JP2007085297A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ケーシング(10)内が圧縮機構(30)を介して低圧空間(S1)と高圧空間(S2)に区画され、低圧空間(S1)に油溜まり(10a)が設けられるとともに、圧縮機構(30)からの吐出ガスより分離された潤滑油を高圧空間(S2)から低圧空間(S1)へ戻す油戻し機構(40)を備えたスクロール圧縮機において、圧縮機の大型化やコストアップを抑えながら、可動スクロール(32)のスラスト摺動面を潤滑できるようにする。
【解決手段】圧縮機構(30)の内部に、この圧縮機構(30)の可動部の潤滑後の油が溜まる油受け部(16a)を設け、油戻し機構(40)を、高圧空間(S2)から低圧空間(S1)に向かって高圧油が絞り(43)を介して流れる駆動流路(42)と、油受け部(16a)から可動スクロール(32)のスラスト摺動面を通って駆動流路(42)に合流する吸引流路(44)とを有するエジェクタ(41)により構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、互いに噛み合う2つのスクロール部材の少なくとも一方が偏心回転運動をするスクロール圧縮機に関し、特に、偏心回転運動をするスクロール部材のスラスト摺動面に潤滑油を供給する構造に関するものである。
従来より、スクロール圧縮機は例えば冷凍サイクルで冷媒ガスを圧縮する圧縮機として用いられている(例えば特許文献1参照)。スクロール圧縮機は、互いに噛み合う渦巻き状のラップを有する固定スクロール(第1のスクロール部材)と可動スクロール(第2のスクロール部材)とをケーシング内に備えている。固定スクロールはケーシングに固定され、可動スクロールは駆動軸(クランク軸)の偏心部に連結されている。このスクロール圧縮機では、可動スクロールが固定スクロールに対して自転することなく公転のみを行うことで、両スクロールのラップ間に形成される圧縮室を収縮させて冷媒などのガスを圧縮する動作が行われる。
ここで、従来のスクロール圧縮機の構造について図3を用いて説明する。図に示すスクロール圧縮機(1)は、密閉型のケーシング(10)内に駆動機構(20)(電動機(21))と圧縮機構(30)とを有している。ケーシング(10)内は、圧縮機構(30)を隔てて上下に2つの空間(S1,S2)が形成されている。圧縮機構(30)の下方の空間は、圧縮機構(30)の吸入側に連通する低圧空間(S1)になっており、圧縮機構(30)の上方の空間は、圧縮機構(30)の吐出側に連通する高圧空間(S2)になっている。ケーシング(10)には、低圧空間(S1)に対応した位置に吸入管(14)が設けられ、高圧空間(S2)に対応した位置に吐出管(15)が設けられている。
上記圧縮機構(30)は、ケーシング(10)に固定された固定スクロール(31)及びハウジング(16)と、固定スクロール(31)に対して偏心回転運動をする可動スクロール(32)とを備えている。固定スクロール(31)と可動スクロール(32)は、上述したように、それぞれ渦巻き状のラップ(31a,31b)を有している。また、可動スクロール(32)は鏡板(32a)を有し、可動スクロール(32)とハウジング(16)の間には、該可動スクロール(32)の自転規制部材であるオルダム継手(34)が設けられている。
ハウジング(16)には、クランク室(16a)が設けられ、駆動軸(22)がこのクランク室(16a)の下部で転がり軸受(18)により支持されている。駆動軸(22)は、上端部に偏心部(22b)を有し、この偏心部(22b)が可動スクロール(32)の下面に形成された偏心軸受部(32c)に連結されている。
駆動軸(22)には、下端部に給油ポンプ(22d)が設けられている。また、駆動軸(22)には、給油ポンプ(22d)から駆動軸(22)の軸方向に沿って上方へ伸びる主給油路(22c)が形成され、この主給油路(22c)により、軸受(18)及び偏心軸受部(32c)への給油が行われる。軸受(18)に供給された油はクランク室(16a)に溜まり、余った油は油戻し管(27)を通ってケーシング(10)の下方に戻る。このように、低圧空間(S1)には油が溜まっているので、低圧ガスとともにミスト状の油が圧縮機構(30)に供給される。この油は圧縮機構(30)から高圧ガスとともに吐出され、高圧空間(S2)内でデミスタ(36)により高圧ガスから分離される。分離された油を高圧空間(S2)から低圧空間(S1)に戻すため、圧縮機構(30)を高圧空間(S2)から低圧空間(S1)へ貫通する油戻し機構(40)としてキャピラリチューブが設けられている。
この構造では、ハウジング(16)と可動スクロール(32)とのスラスト摺動面、及びオルダムリング(34)と可動スクロール(32)及びハウジング(16)との摺動面に対する専用の給油構造は採用されておらず、これら摺動面の潤滑構造としては、吸入ガス中に含まれる油成分と、クランク室(16a)内に溜まっている油のはねかけに期待する構造となっていた。
一方、駆動軸(22)を支持する転がり軸受(18)の代わりに滑り軸受(28)を用いた例を図4に示している。この例では、駆動軸(22)の主給油路(22c)から滑り軸受(28)に供給した油を、さらに上記摺動面に導く油供給通路(26)(第1油供給通路(26a)及び第2油供給通路(26b))を形成している。このため、滑り軸受(28)には、その展開図である図4(B)に示すように、主給油路(22c)に連通して円周方向にのびる油溝(28a)と、そこから斜め上方にのびる油溝(28b)とが形成されていて、この油溝(28b)が第1油供給通路(26a)と連通している。また、ハウジング(16)には、第1油供給通路(26a)の開口端を塞ぐプラグ(26c)が設けられている。
特開平06−058274号公報
図3の構造では、いわば成り行きで上記摺動面への給油を行う構造になっているため、潤滑性に乏しく、摺動面の摩耗や焼き付きを発生するおそれがあった。そのため、特にインバータによる回転数制御で圧縮機構(30)の運転容量を調整するタイプの圧縮機(1)では、摺動面に摩擦抵抗の小さな樹脂コーティングをしたスラストプレート(図示せず)を設けることで製品化を実現していたが、このスラストプレートが高価であるため、圧縮機(1)のコストが高くなる問題があった。
また、図4の構造では、油供給通路(26)を形成することで上記摺動面への給油を可能にしているものの、軸受け面の無用な大型化や軸受(28)の複雑な加工、さらには機能上不要なプラグ(26c)が製造上必要になるなど、やはり圧縮機(1)のコストが高くなる問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧縮機の大型化やコストアップを抑えながら、スクロール部材のスラスト摺動面を確実に潤滑できるようにすることである。
第1の発明は、互いに噛み合う2つのスクロール部材(31,32)の少なくとも一方(32)が偏心回転運動をする圧縮機構(30)をケーシング(10)内に備え、該ケーシング(10)内が圧縮機構(30)を介して低圧空間(S1)と高圧空間(S2)に区画され、上記低圧空間(S1)に油溜まり(10a)が設けられるとともに、圧縮機構(30)からの吐出ガスより分離された潤滑油を高圧空間(S2)から低圧空間(S1)へ戻す油戻し機構(40)を備えたスクロール圧縮機を前提としている。
そして、このスクロール圧縮機では、圧縮機構(30)の内部に、該圧縮機構(30)の可動部の潤滑後の油が溜まる油受け部(16a)が設けられ、油戻し機構(40)が、高圧空間(S2)から低圧空間(S1)に向かって高圧流体が絞り(43)を介して流れる駆動流路(42)と、上記油受け部(16a)からスクロール部材(32)のスラスト摺動面を通って駆動流路(42)に合流する吸引流路(44)とを有するエジェクタ(41)により構成されていることを特徴としている。なお、ここで言う「圧縮機構(30)の可動部」は、駆動軸(22)の軸受(18)のように潤滑を要する部分のことを示している。
この第1の発明では、エジェクタ(41)が高圧流体(例えば潤滑油)の流れる駆動流路(42)を絞り(43)で絞って該高圧流体の流速を高めたところに吸引流路(44)が合流した構成であり、高圧流体(例えば潤滑油)がエジェクタ(41)の駆動流路(42)を高圧空間(S2)から低圧空間(S1)に向かって流れると、吸引流路(44)に負圧が発生する。そのため、油受け部(16a)に溜まった油が該油受け部(16a)から吸引流路(44)を通って駆動流路(42)に引き込まれて駆動流路(42)を流れる高圧流体と合流し、低圧空間(S1)に戻される。その際、上記吸引流路(44)がスクロール部材(32)のスラスト摺動面を通っているので、潤滑油がスラスト摺動面に供給されることになる。したがって、スラスト摺動面が確実に潤滑される。
第2の発明は、第1の発明において、圧縮機構(30)が、互いに一体化された状態でケーシング(10)に保持されるハウジング(16)及び第1のスクロール部材である固定スクロール(31)と、該固定スクロール(31)に対して偏心回転運動をする第2のスクロール部材である可動スクロール(32)とを備え、可動スクロール(32)が、固定スクロール(31)の有する固定側ラップ(31b)に噛み合う可動側ラップ(32b)と一体的に形成された鏡板(32a)を備え、エジェクタ(41)の吸引流路(44)が、油受け部(16a)から上記鏡板(32a)のスラスト摺動面を貫通して駆動流路(42)に合流していることを特徴としている。
この第2の発明では、固定スクロール(31)と可動スクロール(32)を備えたスクロール圧縮機において、エジェクタ(41)の吸引流路(44)が可動スクロール(32)の鏡板(32a)を貫通するように構成しているため、可動スクロール(32)のスラスト摺動面を確実に潤滑できる。
第3の発明では、第2の発明において、ケーシング(10)内における圧縮機構(30)の下方の空間が低圧空間(S1)で、該圧縮機構(30)の上方の空間が高圧空間(S2)であり、低圧空間(S1)には、可動スクロール(32)を駆動する電動機(21)が設けられ、
エジェクタ(41)の駆動流路(42)を流れる高圧流体が、高圧空間(S2)内で圧縮機構(30)からの吐出ガスより分離された潤滑油であることを特徴としている。
この第3の発明では、圧縮機構(30)の上方の高圧空間(S2)からその下方の低圧空間(S1)に向かって潤滑油がエジェクタ(41)の駆動流路(42)を流れるときに、圧縮機構(30)内の油受け部(16a)から吸引流路(44)を通って余剰の潤滑油が吸引されて、上記低圧空間(S1)の油溜まり(10a)に戻される。ここで、駆動流体を流れる高圧流体がガスである場合は、駆動流路(42)の絞り(43)による圧力降下分だけ圧縮室内の圧力を上昇させなければならず、動力を余計に消費することになる。しかし、本実施形態では、駆動流路(42)を流れるのは高圧空間(S2)に溜まった余剰の油であり、従来はキャピラリチューブで減圧していた部位にエジェクタ(41)を設けているので、無駄な動力は消費しない。
第4の発明は、第2または第3の発明において、可動スクロール(32)の鏡板(32a)とハウジング(16)との間には、可動スクロール(32)の自転規制部材であるオルダム継手(34)が設けられていることを特徴としている。
この第4の発明では、エジェクタ(41)の駆動流路(42)を高圧流体が流れることにより油受け部(16a)から吸引される潤滑油が、可動スクロール(32)の鏡板(32a)のスラスト摺動面に供給されるとともに、オルダム継手(34)にも供給される。
第5の発明は、第2,第3または第4の発明において、油受け部(16a)がハウジング(16)内に設けられ、駆動流路(42)が圧縮機構(30)を貫通して形成されるとともに、吸引流路(44)との合流部(47)が固定スクロール(31)内に設けられ、吸引流路(44)が、油受け部(16a)から可動スクロール(32)の鏡板(32a)に対するハウジング(16)側の対向面まで形成されたハウジング部吸引流路(44a)と、可動スクロール(32)の鏡板(32a)を貫通して形成された可動スクロール部吸引流路(44b)と、可動スクロール(32)の鏡板(32a)に対する固定スクロール(31)側の対向面から駆動流路(42)との合流部(47)まで形成された固定スクロール部吸引流路(44c)とから構成され、ハウジング部吸引流路(44a)と可動スクロール部吸引流路(44b)と固定スクロール部吸引流路(44c)が、可動スクロール(32)の偏心回転運動中に常に連通するように構成されていることを特徴としている。
この第5の発明では、エジェクタ(41)の吸引流路(44)を、ハウジング(16)内に形成したハウジング部吸引流路(44a)と、可動スクロール(32)の鏡板(32a)内に形成した可動スクロール部吸引流路(44b)と、固定スクロール(31)内に形成した固定スクロール部吸引流路(44c)とから構成している。可動スクロール(32)の偏心回転運動中は、固定スクロール(31)及びハウジング(16)に対して可動スクロール(32)の相対的な位置が変化するが、ハウジング部吸引流路(44a)、可動スクロール部吸引流路(44b)、及び固定スクロール部吸引流路(44c)は、可動スクロール(32)の偏心回転運動中でも常に連通する。駆動流路(42)を高圧流体が流れることにより、油受け部(16a)の油は吸引流路(44)から駆動流路(42)に必ず引き込まれる。
第6の発明は、第5の発明において、ハウジング部吸引流路(44a)と可動スクロール部吸引流路(44b)と固定スクロール部吸引流路(44c)が略同一径寸法に構成される一方、ハウジング部吸引流路(44a)の端部には、可動スクロール(32)の鏡板(32a)に対するハウジング(16)側の対向面において径寸法が可動スクロール(32)の旋回軌跡に合わせて拡大されたハウジング側拡大部(45)が形成され、固定スクロール部吸引流路(44c)の端部には、可動スクロール(32)の鏡板(32a)に対する固定スクロール(31)側の対向面において径寸法が可動スクロール(32)の旋回軌跡に合わせて拡大された固定スクロール側拡大部(46)が形成されていることを特徴としている。
この第6の発明では、ハウジング部吸引流路(44a)の端部に径寸法を可動スクロール(32)の旋回軌跡に合わせて拡大したハウジング側拡大部(45)を形成し、固定スクロール部吸引流路(44c)の端部に径寸法を可動スクロール(32)の旋回軌跡に合わせて拡大した固定スクロール側拡大部(46)を形成しているので、可動スクロール(32)の偏心回転運動中に、固定スクロール(31)及びハウジング(16)に対して可動スクロール(32)の相対的な位置が変化しても、ハウジング部吸引流路(44a)、可動スクロール部吸引流路(44b)、及び固定スクロール部吸引流路(44c)は常に互いに連通する。したがって、駆動流路(42)を高圧流体が流れることにより、油受け部(16a)の油は吸引流路(44)から駆動流路(42)に必ず引き込まれる。
第7の発明は、第6の発明において、可動スクロール(32)の鏡板(32a)に対するハウジング(16)側の対向面には、ハウジング側拡大部(45)を通って該ハウジング(16)の周方向にのびる環状溝(48)が形成されていることを特徴としている。
この第7の発明では、上記環状溝(48)をハウジング(16)に形成したことにより、スラスト摺動面に対して全体的に潤滑油を供給できる。
本発明によれば、圧縮機構(30)の内部に、該圧縮機構(30)の可動部の潤滑後の油が溜まる油受け部(16a)を設けるとともに、油戻し機構(40)を、高圧空間(S2)から低圧空間(S1)に向かって高圧流体が絞り(43)を介して流れる駆動流路(42)と、上記油受け部(16a)からスクロール部材(32)のスラスト摺動面を通って駆動流路(42)に合流する吸引流路(44)とを有するエジェクタ(41)により構成しているので、駆動流路(42)における高圧流体の流れを利用して油受け部(16a)の潤滑油を吸引流路(44)から該駆動流路(42)に引き込む際に、スラスト摺動面を確実に潤滑できる。
この発明では、成り行きでスラスト摺動面への給油を行うものとは違って、エジェクタ(41)を使って確実にスラスト摺動面を潤滑できるため、摺動面の摩耗や焼き付きを防止できる。そのため、インバータによる回転数制御で圧縮機構(30)の運転容量を調整するタイプの圧縮機でも、摺動面に摩擦抵抗の小さな樹脂コーティングをしたスラストプレートを設けることは不要であり、圧縮機のコストが高くなるのも防止できる。
上記第2の発明によれば、固定スクロール(31)と可動スクロール(32)を備えたスクロール圧縮機において、エジェクタ(41)の吸引流路(44)が可動スクロール(32)の鏡板(32a)を貫通するように構成したことにより、可動スクロール(32)のスラスト摺動面を確実に潤滑できるので、第1の発明と同様に摺動面の摩耗や焼き付きを防止できるとともに、圧縮機のコストアップも防止できる。
上記第3の発明によれば、圧縮機構(30)の上方の高圧空間(S2)からその下方の低圧空間(S1)に向かって潤滑油がエジェクタ(41)の駆動流路(42)を流れるときに、圧縮機構(30)内の油受け部(16a)から吸引流路(44)を通って余剰の潤滑油が吸引されて、スラスト摺動面を潤滑してから上記低圧空間(S1)の油溜まり(10a)に戻される。そして、駆動流体を流れる高圧流体がガスである場合は、駆動流路(42)の絞り(43)による圧力降下分だけ圧縮室内の圧力を上昇させなければならず、動力を余計に消費することになるが、この発明では、駆動流路(42)を流れるのは高圧空間(S2)に溜まった余剰の油であり、図3に示す従来の例ではキャピラリチューブで減圧していた部位にエジェクタ(41)を設けているので、無駄な動力は消費せず、運転の効率が低下することもない。
上記第4の発明によれば、可動スクロール(32)の鏡板(32a)とハウジング(16)との間に、可動スクロール(32)の自転規制部材であるオルダム継手(34)を設けており、エジェクタ(41)の駆動流路(42)を高圧流体が流れることにより油受け部(16a)から吸引される潤滑油が、可動スクロール(32)の鏡板(32a)のスラスト摺動面に供給されるとともに、オルダム継手(34)にも供給される。したがって、オルダム継手(34)の動作不良が生じるおそれも防止できる。
上記第5の発明によれば、エジェクタ(41)の駆動流路(42)が圧縮機構(30)を貫通するように形成するとともに、吸引流路(44)との合流部(47)を固定スクロール(31)内に設け、吸引流路(44)を、ハウジング(16)内に形成したハウジング部吸引流路(44a)と、可動スクロール(32)の鏡板(32a)内に形成した可動スクロール部吸引流路(44b)と、固定スクロール(31)内に形成した固定スクロール部吸引流路(44c)とから構成して、これら吸引流路(44a,44b,44c)を可動スクロール(32)の偏心回転運動中に常に連通するようにしている。したがって、固定スクロール(31)及びハウジング(16)に対して可動スクロール(32)の相対的な位置が変わっても、油受け部(16a)の油を使ってスラスト摺動面の潤滑を確実に行える。
上記第6の発明によれば、ハウジング部吸引流路(44a)の端部に径寸法を可動スクロール(32)の旋回軌跡に合わせて拡大したハウジング側拡大部(45)を形成し、固定スクロール部吸引流路(44c)の端部に径寸法を可動スクロール(32)の旋回軌跡に合わせて拡大した固定スクロール側拡大部(46)を形成しているので、可動スクロール(32)の偏心回転運動中に、固定スクロール(31)及びハウジング(16)に対して可動スクロール(32)の相対的な位置が変化しても、ハウジング部吸引流路(44a)、可動スクロール部吸引流路(44b)、及び固定スクロール部吸引流路(44c)は常に互いに連通する。したがって、駆動流路(42)を高圧流体が流れることにより、油受け部(16a)の油は吸引流路(44)から駆動流路(42)に必ず引き込まれるので、簡単な構成でありながら、油受け部(16a)からスラスト摺動面への潤滑を確実に行える。
上記第7の発明によれば、可動スクロール(32)の鏡板(32a)に対するハウジング(16)側の対向面に、ハウジング側拡大部(45)を通って該ハウジング(16)の周方向にのびる環状溝(48)を形成したことにより、スラスト摺動面に対して全体的に潤滑油を供給できるので、スラスト摺動面の潤滑性を高められる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
図1は、実施形態1に係るスクロール圧縮機(1)の構造を示す縦断面図である。このスクロール圧縮機(1)は、図示していないが、例えば空気調和装置等の蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷凍装置の冷媒回路において、蒸発器から吸入した低圧の冷媒を圧縮して凝縮器へ送り出すのに用いられる。このスクロール圧縮機(1)は、図1に示すように、ケーシング(10)の内部に、駆動機構(20)と圧縮機構(30)とを備えている。上記圧縮機構(30)はケーシング(10)内の上部側に配設され、駆動機構(20)はケーシング(10)内の下部側に配設されている。ケーシング(10)内は、圧縮機構(30)を介して2つの空間に区画され、圧縮機構(30)の下方の空間が低圧空間(S1)で、圧縮機構(30)の上方の空間が高圧空間(S2)になっている。
ケーシング(10)は、円筒状のケーシング本体(11)と、ケーシング本体(11)の上端部に固定された上部鏡板(12)と、ケーシング本体(11)の下端部に固定された下部鏡板(13)とを有している。また、ケーシング(10)には、冷媒の吸入管(14)が下部に、吐出管(15)が上部に設けられている。これらの吸入管(14)及び吐出管(15)は、詳細は図示していないが上記圧縮機構(30)にケーシング(10)内の空間を介して連通している。また、吸入管(14)は上記冷媒回路の蒸発器に、吐出管(15)は凝縮器に接続されている。
上記ケーシング(10)内には、圧縮機構(30)と一体化される上部ハウジング(ハウジング)(16)が固定されている。つまり、この実施形態では、上部ハウジング(16)も圧縮機構(30)の一部を構成している。また、ケーシング(10)内には、駆動機構(20)の下方に下部ハウジング(17)が固定されている。
駆動機構(20)は、低圧空間(S1)に配置された電動機(21)と、電動機(21)に連結された駆動軸(22)とから構成されている。電動機(21)は、上記上部ハウジング(16)及び下部ハウジング(17)を介してケーシング本体(11)に固定された環状のステータ(23)と、このステータ(23)の内周側に装着されたロータ(24)とを備え、ロータ(24)に上記駆動軸(22)が連結されている。この駆動軸(22)は、上部ハウジング(16)の転がり軸受(18)と、下部ハウジング(17)の転がり軸受(19)とによって、回転可能に支持されている。
上記駆動軸(22)には、その軸方向に沿って主給油路(22c)が形成されている。また、駆動軸(22)の下端部には給油ポンプ(22d)が設けられていて、ケーシング(10)内の油溜まり(10a)(低圧空間(S1)の下部が油溜まり(10a)になっている)に貯留する冷凍機油(潤滑油)を該駆動軸(22)の回転に伴って汲み上げるように構成されている。主給油路(22c)は、駆動軸(22)の内部を上下方向に延びるとともに、給油ポンプ(22d)が汲み上げた冷凍機油を軸受などの可動部へ供給するように、各部に設けられた給油口(図示せず)と連通している。
圧縮機構(30)は、上部ハウジング(16)に加えて、該上部ハウジング(16)に固定された固定スクロール(第1のスクロール部材)(31)と、この固定スクロール(31)に対して偏心回転運動をするように可動に構成された可動スクロール(第2のスクロール部材)(32)とを有している。固定スクロール(31)は、上部ハウジング(16)にボルトなどの締結手段(図示せず)で固定された固定側鏡板(31a)と、この固定側鏡板(31a)に一体的に形成された渦巻き状(インボリュート状)の固定側ラップ(31b)とを有している。可動スクロール(32)は、可動側鏡板(32a)と、この可動側鏡板(32a)に一体的に形成された渦巻き状(インボリュート状)の可動側ラップ(32b)とを有している。
固定側ラップ(31b)と可動側ラップ(32b)とは互いに噛み合っている。固定側鏡板(31a)と可動側鏡板(32b)との間には、両ラップ(31b,32b)の接触部の間が圧縮室(33)として構成されている。この圧縮室(33)は、可動スクロール(32)が駆動軸(22)を中心として公転(偏心回転運動)するのに伴って、両ラップ(31b,32b)間の容積が拡大する際に冷媒を吸入し、該容積が収縮する際に冷媒を圧縮するように構成されている。
圧縮室(33)の外周縁部には吸入口(33a)が形成され、該吸入口(33a)はケーシング(10)内における圧縮機構(30)の下方の低圧空間(S1)を介して吸入管(14)と連通している。また、圧縮室(33)の中心部には吐出口(33b)が形成され、該吐出口(33b)はケーシング(10)内における圧縮機構(30)の上方の高圧空間(S2)を介して吐出管(15)と連通している。なお、上記吐出口(33b)の開口端には圧縮機構へのガスの逆流を防止する逆止弁(35)が設けられ、固定スクロール(31)の上面には、上記逆止弁(35)を覆うようにデミスタ(36)が固定されている。
そして、可動スクロール(32)の公転時には、上記蒸発器から吸入管(14)を介して圧縮室(33)に吸い込まれた冷媒が圧縮されて高圧になり、この高圧の冷媒が吐出管(15)から吐出されて上記凝縮器へ供給される。なお、圧縮機構(30)から吐出される吐出ガスは、高圧空間(S2)のデミスタ(36)を通過するときに油が分離される。そして、吐出ガスから分離した潤滑油を高圧空間(S2)から低圧空間(S1)へ戻すため、圧縮機構(30)を貫通する油戻し機構(40)が設けられている。
上記駆動軸(22)の上端部分には、径方向外方へ張り出した受け部(22a)と、該駆動軸(22)の回転中心に対して可動スクロール(32)の最適公転半径に対応する寸法で偏心した偏心部(22b)とが形成されている。一方、可動スクロール(32)の可動側鏡板(32a)には、その下面に、上記偏心部(22b)と同一中心上に位置するように、円筒状の軸受部(嵌合部)(32c)が形成されている。この軸受部(32c)は、その内径寸法が上記偏心部(22b)の外径寸法よりも大きく形成されている。
上記偏心部(22b)と軸受部(32c)とは、スライドブッシュ(25)を介して連結されている。このスライドブッシュ(25)は、駆動軸(22)のクランク半径を自動的に調整するための可変クランク機構を構成している。また、スライドブッシュ(25)と軸受部(32c)の間には、滑り軸受(29)が装着されている。上記構成において、駆動軸(22)が回転することにより偏心部(22b)が所定の周回軌道上を旋回(公転)すると、可動スクロール(32)が公転する。ここで、可動スクロール(32)の可動側鏡板(32a)と上部ハウジング(16)との間には、可動スクロール(32)の自転規制部材であるオルダム継手(34)が設けられている。このオルダム継手(34)により、駆動軸(22)が回転したときには、可動スクロール(32)は自転をせずに駆動軸(22)を中心として公転のみを行う。
次に、油戻し機構(40)について説明する。まず、上記上部ハウジング(16)には、駆動軸(22)の上端部と可動スクロール(32)とがスライドブッシュ(25)を介して連結された部分の動作を許容するクランク室(16a)が形成されている。このクランク室(16a)は、圧縮機構(30)の可動部(軸受(18)及び偏心軸受部(32c))の潤滑後の油が溜まる油受け部でもある。
油戻し機構(40)は、高圧空間(S2)から低圧空間(S1)に向かって高圧流体が絞り(43)を介して流れる駆動流路(42)と、上記クランク室(16a)から第2のスクロール部材である可動スクロール(32)の可動側鏡板(32a)のスラスト摺動面を通って駆動流路(42)に合流する吸引流路(44)とを有するエジェクタ(41)により構成されている。
駆動流路(42)は、圧縮機構(30)の構成部材である固定スクロール(31)と上部ハウジング(16)を貫通して形成されている。また、駆動流路(42)と吸引流路(44)との合流部(47)は、固定スクロール(31)内において、潤滑油の流れる駆動流路(42)を絞り(43)で絞って該潤滑油の流速を高めたところに位置している。
吸引流路(44)は、クランク室(16a)から可動側鏡板(32a)に対する上部ハウジング(16)側の対向面まで形成されたハウジング部吸引流路(44a)と、可動側鏡板(32a)を貫通して形成された可動スクロール部吸引流路(44b)と、可動側鏡板(32a)に対する固定スクロール(31)側の対向面から駆動流路(42)との合流部(47)まで形成された固定スクロール部吸引流路(44c)とから構成されている。
そして、ハウジング部吸引流路(44a)と可動スクロール部吸引流路(44b)と固定スクロール部吸引流路(44c)は、可動スクロール(32)の偏心回転運動中に常に連通するように構成されている。このために、ハウジング部吸引流路(44a)と可動スクロール部吸引流路(44b)と固定スクロール部吸引流路(44c)は互いにほぼ同一径寸法に構成される一方、ハウジング部吸引流路(44a)の端部には、可動側鏡板(32a)に対する上部ハウジング(16)側の対向面において径寸法が可動スクロール(32)の旋回軌跡に合わせて拡大されたハウジング側拡大部(45)が形成され、固定スクロール部吸引流路(44c)の端部には、可動側鏡板(32a)に対する固定スクロール(31)側の対向面において径寸法が可動スクロール(32)の旋回軌跡に合わせて拡大された固定スクロール側拡大部(46)が形成されている。
また、可動側鏡板(32a)に対する上部ハウジング(16)側の対向面には、ハウジング側拡大部(45)を通って該ハウジングの周方向にのびる環状溝(48)が形成されている。この環状溝(48)は、可動側鏡板(32a)と上部ハウジング(16)との潤滑性を高めるために設けられている。
−運転動作−
次に、この実施形態1のスクロール圧縮機(1)の運転動作について説明する。
まず、電動機(21)を起動すると、ロータ(24)の回転に伴って駆動軸(22)が回転する。駆動軸(22)の回転力は、上記スライドブッシュ(25)を介して可動スクロール(32)に伝達される。可動スクロール(32)は、オルダム継手(34)により自転が禁止されているため、駆動軸(22)の回転中心の周りで自転せずに公転だけを行う。そして、可動スクロール(32)の公転動作により、固定スクロール(31)と可動スクロール(32)の間の圧縮室(33)の容積が変化する。
このことにより、圧縮室(33)では、その容積変化に伴って、吸入管(14)から低圧の冷媒が吸引されるとともに該冷媒が圧縮される。冷媒は高圧になり、吐出管(15)から吐出された後、冷媒回路において凝縮、膨張、蒸発の各行程を経て、再度吸入管(14)から吸入されて圧縮される作用が繰り返される。
この運転中、駆動軸(22)の下端部に設けられている給油ポンプ(22d)の作用により、油溜まり(10a)の油が主給油路(22c)を上昇し、転がり軸受(18)(19)や、滑り軸受(29)などの可動部に供給される。各可動部の潤滑後の余った油は、油受け部であるクランク室(16a)に溜まる。
一方、低圧空間(S1)には、低圧ガスの中にミスト状の潤滑油が含まれており、このミスト状の潤滑油を含んだ低圧ガスが圧縮機構(30)に吸入される。圧縮機構(30)では、圧縮室(33)の容積変化に伴い、高圧になったガスが油とともに吐出口(33b)から吐出される。圧縮機構(30)から吐出された高圧ガスは、デミスタ(36)において油が分離された後、吐出管(15)から流出する。
デミスタ(36)により分離された油は、固定スクロール(31)の上面が山形に形成されているため、高圧空間(S2)内で固定スクロール(31)の上面の外周部分に溜まる。高圧空間(S2)に溜まった油は、高圧空間(S2)と低圧空間(S1)の圧力差により、エジェクタ(41)の駆動流路(42)を低圧空間(S1)に向かって流れる。上記エジェクタ(41)は高圧の油が流れる駆動流路(42)を絞り(43)で絞って流速を高めたところに吸引流路(44)が接続された構成である。そのため、吸引流路(44)に負圧が発生し、クランク室(16a)に溜まった余剰の油が吸引流路(44)から駆動流路(42)に吸い込まれ、駆動流路(42)を高圧空間(S2)から低圧空間(S1)へ流れる油と合流して低圧空間(S1)へ戻される。
その際、ハウジング部吸引流路(44a)にハウジング側拡大部(45)が形成され、固定スクロール側吸引流路(44c)に固定スクロール側拡大部(46)が形成されているので、ハウジング部吸引流路(44a)、可動スクロール部吸引流路(44b)及び固定スクロール部吸引流路(44c)は、常に連通した状態を維持する。
そして、吸引流路(44)が、可動側鏡板(32a)と上部ハウジング(16)との間のスラスト摺動面を貫通し、かつ可動側鏡板(32a)と固定スクロール(31)との間の対向面を貫通しているので、これらの面に油が常に供給され、潤滑不良を防止できる。
特に、上部ハウジング(16)の上面にはハウジング側拡大部(45)につながった環状溝(48)が形成されているので、上記スラスト摺動面における潤滑不良を防止できる。また、油はこのスラスト摺動面を通ってオルダム継手(34)にも供給される。したがって、オルダム継手(34)の潤滑不良も防止できる。
−実施形態1の効果−
以上説明したように、この実施形態1によれば、従来の油戻し機構として設けていたキャピラリチューブに代えてエジェクタ(41)を設け、このエジェクタ(41)のポンプ作用を利用してクランク室(16a)の油を吸引するとともに、エジェクタ(41)の吸引流路(44)が可動側鏡板(32a)を貫通するようにして、可動側鏡板(32a)と上部ハウジング(16)との間の摺動面やオルダムリング、及び可動側鏡板(32a)と固定スクロール(31)との間の対向面に供給している。
したがって、成り行きで上記摺動面などへ給油を行っていた従来のもの(図3参照)に比べて潤滑性が向上し、摺動面の摩耗や焼き付きを防止することが可能となる。特に、インバータによる回転数制御で圧縮機構(30)の運転容量を調整するタイプの圧縮機(1)であっても、摺動面に摩擦抵抗の小さな樹脂コーティングをしたスラストプレートを設ける必要がなくなるので、圧縮機(1)のコストを下げることも可能となる。
一方、例えば駆動流路(42)を流れる高圧流体に吐出冷媒ガスを用いる構成にすれば、駆動流路(42)の絞り(43)による圧力降下分だけ圧縮室(33)内の圧力を上昇させなければならず、動力を余計に消費することになる。しかし、本実施形態では、駆動流路(42)を流れるのは高圧空間(S2)に溜まった余剰の油であり、従来はキャピラリチューブで減圧していた部位にエジェクタ(41)を設けているので、動力は消費せず、運転の効率が低下することもない。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2は、図2に示すように、上部ハウジング(16)の軸受として、図1の転がり軸受(18)の代わりに滑り軸受(28)を用いた例である。
この実施形態2においても、圧縮機構(30)の固定スクロール(31)と上部ハウジング(16)とを貫通する駆動流路(42)と、上部ハウジング(16)のクランク室(16a)から駆動流路(42)との合流部(47)までのびる吸引流路(44)とからなるエジェクタ(41)を油戻し機構(40)として設けている。
油戻し機構(40)の各部の構成を始め、上部の軸受(28)を除く圧縮機構(20)の構成や、図示を省略している駆動機構(20)の構成などは、実施形態1と同じである。ただし、この実施形態2ではスライドブッシュは設けていない。
この実施形態2においても、実施形態1と同様に圧縮機構(20)の摺動面の摩耗や焼き付きを防止することが可能になる。また、この実施形態2では、図4に示したような滑り軸受(28)を使った油供給通路(26)を形成することは不要であり、油供給通路(26)の一部を塞ぐプラグ(26c)も不要である。したがって、実施形態1と同様に圧縮機のコストを下げることが可能となる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態では、互いに噛み合う2つのスクロール部材(31,32)の一方が固定スクロール(31)で、他方が可動スクロール(32)である例について説明したが、例えば両方のスクロール部材が可動に構成されたタイプであってもよい。
また、エジェクタ(41)の駆動流路(42)を流れる高圧流体は、上述したように、運転効率を考えると高圧空間(S2)に溜まった余剰の油であることが好ましいが、場合によっては高圧の吐出冷媒ガスを用いてもよい。
さらに、上記実施形態では、クランク室(16a)を油受け部として利用した構成について説明したが、必ずしもクランク室(16a)を油受け部にする必要はなく、場合によっては油受け用の部屋をクランク室とは別に設けるなど、他の構成を採用してもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、互いに噛み合う2つのスクロール部材の少なくとも一方が偏心回転運動をするスクロール圧縮機について有用である。
実施形態1に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 実施形態2に係るスクロール圧縮機の要部縦断面図である。 従来例に係るのスクロール圧縮機の縦断面図である。 他の従来例に係るスクロール圧縮機の要部縦断面図である。
符号の説明
1 スクロール圧縮機
10 ケーシング
10a 油溜まり
16 上部ハウジング(ハウジング)
16a 油受け部
21 電動機
30 圧縮機構
31 固定スクロール(第1のスクロール部材)
31b 固定側ラップ
32 可動スクロール(第2のスクロール部材)
32a 可動側鏡板(鏡板)
32b 可動側ラップ
34 オルダム継手
40 油戻し機構
41 エジェクタ
42 駆動流路
43 絞り
44 吸引流路
44a ハウジング部吸引流路
44b 可動スクロール部吸引流路
44c 固定スクロール部吸引流路
45 ハウジング側拡大部
46 固定スクロール側拡大部
47 合流部
48 環状溝
S1 低圧空間
S2 高圧空間

Claims (7)

  1. 互いに噛み合う2つのスクロール部材(31,32)の少なくとも一方(32)が偏心回転運動をする圧縮機構(30)をケーシング(10)内に備え、
    該ケーシング(10)内が圧縮機構(30)を介して低圧空間(S1)と高圧空間(S2)に区画され、
    上記低圧空間(S1)に油溜まり(10a)が設けられるとともに、圧縮機構(30)からの吐出ガスより分離された潤滑油を高圧空間(S2)から低圧空間(S1)へ戻す油戻し機構(40)を備えたスクロール圧縮機であって、
    圧縮機構(30)の内部には、該圧縮機構(30)の可動部の潤滑後の油が溜まる油受け部(16a)が設けられ、
    油戻し機構(40)は、高圧空間(S2)から低圧空間(S1)に向かって高圧流体が絞り(43)を介して流れる駆動流路(42)と、上記油受け部(16a)からスクロール部材(32)のスラスト摺動面を通って駆動流路(42)に合流する吸引流路(44)とを有するエジェクタ(41)により構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 請求項1において、
    圧縮機構(30)は、互いに一体化された状態でケーシング(10)に保持されるハウジング(16)及び第1のスクロール部材である固定スクロール(31)と、該固定スクロール(31)に対して偏心回転運動をする第2のスクロール部材である可動スクロール(32)とを備え、
    可動スクロール(32)は、固定スクロール(31)が有する固定側ラップ(31b)に噛み合う可動側ラップ(32b)と一体的に形成された鏡板(32a)を備え、
    エジェクタ(41)の吸引流路(44)は、油受け部(16a)から上記鏡板(32a)のスラスト摺動面を貫通して駆動流路(42)に合流していることを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 請求項2において、
    ケーシング(10)内は、圧縮機構(30)の下方の空間が低圧空間(S1)で、該圧縮機構(30)の上方の空間が高圧空間(S2)であり、
    低圧空間(S1)には、可動スクロール(32)を駆動する電動機(21)が設けられ、
    エジェクタ(41)の駆動流路(42)を流れる高圧流体が、高圧空間(S2)内で圧縮機構(30)からの吐出ガスより分離された潤滑油であることを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 請求項2または3において、
    可動スクロール(32)の鏡板(32a)とハウジング(16)との間には、可動スクロール(32)の自転規制部材であるオルダム継手(34)が設けられていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  5. 請求項2,3または4において、
    油受け部(16a)がハウジング(16)内に設けられ、
    駆動流路(42)が圧縮機構(30)を貫通して形成されるとともに、吸引流路(44)との合流部(47)が固定スクロール(31)内に設けられ、
    吸引流路(44)は、油受け部(16a)から可動スクロール(32)の鏡板(32a)に対するハウジング(16)側の対向面まで形成されたハウジング部吸引流路(44a)と、可動スクロール(32)の鏡板(32a)を貫通して形成された可動スクロール部吸引流路(44b)と、可動スクロール(32)の鏡板(32a)に対する固定スクロール(31)側の対向面から駆動流路(42)との合流部(47)まで形成された固定スクロール部吸引流路(44c)とから構成され、
    ハウジング部吸引流路(44a)と可動スクロール部吸引流路(44b)と固定スクロール部吸引流路(44c)は、可動スクロール(32)の偏心回転運動中に常に連通するように構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  6. 請求項5において、
    ハウジング部吸引流路(44a)と可動スクロール部吸引流路(44b)と固定スクロール部吸引流路(44c)は略同一径寸法に構成される一方、
    ハウジング部吸引流路(44a)の端部には、可動スクロール(32)の鏡板(32a)に対するハウジング(16)側の対向面において径寸法が可動スクロール(32)の旋回軌跡に合わせて拡大されたハウジング側拡大部(45)が形成され、
    固定スクロール部吸引流路(44c)の端部には、可動スクロール(32)の鏡板(32a)に対する固定スクロール(31)側の対向面において径寸法が可動スクロール(32)の旋回軌跡に合わせて拡大された固定スクロール側拡大部(46)が形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  7. 請求項6において、
    可動スクロール(32)の鏡板(32a)に対するハウジング(16)側の対向面には、ハウジング側拡大部(45)を通って該ハウジング(16)の周方向にのびる環状溝(48)が形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
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