JP6193076B2 - 水離解性繊維シート及び容器 - Google Patents
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Description
3層構造体中の中層は水溶性フィルムである。中層を水溶性フィルムとすることで、表層から浸透した水分を中層で一定期間保持し、裏層への水の浸透を抑制するため、当該水離解性繊維シートの強度が保持される。また、過剰の水分により水溶性を示すことで一定時間液体を保持した後は容易に水に離解することができる。
ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、ポリエチレンオキサイド(PEO)系フィルム、ポリビニルピロリドン(PVP)系フィルム、カルボキシメチルセルロース(CMC)系フィルム等の合成フィルム;
プルランフィルム、オブラート、ゼラチンフィルム、キチン・キトサン系フィルム、カゼインフィルム、アルギン酸ナトリウムフィルム等の天然フィルム等が挙げられる。
上記3層構造体の表層及び裏層が水分散性繊維を含む繊維層である。3層構造体は表層及び裏層を備えることで、水溶性フィルムに水分が付着して起こる当該水離解性繊維シートの強度低下を抑制することができる。
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)等の化学パルプ、
ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ、
茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙、更紙古紙等から製造される古紙パルプ、
古紙パルプを脱墨処理した脱墨パルプ(DIP)等が挙げられる。これらは使用に際しては単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
当該水離解性繊維シートは、特に限定されず、例えば公知の製造方法に従って得ることができる。
繊維成分として水分散性繊維を含む繊維シートを抄紙する工程(抄紙工程)と、
片面に撥水剤及び表面サイズ剤を含む塗工液を塗工して表層、裏層用繊維シートを作製する工程(塗工工程)と、
中層を水溶性フィルムとし、表層は撥水剤及び表面サイズ剤を含む塗工液を塗工した面の反対面を水溶性フィルムと接するように、裏層は撥水剤及び表面サイズ剤を含む塗工液を塗工した面を水溶性フィルムと接するように上記繊維シートを重ね合わせ、熱ラミネート処理する工程(熱ラミネート処理工程)とを備える。
本工程では、繊維成分として水分散性繊維を含む繊維シートを抄紙する。また、上記水分散性繊維スラリーに内添サイズ剤を内添し、湿式抄紙することが好ましい。湿式抄紙方法としては、特に限定されず、例えば製紙の際に用いられる公知の方法等が挙げられる。また、湿式抄紙の際に使用する抄紙機としては、特に限定されず、例えば円網抄紙機(丸網抄紙機)、短網抄紙機、長網抄紙機、傾斜短網抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機等が挙げられる。
本工程では、片面に撥水剤及び表面サイズ剤を含む塗工液を塗工して表層、裏層用繊維シートを作製する。より具体的には、得られた繊維シートの片面(ヤンキー面)に撥水剤及び表面サイズ剤を含む塗工液を塗工し、さらに乾燥して繊維シートを得る。撥水剤及び表面サイズ剤を含む塗工液を塗工する塗工装置としては、特に限定されず、例えばサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、エアナイフコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター等が用いられる。これらは、オフマシンコーターはもちろんのことオンマシンコーターでも用いることができる。
本工程では、中層を水溶性フィルムとし、表層は撥水剤及び表面サイズ剤を含む塗工液を塗工した面の反対面を水溶性フィルムと接するように、裏層は撥水剤及び表面サイズ剤を含む塗工液を塗工した面を水溶性フィルムと接するように上記繊維シートを重ね合わせ、熱ラミネート処理する。上記熱ラミネート処理により、熱接着性を有する上記中層の水溶性フィルムにより表層及び裏層の繊維シートを熱接着させることができ、また表層表面の吸水度の微調整もできる。このように表層、中層、裏層を重ね合わせ熱接着させることで、表層の表面が容器を形成した際に、容器として形成した際に内面(液体と直接接する面)とし、表層表面及び裏層の中層に接する面の吸水度を上記範囲とすることができ、より容易に水離解性及び液体保持性が共に優れた水離解性繊維シートとなり好ましい。
当該水離解性繊維シートは、上述のような3層構造体を備えるため、水離解性に優れる。具体的には、当該水離解性繊維シートのJIS P 4501:2006に準拠して測定されるほぐれやすさは、10秒以上600秒以下であり、40秒以上590秒以下が好ましい。このように上記ほぐれやすさを上記範囲とすることで、相反する特性である液体保持性と水離解性とを共に向上させることができる。上記ほぐれやすさが上記上限を超えると、水離解性に劣る。上記ほぐれやすさが上記下限未満であると、液体保持性に劣る。当該水離解性繊維シートのほぐれやすさは、例えば表層、裏層の厚さ、坪量や中層の厚さ、表層、裏層の吸水度等で調整することができる。
坪量(g/m2)は、JIS P 8124:2011に記載の「紙及び板紙−坪量の測定方法」に準拠して測定した。
厚さ(μm)は、JIS P 8118:1998「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
吸水度(コッブ値)(g/m2)は、JIS P 8140:1998「紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法」に準拠して、接触時間10秒として、得られた水離解性繊維シートの表層の表側について測定した。また、表層用及び裏層用繊維シートの撥水剤及び表面サイズ剤を含む塗工液を塗工した面について測定した。
水の保持時間(秒)は、水離解性繊維シートを100mm角に断裁し、三角折りして水離解性繊維シートの表層表面が内面(液体と直接接する面)となるように容器を作り、温度23℃の10mLの蒸留水をいれ、容器から水滴が落ちるまでの時間を測定した。また、測定時に水滴が落ちるより先に紙やフィルムが離解した場合はその時間を測定した。
ほぐれやすさ(秒)は、JIS P 4501:2006「トイレットペーパー」の4.5ほぐれやすさの試験に準拠して測定した。
JIS P 8121:1995「パルプ−ろ水度試験方法」に準拠したろ水度が680mLになるように叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)100質量%の原料パルプスラリーを得た。この原料パルプスラリーに対し、内添サイズ剤(アルキルケテンダイマー系サイズ剤、星光PMC社の「1602」)を絶乾パルプ1トン当たり固形分で0.6kg/トン添加し、ヤンキードライヤーを有する丸網抄紙機で、坪量43.4g/m2の繊維シートを抄造した。
さらに、得られた繊維シートの片面(ヤンキー面)にグラビアコーターで表面サイズ剤(アルキルケテンダイマー系サイズ剤、星光PMC社の「AD1602」)と、撥水剤(ワックス系エマルジョン、星光PMC社の「WR3932」)とを固形分比で5質量部:100質量部で含む塗工液を固形分換算での塗工量が1.6g/m2となるように塗工し、坪量45g/m2、厚さ90μm、ヤンキー面の吸水度8.0g/m2の表層用及び裏層用の繊維シートを得た。中層を水溶性フィルム(PVA系フィルム、日本合成化学工業社の「ハイセロンC−200」、厚さ40μm)とし、表層は反ヤンキー面を水溶性フィルムと接するように、裏層はヤンキー面を水溶性フィルムと接するように重ね合わせ、熱ラミネート処理(ロール温度160℃、線圧100kg/cm)することで熱接着し、実施例1の水離解性繊維シートを得た。実施例1の水離解性繊維シートの表層表面の吸水度は3.5g/m2、水の保持時間は120秒、ほぐれやすさは74秒であった。
表層、表層、裏層等を表1の通りとしたこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。なお、比較例2では水溶性フィルムを用いず、表層用繊維シートのみで離解性繊維シートを構成した。また、比較例5では水溶性フィルムと裏層繊維シートを熱ラミネート処理し水離解性繊維シートを作製した。水の保持時間は表層表面を内側になるように(液体と接するように)容器を作製し評価した。比較例5では、水溶性フィルム面を内側になるように(液体と接するように)容器を作製し評価した。水離解性繊維シートの物性については表2に示す。
Claims (5)
- 3層構造体を備える水離解性繊維シートであって、
上記3層構造体の表層及び裏層が水分散性繊維を含む繊維層であり、
上記3層構造体の中層が水溶性フィルムであり、
JIS P 4501:2006に準拠して測定されるほぐれやすさが10秒以上600秒以下、水の保持時間が30秒以上であることを特徴とする水離解性繊維シート。 - JIS P 8140:1998に準拠して測定される表層表面の吸水度が0.01g/m2以上40g/m2以下である請求項1に記載の水離解性繊維シート。
- 上記表層及び裏層の厚さが50μm以上200μm以下であり、
上記中層の厚さが10μm以上100μm以下である請求項1又は請求項2に記載の水離解性繊維シート。 - 上記水分散性繊維が木材繊維である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の水離解性繊維シート。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の水離解性繊維シートから得られる容器。
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