JP6817863B2 - 受信装置及び遅延時間補正方法 - Google Patents
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Description
無線通信システムの基地局等に接続され、複数のアンテナを備えた受信装置がある。
このような受信装置では、信号を受信する第1のアンテナと、第2のアンテナとを備え、受信装置において、受信したそれぞれの信号の相関をとって遅延差が生じないよう遅延の特性を向上させるようにしている。
図5に示すように、従来の受信装置40は、信号を受信する第1のアンテナ51と、第2のアンテナ52とを備えている。
そして、第1のアンテナ51は、伝送線路53によって受信装置40に接続され、第2のアンテナ52は、伝送線路54によって受信装置40に接続されている。
そのため、受信装置40では、第1のアンテナ51からの信号と第2のアンテナ52からの信号について、伝送経路やアンテナの違いによる遅延差を補正して、タイミングを合わせて信号処理を行う必要がある。
フィルタ(1)41は、伝送線路53から入力された信号について所望の帯域を通過させる。
フィルタ(2)42は、伝送線路54から入力された信号について所望の帯域を通過させる。
A/D変換部(1)43及びA/D変換部(2)44は、入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換する。
遅延検出部46は、ピーク位置に基づいて遅延時間を検出し、遅延補正部(1)47及び遅延補正部(2)48にそれぞれ適切な遅延時間を設定する。
例えば、第1のアンテナからの信号を基準として、遅延補正部(1)47には遅延時間0(ゼロ)を設定し、第2のアンテナからの信号について、第1のアンテナからの信号と遅延時間を合わせるように遅延補正部(2)48に適切な遅延時間を設定する。
遅延補正部(2)48は、設定された遅延時間だけ第2のアンテナからの信号を遅延させて信号処理部49に出力する。
尚、受信装置の従来技術としては、特開2015−170877号公報「ノイズキャンセラー装置」(株式会社日立国際電気、特許文献1)がある。
特許文献1には、複数のサブアンテナで受信された信号を用いて、それぞれの相関値より遅延差を無くすことが記載されている。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る受信装置及び遅延時間補正方法は、第1のアンテナに接続する第1の伝送経路と、第2のアンテナに接続する第2の伝送経路における信号の遅延時間の差を補正する受信装置及び遅延時間補正方法であって、遅延部が、第2の伝送経路からの第2の信号を遅延させ、相関算出部が、第1の伝送経路からの第1の信号と、第2の信号との相関値を求め、相関値に基づいて第2の信号の振幅と位相を補正し、電力測定部が、第1の信号から補正された第2の信号を減算して、差分信号の電力値を算出し、設定部が、遅延部に遅延時間を設定し、遅延補正部に電力値が最小となる遅延時間を補正遅延時間として設定し、遅延補正部が、設定された補正遅延時間で第2の伝送経路からの第2の信号を遅延するようにしており、受信信号の周波数帯域幅を広げることなく、異なる伝送経路からの信号の遅延差を精度良く検出して、良好な特性の受信信号を得ることができるものである。
本発明の実施の形態に係る受信装置(本受信装置)の構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る受信装置に、外部装置を接続した状態を示す構成ブロック図である。
図1では、本受信装置の運用前において、複数(ここでは2つ)のアンテナに接続される伝送線路における遅延時間のずれを補正するための構成を示しており、本受信装置10に、外部装置として信号発生器31と、信号分配器32と、パーソナルコンピュータ(Personal Computer;PC)37とが接続されている。
また、それぞれのアンテナも、その特性に応じて形状が異なることがある。
そして、図1の構成により、伝送線路35と伝送線路36における遅延時間の違いを補正する。伝送線路35,36は、それぞれ、請求項における第1の伝送経路、第2の伝送経路に相当している。
尚、伝送線路33及び伝送線路34は、遅延差がないものを用いている。
信号分配器32は、信号発生器31から入力される信号を伝送線路33及び伝送線路34に出力する。
また、PC37は、実際に設置されるアンテナによって生じる遅延時間のパラメータを記憶しており、アンテナに起因する遅延時間を考慮して補正遅延時間を算出する。PC37の処理については、後述する。
フィルタ(1)11及びフィルタ(2)12は、それぞれ、第1のアンテナからの信号と第2のアンテナからの信号について所望の帯域(本受信機の受信帯域)を通過させる。
A/D変換部(1)13及びA/D変換部(2)14は、入力された信号をA/D変換する。
遅延補正部(1)23及び遅延補正部(2)24は、それぞれ、第1のアンテナからの信号と第2のアンテナからの信号について、設定された遅延補正時間だけ遅延させる。
信号処理部25は、遅延補正部(1)23からの信号と、遅延補正部(2)24からの信号とを入力して、入力された信号を復調する信号処理を行う。なお、遅延時間を補正したそれぞれの信号を合成して復調、もしくはそれぞれの信号を個別に復調する信号処理を装置によって適宜行うものである。
本受信装置10の内部は、ディジタル回路部分を含め、遅延時間のずれが発生しないように構成されている。
遅延部(1)15は、設定された遅延時間で、A/D変換部(1)13からの信号を遅延させる。
遅延部(2)16は、設定された遅延時間で、A/D変換部(2)14からの信号を遅延させる。
また、遅延部(1)13及び遅延部(2)14における遅延時間を両方とも変化させてもよいし、遅延部(2)14の遅延時間を0として、遅延部(1)13における遅延時間を変化させてもよい。
伝送路の違いで負荷が変化するため、位相だけではなく振幅も補正するものである。
それと共に、通信部19は、PC37からの指示に従って遅延変更部21に遅延時間を設定し、または、遅延設定部22に補正遅延時間を設定する。
尚、通信部19は、請求項に記載した設定部に相当している。
また、通信部19が遅延設定部22に設定する補正遅延時間は、上述した複数の遅延時間について電力値を測定した結果、差分信号の電力値が最小となった場合の遅延時間に相当しており、更に、アンテナに起因する遅延差が、PC37に記憶されたパラメータで微調整された時間となっている。
すなわち、後述するように、まず、線路長に起因する遅延差を補正するため、差分信号の電力値が最小となる遅延時間が特定され、更に当該遅延時間についてアンテナに起因する遅延差が補正されて、遅延変更部21に設定される補正遅延時間となるものである。
尚、ここでは、第1のアンテナの系からの信号を基準としているので、遅延補正部(1)23には予め補正遅延時間として0を設定しておいてもよいし、遅延補正部(1)23を設けない構成としてもよい。
次に、本受信装置における運用開始前の動作について図1を用いて説明する。
図1に示すように、本受信装置10に接続された信号発生器31において、本受信装置10の受信帯域幅以上の信号が生成されて出力され、当該信号は、信号分配器32において、第1の経路(伝送線路33+35)と、第2の経路(伝送線路34+36)に分配される。
上述したように、伝送線路35と伝送線路36の長さが異なるため、それぞれの経路間で、遅延時間にずれが生じる。
分岐された他方の信号は、遅延補正部(1)23に入力される。
分岐された他方の信号は、遅延補正部(2)15に入力される。
相関算出部17から出力された第1の信号と、補正された第2の信号は、電力測定部18に入力されて、第1の信号から補正された第2の信号が減算され、差分信号の電力値が測定される。
PC37では、通信部19の設定先を遅延変更部21に切り替え、予め設定されている特定範囲内の遅延時間の値の一つを通信部19に出力すると共に、通信部19から電力値を受信すると、当該遅延時間に対応付けて記憶し、次の遅延時間の値を設定して、電力値を取得する。PC37は、遅延時間の設定と電力値の取得の処理を、特定範囲内で予め決められている全ての遅延時間の値について繰り返す。
更に、PC37は、実際にA点及びB点に取り付けられるアンテナ自体の遅延時間に関するパラメータ(アンテナパラメータ)を用いて、特定された遅延時間を微調整する。
これにより、A/D変換部(2)14から出力、分岐された第2の信号の内、他方の信号は、遅延補正部(2)24で補正遅延時間だけ遅延されて、遅延されない第1の信号とタイミングが合った状態で信号処理部25に入力されることになる。
尚、通信部19の代わりに、補正遅延時間を求める処理を行う制御部を設け、PC37で行っている処理を受信装置10の内部で行う構成としてもよい。
次に、電力測定部18における電力の測定箇所(周波数)について説明する。
電力測定部18において、差分信号の電力を測定する周波数範囲は、受信装置の受信帯域幅全体に亘る範囲としてもよいし、もっと狭い特定の帯域幅分でもよい。
また、狭い帯域を1箇所選択してもよいし、複数の帯域を選択して測定してもよい。
広い周波数範囲を測定する場合、当該周波数範囲に含まれる特定間隔の周波数毎に電力値が測定されるため、遅延時間に対応して記憶される電力値の数も多くなる。
1つの電力測定部18において、順次帯域を切り替えて電力値を測定してもよいし、複数の電力測定部18を設けて、並列的に測定してもよい。
電力測定部18における電力の測定帯域(中心周波数)及び帯域幅は、PC37から設定される。
次に、最適な遅延時間(パラメータ調整を行う前の遅延時間)を求める場合の選択方法について説明する。
電力値を測定する周波数帯域を複数箇所とした場合、PC37では、それぞれの周波数帯域について、遅延部(2)に設定した遅延時間と、電力測定部18からの電力値とを対応付けて記憶する。
また、複数の周波数帯域のうち、特定の周波数帯域における電力値が最小となる遅延時間を最適な遅延時間とする方法もある。
これらの選択方法は、実際の通信状態等に応じて、適宜選択して外部からPC37に設定しておく。また、遅延時間の選択方法は随時変更可能としている。
次に、本受信装置の運用時の構成について図2を用いて説明する。図2は、本受信装置の運用時の構成を示す構成ブロック図である。
図2に示すように、運用時には、信号を受信する第1のアンテナ38が図1に示した伝送線路35のA点に接続され、信号を受信する第2のアンテナ39が伝送線路36のB点に接続され、図1に示した伝送線路33,34から先は接続されない。
そして、電源が再投入されると、遅延設定部22は不揮発性メモリから補正遅延時間を読み込んで、遅延補正部(2)24に設定する。
次に、本受信装置において3つ以上のアンテナを備えた例について図3を用いて説明する。図3は、3つ以上のアンテナを備えた本装置の構成を示す説明図である。
図3に示すように、本受信装置60には、伝送線路62−1,62−2,…62−nを介して、アンテナ61−1,61−2,…61−nが接続されている。
また、図1の遅延部(1)15、遅延部(2)16のように、各伝送線路に対応する遅延部が設けられている。
そして、遅延設定部22が、各遅延補正部に補正遅延時間を設定するようになっている。
次に、フィルタ及び信号増幅器を備えた構成例について図4を用いて説明する。図4は、フィルタ及び信号増幅器を備えた本装置の運用時の構成を示す説明図である。
アンテナからの伝送経路上には、信号の帯域を調整するフィルタや伝送によるロスを補う増幅器が設けられることがある。
このような構成においても、本受信装置10は、運用開始前に、フィルタ63や信号増幅器64を備えた経路全体の遅延量を調整することができるものである。
本発明の実施の形態に係る受信装置及び遅延時間補正方法は、信号を受信する第1のアンテナからの第1の伝送線路35と、信号を受信する第2のアンテナからの第2の伝送線路36における信号の遅延時間の差を補正する受信装置であって、遅延部(2)16が、第2の伝送線路36からの第2の信号を遅延させ、相関算出部17が、第1の伝送線路35からの第1の信号と、遅延された第2の信号との相関値を求め、相関値に基づいて第2の信号の振幅と位相を補正し、電力測定部18が、第1の信号から補正された第2の信号を減算して、減算結果となる差分信号の電力値を算出し、通信部19が、遅延部(2)16に遅延時間を設定し、遅延補正部22に、電力値が最小となる遅延時間を補正遅延時間として設定し、遅延補正部22が、設定された補正遅延時間で第2の伝送線路36からの第2の信号を遅延して、信号処理部25に出力する受信装置及び遅延時間補正方法としているので、受信信号の周波数帯域幅を広げることなく、異なる伝送線路で伝送される信号の遅延差を精度良く検出して、良好な特性の受信信号を得ることができる効果がある。
Claims (5)
- 信号を受信する第1のアンテナと第2のアンテナとを備え、前記第1のアンテナからの第1の伝送経路と前記第2のアンテナからの第2の伝送経路における信号の遅延時間の差を補正する受信装置であって、
前記第2の伝送経路からの第2の信号の遅延を補正する遅延補正部と、
前記第1の伝送経路からの第1の信号と、前記遅延補正部から出力された第2の信号とを入力して信号処理を行う信号処理部と、
前記第2の信号を設定された遅延時間で遅延させる遅延部と、
前記第1の信号と前記遅延部で遅延された第2の信号との相関値を算出し、前記相関値に基づいて前記遅延された第2の信号の振幅及び位相を補正する相関算出部と、
前記第1の信号から前記相関算出部で補正された第2の信号を減算して差分信号を求め、前記差分信号の電力値を算出する電力測定部と、
前記遅延部に遅延時間を設定し、前記遅延補正部に前記電力値が最小となる遅延時間を補正遅延時間として設定する設定部とを備えたことを特徴とする受信装置。 - 補正遅延時間には、第1のアンテナと第2のアンテナにおける遅延時間の差を補正する時間が含まれることを特徴とする請求項1記載の受信装置。
- 設定部が、前記電力測定部からの電力値を外部処理装置に出力すると共に、前記外部処理装置からの指示に従って、遅延部に遅延時間を設定し、遅延補正部に補正遅延時間を設定することを特徴とする請求項1又は2記載の受信装置。
- 設定部が、予め記憶された遅延時間を順次遅延部に設定すると共に、前記電力測定部から入力された電力値が最小となる遅延時間を求め、前記遅延時間を補正遅延時間として遅延補正部に設定する制御部であることを特徴とする請求項1又は2記載の受信装置。
- 第1のアンテナに接続する第1の伝送経路と、第2のアンテナに接続する第2の伝送経路における信号の遅延時間の差を補正する遅延補正部を備えた受信装置における遅延時間補正方法であって、
分配器が、信号発生器からの信号を分配して前記第1の伝送経路及び前記第2の伝送経路に入力し、
遅延部が、前記第2の伝送経路からの第2の信号を遅延させ、
相関算出部が、前記第1の伝送経路からの第1の信号と、前記遅延部で遅延された第2の信号との相関値を算出し、前記相関値に基づいて当該第2の信号の振幅と位相を補正し、
電力測定部が、前記第1の信号から前記相関算出部で補正された第2の信号を減算して差分信号を求め、前記差分信号の電力値を算出し、
設定部が、前記電力測定部からの電力値を外部処理装置に出力すると共に、前記外部処理装置からの指示に従って、前記遅延部に遅延時間を設定し、前記遅延補正部に前記電力値が最小となる遅延時間を補正遅延時間として設定し、
前記遅延補正部が、前記設定された補正遅延時間で前記第2の伝送経路からの第2の信号を遅延することを特徴とする遅延時間補正方法。
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