JP6775338B2 - ガラス板の製造方法 - Google Patents
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Description
清澄工程は、清澄剤を配合させた熔融ガラスを清澄槽に通過させ、清澄剤の酸化還元反応により熔融ガラス中の泡が取り除かれることで行われる。具体的には、熔解槽で粗熔解した熔融ガラスの温度をさらに上げて清澄剤を機能させ泡を浮上脱泡させた後、温度を下げることにより、脱泡しきれずに残った比較的小さな泡は熔融ガラスに吸収させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
導体からなる移送管内で熔融ガラスを搬送して昇温させる工程を含み、
前記移送管は上流側から下流側へ向かって上昇する様に傾斜して設けられ、
前記熔融ガラスは前記移送管内の内側断面全体に充填され、
前記移送管を通電して加熱することにより前記熔融ガラスの昇温を行い、
前記昇温させる工程において、前記移送管の電流密度が前記熔融ガラスの上流側から下流側に向かって減少するように前記移送管への通電量を調整することにより、前記熔融ガラスの温度が最高温度になるまで、前記移送管の単位長さ当たりの加熱量を前記熔融ガラスの上流側から下流側に向かって減少させ、かつ、前記熔融ガラスの温度が前記最高温度になるまで、前記移送管の温度と前記移送管内を搬送される熔融ガラスの温度との差を、上流側から下流側に向かって減少させる、ことを特徴とする。
ここで、移送管の単位長さ当たりの加熱量は、熔融ガラスの上流側から下流側に向かって連続的に減少してもよいし、段階的に減少してもよい。
また、前記加熱量を、前記移送管の全長にわたって前記熔融ガラスの上流側から下流側に向かって減少させ、
前記移送管の温度と前記熔融ガラスの温度との前記差を、前記移送管の全長にわたって上流側から下流側に向かって減少させる、ことが好ましい。
ここで、移送管の単位長さ当たりの電気抵抗は、熔融ガラスの上流側から下流側に向かって連続的に減少してもよいし、段階的に減少してもよい。
ここで、移送管の壁厚は、熔融ガラスの上流側から下流側に向かって連続的に増加してもよいし、段階的に増加してもよい。なお、移送管の内径は均一であることが好ましい。
(ガラス基板の製造方法の全体概要)
図1は、本実施形態のガラス基板の製造方法の工程の一例を示す図である。ガラス基板の製造方法は、熔解工程(ST1)、清澄工程(ST2)、均質化工程(ST3)、供給工程(ST4)、成形工程(ST5)、徐冷工程(ST6)、および、切断工程(ST7)を主に有する。この他に、研削工程、研磨工程、洗浄工程、検査工程、梱包工程等を有してもよい。製造されたガラス基板は、必要に応じて梱包工程で積層され、納入先の業者に搬送される。
清澄工程(ST2)では、熔融ガラスが昇温されることにより、熔融ガラス中に含まれる酸素、CO2あるいはSO2を含んだ泡が発生する。この泡が熔融ガラス中に含まれる清澄剤(酸化スズ等)の還元反応により生じた酸素を吸収して成長し、熔融ガラスの液面に浮上して放出される。その後、清澄工程では、熔融ガラスの温度を低下させることにより、清澄剤の還元反応により得られた還元物質が酸化反応をする。これにより、熔融ガラスに残存する泡中の酸素等のガス成分が熔融ガラス中に再吸収されて、泡が消滅する。
供給工程(ST4)では、撹拌された熔融ガラスが成形装置に供給される。
成形工程(ST5)では、熔融ガラスをシートガラスに成形し、シートガラスの流れを作る。成形には、オーバーフローダウンドロー法が用いられる。
徐冷工程(ST6)では、成形されて流れるシートガラスが所望の厚さになり、内部歪が生じないように、さらに、反りが生じないように冷却される。
切断工程(ST7)では、徐冷後のシートガラスを所定の長さに切断することで、板状のガラス基板を得る。切断されたガラス基板はさらに、所定のサイズに切断され、目標サイズのガラス基板が作られる。
ガラス基板の厚さは、例えば、0.1〜1.1(mm)が挙げられ、より好ましくは0.75mm以下の極めて薄い矩形形状の板で、例えば、0.55mm以下、さらには0.45mm以下の厚さがより好ましい。ガラス基板の厚さの下限値としては、0.15mm以上が好ましく、0.25mm以上がより好ましい。
本実施形態におけるガラス基板は、例えばフュージョン法あるいはフロート法等の公知の方法により、熔融されたガラスを所定の厚さの帯状ガラスであるシートガラスに成形される(ステップS1)。
次に、成形されたシートガラスが所定の長さの素板であるガラス基板に採板される(ステップS2)。採板により得られたガラス基板は、搬送機構により、ピンチング保持されつつ、熱処理工程に誘導され搬送され、次に、この搬送されたガラス基板に対し熱処理を行なってもよい。
SiO2 55〜80モル%、
Al2O3 8〜20モル%、
B2O3 0〜12モル%、
RO 0〜17モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
ROのうち、MgOが0〜10モル%、CaOが0〜15モル%、SrOが0〜10%、BaOが0〜10%であることが好ましい。
また、上記ガラス組成のガラス基板におけるアルカリ金属酸化物の含有率は、0モル%以上0.4モル%以下であってもよい。
また、ガラス中で価数変動する金属の酸化物(酸化スズ、酸化鉄)を合計で0.05〜1.5モル%含み、As2O3、Sb2O3及びPbOを実質的に含まないということは必須ではなく任意である。
図2に示す熔解槽101には、図示されないバーナー等の加熱手段が設けられている。熔解槽には清澄剤が添加されたガラス原料が投入され、熔解工程(ST1)が行われる。熔解槽101で熔融した熔融ガラスは、移送管104を介して清澄管102に供給される。
清澄管102では、熔融ガラスMGの温度を調整して、清澄剤の酸化還元反応を利用して熔融ガラスの清澄工程(ST2)が行われる。具体的には、清澄管102内の熔融ガラスが昇温されることにより、熔融ガラス中に含まれる酸素、CO2あるいはSO2を含んだ泡が、清澄剤の還元反応により生じた酸素を吸収して成長し、熔融ガラスの液面に浮上して気相空間に放出される。その後、熔融ガラスの温度を低下させることにより、清澄剤の還元反応により得られた還元物質が酸化反応をする。これにより、熔融ガラスに残存する泡中の酸素等のガス成分が熔融ガラス中に再吸収されて、泡が消滅する。清澄後の熔融ガラスは、移送管105を介して撹拌槽103に供給される。
撹拌槽103では、撹拌子103aによって熔融ガラスが撹拌されて均質化工程(ST3)が行われる。撹拌槽103で均質化された熔融ガラスは、ガラス供給管106を介して成形装置200に供給される(供給工程ST4)。
成形装置200では、オーバーフローダウンドロー法により、熔融ガラスからシートガラスSGが成形され(成形工程ST5)、徐冷される(徐冷工程ST6)。
切断装置300では、シートガラスSGから切り出された板状のガラス基板が形成される(切断工程ST7)。
移送管104は、熔解槽101(上流側)から清澄管102(下流側)へ向かって上昇する様に傾斜して設けられている。移送管104では、熔融ガラスが移送管104内の内側断面全体に充填された状態で熔融ガラスを搬送しながら、熔融ガラスの温度を清澄工程に適した温度まで昇温させている。具体的には、移送管104の上流側における熔融ガラスの温度(1550℃〜1700℃)から、約50〜60℃上昇させて、移送管104の下流側で清澄に適した温度(1600℃〜1750℃)となるように熔融ガラスの昇温を行う。熔融ガラスの昇温は、移送管104を加熱することにより行う。
図3に示すように、従来の移送管では、移送管の長さ方向の位置にかかわらず、移送管の単位長さ当たりの加熱量を一定にすることで、図3の二点鎖線に示すように、移送管の温度を直線状に上昇させていた。これにより、図3の一点鎖線に示すように、移送管内の熔融ガラスの温度もまた直線状に上昇させていた。このような従来の方法では、下流側ほど熔融ガラスの温度を高くするために、移送管の温度をより高くする必要があった。移送管の下流側で温度が高くなると熱膨張によって移送管の下流側の部分に応力が集中しやすくなり、上述したように移送管が破損しやすいといった問題があった。
あるいは、図5に示すように、移送管104Bの壁厚が、熔融ガラスの上流側から下流側に向かって断続的に増加するようにしてもよい。
いずれの場合も、移送管の内径は均一であることが好ましい。
本実施形態が適用されるガラス基板は、例えば以下の組成を含む無アルカリガラスからなることが好ましい。
本実施形態が適用するガラス組成として、例えば、次が挙げられる(質量%表示)。
SiO2:50〜70%(好ましくは、57〜64%)、Al2O3:5〜25%(好ましくは、12〜18%)、B2O3:0〜15%(好ましくは、6〜13%)を含み、さらに、次に示す組成を任意に含んでもよい。任意で含む成分として、MgO:0〜10%(好ましくは、0.5〜4%)、CaO:0〜20%(好ましくは、3〜7%)、SrO:0〜20%(好ましくは、0.5〜8%、より好ましくは3〜7%)、BaO:0〜10%(好ましくは、0〜3%、より好ましくは0〜1%)、ZrO2:0〜10%(好ましくは、0〜4%,より好ましくは0〜1%)が挙げられる。さらに、R’2O:0.10%を超え2.0%以下(ただし、R’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)を含むことがより好ましい。
本実施形態が適用されるガラス板のヤング率として、例えば、72(Gpa)以上が好ましく、75(Gpa)以上がより好ましく、77(Gpa)以上がより更に好ましい。
本実施形態が適用されるガラス基板の歪率として、例えば、650℃以上が好ましく、680℃以上がより好ましく、700℃以上、720℃以上が更により好ましい。
また、本実施形態で製造されるガラス基板は、カバーガラス、磁気ディスク用ガラス、太陽電池用ガラス基板などにも適用することが可能である。
101 熔解槽
102 清澄管
103 撹拌槽
103a 撹拌子
104、104A、104B、105 移送管
106 ガラス供給管
200 成形装置
300 切断装置
MG 熔融ガラス
SG シートガラス
Claims (4)
- ガラス板を製造するガラス板の製造方法であって、
導体からなる移送管内で熔融ガラスを搬送して昇温させる工程を含み、
前記移送管は上流側から下流側へ向かって上昇する様に傾斜して設けられ、
前記熔融ガラスは前記移送管内の内側断面全体に充填され、
前記移送管を通電して加熱することにより前記熔融ガラスの昇温を行い、
前記昇温させる工程において、前記移送管の電流密度が前記熔融ガラスの上流側から下流側に向かって減少するように前記移送管への通電量を調整することにより、前記熔融ガラスの温度が最高温度になるまで、前記移送管の単位長さ当たりの加熱量を前記熔融ガラスの上流側から下流側に向かって減少させ、かつ、前記熔融ガラスの温度が前記最高温度になるまで、前記移送管の温度と前記移送管内を搬送される熔融ガラスの温度との差を、上流側から下流側に向かって減少させる、ガラス板の製造方法。 - 前記加熱量を、前記移送管の全長にわたって前記熔融ガラスの上流側から下流側に向かって減少させ、
前記移送管の温度と前記熔融ガラスの温度との前記差を、前記移送管の全長にわたって上流側から下流側に向かって減少させる、請求項1に記載のガラス板の製造方法。 - 前記移送管の単位長さ当たりの電気抵抗が前記熔融ガラスの上流側から下流側に向かって減少するように前記移送管を調整する、請求項1または2に記載のガラス板の製造方法。
- 前記移送管の壁厚が前記熔融ガラスの上流側から下流側に向かって増加するように前記移送管を調整する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法。
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