以下、実施形態の保持装置、マニピュレータ、および搬送システムを、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。さらに、同じ部分を表す場合であっても図面により互いの寸法や比率が異なる場合もある。本明細書で言う「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。さらに、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
また先に、+R方向、−R方向、θ方向、+Z方向、および−Z方向について定義する。+R方向および−R方向は、後述する吸着部10の開口Oの径方向に沿う方向である(図3参照)。+R方向は、開口Oの中心から開口Oの外周側に向かう方向である。−R方向は、+R方向とは反対の方向である。+R方向と−R方向とを区別しない場合は、単に「R方向」と称する。θ方向は、開口Oの外周に沿う周方向であり、R方向とは交差する(例えば略直交する)方向である。+Z方向および−Z方向は、θ方向およびR方向とは交差する(例えば略直交する)方向である。+Z方向は、吸着部10が物品Gを保持した状態で、物品Gから吸着部10に向かう方向である(図5参照)。−Z方向は、+Z方向とは反対の方向である。+Z方向と−Z方向とを区別しない場合は、単に「Z方向」と称する。
(第1の実施形態)
<1.全体構成>
図1から図8を参照し、第1の実施形態のハンドリングロボットシステム100について説明する。ハンドリングロボットシステム100は、「搬送システム」の一例である。本明細書で言う「搬送システム」とは、物品(物体、搬送対象物)Gを移動させるシステムを広く意味し、「物体移載システム」と称されてもよい。物品Gは、例えば、段ボール箱などに入れられた製品でもよく、袋などでパッケージされた製品でもよく、製品そのものでもよい。物品Gは、特定の商品や製品に限定されず、外形を有する物体を広く意味する。
図1は、本実施形態のハンドリングロボットシステム100の構成を示す図である。ハンドリングロボットシステム100は、例えば、マニピュレータ110と、制御装置120と、認識装置130と、搬送装置140とを備える。認識装置130は、積載領域150に積載された複数の物品Gを認識する。制御装置120は、認識装置130の認識結果に基づき、マニピュレータ110を制御する。例えば、制御装置120は、積載領域150に積載された物品Gをマニピュレータ110により保持し、保持した物品Gを搬送装置140に移載するようにマニピュレータ110を駆動する。また、制御装置120は、搬送装置140上に位置する物品Gをマニピュレータ110により保持し、保持した物品Gを積載領域150に移載するようにマニピュレータ110を駆動してもよい。積載領域150は、物品Gが積載あるいは載置される場所である。積載領域150は、例えば、カゴ台車やスチール台車、ボックスパレット、パレット、棚などである。
<2.マニピュレータ>
まず、マニピュレータ110について説明する。マニピュレータ110は、例えば、駆動機構111と、基部112と、保持装置1とを備える。
駆動機構111は、例えば、複数のアーム1111と、複数の関節部1112とを有する。関節部1112は、複数のアーム1111の間、アーム1111と基部112との間、およびアーム1111と保持装置1との間にそれぞれ設けられている。関節部1112は、例えば、モータ、エンコーダ、および減速機などを含む。駆動機構111は、上記モータを駆動させることで、関節部1112に接続された1つの部材に対して、同じ関節部1112に接続された別の部材を相対的に移動(回転または直動)させる。これにより、駆動機構111は、駆動機構111の先端に取り付けられた保持装置1を所望の位置に移動させる。関節部1112は、1軸方向の回転に限定されず、多軸方向の回転を含んでもよい。駆動機構111の一例は、いわゆる垂直多関節型のロボットである。なお、駆動機構111は、3軸(XYZ軸)方向の直動機構と、直動機構に含まれる部材を回転させる関節部(回転軸)とを組み合わせた構成でもよい。駆動機構111は、「移動機構」の一例である。ただし、移動機構は、上記例に限定されない。例えば、「搬送システム」は、ドローンのような搬送装置を有してもよい。この場合、「移動機構」は、複数のプロペラを有して保持装置1を移動させる機構でもよい。
基部112は、駆動機構111の端部を固定する。基部112は、床面や地面に設置される。なお、基部112は、例えば移動可能な台車などであってもよい。この場合、マニピュレータ110は、床面上を移動可能になる。
次に、保持装置1について説明する。図2は、保持装置1の構成を示す図である。保持装置1は、例えば、吸着部10と、圧力調整装置40とを有する。
<2.1 吸着部の構成>
まず、吸着部10の構成について説明する。吸着部10は、保持対象の物品Gに面して物品Gを吸着する開口Oを有する。吸着部10が物品Gを吸着保持することで、マニピュレータ110は物品Gを搬送可能になる。吸着部10は、例えば、基台11、複数の可動部材(可動片)12、複数の回転部13、カバー14、チューブ15A、圧力センサ16A、流量センサ17A、物品センサ18、曲げセンサ19(図7参照)、重量センサ20(図7参照)、および接触センサ21(図7参照)を有する。
図3は、吸着部10の一部構成を示す斜視図である。本実施形態では、吸着部10の開口Oは、大きさ(開口面積)が連続的に変化することができる。例えば、図3中の(a)は、開口Oが大きい状態を示す。図3中の(b)は、開口Oの大きさが中程度の状態を示す。図3中の(c)は、開口Oが小さい状態を示す。以下、このような吸着部10の構成について説明する。
基台11は、例えば、円状または多角形状に形成された板部材である。基台11は、直接または別の部材を介して駆動機構111の先端に取り付けられる。基台11の中央部には、例えば通気孔11aが設けられている。通気孔11aは、基台11をZ方向に貫通している。
複数の可動部材12は、基台11の周縁部に沿ってθ方向に並べられている。複数の可動部材12の−Z方向側の端部の間には、吸着部10の開口Oが形成される。本実施形態では、複数の可動部材12は、基台11に回動可能に連結されている。複数の可動部材12が基台11に対して回動すると、吸着部10の開口Oの大きさが徐々に大きくなったり、徐々に小さくなったりする。
本実施形態では、複数の可動部材12は、互いに連動して動くように構成されている。例えば、複数の可動部材12は、Z方向で互いに一部が重なり合い、互いに接することで連動して動く。複数の可動部材12の間には、後述する減圧装置42によって流体が吸引される減圧空間Sが形成される(図2参照)。減圧空間Sは、開口Oに通じている。
一例について詳しく説明すると、各可動部材12は、+R方向に滑らかな膨らみを持つ薄板部材である。可動部材12は、例えば金属製であるが、これに限らず、合成樹脂やその他の材質で形成されてもよい。可動部材12は、ある程度の剛性を有する部材であれば特に限定されない。また、可動部材12は、ゴムなどの弾性体で形成されてもよい。
各可動部材12は、例えば、第1端部(+Z方向側の端部)12aと、第2端部(−Z方向側の端部)12bと、第3端部12cと、第4端部12dとを有する。
第1端部12aは、後述する回転部13を介して基台11の周縁部に回動可能に連結されている。これにより、可動部材12は、回転部13を支点として回動可能である。第2端部12bは、第1端部12aとは反対側に位置する。複数の可動部材12の第2端部12bは、θ方向に並ぶ。複数の可動部材12の第2端部12bは、互いに協働して開口Oを規定する。なお本明細書において「開口を規定する」とは、可動部材12を覆うカバーが存在する場合、可動部材12を覆うカバーの表面によって開口が規定される場合も含む。本実施形態では、開口Oが最大の状態と開口Oが最小の状態との間に亘って、複数の可動部材12の第2端部12bは、常に互いの一部が重なり合い、開口Oを安定して形成する。
各可動部材12は、例えば、略扇形状に形成され、第2端部12bのθ方向の幅が第1端部12aのθ方向の幅よりも大きい。このような構成によれば、大きな開口Oが形成される場合であっても複数の可動部材12の第2端部12bが互いに一部重なり合いやすく、開口Oをより安定して形成しやすい。
第3端部12cおよび第4端部12dは、可動部材12のθ方向の両端部である。本実施形態では、各可動部材12の第3端部12cは、θ方向で隣に位置する可動部材12の第4端部12dに対して−Z方向側から重ねられている。そして、N枚の可動部材12がθ方向に並べられる場合、N番目の可動部材12の第3端部12cは、1番目の可動部材12の第4端部12dに対して−Z方向側から重ねられている。このような構成によれば、複数の可動部材12は、開口Oが小さくなる場合、互いに重なり量を増やしながらスムーズに回動することができる。
本実施形態では、複数の可動部材12に含まれる1つの可動部材(第1可動部材)12Aが「第1部材」の一例である。複数の可動部材12に含まれる別の可動部材(第2可動部材)12Bが「第2部材」の一例である。第2可動部材12Bは、第1可動部材12Aに対して離れる方向と近付く方向とに移動可能である。第2可動部材12Bが第1可動部材12Aに対して動くことで、第1可動部材12Aと第2可動部材12Bとの間に形成される開口Oの面積が変化する。
なお、複数の可動部材12の形状は、上記例に限定されない。例えば、可動部材12は、略扇形形状に限定されず、直方体形状やその他の形状でもよい。また、複数の可動部材12は、互いに重なり合わなくてもよい。このような場合であっても、例えば後述するカバー14(図4)が設けられることで、複数の可動部材12の間の隙間が塞がれ、複数の可動部材12の間の隙間からの空気漏れを抑制することができる。さらに言えば、ある程度の空気漏れが許容される場合、複数の可動部材12は、カバー14が設けられない場合であっても互いに重なり合わなくてもよい。また、開口Oは、例えば円状であるが、多角形状でもよい。
複数の回転部13は、複数の可動部材12を基台11に対してそれぞれ回動可能に連結している。複数の回転部13は、例えば基台11の周端部に設けられている。ただし、回転部13は、基台11に対して可動部材12を回動可能に連結できればよく、基台11の周端部以外の場所に設けられてもよい。また、回転部13の数も特に限定されない。
本実施形態では、回転部13は、アクチュエータを有さず、外力が作用した場合に可動部材12の回動を許容する受動回転部である。複数の可動部材12は、外力が作用していない状態では、開口Oを開いた状態で、重力の影響により略Z方向に沿う姿勢となる。回転部13の一例は、基台11に設けられた軸受部と、可動部材12に設けられて上記軸受部に支持された回転軸とを有する。なお上記に代えて、回転部13は、可動部材12に設けられた軸受部と、基台11に設けられて上記軸受部により支持される回転軸とを有してもよい。
次に、カバー14について説明する。図4は、吸着部10を示す斜視図である。図4中の(a)は、開口Oが大きい状態を示す。図4中の(b)は、開口Oが小さい状態を示す。
カバー14は、例えば、基台11、複数の可動部材12、および複数の回転部13を一体に覆い、複数の可動部材12の間の隙間、および可動部材12と基台11との間の隙間などを塞いでいる。カバー14は、柔軟性を有する素材で形成され、複数の可動部材12の動き(例えば回動)に追従して変形可能である。カバー14は、例えば、ビニールなど気密性を有した素材で形成されている。なお、カバー14は、ゴムのような弾性体で形成されてもよい。カバー14は、基台11と固定されていてもよく、固定されていなくてもよい。
本実施形態では、吸着部10の開口Oは、カバー14の内側に形成される。カバー14には、基台11の通気孔11aに連通する連通孔14aが設けられている。また、カバー14は、複数の可動部材12および基台11に沿うことで、複数の可動部材12の間に+Z方向に窪む凹部14bを有する(図2参照)。この凹部14bは、上述した減圧空間Sを規定している。この減圧空間Sは、吸着部10が物品Gに接する場合、吸着部10と物品Gとの間に形成される略密閉空間となる。このため、以下の説明では、減圧空間Sを「略密閉空間S」と称することがある。
本実施形態では、カバー14は、袋状に形成されている。すなわち、カバー14は、中空構造を有し、基台11、複数の可動部材12、および複数の回転部13を一体に収容している。カバー14は、カバー14の内部の流体が外部に流出しないように密閉されていることが好ましいが、これに限定されない。カバー14は、袋状に形成されることに代えて、基台11、複数の可動部材12、および複数の回転部13を−Z方向側から覆うシート状に形成されてもよい。また、物品Gをより安定して保持するため、カバー14のなかで物品Gに接する面には、ゴム製の滑り止め部材が設けられてもよい。
次に、図2に戻り、残りの構成について説明する。
チューブ15Aは、例えば円筒状に形成され、流体を流通可能である。チューブ15Aは、チューブ15Aの内部の圧力変化に耐え得る構造が好ましく、例えばウレタン製である。チューブ15Aの一端部は、基台11の通気孔11aに接続されている。すなわち、チューブ15Aは、基台11の通気孔11aおよびカバー14の連通孔14aを通じて、吸着部10の減圧空間Sに連通している。チューブ15Aの他端部は、圧力調整装置40に接続されている。
圧力センサ16Aは、例えばチューブ15Aの経路に設けられ、減圧空間Sの圧力を検出する。流量センサ17Aは、例えば、チューブ15Aを通る流体の流量を検出する。圧力センサ16Aおよび流量センサ17Aの検出結果は、制御装置120に出力される。なお、圧力センサ16Aと流量センサ17Aとのうち一方は省略されてもよい。
物品センサ18は、例えば基台11に設けられている。物品センサ18は、物品Gの位置や形状、物品Gに対する距離などを検出する。物品センサ18は、例えば、光学センサやカメラである。物品センサ18の検出結果は、制御装置120に出力される。
曲げセンサ19(図7参照)は、可動部材12と基台11との間の角度(屈曲度合)を検出する。例えば、曲げセンサ19は、少なくとも1つの可動部材12と基台11とに亘って設けられ、曲がると抵抗値が変化するセンサである。曲げセンサ19の検出結果は、制御装置120に出力される。曲げセンサ19は、「角度検出センサ」の一例である。「角度検出センサ」は、曲げセンサ19に代えて、ポテンショメータなど回転角度計測用のセンサでもよい。
重量センサ20(図7参照)は、吸着部10により吸着保持した物品Gの重さを検出する。接触センサ21(図7参照)は、物品Gに面するカバー14の表面(外面)に設けられ、物品Gに対する吸着部10の接触を検出する。重量センサ20および接触センサ21の検出結果は、制御装置120に出力される。接触センサ21は、「接触状態検出センサ」の一例である。「接触状態検出センサ」は、接触センサ21に代えて、力覚センサまたは近接センサなどでもよい。
<2.2 圧力調整装置の構成>
次に、圧力調整装置40について説明する。圧力調整装置40は、チューブ15Aを通じて、吸着部10と物品Gとの間に形成される略密閉空間Sに連通する。圧力調整装置40は、略密閉空間Sの圧力を変化させることで、吸着部10により物品Gを保持したり、吸着部10により保持した物品Gを吸着部10から解放したりする。
圧力調整装置40は、例えば、加圧装置41と、減圧装置42と、方向切り替え弁43Aとを有する。加圧装置41は、チューブ15Aに流体を供給することにより、上記略密閉空間Sの内部圧力を増加させる。これにより、保持装置1は、吸着保持していた物品Gを解放する。加圧装置41は、例えばコンプレッサである。ただし、加圧装置41は、コンプレッサに限定されず、工場内の空気供給部(空気配管など)から空気を取り込む機構などでもよい。
減圧装置42は、チューブ15Aの内部の流体を吸引することにより、吸着部10の開口Oを通じて外気を吸引可能である。減圧装置42は、吸着部10が物品Gに接した状態でチューブ15Aの内部の流体を吸引することにより、吸着部10と物品Gとの間に形成される略密閉空間Sの内部圧力を低下させる。これにより、保持装置1は、物品Gを吸着保持(例えば真空吸着)することができる。減圧装置42は、「吸引装置」の一例である。減圧装置42は、例えば、真空エジェクタ、真空ポンプ、真空ブロワなどの真空発生器である。なお、減圧装置42は、加圧装置41と真空発生器とを組み合わせて負圧を発生させる機構などでもよい。本明細書でいう「流体」とは、空気だけでなく、例えば空気以外のガスなどでもよく、水や油などの液体でもよい。
方向切り替え弁43Aは、チューブ15Aと接続されている。また、方向切り替え弁43Aは、加圧装置41および減圧装置42に接続されている。方向切り替え弁43Aは、加圧装置41および減圧装置42の各々とチューブ15Aとの接続を切り替える。
圧力調整装置40は、保持装置1の一部として設けられることに代えて、マニピュレータ110の基部112に設けられてもよく、その他の別の位置に設けられてもよい。圧力調整装置40は、吸着部10の基台11に設けられてもよい。吸着部10の基台11は、中空構造に形成されてチューブ15Aを収容してもよい。また、圧力調整装置40は、後述する制御装置120に代えて、保持装置1の制御装置(制御部)91により制御されてもよい。
図5は、保持装置1が物品Gを保持する動作の一例を示す断面図である。図5は、例えば、柔らかい物品Gを保持する場合を示す。図5中の(a)は、保持装置1が物品Gを保持する前の状態を示す。保持装置1は、マニピュレータ110などにより支持され、物品Gに接近する。このとき、可動部材12は、重力の影響で鉛直方向に概ね沿う。保持装置1は、鉛直方向の下方に向いて開口した形状となり、いわゆる「開いた状態」である。「開いた状態」とは、物品Gを挟持していない時の保持装置1の状態を意味する。
図5中の(b)は、マニピュレータ110などの下降動作により保持装置1が物品Gと接触した状態を示す。このとき、各可動部材12は、物品Gの形状とマニピュレータ110の押し付け力とに応じて回動する。その結果、吸着部10の開口Oの形状が物品Gの外形に概ね倣う。例えば、可動部材12が弾性体で形成されていると、吸着部10の開口Oの形状が物品Gの外形により倣いやすい。吸着部10と物品Gとが接触することで、吸着部10と物品Gとの間に略密閉空間Sが形成される。
図5中の(c)は、保持装置1が物品Gを吸引している状態を示す。保持装置1は、チューブ15Aを介して上記略密閉空間Sの流体を吸引することで、略密閉空間Sの内部圧力を低下させ、物品Gを吸着保持する。このとき、略密閉空間Sの内部圧力が大気圧よりも低い状態(例えば真空状態)となることで、大気圧の影響で保持装置1がいわゆる「閉じた状態」となる。「閉じた状態」とは、「開いた状態」に比べて開口Oの大きさが小さくなり、物品Gを挟持している時の保持装置1の状態を意味する。すなわち、上記略密閉空間Sの内部圧力が大気圧よりも低くなることで、各可動部材12は、大気圧により押され、吸着部10の内側に向けて回動する。その結果、保持装置1は、「閉じた状態」になる。保持装置1は、「閉じた状態」に変化することで、物品Gを吸着保持することに加え、複数の可動部材12により物品Gの一部を挟持し、より確実に物品Gを保持する。
図5中の(d)は、保持装置1が物品Gを保持した後の状態を示す。保持装置1は、マニピュレータ110などの上昇動作により物品Gを保持した状態で移動する。このとき、上記略密閉空間Sの内部圧力が十分に低い状態に保たれていれば、圧力調整装置40による流体の吸引動作は停止してもよい。
ただし、保持装置1による物品Gの保持動作は、上記例に限定されない。図6は、保持装置1が物品Gを保持する動作の別の例を示す断面図である。図6は、例えば、硬い物品Gを保持する場合を示す。図6中の(a)は、物品Gが大きい場合である。この場合、保持装置1は、例えば、開口Oが比較的大きく開いたままの状態で物品Gを吸着保持することができる。一方で、図6中の(b)は、物品Gが小さい場合である。この場合、保持装置1は、例えば、上記略密閉空間Sの流体が吸引されることで「閉じた状態」に変化し、開口Oが小さくなった状態で物品Gを吸着保持することができる。
<3.制御装置>
次に、制御装置120について説明する。図7は、制御装置120に関連するシステム構成を示すブロック図である。制御装置120は、例えば、入力部121、コマンド生成部122、目標生成部123、駆動制御部124、ドライバ125、信号処理部126、判定部127、および記憶部128を有する。
入力部121は、マニピュレータ110の動作指令情報を受け付ける。入力部121への入力は、例えば、タッチパネルやモニタなどを介した直接入力でもよいし、離れた場所から無線や有線を介した入力でもよい。無線を通じた入力が行われる場合は、入力部121は、通信部として機能してもよい。通信部は、外部コンピュータやサーバからの動作指令情報を受信する。通信部としては、無線通信装置が好ましいが、それ以外にも通信ネットワークと接続される通信装置でもよい。通信ネットワークとしては、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網などが利用可能である。通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線などの有線でもよく、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網などの無線でもよい。入力部121は、動作指令情報をコマンド生成部122に送信する。または、入力部121には、マイクが設置され、作業者(ユーザ)の音声により動作指令情報が入力されてもよい。入力部121は、ハンドリングロボットシステム100が自動で物品Gを認識して駆動する場合は、必ずしも必要な構成ではない。また、ハンドリングロボットシステム100が各種センサおよび後述する認識装置130の情報に基づいて学習して動作する場合でも、入力部121は必ずしも必要な構成ではない。
コマンド生成部122は、動作指令情報および認識装置130による物品Gの認識結果に基づいて各動作プロセスで必要となる動作手順を動作コマンドとして生成する。コマンド生成部122は、実行される動作コマンドに応じた各動作モード情報を生成する。動作コマンドは、マニピュレータ110の一連の動作に関するコマンドであり、例えばプログラムとしての情報である。動作モード情報は、個別の動作に関する情報である。例えば、保持装置1を「吸引する」や「下降する」といった動作である。コマンド生成部122は、記憶部128に記憶された動作モード情報などを参照可能である。コマンド生成部122は、生成した動作コマンドを目標生成部123へ出力する。また、コマンド生成部122は、動作コマンドの各動作モードと、各動作モードに対応する実際の動作情報とを対応付けて判定部127に出力する。
目標生成部123は、コマンド生成部122から、駆動機構111および保持装置1に対する動作コマンドが入力される。目標生成部123は、駆動機構111および保持装置1に関する目標指令値を生成する。目標指令値は、駆動制御部124に出力される。
駆動制御部124は、目標生成部123から駆動機構111および保持装置1の目標指令値が入力される。駆動制御部124は、入力された目標指令値に応じて駆動機構111および保持装置1を駆動するための駆動指令情報を生成する。駆動指令情報は、ドライバ125へ出力される。
ドライバ125は、駆動制御部124から駆動機構111および保持装置1の駆動指令情報が入力される。ドライバ125は、入力された駆動指令情報に応じた駆動出力を生成する。駆動機構111および保持装置1は、ドライバ125から駆動出力を受信し、駆動機構111内のモータや方向切り替え弁43Aなどを動作させて駆動量を調整する。
信号処理部126は、駆動機構111および保持装置1の駆動による各種センサ(例えば、圧力センサ16A、流量センサ17A、物品センサ18、曲げセンサ19、重量センサ20、接触センサ21)および圧力調整装置40の加圧装置41、減圧装置42、方向切り替え弁43Aからの信号を受信し、それら信号に対して信号増幅処理やアナログデジタル変換処理などを行う。例えば、圧力センサ16Aおよび流量センサ17Aは、方向切り替え弁43Aの動作をセンシングし、センサ信号を生成する。また、圧力センサ16Aは、吸着部10と物品Gとの間に形成される略密閉空間Sの内部圧力をセンシングし、センサ信号を出力する。流量センサ17Aは、略密閉空間Sから吸引された流体の流量をセンシングし、センサ信号を出力する。物品センサ18は、物品Gの位置や形状、物品Gまでの距離をセンシングし、センサ信号を出力する。曲げセンサ19は、基台11に対する可動部材12の屈曲動作をセンシングし、センサ信号を生成する。重量センサ20は、物品Gの重量をセンシングし、センサ信号を生成する。接触センサ21は、物品Gに対する吸着部10の接触状態をセンシングし、センサ信号を生成する。これらのセンサ信号は、例えば電圧値である。信号処理部126は、処理した信号をコマンド生成部122および判定部127に送信する。
判定部127は、信号処理部126で変換されたセンサ信号が入力される。判定部127は、センサ信号に応じて保持装置1の位置や姿勢の調整、物品Gの保持状態などを判定する。例えば、判定部127は、圧力センサ16Aの検出結果に基づき、物品Gに対する吸着部10の吸着状態を判定する。また、判定部127は、流量センサ17Aの検出結果に基づき、略密閉空間Sから吸引される流体の流量に応じて、真空吸着動作が完了する時間を推定可能である。判定部127は、保持装置1の位置や姿勢に基づき、吸着部10に流体を供給して物品Gを解放させるか、または流体を吸引して物品Gを吸着保持するかなどを判定する。
また、判定部127は、コマンド生成部122から動作コマンドに対応する駆動機構111および保持装置1の動作情報を受信する。判定部127は、この動作情報と受信したセンサ信号による情報とを比較する。判定部127は、この比較結果に基づいて駆動機構111および保持装置1の駆動の停止や物品Gの状態に応じた駆動機構111の姿勢補正などの動作コマンドを生成する。判定部127は、コマンド生成部122に対して動作コマンドを修正する戻り値コマンドを出力する。コマンド生成部122は、戻り値コマンドに基づき、入力部121で入力された動作指令情報に適した処理動作が実行されるように動作コマンドを補正する。これにより保持装置1の動作の信頼性および確実性を向上させることができる。
以上説明した制御装置120の各機能部(コマンド生成部122、目標生成部123、駆動制御部124、ドライバ125、信号処理部126、および判定部127)は、少なくとも一部が、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェアプロセッサが不図示の記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらは、認識装置130の計算機134および搬送装置140の搬送制御装置142についても同様である。
記憶部128は、保持対象となる物品Gの形状、重量や柔軟性などの属性データが予め登録されたデータベースDBを記憶している。記憶部128は、例えば、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスクなどの磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−Rなどの光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カードなどのカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROなどの半導体メモリ系などを用いることができる。
本実施形態では、制御装置120は、データベースDBに登録された物品Gの属性データを参照し、物品Gの属性データの内容に応じて動作の細部を調整してもよい。例えば、制御装置120は、物品Gが壊れやすいものである場合、減圧装置42の駆動量を調整し、複数の可動部材12から物品Gに作用する力を抑制してもよい。また、制御装置120は、物品Gを吸着保持後にマニピュレータ110などを上昇動作させる際に、物品Gの属性データを参照し、物品Gの硬さに応じて上昇動作の加速度量や減圧装置42の駆動量を調整してもよい。例えば、制御装置120は、物品Gが柔らかい場合(硬さが閾値以下の場合)、物品Gをゆっくり動かすように加速度量を小さくしてもよい。また、制御装置120は、物品Gが柔らかい場合(硬さが閾値以下の場合)、物品Gが加速により離反しないように、加速度を考慮して減圧装置42の駆動量を大きくしてもよい。
<4.認識装置>
次に、図1に戻り、認識装置130について説明する。認識装置130は、積載領域150に載置された複数の物品Gを認識する。認識装置130は、例えば、第1から第3の画像センサ131,132,133と、計算機134とを有する。
第1から第3の画像センサ131,132,133は、例えば、積載領域150に載置された複数の物品Gに対して斜め前方、上方、斜め後方に位置する。第1から第3の画像センサ131,132,133は、移動可能であってもよい。第1から第3の画像センサ131,132,133は、距離画像センサまたは赤外線ドットパターン投影方式カメラのような三次元位置計測可能なカメラを利用することができる。赤外線ドットパターン投影方式カメラは、赤外線のドットパターンを物品Gに投影し、その状態で積載領域150に載置された物品Gの赤外線画像を撮影する。このようにして撮影された赤外線画像を解析することで物品Gの3次元情報を得ることができる。赤外線ドットパターン投影方式カメラは、カラー画像またはモノクロ画像を撮影可能であってもよい。また、赤外線ドットパターン投影方式カメラの他に、カラー画像またはモノクロ画像を取得するカメラなどの光学センサを含んでいてもよい。画像は、例えば、jpg、gif、pngやbmpなどの一般的に用いられている画像データでもよい。本実施形態では、3つの画像センサ131,132,133が設けられる例について説明したが、画像センサは、1つ以上あればよい。
計算機134は、第1から第3の画像センサ131,132,133から出力されるデータに基づいて物品Gの3次元位置情報を導出する。導出された物品Gの3次元位置情報は、制御装置120へ出力される。これにより、制御装置120は、計算機134により導出された物品Gの3次元位置情報に基づいてマニピュレータ110を制御する。
<5.搬送装置>
次に、搬送装置140について説明する。搬送装置140は、物品Gの移動先または移動元となる場所である。搬送装置140は、例えば、ベルトコンベア141と、搬送制御装置142とを有する。ベルトコンベア141は、所定方向に並べられた複数のローラと、これら複数のローラに巻かれたベルトとを含む。ベルトコンベア141は、複数のローラを所定の方向に回転させることでベルトを駆動し、ベルト上に載置された物品Gを搬送する。搬送制御装置142は、ベルトコンベア141の駆動を制御する。例えば、搬送制御装置142は、ベルトコンベア141の搬送速度や搬送方向を制御する。
なお、搬送装置140は、ベルトコンベア141に限定されず、ローラコンベアやその他のソータなどでもよい。搬送装置140の動作は、予め設定されたプログラムにより搬送制御装置142が自動で制御してもよく。作業者が手動で搬送制御装置142を操作することで制御されてもよい。
<6.動作例>
次に、ハンドリングロボットシステム100を用いた物品Gの動作の一例について説明する。図8は、ハンドリングロボットシステム100の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、搬送装置140の搬送制御装置142は、ベルトコンベア141への物品Gの受け入れ準備が整うと、認識装置130の計算機134に物品位置要求信号を送信する(S101)。計算機134は、搬送制御装置142から物品位置要求信号を受信すると、第1から第3の画像センサ131,132,133を用いて積載領域150上の物品Gの位置認識を開始する(S102)。
計算機134は、第1から第3の画像センサ131,132,133の認識結果に基づき、物品Gが検出されたか否かを判定する(S103)。計算機134は、物品Gが何も検出されない場合(S103:NO)、エラー信号を搬送制御装置142へ送信し(S104)、処理を終了する。一方で、計算機134は、物品Gが検出された場合(S103:YES)、物品Gの位置情報を計測し、計測した位置情報を制御装置120へ送信する(S105)。
制御装置120は、計算機134から物品Gの位置情報を受信すると、受信した位置情報に基づき、マニピュレータ110で移載可能な物品Gの候補(移載候補)について取り出し手順を導出する。そして、制御装置120は、例えばマニピュレータ110を動作させることにより、移載候補の中の一つの物品Gを決定する(S106)。
次に、制御装置120は、保持装置1に物品Gを保持させるためにマニピュレータ110を駆動して保持装置1を物品Gの近傍に移動させ、保持装置1の位置姿勢を決定する。このとき制御装置120は、保持装置1に設けられた物品センサ18により取得した物品Gの位置情報に基づき、開いた状態の保持装置1の姿勢を調整し、保持装置1により物品Gを保持可能であるかを判定する(S107)。
制御装置120は、物品Gを保持可能と判定した場合(S107:YES)、保持装置1で物品Gを保持するために、圧力調整装置40の方向切り替え弁43Aを駆動して減圧装置42とチューブ15Aとを接続する。そして、制御装置120は、減圧装置42を駆動して吸着部10と物品Gとの間に形成される略密閉空間Sの内部圧力を減少させる。これにより、保持装置1は、例えば真空吸着により保持装置1を閉じた状態に遷移させ、物品Gを保持する(S108)。一方で、制御装置120は、物品Gを保持不可能と判定した場合(S107:NO)、保持装置1の姿勢を変更して別の方向から物品Gの近傍にアプローチする。
保持装置1により物品Gを保持した場合、制御装置120は、保持装置1が物品Gを保持した状態で物品Gを搬送可能であるかを判定する(S109)。例えば、制御装置120は、物品Gを持ち上げようとした時に重量センサ20により検出された物品Gの重量や、接触センサ21により検出された吸着部10と物品Gとの間の接触状態などに基づき、S109の判定を行う。
制御装置120は、物品Gが搬送可能と判定された場合(S109:YES)、マニピュレータ110を動作させ、物品Gを搬送装置140のベルトコンベア141上に移動させる(S110)。一方で、制御装置120は、物品Gが搬送不可能と判定された場合(S109:NO)、この物品Gを移載不可物品として登録する。そして、制御装置120は、別の移載候補の物品Gの移載を試みるため、マニピュレータ110により保持装置1を所定の場所に移動させる(S106に戻る)。
制御装置120は、物品Gをベルトコンベア141の上方に移動させた後、物品Gをベルトコンベア141上に載置するため、圧力調整装置40の方向切り替え弁43Aを駆動して加圧装置41とチューブ15Aとを接続する。そして、制御装置120は、加圧装置41を駆動して保持装置1と物品Gとの間に形成された略密閉空間Sの内部を加圧する。例えば、制御装置120は、略密閉空間Sの内部の圧力が所定の圧力以上になるまで、または略密閉空間Sに所定量以上の流体が供給されるまで、加圧装置41を駆動する。これにより、保持装置1が開いた状態に遷移し、吸着部10から物品Gが開放され、物品Gがベルトコンベア141上に移載される(S111)。制御装置120は、物品Gの移載が完了すると、認識装置130に移載完了信号を送信する(S112)。
認識装置130は、積載領域150上に物品Gが残っているか確認するため、積載領域150上の物品Gの検出を再び行い、物品Gが検出されたか否かを判定する(S113)。計算機134は、物品Gが検出された場合(S113:YES)、物品Gの位置情報を計測し、計測した位置情報を制御装置120へ送信する(S114)。その後、S106以降の処理を再び行う。制御装置120は、物品が検出されない場合(S113:NO)、搬送制御装置142に移載完了信号を送信する(S115)。
搬送制御装置142は、移載完了信号を受信すると、ベルトコンベア141を停止して処理が完了する。また、搬送制御装置142は、移載完了信号を受信すると、作業者に知らせる警報などを発してもよい。警報を聞いた作業者は、物品Gが無くなった積載領域150(例えばカゴ台車)を物品Gが積載されている別の積載領域150(例えばカゴ台車)に置き換えてもよい。
以上のような構成の保持装置1によれば、様々な形状の物品Gを安定して保持することができる。すなわち本実施形態では、開口Oの面積を変更可能な吸着部10を有する。このような構成によれば、例えば物品Gの大きさに応じて開口Oの大きさを変化させることで、様々な形状の物品Gを安定して保持することができる。また、開口Oを小さくすることで、物品Gを複数の可動部材12によって挟持することもできる。
本実施形態では、複数の可動部材12が連動して動くことで開口Oの大きさが変わる。このような構成によれば、物品Gの大きさや形状などに応じて、開口Oの大きさを確実に変化させることができる。また、複数の可動部材12が連動して動くことで、開口Oの外形形状が一定の形状(例えば円状)を維持しやすくなる。これにより、物品Gをより安定して保持しやすくなる。
本実施形態では、保持装置1は、吸着部10と物品Gとの間に形成される略密閉空間Sの内部の圧力変化により生じる力を利用して物品Gを保持するため、物品Gに対してよりコンプライアンス性の高い柔軟な保持が可能になる。また本実施形態では、保持装置1は、基台11、複数の可動部材12、複数の回転部13、およびカバー14を主構成とすることで、簡易な構成とすることができる。
本実施形態では、保持装置1は、基台11および複数の可動部材12を覆うカバー14を有する。このような構成によれば、複数の可動部材12の間の隙間がカバー14によって塞がれるため、吸着部10の吸着保持力を高めることができる。また、カバー14を有すると、物品Gの外形に吸着部10がより倣いやすくなるため、様々な形状の物品Gをより安定して保持することができる。
本実施形態では、保持装置1は、圧力センサ16A、流量センサ17A、物品センサ18、曲げセンサ19、重量センサ20、および接触センサ21などの各種センサを備える。これにより、物品Gの載置環境や物品Gの保持状態などの情報を適切に検出することができ、制御装置120による制御に生かすことができる。
本実施形態では、保持装置1は、例えば基台11に物品Gの位置や距離情報を検出する物品センサ18を有する。これにより、物品Gの位置や姿勢をより正確に検出することができる。また、本実施形態では、ハンドリングロボットシステム100は、認識装置130の認識結果と保持装置1の各種センサのセンシング結果とを組合せることにより、さらに正確かつ安定して物品Gを保持することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、可動部材12を能動的に駆動するアクチュエータ51が設けられた点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
図9は、第2の実施形態の保持装置1の構成を示す図である。本実施形態では、吸着部10は、複数の能動回転部50を有する。複数の能動回転部50は、基台11に対して複数の可動部材12を能動的に回動可能に連結している。
複数の能動回転部50は、例えば、基台11と複数の可動部材12との間を回動可能に連結した回転部13と、複数の可動部材12を動かす少なくとも1つのアクチュエータ51(図12参照)とを含む。アクチュエータ51は、複数の可動部材12を動かすことで開口Oの面積を変化させる。アクチュエータ51は、例えば、モータやシリンダ、ソレノイドなどであるが、これらに限定されない。アクチュエータ51の種類は、電動や空圧など何でもよい。アクチュエータ51は、可動部材12に直接に接続されてもよく、別部材を介して可動部材12に接続されていてもよい。アクチュエータ51から可動部材12までの動力伝達は、歯車やベルトプーリなど、駆動力が伝達されれば何でもよい。例えば、アクチュエータ51が基台11と可動部材12との間に設けられる場合、可動部材12と基台11とを接続する回転部13は設けられなくてもよい。なお、能動回転部50の構成例については詳しく後述する。
保持装置1は、能動回転部50により保持装置1の開口Oの大きさを適宜変更可能である。保持装置1は、物品Gの大きさに応じて、予め開口Oの大きさを調整可能である。図10は、保持装置1のいくつかの状態を示す。図10中の(a)は、開口Oが大きい状態を示す。図10中の(b)は、開口Oの大きさが中程度の状態を示す。図10中の(c)は、開口Oが小さい状態を示す。
吸着部10による吸着力は、吸着部10の有効断面積(開口Oの開口面積)と略密閉空間Sの真空度との積に比例する。このため、保持装置1は、物品Gの被吸着面が大きい場合、能動回転部50により保持装置1の開口Oを大きくすることで、より大きな吸着力で物品Gを保持することができる。これにより、重たい物品Gの保持が可能となる。
一方で、保持装置1は、物品Gが小さい場合や細長い場合、能動回転部50により保持装置1の開口Oを小さくすることで、通気漏れを抑制して小さい物品Gを保持することができる。また、開口Oを小さくすれば、小さな開口Oに多くの流量を集中させることができる。これにより、スポンジ材のような物品自体に通気漏れがある物品Gでも、吸着部10による吸着保持が可能となる。
次に、本実施形態のハンドリングロボットシステム100の動作について説明する。図11は、ハンドリングロボットシステム100の動作の一例を示すフローチャートである。なお、物品Gの大きさは、例えば、認識装置130により予め認識されているものとする。
まず、制御装置120は、減圧装置42を駆動し、吸引動作を開始する(S201)。これにより、吸着部10と物品Gとの間に形成された略密閉空間Sの圧力が低下する。次に、制御装置120は、圧力センサ16Aの検出結果に基づき、略密閉空間Sの内部圧力が所望以下に低下したかを判定する(S202)。制御装置120は、略密閉空間Sの内部圧力が所望圧力以下に低下したと判定された場合(S202:YES)、マニピュレータ110を駆動することで、物品Gを搬送する(S203)。
一方で、制御装置120は、略密閉空間Sの内部圧力が所望圧力以下に低下しない場合(S202:NO)、吸引動作を一度停止する(S204)。そして、制御装置120は、マニピュレータ110を駆動することで、保持装置1を少し持ち上げ、保持装置1を物品Gから離す(S205)。これにより、保持装置1を物品Gとの間に、可動部材12を回動させるための隙間が生じる。なお、例えば物品Gが柔らかい場合には、S204やS205の動作は省略することができる。
次に、制御装置120は、アクチュエータ51を駆動することで複数の可動部材12を回動させることで開口Oを小さくする(S206)。そして、制御装置120は、マニピュレータ110を動作させることで、開口Oを小さくした保持装置1を物品Gに近付けて押し付ける(S207)。そして、制御装置120は、減圧装置42を駆動し、吸引動作を再び開始する(S208)。
次に、制御装置120は、圧力センサ16Aの検出結果に基づき、略密閉空間Sの内部圧力が所望以下に低下したかを再び判定する(S209)。制御装置120は、略密閉空間Sの内部圧力が所望圧力以下に低下したと判定された場合(S209:YES)、マニピュレータ110を駆動することで、物品Gを搬送する(S210)。一方で、制御装置120は、略密閉空間Sの内部圧力が所望圧力以下に低下しない場合(S209:NO)、物品Gに対する保持装置1の吸着箇所を変更する動作を行う(S211)。例えば、制御装置120は、保持装置1を物品Gから一度離し、保持装置1の姿勢を変更して異なる角度から物品Gにアプローチする。そして、ステップS201からの処理を繰り返す。
なお上記例に代えて、制御装置120は、第1開口面積の開口Oで物品Gを保持する場合と比べて、第1開口面積よりも小さな第2開口面積の開口Oで物品Gを保持しようとする際に略密閉空間Sの圧力が低下しにくい場合に、第2開口面積に代えて第1開口面積の開口Oで物品Gを保持してもよい。例えば、可動部材12の初期回動量において開口Oの開口面積が100[mm2]で圧力値が−90[kPa]となり、次に可動部材12を回動させて開口Oの開口面積が80[mm2]で圧力値が−40[kPa]となった場合、開口Oの開口面積が100[mm2]となる可動部材12の回動量が選択されてもよい。
次に、能動回転部50の具体的な構成例について説明する。図12は、本実施形態の吸着部10の一例を示す断面図である。この構成例では、吸着部10は、基台11、複数の可動部材12、複数の回転部13、連動機構52、およびアクチュエータ51を有する。基台11、複数の可動部材12、および複数の回転部13の構成は、例えば第1の実施形態と同様である。
連動機構52は、複数の可動部材12に連結され、複数の可動部材12を互いに連動させる。例えば、連動機構52は、各可動部材12に設けられたピン52aと、ピン52aを介して複数の可動部材12に連結されたリンク52bを有する。リンク52bには、各可動部材12の移動を許容するガイド穴52cが設けられている。
アクチュエータ51は、連動機構52に接続され、連動機構52を介して複数の可動部材12を動かす。この構成例では、アクチュエータ51は、シリンダのような直動機構である。ただし、連動機構52およびアクチュエータ51は、これらの例に限定されない。
このような構成によれば、複数の可動部材12を動かすアクチュエータ51が設けられることで、開口Oを任意の大きさに変更可能になる。これにより、物品Gの吸着可能面積に応じて開口Oの大きさを変えることで、種々の大きさの物品Gをより安定して吸着保持することができる。また本実施形態では、保持装置1は、アクチュエータ51による可動部材12の積極的な回動動作で物品Gの挟持も可能である。このため、より多様な物品Gを吸着部10により保持可能でもある。
本実施形態では、吸着部10は、複数の可動部材12を互いに連動させる連動機構52を有する。アクチュエータ51は、連動機構52を介して複数の可動部材12を動かす。このような構成によれば、アクチュエータ51の数を減らすことができ、保持装置1の低コスト化を図ることができる。
なお上記構成に代えて、複数の可動部材12に対して複数のアクチュエータ51が1対1の関係で設けられてもよい。また、複数の可動部材12は、互いに重なり合っておらず、互いに独立して移動可能であってもよい。このような構成によれば、各可動部材12の回動量を個別に調整することができるため、物品Gの外形に対してより適した開口Oの形状を作り出すことができる。これにより、物品Gをより安定して保持することができる場合がある。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。本実施形態は、圧力調整装置40がカバー14の内部からも流体を吸引する点で、第2の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第2の実施形態と同様である。
図13は、本実施形態の保持装置1の構成を示す図である。本実施形態では、カバー14は、基台11、複数の可動部材12、および複数の回転部13を一体に収容する袋状に形成されている。なお上記構成に代えて、複数の可動部材12を分けて収容する複数のカバー14が設けられてもよい。吸着部10は、第1チューブ15Aおよび第1圧力センサ16Aに加えて、第2チューブ15Bおよび第2圧力センサ16Bを有する。
第2チューブ15Bは、例えば円筒状に形成され、流体を流通可能である。第2チューブ15Bの一端部は、カバー14の内部に連通している。第2チューブ15Bの他端部は、圧力調整装置40の第2方向切り換え弁43Bに接続されている。第2方向切り換え弁43Bは、加圧装置41および減圧装置42に接続されている。第2方向切り替え弁43Bは、加圧装置41および減圧装置42の各々と第2チューブ15Bとの接続を切り替える。
第2圧力センサ16Bは、例えば第2チューブ15Bの経路に設けられ、カバー14の内部圧力を検出する。なお、第2圧力センサ16Bに代えて、または第2圧力センサ16Bに加えて、第2流量センサ17Bが設けられてもよい。第2流量センサ17Bは、例えば、第2チューブ15Bを通る流体の流量を検出する。第2圧力センサ16Bおよび第2流量センサ17Bの検出結果は、制御装置120に出力される。
図14は、本実施形態の保持装置1のいくつかの状態を示す断面図である。図14中の(a)は、カバー14の内部が加圧された状態を示す。制御装置120は、カバー14を膨張状態とするため、第2方向切り替え弁43Bを駆動して加圧装置41と第2チューブ15Bとを接続する。そして、制御装置120は、加圧装置41を駆動してカバー14の内部の圧力が所定の圧力になるまで、またはカバー14に流入した流体が所定量になるまで加圧装置41を駆動する。これにより、カバー14は、膨張状態となる。カバー14が膨張状態になると、カバー14の内側で可動部材12の回動動作がスムーズになる。例えば、制御装置120は、第2チューブ15Bからカバー14内に供給された流体によりカバー14がある程度膨張した状態で、アクチュエータ51を駆動することで開口Oの大きさを変えるように複数の可動部材12を回動させる。
図14中の(b)は、カバー14の内部が減圧された状態を示す。制御装置120は、カバー14を縮小状態とするため、第2方向切り替え弁43Bを駆動して減圧装置42と第2チューブ15Bとを接続する。そして、制御装置120は、減圧装置42を駆動してカバー14の内部の圧力が所定の圧力になるまで、またはカバー14から流出する流体が所定量になるまで減圧装置42を駆動する。これにより、カバー14は、縮小状態となる。カバー14が縮小状態になると、可動部材12とカバー14とが密着し、可動部材12の自由な回動動作が抑制される。例えば、複数の可動部材12の位置が固定される。
制御装置120は、例えば、カバー14をある程度縮小させた状態で、第1方向切り替え弁43Aを駆動して減圧装置42と第1チューブ15Aとを接続する。そして、制御装置120は、カバー14をある程度縮小させた状態で、略密閉空間Sを減圧することで、物体Gを吸着保持する。これにより、保持装置1で物品Gを保持して持ち上げた場合に、カバー14の伸び変形を抑制することができ、カバー14の耐久性や寿命の向上を図ることができる。また、可動部材12の自由な回動動作が抑制されると、物品Gを保持した状態の吸着部10の変形が抑制され、より強固に物品Gを吸着保持して搬送可能になる。
また別の動作例として、制御装置120は、複数の可動部材12により物品Gを挟持した後、カバー14を膨張させることで、より安定的に物品Gを保持してもよい。例えば、イチゴなど挟持により潰れて破損する可能性があるものは、カバー14を膨張させることで包み込んで保持してもよい。
本実施形態では、保持装置1は、カバー14の膨張および縮小を制御することで、挟持時において、より多様な物品Gを保持可能となる。また、カバー14を膨張させることで物品Gとカバー14との間の凹凸を少なくすることもできる。この場合、空気漏れをより効果的に抑制することができ、より安定的に物品Gを真空吸着可能となる。
なお、本実施形態は、上記例に限定されない。例えば、第2方向切り替え弁43Bが省略され、第2チューブ15Bは、第1チューブ15Aとともに第1方向切り替え弁43Aに接続されてもよい。
また本実施形態は、第2の実施形態に代えて、第1の実施形態と組み合わされて適用されてもよい。すなわち、本実施形態の吸着部10は、能動回転部50に代えて、回転部13を有してもよい。この場合、制御装置120は、第2チューブ15Bからカバー14内に供給された流体によりカバー14がある程度膨張した状態で、第1方向切り替え弁43Aを駆動して減圧装置42と第1チューブ15Aとを接続する。そして、制御装置120は、減圧装置42により略密閉空間Sを減圧することで、開口Oが小さくなるように複数の可動部材12を回動させてもよい。また、制御装置120は、第2チューブ15Bからカバー14内に供給された流体によりカバー14がある程度膨張した状態で、第1方向切り替え弁43Aを駆動して加圧装置41と第1チューブ15Aとを接続してもよい。そして、制御装置120は、加圧装置41により略密閉空間Sを加圧することで、開口Oが大きくなるように複数の可動部材12を回動させてもよい。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、可動部材12が直動動作する点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
図15は、第4の実施形態の複数の可動部材12を模式的に示す平面図である。図15は、3つの可動部材12が設けられた例を示す。複数の可動部材12は、θ方向に沿って並べられている。各可動部材12は、開口Oの中心に向かって直動可能に基台11に支持されている。各可動部材12は、R方向に沿って、開口Oが徐々に小さくなる方向と、開口Oが徐々に大きくなる方向とに移動可能である。
本実施形態では、アクチュエータ51として、各可動部材12に対応して直動アクチュエータが設けられてもよい。直動アクチュエータは、電動でも空圧でもよい。直動のアクチュエータは、例えば電動モータと送りネジ機構とが組み合わされることで実現されてもよい。また、アクチュエータ51は、一つの回動アクチュエータから歯車やベルトプーリを介して、駆動力を各送りねじ機構に分配して直動動作を実現する構成でもよい。
図16は、本実施形態の複数の可動部材12の具体例を示す平面図である。各可動部材12は、例えば、本体部61と、接続部62と、ピン63とを有する。本体部61には、ガイド溝61aが形成されている。ガイド溝61aには、別の可動部材12の接続部62が挿入される。接続部62は、別の可動部材12のガイド溝61aに沿って移動可能である。本体部61と接続部62とはピン63で連結されている。このような構成によれば、開口Oを小さくする方向に可動部材12を直動させ場合、可動部材12の接続部62が別の可動部材12のガイド溝61aに案内されながら、可動部材12を直動させることができる。これにより、可動部材12の直動動作がより安定しやすくなる。
図17および図18は、第4の実施形態の複数の可動部材12の別の例を模式的に示す平面図である。図17は、4つの可動部材12が設けられた例を示す。図18は、5つの可動部材12が設けられた例を示す。これらのような構成であっても、図15および図16を参照して説明した直動機構を構成することができる。なお、可動部材12の数は、6つ以上でもよい。
図19は、図15から図18に示す直動機構に含まれるアクチュエータ51の例を示す正面図である。この直動機構は、例えば、電動モータ71、べベルギアセット72、複数の送りねじ機構73、および複数の可動部材12を有する。
電動モータ71の駆動軸71aは、べベルギアセット72の第1歯車72aに接続されている。複数の送りねじ機構73のねじ軸73aは、べベルギアセット72の第2歯車72bに接続されている。複数の可動部材12は、複数の送りねじ機構73の移動体73bに取り付けられている。移動体73bは、ねじ軸73aが回転することで直動する。このような構成によれば、電動モータ71が駆動されると、各送りねじ機構73のねじ軸73aが回転し、各可動部材12が直動する。
このような構成によれば、開口Oの大きさを変化させる場合でも、物品Gに対する保持装置1の高さ位置の調整が容易になる。すなわち、第1から第3の実施形態の構成では、開口Oの大きさを変更する場合、可動部材12の回動量に応じて吸着部10の高さが変化する。このため、開口Oの大きさを変更する場合、物品Gに対する保持装置1の高さ位置の調整が必要になる場合がある。また、開口Oの大きさの変更に伴い吸着部10の高さが変化する場合、狭い空間では開口Oを小さくしにくい場合がある。
一方で、本実施形態の構成によれば、複数の可動部材12は、直動動作により開口Oの大きさを変化させる。このため、吸着部10の高さは変化しない。その結果、保持装置1がマニピュレータ110に搭載される場合、可動部材12の動作量を考慮して物品Gに対する保持装置1の位置を調整する必要が無くなり、動作制御の簡便化を図ることができる。また、狭い空間でも開口Oを小さくしやすくなる。
なお、この直動機構は、アクチュエータ51が設けられる場合に限らず、例えば第1の実施形態のように外力(例えば略密閉空間Sと大気圧との圧力差)が作用することで可動部材12が移動する構成にも適用可能である。
次に、いくつかの変形例について説明する。
(第1変形例)
図20は、第1変形例の吸着部10を示す断面図である。本変形例では、可動部材12は、弾性体81を介して基台11に接続されている。弾性体81は、ばねやゴムでもよく、所定の薄さを有する金属板でもよい。可動部材12は、外力が作用した場合またはアクチュエータ51が駆動された場合に、弾性体81が弾性変形することで、基台11に対して回動または直動可能である。このような構成によっても、可動部材12が移動することで、開口Oの大きさを変化させることができる。
(第2変形例)
図21は、第2変形例の基台11および複数の可動部材12を示す下面図である。複数の可動部材12は、例えば、長さが異なる。このような構成によれば、複数の可動部材12を回動させた場合に、楕円状の開口Oを形成することができる。
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明したが、実施形態は上記例に限定されない。例えば、可動部材12は、2つのみでもよい。このような構成でも、2つの可動部材12によって物品Gを挟持することで、物品Gを安定して保持することができる。また、物品Gを挟持する2つの部材の片方は、位置が固定されていてもよい。すなわち、固定された第1部材と、この第1部材に対して相対的に移動可能な第2部材とを有してもよい。このような構成でも、第1部材と第2部材との間に物品Gを挟持することで、物品Gを安定して保持することができる。また、カバー14は省略されてもよい。
上記実施形態では、保持装置1と制御装置120とが別装置として構成された例について説明した。ただし、保持装置1は、制御装置120の機能の一部または全部を、保持装置1の制御装置(制御部)91として有してもよい。また、上記実施形態では、基台11とカバー14とを別々に構成していたが、基台11とカバー14とが予め接着されていてもよいし、基台11とカバー14とが一体構造でもあってもよい。
ハンドリングロボットシステム100は、物品Gが載置された棚などまで自律移動して物品Gのピッキングや検品を行うピッキング装置および検品装置を含んでもよい。また、ハンドリングロボットシステム100は物品Gを入れた荷台を備え、荷台から棚などへ物品Gを品出しする品出し装置や荷入れ装置を含んでもよい。また、ハンドリングロボットシステム100は、カゴ台車などに積載された物品Gを荷降ろしする荷降ろし装置を含んでもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、保持装置は、開口の面積が変わる吸着部を有することにより、様々な物体を保持することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。