JP2022095293A - 射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物及び射出成形体 - Google Patents

射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物及び射出成形体 Download PDF

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真範 丸山
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Abstract

【課題】ヒンジ特性と低温耐衝撃性が優れた射出成形体と、その製造に適した射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の提供。
【解決手段】プロピレン・エチレン共重合体からなる連続相と、エチレン・αオレフィン共重合体からなるゴム相とを含むポリプロピレン系樹脂(成分A)と、必要に応じて、別のエチレン・αオレフィン共重合体(成分B)と、核剤(成分C)とを含有し、成分Aの含有割合が90~100質量%であり、MFRが0.1g/10分以上10g/10分未満であり、成分Aを構成する各共重合体が所定の物性を満たす、射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物及び射出成形体に関する。
ポリプロピレンは、耐衝撃性、剛性、透明性、耐薬品性、耐熱性等の物性とそのバランスに優れることから容器等の樹脂材料として使用されている。例えば、特許文献1には、食品容器を成形するのに適したポリプロピレン組成物が開示されている。
特開2019-157084号公報
食品容器や蓋付きケースはヒンジ部を備えるものがある。ヒンジ部には屈曲を繰り返すことに対する耐性(ヒンジ特性)が高いことが求められる。特許文献1のポリプロピレン組成物は透明性と柔軟性に優れた食品容器の成形に適したものとなっているが、そのヒンジ特性の向上が求められている。また、冷蔵庫や冷凍庫に保管するために、低温耐衝撃性が高いことも求められている。
本発明は、ヒンジ特性と低温耐衝撃性が優れた射出成形体と、その製造に適した射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を提供する。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] プロピレン単独重合体を任意に含むプロピレン・エチレン共重合体からなる連続相と、エチレン・αオレフィン共重合体からなるゴム相とを含むポリプロピレン系樹脂(A)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の温度230℃、荷重2.16kgでのMFRが0.1g/10分以上10g/10分未満であり、前記ポリプロピレン系樹脂(A)の含有割合が前記ポリプロピレン系樹脂組成物の総質量に対して90~100質量%であり、前記ポリプロピレン系樹脂(A)のキシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が0.8~1.5dl/gであり、前記ポリプロピレン系樹脂(A)の温度230℃、荷重2.16kgでのMFRが0.1g/10分以上10g/10分未満であり、前記プロピレン単独重合体を任意に含むプロピレン・エチレン共重合体中のエチレン由来単位含有量が、前記プロピレン単独重合体を任意に含むプロピレン・エチレン共重合体の総質量に対して0.1~10質量%であり、前記αオレフィンの炭素数は3~10であり、前記エチレン・αオレフィン共重合体中のエチレン由来単位含有量が、前記エチレン・αオレフィン共重合体の総質量に対して70~85質量%であり、前記ポリプロピレン系樹脂(A)の質量に対する、前記エチレン・αオレフィン共重合体の含有割合が10~50質量%である、射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
[2] 前記プロピレン単独重合体を任意に含むプロピレン・エチレン共重合体の温度230℃、荷重2.16kgでのMFRが0.1g/10分以上10g/10分未満である[1]に記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
[3] 前記ポリプロピレン系樹脂(A)を構成する前記エチレン・αオレフィン共重合体とは別に、さらにエチレン・αオレフィン共重合体(B)を含み、前記エチレン・αオレフィン共重合体(B)の温度190℃、荷重2.16kgでのMFRが0.1g/10分以上40g/10分以下であり、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の総質量に対する前記エチレン・αオレフィン共重合体(B)の含有割合が、10質量%以下である[1]又は[2]に記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
[4] さらに核剤(C)を含み、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の総質量に対する前記核剤(C)の含有割合が、0.5質量%以下である[1]又は[2]に記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
[5] 前記プロピレン単独重合体を任意に含むプロピレン・エチレン共重合体と前記エチレン・αオレフィン共重合体とは重合によって混合され、前記ポリプロピレン系樹脂は、下記(ア)~(ウ)の成分を含む触媒を用いて製造された重合混合物である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
(ア)マグネシウム、チタン、ハロゲン、及び電子供与体化合物を含有する固体触媒
(イ)有機アルミニウム化合物
(ウ)外部電子供与体化合物である有機ケイ素化合物
[6]前記電子供与体化合物がフタレート系化合物若しくはスクシネート系化合物である[5]記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
[7] [1]~[6]のいずれか1項に記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形して得られた射出成形体。
[8] 前記射出成形が射出ブロー成形以外の射出成形である[7]に記載の射出成形体。
本発明の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、高い流動性を有するので、ヒンジ部等の複雑な形状を有する金型に対しても射出成形時に金型内への充填不足を起こしにくい。射出成形で得られる射出成形体はヒンジ特性と低温耐衝撃性に優れる。
実施例で作製したヒンジ付きBOXが開いた状態の外観である。 ヒンジ付きBOXのヒンジ部の折り曲げ前の断面写真である。 ヒンジ付きBOXのヒンジ部の折り曲げ後の断面写真である。
<ポリプロピレン系樹脂組成物>
本発明の第一態様の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物(以下、「ポリプロピレン系樹脂組成物」と略す。)は、プロピレン単独重合体を任意に含むプロピレン・エチレン共重合体からなる連続相と、エチレン・αオレフィン共重合体からなるゴム相とを含むポリプロピレン系樹脂(A)(以下、成分(A)ともいう)を含有する。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂(A)を構成する前記エチレン・αオレフィン共重合体とは別に、さらにエチレン・αオレフィン共重合体(B)を含んでもよい。また、ポリプロピレン系樹脂組成物は、さらに核剤(C)を含んでもよい。
ポリプロピレン系樹脂組成物の温度230℃、荷重2.16kgでのMFRは、0.1g/10分以上10g/10分未満であり、下限値として0.3g/10分以上が好ましく、0.5g/10分以上がより好ましく、1.0g/10分以上がさらに好ましい。また、上限値として8.0g/10分以下が好ましく、7.0g/10分以下がより好ましく、5.0g/10分以下がさらに好ましく、4.0g/10分以下が特に好ましい。
ここで、前記MFRは後述する測定方法で測定された値である。
前記範囲の下限値以上であると、射出成形性が向上する。
前記範囲の上限値未満又は以下であると、射出成形体のヒンジ特性と低温耐衝撃性をより高めることができる。
ポリプロピレン系樹脂(A)の含有割合は、ポリプロピレン系樹脂組成物の総質量に対して、90~100質量%であり、92~99質量%であることが好ましい。
前記範囲の下限値以上であると、射出成形体のヒンジ特性と剛性をより高めることができる。
[ポリプロピレン系樹脂(A)]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に含有されるポリプロピレン系樹脂(A)は、JIS K6921-1で規定される耐衝撃性ポリプロピレンポリマーの一態様であり、プロピレン単独重合体を任意に含むプロピレン・エチレン共重合体からなる連続相(以下、「成分(1)」ともいう。)と、その連続相の中に分散相として存在するエチレン・αオレフィン共重合体からなるゴム相(以下、「成分(2)」ともいう。)を含む二つ以上の相で構成される。
ポリプロピレン系樹脂(A)は、成分(1)と成分(2)とが重合時に混合された混合樹脂(重合混合物)であってもよいし、別々に得られた成分(1)と成分(2)とが、溶融混練によって混合された混合樹脂であってもよいが、以下の理由から、成分(1)と成分(2)とが重合時に混合されたもの(重合混合物)であることが好ましい。
重合混合物では、成分(1)と成分(2)とがサブミクロンオーダーで混じり合うことが可能であるため、重合混合物をベースとしたポリプロピレン系樹脂組成物は、剛性や低温耐衝撃性など優れた機械物性バランスを示すとともに、良好なヒンジ特性を示す。
一方、別々に得られた成分(1)と成分(2)とを溶融混練して得た単なる機械混合物で同様な均一混合を実現して優れた機械物性バランスを得る場合には、貯蔵・保管・移送・計量・混合・溶融混練等の別工程を経る必要性から一般的には製造コストが高くなり、エネルギーコストの観点からも好ましくない。しかし、後述のように成分(B)として特定のエチレン・αオレフィン共重合体を特定の割合で含む場合には、製造コストやエネルギーコストを抑制しつつ、剛性や低温耐衝撃性など優れた機械物性バランスを示すとともに、良好なヒンジ特性を示すことができる。
なお、重合混合物と機械混合物とが異なる物性を示す場合があるのは、成分(1)中の成分(2)の分散状態が異なっているためと推測されるが、成分(2)の成分(1)との界面の状態を含めた分子レベルでの分散状態を分析する現実的手段は現状知られていない。
ポリプロピレン系樹脂(A)の製造方法については後で詳しく説明する。
ポリプロピレン系樹脂(A)のキシレン可溶分の極限粘度(以下、「XSIV」ともいう。)は、0.8~1.5dl/gであり、0.9~1.4dl/gが好ましく、1.0~1.3dl/gがより好ましく、1.0~1.2dl/gがさらに好ましい。
前記範囲の下限値以上であると、ポリプロピレンとしての製造を容易に行うことができる。
前記範囲の上限値以下であると、射出成形体のヒンジ特性をより高めることができる。
ここで、XSIVは、135℃のテトラヒドロナフタレン中での測定値である。キシレン可溶分は、ポリプロピレン系樹脂の試料をo-キシレン中、135℃で溶解させた後、25℃に冷却し、その冷却した溶液を、濾紙を用いて濾過し、濾液を蒸発乾固して得られる成分である。
ポリプロピレン系樹脂(A)を構成する成分(1)の温度230℃、荷重2.16kgでのMFRは、下限値として0.1g/10分以上が好ましく、0.5g/10分以上がより好ましく、1.0g/10分以上がさらに好ましい。また、上限値として10g/10分未満が好ましく、8.0g/10分以下がより好ましく、7.0g/10分以下がさらに好ましく、5.0g/10分以下が特に好ましく、4.0g/10分以下が最も好ましい。ここで前記MFRは、後述する測定方法で測定された値である。
前記範囲の下限値以上であると、射出成形を容易に行うことができる。
前記範囲の上限値未満又は以下であると、射出成形体のヒンジ特性をより高めることができる。
ポリプロピレン系樹脂(A)を構成する成分(1)中のエチレン由来単位含有量(以下、「C2a」ともいう。)は、前記成分(1)の総質量に対して0.1~10質量%であり、下限値として0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましく、2.0質量%以上が特に好ましい。また、上限値として7.0質量%以下が好ましく、6.0質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下がさらに好ましく、4.0質量%以下が特に好ましい。
前記範囲の下限値以上であると、射出成形体のヒンジ特性をより高めることができる。
前記範囲の上限値以下であると、射出成形体の剛性をより高めることができる。
C2aは、13C-NMR法によって測定される。
ポリプロピレン系樹脂(A)を構成するエチレン・αオレフィン共重合体は、エチレン由来単位とαオレフィン由来単位を有する共重合体である。
前記αオレフィンの炭素数は3~10であり、3~6が好ましく、3又は4がより好ましく、4がさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A)を構成するエチレン・αオレフィン共重合体中のエチレン由来単位含有量(以下、「C2b」ともいう。)は、前記エチレン・αオレフィン共重合体の総質量に対して、70~85質量%であり、下限値として72質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましい。また、上限値として83質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
前記範囲の下限値以上であると、射出成形体のヒンジ特性をより高めることができる。
前記範囲の上限値以下であると、射出成形体の低温耐衝撃性をより高めることができる。
C2bは、13C-NMR法によって測定される。
ポリプロピレン系樹脂(A)の総質量に対する、エチレン・αオレフィン共重合体の含有割合は、10~50質量%である。下限値として12質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。また、上限値として48質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40重量%以下がさらに好ましい。
前記範囲の下限値以上であると、射出成形体の低温耐衝撃性をより高めることができる。
前記範囲の上限値以下であると、ポリプロピレン系樹脂(A)製造時に粉体流動性悪化により生産設備上での流路が閉塞するリスクを低減できるので、ポリプロピレン系樹脂(A)を安定的に連続生産することができる。また、射出成形体の剛性を高めることができる。
ポリプロピレン系樹脂(A)の温度230℃、荷重2.16kgでのMFRは、0.1g/10分以上10g/10分未満であり、下限値して0.3g/10分以上が好ましく、0.5g/10分以上がより好ましく、1.0g/10分以上がさらに好ましい。また、上限値として8.0g/10分以下が好ましく、7.0g/10分以下がより好ましく、5.0g/10分以下がさらに好ましく、4.0g/10分以下が特に好ましい。ここで、前記MFRは後述する測定方法で測定された値である。
前記範囲の下限値以上であると、射出成形性が向上する。
前記範囲の上限値未満又は以下であると、射出成形体の低温耐衝撃性をより高めることができる。
[エチレン・αオレフィン共重合体(B)]
ポリプロピレン系樹脂(A)とは別にさらに添加してもよい任意成分であるエチレン・αオレフィン共重合体(B)は、エチレンと炭素数3~10のαオレフィンとの共重合体である。αオレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられる。
具体的なエチレン・αオレフィン共重合体(B)としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ペンテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、低温耐衝撃性の改良効果に加え、原料としての調達容易性や経済性等を考慮すると、エチレン・ブテン共重合体またはエチレン・オクテン共重合体が好ましい。
エチレン・αオレフィン共重合体(B)のMFRは、190℃、2.16kgの荷重で、0.1~40g/10分である。下限値として0.5g/10分以上が好ましく、0.8g/10分以上がより好ましい。また、上限値として30g/10分以下が好ましく、20g/10分以下がより好ましく、10g/10分以下がさらに好ましく、5g/10分以下が最も好ましい。
前記範囲の下限値以上であると、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の流動性が高まる。
前記範囲の上限値以下であると、前記ポリプロピレン系樹脂組成物におけるブロッキングの発生を抑制し、当該組成物の連続生産を高めることができる。また、射出成形体の低温耐衝撃性が高まる。
エチレン・αオレフィン共重合体(B)の含有割合は、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の総質量に対して10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、0質量%がさらに好ましい。
前記範囲の上限値以下で含有すると、射出成形体の剛性を高めることができる。
[核剤(C)]
核剤(C)は、結晶核剤あるいは造核剤とも呼ばれ、樹脂中の結晶成分のサイズを小さく制御して透明性を高める、さらには結晶成分量を増やし剛性を向上させるために用いられる添加剤である。結晶核剤の例としては、ノニトール系核剤、ソルビトール系核剤、リン酸エステル系核剤、トリアミノベンゼン誘導体系核剤、カルボン酸金属塩系核剤、キシリトール系核剤、およびロジン系核剤等の有機系核剤等が挙げられる。
溶融樹脂の冷却固化を促進することから、透明性や剛性の付与とは別に、射出成形時の成形工程でのサイクル時間短縮を目的として用いることも可能である。結晶核剤は特に限定されず、当該分野で通常使用されるものを使用してよいが、リン酸エステル系核剤、ノニトール系核剤、ソルビトール系核剤、トリアミノベンゼン誘導体核剤、カルボン酸金属塩系核剤、及びキシリトール系核剤またはロジン系核剤等の有機系結晶核剤から選択されることが好ましく、特にリン酸エステル系核剤が好ましい。リン酸エステル系核剤として、例えば、リン酸2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ナトリウム塩、リン酸-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)アルミニウム塩、リン酸-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)リチウム塩等の芳香族リン酸エステル系核剤が挙げられる。ノニトール系核剤として、例えば、1,2,3―トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトールが挙げられる。ソルビトール系核剤として、例えば、1,3:2,4-ビス-o-(3,4-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトールが挙げられる。トリアミノベンゼン誘導体系核剤として、例えば、1,3,5-トリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)ベンゼン等が挙げられる。カルボン酸金属塩系核剤としては、例えば、アジピン酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、アジピン酸アルミニウム、セバシン酸ナトリウム、セバシン酸カリウム、セバシン酸アルミニウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸アルミニウム、ジ-パラ-t-ブチル安息香酸アルミニウム、ジ-パラ-t-ブチル安息香酸チタン、ジ-パラ-t-ブチル安息香酸クロム、ヒドロキシ-ジ-t-ブチル安息香酸アルミニウムなどが挙げられる。
キシリトール系核剤として、例えば、ビス-1,3:2,4-(5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-2-ナフトアルデヒドベンジリデン)1-アリルキシリトール、ビス-1,3:2,4-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)1-プロピルキシリトールが挙げられる。ロジン系核剤は、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸等のロジン酸と、カルシウム、マグネシウム等の金属との反応で得られるロジン酸金属塩化合物又はロジン酸部分金属塩化合物であり、例えばロジン酸部分カルシウム塩が挙げられる。結晶核剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、リン酸エステル系核剤、トリアミノベンゼン誘導体系核剤が好ましい。結晶核剤および後述するその他の成分を添加する場合は、重合により得られた重合体、結晶核剤、およびその他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、ブラベンダー等で撹拌した後、押出機を用いて180℃から280℃で溶融ブレンドする事により本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。結晶核剤やその他の添加剤の添加は、重合、残留モノマー除去、乾燥工程を経た後、連結された押出機を用いて行ってもよい。また本発明においては、高濃度の結晶核剤をポリプロピレンと溶融混練した、いわゆるマスターバッチを射出成形時にポリプロピレン系樹脂組成物に混合してもよい。この際、当該マスターバッチに含まれるキャリアは後述するその他の成分に該当する。
核剤(C)の含有割合は、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の総質量に対して0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0質量%がさらに好ましい。
前記範囲の上限値を超えて含有しても、射出成形体の剛性の向上は頭打ちであり、経済性の観点から好ましくない。
[その他の成分]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、任意成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリプロピレン系樹脂(A)、エチレン・αオレフィン共重合体(B)以外の合成樹脂又は合成ゴム、無機充填材、核剤(C)以外の添加剤が含まれてもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物が含有してもよいポリプロピレン系樹脂(A)、エチレン・αオレフィン共重合体(B)以外の合成樹脂または合成ゴムは1種のみでもよいし、2種以上でもよい。含有量は公知の量としてよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物が含有してもよい無機充填材としては、物質の観点から、例えばタルク、カオリナイト、クレー、バイロフィライト、セリナイト、ウォラストナイト、マイカ等の天然珪酸または珪酸塩;含水珪酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸等の合成珪酸または珪酸塩;沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物;酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の酸化物が挙げられる。また、形状の観点から、例えば、含水珪酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸等の合成珪酸または珪酸塩等の粉末状充填材;タルク、カオリナイト、クレー、マイカ等の板状充填材;塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、セピオライト、PMF(Processed Mineral Filler)、ゾノトライト、チタン酸カリウム、およびエレスタダイト等のウィスカー状充填材;ガラスバルン、フライアッシュバルン等のバルン状充填材;ガラスファイバー等の繊維状充填材が挙げられる。当該無機充填材として1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの充填材の分散性を向上させるため、必要に応じて無機充填材の表面処理を行ってもよい。本発明に用いる無機充填材は限定されないが、射出成形体の剛性および低温耐衝撃性を高める観点から、板状無機充填材が好ましい。板状無機充填材としてはタルク、カオリナイト、クレー、マイカ等の公知のものを使用できるが、ポリプロピレン系樹脂との親和性や原料としての調達容易性や経済性等を考慮すると、好ましくはタルク、マイカであり、さらに好ましくはタルクである。板状無機充填材の体積平均粒子径は、好ましくは1~10μm、より好ましくは2~7μmである。前記体積平均粒子径は、レーザ回折法(JIS R1629に基づく)によって体積基準の積算分率における50%径として測定できる。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物が含有してもよい無機充填材は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。含有量は公知の量としてよいが、本発明の効果としてのヒンジ特性に加え、透明性や光沢等の外観特性を低下させない観点において、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の総質量に対して0.5質量%以下が好ましく、0質量%がさらに好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物が含有してもよい核剤(C)以外の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、中和剤、耐候剤、顔料(有機または無機)、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、可塑剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展等が挙げられる。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物が含有してもよい核剤(C)以外の添加剤は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。含有量は公知の量としてよい。
<ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法>
第一態様のポリプロピレン系樹脂組成物を製造する方法としては、ポリプロピレン系樹脂(A)と、任意成分のエチレン・αオレフィン共重合体(B)と、任意成分の核剤(C)とを混合した後、溶融混練する方法が挙げられる。
混合方法としては、ヘンシェルミキサー、タンブラーおよびリボンミキサー等の混合機を使用してドライブレンドする方法が挙げられる。
溶融混練方法としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等の混合機を用いて溶融しながら混合する方法が挙げられる。溶融混練する場合の溶融温度は160~350℃であることが好ましく、170~260℃であることがより好ましい。溶融混練した後でさらにペレット化してもよい。
[ポリプロピレン系樹脂(A)の製造方法]
ポリプロピレン系樹脂(A)は、成分(1)と成分(2)とを重合時に混合して得てもよいし、別々に製造された成分(1)と成分(2)とを溶融混練によって混合して得てもよい。
ポリプロピレン系樹脂(A)は、成分(1)と成分(2)とが重合時に混合された重合混合物であることが好ましい。また、射出成形体のヒンジ特性をより一層高める観点からすると、成分(1)は、プロピレン単独重合体を実質的に含まず、プロピレン・エチレン共重合体のみからなることが好ましい。例えば、成分(1)の総質量に対するプロピレン単独重合体の含有量は、0.5質量%以下が好ましい。
前記重合混合物の製造方法としては、典型的には、多段重合法が用いられる。例えば、三段の重合反応器を備える重合装置の一段目の重合反応器にてプロピレン単量体及び必要に応じてエチレン単量体を重合し、得られたプロピレン重合体(ホモポリマー)又はプロピレン・エチレン共重合体を二段目の重合反応器に供給し、さらにプロピレン単量体及びエチレン単量体を重合し、得られた成分(1)を三段目の重合反応器に供給すると共に、この三段目の重合反応器にてエチレン単量体及びαオレフィン単量体を重合することで前記成分(1)と成分(2)とが重合時に混合された重合混合物を得ることができる。
重合条件は、公知の重合条件と同様であってよい。例えば一段目及び二段目の重合条件としては、プロピレンが液相でモノマー密度と生産性の高いスラリー重合法が挙げられる。三段目の重合条件としては、気相重合法が挙げられる。
なお、成分(1)としてプロピレン単独重合体を含まないプロピレン・エチレン共重合体を製造する場合においては、三段の重合反応器を必要とせず、例えばスラリー重合法と気相重合法からなる二段の重合反応器を用いて製造することができる。
重合温度は50~90℃が好ましく、60~90℃がより好ましく、70~90℃がさらに好ましい。重合温度が上記範囲の下限値以上であると、生産性がより優れる。
重合圧力は、液相中で行われる場合には25~60bar(2.5~6.0MPa)が好ましい。
単量体の重合は、通常、触媒を用いて行われる。重合の際、必要に応じて、分子量の調整のために、水素が添加されてもよい。
一段目の重合反応器での重合の前に、その後の本重合の足がかりとなるポリマー鎖を固体触媒成分に形成させるために、プロピレンの予重合を行ってもよい。予重合は、通常は40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下で行われる。
触媒としては、公知のオレフィン重合触媒を用いることができ、立体特異性チーグラー・ナッタ触媒が好ましく、以下の成分(ア)と成分(イ)と成分(ウ)とを含む触媒(以下、「触媒(X)」ともいう。)が特に好ましい。
(ア)マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与体化合物を含有する固体触媒。
(イ)有機アルミニウム化合物。
(ウ)外部電子供与体化合物である有機ケイ素化合物。
触媒(X)を用いる場合、前記プロピレン・エチレン共重合体の存在下で、エチレン単量体及びαオレフィン単量体を重合してポリプロピレン系樹脂(A)を得る工程を有する製造方法が好ましい。触媒(X)を用いることで、各物性が前記範囲内であるポリプロピレン系樹脂(A)が容易に得られる。
成分(ア)は、例えば、チタン化合物、マグネシウム化合物及び電子供与体化合物を用いて調製される。
成分(ア)に用いられるチタン化合物として、一般式:Ti(OR)4-g(Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦g≦4)で表される4価のチタン化合物が好適である。
炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等が挙げられ、ハロゲンとしては、Cl、Br等が挙げられる。
より具体的なチタン化合物としては、TiCl、TiBr、TiIのようなテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH)Cl、Ti(OC)Cl、Ti(O-C)Cl、Ti(OC)Br、Ti(O-isoC)Brのようなトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O-CCl、Ti(OCBrのようなジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O-CCl、Ti(OCBrなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH、Ti(OC、Ti(O-Cのようなテトラアルコキシチタン等が挙げられる。これらチタン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記チタン化合物の中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物であり、より好ましくはテトラハロゲン化チタンであり、特に好ましくは四塩化チタン(TiCl)である。
成分(ア)に用いられるマグネシウム化合物として、マグネシウム-炭素結合やマグネシウム-水素結合を有するマグネシウム化合物、例えばジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライド等が挙げられる。これらのマグネシウム化合物は、例えば有機アルミニウム等との錯化合物の形で用いることもでき、また、液状であっても固体状であってもよい。さらに好適なマグネシウム化合物として、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムのようなハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムのようなアルコキシマグネシウムハライド;フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムのようなアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n-オクトキシマグネシウム、2-エチルヘキソキシマグネシウムのようなアルコキシマグネシウム;ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、エトキシメトキシマグネシウムのようなジアルコキシマグネシウム;エトキシプロポキシマグネシウム、ブトキシエトキシマグネシウム、フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムのようなアリロキシマグネシウム等を挙げることができる。これらマグネシウム化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
成分(ア)に用いられる電子供与体化合物は、フタレート系化合物(Pht)若しくはスクシネート系化合物(Suc)を含有することが好ましく、フタレート系化合物を含有することがより好ましい。
フタレート系化合物としては、例えば、モノエチルフタレート、ジメチルフタレート、メチルエチルフタレート、モノイソブチルフタレート、モノノルマルブチルフタレート、ジエチルフタレート、エチルイソブチルフタレート、エチルノルマルブチルフタレート、ジn-プロピルフタレート、ジイソプロピルフタレート、ジn-ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジn-ヘプチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジn-オクチルフタレート、ジネオペンチルフタレート、ジデシルフタレート、ベンジルブチルフタレート、ジフェニルフタレート等が挙げられる。これらの中でもジイソブチルフタレートが特に好ましい。
なお、触媒(X)における成分(ア)の電子供与体化合物によって得られるプロピレン重合体の分子量と立体規則性の分布は異なり、その違いは結晶化挙動等に影響を与える結果、成形体の物性を左右するが、その関係性についての詳細が明らかになっていない。これを明らかにしようとする場合、分子構造として分子量分布と立体規則性分布を併せて解析する必要があるが、結晶化過程において分子量と立体規則性が異なる成分同士が影響を及ぼし合うため複雑であり、分子量と立体規則性の分布が結晶化挙動に及ぼす影響についての解釈をより困難にしている。さらに、実際の射出成形は非常に高速でかつ流動状態にて実施されるので、たとえ高度な解析技術を用いてもその現象を把握することは容易ではない。よって、特定の電子供与体化合物を用いた触媒を用いて得られたポリプロピレン系樹脂組成物において、分子量と立体規則性の分布による結晶化挙動の違いを数値等で特定することはおよそ不可能である。
スクシネート系化合物は、コハク酸のエステルであってもよく、コハク酸の1位又は2位にアルキル基等の置換基を持つ置換コハク酸のエステルであってもよい。具体例としては、ジエチルスクシネート、ジブチルスクシネート、ジエチルメチルスクシネート、ジエチルジイソプロピルスクシネート、ジアリルエチルスクシネート等が挙げられる。
特に好ましいスクシネート系化合物の具体例としては、ジエチル-2,3-ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル-2,2-sec-ブチル-3-メチルスクシネート、ジエチル-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3-メチルスクシネート、ジエチル-2,3-ビス(2-エチルブチル)スクシネート、ジエチル-2,3-ジエチル-2-イソプロピルスクシネート、ジエチル-2,3-ジイソプロピル-2-メチルスクシネート、ジエチル-2,3-ジシクロヘキシル-2-メチルスクシネート、ジエチル-2,3-ジベンジルスクシネート、ジエチル-2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジエチル-2,3-ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル-2,3-ジ-t-ブチルスクシネート、ジエチル-2,3-ジイソブチルスクシネート、ジエチル-2,3-ジネオペンチルスクシネート、ジエチル-2,3-ジイソペンチルスクシネート、ジエチル-2,3-(1-トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチル-2,3-テトラデシルスクシネート、ジエチル-2,3-フルオレニルスクシネート、ジエチル-2-イソプロピル-3-イソブチルスクシネート、ジエチル-2-tert-ブチル-3-イソプロピルスクシネート、ジエチル-2-イソプロピル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジエチル-2-イソペンチル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジエチル-2-テトラデシル-3-シクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル-2-シクロヘキシル-3-シクロペンチルスクシネート、ジエチル-2,2,3,3-テトラメチルスクシネート、ジエチル-2,2,3,3-テトラエチルスクシネート、ジエチル-2,2,3,3-テトラプロピルスクシネート、ジエチル-2,3-ジエチル-2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジイソブチル-2,2-sec-ブチル-3-メチルスクシネート、ジイソブチル-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3-メチルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ビス(2-エチルブチル)スクシネート、ジイソブチル-2,3-ジエチル-2-イソプロピルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジイソプロピル-2-メチルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジシクロヘキシル-2-メチルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジベンジルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル-2,3-ジ-t-ブチルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル-2,3-(1-トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチル-2,3-n-プロピルスクシネート、ジイソブチル-2,3-テトラデシルスクシネート、ジイソブチル-2,3-フルオレニルスクシネート、ジイソブチル-2-イソプロピル-3-イソブチルスクシネート、ジイソブチル-2-tert-ブチル-3-イソプロピルスクシネート、ジイソブチル-2-イソプロピル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル-2-イソペンチル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル-2-n-プロピル-3-(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル-2-テトラデシル-3-シクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル-2,2,3,3-テトラメチルスクシネート、ジイソブチル-2,2,3,3-テトラエチルスクシネート、ジイソブチル-2,2,3,3-テトラプロピルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジエチル-2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル-2-シクロヘキシル-3-シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル-2,2-sec-ブチル-3-メチルスクシネート、ジネオペンチル-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3-メチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ビス(2-エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジエチル-2-イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジイソプロピル-2-メチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジシクロヘキシル-2-メチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジ-t-ブチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-(1-トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-テトラデシルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-フルオレニルスクシネート、ジネオペンチル-2-イソプロピル-3-イソブチルスクシネート、ジネオペンチル-2-tert-ブチル-3-イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル-2-イソプロピル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル-2-イソペンチル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル-2-テトラデシル-3-シクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル-2-n-プロピル-3-(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル-2-シクロヘキシル-3―シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル-2,2,3,3-テトラエチルスクシネート、ジネオペンチル-2,2,3,3-テトラプロピルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジエチル-2,3-ジイソプロピルスクシネートが挙げられる。これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フタレート系化合物およびスクシネート系化合物以外の前記固体触媒中の電子供与体化合物としては、ジエーテル系化合物等が挙げられる。
ジエーテル系化合物としては、例えば、2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-tert-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-クミル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-フェニルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(p-クロロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(ジフェニルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-ナフチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(p-フルオロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-デカヒドロナフチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジエトキシプロパン、2,2-ジシクロペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジプロピル-1,3-ジエトキシプロパン、2,2-ジブチル-1,3-ジエトキシプロパン、2-メチル-2-エチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-プロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-プロピル-2-ペンチル-1,3-ジエトキシプロパン、2-メチル-2-ベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-メチルシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(p-クロロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(2-フェニルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(p-メチルフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-シクロペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジエトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジブトキシプロパン、2-イソブチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ-tert-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジネオペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-ベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-シクロヘキシルメチル-1,3-ジメトキシプロパン等1,3-ジエーテルが挙げられる。
また、1,3-ジエーテル系化合物のさらなる具体例としては、以下が挙げられる。
1,1-ビス(メトキシメチル)-シクロペンタジエン;1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3,4,5-テトラメチルシクロペンタジエン;1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3,4,5-テトラフェニルシクロペンタジエン;
1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3,4,5-テトラフルオロシクロペンタジエン;
1,1-ビス(メトキシメチル)-3,4-ジシクロペンチルシクロペンタジエン;1,1-ビス(メトキシメチル)インデン;
1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3-ジメチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4,5,6,7-テトラヒドロインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3,6,7-テトラフルオロインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4,7-ジメチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-3,6-ジメチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4-フェニルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4-フェニル-2-メチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4-シクロヘキシルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-(3,3,3-トリフルオロプロピル)インデン;
1,1-ビス(メトキシメチル)-7-トリメチルシリルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-トリフルオロメチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4,7-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロインデン;
1,1-ビス(メトキシメチル)-7-メチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-シクロペンチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-イソプロピルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-シクロヘキシルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-tert-ブチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-tert-ブチル-2-メチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-フェニルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-2-フェニルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-1H-ベンズインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-1H-2-メチルベンズインデン;9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン;
9,9-ビス(メトキシメチル)-2,3,6,7-テトラメチルフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-2,3,4,5,6,7-ヘキサフルオロフルオレン;
9,9-ビス(メトキシメチル)-2,3-ベンゾフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-2,3,6,7-ジベンゾフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-2,7-ジイソプロピルフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-1,8-ジクロロフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-2,7-ジシクロペンチルフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-1,8-ジフルオロフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-1,2,3,4-テトラヒドロフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロフルオレン;
9,9-ビス(メトキシメチル)-4-tert-ブチルフルオレン。
成分(ア)を構成するハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素又はこれらの混合物が挙げられ、特に塩素が好ましい。
成分(イ)の有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム、トリイソプレニルアルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドのようなジアルキルアルミニウムアルコキシド、エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドのようなアルキルアルミニウムセスキアルコキシド、R 2.5Al(OR0.5(R,Rは、各々異なってもよいし同じでもよい炭化水素基である。)で表される平均組成を有する、部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミドのようなジアルキルアルミニウムハロゲニド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドのようなアルキルアルミニウムセスキハロゲニド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドのようなアルキルアルミニウムジハロゲニド等が部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドのようなジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドのようなアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム、エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドのような部分的にアルコキシ化及びハロゲン化されたアルキルアルミニウム等が挙げられる。上記成分(イ)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
成分(ウ)の外部電子供与体化合物としては、有機ケイ素化合物が用いられる。
好ましい有機ケイ素化合物として、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo-トリルジメトキシシラン、ビスm-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、iso-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2-ノルボルナントリメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、メチル(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロペンチル-t-ブトキシジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ジ-n-プロピルジメトキシシラン、t-ブチルエチルジメトキシシラン、t-ブチルプロピルジメトキシシラン、t-ブチル-t-ブトキシジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、ジ-sec-ブチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン-2-イル)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジシクロペンチル-ビス(エチルアミノ)シラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルセク-ブチルジメトキシシラン、エチル(パーヒドロイソキノリン2-イル)ジメトキシシラン、トリ(イソプロペニロキシ)フェニルシラン、i-ブチルi-プロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルi-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルi-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシラン、p-トリルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、エチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-ブチルエチルジメトキシシラン、t-ブチルプロピルジメトキシシラン、t-ブチルt-ブトキシジメトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、i-ブチルセク-ブチルジメトキシシラン、エチル(パーヒドロイソキノリン2-イル)ジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン-2-イル)ジメトキシシラン、トリ(イソプロペニロキシ)フェニルシラン、テキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、i-ブチルi-プロピルジメトキシシラン、シクロペンチルt-ブトキシジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルi-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルi-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、ジ-sec-ブチルジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、p-トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチル(3、3、3-トリフルオロ-n-プロピル)ジメトキシシラン、ケイ酸エチル等が好ましい。
上記成分(ウ)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機ケイ素化合物は、特にプロピレン・エチレン共重合体のキシレン不溶分の量を調整し、ひいては剛性を制御するのに重要な役割を果たす。他の触媒成分が同じ場合、キシレン不溶分の量は、有機ケイ素化合物の種類と量および重合温度に依存するが、適切な有機ケイ素化合物を用いた場合においても、通常ジエーテル系触媒を除き、有機ケイ素化合物の量が特定の値以下になると大きく低下する。このため、重合温度が75℃の場合、有機ケイ素化合物と有機アルミニウム化合物とのモル比(有機ケイ素化合物/有機アルミニウム)の下限値は0.015が好ましく、0.018がより好ましい。当該比の上限値は、0.30が好ましく、0.20がより好ましく、0.10がさらに好ましい。
電子供与体化合物としてフタレート系化合物を用いる場合は、重合温度を上げるとキシレン不溶分が増加するので、好ましい有機ケイ素化合物と有機アルミニウム化合物とのモル比(有機ケイ素化合物/有機アルミニウム)の下限値および上限値が低下する。具体的には、フタレート系化合物を用いて80℃で重合する場合の前記モル比の下限値は、0.010が好ましく、0.015がより好ましく、0.018がさらに好ましい。前記モル比の上限値は、0.20が好ましく、0.14がより好ましく、0.08がさらに好ましい。
触媒(X)としては、成分(イ)が、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムであり、成分(ウ)が、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン等の有機ケイ素化合物であるものが好ましい。
なお、多段重合法により前記重合混合物を得る方法は上記の方法に限定されず、プロピレン・エチレン共重合体を複数の重合反応器にて重合してもよいし、エチレン・αオレフィン共重合体を複数の重合反応器にて重合してもよい。
前記重合混合物を得る方法として、単量体濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いて行う方法も挙げられる。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接合されたものを使用し、気相重合でモノマーを重合することができる。
具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にてモノマーを供給して重合し、上昇管に接続された下降管にてモノマーを供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、重合生成物を回収する。この方法では、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入るのを全面的又は部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体及び/又は液体混合物を下降管中に導入する。この重合方法は、例えば、特表2002-520426号公報に記載された方法を適用することができる。
(エチレン・αオレフィン共重合体(B)の製造方法)
エチレン・αオレフィン共重合体(B)は、重合の際にメタロセン触媒又はハーフメタロセン触媒を用いる公知の方法(例えば、国際公開WO2006/102155号に記載の方法)によって製造することができる。
前記重合の際に、連鎖移動剤(例えば、水素またはジエチル亜鉛)等の公知の分子量自動調整剤を使用してもよい。
<射出成形体>
本発明の第二態様は、第一態様の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形して得られた射出成形体である。
第一態様のポリプロピレン系樹脂組成物は流動性に優れるので射出成形用樹脂組成物として最適である。例えば、厚さ0.5~3mmの射出成形体を得ることができる。
具体的な射出成形体の例としては、例えば、キャップ等のヒンジ部を有する成形体として、食品・飲料や電池等の包装向け容器・蓋等をはじめ、雑貨、日用品、家電部品、電機電子部品、自動車部品、筐体部材、玩具部材、家具部材、建材部材、包装部材、工業資材、物流資材、農業資材等が挙げられる。
本態様の射出成形体を製造する射出成形の種類は特に制限されないが、ヒンジ特性に優れたヒンジ部を備えた射出成形体を得る観点から、中空部を形成するためのガスを吹込む射出ブロー成形(ガスアシスト射出成形、すなわちヒンジ部を有しない成形体を得る工法)以外の射出成形法が好ましい。具体的には、低圧成形、射出圧縮成形、又は二色成形を含む一般的な射出成形機および金型を用いた工法としての射出成形法が好ましい。
射出成形に供する溶融樹脂温度は150~350℃が好ましく、170~250℃がより好ましい。温度が350℃を超えると、樹脂組成物の劣化及び成形不良の原因となり、170℃より低いと流動性が低下することで金型内への充填不足による外観不良や成形不良が発生する。金型温度については、10~60℃の範囲で行うことが好ましい。金型温度が60℃を超えると成形体の表面仕上げ度が優れ、剛性に優れた成形体が得られるものの、成形サイクルが長くなり生産性が低下する。逆に、金型温度を10℃より低温に設定すると反りや収縮などが顕著になり、満足な成形体が得られにくくなるばかりか、金型に結露が生じやすくなるために金型腐食を進行させる原因となる。冷却に関わるエネルギーコストの観点からも適さない。
本態様の射出成形体の引張弾性率は、300MPa以上が好ましく、350MPa以上がより好ましく、400MPa以上がさらに好ましい。引張弾性率が高い程、剛性に優れた成形体であるといえる。
本態様の射出成形体の-20℃での面衝撃強度は、10J以上が好ましく、12J以上がより好ましく、20J以上がさらに好ましい。
低温での面衝撃強度の値が高い程、低温耐衝撃性に優れた成形体であるといえる。
本態様の射出成形体のクラック占有面積率は、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、9%以下が特に好ましく、8%以下が最も好ましい。
クラック占有面積率が低い程、ヒンジ部におけるヒンジ特性(屈曲耐久性)に優れた成形体であるといえる。ここで、クラック占有面積率は後述する方法で測定された値である。
以下に実施例及び比較例を示すが、本発明は以下の実施例だけに限定されない。
<共重合体1の作製>
MgCl上にTiClと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持させた固体触媒を、欧州特許第728769号公報の実施例5に記載された方法により調製した。次いで、上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの質量比が20、TEAL/DCPMSの質量比が10(上述した有機ケイ素化合物/有機アルミニウムのモル比に換算すると0.05)となるような量で、12℃において24分間接触させた。
得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予重合を行った。
得られた予重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入し、プロピレン(C3)とエチレン(C2)をフィードし、プロピレンの液相状態にてプロピレン・エチレン共重合体を製造した後、二段目の気相重合反応器に導入し、エチレンとブテン-1(C4)をフィードし、エチレン・ブテン-1共重合体を製造した。重合中は、温度と圧力を調整し、水素(H2)を分子量調整剤として用いた。
重合温度と反応物の比率は、一段目の反応器では、重合温度、エチレン濃度、水素濃度が、それぞれ80℃、0.84モル%、0.09モル%、二段目の反応器では、重合温度、H2/C2、C4/(C2+C4)が、それぞれ80℃、0.27モル比、0.48モル比であった。また、共重合体成分の量が18質量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整し、パウダー状の重合体1(共重合体1)を得た。
得られた共重合体1は、連続相を構成するプロピレン・エチレン共重合体である成分(1)と、ゴム相を構成するエチレン・ブテン-1共重合体である成分(2)との重合混合物であり、前述のポリプロピレン系樹脂(A)である。なお、ここで得た成分(1)にはプロピレン単独重合体は含まれない。
共重合体1について、成分(1)のMFR、成分(1)のエチレン由来単位含有量、質量比 成分(2)/[成分(1)+成分(2)]、成分(2)のエチレン由来単位含有量、成分(1)+成分(2)のXSIV、成分(1)+成分(2)のMFRは表1に示すものであった。
ここで、成分(1)はプロピレン・エチレン共重合体であり、成分(2)はエチレン・ブテン-1共重合体であり、成分(1)+成分(2)はポリプロピレン系樹脂(A)(成分(A)ともいう。)である。
なお、表1中、フタレート系化合物を成分(ア)に用いられる電子供与体化合物として含む触媒(X)を「Pht」と表す。
<共重合体2の作製>
一段目の反応器での水素濃度を0.02モル%、成分(A)中の成分(2)の含有割合が45質量%となるように一段目及び二段目の滞留時間分布を調整した以外は共重合体1と同様にして、共重合体2を得た。
得られた共重合体2について、上述した各種物性値を表1に示した。
<共重合体3の作製>
二段目の反応器でのC4/(C2+C4)を0.43モル比に変更した以外は共重合体1と同様にして、共重合体3を得た。
得られた共重合体3について、上述した各種物性値を表1に示した。
<共重合体4の作製>
二段目の反応器でのC4/(C2+C4)を0.80モル比に変更した以外は共重合体1と同様にして、共重合体4を得た。
得られた共重合体4について、上述した各種物性値を表1に示した。
<共重合体5の作製>
二段目の反応器でのC4/(C2+C4)を0.27モル比に変更した以外は共重合体1と同様にして、共重合体5を得た。
得られた共重合体5について、上述した各種物性値を表1に示した。
<共重合体6の作製>
一段目の反応器での水素濃度を0.16モル%、二段目の反応器でのH2/C2を0.11モル比に変更した以外は共重合体1と同様にして、共重合体6を得た。
得られた共重合体6について、上述した各種物性値を表1に示した。
<共重合体7の作製>
一段目の反応器での水素濃度を1.50モル%に変更した以外は共重合体1と同様にして、共重合体7を得た。
得られた共重合体7について、上述した各種物性値を表1に示した。
<共重合体8の作製>
一段目の反応器での水素濃度を0.01モル%、に変更した以外は共重合体1と同様にして、共重合体8を得た。
得られた共重合体8について、上述した各種物性値を表1に示した。
<共重合体9の作製>
一段目の反応器でのエチレン濃度、水素濃度を、それぞれ0.80モル%、0.06モル%に変更するとともに、二段目の反応器でC4の代わりにC3を用い、H2/C2、C3/(C2+C3)を、それぞれ0.66モル比、0.89モル比とした以外は共重合体1と同様にして、共重合体9を得た。
得られた共重合体9について、上述した各種物性値を表1に示した。
<共重合体10の作製>
MgCl上にTiClと内部ドナーとしてのジエチル-2,3-(ジイソプロピル)スクシネートを担持させた固体触媒を、最初の温度上昇時、温度を100℃の代わりに110℃に上昇させる点を除いて、国際出願WO2009/050045の実施例1に従って製造した。次いで、上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてTEALと、外部電子供与体化合物としてDCPMSを用い、固体触媒に対するTEALの質量比が20、TEAL/DCPMSの質量比が10となるような量で、12℃において24分間接触させた。
得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予重合を行った。
得られた予重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入し、一段目の反応器でのエチレン濃度、水素濃度を、それぞれ0.71モル%、0.14モル%に変更するとともに、二段目の反応器でのH2/C2、C3/(C2+C3)を、それぞれ0.50モル比、0.71モル比とした以外は共重合体9と同様にして、共重合体10を得た。
得られた共重合体10について、上述した各種物性値を表1に示した。
なお、表1中、スクシネート系化合物を成分(ア)に用いられる電子供与体化合物として含む触媒(X)を「Suc」と表す。
<共重合体11の作製>
MgCl上にTiClと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持させた固体触媒を、欧州特許第674991号公報の実施例1に記載された方法により調製した。次いで、上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてTEALと、外部電子供与体化合物としてDCPMSを用い、固体触媒に対するTEALの質量比が11、TEAL/DCPMSの質量比が10となるような量で、-5℃において5分間接触させた。
得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予重合を行った。
得られた予重合物を重合反応器に導入し、プロピレンとエチレンをフィードし、プロピレンの液相状態にてプロピレン・エチレン共重合体(共重合体11)を製造した。重合温度、エチレン濃度、水素濃度は、それぞれ75℃、0.48モル%、0.05モル%であった。
得られた共重合体11のMFRとエチレン由来単位含有量を表1に示した。
Figure 2022095293000001
表1の測定結果は下記の測定方法によって測定された値である。
<成分(1)のMFR>
一段目の反応器で重合した成分(1)を採取した試料5gに対し本州化学工業株式会社製H-BHTを0.05g添加し、ドライブランドにより均一化した後、JIS K6921-2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
<成分(A)の総エチレン量、成分(1)のエチレン由来単位含有量>
1,2,4-トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した共重合体の各試料について、Bruker社製AVANCE III HD400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、測定温度120℃、フリップ角45度、パルス間隔7秒、試料回転数20Hz、積算回数5000回の条件で13C-NMRのスペクトルを得て測定した。
なお、成分(A)中の成分(1)のエチレン由来単位含有量は、一段目の反応器で重合したものを採取して試料として測定した。
<成分(2)のエチレン由来単位含有量>
下記式により上記成分(2)のエチレン由来単位含有量を求めた。
成分(2)のエチレン由来単位含有量(単位:質量%)=
[成分(A)の総エチレン量
-成分(1)のエチレン由来単位含有量×成分(A)中の成分(1)の含有割合]
/(成分(A)中の成分(2)の含有割合/100)
<成分(1)+成分(2)のXSIV>
以下の方法によって共重合体のキシレン可溶分を得て、キシレン可溶分の極限粘度(XSIV)を測定した。
共重合体の各サンプル2.5gを、o-キシレン(溶媒)を250mL入れたフラスコに入れ、ホットプレート及び還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し、完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100mL採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得た。
極限粘度は、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS-780-H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて測定した。
<成分(1)+成分(2)のMFR>
共重合体の試料5gに対し、本州化学工業株式会社製H-BHTを0.05g添加し、ドライブランドにより均一化した後、JIS K6921-2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
[実施例、比較例]
表2に示す組成で成分(A)~(C)を配合し、成分(A)~(C)の総量100質量部に対し、酸化防止剤としてBASF社製B225を0.2質量部、中和剤として淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレート を0.05質量部加え、さらに実施例7に対してはネオライト興産株式会社製ネオタルクUNI05を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌、混合した。当該混合物を、株式会社JSW製同方向2軸押出機TEX-30αを用いて、シリンダ温度200℃で溶融混練して押出した。ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。このようにして製造したポリプロピレン系樹脂組成物、およびこれらを用いて得た射出成形体について各種物性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2022095293000002
表2の各成分は次の通りである。
成分(A)は、表1の共重合体である。
成分(B)は、下記のエチレン・αオレフィン共重合体である。
B-1:三井化学株式会社製、タフマーA-1085S、エチレン・ブテン共重合体、MFR(温度190℃、荷重2.16kg)=1.2g/10分
B-2:ダウケミカル社製、エンゲージ8100、エチレン・オクテン共重合体、MFR(温度190℃、荷重2.16kg)=1.0g/10分
成分(C)は、下記の核剤である。
C-1:株式会社ADEKA製、アデカスタブNA71(リン酸エステル系核剤)
その他の成分は、下記の添加剤である。
無機充填材:ネオライト興産株式会社製、ネオタルクUNI05、レーザ回折法によって測定した体積平均粒子径:5μmのタルク
酸化防止剤:BASF社製B225
中和剤:淡南化学工業株式会社製、カルシウムステアレート
表2の測定結果及び評価結果は下記の方法によって測定及び評価された値である。
<流動性 MFR>
JIS K7210-1に従い、ポリプロピレン系樹脂組成物に対してはJIS K6921-2に基づき温度230℃および荷重2.16kgの条件下で、エチレン・αオレフィン共重合体に対してはJIS K6922-2に基づき、温度190℃および荷重2.16kgの条件下で測定した。
<剛性 引張弾性率>
JIS K6921-2に従い、射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT S2000i)を用い、溶融樹脂温度を200℃、金型温度40℃、平均射出速度200mm/秒、保圧時間40秒、全サイクル時間60秒の条件にて、ポリプロピレン系樹脂組成物からJIS K7139に規定する多目的試験片(タイプA1)を射出成形し測定用試験片を得た。JIS K7161-2に従い、株式会社島津製作所製精密万能試験機(オートグラフAG-X 10kN)を用い、温度23℃、相対湿度50%、試験速度1mm/分の条件で引張弾性率を測定した。
<低温耐衝撃性 面衝撃強度[-20℃]>
射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT α100C)を用い、溶融樹脂温度を230℃、金型温度40℃、平均射出速度35mm/秒、保圧時間10秒、全サイクル時間45秒の条件にて、ポリプロピレン系樹脂組成物から130mm×130mm×2.0mmの平板を作製した。株式会社島津製作所製ハイドロショットHITS-P10を用い、-20℃に調整した槽内で、内径40mmφの穴の開いた支持台に測定用試験片を置き、内径76mmφの試料押さえを用いて固定した後、半球状の打撃面を持つ直径12.7mmφのストライカーで、1m/秒の衝撃速度で試験片を打撃し、JIS K7211-2に従いパンクチャーエネルギー(J)を求めた。4個の測定用試験片各々のパンクチャーエネルギーの平均値を面衝撃強度とした。
<ヒンジ特性 クラック占有面積率>
射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT α100C)を用いて、溶融樹脂温度250℃、金型温度40℃、平均射出速度35mm/秒、保圧時間10秒、全サイクル時間33秒の条件にて、ポリプロピレン系樹脂組成物から縦92mm×横125mm×高さ41mm、厚さ2mmのヒンジ付きボックス(ヒンジ部の長さ72mm、幅0.82mm、厚さ0.52mm)を成形体として射出成形した。成形後48時間以上を23℃で状態調節した後に、ヒンジ部を180°折り曲げ元の0°の位置に戻す動作を1回として、1秒間に1回の速さで計100回の折り曲げ試験を行った(図1~図3参照)。
ヒンジ部の表裏面に流動パラフィンを塗布後、ヒンジ部の中央を以下の条件で顕微鏡観察を行った。
機器:OLYMPUS製顕微鏡BX-50
倍率:40倍
モード:暗視野
流動パラフィンの塗布により、折り曲げ試験により発生する表面のシワを見えなくし、ヒンジ特性と関係するクラックのみ観察することができた。CCDカメラおよびQImaging社製画像解析ソフトQ-Capture Proを用いて、RGB画像をグレースケール化することでヒンジ部にクラックが占める割合(クラック占有面積率)を算出した。
<成形性>
ヒンジ付きボックスの射出成形において、成形性を評価した。
「1」:全ショットで問題なく射出成形できる(成形体末端部分までフル充填される)。
「2」:全ショットではないが、概ね射出成形できる。
「3」:多くのショットで射出成形ができない(ショートショットとなり、成形体の末端まで充填されない)。
所定の物性を有するポリプロピレン系樹脂組成物を用いた実施例の射出成形体は、比較例と比べて、低温耐衝撃性とヒンジ特性が優れ、成形性も良好であった。
ポリプロピレン系樹脂(A)におけるエチレン・ブテン-1共重合体中のエチレン由来単位含有量が所定の範囲よりも少ない、共重合体4を用いた比較例1の射出成形体は、ヒンジ特性が劣っていた。
ポリプロピレン系樹脂(A)におけるエチレン・ブテン-1共重合体中のエチレン由来単位含有量が所定の範囲よりも多い、共重合体5を用いた比較例2の射出成形体は、低温耐衝撃性が劣っていた。
ポリプロピレン系樹脂(A)における成分(1)+成分(2)のXSIVが所定の範囲を外れる共重合体6を用いた比較例3の射出成形体は、ヒンジ特性が劣っていた。
ポリプロピレン系樹脂(A)における、成分(1)のMFRと、成分(1)+成分(2)のMFRが所定の範囲を外れる共重合体7を用いた比較例4の射出成形体は、ヒンジ特性が劣っていた。
成分(2)/[成分(1)+成分(2)]が所定の範囲を外れる共重合体11を用いた比較例5の射出成形体は、低温耐衝撃性が劣っていた。

Claims (8)

  1. プロピレン単独重合体を任意に含むプロピレン・エチレン共重合体からなる連続相と、エチレン・αオレフィン共重合体からなるゴム相とを含むポリプロピレン系樹脂(A)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の温度230℃、荷重2.16kgでのMFRが0.1g/10分以上10g/10分未満であり、前記ポリプロピレン系樹脂(A)の含有割合が前記ポリプロピレン系樹脂組成物の総質量に対して90~100質量%であり、前記ポリプロピレン系樹脂(A)のキシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が0.8~1.5dl/gであり、前記ポリプロピレン系樹脂(A)の温度230℃、荷重2.16kgでのMFRが0.1g/10分以上10g/10分未満であり、前記プロピレン単独重合体を任意に含むプロピレン・エチレン共重合体中のエチレン由来単位含有量が、前記プロピレン単独重合体を任意に含むプロピレン・エチレン共重合体の総質量に対して0.1~10質量%であり、前記αオレフィンの炭素数は3~10であり、前記エチレン・αオレフィン共重合体中のエチレン由来単位含有量が、前記エチレン・αオレフィン共重合体の総質量に対して70~85質量%であり、前記ポリプロピレン系樹脂(A)の質量に対する、前記エチレン・αオレフィン共重合体の含有割合が10~50質量%である、射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 前記プロピレン単独重合体を任意に含むプロピレン・エチレン共重合体の温度230℃、荷重2.16kgでのMFRが0.1g/10分以上10g/10分未満である、請求項1に記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 前記ポリプロピレン系樹脂(A)を構成する前記エチレン・αオレフィン共重合体とは別に、さらにエチレン・αオレフィン共重合体(B)を含み、
    前記エチレン・αオレフィン共重合体(B)の温度190℃、荷重2.16kgでのMFRが0.1g/10分以上40g/10分以下であり、
    前記ポリプロピレン系樹脂組成物の総質量に対する前記エチレン・αオレフィン共重合体(B)の含有割合が、10質量%以下である請求項1又は2に記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. さらに核剤(C)を含み、
    前記ポリプロピレン系樹脂組成物の総質量に対する前記核剤(C)の含有割合が、0.5質量%以下である請求項1又は2に記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. 前記プロピレン単独重合体を任意に含むプロピレン・エチレン共重合体と前記エチレン・αオレフィン共重合体とは重合によって混合され、前記ポリプロピレン系樹脂は、下記(ア)~(ウ)の成分を含む触媒を用いて製造された重合混合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
    (ア)マグネシウム、チタン、ハロゲン、及び電子供与体化合物を含有する固体触媒
    (イ)有機アルミニウム化合物
    (ウ)外部電子供与体化合物である有機ケイ素化合物
  6. 前記電子供与体化合物がフタレート系化合物若しくはスクシネート系化合物である請求項5記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形して得られた射出成形体。
  8. 前記射出成形が射出ブロー成形以外の射出成形である請求項7に記載の射出成形体。
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