本発明は、アルカリ蓄電池の正極で使用するために最適化された水酸化ニッケル活物質に関する。
政府支援声明
本発明は、エネルギー高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency-Energy)により認められたDE-AR0000386の下での政府支援でなされた。政府は、本発明において所定の権利を有する。
発明の背景
ニッケル金属水素化物(NiMH)電池(セル)は、水素の可逆的電気化学的貯蔵が可能な負電極(アノード)を使用する。NiMHセルは、通常では、水酸化ニッケル活物質を含む正極(カソード)を使用する。負極と正極とは、水性アルカリ電解質中で個別に隔てられている。セルを横切って電位が印加される際に、電解質からの水素イオンが電子と結合し、かつ水素貯蔵合金のバルク内に拡散して金属水素化物を形成する。放電の際に、貯蔵された水素は、金属水素化物からプロトンおよび電子として放出される。水は、電解質中でプロトンとヒドロキシルイオンから再形成される。
NiMH電池は、広範囲の種類の最終用途において、例えばデジタルカメラ、携帯電話などのような携帯用消費材、電気自動車およびハイブリッド自動車用途、ならびに工業的な予備用途において使用される。
水酸化ニッケル正極で起こる充放電反応は次のようである:
水酸化ニッケルは、充電時に酸化されてオキシ水酸化ニッケルとなり、放電時にオキシ水酸化ニッケルは還元されて水酸化ニッケルに戻る。
ニッケルカドミウム(NiCd)セルも、水酸化ニッケル活物質を含む正極を使用する。他のタイプのニッケルを基礎とするセルは、ニッケル水素、ニッケル亜鉛、およびニッケル鉄を含む。
カソードでの電気化学的反応は、Ni(OH)2の安定なNi2+β相とNiOOHのNi3+β相との間での1つの電子の移動を伴うことが公知である。これに基づく水酸化ニッケル活物質の理論的比容量は289mAh/gである。
Ni原子1つ当たり1より多くの電子の移動は、高い比容量を生じさせることになる。1より多くの電子を移動させることができる水酸化ニッケル材料は、例えば米国特許第5,348,822号、同第5,569,563号、同第5,567,549号、および同第6,228,535号に言及されている。これらの先行技術では、Ni原子1つ当たり1つの電子移動は、高度に酸化されたγNiOOH相を必要としてよい。
発明の概要
意外にも、所定の水酸化ニッケルカソード活物質は、可逆的な電気化学的条件下で、Ni原子1つ当たり>1.3の電子を移動可能であることが見出された。本水酸化ニッケル活物質の比容量は、例えば≧325mAh/gである。本発明のカソード活物質は、MHアノードに対して0.8V付近の付加的放電プラトーを示す。
本カソード活物質を使用する場合に、2より低い酸化状態のNi、例えばNi1+が、電気化学反応に参加できることが提案される。例えば、電気化学的条件下で、Ni原子1つ当たり2.3までの電子、2.5までまたはそれ以上の電子を移動することが可能である。
詳細な説明
正極の活物質は、電気化学セルの充放電反応に参加する。活物質は、一般に変性された水酸化ニッケルである。変性された水酸化ニッケルは、例えば米国特許第6,228,535号に教示されたような、Co、Cd、Ag、V、Sb、Ca、Mg、Al、Bi、Cr、Cu、Fe、In、希土類、Mn、Ru、Sn、Ti、Ba、Si、SrおよびZnからなる群から選択される1つ以上の変性剤を含んでよい。本開示において、「カソード活物質」、「水酸化ニッケル活物質」、「水酸化ニッケル材料」、「活物質」、「材料」等の用語は、交換可能であり、かつ全て変性された水酸化ニッケルに関する。変性された水酸化ニッケル中で、ニッケルは、一般に、組み合わせた他の材料以上の原子パーセントで存在する。本発明のカソード活物質は、例えば、変性剤およびその量の適切な選択によって達成される。本活物質は、製造プロセス条件および方法の適切な選択によって達成されてもよい。本活物質は、添加剤、結合剤、または電極の他の加工条件の適切な選択によって達成されてよい。更なる加工条件は、電極製造条件、例えばアニーリング、無電解メッキ、物理蒸着による表面被覆、湿式化学的浸漬による表面被覆、放射、およびまた電気化学的加工条件を含む。本活物質は、上記条件、変性剤、添加剤、プロセスなどの所定の組合せによって達成されてよい。
本発明のカソード活物質は、例えば米国特許第5,498,403号に教示されたような、例えばプレアミン錯体の形成を伴う一連の2つの反応器を使用する慣用の技術により製造されてよい。
一般に、水酸化ニッケル粒子は、ニッケル塩から不溶性の水酸化ニッケルへの変換が行われるpHおよび温度に維持された液体媒体中で、無機ニッケル塩とアルカリ金属水酸化物との反応により製造される。ニッケル塩は、一般に鉱酸の塩であり、かつ例えば硫酸ニッケル、硝酸ニッケルまたは塩化ニッケルである。アルカリ金属水酸化物は、例えばNaOH、KOHまたはLiOHである。
例えば、米国特許第5,498,403号は、第1の反応器中で、硫酸ニッケル溶液を水酸化アンモニウムと混合してアンモニウム錯体を形成させることを教示する。この錯体を第2の混合容器に送り、これをNaOHと結合させて、水酸化ニッケルを得る。
本発明の活物質は、米国特許第5,788,943号または同第6,019,955号に従って製造され、これら特許は、水酸化ニッケル材料の形成の間に反応混合物を超音波エネルギーに曝すことを教示する。例えば、前記955号特許は、Ni、CoおよびCaイオンを含む金属硝酸塩溶液を製造し、この溶液を水酸化アンモニウムで処理して沈殿物を形成させ、その間にこの反応混合物は超音波浴中にあることを教示する。沈殿物を濾過により捕集し、水およびNaOH溶液で洗浄する。
水酸化ニッケル材料は、また、米国特許第5,348,822号に記載された方法に従って製造することができる。この開示によると、組成的変性剤は、例えば、慣用の沈殿手順を用いて、水酸化ニッケル電極材料中に組み込まれる。電解質イオンを、例えば、アルカリ電解質溶液中での酸化により、層間領域内へ組み込むことができる。化学的変性剤を、例えば、酸化された水酸化ニッケル材料を塩溶液で処理することにより、層間領域内の非置換サイト内へ組み込むことができる。組成的変性剤、電解質イオンおよび化学的変性剤の組合せの組込は、特に有用であってよい。
これらの材料は、水酸化ニッケル電極材料のプレートの周囲での少なくとも1つの化学的変性剤の非置換的な組込を示してよい。「非置換的な組込」の表現は、層間サイトへのまたはプレートのエッジでの組込を意味する。化学的変性剤は、例えば、Al、Ba、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、SrおよびZnからなる群から選択される。
組成的変性剤は、例えば、金属、金属酸化物、金属酸化物合金、金属水素化物、および金属水素化物合金からなる群から選択される。例えば、組成的変性剤は、Al、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、In、LaH3、Mn、Ru、Sb、Sn、TiH2、TiOおよびZnの1つ以上を含む。組成的変性剤は、この材料自体内に組み込まれる。
例えば、酸化された水酸化ニッケルを、金属硝酸塩溶液および金属水酸化物で処理し、次いでこの硝酸塩溶液から陰極析出により沈殿させる。他の方法の場合に、酸化された水酸化ニッケルを、金属水酸化物を有する金属塩溶液で処理し、次いで引き続くアルカリ溶液での処理によって沈殿させる。酸化された水酸化ニッケル材料は、アルカリ溶液中での電気化学的酸化により、または適切な化学的酸化剤、例えば過酸化水素または次亜塩素酸ナトリウムで処理することにより製造されてよい。
例えば、本発明による材料を、水酸化ニッケル電極材料の最初の酸化により、ニッケルイオンの多くが3+状態になるように製造してよい。この水酸化ニッケル電極材料を、次いで、カチオン溶液で、例えば浸漬、濯ぎ、または吹付により処理する。この処理された材料を、次いで還元する。その結果、化学的変性剤は、水酸化ニッケル電極材料のプレートの周囲に非置換的に組み込まれる。この反応は、電気化学的または化学的に達成することができる。
化学的方法は、例えば、電極粉末を酸化溶液中に置き、この酸化された粉末をカチオン溶液で処理し、この処理された粉末の酸化を、熱水を用いて引き起こすことにより達成することができる。得られた粉末を、次いで、発泡したニッケル基材に貼り付けることができる。電気化学的方法は、成形された水酸化ニッケル材料を電気化学的に酸化し、この酸化された材料をカチオン溶液に浸漬し、電流を用いて酸化反応を引き起こすことにより達成することができる。化学的酸化および電気化学的還元、または電気化学的還元および化学的還元のようなこれらの方法の変法は教示されている。
方法は、また、電流密度の増大、パルス状のまたは断続的な充放電処理またはこれらの組合せを含む活性化方法を含む。本発明の材料は、また、Ba、Ca、Cs、K、Na、Ra、RbおよびSrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を、Br、Cl、FおよびOHからなる群の少なくとも1つの構成要素と組み合わせて含む電解質と組み合わせる工程を介して製造してもよい。このような電解質の特別な例は、KOHおよびCsFならびにKOHおよびCsOHを含む調製物を含む。
カソード活物質は、米国特許第6,086,843号に開示されたようなNi(OH)2微細粒子の核生成および成長を組み合わせる単一型反応器により製造してもよい。この方法は、ニッケルイオン溶液、水酸化アンモニウム溶液およびアルカリ金属水酸化物を合わせて、反応混合物を形成すること、およびこの反応混合物の過飽和を循環させることを含む。
水酸化ニッケル材料は、ニッケルイオン溶液をアルカリ金属水酸化物と合わせることにより製造してよい。ニッケルイオン溶液とアルカリ金属水酸化物との間の反応は、水酸化ニッケルの沈殿を引き起こす。水酸化ニッケル沈殿物を、単離し、洗浄しかつ乾燥してよい。ニッケルイオン溶液は、ニッケル塩溶液であってよい。ニッケル塩溶液は、硝酸ニッケル溶液、硫酸ニッケル溶液、塩化ニッケル溶液またはこれらの混合物であってよい。
例えば、水酸化ニッケル材料は、ニッケルイオン溶液と水酸化アンモニウム溶液とを合わせて、ニッケル−アンモニウム錯体を形成させることにより製造される。このニッケルアンモニウム錯体をアルカリ金属水酸化物と反応させる場合、球状の水酸化ニッケル沈殿物が成長する。
ニッケルイオン溶液と、アルカリ金属水酸化物と、水酸化アンモニウム溶液との間の反応は、単一型反応容器中で同時に実施してよい。あるいは、ニッケルイオン溶液と水酸化アンモニウム溶液を共に第1の反応容器中で予備混合して、ニッケル−アンモニウム錯体を形成させる。このニッケル−アンモニウム錯体を、次いで、アルカリ金属水酸化物と、第2の反応容器中で混合して、水酸化ニッケル沈殿物を含む反応混合物を生成する。一般に、水酸化ニッケルの製造方法は、反応容器の特定の数に制限されない。
この方法は、ニッケルイオン溶液と、水酸化アンモニウム溶液と、アルカリ金属水酸化物とを合わせることにより生成される反応混合物の過飽和を循環する工程を含む。一般に、溶液は、特定の条件で、その溶解度により許容される溶質の最大量を含む場合に、「飽和」である。飽和は平衡条件である。溶液は、溶液が飽和溶液に見られる濃度を超える溶質の濃度を含む場合に、「過飽和」である。
溶液の「過飽和」は、任意の時点での溶液中の溶質の濃度と同じ溶質の飽和溶液中での平衡濃度との間での差である。過飽和は非平衡条件であり、かつ反応混合物が飽和の平衡条件に向かってそれ自体を緩和しようとする際に沈殿を引き起こす。「相対的過飽和」は、ここでは、過飽和を、溶質の平衡濃度で除算するものと定義される。
反応溶液の過飽和は、多様な方法で循環させてよい。過飽和は、任意の時点で溶液中での溶質の濃度を変化させるか、または同じ溶質の飽和溶液中での平衡濃度を変化させることにより変えることができる。よって、この過飽和を、反応混合物のpH、温度および/または圧力の変更により循環させてよい。この過飽和を、反応混合物の試薬の濃度の変更により循環させてもよい。
過飽和を循環させる好ましい方法は、混合物のpHの循環による。反応混合物のpHは、混合物に添加されたアルカリ金属水酸化物溶液の体積量を循環させることにより循環させてよい。これは、反応混合物へのアルカリ金属水酸化物溶液の流れを循環させることにより行ってよい。これは、反応混合物のpHを、連続的、循環的な様式で変化させ、それにより過飽和を循環させる。アルカリ金属水酸化物溶液の体積量が増加する場合、混合物のpHは上昇し、かつ水酸化ナトリウム溶液の体積量が減少する場合、混合物のpHは低下する。
反応混合物の過飽和を循環させることが、水酸化ニッケル沈殿物の核生成および粒子成長の相対速度を変化させると考えられる。核生成は、自発的成長を可能にする最小の粒子を生じさせるプロセスである。この最小サイズの粒子を核という。核生成を開始させるために、最小数のイオンまたは分子を一緒に集めなければならず、こうして、粒子のための出発核が製造される。一般に、核を形成する速度は、過飽和の増加と共に増大する。核生成の速度は、反応混合物の過飽和により指数的に増大できると考えられる。粒子成長は、反応混合物中に既に存在する核の成長である。粒子成長は、反応混合物の過飽和に正比例して増加できると考えられる。
上述に検討したように、過飽和を循環する好ましい方法は、溶液のpHを変化させることである。pHの上昇は、反応混合物の過飽和を増大させる。比較的高いpH値で、水酸化ニッケル沈殿は、「核生成期間」にあり、それにより、核生成速度の成長速度に対する比率は高い。この期間で、沈殿は、主に多くの小さな結晶子核を形成し、この核に小さな結晶子の成長が行われる。他方で、pHの低下は、反応混合物の過飽和を減少させる。比較的低いpH値で、この沈殿は、いわゆる「成長」期間であり、核生成速度の粒子成長速度に対する比率は低い。この期間で、いくつかの核は形成され、かつ沈殿は、予め形成された結晶子核の成長が主に引き起こされる。
よって、沈殿反応混合物のpHを循環させる場合、成形する水酸化ニッケル粒子の核生成速度の成長速度に対する比率における連続的な変化を引き起こす反応の連続の成長期と核生成期との間で循環も生じる。核生成と成長との相対的な速度におけるこの連続的な変化が、内部の不完全性および無秩序を作り出し、かつ水酸化ニッケル材料の独自のマイクロ構造およびマクロ構造を付与すると考えられる。
米国特許第6,086,843号による方法は、構造的に変性された水酸化ニッケル材料を製造する。製造された水酸化ニッケルは、マイクロ構造的なおよびマクロ構造的な変性を示すほぼ球形の粒子形状である。「マクロ構造的な変性」は、材料の「マクロ構造パラメータ」の1つ以上を変性することと定義される。材料の巨視的パラメータは、細孔面積、細孔容積、細孔直径、細孔形状、細孔分布、平均粒子サイズ、平均粒子形状、粒子サイズ分布、BET表面積、およびタップ密度を含む。「ミクロ構造的な変性」は、材料の微視的パラメータの1つ以上を変性することと定義される。材料の微視的パラメータは、結晶子サイズ、結晶子形状およびX線回折データにより決定される結晶格子を含むが、これらに限定されるものではない。
本活物質は、米国特許第6,177,213号に開示された方法により製造されてよい。この方法は、ニッケルイオン溶液と、苛性アルカリ溶液と、導電性材料とを合わせることを含み、この場合、複合正極材料を含む沈殿溶液が形成される。この合わせる工程は、導電性材料をニッケルイオン溶液と混合して懸濁液を形成する工程;およびこの懸濁液を苛性アルカリ溶液と混合する工程を含んでよい。この方法は、ニッケルイオン溶液と、苛性アルカリ溶液と、核生成粒子とを合わせることを含み、この場合、複合正極材料を含む沈殿溶液が形成される。この合わせる工程は、ニッケルイオン溶液と核生成粒子とを混合して、それによりニッケルイオン溶液中の核生成粒子の懸濁液を形成すること;および苛性アルカリ溶液とこの懸濁液とを混合することを含んでよい。
米国特許第6,177,213号により製造された複合正極材料は、正極材料の粒子、および導電性材料、および/または正極材料の粒子内に少なくとも部分的に埋め込まれた核生成粒子を含む。複合材料を製造する一般的な方法は、正極材料を、沈殿浴中に懸濁された導電性材料に沈殿させることによる。この方法は、ニッケルイオン溶液の供給源、導電性材料の供給源、および苛性アルカリ(水酸化ナトリウム)の供給源を必要とする。一般に、この方法は、ニッケルイオン溶液と、苛性アルカリ溶液と、導電性材料とを合わせて、複合正極材料を含む沈殿溶液を形成させることを含む。
ニッケルイオン溶液は、任意に、水酸化ニッケル材料の性能の変性および向上のための他の金属イオンを含む。ニッケルイオン溶液は、さらに、例えば、Al、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pb、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、YおよびZnからなる群から選択される1つ以上の金属イオンを含んでよい。ニッケルイオン溶液は、硫酸塩溶液、硝酸塩溶液、およびこれらの混合物からなる群から選択されてよい。
苛性アルカリ溶液は、一般に、水酸化ニッケル沈殿の技術において標準のような著しく濃縮された水酸化ナトリウム溶液である。先行技術の沈殿プロセスと同様に、水酸化ナトリウムを、部分的に他のアルカリ金属水酸化物の水酸化物に置き換えることができる。例えば、複合水酸化ニッケル材料を製造する方法は、導電性材料をニッケルイオン溶液と混合して懸濁液を形成することを含む。次いで、この懸濁液を反応容器中で苛性アルカリ溶液と混合する。よって、この実施態様の場合に、導電性材料を、苛性アルカリと混合する前に、ニッケルイオン溶液中に懸濁させる。導電性材料は、例えば球、長球、円柱または繊維の形のニッケル粒子を含む。ニッケルイオン溶液に懸濁させると、導電性粒子は、水酸化ニッケル材料の沈着のために核生成サイトとして機能する。懸濁液を形成した後、次いで、苛性アルカリ溶液を懸濁液と混合して、水酸化ニッケル材料を導電性粒子上に沈殿させ、それにより沈積物を形成させる。水酸化ニッケルが導電性粒子に堆積する際に、導電性粒子は、少なくとも部分的に水酸化ニッケル材料中に埋め込まれるようになる。
導電性材料は、Ni、Ni合金、Cu、Cu合金、炭素、黒鉛、酸化銅、酸化コバルト、酸化インジウムスズ、酸化物、窒化物、炭化物、ケイ化物およびホウ化物からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含んでよい。核生成粒子は、導電性または非導電性であり、かつNi粒子のような導電性材料を含んでよい。
このプロセスの1態様は、導電性粒子を、ニッケルイオン溶液、例えば硫酸ニッケル溶液中に最初に懸濁させることにより、反応容器に添加することである。このように添加する場合、核生成および沈殿は良好に行われる。あるいは、導電性粒子を、沈殿反応器に直接導入してよい。
水酸化アンモニウムの供給源も提供される。水酸化アンモニウムをニッケルイオン溶液と混合して、金属イオンを有するアミン錯体を形成させる。このアミン錯体を、次いで、苛性アルカリ溶液と反応させて、水酸化ニッケル材料を形成させる。水酸化アンモニウム溶液と金属イオン溶液とを混合する工程は、ニッケルイオン溶液と導電性粒子との混合の工程の前にまたはそれと同時に行ってよい。水酸化アンモニウム溶液をニッケルイオン溶液と混合する工程は、ニッケルイオン溶液を導電性粒子と混合する工程の後であるが、苛性アルカリ溶液を懸濁液と混合する工程の前に行ってよい。さらに、水酸化アンモニウム溶液をニッケルイオン溶液と混合する工程は、苛性アルカリ溶液を懸濁液と混合する工程と同時に行ってよい。
この方法は、さらに、複合正極材料を沈殿溶液から分離することを含んでよい。複合正極材料は、脱イオン水および/または苛性アルカリ溶液で洗浄してよい。
このプロセスでのこれらの溶液の濃度は可変である。導電性粒子は、最終的な水酸化ニッケル粉末の約0.1質量%〜約35質量%、または約2質量%〜約10質量%を形成してよい。
カソード活物質は、好ましくは、米国特許第6,228,535号の実施例に開示された方法により製造してよい。この方法は、連続式に攪拌する槽型反応器(CSTR)コンセプトを使用する。例えば、本活物質を、金属硫酸塩混合物(MeSO4)、金属硝酸塩混合物(MeNO3)、NH4OHおよびNaOHを、単一型反応器中で反応させ、この反応器を約20℃〜約100℃、約40℃〜約80℃、または約50℃〜約70℃の一定温度で維持し、この組合せ物を約400〜約1000rpm、約500〜約900rpm、または約700〜約800rpmの速度でかき混ぜ、かつpHを、約9〜約13、約10〜約12、または約10.5〜約12.0に調節し、かつ液相と気相の両方のアンモニア濃度を調節することにより製造してよい。
このプロセス中でMeSO4の金属は、Niおよび、例えばCo、Zn、Mg、Cu、Mn、Al、Bi、Cr、Fe、In、La、Y(および他の希土類)、Ru、Sb、Sn、Ti、Ba、SiおよびSrから選択される1つ以上の任意の変性剤を含む。MeNO3は、所望の場合に、Caのような金属を含む。
MeSO4溶液は、NiSO4約3〜約30質量パーセント(質量%)、約5〜約25質量%、または約7〜約12質量%を、所望の金属を含む他の硫酸塩溶液と混合することにより調製される。全体として、反応器に添加された金属硫酸塩溶液は、約0.5〜約10M(モル)、約1〜約7M、または約2〜約5Mである。反応器に添加されたNH4OH溶液は、約2〜約30M、約5〜約20M、または約8〜約15Mである。反応器に添加されたNaOH溶液は、約5〜約50質量%、約8〜約40質量%、または約15〜約30質量%である。脱イオン水がこの溶液のために使用される。
反応器中の混合物のpHは調節される。これは、例えば、必要に応じて塩基、例えばKOHまたはNaOH溶液、例えば約20〜約60質量%のKOHまたはNaOHの添加により達成される。かき混ぜは、例えば攪拌、かき混ぜまたは超音波により行われる。
Caを、所望の場合に、水酸化ニッケル活物質のバルク中に組み込むために、Ca(NO3)2、CaCl2などの別個の溶液を製造し、かつこの溶液を反応器に独立して導入することが好ましい。カルシウム溶液は、例えば水中の約0.5〜約20質量%、約2〜約15質量%、または約11〜約18質量%の溶液である。
このプロセスは、連続的沈殿プロセスであり、したがって、それぞれの成分の添加およびスラリー生成物の除去を、相補する速度で、スラリーが最大量の沈殿生成物および最小量の未反応成分を含むように調節する必要がある。スラリーを排出する場合、このスラリーを濾過し、沈殿生成物を捕集する。
カソード活物質は、米国特許第7,396,379号に教示されたように製造してよい。この開示は、例えば、金属硫酸塩溶液、水酸化アンモニウム、NaOHおよび酸化剤を、反応器中で合わせ、温度を、約20℃〜約100℃、約40℃〜約80℃、または約50〜70℃に維持し、混合物を、約400〜約1000rpm、約500〜約900rpm、または約700〜約850rpmの速度でかき混ぜ、pHを、約9〜約13、約10〜約12、または約10.5〜約12.0に調節し、かつ液相および気相のアンモニア濃度を調節することを教示する。このプロセスは、部分的に酸化された水酸化ニッケルを提供する。
変性剤は、例えばAl、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pb、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、YおよびZnからなる群から選択される1つ以上の金属である。
例えば、本カソード活物質は、式(Ni,Me)(OH)2の水酸化ニッケル材料であり、ここで、Meは、Al、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pb、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、YおよびZnからなる群から選択される1つ以上の金属であり、かつNiは、Niと金属Meとの合計を基準として≧50、≧55、≧60または≧65のレベルで存在する。
適切な変性された水酸化ニッケル材料は、(Ni,Co,Zn)(OH)2、(Ni,Co)(OH)2、(Ni,Co,Al)(OH)2および(Ni,Co,Zn,Al)(OH)2を含む。例えば、変性された水酸化ニッケル材料は、(Ni,Co)(OH)2を含み、Niは、NiおよびCoを合わせた合計100原子%を基準として、約89原子パーセント(原子%)〜約99原子%存在し、かつCoは、約1原子%〜約11原子%存在する。例えば、Niは、NiおよびCoを合わせた合計100原子%を基準として、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、または約98原子%であり、かつCoは、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10原子%である。
例えば、適切な水酸化ニッケル活物質は、(Ni,Co,Al)(OH)2を含み、Niは、Ni、CoおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、約80原子%〜約90原子%存在し、かつCoおよびAlは一緒に、約10〜約20原子%である。例えば、Niは、Ni、CoおよびAlの合計100原子%を基準として、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、または約89原子%であり、かつCoおよびAlは合わせて、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、または約19原子%である。
適切な水酸化ニッケル活物質は、(Ni,Co,Zn,Al)(OH)2を含み、Niは、Ni、Co、ZnおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、約64〜約74原子%存在し、かつCo、ZnおよびAlは一緒に、約26〜約36原子%存在する。例えば、Niは、Ni、Co、ZnおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、または約73原子%で存在し、かつCo、ZnおよびAlは一緒に、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、または約35原子%で存在する。
CoおよびAlの両方を含む本活物質中のCo対Alの原子比は、例えば、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である。例えば、Co対Alの原子比は、約1:1〜約1:5、または約1:2〜約1:4である。
CoおよびZnの両方を含む本活物質中のCo対Znの原子比は、例えば、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である。例えば、Co対Znの原子比は、約1:2〜約2:1、または約1:1.5〜約1.5:1である。
ZnおよびAlの両方を含む本活物質中のZn対Alの原子比は、例えば、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である。例えば、Zn対Alの原子比は、約1:1〜約1:5、または約1:2〜約1:4である。
本変性された水酸化ニッケル材料は、例えばNi0.94Co0.06(OH)2、Ni0.85Co0.05Al0.10(OH)2およびNi0.69Co0.05Zn0.06Al0.2(OH)2を含む。
水酸化ニッケル電極活物質は、粒子形状である。この粒子は、一般に、球または長球の形状である。この粒子は、例えば、ほぼ球、例えばマイクロスケールの球である。この球は、例えば、平均で約0.1〜約100マイクロ、約1〜約80マイクロ、約2〜約60マイクロ、約3〜約50マイクロ、約4〜約40マイクロ、約5〜約30マイクロ、または平均で約5〜約20マイクロである。
例えば、水酸化ニッケル活物質は、約1〜約10マイクロ、約5〜約20マイクロ、約10〜約15マイクロ、約3〜約8マイクロ、または約3〜約5マイクロの平均サイズを示す球状粒子の形状である。特定のプロセスにより捕集された粒子は、所望の粒子サイズに達するまで篩別されてよい。
粒子サイズは、球についての直径である最大半径により測定される。他の形状の最大半径は、平均で約0.1〜約100マイクロであってもよい。
水酸化ニッケル活物質は、最大直径に沿って約70〜約160オングストロームの平均化された微細な結晶子の形成された粒子を含んでよい。例えば、結晶子サイズは、約50〜約150オングストローム、約60〜約130オングストローム、または約70〜約120オングストロームである。結晶子サイズは、約80、約90、約100、約110、または約140、およびその間のサイズであってよい。結晶子サイズは、水酸化ニッケル粉末試料についてのX線回折パターンの1つの粒子反射ピーク、すなわち(101)方向の半値全幅(FWHM)を用いるシェラーの式により定義される。この結晶子サイズは、歪、閉じ込められた水および/または他のイオン、局所的組成の無秩序、または他の要因からの線幅の広がりにより、全体の粉末を構成する微細な結晶の物理的直径に直接相関していなくてよい。
水酸化ニッケル粒子は、好ましくは、≧1.8g/cc、≧1.9g/cc、≧12.0g/cc、≧2.1g/cc、または≧2.2g/ccの高いタップ密度を示してよい。カソード活物質のタップ密度は、約1〜約30g/ccであってよい。
水酸化ニッケル粒子は、好ましくは、例えば≧2.7g/ccの高い装填密度を示してよい。活物質の装填は、全体の正極の、したがって全体の電池エネルギー密度にとって重要である。
活物質は、例えば≧14m2/g、≧17m2/g、または≧20m2/gのBET(Brunauer-Emmett-Teller)表面積を示してよい。活物質は、≧0.5m2/g、≧1.0m2/g、または≧1.5m2/gの細孔面積を示してもよい。カソード活物質の細孔容積は、例えば≧0.02cm3/g、≧0.025cm3/g、または≧0.03cm3/gである。
本カソード活物質を使用する場合に、Ni+1は電気化学的反応に関与できることが提案される。したがって、電気化学的条件下で、Ni原子1つ当たり2.3までの電子、2.5までまたはそれ以上の電子を移動することが可能である。
本水酸化ニッケルカソード活物質は、可逆的な電気化学的条件下で、Ni原子1つ当たり>1.3の電子を移動可能である。例えば、本カソード材料は、可逆的な電気化学的条件下で、Ni原子1つあたり≧1.4、≧1.5、≧1.6、≧1.7、≧1.8、≧1.9、≧2.0、≧2.1、≧2.2、≧2.3、≧2.4、または≧2.5の電子を移動可能である。
本水酸化ニッケル活物質の比容量は、例えば≧325mAh/gである。例えば、本水酸化ニッケル活物質の比容量は、≧330mAh/g、≧335mAh/g、≧340mAh/g、≧350mAh/g、≧360mAh/g、≧370mAh/g、≧380mAh/g、≧390mAh/g、≧400mAh/g、≧420mAh/g、≧440mAh/g、≧460mAh/g、≧480mAh/g、≧500mAh/g、≧520mAh/g、≧540mAh/g、≧560mAh/g、≧580mAh/g、≧600mAh/g、≧620mAh/g、または≧630mAh/gである。
本発明のカソード活物質は、再充電可能なアルカリセルにおいて、金属水素化物アノードに対して、例えばAB5MHアノードに対して、0.8V付近の付加的放電プラトーを示す。「付近」の用語は、「約」を意味し、例えばプラスまたはマイナス1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%を意味する。
プラトーは、電圧対時間放電曲線で観察される明らかな水平の変曲である。プラトーは、仮にあったとしても、平坦でかつ水平線から数mVだけ逸れるだけであってよい。プラトーは、Ni原子1つ当たりの1つの電子移動当たり、水平線から、例えば1mVまで、3mVまで、5mVまで、10mVまで、20mVまで、50mVまで、または100mVまで逸れてもよい。
正極は、正極組成物から作製される。正極組成物は、水酸化ニッケル材料および任意に結合剤および添加剤から選択される1つまたはそれ以上の成分を含む。
例えば、電極組成物は、添加剤、例えばコバルト化合物、亜鉛化合物、希土類化合物または炭素材料を含んでいてよい。炭素材料は、例えば、黒鉛、グラフェン、コークスまたはカーボンブラックである。
本水酸化ニッケル正極は、例えば焼結されていてもまたは貼り付けられていてもよい。
一般に、焼結された正極は、ニッケルメッキされた鋼基材にニッケル粉末スラリーを塗工し、引き続き高温で焼結することにより構築される。このプロセスは、ニッケルの個々の粒子をその接触点で溶接して、開放容積約80%および固体金属20%である多孔質材料を生じる。この焼結された材料を、次いで、硝酸ニッケルの酸性溶液中に浸漬し、引き続きアルカリ金属水酸化物との反応により水酸化ニッケルに変換することにより活物質により含浸される。含浸後に、この材料は電気化学的化成に供される。
今のところ焼結され、成形されまたは貼り付けられた水酸化ニッケル正極は、NiCdセルおよびNiMHセルで使用される。焼結された電極の製造方法は、この分野で周知である。慣用の焼結された電極は、通常では、約480〜500mAh/ccのエネルギー密度を示す。
貼り付けられた電極は、導電性基材と接触する水酸化ニッケル粒子を含んでいてよく、かつ結合剤なしのドライペーストまたは結合剤を含むウェットペーストにより製造することができる。貼り付けられた電極は、例えば活性水酸化ニッケル粒子を含むペーストを導電性基材に塗工し、引き続きロールプレスすることにより製造することが簡単である。
導電性基材は、電極活物質用の任意の導電性支持体に関する。この基材は、フォーム、格子、スクリーン、メッシュ、マット、プレート、繊維、箔、エキスパンデッドメタルまたは任意のタイプの支持体構造の形であってよい。これは、慣用のニッケル箔、プレートおよびフォーム、ならびに炭素網目構造、繊維およびオキシ水酸化コバルト網目構造の形を採ってもよい。これは、任意の導電性材料、例えばニッケル、ニッケル合金、銅または銅合金から製造されてよい。例えば、導電性基材は、ニッケル、ニッケル合金、ニッケルメッキされた鋼またはニッケルメッキされた銅である。例えば、導電性基材は、ニッケルフォームである。発泡させたまたは塗りつけられた電極は、約600mAh/ccのエネルギー密度で製造することができる。
適切なポリマーの結合剤は、例えば米国特許第5,948,563号、同第6,171,726号、同第6,573,004号、同第6,617,072号、および米国特許出願公開第2011/0171526号明細書に教示されている。
ポリマーの結合剤は、例えば、熱可塑性有機ポリマーであり、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリメチルメタクリラート、ポリメチルアクリラート、ポリエチルメタクリラート、酢酸アリル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、多環式チオエーテル、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタラート、ポリカルボナートおよびポリアミドからなる群から選択される。上述のブレンドおよびコポリマーも適している。
ポリマーの結合剤は、エラストマーまたはゴム、例えばスチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーまたはスチレン−アクリロニトリル−ブタジエン−メチルアクリラートコポリマーであってもよい。
結合剤は、例えば、≦30,000、例えば約2,000〜約35,000g/mol、例えば約2,500〜約30,000g/mol、約5,000〜約28,000g/mol、または約10,000〜約26,000g/molの平均分子量Mwを示してよい。
正極組成物は、電極組成物の質量を基準として、例えば電極活物質約75〜約99.8質量パーセント(質量%)、ポリマーの結合剤約0.2〜約10質量%、および添加剤0〜約24.8質量%を含む。
例えば、ポリマーの結合剤は、電極組成物中に、電極組成物の質量を基準として約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、または約2.1質量%の質量レベルで存在する。
あるいは、導電性基材がニッケルフォームである場合、この電極組成物は、結合剤を含まなくてよい。電極組成物は、電極活物質および任意の添加剤だけを含んでよい。この場合、正極組成物は、例えば電極活物質約75〜100質量%、および添加剤0〜約25質量%を含む。
正極組成物は添加剤を含んでよい。例えば、電極組成物は、コバルト化合物、亜鉛化合物、希土類化合物または炭素材料のような添加剤を含んでよい。炭素材料は、例えば黒鉛、グラフェン、コークス、またはカーボンブラックである。
正極組成物は適切な増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤は、例えばセルロース系ポリマー、その塩、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸またはそれらの塩などである。増粘剤は、電極組成物中に、組成物の質量を基準として約0.2質量%〜約1.5質量%のレベルで存在してよい。
このペーストは、電極組成物を含むが溶媒を含まないドライペーストであってよい。あるいは、このペーストは、電極組成物の成分、ならびに、水、有機溶媒およびこれらの組合せから選択される溶媒を含んでよい。
溶媒は、例えば水および有機溶媒、例えばN−メチルピロリドン、キシレン、トルエン、アセトン、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、ヘプタン、ヘキサン、テトラヒドロフランなどを含む。
ポリマーの結合剤は、水性溶媒または有機溶媒中に溶解する、部分的に溶解するまたは不溶性であってよい。ペーストスラリーを導電性基材に塗工(貼り付け)した後に、これは、一般に、溶媒を除去するために乾燥される。スラリーを室温で乾燥させてよく、または例えば約60℃、70℃、80℃、または90℃までで乾燥されてよい。乾燥は炉中で行ってよい。乾燥のために必要な最短時間は、水および/または有機溶媒の完全な除去を生じる時間である。
貼り付けおよび乾燥の後に、電極は、最終的に所望の厚みを達成するために、プレス型中でまたはロールプレス、またはカレンダ、または同様の装置を用いて成形されてよい(プレス工程)。所望な厚みは、例えば約21mil〜約33milである。
「塗工工程」は、「貼り付け工程」と同じである。
水酸化ニッケル活物質を含む本正極は、再充電可能なアルカリ電気化学セルで使用される。電気化学セルは、例えばNiMHセル、NiCdセル、NiZnセル、NiFeセルまたはNi水素セルである。
再充電可能なアルカリセルは、少なくとも1つの負極、少なくとも1つの本正極、これらの電極を中に配置するケーシング、負極と正極とを隔てるセパレータ、およびこれらの電極と接触するアルカリ電解質を含む。
負極(アノード)は、例えば、水素を可逆的に負荷および放出可能な金属水素化物(MH)を含む。MH合金の活物質は、水素を貯蔵可能なABx型合金を含み、ここでxは、約0.5〜約5.5である。Aは水素化物を形成する元素であり、Bは弱く水素化物を形成するかまたは水素化物を形成しない元素である。この合金は、水素を可逆的に吸収または脱着可能である。適切な合金は、例えば米国特許第4,623,597号、同第5,096,667号、同第5,536,591号、同第5,840,440号、同第6,270,719号、同第6,536,487号、同第8,053,114号、同第8,124,281号、同第7,829,220号、同第8,257,862号、および同第8,409,753号、および米国特許出願公開第2013/0277607号明細書および同第2006/057019号明細書に教示されている。
このABx型合金は、例えば、AB(HfNi、TiFe、TiNi)、AB2(ZrMn2、TiFe2)、A2B(Hf2Fe、Mg2Ni)、AB3(NdCo3、GdFe3)、A2B7(Pr2Ni7、Ce2Co7)、およびAB5(LaNi5、CeNi5)のカテゴリー(単純な例)である。
電解質は、一般に、KOHを含む、例えば水性KOH30質量%を含む水性アルカリ電解質である。
負極を正極から隔てるセパレータが存在してよい。セパレータは、例えば天然繊維または合成繊維の不織布ウェブである。天然繊維は綿を含む。合成繊維は、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、PP/PEコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニルおよびガラスを含む。
再充電可能な本アルカリセルは、ベント型セルまたは密閉型セルであることができる。通常運転の間に、ベント型セルは、一般に、通常運転条件の一部として過剰圧力を放出するガスの通気を可能にする。反対に、密閉型セルは、一般に通気を可能にしない。この差異の結果として、ベントアッセンブリおよびセル容器内の電解質の量は、電極寸法形状の相違に関連する。
ベント型セルは、「液浸条件(flooded condition)」で運転される。「液浸条件」の用語は、電極が完全に浸漬され、電解質により覆われかつ電解質で濡れることを意味する。例えば、このようなセルは、しばしば「液浸セル」といわれる。ベント型セルは、一般に、1平方インチ当たりわずか数ポンドの極めて低い運転圧力となるように設計され、これにより過剰圧力はベントメカニズムによって緩和される。
反対に、密閉型セルは、「欠乏した」電解質構成、すなわち、ガス再結合を可能にするために必要な最小量の電解質だけで運転するように設計される。密閉型セルのための筐体は、通常では金属であり、かつセルは約100psi(絶対圧)までまたはそれ以上で運転されるように設計されていてよい。このセルは封止されているため、このようなセルは周期的なメンテナンスを必要としない。
一般に、消費材中での使用のための密閉型の再充電可能なアルカリセル、例えばC型セルは、負端子として円筒形のニッケルメッキされた鋼ケースを使用し、正端子としてセルカバーを使用する。絶縁体が、正のカバーを、負のセル缶から隔てている。電極は、反対の極性の電極と一緒に、例えばナイロンまたはポリプロピレンの多孔質の、織布または不織布のセパレータにより互いに絶縁されて、コンパクトな「ジェリーロール」の形に巻き付けられる。タブが、単一回路を作り出すためにそれぞれの電極から延び、この単一回路を通して充放電の間に全体の電極エリアに電流が分配される。各電極のタブは、そのそれぞれの末端に電気的に接続される。
密閉型セルの場合に、ニッケルを基礎とする正極の放電容量は、電解質の量、活物質の量、および充填効率により制限される。NiCd負電極およびNiMH負電極の充電容量は、両方とも、最適な容量を維持しかつ過充電保護を提供するために過剰に供給される。運転寿命、つまり密閉型セルの充放電の利用可能な回数は、一般に、セルを有用とする用途の種類を決定する。より多くのサイクルに耐えることができるセルは、より大きな潜在的な用途を示す。したがって、より長い運転寿命のセルがより望ましい。任意の型の電極についての付加的な目標は、できる限り高いエネルギー密度を得ることである。
本セルは、ニッケル金属水素化物(NiMH)セル、ニッケルカドミウム(NiCd)セル、ニッケル水素セル、ニッケル亜鉛セル、およびニッケル鉄セルを含む。
「電池」および「セル」の用語は、1つのセルに関する場合に交換可能に使用でき;「電池」の用語は、電気的に相互に接続された複数のセルに関してもよい。
水酸化ニッケル活物質を使用するカソードでの電気化学反応は、Ni(OH)2の安定なNi2+β相とNiOOHのNi3+β相との間の1つの電子の移動を含むことが公知である。このことに基づく水酸化ニッケル活物質の理論的な比容量は、289mAh/gである。
本カソードを使用する電気化学セル中での放電の間に、>1.2Vでかつ<1.3VでのNiの+3.3(またはそれより高い)から+3への酸化状態の移行、約1.2Vでの+3から+2への酸化状態の移行、および約0.8Vで+2から+1(またはそれより低い)への酸化状態の移行が割り当てられる2つまたは3つの放電プラトーが観察される。
本カソード活物質によって、Ni(OH)2α相およびNiOOHγ相を介した可逆的な電気化学的サイクルが可能である。本活物質は、充放電サイクルの間に、Ni原子1つ当たり1.3より多い、1.5より多い、2以上の電子移動が可能である。289mAh/gより遙かに大きい比容量が、水酸化ニッケルを基礎として達成される。
Ni1+が、本カソード活物質との電気化学反応に関与できることが提案される。K+のようなカチオンが水インターカレーション層内に捕らえられ、かつNiの酸化状態が+2から+1あるいはそれより低く低下することを許容する場合、Ni1+を有するα−Ni(OH)2が形成されてもよい。
電気化学セル内での放電の間に、カソード活物質中のNiは2より低い酸化状態に達してもよい。
ここでの全ての測定値は、25℃および大気圧で決定される。
実施態様の構成要素に関する「a」および「an」の用語は、「1つ(one)」を意味しても、または「1つまたはそれ以上」を意味してもよい。
「約」の用語は、例えば、典型的な測定手順および取り扱い手順による;これらの手順における偶発的なエラーによる;使用される成分の製造、供給源または純度の差による;使用される方法の差などにより起こりえる変化を指す。「約」の用語は、特定の初期混合物から生じる組成物についての異なる平衡条件のために異なる量を含む。「約」の用語により修飾されているか否かにかかわらず、実施態様および特許請求の範囲は、列挙された数量と同等の数量を含む。
全ての数値は、ここで、明確に示されているかどうかにかかわらず、「約」の用語により修飾されている。「約」の用語は、一般に、当業者が、列挙された値と同等の値(すなわち、同じ機能および/または同じ結果を示す)を考慮するであろう数の範囲を指す。多くの場合において、「約」の用語は、最も近い有効数字に丸められた数字を含んでよい。
「約」の用語により修飾された値は、もちろん特定の値を含む。例えば、「約5.0」は、5.0を含まなければならない。
「ほぼ〜からなる」の用語は、付加的な成分、工程および/または部分が、請求項に記載された組成物、方法または構造の基本的かつ新規の特徴を著しく変更しない場合にだけ、組成物、方法または構造が、付加的な成分、工程および/または部分を含んでもよいことを意味する。
ここに議論された米国特許明細書、米国特許出願公開明細書および米国特許明細書は、それぞれ参照によりここに取り込まれる。
次のものは本発明のいくつかの実施態様である。
E1.活物質が、Ni原子1つ当たり>1.3の電子を移動可能である、例えばNi原子1つ当たり≧1.4、≧1.5、≧1.6、≧1.67、≧1.7、≧1.8、≧1.9、≧2.0、≧2.1、≧2.2、≧2.3、≧2.4、または≧2.5の電子を移動可能である再充電可能なアルカリ電気化学セルで使用するための水酸化ニッケルカソード活物質。
E2.活物質の比容量は、≧325mAh/g、例えば、≧330mAh/g、≧335mAh/g、≧340mAh/g、≧350mAh/g、≧360mAh/g、≧370mAh/g、≧380mAh/g、≧390mAh/g、≧400mAh/g、≧420mAh/g、440mAh/g、≧460mAh/g、≧480mAh/g、または≧500mAh/g、例えば、≧520mAh/g、≧540mAh/g、≧560mAh/g、≧580mAh/g、≧600mAh/g、≧620mAh/g、または≧630mAh/gであり、これは全体の活物質を基準とし、Ni(OH)2を基準とするものではない、実施態様1記載のカソード活物質。
E3.Niは、再充電可能なアルカリセルの充放電サイクルの間に、+2より低い、≦+1.8、≦+1.6、≦+1.4、≦+1.2または≦+1の酸化状態に達し、換言すると、Niは、充放電サイクルの間に、いくつかの点でこれらの酸化状態であってよい、実施態様1または2記載のカソード活物質。
E4.再充電可能なアルカリセルの充放電サイクルの間に、金属水素化物アノードに対して0.8V付近の(約0.8Vでの)放電プラトーを示す、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E5.1.2V付近の(約1.2Vでの)放電プラトー、および>1.2Vでかつ<1.3Vでの放電プラトーを示す、実施態様4記載のカソード活物質。
E6.Al、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pd、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、YおよびZnからなる群から選択される1つ以上の変性剤を含む、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E7.Co、ZnおよびAlからなる群から選択される1つ以上の変性剤を含む、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E8.(Ni,Co,Zn)(OH)2、(Ni,Co)(OH)2,(Ni,Co,Al)(OH)2および(Ni,Co,Zn,Al)(OH)2からなる群から選択される、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E9.(Ni,Co)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択され、NiとCoとを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約89原子パーセント(原子%)〜約99原子%存在し、かつCoは、約1原子%〜約11原子%存在し、例えば、NiとCoとを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、または約98原子%存在し、かつCoは、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10原子%存在する、実施態様8記載のカソード活物質。
E10.(Ni,Co,Al)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択され、Ni、CoおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約80原子%〜約90原子%存在し、かつCoおよびAlは一緒に、約10〜約20原子%存在し、例えば、Ni、CoおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、または約89原子%存在し、かつCoおよびAlは一緒に、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、または約19原子%存在する、実施態様8記載のカソード活物質。
E11.(Ni,Co,Zn,Al)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択され、Ni、Co、ZnおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約64〜約74原子%存在し、かつCo、ZnおよびAlは一緒に、約26〜約36原子%存在し、例えば、Ni、Co、ZnおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、または約73原子%存在し、かつCo、ZnおよびAlは一緒に、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、または約35原子%存在する、実施態様8記載のカソード活物質。
E12.Co対Alの原子比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である、実施態様10または11記載のカソード活物質。
E13.Co対Alの原子比は、約1:1〜約1:5、または約1:2〜約1:4である、実施態様10または11記載のカソード活物質。
E14.Co対Znの原子比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である、実施態様11記載のカソード活物質。
E15.Co対Znの原子比は、約1:2〜約2:1、または約1:1.5〜約1.5:1である、実施態様11記載のカソード活物質。
E16.Zn対Alの原子比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である、実施態様11、14または15記載のカソード活物質。
E17.Zn対Alの原子比は、約1:1〜約1:5、または約1:2〜約1:4である、実施態様11、14または15記載のカソード活物質。
E18.Ni0.94Co0.06(OH)2、Ni0.85Co0.05Al0.10(OH)2およびNi0.69Co0.05Zn0.06Al0.2(OH)2からなる群から選択される、実施態様8記載のカソード活物質。
次のものは本発明の更なる実施態様である。
E1.活物質の比容量は、≧325mAh/g、例えば、≧330mAh/g、≧335mAh/g、≧340mAh/g、≧350mAh/g、≧360mAh/g、≧370mAh/g、≧380mAh/g、≧390mAh/g、≧400mAh/g、≧420mAh/g、440mAh/g、≧460mAh/g、≧480mAh/g、または≧500mAh/g、例えば、≧520mAh/g、≧540mAh/g、≧560mAh/g、≧580mAh/g、≧600mAh/g、≧620mAh/g、または≧630mAh/gであり、これは全体の活物質を基準とし、Ni(OH)2を基準とするものではない、再充電可能なアルカリ電気化学セルで使用するための水酸化ニッケルカソード活物質。
E2.Ni原子1つ当たり>1.3の電子を移動可能である、例えばNi原子1つ当たり≧1.4、≧1.5、≧1.6、≧1.7、≧1.8、≧1.9、≧2.0、≧2.1、≧2.2、≧2.3、≧2.4または≧2.5の電子を移動可能である、実施態様1記載の水酸化ニッケルカソード活物質。
E3.Niは、再充電可能なアルカリセルの充放電サイクルの間に、+2より低い、≦+1.8、≦+1.6、≦+1.4、≦+1.2または≦+1の酸化状態に達し、換言すると、Niは、充放電サイクルの間に、いくつかの点でこれらの酸化状態であってよい、実施態様1または2記載のカソード活物質。
E4.再充電可能なアルカリセルの充放電サイクルの間に、金属水素化物アノードに対して0.8V付近の(約0.8Vでの)放電プラトーを示す、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E5.1.2V付近の(約1.2Vでの)放電プラトー、および>1.2Vでかつ<1.3Vでの放電プラトーを示す、実施態様4記載のカソード活物質。
E6.Al、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pd、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、YおよびZnからなる群から選択される1つ以上の変性剤を含む、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E7.Co、ZnおよびAlからなる群から選択される1つ以上の変性剤を含む、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E8.(Ni,Co,Zn)(OH)2、(Ni,Co)(OH)2、(Ni,Co,Al)(OH)2および(Ni,Co,Zn,Al)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択される、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E9.(Ni,Co)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択され、NiとCoとを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約89原子パーセント(原子%)〜約99原子%存在し、かつCoは、約1原子%〜約11原子%存在し、例えば、NiとCoとを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、または約98原子%存在し、かつCoは、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10原子%存在する、実施態様8記載のカソード活物質。
E10.(Ni,Co,Al)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択され、Ni、CoおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約80原子%〜約90原子%存在し、かつCoおよびAlは一緒に、約10〜約20原子%存在し、例えば、Ni、CoおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、または約89原子%存在し、かつCoおよびAlは一緒に、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、または約19原子%存在する、実施態様8記載のカソード活物質。
E11.(Ni,Co,Zn,Al)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択され、Ni、Co、ZnおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約64〜約74原子%存在し、かつCo、ZnおよびAlは一緒に、約26〜約36原子%存在し、例えば、Ni、Co、ZnおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、または約73原子%存在し、かつCo、ZnおよびAlは一緒に、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、または約35原子%存在する、実施態様8記載のカソード活物質。
E12.Co対Alの原子比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である、実施態様10または11記載のカソード活物質。
E13.Co対Alの原子比は、約1:1〜約1:5、または約1:2〜約1:4である、実施態様10または11記載のカソード活物質。
E14.Co対Znの原子比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である、実施態様11記載のカソード活物質。
E15.Co対Znの原子比は、約1:2〜約2:1、または約1:1.5〜約1.5:1である、実施態様11記載のカソード活物質。
E16.Zn対Alの原子比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である、実施態様11、14または15記載のカソード活物質。
E17.Zn対Alの原子比は、約1:1〜約1:5、または約1:2〜約1:4である、実施態様11、14または15記載のカソード活物質。
E18.Ni0.94Co0.06(OH)2、Ni0.85Co0.05Al0.10(OH)2およびNi0.69Co0.05Zn0.06Al0.2(OH)2からなる群から選択される、実施態様8記載のカソード活物質。
次のものは本発明の更なる実施態様である。
E1.セルは、充放電サイクルの間に、金属水素化物アノードに対して0.8V付近の(約0.8Vでの)放電プラトーを示す、再充電可能なアルカリ電気化学セルで使用するための水酸化ニッケルカソード活物質。
E2.Ni原子1つ当たり>1.3の電子を移動可能である、例えばNi原子1つ当たり≧1.4、≧1.5、≧1.6、≧1.7、≧1.8、≧1.9、≧2.0、≧2.1、≧2.2、≧2.3、≧2.4または≧2.5の電子を移動可能である、実施態様1記載のカソード活物質。
E3.活物質の比容量は、≧325mAh/g、例えば、≧330mAh/g、≧335mAh/g、≧340mAh/g、≧350mAh/g、≧360mAh/g、≧370mAh/g、≧380mAh/g、≧390mAh/g、≧400mAh/g、≧420mAh/g、440mAh/g、≧460mAh/g、≧480mAh/g、または≧500mAh/g、例えば、≧520mAh/g、≧540mAh/g、≧560mAh/g、≧580mAh/g、≧600mAh/g、≧620mAh/g、または≧630mAh/gであり、これは全体の活物質を基準とし、Ni(OH)2を基準とするものではない、実施態様1または2記載のカソード活物質。
E4.Niは、再充電可能なアルカリセルの充放電サイクルの間に、+2より低い、≦+1.8、≦+1.6、≦+1.4、≦+1.2または≦+1の酸化状態に達し、換言すると、Niは、充放電サイクルの間に、いくつかの点でこれらの酸化状態であってよい、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E5.1.2V付近の(約1.2Vでの)放電プラトー、および>1.2Vでかつ<1.3Vでの放電プラトーを示す、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E6.Al、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pd、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、YおよびZnからなる群から選択される1つ以上の変性剤を含む、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E7.Co、ZnおよびAlからなる群から選択される1つ以上の変性剤を含む、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E8.(Ni,Co,Zn)(OH)2、(Ni,Co)(OH)2、(Ni,Co,Al)(OH)2および(Ni,Co,Zn,Al)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択される、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E9.(Ni,Co)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択され、NiとCoとを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約89原子パーセント(原子%)〜約99原子%存在し、かつCoは、約1原子%〜約11原子%存在し、例えば、NiとCoとを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、または約98原子%存在し、かつCoは、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10原子%存在する、実施態様8記載のカソード活物質。
E10.(Ni,Co,Al)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択され、Ni、CoおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約80原子%〜約90原子%存在し、かつCoおよびAlは一緒に、約10〜約20原子%存在し、例えば、Ni、CoおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、または約89原子%存在し、かつCoおよびAlは一緒に、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、または約19原子%存在する、実施態様8記載のカソード活物質。
E11.(Ni,Co,Zn,Al)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択され、Ni、Co、ZnおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約64〜約74原子%存在し、かつCo、ZnおよびAlは一緒に、約26〜約36原子%存在し、例えば、Ni、Co、ZnおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、または約73原子%存在し、かつCo、ZnおよびAlは一緒に、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、または約35原子%存在する、実施態様8記載のカソード活物質。
E12.Co対Alの原子比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である、実施態様10または11記載のカソード活物質。
E13.Co対Alの原子比は、約1:1〜約1:5、または約1:2〜約1:4である、実施態様10または11記載のカソード活物質。
E14.Co対Znの原子比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である、実施態様11記載のカソード活物質。
E15.Co対Znの原子比は、約1:2〜約2:1、または約1:1.5〜約1.5:1である、実施態様11記載のカソード活物質。
E16.Zn対Alの原子比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である、実施態様11、14または15記載のカソード活物質。
E17.Zn対Alの原子比は、約1:1〜約1:5、または約1:2〜約1:4である、実施態様11、14または15記載のカソード活物質。
E18.Ni0.94Co0.06(OH)2、Ni0.85Co0.05Al0.10(OH)2およびNi0.69Co0.05Zn0.06Al0.2(OH)2からなる群から選択される、実施態様8記載のカソード活物質。
次のものは本発明の更なる実施態様である。
E1.Niは、再充電可能なアルカリセルの充放電サイクルの間に、+2より低い、≦+1.8、≦+1.6、≦+1.4、≦+1.2または≦+1の酸化状態に達し、換言すると、Niは、充放電サイクルの間に、いくつかの点でこれらの酸化状態であってよい、再充電可能なアルカリ電気化学セルで使用するための水酸化ニッケルカソード活物質。
E2.Ni原子1つ当たり>1.3の電子を移動可能である、例えばNi原子1つ当たり≧1.4、≧1.5、≧1.6、≧1.7、≧1.8、≧1.9、≧2.0、≧2.1、≧2.2、≧2.3、≧2.4または≧2.5の電子を移動可能である、実施態様1記載の水酸化ニッケルカソード活物質。
E3.活物質の比容量は、≧325mAh/g、例えば、≧330mAh/g、≧335mAh/g、≧340mAh/g、≧350mAh/g、≧360mAh/g、≧370mAh/g、≧380mAh/g、≧390mAh/g、≧400mAh/g、≧420mAh/g、440mAh/g、≧460mAh/g、≧480mAh/g、または≧500mAh/g、例えば、≧520mAh/g、≧540mAh/g、≧560mAh/g、≧580mAh/g、≧600mAh/g、≧620mAh/g、または≧630mAh/gであり、これは全体の活物質を基準とし、Ni(OH)2を基準とするものではない、実施態様1または2記載のカソード活物質。
E4.再充電可能なアルカリセルの充放電サイクルの間に、金属水素化物アノードに対して0.8V付近の(約0.8Vでの)放電プラトーを示す、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E5.1.2V付近の(約1.2Vでの)放電プラトー、および>1.2Vでかつ<1.3Vでの放電プラトーを示す、実施態様4記載のカソード活物質。
E6.Al、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pd、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、YおよびZnからなる群から選択される1つ以上の変性剤を含む、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E7.Co、ZnおよびAlからなる群から選択される1つ以上の変性剤を含む、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E8.(Ni,Co,Zn)(OH)2、(Ni,Co)(OH)2、(Ni,Co,Al)(OH)2および(Ni,Co,Zn,Al)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択される、上述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質。
E9.(Ni,Co)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択され、NiとCoとを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約89原子パーセント(原子%)〜約99原子%存在し、かつCoは、約1原子%〜約11原子%存在し、例えば、NiとCoとを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、または約98原子%存在し、かつCoは、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10原子%存在する、実施態様8記載のカソード活物質。
E10.(Ni,Co,Al)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択され、Ni、CoおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約80原子%〜約90原子%存在し、かつCoおよびAlは一緒に、約10〜約20原子%存在し、例えば、Ni、CoおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、または約89原子%存在し、かつCoおよびAlは一緒に、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、または約19原子%存在する、実施態様8記載のカソード活物質。
E11.(Ni,Co,Zn,Al)(OH)2の水酸化ニッケルからなる群から選択され、Ni、Co、ZnおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約64〜約74原子%存在し、かつCo、ZnおよびAlは一緒に、約26〜約36原子%存在し、例えば、Ni、Co、ZnおよびAlを合わせた合計100原子%を基準として、Niは、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、または約73原子%存在し、かつCo、ZnおよびAlは一緒に、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、または約35原子%存在する、実施態様8記載のカソード活物質。
E12.Co対Alの原子比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である、実施態様10または11記載のカソード活物質。
E13.Co対Alの原子比は、約1:1〜約1:5、または約1:2〜約1:4である、実施態様10または11記載のカソード活物質。
E14.Co対Znの原子比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である、実施態様11記載のカソード活物質。
E15.Co対Znの原子比は、約1:2〜約2:1、または約1:1.5〜約1.5:1である、実施態様11記載のカソード活物質。
E16.Zn対Alの原子比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、または約9:1である、実施態様11、14または15記載のカソード活物質。
E17.Zn対Alの原子比は、約1:1〜約1:5、または約1:2〜約1:4である、実施態様11、14または15記載のカソード活物質。
E18.Ni0.94Co0.06(OH)2、Ni0.85Co0.05Al0.10(OH)2およびNi0.69Co0.05Zn0.06Al0.2(OH)2からなる群から選択される、実施態様8記載のカソード活物質。
次のものは本発明の更なる実施態様である。
E1.正極は、上述の実施態様の4つのセットの前述の実施態様のいずれか記載のカソード活物質、導電性基材、ならびに任意に、結合剤および添加剤から選択される1つ以上の成分を含む、再充電可能なアルカリ電気化学セルで使用するための正極。
E2.1つ以上の結合剤および/または添加剤を含む、実施態様1記載の正極。
E3.コバルト化合物、亜鉛化合物、希土類化合物、および炭素材料からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む、実施態様1記載の正極。
E4.貼り付けられた電極である、上述の実施態様のいずれか記載の正極。
E5.ニッケル発泡導電性基材を含む、実施態様4記載の正極。
E6.少なくとも1つの負極、実施態様1から5までのいずれか記載の少なくとも1つの正極、これらの電極を中に配置するケーシング、負極と正極とを分離するセパレータ、およびこれらの電極と接触するアルカリ電解質を含む、再充電可能なアルカリセル。
E7.負極が、水素を可逆的に負荷および放出可能な金属水素化物合金を含む、実施態様6記載の再充電可能なアルカリセル。