以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理装置および基板処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、本実施形態では半導体ウェハ(以下ウェハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウェハWの搬送を行う。
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウェハWに対して所定の基板処理を行う。
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
次に、処理ユニット16について図2を参照し説明する。図2は、処理ユニット16の概略構成を示す図である。
図2に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板保持機構30と、処理流体供給部40と、回収カップ50とを備える。
チャンバ20は、基板保持機構30と処理流体供給部40と回収カップ50とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
基板保持機構30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備える。保持部31は、ウェハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。かかる基板保持機構30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウェハWを回転させる。
処理流体供給部40は、ウェハWに対して処理流体を供給する。処理流体供給部40は、処理流体供給源70に接続される。
回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置され、保持部31の回転によってウェハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液は、かかる排液口51から処理ユニット16の外部へ排出される。また、回収カップ50の底部には、FFU21から供給される気体を処理ユニット16の外部へ排出する排気口52が形成される。
次に、基板処理システム1の内部構成について図3〜図4Cを参照して具体的に説明する。図3は、基板処理システム1の内部構成の一例を示す図である。図4Aおよび図4Bは、蓋体開閉機構および基板検出部の構成の一例を示す図であり、図4Cは、基板検出部の構成の一例を示す図である。
なお、図3、図4Aおよび図4Bには、基板処理システム1をY軸の負方向から透視した簡略的な側面模式図を示している。また、以下では、基板搬送装置13,17のうち、基板搬送装置13を「第1搬送装置13」と記載し、基板搬送装置17を「第2搬送装置17」と記載する。
まず、搬入出ステーション2の構成について説明する。図3に示すように、搬入出ステーション2の搬送部12は、搬入出室12aと、受渡室12bとを備える。
搬入出室12aは、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に第1搬送装置13と、蓋体開閉機構5と、基板検出部7とが配置される。
第1搬送装置13は、複数のウェハ保持部13aと移動機構13bとを備える。複数のウェハ保持部13aは、複数(ここでは5枚)のウェハWを間隔をあけて多段に保持可能である。移動機構13bは、垂直方向に延在する垂直ガイド13cに沿って複数のウェハ保持部13aを昇降させる。また、移動機構13bは、複数のウェハ保持部13aを水平方向に沿って移動させ、鉛直軸回りに回転させる。
つづいて、蓋体開閉機構5の構成について図4Aおよび図4Bを参照して説明する。図4Aに示すように、搬入出室12aのキャリア載置部11が設けられる側の壁面には、ウェハWの搬送口12a1が設けられている。蓋体開閉機構5は、搬送口12a1を搬入出室12a側から塞ぐドア部55と、ドア部55を移動させる駆動部56とを備える。
ドア部55は、たとえば水平軸まわりに回転するラッチキー(図示せず)を備えており、ラッチキーがキャリアCの蓋体C1に設けられた鍵穴(図示せず)に差し込まれて回転することで蓋体C1と係合する。蓋体開閉機構5は、ドア部55に蓋体C1を係合させた後、駆動部56によりドア部55を後退および降下させる。これにより、キャリアCから蓋体C1が取り外されて、搬入出室12aとキャリアCとが連通する。
つづいて、基板検出部7の構成について図4A〜図4Cを参照して説明する。図4Aおよび図4Bに示すように、基板検出部7は、昇降機構71と、回転機構72と、支持アーム73,73と、投光部74と、受光部75とを備える。
昇降機構71は、回転機構72を昇降させる。回転機構72は、支持アーム73,73を回転可能に支持する。投光部74は、支持アーム73,73のうち一方の先端に設けられる。受光部75は、支持アーム73,73のうち他方の先端に設けられる。
マッピングを行わないときには支持アーム73,73は図4B中に破線で示すように、上方に伸びた姿勢となっている。マッピングを行うときには、図4B中に実線で示すように、回転機構72が支持アーム73,73を回転させることにより、支持アーム73,73を水平方向に伸びた姿勢とする。これにより、投光部74および受光部75は、キャリアCの内部に配置された状態となる。
図4Cに示すように、投光部74および受光部75は、キャリアCの開口部の左右両側に互いに向き合うようにして水平に配置される。基板検出部7は、投光部74から光を照射させた状態で、昇降機構71を用いて投光部74および受光部75を鉛直方向に沿って移動させる。
投光部74と受光部75との間にウェハWが存在しない場合、投光部74から照射された光は受光部75によって受光される。一方、投光部74と受光部75との間にウェハWが存在する場合、投光部74から照射された光は、ウェハWによって遮られるため受光部75には届かない。これにより、基板検出部7は、キャリアCに収容されたウェハWを検知することができる。
図3に戻り、受渡室12bの構成について説明する。図3に示すように、受渡室12bは、搬入出室12aと処理ステーション3との間に設けられ、内部に複数(ここでは2つ)の受渡部14が配置される。2つの受渡部14は、高さ方向(Z軸方向)に並べて配置される。
各受渡部14は、「基板載置部」の一例であり、複数のウェハWを多段に載置可能な複数のスロット(載置場所の一例)を有する。具体的には、受渡部14は、搬送部15に搬入されるウェハW(すなわち、処理ユニット16によって処理される前のウェハW)が載置される複数(少なくとも後述する一括搬送枚数以上)のスロットと、搬送部15から搬出されるウェハW(すなわち、処理ユニット16によって処理された後のウェハW)が載置される複数(少なくとも後述する一括搬送枚数以上)のスロットとを有する。
なお、2つの受渡部14のうち上段の受渡部14には、後述する上段の搬送部15に対して搬入出されるウェハWが載置される。また、2つの受渡部14のうち下段の受渡部14には、後述する下段の搬送部15に対して搬入出されるウェハWが載置される。また、受渡部14が有するウェハWの載置場所は、必ずしもスロットであることを要しない。
つづいて、処理ステーション3の構成について具体的に説明する。図3に示すように、処理ステーション3は、複数(ここでは2つ)の搬送部15を備える。搬送部15は、高さ方向(Z軸方向)に並べて配置される。
各搬送部15には、第2搬送装置17が配置される。第2搬送装置17は、第1ウェハ保持部17aと、第2ウェハ保持部17bと、移動機構17cとを備える。
第1ウェハ保持部17aおよび第2ウェハ保持部17bは、それぞれ1枚のウェハWを保持可能である。具体的には、第1ウェハ保持部17aは、処理ユニット16によって処理される前のウェハW(以下、「未処理ウェハW」と記載する場合がある)を保持し、第2ウェハ保持部17bは、処理ユニット16によって処理された後のウェハW(以下、「処理済ウェハW」と記載する場合がある)を保持する。
移動機構17cは、水平方向(X軸方向)に延在する水平ガイド17dに沿って第1ウェハ保持部17aおよび第2ウェハ保持部17bを移動させ、垂直方向に延在する垂直ガイド17eに沿って第1ウェハ保持部17aおよび第2ウェハ保持部17bを昇降させる。また、移動機構17cは、第1ウェハ保持部17aおよび第2ウェハ保持部17bを水平ガイド17dの延在方向と直交する水平方向(Y軸方向)に沿って移動させ、鉛直軸回りに回転させる。
ここでは図示を省略するが、複数の処理ユニット16は、各搬送部15に配置される。また、処理ステーション3において、下段の搬送部15よりも下方には空間が設けられており、かかる空間には、たとえば、各種の配管を収容した配管ボックスや、処理流体供給源70としての薬液タンク等が配置される。
基板処理システム1では、まず、キャリアCの蓋体C1を開く開蓋処理が行われる。具体的には、基板処理システム1は、蓋体開閉機構5を用いて蓋体C1を開いた後、基板検出部7を用いてキャリアCに収容されたウェハWのマッピングを行う。
つづいて、第1搬送装置13は、キャリアCから5枚の未処理ウェハWを一括で取り出して受渡部14に載置し、その後、第2搬送装置17は、受渡部14から未処理ウェハWを1枚取り出していずれかの処理ユニット16に搬入する。なお、上段の受渡部14に載置された未処理ウェハWは、上段の第2搬送装置17によって取り出されて上段の処理ユニット16に搬入される。また、下段の受渡部14に載置された未処理ウェハWは、下段の第2搬送装置17によって取り出されて下段の処理ユニット16に搬入される。
つづいて、処理ユニット16は、搬入された未処理ウェハWに対して所定の処理を行う。たとえば、処理ユニット16は、未処理ウェハWに対し、薬液を供給する薬液処理、ウェハWに対してリンス液を供給するリンス処理およびウェハWを乾燥させる乾燥処理を実行する。本実施形態において、各処理ユニット16による処理の内容および処理時間は同一であるものとする。
処理ユニット16による処理が終了すると、第2搬送装置17は、処理ユニット16から処理済ウェハWを取り出して受渡部14へ載置する。なお、受渡部14に未処理ウェハWが載置されている場合、第2搬送装置17は、処理ユニット16に対する処理済ウェハWの搬出と未処理ウェハWの搬入とを一度に行う(後述する「搬出・搬入動作」)。
その後、第1搬送装置13は、受渡部14から5枚の処理済ウェハWを一括して取り出してキャリアCへ収容する。
ところで、かかる一連の基板処理の実行中に、キャリアCの蓋体C1を常時開いた状態としておくと、キャリアC内のウェハWが搬入出室12a内の雰囲気に長時間さらされることにより、ウェハWの品質に影響が生じるおそれがある。たとえば、ウェハWの表面に形成された金属膜が、搬入出室12a内の雰囲気に含まれる水分によって腐食するおそれがある。
そこで、実施形態に係る基板処理システム1では、第1搬送装置13によるキャリアCへのアクセスが一定時間なされなかった場合、蓋体開閉機構5を用いてキャリアCの蓋体C1を閉じる閉蓋処理を行うこととしている。なお、「キャリアCへのアクセスが一定時間なされない」状況は、たとえば、全ての処理ユニット16がウェハWを処理中であり、且つ、受渡部14に設けられた複数のスロットのうちウェハWが載置されていない空きスロットの数が、第1搬送装置13によって同時搬送されるウェハWの枚数(以下、一括搬送枚数と記載する)未満である場合に生じ得る。
閉蓋処理によってキャリアCの蓋体C1が閉じられた後、第1搬送装置13によるキャリアCへのアクセスを再開する場合、基板処理システム1は、上述した開蓋処理を行うが、開蓋処理にはある程度の時間を要する。このため、開蓋処理が終了するまでの間、キャリアCに対するウェハWの搬入出作業が待ち状態となり、スループットが低下するおそれがある。なお、開蓋処理において仮にマッピング処理を省略したとしても、スループットの低下は生じうる。
そこで、実施形態に係る基板処理システム1では、第1搬送装置13によるキャリアCへのアクセスが再開可能な状態になる前、具体的には、第1搬送装置13が5枚のウェハWを受渡部14に一括して載置することができるようになる前に、開蓋処理を開始することとした。これにより、開蓋処理の待ち時間によるスループットの低下を抑制することができる。以下、かかる点について具体的に説明する。
図5は、制御装置4の構成の一例を示すブロック図である。なお、図5は、制御装置4が備える複数の構成要素のうちの一部のみを示したものである。
図5に示すように、制御装置4は、制御部18と記憶部19とを備える。
制御部18は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。制御部18は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより機能する複数の処理部を備える。具体的には、制御部18は、レシピ実行部18aと、情報収集部18bと、搬送制御部18cと、開閉制御部18dとを備える。なお、レシピ実行部18a、情報収集部18b、搬送制御部18cおよび開閉制御部18dは、それぞれ一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
記憶部19は、たとえば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。かかる記憶部19は、レシピ情報19aと、状態情報19bとを記憶する。
レシピ実行部18aは、レシピ情報19aに従って処理ユニット16を制御することにより、ウェハWに対する処理を処理ユニット16に対して実行させる。
たとえば、レシピ実行部18aは、レシピ情報19aに従って処理ユニット16を制御することにより、ウェハWに対して薬液を供給する薬液処理、ウェハWに対してリンス液を供給するリンス処理およびウェハWを乾燥させる乾燥処理を含む処理を処理ユニット16に対して実行させる。
レシピ情報19aは、処理ユニット16に対して実行させる処理の内容を示す情報である。具体的には、レシピ情報19aには、各処理の実行順序、処理時間、使用する処理流体の種類、処理流体の吐出流量、処理流体供給部40の位置、保持部31の回転速度などの情報が含まれる。
情報収集部18bは、第1搬送装置13、各第2搬送装置17、各処理ユニット16および基板処理システム1に設けられた各種のセンサ(図示せず)等から基板処理システム1の状態に関する情報を収集する。また、情報収集部18bは、収集した情報を状態情報19bとして記憶部19に記憶する。
状態情報19bは、基板処理システム1の状態に関する情報である。具体的には、状態情報19bには、少なくとも、「第1搬送装置13の状態」、「受渡部14の状態」、「第2搬送装置17の状態」、「処理ユニット16の状態」および「キャリアCの状態」に関する情報が含まれる。
「第1搬送装置13の状態」に関する情報および「第2搬送装置17の状態」に関する情報には、ウェハWを保持しているか否か、移動中か否かといった情報が含まれる。また、「受渡部14の状態」に関する情報には、空きスロット数の情報が含まれる。また、「処理ユニット16の状態」に関する情報には、ウェハWに対する処理の開始準備が整っているか否か、チャンバ20内にウェハWが収容されているか否か、ウェハWに対する処理を実行中か否か、ウェハWに対する処理がまもなく終了するか否か、ウェハWに対する処理が終了したか否か等の情報が含まれる。「キャリアCの状態」に関する情報には、蓋体C1の開閉状態の情報が含まれる。
搬送制御部18cは、第1搬送装置13および第2搬送装置17によるウェハWの搬送を制御する。具体的には、搬送制御部18cは、第1搬送装置13に対して「取出動作」および「回収動作」の実行を指示し、第2搬送装置17に対して「搬入動作」および「搬出動作」の実行を指示する。「取出動作」は、キャリアCから複数(ここでは5枚)の未処理ウェハWを一括して取り出して受渡部14へ載置する動作であり、「回収動作」は、受渡部14から処理済ウェハWを取り出してキャリアCへ戻す動作である。また、「搬入動作」は、受渡部14から1枚の未処理ウェハWを取り出して処理ユニット16に搬入する動作であり、「搬出動作」は、処理ユニット16から1枚の処理済ウェハWを取り出して受渡部14へ載置する動作である。
搬送制御部18cは、キャリアCの蓋体C1が開いており、且つ、受渡部14に未処理ウェハW用の空きスロットが5つ以上存在している場合に、第1搬送装置13に対して「取出動作」の実行を指示する。また、搬送制御部18cは、キャリアCの蓋体C1が開いており、且つ、受渡部14に処理済ウェハWが5枚以上載置されている場合に、第1搬送装置13に対して「回収動作」の実行を指示する。なお、搬送制御部18cは、キャリアCの蓋体C1が開いており、且つ、受渡部14に未処理ウェハW用の空きスロットが5つ以上存在しているか否か、および、キャリアCの蓋体C1が開いており、且つ、受渡部14に処理済ウェハWが5枚以上載置されているか否かを状態情報19bに基づいて判定する。
また、搬送制御部18cは、受渡部14に未処理ウェハWが載置されており、且つ、空き処理ユニット16が存在する場合に、「搬入動作」の実行を第2搬送装置17に対して指示する。また、搬送制御部18cは、処理ユニット16による処理が終了し、且つ、受渡部14に処理済ウェハW用の空きスロットが存在する場合に、「搬出動作」の実行を第2搬送装置17に対して指示する。なお、搬送制御部18cは、受渡部14に未処理ウェハWが載置されており、且つ、空き処理ユニット16が存在するか否か、および処理ユニット16による処理が終了し、且つ、受渡部14に処理済ウェハW用の空きスロットが存在するか否かを状態情報19bに基づいて判定する。
なお、空き処理ユニット16とは、チャンバ20内にウェハWが収容されておらず、且つ、チャンバ20内にウェハWが収容された場合に、ウェハWに対する処理を直ぐに実行することが可能な状態にある処理ユニット16のことをいう。
開閉制御部18dは、「閉蓋条件」が成立した場合に、蓋体開閉機構5を制御して、キャリアCの蓋体C1を閉じる閉蓋処理を実行する。
図6Aは、閉蓋条件の一例を示す図である。図6Aに示すように、開閉制御部18dは、キャリアCの蓋体C1が開いていること(条件Q01)、および、第1搬送装置13によるキャリアCへのアクセスが一定時間なされていないこと(条件Q02)の各条件が成立したか否かを状態情報19bに基づいて判定する。なお、条件Q02に関し、開閉制御部18dは、具体的には、第1搬送装置13によるキャリアCからのウェハWの取り出しまたはキャリアCへのウェハWの載置が最後になされてからの経過時間が閾値を超えたか否かを判定する。
条件Q01および条件Q02が成立した場合、開閉制御部18dは、蓋体開閉機構5に対し、キャリアCの蓋体C1を閉じる閉動作を開始させる。これにより、閉蓋処理が開始され、キャリアCの蓋体C1が閉じる。
また、開閉制御部18dは、「開蓋条件」が成立した場合に、蓋体開閉機構5および基板検出部7を制御して、キャリアCの蓋体C1を開く開蓋処理を実行する。
図6Bは、開蓋条件の一例を示す図である。図6Bに示すように、開蓋条件は、キャリアCの蓋体C1が閉じていること(条件Q11)、第2搬送装置17によって受渡部14から未処理ウェハWが1枚取り出されたこと(条件Q12)、時間t1≧時間t2であること(条件Q13)、および、一括搬送枚数分の未処理ウェハWを一括搬送枚数分の処理ユニット16に対して連続して順次搬入可能であること(条件Q14)、である。
ここで、条件Q13における「時間t1」とは、開蓋処理の所要時間、すなわち、蓋体開閉機構5による開動作が開始されてから基板検出部7によるマッピング動作が終了するまでの時間として記憶部19に予め記憶された時間である。また、条件Q13における「時間t2」とは、現時点から5枚目の未処理ウェハWが受渡部14から取り出されるまでに要する時間である。具体的には、「時間t2」は、第2搬送装置17による1枚のウェハWについて搬出・搬入動作に要する時間として予め記憶部19に記憶された時間に、一括搬送枚数から現在の空きスロット数を減じた数を乗じた時間である。
条件Q14の内容について図7を参照して説明する。図7は、図6Bに示す条件Q14を説明するための図である。
たとえば、全ての処理ユニット16がウェハWを処理中である場合において、何れかの処理ユニット16から、ウェハWの処理が終了したことを示す終了信号が出力されたとする。この場合、受渡部14に未処理ウェハWが載置されており、且つ、処理済ウェハW用の空きスロットが存在しているとすると、搬送制御部18cは、第2搬送装置17に対して「搬出・搬入動作」の実行を指示する。
ここで、搬出・搬入動作とは、受渡部14から未処理ウェハWを取り出した後、処理ユニット16へ移動し、処理ユニット16から処理済ウェハWを搬出して未処理ウェハWを搬入し、その後、受渡部14へ移動して受渡部14へ処理済ウェハWを載置するまでの一連の動作をいう。
条件Q14は、この搬出・搬入動作を一括搬送枚数分(ここでは5回)連続して行うことが可能であることを意味する。たとえば、ある処理ユニット16に対する搬出・搬入動作の実行中に、別の処理ユニット16によるウェハWの処理が終了する状況が一括搬送枚数分連続して発生することが予想される場合、搬出・搬入動作を一括搬送枚数分連続して行うことが可能である。
開閉制御部18dは、条件Q11〜条件Q14が成立したか否かを状態情報19bに基づいて判定する。そして、開蓋条件が成立した場合、開閉制御部18dは、蓋体開閉機構5に対し、キャリアCの蓋体C1を開く開動作を開始させる。また、開動作が終了すると、開閉制御部18dは、基板検出部7に対し、投光部74から光を照射させた状態で、昇降機構71を用いて投光部74および受光部75を鉛直方向に沿って移動させるマッピング動作を開始させる。これにより、開蓋処理が開始されてキャリアCの蓋体C1が開き、第1搬送装置13によるキャリアCへのアクセスが可能な状態となる。
次に、開蓋処理の実行タイミングについて図8A〜図8Gを参照して説明する。図8A〜図8Gは、開蓋処理の実行タイミングを説明するための図である。
なお、図8A〜図8G中、受渡部14に付した「×」は、スロットにウェハWが載置されている状態を示し、受渡部14に付した「○」は、スロットにウェハWが載置されていない状態(すなわち空きスロットである状態)を示している。また、図8A〜図8G中、処理ユニット16に付した「×」は、ウェハWを処理中である状態を示し、処理ユニット16に付した「○」は、ウェハWの処理が終了している状態を示している。
図8Aに示すように、第1搬送装置13によって5枚の未処理ウェハWが一括して受渡部14に載置されることにより(図8AのステップS01)、受渡部14の未処理ウェハW用の空きスロット数が「0」になったとする(図8AのステップS02)。また、このとき、全ての処理ユニット16はウェハWの処理中であるとする。
このような状態において、第1搬送装置13によるキャリアCへのアクセスが一定時間なされなかった結果、図8Bに示すように、閉蓋処理が実行されてキャリアCの蓋体C1(図4A参照)が閉じられたとする(図8BのステップS03)。
その後、何れかの処理ユニット16によるウェハWの処理が終了すると(図8CのステップS04)、処理を終えた処理ユニット16は、ウェハWの処理を終えたことを示す終了信号を制御部18に対して出力する。なお、第2搬送装置17は、ウェハWの処理が終了するよりも前に、ウェハWの処理がまもなく終了することを示す終了予告信号を出力してもよい。
制御部18は、終了信号または終了予告信号を受信すると、第2搬送装置17により受渡部14からウェハWを取り出すことを決定して、第2搬送装置17に対して搬出・搬入動作の実行を指示する。これにより、第2搬送装置17によって搬出・搬入動作が実行され(図8CのステップS05)、受渡部14から未処理ウェハWが1枚取り出されて受渡部14に1つの空きスロットが生じる(図8CのステップS06)。
制御部18は、終了信号または終了予告信号を受信すると、開蓋条件における条件Q13が成立するか否かを判定するために、「時間t1」と「時間t2」とを比較する。ここでは、図8Cに示す状態すなわち受渡部14の空きスロット数が1つの状態において時間t1<時間t2であり、条件Q13は満たされないものとする。なお、制御部18は、終了信号または終了予告信号を受信するごとに、状態情報19bから現在の空きスロット数の情報を取得して時間t2を算出する。
第2搬送装置17によって受渡部14から未処理ウェハWが1枚取り出されることにより、図6Bに示す開蓋条件のうち条件Q12が満たされることとなる。また、キャリアCの蓋体C1は閉じられているため、条件Q11も満たされている。しかしながら、上記のように条件Q13が満たされないため、図8Cに示す状態においては、開蓋条件は成立せず、開蓋処理は実行されない。
その後、別の処理ユニット16によるウェハWの処理が終了したとする(図8DのステップS07)。制御部18は、かかる処理ユニット16から終了信号または終了予告信号を受信すると、第2搬送装置17に対して搬出・搬入動作の実行を指示する。これにより、第2搬送装置17によって搬出・搬入動作が実行され(図8DのステップS08)、受渡部14から未処理ウェハWが1枚取り出されて受渡部14に2つの空きスロットが生じる(図8DのステップS09)。
また、制御部18は、上記別の処理ユニット16から終了信号または終了予告信号を受信すると、時間t1と時間t2との比較を再度行う。図8Dに示す状態すなわち受渡部14の空きスロット数が2つの状態において、時間t1≧時間t2となるものとする。時間t1≧時間t2となることにより、条件Q13は満たされることとなる。
開蓋条件における条件Q11〜Q13が満たされ、さらに、条件Q14も満たされている場合、制御部18は、開蓋処理を実行する。具体的には、まず、蓋体開閉機構5に対し、キャリアCの蓋体C1を開く開動作を開始させる(図8DのステップS10)。
条件Q14が満たされている場合、第2搬送装置17による搬出・搬入動作は連続して行われることとなる。すなわち、一括搬送枚数分の処理ユニット16に対して一括搬送枚数分の未処理ウェハWが連続して順次搬入される(図8E〜図8GのステップS11〜S19)。
これにより、図8Gに示すように、開蓋処理は、5枚目の未処理ウェハWの取り出しとほぼ同等のタイミングで終了することとなる。このため、制御部18は、第2搬送装置17によって5枚目の未処理ウェハWが受渡部14から取り出された後すぐに、第1搬送装置13に対して取出動作の実行を指示することができる。
このように、本実施形態に係る基板処理システム1によれば、開蓋処理の待ち時間によるスループットの低下を抑制することが可能である。
なお、ここでは、空きスロット数が2つになったタイミングで時間t1≧時間t2となって条件Q13が満たされることとしたが、時間t1≧時間t2となるタイミングは、上記の例に限定されない。時間t1≧時間t2となるタイミングは、処理ユニット16における処理時間等によって異なり、空きスロット数が1つになったタイミングで時間t1≧時間t2となる場合もあれば、空きスロット数が3つになったタイミングで時間t1≧時間t2となる場合もある。
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。
たとえば、開蓋条件は、第2搬送装置17によって受渡部14から未処理ウェハWが1枚取り出されたこと(条件Q12)に代えて、第2搬送装置17により受渡部14からウェハWを取り出すことが決定されたこと、具体的には、処理ユニット16から終了信号または終了予告信号が出力されたことを含んでいても良い。この場合、制御部18は、処理ユニット16から出力された終了信号または終了予告信号を取得した時点で、蓋体開閉機構5に対して開動作を開始させる。
このように、条件Q12に代えて、第2搬送装置17により受渡部14からウェハWを取り出すことが決定されたことを開蓋条件とすることで、条件Q12を含む場合と比較して、より早期に開蓋条件が成立することとなるため、開蓋処理の待ち時間をさらに削減することができる。
また、上述した実施形態では、開蓋条件が成立した時点で、蓋体開閉機構5に対して開動作の開始を指示することとしたが、開動作の開始タイミングは、必ずしも開蓋条件の成立時点であることを要しない。すなわち、制御部18は、第2搬送装置17により受渡部14からウェハWを取り出すことが決定された時点から、受渡部14の空きスロットの数が一括搬送枚数に達すると予想される予想時点よりも前の時点までの間に、蓋体開閉機構5に対して開動作の開始を指示すればよい。
ここで、受渡部14の空きスロットの数が一括搬送枚数に達すると予想される予想時点とは、第2搬送装置17が受渡部14からウェハWを取り出して処理ユニット16に搬入する動作(すなわち、搬出・搬入動作)が連続して行われたと仮定した場合に、未処理ウェハW用の空きスロットの数が一括搬送枚数に達すると予想される時点、言い換えれば、5枚目の未処理ウェハWが受渡部14から取り出されることが予想される時点のことをいう。
たとえば、制御部18は、閉蓋処理によってキャリアCの蓋体C1が閉じられた後、第2搬送装置17により受渡部14から未処理ウェハWを取り出すことが最初に決定された時点、すなわち、処理ユニット16から終了信号または終了予告信号を最初に受信した時点で、蓋体開閉機構5に対して開動作の開始を指示することとしてもよい。これにより、たとえば、開蓋処理の所要時間が、5枚分の未処理ウェハWを受渡部14から取り出すのに要する時間よりも長い場合に、開蓋処理の待ち時間を可及的に短くすることができる。
また、制御部18は、図6Aに示す閉蓋条件が成立した場合に、閉蓋処理が終了するまでの間に開蓋条件が成立するか否かを判定し、開蓋条件が成立する場合には、閉蓋処理を実行しないようにしてもよい。これにより、キャリアCの蓋体C1の無駄な開閉を回避することができる。
また、制御部18は、開蓋条件が成立した場合に、蓋体C1を全開にするのではなく、キャリアC内の一括搬送枚数分の未処理ウェハWに対して第1搬送装置13がアクセスできる程度に蓋体C1を開くように蓋体開閉機構5に対して指示してもよい。これにより、キャリアC内のウェハWが搬入出室12a内の雰囲気にさらされにくくすることができる。
また、開蓋処理においてマッピング動作は必ずしも行われることを要しない。開蓋処理においてマッピング動作を行わない場合、上述した「時間t1」は、蓋体開閉機構5による開動作の開始から終了までの時間として記憶部19に予め記憶された時間となる。
また、制御部18は、受渡部14に載置されている処理済ウェハWの数が一括搬送枚数未満であり、且つ、閉蓋処理によってキャリアCの蓋体C1が閉じられた状態において、第2搬送装置17により処理ユニット16から処理済ウェハWを取り出すことが決定された時点から受渡部14に載置されている処理済ウェハWの数が一括搬送枚数に達すると予想される予想時点よりも前の時点までの間に、蓋体開閉機構5に対して開動作を開始させることとしてもよい。
たとえば、制御部18は、第2搬送装置17により処理ユニット16から処理済ウェハWを取り出すことが決定された時点で、蓋体開閉機構5に対して開動作を開始させてもよい。また、制御部18は、第2搬送装置17により処理ユニット16から処理済ウェハWを取り出すことが決定され、且つ、現時点から一括搬送枚数分の処理済ウェハWが受渡部14に載置されるまでに要する時間が、開蓋処理に要する時間以下となった場合に、蓋体開閉機構5に対して開動作を開始させてもよい。
これにより、処理済ウェハWをキャリアCへ収容する際の開蓋処理の待ち時間によるスループットの低下についても抑制することができる。
上述してきたように、実施形態に係る基板処理システム1(基板処理装置の一例)は、キャリア載置部11と、蓋体開閉機構5と、受渡部14(基板載置部の一例)と、第1搬送装置13と、複数の処理ユニット16(処理部の一例)と、第2搬送装置17と、制御部18とを備える。キャリア載置部11は、複数のウェハW(基板の一例)を収容可能なキャリアCが載置される。蓋体開閉機構5は、キャリア載置部11に載置されたキャリアCの蓋体C1を開閉する。受渡部14は、ウェハWを載置可能な複数のスロット(載置場所の一例)を有する。第1搬送装置13は、キャリアCと受渡部14との間で複数のウェハWを搬送する。複数の処理ユニット16は、ウェハWを処理する。第2搬送装置17は、受渡部14と複数の処理ユニット16との間でウェハWを搬送する。制御部18は、蓋体開閉機構5、第1搬送装置13、複数の処理ユニット16および第2搬送装置17を制御する。また、制御部18は、受渡部14が有する複数のスロットのうちウェハWが載置されていない空きスロットの数が、第1搬送装置13によるウェハWの一括搬送枚数未満(第1搬送装置13によって同時搬送される基板の枚数未満)であり、且つ、蓋体C1が閉じられた状態において、第2搬送装置17により受渡部14からウェハWを取り出すことが決定された時点から空きスロットの数が一括搬送枚数に達すると予想される予想時点よりも前の時点までの間に、蓋体開閉機構5に対し、蓋体C1を開く開動作を開始させる。
したがって、実施形態に係る基板処理システム1によれば、開蓋処理の待ち時間によるスループットの低下を抑制することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。