JP6910702B2 - 光学ガラス、プリフォーム材及び光学素子 - Google Patents

光学ガラス、プリフォーム材及び光学素子 Download PDF

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Description

本発明は、光学ガラス、プリフォーム材及び光学素子に関する。
近年、光学系を使用する機器のデジタル化や高精細化が急速に進んでおり、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮影機器や、プロジェクタやプロジェクションテレビ等の画像再生(投影)機器等の各種光学機器の分野では、光学系で用いられるレンズやプリズム等の光学素子の枚数を削減し、光学系全体を軽量化及び小型化する要求が強まっている。
光学素子を作製する光学ガラスの中でも特に、光学系全体の軽量化及び小型化を図ることが可能な、1.75以上1.88以下の屈折率(n)を有し、35以上45以下のアッベ数(ν)を有する高屈折率低分散ガラスの需要が非常に高まっている。このような高屈折率低分散ガラスとして、特許文献1〜3に代表されるようなガラス組成物が知られている。
特開2014−073962号公報 特開2009−298646号公報 特開2006−240889号公報
光学ガラスの材料コストを低減するために、光学ガラスを構成する諸成分の原料費は、なるべく安価であることが望まれる。ところが、特許文献1〜3に記載されたガラス組成物は、高屈折率を実現するために、TaやGd等の高額な原料を使用しており、これらの諸要求に十分応えるものとは言い難い。
高額な原料の使用量を削減するために、他の安価な原料を使用すると、高屈折率低分散を実現することが難しく、それを実現するためには、比較的安価な希土類成分を多量に添加しなければならず、失透性が悪くなる傾向にある。光学ガラスの材料コストを低減した場合であっても、光学ガラスには安定性が高く失透し難いことが求められている。
また、光学系で用いられるレンズには、球面レンズと非球面レンズがあり、非球面レンズを利用すれば光学素子の枚数を削減することが可能になる。非球面レンズの作製方法として、ゴブまたはプリフォームを超精密加工された金型を用いて、高温下で加圧成形することで光学素子の形状を得る方法(精密モールド成形)が主流となっている。この方法は、プレス成形を行う際に、成形型自体や成形型の内側表面に設置されている離型膜の損傷を防ぐために、ガラスプリフォームのガラス転移点を低くすることが求められている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、安定性の高いガラスを、より安価に得ることにある。加えて、精密モールド成形が可能な材料であることが好ましい。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、材料コストの高い成分、特にTa成分やGd成分の含有量を低減させながらも、B成分、La成分及びZnO成分の添加量を調整することで高屈折率低分散であり、且つ安定性の高いガラスを得られることを見出した。加えて、ZnOを多量に添加することで、ガラス転移点も下げることが可能になり、精密モールドプレス成形を行いやすい硝材となることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 酸化物換算組成の質量%で、
成分 10.0〜40.0%、
La成分 15.0〜50.0%
ZnO成分 10.0〜45.0%
であり、
酸化物基準での質量和(La+Y+ZnO)が30.0〜80.0%であり、
屈折率(n)が1.75〜1.88であり、アッベ数(ν)が35〜45であることを特徴とする光学ガラス。
(2) 酸化物換算組成の質量%で、
SiO成分 0〜15.0%、
ZrO成分 0〜15.0%
Nb成分 0〜20.0%
WO成分 0〜20.0%
である(1)記載の光学ガラス。
(3) 酸化物換算組成の質量%で、
成分 0〜20.0%
Gd成分 0〜20.0%
Yb成分 0〜20.0%
MgO成分 0〜15.0%
CaO成分 0〜15.0%
SrO成分 0〜15.0%
BaO成分 0〜20.0%
LiO成分 0〜10.0%
NaO成分 0〜5.0%
O成分 0〜5.0%
TiO成分 0〜10.0%
Bi成分 0〜10.0%
成分 0〜10.0%
Ta成分 0〜10.0%
Al成分 0〜10.0%
Ga成分 0〜10.0%
GeO成分 0〜10.0%
TeO成分 0〜15.0%
SnO成分 0〜3.0%
Sb成分 0〜3.0%
である(1)又は(2)記載の光学ガラス。
(4) 酸化物換算組成の質量%で、Ln成分の含有量の和が15.0%以上60.0%以下である(1)から(3)のいずれか記載の光学ガラス(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)
(5) 酸化物換算組成の質量和(La+Y)が15.0%以上55.0%以下である請求項(1)から(4)のいずれか記載の光学ガラス。
(6) 酸化物換算組成の質量和(Y+ZnO)が10.0%以上55.0%以下である(1)から(5)のいずれか記載の光学ガラス。
(7) 酸化物換算組成の質量和(La+Y+ZnO+ZrO+Nb+WO)が60.0%以上90.0%以下である(1)から(6)のいずれか記載の光学ガラス。
(8) 酸化物換算組成の質量和(La+Y+ZnO+Nb+WO)が60.0%以上85.0%以下である(1)から(7)のいずれか記載の光学ガラス。
(9) 酸化物換算組成の質量比(La+Y+Nb+WO)/(B+ZnO)が3.00以下である(1)から(8)のいずれか記載の光学ガラス。
(10) 酸化物換算組成の質量%で、RnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の含有量の和が10.0%以下であり、RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の含有量の和が30.0%以下である(1)から(9)のいずれか記載の光学ガラス。
(11) ガラス転移点(Tg)が620℃以下である(1)から(10)のいずれか記載の光学ガラス。
(12) 分光透過率が80%を示す波長(λ80)が420nm以下であり、分光透過率が5%を示す波長(λ)が355nm以下である(1)から(11)のいずれか記載の光学ガラス。
(13) 比重が5.00以下である(1)から(12)のいずれか記載の光学ガラス。
(14) (1)から(13)のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォーム材。
(15) (1)から(13)のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
(16) (15)に記載の光学素子を備える光学機器。
本発明によれば、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、耐失透性が高いガラスを、より安価に得ることができる。
本発明の光学ガラスは、酸化物換算組成の質量%で、B成分を10.0%以上40.0%以下、La成分を15.0%以上50.0%以下、ZnO成分を10.0%以上45.0%以下含有し、酸化物基準での質量和(La+Y+ZnO)が30.0〜80.0%であり、1.75以上1.88以下の屈折率(n)を有し、35以上45以下のアッベ数(ν)を有する。B成分及びLa成分をベースとすることにより、1.75以上1.88以下の屈折率(n)及び35以上45以下のアッベ数(ν)を有しながらも、安定なガラスが得られ易くなる。また、本願発明者は、1.75以上1.88以下の屈折率(n)及び35以上45以下のアッベ数(ν)を有するガラスにおいて、ZnOを含有させることにより、材料コストの高い成分、特にTa成分やGd成分の含有量を低減させた場合であっても、安定的にガラスが作製できることを見出した。従って、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、安定性の高い光学ガラスを、より安価に得ることができる。
加えて、本発明の光学ガラスは、低比重である為、光学系全体を軽量化及び小型化する際に好適に使用できる。
以下、本発明の光学ガラスの実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所について、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[ガラス成分]
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有量は、特に断りがない場合、全て酸化物換算組成の全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」は、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
<必須成分、任意成分について>
成分は、希土類酸化物を多く含む本発明の光学ガラスでは、ガラス形成酸化物として必須の成分である。特に、B成分の含有量を10.0%以上にすることで、ガラスの耐失透性を高め、且つガラスのアッベ数を高められる。従って、B成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは12.5%、さらに好ましくは15.0%、さらに好ましくは16.0%を下限とする。
一方、B成分の含有量を40.0%以下にすることで、より大きな屈折率を得易くでき、且つ化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、B成分の含有量は、好ましくは40.0%以下、より好ましくは35.0%未満、さらに好ましくは30.0%未満、さらに好ましくは25.0%未満とする。
成分は、原料としてHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いることができる。
La成分は、ガラスの屈折率及びアッベ数を高める必須成分である。従って、La成分の含有量は、好ましくは15.0%以上、より好ましくは17.0%超、さらに好ましくは20.0%超、さらに好ましくは23.0%超とする。
一方、La成分の含有量を50.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めることで失透を低減でき、アッベ数の必要以上の上昇を抑えられる。また、ガラス原料の熔解性を高められる。従って、La成分の含有量は、好ましくは50.0%以下、より好ましくは45.0%未満、さらに好ましくは40.0%未満、さらに好ましくは35.0%未満とする。
La成分は、原料としてLa、La(NO・XHO(Xは任意の整数)等を用いることができる。
ZnO成分は、10%以上含有する場合に、原料の熔解性を高め、溶解したガラスからの脱泡を促進し、また、ガラスの安定性を高められる必須成分である。また、熔解時間を短くできること等により、ガラスの着色を低減できる成分でもある。また、ガラス転移点を低くでき、且つ化学的耐久性を改善できる成分でもある。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは10.0%以上、より好ましくは12.0%超、さらに好ましくは15.0%超、さらに好ましくは18.0%超とする。
他方で、ZnO成分の含有量を45.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑えられ、且つ、過剰な粘性の低下による失透を低減できる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは45.0%以下、より好ましくは40.0%未満、さらに好ましくは35.0%未満、さらに好ましくは33.0%未満とする。
ZnO成分は、原料としてZnO、ZnF等を用いることができる。
La成分、Y成分、及びZnO成分の合計量(質量和)は、30.0%以上とする。これにより、ガラスの屈折率及びアッベ数を高めることが出来る。従って、質量和(La+Y+ZnO)は、好ましくは30.0%以上、より好ましくは40.0%以上、さらに好ましくは45.0%以上、さらに好ましくは50.0%以上、さらに好ましくは56.0%超とする。
他方で、この質量和を80.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高められ、失透を低減できる。従って、質量和(La+Y+ZnO)は、好ましくは80.0%以下、より好ましくは75.0%以下、さらに好ましくは72.5%以下、さらに好ましくは70.0%以下、さらに好ましくは66.0%未満とする。
SiO成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスの粘度を高められ、ガラスの着色を低減できる任意成分である。また、ガラスの安定性を高めて量産に耐えるガラスを得易くする成分でもある。従って、SiO成分の含有量を、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは2.0%以上としてもよい。
他方で、SiO成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラス転移点の上昇を抑えられ、且つ屈折率の低下を抑えられる。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは12.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは8.0%未満とする。
SiO成分は、原料としてSiO、KSiF、NaSiF等を用いることができる。
ZrO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率及びアッベ数を高められ、且つ耐失透性を向上できる任意成分である。従って、ZrO成分の含有量を、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1.0%以上としてもよい。
他方で、ZrO成分の含有量を15.0%以下にすることで、ZrO成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、ZrO成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは12.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
ZrO成分は、原料としてZrO、ZrF等を用いることができる。
Nb成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、且つガラスの液相温度を低くすることで耐失透性を高められる任意成分である。従って、Nb成分の含有量を、好ましくは0%超、より好ましくは2.0%以上、さらに好ましくは4.0%以上としてもよい。
他方で、Nb成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを抑えられる。また、Nb成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つ、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。また、これによりアッベ数の低下を抑えられる。従って、Nb成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%未満、さらに好ましくは12.5%未満、さらに好ましくは10.0%未満とする。
Nb成分は、原料としてNb等を用いることができる。
WO成分は、0%超含有する場合に、他の高屈折率成分によるガラスの着色を低減しながら、屈折率を高め、ガラス転移点を低くでき、且つ耐失透性を高められる任意成分である。従って、WO成分の含有量を、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは2.0%以上としてもよい。
他方で、WO成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを抑えられる。また、WO成分によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。従って、WO成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%未満、さらに好ましくは12.5%未満、さらに好ましくは10.0%未満とする。
WO成分は、原料としてWO等を用いることができる。
成分は、0%超含有する場合に、高屈折率及び高アッベ数を維持しながらも、ガラスの材料コストを抑えられ、且つ、他の希土類成分よりもガラスの比重を低減できる任意成分である。従って、Y成分の含有量を、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1.0%以上としてもよい。
他方で、Y成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑えられ、且つガラスの安定性を高められる。また、ガラス原料の熔解性の悪化を抑えられる。従って、Y成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは17.5%未満、さらに好ましくは15.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満とする。
成分は、原料としてY、YF等を用いることができる。
Gd成分及びYb成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められる任意成分である。
しかしながら、Gd成分及びYb成分は原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなるため、Nb成分やWO成分等を低減することによる効果が減殺される。また、Gd成分やYb成分の含有を低減させることで、ガラスのアッベ数の過度の上昇を抑えられる。従って、Gd成分及びYb成分の含有量は、それぞれ好ましくは20.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。特に材料コストを低減させる観点では、これらの成分を含有しないことが最も好ましい。
Gd成分及びYb成分は、原料としてGd、GdF、Yb等を用いることができる。
MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率や熔融性、耐失透性を調整できる任意成分である。特に、BaO成分は、屈折率を高めることができ、また、ガラス原料の熔解性を高められる成分でもある。
このうち、MgO成分、CaO成分及びSrO成分の含有量をそれぞれ15.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えることができ、且つこれらの成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、MgO成分、CaO成分及びSrO成分の含有量は、それぞれ好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
また、BaO成分の含有量を20.0%以下にすることでも、所望の屈折率を得易くでき、且つこれらの成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分は、原料としてMgCO、MgF、CaCO、CaF、Sr(NO、SrF、BaCO、Ba(NO、BaF等を用いることができる。
LiO成分、NaO成分及びKO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの熔融性を改善でき、ガラス転移点を低くできる任意成分である。従って、LiO成分、NaO成分及びKO成分の含有量を、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1.0%以上としてもよい。
このうち、LiO成分を10.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つガラスの失透を低減でき、且つガラスの粘性が高められるため、ガラスの脈理を低減できる。従って、LiO成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは7.5%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは2.5%未満とする。
また、NaO成分及びKO成分の含有量をそれぞれ5.0%以下にすることでも、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つガラスの失透を低減できる。従って、NaO成分及びKO成分の含有量は、それぞれ好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
LiO成分、NaO成分及びKO成分は、原料としてLiCO、LiNO、LiCO、NaCO、NaNO、NaF、NaSiF、KCO、KNO、KF、KHF、KSiF等を用いることができる。
TiO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、且つガラスの液相温度を低くすることで安定性を高められる任意成分である。
他方で、TiO成分の含有量を10.0%以下にすることで、TiO成分の過剰な含有による失透を低減でき、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。また、これによりアッベ数の低下を抑えられる。従って、TiO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
TiO成分は、原料としてTiO等を用いることができる。
Ta成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つ耐失透性を高められる任意成分である。
しかしながら、Ta成分は原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなる。また、Ta成分の含有量を10.0%以下にすることで、原料の熔解温度が低くなり、原料の熔解に要するエネルギーが低減されるため、光学ガラスの製造コストも低減できる。従って、Ta成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満とする、さらに好ましくは0.1%未満とする。特に材料コストを低減させる観点では、Ta成分を含有しないことが最も好ましい。
Ta成分は、原料としてTa等を用いることができる。
成分は、0%超含有する場合に、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる任意成分である。
他方で、P成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性、特に耐水性の低下を抑えられる。従って、P成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
成分は、原料としてAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、BPO、HPO等を用いることができる。
GeO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つ耐失透性を向上できる任意成分である。
しかしながら、GeOは原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなるため、Gd成分やTa成分等を低減することによる効果が減殺される。従って、GeO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。材料コストを低減させる観点で、GeO成分を含有しなくてもよい。
GeO成分は、原料としてGeO等を用いることができる。
Al成分及びGa成分は、0%超含有する場合に、ガラスの化学的耐久性を向上でき、且つ熔融ガラスの耐失透性を向上できる任意成分である。
他方で、Al成分及びGa成分の各々の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Al成分及びGa成分の各々の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Al成分及びGa成分は、原料としてAl、Al(OH)、AlF、Ga、Ga(OH)等を用いることができる。
Bi成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高められ、且つガラス転移点を下げられる任意成分である。
他方で、Bi成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Bi成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Bi成分は、原料としてBi等を用いることができる。
TeO成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高められ、且つガラス転移点を下げられる任意成分である。
他方で、TeOは白金製の坩堝や、熔融ガラスと接する部分が白金で形成されている熔融槽でガラス原料を熔融する際、白金と合金化しうる問題がある。従って、TeO成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
TeO成分は、原料としてTeO等を用いることができる。
SnO成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスの酸化を低減して清澄し、且つガラスの可視光透過率を高められる任意成分である。
他方で、SnO成分の含有量を3.0%以下にすることで、熔融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を低減できる。また、SnO成分と熔解設備(特にPt等の貴金属)の合金化が低減されるため、熔解設備の長寿命化を図れる。従って、SnO成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
SnO成分は、原料としてSnO、SnO、SnF、SnF等を用いることができる。
Sb成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスを脱泡できる任意成分である。
他方で、Sb量が多すぎると、可視光領域の短波長領域における透過率が悪くなる。従って、Sb成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.3%未満、最も好ましくは0.1%以下とする。
Sb成分は、原料としてSb、Sb、NaSb・5HO等を用いることができる。
なお、ガラスを清澄し脱泡する成分は、上記のSb成分に限定されるものではなく、ガラス製造の分野における公知の清澄剤、脱泡剤或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
F成分は、0%超含有する場合に、ガラスのアッベ数を高め、ガラス転移点を低くし、且つ耐失透性を向上できる任意成分である。
しかし、F成分の含有量、すなわち上述した各金属元素の1種又は2種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量が15.0%を超えると、F成分の揮発量が多くなるため、安定した光学恒数が得られ難くなり、均質なガラスが得られ難くなる。また、アッベ数が必要以上に上昇する。
従って、F成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
F成分は、原料として例えばZrF、AlF、NaF、CaF等を用いることで、ガラス内に含有することができる。
Ln成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、15.0%以上60.0%以下が好ましい。
特に、この和を15.0%以上にすることで、ガラスの屈折率及びアッベ数が高められるため、所望の屈折率及びアッベ数を有するガラスを得易くすることができる。従って、Ln成分の質量和は、好ましくは15.0%以上、より好ましくは20.0%超、さらに好ましくは25.0%超、さらに好ましくは30.0%超とする。
他方で、この和を40.0%以下にすることで、ガラスの液相温度が低くなるため、ガラスの失透を低減できる。また、アッベ数の必要以上の上昇を抑えられる。従って、Ln成分の質量和は、好ましくは60.0%以下、より好ましくは55.0%未満、さらに好ましくは45.0%未満、さらに好ましくは37.5%未満とする。
La成分及びY成分の合計量(質量和)は、15.0%以上55.0%以下が好ましい。特に、この和を15.0%以上にすることで、ガラスの屈折率及びアッベ数を高めることが出来る。従って、質量和(La+Y)は、好ましくは15.0%以上、より好ましくは17.0%以上、さらに好ましくは20.0%以上、さらに好ましくは25.0%以上、さらに好ましくは30.0%超とする。
他方で、この質量和を55.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めることで失透を低減できる。従って、質量和(La+Y)は、好ましくは55.0%以下、より好ましくは50.0%以下、さらに好ましくは47.5%以下、さらに好ましくは45.0%以下、さらに好ましくは41.0%未満とする。
成分及びZnO成分の合計量(質量和)は、10.0%以上55.0%以下が好ましい。特に、この和を10.0%以上にすることで、ガラスの屈折率及びアッベ数が高められ、且つ化学的耐久性を改善できる。従って、質量和(Y+ZnO)は、好ましくは10.0%以上、より好ましくは12.0%以上、さらに好ましくは15.0%以上、さらに好ましくは18.0%以上、さらに好ましくは20.0%以上とする。
他方で、この質量和を55.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑えられる。従って、質量和(Y+ZnO)は、好ましくは55.0%以下、より好ましくは50.0%以下、さらに好ましくは45.0%以下、さらに好ましくは40.0%以下、さらに好ましくは38.0%以下とする。
La成分、Y成分、ZnO成分、ZrO成分、Nb成分、及びWO成分の合計量(質量和)は、60.0%以上90.0%以下が好ましい。特に、この和を60.0%以上にすることで、ガラスの屈折率及びアッベ数が高められ、且つ化学的耐久性を改善できる。従って、質量和(La+Y+ZnO+ZrO+Nb+WO)は、好ましくは60.0%以上、より好ましくは65.0%以上、さらに好ましくは70.0%以上、さらに好ましくは72.0%以上、さらに好ましくは73.0%超とする。
他方で、この質量和を90.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めることが出来る。従って、質量和(La+Y+ZnO+ZrO+Nb+WO)は、好ましくは90.0%以下、より好ましくは85.0%以下、さらに好ましくは82.0%以下、さらに好ましくは80.0%以下、さらに好ましくは78.0%以下とする。
La成分、Y成分、ZnO成分、Nb成分、及びWO成分の合計量(質量和)は、60.0%以上85.0%以下が好ましい。特に、この和を60.0%以上にすることで、ガラスの屈折率及びアッベ数が高められ、且つ化学的耐久性を改善できる。従って、質量和(La+Y+ZnO+Nb+WO)は、好ましくは60.0%以上、より好ましくは62.5%以上、さらに好ましくは65.0%以上、さらに好ましくは69.7%超とする。
他方で、この質量和を85.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めることが出来る。従って、質量和(La+Y+ZnO+Nb+WO)は、好ましくは85.0%以下、より好ましくは82.5%以下、さらに好ましくは80.0%以下、さらに好ましくは77.5%以下とする。
及びZnO成分の合計量に対するLa成分、Y成分、Nb成分、及びWO成分の合計量の比率(質量比)は、3.00以下が好ましい。特に、この質量比を0%超にすることで、ガラスの安定性を高めることができる。従って、この質量比を、好ましくは0%超、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.3%以上、さらに好ましくは0.5%以上としてもよい。一方で、この質量比を3.00以下にすることで、ガラスの耐失透性を高め、且つ化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、質量比(La+Y+Nb+WO)/(B+ZnO)は、好ましくは3.00以下、より好ましくは2.50以下、さらに好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.30以下とする。
RnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、10.0%以下が好ましい。特にこの質量和を0%超にすることで、ガラスの溶融性を改善することができ、ガラス転移点を下げることもできる。従って、この質量比を、好ましくは0%超、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.3%以上、さらに好ましくは0.5%以上としてもよい。一方で、この質量和を10.0%以下にすることで、溶融ガラスの粘性の低下を抑えられ、ガラスの屈折率を低下し難くでき、且つガラスの失透を低減できる。従って、RnO成分の質量和は、好ましくは10.0%以下、よりに好ましくは7.5%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは2.5%未満とする。
RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、30.0%以下が好ましい。これにより、屈折率の低下を抑えられ、また、ガラスの安定性を高められる。従って、RO成分の質量和は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは20.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。ただし、Ti、Zr、Nb、W、La、Gd、Y、Yb、Luを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
また、PbO等の鉛化合物及びAs等の砒素化合物は、環境負荷が高い成分であるため、実質的に含有しないこと、すなわち、不可避な混入を除いて一切含有しないことが望ましい。
さらに、Th、Cd、Tl、Os、Be、及びSeの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、これらを実質的に含有しないことが好ましい。
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝に投入し、ガラス原料の熔解難易度に応じて電気炉で1100〜1500℃の温度範囲で2〜5時間熔解させて攪拌均質化した後、適当な温度に下げてから金型に鋳込み、徐冷することにより作製される。
このとき、ガラス原料として熔解性の高いものを用いることが好ましい。これにより、より低温での熔解や、より短時間での熔解が可能になるため、ガラスの生産性を高め、生産コストを低減できる。また、成分の揮発や坩堝等との反応が低減されるため、着色の少ないガラスを得易くできる。
[物性]
本発明の光学ガラスは、高屈折率及び高アッベ数(低分散)を有することが好ましい。特に、本発明の光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.75、より好ましくは1.77、さらに好ましくは1.79を下限とする。この屈折率(n)は、好ましくは1.88、より好ましくは1.86、さらに好ましくは1.84を上限としてもよい。
また、本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは35、より好ましくは36、さらに好ましくは38を下限とする。このアッベ数(ν)は、好ましくは45、より好ましくは44、さらに好ましくは42.5を上限とする。
このような高屈折率を有することで、光学素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。また、このような低分散を有することで、単レンズとして用いたときに光の波長による焦点のずれ(色収差)を小さくできる。そのため、例えば高分散(低いアッベ数)を有する光学素子と組み合わせて光学系を構成した場合に、その光学系の全体として収差を低減させて高い結像特性等を図ることができる。
このように、本発明の光学ガラスは、光学設計上有用であり、特に光学系を構成したときに、高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができ、光学設計の自由度を広げることができる。
本発明の光学ガラスは、620℃以下のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。光学ガラスが620℃以下のガラス転移点を有することで、ガラスがより低い温度で軟化するため、光学ガラスをプレス成形に用いた場合であっても、より低い温度でガラスをプレス成形し易くできる。従って、本発明の光学ガラスのガラス転移点は、好ましくは620℃以下、より好ましくは600℃以下、さらに好ましくは580℃以下とする。
本発明の光学ガラスは、可視光透過率、特に可視光のうち短波長側の光の透過率が高く、それにより着色が少ないことが好ましい。
特に、本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率80%を示す波長(λ80)は、好ましくは420nm、より好ましくは415nm、さらに好ましくは410nmを上限とする。
また、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す最も短い波長(λ)は、好ましくは355nm、より好ましくは350nm、さらに好ましくは345nmを上限とする。
これらにより、ガラスの吸収端が紫外領域又はその近傍になり、可視光に対するガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスを、レンズ等の光を透過させる光学素子に好ましく用いることができる。
本発明の光学ガラスは、比重が小さいことが好ましい。より具体的には、本発明の光学ガラスの比重は5.00以下である。これにより、光学素子やそれを用いた光学機器の質量が低減されるため、光学機器の軽量化に寄与することができる。従って、本発明の光学ガラスの比重は、好ましくは5.00、より好ましくは4.80、好ましくは4.70を上限とする。なお、本発明の光学ガラスの比重は、概ね3.00以上、より詳細には3.30以上、さらに詳細には3.50以上であることが多い。
[プリフォーム材及び光学素子]
作製された光学ガラスから、例えば研磨加工の手段、又は、リヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスに対して研削及び研磨等の機械加工を行ってガラス成形体を作製したり、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
このように、本発明の光学ガラスは、様々な光学素子及び光学設計に有用である。その中でも特に、本発明の光学ガラスからプリフォームを形成し、このプリフォームを用いてリヒートプレス成形や精密プレス成形等を行い、レンズやプリズム等の光学素子を作製することが好ましい。これにより、径の大きなプリフォームの形成が可能になるため、光学素子の大型化を図りながらも、カメラやプロジェクタ等の光学機器に用いたときに高精細で高精度な結像特性及び投影特性を実現できる。
本発明の実施例の組成、並びに、これらのガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)、ガラス転移点(Tg)、分光透過率が5%、80%を示す波長(λ、λ80)、及び比重の結果を表1〜表7に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
本発明の実施例及び比較例のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を選定し、表に示した各実施例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス原料の熔解難易度に応じて電気炉で1100〜1500℃の温度範囲で2〜5時間熔解させた後、攪拌均質化してから金型等に鋳込み、徐冷して作製した。
ここで、実施例及び比較例のガラスの屈折率(n)は、ヘリウムランプのd線(587.56nm)に対する測定値で示した。また、アッベ数(ν)は、上記d線の屈折率と、水素ランプのF線(486.13nm)に対する屈折率(n)、C線(656.27nm)に対する屈折率(n)の値を用いて、アッベ数(ν)=[(n−1)/(n−n)]の式から算出した。なお、本測定に用いたガラスは、徐冷降温速度を−25℃/hrとして、徐冷炉にて処理を行ったものを用いた。
実施例及び比較例のガラスのガラス転移点(Tg)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS08−2003「光学ガラスの熱膨張の測定方法」に従い、温度と試料の伸びとの関係を測定することで得られる熱膨張曲線より求めた。
実施例及び比較例のガラスの透過率は、日本光学硝子工業会規格JOGIS02−2003に準じて測定した。なお、本発明においては、ガラスの透過率を測定することで、ガラスの着色の有無と程度を求めた。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200〜800nmの分光透過率を測定し、λ(透過率5%時の波長)、λ80(透過率80%時の波長)を求めた。
実施例及び比較例のガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05−2015「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定した。




























Figure 0006910702
















Figure 0006910702
















Figure 0006910702
















Figure 0006910702
















Figure 0006910702
















Figure 0006910702
これらの表のとおり、本発明の実施例の光学ガラスは、高価な成分、特に特にTa成分やGd成分を含まないものであり、より安価に得ることが可能である。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、質量和La+Y+ZnOは30.0%以上80.0%以下であり、ガラスの屈折率及びアッベ数を高めつつ、安定性の高いガラスが作製できている。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.75以上、より詳細には1.79以上であるとともに、この屈折率(n)は1.88以下、より詳細には1.84以下であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(ν)は45以下、より詳細には42.5以下であるとともに、このアッベ数(ν)が35以上、より詳細には42.5以上であり、所望の範囲内であった。
従って、本発明の実施例の光学ガラスは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながらも、安定性の高いガラスであることが明らかになった。
加えて、本発明の実施例の光学ガラスは、ガラス転移点(Tg)が620℃以下、より詳細には580℃以下であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、λ80(透過率80%時の波長)がいずれも420nm以下、より詳細には410nm以下であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、λ(透過率5%時の波長)がいずれも355nm以下、より詳細には345nm以下であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも比重が5.00以下、より詳細には4.70以下であった。
このことから、本発明の実施例の光学ガラスは、ガラス転移点が低く、可視光についての透過率が高く、比重が小さいことも推察される。
一方で、比較例の光学ガラスは、ZnO成分が7.21%と少なく、(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内になく、λ80(透過率80%時の波長)が508nmと高い。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (6)

  1. 酸化物換算組成の質量%で、
    成分 10.0〜30.0%未満、
    La成分 15.0〜40.0%未満、
    SiO成分 0〜8.0%未満、
    ZrO成分 0〜5.0%未満、
    ZnO成分 20.29〜35.0%未満
    Nb成分 5.3〜15.0%未満、
    WO成分 4.2〜10.0%未満、
    Gd成分 0〜1.0%未満、
    LiO成分 0.5〜5.0%未満、
    TiO成分 0〜1.0%未満、
    Ta成分 0〜1.0%未満、
    であり、
    酸化物基準での質量和(La+Y+ZnO)が40.0〜80.0%、
    酸化物基準での質量和(La+Y+ZnO+ZrO+Nb+WO)が70.0〜78.0%であり、
    屈折率(nd)が1.75〜1.84であり、アッベ数(νd)が35〜45、
    ガラス転移点(Tg)が567℃以下、
    透過率(λ80)が410nm以下、
    であることを特徴とする光学ガラス。
  2. 酸化物換算組成の質量%で、
    成分 0〜20.0%、
    Yb成分 0〜20.0%、
    MgO成分 0〜15.0%、
    CaO成分 0〜15.0%、
    SrO成分 0〜15.0%、
    BaO成分 0〜20.0%、
    NaO成分 0〜5.0%、
    O成分 0〜5.0%、
    Bi成分 0〜10.0%、
    成分 0〜10.0%、
    Al成分 0〜10.0%、
    Ga成分 0〜10.0%、
    GeO成分 0〜10.0%、
    TeO成分 0〜15.0%、
    SnO成分 0〜3.0%及び
    Sb成分 0〜3.0%
    である請求項1記載の光学ガラス。
  3. 酸化物換算組成の質量比(La+Y+Nb+WO)/(B+ZnO)が3.00以下である請求項1から2のいずれか記載の光学ガラス。
  4. 請求項1から3のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォーム材。
  5. 請求項1からのいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
  6. 請求項5に記載の光学素子を備える光学機器。
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