JP6873081B2 - リチウムイオン電池用負極材料、リチウムイオン電池用負極、およびリチウムイオン電池 - Google Patents
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Description
構成元素としてLi、P、およびSを含む硫化物固体電解質材料と、
構成元素としてLiおよびSiを含む合金材料と、
炭素材料と、
のメカノケミカル処理物を含み、
前記メカノケミカル処理物は、線源としてCuKα線を用いたX線回折では検出できない程度の結晶子サイズを有するSi微粒子と、Li 2 Sと、を含み、
上記硫化物固体電解質材料は、LiXPYSZ(ただし、4≦X≦15、1≦Y≦3、6≦Z≦14である。X、YおよびZは整数である。)により示される化合物を含み、
上記合金材料は、LiASiB(ただし、7≦A≦25、3≦B≦7である。AおよびBは整数である。)により示される化合物を含む、リチウムイオン電池用負極材料が提供される。
上記本発明のリチウムイオン電池用負極材料からなる負極活物質層を集電体の表面に形成してなる、リチウムイオン電池用負極が提供される。
上記リチウムイオン電池用負極と、電解質層と、正極とを備えた、リチウムイオン電池が提供される。
はじめに、本実施形態のリチウムイオン電池用負極材料について説明する。
本実施形態のリチウムイオン電池用負極材料(以下、負極材料とも呼ぶ。)は、構成元素としてLi、P、およびSを含む硫化物固体電解質材料(以下、Li-P-S系固体電解質材料とも呼ぶ。)と、構成元素としてLiおよびSiを含む合金材料(以下、Li-Si系合金材料とも呼ぶ。)と、を粉砕混合することにより得られるものである。
ここで、Li-P-S系固体電解質材料は、例えば、Li2S、P2S5、必要に応じてLi3N等を所定の割合で混合し、メカノケミカル処理等の混合粉砕をおこなうことにより製造することができる。
Li-Si系合金材料は、例えば、LiとSiを所定の割合で溶融混合し、その後、粉砕することにより製造することができる。
まず、Li11P3S12とLi22Si5とを粉砕混合することにより得られたものについて、線源としてCuKα線を用いたX線回折測定をおこなうと、Li11P3S12由来の回折ピークとLi22Si5由来の回折ピークは消失し、硫化リチウム(Li2S)の回折ピークが検出される。
Li11P3S12とLi22Si5のピークが消失していることから、Li11P3S12とLi22Si5とは粉砕混合により反応し、ガラス化していることが確認できる。また、Li2Sのピークが検出されることから、Li11P3S12とLi22Si5とが反応してLi2Sが生成していることが確認できる。
ここで、Li11P3S12とLi22Si5との反応によりLi2Sが生成していることから、Siも同時に生成していると考えられるが、Siの(111)面のピーク(2θ=28.4±0.3°)は検出されない。
そこで、Li11P3S12とLi22Si5とを粉砕混合することにより得られたものを350MPaでプレス成形して得られたφ9.5mm×1mmのペレット表面の任意部分φ100μm領域をX線光電子分光分析(XPS)(PHI社製QuanteraSXM)で分析するとLiの1s軌道スペクトル、Sの2p軌道スペクトルおよびSiの2p軌道スペクトルのように金属SiおよびLi2Sの結合エネルギーが検出される。その他にSiOx(x<2)、LiOH、Li2O等の結合エネルギーが検出されるが、これらはペレット表面がわずかながら酸化されるためである。
このことから、本実施形態の負極材料は、線源としてCuKα線を用いたX線回折では検出できない程度の結晶子サイズを有するSi微粒子を含んでいることが理解できる。
以上から、本実施形態の負極材料は、このようなSi微粒子がLi2SおよびLi、P、Sを主成分とする化合物からなる固体電解質中に適度な比率で均一に分散し、Siが極めて小さな微粒子であることから、充放電によって起こるSi微粒子の体積変化が固体電解質との接触不良を引き起こし難いため、これまでに無い良好なサイクル特性を実現できていると推察される。
ここで、線源としてCuKα線を用いたX線回折では検出できない程度の結晶子サイズは、以下のScherrerの式から算出すると、0.4nm以上2.0nm以下の範囲内である。
D=0.94λ/βcosθ
ただし、Dは結晶子径(Å)、βはX線回折ピークの半値幅、θはブラッグ角、λはX線(CuKα)の波長(1.54Å)である。
このような炭素材料は負極活物質として機能するとともに導電助剤としても機能する。そのため、本実施形態の負極材料は、上記炭素材料をさらに含むことにより、得られるリチウムイオン電池の充放電容量をより一層向上させることができる。
炭素材料の平均粒子径d50を上記範囲内とすることにより、良好なハンドリング性を維持すると共に、より一層高密度の負極を作製することができる。
つづいて、本実施形態の負極材料の製造方法について説明する。
本実施形態の負極材料は、Li-P-S系固体電解質材料とLi-Si系合金材料とを粉砕混合することにより得ることができる。Li-P-S系固体電解質材料およびLi-Si系合金材料としては前述したものが挙げられる。
Li-P-S系固体電解質材料とLi-Si系合金材料とを粉砕混合する方法としてはLi-P-S系固体電解質材料とLi-Si系合金材料とを均一に粉砕混合できる方法であれば特に限定されないが、例えば、非活性雰囲気下でメカノケミカル処理によりおこなう方法が挙げられる。メカノケミカル処理を用いると、Li-P-S系固体電解質材料とLi-Si系合金材料とを微粒子状に粉砕しながら混合することができるため、Li-P-S系固体電解質材料と、Li-Si系合金材料との接触面積を大きくすることができる。これにより、Li-P-S系固体電解質材料と、Li-Si系合金材料との反応を促進することができる。
Li-P-S系固体電解質材料およびLi-Si系合金材料の合計重量に対する上記炭素材料の混合重量の比は、好ましくは0.01以上1.5以下であり、より好ましくは0.05以上0.70以下であり、さらに好ましくは0.12以上0.40以下である。炭素材料の混合量が上記範囲内であると、得られるリチウムイオン電池の充放電容量をより一層向上させることができる。
つぎに、本実施形態の負極材料を含むリチウムイオン電池用負極について説明する。
本実施形態のリチウムイオン電池用負極は特に限定されないが、例えば、本実施形態の負極材料からなる負極活物質層をステンレス箔などの集電体の表面に形成することにより得られる。
つぎに、本実施形態のリチウムイオン電池用負極の製造方法について説明する。
本実施形態のリチウムイオン電池用負極は特に限定されないが、一般的に公知の方法に準じて製造することができる。例えば、本実施形態の負極材料を圧縮成形、ロール成形などによりシート状、ペレット状などに成形して負極活物質層を形成する。そして、このようにして得られた負極活物質層と集電体とを積層することにより、本実施形態の負極を得ることができる。
また、本実施形態の負極材料を用いて負極スラリーを作製し、それを集電体に塗布して乾燥することにより、負極を製造することもできる。
つぎに、本実施形態のリチウムイオン電池100について説明する。図1は、本発明に係る実施形態のリチウムイオン電池の構造の一例を示す断面図である。
本実施形態のリチウムイオン電池100は、一般的に公知の方法に準じて製造される。例えば、正極110、固体電解質層またはセパレーター、および負極130を重ねたものを、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状に形成し、必要に応じて、非水電解液を封入することにより作製される。
多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、材質としてポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステルなどが挙げられる。特に、多孔性ポリオレフィンフィルムが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルムなどが挙げられる。
上記電解質としては、公知のリチウム塩がいずれも使用でき、活物質の種類に応じて選択すればよい。例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiB10Cl10、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、CF3SO3Li、CH3 SO3Li、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、低級脂肪酸カルボン酸リチウムなどが挙げられる。
本実施形態の全固体リチウムイオン電池は、例えば、正極110、負極130、および、正極110と負極130との間に固体電解質により形成された固体電解質層(電解質層120)を有するものである。
本実施形態の固体電解質材料としては特に限定されないが、一般的に公知のものを用いることができる。例えば、上述した負極130に含ませる固体電解質材料と同様のものを用いることができる。
全固体リチウムイオン電池の負極材料として、本実施形態の負極材料を用いると、充放電容量、サイクル特性などの電池特性が良好で、かつ、高い安全性を有するリチウムイオン電池とすることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
以下、参考形態の例を付記する。
<付記>
(付記1)
構成元素としてLi、P、およびSを含む硫化物固体電解質材料と、
構成元素としてLiおよびSiを含む合金材料と、
を粉砕混合することにより得られる、リチウムイオン電池用負極材料。
(付記2)
付記1に記載のリチウムイオン電池用負極材料において、
前記硫化物固体電解質材料は、Li X P Y S Z (ただし、4≦X≦15、1≦Y≦3、6≦Z≦14である。)により示される化合物である、リチウムイオン電池用負極材料。
(付記3)
付記1または2に記載のリチウムイオン電池用負極材料において、
前記合金材料は、Li A Si B (ただし、7≦A≦25、3≦B≦7である。)により示される化合物である、リチウムイオン電池用負極材料。
(付記4)
付記1乃至3いずれか一つに記載のリチウムイオン電池用負極材料において、
前記硫化物固体電解質材料に対する前記合金材料の反応モル比が1.5以上7.7以下である、リチウムイオン電池用負極材料。
(付記5)
付記1乃至4いずれか一つに記載のリチウムイオン電池用負極材料において、
さらに炭素材料を含む、リチウムイオン電池用負極材料。
(付記6)
付記5に記載のリチウムイオン電池用負極材料において、
前記炭素材料は黒鉛質材料である、リチウムイオン電池用負極材料。
(付記7)
付記1乃至6いずれか一つに記載のリチウムイオン電池用負極材料において、
前記硫化物固体電解質材料および前記合金材料の合計重量に対する前記炭素材料の混合重量の比が0.01以上1.5以下である、リチウムイオン電池用負極材料。
(付記8)
線源としてCuKα線を用いたX線回折では検出できない程度の結晶子サイズを有するSi微粒子を含む、リチウムイオン電池用負極材料。
(付記9)
付記8に記載のリチウムイオン電池用負極材料において、
さらに炭素材料を含む、リチウムイオン電池用負極材料。
(付記10)
付記9に記載のリチウムイオン電池用負極材料において、
前記炭素材料は黒鉛質材料である、リチウムイオン電池用負極材料。
(付記11)
付記1乃至10いずれか一つに記載のリチウムイオン電池用負極材料からなる負極活物質層を集電体の表面に形成してなる、リチウムイオン電池用負極。
(付記12)
付記11に記載のリチウムイオン電池用負極と、電解質層と、正極とを備えた、リチウムイオン電池。
(付記13)
付記12に記載のリチウムイオン電池において、
前記電解質が固体電解質である、リチウムイオン電池。
はじめに、以下の実施例、比較例における測定方法を説明する。
X線回折装置(リガク社製、RINT2000)を用いて、X線回折分析法により、実施例および比較例で得られた負極材料の回折スペクトルをそれぞれ求めた。なお、線源としてCuKα線を用いた。
実施例および比較例で得られた負極材料15mgについてプレス成型を行い、負極を得た(直径φ=14mm、厚みt=0.15mm)。
次いで、固体電解質層(Li10P3S12、150mg、直径φ=14mm、厚みt=0.6mm)、正極(Li6MoS6:アセチレンブラック(AB):Li10P3S12=1:1:1(重量%)、45mg、直径φ=14mm、厚みt=0.15mm)をこの順で積層させて全固体リチウムイオン電池を作製した。
次いで、得られた全固体リチウムイオン電池について、電流値0.1mA、電流密度0.065mA/cm2、測定電位0.9−3.5Vの条件で充放電を10回行った。得られた結果を表1に示す。ここで、1回目の放電容量を100%としたときの10回目の放電容量を放電容量変化率[%]とした。
アルゴン雰囲気下で、MoS2(和光純薬工業社製、970mg、6.1mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、835mg、17.8mmol)と、S(シグマアルドリッチジャパン社製、194mg、6.1mmol)とをアルミナ製ボールミルポット(内容積400ml)に入れ、97rpmで、4日間処理を行うことにより得た。
原料には、Li2S(Alfa Aesar製、純度99.9%)、P2S5(関東化学製試薬)を使用した。Li3Nは、以下の手順で作製した。
まず、窒素雰囲気のグローブボックス中で、Li箔(本城金属社製純度99.8%、厚さ0.5mm)にステンレス製の剣山を使用しφ1mm以下の穴を多数開けた。Li箔は穴の部分から黒紫色に変化し始め、そのまま、常温で24時間放置することでLi箔すべてが黒紫色のLi3Nに変化した。Li3Nは、メノウ乳鉢で粉砕後、ステンレス製篩で篩い分けし、75μm以下の粉末を回収し固体電解質材料の原料とした。
つづいて、アルゴングローブボックス中で各原料をLi2S:P2S5:Li3N=71.1:23.7:5.3(モル%)になるように精秤し、これら粉末を20分間メノウ乳鉢で混合した。次いで、混合粉末2gを秤量し、φ10mmのジルコニア製ボール500gとともに、遊星ボールミル(フリッチュ社製、P−7)にて、100rpmで1時間混合粉砕した。次いで、400rpmで15時間混合粉砕した。混合粉砕後の粉末をプレス装置を用いて、270MPa、10分間プレスし、厚さ0.6mmの板状の混合物を得た。得られた混合物はカーボンボートに入れアルゴン気流中で300℃、2時間加熱処理し、粉末同士が融着し、固く焼結した、Li10P3S12組成の固体電解質材料を得た。
<実施例1>
アルゴン雰囲気下、ジルコニウム坩堝中で、Li箔(本城金属社製、1.04g)とSi粉末(古河機械金属社製、0.96g)を300℃、1時間溶融混合した。次いで、その混合物をアルミナ製ボールミルポットに入れ、さらにZrO2ボールを入れ、アルミナ製ボールミルポットを密閉した。次いで、アルミナ製ボールミルポットを97rpmで、27時間処理を行い、Li22Si5組成のLi-Si合金1を得た。
原料には、Li10P3S12組成の固体電解質材料の作製と同様のものを用いた。
まず、アルゴングローブボックス中で各原料をLi2S:P2S5:Li3N=67.5:22.5:10.0(モル%)になるように精秤し、これら粉末を20分間メノウ乳鉢で混合した。次いで、混合粉末2gを秤量し、φ10mmのジルコニア製ボール500gとともに、遊星ボールミル(フリッチュ社製、P−7)にて100rpmで1時間混合粉砕した。次いで、400rpmで15時間混合粉砕した。混合粉砕後の粉末はカーボンボートに入れアルゴン気流中で300℃、2時間加熱処理し、Li11P3S12組成のLi-P-S系固体電解質材料1を得た。
得られた負極材料1のX線回折スペクトルを測定したところ、Li-P-S系固体電解質材料1であるLi11P3S12およびLi-Si合金1であるLi22Si5の回折ピークは消失し、Li2Sおよび黒鉛の回折ピークが検出された。また、Siの回折ピークは検出されなかった。一方、X線光電子分光分析(XPS)(PHI社製QuanteraSXM)により、Siが生成していることを確認した。
Li-Si合金1:Li-P-S系固体電解質材料1:黒鉛(CGC−20、日本黒鉛工業社製)=4:3:4(重量比)に変更した以外は実施例1と同様にし、負極材料2を得た。
得られた負極材料2のX線回折スペクトルを測定したところ、Li-P-S系固体電解質材料1であるLi11P3S12およびLi-Si合金1であるLi22Si5の回折ピークは消失し、Li2Sおよび黒鉛の回折ピークが検出された。また、Siの回折ピークは検出されなかった。一方、XPSにより、Siが生成していることを確認した。
Li-Si合金1:Li-P-S系固体電解質材料1:黒鉛(CGC−20、日本黒鉛工業社製)=4:3:2(重量比)に変更した以外は実施例1と同様にし、負極材料3を得た。
得られた負極材料3のX線回折スペクトルを測定したところ、Li-P-S系固体電解質材料1であるLi11P3S12およびLi-Si合金1であるLi22Si5の回折ピークは消失し、Li2Sおよび黒鉛の回折ピークが検出された。また、Siの回折ピークは検出されなかった。一方、XPSにより、Siが生成していることを確認した。
Li-Si合金1:Li-P-S系固体電解質材料1:黒鉛(CGC−20、日本黒鉛工業社製)=4:3:0(重量比)に変更した以外は実施例1と同様にし、負極材料4を得た。
得られた負極材料4のX線回折スペクトルを測定したところ、Li-P-S系固体電解質材料1であるLi11P3S12およびLi-Si合金1であるLi22Si5の回折ピークは消失し、Li2Sの回折ピークが検出された。また、Siの回折ピークは検出されなかった。一方、XPSにより、Siが生成していることを確認した。
黒鉛(CGC−20、日本黒鉛工業社製)の代わりに、活性炭(クラレコールYP−17、クラレケミカル社製、平均粒子径d50:21.7μm)を用いた以外は実施例1と同様にし、負極材料5を得た。
得られた負極材料5のX線回折スペクトルを測定したところ、Li-P-S系固体電解質材料1であるLi11P3S12およびLi-Si合金1であるLi22Si5の回折ピークは消失し、Li2Sの回折ピークが検出された。また、Siの回折ピークは検出されなかった。一方、XPSにより、Siが生成していることを確認した。
黒鉛(CGC−20、日本黒鉛工業社製)の代わりに、アセチレンブラック(電気化学工業製、平均粒子径d50:0.04μm)を用いた以外は実施例3と同様にし、負極材料6を得た。
得られた負極材料6のX線回折スペクトルを測定したところ、Li-P-S系固体電解質材料1であるLi11P3S12およびLi-Si合金1であるLi22Si5の回折ピークは消失し、Li2Sの回折ピークが検出された。また、Siの回折ピークは検出されなかった。一方、XPSにより、Siが生成していることを確認した。
黒鉛(CGC−20、日本黒鉛工業社製)の代わりに、多孔質炭素(CNovel2200、東洋炭素社製、平均粒子径d50:9.5μm)を用いた以外は実施例3と同様にし、負極材料7を得た。
得られた負極材料7のX線回折スペクトルを測定したところ、Li-P-S系固体電解質材料1であるLi11P3S12およびLi-Si合金1であるLi22Si5の回折ピークは消失し、Li2Sの回折ピークが検出された。また、Siの回折ピークは検出されなかった。一方、XPSにより、Siが生成していることを確認した。
Li-Si合金1の代わりに、Li7Si3を用いた以外は実施例3と同様にし、負極材料8を得た。
得られた負極材料8のX線回折スペクトルを測定したところ、Li-P-S系固体電解質材料1であるLi11P3S12およびLi7Si3の回折ピークは消失し、Li2Sの回折ピークが検出された。また、Siの回折ピークは検出されなかった。一方、XPSにより、Siが生成していることを確認した。
Li-Si合金1:Li-P-S系固体電解質材料1:黒鉛(CGC−20、日本黒鉛工業社製)=0:3:8(重量比)に変更した以外は実施例1と同様にし、負極材料9を得た。
アルゴングローブボックス中で各原料をLi-Si合金1:硫黄(S、シグマアルドリッチジャパン社製)=1:1.2(重量比)になるように精秤し、これらを10分間メノウ乳鉢で混合した。次いで、混合粉末2gを精秤し、これらをφ10mmのジルコニア製ボールとともに、アルミナ製ボールミルポット(内容積400mL)に入れ、97rpmで24時間混合粉砕し、混合粉砕後の粉末はX線回折でLi2SおよびSiの回折ピークが検出され、Li2SとSiの混合物に変化していることを確認した。このLi2SとSiの混合物をLi−Si合金1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にし、負極材料10を得た。ただし負極材料に含まれるSiの重量は、実施例1の46%である。
得られた負極材料10のX線回折スペクトルを測定したところ、Li-P-S系固体電解質材料1であるLi11P3S12およびLi22Si5の回折ピークは消失し、Li2Sおよび黒鉛の回折ピークが検出された。また、Siの回折ピークが検出された。Siの回折ピークからScherrerの式を用いて算出した結晶子サイズは370nmであった。
Li-Si合金1の代わりに、Si粉末(古河機械金属製、平均粒子径D50:2.0μm)を用いた以外は実施例1と同様にし、負極材料11を得た。
得られた負極材料11のX線回折スペクトルを測定したところ、Li-P-S系固体電解質材料1であるLi11P3S12の回折ピークは消失し、Siおよび黒鉛の回折ピークが検出された。
以上の負極材料1〜11の充放電試験結果を表1に示す。
実施例で得られた負極材料1〜8は、比較例で得られた負極材料9〜11に比べて、放電容量変化率および放電容量に優れていた。
110 正極
120 電解質層
130 負極
Claims (12)
- 構成元素としてLi、P、およびSを含む硫化物固体電解質材料と、
構成元素としてLiおよびSiを含む合金材料と、
炭素材料と、
のメカノケミカル処理物を含み、
前記メカノケミカル処理物は、線源としてCuKα線を用いたX線回折では検出できない程度の結晶子サイズを有するSi微粒子と、Li 2 Sと、を含み、
前記硫化物固体電解質材料は、LiXPYSZ(ただし、4≦X≦15、1≦Y≦3、6≦Z≦14である。X、YおよびZは整数である。)により示される化合物を含み、
前記合金材料は、LiASiB(ただし、7≦A≦25、3≦B≦7である。AおよびBは整数である。)により示される化合物を含む、リチウムイオン電池用負極材料。 - 請求項1に記載のリチウムイオン電池用負極材料において、
前記硫化物固体電解質材料に対する前記合金材料の混合モル比が1.5以上7.7以下である、リチウムイオン電池用負極材料。 - 請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用負極材料において、
前記炭素材料は黒鉛質材料である、リチウムイオン電池用負極材料。 - 請求項1乃至3いずれか一項に記載のリチウムイオン電池用負極材料において、
前記硫化物固体電解質材料および前記合金材料の合計重量に対する前記炭素材料の混合重量の比が0.01以上1.5以下である、リチウムイオン電池用負極材料。 - 請求項1乃至4いずれか一項に記載のリチウムイオン電池用負極材料において、
前記メカノケミカル処理物は、線源としてCuKα線を用いたX線回折では検出できない程度の結晶子サイズを有するSi微粒子を含む、リチウムイオン電池用負極材料。 - 請求項1乃至5いずれか一項に記載のリチウムイオン電池用負極材料からなる負極活物質層を集電体の表面に形成してなる、リチウムイオン電池用負極。
- 請求項6に記載のリチウムイオン電池用負極と、電解質層と、正極とを備えた、リチウムイオン電池。
- 請求項7に記載のリチウムイオン電池において、
前記電解質層が固体電解質層である、リチウムイオン電池。 - リチウムイオン電池用負極材料を製造するための製造方法であって、
構成元素としてLi、P、およびSを含む硫化物固体電解質材料と、構成元素としてLiおよびSiを含む合金材料と、炭素材料と、をメカノケミカル処理する工程を含み、
前記メカノケミカル処理により、線源としてCuKα線を用いたX線回折では検出できない程度の結晶子サイズを有するSi微粒子と、Li 2 Sと、が生成し、
前記硫化物固体電解質材料は、LiXPYSZ(ただし、4≦X≦15、1≦Y≦3、6≦Z≦14である。X、YおよびZは整数である。)により示される化合物を含み、
前記合金材料は、LiASiB(ただし、7≦A≦25、3≦B≦7である。AおよびBは整数である。)により示される化合物を含む、リチウムイオン電池用負極材料の製造方法。 - 請求項9に記載のリチウムイオン電池用負極材料の製造方法において、
前記硫化物固体電解質材料に対する前記合金材料の混合モル比が1.5以上7.7以下である、リチウムイオン電池用負極材料の製造方法。 - 請求項9または10に記載のリチウムイオン電池用負極材料の製造方法において、
前記炭素材料は黒鉛質材料である、リチウムイオン電池用負極材料の製造方法。 - 請求項9乃至11のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用負極材料の製造方法において、
前記硫化物固体電解質材料および前記合金材料の合計重量に対する前記炭素材料の混合重量の比が0.01以上1.5以下である、リチウムイオン電池用負極材料の製造方法。
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