JP6813384B2 - 樹脂組成物、硬化物の製造方法、硬化物、フレキシブル基板、及びフレキシブルディスプレイ - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、太陽電池基板に好適なポリイミド樹脂膜が記載されている。
ポリイミド樹脂膜をフレキシブル基板ないしフレキシブルディスプレイに適用する場合、屈曲性のみならず、高度の透過率、及び表面平滑性が要求されている。
しかしながら、本発明者らが検討した結果、ポリイミドの前駆体を含む溶液にこのような分子量の高いセルロース化合物を含有させると、硬化物について、屈曲性等の機械的強度は得られるものの、表面平滑性や光線透過性が損なわれる傾向があることを見出している。
本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、機械的強度と、表面平滑性と、光線透過性とのバランスに優れる硬化物を与える樹脂組成物、硬化物の製造方法、及び硬化物の提供、並びに該硬化物を含むフレキシブル基板ないしはフレキシブルディスプレイの提供を目的とする。
上記塗膜を70〜550℃において加熱する加熱工程を含む、硬化物の製造方法である。
本発明の第4の態様は、第3の態様に係る硬化物を含むフレキシブル基板である。
本発明の第5の態様は、第3の態様に係る硬化物を含むフレキシブルディスプレイである。
また、本発明によれば、該樹脂組成物を用いた硬化物の製造方法及び硬化物を提供することができ、また、該硬化物を含むフレキシブル基板ないしはフレキシブルディスプレイを提供することができる。
第1の態様に係る樹脂組成物は、上記式(1)で表される構造単位を有するポリアミック酸、重量平均分子量が6万以下であるセルロース化合物、及び有機溶剤を含有する。
第1の態様に係る樹脂組成物を用いて形成される硬化物が、機械的強度と、表面平滑性と、光線透過性とのバランスに優れる理由は定かではないが、セルロース化合物が特定範囲の分子量を有することにより、樹脂組成物中の溶解性が向上して透過率が向上し、かつポリアミド形成時のポリアミック酸の閉環反応により生じる水分子を上記セルロース化合物が吸水することにより、表面粗さが低減して表面平滑性を向上することができるものと推測される。
上記式(1)中、Aは4価の有機基であり、Aの炭素原子数としては6〜50が好ましく、6〜30がより好ましい。Bは2価の有機基であり、Bの炭素原子数は2〜50が好ましく、2〜40がより好ましく、6〜40が更に好ましい。
A及びBは、それぞれ、脂肪族基であっても、芳香族基であっても、これらの構造を組合せた基であってもよい。
A及びBは、炭素原子、及び水素原子の他に、ハロゲン原子、酸素原子、及び硫黄原子を含んでいてもよい。A及びBが酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を含む場合、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子は、含窒素複素環基、−CONH−、−NH−、−N=N−、−CH=N−、−COO−、−O−、−CO−、−SO−、−SO2−、−S−及び−S−S−から選択される基として、A及びBに含まれてもよく、−O−、−CO−、−SO−、−SO2−、−S−及び−S−S−から選択される基として、A及びBに含まれることがより好ましい。
上記式(1)中のAが脂肪族基の場合、Aは下記式(2)で表されることが好ましい。
Rb1がアルキル基である場合、当該アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
式(2)中の複数のRb1は、テトラカルボン酸二無水物成分の精製が容易であることから、同一の基であることが好ましい。
テトラカルボン酸二無水物成分の精製をより容易にする点から、mの上限は5が好ましく、3がより好ましい。
テトラカルボン酸二無水物成分の化学的安定性の点から、mの下限は1が好ましく、2がより好ましい。
式(2)中のmは、2又は3が特に好ましい。
Rb2、及びRb3は、テトラカルボン酸二無水物成分の精製が容易である点から、水素原子、又は炭素原子数1〜10(好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3)のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
Bは、脂肪族基であってもよいが、1以上の芳香環を含む有機基であることが好ましい。
また、Bに含まれる芳香環は、芳香族複素環であってもよい。
Qの例示における、−C6H4−はフェニレン基であり、m−フェニレン基、及びp−フェニレン基が好ましく、p−フェニレン基がより好ましい。また、−C10H6−は、ナフタレンジイル基であり、ナフタレン−1,2−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,3−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、及びナフタレン−2,7−ジイル基が好ましく、ナフタレン−1,4−ジイル基、及びナフタレン−2,6−ジイル基がより好ましい。)
式(Si−1)中のR12及びR13における、炭素原子数6〜20のアリーレン基としては、耐熱性、残留応力の観点から炭素原子数6〜20の芳香族基が好ましく、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
式(Si−1)中のR13、R15、R16、及びR17における炭素原子数3〜20のシクロアルキル基としては、耐熱性、残留応力の観点から炭素原子数3〜10のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
式(Si−1)中のR14、R15、R16、及びR17における炭素原子数6〜20のアリール基としては、耐熱性、残留応力の観点から炭素原子数6〜12のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
式(Si−1)中のR14、R15、R16、及びR17における炭素原子数20以下のアミノ基を含む基としては、アミノ基、置換したアミノ基(例えば、ビス(トリアルキルシリル)アミノ基)等が挙げられる。
式(Si−1)中のR14、R15、R16、及びR17における−O−R18で表される基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基、プロペニルオキシ基(例えば、アリルオキシ基)、及びシクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
中でも、R14、R15、R16、及びR17として、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基である。
上記式(1)で表される構造単位を有するポリアミック酸は、溶剤中で、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物とを反応させることにより得られる。ポリアミック酸の合成原料となるテトラカルボン酸二無水物、及びジアミン化合物は、酸無水物基とアミノ基との反応によりポリアミック酸を形成可能なものであって、所定の構造を与えるものであれば特に限定されない。
特に、上記式(1)中のAが上記式(2)で表される場合の脂肪族テトラカルボン酸二無水物の好適な具体例としては、例えば、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン−2−スピロ−2’−シクロペンタノン−5’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−(メチルノルボルナン)−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン−2−スピロ−2’−シクロヘキサノン−6’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−(メチルノルボルナン)−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロプロパノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロブタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘプタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロオクタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロノナノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロウンデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロドデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロトリデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロテトラデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−(メチルシクロペンタノン)−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−(メチルシクロヘキサノン)−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
ジアミン化合物は、下記式(7)で表されることが好ましい。ジアミン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
H2N−B−NH2・・・(7)
(式中、Bは、上記式(1)におけるBと同義である。)
式(8)〜(11)の定義の説明において、−C6H4−で表される基は、o−フェニレン基でも、m−フェニレン基でも、p−フェニレン基でもよく、m−フェニレン基、及びp−フェニレン基が好ましく、p−フェニレン基がより好ましい。
また、式(b1b)で表される化合物としては、下記式(b1−2)で表される化合物が好ましい。
式(b3)〜(b6)の定義の説明において、−C6H4−で表される基は、o−フェニレン基でも、m−フェニレン基でも、p−フェニレン基でもよく、m−フェニレン基、及びp−フェニレン基が好ましく、p−フェニレン基がより好ましい。
この重量平均分子量について、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の配合量や、溶媒や反応温度等の反応条件を調整して、上述の範囲に設定すればよい。
上記式(1)で表される構造単位を有するポリアミック酸を加熱等することにより、下記式(12)で表される構造単位を有するポリイミド樹脂を得ることができる。
ここでの加熱に際しては、適宜、硬化を促進する触媒を加えても良い。
この重量平均分子量について、前述のポリアミック酸を得る際のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の配合量や、溶媒や反応温度等の反応条件を調整して、上述の範囲に設定すればよい。
第1の態様に係る樹脂組成物に含有されるセルロース化合物は、重量平均分子量が6万以下であり、重量平均分子量が5万以下であることが好ましく、重量平均分子量が4万5千以下であることがより好ましい。
本明細書において質量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値である。
上記重量平均分子量であることにより、樹脂組成物中におけるセルロース化合物の溶解性が向上し、形成される硬化物の透過率を損なうことなく、硬化物の表面粗さを低減し表面平滑性を向上することができる。
上記重量平均分子量の下限値としては本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、1000以上が挙げられ、3000以上が好ましく、1万以上がより好ましい。
上記セルロース化合物としては、セルロースが有する水酸基のうちの少なくとも一部がヒドロキシアルコキシ基で置換されているヒドロキシアルキルセルロースであることが好ましく、セルロースが有する水酸基のうちの少なくとも40%以上がヒドロキシアルコキシ基で置換されているヒドロキシアルキルセルロースであることがより好ましく、セルロースが有する水酸基のうちの少なくとも50〜80%がヒドロキシアルコキシ基で置換されているヒドロキシアルキルセルロースであることが更に好ましい。
ヒドロキシアルキルセルロースとしては、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
市販のヒドロキシプロピルセルロースとしては、セルニー(登録商標)SSL(NISSO社製)等が挙げられる。
一方、樹脂組成物中の上記セルロース化合物の含有量は、本発明の効果の観点から、上記ポリアミック酸100質量部に対して1.5質量部以下であることが好ましく、1.3質量部以下であることがより好ましく、1.0質量部以下であることが更に好ましい。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、硬化速度を適切に制御する観点で、含窒素芳香族化合物を含んでいてもよい。
この含窒素芳香族化合物は、公知の化合物の中から適宜選択できるが、分子中にイミダゾール骨格を含む化合物が好ましく用いられる。
このRb3は水素原子又は有機基である。Rb3が有機基である場合、有機基としては、アルキル基が好ましい。当該アルキル基は、直鎖アルキル基であっても、分岐鎖アルキル基であってもよい。当該アルキル基の炭素原子数は特に限定されないが、1〜20が好ましく、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物に含ませることのできる分子内にイミダゾール骨格を含む化合物は、一態様として、以下の式(B1)で示される。
Rb4〜Rb7がハロゲン原子である場合、当該ハロゲン原子は、前述の式(B)におけるArを置換してもよいハロゲン原子と同様のハロゲン原子を採用することができる。
Rb4〜Rb7が有機基である場合、当該有機基は、前述の式(B)におけるArを置換してもよい有機基と同様の有機基を採用することができる。
これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基が好ましい。
本実施形態の組成物に含ませることのできる分子内にイミダゾール骨格を含む化合物は、一態様として、以下の式(B2)で示される。
この中でも、Rb8は、有機基であることが好ましく、これにより、ポリアミック酸に対する相溶性や、有機溶剤に対する溶解性を一段と向上させることができる。Rb8を構成する有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、及びアラルキル基等が挙げられるが、これらの中でも、アルキル基が好ましい。当該アルキル基は、直鎖アルキル基であっても、分岐鎖アルキル基であってもよい。当該アルキル基の炭素原子数は特に限定されないが、1〜20が好ましく、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基が好ましい。
第1の態様に係る樹脂組成物に含有される有機溶剤としては、固体を含むペーストであってもよく、溶液であってもよい。均質で平滑な硬化物を形成しやすい点で、樹脂組成物は溶液であることが好ましい。溶剤は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
このため、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレアから選択される少なくとも1種を含む有機溶剤を含有する樹脂組成物を用いると、硬化物時の加熱において、生成する硬化物中に有機溶剤が残存しにくく、得られる硬化物の引張伸度の低下等を招きにくい。
(その他の成分)
上記樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記成分以外にその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分の例としては、塩基発生剤成分、モノマー等の重合性成分、界面活性剤、可塑剤、粘度調整剤、消泡剤、及び着色剤等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、以下の特性を有することが好ましい。
上記樹脂組成物を以下の条件で硬化させたときに得られる膜厚13μmの硬化物について、JIS B 0601に準拠して測定される算術平均粗さ(Ra)が150Å以下となることが好ましく、140Å以下となることがより好ましく、130Å以下となることが更に好ましく、120Å以下となることがとりわけ好ましい。
(条件)
まず、前記樹脂組成物を基材上に塗布し、常圧(1気圧)から13Paまで減圧する。いったん常圧に戻した後、空気雰囲気下80℃において10分間加熱し、次いで、酸素濃度100ppmの条件下(好ましくはN2、Ar等の不活性ガス雰囲気下)360℃において30分間加熱して膜厚13μmの硬化物を得る。
上記樹脂組成物を以下の条件で硬化させたときに得られる膜厚13μmの硬化物について、測定される波長450nm又は550nmにおける透過率が60%以上となることが好ましく、70%以上となることがより好ましく、80%以上となることが更に好ましい。
(条件)
まず、前記樹脂組成物を基材上に塗布し、常圧(1気圧)から13Paまで減圧する。いったん常圧に戻した後、空気雰囲気下80℃において10分間加熱し、次いで、酸素濃度100ppmの条件下(好ましくはN2、Ar等の不活性ガス雰囲気下)360℃において30分間加熱して膜厚13μmの硬化物を得る。
本発明の第2の態様に係る硬化物の製造方法は、第1の態様に係る樹脂組成物を基材上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程、及び、
上記塗膜を70〜550℃において加熱する加熱工程を含む。
上記加熱によりポリアミック酸は、閉環してポリイミド樹脂に変化し得る。
また、このように低温ベークを施すことにより、ポリアミック酸の高分子量化を進めることができ、好ましくは分子量分布をあまり広げることなく高分子量化を進めることができる。
本発明の第3の態様に係る硬化物は、第1の態様に係る樹脂組成物を硬化してなる。
上記硬化物は、JIS B 0601に準拠して測定される算術平均粗さ(Ra)が150Å以下であることが好ましく、140Å以下であることがより好ましく、130Å以下であることが更に好ましく、120Å以下となることがとりわけ好ましい。
硬化物が膜である場合、膜厚は、例えば、0.1〜1000μmであり、2〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。
上記硬化物の弾性係数としては、1〜5GPaであることが好ましく、1.2〜4%であることがより好ましく、1.5〜3%であることが更に好ましい。
本発明の第4の態様に係るフレキシブル基板は、第3の態様に係る硬化物を含む。
第3の態様に係る硬化物は、屈曲性及び絶縁性に優れたものとなりやすく、フレキシブル基板において、絶縁層として好適に用いることができる。フレキシブル基板として、具体的には、例えば、上記硬化物と、この硬化物上に設けられた、銅箔等の金属箔とを備えるものが挙げられる。
本発明の第5の態様に係るフレキシブルディスプレイは、第3の態様に係る硬化物を含む。
第3の態様に係る硬化物は、上述のように屈曲性及び絶縁性に優れるのみならず、透過率及び表面平滑性に特に優れる。したがって、フレキシブルディスプレイに好適に適用し得る。
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却機、窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに、以下に示される構造のテトラカルボン酸二無水物と、N−メチル−2−ピロリドンとを仕込み、窒素ガス導入管よりフラスコ内に窒素を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気とした。次いで、フラスコを氷浴に浸し、内容物を撹拌しながら、p−フェニレンジアミンのN−メチル−2−ピロリドン溶液を、テトラカルボン酸二無水物に対して1.0モル量、徐々に滴下した。
滴下終了後、50℃で20時間、反応させてポリアミック酸を含む溶液を得た。なお、以下に示される構造のテトラカルボン酸二無水物は、国際公開第2011/099518号の合成例1、実施例1及び実施例2に記載された方法に従って調製しており、また、ここでの溶液の調製は得られるポリアミック酸の固形分濃度が、15質量%となるように調整した。
このようにして得られたポリアミック酸の溶液に対して、以下の式で示される分子内にイミダゾール骨格を有する化合物(化合物1)を、窒素雰囲気下で、ポリアミック酸100質量部とした場合に対して30質量部加えた。
セルニー(登録商標)SSLは重量平均分子量4万程度であり、セルニー(登録商標)SLは重量平均分子量10万程度である。
各実施例及び比較例の樹脂組成物を用いて硬化膜を形成し下記試験を行い評価した。
(表面粗さ及び透過率)
まず、前記樹脂組成物を基材上に塗布し、常圧から13Paまで減圧した。いったん常圧に戻した後、空気雰囲気下80℃において10分間加熱し、次いで、酸素濃度100ppmの条件下360℃において30分間加熱して膜厚13μmの硬化膜を得た。
得られた硬化膜について、JIS B 0601に従い、表面粗さ測定機(商品名「E−35B」、東京精密(株)製)を用いて、算術平均粗さ(Ra)を測定した。
(透過率)
得られた硬化膜について、測定装置として日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」を用いて、JIS K7361−1(1997年発行)に準拠し、波長450nm及び550nmの透過率(%)を測定した。
まず、各実施例及び比較例の樹脂組成物を用いて、縦:76mm、横:52mm、厚み:13μmの大きさの硬化膜を得た。そして、このようにして得られた硬化膜を試料として用い、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、50℃〜200℃における前記試料の縦方向の長さの変化を測定して、50℃〜200℃の温度範囲における1℃(1K)あたりの長さの変化の平均値を測定した。そして、このようにして測定した平均値を、硬化膜の熱膨張係数の値として採用した。
まず、SD型レバー式試料裁断器(株式会社ダンベル製の裁断器(型式SDL−200))に、株式会社ダンベル製の商品名「スーパーダンベルカッター(型:SDMK−1000−D、JIS K7139(2009年発行)のA22規格に準拠)」を取り付けて、硬化膜の大きさが、全長:75mm、タブ部間距離:57mm、平行部の長さ:30mm、肩部の半径:30mm、端部の幅:10mm、中央の平行部の幅:5mm、厚み:13μmとなるように裁断して、ダンベル形状の試験片(厚みを13μmにした以外はJIS K7139 タイプA22(縮尺試験片)の規格に沿った試験片)を、測定試料として調製した。
次いで、テンシロン型万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ製の型番「UCT−10T」)を用いて、測定試料を掴み具間の幅が57mm、掴み部分の幅が10mm(端部の全幅)となるようにして配置した後、荷重フルスケール:0.05kN、試験速度:5mm/分の条件で測定試料を引っ張る引張試験を行って、破断伸びの値を測定した。
上記の試験は、JIS K7162(1994年発行)に準拠した試験である。
また、破断伸びの値(%)は、試験片の平行部の長さ(=平行部の長さ:30mm)をL0とし、破断するまでの試験片の平行部の長さ(破断した際の試験片の平行部の長さ:30mm+α)をLとして、下記式:
[破断伸び(%)]={(L−L0)/L0}×100
を計算して求めた。
「DCM−SA2」(製品名、MTSシステムズ・コーポレーション製)を用いて硬化膜(膜厚13μm)の弾性係数を測定した。
一方、実施例1〜3はいずれも、透過率及び表面平滑性を両立していることがわかる。
ポリアミック酸100質量部に対してセルロース化合物の含有量が1.5質量部以下の実施例1及び2は透過率及び表面平滑性に特に優れることがわかる。
Claims (11)
- 前記セルロース化合物は、ヒドロキシアルキルセルロースである、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記セルロース化合物の含有量は、前記ポリアミック酸100質量部に対して1.5質量部以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物を以下の条件で硬化させたときに得られる膜厚13μmの硬化物について、JIS B 0601に準拠して測定される算術平均粗さ(Ra)が150Å以下となる、請求項1〜4の何れか1項に記載の樹脂組成物。
(条件)
まず、前記樹脂組成物を基材上に塗布し、13Paまで減圧する。いったん常圧に戻した後、空気雰囲気下80℃において10分間加熱し、次いで、酸素濃度100ppmの条件下360℃において30分間加熱して膜厚13μmの硬化物を得る。 - 前記樹脂組成物を以下の条件で硬化させたときに得られる膜厚13μmの硬化物について、測定される波長450nmにおける透過率が70%以上となる、請求項1〜5の何れか1項に記載の樹脂組成物。
(条件)
まず、前記樹脂組成物を基材上に塗布し、13Paまで減圧する。いったん常圧に戻した後、空気雰囲気下80℃において10分間加熱し、次いで、酸素濃度100ppmの条件下360℃において30分間加熱して膜厚13μmの硬化物を得る。 - 請求項1〜6の何れか1項に記載の樹脂組成物を基材上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程、及び、
前記塗膜を70〜550℃において加熱する加熱工程を含む、硬化物の製造方法。 - 前記加熱工程の前に、さらに前記塗膜を10〜100Paまで減圧する減圧工程を含む、請求項7に記載の製造方法。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載の樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
- 請求項9に記載の硬化物を含む、フレキシブル基板。
- 請求項9に記載の硬化物を含む、フレキシブルディスプレイ。
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