JP6815979B2 - ノズル、および、その製造方法 - Google Patents

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  • Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)

Description

本発明の実施形態は、ノズル、および、その製造方法に関する。
蒸気タービンにおいて、ノズルは、ダイアフラム外輪とダイアフラム内輪との間に複数のノズル板(静翼)が配置されており、静翼翼列を構成する。ノズルにおいて、ノズル板は、ダイアフラム外輪とダイアフラム内輪とに固定されている。
ノズル板の固定は、ノズル板について外輪側と内輪側との少なくとも一方を溶接で接合することで行われる。この他に、ダイアフラム外輪に形成された溝などの嵌合部にノズル板の外輪側を嵌合すると共に、ダイアフラム内輪に形成された溝などの嵌合部にノズル板の内輪側を嵌合することによって、ノズル板の固定が行われる。
特許第4040922号 特許第3106130号 特開2010−242221号公報 特開平5−125471号公報 特開2007−092122号公報
通常、ダイアフラム外輪およびダイアフラム内輪は、鍛造で成形されたリング素材、または、曲げられた板などの素材について切削加工を行うことで作製される。また、蒸気タービンの低温部に設置されるノズルを構成するダイアフラム外輪およびダイアフラム内輪に関しては、鋳造で形成した素材について切削加工を行うことで作製される。
近年、蒸気タービンにおいては、入口に作動媒体として導入される蒸気の温度(入口温度)が高温化されている。このため、入口温度の高温化に対応するために、高温特性に優れたノズルが求められている。具体的には、高温下においてクリープ強度が高く変形が生じにくいノズルが要求されている。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、高温特性に優れたノズル、および、その製造方法を提供することである。
実施形態のノズルは、ダイアフラム外輪とダイアフラム内輪との間にノズル板が配置されており、蒸気タービンに用いられる。ダイアフラム外輪およびダイアフラム内輪は、質量%で、C:0.10〜0.15、Si:0.60以下、Mn:0.40〜0.60、Ni:0.60以下、Cr:9.0〜10.5、Mo:0.80〜1.10、V:0.15〜0.25、W:0.80〜1.10、Nb:0.05〜0.10を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋳鋼で形成されている。
図1は、実施形態に係る蒸気タービンの要部を示す図である。 図2は、実施形態の変形例において、ノズル板25の表面部分を模式的に示す断面図である。
最初に、実施形態の鋳鋼(M1),(M2)に関して説明する。鋳鋼(M1),(M2)は、各成分が以下に示す範囲である。詳細については後述するが、鋳鋼(M1),(M2)は、蒸気タービンに用いられるノズルにおいて、ダイアフラム外輪およびダイアフラム内輪を形成する際に用いられる。
鋳鋼(M1)の組成は、質量%で、C:0.10〜0.15、Si:0.60以下、Mn:0.40〜0.60、Ni:0.60以下、Cr:9.0〜10.5、Mo:0.80〜1.10、V:0.15〜0.25、W:0.80〜1.10、Nb:0.05〜0.10を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。
鋳鋼(M2)の組成は、質量%で、C:0.10〜0.15、Si:0.30以下、Mn:0.40〜0.60、Ni:0.30以下、Cr:9.0〜10.5、Mo:0.50〜0.80、V:0.15〜0.25、W:1.60〜1.90、Nb:0.015〜0.025、Co:1.0〜3.0、B:0.005〜0.009を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。
上記において、「C:0.10〜0.15」等は、C元素の含有率が0.10質量%以上、0.15質量%以下であること等を示している。また、「Si:0.60以下」等は、Si元素の含有率が0.60質量%以下であること等を示しており、Si元素の含有率がゼロである場合を含む(以下同様)。
実施形態の鋳鋼(M1),(M2)において各成分が含有する割合(含有率)を上記範囲に設定した理由に関して説明する。
(1)C(炭素)[(M1)…0.10〜0.15、(M2)…0.10〜0.15]
Cは、焼入れ性、および、鋳造時の湯流れ性を確保するために必要な成分であるとともに、析出強化に寄与する炭化物を構成する構成元素として不可欠な成分である。鋳鋼(M1),(M2)において、Cの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、上述した作用および効果が小さくなる。Cの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、炭化物の凝集が促進されるとともに、鋳造時の偏析傾向が高まるために、補修を含めた溶接性が低下する。このため、鋳鋼(M1),(M2)では、Cの含有率が上記範囲に設定されている。
(2)Si(ケイ素)[(M1)…0.60以下、(M2)…0.30以下]
Siは、脱酸剤として有用であるとともに、溶湯の湯流れ性を改善する成分である。鋳鋼(M1)において、Siの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、靭性の低下および脆化が著しく促進される。また、鋳鋼(M2)においては、フェライト形成元素を多く含有するため、Siの含有率を上記範囲の上限値以下にすることで、組織の安定化を実現することができる。このため、鋳鋼(M1),(M2)では、Siの含有率が上記範囲に設定されている。
(3)Mn(マンガン)[(M1)…0.40〜0.60、(M2)…0.40〜0.60]
Mnは、脱硫剤として有用な成分である。鋳鋼(M1),(M2)において、Mnの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、非金属介在物の生成量が増加して、靱性の低下、および、クリープ破断強度の低下が生ずる場合がある。また、鋳鋼(M1),(M2)においては、Mnの含有率を上記範囲の下限値以上にすることで、組織の安定化を実現することができる。このため、鋳鋼(M1),(M2)では、Mnの含有率が上記範囲に設定されている。
(4)Ni(ニッケル)[(M1)…0.60以下、(M2)…0.30以下]
Niは、焼入れ性および靭性を向上させる成分であるとともに、フェライトの生成を抑制する効果を有する成分である。鋳鋼(M1)において、Niの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、クリープ強度の低下が生ずる場合がある。鋳鋼(M2)においては、Co(コバルト)成分を含んでいるので、Niの含有率を上記範囲の下限値以上にすることで、クリープ強度の低下を抑制し、組織の安定化および優れた高温特性を実現することができる。このため、鋳鋼(M1)、(M2)では、Niの含有率が上記範囲に設定されている。
(5)Cr(クロム)[(M1)…9.0〜10.5、(M2)…9.0〜10.5]
Crは、耐酸化性および耐食性の向上に有効な成分であるとともに、析出強化に寄与する炭窒化物の構成元素として不可欠な成分である。鋳鋼(M1),(M2)において、Crの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、調質熱処理の実施においてCrを構成元素として析出する析出物(炭窒化物)が少なくなるため、高温安定性が十分に確保できない場合がある。Crの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、フェライトが形成されると共に、炭窒化物の凝集および粗大化が加速される。このため、鋳鋼(M1)、(M2)では、Crの含有率が上記範囲に設定されている。
(6)Mo(モリブデン)[(M1)…0.80〜1.10、(M2)…0.50〜0.80]
Moは、固溶強化に寄与する成分であると共に、炭窒化物の構成元素であって析出強化に寄与する成分である。Moは、高温環境において長時間の加熱処理が行われるときに析出される析出物の構成元素である。鋳鋼(M1)において、Moの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、固溶強化に寄与するMoの量を長時間にわたって高く維持することが困難になる。Moの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、靭性が低下すると共に、フェライトの生成が促進される。このため、実施形態の鋳鋼(M1)では、Moの含有率を上記範囲にした。なお、実施形態の鋳鋼(M2)は、W(タングステン)成分の含有割合が大きいので、高温特性を維持すると共にフェライトの生成を抑制するために、鋳鋼(M1)の場合よりも、Moの含有割合が小さい。
(7)V(バナジウム)[(M1)…0.15〜0.25、(M2)…0.15〜0.25]
Vは、固溶強化に寄与する成分であると共に、微細な炭窒化物の形成に寄与する成分である。鋳鋼(M1),(M2)において、Vの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、上述した作用および効果が十分でない。Vの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、靭性の低下が生ずる。このため、実施形態の鋳鋼(M1),(M2)では、Vの含有率を上記範囲にした。
(8)W(タングステン)[(M1)…0.80〜1.10、(M2)…1.60〜1.90]
Wは、固溶強化に寄与する成分であると共に、炭窒化物の構成元素であって析出強化に寄与する成分である。Wは、特にMoと共に複合的に添加された場合には、析出物の高温安定性を著しく高めることができる。Wは、高温環境において長時間の加熱処理が行われるときに、析出物の構成元素になる。鋳鋼(M1)において、Wの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、固溶強化に寄与するWの量を長時間にわたって高く維持することが困難になる。Wの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、靭性が低下すると共に、フェライトの生成が促進される。このため、実施形態の鋳鋼(M1)では、Wの含有率を上記範囲にした。なお、鋳鋼(M2)においては、鋳鋼(M1)の場合よりもWの含有割合が大きいので、さらに良好な高温特性を実現することが可能である。このため、鋳鋼(M2)においては、フェライトの生成を抑制するために、上述したように、Moの含有割合が鋳鋼(M1)の場合よりも小さくなっている。
(9)Nb(ニオブ)[(M1)…0.05〜0.10、(M2)…0.015〜0.025]
Nbは、固溶強化に寄与する成分であると共に、微細な炭窒化物の形成に寄与する。鋳鋼(M1)において、Nbの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、上述した作用および効果が十分でない。Nbの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、粗大なNb炭窒化物の生成量が増加する。このため、実施形態の鋳鋼(M1)では、Nbの含有率を上記範囲にしている。なお、鋳鋼(M2)は、B元素を含んでおり、組織安定性を向上させるために、鋳鋼(M1)の場合よりもNb成分の含有割合が小さい。
(10)Co(コバルト)[(M1)…0、(M2)…1.0〜3.0]
Coは、フェライトの生成を抑制する効果に寄与する成分である。実施形態の鋳鋼(M2)において、Coの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、上述した作用および効果が十分でない。Coの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、金属間化合物の析出が促進され、クリープ強度が低下する。このため、実施形態の鋳鋼(M2)では、Coの含有率を上記範囲にした。
(11)B(ホウ素)[(M1)…0、(M2)…0.005〜0.009]
Bは、粒界近傍の変形抵抗を高め、高温クリープ強度の向上に寄与する成分である。鋳鋼(M2)において、Bの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、高温クリープ強度の向上が十分でない。Bの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、溶接の際に割れが生ずる場合がある。このため、鋳鋼(M2)では、Bの含有率を上記範囲にした。
以下より、本実施形態において、上記した鋳鋼(M1)、または、鋳鋼(M2)を用いて形成されるノズルを備えた蒸気タービンに関して、図1を用いて説明する。図1では、鉛直面(yz面)に沿った断面を示している。
図1に示すように、蒸気タービン1は、回転機械であって、蒸気が作動流体として供給されることによって、タービンロータ22が回転するように構成されている。ここでは、蒸気タービン1は、軸流タービンであって、タービンロータ22の回転軸AXに沿った水平方向yを流れ方向として蒸気が流れる。蒸気タービン1は、多段式であって、動翼21とノズル板25とで構成されたタービン段落が回転軸AXに沿った軸方向に複数段並んでおり、蒸気が複数のタービン段落のそれぞれにおいて仕事を行う。これにより、蒸気タービン1においてタービンロータ22が回転する。以下より、蒸気タービン1を構成する各部の詳細について説明する。
ケーシング20は、内部にタービンロータ22を収容している。タービンロータ22は、一端が発電機(図示省略)に連結されており、タービンロータ22の回転によって、発電機(図示省略)が駆動して発電が行われる。タービンロータ22には、ロータディスク221が外周面に複数設けられている。タービンロータ22に設けられたロータディスク221の外周面には、動翼21が設置されている。動翼21は、タービンロータ22の外周面を囲うように、複数がタービンロータ22の周方向R(回転方向)において間を隔てて配置されており、動翼翼列を構成している。動翼翼列は、複数段であって、複数段の動翼翼列のそれぞれは、タービンロータ22の回転軸AXに沿って並んでいる。
ケーシング20の内部には、ノズル10が設置されている。ノズル10は、ダイアフラム外輪23とダイアフラム内輪24とノズル板25とによって構成されている。ノズル10において、ダイアフラム外輪23は、リング形状であって、ケーシング20の内周面に設置されている。ダイアフラム外輪23は、上半部と下半部とを組合せて構成されている。ダイアフラム内輪24は、ダイアフラム外輪23と同様にリング形状であって、ダイアフラム外輪23の内側にダイアフラム外輪23から間を隔てて設置されている。ダイアフラム内輪24は、ダイアフラム外輪23と同様に、上半部と下半部とを組合せて構成されている。ノズル板25は、ダイアフラム外輪23とダイアフラム内輪24との間に複数が設置されている。
ここでは、複数のノズル板25は、タービンロータ22の外周面を囲うように周方向Rに間を隔てて配置されており、静翼翼列を構成している。静翼翼列は、動翼翼列と同様に、複数段であって、複数段の静翼翼列がタービンロータ22の回転軸AXに沿って並ぶように設けられている。
蒸気タービン1においては、蒸気入口管28がケーシング20の入口を貫通しており、その蒸気入口管28を介して、蒸気がケーシング20の内部に作動流体として導入される。
本実施形態のノズル10において、ダイアフラム外輪23およびダイアフラム内輪24は、上記の鋳鋼(M1)、または、鋳鋼(M2)で形成されている。
以下より、実施形態において、上記した鋳鋼(M1)または鋳鋼(M2)を用いて、上記のノズル10を製造する方法について説明する。
上記のノズル10を製造する際には、まず、遠心鋳造もしくは普通鋳造(砂型鋳造)によって鋳鋼(M1)または鋳鋼(M2)をリング形状に形成する(第1工程)。ここでは、金型もしくは砂型に溶湯を流し込むことによって、鋳鋼(M1)または鋳鋼(M2)の形成を行う。これにより、鋳鋼(M1)または鋳鋼(M2)は、最終形状よりも余肉が付与された状態で形成される。そして、鋳鋼(M1)または鋳鋼(M2)について調質熱処理を行う。本実施形態では、調質熱処理として、焼鈍、焼ならし、焼入れ(冷却)、および、焼戻しを順次行う。
つぎに、そのリング形状の鋳鋼(M1)または鋳鋼(M2)からダイアフラム外輪23およびダイアフラム内輪24を形成する(第2工程)。ここでは、リング形状の鋳鋼(M1)または鋳鋼(M2)について機械加工(切削加工などの仕上げ加工)を行うことによって、ダイアフラム外輪23を最終形状に形成すると共に、ダイアフラム内輪24を最終形状に形成する。
つぎに、ダイアフラム外輪23とダイアフラム内輪24との間にノズル板25を配置する(第3工程)。ここでは、ノズル板25を溶接でダイアフラム外輪23とダイアフラム内輪24とのそれぞれに接合する。上記の他に、ダイアフラム外輪23に形成された溝などの嵌合部(図示省略)にノズル板25の外輪側を挿入して嵌合すると共に、ダイアフラム内輪24に形成された溝などの嵌合部(図示省略)にノズル板25の内輪側を挿入して嵌合することによって、ノズル板25の固定を行うように構成してもよい。
上記のように各工程を順次実施することによってノズル10を完成させる。
本実施形態において、鋳鋼(M1)を用いてノズル10を形成した場合には、定常時の蒸気温度が580〜610℃である高温環境下であっても、ノズル10は、長期間に渡って十分な強度を有する。また、鋳鋼(M2)を用いてノズル10を形成した場合には、定常時の蒸気温度が610〜630℃である高温環境下であっても、ノズル10は、長期間に渡って十分な強度を有する。このため、本実施形態では、蒸気タービン1において安定的な運用を実現可能である。
本実施形態では、遠心鋳造もしくは普通鋳造によって鋳鋼(M1)または鋳鋼(M2)をリング形状に形成した後に、そのリング形状の鋳鋼(M1)または鋳鋼(M2)からダイアフラム外輪23およびダイアフラム内輪24を形成する。このため、本実施形態では、ダイアフラム外輪23およびダイアフラム内輪24の作製において、曲げ加工が不要であって、切削加工に要する時間を短くすることができる。その結果、本実施形態では、ノズル10の製作時間を短縮可能である。具体的には、鍛造によってダイアフラム外輪23およびダイアフラム内輪24の製造を行う場合には、素材の形成から成形までに、2から3月の時間を要する。これに対して、本実施形態の場合には、1日の時間でダイアフラム外輪23およびダイアフラム内輪24の製造を行うことができる。更に、本実施形態では、ダイアフラム外輪23およびダイアフラム内輪24のそれぞれについて、外周面、側面、嵌合部などを一体的にリング形状の鋳鋼(M1)または鋳鋼(M2)から加工可能であるため、寸法精度の向上を実現することができる。これに伴って、ダイアフラム外輪23およびダイアフラム内輪24のそれぞれにノズル板25を取り付けてノズル10を組み立てるときの組立精度を向上可能であると共に、ノズル10をケーシング20に組み立てるときの組立精度を向上可能である。
図2は、実施形態の変形例において、ノズル板25の表面部分を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、ノズル板25の表面に浸食防止層70を形成してもよい。浸食防止層70の形成は、ダイアフラム外輪23とダイアフラム内輪24との間に配置されたノズル板25にコーティング材料を溶射することによって行われる(第4工程)。コーティング材料は、80質量部のCrC(Cr)と20質量部のNiCrとを含むことが好ましい。CrCとNiCrとが上記割合である場合、基材(ノズル板25)との密着性が高く、運転中の飛来物による剥離を抑制できる点で好ましい。
上記の浸食防止層70の形成は、高速フレーム溶射法(HVOF;High Velocity Oxy−Fuel)などの溶射法で上記材料の粉体を溶射することで実行される。この場合、溶射直後の浸食防止層70は、ビッカース硬度が800程度である。しかし、蒸気タービン1の運転において浸食防止層70が加熱された後には、浸食防止層70中のCrがCrに変態するので、浸食防止層70は、ビッカース硬度が増加する。具体的には、580℃、610℃、および、640℃の各温度条件にいて、60時間、浸食防止層70を加熱した場合には、ビッカース硬度が1000程度に増加し、その状態を維持した。このため、本実施形態では、蒸気タービン1の運転において固体粒子がノズル板25に衝突して浸食が発生することを、浸食防止層70が効果的に抑制可能である。
浸食防止層70は、ノズル板25において後縁側に位置する部分の表面を被覆するように形成される。浸食防止層70は、ノズル板25の表面の一部を被覆するように形成されていてもよく、ノズル板25の表面の全体を被覆するように形成されていてもよい。
また、必要であれば、ノズル板25の表面以外にダイアフラム外輪23およびダイアフラム内輪24の表面にコーティング材料を溶射することによって、浸食防止層70を形成してもよい。
その他、鋳鋼(M1)または鋳鋼(M2)でノズル板25を形成してもよい。
以下より、上記した鋳鋼(M1)または鋳鋼(M2)に関する実施例および比較例について、表1および表2を用いて説明する。
表1および表2において、P1〜P5は、実施例であり、C1〜C4は、比較例である。ここでは、鋳鋼(M1)に関しては、実施例がP1〜P3であって、比較例がC1,C2である。鋳鋼(M2)に関しては、実施例がP4,P5であって、比較例がC3,C4である。
Figure 0006815979
Figure 0006815979
[A]鋳鋼の作製
各例の鋳鋼(供試鋳鋼)について、各成分が表1に示した値になるように作製した。
ここでは、まず、各例の鋳鋼を構成する各成分の材料を、表1に示す割合で混合し、溶融させることで、溶湯を形成した。つぎに、その溶湯を用いて遠心鋳造もしくは普通鋳造(砂型鋳造)を行うことよって、各例の鋳鋼をリング形状に形成した。
そして、その鋳鋼について調質熱処理を行った。ここでは、調質熱処理として、焼鈍、焼ならし、焼入れ(冷却)、および、焼戻しを順次行った。調質熱処理については、下記に示す条件で実行した。各例の鋳鋼は、調質熱処理後における常温での引張強さが700MPa程度になるように作製された。
(焼鈍)
・温度…1100℃
・時間…3時間
(焼ならし)
・温度…1070℃
・時間…3時間
(焼入れ(冷却))
・衡風冷却
(焼戻し)
・温度…700℃
・時間…3時間
[B]試験内容
表2に示すように、各例の鋳鋼に関して各種試験を行った。
ここでは、各例の鋳鋼に関して、引張強さ(JIS Z 2241)、および、10万時間クリープ破断強度(JIS Z 2271)を求めた。引張強さは、JIS4号試験片を用いて600℃で引張試験を行うことで求めた。10万時間クリープ破断強度は、クリープ破断試験を行った結果から算出した。クリープ破断試験は、表2に示す各温度条件で実行した。
この他に、表2に示すように、各例の鋳鋼に関して、「溶接施工」の試験を行った。「溶接施工」の試験は、以下の手順で行った。鋳鋼を板厚が10ミリである平板に加工した。そして、その平板を250℃に予熱した後、ArガスとCOガスとが混合されたガスシールド環境で、9%Cr溶接棒を用いて平板に溶接ビードを施工した。そして、その平板のうち溶接部の近傍について割れの発生有無を確認した。表2では、溶接時に溶接部に割れが発生しない場合を「○」で示し、溶接時に溶接部に割れが発生した場合を「×」で示している。
[C]試験結果
[C−1]鋳鋼(M1)について
P1〜P3とC1,C2との間で試験結果を比較すると、「引張強さ」は、P1〜P3の場合の方がC1,C2の場合よりも高い。
「10万時間クリープ破断強度」は、P1〜P3の場合の方がC1,C2の場合よりも高い。C2は、実際の蒸気タービンにおいて最高温度が600℃になるノズルに用いられ、十分な「10万時間クリープ破断強度」を有することが確認されている。C2は、600℃における「10万時間クリープ破断強度」が75MPaである。P1〜P3において、「10万時間クリープ破断強度」は、610℃以下で75MPa以上である。このため、P1〜P3は、610℃の蒸気環境下であっても、長期間に渡って十分な強度を備えることができる。
「溶接施工」の試験において、P1〜P3は、溶接部に割れが生じていないが、C1は、溶接部に割れが発生した。
P1〜P3を構成する各成分の含有割合は、C1,C2の場合と異なり、上記した鋳鋼(M1)を構成する各成分の含有割合の範囲内である。このため、鋳鋼(M1)に相当するP1〜P3は、上記のように、優れた機械的特性を備える。
[C−2]鋳鋼(M2)について
P4,P5と、C3,C4との間で試験結果を比較すると、「引張強さ」は、P4,P5と、C3,C4との間で同等である。
「10万時間クリープ破断強度」は、600℃ではP4,P5とC3との間は同等であるが、630℃ではP4,P5の方がC3よりも高い。P4,P5において、「10万時間クリープ破断強度」は、630℃以下で75MPa以上である。このため、P4,P5は、630℃の蒸気環境下であっても、長期間に渡って十分な強度を備えることができる。
「溶接施工」において、P4,P5は、溶接部に割れが生じていないが、C3は、溶接部に割れが発生した。
P4,P5を構成する各成分の含有割合は、C3,C4の場合と異なり、上記した鋳鋼(M2)を構成する各成分の含有割合の範囲内である。このため、鋳鋼(M2)に相当するP4,P5は、上記のように、優れた機械的特性を備える。
上記の結果から、鋳鋼(M1),(M2)は、高温環境において優れた機械的特性を備えることが判る。つまり、鋳鋼(M1),(M2)は、高温環境において、「引張強さ」および「10万時間クリープ破断強度」が十分に高く、かつ、「溶接施工」において溶接部に割れが生じないことが判る。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…蒸気タービン、10…ノズル、20…ケーシング、21…動翼、22…タービンロータ、221…ロータディスク、23…ダイアフラム外輪、24…ダイアフラム内輪、25…ノズル板(静翼)、28…蒸気入口管、70…浸食防止層、AX…回転軸

Claims (4)

  1. ダイアフラム外輪とダイアフラム内輪との間にノズル板が配置されており、蒸気タービンに用いられるノズルであって、
    前記ダイアフラム外輪および前記ダイアフラム内輪は、
    質量%で、
    C:0.10〜0.15、
    Si:0.60以下、
    Mn:0.40〜0.60、
    Ni:0.60以下、
    Cr:9.0〜10.5、
    Mo:0.80〜1.10、
    V:0.15〜0.25、
    W:0.80〜1.10、
    Nb:0.05〜0.10
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋳鋼で形成されている、
    ノズル。
  2. ダイアフラム外輪とダイアフラム内輪との間にノズル板が配置されており、蒸気タービンに用いられるノズルであって、
    前記ダイアフラム外輪および前記ダイアフラム内輪は、
    質量%で、
    C:0.10〜0.15、
    Si:0.30以下、
    Mn:0.40〜0.60、
    Ni:0.30以下、
    Cr:9.0〜10.5、
    Mo:0.50〜0.80、
    V:0.15〜0.25、
    W:1.60〜1.90、
    Nb:0.015〜0.025、
    Co:1.0〜3.0、
    B:0.005〜0.009
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋳鋼で形成されている、
    ノズル。
  3. 請求項1または2に記載のノズルの製造方法であって、
    遠心鋳造もしくは普通鋳造によって前記鋳鋼をリング形状に形成する第1工程と、
    前記鋳鋼から前記ダイアフラム外輪および前記ダイアフラム内輪を形成する第2工程と、
    前記ダイアフラム外輪と前記ダイアフラム内輪との間に前記ノズル板を配置する第3工程と
    を有する、
    ノズルの製造方法。
  4. 前記ダイアフラム外輪と前記ダイアフラム内輪との間に配置された前記ノズル板にコーティング材料を溶射することによって、前記ノズル板の表面に浸食防止層を形成する第4工程
    を更に有し、
    前記コーティング材料は、80質量部のCrCと20質量部のNiCrとを含む、
    請求項3に記載のノズルの製造方法。
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