JP6885748B2 - 傷付け防止紙及び傷付け防止包装容器 - Google Patents

傷付け防止紙及び傷付け防止包装容器 Download PDF

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Description

本発明は、傷付け防止紙及び傷付け防止包装容器に関する。
商品の包装に包装容器を用いる場合、運搬中等に、包装容器の内面と被包装物である商品又は商品の包装(以下、単に被包装物ともいう。)とが擦れ合い、摩擦により商品の損傷や商品包装のピンホールを生ずるときがある。このとき、商品の損傷や商品包装のピンホールだけでなく、包装容器の内面も損傷して紙粉を生ずることがある。
このような損傷、ピンホールや紙粉の発生を抑制するために、被包装物を固定するためのシュリンク包装やラミネート素材で被包装物を被覆するラミネート包装、被包装物へのUVニス加工やエンボス加工、エアキャップやミラーマット等の緩衝材の使用、包装容器の内面に使用される内面ライナー(以下「裏ライナー」ともいう。)のラミネート加工や撥水加工、平滑度の高いコートボール原紙を裏ライナーの原紙として使用することなどの対策が行われている。しかし、これらの対策で上記損傷等の抑制を図ると、包装コストの上昇と共に、包装工程の複雑化、生産効率の低下、製函コストの上昇等を招きやすい。
また、上記以外の対策として、包装容器の内面にアクリル樹脂を塗布する方法(特開平8−91359号公報参照)や、紙製養生シートの摩擦係数を制御する方法(特開2000−273799号公報参照)が検討されている。
特開平8−91359号公報 特開2000−273799号公報
しかしながら、これらの技術においても、上述の損傷、ピンホール及び紙粉の発生を十分に抑制できていない。
本発明は、以上のような事情に基づいてされたものであり、包装容器の内面と被包装物との間の摩擦による商品の損傷、商品包装のピンホール及び紙粉の発生を抑制することができる傷防止層を備える傷付け防止紙、及びこのような傷防止層が、上記被包装物に対向する側に位置するように構成されている傷付け防止包装容器の提供を目的とする。
本発明者は、単層又は複数の層の抄き合わせにより抄造された原紙の製造時に、オンマシンで所望の水性組成物を原紙の少なくとも一方の面に塗工することで、一環生産可能であり、上述の商品の損傷抑制効果、ピンホール抑制効果及び紙粉抑制効果を奏する傷付け防止紙、並びにこの傷付け防止紙を用いた傷付け防止包装容器を見出し、この知見を基に本発明を完成した。
上記課題を解決するためになされた発明は、包装容器に包装される被包装物を保護するための傷付け防止紙であって、木材パルプを主体とする単層又は複数の層の抄き合わせ原紙の少なくとも一方の面側に水性組成物から形成される傷防止層を備え、上記水性組成物が、(a)アルキルケテンダイマーを主成分とする表面サイズ剤、(b)アルキルケテンダイマー以外を主成分とする表面サイズ剤、及び(c)離型剤を含有することを特徴とする。ここで、単層又は複数の層の抄き合わせ原紙とは、単層又は2層以上の抄き合わせにより抄造された原紙をいう。
上記傷防止層が形成される面側の上記原紙の表層の灰分としては、0.20質量%以上0.55質量%以下が好ましい。原紙の表層の灰分を上記範囲とすることで、当該傷付け防止紙における無機化合物の結晶由来の表面粗さが低減され、当該傷付け防止紙と被包装物との間の摩擦がより減少して被包装物の損傷抑制効果、ピンホール抑制効果及び紙粉抑制効果が一層向上する一方、運搬中の包装容器内での商品の過度の滑りを抑制することができる。
(b)表面サイズ剤としては、オレフィン系サイズ剤が好ましい。オレフィン系サイズ剤は、サイズ効果の発現に加え、紙中に含まれる微細繊維及び本件発明の課題である商品への損傷をまねく填料などの灰分物資が、パルプ繊維から遊離することを抑制する効果を有する。従って、オレフィン系サイズ剤を(b)表面サイズ剤に用いることで、上記水性組成物の塗工後、速やかにサイズ効果が発現され、水性組成物の原紙への過度の浸透が抑制されて、水性組成物からなる樹脂層を平滑にかつ厚く形成することができる。
(c)離型剤としては、ポリエチレンワックスエマルジョンが好ましい。水系溶媒への分散性が良く、かつ離型効果の高いポリエチレンワックスエマルジョンを(c)離型剤に用いることで、水性組成物の塗工量が少ない場合でも、傷抑制効果等を十分に奏することができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、包装容器請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の傷付け防止紙から製函され、上記傷防止層が、上記被包装物に対向する側に位置するように構成されている傷付け防止包装容器である。
ここで、「主成分」とは、最も含有量の多い成分をいい、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上の成分をいう。
本発明の傷付け防止紙によれば、単層又は複数の層の抄き合わせによる抄造時にオンマシンで製造でき、包装容器の内面と被包装物との間の摩擦による商品の損傷、商品包装のピンホール及び紙粉の発生を抑制することができる。
本発明の傷付け防止包装容器によれば、当該傷付け防止紙から製函されるので、被包装物との間の摩擦による商品の損傷、商品包装のピンホール及び紙粉の発生を抑制することができる。
<傷付け防止紙>
本発明の一実施形態に係る傷付け防止紙は、包装容器に包装される被包装物を保護するための傷付け防止紙である。当該傷付け防止紙は、木材パルプを主体とする単層又は複数の層の抄き合わせ原紙、すなわち、単層又は2層以上の抄き合わせにより抄造された原紙の少なくとも一方の面側に傷防止層を備える。傷防止層は、水性組成物から形成される。傷防止層は、上記原紙の少なくとも一方の面側に水性組成物が塗工されることにより形成される。また、上記水性組成物は、(a)アルキルケテンダイマー(以下「AKD」ともいう。)を主成分とする表面サイズ剤(以下「(a)表面サイズ剤」ともいう。)、(b)AKD以外を主成分とする表面サイズ剤(以下「(b)表面サイズ剤」ともいう。)、及び(c)離型剤を含有することを特徴とする。
当該傷付け防止紙は、原紙の表面に水性組成物が塗工されることにより傷防止層が形成されるが、上記傷防止層は、(1)原紙の表層の繊維に水性組成物が含浸される形態、(2)原紙の表層上に水性組成物による樹脂層が形成される形態、(3)原紙の表層の繊維の表面が水性組成物により被覆される形態、又は(4)これらが組み合わさった形態等が含まれると推測される。発明者らの知見では、繊維上に被膜を形成してサイズ効果を醸し出すサイズ剤と異なり、繊維素繊維の水酸基に対して化学的に反応してサイズ効果をあげるアルキルケテンダイマーを表面サイズ剤として、中でもカチオン性のアルキルケテンダイマーを用いることで、低サイズ性の原紙を用いても低い添加量でのサイズ付与効果が高く、硫酸バンド等のいわゆる灰分原因物質の添加量が少なくともサイズ性が良好なメリットを有する。他の表面サイズ剤と組み合わせることで、アルキルケテンダイマーの短所であるサイズ度の制御困難性、抄紙機など設備の汚れの改善、カチオン性表面サイズ剤の欠点である薬品単価が高価な点を改善できる。更に、アルキルケテンダイマーと併用するに好ましい他の表面サイズとしてオレフィン系サイズ剤があげられ、同様にオレフィン系の離型剤として、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ワックス等を挙げることができ、中でも汎用的ながらコスト競争力を有するポリエチレンワックスが好適に用いられる。その結果、上述の傷抑制効果、ピンホール抑制効果及び紙粉抑制効果等を奏すると考えられる。以下、本発明の傷付け防止紙について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
[原紙]
本発明の傷付け防止紙では、原紙は、単層でも2層以上の複数の層の抄き合わせにより抄造された多層抄きでもよい。上記原紙としては、単層ではJIS−P3401(2000)に準拠するクラフト紙、JIS−P3902(2011)に規定されるLA級及びLB級のライナー等や、これに準ずるボール紙を好適に用いることができる。
上記水性組成物が塗工される面側の上記原紙の表層の灰分の下限としては、0.20質量%が好ましく、0.22質量%がより好ましく、0.23質量%がさらに好ましい。また、上記原紙の表層の灰分の上限としては、0.55質量%が好ましく、0.45質量%がより好ましく、0.40質量%がさらに好ましい。ここで、「原紙の表層」とは、原紙が単層場合は層全体を意味し、原紙が2層以上の複数の層の抄き合わせにより抄造されている場合には表層を意味する。本件発明の原紙を構成する主体の木材パルプは、元来組織中にカルシウムやカリウムを代表とする微量の灰分組成物を含有しているものの、原料パルプには、流送に用いる白水や他の抄紙工程、古紙由来の灰分組成物により、得られる傷付け防止紙の灰分が0.55質量%を超える場合が多く、本件発明者らの鋭意検討において、上記灰分を0.55質量%以下、木材パルプ由来の灰分量を考慮し0.20質量%以上とすることが本件発明の課題解決の要因であることを見出している。上記原紙の表層の灰分を上記範囲とすることで、当該傷付け防止紙における無機化合物の結晶由来の表面粗さが低減される。従って、当該傷付け防止紙から製函された当該傷付け防止包装容器は、傷防止層と被包装物との間の摩擦がより減少して傷抑制効果、ピンホール抑制効果及び紙粉抑制効果が一層向上する一方、運搬中の包装容器内での商品の過度の滑りを抑制することができる。なお、灰分とは、JIS−P8251(2003)「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定される値である。
上記原紙の坪量の下限としては、100g/mが好ましく、150g/mがより好ましい。上記原紙の坪量の上限としては、350g/mが好ましく、300g/mがより好ましい。なお、坪量は、JIS−P8124(2011)に準拠して測定される値である。坪量は、被包装物の損傷、ピンホール及び紙粉の発生を十分に抑制する本件発明の課題に直接関わる要件ではないものの、被包装物を包装するための作業性や製函作業性、更には段ボールシート作成時におけるコルゲーター適性、被包装物を安定して包装する機能を考慮すると、少なくとも100g/m以上、350g/m以下の範囲で抄造することが好ましい。但し、複数の層の抄き合わせによる多層抄きの場合、灰分が0.20質量%以上、0.55質量%以下である上記原紙の表層、すなわち傷防止層が形成される表層においては、上記表層の坪量が15.0g/m以上、45.0g/m以下とすることで、傷防止層の均一な形成が図れるとともに、コストアップの抑制を図ることができる。
上記原紙に用いる原料パルプとしては、本発明の目的に反しない範囲で、例えば
針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ;
ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ;
離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、離解・脱墨・漂白古紙パルプ等の古紙パルプ;
ケナフ、麻、葦等の非木材繊維を原料とする非木材パルプなどの種々のパルプを、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。但し、上記原紙の被包装物と接する紙層の灰分が上記範囲になるように、少なくとも上記被包装物と接する紙層には、繊維組織由来の灰分以外の灰分成分の混入が少ないバージンパルプを主成分に使用することが好ましい。
繊維組織由来のパルプ灰分は、樹種によって異なり、例えば広葉樹であるブナでは0.55%、カバ材では0.26%、ナラ材では0.51%南洋樹であるユーカリでは0.24%程度であり、針葉樹ではカラ松材が0.27%、米松0.26%程度と言われている。本件発明者等の知見では、パルプ化後の酸処理等の手段で樹脂組織由来のパルプ灰分を更に減少化させる事が可能なものの、少なくともパルプ灰分を0.55%以下に抑えることが、傷防止効果向上に効果的であることを見出している。
上記原紙の原料パルプのフリーネスの下限としては、350mlが好ましく、450mlがより好ましい。上記フリーネスの上限としては、600mlが好ましく、550mlがより好ましい。上記フリーネスが上記下限未満である場合、上記水性組成物が原紙に十分に浸透せず、アンカー効果が損なわれるため、原紙の表層上に形成された水性組成物による樹脂層が原紙から剥離するおそれがある。一方、上記フリーネスが上記上限を超える場合、上記水性組成物が原紙に浸透し過ぎて通常の塗工量では十分な厚さの上記樹脂層等が形成されず、傷抑制効果等を奏しないおそれがある。ここで、原料パルプのフリーネスとは、JIS−P8121−2(2012)に準拠して測定される値である。
[水性組成物]
本発明における水性組成物は、アルキルケテンダイマーを主成分とする(a)表面サイズ剤、AKD以外を主成分とする(b)表面サイズ剤及び(c)離型剤を含有する。上記(a)表面サイズ剤と(b)表面サイズ剤と(c)離形剤とを組み合わせることで、被包装物と接する紙層表面の摩擦係数を下げること等ができ、これにより、傷抑制効果、ピンホール抑制効果及び紙粉抑制効果を十分に発揮することができる。
(表面サイズ剤)
本発明における水性組成物では、(a)表面サイズ剤及び(b)表面サイズ剤を使用する。内添サイズ剤の含有を否定するわけではないが、性状の異なる表面サイズ剤を用いることで、上記水性組成物の原紙への過度の浸透を防いで上記原紙表面における上記樹脂層等の形成を促し、優れた傷抑制効果等を発揮させることができる。また、AKDを主成分とする(a)表面サイズ剤を用いることで、段ボールの内面と商品等との摩擦を抑えることができる。さらに、(a)表面サイズ剤と(b)表面サイズ剤とを併用することで、水性組成物の被膜形成が容易になり、アルキルケテンダイマー単独使用時に問題となりやすいサイズ効果の発現の遅れや成紙の摩擦係数の過度の減少を抑制することができる。
(a)表面サイズ剤の主成分であるアルキルケテンダイマーの種類は特に限定されず、例えばステアリルケテンダイマー、ベヘニルケテンダイマー等を用いることができる。(a)表面サイズ剤としては、「KDG−8」(東邦化学工業社)等の市販品を好適に用いることができる。
(b)表面サイズ剤としては、例えばオレフィン系サイズ剤、酸化澱粉、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタクリル酸系共重合体、スチレン−マレイン酸系共重合体、アルケニル無水コハク酸等が挙げられる。これらの中でオレフィン系サイズ剤が好ましい。オレフィン系サイズ剤は、オレフィン系不飽和モノマーを構成モノマーとして含む共重合体であり、具体的には疎水性不飽和モノマーであるオレフィン系不飽和モノマーとカルボキシ含有不飽和モノマー若しくはその塩を主構成要素とする共重合体である。オレフィン系不飽和モノマーとしては例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、イソオクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20程度の直鎖、環状又は分岐上のオレフィン不飽和モノマーが挙げられ、上記オレフィン系不飽和モノマーからなる疎水性不飽和モノマーと共重合されるカルボキシ基含有不飽和モノマーとしては例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル、イタコン酸、イタコン酸ハーフエステル、シトラコン酸、フマル酸等が挙げられ、エチレン/アクリル酸共重合体、イソブチレン/アクリル酸共重合体、n−ブチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、プロピレン/マレイン酸共重合体、エチレン/マレイン酸共重合体などが例示され、例えば「ポリマロン1329」(荒川化学工業社)等の市販品を好適に用いることができる。
オレフィン系サイズ剤は、紙中に含まれる微細繊維や本件発明の課題である商品への損傷をまねく填料などの灰分物資のパルプ繊維からの遊離を防ぐ効果を有する以外に、水分の原紙への吸収を抑える効果が高い反面、水への溶解性に優れ本件発明で共用するアルキルケテンダイマーや離型剤と均一に分散され塗工ムラを生じ難い効果を有する。また、オンマシンで傷防止水生組成物を塗工する際に、後述するサイズプレス、ゲートロール、メタリングロッド等の塗工設備を用いても、泡立ちが少なく均一な塗工を行うことができる。
(a)表面サイズ剤の配合量に対する(b)表面サイズ剤の配合量の比(固形分換算)の下限としては、0.35が好ましく、0.43がより好ましい。上記配合量の比を上記下限以上とすることで、当該傷付け防止紙の摩擦係数の過度の減少を抑制することができる。上記配合量の比の上限としては、0.75が好ましく、0.71がより好ましい。上記配合量の比を上記上限以下とすることで、上記水性組成物の上記原紙への過度の浸透を抑制することができる。
上記水性組成物における(a)表面サイズ剤の含有量(固形分換算)の下限としては、45質量%が好ましく、46質量%がより好ましい。(a)表面サイズ剤の含有量が上記下限未満である場合、当該傷付け防止紙と被包装物との間の摩擦が増大し、傷抑制効果等を十分に奏しないおそれがある。一方、(a)表面サイズ剤の含有量の上限としては、62質量%が好ましく、58質量%がより好ましい。(a)表面サイズ剤が上記上限を超える場合、サイズ効果の発現の遅れや当該傷付け防止紙の表面の摩擦係数の過度の減少が生じるおそれがあり、また、(a)表面サイズ剤が上記下限未満の場合、本件発明の課題である傷付け防止効果が損なわれる場合がある。特に(a)表面サイズ剤は、アルキルケテンダイマーであり、当該表面サイズ剤はサイズ効果の立ち上がりが遅く、いわゆるキュアリング処理が必要なものの、本件発明の課題に対しては当該サイズ効果の立ち上がりが遅い性状を利用し、摩擦効果発現前に製函や包装用途への加工作業を図ることができる。
上記水性組成物における(b)表面サイズ剤の含有量(固形分換算)の下限としては、25質量%が好ましく、28質量%がより好ましい。(b)表面サイズ剤の含有量が上記下限未満である場合、サイズ効果の発現の遅れや成紙の摩擦係数の過度の減少が生じるおそれがある。一方、(b)表面サイズ剤の含有量の上限としては、35質量%が好ましく、32質量%がより好ましい。(b)表面サイズ剤は、従来の表面サイズ剤が目的とする紙へのサイズ性付与に加え、水性組成物を紙表層部に均一に分布させるとともに傷防止水生組成物中での安定性や他の構成である(a)表面サイズ剤、(c)離型剤との相溶性に優れたものが選択される。(a)表面サイズ剤で用いるアルキルケテンダイマーはエマルションの形態であり、本件発明で用いる(b)表面サイズ剤は溶液形態のアニオン性の表面サイズ剤が好ましく、高いサイズ性確保と抄紙機において高いシエアが生じても安定性に優れたスチレン系の表面サイズ剤が好適に用いられる。従って、(b)表面サイズ剤の含有量が25質量%未満では、サイズ性の安定が得られない場合が生じ、含有量が37質量%を上回ると発泡の問題が顕在化し、安定した操業が行えなくなる問題が生じる。
上記水性組成物における(a)表面サイズ剤及び(b)表面サイズ剤の合計含有量(固形分換算)の下限としては、70質量%が好ましく、72質量%がより好ましい。上記合計含有量が上記下限未満である場合、擦れ易くなるとともに、上記水性組成物による樹脂層等が十分に形成されず、傷防止効果等を十分に奏しないおそれがある。一方、上記合計含有量の上限としては、85質量%が好ましく、84質量%がより好ましい。上記合計含有量が上記上限を超える場合、(c)離型剤の含有量が減ることにより当該傷付け防止紙と商品包装等との間の摩擦が増大し、傷防止効果等を十分に奏しないおそれがある。
(離型剤)
本発明では、(c)離型剤を使用する。(c)離型剤の離型効果により、傷防止層と被包装物との間の摩擦が減少し、傷抑制効果等が十分に発揮される。
(c)離型剤としては、本発明の目的に反しない範囲で、ポリエチレンワックスエマルジョン等のワックス系エマルジョン;ポリアミド、ポリアミン等の含窒素樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリメチル水素シロキサン、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂などの種々の離型剤を用いることができる。これらの中で、水系溶媒への分散性及び離型効果が高いワックス系エマルジョンが好ましく、オレフィン系の離型剤として、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ワックス等を挙げることができ、中でも汎用的ながらコスト競争力を有するポリエチレンワックスエマルジョンが好適に用いられる。本件発明で好適に用いられるポリエチレンワックスエマルジョンは、体積平均粒子径が20nm以上60nm以下であり融点が110℃以上であることが好ましく、体積平均粒子径は、本件発明の課題である損傷、ピンホール及び紙粉の発生の抑制効果がより効果的に奏される点から、好ましくは30nm以上50nm以下である。ポリエチレンワックスエマルジョンとしては、例えば「ハイテックE9015」(東邦化学工業社)等の市販品を好適に用いることができる。
上記水性組成物における(c)離型剤の含有量(固形分換算)の下限としては、15質量%が好ましく、17質量%がより好ましい。(c)離型剤の含有量が上記下限未満である場合、当該傷付け防止紙と被包装物等との間の摩擦が増大し、傷抑制効果等を十分に奏しないおそれがある。一方、(c)離型剤の含有量の上限としては、30質量%が好ましく、28質量%がより好ましい。(c)離形剤の含有量が上記上限を超える場合、(a)表面サイズ剤及び(b)表面サイズ剤の含有量が減少することにより、上記水性組成物による樹脂層等が十分に形成されず、傷抑制効果等を十分に奏しないおそれがある。
(その他の添加剤)
上記水性組成物は、本発明の目的に反しない範囲で、硫酸バンド等の薬品定着剤;ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の界面活性剤;カチオン澱粉、両性澱粉、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース等の乾燥紙力増強剤;各種の耐水化剤、耐油剤、粘度調節剤、pH調整剤、酸化防止剤、消泡剤、染料などのその他の添加剤を適宜含有することができる。但し、当該傷付け防止紙の平滑性を確保するために、灰分の多い顔料、填料等を避けることが好ましい。上記水性化合物がその他の添加剤を含有する場合、その合計含有量(固形分換算)の上限としては、10質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、2質量%がさらに好ましい。その他の添加剤の合計含有量が上記上限を超える場合、(a)表面サイズ剤、(b)表面サイズ剤及び(c)離型剤の含有量が減少し、傷抑制効果等を十分に奏しないおそれがある。上記水性組成物は、その他の添加剤を実質的に含有しないことが好ましい。
(摩擦係数)
本発明の傷付け防止紙では、上記水性組成物の配合、塗工量、塗工方法等を調整することにより、商品運搬の際に包装容器内の商品が滑り出さない範囲内で可能な限り当該傷付け防止紙の静摩擦係数を小さくし、また滑り出した後にも当該傷付け防止紙と被包装物との間の摩擦が最小になるように当該傷付け防止紙の動摩擦係数を小さくしている。上記静・動摩擦係数を小さくすることで、当該傷付け防止紙と被包装物とが擦れ合う際の摩擦を極力低減し、傷抑制効果、ピンホール抑制効果及び紙粉抑制効果の発現を図っている。当該傷付け防止紙の静摩擦係数の上限としては、0.26が好ましく、0.25がより好ましい。当該傷付け防止紙の動摩擦係数の上限としては、0.15が好ましく、0.14がより好ましい。静・動摩擦係数が上記上限以下であることにより、良好な傷抑制効果等を奏することができる。なお、本明細書に記載の静・動摩擦係数はJIS−P8147(2010)に準拠して測定される値である。
(滑り傾斜角)
JIS−P8147(2010)に準じて測定される滑り傾斜角(°)は、上記静・動摩擦係数と相関が認められ、当該傷付け防止紙の品質管理の基準とすることができる。当該傷付け防止紙の滑り傾斜角の下限としては、8.0°が好ましく、9.0°がより好ましい。滑り傾斜角が上記下限未満である場合、運搬中の包装容器内で商品が過度に滑るおそれがある。一方、滑り傾斜角の上限としては、16.0°が好ましく、15.0°がより好ましい。滑り傾斜角が上記上限を超える場合、当該傷付け防止紙と被包装物との間の摩擦が大きく、傷抑制効果等を奏しないおそれがある。
(ベック平滑度)
本発明の傷付け防止紙では、その表面を平滑にして商品包装等との間の摩擦を小さくすべきことから、JIS−P8119(1998)に規定されるベック平滑度(秒)等の平滑度を測定して工程管理や品質管理をすることが好ましい。ベック平滑度は、測定値が大きいほど平滑度が高い。当該傷付け防止紙のベック平滑度の下限としては、26秒が好ましく、27秒がより好ましい。ベック平滑度が上記下限未満である場合、当該傷付け防止紙の平滑度が不足して傷抑制効果等を十分に奏しないおそれがある。
ベック平滑度は、空気の流通量から平滑性を求める装置であり、比較的に広い面におけるマクロ的な平滑性を評価でき、本件発明の傷防止紙においては、紙表面のいわゆるウネリ性を評価でき、後述するパーカープリントサーフ平滑度と相俟って、所望の数値範囲に調整することで、相乗的に傷抑制効果を向上することができる。
(パーカープリントサーフ平滑度)
後述の実施例で測定するパーカープリントサーフ平滑度(以下「PPS平滑度」ともいう。)は、JIS−P8151(2004)の付属書Aに準じて測定されるプリント・サーフ表面粗さ(μm)である。当該傷付け防止紙のPPS平滑度の上限としては、6.0μmが好ましく、5.9μmがより好ましい。PPS平滑度が上記上限を超える場合、当該傷付け防止紙の平滑度が不足して傷抑制効果等を十分に奏しないおそれがある。
パーカープリントサーフ平滑度は、ベック平滑度と同様に空気の流通量から平滑性を求める装置であるが、測定ヘッドに圧力をかけて測定することにより、各種印刷機の印圧を再現し印刷時の平滑度を測定することができる。本件発明においては、測定圧力を1Mpas、ソフトバッキングに設定し測定した。測定圧力が大きいほど紙は潰されて平滑性が増す傾向にあり、微視的な本件発明の傷防止紙の表面性を評価するに最適である。
[傷付け防止紙の製造方法]
当該傷付け防止紙の原紙は、各紙層に対応する原料パルプスラリーを抄紙することによって得ることができる。当該傷付け防止紙は、一般的な製紙工程で製造することができる。具体的には、例えばワイヤーパート、プレスパート、プレドライヤーパート、コーターパート、カレンダーパート、リールパートを含む製紙工程を用いることができる。上記以外にも抄紙機とコーターパートとを分離したオフマシンコーターからなる製紙工程を用いても良く、抄紙機とソフトカレンダーとを分離したオフマシンカレンダーからなる製紙工程を用いても良い。
次に、上記原紙の表面に対し水性組成物を塗工する。上記水性組成物の原紙への塗工方法は特に限定されず、バーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ゲートロールコーター、サイズプレス等のロールコーター、ビルブレードコーター、ベルバパコーター、カレンダーロールコーターなどの種々の塗工装置を用いることができる。塗工は、シングル塗工でもダブル塗工等の多段塗工でもよい。多段塗工をする場合、1回目の塗工で形成された樹脂層が、2回目以降の塗工の際に上記水性組成物の上記原紙への過度の浸透を防ぐことで、上記樹脂層等をより厚くかつ平滑に形成させるため、傷抑制効果等をさらに向上させることができる。なお、塗工は、抄造された紙原紙に対してだけでなく、抄造中の紙原紙に対しても、例えばカレンダーパート等の工程において行うことができる。
上記塗工の際の水性組成物の塗工量(固形分換算)の下限としては、0.38g/mが好ましく、0.50g/mがより好ましい。上記塗工量が上記下限未満である場合、傷抑制効果等を十分に奏しないおそれがある。一方、上記塗工量の上限としては、1.05g/mが好ましく、0.90g/mがより好ましい。上記塗工量が上記上限を超える場合、当該傷付け防止包装容器の製函貼合性が悪化するおそれがある。上記水性組成物の塗工量は、より詳細には、(a)表面サイズ剤の塗工量としては、0.190g/m以上0.496g/m以下が好ましく、(b)表面サイズ剤の塗工量としては、0.122g/m以上0.315g/m以下が好ましく、(c)離型剤の塗工量としては、0.068g/m以上0.315g/m以下が好ましい。(a)表面サイズ剤、(b)表面サイズ剤及び(c)離型剤の塗工量の塗工量を上記範囲とすることで、傷防止効果等をより向上することができる。
上記水性組成物を原紙に塗工した後に乾燥する場合の温度としては、100°C以上150°C以下が好ましい。乾燥に要する時間は、水性組成物の固形分濃度、塗工量、乾燥温度、相対湿度等の条件により変わるため、適宜調節することが好ましい。なお、上記水性組成物が塗工された面の平滑度を高めるため、乾燥の際にハードカレンダーやソフトカレンダー等による平坦化処理をすることが好ましい。
<傷付け防止包装容器>
本発明の別の一実施形態に係る傷付け防止包装容器は、当該傷付け防止紙から製函され、上記傷防止層が、上記被包装物に対向する側に位置するように構成されている包装容器である。当該傷付け防止紙を包装容器に製函すると、傷防止層が形成された当該傷付け防止紙の最表面が包装容器の内面となるため、包装容器内面と被包装物との間の摩擦が低減され、上述した傷抑制効果等を奏することができる。
当該傷付け防止包装容器は、当該傷付け防止紙から製函される点、及び上記傷防止層が、上記被包装物に対向する側に位置するように構成されている点を除けば、通常の包装容器と全く同じ構成であり、傷付け防止包装容器への裁断、製函等の工程は常法により行うことができる。
<実施例>
以下、実施例に基づき本発明をさらに説明するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
[実施例1]
(原紙)
ユーカリのLBKP100%のパルプスラリーを、レファイナで即解してフリーネスが500ccのパルプスラリーを調製し坪量250g/mの原紙を得た。なお、原紙灰分はJIS−P8251(2003)に準拠して測定した。
(水性組成物)
(a)表面サイズ剤としてのAKD(「KDG−8」(東邦化学工業社))、(b)表面サイズ剤としてのオレフィン系サイズ剤(「ポリマロン1329」(荒川化学工業社))、及び(c)離型剤としてのポリエチレンワックス(「ハイテックE9015」(東邦化学工業社))を、固形分換算で43.5質量%:27.1質量%:29.4質量%の質量比となるように配合し、室温下で良く混合して上記水性組成物を調製した。
(傷付け防止紙)
調製した上記水性組成物を、一辺20mmの正方形に裁断した上記原紙に、バーコーターを用いて塗工(塗工量13.0g/m)した後、130°Cで0.5分間乾燥し、放冷して傷付け防止紙の試験片を複数枚作成した。
[実施例2〜26及び比較例1〜5]
原紙及び水性組成物の構成を表1及び表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜26及び比較例1〜5に係る傷付け防止紙の試験片を作成した。
その他の表面サイズ剤及び離型剤として、以下の物を用いた。
<表面サイズ剤>
酸化澱粉:日本食品加工社製、MS3800
スチレンアクリル樹脂:星光PMC社製:SE2220
スチレンメタクリル樹脂:スチレンメタクリル酸共重合体(スチレン/メタクリル酸=98/2(質量%)、重量平均分子量(Mw):300,000、流動性:4.5g/10min.(230℃、37.3N))
スチレンマレイン酸樹脂:荒川化学社製:WR300D
アルケニル無水コハク酸:日本PMC社製、AS−291
<離型剤>
エチレン酢酸ビニル共重合体ワックス:水溶性エチレン酢酸ビニル共重合体ワックス
含チッソ樹脂:アミドワックス(明成化学工業社製、パルセットTC560)
フッ素樹脂:フッ素系ワックス(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))
表1において、原紙の灰分は単層抄きの場合は原紙全体の灰分の値を示し、多層抄きの場合は表層の灰分を示す。また、表2において、(a)表面サイズ剤、(b)表面サイズ剤及び(c)離型剤の含有量(質量%)は固形分換算の値である。また、塗工量は乾燥後の固形分としての塗工量を示し、「−」は、該当する成分を使用しなかったことを示す。
Figure 0006885748
Figure 0006885748
[評価]
上記各試験片を用いて、上述の各JIS規定に従い、静摩擦係数、動摩擦係数、滑り傾斜角(°)、ベック平滑度(秒)及びPPS平滑度(μm)の測定を行った。さらに、後述する「傷抑制効果」、「ピンホール抑制効果」及び「紙粉抑制効果」を評価した。これらの測定値及び評価結果を表3に示す。
(傷抑制効果)
上記裁断した上記原紙にバーコーターを用いて水性墨インキを塗工量5g/mで塗工し加熱乾燥させたものと、各試験片とを準備し、JIS−P8136(1994)(板紙の耐摩耗強さ試験方法)に準拠して、両方の塗工面同士が接触するように試験機(熊谷理機工業社の「板紙耐摩耗試験機No.2108」)に取り付け、500gfの荷重をかけて往復500回の耐摩耗強さ試験を行い、試験後の各試験片の傷の発生状況を目視により確認し、下記のように評価した。
(評価基準)
◎:全く傷が発生しなかった。
○:少し傷が発生した。
△:かなり傷が発生した。
×:傷が多く発生した。
(ピンホール抑制効果)
JIS−P8136(1994)に準拠して、厚さ0.05mmの延伸ポリプロピレンフィルムと各試験片の塗工面とを接触面積1.0mmで点接触させ、500gfの荷重をかけて往復の耐摩耗強さ試験を行い、上記ポリプロピレンフィルムが破れる(ピンホールが発生する)までの往復回数を測定し、下記のように評価した。
(評価基準)
◎:10,000回でもピンホールが発生しなかった。
○:1,000回以上10,000回未満でピンホールが発生した。
△:500回以上1,000回未満でピンホールが発生した。
×:500回未満でピンホールが発生した。
但し、実施例26は、評価基準が○となる1,000回以上10,000回未満でピンホールが発生した実施例中、一番往復回数が少ないものであったことから、○’とした。
(紙粉抑制効果)
JIS−P8136(1994)に準拠して、各試験片から2枚を抽出し、この2枚の試験片を塗工面同士が接触するように上記試験機に取り付け、500gfの荷重をかけて往復の耐摩耗強さ試験を行い、紙粉が発生するまでの往復回数を測定し、下記のように評価した。
(評価基準)
◎:50,000回でも紙紛が発生しなかった。
○:10,000回以上50,000回未満で紙紛が発生した。
△:1,000回以上10,000回未満で紙紛が発生した。
×:1,000回未満で紙紛が発生した。
Figure 0006885748
表3に示すように、実施例1〜26の傷付け防止紙によれば、傷抑制効果、ピンホール抑制効果及び紙粉抑制効果の全てにおいて良好であることが確認された。一方、比較例1〜6は、実施例1〜26と比べて傷抑制効果、ピンホール抑制効果及び紙粉抑制効果のいずれかが非常に劣っていた。特に、水性組成物にAKDを添加していない比較例1及び比較例2は、傷抑制効果が非常に劣っていた。また、水性組成物に離型剤を添加していない比較例5及びAKDのみを塗工した比較例6は、傷抑制効果、ピンホール抑制効果及び紙粉抑制効果の全ての項目において非常に劣っていた。
本発明の傷付け防止紙は、陶磁器、精密機械等の壊れやすい商品向けの包装容器の製造に好適に用いることができるほか、広く一般用途の包装容器や板ガラス、建築資材、什器等の保護シートの製造にも好適に用いることができる。また、本発明の傷付け防止包装容器は、陶磁器、精密機械等の壊れやすい商品向けの包装容器に用いることができる。

Claims (5)

  1. 包装容器に包装される被包装物を保護するための傷付け防止紙であって、
    木材パルプを主体とする単層又は複数の層の抄き合わせ原紙の少なくとも一方の面側に水性組成物から形成される傷防止層を備え、
    上記水性組成物が、
    (a)アルキルケテンダイマーを主成分とする表面サイズ剤、
    (b)アルキルケテンダイマー以外を主成分とする表面サイズ剤、及び
    (c)離型剤
    を含有し、
    上記(b)アルキルケテンダイマー以外を主成分とする表面サイズ剤がスチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタクリル酸系共重合体、スチレン−マレイン酸系共重合体又はアルケニル無水コハク酸であり、
    上記(c)離型剤がワックス系エマルジョン、含窒素樹脂又はフッ素樹脂であることを特徴とする傷付け防止紙。
  2. 上記(c)離型剤がポリエチレンワックスエマルジョン、ポリアミド、ポリアミン、ポリテトラフルオロエチレン又はポリクロロトリフルオロエチレンである請求項1に記載の傷付け防止紙。
  3. 上記傷防止層が形成される面側の上記原紙の表層の灰分が0.20質量%以上0.55質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の傷付け防止紙。
  4. 上記(c)離型剤がポリエチレンワックスエマルジョンである請求項2又は請求項3に記載の傷付け防止紙。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の傷付け防止紙から製函され、
    上記傷防止層が、上記被包装物に対向する側に位置するように構成されている傷付け防止包装容器。
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