JP6772823B2 - ラインパイプ用鋼材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼材及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、ラインパイプ用鋼材及びその製造方法に関する。
海底に敷設されるパイプラインは、高圧流体を内部に通す。パイプラインはさらに、波浪による繰り返し歪みと、海水圧とを受ける。そのため、海底のパイプラインに使用される鋼管には、高い強度と高い低温靭性とが要求される。
パイプラインは、複数のラインパイプで構成される。ラインパイプ用の鋼管として、電気抵抗溶接鋼管(以下、電縫鋼管という)が利用される場合がある。電縫鋼管の肉厚を厚くすれば、高強度が得られる。しかしながら、肉厚が厚くなれば、脆性破壊が生じやすく、低温靭性が低下する。低温靭性の指標として、DWTT(Drop Weight Tear Test:落重試験)保証温度がある。DWTT保証温度は、DWTTにおいて85%以上の延性破面率を有する温度を意味する。DWTT保証温度が低いほど、低温靭性が高いことを意味する。近年、ラインパイプ用電縫鋼管では、優れた低温靭性が要求されている。
ラインパイプ用の厚肉電縫鋼管ではさらに、低い降伏比(YR)が求められる。海底ラインパイプの敷設方法として、大型スプールを搭載した敷設船を用いて行われるリーリング工法の採用が増加している。リーリング工法では、陸上において、電縫鋼管の管端同士を突合せ溶接(周溶接)して連結管を製造する。製造された連結管を敷設船の大型スプールに巻き取った後、敷設地へ搬送する。敷設地の洋上で、大型ドラムに巻かれた連結管を巻き出しながら、海底に敷設する。
リーリング工法では、電縫鋼管をいったんスプールに巻取った後、海上で巻き戻す。そのため、電縫鋼管の一部に曲げ及び曲げ戻しによる引張応力及び圧縮応力が付与される。電縫鋼管の変形能が低ければ、これらの応力付与により、電縫鋼管に局部座屈が発生したり、電縫鋼管の一部が破断したりする場合がある。したがって、ラインパイプ用電縫鋼管には、高い強度及び優れた低温靱性だけでなく、低い降伏比を有することが求められる。
国際公開第2012/002481号(特許文献1)は、ラインパイプ用熱延鋼板の低温靭性を高める製造方法を提案する。
特許文献1に開示されたラインパイプ用熱延鋼板は、質量%にて、C=0.02〜0.08%、Si=0.05〜0.5%、Mn=1〜2%、Nb=0.03〜0.12%、Ti=0.005〜0.05%、を満足し、残部がFe及び不可避的不純物元素からなる。当該鋼板表面から板厚の1/2厚の深さにおけるミクロ組織において初析フェライト分率が3%以上20%以下で他が低温変態相及び1%以下のパーライトであり、前記ミクロ組織全体の個数平均結晶粒径が1μm以上2.5μm以下かつエリア平均粒径が3μm以上9μm以下であり、前記エリア平均粒径の標準偏差が0.8μm以上2.3μm以下であり、また鋼板表面から板厚の1/2厚の深さにおいて鋼板表面に平行な面に対する{211}方向と{111}方向の反射X線強度比{211}/{111}が1.1以上である。このラインパイプ用鋼板は、厚さ中央部の初析フェライト分率と、平均粒径と、集合組織とを制御することにより、優れた強度及び低温靭性が得られる、と記載されている。
国際公開第2012/002481号
しかしながら、特許文献1に開示される熱延鋼板は、圧延工程前の加熱温度が高く、オーステナイト粒が粗大化する場合がある。この場合、結晶粒が粗大化し、低温靭性が低下し得る。さらに、特許文献1では、リーリング工法を想定した局部座屈の対策については開示されていない。そのため、この熱延鋼板を用いて製造された電縫鋼管では、局部座屈が発生する場合があり得る。
本発明の目的は、優れた低温靭性及び強度と、低い降伏比とを有するラインパイプ用鋼材を提供することである。
本実施形態によるラインパイプ用鋼材は、質量%で、C:0.06〜0.12%、Si:0.05〜0.3%、Mn:0.5〜2%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、O:0.003%以下、Al:0.01〜0.035%、N:0.001〜0.008%、Nb:0.01〜0.25%、Ti:0.005〜0.03%、Ni:0.01〜0.2%、Mo:0.01〜0.2%、Cu:0.01〜0.3%、Cr:0〜0.3%、V:0〜0.01%、B:0〜0.003%、及び、Ca:0〜0.0030%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、式(1)を満たす化学組成を有する。厚さ中央部の組織において、平均結晶粒径は15μm以下、及び、結晶粒径が20μm以上の結晶粒の面積率である粗大結晶粒率は20%以下である。厚さ中央部の組織において、フェライト分率は65%以上及び硬質相分率は10〜20%である。硬質相のサイズは6.0μm以下である。
0.35≦C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/3+Nb/3≦0.40 (1)
ここで、式(1)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
ラインパイプ用鋼材はたとえば、ラインパイプ用熱延鋼板、又は、ラインパイプ用電縫鋼管である。
本実施形態によるラインパイプ用鋼材は、優れた低温靭性及び強度と、低い降伏比とを有する。
図1は、本実施の形態によるラインパイプ用鋼材の連続冷却変態曲線の模式図である。 図2は、本実施の形態によるラインパイプ用鋼材の製造工程を示すフロー図である。 図3は、引張試験に用いた引張試験片の平面図である。 図4は、DWTT試験に用いたDWTT試験片の平面図及び側面図である。
本発明者らは、ラインパイプ用鋼材の強度、低温靭性及び降伏比(YR)について調査及び検討を行い、次の知見を得た。
(A)鋼中のC含有量を高めれば、降伏後、加工硬化により鋼の引張強度は高くなる。その結果、降伏比(降伏強度/引張強度)は低くなる。具体的には、C含有量が0.06〜0.12%であれば、後述の条件も満たすことを前提に、C方向(板幅方向、圧延方向と垂直な方向)及びL方向(長手方向、圧延方向)の降伏比が0.93以下になる。
(B)鋼の組織のフェライト分率が65%以上であれば、微細な結晶粒を得ることができ、鋼の低温靭性が高まる。圧延時の加熱温度を1150℃以下として、結晶粒の粗大化を抑制する。さらに、圧延後の未再結晶組織に多数の核生成サイトを生成して、多数の新たなフェライト粒が生成するよう冷却を制御する。この場合、最終的なフェライト粒が微細になり、その結果、鋼の低温靭性が高まる。
一方、鋼の組織がベイナイト主体であれば、旧オーステナイト粒をそのまま受け継いだ結晶粒の中にラス(細長い組織)が生成するものの、それらの方位はブロックごとに揃い、各ブロックが実質的に一つの結晶粒となる。そのため、ベイナイトにおける結晶粒の大きさは、旧オーステナイト粒の大きさで決まる。そのため、結晶粒が粗大化しやすく、その結果、鋼の低温靭性が低下しやすい。
しかしながら、ベイナイト、パーライト、島状マルテンサイト及びMA(Martensite−austenite constituent)は強度を高める。そこで、本実施形態のラインパイプ用鋼材では、鋼の組織がパーライト、ベイナイト、島状マルテンサイト及びMAからなる群から選択される1種又は2種以上を含有する硬質相を備える。この場合、鋼の強度が高まる。さらに、硬質相の結晶粒を微細にすれば、低温靭性がさらに高まる。
(C)冷却の制御方法の一例として、圧延後のROT(ランアウトテーブル)での冷却工程において、最初に強冷却を行い、続いて徐冷却を行う。これにより、ラインパイプ用鋼材の厚さ中央部の組織において、フェライト分率(組織中でフェライトが占める面積率)が高まり、鋼の低温靭性が高まる。さらに、徐冷却に続いて強冷却を行う。これにより、鋼材の厚さ中央部の組織において、パーライト、ベイナイト、島状マルテンサイト及びMAからなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、微細な硬質相が得られる。その結果、鋼の強度が高まり、低温靭性もさらに高まる。以下、この点について詳述する。
図1は、本実施の形態によるラインパイプ用鋼材の連続冷却変態図(CCT線図:Continuous Cooling Transformation Diagram)である。図1中、Fはフェライトノーズ、Pはパーライトノーズ、及びBはベイナイトノーズを示す。
図1に示すとおり、フェライトノーズはパーライトノーズ及びベイナイトノーズよりも高い位置に存在する。図1中の破線C1は従来の冷却工程による冷却曲線を示す。従来の冷却方法では、冷却過程において、フェライトノーズ、パーライトノーズ、及びベイナイトノーズのすべてを経由する。そのため、組織中にパーライト及びベイナイトが生成し、組織中のフェライト分率が低下する。
そこで、本実施形態では、破線C2の冷却曲線に沿って冷却を行う。具体的には、冷却初期では、フェライトノーズ近傍まで強冷却を実施する(S31)。強冷却により鋼が急速に冷却されると、過冷度が増加し、その結果、未再結晶組織に多数の核生成サイトが生じる。強冷却後、徐冷却を実施する(S32)。このとき、鋼の温度を図1中のフェライト領域内に保持する。これにより、強冷却時に生成した多数の核生成サイトから微細なフェライトが生成される。その結果、組織中のフェライト分率が高まり、かつ、結晶粒が微細化される。そのため、鋼の低温靭性が高まる。
徐冷却後、さらに強冷却を実施する(S33)。このとき、鋼の温度がフェライト領域及びパーライト領域を通過し、ベイナイト領域に到達する。これにより、微細なパーライト、ベイナイト、島状マルテンサイト及びMAが生成される。そのため、鋼の強度が高まり、低温靭性もさらに高まる。
(D)C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、V、及びNbはいずれも、CCT線図のS曲線(フェライト領域、パーライト領域、及び、ベイナイト領域)に影響を与える。
F1=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/3+Nb/3と定義する。F1が低すぎれば、CCT線図のS曲線は左側にシフトし過ぎる。この場合、圧延後の冷却過程において、核生成サイトが十分に生成する前に、鋼材温度がフェライト領域に入る。そのため、フェライト粒が粗大化して、平均結晶粒径が大きくなる。さらに、混粒組織になりやすいため、粗大結晶粒率が大きくなる。この場合、鋼の低温靭性が低下する。F1が低すぎればさらに、焼入れ性が低下して十分な強度が得られない。
一方、F1が高すぎれば、S曲線が右側にシフトし過ぎる。この場合、冷却曲線がフェライトノーズにかかりにくくなる。その結果、硬質組織の生成量が多くなり、組織中のフェライト分率が低下する。その結果、鋼の低温靭性が低下する。
F1が0.35〜0.40であれば、各相のS曲線(フェライト、パーライト、ベイナイト)がCCT線図において適度な位置に配置される。この場合、図1中の冷却曲線C2のように、主としてフェライト領域を通って冷却することができる。そのため、フェライト主体の組織を生成でき、高い強度及び低温靭性を得ることができる。
以上の知見に基づいて完成した本実施形態のラインパイプ用鋼材は、質量%で、C:0.06〜0.12%、Si:0.05〜0.3%、Mn:0.5〜2%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、O:0.003%以下、Al:0.01〜0.035%、N:0.001〜0.008%、Nb:0.01〜0.25%、Ti:0.005〜0.03%、Ni:0.01〜0.2%、Mo:0.01〜0.2%、Cu:0.01〜0.3%、Cr:0〜0.3%、V:0〜0.01%、B:0〜0.003%、及び、Ca:0〜0.0030%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、式(1)を満たす化学組成を有する。厚さ中央部の組織において、平均結晶粒径は15μm以下、及び、結晶粒径が20μm以上の結晶粒の面積率である粗大結晶粒率は20%以下である。厚さ中央部の組織において、フェライト分率は65%以上及び硬質相分率は10〜20%である。フェライトにおいて、硬質相のサイズは6.0μm以下である。
0.35≦C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/3+Nb/3≦0.40 (1)
ここで、式(1)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
上記化学組成は、Cr:0.01〜0.3%、V:0.001〜0.01%、及び、B:0.0002〜0.003%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。また、上記化学組成は、Ca:0.0005〜0.0030%を含有してもよい。
上記ラインパイプ用鋼材はたとえば、ラインパイプ用熱延鋼板又はラインパイプ用電縫鋼管である。
本実施形態のラインパイプ用鋼材の製造方法は、上述の化学組成を有する素材を1060〜1150℃で加熱する工程と、加熱された素材に対して粗圧延及び仕上げ圧延を実施して鋼板とする工程と、仕上げ圧延後の鋼板に対して冷却する工程を備える。冷却する工程では、870〜750℃の温度範囲を板厚中心が10〜50℃/sの冷却速度で強冷却する工程と、強冷却された鋼板に対して、750〜650℃の温度範囲を板厚中心が2〜5℃/sの冷却速度で徐冷却する工程と、徐冷却された鋼板に対して、650〜500℃の温度範囲を板厚中心が5〜10℃/sの冷却速度で強冷却する工程とを備える。冷却された鋼板をさらに、500〜580℃で巻取る工程を備える。
本実施形態によるラインパイプ用電縫鋼管の製造方法は、上述の熱延鋼板を成形及び溶接して製管する工程を備える。
以下、本実施形態のラインパイプ用鋼材について詳述する。元素に関する「%」は、特に断りがない限り、質量%を意味する。
[化学組成]
本実施形態のラインパイプ用鋼材は、ラインパイプ用熱延鋼板、又は、ラインパイプ用電縫鋼管である。ラインパイプ用鋼材の化学組成は、次の元素を含有する。
C:0.06〜0.12%
炭素(C)は、鋼の強度を高める。Cはさらに、加工硬化により引張強度を高め、降伏比を低下する。C含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、C含有量が高すぎれば、炭化物が生成し、鋼の低温靭性及び延性が低下する。C含有量が高すぎればさらに、溶接性が低下する。したがって、C含有量は0.06〜0.12%である。C含有量の好ましい下限は0.08%であり、さらに好ましくは0.085%である。C含有量の好ましい上限は、0.10%である。
Si:0.05〜0.3%
シリコン(Si)は、鋼を脱酸する。Siはさらに、鋼の焼入れ性を高め、鋼の強度を高める。Si含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Si含有量が高すぎれば、鋼の強度が高くなりすぎ、鋼の低温靭性が低下する。したがって、Si含有量は0.05〜0.3%である。Si含有量の好ましい下限は、0.07%であり、さらに好ましくは0.1%である。Si含有量の好ましい上限は0.2%であり、さらに好ましくは0.195%であり、さらに好ましくは0.19%である。
Mn:0.5〜2%
マンガン(Mn)は、鋼の焼入れ性を高め、鋼の強度を高める。Mn含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Mn含有量が高すぎれば、鋼の強度が高くなりすぎ、鋼の低温靭性が低下する。したがって、Mn含有量は0.5〜2%である。Mn含有量の好ましい下限は、0.7%であり、さらに好ましくは1.0%である。Mn含有量の好ましい上限は1.8%であり、さらに好ましくは1.5%である。
P:0.03%以下
燐(P)は不純物である。Pは、鋼の低温靭性を低下する。したがって、P含有量は少ない方が好ましい。したがって、P含有量は0.03%以下である。P含有量の好ましい上限は0.015%であり、さらに好ましくは0.01%である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。
S:0.01%以下
硫黄(S)は不純物である。Sは、Mnと結合してMn系硫化物を形成する。そのため、鋼の低温靭性及び耐サワー性が低下する。したがって、S含有量は0.01%以下である。S含有量の好ましい上限は0.001%であり、さらに好ましくは0.0005%である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。
O:0.003%以下
酸素(O)は不純物である。Oは酸化物を形成して、鋼の耐水素誘起割れ性を低下する。さらに、低温靭性を低下する。したがって、O含有量は0.003%以下である。O含有量の好ましい上限は0.0025%であり、さらに好ましくは0.0020%である。O含有量はなるべく低い方が好ましい。
Al:0.01〜0.035%
アルミニウム(Al)は、鋼を脱酸する。Al含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Al含有量が高すぎれば、Al酸化物が粗大化し、鋼の低温靭性が低下する。したがって、Al含有量は、0.01〜0.035%である。Al含有量の好ましい下限は0.017%であり、さらに好ましくは0.020%である。Al含有量の好ましい上限は0.030%であり、さらに好ましくは0.025%である。本明細書において、Al含有量は全Alの含有量を意味する。
N:0.001〜0.008%
窒素(N)は、窒化物を形成して、加熱工程中のオーステナイト粒の粗大化を抑制する。この場合、圧延工程においてオーステナイト粒が微細化し、変態後の結晶粒が微細になる。その結果、鋼の低温靭性が高まる。Nはさらに、固溶強化により鋼の強度を高める。N含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、N含有量が高すぎれば、炭窒化物を粗大化し、鋼の低温靭性を低下する。したがって、N含有量は0.001〜0.008%である。N含有量の好ましい下限は、0.002%であり、さらに好ましくは0.003%である。N含有量の好ましい上限は0.006%であり、さらに好ましくは0.005%である。
Nb:0.01〜0.25%
ニオブ(Nb)は、鋼中のCやNと結合して微細なNb炭窒化物を形成する。Nb炭窒化物により、結晶粒の粗大化が抑制され平均結晶粒径が小さくなる。そのため、鋼の低温靭性が高まる。さらに、微細なNb炭窒化物は、分散強化により鋼の強度を高める。Nb含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、Nb含有量が高すぎれば、Nb炭窒化物が粗大化し、鋼の低温靭性が低下する。したがって、Nb含有量は0.01〜0.25%である。Nb含有量の好ましい下限は、0.012%であり、さらに好ましくは0.02%である。Nb含有量の好ましい上限は0.08%であり、さらに好ましくは0.07%である。
Ti:0.005〜0.03%
チタン(Ti)は、鋼中のNと結合してTiNを形成し、固溶したNによる鋼の低温靭性の低下を抑制する。さらに、微細なTiNが分散析出することにより、結晶粒の粗大化を抑制する。これにより、鋼の低温靭性が高まる。Ti含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、Ti含有量が高すぎれば、TiNが粗大化したり、粗大なTiCが生成する。この場合、鋼の低温靭性が低下する。したがって、Ti含有量は0.005〜0.03%である。Ti含有量の好ましい下限は、0.008%であり、さらに好ましくは0.01%である。Ti含有量の好ましい上限は0.02%であり、さらに好ましくは0.015%である。
Ni:0.01〜0.2%
ニッケル(Ni)は、鋼の焼入れ性を高め、鋼の強度を高める。一方、Ni含有量が高すぎれば、この効果が飽和する。したがって、Ni含有量は0.01〜0.2%である。Ni含有量の好ましい下限は、0.05%であり、さらに好ましくは0.08%である。Ni含有量の好ましい上限は0.15%であり、さらに好ましくは0.10%である。
Mo:0.01〜0.2%、
モリブデン(Mo)は、鋼の焼入れ性を高め、鋼の強度を高める。Moはさらに、オーステナイト粒を微細化し、低温靭性を高める。一方、Mo含有量が高すぎれば、鋼の現地溶接性が低下する。したがって、Mo含有量は0.01〜0.2%である。Mo含有量の好ましい下限は、0.05%であり、さらに好ましくは0.1%である。Mo含有量の好ましい上限は0.2%未満である。
Cu:0.01〜0.3%
銅(Cu)は、鋼の焼入れ性を高め、鋼の強度を高める。一方、Cu含有量が高すぎれば、焼入れ性が高くなりすぎて低温靭性が低下する。したがって、Cu含有量は0.01〜0.3%である。Cu含有量の好ましい下限は、0.05%であり、さらに好ましくは0.1%である。Cu含有量の好ましい上限は0.25%であり、さらに好ましくは0.20%である。
本実施の形態によるラインパイプ用鋼材の化学組成の残部は、Fe及び不純物からなる。ここで、不純物とは、ラインパイプ用鋼材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、又は製造環境などから混入されるものであって、本実施形態のラインパイプ用鋼材に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
[任意元素について]
上述のラインパイプ用鋼材の化学組成はさらに、Feの一部に代えて、Cr、V及びBからなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも、鋼の強度を高める。
Cr:0〜0.3%
クロム(Cr)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Crは鋼の焼入れ性を高め、鋼の強度を高める。Crはさらに、鋼の降伏後の加工硬化性を高めて引張強度を高め、降伏比を低下する。しかしながら、Cr含有量が高すぎれば、焼入れ性が高くなりすぎて低温靭性が低下する。したがって、Cr含有量は0〜0.3%である。Cr含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.1%である。Cr含有量の好ましい上限は0.25%であり、さらに好ましくは0.2%である。
V:0〜0.01%
バナジウム(V)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Vは巻取り工程において鋼中のCやNと結合して微細な炭窒化物を形成し、鋼の強度を高める。微細なV炭窒化物はさらに、結晶粒の粗大化を抑制して鋼の低温靭性を高める。V含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。しかしながら、V含有量が高すぎれば、V炭窒化物が粗大化し、鋼の低温靭性が低下する。したがって、V含有量は、0〜0.01%である。V含有量の好ましい下限は、0.001%であり、さらに好ましくは0.005%である。V含有量の好ましい上限は0.008%であり、さらに好ましくは0.005%である。
B:0〜0.003%
ボロン(B)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Bは焼入れ性を高め、鋼の強度を高める。しかしながら、B含有量が高すぎれば、粗大な窒化物が生成して鋼の低温靭性が低下する。したがって、B含有量は0〜0.003%である。B含有量の好ましい下限は、0.0002%であり、さらに好ましくは0.00025%である。B含有量の好ましい上限は0.0028%である。
上述のラインパイプ用鋼材の化学組成はさらに、Feの一部に代えて、Caを含有してもよい。
Ca:0〜0.0030%、
カルシウム(Ca)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Caは、MnSの形態を制御して、球状化する。この場合、鋼の低温靭性が高まる。しかしながら、Ca含有量が高すぎれば、粗大な酸化物系介在物が形成される。したがって、Ca含有量は0〜0.0030%である。Ca含有量の好ましい下限は、0.0005%である。Ca含有量の好ましい上限は0.0025%であり、さらに好ましくは0.0020%である。
[式(1)について]
上記化学組成はさらに、式(1)を満たす。
0.35≦C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/3+Nb/3≦0.40 (1)
ここで、式(1)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。また、式(1)中の元素記号に対応する元素が含有されていない場合、式(1)中の対応する元素記号には「0」が代入される。
上述のとおり、本実施の形態の化学組成において、C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、V、及びNb含有量は、CCT線図におけるS曲線に影響を与える。
F1=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/3+Nb/3と定義する。F1が低すぎれば、CCT線図のS曲線(フェライト領域、パーライト領域、ベイナイト領域)が左側(短時間側)にシフトする。この場合、CCT線図において、核生成サイトが十分に生成する前に、鋼材温度がフェライト領域に入る。その結果、フェライトの結晶粒が粗大化し、平均結晶粒径が大きくなる。さらに、混粒が発生しやすく、粗大結晶粒率が大きくなる。その結果、鋼の低温靭性が低下する。F1が低すぎればさらに、焼入れ性が低くなり、鋼の強度が低下する。
一方、F1が高すぎれば、CCT線図のS曲線が右側(長時間側)にシフトする。この場合、硬質組織が生成しやすくなり、組織中のフェライト分率が低下する。その結果、鋼の低温靭性が低下する。F1が高すぎればさらに、焼入れ性が高くなり、鋼の強度が高くなりすぎる。
F1が0.35〜0.40であれば、鋼材の厚さ中央部のフェライト分率を65%以上及び硬質相分率を10〜20%にすることができ、鋼の低温靭性を高めることができる。
[フェライト分率について]
本実施形態によるラインパイプ用鋼材の厚さ中央部の組織は、フェライト及び硬質相からなり、残部は、ベイニッティックフェライト及びウィドマンステッテンフェライトからなる群から選択される1種以上からなる。ここで、厚さ中央部とは、板厚又は肉厚をtmmとした場合、板厚中央又は肉厚中央から、板厚方向又は肉厚方向に±20%tの範囲(つまり、表面から板厚方向又は肉厚方向に30〜70%tの範囲)を意味する。
上述のとおり、鋼の厚さ中央部の組織のフェライト分率が65%以上であれば、結晶粒が微細化し、その結果、鋼の低温靭性が高まる。フェライト分率の好ましい下限は、70%であり、さらに好ましくは75%である。
フェライト分率とは、フェライト面積率を意味し、次の方法で測定される。ラインパイプ用鋼材の厚さ中央部から試料を採取する。採取された試料をコロイダルシリカ研磨剤で30〜60分研磨する。研磨された試料をEBSP−OIM(商標)(Electron Back Scatter Diffraction Pattern−Orientation Image Microscopy)を用いて解析し、フェライト分率を求める。
具体的には、EBSP−OIMに装備されているKAM(Kernel Average Misorientation)法にてフェライト分率を求める。
KAM法では、測定データのうちのある正六角形のピクセル(中心のピクセル)と、このピクセルに隣り合う6個のピクセルを用いた第一近似(全7ピクセル)、もしくはこれらの6個のピクセルのさらにその外側の12個のピクセルも用いた第2近似(全19ピクセル)、もしくはこれら12個のピクセルのさらに外側の18個のピクセルも用いた第三近似(全37ピクセル)について、各ピクセル間の方位差を平均し、得られた平均値をその中心のピクセルの値とする。この操作をピクセル全体に対して行う。
粒界を越えないようにこの計算を実施して、粒内の方位変化を表現するマップを作成する。すなわち、このマップは粒内の局所的な方位変化に基づくひずみの分布を表している。本実施の形態では、第三近似により隣接するピクセル間の方位差5°以下となるものを表示させる。本実施の形態では、方位差第三近似1°以下と算出されたピクセルの面性分率をフェライト分率と定義する。方位差第三近似1°を超えるものは、ベイナイト等のフェライト以外の硬質相組織とする。
[平均結晶粒径について]
本実施形態のラインパイプ用鋼材ではさらに、ラインパイプ用鋼材の厚さ中央部での平均結晶粒径が15μm以下である。平均結晶粒径が大きすぎれば、鋼の低温靭性が低下する。本実施形態では、上述の平均粒径が15μm以下であるため、優れた低温靭性が得られる。平均結晶粒径の好ましい上限は、13μmであり、さらに好ましくは10μmである。
平均結晶粒径は、EBSP−OIM法を用いて測定する。フェライト分率の測定と同様に試料を採取及び研磨する。研磨された試料をEBSP−OIMを用いて解析する。具体的には、一定測定ステップごとの方位測定で、隣り合う測定点の方位差が、15°を超えた位置を粒界とする。15°は大傾角粒界の閾値であり、一般的に結晶粒界として認識されている。粒界に囲まれた領域を結晶粒として、その粒径及び結晶粒の表面積を求める。得られた粒径及び表面積からエリア平均粒径を求める。本明細書中では、この方法により求めたエリア平均粒径を平均結晶粒径(μm)と定義する。
[粗大結晶粒率について]
上述のEBSP−OIM測定において、ラインパイプ用鋼材の厚さ中央部での結晶粒径が20μm以上の結晶粒の面積率を「粗大結晶粒率」と定義する。結晶粒が粗大である場合、鋼の低温靭性が低下する。粗大結晶粒率が20%以下であれば、優れた低温靭性が得られる。粗大結晶粒率の好ましい上限は、18%であり、さらに好ましくは15%である。粗大結晶粒率は低い程好ましい。
粗大結晶粒率はたとえば、次の方法で測定することができる。ラインパイプ用鋼材からEBSP−OIM測定用の試験片を採取し、上述のEBSP−OIM測定を実施する。EBSP−OIM測定において観察した測定対象の面積をN、粗大結晶粒の面積をnとして、式(2)に代入することで求めることができる。
粗大結晶粒率(%)=(n/N)×100 (2)
[硬質相分率について]
上述のとおり、硬質相分率は10〜20%である。硬質相はパーライト、ベイナイト、島状マルテンサイト及びMAからなる群から選択される1種又は2種以上を含有する。この場合、鋼の強度が高まる。硬質相分率の好ましい上限は18%である。
硬質相分率とは、硬質相全体での面積率を意味する。硬質相分率はたとえば、次の方法で測定できる。ラインパイプ用鋼材の厚さ中央部から試料を採取する。採取された試料のL断面をナイタール腐食液で腐食する。腐食された試料をSEM(Scanning Electron Microscope)を用いて倍率1000〜3000倍で観察し、硬質相分率を求める。具体的には、L断面における任意50視野のSEMを画像処理し、全視野面積中に占める硬質相の面積率を算出する。
[硬質相のサイズについて]
本実施形態のラインパイプ用鋼材ではさらに、ラインパイプ用鋼材の厚さ中央部での硬質相のサイズが6.0μm以下である。硬質相のサイズが大きすぎれば、鋼の低温靭性が低下する。本実施形態では、上述の硬質相のサイズが6.0μm以下であるため、優れた低温靭性が得られる。硬質相のサイズの好ましい下限は、2.5μmであり、硬質相サイズの好ましい上限は5.5μmである。
硬質相のサイズは、上述の硬質相分率を求めたL断面で、任意の50視野をSEMで観察したときの硬質相面積から求める。具体的には、硬質相面積から円相当径を算出し、得られた50個の平均円相当径を硬質相のサイズ(μm)とする。
後述の製造工程を実施することにより、厚さ中央部の組織において、平均結晶粒径を15μm以下、及び粗大結晶粒率を20%以下とすることができる。さらに、フェライト分率を65%以上、及び、硬質相分率を10〜20%以上とできる。さらに、硬質相のサイズを6.0μm以下とできる。その結果、DWTT保証温度を−35℃以下として低温靭性を高めることができる。さらに、435〜570MPaの降伏応力、及び535〜760MPaの引張強度を得ることができる。さらに、降伏比YRを0.93以下とできる。
[硬質相の硬度について]
硬質相の硬度は、マイクロビッカース硬度試験において、200Hv以上である。硬質相の硬度は、次のとおり測定する。得られたラインパイプ用鋼材の硬質相において、任意の領域を5箇所選択する。選択された各領域において、JIS Z2244(2009)に準拠してビッカース硬さ(Hv)を測定する。試験条件は、試験温度を常温(25℃)とし、試験力を25gfとする。得られた値(合計5個)の平均を、硬質相の硬度と定義する。
[製造方法]
上述のラインパイプ用鋼材の製造方法の一例を説明する。図2は、ラインパイプ用鋼材製造方法の一例を示すフロー図である。
図2を参照して、本製造方法では、上述した化学組成を満たす溶鋼を用いて、素材であるスラブを製造する(素材準備工程:S0)。製造されたスラブを加熱炉で加熱する(加熱工程:S1)。加熱したスラブを粗圧延機及び仕上げ圧延機で圧延して鋼板を製造する(圧延工程:S2)。製造された鋼板をROT(ランアウトテーブル)で冷却する(ROT冷却工程:S3)。ROT冷却工程(S3)では、初めに、水冷装置で鋼板を強冷却する(強冷却工程S31)。強冷却後、鋼板に対して徐冷却を実施する(徐冷却工程:S32)。徐冷却後、鋼板に対してさらに強冷却を実施する(強冷却工程:S33)。ROT冷却後の鋼板を巻き取る(巻取り工程:S4)。以上の製造工程により、ラインパイプ用熱延鋼板が製造される。
さらに、ラインパイプ用熱延鋼板を成形及び溶接して製管し、ラインパイプ用電縫鋼管を製造する(製管工程:S5)。以下、それぞれの工程について詳しく説明する。
[素材準備工程(S0)]
上述の化学組成を有する素材を準備する。具体的には、上述の化学組成を有する溶鋼を製造する。溶鋼を用いて、素材(スラブ)を製造する。連続鋳造法により鋳片(スラブ)を製造してもよい。溶鋼を用いてインゴットを製造し、インゴットを分塊圧延して素材(スラブ)を製造してもよい。
[加熱工程(S1)]
加熱工程(S1)では、製造されたスラブを加熱炉で加熱する。加熱炉でのスラブの加熱温度は1060〜1150℃である。加熱温度が高すぎれば、結晶粒(オーステナイト粒)が粗大化し、低温靭性が低下する。一方、加熱温度が低すぎれば、圧延中の結晶粒の微細化及び圧延後の析出強化が得られず、強度が低下する。したがって、加熱温度は1060〜1150℃である。
[圧延工程(S2)]
圧延工程(S2)では、加熱工程(S1)で加熱されたスラブを、粗圧延機及び仕上げ圧延機を用いて熱間圧延して、鋼板にする。粗圧延機及び仕上げ圧延機ともに、一列に並んだ複数の圧延スタンドを備え、各圧延スタンドはロール対を有する。
圧延工程において、仕上げ圧延機の最終スタンドの出側での鋼板の表面温度を、仕上げ圧延温度(℃)と定義する。仕上げ圧延温度(℃)は、Ar変態点以上である。仕上げ圧延温度がAr変態点未満であれば、鋼板の圧延抵抗が増加して生産性が低下する。さらに、フェライト及びオーステナイトの二相域で鋼板が圧延される。この場合、鋼板のミクロ組織が層状組織を生成して、機械的性質が低下する。したがって、仕上げ圧延温度はAr変態点以上である。上述の化学組成を有する本実施形態のラインパイプ用鋼材において、Ar変態温度は、750〜850℃である。オーステナイト未再結晶温度域での圧下率は60〜80%とするのが好ましい。この場合、未再結晶組織が微細化される。
本実施形態の製造方法を用いれば、板厚を12mm以上としても、優れた靭性が得られる。
[ROT冷却工程(S3)]
ROT(ランアウトテーブル)冷却工程(S3)では、圧延工程(S2)で製造された鋼板を冷却する。ROT冷却工程(S3)は、強冷却工程(S31)、徐冷却工程(S32)及び強冷却工程(S33)を備える。
[強冷却工程(S31)]
初めに、鋼板を強冷却する。強冷却はたとえば、水冷装置による水冷である。水冷直前の鋼板の表面温度は特に限定しないが、Ar変態点以上であるのが好ましい。水冷直前の鋼板の表面温度がAr変態点以上であれば、粒成長して結晶粒が粗大化することによる強度の低下を防止できる。
強冷却工程(S31)での冷却速度をV1(℃/s)とする。V1は、板厚中央部で10〜50℃/sである。冷却速度V1が10℃/s未満の場合、冷却による歪みの導入が不足するため、フェライトの核生成サイトを十分に得ることができない。この場合、フェライト粒の生成量が少なくなるため、フェライト粒が粗大化し、鋼の低温靭性が低下する。冷却速度V1が50℃/sを超える場合、CCT線図において、鋼板温度がフェライト領域を通過せず、ベイナイト領域に到達する。この場合、組織がベイナイト主体となり、鋼の低温靭性が低下する。したがって、冷却速度V1は10℃/s以上である。冷却速度V1の好ましい下限は12℃/sである。冷却速度V1の好ましい上限は45℃/sである。
強冷却工程(S31)では、鋼板の表面温度が870〜750℃の温度範囲において、鋼板を冷却する。換言すれば、強冷却停止温度T1は750℃である。強冷却停止温度T1が低すぎれば、CCT線図において、鋼板温度がフェライト領域を通過してパーライト領域及び/又はベイナイト領域に到達する。この場合、フェライト分率が低下し、鋼の低温靭性が低下する。一方、強冷却停止温度T1が高すぎれば、初析フェライトを強化するNbの析出が過時効となり、鋼の強度が低下する。強冷却停止温度T1を750℃にすれば、後工程の徐冷却工程(S4)で徐冷却することにより、フェライト分率を65%以上とすることができ、鋼の低温靭性が高まる。
[徐冷却工程(S32)]
強冷却工程(S31)で強冷却した鋼板に対して、徐冷却を実施する。
徐冷却工程(S32)での冷却速度をV2(℃/s)とする。冷却速度V2は、板厚中央部で2〜5℃/sである。冷却速度V2が遅すぎれば、生産性が低下する。冷却速度V2が速すぎれば、CCT線図において、鋼板温度がフェライト領域を通過して、パーライト領域及び/又はベイナイト領域に到達する。この場合、フェライト分率が低下し、鋼の低温靭性が低下する。したがって、冷却速度V2は2〜5℃/sである。冷却速度V2の好ましい下限は2.5℃/sである。冷却速度V2の好ましい上限は4.5℃/sである。
徐冷却工程(S32)では、鋼板の表面温度が750〜650℃の温度範囲において、鋼板を冷却する。換言すれば、徐冷却停止温度T2は650℃である。徐冷却停止温度T2が低すぎれば、CCT線図において、鋼板温度がフェライト領域を通過して、パーライト領域及び/又はベイナイト領域に到達する。この場合、フェライト分率が低下し、鋼の低温靭性が低下する。徐冷却停止温度T2が高すぎれば、鋼の強度が低下する。したがって、徐冷却停止温度T2は650℃である。
[強冷却工程(S33)]
徐冷却工程(S32)で徐冷却した鋼板に対して、強冷却を実施する。
強冷却工程(S33)での冷却速度をV3(℃/s)とする。冷却速度V3は、板厚中央部で5〜10℃/sである。冷却速度V3が遅すぎれば、微細な硬質相が得られない。その結果、鋼の強度及び低温靭性が低下する。冷却速度V3が速すぎれば、CCT線図において、鋼板温度がフェライト領域を十分に通過せずに、ベイナイト領域に到達する。この場合、フェライト分率が低下し、ベイナイト主体の鋼組織となり、鋼の低温靭性が低下する。したがって、冷却速度V3は5〜10℃/sである。冷却速度V3の好ましい下限は5.5℃/sである。冷却速度V3の好ましい上限は9.5℃/sである。
強冷却工程(S33)では、鋼板の表面温度が650〜500℃の温度範囲において、鋼板を冷却する。
[巻取り工程(S4)]
巻取り工程(S4)では、ROT冷却工程(S3)により冷却された鋼板を巻取り、コイル状のラインパイプ用熱延鋼板にする。
コイル状のラインパイプ用熱延鋼板巻取り時の鋼板の表面温度(以下、巻取り温度という)T4は、500〜580℃である。巻取り温度T4が低すぎれば、粗大結晶粒率が高くなり、低温靭性が低下する。一方、巻取り温度T4が高すぎれば、結晶粒が粗大化して、鋼の低温靭性が低下する。したがって、巻取り温度T4は、500〜580℃である。好ましいT4は510〜570℃であり、さらに好ましくは520〜560℃である。
以上の製造工程により、本実施形態のラインパイプ用熱延鋼板が製造される。
本実施形態のラインパイプ用電縫鋼管は、上述のラインパイプ用熱延鋼板を用いて、たとえば、次の製管工程(S5)により製造される。
[製管工程(S5)]
コイル状のラインパイプ用熱延鋼板を巻き戻しながら、周知の方法により、ラインパイプ用電縫鋼管を製造する。具体的には、ラインパイプ用熱延鋼板を連続した成形ロールによる曲げ加工により筒状(オープンパイプ)にする。続いて、オープンパイプの継ぎ目部、つまりラインパイプ用熱延鋼板の長手方向の両端面を電縫溶接法により溶接する。以上の工程により、ラインパイプ用電縫鋼管を製造する。
以上の製造工程により製造されたラインパイプ用鋼材(熱延鋼板及び電縫鋼管)では、厚さ中央部の組織において、平均結晶粒径が15μm以下、粗大結晶粒率が20%以下、フェライト分率が65%以上、硬質相分率が10〜20%、及び、硬質相のサイズが6.0μm以下となる。その結果、DWTT保証温度を−35℃以下とし、低温靭性を高めることができる。さらに、450〜570MPaの降伏応力、及び535〜760MPaの引張強度を得ることができる。さらに降伏比YRは0.93以下となる。
表1に示す鋼A〜鋼Jの溶鋼を連続鋳造してスラブを製造した。
Figure 0006772823
鋼A〜鋼Jの複数のスラブを用いて、表2に示す試験番号1〜試験番号26のラインパイプ用電縫鋼管を製造した。
Figure 0006772823
具体的には、各試験番号のスラブを、加熱炉で加熱した。加熱温度(℃)は表2に示すとおりであった。加熱後のスラブを粗圧延機を用いて圧延して、920℃まで放冷した。その後、仕上げ圧延機で仕上げ圧延を実施した。未再結晶温度域での圧下率は、いずれの試験番号も60〜80%であった。仕上げ圧延温度はいずれもAr点以上であった。
仕上げ圧延後の鋼板に対して、ROT冷却を実施した。ROT冷却では、表2に示す冷却条件(強冷却速度V1(℃/秒)、徐冷却速度V2(℃/秒)及び強冷却速度V3(℃/秒))で冷却した。強冷却停止温度T1(℃)及び徐冷却停止温度T2(℃)は、すべての鋼板において、それぞれ、750℃及び650℃であった。
以上の製造工程により鋼板を製造後、表2に示す巻取り温度T4で巻取りを実施してラインパイプ用熱延鋼板を製造した。さらに、ラインパイプ用熱延鋼板を用いて上述の方法で製管し、外径389mm以上、肉厚12mm以上のラインパイプ用電縫鋼管を製造した。
[試験方法]
[ミクロ組織]
上述の方法に基づいて、EBSP−OIMを用いて、平均結晶粒径、粗大結晶粒率、フェライト分率、硬質相分率、及び硬質相のサイズを上述の試験法のとおり、測定した。平均結晶粒径測定でのEBSP−OIMの測定条件は倍率:400倍、視野面積:200μm×500μm、測定ステップ:0.3μmとした。硬質相分率及び硬質相のサイズ測定でのSEMの測定条件は倍率:1000〜3000倍、視野面積45μm×60μmとした。硬質相については、上述のとおりマイクロビッカース硬度試験も実施した。試験条件は、試験温度を常温(25℃)とし、試験力を25gfとした。マイクロビッカース硬度は、すべての試験番号において200Hv以上であった。
[強度試験]
各試験番号のラインパイプ用電縫鋼管から2つの引張試験片を採取した。具体的には、ラインパイプ用電縫鋼管を軸方向に見てラインパイプ用電縫鋼管の溶接部から90°の位置から全厚の引張試験片を2つ採取した。2つの引張試験片の横断面はいずれも弧状であり、一方の引張試験片の長手方向は、圧延方向(L方向)であり、他方の引張試験片の長手方向は、板幅方向(C方向)であった。引張試験片のサイズは図3に示すとおりであり、平行部の長さは50.8mm、平行部の幅は38.1mmであった。図3中の数値は、試験片の対応する部位の寸法(単位はmm)を示す。引張試験片を用いて、API規格の5CTの規定に準拠して、常温にて引張試験を実施した。試験結果に基づいて、ラインパイプ用電縫鋼管のL方向、C方向の降伏強度(MPa)及び引張強度(MPa)を求めた。得られたL方向、C方向の降伏強度の平均を、その試験番号の降伏強度YS(MPa)と定義した。同様に、得られたL方向、C方向の引張強度の平均を、その試験番号の引張強度TS(MPa)と定義した。
さらに、得られた各方向(L方向、C方向)の降伏強度及び引張強度に基づいて、L方向の降伏比YR及びC方向の降伏比YRを求めた。
[低温靭性試験]
各試験番号のラインパイプ用電縫鋼管からDWTT試験片を採取した。採取位置は引張り試験片と同じ(溶接部と背向する位置)であった。DWTT試験片のサイズは図4に示すとおりであった。採取位置から採取された円弧状の部材を展開して平板状とし、180°位置にノッチを加工した。図4中の数値は、試験片の対応する部位の寸法(単位はmm)を示す。tは肉厚(単位はmm)を示す。DWTT試験片の長手方向は、ラインパイプ用電縫鋼管の円周方向に相当した。DWTT試験片をASTM E 436の規定に準拠して、DWTT試験を行い、延性破面率が85%となる最低温度(DWTT保証温度)を求めた。DWTT保証温度が、−35℃以下の場合、低温靭性が高いと評価した。
[試験結果]
表3に試験結果を示す。
Figure 0006772823
表1〜表3を参照して、試験番号1〜試験番号13の鋼の化学組成は適切であり、式(1)を満たした。さらに、いずれの試験番号の製造条件も適切であった。そのため、試験番号1〜試験番号13の平均結晶粒径は15μm以下であり、粗大結晶粒率は20%以下であった。さらに、フェライト分率は65%以上であり、硬質相分率は10〜20%であった。硬質相パーライト、ベイナイト、島状マルテンサイト及びMAからなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、硬質相のサイズは6.0μm以下であった。その結果、DWTT保証温度は−35℃以下であり、優れた低温靭性を示した。さらに、降伏強度YSはいずれも435〜570MPaであり、引張強度TSはいずれも535〜760MPaであった。さらに、降伏比YRはC方向、L方向ともに、0.93以下であった。
一方、試験番号14では、加熱温度が1060℃未満であった。そのため、平均結晶粒径が15μmを超え、粗大結晶粒率も20%を超えた。その結果、降伏強度YSが435MPa未満であり、引張強度TSも535MPa未満であった。さらに、DWTT保証温度が−35℃よりも高く、低温靭性が低かった。
試験番号15では、加熱温度が1150℃を超えた。そのため、平均結晶粒径が15μmを超え、粗大結晶粒率も20%を超えた。さらにフェライト分率も65%未満であった。その結果、DWTT保証温度が−35℃よりも高く、低温靭性が低かった。
試験番号16では、V1、V2及びV3が低すぎ、徐冷却となったため、巻取り温度T4が580℃を超えた。そのため、平均結晶粒径が15μmを超え、粗大結晶粒率が20%を超えた。さらに、硬質相のサイズも6.0μmを超えた。その結果、降伏強度YSが435MPa未満であり、引張強度TSも535MPa未満であった。降伏比YRもC方向及びL方向で0.93を超えた。さらに、DWTT保証温度が−35℃よりも高く、低温靭性が低かった。
試験番号17では、V3が5℃/s未満であったため、巻取り温度T4が580℃を超えた。そのため、硬質相のサイズが6.0μmを超えた。その結果、引張強度TSが535MPa未満であった。降伏比YRもC方向及びL方向で0.93を超えた。さらに、DWTT保証温度が−35℃よりも高く、低温靭性が低かった。
試験番号18では、V2が5℃/sを超えたため、巻取り温度T4が500℃未満であった。そのため、平均結晶粒径が15μmを超え、粗大結晶粒率が20%を超えた。さらに、フェライト分率が低下し、硬質相分率が20%を超えた。硬質相のサイズも6.0μmを超えた。そのため、DWTT保証温度が−35℃よりも高く、低温靭性が低かった。
試験番号19では、V1が50℃/sを超え、V3が5℃/s未満であり、巻取り温度T4が500℃未満であった。そのため平均結晶粒が15μmを超え、粗大結晶粒率が20%を超えた。さらに、フェライト分率が65%未満であり、硬質相分率が20%を超え、硬質相のサイズも6.0μmを超えた。そのため、DWTT保証温度が−35℃よりも高く、低温靭性が低かった。
試験番号20では、製造条件は適切であったものの、F1が式(1)の上限を超えた。そのため、平均結晶粒が15μmを超えた。さらにフェライト分率が65%未満、硬質相分率が20%を超え、硬質相のサイズが6.0μmを超えた。そのため、DWTT保証温度が−35℃よりも高く、低温靭性が低かった。さらに、降伏強度YSが570MPaを超えた。降伏比YRもL方向で0.93を超えた。
試験番号21では、製造条件が適切であったものの、F1が式(1)の下限未満であった。そのため、平均結晶粒が15μmを超え、粗大結晶粒率も20%を超えた。さらに硬質相分率が10%未満となり、硬質相のサイズが6.0μmを超えた。そのため、DWTT保証温度が−35℃よりも高く、低温靭性が低かった。さらに、引張強度TSが535MPa未満となり、低かった。降伏比YRもC方向及びL方向で0.93を超えた。
試験番号22では、V1、V2及びV3が低すぎたため、巻取り温度T4が580℃を超えた。そのため、平均結晶粒径が15μmを超え、粗大結晶粒率が20%を超えた。さらに、硬質相のサイズも6.0μmを超えた。その結果、降伏比YRがC方向及びL方向で0.93を超えた。さらに、DWTT保証温度が−35℃よりも高く、低温靭性が低かった。
試験番号23では、V1、V2及びV3が低すぎたため、巻取り温度T4が580℃を超えた。そのため、平均結晶粒径が15μmを超え、粗大結晶粒率が20%を超えた。さらに、硬質相のサイズも6.0μmを超えた。その結果、降伏強度YSが435MPa未満であり、引張強度TSも535MPa未満であった。降伏比YRもC方向及びL方向で0.93を超えた。さらに、DWTT保証温度が−35℃よりも高く、低温靭性が低かった。
試験番号24では、V2及びV3が低すぎたため、巻取り温度T4が580℃を超えた。そのため、硬質相分率も10%以下であった。その結果、降伏強度YSが435MPa未満であり、引張強度TSも535MPa未満であった。降伏比YRもC方向及びL方向で0.93を超えた。さらに、DWTT保証温度が−35℃よりも高く、低温靭性が低かった。
試験番号25では、V2が高すぎ、V3が低すぎた。そのため、硬質相分率が20%を超えた。その結果、DWTT保証温度が−35℃よりも高く、低温靭性が低かった。
試験番号26では、V3が低すぎた。そのため、硬質相のサイズが6μmを越えた。その結果、降伏比YRもC方向及びL方向で0.93を超えた。さらに、DWTT保証温度が−35℃よりも高く、低温靭性が低かった。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.06〜0.12%、
    Si:0.05〜0.3%、
    Mn:0.5〜2%、
    P:0.03%以下、
    S:0.01%以下、
    O:0.003%以下、
    Al:0.01〜0.035%、
    N:0.001〜0.008%、
    Nb:0.01〜0.25%、
    Ti:0.005〜0.03%、
    Ni:0.01〜0.2%、
    Mo:0.01〜0.2%、
    Cu:0.01〜0.3%、
    Cr:0〜0.3%、
    V:0〜0.01%、
    B:0〜0.003%、及び、
    Ca:0〜0.0030%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、式(1)を満たす化学組成を有し、
    厚さ中央部の組織において、平均結晶粒径が15μm以下、及び、結晶粒径が20μm以上の結晶粒の面積率である粗大結晶粒率が20%以下であり、フェライト分率が65%以上及び硬質相分率が10〜20%であり、
    硬質相のサイズは6.0μm以下である、ラインパイプ用鋼材。
    0.35≦C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/3+Nb/3≦0.40 (1)
    ここで、式(1)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
  2. 請求項1に記載のラインパイプ用鋼材であって、
    前記化学組成は、
    Cr:0.01〜0.3%、
    V:0.001〜0.01%、及び、
    B:0.0002〜0.003%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、ラインパイプ用鋼材。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のラインパイプ用鋼材であって、
    前記化学組成は、
    Ca:0.0005〜0.0030%を含有する、ラインパイプ用鋼材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のラインパイプ用鋼材であって、
    前記ラインパイプ用鋼材は、ラインパイプ用熱延鋼板である、ラインパイプ用鋼材。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のラインパイプ用鋼材であって、
    前記ラインパイプ用鋼材は、ラインパイプ用電縫鋼管である、ラインパイプ用鋼材。
  6. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の化学組成を有する素材を1060〜1150℃で加熱する工程と、
    加熱された前記素材に対して粗圧延及び仕上げ圧延を実施して鋼板とする工程と、
    前記仕上げ圧延後の前記鋼板に対して、870〜750℃の温度範囲を板厚中心が10〜50℃/sの冷却速度で強冷却する工程と、
    強冷却された前記鋼板に対して、750〜650℃の温度範囲を板厚中心が2〜5℃/sの冷却速度で徐冷却する工程と、
    徐冷却された前記鋼板に対して、650〜500℃の温度範囲を板厚中心が5〜10℃/sの冷却速度で強冷却する工程と、
    強冷却された前記鋼板を500〜580℃で巻取る工程とを備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載のラインパイプ用鋼材の製造方法。
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