JP6913842B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、空調機、冷凍機、ブロワ、給湯機等に使用されるスクロール圧縮機に関するものである。
鏡板上に渦巻きラップを形成した固定スクロールと旋回スクロールをかみ合わせ複数の圧縮室を形成し、旋回スクロール背面に形成された背圧室に一定圧を印加することで固定スクロールラップ上面と旋回スクロール支持円板面とがスラスト摺動し、旋回スクロールに偏心部を有するクランク軸を連結させ、オルダムリングを用いて自転を防止し旋回運動をさせることで、中心に向かって容積を減少させながら圧縮を行っていくスクロール圧縮機において、昨今のインバータ制御化により、運転周波数や温度、圧力などの運転条件は、季節や設置環境等の変化に伴って様々に変わり、その結果、旋回スクロールを固定スクロールに押し付けるスラスト力も大きく変化する。
図8において、旋回スクロール101は、鏡板のスラスト面102を境としたクランク軸方向Aの圧力差で生じる総スラスト力Fによって固定スクロール103に押し付けられると同時に、クランク軸方向と直角な径方向圧力差が主な要因として生じるモーメント、いわゆる転覆モーメントMによって、旋回スクロール101の偏心方向Bを概ね軸として回転しようとする。
この転覆モーメントが作用する結果、その作用方向と直角方向の鏡板スラスト面102最外周部の二点でスラスト力が支持される。すなわち、それぞれの支持点でのスラスト力を支持スラスト力F1、F2と定義し、転覆モーメント回転軸からの距離をそれぞれL1、L2とすると、F=F1+F2、M=F1×L1−F2×L2の関係が成立する。
低圧縮比の運転条件では、総スラスト力Fが特に小さく、支持スラスト力F1、F2のいずれかの小さい方の値、すなわち、最小スラスト力が負になると、旋回スクロール101が固定スクロール103から離反してしまい、その結果圧縮室シール部の隙間が拡大し、大幅な体積効率と圧縮効率の低下が生じ、最悪の場合、局所的な異常磨耗も併発する可能性がある。
一方、高圧縮比の運転条件では、総スラスト力Fが大きくなって旋回スクロール101を固定スクロール103に強く押し付けるため、スラスト面102での摺動損失が比較的大きくなり、機械効率が悪化する傾向にあり、スラスト面102の摺動状態悪化を誘発することもある。
したがって、圧縮機の運転範囲のなかで、幅広く高い効率と信頼性を実現できるように総スラスト力Fと最小スラスト力の二つのスラスト力を最適に設計する必要があり、旋回スクロール101の背圧を適正な値に設定することで、低圧縮比条件での旋回スクロール101の離反防止と高圧縮比条件での摺動損失低減の両立を図る方法が一般的に用いられる。
さらに、クランク軸が一回転する間にも総スラスト力Fおよび最小スラスト力は変動し、一回転のうちで最小スラスト力が極小となるクランク角で旋回スクロール101が最も離反しやすいことから、一回転あたりの総スラスト力Fと最小スラスト力の変動をコントロールする方法も考案されている。
図9に示す、特許文献1に記載された従来の構成では、旋回スクロール201の中心から偏心し、高圧オイルが導入された油溝202を設ける構成とすることにより、転覆モーメントMが所定値以上になるクランク角領域で、転覆モーメントMを軽減する転覆防止モーメントを発生させて最小スラスト力を増加させ、最低限の総スラスト力Fで旋回スクロール201の離反防止とスラスト面の摺動損失低減を図っている。
特開2008−274964号公報
しかしながら、前記従来の構成では、スラスト面の外周部付近に油溝を設ける必要があるため、いかなるクランク角でも油溝が背圧室または圧縮室に連通しないように構成しようとすると、旋回スクロール鏡板の外径を比較的大きく設計せざるを得ず、圧縮機が大型化してしまうという課題を有していた。
また、旋回スクロール鏡板の外径を拡大した結果、スラスト面の摺動面積が増加して摺動損失が増大し、機械効率が低下するという課題も有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、旋回スクロールと固定スクロールのスラスト面を有効活用して旋回スクロールの大径化を抑えながら、旋回スクロール離反防止と総スラスト力低減の両立を図ることで、小型で高効率、かつ、信頼性の高いスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のスクロール圧縮機は、固定スクロールの一部をなす鏡板の一面に直立して形成された渦巻き状の固定スクロールラップと、旋回スクロールの支持円板上に直立する渦巻き状の旋回スクロールラップとを互いに噛み合わせて、両スクロール間に一対の圧縮室を形成し、前記旋回スクロールが前記固定スクロールに押し付けられながら、吸入側より吐出側に向けて連続移行して流体を圧縮すべく容積変化するスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールと前記固定スクロールとのスラスト摺動面は、前記旋回スクロール側の第一スラスト面と前記固定スクロール側の第二スラスト面とが旋回摺動して形成され、前記第一スラスト面には少なくとも一つの旋回凹部が設けられ、前記第二スラスト面には少なくとも一つの固定凹部が設けられ、前記旋回スクロールの旋回運動に伴い、前記旋回凹部と前記固定凹部との重なり範囲が変化する構成とするとともに、前記固定スクロールの前記旋回スクロールとは反対側面に前記圧縮室からの圧縮ガスが吐出する吐出室を設け、この吐出室から前記固定スクロールの鏡板を貫通して前記固定凹部に繋がる連通路を設けることにより前記旋回凹部または前記固定凹部のいずれか一方の内部に前記圧縮室からの圧縮ガスが吐出する吐出室の圧力を供給する構成としたことを特徴とするものである。
これによって、旋回凹部と固定凹部の重なり範囲が最大のクランク角では、旋回凹部と固定凹部とで形成される旋回スクロールの受圧部面積が最小になり、また、重なり範囲が最小のクランク角では受圧部面積が最大になることで、両凹部の内部圧力によって旋回スクロールに加わる荷重を、クランク角一回転中に動的に変化させることができるため、一回転中の任意のクランク角での総スラスト力と最小スラスト力を自由に設定することができる。
その結果、旋回スクロール離反防止と総スラスト力低減を両立した、幅広い運転範囲で高効率化と高信頼性化を実現可能であることに加え、旋回凹部と固定凹部を任意の形状で設計し、スラスト面の自由な場所にコンパクトに設けることができるため、スラスト面を有効活用して旋回スクロールの大径化を抑えることができる。
加えて、連通路の加工が比較的容易であるため、より低コストで高効率、高信頼性の圧縮機を実現することができる。
本発明によれば、旋回スクロールと固定スクロールのスラスト面を有効活用して旋回スクロールの大径化を抑えながら、旋回スクロール離反防止と総スラスト力低減の両立を図ることで、小型で高効率、かつ、信頼性の高いスクロール圧縮機を提供できる。
本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の縦断面図 本発明の実施の形態1における圧縮機構の圧縮工程を示す図 本発明の実施の形態1における圧縮機構の圧縮工程を示す他の図 本発明の実施の形態1における圧縮機構の縦断面図 本発明の参考例におけるスクロール圧縮機の他の圧縮機構の縦断面図 本発明の参考例におけるスクロール圧縮機の他の圧縮機構を示す図 本発明の参考例におけるスクロール圧縮機の他の圧縮機構を示す図 従来の圧縮機における圧縮機構を示す図 従来の圧縮機における他の圧縮機構を示す図
第1の発明は、固定スクロールの一部をなす鏡板の一面に直立して形成された渦巻き状の固定スクロールラップと、旋回スクロールの支持円板上に直立する渦巻き状の旋回スクロールラップとを互いに噛み合わせて、両スクロール間に一対の圧縮室を形成し、前記旋回スクロールが前記固定スクロールに
押し付けられながら、吸入側より吐出側に向けて連続移行して流体を圧縮すべく容積変化するスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールと前記固定スクロールとのスラスト摺動面は、前記旋回スクロール側の第一スラスト面と前記固定スクロール側の第二スラスト面とが旋回摺動して形成され、前記第一スラスト面には少なくとも一つの旋回凹部が設けられ、前記第二スラスト面には少なくとも一つの固定凹部が設けられ、前記旋回スクロールの旋回運動に伴い、前記旋回凹部と前記固定凹部との重なり範囲が変化する構成とするとともに、前記固定スクロールの前記旋回スクロールとは反対側面に前記圧縮室からの圧縮ガスが吐出する吐出室を設け、この吐出室から前記固定スクロールの鏡板を貫通して前記固定凹部に繋がる連通路を設けることにより前記旋回凹部または前記固定凹部のいずれか一方の内部に前記圧縮室からの圧縮ガスが吐出する吐出室の圧力を供給する構成としたことを特徴とするスクロール圧縮機である。
これにより、それらの重なり範囲が最大のクランク角では旋回凹部と固定凹部とで形成される旋回スクロールの受圧部面積が最小になり、また、重なり範囲が最小のクランク角では受圧部面積が最大になることで、両凹部の内部圧力によって旋回スクロールに加わる荷重をクランク角一回転中に動的に変化させることができるため、一回転中の任意のクランク角での総スラスト力と最小スラスト力を自由に設定することができる。
その結果、旋回スクロール離反防止と総スラスト力低減を両立した、幅広い運転範囲で高効率化と高信頼性化を実現可能であることに加え、旋回凹部と固定凹部を任意の形状で設計し、スラスト面の自由な場所にコンパクトに設けることができるため、スラスト面を有効活用して旋回スクロールの大径化を抑えることができる。
また、旋回凹部と固定凹部とで形成される旋回スクロールの受圧部面積の一回転あたりの変化に伴う旋回スクロールに加わる荷重の変化量を最大限に確保することができるため、総スラスト力と最小スラスト力の設計自由度が高くなり、より広い圧縮機運転範囲や圧縮機構部の設計寸法に対応することが可能である。
また、高圧雰囲気の旋回凹部と固定凹部により、旋回スクロールを固定スクロールに押し付ける力を打ち消す向きに荷重が加わるため、総スラスト力が比較的小さくなり、スラスト面の摺動損失低減による高効率化を実現しやすい。
さらに、連通路の加工が比較的容易であるため、より低コストで高効率、高信頼性の圧縮機を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の縦断面図である。
図1において、密閉容器1の内部全体は吐出管2に連通する吐出圧力雰囲気となり、その中央部に電動機3、上部に圧縮機構が配置され、電動機3の回転子3aに固定されたクランク軸4の一端を支承する圧縮機構の本体フレーム5が密閉容器1に固定されており、その本体フレーム5に固定スクロール6が取り付けられている。
クランク軸4に設けられた主軸方向の油通路7は、その一端が給油ポンプ装置8に通じ、他端が最終的に旋回スクロール9の偏心軸受10に通じている。固定スクロール6と噛み合って圧縮室11を形成する旋回スクロール9は、渦巻き状の旋回スクロールラップ9aと偏心軸受10とを直立させたラップ支持円板9bとからなり、固定スクロール6と本体フレーム5との間に配置されている。
固定スクロール6は、鏡板6aと渦巻き状の固定スクロールラップ6bとからなり、固定スクロールラップ6bの中央部に吐出口12、外周部に吸入口13が配置されている。
クランク軸4の主軸14から偏心してクランク軸4の上端部に配置された偏心軸15は、旋回スクロール9の偏心軸受10と係合摺動すべく構成されている。
主軸14は、本体フレーム5の主軸受16と係合摺動し、本体フレーム5には、主軸受16と同心の環状シール部材17が遊合状態で装着されており、その環状シール部材17は、その内側の概ね吐出圧力雰囲気の背面室18と外側の中間圧力雰囲気の背圧室19とを仕切っている。
給油ポンプ装置8によって吸い上げられたオイルは、クランク軸4の油通路7を通り旋回スクロール9と偏心軸15との間に形成された内部空間20へ導かれ、一方は旋回スクロール9のラップ支持円板9bの背面に設けられた絞り部21を経由して固定スクロール6と本体フレーム5とによって囲まれて形成される背圧室19へと通じ、背圧調整弁22、オイル供給通路22aを通って圧縮室11へと導かれる。
背圧調整弁22は、吸入圧力よりも高めの中間圧力を維持して旋回スクロール9を固定スクロール6に押さえつける機能を持ち、旋回スクロール9のラップ支持円板9bと固定スクロールラップ6b上面および鏡板6aとでスラスト軸受23を形成する。もう一方は偏心軸受10、背面室18、主軸受16を通り圧縮機構外部へ排出される。
吐出口12の出口側を開閉する逆止弁装置24が固定スクロール6の鏡板6aの反ラップ側平面上に取り付けられており、その逆止弁装置24は薄鋼板製のリード弁24aと弁押さえ24bとからなる。
クランク軸4の下端は密閉容器1内に溶接や焼き嵌めして固定された副軸受け25により軸受けされ、安定に回転することができる。副軸受け25はジャーナル軸受け構成となっており、給油ポンプ装置8によって吸い上げられたオイルの一部が副軸受け25へと供給される。
圧縮機構にて圧縮されたガスは、逆止弁装置24下流側の吐出室26から圧縮機構外周部付近に設けられた下向きガス流路27を通り、図示された点線矢印のごとく回転子3a上部へと導かれる。
ここで主軸受16などを潤滑後排出されたオイルと合流し、回転子3a内部に設けられた回転子通路3bを通って回転子3a下部へと到達後、ガスとオイルの混合流が遠心力によって固定子3cの下部コイルエンドに衝突し、気液分離される。気液分離後のガスは固定子3c外周に設けられた固定子通路3dを通って、仕切り部材28で回転子3a上部の空間と仕切られた固定子3c上部の空間へと導かれ、圧縮機構に設けられた図示されていない上向きガス流路を通って圧縮機構上側空間へ到達後、吐出管2から密閉容器1外部へと吐出される。
図2および図3は、圧縮機構におけるクランク角90度毎の圧縮工程を説明する図であり、図2は、固定スクロール6と旋回スクロール9との組合せの正面図、図3は、圧縮機構の拡大断面図である。旋回スクロールラップ9aの外壁と固定スクロールラップ6bの内壁とで形成される第一圧縮室11aが吸入ガスを閉じ込んだ瞬間を示す図2(a)および図3(a)から図2および図3の(b)、(c)、(d)の順に圧縮が進む。
スラスト軸受23は、軸方向のスラスト力によって、旋回スクロール9のラップ支持円板9bの第一スラスト面9cが固定スクロールラップ6b上面および鏡板6aで構成される第二スラスト面6cに押し付けられて形成され、第一スラスト面9cには旋回凹部9dが設けられ、第二スラスト面6cには固定凹部6dが設けられている。図2において、旋回スクロール9のラップ支持円板9bの外周と旋回凹部9dは二点鎖線で示す。
旋回凹部9dは、旋回スクロール9のラップ支持円板9bに設けた連通路29により、高圧オイルで満たされた内部空間20と常に連通しており、固定凹部6dと断続的に重なることにより、旋回凹部9dと固定凹部6dの内部は概ね高圧オイルで満たされている。また、固定凹部6d、旋回凹部9dは、圧縮室11や背圧室19と連通することはない。
以上のように構成されたスクロール圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
幅広い圧縮機の運転範囲の中でも、特に低圧縮比の運転条件では、最小スラスト力が負になると旋回スクロール9が固定スクロール6から離反してしまい、その結果、圧縮室11のシール部の隙間が拡大し、大幅な体積効率と圧縮効率の低下が生じ、最悪の場合、局所的な異常磨耗も併発する可能性がある。
一方、高圧縮比の運転条件では、総スラスト力が大きくなって旋回スクロール9を固定スクロール6に強く押し付けるため、第一スラスト面9c、第二スラスト面6cでの摺動損失が比較的大きくなり、機械効率が悪化する傾向にあり、第一スラスト面9c、第二スラスト面6cの摺動状態悪化を誘発することもある。
したがって、幅広い運転範囲で高い効率と信頼性を実現できるように総スラスト力と最小スラスト力の二つのスラスト力を最適に設計する必要があり、背圧室19の圧力を適正な値に設定することで、低圧縮比条件での旋回スクロール9の離反防止と高圧縮比条件での第一スラスト面9c、第二スラスト面6cでの摺動損失低減の両立を図る方法が一般的に用いられる。
さらに、クランク軸4が一回転する間にも、圧縮室11の圧力変動に伴って総スラスト力および最小スラスト力は変動するため、総スラスト力と最小スラスト力の変動を適切にコントロールすることが圧縮機の高効率化と高信頼性化のポイントとなる。本実施の形態1の構成は、この総スラスト力と最小スラスト力の変動をコントロールする方法の一例である。
図2に示すとおり、旋回凹部9dは、固定凹部6dに対して重なったり離れたりしながら旋回運動を繰り返し、その結果、クランク軸4が一回転する間に、重なり合う旋回凹部9dと固定凹部6dの第一スラスト面9cへの投影面積、すなわち旋回スクロール9の受圧面積が変動することになる。したがって、運転条件によって概ね決定される圧縮室11の圧力変動と、本実施の形態1の構成による固定凹部6d、旋回凹部9dの受圧面変動との重ね合わせによってスラスト力が変動する。
本発明は、任意の形状と位置に設計されるとともに所定の圧力に設定された旋回凹部9dと固定凹部6dの重なり範囲の変動により、スラスト力を任意の変動値に設定することができ、最低限の最小スラスト力維持しながら総スラスト力を低減させて、低圧縮比条件での転覆防止と高圧縮比条件での第一スラスト面9c、第二スラスト面6cでの低摺動損失を両立して、高効率で高信頼性の圧縮機を実現することが可能である。
また、旋回凹部9dと固定凹部6dを任意の形状で設計し、第一スラスト面9c、第二スラスト面6cの自由な場所にコンパクトに設けることができるため、第一スラスト面9c、第二スラスト面6cを有効活用して旋回スクロール9の大径化を抑えることができる。
本実施の形態1では、旋回凹部9dと内部空間20とを連通させており、旋回凹部9dの内部と、旋回凹部9dに断続的に連通する固定凹部6dの内部とが高圧オイルで満たされ、固定凹部6d、旋回凹部9dで形成される旋回スクロール9の受圧面積の変動に伴うスラスト力の変動量を大きく確保することができるため、総スラスト力と最小スラスト力の設計自由度が高くなり、より広い圧縮機運転範囲や圧縮機構部の設計寸法に対応することが可能である。
また、高圧雰囲気の固定凹部6d、旋回凹部9dによって旋回スクロール9を固定スクロール6から引き離す向きに荷重が加わりやすいため、総スラスト力が比較的小さくなり、第一スラスト面9c、第二スラスト面6cの摺動損失低減による高効率化を実現しやすい。
加えて、固定凹部6d、旋回凹部9dの内部をオイルで満たして第一スラスト面9c、第二スラスト面6cにオイルを常に供給することができるため、潤滑状態の改善と圧縮室11のシール性確保によって高効率化と高信頼性化が可能である。
なお、旋回凹部9dと固定凹部6dは、必ずしも完全に重なったり離れたりする必要はなく、必要とする総スラスト力および最小スラスト力と、構成可能な場所を勘案して設計すればよい。
また、図4に示す圧縮機構の縦断面図においては、固定凹部6dは、固定スクロール6に設けた連通路29により、吐出室26と常に連通し、分離される前のオイルを多く含んだ吐出ガスが旋回凹部9dと固定凹部6dに導入される構成となっている。
この構成は、連通路29の加工が比較的容易であるため、より低コストで高効率、高信頼性の圧縮機を実現することができる。
第一スラスト面9c、第二スラスト面6cでのオイル潤滑と圧縮室11のシール性確保を重視して、吐出室26内のオイルを選択的に連通路29に導く構成としてもよい。一例として、連通路29の吐出室26側にザグリを設けてオイルトラップとする方法が挙げられる。
なお、連通路29は必ずしも吐出室26に開口する必要はなく、吐出管2から密閉容器1外部へ吐出される直前の吐出ガス雰囲気の圧縮機構上側空間30に開口していても、加工性が容易であることに変わりはない。
ここで本発明の変形例を説明しておく。
例えば、図5に示す圧縮機構の縦断面図においては、旋回凹部9dは、旋回スクロール9のラップ支持円板9bに設けた連通路29により、中間圧力のオイルで満たされた背圧室19と常に連通しており、旋回凹部9dと固定凹部6dの内部は概ね中間圧オイルで満たされている。
この構成は、連通路29の加工が比較的容易であるため、より低コストで高効率、高信頼性の圧縮機を実現することができる。
加えて、固定凹部6d、旋回凹部9dの内部をオイルで満たして第一スラスト面9c、第二スラスト面6cにオイルを常に供給することができるため、潤滑状態の改善と圧縮室11のシール性確保によって高効率化と高信頼性化が可能である。
また、図6に示す圧縮機構の正面図においては、背圧調整弁22を背圧室19に常に開口させて背圧室19の圧力を安定させることを目的として背圧調整弁22の入口にはザグリ22bが設けられ、固定凹部6dは連通路29により、ザグリ22bと常に連通しているため、背圧室19の中間圧オイルが旋回凹部9dと固定凹部6dに導入される構成となっている。
この構成は、連通路29の加工が特に容易であり、図6のような連通路29を設ける構成だけではなく、固定凹部6dとザグリ22bが重なる設計や、固定凹部6dが旋回スクロール9のラップ支持円板9bの最外周よりも外側の背圧室19に臨むクランク角を持つような設計を行えば、連通路29を加工する必要がなくなるため、より一層低コストで高効率、高信頼性の圧縮機を実現することができる。
加えて、固定凹部6d、旋回凹部9dの内部をオイルで満たして第一スラスト面9c、第二スラスト面6cにオイルを常に供給することができるため、潤滑状態の改善と圧縮室11のシール性確保によって高効率化と高信頼性化が可能である。
また、図7に示す圧縮機構の正面図においては、固定凹部6dは、固定スクロール6に設けた連通路29により、吸入口13と圧縮室11との間に位置する常に吸入圧力の吸入室31と常に連通し、低圧の吸入ガスが旋回凹部9dと固定凹部6dに導入される構成となっている。
この構成も連通路29の加工が比較的容易であるか、固定凹部6dと吸入室31が重なる設計によって連通路29が不要な構成とすることができ、より低コストで高効率、高信頼性の圧縮機を実現することができる。
また、低圧雰囲気の旋回凹部9dと固定凹部6dによって旋回スクロール9を固定スクロール6に押し付ける向きに荷重が加わりやすいため、圧力変動幅が大きく、旋回スクロール9が固定スクロール6から離反しやすい二酸化炭素等の比較的高圧の冷媒を用いた圧縮機においても最小スラスト力を十分に確保することができ、より効果的に高効率化と高信頼性化を実現可能である。
なお、固定凹部6d、旋回凹部9dに吸入圧力のオイルを満たせば、スラスト軸受23での潤滑状態の改善と圧縮室11のシール性確保によって高効率化と高信頼性化が可能であり、密閉容器1内部が吸入圧力雰囲気の低圧型スクロール圧縮機にて密閉容器1下部のオイルを固定凹部6d、旋回凹部9dに導入する構成を用いれば実現できる。
以上のように、本発明にかかるスクロール圧縮機は、旋回スクロールと固定スクロールのスラスト面を有効活用して旋回スクロールの大径化を抑えながら、旋回スクロール離反防止と総スラスト力低減の両立を図ることで、小型で高効率、かつ、信頼性の高いスクロール圧縮機を提供できるため、HFC系冷媒やHCFC系冷媒、HFO系冷媒を用いたエアーコンディショナーやヒートポンプ式給湯機のほかに、自然冷媒の二酸化炭素を用いたエアーコンディショナーやヒートポンプ式給湯機などの用途にも適用できる。
1 密閉容器
6 固定スクロール
6a 鏡板
6b 固定スクロールラップ
6c 第二スラスト面
6d 固定凹部
9 旋回スクロール
9a 旋回スクロールラップ
9b ラップ支持円板
9c 第一スラスト面
9d 旋回凹部
11 圧縮室
19 背圧室
23 スラスト軸受
29 連通路

Claims (1)

  1. 固定スクロールの一部をなす鏡板の一面に直立して形成された渦巻き状の固定スクロールラップと、旋回スクロールの支持円板上に直立する渦巻き状の旋回スクロールラップとを互いに噛み合わせて、両スクロール間に一対の圧縮室を形成し、前記旋回スクロールが前記固定スクロールに押し付けられながら、吸入側より吐出側に向けて連続移行して流体を圧縮すべく容積変化するスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールと前記固定スクロールとのスラスト摺動面は、前記旋回スクロール側の第一スラスト面と前記固定スクロール側の第二スラスト面とが旋回摺動して形成され、前記第一スラスト面には少なくとも一つの旋回凹部が設けられ、前記第二スラスト面には少なくとも一つの固定凹部が設けられ、前記旋回スクロールの旋回運動に伴い、前記旋回凹部と前記固定凹部との重なり範囲が変化する構成とするとともに、前記固定スクロールの前記旋回スクロールとは反対側面に前記圧縮室からの圧縮ガスが吐出する吐出室を設け、この吐出室から前記固定スクロールの鏡板を貫通して前記固定凹部に繋がる連通路を設けることにより前記旋回凹部または前記固定凹部のいずれか一方の内部に前記圧縮室からの圧縮ガスが吐出する吐出室の圧力を供給する構成としたことを特徴とするスクロール圧縮機。
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