JP5111699B2 - 干渉波抑圧装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、干渉波を抑圧する干渉波抑圧装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からよく知られているように、アダプティブアレーアンテナを用いて、意図せずに受信される干渉波を信号処理によって抑圧することが可能である。アダプティブアレーアンテナでは各アンテナ素子に接続されている適応荷重係数を適切に制御し、適応荷重で重み付けした信号を加算することによって干渉信号を抑圧する。ところが、各チャネル(各アンテナ素子に対応する適応荷重係数の入力)の間に、周波数特性(振幅特性、位相特性、群遅延特性)の不一致(以下、不整合という)があると、特に広帯域干渉波抑圧性能が劣化することがある。
【0003】
チャネル間の周波数特性の不整合は、おもに受信機内のアナログフィルタ等の特性ばらつきに起因する。例えば、アナログフィルタの振幅特性や位相特性のリップルは、一般に許容される範囲内でフィルタによってばらつきがある。ここで「広帯域」とは、適応荷重の重み付けによる干渉波抑圧信号処理におけるサンプリング周波数に近い帯域幅を意味する。
【0004】
従来技術文献1(K.Treitelbaum,“A flexible processor for a digital adaptive array radar”,IEEE AES Systems Magazine,pp.18−22,May 1991)に示されているように、適応荷重で重み付けする前にディジタルフィルタを接続して、チャネル間の周波数特性不整合を補償することができる。
【0005】
図7は上記従来技術文献1に示された従来の干渉波抑圧装置を示す構成図であり、図において、100は所定の方向(所望波方向、あるいは、信号を受信したいと思う方向)に主ビームを向けた主アンテナ、1−1,1−2,…,1−Nは指向性が等方性に近いN個の補助アンテナ、2は主アンテナ100により受信されたRF(radio frequency)信号を増幅し、そのRF信号をIF(intermediate frequency)信号にダウンコンバートする受信機、2−1,2−2,…,2−Nは補助アンテナ1−n(n=1,2,…,N,断らない限り以下同様)により受信されたRF信号を増幅し、そのRF信号をIF信号にダウンコンバートする受信機である。
【0006】
3,3−nはアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器、4,4−nはディジタルIF信号をディジタル同相・直交信号に変換する位相検波器、5は位相検波器4の出力信号を遅延させる遅延器、6−nは自己の出力における周波数特性と、遅延器5の出力における周波数特性との不整合を補償するディジタルフィルタ(以下、補償フィルタE(z)と呼ぶ)、7−nは適応荷重、8は加算器である。適応荷重7−nと加算器8から荷重加算手段9を構成しており、適応荷重7−nは適応荷重制御手段25により適当な適応アルゴリズムで制御される。10は遅延器5の出力信号から荷重加算手段9の出力信号を差し引く減算器である。
【0007】
30は補償フィルタE(z)の係数を計算するためにRF信号を発生する信号発生器、31,31−nは信号発生器30が発生するRF信号を伝送する信号ケーブル、32,32−nはRF信号の信号入力点、23は位相検波器4,4−nの出力信号から補償フィルタE(z)の係数を計算して設定する補償フィルタ係数設定手段である。
ここでは、z−1は荷重加算手段9における信号のサンプリング間隔であって1サンプル分の信号遅延を表し、遅延器5の遅延量をdサンプルとする。
【0008】
次に動作について説明する。
主アンテナ100及び補助アンテナ1−nにより受信されたRF信号は、受信機2,2−nで増幅され、ダウンコンバートされてIF信号となる。A/D変換器3,3−nがアナログIF信号をディジタルIF信号に変換し、位相検波器4,4−nがディジタルIF信号をディジタル同相・直交信号に変換する。位相検波器4,4−nの後の信号は、実部が同相成分、虚部が直交成分の複素信号として扱うことにする。遅延器5が位相検波器4の出力信号をdサンプル遅延させる。これは、補償フィルタE(z)を挿入することで何らかの遅延が発生するので、それと遅延を合わせるためである。
【0009】
補償フィルタE(z)の出力信号を適応荷重7−nで重み付けし、加算器8が適応荷重7−nの出力信号を加算する。そして、減算器10が遅延器5の出力信号から加算器8の出力信号を差し引くことにより、干渉波が抑圧された受信信号を得る。
図7では、適応アルゴリズムとしてフィードフォワード形のSMI(sample matrix inversion)法を想定しているため、遅延器5の出力信号を適応荷重制御に用いる。フィードバック形のLMS(least mean squares)アルゴリズムなどでは、遅延器5の出力信号の代わりに減算器10の出力信号を用いる。
【0010】
次に、補償フィルタE(z)の係数計算について説明する。信号入力点32,32−nはなるべくアンテナに近いことが望ましい。ここでは、主アンテナ100から信号入力点32までの信号遅延時間と、補助アンテナ1−nから信号入力点32−nまでの信号遅延時間とがほぼ等しいものとする。また、各信号ケーブル31,31−nの長さがほぼ等しいものとする。
【0011】
信号入力点32,32−nに対して、信号発生器30が発生したRF信号を信号ケーブル31,31−nを介して同時に入力する。RF信号の帯域幅は、荷重加算手段9における信号のサンプリング周波数程度か、それ以上とする。同時に入力した信号に対して、遅延器5の出力信号のスペクトルと、補償フィルタE(z)の出力信号のスペクトルがなるべく等しくなるように、補償フィルタ係数設定手段23が補償フィルタE(z)の係数を計算する。従来技術文献1では、補償フィルタE(z)をFIR形とし、上記両者のスペクトル差の平均2乗誤差が最小になるように係数を計算している。以下、それについて説明する。ここで、スペクトルは複素数である。
【0012】
補償フィルタE(z)の伝達関数を式(1)のようにおく。Mは補償フィルタE(z)のインパルス応答長である。
位相検波器4の出力信号と位相検波器4−nの出力信号に対してFFT(高速フーリエ変換)を行う。位相検波器4の出力信号に対するFFT結果をC(F),位相検波器4−nの出力信号に対するFFT結果をC(F)とする。Fは−0.5以上0.5未満の等間隔の離散値をとる正規化周波数である。
【数1】
Figure 0005111699
【0013】
平均二乗誤差最小の意味で、主アンテナ100に連なる遅延器5の出力信号の周波数特性と、補助アンテナ1−nに連なる補償フィルタE(z)の出力信号の周波数特性とを一致させるように、補償フィルタE(z)の特性近似問題を以下のように定式化する。つまり、式(2)の誤差関数Errを最小にする補償フィルタのインパルス応答e(m)を求める。ここで、E(F)はE(z)の周波数応答、W(F)は適当な荷重関数である。ΣはFFTでの周波数サンプル点における和を意味する。
【数2】
Figure 0005111699
【0014】
式(2)の最小化問題は、式(4)の最小二乗問題に帰着できる。Wは式(9)で定義される対角行列である。diagはかっこ内を要素とする対角行列を表し、式(4)を最小化するベクトルeは一般に多元1次連立方程式(WA)(WA)e=(WA)(Wb)を解けば得られる(肩文字Hは共役転置)。これをn=1,2,…,Nに対して行う。F,F,…,FはFFTにおける周波数サンプル点である。
【数3】
Figure 0005111699
【0015】
一方、従来技術文献2(R.T.Compton,Jr.“Adaptive Antennas”Prentice−Hall,1988)に示されているように、補償フィルタを使わずに、アダプティブアレーアンテナがタップ付き遅延線回路15−nを持つ構成にして(図8、図9を参照)、その係数をまとめて干渉波抑圧を行うように適応的に制御すれば、結果的にチャネル間の周波数特性の不整合を考慮せずに干渉波の抑圧ができる。図8において、15−nは図9の内部構造を持つタップ付き遅延線回路である。図9において、16は信号を1サンプル遅延させる遅延器、17は干渉波抑圧を行うように制御する適応荷重、18は加算器である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
従来の干渉波抑圧装置は以上のように構成されているので、信号ケーブル31,31−nの長さがほぼ等しくなければならないが、やむを得ず等しくできない場合には、せっかく補償フィルタを用いても、チャネル間の周波数特性の不整合を補償することができない課題があった。主アンテナ100から信号入力点32までの信号ケーブルの長さと、補助アンテナ1−nから信号入力点32−nまでの信号ケーブルの長さが異なる場合も同様である。これは広帯域干渉波抑圧性能の劣化を引き起こす可能性がある。
【0017】
図8,図9のような構成でタップ付き遅延線回路15−nの係数を適応的に制御すれば、チャネル間の周波数特性の不整合を考慮せずに干渉波を抑圧することができるが、適応的に制御すべき荷重の数が非常に多くなる。チャネル間の周波数特性不整合は、干渉波の数、入射方向、電力が変わるなどの電波環境の変化に比べたら、それほど頻繁に時間的に変化するものではない。それにもかかわらず、電波環境の変化のたびに多くの荷重を制御するのは信号処理演算量の点で負担が大きい。また、適応アルゴリズムにLMSアルゴリズム等のフィードバック形のアルゴリズムを用いた場合、一般にタップ付き遅延線回路15−nの収束が遅い傾向にある。
【0018】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、各信号ケーブルの長さに相違がある場合でも、チャネル間の周波数特性の不整合を補償することができる干渉波抑圧装置を得ることを目的とする。さらに、±0.5fs近傍で不連続な周波数特性不整合があっても良好な干渉波抑圧を得ることができる干渉波抑圧装置を得ることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る干渉波抑圧装置は、係数設定手段が、主アンテナから第1の信号入力点に至る信号の遅延時間及び複数の補助アンテナから各々の第2の信号入力点に至る信号の遅延時間と、信号発生器から第1の信号入力点に至る信号の遅延時間及び信号発生器から各々の第2の信号入力点に至る信号の遅延時間とを考慮して、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するものであって、信号発生器から第1の信号入力点までの第1の信号ケーブルの長さと、信号発生器から第2の信号入力点までの第2の信号ケーブルの長さとの差が実測されていない場合、第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得するとともに、第1の信号ケーブルの接続先が第1の信号入力点から第2の信号入力点に切り替えられて、第2の信号ケーブルの接続先が第2の信号入力点から第1の信号入力点に切り替えられる信号ケーブルの繋ぎ替えが実施されたのち、第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得し、信号ケーブルの繋ぎ替え前後の同相・直交信号のフーリエ変換結果を用いて、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するようにしたものである。
【0020】
この発明に係る干渉波抑圧装置は、係数設定手段が、複数のアンテナ素子から各々の信号入力点に至る信号の遅延時間と、信号発生器から各々の信号入力点に至る信号の遅延時間とを考慮して、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するものであって、信号発生器から第1の信号入力点までの第1の信号ケーブルの長さと、信号発生器から第2の信号入力点までの第2の信号ケーブルの長さとの差が実測されていない場合、第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得するとともに、第1の信号ケーブルの接続先が第1の信号入力点から第2の信号入力点に切り替えられて、第2の信号ケーブルの接続先が第2の信号入力点から第1の信号入力点に切り替えられる信号ケーブルの繋ぎ替えが実施されたのち、第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得し、信号ケーブルの繋ぎ替え前後の同相・直交信号のフーリエ変換結果を用いて、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するようにしたものである。
【0021】
この発明に係る干渉波抑圧装置は、遅延手段の出力信号のスペクトルと補償手段の出力信号のスペクトルとの差の重み付き絶対値2乗平均値が最小になるように、固有値分解もしくは特異値分解を利用して補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するようにしたものである。
【0022】
この発明に係る干渉波抑圧装置は、補償手段の補償帯域幅が荷重加算手段でのサンプリング周波数より狭くなるように設定し、この補償帯域幅にて補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するようにしたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による干渉波抑圧装置を示す構成図であり、図において、100は所定の方向(所望波方向、あるいは、信号を受信したいと思う方向)に主ビームを向けた主アンテナ、1−1,1−2,…,1−Nは指向性が等方性に近いN個の補助アンテナ、2は主アンテナ100により受信されたRF信号を増幅し、そのRF信号をIF信号にダウンコンバートする受信機、2−1,2−2,…,2−Nは補助アンテナ1−n(n=1,2,…,N,断らない限り以下同様)により受信されたRF信号を増幅し、そのRF信号をIF信号にダウンコンバートする受信機である。
【0024】
3,3−nはアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器、4,4−nはディジタルIF信号をディジタル同相・直交信号に変換する位相検波器である。なお、受信機2,A/D変換器3及び位相検波器4から第1の変換手段が構成され、受信機2−n,A/D変換器3−n及び位相検波器4−nから第2の変換手段が構成されている。
【0025】
5は位相検波器4の出力信号を遅延させる遅延器(遅延手段)、6−nは自己の出力における周波数特性と、遅延器5の出力における周波数特性との不整合を補償するディジタルフィルタである補償フィルタE(z)(補償手段)、7−nは適応荷重、8は加算器である。適応荷重7−nと加算器8から荷重加算手段9を構成しており、適応荷重7−nは適応荷重制御手段25により適当な適応アルゴリズムで制御される。10は遅延器5の出力信号から荷重加算手段9の出力信号を差し引く減算器(減算手段)である。
【0026】
21は遅延器5の出力信号と各補償フィルタE(z)の出力信号の和との差の電力が最小になるように、各補償フィルタE(z)の係数を設定する補償フィルタ係数設定手段である。なお、補償フィルタ係数設定手段21及び適応荷重制御手段25から係数設定手段が構成されている。
なお、補償フィルタE(z)をFIR形とするとき、遅延器5の遅延量dの目安は、補償フィルタE(z)のインパルス応答長の半分程度である。
【0027】
次に動作について説明する。
この実施の形態1では、補償フィルタE(z)の係数を計算する際に、信号発生器30から信号ケーブルを介してRF信号を入力するのではなく、干渉波信号を利用する。よって、図7の信号発生器30,信号ケーブル31,31−n,信号入力点32,32−nは図1にはない。
【0028】
サイドローブキャンセラ構成の干渉波抑圧装置では、補償フィルタE(z)の係数計算に受信される広帯域干渉波を利用する。その手順について説明する。
補償フィルタE(z)の係数が決まっていない場合、まず、適応荷重7−nの値をすべて同じ値、例えば1に固定する。その状態でサイドローブキャンセラの出力信号の電力をなるべく小さくするように、後述する方法で補償フィルタE(z)の係数を計算する。この結果、この時点では干渉波が抑圧される。
【0029】
チャネル間(主アンテナ100と各補助アンテナ1−n間)の周波数特性の不整合は、干渉波の入射方向等には関係しない。そこで、一旦、補償フィルタE(z)の係数を計算した後は、その係数を固定しておく。チャネル間の周波数特性不整合がなければ干渉波抑圧ができるから、補償フィルタE(z)の係数を計算した後は、干渉波の入射方向等が変わっても、今度は適応荷重7−nだけを制御することによって干渉波抑圧を行える。そうすれば、チャネル間の周波数特性の不整合があっても、図8のような適応荷重を持つタップ付き遅延線回路構成にせずに適応荷重7−nだけの制御で、比較的少ない信号処理演算量で干渉波抑圧性能を保持することが可能となる。補償フィルタE(z)の係数計算は、適応荷重7−nの計算ほど頻繁に行う必要はない。ただし、補償フィルタE(z)の係数を計算する際の干渉波は広帯域である必要がある。
【0030】
次に、干渉波を利用した補償フィルタE(z)の係数計算、即ち、補償フィルタ係数設定手段21の動作について説明する。
補償フィルタE(z)の係数計算時には、適応荷重7−nの値をすべて同じ値に固定する。例えば、その値を1とする。このとき、サイドローブキャンセラの出力信号の電力の最小化は、遅延器5の出力信号と、各補償フィルタE(z)の出力信号の和との差信号の電力最小化と等価である。
【0031】
図1において、位相検波器4の出力信号をx(k)、位相検波器4−nの出力信号をx(k)、遅延器5の出力信号をy(k),補償フィルタE(z)の出力信号をy(k)とする。これらは、同相成分を実部、直交成分を虚部とする複素信号として扱う。kはサンプリング間隔を単位とする時刻である。このとき、式(10)と式(11)の関係が成立する。式(12)のように遅延器5の出力信号y(k)と各補償フィルタE(z)の出力信号y(k)の和との差信号z(k)を定義し、z(k)の電力式(13)(E[・]は統計平均)を最小化する補償フィルタE(z)の係数e(m)(m=0,1,…,M−1)を決める。式(13)はさらに式(14)のように変形できる。肩文字*は複素共役を表す。
【数4】
Figure 0005111699
【0032】
式(14)の評価関数Jを最小とするe(m)を求めるために、Jをe(m)に関して偏微分する。式(14)のe(m)に関する偏微分として式(15)を得る。n=1,2,…,N、m=0,1,…,M−1について、式(15)を0にするようなe(m)が、求める補償フィルタの係数である。よって、式(16)の正規方程式、つまりe(m)(n=1,2,…,N;m=0,1,…,M−1)を未知数とする連立方程式を解けば、e(m)が求められる。式(16)の行列R、ベクトルe、pは式(17)〜(20)のようになる。実際には、式(19),(20)で統計平均E[・]は単なる時間平均で代用してよい。
【数5】
Figure 0005111699
【0033】
上記のようにして補償フィルタE(z)の係数を計算すると、今度はその係数を固定し、適応荷重制御手段25が減算器10の出力信号の電力が最小になるように、適応荷重7−nの荷重を決定する。
図1では、適応アルゴリズムとしてフィードフォワード形のSMI法を想定しているため、遅延器5の出力信号を適応荷重制御に用いる。フィードバック形のLMSアルゴリズムなどでは、遅延器5の出力信号の代わりに減算器10の出力信号を用いる。
図1ではIF信号をA/D変換・サンプリング後、ディジタル信号処理によりディジタル同相・直交信号を得る構成としたが、IF信号をアナログ信号処理によりアナログ同相・直交信号に変換し、その後A/D変換・サンプリングしてディジタル同相・直交信号を得る構成としてもよい。他の実施の形態でも同様である。
【0034】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、従来技術のようにタップ付き遅延線回路15−nの係数を電波環境の変化のたびに適応的に制御する必要がなく、干渉波抑圧処理とは独立して、干渉波を利用してチャネル間の周波数特性の不整合を補償することが可能となる。また、チャネル間の周波数特性の不整合を補償するために信号を特定箇所にケーブルで入力する構成ではないため、信号入力点までの信号遅延の相違を考えずに済むという利点がある。
【0035】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2による干渉波抑圧装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
35はRF信号を主アンテナ100及び補助アンテナ1−nに電波によって送信するための外部アンテナ(信号送信手段)、22は遅延器5の出力信号と補償フィルタE(z)の出力信号との差信号の電力が最小になるように、補償フィルタE(z)の係数を設定する補償フィルタ係数設定手段(係数設定手段)であり、補償フィルタ係数設定手段22は、上記実施の形態1における補償フィルタ係数設定手段21と異なり、各補償フィルタについて、独立に係数計算を行う。
【0036】
次に動作について説明する。
補償フィルタE(z)の係数計算は干渉波抑圧処理前に行っておく。一度計算すれば、干渉波抑圧のための適応荷重7−nほど頻繁に計算する必要はない。外部アンテナ35から送信するRF信号の帯域幅は、従来技術と同様である。
【0037】
次に、補償フィルタE(z)の係数計算、即ち、補償フィルタ係数設定手段22の動作について説明する。
補償フィルタE(z)の係数e(m)(m=0,1,…,M−1)は、遅延器5の出力信号y(k)と、補償フィルタE(z)の出力信号y(k)の差信号z(k)の電力E[|z(k)|]がなるべく小さくなるように、各n=1,2,…,Nごとに決める。式(22)のように、E[|z(k)|2]を評価関数Jとおく。式(10),(11)から、式(22)はさらに式(23)のように変形できる。
【数6】
Figure 0005111699
【0038】
評価関数Jを最小とするe(m)を求めるために、Jのe(m)に関する偏微分を求める。それは式(24)のようになる。m=0,1,…,M−1について式(24)を0にするようなe(m)が、求める補償フィルタの係数である。よって、式(25)の正規方程式、つまりe(m)(m=0,1,…,M−1)を未知数とする連立方程式を解けば、e(m)が求められる。実際には、式(25)で統計平均E[・]は単なる時間平均で代用してよい。また、式(25)左辺の正方行列対角項はx(k)の電力で同じ値をとる。以上の連立方程式を解く操作をn=1,2,…,Nに対して行う。
【数7】
Figure 0005111699
【0039】
以上説明した方法は、差信号電力を最小化するという時間域での計算といえる。従来技術(補償フィルタ係数設定手段23)と同様に、周波数領域での誤差、つまり複素スペクトルの誤差をなるべく小さくするように、周波数領域で補償フィルタE(z)の係数を計算することもできる。補償帯域幅は荷重加算手段9でのサンプリング周波数より狭くせざるを得ないので、以下に説明するように特異値分解を利用して計算することが望ましい。これは、式(7)の行列Aは事実上フルランクでなくなることが多いためである。そこで、連立方程式を解くときの数値的不安定性を防ぐために特異値分解を利用する。
【0040】
補償フィルタE(z)による補償帯域幅を荷重加算手段9でのサンプリング周波数(fとする)より狭くせざるを得ない理由について説明する。
チャネル間の周波数特性不整合は主にアナログフィルタの周波数特性のばらつきに起因する。IF帯では、IF周波数をfIFとすれば、−0.5f+fIFから0.5f+fIFの周波数帯域の特性不整合が問題になる。IF帯のアナログフィルタの周波数特性は、一般に周波数−0.5f+fIFと周波数0.5f+fIFにおける周波数特性は不連続である。これは、ベースバンドでは、補償フィルタで近似すべき特性が、2つの周波数−0.5fと0.5fで不連続であることを意味する。ところが、サンプリング周波数fのディジタルフィルタはこの2つの周波数での周波数特性が連続である。従って、ディジタルフィルタである補償フィルタで荷重加算手段9における全帯域(−0.5fから0.5f)にわたってチャネル間の周波数特性不整合を補償することが困難となる。近似度を良好に保つには、補償帯域幅を荷重加算手段9でのサンプリング周波数より少し狭くして、2つの周波数−0.5fと0.5f近傍では近似を避ける必要がある。
【0041】
式(2)の評価関数Errは式(26)のように設定する。式(26)などで、Fはサンプリング周波数で正規化した周波数である。式(26)で、Href(F)は式(3)と同じであり、FminとFmaxはそれぞれ補償帯域の下端と上端の周波数(絶対値は0.5より小)、ΣはFFTによる周波数サンプル点での和を意味する。行列Aとベクトルbはそれぞれ式(7),(6)と同じ形であるが、F,F,…,FをFminからFmaxの間のFFTにおける周波数サンプル点とする。
【数8】
Figure 0005111699
【0042】
式(26)の最小化問題は、式(27)の最小二乗問題に帰着できる。式(27)を最小化するベクトルeは、一般に多元1次連立方程式AAe=Aを解けば得られるが、実際には、行列AAのランクは事実上Mより小さくなることが多い。つまり、行列Aの特異値には大きいものと無視できる小さいものが現れることが多い。そうなると数値的不安定性により連立方程式をうまく解くことができなくなる。このとき、仮に補償フィルタE(z)の係数が得られても、その絶対値は非常に大きな値となってしまうことがあり、事実上実装不可能になってしまう。そのようなときは特異値分解を利用するとうまく最小2乗問題を解くことができ、補償フィルタE(z)の係数絶対値が非常に大きな値となることを防げる。
【0043】
行列Aを式(29)のように特異値分解する。
A=USV (29)
S=diag[σ,σ,…,σ] (30)
ここで、Uは列が正規直交しているI×M行列、SはM×M対角行列、VはM×M直交行列である。Sの対角要素σ(m=1,2,…,M)は特異値であり、0でない特異値の数がAのランクである。実際には雑音があるので0の特異値は存在しない。しかし、特異値の大きさにかなりの差を生ずることがある。そこで、無視し得る小さい値を除いた特異値が寄与する分のみを考慮する。
【0044】
次に、ベクトルβを式(31)のように定義する。そして、式(32)のベクトルγを計算する。ここで、[・]はそのベクトルの第m要素を表し、補償フィルタE(z)のインパルス応答は式(33)のようになる。以上の操作をn=1,2,…,Nについて行う。
【数9】
Figure 0005111699
【0045】
ここでは、補償フィルタE(z)の係数を計算するための最小2乗問題を特異値分解を用いて解いたが、従来技術文献3(鷹尾、内田、“ビームスペース・パーシャリーアダプティブアレイに関する検討”電子情報通信学会技術研究報告A・P88−52,1988)に示されているように、行列AHAの固有値分解を利用して解いてもよい。
【0046】
以上で明らかなように、この実施の形態2では、チャネル間の周波数特性の不整合補償のために外部から電波を送信する構成として、信号をケーブルで特定箇所に入力する構成としないため、信号入力点までの信号遅延の相違を考えずに済むという利点がある。
また、補償フィルタE(z)の係数を周波数領域で行う場合、計算に特異値分解法や固有値分解法を利用すれば、数値的不安定性を生じることなく係数計算が可能となる。そして、補償フィルタE(z)の係数絶対値が非常に大きな値となることを防ぐことが可能となる。
【0047】
実施の形態3.
図7で示す従来技術のように、補償フィルタE(z)の係数を計算するために外部からRF信号をケーブルを介して入力する場合、主アンテナ100から信号入力点32(第1の信号入力点)までの信号遅延時間と、補助アンテナ1−nから信号入力点32−n(第2の信号入力点)までの信号遅延時間がほぼ等しいことが前提となる。これは主アンテナ100と補助アンテナ1−nから信号入力点までのケーブルの長さがほぼ等しいということである。また、信号ケーブル31,31−nの長さがほぼ等しいことも前提となる。実際には、実装上そのような条件が満足されない場合がある。その場合、補償フィルタでチャネル間の周波数特性不整合を補償したとしても、上記のような信号遅延差のために干渉波抑圧性能が向上しない可能性がある。
【0048】
もし主アンテナ100から信号入力点32までのケーブルの長さと、補助アンテナ1−nから信号入力点32−nまでのケーブルの長さの差、および信号発生器30から信号入力点32までのケーブルの長さと、信号発生器30から信号入力点32−nまでのケーブルの長さの差が計測でき、それらに対応する信号遅延時間差がわかる場合、それらを考慮して補償フィルタE(z)の係数を計算することができる。
【0049】
主アンテナ100から信号入力点32までの信号遅延時間に対する補助アンテナ1−nから信号入力点32−nまでの信号遅延時間の差をΔ(時間の次元)、信号発生器30から信号入力点32までの信号遅延時間に対する信号発生器30から信号入力点32−nまでの信号遅延時間の差をδ(時間の次元)とする。主アンテナ側に対して補助アンテナ側の方が信号の遅れがある場合、Δあるいはδを正の量とする。説明はおもに周波数領域で補償フィルタE(z)の係数計算を行う場合について行う。上の2つのケースは異なるので、それぞれ説明する。
【0050】
[1]主アンテナ・補助アンテナから信号入力点までに遅延時間差がある場合
1つの補助アンテナ1−n(n=1,2,…,N)について、周波数応答ブロック構成図を示すと図3(a)のようになる。ここでは簡単のため、周波数応答は等価低域系で表現する。図3において、B(F),B(F)は信号入力点32,32−nから位相検波器4,4−nの出力までの周波数応答、Href(F)は式(3)と同じである。36は主アンテナ側に対して補助アンテナ側の方が信号の遅れがあることを示す遅延素子である。この場合、観測される位相検波器4,4−nの出力信号のフーリエ変換C0(F),C(F)とB(F),B(F)はそれぞれ等しい。
【0051】
補償フィルタE(z)の係数を計算した場合、得られる補償フィルタの周波数応答E(F)は、理想的には式(34)のようになる。しかし、補助アンテナ側には補助アンテナ1−nから信号入力点32−nまでにΔの遅延があるから、補償フィルタが本来持つべき周波数応答E’(F)は式(35)のようになる。式(34)と式(35)を比べると、式(34)には主アンテナ系の信号の進みが足りないことになる。これを補償フィルタ係数計算に反映させるには、式(3)のHref(F)の代わりに、信号の進みを加えた式(36)のHref’(F)を用いる。
【数10】
Figure 0005111699
【0052】
[2]信号発生器から信号入力点までに遅延時間差がある場合
1つの補助アンテナ番号1−nについて、周波数応答ブロック構成図を示すと図3(b)のようになる。37は信号発生器30から信号入力点32,32−nまでに主アンテナ側に対して補助アンテナ側の方が信号の遅れがあることを示す遅延素子である。この場合、補助アンテナ側において、観測される位相検波器4−nの出力信号のフーリエ変換C(F)と信号入力点32−nから位相検波器4−nの出力までの周波数応答B(F)は異なる。つまり、式(37)のようになる。U(F)は信号発生器30で発生する信号のフーリエ変換である。
【数11】
Figure 0005111699
【0053】
補償フィルタE(z)の係数を計算した場合、得られる補償フィルタの周波数応答E(F)は、理想的には式(38)のようになる。一方、実際に信号を受信したときの信号経路には遅延がないから、補償フィルタが本来持つべき周波数応答E”(F)は式(39)のようになる。式(38)と式(39)を比べると、式(38)は主アンテナ側の信号の進みが余分である。これを補償フィルタ係数計算に反映させるには、式(3)のHref(F)の代わりに、信号の遅れを加えた式(40)のHref”(F)を用いる。
【数12】
Figure 0005111699
【0054】
[3]主アンテナ・補助アンテナから信号入力点までと、信号発生器から信号入力点までの両方に遅延時間差がある場合
主アンテナ100と補助アンテナ1−nから信号入力点32,32−nまでの主アンテナ系と補助アンテナ系との間の信号遅延時間差、および信号発生器30から主アンテナ側と補助アンテナ側の信号入力点32,32−nまでの信号遅延時間差の両方がある場合、以上の議論から、式(3)のHref(F)の代わりに式(41)のHref’’’(F)を用いる。
【数13】
Figure 0005111699
【0055】
[4]時間域で補償フィルタの係数を計算する場合
式(37),(40),(41)は、遅延器5の遅延時間dサンプルをそれぞれd−fΔ,d+fδ,d+f(δ−Δ)サンプルの遅延に置き換えることに等しい。これらは一般に非整数であるので、遅延器5の代わりに、上記遅延時間相当の遅延を近似的に持つディジタルフィルタを用いればよい。あるいは、これらの遅延をFFTと逆FFTを介して周波数領域で与えてもよい。実際に干渉波抑圧を行うときには、元の遅延器5に戻しておく。
【0056】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、補償フィルタE(z)の係数計算時にRF信号をケーブルを介して入力する場合、主アンテナ100と補助アンテナ1−nから信号入力点32,32−n、および信号発生器30から信号入力点32,32−nまでの信号の遅延時間差を考慮してチャネル間の周波数特性不整合を補償できるため、良好な広帯域干渉波抑圧性能を得ることができる。
【0057】
実施の形態4.
上記実施の形態3では、図7において信号発生器30から信号入力点32,32−nまでのケーブルの長さの差が計測でき、それらに対応する信号遅延時間差がわかるものとしたが、信号発生器30から信号入力点32,32−nまでの信号ケーブル31(第1の信号ケーブル),31−n(第2の信号ケーブル)の長さの差を実測できなくても、それらの長さの差の影響を排除してチャネル間の周波数特性不整合を補償することができる。
【0058】
ここでは、主アンテナ100から信号入力点32までのケーブルの長さと、補助アンテナ1−nから信号入力点32−nまでの信号ケーブルの長さがほぼ等しいか、あるいは、それが計測でき、対応する信号遅延時間差がわかるものとする。以下、主アンテナ100から信号入力点32までの信号ケーブルの長さと補助アンテナ1−nから信号入力点32−nまでのケーブルの長さの差がほぼ等しいとして説明する。等しくないが長さの差が計測できて対応する信号遅延時間差がわかる場合は、これから説明する方法に加えて、上記実施の形態3と同様な操作を行えばよい。また、補償フィルタE(z)の係数計算は周波数領域で行うものとする。信号等は等価低域系で表現する。また、n=1,2,…,Nである。
【0059】
主アンテナ側の信号入力点32から位相検波器4の出力までの周波数特性をM(F)、補助アンテナ側の信号入力点32−nから位相検波器4−nの出力までの周波数特性をM(F)とする。また、信号発生器30から信号入力点32までの信号ケーブル31の周波数特性をA(F)、信号発生器30から信号入力点32−nまでの信号ケーブル31−nの周波数特性をA(F)とする。これをブロック構成図で示すと図4(a)のようになる。
【0060】
信号発生器30から信号u(k)を入力する。主アンテナ側の位相検波器4の出力信号のフーリエ変換をD(F)、補助アンテナ側の位相検波器4−nの出力信号のフーリエ変換をD(F)とすると、式(42),(43)のようになる。U(F)はu(k)のフーリエ変換である。
(F)=A(F)M(F)U(F) (42)
(F)=A(F)M(F)U(F) (43)
【0061】
次に、図5のように、信号ケーブル31を信号入力点32−nに接続し、信号ケーブル31−nを信号入力点32に接続する。つまり。信号ケーブルのつなぎ替えを行って再び信号を入力する。信号発生器30から信号u(k)を入力したときの主アンテナ側の位相検波器4の出力信号のフーリエ変換をD’(F)、補助アンテナ側の位相検波器4−nの出力信号のフーリエ変換をD’(F)とすると、式(44),(45)のようになる。ブロック構成図で示すと図4(b)のようになる。なお、信号発生器30から入力する信号は図4(a)と同じでなくてよい。式(42),(43)から式(46)を得て、式(44),(45)から式(47)を得る。なお、図4と図5では、補助アンテナは番号nのみを抜き出している。
【数14】
Figure 0005111699
【0062】
チャネル間の周波数特性不整合を補償する場合、補償フィルタ係数計算には位相検波器の出力信号のフーリエ変換D(F)とD(F)をそれぞれ式(26)のC(F)とC(F)として用いる。しかし、それはA(F)=A(F)が前提である。ここでは、A(F)≠A(F)であり、このままではD(F)とD(F)を使えない。これは次のように解決できる。式(46),(47)から式(48)を得る。式(48)左辺はすべて得られる量である。式(48)左辺をQ(F)とおく(式(49))と、式(46)から式(50)を得る。
【数15】
Figure 0005111699
【0063】
式(26)のC(F)/C(F)は、A(F)=A(F)のときのM0(F)/M(F)に等しい。そこで、式(26)のC(F)/C(F)の代わりに、すべて計測できる量である式(50)左辺を用いれば、信号発生器30から信号入力点32,32−nまでの信号ケーブル31,31−nの長さの差が実測できなくても、それらの長さの差の影響を排除してチャネル間の周波数特性不整合を補償する補償フィルタの係数を計算することができる。
【0064】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、補償フィルタE(z)の係数計算時にRF信号をケーブルを介して入力する場合、信号発生器30から信号入力点32,32−nまでの信号ケーブル31,31−nの長さの差が実測できなくても、これらの信号ケーブルの繋ぎ替えを行う前と後の主アンテナ側の位相検波器4の出力信号のフーリエ変換と補助アンテナ側の位相検波器4−nの出力信号のフーリエ変換から、信号ケーブルの長さの差の影響を排除してチャネル間の周波数特性不整合を補償できる補償フィルタ係数を計算することができる効果を奏する。
【0065】
実施の形態5.
上記実施の形態2〜4を各アンテナ素子が対等なアダプティブアレーアンテナに適用することが可能である。図6はこの発明の実施の形態5による干渉波抑圧装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
50−1,50−2,…,50−NはN個のアンテナ素子であり、アレーアンテナを構成する。各アンテナ素子50−nには受信機2−n,A/D変換器3−n,位相検波器4−nが順に接続されている。ここでは、チャネル間の周波数特性の不整合は、アンテナ素子50−1に連なるチャネル番号1を基準とし、他チャネルの周波数特性をチャネル番号1に合わせることにする。従って、遅延器5は位相検波器4−1に接続され、補償フィルタE(z)は位相検波器4−2,4−3,…,4−nに接続されている。
【0066】
遅延器5および補償フィルタE(z)(n≠1)の出力には、適応荷重制御手段25によって適当な適応アルゴリズムで制御される適応荷重7−1,7−2,…,7−Nが接続されている。各適応荷重7−nの出力信号は加算器8で加算され、荷重加算手段9の出力信号は干渉波が抑圧された信号となる。適応荷重制御手段25は、例えば、荷重加算手段9の出力信号と参照信号との差信号電力がなるべく小さくなるように適応荷重7−nを制御する。
【0067】
アンテナ素子50−1に連なる位相検波器4−1の出力における周波数特性と、他のアンテナ素子50−2,…,50−Nに連なる位相検波器4−2,…,4−Nの出力の周波数特性がなるべく一致するように、あるいは、遅延器5の出力信号と各補償フィルタE(z)(n=2,…,N)の出力信号との差の電力がなるべく小さくなるように、補償フィルタE(z)で補償する。その方法は今まで説明してきた実施の形態2〜4と同様である。図6では外部に設けたアンテナ35からRF信号を電波により送信するようにしている。
【0068】
上記実施の形態2で説明したのと同様に、チャネル間の周波数特性の不整合補償のために外部から電波を送信すれば、信号をケーブルで特定箇所に入力しないため、信号入力点までの信号遅延の相違を考えずに済むという利点がある。また、補償フィルタE(z)の係数計算に特異値分解法や固有値分解法を利用すれば、数値的不安定性を生じることなく係数計算が可能となる。そして、補償フィルタE(z)の係数絶対値が非常に大きな値となることを防ぐことが可能となる。
【0069】
また、上記実施の形態3で説明したのと同様に、補償フィルタE(z)の係数計算時にRF信号をケーブルを介して入力する場合、アンテナ素子50−nから信号入力点、および信号発生器30から信号入力点までの信号の遅延時間差を計測できれば、それらを考慮してチャネル間の周波数特性不整合を補償できるため、良好な広帯域干渉波抑圧性能を得ることができる。
【0070】
さらに、上記実施の形態4で説明したのと同様に、補償フィルタE(z)の係数計算時にRF信号をケーブルを介して入力する場合、信号発生器30から複数の信号入力点までの信号ケーブルの長さの差が実測できなくても、これらの信号ケーブルの繋ぎ替えを行う前と後の位相検波器の出力信号のフーリエ変換から、信号ケーブルの長さの差の影響を排除してチャネル間の周波数特性不整合を補償できる補償フィルタ係数を計算することができる。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、係数設定手段が、主アンテナから第1の信号入力点に至る信号の遅延時間及び複数の補助アンテナから各々の第2の信号入力点に至る信号の遅延時間と、信号発生器から第1の信号入力点に至る信号の遅延時間及び信号発生器から各々の第2の信号入力点に至る信号の遅延時間とを考慮して、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するものであって、信号発生器から第1の信号入力点までの第1の信号ケーブルの長さと、信号発生器から第2の信号入力点までの第2の信号ケーブルの長さとの差が実測されていない場合、第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得するとともに、第1の信号ケーブルの接続先が第1の信号入力点から第2の信号入力点に切り替えられて、第2の信号ケーブルの接続先が第2の信号入力点から第1の信号入力点に切り替えられる信号ケーブルの繋ぎ替えが実施されたのち、第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得し、信号ケーブルの繋ぎ替え前後の同相・直交信号のフーリエ変換結果を用いて、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するように構成したので、主アンテナ及び複数の補助アンテナから各信号入力点までの信号ケーブルの長さや、信号発生器から各信号入力点までの信号ケーブルの長さに相違があり、信号発生器から各信号入力点までの信号ケーブルの長さを実測できなくても、チャネル間の周波数特性の不整合を補償することができる効果がある。
【0072】
この発明によれば、係数設定手段が、複数のアンテナ素子から各々の信号入力点に至る信号の遅延時間と、信号発生器から各々の信号入力点に至る信号の遅延時間とを考慮して、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するものであって、信号発生器から第1の信号入力点までの第1の信号ケーブルの長さと、信号発生器から第2の信号入力点までの第2の信号ケーブルの長さとの差が実測されていない場合、第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得するとともに、第1の信号ケーブルの接続先が第1の信号入力点から第2の信号入力点に切り替えられて、第2の信号ケーブルの接続先が第2の信号入力点から第1の信号入力点に切り替えられる信号ケーブルの繋ぎ替えが実施されたのち、第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得し、信号ケーブルの繋ぎ替え前後の同相・直交信号のフーリエ変換結果を用いて、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するように構成したので、複数のアンテナ素子から各信号入力点までの信号ケーブルの長さや、信号発生器から各信号入力点までの信号ケーブルの長さに相違があり、信号発生器から各信号入力点までの信号ケーブルの長さを実測できなくても、チャネル間の周波数特性の不整合を補償することができる効果がある。
【0073】
この発明によれば、遅延手段の出力信号のスペクトルと補償手段の出力信号のスペクトルとの差の重み付き絶対値2乗平均値が最小になるように、固有値分解もしくは特異値分解を利用して補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するように構成したので、数値的不安定性を招くことなくディジタルフィルタの係数を設定することができるとともに、その係数の絶対値が非常に大きな値になることを防ぐことができる効果がある。
【0074】
この発明によれば、補償手段の補償帯域幅が荷重加算手段でのサンプリング周波数より狭くなるように設定し、この補償帯域幅にて補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するように構成したので、±0.5f近傍で不連続な周波数特性不整合があっても良好な干渉波抑圧を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による干渉波抑圧装置を示す構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態2による干渉波抑圧装置を示す構成図である。
【図3】 遅延時間差がある場合の周波数応答を示すブロック構成図である。
【図4】 補償フィルタ係数計算に関して、信号ケーブルの繋ぎ替えを行う前と後の周波数応答に関するブロック構成図である。
【図5】 補償フィルタ係数計算に関して、信号ケーブルの繋ぎ替えを行うことを模式的に表したブロック構成図である。
【図6】 この発明の実施の形態5による干渉波抑圧装置を示す構成図である。
【図7】 従来の干渉波抑圧装置を示す構成図である。
【図8】 係数を適応的に制御するタップ付き遅延線回路を用いた従来の干渉波抑圧装置を示す構成図である。
【図9】 タップ付き遅延線回路の内部を示す構成図である。
【符号の説明】
1−1,…,1−N 補助アンテナ、2 受信機(第1の変換手段)、2−1,…,2−N 受信機(第2の変換手段)、3 A/D変換機(第1の変換手段)、3−1,…,3−N A/D変換機(第2の変換手段)、4 位相検波器(第1の変換手段)、4−1,…,4−N 位相検波器(第2の変換手段)、5 遅延器(遅延手段)、6−1,…,6−N 補償フィルタ(補償手段)、7−1,…,7−N 適応荷重、8 加算器、9 荷重加算手段、10 減算器(減算手段)、21,22 補償フィルタ係数設定手段(係数設定手段)、25 適応荷重制御手段(係数設定手段)、30 信号発生器、31,31−1,31−2,…,31−N 信号ケーブル、32,32−1,32−2,…,32−N 信号入力点、35 外部アンテナ(信号送信手段)、36,37 遅延素子、50−1,…,50−N アンテナ素子、100 主アンテナ。

Claims (6)

  1. 主アンテナの受信信号を同相・直交信号に変換する第1の変換手段と、上記第1の変換手段から出力された同相・直交信号を遅延する遅延手段と、複数の補助アンテナの受信信号をそれぞれ同相・直交信号に変換する複数の第2の変換手段と、上記複数の第2の変換手段から出力された同相・直交信号の周波数特性をそれぞれ補償する複数の補償手段と、上記複数の補償手段の出力信号を重み付け加算する荷重加算手段と、上記遅延手段の出力信号から上記荷重加算手段の出力信号を減算する減算手段と、上記主アンテナと上記第1の変換手段を接続している信号ケーブル上の第1の信号入力点に対して所定信号を注入するとともに、上記複数の補助アンテナと上記複数の第2の変換手段を接続しているそれぞれの信号ケーブル上の第2の信号入力点に対して所定信号を注入する信号発生器と、上記信号発生器により所定信号が上記第1及び第2の信号入力点から注入されたとき、上記遅延手段の出力信号と上記補償手段の出力信号との差の電力が最小になるように、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定する係数設定手段とを備えた干渉波抑圧装置において、
    上記係数設定手段は、上記主アンテナから上記第1の信号入力点に至る信号の遅延時間及び上記複数の補助アンテナから各々の上記第2の信号入力点に至る信号の遅延時間と、上記信号発生器から上記第1の信号入力点に至る信号の遅延時間及び上記信号発生器から各々の上記第2の信号入力点に至る信号の遅延時間とを考慮して、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するものであって、
    上記信号発生器から上記第1の信号入力点までの第1の信号ケーブルの長さと、上記信号発生器から上記第2の信号入力点までの第2の信号ケーブルの長さとの差が実測されていない場合、上記第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得するとともに、上記第1の信号ケーブルの接続先が上記第1の信号入力点から上記第2の信号入力点に切り替えられて、上記第2の信号ケーブルの接続先が上記第2の信号入力点から上記第1の信号入力点に切り替えられる信号ケーブルの繋ぎ替えが実施されたのち、上記第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得し、信号ケーブルの繋ぎ替え前後の同相・直交信号のフーリエ変換結果を用いて、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定する
    ことを特徴とする干渉波抑圧装置。
  2. 主アンテナの受信信号を同相・直交信号に変換する第1の変換手段と、上記第1の変換手段から出力された同相・直交信号を遅延する遅延手段と、複数の補助アンテナの受信信号をそれぞれ同相・直交信号に変換する複数の第2の変換手段と、上記複数の第2の変換手段から出力された同相・直交信号の周波数特性をそれぞれ補償する複数の補償手段と、上記複数の補償手段の出力信号を重み付け加算する荷重加算手段と、上記遅延手段の出力信号から上記荷重加算手段の出力信号を減算する減算手段と、上記主アンテナと上記第1の変換手段を接続している信号ケーブル上の第1の信号入力点に対して所定信号を注入するとともに、上記複数の補助アンテナと上記複数の第2の変換手段を接続しているそれぞれの信号ケーブル上の第2の信号入力点に対して所定信号を注入する信号発生器と、上記信号発生器により所定信号が上記第1及び第2の信号入力点から注入されたとき、上記遅延手段の出力信号のスペクトルと上記補償手段の出力信号のスペクトルとが一致するように、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定する係数設定手段とを備えた干渉波抑圧装置において、
    上記係数設定手段は、上記主アンテナから上記第1の信号入力点に至る信号の遅延時間及び上記複数の補助アンテナから各々の上記第2の信号入力点に至る信号の遅延時間と、上記信号発生器から上記第1の信号入力点に至る信号の遅延時間及び上記信号発生器から各々の上記第2の信号入力点に至る信号の遅延時間とを考慮して、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するものであって、
    上記信号発生器から上記第1の信号入力点までの第1の信号ケーブルの長さと、上記信号発生器から上記第2の信号入力点までの第2の信号ケーブルの長さとの差が実測されていない場合、上記第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得するとともに、上記第1の信号ケーブルの接続先が上記第1の信号入力点から上記第2の信号入力点に切り替えられて、上記第2の信号ケーブルの接続先が上記第2の信号入力点から上記第1の信号入力点に切り替えられる信号ケーブルの繋ぎ替えが実施されたのち、上記第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得し、信号ケーブルの繋ぎ替え前後の同相・直交信号のフーリエ変換結果を用いて、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定する
    ことを特徴とする干渉波抑圧装置。
  3. アレーアンテナを構成する複数のアンテナ素子の受信信号をそれぞれ同相・直交信号に変換する複数の変換手段と、上記複数の変換手段の中で、基準チャネルに係る変換手段である第1の変換手段から出力された同相・直交信号を遅延する遅延手段と、上記複数の変換手段の中で、基準チャネル以外のチャネルに係る変換手段である複数の第2の変換手段から出力された同相・直交信号の周波数特性をそれぞれ補償する複数の補償手段と、上記遅延手段の出力信号と上記複数の補償手段の出力信号とを重み付け加算する荷重加算手段と、上記複数のアンテナ素子の中で、基準チャネルに係るアンテナ素子と上記第1の変換手段を接続している信号ケーブル上の第1の信号入力点に対して所定信号を注入するとともに、上記複数のアンテナ素子の中で、基準チャネル以外のチャネルに係るアンテナ素子と上記複数の第2の変換手段を接続しているそれぞれの信号ケーブル上の第2の信号入力点に対して所定信号を注入する信号発生器と、上記信号発生器により所定信号が各々の信号入力点から注入されたとき、上記遅延手段の出力信号と上記補償手段の出力信号との差の電力が最小になるように、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定する係数設定手段とを備えた干渉波抑圧装置において、
    上記係数設定手段は、上記複数のアンテナ素子から各々の信号入力点に至る信号の遅延時間と、上記信号発生器から各々の信号入力点に至る信号の遅延時間とを考慮して、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するものであって、
    上記信号発生器から上記第1の信号入力点までの第1の信号ケーブルの長さと、上記信号発生器から上記第2の信号入力点までの第2の信号ケーブルの長さとの差が実測されていない場合、上記第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得するとともに、上記第1の信号ケーブルの接続先が上記第1の信号入力点から上記第2の信号入力点に切り替えられて、上記第2の信号ケーブルの接続先が上記第2の信号入力点から上記第1の信号入力点に切り替えられる信号ケーブルの繋ぎ替えが実施されたのち、上記第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得し、信号ケーブルの繋ぎ替え前後の同相・直交信号のフーリエ変換結果を用いて、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定する
    ことを特徴とする干渉波抑圧装置。
  4. アレーアンテナを構成する複数のアンテナ素子の受信信号をそれぞれ同相・直交信号に変換する複数の変換手段と、上記複数の変換手段の中で、基準チャネルに係る変換手段である第1の変換手段から出力された同相・直交信号を遅延する遅延手段と、上記複数の変換手段の中で、基準チャネル以外のチャネルに係る変換手段である複数の第2の変換手段から出力された同相・直交信号の周波数特性をそれぞれ補償する複数の補償手段と、上記遅延手段の出力信号と上記複数の補償手段の出力信号とを重み付け加算する荷重加算手段と、上記複数のアンテナ素子の中で、基準チャネルに係るアンテナ素子と上記第1の変換手段を接続している信号ケーブル上の第1の信号入力点に対して所定信号を注入するとともに、上記複数のアンテナ素子の中で、基準チャネル以外のチャネルに係るアンテナ素子と上記複数の第2の変換手段を接続しているそれぞれの信号ケーブル上の第2の信号入力点に対して所定信号を注入する信号発生器と、上記信号発生器により所定信号が各々の信号入力点から注入されたとき、上記遅延手段の出力信号のスペクトルと上記補償手段の出力信号のスペクトルとが一致するように、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定する係数設定手段とを備えた干渉波抑圧装置において、
    上記係数設定手段は、上記複数のアンテナ素子から各々の信号入力点に至る信号の遅延時間と、上記信号発生器から各々の信号入力点に至る信号の遅延時間とを考慮して、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するものであって、
    上記信号発生器から上記第1の信号入力点までの第1の信号ケーブルの長さと、上記信号発生器から上記第2の信号入力点までの第2の信号ケーブルの長さとの差が実測されていない場合、上記第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得するとともに、上記第1の信号ケーブルの接続先が上記第1の信号入力点から上記第2の信号入力点に切り替えられて、上記第2の信号ケーブルの接続先が上記第2の信号入力点から上記第1の信号入力点に切り替えられる信号ケーブルの繋ぎ替えが実施されたのち、上記第1及び第2の変換手段から出力された同相・直交信号のフーリエ変換結果を取得し、信号ケーブルの繋ぎ替え前後の同相・直交信号のフーリエ変換結果を用いて、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定する
    ことを特徴とする干渉波抑圧装置。
  5. 係数設定手段は、遅延手段の出力信号のスペクトルと補償手段の出力信号のスペクトルとの差の重み付き絶対値2乗平均値が最小になるように、固有値分解もしくは特異値分解を利用して上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定することを特徴とする請求項2または請求項4記載の干渉波抑圧装置。
  6. 係数設定手段は、上記補償手段の補償帯域幅が上記荷重加算手段でのサンプリング周波数より狭くなるように設定し、この補償帯域幅にて上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定することを特徴とする請求項2または請求項4記載の干渉波抑圧装置。
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