JP6893962B2 - コンクリート壁の補強構造 - Google Patents
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Description
引用文献1−3には、コンクリート壁に孔を削孔したのち、孔に充填材を充填し、孔に補強部材を挿入し、充填材を硬化させることにより、補強部材とコンクリート壁とを結合させ、コンクリート壁のせん断力を補強することが提案されている。
孔に充填された充填材に隙間が生じた状態で硬化すると、補強部材とコンクリート壁との結合強度が低下するため、コンクリート壁の補強強度を確保する上で改善の余地がある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、補強強度を確保する上で有利なコンクリート壁の補強構造を提供することにある。
また、本発明は、コンクリート壁の表面から直線状に削孔された直線部分と、前記直線部分の底面から前記直線部分の延在方向と直交する方向に延在する凹部とを備える孔を設け、前記孔に挿入される補強部材と、前記補強部材に結合され前記孔に充填された充填材を圧縮する充填材圧縮用部材とを設け、前記補強部材は、直線状に延在しその基部に雄ねじが設けられた直線部と、前記基部と反対側の前記直線部の先部に設けられ前記直線部と共に前記孔に挿入可能なU字状のフック部とで構成され、前記U字状のフック部は、前記先部と同軸上を延在する第1直線部と、前記第1直線部と離れた箇所で前記第1直線部と対向しつつ平行して延在する第2直線部と、前記雄ねじが設けられた前記基部と反対側に位置する前記第1直線部の端部と前記第2直線部の端部とを接続する前記雄ねじが設けられた前記基部と反対方向に凸の半円状に湾曲された湾曲部とで構成され、
前記第2直線部は前記凹部に収容可能で、前記第2直線部が前記凹部に収容された状態で前記湾曲部と反対に位置する前記第2直線部の端部は、前記底面に対向する方向に向いた前記凹部の壁面に係止可能であり、前記充填材圧縮用部材は、前記孔に挿入可能で前記孔を閉塞する大きさを有しその中心に前記直線部が挿通される挿通孔が形成された閉塞板と、前記雄ねじに螺合可能な雌ねじが形成され前記挿通孔よりも大きい輪郭の雌ねじ部材とを有することを特徴とする。
したがって、充填材を圧縮することにより、充填材に部分的に生じていた隙間が解消されるため、充填材の充填率を高めることができる。
そのため、補強部材とコンクリート壁との結合強度を高めることができ、コンクリート壁の補強強度を確保する上で有利となる。
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。
本実施の形態では、コンクリート壁が、地中に埋設されることにより鉄道用の地下トンネルを構成するボックスカルバートの側壁である場合について説明する。
なお、本発明は、掘割道路、擁壁や橋梁アバットなどの従来公知の様々なコンクリート構造物を構成する側壁や底壁、天井壁などの壁部に適用可能である。
削孔される孔14の直径は、後述する補強部材16が挿入可能な大きさとされ、孔14の長さは、補強部材16の全長よりも若干大きい寸法とされる。
穿孔装置としては、ドリル装置、コアボーリング装置、ウォータジェット穿孔装置など従来公知の様々な装置が使用可能である。
補強部材16は、直線状に延在する棒状の鉄筋1602と、充填材18(図1(C))に定着する定着部材1604とを備えている。
鉄筋1602は、孔14に挿入される側の先部と反対に位置する基部16Aに雄ねじ1610が形成されている。
本実施の形態では、鉄筋1602として、予め全長にわたって雄ねじ1610が形成されたねじ節鉄筋を用いている。
定着部材1604は、鉄筋1602の先部に設けられ、鉄筋1602の断面形状よりも大きく、かつ、孔14に挿入可能な断面形状を有している。
補強部材16は、その先部が孔14の奥部に当接した状態で、その基部16Aは孔14の内部で開口14A寄りに位置している。
充填材18としては、コンクリート、モルタル、あるいは、接着剤が使用可能である。
なお、充填材18の孔14への充填は、上述したように補強部材16を孔14に挿入したのちに行っても良いし、補強部材16を孔14に挿入する前に充填材18を孔14に充填しておき、次いで、補強部材16を充填材18が充填された孔14に挿入するようにしてもよい。
図3に示すように、充填材圧縮用部材20は、本実施の形態では、孔14に挿入可能で孔14を閉塞する大きさの外径の閉塞板21で構成されている。
閉塞板21の中心に鉄筋1602の雄ねじ1610と螺合する雌ねじ2102が設けられている。
したがって、充填材圧縮用部材20の補強部材16の基部16Aへの取り付けは、充填材圧縮用部材20の雌ねじ2102を鉄筋1602の雄ねじ1610に螺合することでなされる。
なお、充填材圧縮用部材20は、上述のような図3に示す閉塞板21で構成されていてもよいし、あるいは、図4、図5に示す充填材圧縮用部材20であってもよい。
このように充填材圧縮用部材20が2つの部材で構成されている場合、圧縮工程において、閉塞板22の補強部材挿通孔2202に補強部材16が挿通され、雌ねじ部材24は閉塞板22の孔14の開口14A側に配置されて雌ねじ2402が雄ねじ1610に螺合され、雌ねじ部材24を回転させることで閉塞板22を補強部材16の軸方向に沿って孔14の奥部側に移動させる。
図5に示す充填材圧縮用部材20は、圧縮工程において、雌ねじ部材24を回転させることで閉塞板22を補強部材16の軸方向に沿って孔14の奥部側に移動させることは図4に示す充填材圧縮用部材20と同様であるが、図5に示す充填材圧縮用部材20では、充填材充填用孔2220を有するため、挿入工程の前に充填材圧縮用部材20を予め補強部材16に組み付けておくことができる。
この閉塞板22に充填材充填用孔2220を設ける構成は、図3に示す充填材圧縮用部材20にも適用可能である。
何れの場合も、圧縮工程において充填材圧縮用部材20の移動に伴い補強部材16が孔14から出る方向に変位すると、充填材18に対して作用する圧力が低下してしまう。
充填材18を圧縮することにより、充填材18に混入していた空気が抜けて充填材18に部分的に生じていた隙間が解消され、充填材18の充填率が高まる。
そこで、図2(B)に示すように、開口14A側の孔14の内部Sに、図2(C)に示すように、修復材26を充填することで補強部材16の基部16Aおよび補強部材16を埋設する(修復工程)。
このように修復材26で補強部材16の基部16Aおよび充填材圧縮用部材20を埋設すると、補強部材16の基部16Aおよび充填材圧縮用部材20の劣化や腐食の防止を図る上で有利となる。
また、側壁10の外側面12の孔14が埋設され平坦面とされることで、外側面12の美観の向上を図る上で有利となる。
修復材26としては、エポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂は防水性に優れているため、補強部材16を構成する鉄筋1602の腐食、劣化を防止する上で有利となる。
また、修復材26として、コンクリートやモルタルを用いても良い。コンクリートやモルタルは耐熱性、耐火性に優れているため、火災が想定される環境下において耐久性を確保する上で有利となる。
したがって、充填材18を圧縮することにより、充填材18に部分的に生じていた隙間が解消されるため、充填材18の充填率が高められた状態で充填材18が硬化する。
そのため、補強部材16と側壁10との結合強度を高めることができ、側壁10の補強強度を確保する上で有利となる。
また、以上の効果を補強部材16にねじ結合された充填材圧縮用部材20を設けるといった簡単な構成により確実に達成でき、側壁10の補強強度を低コストで向上させる上で有利となる。
次に、図6、図7を参照して第2の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態においては、第1の実施の形態と同様の部分、部材については第1の実施の形態と同様の符号を付してその説明を省略する。
第2の実施の形態は、補強部材16として先部に半円状に湾曲されたフック部1620Bを有する鉄筋1620を用いると共に、鉄筋1620に対応した孔14を削孔する点が第1の実施の形態と異なっている。
すなわち、図6(B)に示すように、補強部材16は、直線状に延在する直線部1620Aと、直線部1620Aの先部に設けられたフック部1620Bとを備える鉄筋1620で構成され、フック部1620Bは、充填材18に定着する定着部として機能する。
その際、補強部材16の全長よりも若干長い寸法の孔14を直線状に削孔したのち、孔14の底面から孔14の延在方向と直交する方向にフック部1620Bを収容する凹部28を削孔する。
直線状の孔14の削孔は、第1の実施の形態と同様に、ドリル装置、コアボーリング装置、ウォータジェット削孔装置など従来公知の様々な削孔装置を用いて行なうことができる。
また、凹部28の削孔は、孔14の延在方向と直交する方向に高圧水を噴射する噴射部を有するウォータジェット削孔装置を用いて行なうことができる。
より詳細には、補強部材16をフック部1620Bから孔14に挿入し、フック部1620Bの中間部が孔14の底面に当接したならば、フック部1620Bが凹部28に収容されるように補強部材16を直線部1620Aの周方向に回転して位置決めする。
なお、この第2の実施の形態でも充填工程後に挿入工程を行なっても良い。
充填材18を圧縮することにより、充填材18に混入していた空気が抜けて充填材18に部分的に生じていた隙間が解消され、充填材18の充填率が高まる。
そこで、図7(B)に示すように、開口14A側の孔14の内部Sに、図7(C)に示すように、修復材26を充填することで補強部材16の基部16Aおよび補強部材16を埋設する(修復工程)。
このように修復材26で補強部材16の基部16Aおよび充填材圧縮用部材20を埋設すると、補強部材16の基部16Aおよび充填材圧縮用部材20の劣化や腐食の防止を図る上で有利となる。
また、フック部1620Bの先端を凹部28の壁面2802に係止するように構成しておくと、圧縮工程において、補強部材16の開口14A側への移動が規制されるため、作業性の向上を図る上で有利となる。
12 外側面
14 孔
14A 開口
16 補強部材
16A 基部
1602 鉄筋
1604 定着部材
1610 雄ねじ
1620 鉄筋
18 充填材
20 充填材圧縮用部材
21、22 閉塞板
2102 雌ねじ
2220 充填材充填用孔
2222 キャップ
24 雌ねじ部材
2402 雌ねじ
26 修復材
Claims (3)
- コンクリート壁の表面から直線状に削孔された直線部分と、前記直線部分の底面から前記直線部分の延在方向と直交する方向に延在する凹部とを備える孔を設け、
前記孔に挿入される補強部材と、前記補強部材に結合され前記孔に充填された充填材を圧縮する充填材圧縮用部材とを設け、
前記補強部材は、直線状に延在しその基部に雄ねじが設けられた直線部と、前記基部と反対側の前記直線部の先部に設けられ前記直線部と共に前記孔に挿入可能なU字状のフック部とで構成され、
前記U字状のフック部は、前記先部と同軸上を延在する第1直線部と、前記第1直線部と離れた箇所で前記第1直線部と対向しつつ平行して延在する第2直線部と、前記雄ねじが設けられた前記基部と反対側に位置する前記第1直線部の端部と前記第2直線部の端部とを接続する前記雄ねじが設けられた前記基部と反対方向に凸の半円状に湾曲された湾曲部とで構成され、
前記第2直線部は前記凹部に収容可能で、前記第2直線部が前記凹部に収容された状態で前記湾曲部と反対に位置する前記第2直線部の端部は、前記底面に対向する方向に向いた前記凹部の壁面に係止可能であり、
前記充填材圧縮用部材は、前記孔に挿入可能で前記孔を閉塞する大きさの閉塞板と、前記閉塞板の中心に形成され前記雄ねじに螺合可能な雌ねじとを有する、
ことを特徴とするコンクリート壁の補強構造。 - コンクリート壁の表面から直線状に削孔された直線部分と、前記直線部分の底面から前記直線部分の延在方向と直交する方向に延在する凹部とを備える孔を設け、
前記孔に挿入される補強部材と、前記補強部材に結合され前記孔に充填された充填材を圧縮する充填材圧縮用部材とを設け、
前記補強部材は、直線状に延在しその基部に雄ねじが設けられた直線部と、前記基部と反対側の前記直線部の先部に設けられ前記直線部と共に前記孔に挿入可能なU字状のフック部とで構成され、
前記U字状のフック部は、前記先部と同軸上を延在する第1直線部と、前記第1直線部と離れた箇所で前記第1直線部と対向しつつ平行して延在する第2直線部と、前記雄ねじが設けられた前記基部と反対側に位置する前記第1直線部の端部と前記第2直線部の端部とを接続する前記雄ねじが設けられた前記基部と反対方向に凸の半円状に湾曲された湾曲部とで構成され、
前記第2直線部は前記凹部に収容可能で、前記第2直線部が前記凹部に収容された状態で前記湾曲部と反対に位置する前記第2直線部の端部は、前記底面に対向する方向に向いた前記凹部の壁面に係止可能であり、
前記充填材圧縮用部材は、前記孔に挿入可能で前記孔を閉塞する大きさを有しその中心に前記直線部が挿通される挿通孔が形成された閉塞板と、前記雄ねじに螺合可能な雌ねじが形成され前記挿通孔よりも大きい輪郭の雌ねじ部材とを有する、
ことを特徴とするコンクリート壁の補強構造。 - 前記コンクリート壁は、鉄道用の地下トンネルを構成するボックスカルバートの側壁である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のコンクリート壁の補強構造。
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