JP6810416B2 - ポリエステル系繊維の転写捺染法 - Google Patents

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Description

本発明は分散染料を用いたポリエステル系繊維材料の転写捺染法に関するものである。
ポリエステル系繊維材料に分散染料で図柄又は無地の捺染を施す方法としては、分散染料の色糊を用いるスクリーン捺染、ローラー捺染、ロータリースクリーン捺染が知られており古くから工業的に実施されている。しかし、これらの方法には、デザイン表現力が劣る、製版を必要とする事から小ロット・短納期には不向きである、多量の色糊を使用する上に余剰色糊を作る必要があるので排水負荷が大きい、作業工程が多く複雑である、微妙な色出しや型合わせ等には熟練を要する等、多くの問題が指摘されている。
そこで、昇華型分散染料を含有する油性又は水性インク(昇華型分散染料インク)を昇華転写捺染用紙にインクジェットプリントした転写紙を用いる昇華転写法が、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4等で提案されており、工業的に実施されている。しかし、これらの昇華転写法には、以下に示すような問題がある。
・油性インクは消防法危険物に該当し、火災や爆発の防止を留意する必要があり、又、有機溶媒中毒等人体の安全衛生と環境汚染問題にも留意しなければならない。
・ポリエステル繊維への均染性と再現性が求められる為、各色についてそれぞれ昇華性が類似の染料が要求され、使用できる染料が限定される。
・昇華型分散染料は分子量が小さい染料であるので、熱により容易に移動拡散して繊維内部から空気中に飛び出し、他繊維や白場を汚染する。例えば、転写温度が高温であると一旦染まった染料が繊維材料(布帛)から飛び出すので、柄がぼける、転写機器や環境を汚染する問題がある。そこで、200℃以下の転写温度が一般的であり、特許文献4では低温(140℃)で滞留時間を長くする(5分)方法が開示されている。しかし、この方法は生産性上問題があるので、通常、転写温度190〜200℃で30秒〜1分間の条件が採用されている。
・昇華型分散染料で染色された製品の耐熱堅牢度は極めて低く、色相やその他の堅牢度も限定されるので、加工対象製品としてアパレルには不適である。
・昇華転写法に用いられ、転写後剥離された紙には昇華染料が残りアジサイ斑点がある為再生紙には使用できない。
一方、昇華型分散染料の代わりに非昇華型分散染料を用い、公知の昇華転写条件を適用した場合は、良好な発色性は得られない。即ち、公知の昇華転写捺染用紙に非昇華型分散染料インクを用いて印刷した転写紙を用いて公知の昇華転写条件で転写捺染する場合は、発色性が不良であり、この方法は実用的価値がない。
これらの問題点を解決する方法として、特許文献5、特許文献6には、離型紙の上にインク受容層を形成し、このインク受容層に分散染料でプリントした後、インク受容層の繊維材料への乾式転写、離型紙の剥離、スチーミング等による染料の固着処理を順次行う方法が開示されている。しかし、この方法には、離型紙(転写用原紙)のコストが高い、転写を行う工場の湿度や転写捺染用紙等の保管条件が不適切であるとインク受容層が部分的に脱落する場合がある、転写工程でインク受容層の転写が100%できず不良品が発生する場合がある、紙の解離性が悪く紙のリサイクル使用が困難である、工程数が多い等の問題がある。
更に、特許文献7には、安価な市販の紙に、加熱・加圧で繊維材料との一時的接着力が強くなる水溶性合成系バインダー、天然系糊剤、更に助剤を加えた混合糊液を塗工し乾燥してインク受容層兼接着層を形成して転写捺染用紙を作製し、この転写捺染用紙に分散染料インクをプリントした転写紙を繊維材料に貼付けた状態で発色する方法が開示されている。この方法は繊維材料の前処理が不要である等の優れた点を有する加工法であるが、圧着工程、発色工程(乾式熱処理又はスチーミング)、ソーピング工程等が必要で工程数が多いとの問題がある。
更に、特許文献8(特にその実施例4)には、非昇華型分散染料の水分散液等の染料と、粘度調整剤と、助剤と、炭素数1〜5のモノアルコール類と、水とを含有し、その粘度及び前記モノアルコール類の含有量が特定の範囲内であるグラビア印刷用の水性染料系印刷インクを、捺染用紙にグラビア印刷して捺染紙(転写紙)を作製する工程、及び前記転写紙をポリエステル系繊維材料に密着して転写発色する工程を含む捺染法が開示されている。この捺染法は、優れた経済性とエコロジー性の元に、優れた品質の製品を再現性良く提供できる捺染法ではあるが、捺染用紙としては、原紙に、水溶性合成系樹脂、天然系糊剤等が配合された混合糊剤からなるインク受容層を形成したものが用いられるので、インク受容層の形成のための塗工工程が必要となる、転写紙と繊維材料とを合わせ、圧着(加圧及び/又は加熱)した後、スチーミング等により染料の固着処理を行う必要がある、繊維材料に付着しているインク受容層を除去するためソーピング等の洗浄工程が必要であるので、より工程数が少ない捺染法が望まれていた。
更に又、繊維材料に糊剤を付与(前処理)して乾燥した繊維材料(生地)にインクジェットプリンターで分散染料インクを印刷するダイレクト法も知られている。しかしこの方法は、繊維材料の前処理工程、印刷工程、スチーミング工程、ソーピング工程を要し、工程数と排水負荷が多く、生産性が低い事や、前処理工程やプリント工程に起因する不良品の発生率が高くなりやすいとの問題、即ち、経済性や品質の安定性に問題がある。
なお、本明細書及び特許請求の範囲で捺染に使用する紙について以下に示す用語は、以下に示す意味を表す。
(1)原紙:インク受容層としての糊剤が塗工されていない紙
(2)転写捺染用紙(捺染用紙):インク受容層としての糊剤を塗工した原紙
(3)転写紙:原紙又は転写捺染用紙に染料インクが付与された後の紙
特開2003−313787号公報 特開昭53−55221号公報 特開2011−21133号公報 特開2002−292995号公報 特許第4058470号公報 特開平06−270596号公報 特許第4778124号公報 特許第5970588号公報
このように、公知の昇華転写捺染法(特許文献1〜4)、公知の昇華転写条件を非昇華型分散染料に適用する方法、公知の乾式転写法(特許文献5、6)、ダイレクト法、その他の公知の捺染法には、使用できる染料が限定される、堅牢度、色相・発色性、品質の安定性等の製品品質の問題がある、工程数が多い、原材料費が高価である、生産性が低い、不良品の発生率が高い等の経済性の問題、他繊維や環境、作業環境を汚染する、排水負荷が大きい等の環境(エコロジー)の問題等が指摘されている。
本発明は、少ない工程数、安価な固定費と変動費(原材料費等)で、色相・堅牢度等の品質が優れたポリエステル系繊維材料を安定的に製造する事ができ、排水負荷も小さいとの、経済性及びエコロジー性に優れたポリエステル系繊維材料の捺染法を提供する事を目的する。
本発明者は、前記目的を達成するため、水性分散インクを用いたグラビア印刷方式によるポリエステル系繊維材料への捺染法について鋭意研究を重ねた結果、市場に流通している紙の中の特定の原紙を使用し、我々が開発した分散染料の水性グラビアインクを用いるグラビア印刷法を適用して転写紙を作製し、この転写紙を用いてポリエステル系繊維材料を転写捺染する捺染法によれば、少ない工程数、安価な固定費と変動費(原材料費等)で、色相・堅牢度等の品質が優れたポリエステル系繊維材料を安定的に製造できる事、この捺染法は排水負荷も小さい事を見出し、経済性及びエコロジー性に優れたポリエステル系繊維材料の転写捺染法である本発明を完成した。
本発明の第1の発明は、
表面のベック平滑度が50秒以上、15000秒以下の原紙に、
平均粒径が0.1μm以上、10μm以下である微粒化された分散染料と、水混和性有機溶剤と、粘度調整剤と、水とを含有し、その粘度(25℃)が30mPas以上、800mPas以下の水性グラビアインクを用いて印刷して転写紙を作製する工程、及び
前記転写紙をポリエステル系繊維材料に密着し、加圧・加熱して、前記水性グラビアインクを、前記ポリエステル系繊維材料に転写捺染する工程からなり、
前記加圧・加熱が、140℃以上、250℃以下の転写温度、0.01MPa以上、5MPa以下の転写圧で行われる事を特徴とするポリエステル系繊維材料の転写捺染法である(請求項1)。
本発明の第2の発明は、前記第1の発明の好ましい態様であって、
前記水性グラビアインクに含有される水混和性有機溶剤が、炭素数1〜5のモノアルコール類である事を特徴とするポリエステル系繊維材料の転写捺染法である(請求項2)。
本発明の第3の発明は、前記第1又は第2の発明の好ましい態様であって、
前記水性グラビアインクの粘度(25℃)が50mPas以上、500mPas以下である事を特徴とするポリエステル系繊維材料の転写捺染法である(請求項3)。
本発明の第4の発明は、前記第1〜3の発明のいずれか1つの発明の好ましい態様であって、
前記水性グラビアインクに含有される粘度調整剤が、水溶性ポリビニルアルコール及びその誘導体、水溶性ポリアクリル酸エステル及びその誘導体、水溶性ポリウレタン及びその誘導体、水溶性ポリエチレンオキサイド及びその誘導体、水溶性ポリアミド及びその誘導体、スチレンとアクリル酸の水溶性の共重合体及びその誘導体、水溶性ポリエステル及びその誘導体、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリビニルピロリドン、天然ガム糊、繊維素誘導体、多糖類、海藻類、及び動物性糊料からなる群より選択された1種又は2種以上である事を特徴とするポリエステル系繊維材料の転写捺染法である(請求項4)。
本発明の第5の発明は、前記第1〜4の発明のいずれか1つの好ましい態様であって、
前記水性グラビアインクが、染料溶解剤、分散剤、界面活性剤、保湿剤、pH調整剤、濃染剤、防腐剤、防黴剤、脱気剤、消泡剤、酸化還元防止剤、及び金属イオン封鎖剤からなる群より選択された1種又は2種以上の助剤を更に含有する事を特徴とするポリエステル系繊維材料の転写捺染法である(請求項5)。
本発明の第6の発明は、前記第1〜5の発明のいずれか1つの好ましい態様であって、
前記原紙が、片艶紙、カレンダー加工されたコート紙、グラシン紙、セロハン紙又はキャストコート紙である事を特徴とするポリエステル系繊維材料の転写捺染法である(請求項6)。
本発明の第7の発明は、前記第1〜6の発明のいずれか1つの好ましい態様であって、
前記原紙の坪量が20〜120g/mである事を特徴とするポリエステル系繊維材料の転写捺染法である(請求項7)。
本発明の第8の発明は、前記第1〜7の発明のいずれか1つの好ましい態様であって、
前記ポリエステル系繊維材料が、ポリエステル系高分子の、フィラメント、紡績糸織物、編物、不織布、シートもしくはフイルム、又は、前記織物、編物もしくは不織布と、天然繊維及びポリエステル系高分子以外の合成繊維からなる群より選ばれる繊維との混紡、混繊、交織品もしくは複合材料である事を特徴とするポリエステル系繊維材料の転写捺染法である(請求項8)。
本発明は、又、前記第1〜8の発明のいずれか1つであるポリエステル系繊維材料の転写捺染法を使用する事を特徴とする転写紙の製造方法(請求項9)を提供する。
本発明は、更に、前記第1〜8の発明のいずれか1つであるポリエステル系繊維材料の転写捺染法により作製された事を特徴とする転写捺染されたポリエステル系繊維材料(請求項10)を提供する。
本発明のポリエステル系繊維材料の転写捺染法は、分散染料を用いてポリエステル系繊維材料を捺染し、精細・堅牢で風合の良好な製品に仕上げる事ができる転写捺染法であり、安価な原紙にインクを印刷して得られる転写紙を用いるとともに、従来の転写捺染法では必要であった多数の工程を一工程で行う事を特徴とする。又、排水負荷も少ない方法である。即ち、コスト競争力の優れた経済性を有するとともに、エコロジー性にも優れ、優れた品質の製品を提供する事ができる新規な転写捺染法である。
例えば公知の乾式転写捺染法の場合は、転写工程、固着(スチーミング)工程、洗浄工程の3工程が不可欠であるが、本発明によれば、熱転写工程の1工程で転写捺染の全工程を完結する事ができる(そこで、本発明の方法を、一発法(一工程法)と呼ぶ)。従って、工程がシンプルで経済性に優れるとともに、洗浄工程が不要なため排水が出ず排水負荷がないのでエコロジー性に優れる。
本発明では、転写紙を作製するための原紙として、特別な糊剤を付与しない片艶紙、コート紙、グラシン紙、セロハン紙、キャストコート紙等の安価な原紙を用いる。従って、この点でも経済性に優れる方法である。
本発明のポリエステル系繊維材料の転写捺染法によれば、染色力(発色性)の良好なポリエステル系繊維材料が得られる。又、非昇華型分散染料を用いた場合は、洗浄工程を省略しても堅牢度や風合いが良好な捺染製品が得られる。
更に、本発明によれば、現在染色業界で多用されている既設のローラー型(輪転式、又は連続式とも言う)昇華転写機、又は平板型加熱転写装置を活用してポリエステル系合成繊維材料の堅牢で転写効率の良い捺染ができる。そして、この利点及び安価な市販の原紙を使用できるとの利点を活かしながら、均染性、風合、精細性、発色性及び堅牢度等の品質が良好で、且つ経済性とエコロジー性(排水負荷ゼロ等)の優れた捺染法が構築できる。
現在、昇華転写法に於ける昇華転写用紙のグラビア印刷には油性インクが用いられているが、人に対する安全衛生上の問題があり、且つ、環境汚染問題も抱えている。本発明では、水性グラビアインクを用いるので、この問題は解決される。以上の説明より明らかなように、本発明により地球に優しいエコロジカルで、且つエコノミカルな転写捺染法が提供されたのである。
[原紙]
本発明ではグラビア印刷がされる原紙として、表面のベック平滑度が50秒以上、15000秒以下、好ましくは、100秒以上、5000秒以下の原紙が用いられる。表面のベック平滑度は、JIS P8119に準拠して行われる測定の測定値であり、紙の表面の平滑性を示す値である。ベック平滑度が50秒未満の原紙を用いると、印刷適性及び発色性(転写時の染色力)が不十分となる。一方、ベック平滑度が15000秒を超える原紙を用いると、印刷適性(インクの流れや滲み)が低下する。
表面のベック平滑度が50秒以上、15000秒以下の紙としては、例えば、公知の片艶紙、コート紙、グラシン紙、セロハン紙、キャストコート紙を挙げる事ができ、これらから選ばれる平滑性の優れた紙を原紙として用いる事ができる。なお、セロハン紙等には、表面のベック平滑度が15000秒を超えるものもあるが、本発明で原紙として用いる事ができるのは表面のベック平滑度が15000秒以下のものである。
片艶紙は、例えば、特開平10−25690号公報、特開2011−12357号公報に記載がある様に、パルプ繊維を主原料として抄紙薬品(サイズ剤、サイズ定着剤、紙力増強剤等)を添加して抄紙した湿紙を、鏡面仕上げしたヤンキードライヤー鏡面に密着して乾燥して得る事ができる。片艶紙の製法については、その他、特公平7−78318号公報、特開2009-79326号公報、特開2009-138294号公報、特許4885100号公報等に多数開示されており、これら文献に記載の改良された片艶紙を使用する事も可能である。
又、片艶紙としては、特公平6−94229号公報に記載されている様な上質紙やクラフト紙等の基紙の上に塗被層を設けた片艶紙を使用する事も可能である。片艶紙に用いられるヤンキードライヤーの構造については、紙パ技協誌 第54巻第11号27頁に記載がある。
コート紙は、特開平5−125695号公報、特開2004−211219号公報、特許第2612441号公報、特開2003−113594号公報等に記載されており、炭酸カルシューム、カオリンクレー、タルク、ゴムラテックス、加工澱粉類、カゼイン等の天然系糊剤、ポリビニルアルコール、スチレンブタジエンラテックス等の合成系接着剤を、塗工装置を設けたオンマシン又はオフマシンコータによって塗工したあと、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の仕上げ装置によって紙表面の平滑度を上げた紙である。
コート紙は、ポスター、カレンダー、宣伝用ビラ、折込広告等の用紙として大量生産される安価な紙であり、印刷適性の良い紙であるが、転写捺染用のインク受容層を目的としてコートがされた紙ではない。コート紙に、インクジェットプリンターで印刷すると、インクジェットプリンターのインク用のインク受容層が形成されていないので滲みが激しい。インク受容層は、転写捺染時に繊維材料に移行するので、転写後に繊維材料の洗浄工程が必要となるが、コート紙のコート層は転写捺染時に繊維材料に移行しないものである。すなわち、本発明で使用されるコート紙とは、転写捺染時に繊維材料に移行しないコート層を有する紙である。
グラシン紙は、例えば、特開平7−60905号公報、特開平6−192992号公報、特許2569356号公報、特表2016−503840号公報等に記載されており、針葉樹ケミカルパルプを主配合成分とするパルプを強叩解して酸性ないし中性で抄紙し、スーパーカレンダー等の仕上げ設備で緻密化処理した半透明の原紙である。この紙の中には抄紙工程で各種の助剤(サイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、顔料等)を加えても良いし、特開平9−176999号公報に記載されているような、水溶性高分子を塗工したグラシン紙を用いる事もできる。
セロハン紙は、特開平10−265587号公報に記載がある通り、パルプを処理してビスコースを作り、スリットを通して凝固浴で製膜された後、精錬され、最後にドライヤー内のシリンダーで密着乾燥させたものである。
キャストコート紙は、特公平6−74558号公報、特開2010−180489号公報、特開2012−197542号公報、特開2011−73368号公報、特許第2817643号公報等に記載されており、顔料(カオリンクレー、炭酸カルシューム等)、接着剤(大豆蛋白、ラテックス、ポリアクリル酸、PVA等)、助剤(ギ酸、ギ酸誘導体、消泡剤、界面活性剤、耐水化剤、酸化防止剤、保水剤、離型剤等)等から成るキャスト塗工液を基紙の表面に塗工し、次いで、鏡面光沢を有するキャストドラムドライヤーに加圧接触して乾燥する方法によって得る事ができる。なお、本発明で使用されるキャストコート紙も、転写捺染時に繊維材料に移行しないコート層を有する紙である。
前記の基紙を形成するパルプとしては、未晒し又は晒し針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、クラフトパルプ、グラインドパルプや、リサイクル紙を原料とする再生パルプ等を挙げる事が出来る。これらのパルプから得られる基紙には、サイズ剤、紙力増強剤、填料、顔料等を含有させる事が出来るし、紙の寸法安定性を良くし、吸水性、しわ発生を抑制する為に、紙の上又は中に微細なシリカやクレイや水溶性合成樹脂、加工澱粉等を含有した基紙でもよい。
前記原紙の坪量は、作業性から、20g/m以上、120g/m以下が好ましく、より好ましくは25g/m以上、80g/m以下である。坪量が、20g/m未満の場合は、紙の強度が弱くなる、皺が発生しやすくなる等の問題が生じ易くなり、各種作業工程の作業性が低下する。一方、120g/mを超える場合は、発色性が低下する。更に、原紙のコストアップになる、紙の柔軟性や伝熱性が低下して作業効率が低下する等の問題が生じる。前記原紙の厚さは、作業性等の点から、0.01〜0.5mm程度が好ましい。
片艶紙、コート紙、グラシン紙、セロハン紙、キャストコート紙は、市販されている。片艶紙の具体例としては、日本製紙社製の未晒し片艶クラフト紙である銀竹(坪量41.7、50、58.3、66.6、83.3g/m)、片艶晒しクラフト紙であるキャピタルラップ(坪量50、60、70、80、100、120g/m)、白銀(坪量30〜65g/m)、A銀嶺N(坪量30,35g/m)筋入、大王製紙社製のリュウオウコート、ユトリログロスマット、ヤンキー紙(坪量20〜120g/m)、丸住製紙社製の片艶クラフト紙、スターホワイト(坪量30、35、40、45g/m)、スターパックA(坪量50〜120g/m)、スターパックA−F(坪量30〜150g/m)等を挙げる事ができる。
更に、大興製紙社製の片艶クラフト金属合紙(坪量40g/m)、マスキング原紙(坪量40g/m)、食品用中性紙(坪量40g/m)、建材用プリント原紙(坪量23〜60g/m)等も一例として挙げられる。本発明で使用できる片艶紙としては、ヤンキーマシンで抄造したものを更にスーパーカレンダー仕上げした両面光沢紙も、片艶紙として本発明で使用できる。
コート紙の具体例としては、日本製紙社製のオーロラコート、オーロラL、シルバーダイヤDRY、MIグロス60(坪量62、67g/m)、MIグロスWX(坪量60、64、72、78、98g/m)、三菱製紙社製のNパールコートL(坪量64、69.9、72.3g/m)、ビスタグロスNA(64、72.3g/m)、カサディアグロスA、ディグニティ、パールコートN等、王子製紙社製のOKトップコート、北越製紙社製のミューコートネオ等を挙げる事が出来る。
グラシン紙の具体例としては、日本製紙社製グラシン紙(坪量25.8、30.5、35、40g/m)、耐湿グラシン紙(坪量30.5、40g/m)、乳白グラシン紙(30.5g/m)等を一例として挙げる事が出来る。
セロハン紙の具体例としては、レンゴー社製の普通セロハン(PT)白色セロハン(PCW)等を挙げる事が出来る。セロハンに類似のセルロース系フイルムとして、セルロースアセテートフイルムもセロハン紙として使用可能である。
キャストコート紙はミラーコート紙とも言われ、日本製紙社製のエスプリシリーズ、王子特殊紙の片面クロームカラー、両面クロームカラー等を具体例として挙げる事が出来る。
本発明では、原紙にインク受容層を形成する必要がない。即ち、上記の種々の原紙は安価な紙として市販されているが、これらの安価な原紙をインク受容層を形成せずに用いて転写紙を作製する事ができる。原紙の物性として透気度、密度、引張強度、表面強度、湿潤強度等の原紙の各種物性は、特に限定される事はなく、作業性に大きな悪影響を与えない限り種々の物性のものが使用できる。
[染料]
前記の原紙に、分散染料をグラビア印刷法によってインクの状態で付与(プリント)する事により転写紙が得られる。ここで使用される分散染料としては、昇華型分散染料(Eタイプ)及び非昇華型分散染料(Sタイプ又はSEタイプ)のいずれも使用できる。ただ、高温で昇華し難く各種堅牢度の優れた非昇華型分散染料が好ましい。
非昇華型分散染料としては、
C.I.ディスパーズイエロー49、56、58、63、67、76、79、82、86、114、121、123、126、149、163、165、180、184、185、192、198、222、226、228、231、
C.I.ディスパーズオレンジ10、13、17、21、29、30、32、50、51、55、61、62、73、96、97、148、
C.I.ディスパーズレッド5、12、13、17、43、54、56、58、64、72、73、74、76、78、82、86、88、90、92、97、107、109、113、121、125、126、127、128、129、134、135、136、137、140、143、145、151、152、153、154、160、167、177、179、181、183、184、188、189、191、202、205、210、221、225、257、258、283、285、288、302、323、356、360、
C.I.ディスパーズバイオレット26、33、35、40、43、46、48、52、58、63、69、77、92、
C.I.ディスパーズブルー7、27、40、54、60、62、73、75、77、79、82、83、85、87、90、94、96、99、102、103、104、113、122、125、128、130、139、142、143、144、146、148、158、165、167、173、174、176、181、183、197、198、200、201、207、211、214、257、259、264、266、270、301、354、
C.I.ディスパーズブラウン1、4、9、13、19、24、25等
を挙げる事ができる。ブラックは、上記の非昇華型分散染料の3原色+αの配合によって作製する事が出来る。
又、昇華型分散染料の具体例としては、特開2011−21133号公報の請求項9に記載されている染料を挙げる事ができる。これらの昇華型分散染料は、昇華堅牢度、耐光堅牢度を初め全般的に堅牢度が低い染料が多い。
前記分散染料は、グラビアインクとして使用可能な様にインク化される。インク化された後、前記原紙(特別なインク受容層を有しない原紙)に、インクが、グラビア印刷により印刷(プリント)されて転写紙が作製される。インク中の染料分(色素原体)は、1〜20質量%が好ましく、色濃度により調整される。使用するインクが油性インクの場合、職場の安全衛生、環境問題、危険物の取扱い、経済性等の問題が多いが、本発明では水性インクが使用されるので、これらの問題を解決した。
グラビア印刷用インク(グラビアインク)中の分散染料としては、平均粒径0.1μm以上、10μm以下に微粒化されたものが用いられる。平均粒径が、小さすぎる場合も大きすぎる場合も、印刷適性や発色性が不良になる傾向がある。分散染料は、好ましくは、水中で、分散剤と共に微粒化される。
[水性グラビアインク・転写紙]
転写紙を作製するためのグラビア印刷には、分散剤と共に微粒化した染料を、粘度調整剤を含有する粘調な水溶液に配合分散させ、粘度を30〜800mPas程度、好ましくは50mPas以上、500mPas以下に調整してなる水性グラビアインクが使用できる。使用できる分散剤としては、ナフタリンスルフォン酸ホルマリン縮合物、メチル又はブチルナフタリンスルフォン酸ホルマリン縮合物、リグニンスルフォン酸、オルフィンPD−003、オルフィンPD−001、オルフィンPD−002W、オルフィンPD−004、オルフィンPD−005、オルフィンPD−201、オルフィンPD−301等を挙げる事が出来る。
粘度調整剤は、インクの粘度を調整するために配合するものである。前記粘度調整剤としては、水溶性ポリビニルアルコール及びその誘導体、水溶性ポリアクリル酸エステル及びその誘導体、水溶性ポリウレタン及びその誘導体、水溶性ポリエチレンオキサイド及びその誘導体、水溶性ポリアミド及びその誘導体、スチレンとアクリル酸の水溶性の共重合体及びその誘導体、水溶性ポリエステル及びその誘導体、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリビニルピロリドン、天然ガム糊、繊維素誘導体、多糖類、海藻類、及び動物性糊料等を挙げる事ができ、これらから選択された1種又は2種以上を用いる事ができる。
グラビア印刷用水性インクのより具体的な例として、メトローズ65SH・400(信越化学社製)、メトローズ65SH・4000(信越化学社製)及びポバールAP−17(日本酢ビ・ポバール社製)等の部分加水分解PVAを粘度調整剤として使用し、平均粒径0.1〜10μmまで微粒化した分散染料を、色素原体換算で1〜20質量%含有させ、印刷インクの粘度を30〜800mPas、より好ましくは50〜500mPasに調整したインクを使用する事ができる。
前記水性グラビアインクは、水混和性有機溶剤を含有する。水混和性有機溶剤を含有する事により、良好な印刷適性及び乾燥性が得られる。水混和性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール等の炭素数1〜5のモノアルコール類が好ましく、特にイソプロパノールが好ましい。前記炭素数1〜5のモノアルコール類の含有量は、前記炭素数1〜5のモノアルコール類と前記水との合計の含有量の10質量%以上、60質量%以下が好ましい。含有量が10質量%未満の場合は、印刷適性及び乾燥性が低下する。一方、60質量%を超える場合は、染料が凝集しやすくなり染料の均一分散が困難になり、更に、インクが消防法上の危険物となる。
前記水性グラビアインクは、助剤を含有する事が好ましい。助剤としては、染料溶解剤、分散剤、界面活性剤、保湿剤、pH調整剤、濃染剤、防腐剤、防黴剤、脱気剤、消泡剤、酸化還元防止剤、及び金属イオン封鎖剤を挙げる事ができ、これらからなる群より選択された1種又は2種以上がインクに配合される。
[転写捺染工程]
本発明の転写捺染は、前記のようにして得られた転写紙とポリエステル系繊維材料(布帛類)を重ね合わせ、加圧・加熱により繊維材料に染料を移行染着させて行われる。加圧・加熱は、温度は140℃以上、250℃以下、圧力(転写圧)は0.01MPa以上、5MPa以下の範囲で行われる。温度や圧力が上限を超える場合は、製品の風合いが劣る傾向があり、一方温度や圧力が下限未満の場合は、発色性が不十分となる傾向がある。非昇華型分散染料の場合は、風合い及び発色性の点から圧力は0.02MPa以上、2MPa以下の範囲が好ましく、より好ましくは、0.02MPa以上、0.3MPa以下の範囲である。
加圧・加熱がされる時間(処理時間、転写時間)は、通常1秒〜10分間の範囲であるが、高温、高圧になればなるほど短い処理時間で良好な発色性が得られるので、生産性の向上のためには、高温、高圧になるほど好ましい。例えば、昇華型分散染料の場合は、転写温度190〜200℃、転写圧力0.01〜0.05MPa、処理時間30〜90秒で優れた発色性が得られる。非昇華型分散染料の場合は、転写温度220℃、転写圧力0.03MPa、処理時間40〜120秒で堅牢度が良好な、優れた発色性が得られる。
[ポリエステル系繊維材料]
本発明の転写捺染法により転写捺染されるポリエステル系繊維材料としては、ポリエステル系高分子材料を主体とする織物、編物、不織布、シート、フイルム等の単独、又は前記織物、編物、不織布等と、天然繊維やポリエステル系高分子材料以外の合成繊維との混紡、混繊、交織品、複合材料等の繊維材料を挙げる事ができる。ポリエステル系高分子材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、解重合ポリエステル、カチオン可染ポリエステル、常温可染ポリエステル、アルカリ減量ポリエステルと呼ばれるポリエステル系材料を挙げる事ができる。前記天然繊維としては綿、麻、リヨセル、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維材料、絹、羊毛等の蛋白質系繊維材料を挙げる事ができる。合成繊維材料とは、ナイロン、ビニロン、ポリアクリル、ポリウレタン等、ポリエステル系高分子材料以外の公知の合成繊維材料の全てを意味し、更に複合系繊維でも良い。
以下実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。なお、例中、部は質量部を、%は質量%を意味する。
実施例1
原紙として、市販のユトリロコート紙(中性紙、坪量46g/m、ベック平滑度1616秒、北越紀州社製)を用いた。次に、粘度調整剤として、メトローズ65SH・400(信越化学社製)とメトローズ65SH・4000(信越化学社製)、ポバールAP−17(日本酢ビ・ポバール社製)を使用し、水混和性有機溶剤としてイソプロパノール(イソプロパノールと水の合計量に対して30%)を使用して粘度が200mPasの粘調なインク用液を作製した。このインク用液に、非昇華型分散染料であるC.I.Disperse Red86・200%製品(平均粒径1.2μm)を(インク用液に対して)20%配合し、インクの粘度を125mPasに調整して水性グラビア用Magentaインクを作製した。
このようにして得られたグラビア用Magentaインクを、前記の片艶紙上に、電動式グラビア印刷試験機GP−10(クラボウ社製)を用いて、速度10〜20m/min.温度25℃でプリント(ベタ印刷)して転写紙を得た。この転写紙とポリエステルタフタ生地を密着させ、加熱・加圧(220℃、ロール圧力0.2Mpa、ロール接触時間90秒、ローラー型転写機)する事によって、前記生地に染料を移行した後、紙を除去して、ポリエステル捺染布を得た。この様にして得られたポリエステル捺染布は濃厚・繊細に染着しており、繊維の風合は良好であり、日光堅牢度(変)と昇華堅牢性(変、汚)はいずれも5級以上であった。
実施例2
水性グラビア用インクとして、C.I.Disperse Red92 200%製品20%を配合し、水、セルロース系粘度調整剤、ポリビニルアルコール及びイソプロパノール(イソプロパノールと水の合計量に対して30%)を用いて粘度を110mPasに調整して水性グラビア用インクを作製した。この水性グラビア用インクを用い、実施例1と同様の条件にて、市販のユトリロコート紙(中性紙、坪量55g/m、ベック平滑度3559秒、北越紀州社製)にプリントして転写紙を得た。
このようにして得られた転写紙をポリエステルタフタ生地に密着させ、ハシマ社製平板プレス機を用いて加熱・加圧(220℃、シリンダー圧0.8Mpa、40秒)して前記生地に染料を移行後、紙を除去してポリエステル捺染布を得た。この様にして得られたポリエステル捺染布は濃厚に染着しており、繊維の風合は良好であり、JISL0854による昇華堅牢性は(変)4−5級、(汚)4−5級であった。又、JISL0842による耐光堅牢度は5級以上であった。
実施例3
実施例2に於ける市販のユトリロコート紙の代わりに、市販のグラシン紙(坪量35g/m、ベック平滑度256秒、日本製紙社製)を使用する以外は実施例2と同様に処理して堅牢で濃色のポリエステル捺染布を得た。
実施例4
実施例2に於ける市販のユトリロコート紙の代わりに、市販の片艶晒クラフト紙(坪量60g/m、ベック平滑度126秒、北越紀州社製)を使用する以外は実施例2と同様に処理して堅牢で濃色のポリエステル織物を得た。
実施例5
実施例2に於ける市販のユトリロコート紙の代わりに、市販のキャピタルラップ紙(坪量50g/m、ベック平滑度2650秒、日本製紙社製)を使用する以外は実施例2と同様に処理して堅牢で濃色のポリエステルニットを得た。
実施例6
実施例2に於ける市販のユトリロコート紙の代わりに、市販の純白ロール紙(金シャチ、坪量30g/m、ベック平滑度190秒、大王製紙社製)を使用する以外は実施例2と同様に処理して堅牢で濃色のポリエステル捺染布を得た。
実施例7
実施例2に於ける市販のユトリロコート紙の代わりに、市販のN金藤片面L(酸性紙、坪量59g/m、ベック平滑度378秒、大王製紙社製)を使用する以外は実施例2と同様に処理して堅牢で濃色のポリエステル捺染布を得た。
実施例8
実施例2に於ける市販のユトリロコート紙の代わりに、市販のセロファン紙(坪量30g/m、ベック平滑度7560秒、レンゴー社製)を使用する以外は実施例2と同様に処理して、インクの流れが多少見られるが、堅牢で濃色のポリエステル捺染布を得た。
実施例9
実施例2に於ける市販のユトリロコート紙の代わりに、市販のミラーコート紙(坪量65g/m、ベック平滑度3478秒、日本製紙社製、キャストコート紙)を使用する以外は実施例2と同様に処理して堅牢で濃色のポリエステル捺染布を得た。
比較例1
実施例2に於ける市販のユトリロコート紙の代わりに、坪量65g/m、ベック平滑度45秒の上質紙(日本製紙社製)を使用する以外は実施例2と同様に処理したところ、印刷適性及び発色性とも不良で実用性は無いと判断した。
比較例2
実施例6に於ける水性グラビアインクの代わりに特許文献5又は7に記載された水性インクジェット用分散染料インクを使用して、実施例6と同様に処理した結果、滲みが大きく、発色性も不良で、実用性は無いと判断した。

Claims (9)

  1. 表面のベック平滑度が50秒以上、15000秒以下の原紙に、
    平均粒径が0.1μm以上、10μm以下である微粒化された非昇華型分散染料と、水混和性有機溶剤と、粘度調整剤と、水とを含有し、その粘度(25℃)が50mPas以上、500mPas以下の水性グラビアインクを用いて印刷して転写紙を作製する工程、及び
    前記転写紙をポリエステル系繊維材料に密着し、加圧・加熱して、前記水性グラビアインクを、前記ポリエステル系繊維材料に転写捺染する工程からなり、
    前記加圧・加熱が、140℃以上、250℃以下の転写温度、0.01MPa以上、5MPa以下の転写圧で行われる事を特徴とするポリエステル系繊維材料の転写捺染法。
  2. 前記水性グラビアインクに含有される水混和性有機溶剤が、炭素数1〜5のモノアルコール類である事を特徴とする請求項1に記載のポリエステル系繊維材料の転写捺染法。
  3. 前記水性グラビアインクに含有される粘度調整剤が、
    水溶性ポリビニルアルコール及びその誘導体、水溶性ポリアクリル酸エステル及びその誘導体、水溶性ポリウレタン及びその誘導体、水溶性ポリエチレンオキサイド及びその誘導体、水溶性ポリアミド及びその誘導体、スチレンとアクリル酸の水溶性の共重合体及びその誘導体、水溶性ポリエステル及びその誘導体、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリビニルピロリドン、天然ガム糊、繊維素誘導体、多糖類、海藻類、及び動物性糊料からなる群より選択された1種又は2種以上である事を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリエステル系繊維材料の転写捺染法。
  4. 前記水性グラビアインクが、染料溶解剤、分散剤、界面活性剤、保湿剤、PH調整剤、濃染剤、防腐剤、防黴剤、脱気剤、消泡剤、酸化還元防止剤、及び金属イオン封鎖剤からなる群より選択された1種又は2種以上の助剤を更に含有する事を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のポリエステル系繊維材料の転写捺染法。
  5. 前記原紙が、片艶紙、カレンダー加工されたコート紙、グラシン紙、セロハン紙又はキャストコート紙である事を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のポリエステル系繊維材料の転写捺染法。
  6. 前記原紙の坪量が20〜120g/mである事を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のポリエステル系繊維材料の転写捺染法。
  7. 前記ポリエステル系繊維材料が、ポリエステル系高分子の、フイラメント、紡績糸織物、編物、不織布、シートもしくはフイルム、又は、前記織物、編物もしくは不織布と、天然繊維及びポリエステル系高分子以外の合成繊維からなる群より選ばれる繊維との混紡、混繊、交織品もしくは複合材料である事を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のポリエステル系繊維材料の転写捺染法。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のポリエステル系繊維材料の転写捺染法使用する転写紙の製造方法。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のポリエステル系繊維材料の転写捺染法によりポリエステル系繊維材料を捺染する事を特徴とする転写捺染されたポリエステル系繊維材料の製造方法
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