JP6667474B2 - シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、シランマスターバッチ、マスターバッチ混合物及びその成形体、並びに、耐熱性製品 - Google Patents

シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、シランマスターバッチ、マスターバッチ混合物及びその成形体、並びに、耐熱性製品 Download PDF

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Description

本発明は、シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、シランマスターバッチ、マスターバッチ混合物及びその成形体、並びに、耐熱性製品に関する。
各種産業用ケーブル(電線を含む)の被覆材、ゴムモールド材(例えば、自動車用グラスランチャンネル、ウェザーストリップ、ゴムホース、ワイパーブレードゴム、防振ゴム)などの樹脂又はゴム製品には、耐熱性をはじめ種々の特性が要求される。
上記樹脂又はゴム製品の材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
上記樹脂又はゴム製品の製造方法としては、射出成型、金型成形、押出成形などが挙げられる。中でも押出成形は、上記樹脂又はゴム製品の製造において広く行われている。
ポリオレフィン系樹脂を含むベース樹脂を用いて押出成形を行うと、成形時間の経過とともに、押出機のダイス部分にメヤニと呼ばれる樹脂カス(ダイスカス)が集積し、押出成形性を損なうという問題があった。具体的には、ダイスカスがダイス部分から脱落し成形体に混入して成形体の特性を損なう、押出時に成形体に接触して外観を損なう、ダイスカスを除去するために押出機を止めるため長時間にわたる連続成形が困難となる等の問題があった。
上記の押出成形時のメヤニの発生を低減する製造方法としては、特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂と、高重度ポリオルガノシロキサンで表面処理した水酸化マグネシウムと、メタクリル酸メチル重合体とを含む樹脂組成物を用いた成形体の製造方法が記載されている。また、特許文献3には、塩素含有樹脂とアクリル系高分子の樹脂とを含有する樹脂組成物からなる可とう管の製造方法が提案されている。また、特許文献2には、架橋されたエチレン−酢酸ビニル共重合体と結晶性ポリオレフィンとからなるベース樹脂に、金属水和物、アクリル系加工助剤及び脂肪酸アミド滑材を加えたノンハロゲン難燃樹脂組成物を用いた製造方法が提案されている。
また、上述のような成形製品においては、その耐熱性等の特性向上のため、製品を形成する樹脂を架橋することがある。樹脂の架橋方法としては、電子線架橋法及び化学架橋法等が挙げられる。化学架橋法の中でも、シラン架橋法は、架橋工程にて特殊な設備を要しないため、他の架橋方法に比べて製造上有利である。
シラン架橋法とは、有機過酸化物の存在下で不飽和基を有する加水分解性シランカップリング剤を樹脂にグラフト反応させてシラングラフト樹脂を得た後に、シラノール縮合触媒の存在下でシラングラフト樹脂を水分と接触させることにより、樹脂を架橋する方法である。
特開2006−8873号公報 特開2011−195831号公報 特開2015−166608号公報
特許文献1及び特許文献3に記載された製造方法は、架橋を行わないため所望の耐熱性を有する成形体を得ることが困難であった。
また、特許文献2に記載された製造方法では、ベース樹脂におけるネットワーク形成が不十分であるため、所望の耐熱性を有する成形体を得ることが困難であった。
また、従来のシラン架橋法による成形体は、架橋が十分ではなく、耐熱性の点で改善の余地があった。また、成形時に、成形体表面にツブ状物(ゲルブツもしくはブツともいう)が生じやすく、成形体の外観にも問題があった。
本発明は、上記課題を克服し、成形時のメヤニ(樹脂カス)の発生を低減して製造でき、外観に優れ所望の耐熱性を有するシラン架橋樹脂成形体及びその製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、このシラン架橋樹脂成形体を形成可能な、シランマスターバッチ、マスターバッチ混合物及びその成形体を提供することを、課題とする。
さらに、本発明は、上記のシラン架橋樹脂成形体を含む耐熱性製品を提供することを、課題とする。
本発明者らは、シラン架橋法において、ポリオレフィン系ベース樹脂又はゴムに対し、アクリル系重合体、有機過酸化物、無機フィラー及びシランカップリング剤を特定の割合で含む混合物を、有機過酸化物の分解温度以上で溶融混練し、得られた組成物とシラノール縮合触媒とを混合し、成形する工程を含む特定の製造方法により、成形時のメヤニの発生を低減でき、耐熱性及び外観に優れたシラン架橋樹脂成形体を製造できることを見出した。本発明者らはこの知見に基づきさらに研究を重ね、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の課題は以下の手段によって達成された。
〔1〕エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムを含有する、又はエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーとを含有する、ポリオレフィン系ベースゴム(ただし、エチレン−酢酸ビニル共重合体を除く)100質量部に対して、アクリル系重合体0.1〜20質量部と、有機過酸化物0.003〜0.3質量部と、無機フィラー0.5〜400質量部と、シランカップリング剤2質量部を越え15.0質量部以下とを、前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合し、前記ポリオレフィン系ベースゴムと前記シランカップリング剤とをグラフト反応させることによりシラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを調製する工程(a)と、
前記工程(a)で得られたシランマスターバッチとシラノール縮合触媒とを混合した後に成形する工程(b)と、
前記工程(b)で得られた成形体を水分と接触させて架橋させる工程(c)と、
を有するシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
〔2〕前記アクリル系重合体の質量平均分子量が、10万〜100万である〔1〕に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
〔3〕前記ポリオレフィン系ベースゴム100質量部に対して、前記アクリル系重合体が0.5〜10質量部である〔1〕または〔2〕に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
〔4〕前記ポリオレフィン系ベースゴム100質量部に対して、前記アクリル系重合体が1〜6質量部である〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
〔5〕前記シランカップリング剤が、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランである〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
〔6〕前記無機フィラーが、シリカ、ベーマイト、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
〔7〕前記工程(a)における溶融混合が、密閉型のミキサーを用いて行われる〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
〔8〕エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムを含有する、又はエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーとを含有する、ポリオレフィン系ベースゴム(ただし、エチレン−酢酸ビニル共重合体を除く)100質量部に対して、アクリル系重合体0.1〜20質量部、有機過酸化物0.003〜0.3質量部と、無機フィラー0.5〜400質量部と、シランカップリング剤2質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを混合してなるマスターバッチ混合物の製造に用いられるシランマスターバッチであって、
前記ベースゴム、前記アクリル系重合体、前記有機過酸化物、前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して前記ポリオレフィン系ベースゴムと前記シランカップリング剤とをグラフト反応させて得られるシラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチ。
〔9〕〔8〕に記載のシランマスターバッチとシラノール縮合触媒とを含有するマスターバッチ混合物。
〔10〕〔9〕に記載のシランマスターバッチとシラノール縮合触媒とをドライブレンドしてなるマスターバッチ混合物を成形した成形体。
〔11〕〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法により製造されたシラン架橋樹脂成形体。
〔12〕前記ベースゴムが、シラノール結合を介して前記無機フィラーと架橋してなる〔11〕に記載のシラン架橋樹脂成形体。
〔13〕〔11〕又は〔12〕に記載のシラン架橋樹脂成形体を含む耐熱性製品。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明によれば、上記の課題を克服し、成形時のメヤニの発生を低減した、優れた耐熱性及び外観を有するシラン架橋樹脂成形体を製造できる。
したがって、本発明により、優れた耐熱性及び外観を有するシラン架橋樹脂成形体及びその製造方法を提供できる。また、このような優れた特性を示すシラン架橋樹脂成形体を形成可能な、シランマスターバッチ、マスターバッチ混合物及びその成形体を提供できる。さらには、優れた特性を示すシラン架橋樹脂成形体を含む耐熱性製品を提供できる。
以下、本発明の好ましい形態について説明する。
まず、本発明において用いる各成分について説明する。
〈ポリオレフィン系ベース樹脂又はゴム〉
ポリオレフィン系ベース樹脂又はゴム(以下、ベース樹脂ということもある)は、ポリオレフィン系樹脂又はゴムを含有する。ポリオレフィン系樹脂又はゴムとしては、特に限定されず、例えば以下のものを使用することができる。
また、ベース樹脂は、ポリオレフィン系樹脂又はゴムに加えて、スチレン系熱可塑性エラストマー及び鉱物性オイルを含有していてもよい。
(a1)エチレン−α−オレフィン共重合体の樹脂
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、特に限定されないが、1−プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。
ここでエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレン成分の含有量が80〜99質量%程度のものをいう。
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)あるいはメタロセン触媒存在下に合成されたポリエチレン樹脂等が挙げられ、中でも、メタロセン触媒存在下で合成されたLLDPEが好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、0.880〜0.940g/cmが好ましく、0.900〜0.930g/cmがより好ましい。密度が0.880〜0.940g/cmであると、優れた機械的特性を得られる。また、ベース樹脂が鉱物性オイルを含む場合に、鉱物性オイルがブリードアウトしにくく長期において成形体の外観を保持できる。エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、JIS K 7112に記載の方法によって、測定することができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば「カーネル」(商品名、日本ポリエチレン社製)、「エボリュー」(商品名、プライムポリマー社製)、「スミカセン」(商品名、住友化学社製)、「エンゲージ」(商品名、ダウ社製)などを挙げることができる。
ベース樹脂に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂は、1種でも2種以上でもよい。
(a2)エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムは、エチレンと上記α−オレフィンとの共重合体からなるゴムであれば特に限定されない。例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPゴム(EPM))であって、エチレンとプロピレンのゴム状共重合体が挙げられる。ここで、エチレン−プロピレン共重合体ゴムとはエチレン成分含有量が通常40〜75質量%程度のものをいう。エチレン−プロピレン共重合体ゴム中のエチレン成分含有量は、50〜75質量%が好ましく、より好ましくは55〜70質量%である。エチレン成分含有量は、ASTM D3900に記載の方法に準拠して、測定される値である。
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムは、エチレン、α−オレフィン(プロピレン)以外の第三成分として不飽和基を有する繰返し単位を有するエチレン−プロピレンターポリマー(例えば、エチレンとα−オレフィンとジエンとの三元共重合体(EPDM)が挙げられる)を包含する。本発明においては、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとして、EPM及びEPDMのいずれか一方、又は、両方を用いてもよい。
エチレン−プロピレン共重合体ゴムとしては、例えば「三井EPT」(商品名、三井化学社製)、「ノーデル」(商品名、ダウケミカル社製)を挙げることができる。
ベース樹脂に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムは、1種でも2種以上でもよい。
(a3)エチレン−α−オレフィン共重合体以外のエチレン系共重合体
エチレン−α−オレフィン共重合体以外のエチレン系共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などを単独で、又は適宜混合したものを使用することができる。これらのエチレン系共重合体を用いることによって難燃性を向上させることができると同時に柔軟性を付与することができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体以外のエチレン系共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を好ましく使用することができる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体であれば、エチレン成分及び酢酸ビニル成分が交互に重合してなる交互共重合体であってもよく、また、エチレン成分の重合ブロック及び酢酸ビニル成分の重合ブロックが結合してなるブロック共重合体でもよく、さらにエチレン成分及び酢酸ビニル成分がランダムに重合しているランダム共重合体であってもよい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、酢酸ビニル成分の含有量が10〜80質量%のものを使用することが好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル成分の含有量は、好ましくは、12〜70量%、より好ましくは15〜50質量%、さらに好ましくは17〜45質量%である。酢酸ビニル成分の含有量の異なる樹脂を二種以上組み合わせてもよい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、例えば、エバフレックス(商品名、三井デュポンポリケミカル社製)、レバプレン(商品名、バイエル社製)を挙げることができる。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体には、エチレン−アクリル酸エステル共重合体と、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体の両者を含み、本明細書において、両者を含むものとして「エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体」と記載する。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体であれば、上述のエチレン−酢酸ビニル共重合体と同様に、交互共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体のいずれであってもよい。(メタ)アクリル酸エステル成分は、特に限定されないが、炭素数1〜4のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の共重合成分である(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、10〜40質量%であるのが好ましい。この含有量が上述の範囲にあると高い引張強度を維持できるとともに難燃性を付与することができる。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体などを挙げることができる。
エチレン−アクリル酸エステル共重合体としては、例えば、エルバロイ(商品名、三井デュポンポリケミカル社製)などを挙げることができる。
またエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体としては、例えば、ニュクレル(商品名、三井デュポンポリケミカル社製)などを挙げることができる。
ベース樹脂に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体以外のエチレン系共重合体は、1種でも2種以上でもよい。
(a4)高密度ポリエチレン樹脂
高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)は、ポリエチレン単独重合体などを用いることができる。
密度は特に制限はないが、0.940を越え0.965g/cm以下が好ましく、0.945〜0.960g/cmがより好ましい。高密度ポリエチレン樹脂の密度は、JIS K 7112に記載の方法によって、測定することができる。
また、MFR(190℃、2.16kg)も特に制限はないが、0.2〜10g/10分が好ましく、0.8〜5g/10分がより好ましい。小さすぎると、製造設備のモーター負荷が高くなり高速成形性に劣る場合がある。
高密度ポリエチレン樹脂としては、例えば「ハイゼックス」(商品名、プライムポリマー社製)、「ニポロンハード」(商品名、東ソー社製)、「ノバテック」(商品名、日本ポリエチレン社製)などを挙げることができる。
ベース樹脂に含有される高密度ポリエチレン樹脂は、1種でも2種以上でもよい。
(a5)ポリプロピレン系樹脂
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン樹脂)や、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体などの樹脂を使用することができる。
ここでエチレン−プロピレンランダム共重合体はエチレン成分の含有量が1〜10質量%程度のものをいい、エチレン成分がプロピレン鎖中にランダムに取り込まれているものをいう。またエチレン−プロピレンブロック共重合体はエチレン成分及びエチレン―プロピレンゴム(EPR)成分の合計含有量が5〜20質量%程度のものをいい、プロピレン成分の中にエチレン成分やEPR成分が独立して存在する海島構造であるものをいう。特に好ましいのは、押出後の成形体外観の観点でエチレン―プロピレンランダム共重合体である。
ポリプロピレン系樹脂のMFR(JIS K 7210、230℃、2.16kg)は、好ましくは0.5〜50g/10分、より好ましくは0.5〜30g/10分、さらに好ましくは0.5〜10g/10分である。このようなMFR値を有するポリプロピレン系樹脂を配合することにより、ベース樹脂成分の分子量分布を広げることができ、押出成形後の成形体外観を向上させることができる。
ポリプロピレンは、1種類を用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば「サンアロマーPP」(商品名、サンアロマー社製)、「プライムポリプロ」(商品名、プライムポリマー社製)、「ノバテックPP」(商品名、日本ポリプロ社製)などを挙げることができる
ベース樹脂に含有されるポリプロピレン系樹脂は、1種でも2種以上でもよい。
ベース樹脂は、上記ポリオレフィン系樹脂又はゴム、後述するスチレン系熱可塑性エラストマー及び鉱物性オイル等の各成分の総計が100質量%となるように、各成分の含有率が適宜に決定され、好ましくは下記範囲内から選択される。
ベース樹脂がエチレン−α−オレフィン共重合体の樹脂を含有する場合、エチレン−α−オレフィン共重合体の樹脂の、ベース樹脂中の含有率は、20〜100質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。
(a6)スチレン系熱可塑性エラストマー
スチレン系熱可塑性エラストマーとは、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とに由来する構成成分のブロック共重合体又はランダム共重合体の各エラストマー、又はそれらの水素添加物等である。上記スチレン系熱可塑性エラストマーは、芳香族ビニル化合物を5〜70質量%含むものが好ましく、10〜60質量%含むものがより好ましい。この含有量は、例えばクロロホルム溶液を用いた紫外線分光光度計にて、UV吸収スペクトルを測定することによって求められる。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどのうちから1種又は2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種又は2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
上記スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー:水素化SBS)、SEEPS(スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー:水素化SIS)、HSBR(水素化スチレン−ブタジエンランダムコポリマー)等を挙げることができる。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレンブロックとポリオレフィン構造のエラストマーブロックで構成された、二元又は三元の共重合体を使用することができる。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、「セプトン」(商品名、クラレ社製)、「タフテック」(商品名、旭化成ケミカルズ社製)、「ダイナロン」(商品名、JSR社製)を挙げることができる。
ベース樹脂に含有されるスチレン系熱可塑性エラストマーは、1種でも2種以上でもよい。
スチレン系熱可塑性エラストマーの含有率としては、ベース樹脂100質量%中、10〜40質量%が好ましい。10〜40質量%の範囲であれば、柔軟性を付与できるとともに、特にゲルブツが発生しにくい。
(a7)鉱物性オイル
本発明に用いる鉱物性オイルは、芳香族環を有するオイル、ナフテン環を有するオイル及びパラフィン鎖を有するオイルの三者を含む混合油である。パラフィン系オイルとは、パラフィン鎖の炭素数(CP)が、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖の全炭素数に対して例えば50%以上75%未満で、ナフテン鎖の炭素数(CN)が20以上40%未満、芳香族環(CA)の炭素数が3以上10%未満を占めるものをいう。ナフテン系オイルとは、上記全炭素数に対して、CNが40以上60%未満、CPが30%以上50%未満、かつCAが8%以上16%未満のもの、芳香族系オイルとはCAが16%以上のものを、いう。
鉱物性オイルは、パラフィン系オイル又はナフテン系オイルが好ましく、機械的強度の点でパラフィン系オイルが好ましい。
鉱物性オイルは、40℃における動的粘度が20〜500mm/s、流動点が−10〜−15℃、引火点(COC)が180〜300℃を示すものが好ましい。
鉱物性オイルの含有率は、ベース樹脂100質量%中、10〜40質量%が好ましい。10〜40質量%の範囲であれば、成形時にゲルブツを発生しにくく、またブリードアウトしにくい。よって、外観に優れた成形体とすることができる。
なお、鉱物性オイルは、例えば「ダイアナプロセスオイル」(商品名、出光興産社製)や「コスモニュートラル」(商品名、コスモ石油ルブリカンツ社製)等を挙げることができる。
優れた外観の成形体を得る観点からは、ベース樹脂は、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーと鉱物性オイルを含有することが好ましい。
〈アクリル系重合体〉
アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを成分とする単重合体又は共重合体、つまり(メタ)アクリル酸重合体、(メタ)アクリル酸エステル重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体であれば、特に限定されない。アクリル系加工助剤として、樹脂成形体の製造に使用されているものを使用することができる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルのアルキル基は、炭素数1〜12のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルとしては、具体的に好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどが挙げられる。これらは、単独でも使用できるし混合しても良い。
アクリル系重合体の質量平均分子量としては、特に限定されないが、好ましくは0.5万〜350万、より好ましくは10万〜100万、さらに好ましくは10万〜50万である。ブリードアウトを低減して、長期において成形体の外観を維持する観点からは、質量平均分子量が高い方が好ましい。
ここで、質量平均分子量は、例えばTHF(テトラヒドロフラン)を展開溶媒としてGPC(Gel Permeation Chromatography:ゲル透湿クロマトグラフィー)法にて測定できる。具体的には、既知のポリスチレンについてGPCスペクトログラムのピーク位置と分子量の関係について検量線を作成しておき、次いでGPCで測定したアクリル系重合体のスペクトログラムを分子量既知のポリスチレンの検量線と比較し、ポリスチレン換算質量平均分子量を計算することにより求められる。
アクリル系重合体としては、例えば、メタブレンL−1000(商品名、三菱レイヨン社製)などが挙げられる。
アクリル系重合体を用いることによって、成形体表面に滑性が付与され、成形体と押出機のダイスとの摩擦が軽減されメヤニを抑制できる。また、アクリル系重合体は、上記ポリオレフィン系ベース樹脂又はゴムとの相溶性が高いため、シランカップリング剤や無機フィラー等、種々の添加剤の分散を助け、良好な物性の成形体を得ることができる。加えて、アクリル系重合体を用いると、シランマスターバッチ製造工程の際に、グラフト反応の阻害や過度の促進が起こらず、またシラノール基同士の縮合反応が抑制される。その結果、耐熱性等の物性を損なわずに、押出時のメヤニを抑制できるとともに、外観のきれいな成形体を得ることができる。
〈有機過酸化物〉
有機過酸化物は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、触媒として、シランカップリング剤の樹脂成分へのラジカル反応によるグラフト反応を生起させる働きをする。特にシランカップリング剤の反応部位が例えばエチレン性不飽和基を含む場合、エチレン性不飽和基と樹脂成分とのラジカル反応(樹脂成分からの水素ラジカルの引き抜き反応を含む)によるグラフト化反応を生起させる働きをする。
有機過酸化物としては、ラジカルを発生させるものであれば、特に制限はなく、例えば、一般式:R−OO−R、R−OO−C(=O)R、RC(=O)−OO(C=O)Rで表される化合物が好ましい。ここで、R〜Rは各々独立にアルキル基、アリール基又はアシル基を表す。各化合物のR〜Rのうち、いずれもアルキル基であるもの、又は、いずれかがアルキル基で残りがアシル基であるものが好ましい。
このような有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド(DCP)、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド等を挙げることができる。これらのうち、臭気性、着色性、スコーチ安定性の点で、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
有機過酸化物の分解温度は、80〜195℃が好ましく、125〜180℃が特に好ましい。
本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
〈無機フィラー〉
本発明において、無機フィラーは、その表面に、シランカップリング剤のシラノール基等の反応部位と水素結合若しくは共有結合等、又は分子間結合により、化学結合しうる部位を有するものであれば特に制限なく用いることができる。この無機フィラーにおける、シランカップリング剤の反応部位と化学結合しうる部位としては、OH基(水酸基、含水若しくは結晶水の水分子、カルボキシ基等のOH基)、アミノ基、SH基等が挙げられる。
無機フィラーとしては、特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム(ベーマイト等)、窒化アルミニウム、ほう酸アルミニウムウイスカ、水和ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルク等の水酸基あるいは結晶水を有する化合物のような金属水和物が挙げられる。また、窒化ほう素、シリカ(結晶質シリカ、非晶質シリカ等)、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、ほう酸亜鉛、ホワイトカーボン、ほう酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛等が挙げられる。
無機フィラーは、シランカップリング剤等で表面処理した表面処理無機フィラーを使用することができる。例えば、シランカップリング剤表面処理無機フィラーとして、キスマ5L、キスマ5P(いずれも商品名、水酸化マグネシウム、協和化学工業社製等)等が挙げられる。シランカップリング剤による無機フィラーの表面処理量は、特に限定されないが、例えば、3質量%以下である。
これらの無機フィラーのうち、シリカ、ベーマイト、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム若しくは炭酸カルシウム又はこれらの組合せが好ましい。
無機フィラーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
無機フィラーが粉体である場合、無機フィラーの平均粒径は、0.2〜10μmが好ましく、0.3〜8μmがより好ましく、0.4〜5μmがさらに好ましく、0.4〜3μmが特に好ましい。平均粒径が上記範囲内にあると、シランカップリング剤の保持効果が高く、耐熱性に優れたものとなる。また、シランカップリング剤との混合時に無機フィラーが2次凝集しにくく、外観に優れたものとなる。平均粒径は、無機フィラーをアルコールや水で分散させて、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置等の光学式粒径測定器によって求められる。
〈シランカップリング剤〉
本発明に用いられるシランカップリング剤は、有機過酸化物の分解により生じたラジカルの存在下でベース樹脂にグラフト反応しうるグラフト化反応部位(基又は原子)と、無機フィラーの化学結合しうる部位と反応し、シラノール縮合可能な反応部位(加水分解して生成する部位を含む。例えばシリルエステル基等)とを、少なくとも有するものであればよい。このようなシランカップリング剤として、従来、シラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば下記の一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0006667474
一般式(1)中、Ra11はエチレン性不飽和基を含有する基、Rb11は脂肪族炭化水素基、水素原子又はY13である。Y11、Y12及びY13は加水分解しうる有機基である。Y11、Y12及びY13は互いに同じでも異なっていてもよい。
a11は、グラフト化反応部位であり、エチレン性不飽和基を含有する基が好ましい。エチレン性不飽和基を含有する基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキレン基、p−スチリル基を挙げることができる。中でも、ビニル基が好ましい。
b11は、脂肪族炭化水素基、水素原子又は後述のY13を示す。脂肪族炭化水素基としては、脂肪族不飽和炭化水素基を除く炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。Rb11は、好ましくは後述のY13である。
11、Y12及びY13は、シラノール縮合可能な反応部位(加水分解しうる有機基)を示す。例えば、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基が挙げられ、アルコキシ基が好ましい。加水分解しうる有機基としては、具体的には例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、アシルオキシ等を挙げることができる。この中でも、シランカップリング剤の反応性の点から、メトキシ又はエトキシがさらに好ましい。
シランカップリング剤としては、好ましくは、加水分解速度の速いシランカップリング剤であり、より好ましくは、Rb11がY13であり、かつY11、Y12及びY13が互いに同じであるシランカップリング剤、又は、Y11、Y12及びY13の少なくとも1つがメトキシ基であるシランカップリング剤である。
シランカップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルジエトキシブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニルシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシランを挙げることができる。
上記シランカップリング剤の中でも、末端にビニル基とアルコキシ基を有するシランカップリング剤がさらに好ましく、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランが特に好ましい。
シランカップリング剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、そのままで用いても、溶媒等で希釈して用いてもよい。
〈シラノール縮合触媒〉
シラノール縮合触媒は、ポリオレフィン系樹脂又はゴムにグラフトしたシランカップリング剤を水分の存在下で縮合反応させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤を介して、樹脂成分同士が架橋される。その結果、優れた耐熱性を有するシラン架橋樹脂成形体が得られる。
シラノール縮合触媒としては、特に限定されず、例えば、有機スズ化合物、金属石けん、白金化合物等が挙げられる。一般的なシラノール縮合触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ナフテン酸鉛、硫酸鉛、硫酸亜鉛、有機白金化合物等が用いられる。
シラノール縮合触媒の添加量は、シラングラフト樹脂成分と、シラン架橋用触媒マスターバッチを混合した際、両者の樹脂成分100質量部に対し、0.02〜0.5質量部、好ましくは、0.05〜0.4質量部、さらに好ましくは、0.08〜0.3質量部である。この配合量に調整されることによって、成形時にゲルブツの発生が抑制できるとともに、十分に架橋が進行し強度や耐熱性に優れる。
〈キャリア樹脂〉
シラノール縮合触媒は、所望により樹脂に混合されて、用いられる。このような樹脂(キャリア樹脂ともいう)としては、特に限定されないが、ベース樹脂で説明した各樹脂又はゴムを用いることができる。
〈その他添加剤〉
本発明では、電線、電気ケーブル、電気コード、自動車用部材、OA機器、建築部材、雑貨、シート、発泡体、チューブ、パイプにおいて、一般的に使用されている各種の添加剤を、目的とする効果を損なわない範囲で適宜配合してもよい。このような添加剤としては、例えば、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤、金属不活性剤、難燃(助)剤や他の樹脂等が挙げられる。
架橋助剤は、有機過酸化物の存在下において樹脂成分との間に部分架橋構造を形成する化合物をいう。例えば、多官能性化合物等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アミン酸化防止剤、フェノール酸化防止剤又はイオウ酸化防止剤等が挙げられる。
滑剤としては、炭化水素、シロキサン、脂肪酸、脂肪酸アミド、エステル、アルコール、金属石けん等の各滑剤が挙げられる。
次に、本発明の製造方法を具体的に説明する。
本発明のシラン架橋樹脂成形体の製造方法は、下記工程(a)〜工程(c)を有する。
本発明のシランマスターバッチは下記工程(a)により製造され、本発明のマスターバッチ混合物は下記工程(a)及び工程(b)により製造される。
工程(a):ポリオレフィン系ベース樹脂又はゴム100質量部に対して、アクリル系重合体0.1〜20質量部と、有機過酸化物0.003〜0.3質量部と、無機フィラー0.5〜400質量部と、シランカップリング剤2質量部を越え15.0質量部以下とを、前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合(溶融混練、混練りともいう)し、シランマスターバッチを調製する工程
工程(b):工程(a)で得られたシランマスターバッチとシラノール縮合触媒とを混合した後に成形する工程
工程(c):工程(b)で得られた成形体を水分と接触させて架橋させる工程
ここで、混合するとは、均一な混合物を得ることをいう。
工程(a)において、ベース樹脂成分は、ポリオレフィン系樹脂又はゴムを含有していれば特に限定されず、スチレン系熱可塑性エラストマー、鉱物性オイルなどを併せて使用することができる。
工程(a)において、ベース樹脂は、有機過酸化物の存在下、アクリル系重合体、無機フィラー及びシランカップリング剤と、有機過酸化物の分解温度以上で、溶融混合される。工程(a)により、溶融混合物としてシランマスターバッチ(シランMBともいう)が得られる。
工程(a)において、アクリル系重合体の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部であり、0.5〜10質量部が好ましく、1〜6質量部がより好ましい。アクリル系重合体の配合量が0.1質量部未満であると、押出成形の際にメヤニが発生することがある。一方、20質量部を越えると耐熱性、機械的強度などの物性が低下することがある。また、ブリードアウトすることがある。
工程(a)において、有機過酸化物の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して、0.003〜0.3質量部であり、0.005〜0.3質量部が好ましく、0.005〜0.1質量部がより好ましい。有機過酸化物の配合量が0.003質量部未満では、グラフト反応が進行せず、未反応のシランカップリング剤同士が縮合又は未反応のシランカップリング剤が揮発して、耐熱性を十分に得ることができないことがある。一方、0.3質量部超であると、副反応によって樹脂成分の多くが直接的に架橋してブツを形成し、外観不良が生じることがある。また、押し出し性に優れたシランマスターバッチ等が得られないことがある。すなわち、有機過酸化物の配合量をこの範囲内にすることにより、適切な範囲でグラフト反応を行うことができ、ゲル状のブツ(凝集塊)も発生することなく押し出し性に優れたシランマスターバッチ等を得ることができる。
無機フィラーの配合量は、ベース樹脂100質量部に対して、0.5〜400質量部であり、30〜280質量部が好ましい。無機フィラーの配合量が0.5質量部未満では、シランカップリング剤のグラフト反応が不均一となり、シラン架橋樹脂成形体に優れた耐熱性を付与できないことがある。また、シランカップリング剤のグラフト反応が不均一となり、シラン架橋樹脂成形体の外観が低下することがある。一方、400質量部を超えると、成形時や溶融混合時の負荷が非常に大きくなり、2次成形が難しくなることがある。また、耐熱性や外観が低下することがある。
シランカップリング剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して、2.0質量部を超え15.0質量部以下である。シランカップリング剤の配合量が2.0質量部以下では、架橋反応が十分に進行せず、優れた耐熱性を発揮しないことがある。また、シラノール縮合触媒とともに成形する際に、外観不良やブツを生じ、また押出機を止めた際にブツが多く生じることがある。一方、15.0質量部を超えると、それ以上の無機フィラー表面にシランカップリング剤が吸着しきれず、シランカップリング剤は溶融混合中に揮発してしまい、経済的でない。また、吸着しないシランカップリング剤が縮合してしまい、成形体に架橋ゲルブツや焼けが生じて外観が悪化するおそれがある。
上記観点により、このシランカップリング剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して、3〜12.0質量部が好ましく、4〜12.0質量部がより好ましい。
シラノール縮合触媒の配合量は、特に限定されず、ベース樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001〜0.5質量部、より好ましくは0.001〜0.2質量部である。シラノール縮合触媒の配合量が上述の範囲内にあると、シランカップリング剤の縮合反応による架橋反応がほぼ均一に進みやすく、シラン架橋樹脂成形体の耐熱性、外観及び物性が優れ、生産性も向上する。すなわち、シラノール縮合触媒の配合量が少なすぎると、シランカップリング剤の縮合反応による架橋が進みにくくなり、シラン架橋樹脂成形体の耐熱性がなかなか向上せずに生産性が低下し、又は架橋が不均一になることがある。一方、多すぎると、シラノール縮合反応が非常に速く進行し、部分的なゲル化が生じて、外観が低下することがある。また、シラン架橋樹脂成形体(樹脂)の物性が低下することがある。
本発明において、「ポリオレフィン系ベース樹脂又はゴムに対して、アクリル系重合体、有機過酸化物、無機フィラー及びシランカップリング剤を溶融混合する」とは、溶融混合する際の混合順を特定するものではなく、どのような順で混合してもよいことを意味する。工程(a)における混合順は特に限定されない。本発明においては、無機フィラーは、シランカップリング剤と混合して用いることが好ましい。すなわち、本発明においては、上記各成分を、下記工程(a−1)及び(a−2)により、(溶融)混合することが好ましい。
工程(a−1):少なくとも無機フィラー及びシランカップリング剤を混合して混合物を調製する工程
工程(a−2):工程(a−1)で得られた混合物と、ベース樹脂の全部又は一部と、アクリル系重合体とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度において、溶融混合する工程
上記工程(a−2)においては、「ベース樹脂の全量(100質量部)が配合される態様」と、「ベース樹脂の一部が配合される態様」とを含む。工程(a−2)において、ベース樹脂の一部が配合される場合、ベース樹脂の残部は、好ましくは工程(b)で配合される。
工程(a−2)でベース樹脂の一部を配合する場合、工程(a)及び工程(b)におけるベース樹脂の配合量100質量部は、工程(a−2)及び工程(b)で混合されるベース樹脂の合計量である。
ここで、工程(b)でベース樹脂の残部が配合される場合、ベース樹脂は、工程(a−2)において、好ましくは55〜99質量%、より好ましくは60〜95質量%が配合され、工程(b)において、好ましくは1〜45質量%、より好ましくは5〜40質量%が配合される。
本発明においては、シランカップリング剤は、上記のように、無機フィラーと前混合等されることが好ましい(工程(a−1))。
無機フィラーとシランカップリング剤を混合する方法としては、特に限定されないが、湿式処理、乾式処理等の混合方法が挙げられる。具体的には、アルコールや水等の溶媒に無機フィラーを分散させた状態でシランカップリング剤を加える湿式処理、無処理の無機フィラー中に、又は予めステアリン酸やオレイン酸、リン酸エステル若しくは一部をシランカップリング剤で表面処理した無機フィラー中に、シランカップリング剤を、加熱又は非加熱で加え混合する乾式処理、及び、その両方が挙げられる。本発明においては、無機フィラー、好ましくは乾燥させた無機フィラー中にシランカップリング剤を、加熱又は非加熱で加え混合する乾式処理が好ましい。
このようにして前混合されたシランカップリング剤は、無機フィラーの表面を取り囲むように存在し、その一部又は全部が無機フィラーに吸着又は結合する。これにより、後の溶融混合の際にシランカップリング剤の揮発を低減できる。また、無機フィラーに吸着又は結合しないシランカップリング剤が縮合して溶融混合が困難になることも防止できる。さらに、押出成形の際に所望の形状を得ることもできる。
このような混合方法として、好ましくは、有機過酸化物の分解温度未満の温度、好ましくは室温(25℃)で無機フィラーとシランカップリング剤を、数分〜数時間程度、乾式又は湿式で混合(分散)した後に、この混合物と樹脂とを、有機過酸化物の存在下で、溶融混合させる方法が挙げられる。この混合は、好ましくは、バンバリーミキサーやニーダー等のミキサー型混合機で行われる。このようにすると、樹脂成分同士の過剰な架橋反応を防止することができ、外観が優れたものとなる。
この混合方法においては、上記分解温度未満の温度が保持されている限り、樹脂が存在していてもよい。この場合、樹脂とともに金属酸化物及びシランカップリング剤を上記温度で混合(工程(a−1))した後に溶融混合することが好ましい。
有機過酸化物を混合する方法としては、特に限定されず、上記混合物とベース樹脂とを溶融混合する際に、存在していればよい。有機過酸化物は、例えば、無機フィラー等と同時に混合されても、また無機フィラーとシランカップリング剤との混合段階のいずれにおいて混合されてもよく、無機フィラーとシランカップリング剤との混合物に混合されてもよい。例えば、有機過酸化物は、シランカップリング剤と混合した後に無機フィラーと混合されてもよいし、シランカップリング剤と分けて別々に無機フィラーに混合されてもよい。生産条件によっては、シランカップリング剤のみを無機フィラーに混合し、次いで有機過酸化物を混合してもよい。
また、有機過酸化物は、他の成分と混合させたものでもよいし、単体でもよい。
無機フィラーとシランカップリング剤との混合方法において、湿式混合では、シランカップリング剤と無機フィラーとの結合力が強くなるため、シランカップリング剤の揮発を効果的に抑えることができるが、シラノール縮合反応が進みにくくなることがある。一方、乾式混合では、シランカップリング剤が揮発しやすいが、無機フィラーとシランカップリング剤の結合力が比較的弱くなるため、効率的にシラノール縮合反応が進みやすくなる。
アクリル系重合体を混合する方法としては、特に限定されず、上記混合物とベース樹脂とを溶融混合する際に、存在していればよい。
本発明の製造方法においては、次いで、得られた混合物とベース樹脂の全部又は一部と、工程(a−1)で混合されていない残余の成分とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度に加熱しながら、溶融混合する(工程(a−2))。
上記工程(a−2)の溶融混合において、各成分の混合順は特に限定されず、どのような順で混合してもよい。例えば、上記の成分を一度に溶融混合してもよく、ベース樹脂の全部又は一部を溶融してから、上記混合物等を混合してもよい。
工程(a−2)において、上記成分を溶融混合する温度は、有機過酸化物の分解温度以上、好ましくは有機過酸化物の分解温度+(25〜110)℃の温度であり、より好ましくは150〜230℃である。この分解温度は樹脂成分が溶融してから設定することが好ましい。上記混合温度であれば、上記成分が溶融し、有機過酸化物が分解、作用して必要なシラングラフト反応が工程(a−2)において十分に進行する。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
混合方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であれば、特に限定されない。混合装置は、例えば無機フィラーの配合量に応じて適宜に選択される。混合装置として、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が用いられる。樹脂成分の分散性、及び架橋反応の安定性の面で、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等のうち、密閉型のミキサーが好ましい。
また、通常、このような無機フィラーが、ベース樹脂100質量部に対して100質量部を超える量で混合される場合、連続混合機、加圧式ニーダー、バンバリーミキサー等の密閉型ミキサーで溶融混合するのがよい。
ベース樹脂の混合方法は、特に限定されない。例えば、ベース樹脂をそのまま混合してもよく、各成分、例えばポリオレフィン系樹脂等の樹脂成分、オイル又は可塑剤それぞれを別々に混合してもよい。
本発明において、上記各成分を一度に溶融混合する場合、溶融混合の条件は、特に限定されないが、工程(a−2)の条件を採用できる。
この場合、溶融混合時にシランカップリング剤の一部又は全部が無機フィラーに吸着又は結合する。
工程(a)、特に工程(a−2)においては、シラノール縮合触媒を実質的に混合せずに上述の各成分を溶融混合することが好ましい。これにより、シランカップリング剤の縮合反応を抑えることができ、溶融混合しやすく、また押出成形の際に所望の形状を得ることができる。ここで、「実質的に混合せず」とは、不可避的に存在するシラノール縮合触媒をも排除するものではなく、シランカップリング剤のシラノール縮合による上述の問題が生じない程度に存在していてもよいことを意味する。例えば、工程(a−2)において、シラノール縮合触媒は、ベース樹脂100質量部に対して0.01質量部以下であれば、存在していてもよい。
工程(a)においては、上記成分の他に用いることができる他の樹脂や上記添加物の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜に設定される。
工程(a)において、上記添加剤、特に酸化防止剤や金属不活性剤は、いずれの工程で又は成分に混合されてもよいが、無機フィラーに混合されたシランカップリング剤の樹脂へのグラフト反応を阻害しない点で、キャリア樹脂に混合されるのがよい。
工程(a)、特に工程(a−2)において、架橋助剤は実質的に混合されないことが好ましい。架橋助剤が実質的に混合されないと、溶融混合中に有機過酸化物により樹脂成分同士の架橋反応が生じにくく、外観が優れたものになる。また、シランカップリング剤の樹脂へのグラフト反応が生じにくく、耐熱性が優れたものになる。ここで、実質的に混合されないとは、不可避的に存在する架橋助剤をも排除するものではなく、上述の問題が生じない程度に存在していてもよいことを意味する。
このようにして、工程(a)を行い、マスターバッチ混合物の製造に用いられるシランマスターバッチ(シランMBともいう)が調製される。このシランMBは、後述の工程(b)により成形可能な程度にシランカップリング剤がベース樹脂にグラフトしたシラン架橋性樹脂を含有している。また、シランマスターバッチ中においては各成分が均一に分散されていることが好ましい。
本発明の製造方法において、次いで、工程(a)で得られたシランMBとシラノール縮合触媒とを混合した後に成形する工程(b)を行う。
工程(b)においては、上記工程(a−2)でベース樹脂の一部を溶融混合した場合、ベース樹脂の残部とシラノール縮合触媒とを溶融混合し、触媒マスターバッチ(触媒MBともいう)を調製して、用いることが好ましい。なお、ベース樹脂の残部に加えて、必要に応じて他の樹脂等を加えてもよい。
キャリア樹脂としての上記ベース樹脂の残部とシラノール縮合触媒との混合割合は、特に限定されないが、好ましくは、工程(a)における上記配合量を満たすように、設定される。
混合は、均一に混合できる方法であればよく、ベース樹脂の溶融下で行う混合(溶融混合)が挙げられる。溶融混合は上記工程(a−2)の溶融混合と同様に行うことができる。例えば、混合温度は、例えば120〜170℃が好ましい。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
このようにして調製される触媒MBは、シラノール縮合触媒及びキャリア樹脂、所望により添加されるフィラーの混合物である。
一方、工程(a−2)でベース樹脂の全部を溶融混合する場合、工程(b)では、シラノール縮合触媒そのもの、又は、他の樹脂とシラノール縮合触媒との混合物を用いる。他の樹脂とシラノール縮合触媒との混合方法は、上記触媒MBと同様である。
他の樹脂の配合量は、工程(a−2)においてグラフト反応を促進させることができるうえ、成形中にブツが生じにくい点で、ベース樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは2〜50質量部、さらに好ましくは2〜40質量部である。
本発明の製造方法においては、シランMBと、シラノール縮合触媒(シラノール縮合触媒そのもの、又は触媒MB、又は、シラノール縮合触媒と他の樹脂との混合物)とを混合する。
混合方法は、上述のように均一な混合物を得ることができれば、どのような混合方法でもよい。例えば、混合は、工程(a−2)の溶融混合と基本的に同様である。DSC等で融点が測定できない樹脂成分、例えばエラストマーもあるが、少なくともベース樹脂が溶融する温度で溶融混合する。溶融温度は、ベース樹脂又はキャリア樹脂の溶融温度に応じて適宜に選択され、例えば、好ましくは80〜250℃、より好ましくは100〜240℃である。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
工程(b)においては、シラノール縮合反応を避けるため、シランMBとシラノール縮合触媒が混合された状態で高温状態に長時間保持されないことが好ましい。
工程(b)においては、シランMBとシラノール縮合触媒とを混合すればよく、シランMBと触媒MBとを用いる場合には溶融混合するのが好ましい。
本発明においては、シランMBとシラノール縮合触媒とを溶融混合する前に、ドライブレンドすることができる。ドライブレンドの方法及び条件は、特に限定されず、例えば、工程(a−1)での乾式混合及びその条件が挙げられる。このドライブレンドにより、シランMBとシラノール縮合触媒とを含有するマスターバッチ混合物が得られる。
工程(b)において、無機フィラーを用いてもよい。この場合、無機フィラーの配合量は、特には限定されないが、キャリア樹脂100質量部に対し、350質量部以下が好ましい。無機フィラーの配合量が多すぎるとシラノール縮合触媒が分散しにくく、架橋が進行しにくくなるためである。一方、無機フィラーの配合量が少なすぎると、成形体の架橋度が低下して、十分な耐熱性が得られない場合がある。
本発明において、上記工程(a)及び工程(b)の混合は、同時又は連続して行うことができる。
工程(b)においては、このようにして得られた混合物を成形する。
この成形工程は、混合物を成形できればよく、本発明の耐熱性製品の形態に応じて、適宜に成形方法及び成形条件が選択される。成形方法は、押出機を用いた押出成形が挙げられる。
工程(b)において、成形工程は、上記混合工程と同時に又は連続して、行うことができる。すなわち、混合工程における溶融混合の一実施態様として、溶融成形の際、例えば押出成形の際に、又は、その直前に、成形原料を溶融混合する態様が挙げられる。例えば、ドライブレンド等のペレット同士を常温又は高温で混ぜ合わせて成形機に導入(溶融混合)してもよいし、混ぜ合わせた後に溶融混合し、再度ペレット化をして成形機に導入してもよい。より具体的には、シランMBとシラノール縮合触媒との混合物(成形材料)を被覆装置内で溶融混合し、次いで、導体等の外周面に押出被覆して、所望の形状に成形する一連の工程を採用できる。
このようにして、シランマスターバッチとシラノール縮合触媒とをドライブレンドしてマスターバッチ混合物を調製し、マスターバッチ混合物を成型機に導入して成形した、シラン架橋性樹脂組成物の成形体が得られる。
ここで、マスターバッチ混合物の溶融混合物は、架橋方法の異なるシラン架橋性樹脂を含有する。このシラン架橋性樹脂において、シランカップリング剤の反応部位は、無機フィラーと結合又は吸着していてもよいが、後述するようにシラノール縮合していない。したがって、シラン架橋性樹脂は、無機フィラーと結合又は吸着したシランカップリング剤がベース樹脂に、グラフトした架橋性樹脂と、無機フィラーと結合又は吸着していないシランカップリング剤がベース樹脂にグラフトした架橋性樹脂とを少なくとも含む。また、シラン架橋性樹脂は、無機フィラーが結合又は吸着したシランカップリング剤と、無機フィラーが結合又は吸着していないシランカップリング剤とを有していてもよい。さらに、シランカップリング剤と未反応の樹脂成分を含んでいてもよい。
上記のように、シラン架橋性樹脂は、シランカップリング剤がシラノール縮合していない未架橋体である。実際的には、工程(b)で溶融混合されると、一部架橋(部分架橋)は避けられないが、得られるシラン架橋性樹脂組成物について、少なくとも成形時の成形性が保持されたものとする。
工程(b)により得られる成形体は、上記混合物と同様に、一部架橋は避けられないが、工程(b)で成形可能な成形性を保持する部分架橋状態にある。したがって、この発明のシラン架橋樹脂成形体は、工程(c)を実施することによって、架橋又は最終架橋された成形体とされる。
本発明のシラン架橋樹脂成形体の製造方法においては、工程(b)で得られた成形体を水と接触させる工程(c)を行う。これにより、シランカップリング剤の反応部位が加水分解されてシラノールとなり、成形体中に存在するシラノール縮合触媒によりシラノールの水酸基同士が縮合して架橋反応が起こる。こうして、シランカップリング剤がシラノール縮合して架橋したシラン架橋樹脂成形体を得ることができる。
この工程(c)の処理自体は、通常の方法によって行うことができる。シランカップリング剤同士の縮合は、常温で保管するだけで進行する。したがって、工程(c)において、成形体を水に積極的に接触させる必要はない。
この架橋反応を促進させるために、成形体を水分と接触させることもできる。例えば、温水への浸水、湿熱槽への投入、高温の水蒸気への暴露等の積極的に水に接触させる方法を採用できる。また、その際に水分を内部に浸透させるために圧力をかけてもよい。
このようにして、本発明のシラン架橋樹脂成形体の製造方法が実施され、シラン架橋樹脂成形体が製造される。このシラン架橋樹脂成形体は、(シラン架橋性)樹脂がシラノール結合(シロキサン結合)を介して縮合した架橋樹脂を含んでいる。このシラン架橋樹脂成形体の一形態は、シラン架橋樹脂と無機フィラーとを含有する。ここで、無機フィラーはシラン架橋樹脂のシランカップリング剤に結合していてもよい。したがって、ベース樹脂が、シラノール結合を介して無機フィラーと架橋してなる態様を含む。具体的には、このシラン架橋樹脂は、複数の架橋樹脂がシランカップリング剤により無機フィラーに結合又は吸着して、無機フィラー及びシランカップリング剤を介して結合(架橋)した架橋樹脂と、上記架橋性樹脂にグラフトしたシランカップリング剤の反応部位が加水分解して互いにシラノール縮合反応することにより、シランカップリング剤を介して架橋した架橋樹脂とを少なくとも含む。また、シラン架橋樹脂は、無機フィラー及びシランカップリング剤を介した結合(架橋)と、シランカップリング剤を介した架橋とが混在していてもよい。さらに、シランカップリング剤と未反応の樹脂成分及び/又は架橋していないシラン架橋性樹脂を含んでいてもよい。
上記本発明の製造方法は、以下のように、表現できる。
下記工程(A)、工程(B)及び工程(C)を有するシラン架橋樹脂成形体の製造方法であって、工程(A)が下記工程(A1)〜工程(A4)を有するシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
工程(A):ポリオレフィン系ベース樹脂又はゴム100質量部に対して、アクリル系重合体0.1〜20質量部、有機過酸化物0.003〜0.3質量部と、無機フィラー0.5〜400質量部と、シランカップリング剤2質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを混合して混合物を得る工程
工程(B):工程(A)で得られた混合物を成形して成形体を得る工程
工程(C):工程(B)で得られた成形体を水と接触させてシラン架橋樹脂成形体を得る工程
工程(A1):少なくとも無機フィラー及びシランカップリング剤を混合する工程
工程(A2):工程(A1)で得られた混合物とベース樹脂の全部又は一部を有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合する工程
工程(A3):シラノール縮合触媒とキャリア樹脂としてベース樹脂と異なる樹脂又はベース樹脂の残部とを混合する工程
工程(A4):工程(A2)で得られた溶融混合物と、工程(A3)で得られた混合物とを混合する工程
上記方法において、工程(A)は、上記工程(a)及び工程(b)の混合までに対応し、工程(B)は上記工程(b)の成形工程に対応し、工程(C)は上記工程(c)に対応する。また、工程(A1)は上記工程(a−1)に、工程(A2)は上記工程(a−2)に、工程(A3)及び工程(A4)は上記工程(b)の混合までに、それぞれ、対応する。
本発明の製造方法における反応機構の詳細についてはまだ定かではないが、以下のように考えられる。
すなわち、ベース樹脂との混練り前及び/又は混練り時に、無機フィラー及びシランカップリング剤を用いる(混合する)ことにより、シランカップリング剤は、化学結合しうる基で無機フィラーと結合し、もう一方の末端に存在する、グラフト反応しうる基で樹脂成分の未架橋部分と結合して、保持される。又は、シランカップリング剤は、化学結合しうる基により、無機フィラーと結合することなく、無機フィラーの穴や表面に物理的又は化学的に吸着し、かつ、グラフト反応しうる基で樹脂成分の未架橋部分と結合して、保持される。このように、無機フィラーに対して強い結合で結びつくシランカップリング剤(その理由は、例えば、無機フィラー表面の水酸基等との化学結合の形成が考えられる)と弱い結合で結びつくシランカップリング剤(その理由は、例えば、水素結合による相互作用、イオン、部分電荷若しくは双極子間での相互作用、吸着による作用等が考えられる)を形成できる。この状態で、有機過酸化物を加えてベース樹脂と混練りを行うと、上述のようにシランカップリング剤がほとんど揮発することなく、またシランカップリング剤同士の縮合が抑えられ、無機フィラーとの結合が異なるシランカップリング剤が樹脂成分にグラフト反応したシラン架橋性樹脂が形成される。
上述の混練りによっても、シランカップリング剤のうち無機フィラーと強い結合を有するシランカップリング剤は無機フィラーに結合が保持され、その架橋基であるグラフト反応しうる基が樹脂成分の架橋部位にグラフト反応する。特に、1つの無機フィラー粒子の表面に複数のシランカップリング剤が強い結合を介して結合した場合、この無機フィラー粒子を介して樹脂成分が複数結合する。これらの反応又は結合により、この無機フィラーを介した架橋ネットワークが広がる。すなわち、無機フィラーに結合しているシランカップリング剤が樹脂成分にグラフト反応してなるシラン架橋性樹脂が形成される。
無機フィラーと強い結合を有するシランカップリング剤は、このシラノール縮合触媒による水存在下での縮合反応が生じにくく、無機フィラーとの結合が保持される。シラノール縮合反応が生じにくい理由は無機フィラーとシランカップリング剤の結合エネルギーが非常に高く、シラノール縮合触媒下にあっても、縮合反応が起こらないからであると考えられる。このように、樹脂成分と無機フィラーの結合が生じ、シランカップリング剤を介した樹脂成分の架橋が生じる。これにより樹脂成分と無機フィラーの密着性が強固になり、機械強さ及び耐摩耗性が良好で、傷付きにくい成形体が得られる。特に、1つの無機フィラー粒子表面に複数のシランカップリング剤を複数結合でき、高い機械強さを得ることができる。このように、無機フィラーに対して強い結合で結合したシランカップリング剤は、耐傷付性、機械特性、場合によっては耐摩耗性の発現ないしは向上等に寄与すると考えられる。
一方、シランカップリング剤のうち無機フィラーと弱い結合を有するシランカップリング剤は、上述の混練りにより、無機フィラーの表面から離脱して、シランカップリング剤の架橋基であるグラフト反応しうる基が、有機過酸化物の分解で生じたラジカルによる水素ラジカル引き抜きで生じた樹脂成分のラジカルと反応してグラフト反応が起こる。すなわち、無機フィラーから離脱したシランカップリング剤が樹脂成分にグラフト反応したシラン架橋性樹脂が形成される。このようにして生じたグラフト部分のシランカップリング剤は、その後シラノール縮合触媒と混合され、水分と接触することにより、縮合反応(架橋反応)が生じる。この架橋反応により得られたシラン架橋樹脂成形体の耐熱性は高くなる。このように、無機フィラーに対して弱い結合で結合したシランカップリング剤は、架橋度の向上、すなわち耐熱性の向上に寄与すると考えられる。
さらに、本発明の製造方法により、予めシランカップリング剤を無機フィラーに混合すると、上記のように、シランカップリング剤同士の縮合が抑えられる等により、外観に優れたものとなる。
本発明の製造方法において、ベース樹脂としてポリオレフィン系樹脂又はゴムを使用し、アクリル系重合体を特定の割合で併用すると、押出成形時にメヤニを防止することができ、またシラン架橋樹脂成形体に、耐熱性を損なわずに優れた外観を付与できる。このような優れた特性をシラン架橋樹脂成形体に付与できることの詳細についてはまだ定かではないが、以下のように考えられる。
すなわち、上述のポリオレフィン系ベース樹脂又はゴムとアクリル系重合体を特定の割合で併用すると、シランマスターバッチの作成時に、グラフト反応を阻害せず、また過度のグラフト反応が生じにくい。さらに、シラノール基同士の縮合反応が生じにくい。アクリル系重合体が金属触媒のような働きを有さないため、と考えられる。これにより、ゲルブツの発生が低減され、外観に優れた成形体を得ることができる。
また、ポリオレフィン系ベース樹脂又はゴムとアクリル系重合体とは相溶性が高く、特に高分子量のアクリル系共重合体はベース樹脂に絡み合いやすく溶融混合物の溶融弾性が高まり、混練時に十分なせん断応力が働くため、アクリル系重合体によりシランカップリング剤、無機フィラーなど他の成分の分散性が高まる。これにより、架橋等が均一に進み、成形体の、耐熱性等の物性の低下を抑制することができる。
さらに、アクリル系重合体の一部が溶融混合物(又はシラン架橋性樹脂成形体)表面に表出するため、溶融混合物の粘着性を低減できる。これにより、押出機のダイスと溶融混合物との摩擦が低減され、ダイス出口での樹脂カスの発生を抑制することができる。
本発明においては、これらがバランスよく発揮されることにより、成形時のメヤニの発生を低減でき、またシラン架橋樹脂成形体に優れた外観及び耐熱性を付与できる。
本発明の製造方法は、耐熱性が要求される製品(半製品、部品、部材も含む。)、ゴム材料等の製品の構成部品又はその部材の製造に適用することができる。したがって、本発明の耐熱性製品は、耐熱性を有する上記のような製品とされる。このとき、耐熱性製品は、シラン架橋樹脂成形体を含む製品でもよく、シラン架橋樹脂成形体のみからなる製品でもよい。
本発明の耐熱性製品として、例えば、耐熱電線又はケーブルの被覆材のみならず、耐熱性が要求されるゴムモールド材(例えば、自動車用グラスランチャンネル、ウェザーストリップ、ゴムホース、ワイパーブレードゴム、防振ゴム)など、従来、電子線照射による架橋や化学加硫工程を経ていたポリオレフィン材料製品、EPゴム製品の代替製品等も挙げられる。
本発明の製造方法は、上記製品の中でも、電線及び光ファイバーケーブルの製造に好適に適用され、これらの被覆材料(絶縁体又はシース)を形成することができる。
本発明の耐熱性製品が電線又はケーブル等である場合、好ましくは、成形材料を押出機(押出被覆装置)内で溶融混練してシラン架橋性樹脂組成物を調製しながら、このシラン架橋性樹脂組成物を導体等の外周に押し出して、導体等を被覆する等により、製造できる。このような耐熱性製品は、無機フィラーを大量に加えてもシラン架橋性樹脂組成物を電子線架橋設備等の特殊な設備を使用することなく汎用の押出被覆装置を用いて、導体の周囲に、又は抗張力繊維を縦添え若しくは撚り合わせた導体の周囲に押出被覆することにより、成形することができる。例えば、導体としては軟銅、銅合金、アルミなどの単線又は撚り線等を用いることができる。また、導体としては裸線の他に、錫メッキしたものやエナメル被覆絶縁層を有するものを用いることもできる。導体の周りに形成される絶縁層(本発明のシラン架橋樹脂成形体からなる被覆層)の肉厚は特に限定しないが、通常、0.15〜5mm程度である。
電線を押出成形する場合の、押出成形機の温度は、樹脂の種類、導体等の引取り速度の諸条件にもよるが、シリンダー部で120〜150℃、クロスヘッド部で約160〜180℃程度にすることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
表1及び表2において、各例の配合量に関する数値は特に断らない限り質量部を表す。
実施例1〜6、10〜14、参考例7〜9、及び比較例1〜8は、下記成分を用いて、それぞれの諸元を表1及び表2に示す条件に設定して実施し、表1及び表2に後述する評価結果を併せて示した。
表1及び表2に示す各成分としては、以下のものを用いた。
〈ベース樹脂〉
(ポリオレフィン系樹脂又はゴム)
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム:ノーデル3720P(商品名、ダウ社製、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンゴム、エチレン成分含有量70質量%、ジエン成分含有量0.5質量%)
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム:EPT0045(商品名、三井化学社製、エチレン−プロピレンゴム、エチレン成分含有量51質量%、ジエン成分含有量0質量%)
エチレン−α−オレフィン共重合体の樹脂:スミカセンCU5003(商品名、住友化学社製、メタロセン低密度ポリエチレン、密度0.928g/cm
エチレン−酢酸ビニル共重合体:VF120S(商品名、宇部興産社製、酢酸ビニル成分含有量20%)
エチレン−アクリル酸エステル共重合体:NUC6510(商品名、NUC社製、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸エステル成分含有量23質量%、密度0.93g/cm
(その他の成分)
スチレン系熱可塑性エラストマー:タフテックN504(商品名、旭化成ケミカルズ社製、水素化SEBS)
鉱物性オイル:ダイアナプロセスオイルPW90(商品名、出光興産社製、パラフィン系オイル)
シラングラフトマー:リンクロンXCF730N(商品名、三菱化学社製、直鎖状低密度ポリエチレンをシラングラフトした樹脂)
〈無機フィラー〉
マグシーズFK621(商品名、神島化学工業社製、水酸化マグネシウム)
〈添加物)
アクリル系重合体1:メタブレンL−1000(商品名、三菱レイヨン社製、質量平均分子量27万)
アクリル系重合体2:メタブレンP−501A(商品名、三菱レイヨン社製、質量平均分子量80万)
アクリル系重合体3:メタブレンP−530A(商品名、三菱レイヨン社製、質量平均分子量310万)
アクリル系重合体4:ARUFON UP−1170(商品名、東亞合成社製、質量平均分子量0.8万)
フッ素系重合体:メタブレンA−3300(商品名、三菱レイヨン社製、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン)
オレイン酸アミド:アーモスリップCP(商品名、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
ステアリン酸カルシウム:Ca−St(商品名、日東化成社製)
シリコーンガム:X−21−3043(商品名、信越シリコーン社製)
ポリエチレンワックス:ACポリエチレンNo.6(商品名、ハネウェル社製)
〈シランカップリング剤〉
KBM1003(商品名、信越化学工業社製、ビニルトリメトキシシラン)
〈有機過酸化物)
パーヘキサ25B(商品名、日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、分解温度179℃)
〈シラノール縮合触媒〉
アデカスタブOT−1(商品名、ADEKA社製、ジオクチルスズジラウリレート)
(実施例1〜6、10〜13、参考例7〜9、比較例1〜8)
まず、無機フィラーとシランカップリング剤とを、表1及び表2に示す質量比で、東洋精機製10Lヘンシェルミキサーに投入し、室温(25℃)で1時間混合して、粉体混合物を得た。ここでは、このような混合方法をプレブレンド(PB:Pre Blend)という。
次に、表1及び表2のベース樹脂欄に示す各成分を日本ロール製2Lバンバリーミキサー内に投入し、各成分を溶融した。その後、前記紛体混合物、表1及び表2に示す有機過酸化物、及び添加物欄に示す各成分を、表1及び表2に示す質量比で、上記バンバリーミキサー内に投入し、有機過酸化物の分解温度以上の温度、具体的には190℃において10分溶融混合した後、材料排出温度190℃で排出し、シランMBを得た。得られたシランMBは、ベース樹脂にシランカップリング剤がグラフト反応したシラン架橋性樹脂を含有している。
次いで、シランMBとシラノール縮合触媒を密閉型のリボンブレンダーに投入し、室温(25℃)で5分間ドライブレンドしてドライブレンド物(マスターバッチ混合物)を得た。このとき、シランMBとシラノール縮合触媒との混合比は、表1及び表2に示す質量比である。
次いで、得られたドライブレンド物を、25mmφ押出機(L/D(スクリュー有効長Lと直径Dとの比)=25)に導入した。この押出機内でドライブレンド物を溶融混合しながら、下記押出温度条件により、導体(裸軟銅線、0.8mmφ)の周囲に、外径2.4mmφ、絶縁厚さ0.8mmとなるように、線速10m/分で被覆して、被覆導体を得た。
前記温度条件は、上記押出機における、ダイス温度を200℃、以下フィーダー側へ向かって、C3ゾーン=180℃、C2ゾーン=150℃、C1ゾーン=130℃に設定した。
得られた被覆導体を室温(23℃、50%RH)下で24時間放置し、被覆導体(シラン架橋性組成物の成形体)を水と接触させた。
このようにして、上記導体の外周面に、シラン架橋樹脂成形体からなる被覆層を有する電線を製造した。被覆層としてのシラン架橋樹脂成形体は上述のシラン架橋樹脂を有している。
(実施例14)
上記紛体混合物を調製せず、表1のベース樹脂欄に示す各成分、無機フィラー、シランカップリング剤、有機過酸化物、及び添加物欄に示す各成分を、表1に示す質量比で、日本ロール製2Lバンバリーミキサー内に投入した以外は、実施例2と同様にしてシランMBを得た。ここでは、このような同時混合をオールブレンド(AB:All Blend)という。
また、上記で得られたシランMBを使用した以外は実施例2と同様にして、被覆導体及び電線を得た。
製造した各電線について、下記試験をし、その結果を表1及び表2に示した。
1.メヤニ
前述した条件で電線を押出成形する際、電線表面にメヤニが付着した時点の製造長さを計測した。製造長さが1000m以上の場合A(高度に優れる)、500m以上1000m未満をB(優れる)、300m以上500m未満をC(良好)、200m以上300m未満をD(可)、200m未満をE(不合格)とした。
2.外観
電線製造時において、電線表面が非常にきれいで良好な外観の場合「AA(高度なもの)」、電線10m当たり1〜3個程度微小なブツがみられるものを「A(良好なもの)」、電線表面にゲルブツや荒れがみられるものを、「E(不合格)」とした。
3.ブリードアウト(参考試験)
製造した電線を23℃、50%RHの環境下に放置した。6か月以上放置しても目視にて電線表面に変化のないものを「A(高度なもの)」、電線表面に油分のようなものが一か月以上6か月未満でにじみ出たものを「B」、一か月未満ににじみ出たものを「E」とした。本評価は参考試験である。
4.加熱収縮
十分な架橋が進行し、耐熱性を有するかどうか確認するため、加熱収縮を測定した。
製造した電線から導体を引き抜き200mmの管状片を得た後、100℃の恒温槽内に22時間放置し、その後室温に3時間放置し、以下の式によって加熱収縮率を算出した。
加熱収縮率(%)={(初期長さ)−(加熱後長さ)}/(初期長さ)×100
加熱収縮率が3%未満のものを「A(高度なもの)」、3%以上5%未満を「B(良好)」、5%以上8%未満のものは「C(可)」、8%以上のものを「E(不合格)」とした。
Figure 0006667474
Figure 0006667474
表1及び表2に示す結果から明らかなように、実施例1〜6、10〜14は、いずれも、メヤニ、外観試験及び加熱収縮試験に合格していた。このように、本発明によれば、押出成形時のメヤニの発生が低減され1000m以上の連続押出が可能であり、優れた外観と耐熱性を有するシラン架橋樹脂成形体を被覆層として有する電線を製造できた。
さらに、質量平均分子量が10万以上のアクリル系重合体を使用した実施例1〜6、10〜12、14は、いずれも、ブリードアウトが抑制されていた。本発明によれば、上記優れた特性に加えて、より優れた外観のシラン架橋樹脂成形体を被覆層として有する電線を製造できた。


これに対して、フッ素系重合体を使用した比較例1は、製造長さ200m未満でメヤニが発生し、また、得られた電線の外観に劣った。オレイン酸アミドを使用した比較例2は、製造長さ200m未満でメヤニが発生した。ステアリン酸カルシウムを使用した比較例3は、外観に劣った。シリコーンガムを使用した比較例4及びポリエチレンワックスを使用した比較例5はいずれも、製造長さ200m未満でメヤニが発生した。アクリル系重合体の少なすぎるシランMBを使用した比較例6は、製造長さ200m未満でメヤニが発生した。アクリル系重合体の多すぎるシランMBを使用した比較例7は、加熱収縮試験に不合格であった。また、ブリードアウトが見られた。ベース樹脂としてシラングラフトマーを用いた比較例8は、加熱収縮試験に不合格であった。

Claims (13)

  1. エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムを含有する、又はエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーとを含有する、ポリオレフィン系ベースゴム(ただし、エチレン−酢酸ビニル共重合体を除く)100質量部に対して、アクリル系重合体0.1〜20質量部と、有機過酸化物0.003〜0.3質量部と、無機フィラー0.5〜400質量部と、シランカップリング剤2質量部を越え15.0質量部以下とを、前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合し、前記ポリオレフィン系ベースゴムと前記シランカップリング剤とをグラフト反応させることによりシラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを調製する工程(a)と、
    前記工程(a)で得られたシランマスターバッチとシラノール縮合触媒とを混合した後に成形する工程(b)と、
    前記工程(b)で得られた成形体を水分と接触させて架橋させる工程(c)と、
    を有するシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記アクリル系重合体の質量平均分子量が、10万〜100万である請求項1に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  3. 前記ポリオレフィン系ベースゴム100質量部に対して、前記アクリル系重合体が0.5〜10質量部である請求項1又は2に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  4. 前記ポリオレフィン系ベースゴム100質量部に対して、前記アクリル系重合体が1〜6質量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  5. 前記シランカップリング剤が、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランである請求項1〜4のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  6. 前記無機フィラーが、シリカ、ベーマイト、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム若しくは炭酸カルシウム又はこれらの組合せを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  7. 前記工程(a)における溶融混合が、密閉型のミキサーを用いて行われる請求項1〜6のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  8. エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムを含有する、又はエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーとを含有する、ポリオレフィン系ベースゴム(ただし、エチレン−酢酸ビニル共重合体を除く)100質量部に対して、アクリル系重合体0.1〜20質量部、有機過酸化物0.003〜0.3質量部と、無機フィラー0.5〜400質量部と、シランカップリング剤2質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを混合してなるマスターバッチ混合物の製造に用いられるシランマスターバッチであって、
    前記ベースゴム、前記アクリル系重合体、前記有機過酸化物、前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して前記ポリオレフィン系ベースゴムと前記シランカップリング剤とをグラフト反応させて得られるシラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチ。
  9. 請求項8に記載のシランマスターバッチとシラノール縮合触媒とを含有するマスターバッチ混合物。
  10. 請求項9に記載のシランマスターバッチとシラノール縮合触媒とをドライブレンドしてなるマスターバッチ混合物を成形した成形体。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法により製造されたシラン架橋樹脂成形体。
  12. 前記ベースゴムが、シラノール結合を介して前記無機フィラーと架橋してなる請求項11に記載のシラン架橋樹脂成形体。
  13. 請求項11又は12に記載のシラン架橋樹脂成形体を含む耐熱性製品。
JP2017071255A 2017-03-31 2017-03-31 シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、シランマスターバッチ、マスターバッチ混合物及びその成形体、並びに、耐熱性製品 Active JP6667474B2 (ja)

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