JP6916106B2 - シラン架橋用触媒組成物、シラン架橋性樹脂組成物及び配線材 - Google Patents

シラン架橋用触媒組成物、シラン架橋性樹脂組成物及び配線材 Download PDF

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本発明は、シラン架橋用触媒組成物、シラン架橋性樹脂組成物及び配線材に関する。
絶縁電線、チューブ、ケーブル、コード、光ファイバー心線又は光ファイバーコード(光ファイバーケーブル)等の配線材は、例えば、ポリオレフィン樹脂からなる被覆層を有している。この被覆層を形成するポリオレフィン樹脂を架橋すると、被覆層の耐熱性を向上させることができる。
ポリオレフィン樹脂を架橋する方法として、特殊な設備を要しない等の利点を有するシラン架橋法が知られている。ポリオレフィン樹脂のシラン架橋法では、一般的には、まず、有機過酸化物の存在下で、加水分解性シリル基と不飽和基とを有するシランカップリング剤をポリオレフィン樹脂にグラフト化反応させたシラングラフトポリオレフィン樹脂を調製する。次いで、得られたシラングラフトポリオレフィン樹脂をシラノール縮合触媒の存在下で水と接触させることにより、加水分解性シリル基を縮合する。このようにして、ポリオレフィン樹脂をシラン架橋させることができる。シラン架橋法を応用した例として、例えば、特許文献1には、ポリオレフィン樹脂及び無水マレイン酸樹脂を混合してなる樹脂成分にシランカップリング剤で表面処理した無機フィラー、シランカップリング剤、有機過酸化物及び架橋触媒をニーダーにて十分に溶融混練した後に、単軸押出機にて成形する方法が提案されている。
特開2001−101928号公報
配線材には、その用途に応じた特性が要求される。例えば、自動車等の車両の耐熱部等に使用される配線材等には、高温下においても変形しにくい耐熱性だけでなく、連続的ないし断続的な高温環境下においても特性を維持しうる(長期の使用に耐えうる)高い耐老化性が要求される。
一般に、配線材の被覆層を、老化防止剤を高い含有量で含有する樹脂組成物の架橋物で構成することにより、高い耐老化性を達成することができる。
ところで、上述のシラン架橋法には、シラングラフト樹脂と、シラノール縮合触媒を含有するシラン架橋用触媒組成物(触媒マスターバッチ)とを用いる方法がある。
このシラン架橋法に、ベンゾイミダゾール系老化防止剤、ヒドラジン系重金属不活性化剤等の老化防止剤を、とりわけ配合量を高めて、適用すると、ポリオレフィン樹脂を通常の方法(電子線架橋や、過酸化物を用いた化学架橋等)で樹脂を架橋する方法には存在しない問題が顕在化することが分かった。シラン架橋法に老化防止剤を用いる場合、老化防止剤の分散性を高め、かつシラングラフト化反応を阻害しない点で、触媒マスターバッチ(触媒MBとも表記する。)に含有させる。しかし、老化防止剤を含有する触媒マスターバッチを調製する際に、ベンゾイミダゾール系老化防止剤、更にはヒドラジン系重金属不活性化剤を用いると、触媒マスターバッチの調製に用いるキャリア樹脂との溶融混合時にガスが発生して、得られる触媒マスターバッチ中にガスが残存して気泡(空隙)が形成される(多孔質状(スポンジ状)となる。)という発泡の問題が生じる。ひいては、この触媒マスターバッチを用いてシラングラフト樹脂を架橋させた架橋物にも、気泡が残存して、外観不良を引き起こす。しかも、老化防止剤の含有量を増大させると、上記発泡の問題は顕著になる。更にシラングラフト樹脂の架橋体を二次加工すると、この架橋物が高温下で発泡して製品の要求特性を損なうなどの問題が生じる。
本発明は、上記問題を解決し、ベンゾイミダゾール系老化防止剤、更にはヒドラジン系重金属不活性化剤を用いても発泡を抑制して調製することができ、しかも、シラングラフト樹脂を用いたシラン架橋法に用いることにより、得られるシラングラフト樹脂の架橋体に、優れた耐熱性、耐老化性及び外観を付与できるシラン架橋用触媒組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、このシラン架橋用触媒組成物を用いることにより、外観不良やブツの発生を抑えてシラン架橋樹脂の架橋体を成形可能な、優れた成形性を示すシラン架橋性樹脂組成物を提供すること、及びシラン架橋性樹脂組成物を用いた、優れた耐熱性、耐老化性及び外観を有し、二次加工時にも発泡しにくい配線材を提供することを、課題とする。
本発明者らは、シラングラフト樹脂のシラノール縮合(シラン架橋)を促進するシラン架橋用触媒組成物において、ポリオレフィン樹脂を含有するキャリア樹脂を用い、このキャリア樹脂に、シラノール縮合触媒、ベンゾイミダゾール系老化防止剤、更にはヒドラジン系重金属不活性化剤(ヒドラジン系老化防止剤ともいう。)、をそれぞれ特定量で配合し、かつ得られるシラン架橋用触媒組成物のメルトフローレート(流動性)を設定することにより、上記のような調製時の発泡を抑制することができること、このシラン架橋用触媒組成物を用いたシラン架橋性樹脂組成物が優れた成形性を示すこと、更にはこのシラン架橋用触媒組成物を用いた配線材が優れた耐熱性、耐老化性及び外観を示し、二次加工時の発泡を抑制できることを見出した。本発明者らはこの知見に基づき、更に研究を重ね、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の課題は以下の手段によって達成された。
〔1〕
加水分解性シリル基を有するシランカップリング剤がグラフト化反応したシラングラフト樹脂のシラン架橋に用いるシラン架橋用触媒組成物であって、
ポリオレフィン樹脂を含有するキャリア樹脂100質量部に対し、ベンゾイミダゾール系老化防止剤15〜30質量部、ヒドラジン系重金属不活性化剤5〜25質量部、及びシラノール縮合触媒0.05〜5質量部を含有し、190℃、2.16kgにおけるメルトフローレートが0.1〜g/10minであるシラン架橋用触媒組成物。
〔2〕
フェノール系老化防止剤を30質量部以下含有する〔1〕に記載のシラン架橋用触媒組成物。
〔3〕
前記190℃、2.16kgにおけるメルトフローレートが0.5〜g/10minである〔1〕又は〔2〕に記載のシラン架橋用触媒組成物。
〔4〕
前記キャリア樹脂がスチレン系エラストマーを20質量%以上含有する〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載のシラン架橋用触媒組成物。
〔5〕
〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のシラン架橋用触媒組成物と、ベース樹脂を含有するシラングラフト樹脂組成物との溶融混合物であり、前記ベース樹脂が、加水分解性シリル基を有するシランカップリング剤がグラフト化反応したシラングラフト樹脂を含有する、シラン架橋性樹脂組成物。
〔6〕
前記ベース樹脂が、スチレン系エラストマーを10質量%以上含有する〔5〕に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
〔7〕
前記シラン架橋用触媒組成物のキャリア樹脂と前記ベース樹脂との合計100質量部に対して、無機フィラーを10〜400質量部含有する〔5〕又は〔6〕に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
〔8〕
〔5〕〜〔7〕のいずれか1つに記載のシラン架橋性樹脂組成物の硬化物からなる被覆層を有する配線材。
〔9〕
耐熱電線又はケーブルである〔8〕に記載の配線材。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明は、ベンゾイミダゾール系老化防止剤、更にはヒドラジン系重金属不活性化剤を含有していても発泡を抑制して調製することができ、しかも、シラングラフト樹脂の架橋に用いることにより、シラングラフト樹脂の架橋体に優れた耐熱性、耐老化性及び外観を付与できるシラン架橋用触媒組成物を提供できる。また、本発明は、このシラン架橋用触媒組成物を用いることにより、外観不良やブツの発生を抑えてシラン架橋樹脂の架橋体を成形可能な、優れた成形性を示すシラン架橋性樹脂組成物を提供できる。更に、本発明は、シラン架橋性樹脂組成物を用いた、優れた耐熱性、耐老化性及び外観を有し、二次加工時にも発泡しにくい配線材を提供できる。
[シラン架橋用触媒組成物]
本発明のシラン架橋用触媒組成物は、キャリア樹脂とベンゾイミダゾール系老化防止剤とヒドラジン系重金属不活性化剤とシラノール縮合触媒とを特定の質量割合で含有し、特定範囲のメルトフローレートを有する。
このシラン架橋用触媒組成物は、調製時(溶融混合時)に発生するガス等による発泡を抑制して調製することができる。
本発明のシラン架橋用触媒組成物は、加水分解性シリル基を有するシランカップリング剤がグラフト化反応したシラングラフト樹脂と組み合わせて、シラン架橋法に用いられる。
本発明において、シラン架橋用触媒組成物とシラングラフト樹脂とを組み合わせて用いるとは、シラン架橋用触媒組成物とシラングラフト樹脂とを組み合わせて用いることができればよく、他の成分を更に組み合わせて用いることも包含する。すなわち、シラン架橋用触媒組成物とシラングラフト樹脂とを組み合わせて用いる態様に加えて、シラン架橋用触媒組成物と、シラングラフト樹脂組成物とを組み合わせて用いる態様を包含する。
また、シラン架橋用触媒組成物をシラン架橋法に用いるとは、シラングラフト樹脂をシラン架橋する方法に用いることを意味する。すなわち、シラングラフト樹脂の架橋に用いる(シラングラフト樹脂の架橋体を形成する)態様に加えて、シラングラフト樹脂組成物の硬化に用いる(シラン架橋性樹脂組成物の硬化物を形成する)態様を包含する。
本発明のシラン架橋用触媒組成物とシラングラフト樹脂とを組み合わせて用いると、シラン架橋性樹脂組成物を調製(溶融混合)する際及び/又は成形する際に発泡を抑制することができる。また、成形時の外観不良及びブツ形成が抑制されるという優れた成形性を有するシラン架橋性樹脂組成物を得ることができる。更には、シラングラフト樹脂と組み合わせてシラン架橋法に用いた際に、発泡を抑制して、優れた耐熱性、耐老化性、及び外観を有するシラングラフト樹脂の架橋体(シラン架橋性樹脂組成物の硬化物)を形成できる。この特性を利用することにより、優れた特性を有するシラングラフト樹脂の架橋体を含む被覆層を備えた配線材を製造することができる。
本発明において、本発明のシラン架橋性樹脂組成物の硬化物(本発明のシラン架橋性樹脂組成物を成形した後にシラン架橋してなる、シラノール縮合硬化物)をシラン架橋樹脂成形体ということがある。
本発明のシラン架橋用触媒組成物の各成分について、説明する。
<キャリア樹脂>
キャリア樹脂はポリオレフィン樹脂を含有する。キャリア樹脂は、更に鉱物性オイルを含有していてもよい。
− ポリオレフィン樹脂 −
ポリオレフィン樹脂は、エチレン性不飽和結合を有する化合物を単独重合又は共重合して得られる重合体からなる樹脂であれば特に限定されるものではなく、従来、樹脂組成物に使用されている公知のものを使用することができる。ポリオレフィン樹脂は、後述するシラングラフト樹脂と混合(相溶)する樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂に包含される樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂、酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体樹脂、及び、これらのゴム若しくはエラストマー等の各樹脂が挙げられる。ゴム若しくはエラストマーとしては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、スチレン系エラストマー、エチレンアクリルゴム等が挙げられる。
本発明において、ポリオレフィン樹脂又は樹脂成分は、それぞれ、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(ポリエチレン樹脂)
ポリエチレン樹脂は、エチレン構成成分を含む重合体の樹脂であればよく、エチレンのみからなる単独重合体、エチレンとα−オレフィン(好ましくは5mol%以下)との共重合体(ポリプロピレンに該当するものを除く)、並びに、エチレンと官能基に炭素、酸素及び水素原子だけを持つ非オレフィン(好ましくは1mol%以下)との共重合体からなる樹脂が包含される。なお、上述のα−オレフィレン及び非オレフィンはポリエチレンの共重合成分として従来用いられる公知のものを特に制限されることなく用いられる。
本発明において用い得るポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、直鎖型低密度ポリエチレン(LLDPE)又は超低密度ポリエチレン(VLDPE)が挙げられる。中でも、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖型低密度ポリエチレンが好ましく、直鎖型低密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレンがより好ましい。ポリエチレン樹脂は1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
ポリエチレン樹脂のメルトフローレート(以後、MFRと記すことがある。MFRは本発明において、特に断らない限り、JIS K 7210に準拠して、温度190℃、加重2.16kgの条件で、測定した値をいう。)は、0.05〜10g/10minが好ましく、0.5〜5.0g/10minがより好ましい。メルトフローレートを0.05〜10g/10minとすることにより、ベンゾイミダゾール系老化防止剤との混合物から発生するガス等による発泡を抑えることができるともに優れた外観のシラン架橋樹脂成形体が得られる。
(ポリプロピレン樹脂)
ポリプロピレン樹脂は、主成分としてプロピレン構成成分を含む重合体であればよく、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン樹脂)、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体等の樹脂を使用することができる。
エチレン−プロピレンランダム共重合体は、エチレン成分の含有量が1〜10質量%程度のものをいい、エチレン成分がプロピレン鎖中にランダムに取り込まれているものをいう。また、エチレン−プロピレンブロック共重合体は、エチレンやエチレン―プロピレンゴム(EPR)成分の含有量が5〜20質量%程度のものをいい、プロピレン成分の中にエチレンやEPR成分が独立して存在する海島構造であるものをいう。ポリプロピレン樹脂として特に好ましいものは、外観の点で、エチレン―プロピレンランダム共重合体の樹脂である。エチレン成分含有量は、ASTM D3900に記載の方法に準拠して、測定される値である。
ポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(JIS K 7210に準拠して、温度230℃、加重2.16kgの条件で、測定した値をいう。)は、0.05〜25g/10minが好ましく、0.1〜10g/10minがより好ましい。メルトフローレートを0.05〜25g/10minとすることにより、ベンゾイミダゾール系老化防止剤との混合物から発生するガス等による発泡を抑えることができるともに優れた外観のシラン架橋樹脂成形体が得られる。また加熱変形特性も向上する場合がある。
(エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂)
エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂としては、好ましくは、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体(上述のポリエチレン及びポリプロピレンに該当するものを除く)の樹脂が挙げられる。α−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、1−プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン又は1−ドデセンが挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体は1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂のメルトフローレートは、0.05〜10g/10minが好ましく、0.5〜5g/10minがより好ましい。メルトフローレートを0.05〜10g/10minとすることにより、ベンゾイミダゾール系老化防止剤との混合物から発生するガス等による発泡を抑えることができるともに優れた外観のシラン架橋樹脂成形体が得られる。また、ポリエチレン樹脂と比べると引張強度に優れるシラン架橋樹脂成形体を得ることができる場合がある。
(エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム)
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムは、エチレンと上記α−オレフィンとの共重合体からなるゴムであれば特に限定されない。例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPゴム(EPM))であって、エチレンとプロピレンのゴム状共重合体が挙げられる。ここで、エチレン−プロピレン共重合体ゴムとはエチレン成分含有量が通常40〜75質量%程度のものをいう。エチレン−プロピレン共重合体ゴム中のエチレン成分含有量は、50〜75質量%が好ましく、より好ましくは55〜70質量%である。エチレン成分含有量は、ASTM D3900に記載の方法に準拠して、測定される値である。
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムは、エチレン、α−オレフィン(プロピレン)以外の第三成分として不飽和基を有する繰返し単位を有するエチレン−プロピレンターポリマー(例えば、エチレンとα−オレフィンとジエンとの三元共重合体(EPDM)が挙げられる)を包含する。本発明においては、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとして、EPM及びEPDMのいずれか一方、又は、両方を用いてもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムのメルトフローレートは、0.01〜2g/10minが好ましく、0.1〜1.5g/10minがより好ましい。メルトフローレートを0.01〜2g/10minとすることにより、ベンゾイミダゾール系老化防止剤との混合物から発生するガス等による発泡を抑えることができるとともに優れた外観のシラン架橋樹脂成形体を得られる。また、シラン架橋樹脂成形体に柔軟性も付与できる場合がある。
(酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体樹脂)
酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体樹脂における酸共重合成分又は酸エステル共重合成分としては、特に制限されないが、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸化合物、並びに、酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸アルキル等の酸エステル化合物が挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸アルキルのアルキル基は、炭素数1〜12のものが好ましい。酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体等が挙げられる。酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体は1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体樹脂のメルトフローレートは、0.05〜10g/10minが好ましく、1〜3g/10minがより好ましい。メルトフローレートを0.05〜10g/10minとすることにより、ベンゾイミダゾール系老化防止剤との混合物から発生するガス等による発泡を抑えることができるともに優れた外観のシラン架橋樹脂成形体が得られる。また、無機フィラーと強く結合し、シラン架橋樹脂成形体に高い引張強度や耐摩耗性を付与できる場合がある。
(エチレンアクリルゴム)
エチレンアクリルゴムは、特に限定されないが、構成成分として、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルと、エチレンとを共重合させて得られる共重合体からなるゴム弾性体が好ましい。エチレンとの2元共重合体や、これに更にカルボキシ基を側鎖に有する不飽和炭化水素を共重合させた3元共重合体等の各共重合体からなるゴムを特に好適に使用することができる。2元共重合体からなるエチレンアクリルゴムとしては、例えば、ベイマックDPやベイマックDLSが挙げられる。3元共重合体からなるエチレンアクリルゴムとしては、例えば、ベイマックG、ベイマックHG、ベイマックLS、ベイマックGLS(商品名、いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)が挙げられる。
エチレンアクリルゴムのメルトフローレートは、0.01〜2g/10minが好ましく、0.1〜1g/10minがより好ましい。メルトフローレートを0.01〜2g/10minとすることにより、ベンゾイミダゾール系老化防止剤との混合物から発生するガス等による発泡を抑えることができるともに優れた外観のシラン架橋樹脂成形体が得られる。また、シラン架橋樹脂成形体に耐油性や難燃性を付与できる。
(スチレン系エラストマー)
スチレン系エラストマーとしては、分子内に芳香族ビニル化合物を構成成分とするものをいう。このようなスチレン系エラストマーとしては、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック共重合体及びランダム共重合体、又は、それらの水素添加物等が挙げられる。このようなスチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(水素化SBS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、水素化SIS、水素化スチレン−ブタジエンゴム(HSBR)等を挙げることができる。スチレン系エラストマーは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
スチレン系エラストマーを含有することにより、シラン架橋樹脂成形体の二次加工時の発泡を効果的に抑制できる。特に、スチレン系エラストマーを他のポリオレフィン樹脂と併用した場合に二次加工時の発泡を更に効果的に抑制できる。この抑制効果は、特に高分子量(分子量:100,000〜500,000程度)のスチレン系エラストマーを用いるとより高くなる。その理由は、キャリア樹脂の流動性を効果的に低減することができるためと考えられる。
ポリオレフィン樹脂、すなわち重合体は、酸変性されていてもよい。酸変性に用いられる酸としては、特に限定されず、通常用いられる不飽和カルボン酸等が挙げられる。
− 鉱物性オイル −
本発明に用いる鉱物性オイルは、芳香族環を有するオイル、ナフテン環を有するオイル及びパラフィン鎖を有するオイルの三者を含む混合油である。パラフィン系オイルとは、パラフィン鎖の炭素数(CP)が、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖の全炭素数に対して例えば50%以上75%未満で、ナフテン鎖の炭素数(CN)が20以上40%未満、芳香族環(CA)の炭素数が3以上10%未満を占めるものをいう。ナフテン系オイルとは、上記全炭素数に対して、CNが40以上60%未満、CPが30%以上50%未満、かつCAが8%以上16%未満のもの、芳香族系オイルとはCAが16%以上のものを、いう。
鉱物性オイル(ゴム用軟化材)としては、パラフィン系オイル又はナフテン系オイルを用いることができ、機械的強度の点でパラフィン系オイルが好ましい。
鉱物性オイルは、40℃における動的粘度が20〜500cSt、流動点が−10〜−15℃、引火点(COC)が180〜300℃を示すものが好ましい。
鉱物性オイルとしては、例えば、「ダイアナプロセスオイル」(商品名、出光興産社製)、「コスモニュートラル」(商品名、コスモ石油ルブリカンツ社製)等を挙げることができる。
キャリア樹脂100質量%中の、ポリオレフィン樹脂の含有率は、合計で、60〜100質量%であることが好ましい。
本発明において、キャリア樹脂中の上記樹脂成分それぞれの含有率は、キャリア樹脂中のポリオレフィン樹脂の上記含有率を満足する範囲で適宜に設定され、例えば、下記含有率に設定できる。
ポリエチレン樹脂の含有率は、キャリア樹脂100質量%中、0〜100質量%が好ましく、40〜100質量%がより好ましい。
ポリプロピレン樹脂の含有率は、キャリア樹脂100質量%中、0〜100質量%が好ましく、シラン架橋用触媒組成物又はシラン架橋性樹脂組成物を成形に適した流動性に調製でき、外観不良を抑制できる観点から、20〜60質量%がより好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂の含有率は、キャリア樹脂100質量%中、0〜100質量%が好ましく、20〜100質量%がより好ましく、40〜100質量%が更に好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムの含有率は、キャリア樹脂100質量%中、0〜100質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。
酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体の含有率は、キャリア樹脂100質量%中、0〜100質量%が好ましい。本発明の作用効果を損なうものではないが、触媒MBの装置等の金属部への粘着を抑制できる観点からは、0〜50質量%がより好ましく、5〜30質量%が特に好ましい。
エチレンアクリルゴムの含有率は、キャリア樹脂100質量%中、0〜100質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。
スチレン系エラストマーの含有率は、キャリア樹脂100質量%中、20質量%以上が好ましく、25〜50質量%がより好ましい。
鉱物性オイルの含有率は、キャリア樹脂100質量%中、0〜40質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。鉱物性オイルの含有率が上記範囲内にあると、ブツの発生を抑制することができ、また鉱物性オイルのブリードアウトを防止できる。その結果、優れた外観を有するシラン架橋樹脂成形体を製造できる。
押出成形時のゲルブツ発生の抑制の観点からは、低密度ポリエチレンと、スチレン系エラストマーと、鉱物性オイルとを組み合わせて用いることも好ましく、この場合の各成分の含有率は、上記範囲に設定することもできるが、キャリア樹脂100質量%中、低密度ポリエチレン40〜80質量%、スチレン系エラストマー10〜40質量%、及び鉱物性オイル10〜40質量%に設定することが好ましい。
<シラノール縮合触媒>
シラノール縮合触媒は、後述するシラングラフト樹脂中の、シランカップリング剤由来の加水分解性シリル基を水分の存在下でシラノール縮合反応(促進)させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤を介して、シラングラフト樹脂を形成する樹脂同士が架橋される。そのため、得られるシラン架橋樹脂成形体は耐熱性、必要により強度に優れる。
本発明に用いるシラノール縮合触媒としては、特に限定されず、例えば、有機スズ化合物、金属石けん、白金化合物等が挙げられる。具体的には、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ナフテン酸鉛、硫酸鉛、硫酸亜鉛、有機白金化合物等が挙げられる。
シラノール縮合触媒は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
シラン架橋用触媒組成物中のシラノール縮合触媒の含有量は、キャリア樹脂100質量部に対して、0.05〜5質量部であり、0.3〜2質量部がより好ましい。シラノール縮合触媒の含有率を上記範囲に設定することにより、シラングラフト樹脂の架橋に好適に用いることができる。ただし、シラノール縮合触媒の含有量は、併用されるシラングラフト樹脂組成物との混合割合、シラン架橋樹脂成形体の要求特性等を考慮して、適宜に決定される。詳細は後述するが、キャリア樹脂とシラングラフト樹脂組成物が含有するベース樹脂との合計量に対して後述する質量割合となるように、シラン架橋用触媒組成物中のシラノール縮合触媒の含有量と、シラン架橋用触媒組成物の混合割合とが設定されることが好ましい。
<老化防止剤>
本発明のシラン架橋用触媒組成物は、キャリア樹脂100質量部に対しベンゾイミダゾール系老化防止剤を15〜50質量部含有し、ヒドラジン系重金属不活性化剤を25質量部以下含有する。本発明のシラン架橋用触媒組成物は、更にフェノール系老化防止剤を含有していてもよい。本発明においては、ベンゾイミダゾール系老化防止剤、ヒドラジン系重金属不活性化剤、及びフェノール系老化防止剤を併せて「老化防止剤」ということがある。
老化防止剤は、長期使用においてのシラン架橋樹脂成形体の劣化を抑制して耐老化性を高める働きを有する。
ベンゾイミダゾール系老化防止剤としては、配線材等の分野で通常使用されているものであれば特に限定されない。例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩(ノクラックMBZ、商品名、1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−チオン・0.5亜鉛、大内新興化学工業社製)などが挙げられる。ベンゾイミダゾール系老化防止剤は1種でも2種以上でもよい。
ヒドラジン系重金属不活性化剤としては、配線材等の分野で通常使用されているものであれば特に限定されない。例えば、1,2−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン(アデカスタブCDA−10(商品名)、ADEKA社製)、1,2−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオニル]ヒドラジン(イルガノックスMD1024(商品名)、BASF社製)などが挙げられる。ヒドラジン系重金属不活性化剤は1種でも2種以上でもよい。
フェノール系老化防止剤としては、配線材等の分野で通常使用されているものであれば特に限定されない。例えば、ヒンダードフェノール系老化防止剤が好ましく、例えば、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(イルガノックス1076(商品名)、BASF社製)やペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(イルガノックス1010(商品名)、BASF社製)及びN,N’−ビス3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン(イルガノックス1098(商品名)、BASF社製)などが挙げられるが、中でもイルガノックス1010が好ましい。フェノール系老化防止剤は1種でも2種以上でもよい。
本発明において、老化防止剤が、分子内に、ヒドラジン構造に加えて、フェノール構造及び/又はベンゾイミダゾール構造を有していても、ヒドラジン系重金属不活性化剤とする。また、老化防止剤が、分子内に、ベンゾイミダゾール構造に加えて、フェノール構造を有していても、ベンゾイミダゾール系老化防止剤とする。
本発明において、シラン架橋用触媒組成物は、老化防止剤として少なくともベンゾイミダゾール系老化防止剤を含有していればよく、ベンゾイミダゾール系老化防止剤と、ヒドラジン系重金属不活性化剤及びフェノール系老化防止剤の一方又は両方を含有していてもよい。これら老化防止剤の組み合わせは適宜に決定され、例えば、配線材の導体(金属)との接触による架橋体の老化(劣化)を抑制し、また金属との接触による老化以外の一般的な老化を併せて抑制する観点からは、ベンゾイミダゾール系老化防止剤とヒドラジン系重金属不活性化剤とを併用することが好ましい。一方、上記金属との接触による老化以外の一般的な耐老化性をより高いレベルで架橋体に付与する観点からは、ベンゾイミダゾール系老化防止剤とフェノール系老化防止剤とを併用することが好ましい。更に、上記特性を両立する観点からは、ベンゾイミダゾール系老化防止剤と、ヒドラジン系重金属不活性化剤と、フェノール系老化防止剤とを併用することが好ましい。
ベンゾイミダゾール系老化防止剤の含有量は、キャリア樹脂100質量部に対して、15〜50質量部であり、20〜45質量部が好ましく、30〜40質量部がより好ましい。この範囲内であると、発泡の抑制と優れた耐老化性とを両立でき、更には外観にも優れる。
ヒドラジン系重金属不活性化剤の含有量は、キャリア樹脂100質量部に対して、0〜25質量部である。この含有量を25質量部以下とすると、発泡を抑制することができる。発泡の抑制と、金属との接触による劣化の抑制との両立の点で、5〜20質量部が好ましく、10〜15質量部がより好ましい。
フェノール系老化防止剤の含有量は、キャリア樹脂100質量部に対して、0〜30質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましく、10〜15質量部が更に好ましい。この範囲内であると、発泡の抑制と優れた耐老化性とを両立できる。
耐老化性の観点からは、組み合わせる老化防止剤の種類にもよるが、老化防止剤の合計含有量をキャリア樹脂100質量部に対して25〜100質量部程度の高配合量とすることが好ましい。より好ましくは、45〜70質量部である。
<添加剤>
シラン架橋用触媒組成物は、電線、電気ケーブル、電気コード、自動車用部材、OA機器、建築部材、雑貨、シート、発泡体、チューブ、パイプ等において、一般的に使用される各種の添加剤を、目的とする効果を損なわない範囲で適宜含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、架橋助剤、滑剤、金属不活性剤、難燃(助)剤、更には上記樹脂成分以外の樹脂等が挙げられる。
架橋助剤は、有機過酸化物の存在下において、樹脂成分同士に部分架橋構造を形成する化合物をいう。例えば、多官能性化合物等が挙げられる。
滑剤としては、炭化水素、シロキサン、脂肪酸、脂肪酸アミド、エステル、アルコール、金属石けん等の各滑剤が挙げられる。
シラン架橋用触媒組成物のメルトフローレートは、0.1〜15g/10minである。MFRを0.1〜15g/10minに設定することにより、シラン架橋用触媒組成物の調製時において発泡を抑制することができる。また、シラン架橋法に用いた際に成形性に優れたシラン架橋性樹脂組成物を得ることができる。発泡抑制及び成形性をより高い水準で両立できる点で、MFRは、0.5〜10g/10minがより好ましく、1〜3g/10minが更に好ましい。
本発明のシラン架橋用触媒組成物は、ベンゾイミダゾール系老化防止剤及びヒドラジン系重金属不活性化剤を用いても、とりわけその含有量を多くしても、シラン架橋用触媒組成物の調製時の発泡、更にはシラン架橋用触媒組成物を用いて得られた配線材の二次加工時の発泡を抑制することができ、また、シラングラフト樹脂の架橋体に、優れた耐熱性、耐老化性及び外観を付与できる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明者らの知見によれば、高温下において、シラノール縮合触媒と老化防止剤(特にベンゾイミダゾール系老化防止剤及びヒドラジン系重金属不活性化剤)、若しくはこれらの分解物が接触するとガスが発生する。ガスの発生は、特に老化防止剤が高配合量であるときに顕著である。しかし、本発明においては、シラン架橋用触媒組成物が、キャリア樹脂としてポリオレフィン樹脂を含有し、特定量のシラノール縮合触媒及び老化防止剤を含有しており、メルトフローレートが上記範囲内であり流動性が低い。これらが協働して、ガスが発生したとしても、このガスによっても樹脂成分が膨張しにくく、上記ガスがシラン架橋用触媒組成物の外部に排出されやすくなる。そのため、シラン架橋用触媒組成物の調製時に発生したガスが残存しにくく発泡が抑制される、と考えられる。
一方、シラン架橋樹脂成形体の二次加工時には、通常、シラノール縮合触媒は消失しており、老化防止剤との接触によるガスの発生は起こらない。しかし、シラン架橋樹脂成形体は、シラン架橋用触媒組成物中に残存するガス等、又は、低分子量成分等を含有していると考えられる。このような成分を含有するシラン架橋樹脂成形体を調製時よりも高い温度で二次加工すると、これらの成分(気泡)が膨大して発泡することがある。ところが、本発明のシラン架橋樹脂成形体を二次加工しても、上記成分に起因する発泡を抑制できる。更に、シラン架橋用触媒組成物を用いたシラン架橋性樹脂組成物やそのシラン架橋樹脂成形体を調製する際の高温下においても、発泡を抑制できる。
一般的に、流動性が低いと、成形性、特に高速成形性が悪化して、外観不良やブツの形成が見られる。しかし、本発明のシラン架橋用触媒組成物は、流動性に優れており、上述のとおり発生したガスが残存しにくく、このようなシラン架橋用触媒組成物を含むシラン架橋性樹脂組成物は成形時の発泡を抑制できる。このため、比較的高温での成形が可能となり、しかも外観の優れた配線材を得ることができると考えられる。
更に、本発明のシラン架橋用触媒組成物を用いることにより、上記発泡抑制効果及び外観を損なうことなく、シラン架橋性樹脂組成物をシラン架橋させて高い耐熱性を発揮させ、しかも高い含有量で含有する老化防止剤により優れた耐老化性を、シラン架橋樹脂成形体に付与できる。
<シラン架橋用触媒組成物の製造方法>
シラン架橋用触媒組成物は、キャリア樹脂と、ベンゾイミダゾール系老化防止剤と、シラノール縮合触媒と、更には必要に応じて各種添加剤とを加熱混合(混練)して得られる。加熱温度は、キャリア樹脂の溶融温度以上に設定でき、例えば150〜230℃に設定することが好ましい。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
混合方法としては、ゴム、プラスチックなどで通常用いられる方法を特に限定されることなく採用できる。混合装置としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種ニーダーなどが用いられる。
本発明のシラン架橋用触媒組成物において、MFRを0.1〜15g/10minに設定する方法は、特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂(上記各樹脂成分)の種類、MFR若しくは含有量、更には各老化防止剤の種類若しくは含有量を変更する方法が挙げられる。これ以外にも、滑剤を添加する方法も挙げられる。本発明において、MFRは必要に応じて設定される。
[シラン架橋性樹脂組成物]
次に、本発明のシラン架橋性樹脂組成物について説明する。
本発明のシラン架橋性樹脂組成物は、シラングラフト樹脂を含有するベース樹脂を樹脂成分として含有するシラングラフト樹脂組成物と、本発明のシラン架橋用触媒組成物との溶融混合物である。このシラン架橋性樹脂組成物は、シラングラフト樹脂組成物と本発明のシラン架橋用触媒組成物とを溶融混合して得られる。シラン架橋性樹脂組成物において、シランカップリング剤由来の加水分解性シリル基は、縮合反応していないことが望ましいが、溶融時等に一部が縮合することもある。この場合であっても、加水分解性シリル基は、シラン架橋性樹脂組成物が後述する成形工程において成形可能な成形性を有する程度に縮合反応を抑えて、調製される。
本発明のシラン架橋性樹脂組成物は、成形性に優れており、比較的高速での成形も可能となる。また、耐熱性、耐老化性、外観の優れたシラン架橋樹脂成形体を得ることができる。本発明のシラン架橋性樹脂組成物は、調製時に発泡を抑制して調製することもできる。
<シラングラフト樹脂組成物>
シラングラフト樹脂組成物(シランマスターバッチ:シランMB)は、シラングラフト樹脂を含むベース樹脂を含有する組成物であり、ベース樹脂からなる態様(ベース樹脂を単独で用いる態様)と、ベース樹脂と必要に応じて他の成分とを含有する態様(組成物として用いる態様)との両態様を包含する。また、シラングラフト樹脂組成物に含有されるベース樹脂は、シラングラフト樹脂からなる態様(シラングラフト樹脂を単独で用いる態様)と、シラングラフト樹脂と必要に応じて他の成分とを含有する態様(樹脂混合物として用いる態様)の両態様を包含する。
シラングラフト樹脂を後述する工程(a)等により合成する場合には、シラングラフト樹脂組成物及びベース樹脂は、有機過酸化物の分解物、未反応のシランカップリング剤、シランカップリング剤の縮合物等の未反応物若しくは副生物を含有していてもよい。
− ベース樹脂 −
ベース樹脂は、シラングラフト樹脂を含有し、必要に応じて他の成分を含有する。ただし、ベース樹脂は後述する無機フィラーを含有しない。
(シラングラフト樹脂)
シラングラフト樹脂は、加水分解性シリル基を有するシランカップリング剤が樹脂にグラフト化反応(シランカップリング剤の架橋性基と樹脂成分の架橋部位との結合反応)してなる。このシラングラフト樹脂は、シランカップリング剤と樹脂とから形成され、シランカップリング剤由来の構成成分をグラフト鎖(ペンダント)として有している。
このシラングラフト樹脂において、シランカップリング剤のグラフト化反応量は、特に限定されない。通常、後述する配合量でシランカップリング剤と樹脂とを反応させて得られるグラフト化反応量であればよい。
シラングラフト樹脂を形成する樹脂は、シランカップリング剤のグラフト化反応しうる部位(グラフト化反応部位ともいう)と、例えば有機過酸化物の分解により生じたラジカルの存在下で、グラフト化反応可能な部位、例えば炭素鎖の不飽和結合部位、水素原子を有する炭素原子を主鎖中若しくはその末端に有する重合体成分を有する。このような重合体成分としては、特に制限されないが、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリオレフィン樹脂以外にも、グラフト化反応可能な部位を有する樹脂成分を含んでいてもよい。
ポリオレフィン樹脂としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物を単独重合又は共重合して得られる重合体からなる樹脂であれば特に限定されるものではなく、従来、樹脂組成物に使用されている公知のものを使用することができる。例えば、上記キャリア樹脂において説明したポリオレフィン樹脂が挙げられる。また、この樹脂を不飽和カルボン酸で変性した酸変性樹脂も挙げられる。
樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂)、及び低密度ポリエチレン等が好ましく、低密度ポリエチレンがより好ましい。
シラングラフト樹脂を形成する樹脂は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
シラングラフト樹脂を形成するシランカップリング剤としては、上記樹脂のグラフト化反応可能な部位にグラフト化反応しうるグラフト化反応部位(基又は原子)と、シラノール縮合可能な加水分解性シリル基とを有するものであれば、特に限定されない。このグラフト化反応部位(基又は原子)は、例えば、有機過酸化物の分解により生じたラジカルの存在下でグラフト化反応しうるものが好ましい。
このようなシランカップリング剤として、従来、シラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられる。中でも、末端にビニル基とアルコキシシリル基を有するものが好ましい。このようなシランカップリング剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルジエトキシブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニルシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン等が挙げられる。中でも、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランが特に好ましい。
シラングラフト樹脂を形成するシランカップリング剤は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
シラングラフト樹脂は、公知の方法や後述する方法で合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、リンクロン(商品名、三菱化学社製)等が挙げられる。
シラングラフト樹脂を合成する場合、有機過酸化物を用いることが好ましい。有機過酸化物は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、シランカップリング剤の樹脂へのラジカル反応によるグラフト化反応(シランカップリング剤のグラフト化反応部位とポリオレフィン樹脂のグラフト化反応可能な部位との共有結合形成反応であって、(ラジカル)付加反応ともいう。)を生起させる働きをする。例えばシランカップリング剤がグラフト化反応部位としてエチレン性不飽和基を含む場合、エチレン性不飽和基とポリオレフィン樹脂とのラジカル反応(ポリオレフィン樹脂からの水素ラジカルの引き抜き反応を含む)によるグラフト化反応を生起させる働きをする。有機過酸化物としては、ラジカルを発生させるものであれば、特に限定されず、例えば、一般式:R−OO−R、R−OO−C(=O)R、RC(=O)−OO(C=O)Rで表される化合物が好ましい。ここで、R〜Rは各々独立にアルキル基、アリール基又はアシル基を表す。各化合物のR〜Rのうち、いずれもアルキル基であるもの、又は、いずれかがアルキル基で残りがアシル基であるものが好ましい。
このような有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド(DCP)、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド等を挙げることができる。これらのうち、臭気性、着色性、スコーチ安定性の点で、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
有機過酸化物の分解温度は、80〜195℃が好ましく、125〜180℃が特に好ましい。
本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
シラングラフト樹脂は、樹脂とシランカップリング剤とを有機過酸化物の分解温度以上の温度で反応させることにより、得られる。具体的な反応条件としては、後述する工程(a)の溶融混合条件が挙げられる。
(ベース樹脂が含有してもよい他の成分)
ベース樹脂が含有してもよい他の成分としては、特に制限されないが、シラングラフト樹脂以外の樹脂、鉱物性オイル等が挙げられる。シラングラフト樹脂以外の樹脂及び鉱物性オイルとしては、上記キャリア樹脂において説明したポリオレフィン樹脂及び鉱物性オイルが挙げられる。
ベース樹脂100質量%中の、シラングラフト樹脂の含有率は、50〜100質量%であることが好ましい。
ベース樹脂は、シラングラフト樹脂以外の樹脂としてスチレン系エラストマーを含有することが好ましい。スチレン系エラストマーの、ベース樹脂中の含有率は、10質量%以上であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
ベース樹脂、とりわけスチレン系エラストマーを含有するベース樹脂は、上述の鉱物性オイルを含有していてもよい。鉱物性オイルの、ベース樹脂中の含有量は、0〜30質量%であることが好ましい。
ベース樹脂を樹脂混合物として用いる場合、ベース樹脂は、シラングラフト樹脂と他の成分とを、通常の混合方法により、混合して調製できる。
− シラングラフト樹脂組成物が含有してもよい他の成分 −
シラングラフト樹脂組成物が含有してもよい他の成分としては、上記ベース樹脂が含有してもよい他の成分以外の成分であれば特に制限されず、無機フィラー、シラン架橋用触媒組成物が含有してもよい上述の各種添加剤等が挙げられる。
(無機フィラー)
シラングラフト樹脂組成物が含有してもよい無機フィラーとしては、通常用いられるものであれば特に限定されないが、その表面に、シランカップリング剤の加水分解性シリル基と水素結合若しくは共有結合等又は分子間結合により、化学結合しうる部位等を有するものが好ましい。加水分解性シリル基と化学結合しうる部位等としては、OH基(水酸基、含水若しくは結晶水の水分子、カルボキシ基等のOH基)、アミノ基、SH基等が挙げられる。
このような無機フィラーを、特に後述する工程(a)に用いると、無機フィラーと弱く結合したシランカップリング剤がグラフト化反応したシラングラフト樹脂と、無機フィラーと強く結合したシランカップリング剤がグラフト化反応したシラングラフト樹脂とを形成することができる。このような2種のシラングラフト樹脂を架橋反応することにより、耐熱性と強度等とを兼ね備えたシラン架橋樹脂成形体を形成できる。
ここで、無機フィラーとの弱い結合としては、水素結合による相互作用、イオン、部分電荷若しくは双極子間での相互作用、吸着による作用等が挙げられる。また、無機フィラーとの強い結合としては、無機フィラー表面の化学結合しうる部位との化学結合等が挙げられる。
上述の無機フィラーとしては、特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミニウムウイスカ、水和ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルク等の水酸基又は結晶水を有する化合物のような金属水和物が挙げられる。また、窒化ほう素、シリカ(結晶質シリカ、非晶質シリカ等)、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、ほう酸亜鉛、ホワイトカーボン、硼酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛等も挙げられる。中でも、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムが好ましい。
無機フィラーは、各種表面処理剤で表面処理されたものを用いることもできる。
無機フィラーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
無機フィラーの、シラングラフト樹脂組成物中の含有量は、特に制限されず、適宜に設定できる。好ましくは、キャリア樹脂とベース樹脂との合計100質量部に対して、後述する工程(a2)における配合量となるように、設定される。
シラングラフト樹脂組成物は、ベース樹脂と上記他の成分とを、通常の混合方法により、混合して調製することもでき、また後述する工程(a)のようにして調製することもできる。本発明においては、後述する工程(a)のようにして調製することが好ましい。
なお、ベース樹脂が上記他の成分を含有する場合、ベース樹脂として、予め調製した樹脂混合物を用いてもよく、また、シラングラフト樹脂と他の成分とを別々に用いてもよい。
[シラン架橋樹脂成形体調製用キット]
本発明のシラン架橋用触媒組成物は、シラングラフト樹脂組成物と組み合わせてなるシラン架橋樹脂成形体調製用キットとして、用いることもできる。
シラン架橋樹脂成形体調製用キットにおいて、シラングラフト樹脂組成物としてシラングラフト樹脂を単独でシラン架橋用触媒組成物と組み合わせてもよい。
このシラン架橋樹脂成形体調製用キットは、シラン架橋樹脂成形体を製造可能な方法であれば、どのような製造方法に用いてもよい。好ましくは、後述するシラン架橋樹脂成形体の製造方法、とりわけこの製造方法の工程(b)に用いられる。
シラン架橋樹脂成形体調製用キットにおいて、シラングラフト樹脂組成物とシラン架橋用触媒組成物との混合割合は、特に限定されないが、少なくとも使用時には後述する工程(b)で説明する混合割合で用いることが好ましい。
[シラン架橋性樹脂組成物、シラン架橋樹脂成形体及び配線材の製造方法]
次に、本発明のシラン架橋用触媒組成物を用いた、シラン架橋性樹脂組成物、シラン架橋樹脂成形体及び配線材の製造方法を説明する。
シラン架橋性樹脂組成物の製造方法は、例えば、シラングラフト樹脂組成物と本発明のシラン架橋用触媒組成物とを溶融混合する工程を有する。溶融混合は、通常の方法(条件)及び装置を特に制限されることなく適用でき、例えば、下記シラン架橋樹脂成形体の製造方法の工程(b)における溶融混合で説明する方法(条件)及び装置を適用できる。
シラン架橋樹脂成形体の製法方法は、本発明のシラン架橋用触媒組成物を用いるシラン架橋法であれば特に制限されず、通常のシラン架橋法を適用できる。例えば、下記工程(b)及び(c)を有するシラン架橋法が挙げられる。
工程(b):シラングラフト樹脂組成物と本発明のシラン架橋用触媒組成物とを溶融混合した後に成形する工程
工程(c):工程(b)で得られた(溶融混合物の)成形体を水と接触させて架橋させる工程
配線材の製造方法は、被覆層をシラン架橋性樹脂組成物の硬化物で形成可能な方法であればよく、例えば、シラン架橋樹脂成形体の製造方法を利用した方法が挙げられる。
以下、シラン架橋樹脂成形体の製法方法における上記工程(b)及び(c)について、順を追って説明する。
工程(b)における、シラングラフト樹脂組成物と本発明のシラン架橋用触媒組成物との溶融混合方法は、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であれば、特に限定されない。混合装置は、例えば無機フィラーの配合量に応じて、適宜に選択される。混合装置として、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が用いられる。樹脂成分の分散性の面で、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等の密閉型ミキサーを用いることが好ましい。溶融温度は、ベース樹脂又はキャリア樹脂の溶融温度に応じて適宜に選択され、例えば、好ましくは80〜250℃、より好ましくは100〜240℃である。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。工程(b)は、樹脂にグラフト化したカップリング剤のシラノール縮合反応を抑えて行う。例えば、水存在量が少ない条件で行うことが好ましく、また、シラングラフト樹脂組成物とシラノール縮合触媒が混合された状態で高温状態に長時間保持されないことが好ましい。
シラングラフト樹脂組成物と本発明のシラン架橋用触媒組成物とを溶融混合する前に、ドライブレンドすることができる。ドライブレンドの方法及び条件は、特に限定されず、例えば、後述する工程(a2−1)での乾式混合及びその条件が挙げられる。
シラングラフト樹脂組成物と本発明のシラン架橋用触媒組成物との混合割合は、シラノール縮合触媒又はキャリア樹脂の混合割合の観点から、設定されることが好ましい。
シラノール縮合触媒の混合割合については、シラングラフト樹脂組成物中のベース樹脂と、本発明のシラン架橋用触媒組成物中のキャリア樹脂との合計100質量部に対して、0.02〜0.5質量部に設定されることが好ましい。すなわち、上記合計100質量部に対して、シラノール縮合触媒が0.02〜0.5質量部の割合で、本発明のシラン架橋用触媒組成物とシラングラフト樹脂組成物とが混合されることが好ましい。シラノール縮合触媒の混合割合がこの範囲内にあると、外観不良及びブツの発生を効果的に抑制でき、また、後述する工程(c)での架橋反応を十分に進行させることができる。そのため、得られるシラン架橋性樹脂組成物を成形性に優れるものとでき、また得られるシラン架橋樹脂成形体に高い耐熱性を付与できる。シラノール縮合触媒の混合割合は、上記合計100質量部に対して、好ましくは0.05〜0.4質量部、より好ましくは0.08〜0.3質量部である。
ここで、シラングラフト樹脂組成物を後述する工程(a)で合成して用いる場合、上記ベース樹脂の量(質量部)は、シラングラフト樹脂の合成に用いた樹脂(シラングラフト樹脂を形成する樹脂)と、シランカップリング剤と、更にシラングラフト樹脂以外の樹脂と、鉱物性オイルとの合計量とする。
キャリア樹脂の混合割合については、ベース樹脂とキャリア樹脂との合計100質量%中、2〜60質量%に設定されることが好ましい。すなわち、上記合計100質量%中、キャリア樹脂が2〜60質量%の割合で、シラングラフト樹脂組成物と混合されることが好ましい。キャリア樹脂の混合割合がこの範囲内にあると、ブツの発生を効果的に抑制でき、また、後述する工程で架橋反応を十分に進行させることができる。キャリア樹脂の混合割合は、15〜40質量%に設定されることがより好ましく、18〜35質量%に設定されることが更に好ましい。
このようにして溶融混合物(シラン架橋性樹脂組成物)を得ることができる。この溶融混合物における各成分の含有量は、シラングラフト樹脂組成物及び本発明のシラン架橋用触媒組成物における対応する成分の含有量と、シラングラフト樹脂組成物及び本発明のシラン架橋用触媒組成物の溶融混合時の混合割合とから決定される。
例えば、ベース樹脂がスチレン系エラストマーを10質量%以上含有するシラングラフト樹脂組成物を用いたシラン架橋性樹脂組成物において、スチレン系エラストマーの含有量は、ベース樹脂及びキャリア樹脂の合計100質量%に対して、5質量%以上であることが好ましい。
また、例えば、シラン架橋性樹脂組成物において、シラングラフト樹脂の含有量は、ベース樹脂及びキャリア樹脂の合計100質量%に対して、50〜100質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。
工程(b)においては、得られた溶融混合物を成形する。
この成形工程は、溶融混合物を成形できればよく、シラン架橋樹脂成形体の形態に応じて、適宜の成形方法及び成形条件が選択される。成形方法は、押出機を用いた押出成形、射出成形機を用いた押出成形、その他の成形機を用いた成形が挙げられる。
押出成形は、シラン架橋樹脂成形体を含む製品が配線材、特に電線又は光ファイバーケーブルである場合に、好ましく適用される。押出成形は、汎用の押出成形機を用いて、行うことができる。押出成形温度は、ベース樹脂ないしはキャリア樹脂の種類、押出速度(引取り速度)の諸条件にもよるが、シリンダー部を120〜150℃、クロスヘッド部(ダイス温度)を約160〜200℃程度に設定することが好ましい。
工程(b)の成形を押出成形により行う場合、溶融混合物の成形速度(押出速度)は、特に限定されず、通常、線速で1mm/分以上20mm/分未満、好ましくは1mm/分以上10mm/分以下に設定できる。また、本発明においては、生産性の更なる向上のため成形速度を線速で20mm/分以上200mm/分以下の高速に設定することもできる。
工程(b)において、成形工程は、上記溶融混合工程と同時に又は連続して、行うことができる。すなわち、溶融混合工程における溶融混合の一実施態様として、例えば押出成形の際又は直前に成形材料(シラングラフト樹脂組成物と本発明のシラン架橋用触媒組成物)を溶融混合する態様が挙げられる。例えば、成形材料を常温又は高温(溶融しない状態)で混合して成形機に導入して溶融混合してもよい。また、成形材料を溶融混合してペレット化し、その後に成形機に導入して再度溶融混合してもよい。この場合、より具体的には、シラングラフト樹脂組成物と本発明のシラン架橋用触媒組成物との混合物を被覆装置内で溶融混合し、次いで、導体等の外周面に押出被覆して、所望の形状に成形する一連の工程を採用できる。このようにして、シラングラフト樹脂組成物と本発明のシラン架橋用触媒組成物とをドライブレンドしてドライブレンド物を調製し、このドライブレンド物を成型機に導入して成形すると、シラン架橋性樹脂組成物の成形体として架橋性樹脂成形体が得られる。
工程(b)で得られる架橋性樹脂成形体は、シランカップリング剤由来の加水分解性シリル基がシラノール縮合していない未架橋体である。実際的には、工程(b)で溶融混合されると、一部架橋(部分架橋)は避けられないが、得られる架橋性樹脂成形体について、少なくとも成形時の成形性が保持されたものとすることが好ましい。また、外観を低下させないものとすることも好ましい。
シラングラフト樹脂組成物を後述する工程(a)で合成して用いる場合、架橋性樹脂成形体は、一部の加水分解性シリル基は無機フィラーと結合又は吸着していてもよい。この場合、架橋性樹脂成形体は、加水分解性シリル基で無機フィラーと結合又は吸着したシランカップリング剤がグラフトしたシラングラフト樹脂と、加水分解性シリル基が無機フィラーと結合又は吸着していないシランカップリング剤がグラフトしたシラングラフト樹脂とを含有する。
工程(c)は、工程(b)で得られた架橋性樹脂成形体を水と接触させる。この架橋性樹脂成形体は、工程(c)を実施することによって、(最終)架橋されたシラン架橋樹脂成形体とされる。すなわち、シラングラフト樹脂が有する加水分解性シリル基が加水分解されてシラノール(ケイ素原子に結合するOH基)となり、架橋性樹脂成形体中に存在するシラノール縮合触媒によりシラノールの水酸基同士が(脱水)縮合して、架橋反応が起こる。
この工程(c)の処理自体は、通常の方法によって行うことができる。上記縮合反応は、シラノール縮合触媒の存在下では、常温で保管するだけで進行する。したがって、工程(c)において、架橋性樹脂成形体を水と積極的に接触させる必要はない。この縮合反応を促進させるために、架橋性樹脂成形体を水と接触させることもできる。例えば、温水への浸水、湿熱槽への投入、高温の水蒸気への暴露等の積極的に水に接触させる方法を採用できる。また、その際に水を内部に浸透させるために圧力をかけてもよい。
このようにして、シラン架橋樹脂成形体が製造される。
工程(b)で使用するシラングラフト樹脂組成物は、市販品でもよく、調製品(合成品)でもよい。シラングラフト樹脂組成物の調製方法は、特に制限されず、例えば、市販のシラングラフト樹脂を用いる方法、シラングラフト樹脂の合成工程を含む方法が挙げられる。
市販のシラングラフト樹脂を使用する方法としては、例えば、シラングラフト樹脂と、シラングラフト樹脂以外のベース樹脂成分、無機フィラー等とを混合する方法が挙げられる。混合方法及び混合条件については、特に限定されず、適宜に設定できる。
シラングラフト樹脂の合成工程(a)を含む方法としては、例えば、無機フィラーを用いずにシラングラフト樹脂を合成する工程(a1)を含む方法と、シラングラフト樹脂を無機フィラーの存在下で合成する工程(a2)を含む方法が好適に挙げられる。本発明においては、工程(a1)が好ましい。架橋を促進して、耐熱性を高める観点からは、工程(a2)が好ましい。
すなわち、シラン架橋樹脂成形体の製法方法の好ましい一態様は、下記工程(a1)、上記工程(b)及び(c)を有する。工程(a1)により得られたシラングラフト樹脂組成物を上記工程(b)に用いる。
工程(a1):ベース樹脂と工程(b)で混合予定のキャリア樹脂とを合計100質量部としたときに、ベース樹脂に含有予定のシラングラフト樹脂を形成する樹脂(以下、シラングラフト樹脂形成用樹脂という。)と、有機過酸化物0.003〜0.3質量部と、グラフト化反応部位を有するシランカップリング剤2質量部を越え15.0質量部以下とを、有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、有機過酸化物から発生したラジカルによってシラングラフト樹脂形成用樹脂にシランカップリング剤をグラフト化反応させることにより、シラングラフト樹脂を含むベース樹脂を含有するシラングラフト樹脂組成物を得る工程
また、シラン架橋樹脂成形体の製法方法の別の好ましい一態様は、下記工程(a2)を、上記工程(a1)に代えて有する。工程(a2)により得られた、無機フィラーを含有するシラングラフト樹脂組成物を上記工程(b)に用いる。
工程(a2):ベース樹脂と工程(b)で混合予定のキャリア樹脂とを合計100質量部としたときに、シラングラフト樹脂形成用樹脂と、有機過酸化物0.003〜0.3質量部と、無機フィラー10〜400質量部と、グラフト化反応部位を有するシランカップリング剤2質量部を越え15.0質量部以下とを、有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、有機過酸化物から発生したラジカルによって、シラングラフト樹脂形成用樹脂にシランカップリング剤をグラフト化反応させることにより、シラングラフト樹脂を含むベース樹脂を含有するシラングラフト樹脂組成物を得る工程
上記工程(a1)及び(a2)においては、必要により、上述の、シラングラフト樹脂以外の樹脂、鉱物性オイル及び添加剤を混合してもよい。シラングラフト樹脂以外の樹脂及び鉱物性オイルの配合量は、シラングラフト樹脂形成用樹脂の配合量を考慮して決定される。添加剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜に設定される。
上記工程(a1)と工程(a2)とをまとめて工程(a)として説明する。
工程(a)において、有機過酸化物の配合量は、ベース樹脂とキャリア樹脂との合計100質量部に対して、0.003〜0.3質量部が好ましく、0.005〜0.3質量部がより好ましく、0.005〜0.1質量部が更に好ましい。有機過酸化物の配合量を上記範囲内にすることにより、適切な範囲でグラフト化反応を行うことができ、ブツの発生を抑えて押出性に優れたシラングラフト樹脂組成物を調製することができる。
工程(a2)において、無機フィラーの配合量は、上記合計100質量部に対して、10〜400質量部が好ましく、30〜280質量部がより好ましい。無機フィラーの配合量を上記範囲内にすることにより、高い耐熱性と優れた外観をシラン架橋樹脂成形体に付与できる。
工程(a)において、シランカップリング剤の配合量は、上記合計100質量部中、2.0質量部を超え15.0質量部以下が好ましく、3〜12.0質量部がより好ましく、4〜12.0質量部が更に好ましい。シランカップリング剤の配合量を上記範囲内にすることにより、高い耐熱性と優れた外観をシラン架橋樹脂成形体に付与できる。
本発明において、「シラングラフト樹脂形成用樹脂と、有機過酸化物と、シランカップリング剤とを溶融混合する」(工程(a1))、「シラングラフト樹脂形成用樹脂と、有機過酸化物と、無機フィラーと、シランカップリング剤とを溶融混合する」(工程(a2))とは、いずれも、溶融混合する際の混合順を特定するものではなく、どのような順で混合してもよいことを意味する。
工程(a2)においては、上記各成分を、下記工程(a2−1)及び(a2−2)により、溶融混合することが好ましい。
工程(a2−1):少なくとも無機フィラー及びグラフト化反応部位を有するシランカップリング剤を混合して混合物を調製する工程
工程(a2−2):工程(a2−1)で得られた混合物とシラングラフト樹脂形成用樹脂とを、有機過酸化物の存在下で、有機過酸化物の分解温度以上の温度において、溶融混合して、有機過酸化物から発生したラジカルによってシラングラフト樹脂形成用樹脂にシランカップリング剤をグラフト化反応させることにより、シラングラフト樹脂を含むベース樹脂を含有するシラングラフト樹脂組成物を得る工程
工程(a2−1)において、無機フィラーとシランカップリング剤を混合する方法としては、特に限定されず、湿式混合でも乾式混合でもよい。本発明においては、無機フィラーにシランカップリング剤を加熱又は非加熱で混合する乾式混合(ドライブレンド)が好ましい。このようにして前混合されたシランカップリング剤は、無機フィラーの表面を取り囲むように存在し、その一部又は全部が無機フィラーに吸着又は結合する。これにより、後の溶融混合の際にシランカップリング剤の揮発を低減できる。乾式混合は、有機過酸化物の分解温度未満の温度で行い、グラフト化反応の生起を抑えて上記成分を混合する。混合温度としては、好ましくは10〜50℃、より好ましくは室温(25℃)〜40℃で、無機フィラーとシランカップリング剤を数分〜数時間程度の条件に設定できる。
有機過酸化物は、工程(a2−2)を行う際に存在していればよく、工程(a2−1)で混合してもよく、工程(a2−2)で混合してもよい。
次いで、工程(a2−1)で得られた混合物とシラングラフト樹脂形成用樹脂とを溶融混合する(工程(a2−2))。これにより、有機過酸化物から発生したラジカルによって、シランカップリング剤のグラフト化反応部位とシラングラフト樹脂形成用樹脂のグラフト化反応可能な部位とをグラフト化(結合)反応させる。
工程(a1)、工程(a2)及び工程(a2−2)それぞれの溶融混合において、上記成分を溶融混合する温度は、有機過酸化物の分解温度以上、好ましくは150〜230℃の温度である。その他の混合条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。これにより、溶融した上記成分に、有機過酸化物が分解し、発生したラジカルが作用して、シランカップリング剤のグラフト化反応部位とシラングラフト樹脂形成用樹脂のグラフト化反応可能な部位とのグラフト化反応(結合)が進行する。溶融混合方法としては特に限定されず、前述の工程(b)と同様にして混合することができる。
工程(a)において、シラングラフト樹脂以外の樹脂、鉱物性オイル及び添加剤は、上記のいずれの工程で混合されてもよい。
このようにして、工程(a)を行い、シラングラフト樹脂を含有するシラングラフト樹脂組成物を調製できる。
工程(a)は、上記工程(b)の溶融混合と同時に又は連続して行うことができる。
工程(a)は、シラノール縮合触媒の非存在下で行い、シランカップリング剤の縮合反応を抑えることが好ましい。本発明において、シラノール縮合触媒の非存在下で溶融混練するとは、シラノール縮合触媒を実質的に配合せずに溶融混練することを意味する。すなわち、不可避的に存在するシラノール縮合触媒をも排除するものではなく、シランカップリング剤のシラノール縮合による下記混練性及び成形性の問題が生じない程度であれば存在していてもよいことを意味する。例えば、シラノール縮合触媒は、樹脂組成物100質量部に対して、0.01質量部以下であれば、存在していてもよい。上記溶融混練をシラノール縮合触媒の非存在下で行うことにより、シランカップリング剤の縮合反応を抑えることができき、混練性に優れ(溶融混練しやすく)、また成形性に優れる(所望の形状に押出成形できる)。
このようにして、シラングラフト樹脂形成用樹脂とシランカップリング剤とをグラフト化反応させることにより、シラングラフト樹脂が合成され、反応組成物としてこのシラングラフト樹脂を含むシラングラフト樹脂組成物が調製される。このグラフト化反応においては、通常、1分子のシランカップリング剤が1つのグラフト化反応可能な部位に付加するが、本発明はこれに限定されない。このシラングラフト樹脂組成物は、前述の工程(b)により成形可能な程度にシランカップリング剤がベース樹脂にグラフトしたシラングラフト樹脂を含む反応組成物である。
工程(a2−2)において、シランカップリング剤がシラングラフト樹脂形成用樹脂にグラフト化反応する態様としては、少なくとも次のものが挙げられる。上記工程(a2−1)において無機フィラーと弱い結合で結合又は吸着したシランカップリング剤は、無機フィラーから脱離し、工程(a2−2)でシラングラフト樹脂形成用樹脂にグラフト化反応する。また、無機フィラーと強い結合で結合又は吸着したシランカップリング剤は、無機フィラーとの結合を保持した状態で、シラングラフト樹脂形成用樹脂にグラフト化反応する。
以上のようにして、シラン架橋樹脂成形体が製造される。このシラン架橋樹脂成形体は、上述のシラングラフト樹脂が架橋した架橋樹脂を含有している。
上記工程(a1)を経て製造したシラン架橋樹脂成形体の一形態は、シラングラフト樹脂形成用樹脂にグラフト化反応したシランカップリング剤同士が架橋反応(加水分解性シリル基同士のシラノール縮合反応)することにより、少なくとも2つのシランカップリング剤を介して結合(架橋)したシラングラフト樹脂の架橋体を含有する。
上記工程(a2)を経て製造したシラン架橋樹脂成形体の一形態は、下記のシラングラフト樹脂の架橋体を含有すると考えられる。無機フィラーから脱離してシラングラフト樹脂形成用樹脂にグラフト化反応したシランカップリング剤が架橋反応することにより、シランカップリング剤を介して結合(架橋)したシラングラフト樹脂の架橋体を含有する。これに加えて、無機フィラーとの結合を保持した状態でシラングラフト樹脂形成用樹脂にグラフト化反応したシランカップリング剤は架橋反応しにくく、シランカップリング剤を介して無機フィラーと結合(架橋)したシラングラフト樹脂の架橋体を含有する。これらの樹脂の架橋体を含有するシラン架橋樹脂成形体は、高い耐老化性を損なうことなく、優れた外観及び高い耐熱性を示し、更には高い強度を有する。
<シラン架橋樹脂成形体の製法方法の適用>
シラン架橋樹脂成形体の製法方法は、シラン架橋樹脂成形体からなる製品(半製品、部品、部材も含む。)の製造に適用することができる。この製品は、シラン架橋樹脂成形体を含む製品でもよく、シラン架橋樹脂成形体のみからなる製品でもよい。このような製品として、例えば、耐熱電線、ケーブル又は光ファイバーケーブル等の配線材の被覆材、ゴムモールド材(例えば、自動車用グラスランチャンネル、ウェザーストリップ、ゴムホース、ワイパーブレードゴム、防振ゴム)等が挙げられる。また、シラン架橋樹脂成形体は、従来、電子線照射による架橋又は化学加硫されたポリオレフィン材料、EPゴム材料の代替品として用いることができる。
シラン架橋樹脂成形体を含む製品は、シラン架橋用触媒組成物とシラングラフト樹脂組成物を用いて、通常の方法で、他の部材と共に成形するなどして製造することができる。
[配線材]
本発明の配線材は、シラン架橋性樹脂組成物の硬化物からなる被覆層を有する。言い換えると、本発明の配線材は、シラン架橋樹脂成形体を含む製品であり、シラン架橋樹脂成形体からなる被覆層を有する。この被覆層は、本発明のシラン架橋用触媒組成物を用いて形成され、そのベース(マトリックス)としてシラングラフト樹脂の架橋体を含み、更に高含有量で老化防止剤を含有している。そのため、この被覆層を備えた配線材は、耐熱性と耐老化性と外観とに優れ、しかも、二次加工時に発泡しにくい。
配線材としては、電気・電子機器の内部配線若しくは外部配線に使用される耐熱電線、ケーブル、コード、光ファイバー心線又は光ファイバーコードが挙げられ、耐熱電線又はケーブルが好ましい。
本発明の配線材は、中でも、特に高度の耐老化性が求められる配線材(例えば、車のエンジンの周囲で使用される配線材、エアコン用配線材、レンジ用配線材等の、高温環境下で長期間使用される配線材)として、好ましく用いることができる。
本発明の配線材は、公知の方法で製造することができ、シラン架橋樹脂成形体の製造方法により好適に製造される。
シラン架橋樹脂成形体の製造方法に本発明のシラン架橋用触媒組成物を用いて押出成形によって、本発明の配線材を製造する場合、好ましくは、本発明のシラン架橋用触媒組成物とシラングラフト樹脂組成物とを混合した成形材料を押出機(押出被覆装置)内で溶融混合して導体等の外周に押し出し、次いで水と接触させることにより、シラン架橋樹脂成形体からなる被覆層を備えた配線材を製造できる。
用いる導体としては、単線でも撚線でもよく、また裸線でも錫メッキ若しくはエナメル被覆したものでもよい。導体を形成する金属材料としては軟銅、銅合金、アルミニウム等が挙げられる。導体の周りに形成される絶縁層の肉厚は特に限定しないが、通常、0.15〜5mm程度である。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
表1〜表3において、各例の配合量に関する数値は特に断らない限り質量部を表す。また、各成分について空欄は対応する成分の配合量が0質量部であることを意味する。
表1〜表3中に示す各成分(化合物)の詳細を以下に示す。
ヒンダードフェノール系老化防止剤:イルガノックス1010(商品名、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、BASF社製)
ヒドラジン系重金属不活性化剤:イルガノックスMD1024(商品名、1,2−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、BASF社製)
ベンゾイミダゾール系老化防止剤:ノクラックMBZ(商品名、1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−チオン・0.5亜鉛塩、大内新興化学工業社製)

シラノール縮合触媒:アデカスタブOT−1(商品名、ジオクチルスズジラウレート、ADEKA社製)

HDPE:ハイゼックス5305E(商品名、高密度ポリエチレン、MFR0.8g/10分、プライムポリマー社製)
LLDPE:エボリューSP0540(商品名、直鎖状低密度ポリエチレン、MFR3.8g/10分、プライムポリマー社製)
PP:PB222A(商品名、ポリプロピレン、MFR0.7g/10分(230℃、2.16kg)、サンアロマー社製)
EVA:エバフレックスEV360(商品名、エチレン−酢酸ビニル共重合体、MFR2g/10分、三井・デュポンポリケミカル社製)
EEA:NUC6510(商品名、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂、MFR0.5g/10分、NUC社製)
EPDM:ノーデル3720P(商品名、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、MFR0.7g/10分、ダウ社製)
エチレンアクリルゴム:ベイマックDP(商品名、MFR0.7g/10分以下、デュポン社製)
SEPS:セプトン4077(商品名、クラレ社製)
OIL:ダイアナプロセスPW90(商品名、パラフィン系オイル、40℃における動的粘度96cSt、流動点15℃、引火点(COC)250℃以上、出光興産社製)
シラングラフトLLDPE:リンクロンXCF730M(商品名、三菱化学社製)
(実施例1〜10、12、15、17〜20、比較例1〜8、参考例1〜
まず、表1〜3の「触媒マスターバッチ」欄に示す各成分を、バンバリーミキサーを用いて、200℃で溶融混合した後、ペレット化して、触媒マスターバッチのペレットを得た。上記触媒マスターバッチは、ベンゾイミダゾール系老化防止剤、ヒドラジン系重金属不活性化剤、ヒンダードフェノール系老化防止剤を、表1〜3に記載の量含有していた。
また、実施例19及び20については、「シランマスターバッチ」欄に示す各成分を、バンバリーミキサーを用いて、200℃で溶融混合した後、ペレット化して、シランマスターバッチのペレットを得た。
また、表1〜3の「シランマスターバッチ」欄に示す各成分又は上記で調製したシランマスターバッチと、上記で調製した触媒マスターバッチとをドライブレンドして、ドライブレンド物を得た。このときの混合割合は、シラングラフト樹脂については「シランマスターバッチ」欄に示す混合割合とし、触媒マスターバッチについては、表1〜3の「シランマスターバッチに混合した触媒マスターバッチ」欄に示す質量割合(ベース樹脂とキャリア樹脂との合計で100質量部となる。)とした。
表1〜3の「シランマスターバッチと混合した触媒マスターバッチ」欄に記載の各混合割合が、ベース樹脂とキャリア樹脂との合計量100質量部に対する混合割合に相当する。
次に、25mmφ押出機(スクリュー有効長Lと直径Dとの比:L/D=25)を、ダイス温度160℃、以下フィーダー側へ、C3=150℃、C2=140℃、C1=130℃の押出温度条件に設定した。この押出機に調製したドライブレンド物を投入して溶融混合して溶融混合物(シラン架橋性樹脂組成物)を調製し、この溶融混合物を、裸軟銅線からなる0.8mmφの導体上に外径1.2mmφ、厚さ0.2mmとなるように、押出被覆した。
得られた被覆導体(架橋性樹脂成形体)を、23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置して、水と接触させた。こうして、シラン架橋性樹脂組成物の硬化物からなる被覆層を有する電線を製造した。
上記押出被覆と同様にして得た各ペレット、上記で得た各被覆導体、又は、製造した各電線について、下記試験をし、その結果を表1〜3に示した。
[発泡試験1(触媒MB調製時の発泡抑制評価)]
上記で得られた触媒マスターバッチのペレットからランダムに選択した10粒の中央部を切断(長軸の中央において、長軸と直行するように切断)し、切断面を目視にて観察した。その結果、全てのペレットの切断面に発泡が見られなかったもの(合格)を「○」、1つでも発泡が見られたもの(不合格)を「×」として表記した。
ここで、発泡が見られないとは、上記切断面において0.05mm以上の大きさの気泡(空隙)が観察されない場合をいう。
[発泡試験2(二次加工時の発泡抑制評価)]
電線の発泡試験として、二次加工時の発泡の有無を想定したハンダ耐熱試験を行った。具体的には、電線の被覆層を先端から5mm剥離し、被覆層が剥離されて露出した導体の先端から長さ3mmの部分を330℃に設定したハンダバスに浸漬し、保持した。その後、電線をハンダバスから引き挙げて、電線の被覆層の、露出した導体の先端から長さ5mmの部分の、導体の長さ方向に対して垂直な断面における発泡の有無を確認した。発泡の観察は、マイクロスコープを用いて行った。ここで、発泡が見られないとは、上記断面において0.01mm以上の大きさの気泡(空隙))が観察されない場合をいう。
上記浸漬において、被覆層断面に発泡が観察されない最長浸漬時間により、下記の評価基準で、発泡の有無を評価した。
最長浸漬時間が、10秒以上であった場合を「◎」で表記し、5秒以上10秒未満であった場合を「○」で表記し、1秒以上5秒未満であった場合を「△」で表記し、1秒未満であった場合(不合格)を「×」で表記した。
[耐老化性]
電線より導体を抜き取って管状片を作成し引張試験を行った。標線間25mm、引張速度50mm/分で試験を行い、引張強さ及び破断時伸びを測定した。引張試験は、UL758に準じて、常温(25℃)及び常湿(相対湿度:50%)で行った。
一方、電線それぞれを180℃で2日、4日、7日又は10日間、恒温槽内で加熱処理した。この加熱処理後の電線から導体を抜き取った管状片を用いて、上記と同様にして引張強さ及び破断時伸びを測定した。測定された引張強さ及び破断時伸びそれぞれにつき、加熱処理前の電線の引張強さ及び破断時伸びに対する割合(引張強さ残率及び破断時伸び残率)を、求めた。
得られた引張強さ及び引張伸びの残率を下記に従って評価した。
10日後の引張強さ及び引張伸びの残率がいずれも80%以上:◎
10日後には引張強さ及び引張伸びの残率のいずれかが80%未満だが、7日後ではこれらの残率がいずれも80%以上:○
7日後には引張強さ及び引張伸びの残率のいずれかが80%未満だが、4日後ではこれらの残率がいずれも80%以上:○△
4日後には引張強さ及び引張伸びの残率のいずれかが80%未満だが、2日後ではこれらの残率がいずれも80%以上:△
2日後の引張強さ及び引張伸びの残率のいずれかが80%以下(不合格):×
[成形性]
上記各例で調製したドライブレンド物を用いてシラン架橋性樹脂組成物の成形性(押出成形性)を、評価した。
各例で調製したドライブレンド物を、線速を変更した以外は上記押出被覆と同様に押出被覆して、電線を得た。
この押出被覆において、押出被覆可能な最大の製造スピード(最高線速)により、下記評価基準で、成形性を評価した。ここで、押出被覆可能な最大の製造スピードとは、押出被覆された被覆層において外観不良がなく、かつ、ブツが観察されない線速であって、最高のものとする。
最高線速が、150mm/分以上であった場合を「◎」で表記し、100mm/分以上150mm/分未満であった場合を「○」で表記し、40mm/分以上100mm/分未満であった場合を「△」で表記し、40mm/分未満であった場合(不合格)を「×」で表記した。
ここで、外観不良とは、発泡と、いわゆるメルトフラクチャーと呼ばれる、成形体表面等の凹凸や荒れとをいう。発泡については、電線の被覆層の外観における発泡の有無を確認した。発泡の観察は、目視で行った。ここで、発泡が見られないとは、上記表面において0.05mm以上の大きさの気泡)が観察されない場合をいう。また、ブツとは、架橋によって形成されたゲルブツ又は原料が相溶せずに凝集した凝集ブツをいう。
[加熱変形試験(耐熱性)]
各電線において、被覆層の加熱変形特性を測定した。この試験により、架橋反応の程度(シラン架橋樹脂成形体の耐熱性)を評価できる。
加熱変形試験はUL758に準じて行った。測定温度121℃で、各電線に対して長手方向と垂直の方向に2.45Nの負荷荷重をかけた。このときの、被覆層の変形率([(加熱前の被覆層の厚さ−加熱後の被覆層の厚さ)/加熱前の被覆層の厚さ]×100)が30%未満のものを「○」、30%以上50%未満のものを「△」、50%以上のもの(不合格)を「×」とした。
Figure 0006916106
Figure 0006916106
Figure 0006916106
表1〜表3の結果から、以下のことが分かる。
ベンゾイミダゾール系老化防止剤の含有量が本発明で規定する範囲を満たしていてもヒドラジン系重金属不活性化剤の含有量が多すぎる触媒マスターバッチを用いた比較例1は、触媒マスターバッチの調製時及び二次加工時の発泡抑制試験において発泡が見られた。また、押出成形可能な最大製造スピードが遅く、シラン架橋性樹脂組成物は成形性に劣るものであった。
ベンゾイミダゾール系老化防止剤の含有量が多すぎる触媒マスターバッチを用いた比較例2は、触媒マスターバッチの調製時に発泡が見られ、またシラン架橋性樹脂組成物の成形性に劣った。
ベンゾイミダゾール系老化防止剤の含有量が少なすぎる触媒マスターバッチを用いた比較例3は、耐老化性に劣った。
ベンゾイミダゾール系老化防止剤及びヒドラジン系重金属不活性化剤の含有量が本発明で規定する範囲を満たしていてもMFRが高すぎる触媒マスターバッチを用いた比較例4は、触媒マスターバッチの調製時及び二次加工時の発泡抑制試験において発泡が見られた。一方、ベンゾイミダゾール系老化防止剤及びヒドラジン系重金属不活性化剤の含有量が本発明で規定する範囲を満たしていてもMFRが低すぎる触媒マスターバッチを用いた比較例5は、シラン架橋性樹脂組成物の成形性が十分ではなかった。
老化防止剤及びMFRが本発明で規定する範囲を満たしていてもシラノール縮合触媒の含有量が少なすぎる触媒マスターバッチを用いた比較例6は、得られた電線の耐熱性に劣った。一方、本発明で規定する範囲を満たしていてもシラノール縮合触媒の含有量が多すぎる触媒マスターバッチを用いた比較例7は、シラン架橋性樹脂組成物が十分な成形性を示さなかった。
ベンゾイミダゾール系老化防止剤の含有量が多すぎる触媒マスターバッチを用いた比較例8は、発泡による外観不良が見られた。
これに対して、ベンゾイミダゾール系老化防止剤、ヒドラジン系重金属不活性化剤及びシラノール縮合触媒を特定量含有し、MFRが特定範囲にある実施例1〜10、12、15、17〜20の触媒マスターバッチは、いずれも、ペレット調製時の発泡が抑制されている。また、本発明の触媒マスターバッチをシラングラフト樹脂と特定の割合で組み合わせて用いた実施例1〜10、12、15、17〜20の電線は、優れた外観と耐熱性と耐老化性を兼ね備え、二次加工時の発泡抑制試験において発泡が抑制されている。このように、実施例1〜10、12、15、17〜20の触媒マスターバッチは、シラン架橋法に用いることにより、外観、耐熱性及び耐老化性に優れた電線を製造できる。また、これらの触媒マスターバッチを用いたシラン架橋性樹脂組成物は、外観不良やブツの発生を抑えてシラン架橋樹脂の架橋体を成形可能な優れた成形性を示している。
以上のように、本発明の触媒マスターバッチは、ベンゾイミダゾール系老化防止剤を比較的多く含んでいても、発泡を低減しつつ、優れた耐熱性、耐老化性及び外観を付与することができる。

Claims (9)

  1. 加水分解性シリル基を有するシランカップリング剤がグラフト化反応したシラングラフト樹脂のシラン架橋に用いるシラン架橋用触媒組成物であって、
    ポリオレフィン樹脂を含有するキャリア樹脂100質量部に対し、ベンゾイミダゾール系老化防止剤15〜30質量部、ヒドラジン系重金属不活性化剤5〜25質量部、及びシラノール縮合触媒0.05〜5質量部を含有し、190℃、2.16kgにおけるメルトフローレートが0.1〜g/10minであるシラン架橋用触媒組成物。
  2. フェノール系老化防止剤を30質量部以下含有する請求項1に記載のシラン架橋用触媒組成物。
  3. 前記190℃、2.16kgにおけるメルトフローレートが0.5〜g/10minである請求項1又は2に記載のシラン架橋用触媒組成物。
  4. 前記キャリア樹脂がスチレン系エラストマーを20質量%以上含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のシラン架橋用触媒組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のシラン架橋用触媒組成物と、ベース樹脂を含有するシラングラフト樹脂組成物との溶融混合物であり、前記ベース樹脂が、加水分解性シリル基を有するシランカップリング剤がグラフト化反応したシラングラフト樹脂を含有する、シラン架橋性樹脂組成物。
  6. 前記ベース樹脂が、スチレン系エラストマーを10質量%以上含有する請求項5に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
  7. 前記シラン架橋用触媒組成物のキャリア樹脂と前記ベース樹脂との合計100質量部に対して、無機フィラーを10〜400質量部含有する請求項5又は6に記載のシラン架橋性樹脂組成物。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載のシラン架橋性樹脂組成物の硬化物からなる被覆層を有する配線材。
  9. 耐熱電線又はケーブルである請求項8に記載の配線材。
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