JP6939825B2 - Al系めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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(1)下地鋼板と、
前記下地鋼板の少なくとも片面に、質量%で、Fe:40〜70%、Ca:1.5〜10%を含み、残部がAl及び不可避的不純物である成分組成を有する、厚さ7〜30μmのAl−Fe−Ca合金めっき層と、
前記Al−Fe−Ca合金めっき層の表面に付着した、付着量が0〜1000mg/m2の、Feとの金属間化合物を形成していないAlと、
を有することを特徴とするAl系めっき鋼板。
本発明の一実施形態によるAl系めっき鋼板は、下地鋼板と、前記下地鋼板の少なくとも片面に、所定の成分組成を有する厚さ7〜30μmのAl−Fe−Ca合金めっき層と、前記Al−Fe−Ca合金めっき層の表面に付着した、付着量が0〜1000mg/m2の、Feとの金属間化合物を形成していないAlと、を有することを特徴とする。
本実施形態において、Al−Fe−Ca合金めっき層は、Fe:40〜70%、Ca:1.0〜10%を含み、残部がAl及び不可避的不純物である成分組成を有し、片面当りの厚さが7〜30μmである。
Al−Fe−Ca合金めっき層中のFe含有率が40%未満の場合、比較的低融点のAl4Fe13が主体のAl−Fe合金相が形成され、これが抵抗スポット溶接時に溶融することで電極と凝着し、電極寿命が極度に短期化し、抵抗スポット溶接性が低下する。一方、Al−Fe−Ca合金めっき層中のFe含有率が70%を超える場合、Alによる地鉄の防食効果を十分に得られず、塗装後耐食性及び合わせ部耐食性が低下する。よって、Al−Fe−Ca合金めっき層中のFe含有率は、40%以上70%以下とする。
Al−Fe−Ca合金めっき層中のCa含有率が1.5%未満の場合、めっき層の塩水中における自然電位が下地鋼板との電位差がほとんどないか、あるいはより貴な電位となる。この場合、優れたバリア性による防食効果は期待されるが、加工やチッピングなどによりめっきの欠落が生じると、欠落部を起点として下地鋼板が腐食し、めっき層による犠牲防食効果を十分に得られず、塗装後耐食性及び合わせ部耐食性が低下する。よって、Ca含有率は1.5%以上とし、好ましくは2.5%以上とし、より好ましくは3.5%以上とする。また、Al−Fe−Ca合金めっき層中のCa含有率が10%を超えると、Al−Fe合金相が極端に脆くなり、抵抗スポット溶接性や塗装後耐食性が劣化する。よって、Ca含有率10%以下とし、好ましくは8%以下とし、より好ましくは5%以下とする。
Al−Fe−Ca合金めっき層の厚さが7μm未満の場合、端面、疵部、チッピング部などめっきが欠損した箇所において、下地鋼板とガルバニック対を形成した際の腐食速度が著しく大きくなるため、塗装後耐食性及び合わせ部耐食性が劣化する。また、Al−Fe−Ca合金めっき層の厚さが30μm超えの場合、抵抗スポット溶接の際にめっき層の溶融に高電流を要するため、抵抗スポット溶接性が劣化する。よって、Al−Fe−Ca合金めっき層の厚さは7μm以上30μm以下とする。
Feとの金属間化合物を形成していないAlは、主にFeと合金化していない金属Alであり、その他に、Al−Ca合金として存在するAlを含む。
Feとの金属間化合物を形成していないAlの片面当りの付着量が1000mg/m2を超える場合、塗膜下腐食環境において優先腐食を生じ、塗装後耐食性が劣化する。さらに、抵抗スポット溶接時に溶融することで電極と凝着し、電極寿命が極度に短期化し、抵抗スポット溶接性が低下する。よって、本実施形態では、Feとの金属間化合物を形成していないAlの片面当りの付着量を1000mg/m2以下とすることが肝要である。付着量が1000mg/m2以下の場合、Al−Fe−Ca合金めっき層の表面には、Feとの金属間化合物を形成していないAlが粒状又は島状に点在している程度である。好ましくは、200mg/m2以下であり、より好ましくは、100mg/m2以下である。当該付着量の下限は特に限定されず、付着量は0mg/m2以上とすればよい。
本発明において用いられる下地鋼板の種類については、特に限定はされない。例えば、酸洗脱スケールした熱延鋼板若しくは鋼帯、又は、それらを冷間圧延して得られた冷延鋼板若しくは鋼帯を用いることができる。熱間圧延工程については、スラブ加熱、粗圧延、及び、仕上げ圧延を経て巻き取る通常の方法で実施すれば良い。さらに加熱温度、仕上げ圧延温度等についても特に指定されるものではなく、通常の温度で実施できる。熱間圧延後に行われる酸洗工程についても、通常用いられる方法によって行えば良く、塩酸や硫酸等を用いた洗浄が挙げられる。酸洗後に行われる冷間圧延工程についても特に限定はされないが、例えば、30〜90%の圧下率で行うことができる。圧下率が30%以上であれば機械特性が劣化することがなく、一方90%以下であれば圧延コストがアップしない。
本発明の一実施形態によるAl系めっき鋼板の製造方法は、下地鋼板を、Fe:5%以下、Ca:3.0〜20%を含み、残部がAl及び不可避的不純物である成分組成を有する溶融めっき浴に浸漬し、その後ガスワイピングを行い、好ましくはガスワイピング後に、加熱によるAlの合金化処理を行うことにより、製造することができる。
Feとの金属間化合物を形成していないAlが表層に残存している場合、当該Alを合金化する熱処理を行うことによって、Feとの金属間化合物を形成していないAlの片面当りの付着量をより容易に1000mg/m2以下とすることができる。合金化処理の方法は特に限定はされないが、例えば、ボックス焼鈍(BAF焼鈍)により行うことができ、あるいは連続溶融めっき設備においてAlめっき後に誘導加熱等により連続的に行うことができる。Al系めっき鋼板を50℃/h〜50℃/sの昇温速度で450〜950℃まで昇温することにより、AlをAl−Fe−Sn合金めっき層に取り込むことができる。連続溶融めっき設備での加熱においては、到達板温を750℃以上とすることが好ましい。ボックス焼鈍の場合は、酸素:3体積%以上を含有する雰囲気下で、板温:450〜600℃、当該温度域での保定時間:1〜50時間とすることが好ましい。
各水準において、板厚0.8mmのめっき鋼板2枚の重ね合わせ溶接における連続打点溶接性を評価した。溶接電源:単相交流、電極材質:Cu−Cr合金、電極形状:ドーム型、電極先端径:6mm、加圧力:2400N、溶接時間:10サイクル(周波数:50Hz)の溶接条件で、打角は設けていない。まず、溶接電流を変化させて抵抗溶接をし、形成される溶接ナゲット径が4√t(t:めっき鋼板の厚さ)すなわち3.6mmとなる電流をI0とした。I0の1.4倍の電流をIaとして、電流Iaで連続溶接試験を行い、溶接ナゲット径が4√t未満となるまでの連続打点数を測定した。評価は、下記に示す4段階の評価基準を設定して行い、○以上を合格とした。結果を、表1に併せて示す。
◎:2500超
○:1000〜2500
△:500〜1000
×:500未満
各水準のめっき鋼板を70mm×80mmのサイズに切断したサンプルに対して、自動車外板用塗装処理と同様に、化成処理としてリン酸亜鉛処理を行った後、電着塗装を施した。ここで、リン酸亜鉛処理及び電着塗装は、以下の条件で行った。
[リン酸亜鉛処理]
市販の化成処理薬剤(日本パーカライジング株式会社製パルボンドSX−35)を用いて、浴温:35℃、フリーフッ素濃度:200質量ppm、処理時間:120秒の条件で鋼板の化成処理を行った。
[電着塗装]
関西ペイント社製の電着塗料:GT−100を用いて、膜厚が15μmとなるように電圧を調整し、電着塗装を施した。
◎:最大塗膜膨れ幅≦2.0mm
○:2.0mm<最大塗膜膨れ幅≦3.0mm
△:3.0mm<最大塗膜膨れ幅≦4.0mm
×:4.0mm<最大塗膜膨れ幅
各水準で作製した板厚0.8mmのめっき鋼板から、それぞれ70mm×80mmの大板と40mm×60mmの小板を切り出し、小板を大板の中央部に重ね合わせて、抵抗スポット溶接により2箇所で接合することで、サンプルを作製した。当該サンプルに対して、自動車外板用塗装処理と同様に、化成処理としてリン酸亜鉛処理を行った後、電着塗装を施した。ここで、リン酸亜鉛処理及び電着塗装は、以下の条件で行った。
[リン酸亜鉛処理]
市販の化成処理薬剤(日本パーカライジング株式会社製パルボンドSX−35)を用いて、浴温:35℃、フリーフッ素濃度:200質量ppm、処理時間:120秒の条件で鋼板の化成処理を行った。
[電着塗装]
関西ペイント社製の電着塗料:GT−100を用いて、膜厚が15μmとなるように電圧を調整し、電着塗装を施した。
◎:最大腐食深さ<0.2mm
○:0.2mm≦最大腐食深さ<0.4mm
△:0.4mm≦最大腐食深さ<0.8mm
×:最大腐食深さ=0.8mm(穴あき)
Claims (5)
- 下地鋼板と、
前記下地鋼板の少なくとも片面に、質量%で、Fe:40〜70%、Ca:1.5〜10%を含み、残部がAl及び不可避的不純物である成分組成を有する、厚さ7〜30μmのAl−Fe−Ca合金めっき層と、
前記Al−Fe−Ca合金めっき層の表面に付着した、付着量が0〜1000mg/m2の、Feとの金属間化合物を形成していないAlと、
を有することを特徴とするAl系めっき鋼板。 - 前記Al−Fe−Ca合金めっき層の成分組成が、さらに、質量%で、Mg、Zn、Sn、Mn、及びCrから選ばれた少なくとも一種を合計で0%超え10%以下含む、請求項1に記載のAl系めっき鋼板。
- 下地鋼板を、質量%で、Fe:5%以下、Ca:3.0〜20%を含み、残部がAl及び不可避的不純物である成分組成を有する溶融めっき浴に浸漬し、その後ガスワイピングを行うことにより、請求項1に記載のAl系めっき鋼板を製造することを特徴とするAl系めっき鋼板の製造方法。
- 下地鋼板を、質量%で、Fe:5%以下、Ca:3.0〜20%を含み、さらに、質量%で、Mg、Zn、Sn、Mn、及びCrから選ばれた少なくとも一種を合計で0%超え20%以下含み、残部がAl及び不可避的不純物である成分組成を有する溶融めっき浴に浸漬し、その後ガスワイピングを行うことにより、請求項2に記載のAl系めっき鋼板を製造することを特徴とするAl系めっき鋼板の製造方法。
- 前記ガスワイピング後に、加熱によるAlの合金化処理を行う、請求項3又は4に記載のAl系めっき鋼板の製造方法。
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