JP6817514B2 - ポリプロピレン系樹脂発泡成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、機械的強度に優れたポリプロピレン系樹脂発泡成形体及びその製造方法に関し、詳しくは、特定のアミド化合物、特にその微細な針状結晶を含有することにより機械的強度が改善されたポリプロピレン系樹脂発泡成形体に関する。
従来から、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、ポリプロピレン系樹脂そのものが持っている優れた耐熱性、機械的特性、加工性に加えて、発泡成形体の特徴である軽量性、断熱性等の性能を有し、省資源でかつリサイクル性に優れた環境にやさしい素材として、自動車、電気電子部品、建築材料などの耐衝撃性や断熱性の要求される分野に幅広く利用されており、前記分野だけでなく緩衝材、包装材、パッキング材等としても今後益々その適用分野の増加が期待されている。
また、近年、省資源化、軽量化のために、より発泡倍率の高い発泡成形体が望まれており、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体においても同様である。しかし、ポリプロピレン系樹脂は、溶融時の粘度および張力が低いため高発泡倍率の発泡成形体を製造するのが難しく、その改善が必要であり、これまでも様々な改善の試みがなされてきた。たとえば、ポリプロピレン系樹脂粒子に揮発性発泡剤を含有させ、加熱により予備発泡を行なうことを特徴とする発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂の予備発泡粒子などが開示されている(特許文献1)。また、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造技術として、放射線によりポリプロピレンを枝分かれさせる技術(特許文献2)や、過酸化物を使用した枝分かれポリプロピレンの製造方法(特許文献3)などの技術が開示されている。
しかしながら、発泡粒子を用いた場合は、発泡粒子同士の接着性不足のために、機械的強度が低下しやすいという問題があった。その改善方法として、β晶核剤を用いた予備発泡粒子の製造方法などが開示されている(特許文献4)が、未だ満足できる機械的強度は得られていないのが現状である。また、放射線や過酸化物を使用した場合、リサイクル性が悪く、汎用的に使用するには大きな問題であり、現実的に使用することは難しかった。
特開昭58−65734号公報 特開昭62−121704号公報 特開平2−298536号公報 特開平8−67760号公報
本発明の目的は、本来ポリプロピレン系樹脂の持っている優れた耐熱性や機械的特性を活かして、更に発泡倍率を上げることのできる、即ち、機械的強度に優れた高発泡倍率のポリプロピレン系樹脂発泡成形体及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上述の状況に鑑み、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、特定のアミド化合物、特にその微細な針状結晶を含むポリプロピレン系樹脂組成物を特定の成形条件にて調製した後、その発泡成形用のポリプロピレン系樹脂組成物を加熱し、次いで発泡剤、特に二酸化炭素を発泡剤として加えた後に、発泡させることにより得られる発泡成形体が、上記課題を達成し得ることを見出し、これに基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のポリプロピレン系樹脂発泡成形体およびその製造方法、更に、そのポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物を提供するものである。
[項1] 下記一般式(1)で示されるアミド化合物及び一般式(2)で示されるアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド化合物を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。なお、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
[項2] 前記アミド化合物が、微細な針状結晶である[項1]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[項3] 前記アミド化合物が、下記一般式(3)で示される少なくとも1種のアミド化合物である[項1]又は[項2]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[式(3)中、Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数3〜18の飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ジカルボン酸残基を表し、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数5〜18のシクロアルキル基、下記の一般式(a)、一般式(b)、一般式(c)又は一般式(d)で示される基を表す
[式(a)〜(d)中、R10は水素原子、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を表し、R11は炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、R12は、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表し、R13は、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す)。]
[項4] 一般式(3)において、Rが炭素数3〜12の飽和若しくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数6〜10の飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ジカルボン酸残基を表し、R及びRが、同一又は異なって、それぞれ炭素数5〜12のシクロアルキル基、又は一般式(a)、一般式(b)、一般式(c)又は一般式(d)で示される基を表す[項3]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[項5] 一般式(3)において、Rが炭素数4〜8の飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数6〜8の飽和の脂環族ジカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ジカルボン酸残基であり、R及びRが、同一又は異なって、それぞれ1個の炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基又は1個の炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基である[項4]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[項6] 一般式(3)において、Rが、下記一般式(e)で表される芳香族ジカルボン酸残基であり、R及びRが、同一又は異なって、それぞれ1個の炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基である[項5]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[項7] アミド化合物が、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミドである[項6]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[項8] 前記アミド化合物が、下記一般式(4)で示される少なくとも1種のアミド化合物である[項1]又は[項2]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[式中、R14は、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族トリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族トリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族トリカルボン酸残基を表す。3個のR15は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
[項9] 前記アミド化合物が、下記一般式(5)で示される少なくとも1種のアミド化合物である[項8]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[式中、R16、R17、R18は、同一又は異なって、炭素数5〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基、フェニル基、下記一般式(f)で表されるシクロアルキル基、又は下記一般式(g)で表されるアルキル置換シクロアルキル基を表す。]
[式中、xは、1〜8の整数を表す。]
[式中、R19 は、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基を表す。yは、1〜8の整数を表す。zは1〜4の整数を表す。zが2以上の場合、各々のR19 は互いに同一又は異なってもよい。]
[項10] 前記アミド化合物の含有量が、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.001〜10重量部の範囲である、[項1]〜[項9]の何れかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[項11] 前記アミド化合物の含有量が、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲である、[項10]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[項12] ポリプロピレン系樹脂の230℃、荷重2160gにおけるメルトフローレートが0.1〜60.0g/10分である[項1]〜[項11]の何れかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[項13] ポリプロピレン系樹脂の230℃、荷重2160gにおけるメルトフローレートが0.2〜40.0g/10分である[項12]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[項14] (i)ポリプロピレン系樹脂と下記一般式(1)で示されるアミド化合物及び一般式(2)で示されるアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド化合物とを240〜330℃の温度範囲まで加熱して溶融混合し、溶融したポリプロピレン系樹脂中にアミド化合物を溶解させる工程、
(ii)工程(i)で得られた溶融ポリプロピレン系樹脂組成物を80℃以下の温度まで冷却し、固化したポリプロピレン系樹脂組成物中にアミド化合物の微細な針状結晶を析出させる工程、
(iii)工程(ii)で得られたポリプロピレン系樹脂組成物に発泡剤を混合した後、190〜260℃の温度範囲で加熱混合し、その後に発泡させる発泡成形工程
を具備することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
[式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。なお、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
[項15] 前記発泡剤が、無機系若しくは有機系化学発泡剤である、[項14]に記載の製造方法
[項16] (i)ポリプロピレン系樹脂と下記一般式(1)で示されるアミド化合物及び一般式(2)で示されるアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド化合物とを溶融混合後、冷却固化して、アミド化合物を含有するポリプロピレン系樹脂組成物を製造する工程、
(ii)工程(i)で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、240〜330℃の温度範囲に加熱し、溶融したポリプロピレン系樹脂中にアミド化合物を溶解させた後、80℃以下の温度まで冷却し、アミド化合物の微細な針状結晶を均一に含有する所定の形状の成形物を成形する工程、
(iii)工程(ii)で得られた成形物を150〜240℃の温度範囲に加温してから発泡剤を注入し、その後に発泡させる発泡成形工程
を具備することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
[式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。なお、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
[項17] (i)ポリプロピレン系樹脂と下記一般式(1)で示されるアミド化合物及び一般式(2)で示されるアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド化合物とを溶融混合後、冷却固化して、アミド化合物を含有するポリプロピレン系樹脂組成物を製造する工程
(ii)工程(i)で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、240〜330℃の温度範囲に加熱し、溶融したポリプロピレン系樹脂中にアミド化合物を溶解させた後、そのままの温度で、又は220〜280℃の温度範囲まで冷却後、発泡剤を注入し、更に150〜220℃の温度範囲まで温度を下げて、その後に発泡させる発泡成形工程
を具備することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
[式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。なお、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
[項18] 前記発泡剤が、超臨界状態の不活性ガスである[項16]又は[項17]に記載の製造方法。
[項19] 前記不活性ガスが、二酸化炭素である[項18]に記載の製造方法。
[項20] 発泡成形工程における発泡倍率が1.2〜100倍である[項14]〜[項19]の何れかに記載の製造方法。
[項21] 下記一般式(1)で示されるアミド化合物及び一般式(2)で示されるアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド化合物を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
[式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。なお、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
[項22] 前記アミド化合物が、微細な針状結晶である[項21]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
[項23] 前記アミド化合物が、下記一般式(3)で示される少なくとも1種のアミド化合物である[項21]又は[項22]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
[式(3)中、Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数3〜18の飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ジカルボン酸残基を表し、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数5〜18のシクロアルキル基、下記の一般式(a)、一般式(b)、一般式(c)又は一般式(d)で示される基を表す
(式(a)〜(d)中、R10は水素原子、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を表し、R11は炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、R12は、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表し、R13は、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す)。]
[項24] 一般式(3)において、Rが炭素数3〜12の飽和若しくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数6〜10の飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ジカルボン酸残基を表し、R及びRが、同一又は異なって、それぞれ炭素数5〜12のシクロアルキル基、又は一般式(a)、一般式(b)、一般式(c)又は一般式(d)で示される基を表す[項23]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
[項25] 一般式(3)において、Rが炭素数4〜8の飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数6〜8の飽和の脂環族ジカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ジカルボン酸残基であり、R及びRが、同一又は異なって、それぞれ1個の炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基又は1個の炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基である[項24]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
[項26] 一般式(3)において、Rが、一般式(e)
で表される芳香族ジカルボン酸残基であり、R及びRが、同一又は異なって、それぞれ1個の炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基である[項25]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
[項27] アミド化合物が、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミドである[項26]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
[項28] 前記アミド化合物が、下記一般式(4)で示される少なくとも1種のアミド化合物である[項21]又は[項22]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
[式中、R14は、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族トリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族トリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族トリカルボン酸残基を表す。3個のR15は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
[項29] 前記アミド化合物が、下記一般式(5)で示される少なくとも1種のアミド化合物である[項28]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
[式中、R16、R17、R18は、同一又は異なって、炭素数5〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基、フェニル基、下記一般式(f)で表されるシクロアルキル基、又は下記一般式(g)で表されるアルキル置換シクロアルキル基を表す。]
[式中、xは、1〜8の整数を表す。]
[式中、R19 は、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基を表す。yは、1〜8の整数を表す。zは1〜4の整数を表す。zが2以上の場合、各々のR19 は互いに同一又は異なってもよい。]
[項30] 前記アミド化合物の含有量が、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.001〜10重量部の範囲である、[項21]〜[項29]の何れかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
[項31] 前記アミド化合物の含有量が、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲である、[項30]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
[項32] ポリプロピレン系樹脂の230℃、荷重2160gにおけるメルトフローレートが0.1〜60.0g/10分である[項21]〜[項31]の何れかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
[項33] ポリプロピレン系樹脂の230℃、荷重2160gにおけるメルトフローレートが0.2〜40.0g/10分である[項32]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
[項34] (i)ポリプロピレン系樹脂と下記一般式(1)で示されるアミド化合物及び一般式(2)で示されるアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド化合物を240〜330℃の温度範囲まで加熱して溶融混合し、溶融したポリプロピレン系樹脂中にアミド化合物を溶解させる工程、
(ii)工程(i)で得られた溶融ポリプロピレン系樹脂組成物を80℃以下の温度まで冷却し、固化したポリプロピレン系樹脂組成物中にアミド化合物の微細な針状結晶を析出させる工程、
を具備することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
[式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。なお、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法により、ポリプロピレン系樹脂本来の耐熱性や機械的強度等の機械的特性を損なうことなく、発泡倍率を上げることが可能となり、該方法により得られたポリプロピレン系樹脂発泡成形体は優れた機械的特性の要求される自動車用途などにおける軽量化による燃費削減等に貢献することができる。また、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、優れた機械的特性を有する高発泡成形体として軽量化による燃費削減の要求される自動車用途で有用であることは言うまでもなく、近年の省資源化の要望に適応して様々な用途で使うことができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<ポリプロピレン系樹脂組成物>
本発明におけるポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造を目的とし、特定のアミド化合物を少なくとも1種含むことを特徴とし、特に前記アミド化合物の態様が微細な針状結晶であることが好ましい。
その製造方法は、所望の樹脂組成物が得られる限り、特に限定されることなく、当該技術分野で公知の製造方法、例えば、後述のポリプロピレン系樹脂(粉末又はフレーク)、アミド化合物及び脂肪酸カルシウム塩、並びに必要に応じて他の添加剤を混合する方法を用いることができる。例えば、ポリプロピレン系樹脂とアミド化合物、更に必要に応じてその他の添加剤を混合後、所定の温度で混練し、アミド化合物を溶融ポリプロピレン系樹脂中に溶融混合させた後、冷却固化する方法なども挙げられる。また、前記溶融混合時に、アミド化合物を溶融ポリプロピレン系樹脂中に溶解させた後、冷却固化する方法が、含まれるアミド化合物がより微細な針状結晶になるため、好ましい。
ポリプロピレン系樹脂
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンを主要な構成成分とする重合体であって、具体的には、プロピレンホモポリマー、プロピレンを主体とするランダム又はブロックプロピレン共重合体を挙げることができる。
該プロピレン共重合体としては、例えば、プロピレンとコモノマーとのランダム共重合体又はブロック共重合体であって、プロピレンを主成分とするものが例示できる。該コモノマーとしては、プロピレン以外の1−アルケン(エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン等)の他、他のコモノマー、例えば、スチレン、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸等を例示できる。また、該共重合体は、プロピレン−エチレン多元共重合体であってもよく、例えば、プロピレン、エチレンに加えて、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン等を含む共重合体等が例示される。
上記共重合体におけるプロピレンの含有量は、70〜99重量%程度、特に80〜98重量%程度であることが好ましい。また、プロピレンを主体とする共重合体のなかでも、プロピレン−エチレン共重合体が好ましい。プロピレン−エチレン共重合体としては、エチレンコンテントが1〜30重量%程度、特に2〜20重量%程度の共重合体が好ましい。
本明細書において、上記「エチレンコンテント」とは、プロピレン−エチレンコポリマーに含まれているエチレン含有量(エチレン由来の構造部分の含有量)を意味する。上記エチレンコンテントは、一般的に赤外線スペクトル法(J.Polym.Sci.,7,203(1964))により測定することができる。
また、上記ポリプロピレン系樹脂は、他に少量の熱可塑性樹脂、例えば、高密度ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1等を含んでいるポリマーブレンドとして使用してもよい。但し、ポリマーブレンドを使用する場合、これらポリマーブレンドにおけるポリプロピレン系樹脂の含有割合は、樹脂中、70〜99重量%程度、特に80〜98重量%程度であることが好ましい。
これらのポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、「MFR」と略記する。JIS K−7210(1999))としては、好ましくは0.1〜60g/10分、より好ましくは0.2〜40g/10分、特に好ましくは0.5〜20g/10分の範囲であることが推奨される。上記ポリマーブレンドのMFRも同様に、0.1〜60g/10分、好ましくは0.2〜40g/10分、より好ましくは0.5〜20g/10分の範囲であることが推奨される。なお、上記のMFRは、荷重2160g、230℃における数値である。
MFRが0.1g/10分未満では、発泡時の溶融張力が高すぎるため発泡しにくく、MFRが60g/10分を超えると急激な発泡で破泡が生じやすく、いずれの場合も発泡倍率を上げることが難しくなる。
また、発泡時の破泡を抑えるために自由末端長鎖分岐を有する高溶融張力ポリプロピレンを 使うこともできる。
アミド化合物
本発明で用いられるアミド化合物は、下記一般式(1)で示されるアミド化合物及び一般式(2)で示されるアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド化合物である。
[式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。なお、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
上記アミド化合物の中でも、好ましいアミド化合物としては、下記一般式(3)で示される少なくとも1種のアミド化合物であることが推奨される。
[式(3)中、Rは、炭素数2〜18、好ましくは炭素数3〜12、特に好ましくは4〜8の飽和若しくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数3〜18、好ましくは6〜10、特に好ましくは6〜8の飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ジカルボン酸残基を表し、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数5〜18のシクロアルキル基、下記の一般式(a)、一般式(b)、一般式(c)又は一般式(d)で示される基を表す
[式(a)〜(d)中、R10は水素原子、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を表し、R11は炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、R12は、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表し、R13は、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す)。]
なかでも、Rが、下記一般式(e)で表される芳香族ジカルボン酸残基であり、R及びRが、同一又は異なって、それぞれ1個の炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基である上記一般式(3)で示される少なくとも1種のアミド化合物であることが推奨される。
更に、一般式(3)で示されるアミド化合物の中でも、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミドが、本発明の効果の観点より特に推奨される。
上記一般式(1)で示されるアミド化合物のなかでも、好ましいアミド化合物としては、下記一般式(4)で示される少なくとも1種のアミド化合物であることが推奨される。
[式中、R14は、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族トリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族トリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族トリカルボン酸残基を表す。3個のR15は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
上記一般式(4)で示されるアミド化合物のなかでも、好ましいアミド化合物としては、下記一般式(5)で示される少なくとも1種のアミド化合物であることが推奨される。
[式中、R16、R17、R18は、同一又は異なって、炭素数5〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基、フェニル基、下記一般式(f)で表されるシクロアルキル基、又は下記一般式(g)で表されるアルキル置換シクロアルキル基を表す。]
[式中、xは、1〜8の整数を表す。]
[式中、R19 は、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基を表す。yは、1〜8の整数を表す。zは1〜4の整数を表す。zが2以上の場合、各々のR19 は互いに同一又は異なってもよい。]
本明細書及び特許請求の範囲において、Rで表される飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、飽和若しくは不飽和の脂環族ポリカルボン酸残基又は芳香族ポリカルボン酸残基とは、対応するポリカルボン酸から全てのカルボキシル基を除いて得られる基を指す。
同様に、本明細書及び特許請求の範囲において、Rで表される飽和若しくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基又は芳香族ジカルボン酸残基とは、対応するジカルボン酸から2つのカルボキシル基を除いて得られる基を指す。
同様に、本明細書及び特許請求の範囲において、R14で表される飽和若しくは不飽和の脂肪族トリカルボン酸残基、飽和若しくは不飽和の脂環族トリカルボン酸残基又は芳香族トリカルボン酸残基とは、対応するトリカルボン酸から3つのカルボキシル基を除いて得られる基を指す。
また、本明細書及び特許請求の範囲において、R、R又はR14で表される飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリ(ジ、トリ)カルボン酸残基、飽和若しくは不飽和の脂環族ポリ(ジ、トリ)カルボン酸残基又は芳香族ポリ(ジ、トリ)カルボン酸残基の炭素数とは、ポリ(ジ、トリ)カルボン酸残基としての炭素数(即ち、対応するポリ(ジ、トリ)カルボン酸の炭素数から含まれるカルボキシル基に相当する炭素数(ポリカルボン酸の場合は2〜6個、ジカルボン酸の場合は2個、トリカルボン酸の場合は3個)を引いたもの)を意味する。
一般式(1)で示されるアミド化合物は、一般式(1a)
[式中、R20は前記一般式(1)におけるRと同義である。また、nは前記一般式(1)におけるnと同義である。]
で表される脂肪族、脂環族、又は芳香族のポリカルボン酸と一般式(1b)
[式中、R21は前記一般式(1)におけるRと同義である。]
で表される1種若しくは2種の脂肪族、脂環族又は芳香族のモノアミンをアミド化することにより容易に調製することができる。
本発明に係るアミド化合物は、公知であるか又は公知の方法に従い製造できる。例えば、特開平5−310665号公報や特開平7−188246号公報、特開平7−309821号公報、特表2005−528498号公報などの記載に従って、ポリカルボン酸とモノアミンを原料にアミド化反応を行うことにより製造できる。また、これらのポリカルボン酸の酸無水物、塩化物、該ポリカルボン酸と炭素数1〜4程度の低級アルコールとのエステル化合物等の反応性誘導体をアミド化に供することによっても製造できる。公知の方法に従い製造されたアミド化合物は、若干不純物を含むものであってもよいものの、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、特に好ましくは97重量%以上が推奨される。不純物としては、反応中間体又は未反応物由来の部分アミド化物、副反応物由来のイミド化合物等が例示される。
上記脂肪族ポリカルボン酸としては、炭素数2〜18、好ましく3〜15の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸が例示され、より具体的には、マロン酸、ジフェニルマロン酸、コハク酸、フェニルコハク酸、ジフェニルコハク酸、グルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸等のジカルボン酸、1,2,3−プロペントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸等のトリカルボン酸、エタンテトラカルボン酸、プロパンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸(特に、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸)、ドデカンテトラカルボン酸等のテトラカルボン酸、ペンタンペンタカルボン酸等のペンタカルボン酸、テトラデカンヘキサカルボン酸等のヘキサカルボン酸などが?示される。
上記脂環族ポリカルボン酸としては、炭素数3〜18、好ましくは6〜15の脂環族ポリカルボン酸が例示され、より具体的には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ酢酸、2−ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸等のジカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,3−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸等のトリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸等のテトラカルボン酸、シクロヘキサンヘキサカルボン酸等のヘキサカルボン酸などが例示される。
上記芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数6〜18、好ましくは6〜15の芳香族ポリカルボン酸が例示され、より具体的には、p−フェニレンジ酢酸、p−フェニレンジエタン酸、フタル酸、4−tert−ブチルフタル酸、イソフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、テレフタル酸、1,8−ナフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビナフチルジカルボン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)メタン、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、3,3’−スルホニルジ安息香酸、4,4’−スルホニルジ安息香酸、3,3’−オキシジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、3,3’−カルボニルジ安息香酸、4,4’−カルボニルジ安息香酸、3,3’−チオジ安息香酸、4,4’−チオジ安息香酸等のジカルボン酸、ヘミメリット酸、トリメシン酸、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等のトリカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルメタンテトラカルボン酸、ペリレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、ベンジジン−3,3'−ジカルボキシル−N,N'−四酢酸、ジフェニルプロパンテトラカルボン酸、フタロシアニンテトラカルボン酸等のテトラカルボン酸、ベンゼンペンタカルボン酸等のペンタカルボン酸、ベンゼンヘキサカルボン酸等のヘキサカルボン酸などが例示される。
上記ポリカルボン酸の中でも、本発明の効果の観点及び原料の入手の容易さの観点から、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,2,3−プロペントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族ポリカルボン酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸などが推奨され、その中でも、特に、アジピン酸、ピメリン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2,3−プロペントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、トリメシン酸が推奨される。
上記脂肪族モノアミンとしては、炭素数5〜30、好ましくは5〜20の飽和若しくは不飽和の脂肪族ものアミンが例示され、より具体的には、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミン、ヘンイコシルアミン、ドコシルアミンなどが?示される。
上記脂環族モノアミンとしては、炭素数5〜30、好ましくは炭素数5〜28、より好ましくは炭素数5〜18、更に好ましくは炭素数5〜12、特に好ましくは炭素数7〜10の脂環族モノアミンが例示され、より具体的には、炭素数5〜18のシクロアルキルアミン、一般式(6)
[式中、R22は前記一般式(b)におけるR11と同義である。]
で表される化合物、又は一般式(7)
[式中、R23は前記一般式(d)におけるR13と同義である。]
で表される化合物が例示される。
より具体的には、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン、2,4−ジメチルシクロヘキシルアミン、2−エチルシクロヘキシルアミン、3−エチルシクロヘキシルアミン、4−エチルシクロヘキシルアミン、2−n−プロピルシクロヘキシルアミン、3−n−プロピルシクロヘキシルアミン、4−n−プロピルシクロヘキシルアミン、2−イソプロピルシクロヘキシルアミン、3−イソプロピルシクロヘキシルアミン、4−イソプロピルシクロヘキシルアミン、2−n−ブチルシクロヘキシルアミン、3−n−ブチルシクロヘキシルアミン、4−n−ブチルシクロヘキシルアミン、2−イソブチルシクロヘキシルアミン、3−イソブチルシクロヘキシルアミン、4−イソブチルシクロヘキシルアミン、2−tert−ブチルシクロヘキシルアミン、3−tert−ブチルシクロヘキシルアミン、4−tert−ブチルシクロヘキシルアミン、4−sec−ブチルシクロヘキシルアミン、4−n−アミルシクロヘキシルアミン、4−イソアミルシクロヘキシルアミン、4−sec−アミルシクロヘキシルアミン、4−tert−アミルシクロヘキシルアミン、4−ヘキシルシクロヘキシルアミン、4−ヘプチルシクロヘキシルアミン、2−オクチルシクロヘキシルアミン、3−オクチルシクロヘキシルアミン、4−オクチルシクロヘキシルアミン、4−ノニルシクロヘキシルアミン、4−デシルシクロヘキシルアミン、4−ウンデシルシクロヘキシルアミン、4−ドデシルシクロヘキシルアミン、4−シクロヘキシルシクロヘキシルアミン、4−フェニルシクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロドデシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、α−シクロヘキシルエチルアミン、β−シクロヘキシルエチルアミン、α−シクロヘキシルプロピルアミン、β−シクロヘキシルプロピルアミン、γ−シクロヘキシルプロピルアミンなどが例示される。
上記芳香族モノアミンとしては、炭素数6〜30、好ましくは炭素数5〜20、より好ましくは炭素数7〜18、更に好ましくは炭素数7〜10の芳香族モノアミンが例示され、より具体的には、一般式(8)
[式中、R24は前記一般式(a)におけるR10と同義である。]
で表される化合物、又は一般式(9)
[式中、R25は前記一般式(c)におけるR12と同義である。]
で表される化合物が例示される。
より具体的には、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2−エチルアニリン、3−エチルアニリン、4−エチルアニリン、2−プロピルアニリン、3−プロピルアニリン、4−プロピルアニリン、o−クミジン、m−クミジン、p−クミジン、2−n−ブチルアニリン、3−n−ブチルアニリン、4−n−ブチルアニリン、2−イソブチルアニリン、3−イソブチルアニリン、4−イソブチルアニリン、2−sec−ブチルアニリン、3−sec−ブチルアニリン、4−sec−ブチルアニリン、2−tert−ブチルアニリン、3−tert−ブチルアニリン、4−tert−ブチルアニリン、p−n−アミルアニリン、p−イソアミルアニリン、p−sec−アミルアニリン、p−tert−アミルアニリン、2−n−ペンチルアニリン、3−n−ペンチルアニリン、4−n−ペンチルアニリン、2−イソペンチルアニリン、3−イソペンチルアニリン、4−イソペンチルアニリン、2−sec−ペンチルアニリン、3−sec−ペンチルアニリン、4−sec−ペンチルアニリン、2−tert−ペンチルアニリン、3−tert−ペンチルアニリン、4−tert−ペンチルアニリン、2−ヘキシルアニリン、3−ヘキシルアニリン、4−ヘキシルアニリン、2−ヘプチルアニリン、3−ヘプチルアニリン、4−ヘプチルアニリン、2−オクチルアニリン、3−オクチルアニリン、4−オクチルアニリン、2−ノニルアニリン、3−ノニルアニリン、4−ノニルアニリン、2−デシルアニリン、3−デシルアニリン、4−デシルアニリン、ウンデシルアニリン、ドデシルアニリン、シクロヘキシルアニリン、o−アミノジフェニル、m−アミノジフェニル、p−アミノジフェニル、ベンジルアミン、α−フェニルエチルアミン、β−フェニルエチルアミン、α−フェニルプロピルアミン、β−フェニルプロピルアミン、γ−フェニルプロピルアミン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、1−アミノアントラセン、ジフェニルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジプロピルアニリン、ジイソプロピルアニリン、ジ−n−ブチルアニリン、ジ−sec−ブチルアニリン、ジ−tert−ブチルアニリン、トリメチルアニリン、トリエチルアニリン、トリプロピルアニリン、トリ−tert−ブチルアニリン、アニシジン、エトキシアニリン、ジメトキシアニリン、ジエトキシアニリン、トリメトキシアニリン、トリ−n−ブトキシアニリン、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリメチルベンジルアミン、メトキシベンジルアミン、エトキシベンジルアミン、ジメトキシベンジルアミン、α−フェニルエチルアミン、メトキシフェニルエチルアミン、ジメトキシフェニルエチルアミン、メチルフェニルプロピルアミン等が例示される。
上記モノアミンの中でも、本発明の効果の観点及び原料の入手の容易さの観点から、無置換シクロヘキシルアミン又は置換基として炭素数1〜4の直鎖状?しくは分岐鎖状のアルキル基(特にメチル基)を1〜3個(特に1個)有するシクロヘキシルアミンが推奨される。
特に好ましい脂環族モノアミンの具体?としては、シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、2−エチルシクロヘキシルアミン、2−n−プロピルシクロヘキシルアミン、2−iso−プロピルシクロヘキシルアミン、2−n−ブチルシクロヘキシルアミン、2−iso−ブチルシクロヘキシルアミン、2−sec−ブチルシクロヘキシルアミン、2−tert−ブチルシクロヘキシルアミンが挙げられる。
上記置換基を有するモノアミンは、シス体、トランス体及びこれら?体?性体の混合物のいずれでもよい。
加えて、好ましいモノアミンとしてアニリン又は炭素数1〜4の直鎖状?しくは分岐鎖状のアルキル基を1〜3個(特に1個)有するアニリンを挙げることができる。
上記一般式(3)の化合物の中でも、好ましくは、Rが炭素数1〜12程度の飽和若しくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数6〜10程度の飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基又は炭素数6〜20程度の芳香族ジカルボン酸残基を表し、R及びRが、同一又は異なって、炭素数3〜12程度のシクロアルキル基、又は、一般式(a)、一般式(b)、一般式(c)又は一般式(d)で示される基である。
より好ましくは、Rが炭素数4〜8程度の飽和脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数6〜8程度の飽和脂環族ジカルボン酸残基又は炭素数6〜20程度の芳香族ジカルボン酸残基であり、R及びRが、1個の炭素数1〜4程度のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基又は1個の炭素数1〜4程度のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。
更に好ましくは、Rが炭素数6〜20程度の芳香族ジカルボン酸残基であり、R及びRが、1個の炭素数1〜4程度のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基である。
特に、Rが、下記一般式(e)で表される芳香族ジカルボン酸残基であり、R及びRが1個の炭素数1〜4程度のアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基であることが推奨される。
一般式(2)又は一般式(3)で示されるジアミド化合物の中でも、好ましい化合物としては、アジピン酸ジアニリド、テレフタル酸ジ(シクロヘキシルアミド)、テレフタル酸ジ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド、N,N’−ジ(2−メチルシクロヘキシル)−2,6−ナフタレンジカルボキサミド、3,9−ビス[4-(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス[4-(N−4−tert−ブチルシクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス{4-[N−(2,4−ジ−tert−ブチルシクロヘキシル)カルバモイル]フェニル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が例示でき、特に好ましい化合物としてはN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミドが推奨される。
一般式(1)においてnが3の整数で示されるトリアミド化合物(即ち、一般式(4)で示されるアミド化合物)の中でも、一般式(5)で示されるアミド化合物や具体的な化合物として、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリヘキシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリドデシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリオクタデシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリアニリド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリス(4−ブチルアニリド)、トリメシン酸トリヘキシルアミド、トリメシン酸トリドデシルアミド、トリメシン酸トリオクタデシルアミド、トリメシン酸トリアニリド、トリメシン酸トリシクロヘキシルアミド、トリメシン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリス(4−ブチルアニリド)が好ましく、これらの中でも1,2,3−プロパントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリシクロヘキシルアミドなどが好ましい化合物として例示される。さらにその中でも、特にトリメシン酸トリシクロヘキシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)が最も好ましい化合物として推奨される。
一般式(1)においてnが4の整数で示されるアミド化合物(即ち、テトラアミド化合物)の中でも、好ましい化合物としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラヘキシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラドデシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラオクタデシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラアニリド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラシクロヘキシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(4−ブチルアニリド)が好ましく、これらの中でも1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラシクロヘキシルアミドが特に好ましい。
本発明に係る上記アミド化合物は、それぞれ単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
ポリプロピレン系樹脂に溶融混合する前のアミド化合物の最大粒径としては、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下であることが推奨される。最大粒径が20μmを超えると、溶融混合時にアミド化合物の分散不良を起こしたり、アミド化合物が溶融したポリプロピレン系樹脂に溶解し難くなり、溶け残りが生ずる可能性がある。溶け残った未溶解アミド化合物は、次の成形過程で結晶の巨大化(肥大化)の原因となり、得られた成形品の衝撃強度の低下、更には二次加工時の破断等の原因となり、好ましくない。ここで、最大粒径は、レーザー回折方式に基づく方法により測定した場合の粒径を指す。
本発明に係るアミド化合物の含有量ないし添加量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.0001〜10重量部、より好ましくは、0.01〜5重量部であることが推奨される。
<発泡剤>
本発明で使用できる発泡剤は、化学発泡剤、物理発泡剤など射出発泡成形に通常使用できるものであればとくに制限はない。化学発泡剤は、前記樹脂組成物と予め混合してから射出成形機に供給され、シリンダー内で分解して炭酸ガス等の気体を発生するものである。化学発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の無機系化学発泡剤や、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタテトラミン等の有機系化学発泡剤があげられる。物理発泡剤は、成形機のシリンダー内の溶融樹脂にガス状または超臨界流体として注入され、分散または溶解されるもので、金型内に射出後、圧力開放されることによって発泡剤として機能するものである。物理発泡剤としては、プロパン、ブタン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素類、クロロジフルオロメタン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、窒素、炭酸ガス、空気等の無機ガスがあげられる。これらは単独または2種以上混合して使用してよい。
これらの発泡剤の中で、好ましい発泡剤の一つとして、通常の射出成形機が使用でき、均一微細な気泡が得られやすい無機系化学発泡剤が挙げられる。これらの無機系化学発泡剤には、発泡成形体の気泡を安定的に均一微細にするために必要に応じて、例えばクエン酸のような有機酸等の発泡助剤やタルクのような無機微粒子等の発泡核剤を添加してもよい。通常、上記無機系化学発泡剤は取扱性、貯蔵安定性、ポリプロピレン系樹脂への分散性の点から、10〜50重量%濃度のポリオレフィン系樹脂のマスターバッチとして使用されるのが好ましい。
上記無機系化学発泡剤の添加量は、種類、マスターバッチ中の濃度および所望の発泡倍率によって異なるが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部程度、より好ましくは0.5〜20重量部程度の範囲で使用される。この範囲で使用することにより、経済的に2倍以上の発泡倍率で、均一微細な気泡を有する射出発泡成成形体が得られやすい。
また、前記発泡剤の中で、もう一つの好ましい発泡剤としては、物理発泡剤である炭酸ガスが挙げられる。炭酸ガスは、通常、ポリプロピレン系樹脂等の熱可塑性樹脂を発泡させるために、押出機内に圧入させて供給されるものであり、超臨界状態、亜臨界状態、又は液化された二酸化炭素を用いることもできる。炭酸ガスは、従来の発泡剤以上に微細な気泡を形成させることができ、得られる発泡体の表面平滑性や柔軟性を向上させることができる。
押出機内に圧入される炭酸ガス等の物理発泡剤の使用量は、ポリプロピレン系樹脂発泡体の発泡倍率に応じて適宜、調整されればよいが、使用量が少ないと、ポリプロピレン系樹脂発泡体の発泡倍率が低くなり、軽量性及び断熱性が低下することがある一方、使用量が多いと、金型内において発泡を生じ、破泡を生じたり、或いは、ポリプロピレン系樹脂発泡体中に大きな空隙が生じることがあるので、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して1〜10重量部程度であるのが好ましく、2〜8重量部程度であるのがより好ましく、3〜6重量部程度であるのが特に好ましい。
また、炭酸ガスを発泡剤に用いる場合は、炭酸ガスを発生させる発泡剤として、炭酸水素ナトリウムを使用することもできる。炭酸水素ナトリウムの場合については、樹脂中への分散性を向上させるため、マスターバッチとして、使用することもできる。
マスターバッチは、通常、熱可塑性の基材樹脂に、添加剤等を高濃度で練り込み、ペレット状とすることにより、製造することができる。基材樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂に対する相溶性に優れるものであれば、特に限定されず、例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂などが好適に使用することができる。
<他の添加剤>
本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物には、使用目的やその用途に応じて、適宜、従来公知のポリオレフィン用改質剤を本発明の効果を損なわない程度の範囲で配合してもよい。特に、本発明に係るアミド化合物の効果を阻害する添加剤については、その効果を損なわない範囲で配合することが好ましい。
かかるポリオレフィン用改質剤としては、例えば、ポリオレフィン等衛生協議会編「ポジティブリストの添加剤要覧」(2001年5月)に記載されている各種添加剤が挙げられ、より具体的には、安定剤(金属化合物、エポキシ化合物、窒素化合物、燐化合物、硫黄化合物、フェノール系化合物、UV吸収剤等)、界面活性剤(非イオン性、陰イオン性、両イオン性、陽イオン性等)、滑剤(パラフィン、ワックス等の脂肪族炭化水素、炭素数8〜22程度の高級脂肪酸、炭素数8〜18程度の脂肪族アルコール、ポリグリコール、炭素数4〜22程度の高級脂肪酸と炭素数4〜18程度の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8〜22程度の高級脂肪酸アマイド、シリコーン油、ロジン誘導体等)、充填剤(酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩等)、ポリマー添加剤、本発明に係るアミド化合物以外の有機造核剤等の各種添加剤が例示される。
前記有機造核剤として、例えば、従来公知のポリプロピレン用の造核剤が例示される。
具体的には、下記一般式(10)
[式中、R26は水素原子、炭素数1〜12程度の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、シクロヘキシル基又はカルボキシル基を表し、aは0〜12程度の整数を表し、Aは下記の一般式(h)、一般式(i)、一般式(j)、一般式(k)又は一般式(l)で表される基を表す
(式(h)〜(l)中、R27は、水素原子、炭素数1〜12程度の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はハロゲン原子を表し、bは1〜4程度の整数、cは1〜6程度の整数を表す。尚、b又はcが2以上の整数の場合、2個以上のR20は同一又は異なってもよい)。]
で表される化合物、有機二塩基酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩(例えばピメリン酸カルシウム、テレフタル酸カルシウム等)、12−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウム等、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタリンスルホン酸ナトリウム等の芳香族スルホン酸化合物、ジカルボン酸ジエステル類又はトリカルボン酸トリエステル類、テトラオキサスピロ化合物類、イミドカルボン酸誘導体、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン系、キナクリドン、キナクリドンキノン等のキナクリドン系等の顔料、前記有機二塩基酸と周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物又は塩とからなる二成分系等が例示される。
<ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法>
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法は、本発明に係るアミド化合物、好ましくはその微細な針状結晶を含有するポリプロピレン系樹脂組成物を用い、該アミド化合物からなる微細な針状結晶が十分に存在する状態で発泡成形することにより、機械的特性に優れた高発泡倍率のポリプロピレン系樹脂発泡成形体を製造することを特徴とする。更に、得られたポリプロピレン系樹脂発泡成形体を当該技術分野で採用されている方法にて二次加工することにより、二次加工成形品を得ることもできる。
以下、推奨されるポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造条件について、製造工程に沿って詳しく説明する。
先ず、ポリプロピレン系樹脂組成物の製法方法としては、通常次の手順(工程)が採用される。
ポリプロピレン系樹脂(粉末又はフレーク)、アミド化合物及び必要に応じて他の添加剤を混合して、ドライブレンド物を得る。混合方法には特に制限はなく、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、スーパーミキサー、タンブラー等の公知の混合機を用いて混合する。混合温度は、通常室温〜100℃程度であり、混合時間は、装置の回転速度等にもよるが、一般に1〜60分間程度である。
また、前記ドライブレンド物の代わりに、例えば、ポリプロピレン系樹脂(粉末又はフレーク)とアミド化合物や必要に応じて他の添加剤を高濃度に配合した高濃度添加剤配合物(例えば、上記添加剤を高濃度にポリプロピレン系樹脂に配合したマスターバッチ等)をポリプロピレン系樹脂(粉末又はフレーク)や必要に応じて他の添加剤を配合した未混練原料を(高濃度添加剤配合物組成物)として用いることもできる。
続いて、当該技術分野で採用されている一軸あるいは二軸押出機、タンデム型混練押出機等によって、そのドライブレンド物又は前記高濃度添加剤配合物組成物を、ポリプロピレン樹脂が溶融する温度(Tm)以上、好ましくはポリプロピレン系樹脂にアミド化合物が溶解する温度(以下、「T」と記載する)以上の混練温度で混練した後、ダイスより吐出された溶融ポリプロピレン系樹脂組成物を素早く水等の冷媒槽に導き、冷却固化させる。次に、冷却固化したストランド状のポリプロピレン系樹脂組成物をペレタイザー等の破断機で適当な長さにカッティングし、ペレット状のポリプロピレン系樹脂組成物に得る。なお、ここで言う「アミド化合物の溶解温度」とは、ポリプロピレン系樹脂組成物(目的とするポリプロピレン系樹脂成形体の組成と一致している組成物)において存在する当該アミド化合物が完全に溶解する温度を意味する。
前記Tの具体的な温度範囲は、樹脂の種類やアミド化合物の種類及び配合量等により異なり、一概には規定できないが、通常、240〜330℃程度、好ましくは250〜320℃程度の温度範囲が推奨される。
ここで、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の強度等の観点から、前記ポリプロピレン系樹脂組成物中のアミド化合物が針状結晶であり、更にその針状結晶がより微細であることが推奨される。針状結晶状のアミド化合物を含むポリプロピレン系樹脂組成物を得る方法としては、予め針状結晶状のアミド化合物を添加し、該アミド化合物が溶解しない条件で混練する方法もあるが、前述の推奨例のように、より微細な針状結晶を得るためには、添加したアミド化合物をいったん溶融ポリプロピレン系樹脂中に溶解させ、その後冷却して固化する際に針状結晶としてポリプロピレン系樹脂中に析出させる方法、即ち、ポリプロピレン系樹脂及びアミド化合物を含む組成物を加熱し、溶融したポリプロピレン系樹脂中にアミド化合物を溶解させる工程、及び前記工程で得られた溶融状態のポリプロピレン系樹脂組成物を冷却して、アミド化合物の結晶を析出させる工程による方法が効果的である。
続いて、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製法方法としては、通常次の手順(工程)が採用される。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、上記ポリプロピレン系樹脂組成物から、当該技術分野で採用されている型内発泡成形法、射出発泡成形法、プレス発泡成形法、押出発泡成形法、スタンパブル発泡成形法などの通常使われている発泡成形法により成形することができる。また、本発明の発泡成形体は、インサート成形、接着などの方法により表皮材を貼合して加飾発泡成形体とすることもできる。
ここで重要なことは、ポリプロピレン系樹脂成形体を発泡成形する時点においてアミド化合物の微細な針状結晶がポリプロピレン系樹脂組成物やポリプロピレン系樹脂成形物中に存在することであり、特にその結晶が均一に存在していることである。
たとえば、上記発泡成形する時点でアミド化合物の微細な針状結晶を均一に存在させる方法としては、次のような方法が挙げられる。
第一の方法は、アミド化合物の微細な針状結晶を含む上記発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に発泡剤を混合した後、該アミド化合物がポリプロピレン樹脂中で溶解しない温度範囲で加熱混合後、発泡成形する方法が挙げられる。
ここで、上記アミド化合物がポリプロピレン系樹脂に溶解しない温度範囲としては、好ましくは(T+10℃)〜(T−10℃)、より好ましくは(T+15℃)〜(T−15℃)、特に(T+20℃)〜(T−15℃)の温度範囲が推奨される。
ここで、Tは、使用するポリプロピレン系樹脂の融点であり、Tは上述の通りである。なお、当該温度範囲の関係には、(T+10℃)<(T−10℃)、(T+15℃)<(T−15℃)、或いは(T+20℃)<(T−15℃)が成立する。
より具体的には、上記温度範囲は、アミド化合物の種類及び配合量にもよるが、190〜260℃程度、好ましくは200〜240℃程度、更に好ましくは200〜230℃程度の範囲である。温度を190℃以上に設定することによって、未溶融樹脂の発生が抑制され、260℃以下に設定することによって、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の強度等の物性を優位に向上させる傾向が認められる。
第二の方法は、アミド化合物の結晶を含む上記発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を再度アミド化合物が溶融ポリプロピレン系樹脂中に溶解する温度まで加熱し、その後発泡温度まで冷却固化し、そこで発泡剤を混入して発泡させるか、または、完全に冷却固化して成形物とし、続いてその成形物を再度発泡温度まで加熱した後に発泡剤を混入して発泡させる方法が挙げられる。
上記発泡温度は、樹脂、発泡剤の種類、更に発泡倍率等により異なるが、通常、好ましくは120〜240℃、より好ましくは150〜240℃、更に好ましくは150〜220℃、特に好ましくは150〜180℃の温度範囲が推奨される。
前記成形物中のβ晶含量は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されるものではないが、発泡成形性の観点より、20〜90%程度とすることが好ましく、50〜90%程度とすることがより好ましく、特に60〜85%程度とすることが最も好ましい。
尚、β晶含量は、ポリプロピレン系樹脂成形体を適当な大きさに切り取ったサンプルを、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minでDSC装置(パーキンエルマー社製「ダイヤモンドDSC」)により示差走査熱量分析を行い、このとき得られるDSCサーモグラムのα晶とβ晶の融解熱量から以下の式に従い求めた値である。
β晶含量(%)=100×Hβ/(Hα+Hβ
[式中、Hβはβ晶の融解熱量を示し、Hαはα晶の融解熱量を示す。]。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体の発泡倍率は、特に制約はないが、通常1.2〜100倍程度、好ましくは1.5〜60倍程度、より好ましくは2.0〜40倍程度の範囲であることが推奨される。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、更に真空成形、圧空成形等の通常の熱成形方法などの方法を用いて二次加工して、所望の形状の二次加工成形品とすることもできる。
かくして得られた本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、軽量でかつ強度等の物性に優れており、従来公知のポリプロピレン系樹脂成形体が使用されてきた分野と同様の分野において利用することができる。特に、自動車部品、機械光学部品、化学工業部品、家電部品等の成形品として使用することができる。更に、得られた発泡成形体は断熱性にも優れており、自動車部品、電機部品や建材等の分野で利用することができる。
また、二次加工後の二次加工成形品も、同様に、従来のポリプロピレン系樹脂成形体が使用されてきたと同様の分野において利用できる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって制約されるものではない。尚、実施例や比較例中のポリプロピレン系樹脂組成物中のアミド化合物の針状結晶形成の有無およびポリプロピレン系樹脂組成物のβ晶含有量、発泡倍率、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の曲げ強度、比強度は、以下の方法により求めた。
<ポリプロピレン系樹脂組成物及び発泡成形前の成形物の評価>
(1)アミド化合物の針状結晶形成の有無
ポリプロピレン系樹脂組成物又は成形物中のアミド化合物の針状結晶形成の有無については、ホットステージ付属の光学顕微鏡を用いて、ポリプロピレン系樹脂組成物またはポリプロピレン系樹脂成形物を180℃に昇温しそのまま温度で保持した状態で、顕微鏡観察を行うことにより、針状結晶形成の有無を目視にて確認した。
(2)β晶含有量の測定
β晶含有量は、樹脂組成物または成形物を適当な大きさに切り取ったサンプルを、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minで示差走査熱量計(パーキンエルマー社製「ダイヤモンドDSC」)により示差走査熱量分析(DSC分析)を行い、このとき得られるDSCサーモグラムのα晶とβ晶の融解熱量から以下の式に従って求めた。
β晶含量(%)=100×Hβ/(Hα+Hβ
[式中、Hβはβ晶の融解熱量を示し、Hαはα晶の融解熱量を表す。]。
(3)発泡特性(発泡倍率)
発泡特性の評価は、サンプルとして発泡成形前の樹脂組成物又は成形物を用いて、以下の方法により発泡倍率を測定した。
上記サンプルを分割形式の金型のキャビティ内に収容した状態で型締めした後、155℃に加熱し、圧力20MPaの超臨界状態の二酸化炭素を注入し、20分間の含浸を行った。20分間含浸した後、10MPa/秒の減圧速度で圧力を開放することにより、発泡体を得た後、得られた発泡体の質量及び浮力を天びん法にて測定し,発泡後の密度と発泡前の密度との比から、発泡倍率を求めた。発泡倍率が高い程、発泡性が良く、発泡特性に優れると言える。
<発泡成形体の評価>
(4)曲げ強度および比強度
万能材料試験機(インストロン社製)を用いて、JIS K 7203(1982)に準じて曲げ強度(MPa)を測定した。
なお、試験温度は25℃、試験速度は10mm/分とした。
さらに、得られた曲げ強度より、下式を用いて、密度あたりの強度である比強度を求めた。
比強度(kN・m/kg)=曲げ強度(MPa)/密度(g/cm
なお、密度は、ポリプロピレンの密度を0.9g/cmとして、その密度を発泡倍率で割った値を用いた。
曲げ強度および比強度の値が大きいほど機械的強度に優れていると言える。
[実施例1]
ポリプロピレン系樹脂としてポリプロピレンホモポリマー(MFR=10g/10分(荷重2160g、温度230℃),融点;168℃)100重量部、アミド化合物として2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド(アミド化合物1、新日本理化(株)社製「エヌジェスターNU−100」)0.2重量部、及びその他添加剤としてステアリン酸カルシウム(日東化成工業(株)社製、商品名「Ca−St」)0.05重量部、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGANOX1010」)0.05重量部、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGAFOS168」)0.05重量部をドライブレンドした。そのドライブレンド物を二軸押出機((株)テクノベル社製 L/D=45、スクリュー径15mmにて混練温度(樹脂温度)を用いて加熱温度280℃にて溶融混合して、前記アミド化合物を溶解させ、押し出されたストランドを冷却し、ペレタイザーでカッティングして、ポリプロピレン系樹脂組成物を調製した(工程(i)〜工程(ii))。なお、押し出されたストランドが透明であることを目視でも確認した。
続いて、得られたポリプロピレン系樹脂組成物を射出温度(加熱温度)280℃、金型温度(冷却温度)40℃の条件下で成形して、ポリプロピレン系樹脂成形物を得た(工程(iii))。得られたポリプロピレン系樹脂成形物を用いて、上記(3)の方法により発泡特性(発泡倍率)を求めて、その結果を表1に示した。また、上記(1)の方法によりアミド化合物の針状結晶の生成状態を、(2)の方法によりβ晶含有量を確認した結果、アミド化合物の微細な針状結晶の生成が確認され、80%以上のβ晶含有量が確認された。
次に、得られた成形物を幅10mm、高さ4mm、長さ65mmの金型内に設置した後、分割形式の金型のキャビティ内に収容した状態で型締めした後、155℃に加熱し、圧力20MPaの超臨界状態の二酸化炭素を注入し、20分間二酸化炭素の含浸を行った。その後、圧力を開放することにより、発泡倍率2.3倍の発泡成形体を得た(工程(iv))。得られた発泡成形体を用いて、曲げ強度、比強度を測定し、それの結果をまとめて表1に示した。
[実施例2]
アミド化合物1の配合量0.2重量部を0.1重量部に、溶融混合時の加熱温度280℃を270℃に、成形物製造時の加熱温度280℃を270℃に変えた以外は、実施例1と同様に実施して、ポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、β晶含有量、発泡倍率、曲げ強度、比強度を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。また、実施例1と同様にして成形物中のアミド化合物の針状結晶の生成状態、β晶含有量を確認した結果、アミド化合物の微細な針状結晶の生成が確認され、80%以上のβ晶含有量が確認された。
[実施例3]
アミド化合物1の配合量0.2重量部を0.05重量部に、溶融混合時の加熱温度280℃を260℃に、成形物製造時の加熱温度280℃を260℃に変えた以外は、実施例1と同様に実施して、ポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、β晶含有量、発泡倍率、曲げ強度、比強度を測定した。得られた結果をまとめて表1に示したまた、実施例1と同様にして成形物中のアミド化合物の針状結晶の生成状態、β晶含有量を確認した結果、アミド化合物の微細な針状結晶の生成が確認され、80%以上のβ晶含有量が確認された。
[実施例4]
成形物製造時の冷却温度40℃を80℃に変えた以外は、実施例3と同様に実施して、ポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、β晶含有量、発泡倍率、曲げ強度、比強度を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。また、実施例1と同様にして成形物中のアミド化合物の針状結晶の生成状態、β晶含有量を確認した結果、アミド化合物の微細な針状結晶の生成が確認され、80%以上のβ晶含有量が確認された。
[実施例5]
アミド化合物としてアミド化合物1に変えて3,9‐ビス[4‐(N‐シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(アミド化合物2)を用いた以外は、実施例2と同様に実施して、ポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、β晶含有量、発泡倍率、曲げ強度、比強度を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。また、実施例1と同様にして成形物中のアミド化合物の針状結晶の生成状態、β晶含有量を確認した結果、アミド化合物の微細な針状結晶の生成が確認され、80%以上のβ晶含有量が確認された。
[実施例6]
アミド化合物としてアミド化合物1に変えて1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2,3−ジメチルシクロヘキシルアミド(アミド化合物3)を用いた以外は、実施例2と同様に実施して、ポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、β晶含有量、発泡倍率、曲げ強度、比強度を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。また、実施例1と同様にして成形物中のアミド化合物の針状結晶の生成状態、β晶含有量を確認した結果、アミド化合物の微細な針状結晶の生成が確認され、80%以上のβ晶含有量が確認された。
[実施例7]
アミド化合物としてアミド化合物1に変えて1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリスシクロオクチルアミド(アミド化合物4)を用いた以外は、実施例2と同様に実施して、ポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、β晶含有量、発泡倍率、曲げ強度、比強度を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。また、実施例1と同様にして成形物中のアミド化合物の針状結晶の生成状態、β晶含有量を確認した結果、アミド化合物の微細な針状結晶の生成が確認され、80%以上のβ晶含有量が確認された。
[実施例8]
アミド化合物としてアミド化合物1に変えて1,4−ベンゼンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド(アミド化合物5)を用いた以外は、実施例2と同様に実施して、ポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、β晶含有量、発泡倍率、曲げ強度、比強度を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。また、実施例1と同様にして成形物中のアミド化合物の針状結晶の生成状態、β晶含有量を確認した結果、アミド化合物の微細な針状結晶の生成が確認され、80%以上のβ晶含有量が確認された。
[実施例9]
工程(i)における溶融混合時の加熱温度280℃を200℃に、成形物製造時の加熱温度280℃を200℃に変えた以外は、実施例1と同様に実施して、ポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、β晶含有量、発泡倍率、曲げ強度、比強度を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。また、実施例1と同様にして成形物中のアミド化合物の針状結晶の生成状態及びβ晶含有量を確認した結果、β晶含有量は80%以上であったが、アミド化合物の針状結晶の生成状態に関して、微細な針状結晶も生成しているが、それ以上に塊状のアミド化合物が多数存在している状態であることが確認された。
[比較例1]
アミド化合物を添加しない以外は、実施例3と同様に実施して、ポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。但し、得られた発泡成形体は発泡性が悪く、所定の発泡倍率には達せず、1.1倍であった。得られたポリプロピレン系成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、発泡倍率、曲げ強度、比強度を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。
[比較例2]
アミド化合物を添加しない以外は、実施例4と同様に実施して、ポリプロピレン系樹脂成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系成形物及びポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、発泡倍率、曲げ強度、比強度を測定した。得られた結果をまとめて表1に示した。
[参考値]
実施例1で得られたポリプロピレン系樹脂成形物を用いて、発泡体作製工程(工程iii))を実施せず、上記発泡成形体と同様にして、曲げ強度、比強度を測定した。得られた結果を表1に示した。
[実施例10]
ポリプロピレン系樹脂としてポリプロピレンホモポリマー(MFR=10g/10分(荷重2160g、温度230℃),融点;168℃)100重量部、アミド化合物として2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド(アミド化合物1)0.2重量部、及びその他添加剤としてステアリン酸カルシウム(日東化成工業(株)社製、商品名「Ca−St」)0.05重量部、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバスペシャルティーケミカルズ社製、商品名「IRGANOX1010」)0.05重量部、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(チバスペシャルティーケミカルズ社製、商品名「IRGAFOS168」)0.05重量部をドライブレンドした。そのドライブレンド物を二軸押出機((株)テクノベル社製 L/D=45、スクリュー径15mmを用いて加熱温度280℃で溶融混合して、前記アミド化合物を溶解させ、押し出されたストランドを冷却し、ペレタイザーでカッティングして、ポリプロピレン系樹脂組成物を調製した。その後、得られたポリプロピレン系樹脂組成物と炭酸水素ナトリウム系発泡剤マスターバッチ(永和化成工業社製ポリスレンEE205A)4部をドライブレンドし、Tダイ押出機を用いて200℃の樹脂温度で溶融混合してシート状に押出し、表面温度120℃のチルロールで冷却固化し、厚さ200μmのポリプロピレン発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、曲げ強度を測定した。得られた結果を表2に示した。また、上記(1)の方法により、ポリプロピレン系樹脂組成物中のアミド化合物の針状結晶の生成状態を、(2)の方法によりβ晶含有量を確認した結果、アミド化合物の微細な針状結晶の生成が確認され、80%以上のβ晶含有量が確認された。
[実施例11]
アミド化合物の配合量0.2重量部を0.05重量部に、溶融混合時の加熱温度280℃を260℃に変えた以外は、実施例9と同様に実施して、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、曲げ強度を測定した。得られた結果を表2に示した。また、上記(1)の方法により、ポリプロピレン系樹脂組成物中のアミド化合物の針状結晶の生成状態を、(2)の方法によりβ晶含有量を確認した結果、アミド化合物の微細な針状結晶の生成が確認され、80%以上のβ晶含有量が確認された。
[比較例3]
アミド化合物を添加しない以外は、実施例11と同様に実施して、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、曲げ強度を測定した。得られた結果を表2に示した。
上記表1及び表2の結果より、以下のことがわかる。(a)実施例と比較例の結果を比べると、本発明のアミド化合物を配合することにより発泡特性が著しく向上し、更に機械的特性が大きく改善されていることがわかる。この結果は、本発明のアミド化合物の核剤効果等に起因するものと推測される。(b)更に、実施例1〜8の結果より、含有するアミド化合物を微細な針状結晶にすることにより、得られた発泡成形体の機械的強度をより一層向上することが可能であることがわかる。この結果は、発泡成形過程において、本発明のアミド化合物の微細な針状結晶がポリプロピレン系樹脂の配向をコントロールしているものと推測される。以上の結果より、本発明の適用により従来達成できなかった高発泡で高強度のポリプロピレン系樹脂発泡成形体が容易に得られることが確認された。
本発明により、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造において、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体本来の優れた特性を保持しつつ、高発泡化が可能となり、更に得られたポリプロピレン系樹脂発泡成形体の強度の改善が可能となり、これまで以上に様々な用途へのポリプロピレン系樹脂発泡成形体の応用が可能となった。また、機械的特性を損なうことなく、高発泡化することにより、軽量化、省資源化、省エネルギー化が期待され、自動車や電気分野での用途拡大が期待される。更に、断熱材用途においても、高発泡化により一層断熱効果が高まり、省エネルギー化への寄与も期待される。

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で示されるアミド化合物及び一般式(2)で示されるアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド化合物の針状結晶を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
    [式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族基、炭素数5〜30の脂環族基又は炭素数6〜30の芳香族基を表す。]
    [式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。なお、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
  2. 前記アミド化合物が、下記一般式(3)で示される少なくとも1種のアミド化合物である請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
    [式(3)中、Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数3〜18の飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ジカルボン酸残基を表し、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数5〜18のシクロアルキル基を表す。]
  3. (i)ポリプロピレン系樹脂と下記一般式(1)で示されるアミド化合物及び一般式(2)で示されるアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド化合物とを240〜330℃の温度範囲まで加熱して溶融混合し、溶融したポリプロピレン系樹脂中にアミド化合物を溶解させる工程、
    (ii)工程(i)で得られた溶融ポリプロピレン系樹脂組成物を80℃以下の温度まで冷却し、固化したポリプロピレン系樹脂組成物中にアミド化合物の針状結晶を析出させる工程、
    (iii)工程(ii)で得られたポリプロピレン系樹脂組成物に発泡剤を混合した後、190〜260℃の温度範囲で加熱混合し、その後に発泡させる発泡成形工程
    を具備することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
    [式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族基、炭素数5〜30の脂環族基又は炭素数6〜30の芳香族基を表す。]
    [式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。なお、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
  4. (i)ポリプロピレン系樹脂と下記一般式(1)で示されるアミド化合物及び一般式(2)で示されるアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド化合物とを溶融混合後、冷却固化して、アミド化合物を含有するポリプロピレン系樹脂組成物を製造する工程
    (ii)工程(i)で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、240〜330℃の温度範囲に加熱し、溶融したポリプロピレン系樹脂中にアミド化合物を溶解させた後、80℃以下の温度まで冷却し、アミド化合物の針状結晶を含有する所定の形状の成形物を成形する工程、
    (iii)工程(ii)で得られた成形物を150〜240℃の温度範囲に加熱してから発泡剤を注入し、その後に発泡させる発泡成形工程
    を具備することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
    [式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族基、炭素数5〜30の脂環族基又は炭素数6〜30の芳香族基を表す。]
    [式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。なお、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
  5. 前記発泡剤が、超臨界状態の不活性ガスである請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記不活性ガスが、二酸化炭素である請求項5に記載の製造方法。
  7. 発泡成形工程における発泡倍率が1.2〜100倍である請求項3〜6の何れかに記載の製造方法。
  8. 下記一般式(1)で示されるアミド化合物及び一般式(2)で示されるアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド化合物の針状結晶を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
    [式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族基、炭素数5〜30の脂環族基又は炭素数6〜30の芳香族基を表す。]
    [式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。なお、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
  9. 前記アミド化合物が、下記一般式(3)で示される少なくとも1種のアミド化合物である請求項8に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
    [式(3)中、Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数3〜18の飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ジカルボン酸残基を表し、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数5〜18のシクロアルキル基を表す。]
  10. 一般式(3)において、Rが炭素数3〜12の飽和若しくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数6〜10の飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ジカルボン酸残基を表し、R及びRが、同一又は異なって、それぞれ炭素数5〜12のシクロアルキル基を表す請求項9に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
  11. 一般式(3)において、Rが、一般式(e)
    で表される芳香族ジカルボン酸残基であり、R及びRが、シクロヘキシル基である請求項10に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
  12. アミド化合物が、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミドである請求項11に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
  13. 前記アミド化合物が、下記一般式(4)で示される少なくとも1種のアミド化合物である請求項8に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
    [式中、R14は、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族トリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族トリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族トリカルボン酸残基を表す。3個のR15は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族基、炭素数5〜30の脂環族基又は炭素数6〜30の芳香族基を表す。]
  14. 前記アミド化合物が、下記一般式(5)で示される少なくとも1種のアミド化合物である請求項13に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
    [式中、R16、R17、R18は、同一又は異なって、炭素数5〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基、フェニル基、下記一般式(f)で表されるシクロアルキル基を表す。]
    [式中、xは、1〜8の整数を表す。]
  15. ポリプロピレン系樹脂の230℃、荷重2160gにおけるメルトフローレートが0.1〜60.0g/10分である請求項8〜14の何れかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体製造用のポリプロピレン系樹脂組成物。
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