JP6815979B2 - ノズル、および、その製造方法 - Google Patents
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Description
Cは、焼入れ性、および、鋳造時の湯流れ性を確保するために必要な成分であるとともに、析出強化に寄与する炭化物を構成する構成元素として不可欠な成分である。鋳鋼(M1),(M2)において、Cの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、上述した作用および効果が小さくなる。Cの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、炭化物の凝集が促進されるとともに、鋳造時の偏析傾向が高まるために、補修を含めた溶接性が低下する。このため、鋳鋼(M1),(M2)では、Cの含有率が上記範囲に設定されている。
Siは、脱酸剤として有用であるとともに、溶湯の湯流れ性を改善する成分である。鋳鋼(M1)において、Siの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、靭性の低下および脆化が著しく促進される。また、鋳鋼(M2)においては、フェライト形成元素を多く含有するため、Siの含有率を上記範囲の上限値以下にすることで、組織の安定化を実現することができる。このため、鋳鋼(M1),(M2)では、Siの含有率が上記範囲に設定されている。
Mnは、脱硫剤として有用な成分である。鋳鋼(M1),(M2)において、Mnの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、非金属介在物の生成量が増加して、靱性の低下、および、クリープ破断強度の低下が生ずる場合がある。また、鋳鋼(M1),(M2)においては、Mnの含有率を上記範囲の下限値以上にすることで、組織の安定化を実現することができる。このため、鋳鋼(M1),(M2)では、Mnの含有率が上記範囲に設定されている。
Niは、焼入れ性および靭性を向上させる成分であるとともに、フェライトの生成を抑制する効果を有する成分である。鋳鋼(M1)において、Niの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、クリープ強度の低下が生ずる場合がある。鋳鋼(M2)においては、Co(コバルト)成分を含んでいるので、Niの含有率を上記範囲の下限値以上にすることで、クリープ強度の低下を抑制し、組織の安定化および優れた高温特性を実現することができる。このため、鋳鋼(M1)、(M2)では、Niの含有率が上記範囲に設定されている。
Crは、耐酸化性および耐食性の向上に有効な成分であるとともに、析出強化に寄与する炭窒化物の構成元素として不可欠な成分である。鋳鋼(M1),(M2)において、Crの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、調質熱処理の実施においてCrを構成元素として析出する析出物(炭窒化物)が少なくなるため、高温安定性が十分に確保できない場合がある。Crの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、フェライトが形成されると共に、炭窒化物の凝集および粗大化が加速される。このため、鋳鋼(M1)、(M2)では、Crの含有率が上記範囲に設定されている。
Moは、固溶強化に寄与する成分であると共に、炭窒化物の構成元素であって析出強化に寄与する成分である。Moは、高温環境において長時間の加熱処理が行われるときに析出される析出物の構成元素である。鋳鋼(M1)において、Moの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、固溶強化に寄与するMoの量を長時間にわたって高く維持することが困難になる。Moの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、靭性が低下すると共に、フェライトの生成が促進される。このため、実施形態の鋳鋼(M1)では、Moの含有率を上記範囲にした。なお、実施形態の鋳鋼(M2)は、W(タングステン)成分の含有割合が大きいので、高温特性を維持すると共にフェライトの生成を抑制するために、鋳鋼(M1)の場合よりも、Moの含有割合が小さい。
Vは、固溶強化に寄与する成分であると共に、微細な炭窒化物の形成に寄与する成分である。鋳鋼(M1),(M2)において、Vの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、上述した作用および効果が十分でない。Vの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、靭性の低下が生ずる。このため、実施形態の鋳鋼(M1),(M2)では、Vの含有率を上記範囲にした。
Wは、固溶強化に寄与する成分であると共に、炭窒化物の構成元素であって析出強化に寄与する成分である。Wは、特にMoと共に複合的に添加された場合には、析出物の高温安定性を著しく高めることができる。Wは、高温環境において長時間の加熱処理が行われるときに、析出物の構成元素になる。鋳鋼(M1)において、Wの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、固溶強化に寄与するWの量を長時間にわたって高く維持することが困難になる。Wの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、靭性が低下すると共に、フェライトの生成が促進される。このため、実施形態の鋳鋼(M1)では、Wの含有率を上記範囲にした。なお、鋳鋼(M2)においては、鋳鋼(M1)の場合よりもWの含有割合が大きいので、さらに良好な高温特性を実現することが可能である。このため、鋳鋼(M2)においては、フェライトの生成を抑制するために、上述したように、Moの含有割合が鋳鋼(M1)の場合よりも小さくなっている。
Nbは、固溶強化に寄与する成分であると共に、微細な炭窒化物の形成に寄与する。鋳鋼(M1)において、Nbの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、上述した作用および効果が十分でない。Nbの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、粗大なNb炭窒化物の生成量が増加する。このため、実施形態の鋳鋼(M1)では、Nbの含有率を上記範囲にしている。なお、鋳鋼(M2)は、B元素を含んでおり、組織安定性を向上させるために、鋳鋼(M1)の場合よりもNb成分の含有割合が小さい。
Coは、フェライトの生成を抑制する効果に寄与する成分である。実施形態の鋳鋼(M2)において、Coの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、上述した作用および効果が十分でない。Coの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、金属間化合物の析出が促進され、クリープ強度が低下する。このため、実施形態の鋳鋼(M2)では、Coの含有率を上記範囲にした。
Bは、粒界近傍の変形抵抗を高め、高温クリープ強度の向上に寄与する成分である。鋳鋼(M2)において、Bの含有率が上記範囲の下限値未満である場合、高温クリープ強度の向上が十分でない。Bの含有率が上記範囲の上限値を超える場合、溶接の際に割れが生ずる場合がある。このため、鋳鋼(M2)では、Bの含有率を上記範囲にした。
各例の鋳鋼(供試鋳鋼)について、各成分が表1に示した値になるように作製した。
・温度…1100℃
・時間…3時間
・温度…1070℃
・時間…3時間
・衡風冷却
・温度…700℃
・時間…3時間
表2に示すように、各例の鋳鋼に関して各種試験を行った。
[C−1]鋳鋼(M1)について
P1〜P3とC1,C2との間で試験結果を比較すると、「引張強さ」は、P1〜P3の場合の方がC1,C2の場合よりも高い。
P4,P5と、C3,C4との間で試験結果を比較すると、「引張強さ」は、P4,P5と、C3,C4との間で同等である。
Claims (4)
- ダイアフラム外輪とダイアフラム内輪との間にノズル板が配置されており、蒸気タービンに用いられるノズルであって、
前記ダイアフラム外輪および前記ダイアフラム内輪は、
質量%で、
C:0.10〜0.15、
Si:0.60以下、
Mn:0.40〜0.60、
Ni:0.60以下、
Cr:9.0〜10.5、
Mo:0.80〜1.10、
V:0.15〜0.25、
W:0.80〜1.10、
Nb:0.05〜0.10
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋳鋼で形成されている、
ノズル。 - ダイアフラム外輪とダイアフラム内輪との間にノズル板が配置されており、蒸気タービンに用いられるノズルであって、
前記ダイアフラム外輪および前記ダイアフラム内輪は、
質量%で、
C:0.10〜0.15、
Si:0.30以下、
Mn:0.40〜0.60、
Ni:0.30以下、
Cr:9.0〜10.5、
Mo:0.50〜0.80、
V:0.15〜0.25、
W:1.60〜1.90、
Nb:0.015〜0.025、
Co:1.0〜3.0、
B:0.005〜0.009
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋳鋼で形成されている、
ノズル。 - 請求項1または2に記載のノズルの製造方法であって、
遠心鋳造もしくは普通鋳造によって前記鋳鋼をリング形状に形成する第1工程と、
前記鋳鋼から前記ダイアフラム外輪および前記ダイアフラム内輪を形成する第2工程と、
前記ダイアフラム外輪と前記ダイアフラム内輪との間に前記ノズル板を配置する第3工程と
を有する、
ノズルの製造方法。 - 前記ダイアフラム外輪と前記ダイアフラム内輪との間に配置された前記ノズル板にコーティング材料を溶射することによって、前記ノズル板の表面に浸食防止層を形成する第4工程
を更に有し、
前記コーティング材料は、80質量部のCrCと20質量部のNiCrとを含む、
請求項3に記載のノズルの製造方法。
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JP2017239519A JP6815979B2 (ja) | 2017-12-14 | 2017-12-14 | ノズル、および、その製造方法 |
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JP2019104978A JP2019104978A (ja) | 2019-06-27 |
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