JP6898192B2 - 自動車用内外装部材 - Google Patents

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Description

本発明は、特定のポリカーボネート樹脂、特定のヒンダードフェノール系酸化防止剤、ジブチルヒドロキシトルエン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、特定のベンゾトリアゾール系耐光安定剤、及び特定のヒンダードアミン系耐光安定剤を含む熱可塑性樹脂組成物からなる自動車用内外装部材に関する。
従来、芳香族ポリカーボネート樹脂は、優れた耐熱性、耐衝撃性、透明性を有するエンジニアリングプラスチックとして、自動車、OA機器分野などの種々の用途に幅広く使用されている。一方、芳香族ポリカーボネート樹脂は一般的に石油資源から誘導される原料を用いて製造されているが、石油資源の枯渇が危惧されている近年の情勢を考えると、植物などのバイオマス資源から得られる原料を用いたプラスチック成形品の提供が求められている。また、二酸化炭素排出量の増加、蓄積による地球温暖化が、気候変動などをもたらすことが危惧されていることからも、使用後の廃棄処分をしてもカーボンニュートラルな、植物由来モノマーを原料としたプラスチックからのプラスチック成形品の開発が求められており、特に大型成形品の分野においてはその要求は強い。
これに対し、植物由来モノマーを原料とした種々のポリカーボネート樹脂が開発されている。
例えば、植物由来モノマーとしてイソソルビドを使用し、炭酸ジフェニルとのエステル交換により、ポリカーボネート樹脂を得ることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、イソソルビドと他のジヒドロキシ化合物との共重合ポリカーボネートとして、イソソルビドとビスフェノールAを共重合したポリカーボネート樹脂が提案されており(例えば、特許文献2参照)、更に、イソソルビドと脂肪族ジオールとを共重合することにより、イソソルビドからなるホモポリカーボネート樹脂の剛直性を改善する試みがなされている(例えば、特許文献3参照)。
さらにまた、イソソルビドとジヒドロキシ化合物を共重合したポリカーボネート樹脂のうち、2種以上の組成比の異なるポリカーボネート樹脂を混合することで、高い流動性及び耐熱性を有し、射出成形時にフローマーク、タイガーマーク等の成形外観不良が少なく、かつ耐衝撃性が良好な成形品を得られることが知られている(特許文献4参照)。
また、イソソルビドを使用したポリカーボネート樹脂に、ヒンダードアミン系光安定剤を含有したポリカーボネート樹脂組成物から優れた透明性、耐光性、色相を有する成形品が得られることが記載されている(特許文献5参照)。
英国特許第1079686号明細書 特開昭56−55425号公報 国際公開第04/111106号パンフレット 特開2014−208800号公報 国際公開第2011/118768号パンフレット
しかしながら、自動車内外装部材については、耐熱性及び耐光性のさらなる改良が必要となっていた。したがって、特許文献4及び5に記載された成形品についても、自動車内外装部材として使用する際には耐熱性及び耐光性の改良が要求されていた。
すなわち、本発明の目的は上記従来の課題を解決し、優れた耐熱性及び耐光性を有する自動車内外装部材を提供することにある。
本発明者らが検討を行った結果、特定の部位を有するジヒドロキシ化合物由来の構造単位を含有するポリカーボネート共重合体を共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体と溶融混合し、特定のヒンダードフェノール系酸化防止剤、ジブチルヒドロキシトルエン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、特定のベンゾトリアゾール系耐光安定剤、及び特定のヒンダードアミン系耐光安定剤を含む熱可塑性樹脂組成物が、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1]下記の(A)〜(F)成分を含む熱可塑性樹脂組成物からなり、上記熱可塑性樹脂組成物中、(A)成分100重量部に対し、(B)成分が0.09〜0.11重量部、(C)成分が0.001〜0.015重量部、(D)成分が0.04〜0.06重量部、(E)成分が0.09〜0.11重量部、(F)成分が0.09〜0.11重量部である自動車用内外装部材。
(A)共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体の溶融混合物からなるポリカーボネート樹脂組成物であって、上記ポリカーボネート樹脂組成物を構成する複数のカーボネート共重合体は、いずれも2種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成され、上記ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位として、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位、及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位を有し、上記の下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位とシクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位の含有比率が、67/33〜69/31(モル比)であるポリカーボネート樹脂組成物。
(B)分子量1100〜1200のヒンダードフェノール系酸化防止剤。
(C)ジブチルヒドロキシトルエン。
(D)トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト。
(E)融点が190〜210℃であるベンゾトリアゾール系耐光安定剤。
(F)融点が125〜135℃であるヒンダードアミン系耐光安定剤。
Figure 0006898192
[2]上記(F)成分は、ピペリジン構造を有するヒンダードアミン系耐光安定剤である[1]に記載の自動車用内外装部材。
[3]上記(F)成分は、ピペリジン構造を複数有するヒンダードアミン系耐光安定剤である[1]又は[2]に記載の自動車用内外装部材。
[4]上記(F)成分が有する複数のピペリジン構造は、1つのアルカン鎖にエステル結合により連結されている[3]に記載の自動車用内外装部材。
本発明によれば、特定の熱可塑性樹脂組成物を用いるので、優れた耐熱性および耐光性を有する自動車内外装部材を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、本発明において、「重量%」と「質量%」、「重量ppm」と「質量ppm」、及び「重量部」と「質量部」は、それぞれ同義である。
この発明は、特定の成分を所定量含有する熱可塑性樹脂組成物からなる自動車用内外装部材に係る発明である。
〔熱可塑性樹脂組成物〕
上記熱可塑性樹脂組成物は、特定のポリカーボネート樹脂組成物((A)成分)、特定のヒンダードフェノール系酸化防止剤((B)成分)、ジブチルヒドロキシトルエン((C)成分)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト((D)成分)、特定のベンゾトリアゾール系耐光安定剤((E)成分)、及び特定のヒンダードアミン系耐光安定剤((F)成分)を所定量ずつ含む熱可塑性樹脂組成物である。
[(A)成分(ポリカーボネート樹脂組成物)]
(A)成分であるポリカーボネート樹脂組成物は、複数のカーボネート共重合体の溶融混合物からなる樹脂組成物である。
このポリカーボネート樹脂組成物を構成する複数のカーボネート共重合体は、いずれも、2種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成されたカーボネート共重合体、すなわち、これらの2種以上のジヒドロキシ化合物を少なくとも用いて重合することで得られるカーボネート共重合体である。
この2種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位のうち、下記の2種のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも必須構成単位として、上記の複数のカーボネート共重合体の全てに有する。
上記の必須構成単位の1つは、ジヒドロキシ化合物として、下記の一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位(以下、「構造単位(1)」と称する場合がある。)であり、もう1つは、シクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位である。
そして、上記(A)成分は、上記ポリオール成分の共重合比率、具体的には、構造単位(1)と、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位との共重合比率の異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合した混合物である。
Figure 0006898192
<式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物>
上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。
これら式(1)で表されるジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。 これらの式(1)で表されるジヒドロキシ化合物のうち、資源として豊富に存在し、容易に入手可能であり、種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性の面から最も好ましい。
<シクロヘキサンジメタノール>
上記シクロヘキサンジメタノールとしては、具体的には、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
<炭酸ジエステル>
上記のポリカーボネート樹脂は、一般に用いられる重合方法で製造することができ、その重合方法は、ホスゲンを用いた界面重合法、炭酸ジエステルとエステル交換反応させる溶融重合法のいずれの方法でもよいが、重合触媒の存在下に、ジヒドロキシ化合物を、より環境への毒性の低い炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が好ましい。
この場合、上記ポリカーボネート樹脂は、上記の一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物及びシクロヘキサンジメタノールを少なくとも含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応させる溶融重合法により得ることができる。
用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(2)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
Figure 0006898192
上記式(2)において、A及びAは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜18の脂肪族基、又は、置換若しくは無置換の芳香族基である。
上記式(2)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートであり、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、これらの不純物は重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
炭酸ジエステルは、溶融重合に使用した全ジヒドロキシ化合物に対して、0.90〜1.20のモル比率で用いることが好ましく、0.95〜1.10のモル比率で用いることがより好ましく、0.96〜1.10のモル比率で用いることがさらにより好ましく、特に好ましくは、0.98〜1.04のモル比率で用いることがよい。
このモル比率が0.90より小さくなると、製造されたポリカーボネート樹脂の末端ヒドロキシル基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化し、熱可塑性樹脂組成物を成形する
際に着色を招いたり、エステル交換反応の速度が低下したり、所望の高分子量体が得られない可能性がある。
また、このモル比率が1.20より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望とする分子量のポリカーボネート樹脂の製造が困難となるばかりか、製造されたポリカーボネート樹脂中の残存炭酸ジエステル量が増加し、この残存炭酸ジエステルが、成形時、或いは成形品の臭気の原因となり好ましくない場合があり、重合反応時の熱履歴を増大させ、結果的に得られたポリカーボネート樹脂の色相や耐候性を悪化させる可能性がある。
更には、全ジヒドロキシ化合物に対する、炭酸ジエステルのモル比率が増大すると、得られるポリカーボネート樹脂中の残存炭酸ジエステル量が増加し、これらが紫外線を吸収してポリカーボネート樹脂の耐光性を悪化させる場合があり、好ましくない。本発明のポリカーボネート樹脂に残存する炭酸ジエステルの濃度は、好ましくは200重量ppm以下、更に好ましくは100重量ppm以下、特に好ましくは60重量ppm以下、中でも30重量ppm以下が好適である。ただし、現実的にポリカーボネート樹脂は未反応の炭酸ジエステルを含むことがあり、ポリカーボネート樹脂中の未反応の炭酸ジエステル濃度の下限値は通常1重量ppmである。
<エステル交換反応触媒>
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述のようにジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と上記式(2)で表される炭酸ジエステルをエステル交換反応させて製造することができる。より詳細には、エステル交換反応させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒の存在下でエステル交換反応により溶融重合を行う。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造時に使用し得るエステル交換反応触媒(以下、「触媒」と称する場合がある)としては、例えば長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における1族又は2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、好ましくは1族金属化合物及び/又は2族金属化合物が使用される。
1族金属化合物及び/又は2族金属化合物と共に、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
1族金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化
ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられ、中でもセシウム化合物、リチウム化合物が好ましい。
2族金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられ、中でもマグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物が好ましく、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物が更に好ましい。
塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
上記の中でも、第2族金属化合物及びリチウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を触媒として用いるのが、得られるポリカーボネート樹脂の透明性、色相、耐光性等の種々の物性を優れたものとするために好ましい。
また、上記ポリカーボネート樹脂の透明性、色相、耐光性を特に優れたものとするために、触媒が、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが好ましく、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが好ましい。
上記触媒の使用量は、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の場合、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属換算量として、好ましくは0.1〜300μモル、より好ましくは0.1〜100μモル、さらに好ましくは0.5〜50μモル、更により好ましくは1〜25μモルの範囲内である。
上記の中でも2族金属からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、金属換算量として、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モル当たり、好ましくは0.1μモル以上、更に好ましくは0.5μモル以上、特に好ましくは0.7μモル以上とする。また上限としては、好ましくは20μモル、更に好ましくは10μモル、特に好ましくは3μモル、最も好ましくは2.0μモルである。
触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造するのに必要な重合活性が得られず、充分な破壊エネルギーが得られない可能性がある。一方、触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネート樹脂の色相が悪化するだけでなく、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、脆性破壊の起因となる場合があり、目標とする品質のポリカーボネート樹脂の製造が困難になる可能性がある。
<ポリカーボネート樹脂の製造方法>
上記ポリカーボネート樹脂は、上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物及びシクロヘキサンジメタノールとを含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により溶融重合させることによって得られるが、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。
混合の温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも100℃以上120℃以下が好適である。混合の温度が低すぎると溶解速度が遅かったり、溶解度が不足する可能性があり、しばしば固化等の不具合を招き、混合の温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られるポリカーボネート樹脂の色相が悪化し、耐光性に悪影響を及ぼす可能性がある。
上記ポリカーボネート樹脂は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で溶融重合させて製造することが好ましい。
反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
更には、留出するモノマーの量を抑制するために、重合反応器に還流冷却器を用いることは有効であり、特に未反応モノマー成分が多い重合初期の反応器でその効果は大きい。
重合速度を適切に維持し、モノマーの留出を抑制しながら、最終的に得られるポリカーボネート樹脂の色相や熱安定性、耐光性等を損なわないようにするためには、前述の触媒の種類と量の選定が重要である。
上記ポリカーボネート樹脂の製造にあたっては、上記反応器が2つ以上であれば、その反応器中で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせる、連続的に温度・圧力を変えていく、などしてもよい。
上記ポリカーボネート樹脂の製造において、触媒は原料調製槽、原料貯槽に添加することもできるし、反応器に直接添加することもできるが、供給の安定性、溶融重合の制御の
観点からは、反応器に供給される前の原料ラインの途中に触媒供給ラインを設置し、好ましくは水溶液で供給する。
重合条件としては、重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが、得られるポリカーボネート樹脂の色相や耐光性の観点から重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリマーが得られなかったりして結果的に本発明の目的を達成することができない可能性がある。
エステル交換反応の温度は、低すぎると生産性の低下や製品への熱履歴の増大を招き、高すぎるとモノマーの揮散を招くだけでなく、ポリカーボネート樹脂の分解や着色を助長する可能性がある。
上記ポリカーボネート樹脂の製造において、上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物及びシクロヘキサンジメタノールを含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを触媒の存在下、エステル交換反応させる方法は、通常、2段階以上の多段工程で実施される。
エステル交換反応温度が過度に高いと、成形品としたときに色相が悪化し、脆性破壊しやすい可能性がある。エステル交換反応温度が過度に低いと、目標とする分子量が上がらず、また、分子量分布が広くなり、衝撃強度が劣る場合がある。また、エステル交換反応の滞留時間が過度に長いと、脆性破壊しやすい場合がある。滞留時間が過度に短いと、目標とする分子量が上がらず衝撃強度が劣る場合がある。
特にポリカーボネート樹脂の着色や熱劣化あるいはヤケを抑制し、衝撃強度が高い良好なポリカーボネート樹脂を得るには、全反応段階における反応器内温の最高温度が255℃未満、より好ましくは250℃以下、特に225〜245℃であることが好ましい。また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴によるポリカーボネート樹脂の熱劣化を最小限に抑えるために、反応の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
また、1族金属、中でもリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、特にはナトリウム、カリウム、セシウムは、使用する触媒からのみではなく、原料や反応装置から混入する場合があるが、これらの金属がポリカーボネート樹脂中に多く含まれると色相に悪影響を及ぼす可能性があるため、本発明のポリカーボネート樹脂中のこれらの化合物の合計の含有量は、少ない方が好ましく、ポリカーボネート樹脂中の金属量として、通常1重量ppm以下、好ましくは0.8重量ppm以下、より好ましくは0.7重量ppm以下である。
なお、ポリカーボネート樹脂中の金属量は、従来公知の種々の方法により測定可能であるが、湿式灰化等の方法でポリカーボネート樹脂中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Inductively Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することが出来る。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述の通り溶融重合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。
ペレット化の方法は限定されるものではないが、例えば、最終重合反応器からポリカーボネート樹脂を溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させ
る方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸又は二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸又は二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
その際、押出機中で、残存モノマーの減圧脱揮や、通常知られている、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等を添加、混練することも出来る。
押出機中の、溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150〜300℃、好ましくは200〜270℃、更に好ましくは230〜260℃である。溶融混練温度が150℃より低いと、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネート樹脂の熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や、着色、ガスの発生、異物の発生、更にはヤケの発生を招く。上記異物やヤケの除去のためのフィルターは該押出機中あるいは押出機出口に設置することが好ましい。
また、このようにして製造されたポリカーボネート樹脂には、成形時等における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤の1種又は2種以上が配合されていてもよい。
かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸が挙げられる。
かかる熱安定剤は、溶融重合時に添加した添加量に加えて更に追加で配合することができる。即ち、適当量の亜リン酸化合物やリン酸化合物を配合して、ポリカーボネート樹脂を得た後に、後に記載する配合方法で、更に亜リン酸化合物を配合すると、重合時の透明性の低下、着色、及び耐熱性の低下を回避して、更に多くの熱安定剤を配合でき、色相の悪化の防止が可能となる。
これらの熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.2重量部が更に好ましい。
<ポリカーボネート樹脂の物性>
本発明のポリカーボネート樹脂の好ましい物性について、以下に示す。
(ガラス転移温度)
本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、145℃未満である。この範囲を超えてポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が高すぎる場合には、着色し易くなり、衝撃強度を向上させることが困難になるおそれがある。また、この場合には、成形時において金型表面の形状を成形品に転写させる際に、金型温度を高く設定する必要がある。そのため、選択できる温度調節機が制限されてしまったり、金型表面の転写性が悪化したりするおそれがある。
本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、より好ましくは140℃未満、さらに好ましくは135℃未満である。
また、本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は通常90℃以上であり、好ましくは95℃以上である。
本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度を145℃未満とする方法としては、ポリカーボネート樹脂中の構造単位(1)の割合を少なくしたり、ポリカーボネート樹脂の製造に用いるジヒドロキシ化合物として、耐熱性の低い脂環式ジヒドロキシ化合物を選定したり、ポリカーボネート樹脂中のビスフェノール化合物等の芳香族系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合を少なくしたりする方法等が挙げられる。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、後述の実施例に記載の方法で測定されたものである。
(還元粘度)
本発明のポリカーボネート樹脂の重合度は、溶媒としてフェノールと1,1,2,2,−テトラクロロエタンの重量比1:1の混合溶媒を用い、ポリカーボネート樹脂濃度を1.00g/dlに精密に調整し、温度30.0℃±0.1℃で測定した還元粘度(以下、単に「還元粘度」と記す場合がある。)として、好ましくは0.40dl/g以上、更に好ましくは0.42dl/g以上、特に好ましくは0.45dl/g以上であるが、本発明の熱可塑性樹脂組成物の用途によっては、0.60dl/g以上、更には0.85dl/g以上のものが好適に用いられる場合がある。また、本発明のポリカーボネート樹脂の還元粘度は、好ましくは2.0dl/g以下、更に好ましくは1.7dl/g以下、特に好ましくは1.4dl/g以下である。ポリカーボネート樹脂の還元粘度が過度に低いと、機械的強度が弱くなる場合があり、ポリカーボネート樹脂の還元粘度が過度に高いと、成形する際の流動性が低下し、サイクル特性を低下させ、成形品の歪みが大きくなり熱により変形し易い傾向がある。
[ポリカーボネート樹脂の混合]
本発明の(A)成分は、共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合したものである。この溶融混合の温度としては、溶融押出口の樹脂温度として、235℃〜245℃がよく、238℃〜242℃が好ましい。この範囲とすることにより、ポリカーボネート樹脂の着色や熱劣化あるいはヤケを抑制し、衝撃強度が高い良好なポリカーボネート樹脂混合物を得ることができる。
この共重合比率の異なる複数のカーボネート共重合体のそれぞれの共重合比率の範囲や、複数のポリカーボネート共重合体の混合比率は、混合後に得られるポリカーボネート樹脂混合物の共重合比率(異なるカーボネート共重合体を混合比率で平均した共重合比率)が、所定の範囲を満たす条件で適宜選択される。この混合後に得られるポリカーボネート樹脂混合物の共重合比率としては、構造単位(1)とシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の合計量(モル数)に対する構造単位(1)の量(モル数)は、67モル%以上であり、好ましくは、67.5モル%以上である。さらにその上限は、69モル%以下であり、好ましくは68.5モル%以下である。また、上記合計量(モル数)に対するシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の量(モル数)は、31モル%以上であり、好ましくは31.5モル%以上である。さらに、その上限は、33モル%以下であり、32.5モル%以下である。
上記合計量(モル数)に対する構造単位(1)の量が56モル%より少ない(上記合計量(モル数)に対するシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の量が44モル%より多い)と、耐熱性が低下するという問題点を生じる場合がある。一方、上記合計量(モル数)に対する構造単位(1)の量が69モル%より多い(上記合計量(モル数)に対するシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の量が31モル%より少ない)と、耐衝撃性が低下するという問題点を生じる場合がある。
[(B)成分(特定のヒンダードフェノール系酸化防止剤)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の(A)成分に(B)成分として、特定の分子量
を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤が含有される。
上記のヒンダードフェノール系酸化防止剤の分子量は、1100以上は必須で、1120以上が好ましい。1100より小さいと、酸化劣化防止効果が低いという問題点を有する場合がある。一方、分子量の上限は、1200がよく、1180が好ましい。1200より大きいと、樹脂組成物としての相溶性が悪いという問題点を有する場合がある。
この分子量1100〜1200のヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等の化合物が挙げられる。
(B)成分の配合量は、上記(A)成分100重量部に対して、0.09重量部以上がよく、0.094重量部以上が好ましく、0.096重量部以上がより好ましい。0.09重量部以上配合されると、耐面衝撃性、耐衝撃性の改良効果が向上しやすいために好ましい。一方、(B)成分の配合量の上限は、0.11重量部以下がよく、0.108重量部以下が好ましく、0.106重量部以下がより好ましい。0.11重量部以下だと、この発明に係る自動車用内外装部材である成形品の外観や耐熱性の観点で好ましい。
[(C)成分(ジブチルヒドロキシトルエン)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記の(A)成分に(C)成分として、ジブチルヒドロキシトルエンが配合される。これを配合することにより、耐候試験時の分子量低下抑制、すなわち耐候性の向上という特徴を発揮することができる。
本発明の(A)成分100重量部に対する(C)成分の含有量は、0.001重量部以上がよく、0.0015重量部以上が好ましい。0.001重量部より少ないと、耐候試験時の分子量低下抑制効果が充分ではないという問題点を生じる場合がある。一方、(C)成分の含有量の上限は、0.015重量部以下がよく、0.01重量部以下が好ましい。0.015重量部より多いと、金型付着物が増加するという問題点を生じる場合がある。
[(D)成分(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の(A)成分に(D)成分として、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが配合される。
この(D)成分の配合量は、上記(A)成分100重量部に対して、0.04重量部以上がよく、0.045重量部以上が好ましい。0.04重量部以上配合されると、耐面衝撃性、耐衝撃性の改良効果が向上しやすいために好ましい。一方、(D)成分の配合量の上限は、0.06重量部以下がよく、0.055重量部以下が好ましい。0.06重量部以下だと、この発明に係る自動車用内外装部材である成形品の外観や耐熱性の観点で好ましい。
((E)成分(所定の融点を有するベンゾトリアゾール系耐光安定剤))
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記の(A)成分に(E)成分として、所定の融点を有するベンゾトリアゾール系耐光安定剤が配合される。これを配合することにより、耐候試験時の分子量低下抑制という特徴を発揮することができる。
上記のベンゾトリアゾール系耐光安定剤の融点は、190℃以上が必須で、192℃以上が好ましい。190℃より低いと、耐光性能が低くなるという問題点を有する場合がある。一方、融点の上限は、210℃以下がよく、208℃以下が好ましい。210℃より大きいと、樹脂組成物としたときの相溶性が悪くなるという問題点を有する場合がある。
融点が190〜210℃のベンゾトリアゾール系耐光安定剤のより具体的な例としては、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール]、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルなどが挙げられる。
本発明の(A)成分100重量部に対する(E)成分の配合量は、0.09重量部以上がよく、0.095重量部以上が好ましい。0.09重量部より少ないと、着色剤の変色防止効果が充分でないという問題点を生じる場合がある。一方、(E)成分の含有量の上限は、0.11重量部以下がよく、0.105重量部以下が好ましい。0.11重量部より多いと、金型付着物が増加するという問題点を生じる場合がある。
[(F)成分(所定の融点を有するヒンダードアミン系耐光安定剤)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記の(A)成分に(F)成分として、所定の融点を有するヒンダードアミン系耐光安定剤が配合される。これを配合することにより、耐候試験時の分子量低下抑制という特徴を発揮することができる。
上記のヒンダードアミン系耐光安定剤の融点は、125℃以上が必須で、127℃以上が好ましい。125℃より低いと、耐光性能が悪くなるという問題点を有する場合がある。一方、融点の上限は、135℃以下がよく、133℃以下が好ましい。135℃より大きいと、樹脂組成物としての相溶性が悪くなるという問題点を有する場合がある。
融点が125〜135℃であるヒンダードアミン系耐光安定剤としては、窒素が環式構造の一部となっている構造を有するものが好ましく、ピペリジン構造を有するものであることがより好ましい。ここで規定するピペリジン構造には、飽和6員環状のアミン構造となっていれば如何なる構造であっても構わず、ピペリジン構造の一部が置換基により置換されているものも含む。該ピペリジン構造が有していてもよい置換基としては、炭素数4以下のアルキル基があげられ、特にはメチル基が好ましい。アミン化合物としては、更には、ピペリジン構造を複数有する化合物が好ましく、ピペリジン構造を複数有する場合、それらのピペリジン構造が1つのアルカン鎖にエステル構造により連結されている化合物が好ましい。このようなヒンダードアミン系耐光安定剤の具体例として、特に下記式(3)で表される化合物があげられる。
Figure 0006898192
本発明の(A)成分100重量部に対する(F)成分の含有量は、0.09重量部以上がよく、0.095重量部以上が好ましい。0.09重量部より少ないと、着色剤の変色防止効果が充分でないという問題点を生じる場合がある。一方、(F)成分の含有量の上限は、0.11重量部以下がよく、0.105重量部以下が好ましい。0.11重量部より多いと、金型付着物が増加するという問題点を生じる場合がある。
[熱可塑性樹脂組成物の製造方法]
上記の(A)成分〜(F)成分の混合方法としては、例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合・混練する方法、或いは、例えば塩化メチレン等の共通の良溶媒に溶解させた状態で混合する溶液ブレンド方法等があるが、これは特に限定されるものではなく、通常用いられるブレンド方法であればどのような方法を用いてもよい。
具体的には、例えばペレット状の上記の(A)成分と各種成分を押出機を用いて混合し、ストランド状に押出し、回転式カッター等でペレット状にカットすることにより本発明の熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
こうして得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各成分が混合され、直接に、或いは溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、押出成形法、射出成形法、圧縮成形法等の通常知られている成形方法で、所望形状に成形することができる。
〔ポリカーボネート樹脂成形品〕
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形することにより、本発明の自動車用内外装部材を得ることができる。
好ましくは、本発明の自動車用内外装部材は、射出成形法により成形されたものである。
この場合には、複雑な形状の本発明の自動車用内外装部材が作成可能となる。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。まず、評価方法について説明する。
<評価方法>
(1)荷重たわみ温度の測定
熱可塑性樹脂組成物のペレットを、熱風乾燥機を用いて、80℃で6時間乾燥した。次に、乾燥したポリカーボネート共重合体又は樹脂組成物のペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:J75EII型)に供給し、樹脂温度240℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒間の条件で、機械物性用ISO試験片を成形した。上記で得られた機械物性用ISO試験片について、ISO75に準拠し、荷重1.80MPaでの荷重たわみ温度を測定した。
(2)耐光性試験(ΔE
JIS B7753に準拠してスガ試験機社製サンシャインウェザオメーターS80を用いて、サンシャインカーボンアーク(ウルトラロングライフカーボン4対)光源で放電電圧50V、放電電流60Aに設定し、照射及び表面スプレ(降雨)にてブラックパネル温度63℃、相対湿度50%の条件下、射出成形片の平板(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)の正方形の面に対して、700時間及び1000時間照射処理を行った。表面スプレー(降雨)時間は、12分/1時間とした。ガラスフィルターはAタイプを用いた。JIS Z 8722に準拠し、照射処理後のLを測定し、試験前の値からΔEを求めた。
(3)総合判定
荷重撓み温度94℃以上、かつ耐光性試験(ΔE)2.2以下の場合を○、それ以外を×とした。
<原材料>
(ポリカーボネート樹脂混合物((A)成分)用材料)
・ISB・・・イソソルビド、ロケットフルーレ社製:POLYSORB。
・CHDM・・・シクロヘキサンジメタノール、イーストマン社製。
・D7340R・・・イソソルバイドポリカーボネート(ISB/CHDM=70/30)、三菱化学(株)製。
・D5380R・・・イソソルバイドポリカーボネート(ISB/CHDM=50/50)、三菱化学(株)製。
<分子量1100〜分子量1200のヒンダードフェノール系酸化防止剤(B成分)>
・Irganox1010・・・ぺンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、 BASF社製。
<ジブチルヒドロキシトルエン(C成分)>
・BHT・・・ジブチルヒドロキシトルエン(APIコーポレーション社製、ヨシノックスBHT)。
<トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(D成分)>
・AS2112・・・トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ADEKA社製
<融点が190〜210℃であるベンゾトリアゾール系耐光安定剤(E成分)>
・LA31・・・2,2‘−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール]、ADEKA社製
<上記以外のベンゾトリアゾール耐光安定剤>
・LA−29・・・2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、ADEKA社製
<融点が125〜135℃であるヒンダードアミン系耐光安定剤(F成分)>
・LA57・・・HALS(ADEKA社製、LA−57、下記式(3)で示される化合物)。
Figure 0006898192
<上記以外のヒンダードアミン系耐光安定剤>
・Tinuvin770DF・・・HALS(BASF社製、TINUVIN770DF、下記式(4)で示される化合物)
Figure 0006898192
(実施例1〜2)
表1に示す(A)成分のペレットを用い、さらに、表1に示す熱可塑性樹脂組成物配合で各成分を配合し、さらに、Solvent Green 3、Solvent Red 179、Solvent Blue 97、Solvent Violet 36を混合し、熱可塑性樹脂組成物のL値が1.2となるようした。その後、2つのベント口を有する日本製鋼所社製2軸押出機(LABOTEX30HSS−32)を用いて、押出機出口の樹脂温度が250℃になるようにストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。この際、ベント口は真空ポンプに連結し、ベント口での圧力が500Paになるように制御した。得られた熱可塑性樹脂組成物について、上記の方法により荷重撓み温度(1.80MPa)、耐光性試験(ΔE)を測定・評価した。その結果を表1に示す。
(比較例1〜3)
表1に示す(A)成分のペレットを用い、さらに、表1に示す熱可塑性樹脂組成物配合で各成分を配合した以外は、実施例1と同様に行い、熱可塑性樹脂組成物の製造と評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006898192

Claims (4)

  1. 下記の(A)〜(F)成分を含む熱可塑性樹脂組成物からなり、
    上記熱可塑性樹脂組成物中、(A)成分100重量部に対し、(B)成分が0.09〜0.11重量部、(C)成分が0.001〜0.015重量部、(D)成分が0.04〜0.06重量部、(E)成分が0.09〜0.11重量部、(F)成分が0.09〜0.11重量部である自動車用内外装部材。
    (A)共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体の溶融混合物からなるポリカーボネート樹脂組成物であって、
    上記ポリカーボネート樹脂組成物を構成する複数のカーボネート共重合体は、いずれも2種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成され、
    上記ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位として、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位、及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位を有し、
    上記の下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位とシクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位の含有比率が、67/33〜69/31(モル比)であるポリカーボネート樹脂組成物。
    (B)分子量1100〜1200のヒンダードフェノール系酸化防止剤。
    (C)ジブチルヒドロキシトルエン。
    (D)トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト。
    (E)融点が190〜210℃であるベンゾトリアゾール系耐光安定剤。
    (F)融点が125〜135℃であるヒンダードアミン系耐光安定剤。
    Figure 0006898192
  2. 上記(F)成分は、ピペリジン構造を有するヒンダードアミン系耐光安定剤である請求項1に記載の自動車用内外装部材。
  3. 上記(F)成分は、ピペリジン構造を複数有するヒンダードアミン系耐光安定剤である請求項1又は2に記載の自動車用内外装部材。
  4. 上記(F)成分が有する複数のピペリジン構造は、1つのアルカン鎖にエステル結合により連結されている請求項3に記載の自動車用内外装部材。
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