場合には、前記テレスコロック用凹凸部57と前記インナコラム14bとの位置関係までも厳密に規制すべく、各部の形状精度、寸法精度、組み付け精度を高くする必要を生じ、コストが嵩む。これに対して本例の場合には、前記図11により説明した様に、前記テレスコロック用偏心カム53を前記支持軸41に対し若干の揺動変位を可能に支持しているので、前記各精度を特に高くしなくても、ステアリングホイール1の位置固定時に、前記各部同士の係合関係を、上述の様に適正にして、必要とする性能を確実に得られるステアリングホイールの位置調節装置を低コストで実現できる。
例えば、図13の(A)に示した、ステアリングホイール1の位置を完全に固定した(回動量=0)状態から、同(C)に示した、前記調節レバー18aをθ4 まで回動させて前記ステアリングホイール1の位置調節を可能にした状態との間の、同(B)に示した様に、前記調節レバー18aをθ3 (θ3 <θ4 )まで回動させた状態では、前記ステアリングホイール1の位置は動かないが、前記各ロック用凹凸部49、57を相手面から離隔させる様に、各部をチューニングする事が好ましい。要するに、前記調節レバー18aの回動量と、前記インナコラム14bを前記アウタコラム13bに対し保持する力との関係を、図19に示す様にする事が好ましい。回動量が0→θ3 の場合には、前記各ロック用凹凸部49、57が相手面から次第に離れるが、前記ステアリングホイール1の位置を保持する力はそのままとなる。これに対して、回動量がθ3 →θ4 の場合には、前記各ロック用凹凸部49、57が相手面から次第に更に離れると共に、前記ステアリングホイール1の位置を保持する力も次第に低下する。本例の場合には、上述の様に、前記テレスコロック用偏心カム53を前記支持軸41に対し若干の揺動変位を可能に支持しているので、上述の様なチューニングを容易に行える。
図1及び図13の(A)−(a)に示す様に、前記ステアリングホイール1の位置を固定した状態で、二次衝突に伴って前記インナコラム14b及び前記アウタコラム13bに、前上方に向いた衝撃荷重が加わると、次の様にして、前記ステアリングホイール1の位置がずれ動く事を防止する。先ず、このステアリングホイール1の上方へのずれ動きは、前記両チルトロック用偏心カム47a(47b)のチルトロック用凸円弧縁に設けたチルトロック用凹凸部49が、前記支持板部34の曲縁部48に食い込む事により抑えられる。即ち、二次衝突時に前記アウタコラム13bが前記支持板部34(を設けた支持ブラケット12b)に対して上方に変位する傾向になると、前記曲縁部48と前記両チルトロック用凹凸部49との噛み合いに基づいて、前記チルトロック用偏心カム47a(47b)が前記支持軸41を中心として、図16の(A)に矢印で示す方向に回動する傾向になる。
この為、前記チルトロック用凹凸部49のうちで前記曲縁部48と噛み合っている部分が、このチルトロック用凹凸部49の上方に、即ち、前記支持軸部41の中心からの距離が大きい部分に移動する傾向になる。この結果、図16の(B)に矢印で示す様に、前記チルトロック用凹凸部49の曲縁部48に対する噛み込み深さが次第に大きくなる。この様に噛み込み深さが大きくなる事に対しては大きな抵抗が働くので、前記ステアリングホイール1が上方に変位する事が抑えられる。二次衝突に伴う衝撃荷重が大きく、前記チルトロック用偏心カム47a(47b)の回動量が多くなると、前記衝突時過回動防止用ストッパ50が前記曲縁部48に突き当たり、前記チルトロック用偏心カム47a(47b)がそれ以上回動する事がなくなる。この状態では、前記ステアリングホイール1の上方への変位を抑える為の力が十分に大きくなり、このステアリングホイール1がそれ以上上方に変位する事はなくなる。尚、前記チルトロック用偏心カム47a(47b)の材質は前記後部素子24の材質よりも硬いので、前記噛み込みは確実に行われる。
又、前記インナコラム14bが前方に変位する傾向になるのに伴って、前記テレスコロック用凹凸部57のうちで前記インナコラム14bの下面と噛み合っている部分が、このテレスコロック用凹凸部57の後方に、即ち、前記支持軸部41の中心からの距離が大きい部分に移動する傾向になる。この結果、図17の(B)に矢印で示す様に、前記テレスコロック用凹凸部57の前記インナコラム14bの下面に対する噛み込み深さが次第に大きくなる。この様に噛み込み深さが大きくなる事に対しては大きな抵抗が働くので、前記ステアリングホイール1が前方に変位する事が抑えられる。二次衝突に伴う衝撃荷重が大きく、前記テレスコロック用偏心カム53の回動量が多くなると、前記衝突時過回動防止用ストッパ58が前記インナコラム14bの下面に突き当たり、前記テレスコロック用偏心カム53がそれ以上回動する事がなくなる。この状態では、前記ステアリングホイール1の前方への変位を抑える為の力が十分に大きくなり、このステアリングホイール1がそれ以上前方に変位する事はなくなる。尚、前記テレスコロック用偏心カム53の材質は前記インナコラム14bの材質よりも硬いので、前記噛み込みは確実に行われる。
この結果、前記ステアリングホイール1が前上方に変位する事を阻止する大きな力が加わり、このステアリングホイール1の位置がずれ動く事を効果的に防止できる。この際、前記チルトロック用凸円弧縁のチルトロック用凹凸部49を前記曲縁部48に食い込ませる為に、前記テレスコロック用凸円弧縁のテレスコロック用凹凸部57を前記インナコラム14bの下面に食い込ませる為に、それぞれ要する力は、初期段階で小さく、次第に大きくなる。この様な特性は、前記ステアリングホイール1から前記インナコラム14b及び前記アウタコラム13bに伝わった衝撃エネルギを吸収して運転者を保護する面から好ましい。即ち、二次衝突発生の瞬間に運転者の身体に加わる衝撃を低く抑えつつ、この運転者の身体を支承する力を次第に大きくできて、運転者の保護充実の為のチューニングの自由度を確保する面から有利である。
尚、上述の様に、二次衝突の初期段階で前記ステアリングホイール1の動きを止める方向に働く力の大きさは、前記チルトロック用、テレスコロック用各凹凸部49、57の径変化の程度により調節できる。この点に就いて、テレスコロック用各凹凸部57を例にして、図18を参照しつつ説明する。この図18の(A)で、破線円弧αは、前記支持軸41の中心O41をその中心とし、前記テレスコロック用各凹凸部57の小径側端部の歯先を通過する。又、このテレスコロック用各凹凸部57の全部の歯先を通過する鎖線円弧βは、点O57を中心とする。二次衝突に伴って前記テレスコロック用偏心カム53が、図18の(A)で反時計方向にθaだけ回転した状態での、前記前記破線円弧αと鎖線円弧βとの間隔cの大きさは、前記両中心O41、O57の偏心量と前記両円弧α、βの直径の差とにより、任意に調節できる。又、二次衝突開始時から、前記衝突時過回動防止用ストッパ58が前記インナコラム14bの下面に突き当たり、それ以上前記テレスコロック用偏心カム53が回転しなくなるまでの回動量θbは、前記衝突時過回動防止用ストッパ58の寸法、形状により任意に調節できる。
例えば、図18の(B)の実線は、標準的な前記間隔c及び前記回動量θbを設定した状態での、(二次衝突に伴う)前記インナコラム14bの前方への変位量(動き量)Xと、このインナコラム14bが前方に変位する事に対する抵抗(保持力)の大きさとの関係を示している。初期段階の保持力は、前記調節レバー18aの締め付けに伴う、前記両支持板部34、34の内側面と前記被挟持部31の外側面との摩擦により得られる。次の段階(最初の折れ曲がり点よりも右側)での保持力は、この摩擦に加えて、前記テレスコロック用各凹凸部57と前記インナコラム14bの下面との噛み合いの進行に対する抵抗により得られる。この様な、次の段階で保持力が増加する程度は、前記回転角度θaと前記距離cとの関係により調節できる。更に、次の段階(2番目の折れ曲がり点よりも右側)での保持力は、前記摩擦に加えて、前記インナコラム14bの下面に噛み込まれた前記テレスコロック用各凹凸部57が、このインナコラム14bの表層部分を削り取る事に対する抵抗により得られる。前記2番目の折れ曲がり点の位置は、前記回動量θbにより調節できる。
何れにしても、上述の様にして前記保持力が次第に大きくなり、前記前部素子23に対する前記後部素子24の支持力(離脱荷重)を上回ると、この後部素子24が前記アウタコラム13bと共に、前記テレスコロック用各凹凸部57と前記インナコラム14bの下面との噛み合いに関係なく、前方に変位し始める。この際、前記前部素子23と前記アウタコラム13bとの間に掛け渡したエネルギ吸収部材を伸長させる。或は、前記枢軸11aの両端部により前記両長孔28の中間部乃至前端部の幅寸法を拡げつつ、この枢軸11aと共に前記アウタコラム13bを前方に変位させる。何れにしても、前記ステアリングホイール1に衝突した運転者の身体に加わる衝撃エネルギを緩和しつつ、このステアリングホイール1を前方に変位させる。
[実施の形態の第2例]
図20は、請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、テレスコロック用偏心カム53aの基部に設けた円形の取付孔55aと支持軸41とを回転自在に係合させている。そして、第一のばねであるテレスコロック付勢ばね59により、前記支持軸41に対する前記テレスコロック用偏心カム53aの回動量を規制している。即ち、ステアリングホイール1(図25参照)の位置調節を行うべく、調節レバー18a(例えば図1参照)を下方に回動させた状態では、前記テレスコロック付勢ばね59が前記テレスコロック用偏心カム53aのテレスコロック用凹凸部57を、インナコラム14bの下面から離隔させる。
この様な本例の構造は、前記テレスコロック付勢ばね59のみで、前記支持軸41に対する、前記テレスコロック用偏心カム53aの回動量を規制している。従って、前記調節レバー18aの回動に伴って前記テレスコロック用凹凸部57と前記インナコラム14bの下面との係脱を確実に行わせる為には、前記テレスコロック付勢ばね59の精度(形状精度及び弾性変形量等)を確保する事が必要になる。但し、この精度を確保できる限り、前記取付孔55aへの前記支持軸41の挿入作業が容易になる為、組立性の向上によりコスト低減を図れる。その他の部分の構造及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図21は、請求項1、2、5に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、第一のばねであるテレスコロック付勢ばね59(例えば図7参照)を省略する代わりに、テレスコロック用偏心カム53bの基部に設けた取付孔55の内周面と支持軸41の外周面との間に、ゴムの如きエラストマー等の弾性材70を介在させている。これら両周面は何れも、互いに平行な平坦面を有する断面小判形であり、前記テレスコロック用偏心カム53bは前記支持軸41に対して、前記弾性材70のうちで互いに対向する平坦面同士の間に存在する部分を弾性変形させつつ、所定角度分だけ揺動変位可能である。この様な本例の構造は、前記テレスコロック付勢ばね59を省略できるだけでなく、前記テレスコロック用偏心カム53bの基部に、このテレスコロック付勢ばね59の端部を係止する部分を設ける必要がなくなる。この結果、ステアリングホイールの位置調節装置の小型・軽量化、低コスト化を図れる。尚、前記両周面のうちの何れか一方の周面の断面形状を円形とし、当該周面と前記弾性材70とを焼き付け等により接着固定しても良い。その他の部分の構造及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第4例]
図22〜24は、請求項1、6に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、支持軸41の両端部に外嵌固定したチルトロック用偏心カム47c、47dの先端部同士の間に、第一のばねであるテレスコロック用付勢ばね59aを掛け渡している。このテレスコロック付勢ばね59aは、ばね鋼製で直線状の線材であって、中間部をテレスコロック用偏心カム53cの先端部に形成した小通孔71に挿通している。この様なテレスコロック付勢ばね59aは、ステアリングホイール1(図25参照)の位置を固定すべく、調節レバー18a(例えば図1参照)を上方に回動させる事に伴い、前記支持軸41が図22〜23の矢印方向に揺動した状態で、湾曲方向に撓む事により、前記テレスコロック用偏心カム53cに設けたテレスコロック用凹凸部57を、インナコラム14b(例えば図1、11参照)の下面に押し付ける。即ち、本例の場合には、前記テレスコロック用偏心カム53cと前記支持軸41との間に前記テレスコロック付勢ばね59aを、前記両チルトロック用偏心カム47c、47dを介して設けている。その他の部分の構造及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
図示の各例は、テレスコロック用凹凸部をインナコラムの下面に係合させる場合に就いて示した。これに対して、位置調節用の機構をステアリングコラムの上方に設置する構造に関して本発明を実施する場合には、前記テレスコロック用凹凸部は、インナコラムの上面に係合させる。又、このテレスコロック用凹凸部を係合させる部分は、インナコラム自体に限らず、このインナコラムに固定した他の部材であっても良い。
又、杆状部材の回転に伴って1対の支持板部同士の間隔を拡縮する為の構造は、カム装置に限らず、ねじ機構等、従来から知られている各種装置を採用する事ができる。
又、図示の例とは逆に、テレスコロック用偏心カムを支持軸の中間部に固定し、この支持軸の両端部に1対のチルトロック用偏心カムを、この支持軸に対する揺動変位を可能に支持する事もできる。この場合には、調節レバーと前記テレスコロック用偏心カムとの間に、第二のばねである回転力伝達ばねを掛け渡し、前記両チルトロック用偏心カムと前記支持軸との間に、第一のばねであるチルトロック付勢ばねを設ける。
又、ステアリングホイールの上下位置及び前後位置を調節する為の構造に就いては、図示の構造に限らず、従来から知られている各種構造を採用できる。
又、後部にアウタコラムを配置し、前部にインナコラムを配置する構造の場合には、テレスコロック用凹凸部をアウタコラムの一部外周面に係合させる事もできる。
更に、本発明のステアリングホイールの位置調節装置は、ステアリングホイールの上下位置及び前後位置の両方を調節する構造に限らず、チルト機構を持たない(前後位置のみを調節する)、テレスコピックステアリング装置として実施する事もできる。この場合には、特許請求の範囲中の請求項7に記載した様に、アウタコラムと、インナコラムと、ステアリングシャフトと、1対の支持板部と、杆状部材と、調節レバーとを備える。
このうちのアウタコラムは、筒状で、少なくとも軸方向一部の内径を拡縮可能とする。 又、上記インナコラムは、筒状で、前記アウタコラムの内径側に、軸方向の変位を可能に嵌合支持する。
又、前記ステアリングシャフトは、前記インナコラムの内径側に回転自在に支持されて、このインナコラムの後端開口部よりも後方に突出した後端部にステアリングホイールを固定する。
又、前記両支持板部は、前記アウタコラムのうちで前記内径を拡縮可能とした部分を幅方向両側から挟む状態で、車体に支持された支持ブラケットに設ける。
又、前記杆状部材は、幅方向に配設したもので、前記両支持板部の互いに整合する位置に形成された通孔と、前記アウタコラムの一部で前記インナコラムと干渉しない部分に形成した第二の通孔とを挿通し、回転に伴って前記両支持板部の互いに対向する面同士の間隔を拡縮する。
更に、前記調節レバーは、前記杆状部材を回転させる為、基端部をこの杆状部材に結合固定する。
特に、本発明を前述の様なテレスコピックステアリング装置として実施する場合には、前記杆状部材と平行に配設された状態で前記アウタコラムの一部に支持された支持軸と、この支持軸の中間部に基部を支持されたテレスコロック用偏心カムとを備える。この支持軸に対するこのテレスコロック用偏心カムの支持構造は、例えば、ねじ止めや非円形嵌合同士の固定構造(同期して回転する構造)でも、或は、前述した図示の実施の形態の構造の如く、所定角度の揺動変位を可能にしてばねによりインナコラムの外周面に向けて付勢する構造でも良い。
何れにしても、前記テレスコロック用偏心カムのうちで前記インナコラムの外周面又はこのインナコラムに固定した部材の表面に対向する部分は、後方に向かうに従って前記支持軸の中心からの距離が大きくなるテレスコロック用凸円弧縁とし、このテレスコロック用凸円弧縁に、テレスコロック用凹凸部を形成する。
更に、前記調節レバーと前記支持軸との間にばねを設け、このばねにより、この調節レバーを前記ステアリングホイールの位置を調節する状態から固定する状態にまで揺動変位させる事に伴って前記支持軸に、前記テレスコロック用偏心カムに設けた前記テレスコロック用凹凸部を前記インナコラムの外周面又はこのインナコラムに固定した部材の表面に対向する部分に押し付ける方向の弾力を付与可能とする。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングギヤユニット
3 入力軸
4 タイロッド
5、5a ステアリングシャフト
6、6a ステアリングコラム
7 自在継手
8 中間シャフト
9 自在継手
10 車体
11、11a 枢軸
12、12a、12b 支持ブラケット
13、13a、13b アウタコラム
14、14a、14b インナコラム
15、15a アウタチューブ
16、16a インナシャフト
17 電動モータ
18、18a 調節レバー
19、19a 杆状部材
20 カム装置
21 カム部材
22 可動側ブラケット
23 前部素子
24 後部素子
25a、25b 長孔
26 ボルト
27 側壁部
28 長孔
29 主部
30 被枢支部
31 被挟持部
32 不連続部
33 取付板部
34 支持板部
35 長孔
36 抑え板
37 ナット
38 枢支用凸部
39 段差面
40 貫通孔
41 支持軸
42 頭部
43 雄ねじ部
44 大径側非円柱部
45 円柱部
46 小径側非円柱部
47a、47b、47c、47d チルトロック用偏心カム
48 曲縁部
49 チルトロック用凹凸部
50 衝突時過回動防止用ストッパ
51 調節時過回動防止用ストッパ
52 被駆動腕部
53、53a、53b、53c テレスコロック用偏心カム
54 平坦面
55、55a 取付孔
56 突部
57 テレスコロック用凹凸部
58 衝突時過回動防止用ストッパ
59、59a テレスコロック付勢ばね
60 基部
61 弾性押圧部
62 係止部
63 係止孔
64 回動力伝達ばね
65 駆動側係止孔
66 駆動側係止部
67 被駆動側係止孔
68 被駆動側係止部
69 コイル部
70 弾性材
71 小通孔
72 通孔
73 通孔

Claims (7)

  1. 車体に固定の部分に対して前部を、直接又は他の部材を介して、幅方向に設置された枢軸を中心とする揺動変位を可能に支持された、少なくとも軸方向一部の内径を拡縮可能とした、筒状のアウタコラムと、このアウタコラムの内径側に軸方向の変位を可能に嵌合支持された筒状のインナコラムと、このインナコラムの内径側に回転自在に支持されて、このインナコラムの後端開口部よりも後方に突出した後端部にステアリングホイールを固定する、ステアリングシャフトと、前記アウタコラムのうちで前記内径を拡縮可能とした部分を幅方向両側から挟む状態で車体に支持された支持ブラケットに設けられた1対の支持板部と、これら両支持板部の互いに整合する位置に形成された、前記枢軸を中心とする円弧方向に長い長孔と前記アウタコラムの一部で前記インナコラムと干渉しない部分に形成した通孔とを挿通し、回転に伴って前記両支持板部の互いに対向する面同士の間隔を拡縮する、幅方向に配設された杆状部材と、この杆状部材を回転させる為、基端部をこの杆状部材に結合固定した調節レバーとを備えたステアリングホイールの位置調節装置に於いて、前記両支持板部の後端縁の少なくとも一部に設けられた、前記枢軸を中心とする円弧状の曲縁部と、前記杆状部材と平行に配設された状態で前記アウタコラムの一部に支持された支持軸と、この支持軸の両端部に支持された1対のチルトロック用偏心カムと、この支持軸の中間部に支持されたテレスコロック用偏心カムとを備え、これら両チルトロック用偏心カムのうちで前記曲縁部に対向する部分は、上方に向かうに従って前記支持軸の中心からの距離が大きくなるチルトロック用凸円弧縁であって、このチルトロック用凸円弧縁に、チルトロック用凹凸部が形成されており、前記テレスコロック用偏心カムのうちで前記インナコラムの外周面又はこのインナコラムに固定した部材の表面に対向する部分は、後方に向かうに従って前記支持軸の中心からの距離が大きくなるテレスコロック用凸円弧縁であって、このテレスコロック用凸円弧縁に、テレスコロック用凹凸部が形成されており、前記チルトロック用偏心カムとテレスコロック用偏心カムとのうちの一方の偏心カムの基部が前記支持軸に、この支持軸と共に回転する状態で固定されており、同じく他方の偏心カムの基部がこの支持軸に、この支持軸に対する所定角度分の揺動変位を可能に支持されており、これら他方の偏心カムと支持軸との間に、この他方の偏心カムに設けたロック用凹凸部を相手部分に押し付ける方向の弾力を有する第一のばねを設けると共に、前記調節レバーと前記支持軸との間に第二のばねを設け、この第二のばねにより、この調節レバーを前記ステアリングホイールの位置を調節する状態から固定する状態にまで揺動変位させる事に伴って前記支持軸に、前記各偏心カムに設けた前記各ロック用凹凸部を相手部分に押し付ける方向の弾力を付与可能とした事を特徴とするステアリングホイールの位置調節装置。
  2. 他方の偏心カムがテレスコロック用偏心カムであり、このテレスコロック用偏心カムが、アウタコラムの内径を拡縮可能にする為にこのアウタコラムの一部に設けたスリット状の不連続部に進入した状態で、テレスコロック用凹凸部をインナコラムの外周面又はこのインナコラムに固定した部材の表面に対向乃至は当接させると共に、前記テレスコロック用偏心カムと支持軸との間に第一のばねを掛け渡しており、一方の偏心カムである1対のチルトロック用偏心カムの基部が、前記支持軸の両端部に外嵌固定されており、これら両チルトロック用偏心カムのうちの一方のチルトロック用偏心カムの一部に被駆動側係止腕部が、このチルトロック用偏心カムの径方向外方に突出する状態で形成されており、この被駆動側係止腕部の先端部と調節レバーの一部との間に第二のばねを掛け渡す事により、この調節レバーと前記支持軸との間にこの第二のばねを、前記一方のチルトロック用偏心カムを介して設けている、請求項1に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
  3. テレスコロック用偏心カムの基部に設けた取付孔の内周面と支持軸の外周面との非円形係合に基づき、このテレスコロック用偏心カムをこの支持軸に対し、所定角度のみ、相対変位可能に支持している、請求項2に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
  4. テレスコロック用偏心カムの基部に設けた円形の取付孔と支持軸とを回転自在に係合させると共に、第一のばねにより、この支持軸に対する前記テレスコロック用偏心カムの回動量を規制している、請求項2に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
  5. テレスコロック用偏心カムの基部に設けた取付孔の内周面と支持軸の外周面との間に、第一のばねとして機能する弾性材を介在させる事により、この支持軸に対する前記テレスコロック用偏心カムを、回動量を規制した状態で支持している、請求項2に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
  6. 一方の偏心カムがテレスコロック用偏心カムであって、このテレスコロック用偏心カムが支持軸の中間部に、この支持軸に対する回動を可能に支持されており、このテレスコロック用偏心カムが、アウタコラムの内径を拡縮可能にする為にこのアウタコラムの一部に設けたスリット状の不連続部に進入した状態で、テレスコロック用凹凸部をインナコラムの外周面又はこのインナコラムに固定した部材の表面に対向させており、他方の偏心カムである1対のチルトロック用偏心カムの基部が、前記支持軸の両端部に外嵌固定されており、これら両チルトロック用偏心カムのうちの一方のチルトロック用偏心カムの一部に被駆動側係止腕部が、このチルトロック用偏心カムの径方向外方に突出する状態で形成されており、この被駆動側係止腕部の先端部と調節レバーの一部との間に第二のばねを掛け渡す事により、この調節レバーと前記支持軸との間にこの第二のばねを、前記一方のチルトロック用偏心カムを介して設けており、前記両チルトロック用偏心カム同士の間に掛け渡した第一のばねの中間部を前記テレスコロック用偏心カムの一部に係止している、請求項1に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
  7. 少なくとも軸方向一部の内径を拡縮可能とした、筒状のアウタコラムと、このアウタコラムの内径側に軸方向の変位を可能に嵌合支持された筒状のインナコラムと、このインナコラムの内径側に回転自在に支持されて、このインナコラムの後端開口部よりも後方に突出した後端部にステアリングホイールを固定する、ステアリングシャフトと、前記アウタコラムのうちで前記内径を拡縮可能とした部分を幅方向両側から挟む状態で車体に支持された支持ブラケットに設けられた1対の支持板部と、これら両支持板部の互いに整合する位置に形成された通孔と前記アウタコラムの一部で前記インナコラムと干渉しない部分に形成した第二の通孔とを挿通し、回転に伴って前記両支持板部の互いに対向する面同士の間隔を拡縮する、幅方向に配設された杆状部材と、この杆状部材を回転させる為、基端部をこの杆状部材に結合固定した調節レバーとを備えたステアリングホイールの位置調節装置に於いて、前記杆状部材と平行に配設された状態で前記アウタコラムの一部に支持された支持軸と、この支持軸の中間部に基部を支持されたテレスコロック用偏心カムとを備え、前記テレスコロック用偏心カムのうちで前記インナコラムの外周面又はこのインナコラムに固定した部材の表面に対向する部分は、後方に向かうに従って前記支持軸の中心からの距離が大きくなるテレスコロック用凸円弧縁であって、このテレスコロック用凸円弧縁に、テレスコロック用凹凸部が形成されており、前記調節レバーと前記支持軸との間にばねを設け、このばねにより、この調節レバーを前記ステアリングホイールの位置を調節する状態から固定する状態にまで揺動変位させる事に伴って前記支持軸に、前記テレスコロック用偏心カムに設けた前記テレスコロック用凹凸部を前記インナコラムの外周面又はこのインナコラムに固定した部材の表面に対向する部分に押し付ける方向の弾力を付与可能とした事を特徴とするステアリングホイールの位置調節装置。
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