JP6763589B1 - 製麹装置及びそれを用いた製麹方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】限られた敷地においても醸造を行うことを可能にし、小型の醸造設備において使用することのできる、従来より小型の製麹装置及び製麹方法を提供する。【解決手段】製麹装置は、少なくとも澱粉および蛋白質を含む材料を、主として麹菌で培養して製麹する装置である。製麹装置は、製麹する材料を収容する内囲器と、材料から水分を発散させる水分発散手段と、材料の温度を測定する温度計と、水分散手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、温度計により測定された材料の温度が最高温度に到達する前の温度になったときに、水分発散手段を作動させる。【選択図】図1

Description

本発明は、製麹装置及びそれを用いた製麹方法に関する。詳細には小型の醸造設備において使用するための製麹装置及びそれを用いた製麹方法に関する。
近年、発酵食用の製麹は、自動化が進んでいる。一般的に、麹の品質は、製麹過程での温度に大きく依存すると考えられており、自動化された製麹のための装置では、温度や湿度等の製麹環境を材料内の通気により制御している。例えば特許文献1のような従来技術では、自然対流と空調によって吹き込まれる空気とを利用して、麹原料から発生する温度と湿度を空調制御することによって製麹装置内の温度と湿度を調整している。しかしながら、このような空調制御のためには外部機構等を設ける必要があるため、製造規模の大型化を避けることができなかった。
一方、特許文献2には、材料を保持した密閉容器内を減圧して水分の蒸発を促進し、蒸発潜熱として材料から熱を奪うことによって温度上昇を抑えることで通風のための設備を要しない技術が開示されている。特許文献3には、材料を保持した密閉容器内を減圧し、減圧すると共に容器内の相対湿度を調節することによって微生物培養温度を調節する培養方法が開示されている。
特開2003−047454号公報 特開平09−121843号公報 特開2003−125756号公報
しかしながら、特許文献2では、蒸発潜熱によって麹から熱を奪うことによって温度を30℃から45℃に維持するために、20mmHから30mmHg(26.7hPaから40.0hPa)にまで減圧する必要がある。また特許文献3においても、水の沸点を一般的な微生物の培養温度である30℃から45℃にするために、40hPaから73hPaにまで減圧する必要がある。このような圧力を作り出すためには、空気漏れが起こらないように容器を耐圧性のものとし、減圧手段となる真空ポンプを強力なものとする必要がある。そのため、小型の設備では商業的に成り立つ量の麹を製造することができず、商業的に成り立つのに十分な量を製造しようとすれば、大型の装置を要することとなり、製造規模の大型化を避けることはできなかった。
このように、従来の製麹装置は大型化を避けることができず、醸造所とは別に麹室を設置する必要があり、醸造のために広大な敷地を必要とするという問題点が存在した。
本発明の課題は、限られた敷地においても醸造を行うことを可能にし、小型の醸造設備において使用することのできる、従来より小型の製麹装置及びそれを用いた製麹方法を提供することである。
本発明に係る製麹装置は、製麹のための材料及び麹菌を収容するための内囲器と、製麹プロセスにおいて材料の温度が上昇するときに材料から水分を発散させる水分発散手段と、を備えている。また、本発明によれば、材料の温度を測定するための温度計と制御手段とをさらに備え、材料の温度が最高温度または最高温度に到達する前の温度になったときに前記制御手段が水分発散手段を作動させるように構成されている。
麹菌を材料に付着させて発芽させたのち麹菌が増殖すると、麹菌が発熱して材料の温度が上昇する。ここで材料の温度が過度に上昇すると麹菌の死滅などを招いたり、麹菌の生育が阻害されて酵素生成が抑制されたりして、麹菌が十分に活動できない恐れがある。また、材料の中心部にまで菌糸が伸びた品質の良い麹を製造するためには、材料の水分量を減少させることが望ましい。そこで、水分発散手段により材料の水分を発散させて、材料の水分量を減少させることができる。このとき、材料から水分が蒸発し、材料の熱を蒸発熱として奪うことで、材料の温度が過度に上昇することを防止することができる。従来は、麹の製造には、材料の温度及び材料の表面付近の水分量の調節が必須であるため、温度及び湿度を調節するための大型の特別な設備を別途設ける必要があり、醸造設備が大型にならざるを得なかった。しかしながら、本発明の製麹装置によれば、醸造所を含む醸造設備全体を小型化することができる。
また、材料の温度に関して、最高温度または最高温度に到達する前の温度は、38℃から45℃であることが好ましく、39℃から43℃であることがさらに好ましい。これにより、材料の温度が過度に上昇して麹菌が死滅することや酵素生成の抑制を防ぐことができる。
また、材料から水分を発散させる水分発散手段が、内囲器の内部を吸引する吸引機構と、内囲器及び吸引機構に連結されている排気用ホースと、内囲器と内囲器の外部との間を連通している吸気用ホースと、吸気用ホースに備えられた閉鎖状態と開放状態を切り替える弁と、を備えていることが好ましい。さらに弁が制御手段によって制御される自動弁であることが好ましい。このような構成により、内囲器の内部の水分を含む気体を排出して減圧状態となり、飽和蒸気圧が下がり、材料に含まれる水分の蒸発を促すことができる。これにより、材料表面だけでなく、材料内部の水分をも発散させることができる。このため、材料の厚みに関係なく、材料全体から水分を発散させることができる。そして、減圧の効果は、内囲器内では略均等に生じるため、仕舞仕事工程、手入れ工程及び積み替え工程などの手間を排除して、軽減した労力で品質の良い麹を製造することができる。内囲器が減圧状態にあるときに弁を開放すると内囲器に内囲器の外部の気体が一気に引き込まれ、引き込まれた気体が膨張して内囲器内の相対湿度が下がり、材料から水分の発散を促すことができる。さらに麹菌の活動に必要な酸素を供給することもできる。弁を開放状態にして内囲器の外部の空気を流入させると常圧状態が作り出される。弁の開閉を繰り返して減圧状態と常圧状態とを繰り返すことにより、材料からの水分の発散をさらに促すことができる。
ここで制御手段は、非限定的な例として、プログラマブルロジックコントローラー、マイコン、入出力インターフェースを取り付けたパソコンなどであってよい。
本発明の別の態様では、内囲器は、内囲器の外部の空気を内囲器の内部に吸入する吸入機構と、内囲器及び吸入機構に連結されている吸入用ホースとをさらに備え、内囲器と内囲器の外部との間を連通している吸気用ホースに備えられた閉鎖状態と開放状態を切り替える弁の開放時に吸気用ホースを通じて内囲内の空気を吸気又は排気させることができる。さらに弁が制御手段によって制御される自動弁であることが好ましい。このような構成では、吸入機構が作動しているときに弁を閉じることで、内囲器の外部の空気を内囲器に吸入して加圧状態にすることができ、これにより麹菌に酸素を供給し、麹菌の活性を上げ、品温を上げることができる。これにより、製麹時間の短縮などの効果を得ることが期待される。
内囲器と内囲器の外部との間を連通している吸気用ホースに備えられた弁の閉鎖状態と開放状態を切り替えるよう制御する制御手段が、タイマー制御により弁を開閉させるためものであることが好ましい。これにより、タイマー制御によりあらかじめ設定されたスケジュールに従って自動的に弁を開閉させることができるようになる。
本発明の別の態様では、内囲器の内部の圧力が所望の範囲となるように、制御手段が吸引機構及び弁を制御するように構成されている。また、所望の範囲の圧力が内囲器の外部の圧力よりも10hPaから35hPa低い圧力であることが好ましい。このような構成により、内囲器の内部の湿気を含む気体を排出して減圧状態を作り出すことができる。減圧により、飽和蒸気圧が下がり、材料に含まれる水分の蒸発を促すことができる。これにより、材料表面だけでなく、材料内部の水分をも発散させることができる。この程度の減圧状態は、内囲器をさほど耐圧性にする必要もなく、簡便な小型の水分発散装置を用いて達成することができるため、製麹装置を小型化することができ、ひいては醸造設備を小型化することができる。
本発明の別の態様では、内囲器の内部の圧力が所望の範囲となるように、制御手段が吸入機構及び弁を制御するように構成されている。また、所望の範囲の圧力が内囲器の外部の圧力よりも5hPaから15hPa高い圧力であることが好ましい。このような構成により、内囲器内の圧力を高めて加圧状態を作り出すことができる。加圧により、内囲器内の温度が上昇し、品温を上げることができる。これにより、製麹時間の短縮などの効果を得ることが期待される。
本発明の別の態様では、内囲器の内部の圧力が内囲器の外部の圧力よりも低い第1の所望の範囲の圧力となるように制御手段が吸引機構及び弁を制御し、内囲器の内部の圧力が内囲器の外部の圧力よりも低い高い第2の所望の範囲の圧力となるように制御手段が吸引機構及び弁を制御し、制御手段がタイマー制御により、第1の所望の圧力となる時間と第2の所望の圧力となる時間とを制御するように構成されている。また、第1の所望の圧力が内囲器の外部の圧力よりも10hPaから35hPa低い圧力であり、第2の所望の圧力が内囲器の外部の圧力よりも5hPaから15hPa高い圧力であることが好ましい。このような構成により、内囲器内の圧力を加圧状態とすることと低圧状態とすることを交互に繰り返すことができる。これにより、内囲器内の温度を上昇させて品温を上げることと、材料内部の水分を発散させることとを繰り返し、製麹時間の短縮などの効果を得ることが期待される。
本発明の別の態様では、材料の温度が設定された温度よりも高いときに、内囲器の内部の圧力が内囲器の外部の圧力よりも低い第1の所望の範囲の圧力となるように制御手段が吸引機構及び弁を制御し、材料の温度が設定された温度よりも低いときに、内囲器の内部の圧力が内囲器の外部の圧力よりも高い第2の所望の範囲の圧力となるように制御手段が吸入機構及び弁が制御し、制御手段がタイマー制御により、第1の所望の圧力となる時間と第2の所望の圧力となる時間とを制御するように構成されている。第1の所望の圧力は、内囲器の外部の圧力よりも10hPaから35hPa低い圧力であり、第2の所望の圧力は、内囲器の外部の圧力よりも1hPaから10hPa高い圧力であることが好ましい。このような構成により、材料の温度が過度に上昇して麹菌が死滅することや酵素生成の抑制を防ぐ一方で、内囲器内の温度が下がりすぎたときに内囲器内の温度を上昇させて品温を上げて、麹菌の活性を維持することができ、自動的に製麹の最適温度を維持することができる。
内囲器を収容する外囲器をさらに備え、製麹プロセスにおいて材料が発熱するときに外囲器の温度及び湿度を調整することのできる空調手段を備えていることが好ましい。内囲器内を減圧状態にしたのちに弁を開放すると、外囲器から内囲器に気体が導入されるが、この気体が内囲器内の温度よりも低ければ、気体は膨張して内囲器内の相対湿度を一気に下げ、材料に含まれる水分の発散が促進される。
内囲器が、恒温容器であることが好ましい。内囲器が収容されている外囲器の内部を低温(例えば5℃から20℃程度)にしても、内囲器の内部は製麹温度(例えば30℃から45℃程度)に維持されていることが望まれる。内囲器が恒温容器であることで、麹菌の繁殖に適当な製麹温度を保つことができる。ここで内囲器は過度に耐圧性である必要はなく、本発明において想定される圧力に耐えるもので十分である。
材料の質量変化を測定する質量計を備えていることが好ましい。質量の変化は、材料の水分量や製麹の進み具合などと相関がある。そのため、質量変化を計測すれば、製麹を終えるタイミングを、材料を内囲器から取り出さずに判断することができ、熟練の技術者を配置して製麹を終えるタイミングをはかる必要がなくなる。
本発明に係る製麹方法は、製麹プロセスにおいて材料から水分を発散させる水分発散工程を有する。好ましくはこの水分発散工程は、内囲器の内部の材料の温度が最高温度または最高温度に到達する前の温度となるときに、実施される。
麹菌を材料に付着させて発芽させたのち麹菌が増殖すると、麹菌が発熱して材料の温度が上昇する。ここで温度が過度に上昇すると麹菌の死滅や酵素生成の抑制などを招き、麹菌が十分に活動できない恐れがある。また、材料の中心部にまで菌糸が伸びた品質の良い麹を製造するためには、材料の水分量を減少させることが望ましい。そのため、製麹室の温度及び湿度の調節が必須であるが、従来は、温度及び湿度を調節するための大型の特別な設備が必要であった。本発明の製麹方法によれば、酒の醸造における醪の発酵工程を行う部屋の環境と同じような環境に内囲器を設け、材料から水分を発散して材料の水分量を減少させて品質の良い麹を製造でき、この材料からの水分の蒸発の際に、蒸発熱として熱を奪うことで、材料の温度が過度に上昇することを防止することができる。このため、醸造所とは別に特別な製麹用の設備を設ける必要がなく、醸造設備全体を小型化することができる。
また、材料の温度に関して、最高温度または最高温度に到達する前の温度は、38℃から45℃であることが好ましく、39℃から43℃であることがさらに好ましい。これにより、材料の温度が過度に上昇して麹菌が死滅することや酵素生成の抑制を防ぐことができる。
水分発散工程が内囲器の内部を常圧状態よりも低い圧力である減圧状態にするステップを備えることが好ましい。減圧状態にすることで、飽和蒸気圧が下がり、材料に含まれる水分の蒸発を促すことができる。これにより、材料表面だけでなく、材料内部の水分をも発散させることができる。そして、減圧の効果は、内囲器内では略均等に生じるため、材料の厚みに関係なく、材料全体から水分を発散させることができる。これにより、仕舞仕事工程、手入れ工程及び積み替え工程などの手間を排除して、軽減した労力で品質の良い麹を製造することができる。
本発明の別の態様では、水分発散工程が内囲器の内部を減圧状態にするステップと常圧状態にするステップとを繰り返すものである。また、減圧状態が1分間から10分間継続し、常圧状態が30秒継続することが好ましい。また、減圧状態が3分間から7分間継続し、常圧状態が30秒継続することがさらに好ましい。このように減圧状態と常圧時間の継続時間を調整することにより、材料の温度、材料の水分量などを、所望の範囲に調整することができる。また、減圧状態は、常圧状態よりも10hPaから35hPa低い圧力であることが好ましい。減圧状態にすることで、飽和蒸気圧が下がり、材料に含まれる水分の蒸発を促すことができる。これにより、材料表面だけでなく、材料内部の水分をも発散させることができる。内囲器の内部を水分発散装置で吸引することにより減圧状態にすることが好ましい。内囲器内に内囲器の外部の空気を流入することにより常圧状態にすることが好ましい。内囲器の内部の湿気を含む気体を吸引することで、内囲器の内部の相対湿度が下がり、材料から水分の発散を促すことができる。また、内囲器に内囲器の外部の空気が一気に引き込まれることにより、引き込まれた気体が膨張して内囲器内の相対湿度が下がり、材料から水分の発散を促すことができる。また、この程度の減圧状態は、内囲器をさほど耐圧性にする必要もなく、簡便な小型の水分発散装置を用いて達成することができるため、製麹装置を小型化でき、ひいては醸造設備を小型化することができる。
本発明の別の態様では、製麹プロセスにおいて材料の温度が上昇するときに、内囲器の内部を常圧状態よりも高い圧力である加圧状態にするステップと常圧状態にするステップとを繰り返す。また、加圧状態が5秒間から35秒間継続し、常圧状態が30秒間継続することが好ましい。また、加圧状態が15秒間から25秒間継続し、常圧状態が30秒間継続することがさらに好ましい。また、加圧状態は、常圧状態よりも5hPaから15hPa高い圧力であることが好ましい。常圧状態から加圧状態にする際に内囲器の外部の空気を内囲器に吸入し、これにより麹菌に酸素が供給され、麹菌の活性を上げ、さらに加圧により、内囲器内の温度が上昇し、品温を上げることができる。これにより、製麹時間の短縮などの効果を得ることが期待される。また、加圧状態から常圧状態に減圧する際に、内囲器の内部の湿気を含む気体が排出されることで、内囲器の内部の相対湿度が下がり、材料から水分の発散を促すことができる。
本発明の別の態様では、水分発散工程が内囲器の内部を加圧状態にするステップと常圧状態にするステップと内囲器の内部を減圧状態にするステップと常圧状態にするステップとを繰り返すものである。また、減圧状態が1分間から10分間継続し、加圧状態が5秒間から35秒間継続し、常圧状態が30秒間継続することが好ましい。減圧状態が3分間から7分間継続し、加圧状態が15秒間から25秒間継続し、常圧状態が30秒間継続することがさらに好ましい。加圧状態は、常圧状態よりも5hPaから15hPa高い圧力であることが好ましい。加圧状態から常圧状態にする際に内囲器の外部の空気を内囲器に吸入するために内囲器の外部の空気を内囲器に吸入し、これにより麹菌に酸素を供給し、麹菌の活性を上げ、さらに加圧により、内囲器内の温度が上昇し、品温を上げることができる。これにより、製麹時間の短縮などの効果を得ることが期待される。また、加圧状態から常圧状態に減圧する際に、内囲器の内部の湿気を含む気体が排出されることで、内囲器の内部の相対湿度が下がり、材料から水分の発散を促すことができる。
本発明の別の態様では、水分発散工程は、材料の温度が設定温度よりも高い温度にあるときに内囲器の内部を減圧状態にするステップと常圧状態にするステップとを繰り返し、材料の温度が設定温度よりも低い温度にあるときに内囲器の内部を常圧状態よりも高い圧力である加圧状態にするステップと常圧状態にするステップとを繰り返す。材料の温度が設定温度よりも高い温度にあるときに減圧状態が10秒間から30秒間継続し、常圧状態が1秒間から10秒間継続し、材料の温度が設定温度よりも低い温度にあるときに加圧状態が1秒間から10秒間継続し、常圧状態が20秒間から60秒間継続することが好ましい。減圧状態が常圧状態よりも10hPaから35hPa低い圧力であることを特徴とし、加圧状態が常圧状態よりも1hPaから10hPa高い圧力であることが好ましい。これにより、材料の温度が過度に上昇して麹菌が死滅することや酵素生成の抑制を防ぐ一方で、内囲器内の温度が下がりすぎたときに内囲器内の温度を上昇させて品温を上げて、麹菌の活性を維持することができ、自動的に製麹の最適温度を維持することができる。
内囲器が外囲器の内部に収容されており、外囲器の内部であるとともに内囲器の外部の温度(以下、単に「外囲器の温度」と称する。)が内囲器の内部の温度(以下、単に「内囲器の温度」と称する。)よりも低い温度である条件で水分発散工程が実施されることが好ましい。また、内囲器の温度が30℃以上に維持され、外囲器の温度が5℃から20℃に維持された条件で水分発散工程が実施されることが好ましい。これにより、内囲器の内部の温度より低い温度の気体が内囲器に導入され、その気体が膨張する。そのため、内囲器の内部の相対湿度が下がり、材料から水分の発散を促すことができる。また、外囲器の5℃から20℃という温度は、醪を発酵させる工程における室内環境と略同一であり、醸造設備に特別な製麹用の設備を別途設けずに、醸造用の麹を製造することができ、内囲器の内部の温度と湿度の調節も容易となる。
材料の質量の変化率があらかじめ設定した値に達したときに材料を内囲器から取り出すことが好ましい。通常は、製麹を終えるタイミングを、材料を目視や手触りにより判断していたが、そのためには、熟練の技術者が必要であり、かつ、麹の製麹環境を一度変えてしまうこととなる。しかし、質量の変化は、材料の水分量や製麹の進み具合などと相関があるため、質量変化を計測すれば、製麹を終えるタイミングを、材料を内囲器から取り出さずに判断することができ、熟練の技術者を配置して製麹を終えるタイミングをはかる必要がなくなる。
本発明に係る製麹装置は、醸造所とは別に特別な製麹用の設備を設ける必要がないので醸造設備全体を小型化することができる。
図1は、本発明の一実施形態における製麹装置の構成を概略的に示す斜視図である。 図2は、図1の実施形態における製麹装置の内囲器の周辺構成を概略的に示す斜視図である。 図3は、図1の実施形態における製麹装置の水分発散装置起動時の空気の流れを模式的に示す断面図であり、図3(a)は自動弁16を閉じて水分発散装置14aを作動させている状態を示す図であり、図3(b)は自動弁16を開いて水分発散装置14aを作動させている状態を示す図であり、図3(c)は自動弁16を開いて水分発散装置14aを停止させている状態を示す図であり、図3(d)は(a)に加えて、吸入用ホース15cと水分発散装置14bとをさらに備えており、自動弁16を閉じて水分発散装置14bを作動させている状態を示す図である。 図4は、図1の実施形態における製麹装置の水分発散装置起動時の材料からの水分の発散の様子を概略的に示す図であり、図4(a)は斜視図であり、図4(b)は図4(a)のA−A部分断面図である。 図5は、図1の実施形態の製麹装置における製麹プロセスを概略的に示すフローチャートである。 図6は、本発明による別の態様の製麹装置における製麹プロセスを概略的に示すフローチャートである。 図7は、本発明による別の態様の製麹装置における製麹プロセスを概略的に示すフローチャートである。
以下、本発明に係る製麹装置及び製麹方法を、図面を参照して詳細に説明する。麹とは、米、麦、大豆などの澱粉や蛋白質を含む材料に、蒸すなどの前処理をした後に、麹菌を主体に培養した固体培養の産物である。本発明の一実施形態としての一例(代表例)では、日本酒用の精米した米を製麹する材料とする例を説明するが、本発明は、非限定例としての玄米、大麦、小麦、大豆、小豆、蕎麦、粟、稗、トウモロコシ等を製麹する材料として用いる場合にも適用可能である。また、本発明の一実施形態としての一例(代表例)として日本酒用の製麹装置及び製麹方法を示すが、本発明は、発酵食用の製麹装置及び製麹方法にも応用可能である。
1.製麹装置
まず、本発明の一実施形態における、製麹装置の構成を説明する。図1は本実施形態における製麹装置の構成を概略的に示している。
本実施形態では、図1に示すように、外囲器としての醸造所100の内部に内囲器としての恒温容器10を収容している。醸造所100は、醸造所100の温湿度を管理することができる空調手段20を備えている。醸造所100は、約8坪程度の小面積の醸造所であり、出入口101から作業員が出入りし、内部で作業員が酒の製造のために必要な作業をすることができる。恒温容器10は、必要量の種切りをした材料を内部に収容し、寝せ及び製麹を行うためのもので、酒の製造計画に合わせて複数設けることができる。本実施形態では、一例として、2つの恒温容器10が設けられている。恒温容器10は、酒の製造計画に合わせて大型化することも可能である。
なお、図示しないが、醸造所100は、醸造用の米を蒸すための蒸米室と、材料に対して種切りを行うための作業台と、酵母を培養増殖させるための酒母タンクと、醪を順次発酵させるための醪発酵タンクと、醪の状態を検出して分析するための分析装置と、醪発酵タンクに互いに異なる温度の冷却水を供給する冷却水循環装置と、醪を圧搾するための上槽装置と、製造された日本酒を瓶詰めするための充填装置と、醸造された日本酒を加熱するための加熱装置と、充填装置に圧縮空気を供給するための水分発散装置と、材料の米を保管しておくための冷蔵庫などを設けることができる。なお、蒸米室内には、通常、蒸米装置とシンクとが設けられており、この蒸米室によって、醸造所100において他の装置のある空間からシンクと蒸米装置とが隔離される。これは、酒の製造における蒸米工程において、蒸気が放出されるため醸造所100の湿度が上昇し日本酒の醸造に影響することを排除するためであり、その影響が排除できれば蒸米室で隔離する必要はない。例えば、蒸米装置から放出される蒸気を、冷却して凝縮して液体水として排出すれば、湿度が上昇することはなく、蒸米室による隔離は不要となる。醸造所100を、空調手段20を用いて常時冷却しておけば、醸造に適した環境をつくることができ、醸造所100という小面積のコンパクトな1つの空間で製麹を含めた酒の製造のすべての工程を行うことが可能になる。
図2は、本実施形態における製麹装置の内囲器の周辺の構成を概略的に示す斜視図である。材料から水分を発散させる水分発散手段としての水分発散装置14aを備えている。水分発散装置14aは、内囲器の内部を吸引する吸引機構を例示的に示すものである。内囲器の内部を吸引して圧力を所望の範囲に維持できるものであれば、これに限定されず任意の機器を使用することができる。水分発散装置14aと、水分発散装置14aと恒温容器10とを連結する排気用ホース15aと、恒温容器10と醸造所100とを連通するように連結する吸気用ホース15bと、吸気用ホース15bに備えられた自動弁16とで水分発散手段を構成してもよい。水分発散手段を制御するための制御手段30を備えていてもよい。図3は、本実施形態における製麹装置の水分発散装置起動時の空気の流れを模式的に示す断面図であり、図3(a)は自動弁16を閉じた状態を、図3(b)は自動弁16を開いた状態をそれぞれ示している。図4は、図1の実施形態における製麹装置の水分発散装置起動時の材料からの水分の発散の様子を概略的に示す図であり、図4(a)は斜視図であり、図4(b)は図4(a)のA−A部分断面図である。
蒸米後の米である材料19に麹菌を十分に付着させ、増殖させた後、材料19は、図4に示すように麹蓋11に盛られ、図2に示すように、恒温容器10に収容される。恒温容器10は市販のインキュベータを用いることができる。麹蓋11の材質は、任意のものであってよく、従来用いられてきた木製のものに加えて、金属製、プラスチック製、ステンレス製のものを使用することができる。材料19は、典型的には2から3cmの高さとなるように麹蓋11に盛られるが、本発明によると、5から7cmの高さの「厚盛り」で盛ることができる。本実施形態では、恒温容器10の内部に麹蓋11が6段積み上げて収容されている。恒温容器10は、材料の質量の変化を測るために、質量計17に載せられている。これによって水分量などの材料の状態を推測することができ、材料19を恒温容器10から取り出さずに製麹を終えるタイミングを判断することができ、常に一定の品質の麹を製造することができる。材料19を30℃以上にしておかなければ麹菌は増殖して菌糸を伸ばさないため、恒温容器10は、加温するように構成して恒温容器10の外の温度の影響を受けずに内部の温度を一定に維持するに設定することができる。
しかしながら、場合によっては、加温しなくとも、麹菌自体の発熱により内部の温度を一定温度以上に維持することもできる。本実施形態では、材料19の温度を計測するために、品温計測用温度センサ12が材料19に差し込まれている。本明細書において、材料の温度は、材料中に温度計を差し込んで測定したものをいい、品温とも記載される。恒温容器10内の湿度を計測する湿度センサ13と、圧力を計測する圧力センサ18とを備えている。ここで圧力センサ18は加圧と減圧の効果を確認するためのものであり、必須の要素ではなく、タイマー制御によってのみ制御手段30により水分発散手段を制御するものとすることもできる。図2に示すように、恒温容器10は扉10aを有し、恒温容器10には、排気用ホース15aと吸気用ホース15bとが内囲器と外囲器とを連通するように連結されている。排気用ホース15aの一端は恒温容器10の上面を通ってその内部上方に開口しており、その他端には水分発散装置14aが連結されている。吸気用ホース15bの一端は恒温容器10の上面を通ってその内部下方で開口しており、その他端は恒温容器10の外部の醸造所100内の空間に開口している。図3(a)(b)に示すように、水分発散装置14aを作動させることにより、恒温容器10内の気体を吸引して排出することができる。また、図3(b)に示すように、自動弁16が開かれているとき、醸造所100内の気体を、吸気用ホース15bを通じて、恒温容器10の内部の下方から導入することができる。図示していないが、必要に応じて排気用ホース15aにドレンセパレータを配置して水分を回収することもできる。
水分発散装置14aの吸引機構を制御して出力を強めると、恒温容器10の内部の気体の排出量が増加し、恒温容器10の内部を減圧して減圧状態にすることができる。恒温容器10の内部が減圧されることで、材料19からの水分の蒸発が促される。また、材料19の表面だけでなく、材料19の内部の水分をも発散させることができる。この効果は、恒温容器10内で略均等に起こるため、重ねられた麹蓋11のすべてで略同様に水分が発散し、図4(b)のように、麹蓋11の底に近い材料からも略同様に水分が発散する。そのため、製麹中に麹蓋11の位置を入れ替える積み替え工程や、材料19を掻き混ぜるなどの仕舞仕事工程及び手入れ工程を省くことが可能になる。
減圧状態の恒温容器10に吸気用ホース15bを通じて醸造所100の低い温度の気体を導入することによって、導入された気体が膨張し、恒温容器10内の相対湿度を下げることができる。こうすることによって、材料19から水分の発散が促される。ここで、水分発散装置14aを起動させた状態で、自動弁16を閉じると恒温容器10の内部は強く減圧されて減圧状態となる。そして、閉じられた自動弁16を開くことにより、恒温容器10に醸造所100の内部の気体が一気に引き込まれ、引き込まれた気体が膨張することにより、恒温容器10の内部は略均等に相対湿度が下がり、材料19から均一に水分の発散が促される。
この自動弁16が開いているとき、恒温容器10内は醸造所100内の圧力と等しくなる。通常は、外囲器内の圧力を制御していないため、恒温容器10内の圧力は常圧状態と等しくなる。常圧状態とは大気圧に等しい圧力の状態であり、およそ960hPaから1030hPaである。減圧状態とは、常圧状態よりも低い圧力の状態をいう。本発明の一実施形態では、減圧状態は、望ましくは常圧状態より10hPaから35hPa低い圧力の状態をいい、より望ましくは常圧状態より15hPaから25hPa低い圧力の状態をいう。この程度の減圧状態では、恒温容器10をさほど耐圧性にする必要もなく、簡便な小型の水分発散装置を用いて達成することができるため、恒温容器10を小型化でき、ひいては醸造設備を小型化することができる。このような減圧状態と常圧状態とを繰り返すことにより、減圧状態での水分発散の効果と常圧状態での水分発散の効果が交互にもたらされ、効率的に材料から水分を発散させることができる。図3(b)では、水分発散装置14aを作動した状態で、自動弁16を開閉することで、減圧状態と常圧状態とを繰り返す例を示しているが、図3(c)に示すように、自動弁16を開放する際に水分発散装置14aを停止させることにより同様の状態を作り出すこともできる。
図3(d)は、吸入用ホース15cと水分発散装置14bとをさらに備えるものである。水分発散装置14bは外囲器内部の空気を内囲器に吸入して麹菌に酸素を供給することができる。また自動弁16を閉じた状態で水分発散装置14bを作動させることで、恒温容器10は加圧状態となり、内囲器内の温度が上昇する。これらにより、麹菌の活性を上げ、品温を上げることができ、製麹時間の短縮などの効果を得ることが期待される。また、自動弁16を開いて常圧状態にする際に、内囲器の内部の湿気を含む気体が排出されることで、内囲器の内部の相対湿度が下がり、材料から水分の発散を促すことができる。加圧状態とは、常圧状態よりも高い圧力の状態をいう。本発明の一実施形態では、加圧状態は、望ましくは常圧状態より5hPaから15hPa高い圧力の状態をいう。この程度の加圧状態は、内囲器をさほど耐圧性にする必要もなく、簡便な小型の水分発散装置を用いて達成することができるため、内囲器を小型化でき、ひいては醸造設備を小型化することができる。図3(d)では、内囲器の内部を吸引するための水分発散装置14aと外囲器内部の空気を内囲器に吸入するための水分発散装置14bとの2つの水分発散装置を用いる例を示しているが、1つの水分発散装置のみを使用し、水分発散装置での吸引(吸入)の向きとホースの接続と自動弁の切り替えとを調節することで同様の状態を作り出してもよい。
2.製麹方法
次に、本発明の一実施形態における、製麹方法について説明する。一般的な製麹は、精米した米を洗浄して蒸す蒸米工程と、蒸した米を30℃程度に放冷したものを材料とし、その材料に麹菌を振りかけて摂取させる種切り工程と、材料の表面で麹菌を増殖させる寝せ工程と、寝せ工程により麹菌が増殖して塊状になった材料をほぐして材料と麹菌とを均一に分散させる切返し工程と、切返し工程により均一に麹菌が分散した材料の表面でさらに麹菌を増殖させる麹菌増殖工程と、麹菌増殖工程により麹菌が増殖して塊状になった材料をほぐして麹蓋や麹箱などに盛り分ける盛り工程と、材料の中心部にまで菌糸を伸ばすようにさせる製麹プロセスを経て行われる。製麹プロセスでは、再び塊状になった材料をほぐす仲仕事工程と、温度の上昇を抑えて水分を発散させるように材料をほぐす仕舞仕事工程と、温度の上昇を抑えて水分を発散させるようにさらに材料をほぐす手入れ工程と、完成した麹を回収する出麹工程が行われる。麹蓋を用いる製麹プロセスにおいては、各麹蓋の材料間で温度差が生じた場合に、それらの温度を一定にするために麹蓋の設置位置を入れ替える積み替え工程が行われる。図5は本実施形態における製麹プロセスを概略的に示している。以下、これらの図を用いて、本発明に係る製麹方法における製麹プロセスについて説明する。
盛り工程まで終え、図2に示すように、麹蓋11に盛られた材料19を恒温容器10内に収容することで製麹プロセスを開始する(図5のステップS1)。本実施形態では恒温容器10は、温度が32℃から38℃となるように温度設定されている。恒温容器10の温度をこの温度範囲に設定すれば麹菌の増殖が促される。しかしながら、場合によっては、加温しなくとも、麹菌自体の発熱により内部の温度を一定温度以上に維持することもできる。製麹が進むにつれて麹菌が菌糸を材料の内部に伸ばし酵素を生成しながら熱を発する。この熱により温度が過度に上昇すると麹菌が死滅したり、酵素生成が抑制されたりするため、材料19の温度の過度の上昇を防ぐ必要がある。また、菌糸を材料の中心部にまで食い込ませるために、材料19の水分量は少ない方が好ましい。本実施形態では、この恒温容器10は醸造所100内に設置しており、この醸造所100の温度及び湿度は空調手段20によって温度約12〜16℃、湿度約40%〜60%に管理されている。したがって、恒温容器10内の空気を吸引して内部を減圧し、醸造所100内の空間の空気を恒温容器10内に引き込むことによって、材料19の水分の蒸発を促して、蒸発熱として熱を奪い、材料19の温度を下げ、材料19の水分量を減少させることができる。
具体的には、品温計測用温度センサ12の検出出力から、材料19の温度があらかじめ定めた温度となったと判断したときに(図5のステップS2)、水分発散工程として、排気用ホース15aに接続されている減圧装置14aの作動を開始し(図5のステップS3)、吸引を開始して恒温容器10内部の空気を恒温容器10の外部に排気する。こうすることによって、材料19の温度の過度の上昇を抑え、所望の範囲(38℃から45℃)に収めることができる。この温度範囲に保つと麹菌は菌糸を材料の中心部に伸ばしつつ酵素を生成する。この時、品温計測用温度センサ12は、材料19の温度を把握するため、材料19に接触させておくことが好ましい。
ここであらかじめ定めた温度は、材料の最高温度に到達する前の温度であってよい。この最高温度は、麹の温度の過度に上昇することによって麹菌が死滅したり、酵素生成が抑制されたりして麹菌が十分に活動できずに麹の品質が下がることを防ぐために設けられた温度の上限を指す。最高温度に到達とは、設定された最高温度に到達することを指す。最高温度に到達する前の温度とは、設定された最高温度に到達していないが、最高温度に近い温度にあることを指す。本発明の一実施形態では、最高温度は45℃であり、最高温度に到達する前の温度は38℃から45℃までである。本発明の他の実施形態では、最高温度は43℃であり、最高温度に到達する前の温度は38℃から43℃までである。
水分発散装置14aを作動させて恒温容器10内の気体を吸引することにより、恒温容器10内は減圧状態になる。図3に示すように、醸造所100内の空間の気体が吸気用ホース15bを介して恒温容器10内部の下方まで引き込まれて放出され、恒温容器10内部の上方から排気用ホース15a及び水分発散装置14aを介して恒温容器10の外部に排気される。このように、恒温容器10の下部より外気を導入し、上部より排気することにより、材料19の水分を略均等に排出することが可能となる。さらに、水分発散装置14aが作動している最中に、自動弁16の開閉を行う。自動弁16を開放することにより、減圧状態の恒温容器10に吸気用ホース15bを通じて醸造所100の低い温度の気体を導入し、導入された気体が膨張し、恒温容器10内の相対湿度を下げることができる。こうすることで、材料19の水分をより均等に効率よく発散させることができる。また、自動弁16の開放後は、減圧状態から常圧状態に戻る。ここで、自動弁16の開閉を繰り返すことにより、減圧状態と常圧状態とを繰り返すことができる(図5のステップS4)。
また、圧力センサ18による圧力の検出に基づいて、恒温容器10内の圧力を所定の範囲に収まるように水分発散装置14aの吸引機構の出力を制御することもできる。水分発散装置の出力が強すぎると温度が所望の範囲を外れて過度に下がり、麹菌が十分に菌糸を伸ばすことができなくなり、水分発散装置の出力が弱すぎると十分な減圧状態をつくることができず、材料19の温度と湿度の偏りが生じてしまうためである。本実施形態における望ましい圧力は、醸造所100内が常圧状態であり、恒温容器10内の減圧状態が常圧状態よりも10hPaから35hPa低い圧力である。さらに望ましくは、醸造所100内が常圧状態であり、恒温容器10内の減圧状態が常圧状態よりも15hPaから25hPa低い圧力である。この程度の圧力は、恒温容器10をさほど耐圧性にする必要もなく、簡便な小型の水分発散装置14aを用いて達成できる。本実施形態では、簡便な小型の水分発散装置14aを用いて十分に目的の品質の麹を製造できるため、製麹装置を小型化することができる。また、自動弁16を開放する際に、水分発散装置14aを停止させることにより同様の状態を作り出すこともできる。また、一度望ましい圧力を達成することのできる水分発散装置及び弁を制御する条件を見出すと、圧力センサを用いずに、その条件で制御することで望ましい圧力を達成することもできる。
また、図6に示すように、材料を恒温容器10に収容(図6のステップS1)した後に品温を検出して予め定めた温度になったと判断したとき(図6のステップS2)、自動弁16を閉鎖した状態で水分発散装置14bを作動(図6のステップS3)させ、醸造所100内部の空気を恒温容器10に吸入し、恒温容器10の内部を常圧状態よりも高い圧力である加圧状態にするステップと、水分発散装置14bを停止して自動弁16を開放して、恒温容器10内部の空気を排気させて恒温容器10の内部を常圧状態にするステップとを繰り返すこともできる(図6のステップS4)。
これにより麹菌に酸素を供給し、麹菌の活性を上げ、さらに加圧により、恒温容器10内の温度が上昇し、品温を上げることができる。これにより、品温計測用温度センサ12の検出出力から、材料19の温度があらかじめ定めた温度となったと判断する(図6のステップS5)までの時間の短縮を短縮し、製麹時間全体の短縮などの効果を得ることが期待される。材料19の温度があらかじめ定めた温度となったと判断したときに(図6のステップS5)、水分発散工程として、自動弁16を閉鎖して吸気用ホース15bに接続されている水分発散装置14bの作動を開始して恒温容器10の内部を常圧状態よりも高い圧力である加圧状態にするステップと、水分発散装置14bを停止して自動弁16を開放して、恒温容器10内部の空気を排気させて恒温容器10の内部を常圧状態にするステップと、排気用ホース15aに接続されている水分発散装置14aの作動を開始して恒温容器10の内部を常圧状態よりも低い状態にする減圧状態にするステップと、水分発散装置14aを停止して自動弁16を開放して減圧状態の恒温容器10に吸気用ホース15bを通じて醸造所100の低い温度の気体を導入して常圧状態にするステップと、を繰り返すこともできる(図6のステップS6)。これにより麹菌に酸素を供給し、麹菌の活性を上げ、さらに加圧により、恒温容器10内の温度が上昇し、品温を上げることができる。これにより、製麹時間の短縮などの効果を得ることが期待される。また、常圧状態にする際に、恒温容器10の内部の湿気を含む気体が排出されることで、恒温容器10の内部の相対湿度が下がり、材料から水分の発散を促すことができる。このように、図5に示す実施形態よりもさらに効率的に製麹することができると考えられる。ここで、加圧状態は、常圧状態よりも5hPaから15hPa高い圧力であることが望ましい。これらの望ましい圧力は、圧力センサ18による圧力の検出に基づいて、水分発散装置14a、水分発散装置14b、及び弁を制御することによって達成することができるが、一度望ましい圧力を達成することのできる水分発散装置及び弁を制御する条件を見出すと、圧力センサを用いずに、その条件で制御することで望ましい圧力を達成することもできる。
その後、図6のステップS4が所定時間(例えば27時間)実施された際に、水分発散装置14aの作動を停止し(図5のステップS5及び図6のステップS7)、製造した麹の状態を確認して、出麹する(図5のステップS6及び図6のステップS8)。本発明の他の実施形態では、材料19の質量が、所定の質量(例えば、白米の状態の質量の120%)になったときに製造した麹を取り出してもいい。こうすることで、麹の状態を確認する技術者を配置する必要がなく、一定の品質の麹を製造することができる。
恒温容器10は市販のインキュベータから構成されており、インキュベータは、一般に、加温して内部の温度を所定範囲に保つように設定されている。しかしながら、場合によっては、加温しなくとも、麹菌自体の発熱により内部の温度を一定温度以上に維持することもできる。また、本発明の方法により温度が一定温度を超えて過度の上昇をすることを防止することもできる。そのため、温度制御手段を有していないインキュベータを使用することもできる。恒温容器10内の温度より低い温度である醸造所100の気体を導入することで、その気体が膨張し、恒温容器10内の相対湿度を略均等に下げ、材料の水分量を減少させることができる。
醸造所100内の空間の温度は、製麹温度よりも低温に設定されている。望ましくは、5℃から20℃程度に設定されており、より望ましくは13℃から17℃程度に設定されている。このような室内温度は、空調手段20として、プレハブの冷蔵庫用冷却器のようなありふれた装置によって実現することができる。一般に、日本酒の製造においては、醪を5℃から20℃程度の低温で発酵させるため、醪を発酵させるタンクもこの温度範囲で設定された場所に設置されている。そのため、一般に、醸造所100を、全体としてこの範囲の温度に管理することは容易である。したがって、本発明の製麹方法は、醸造所100の他に特別な麹室を用意することなく実施可能であるため、醸造所100を含む醸造設備全体を小型化することが可能になる。また、恒温容器10の内部の気体を放出することによって材料19から水分を発散させて温度及び湿度を調節するという簡単な方法であり、熟練技術者による処理が不要であり、したがって、熟練技術者を常時配置していなくても、容易に、品質の良い米麹を製造することができる。
本実施形態のように、恒温容器10内の空気を水分発散装置14a及び排気用ホース15aを介して排気することにより、恒温容器10内を減圧状態にすることができる。この状態では、材料19からの水分の蒸発が促される。また、材料19の表面だけでなく、材料19の内部の水分をも発散させることができる。自動弁16を開放することにより、上述したように、醸造所100内の低温の空気を恒温容器10内に引き込むことができ、これにより、恒温容器10内の温度を下げることができる。また、麹菌は、一般に、増殖するときに熱を発して材料19の温度が徐々に上昇し、温度が過度に上昇すると麹菌が死滅したり、酵素生成が抑制されたりするために麹菌が十分に活動できずに麹の品質が下がる。しかしながら、このように恒温容器10内の圧力を減圧することで、材料19に含まれる水分が蒸発し、蒸発熱として熱を奪うことで、材料19の温度が過度に上昇することを防止することができる。仮に温度が過度に上昇した場合には、恒温容器10の温度設定を変更することで対応することも可能であるが、水分発散装置14aの吸引力を上げることで、材料19に含まれる水分の発散を促して、温度を下げることも可能である。また、自動弁16を開閉することにより、恒温容器10内で減圧状態と常圧状態とが繰り返される。これにより、減圧状態での水分発散の効果と常圧状態での水分発散の効果が交互にもたらされ、効率的に材料から水分を発散させることができる。
この減圧状態と常圧状態との繰り返し(図5のステップS4)は、各々の状態が所定の時間維持されるように行うことができる。例えば、減圧状態が1分間から10分間継続し、常圧状態が30秒継続するように行うことができる。他の実施形態では、減圧状態が3分間から7分間継続し、常圧状態が30秒継続するように行うことができる。これらの継続する時間は一例であり、圧力が所望の範囲となり、材料の温度や材料の水分量を所望の範囲内に維持できるのならいずれの時間で行ってもよい。
加圧状態と常圧状態との繰り返し(図6のステップS4)もまた、各々の状態が所定の時間維持されるように行うことができる。例えば、加圧状態が5秒間から35秒間継続し、常圧状態が30秒間継続するように行うことができる。他の実施形態では、加圧状態が15秒間から25秒間継続し、常圧状態が30秒間継続するように行うことができる。これらの継続する時間は一例であり、圧力が所望の範囲となり、材料の温度や材料の水分量を所望の範囲内に維持できるのならいずれの時間で行ってもよい。
材料19の温度があらかじめ定めた温度となったと判断したときに(図6のステップS5)実施される、減圧状態と常圧状態と加圧状態と常圧状態との繰り返し(図6のステップS6)は、例えば、減圧状態が1分間から10分間継続し、常圧状態が30秒間継続し、加圧状態が5秒間から35秒間継続し、常圧状態が30秒間継続するように行うことができる。他の実施形態では、減圧状態が3分間から7分間継続し、常圧状態が30秒間継続し、加圧状態が15秒間から25秒間継続し、常圧状態が30秒間継続するように行うことができる。これらの継続する時間は一例であり、圧力が所望の範囲となり、材料の温度や材料の水分量を所望の範囲内に維持できるのならいずれの時間で行ってもよい。
また、図6のステップS4の代わりに、設定温度に基づいて、減圧状態、加圧状態及び常圧状態にすることもできる(図7のステップS4)。詳細には、材料19の温度があらかじめ定めた温度となったと判断したときに(図7のステップS2)、水分発散装置を作動し(図7のステップS3)、材料19の温度が設定温度よりも高い温度にあるときに、減圧状態と常圧状態とを繰り返すように設定し、材料19の温度が設定温度より低い温度にあるときに、加圧状態と常圧状態とを繰り返すように設定することもできる(図7のステップS4)。これにより、材料の温度が過度に上昇して麹菌が死滅することや酵素生成の抑制を防ぐ一方で、内囲器内の温度が下がりすぎたときに内囲器内の温度を上昇させて品温を上げて、麹菌の活性を維持することができ、自動的に製麹の最適温度を維持することができる。
恒温容器10の内部は略均等に減圧されるため、水分の蒸発が略均等に材料19全体から生じることとなり、その結果、材料19の温度が局所的に高まることを防ぐことができる。このように減圧によって材料から均等に水分を蒸発させ、温度を均等に保つ効果は、恒温容器10が小さいほど顕著に表れる。恒温容器10が1m×1m×1m程度より小さいものであれば、材料19の位置によって製品に影響を生じさせない。したがって、麹蓋11は、恒温容器10内で多段に配置しても、すべての麹蓋11で略均一に製麹することができる。従来は、麹蓋11を用いて麹室で製麹する場合には、積み上げた麹蓋11の配置を時間の経過に従って入れ替える積み替え工程が必要であったが、本発明によれば、このような作業が不要となる。また、減圧の効果が内囲器内では略均等に生じるため、材料の厚みに関係なく、材料全体から水分を発散させることができる。材料19は、典型的には2から3cmの高さとなるように麹蓋11に盛られるが、本発明によると、5から7cmの高さの「厚盛り」で盛ることができる。従って、本発明によれば、製麹をさらに経済的に実施することができる。
一般に、製麹プロセスが進むと、多量の熱と、炭酸ガスとが発生する。また、麹菌の使用することのできる酸素が欠乏する。そのため、盛り工程後、仕舞仕事工程、手入れ工程を手作業で行い、材料19の温度を調節し、炭酸ガスを抜き、酸素を補給することが必要不可欠である。しかしながら、本実施形態においては、水分発散装置14aの吸引力を操作することで、炭酸ガスを恒温容器10外に放出することができ、自動弁16を開閉することで酸素を補給することができるため、仕舞仕事工程、手入れ工程は必須のものではなくなり、製麹に必要な労力を大幅に軽減することができる。
前述したように、恒温容器10内には、圧力センサ18が設けられている。このように圧力センサ18を設けることにより、圧力センサ18の検出出力と恒温容器10に配置した品温計測用温度センサ12及び湿度センサ13の検出出力とから、圧力と温度及び湿度との関係を把握することができる。これら圧力、温度及び湿度は製麹の状態を表すパラメータである。即ち、上述したように、減圧を強めることによって、湿度及び温度を下げることができ、製麹により発生する炭酸ガスをより除去することができる。また、麹蓋11又は恒温容器10を、質量計17上に載置しておくことにより、材料19の質量変化を検出することができる。検出した質量は、材料19の水分量や製麹の度合いなどの目安とすることができる。このように、製麹中のパラメータを収集し、マニュアル化することで、米麹製造のロット毎の製造ばらつきを小さくし、安定した製麹が可能となる。その結果、熟練の技術者が常時製造工程を管理しておく必要がなくなる。
麹の性質は麹菌が生産する分解酵素の酵素力価に依存するため、一般的に、麹の特性評価の指標として酵素力価が使用されている。本願の実施例においても麹の特性評価も酵素力価を指標とし、具体的な酵素力価を提示しているが、本発明の製麹装置及び製麹方法が目的とする麹は、実施例において示された酵素力価を有するものに限定されず、酒質設計と目的に応じて多種多様な酵素力価を有し得る。
以上述べた工程を経ることで、全体として均質であり、材料19の中心まで麹菌の菌糸が伸びた品質の良い米麹を軽減した労力で製造することができる。本実施形態における、恒温容器10が内部に設置される低温に保たれた醸造所100は一般的な空調手段20によって容易に作り出すことができ、醪を発酵させる環境と同一の環境であるから、醸造所100とは別に製麹のための特別な部屋を別途設ける必要がないため、醸造所100を含む醸造設備全体を小型化することができる。
[実施例1]
米(東京都産、うるち米)8kgを蒸米後、30℃程度に放冷した米を材料とし、種麹(株式会社Bioc製、経済酒80)を用いて種切り工程を行った。寝せ工程において、30℃で11時間40分放置した。切返し工程を経た後に、麹菌増殖工程において30℃で、10時間15分放置した。盛り工程において、10.52kgの材料をステンレス製の麹蓋11(横290mmm、縦400mm、深さ70mm)5枚に材料を盛り分けた。
製麹工程として以下の作業を行った。材料を盛りつけた麹蓋11を、恒温容器10(アズワン社製インキュベータSIW−450SBにシリコンコーキング処理したもの)に入れ、恒温容器10の温度を32℃に設定した。このとき、恒温容器10内の湿度が52%、材料の温度が30.4℃であった。醸造所100は空調手段20によって温度12〜16℃、湿度40%〜60%に保たれていた。この状態で、5時間放置したが、水分発散手段を作動させて、品温40℃以下となったときには、5秒間、自動弁16を閉じ、かつ水分発散装置14bを作動させて恒温容器10内に空気を吸入し、その後30秒間、自動弁16を開放し、水分発散装置1bを停止させることを繰り返すように制御手段30としてのプログラマブルロジックコントローラーを設定した。自動弁16が閉じられ、かつ水分発散装置14aを作動させているときは恒温容器10内の圧力は平均で998hPaであった。このとき、醸造所100の圧力との圧力差はおよそ1hPaから2hPaの範囲内であった。その後、積替え作業を実施した。このとき、恒温容器10内の湿度が90%、材料の温度が40.0℃であった。再び、恒温容器10内に収容し、22時間5分間放置した。このとき、自動弁16を閉じ、かつ水分発散装置14aを作動させて恒温容器10内の空気を連続的に吸引した。このとき、恒温容器10内の圧力は平均で982hPaであった。このとき、醸造所100の圧力との圧力差はおよそ13hPaから15hPaの範囲内であった。10000秒間吸引したのち、5秒間、自動弁を開放して一旦常圧状態に戻していた。その間、材料の温度はゆっくり下降し、最終的に37.3℃となり、材料の質量は合計で9.6kgとなっていた。その後、出麹工程として、恒温容器10から麹を取り出し、1つにまとめた。得られた麹の1g当たりの酵素力価を測定した結果を表1に示す。
[実施例2]
米(岡山県産、雄町)10kgを蒸米後、30℃程度に放冷した米を材料とし、種麹(株式会社Bioc製、古流60)を用いて種切り工程を行った。寝せ工程において、30℃で11時間放置した。切返し工程を経た後に、麹菌増殖工程において30℃で、11時間30分放置した。盛り工程において、麹蓋11(横320mmm、縦440mm、深さ50mm)6枚に材料を盛り分けた。
製麹プロセスとして以下の作業を行った。材料を盛りつけた麹蓋11を、恒温容器10(アズワン社製インキュベータSIW−450SBにシリコンコーキング処理したもの)に入れ、恒温容器10の温度を33℃に設定した。このとき、恒温容器10内の湿度が52%、材料の温度が31.2℃であった。醸造所100は空調手段20によって温度12〜16℃、湿度40%〜60%に保たれていた。この状態で、8時間25分放置し、材料の温度が39.8℃、恒温容器10の湿度が97%、材料の質量が17.48kgとなったとき、仲仕事工程を行い、その後再び麹蓋11に材料を広げた。その麹蓋11を再び恒温容器10に戻し、恒温容器10の温度を35℃に設定した。さらに40分後、材料の温度が38.3℃のとき、自動弁16を3分閉じて30秒開くことを繰り返すように制御手段30としてのプログラマブルロジックコントローラーを設定し、水分発散装置14aを作動させ、恒温容器10内の空気を吸引した。自動弁16が閉じられているときは恒温容器10内の圧力は平均で996hPaであった。このとき、醸造所100の圧力との圧力差はおよそ15hPaから22hPaの範囲内であった。この状態で、17時間30分放置した。その間、材料の温度はゆっくり上昇し、最終的に40.6℃まで上昇し、材料の質量は11.88kgとなっていた。その後、出麹工程として、恒温容器10から麹を取り出した。得られた麹の1g当たりの酵素力価を6つそれぞれの麹蓋11ごとに測定した。結果を表1に示す。
[実施例3]
材料として岡山県産雄町10kgの代わりに、兵庫県産山田錦10kgを用いたこと以外は、種切り工程から盛り工程まで実施例2と同じ条件で行った。
製麹プロセスとして以下の作業を行った。材料を盛りつけた麹蓋11を、恒温容器10(アズワン社製インキュベータSIW−450SBにシリコンコーキング処理したもの)に入れ、恒温容器10の温度を35℃に設定した。このとき、恒温容器10内の湿度が75%、材料の温度が31.8℃であった。醸造所100は空調手段20によって温度12〜16℃、湿度40%〜60%に保たれていた。1時間30分後、恒温容器10の温度を33℃に設定した。この状態で、5時間27分放置し、材料の温度が37.7℃、恒温容器10の湿度が52%、材料の質量が13.04kgとなったとき、仲仕事工程を行い、その後再び麹蓋11に材料を広げた。その麹蓋11を再び恒温容器10に戻し、恒温容器10の温度を37℃に設定した。さらに3時間38分後、材料の温度が42.3℃のとき、自動弁16を7分間閉じて1分間開くことを繰り返すように制御手段30としてのプログラマブルロジックコントローラーを設定し、水分発散装置14aを作動させ、恒温容器10内の空気を吸引した。自動弁16が閉じられているときは恒温容器10内の圧力は平均で996hPaであった。このとき、醸造所100の圧力との圧力差はおよそ15hPaから22hPaの範囲内であった。この状態で、16時間間放置した。その間、材料の温度はゆっくり上昇し、最終的に44.7℃まで上昇し、材料の質量は11.98kgとなっていた。その後、出麹工程として、恒温容器10から麹を取り出した。得られた麹の1g当たりの酵素力価を6つそれぞれの麹蓋11ごとに測定した。結果を表1に示す。
[実施例
米(兵庫県産、山田錦)10kgを蒸米後、30℃程度に放冷した米を材料とし、種麹(株式会社Bioc製、古流60)を用いて種切り工程を行った。寝せ工程において、30℃で12時間放置した。切返し工程を経た後に、麹菌増殖工程において30℃で、11時間5分放置した。盛り工程において、麹蓋11(ステンレス製容器、横290mm、縦400mmm、深さ70mm)3枚に13.52kgの材料を盛り分けた。
製麹プロセスとして以下の作業を行った。材料を盛りつけた麹蓋11を、恒温容器10(アズワン社製インキュベータSIW−450SBにシリコンコーキング処理したもの)に入れた。恒温容器10のヒーターを使用しなかった。このとき、恒温容器10内の湿度が54%、材料の温度がそれぞれ23.8℃、29.5℃、30.4℃であった。醸造所100は空調手段20によって温度12〜16℃、湿度40%〜60%に保たれていた。このとき、30秒間、自動弁16を閉じ、かつ水分発散装置1bを作動させて恒温容器10内に空気を吸入し、その後30秒間、自動弁16を開放し、水分発散装置1bを停止させることを繰り返すように制御手段30としてのプログラマブルロジックコントローラーを設定した。自動弁16が閉じられ、かつ水分発散装置14aを作動させているときは恒温容器10内の圧力は平均で1025hPaであった。このとき、醸造所100の圧力との圧力差はおよそ7hPaから17hPaの範囲内であった。この状態で5時間5分放置し、材料の温度がそれぞれ40.6℃、39.4℃、37.5℃、恒温容器10の湿度が54%、材料の質量が合計で13.50kgとなったとき、仕舞仕事工程を行い、その後再び麹蓋11に材料を広げて恒温容器1に戻し、同様の加圧と常圧のサイクルを実施した。この状態で3時間50分間放置し、材料の温度がそれぞれ39.3℃、44.3℃、40.3℃、恒温容器10の湿度が82%、材料の質量が13.21kgとなったとき、30秒間、自動弁16を閉じ、かつ水分発散装置14aを作動させて恒温容器10内の空気を吸引し、その後5秒間、自動弁16を開放し、水分発散装置14aを停止させ、その後30秒間、自動弁16を閉じ、かつ水分発散装置14bを作動させて恒温容器10内に空気を吸入し、その後5秒間、自動弁16を開放し、水分発散装置1bを停止させることを繰り返すように制御手段30としてのプログラマブルロジックコントローラーを設定した。自動弁16が閉じられ、かつ水分発散装置14aを作動させているときは恒温容器10内の圧力は平均で996hPaであった。このとき、醸造所100の圧力との圧力差はおよそ15hPaから22hPaの範囲内であった。自動弁16が閉じられ、かつ水分発散装置14aを作動させているときは恒温容器10内の圧力は平均で1025hPaであった。このとき、醸造所100の圧力との圧力差はおよそ7hPaから17hPaの範囲内であった。この状態で、20時間35分間放置した。その間、材料の温度はゆっくり上昇し、最終的にそれぞれ、44.4℃、42.4℃、42.5℃まで上昇し、材料の質量は合計で12.0kgとなっていた。その後、出麹工程として、恒温容器10から麹を取り出した。得られた麹の1g当たりの酵素力価を3つそれぞれの麹蓋11ごとに測定した。結果を表1に示す。
[実施例
米(東京都産、うるち米)8kgを蒸米後、30℃程度に放冷した米を材料とし、種麹(株式会社Bioc製、経済酒80)を用いて種切り工程を行った。寝せ工程において、30℃で10時間15分放置した。切返し工程を経た後に、麹菌増殖工程において30℃で、11時間10分放置した。盛り工程において、麹蓋11(ステンレス製容器、横290mm、縦400mmm、深さ70mm)枚に8kgの材料を盛り分けた。
製麹プロセスとして以下の作業を行った。材料を盛りつけた麹蓋11を、恒温容器10(アズワン社製インキュベータSIW−450SBにシリコンコーキング処理したもの)に入れ、恒温容器10の温度を30℃に設定した。このとき、恒温容器10内の湿度が85%、材料の温度が33.7℃であった。醸造所100は空調手段20によって温度12〜16℃、湿度40%〜60%に保たれていた。30分後、恒温容器10の温度を32℃に設定した。5時間後、恒温容器10の温度を30℃に設定した。この状態で、3時間30分間放置し、材料の温度が41℃、恒温容器10の湿度が84%となったとき、水分発散手段を作動させて、次のように作動するように制御手段30としてのプログラマブルロジックコントローラーを設定した。品温が41℃より高いときには、20秒間、自動弁16を閉じ、かつ水分発散装置14aを作動させて恒温容器10内の空気を吸引し、その後5秒間、自動弁16を開放し、水分発散装置14aを停止させることを繰り返した。41℃を下回るときには、3秒間、自動弁16を閉じ、かつ水分発散装置14bを作動させて恒温容器10内に空気を吸入し、その後40秒間、自動弁16を開放し、水分発散装置1bを停止させることを繰り返した。自動弁16が閉じられ、かつ水分発散装置14aを作動させているときは恒温容器10内の圧力は平均で1007hPaであった。このとき、醸造所100の圧力との圧力差はおよそ15hPaから22hPaの範囲内であった。自動弁16が閉じられ、かつ水分発散装置14aを作動させているときは恒温容器10内の圧力は平均で1024hPaであった。このとき、醸造所100の圧力との圧力差はおよそ1hPaから3hPaの範囲内であった。この状態で、23時間放置した。その間、材料の温度はほぼ41℃を維持し、最終的にそれぞれ、41℃となった。材料の質量は合計で9.44kgとなっていた。その後、出麹工程として、恒温容器10から麹を取り出した。得られた麹の1g当たりの酵素力価を6つそれぞれの麹蓋11ごとに測定した。平均値を表1に示す。
[比較例]
実施例と比較するために9.1m(2.6m×3.5m)の面積、2.55mの高さの従来型の麹室を用いて麹を製造した。米(岡山県産、雄町)41kgを蒸米後、30℃程度に放冷した米を材料とし、麹室内で種麹(株式会社Bioc製、古流60)を用いて種切り工程を行った。寝せ工程において、30℃で11時間放置した。切返し工程を経た後に、麹菌増殖工程において30℃で、11時間15分放置した。盛り工程において、麹箱(横550mm、縦850mm、深さ145mm)6個に材料を盛り分けた。
製麹プロセスとして以下の作業を行った。麹箱に材料を盛りつけ、麹室の温度を36℃に設定した。このとき、材料の温度が30.8℃であった。この状態で、7時間15分時間放置し、材料の温度が39.0℃となったとき、仲仕事工程を行い、再び麹箱に材料を広げた。その後、麹室の温度を37℃に設定した。さらに1時間50分後、材料の温度が40.0℃のとき、仕舞仕事工程を行い、再び麹箱に材料を広げた。13時間10分後、材料の温度が43.5℃のとき、手入れ工程を行い、再び麹箱に材料を広げた。この状態で、4時間40分後、材料の温度が43.8℃のとき、出麹工程として、麹を回収した。得られた麹の1g当たりの酵素力価を測定し、比較例1とした。
さらに比較例1と材料を兵庫県産山田錦に変更して、9.1m(2.6m×3.5m)、2.55mの高さの従来型の麹室を用い以下の方法により麹を製造した。米(兵庫県産、山田錦)50kgを蒸米後、30℃程度に放冷した米を材料とし、麹室内で種麹(株式会社Bioc製、古流60)を用いて種切り工程を行った。寝せ工程において30℃で11時間放置した。切返し工程を経た後に、麹菌増殖工程において30℃で、11時間25分放置した。盛り工程において、麹箱(横550mm、縦850mm、深さ145mm)6個に材料を盛り分けた。
製麹プロセスとして以下の作業を行った。麹箱に材料を盛りつけ、麹室の温度を36℃に設定した。このとき、材料の温度が30.3℃であった。この状態で、7時間50分放置し、材料の温度が37.8℃、麹室の湿度が50%となったとき、仲仕事工程を行い、再び麹箱に材料を広げた。その後、麹室の温度を37℃に設定した。さらに2時間45分後、材料の温度が42.0℃のとき、仕舞仕事工程を行い、再び麹箱に材料を広げた。この22分後、強制排気のためのファンを作動した。これにより麹室内の気圧は1007hPaから1010hPaに維持された。この状態で、10時間28分後、材料の温度が43.7℃のとき、手入れ工程を行い、再び麹箱に材料を広げた。この状態で、4時間45分後、材料の温度が42.9℃のとき、出麹工程として、麹を回収した。得られた麹の1g当たりの酵素力価を測定し、比較例2とした。
実施例1から5、比較例1、2の酵素力価測定の結果を表1に示す。これら全ての酵素力価の測定は、糀屋三左衛門(日本国愛知県豊橋市)において、国税庁所定分析法により行った。
Figure 0006763589
表1に示した通り、実施例1から5において製造された麹は、比較例1及び2において従来の麹室で製造された麹と比較して遜色のない酵素力価を有していることが確認できた。さらに本実施例では、従来の製麹において必須とされていた、仲仕事、仕舞仕事工程又はその後の手入れ工程を実施していないのにもかかわらず、仲仕事、仕舞仕事又はその後の手入れ工程を実施した従来の製麹方法と比較して遜色のない酵素力価を有していることが確認できた。これらにより、本実施形態において製造された麹は日本酒の製造に十分適したものと確認できた。
さらに本実施例では、麹蓋を使用する製麹プロセスにおいて必須とされている積み替え工程を省略したものとなっているが、実施例2及び3の麹蓋1から6に示すように、各麹蓋で略一定の品質の麹を製造することができることが確認することができた。このように、本実施形態によると、仕舞仕事工程、手入れ工程、積み替え工程などを省略することができ、製麹に必要な労力を大幅に軽減することが可能になる。
また、実施例1、4及び5では、従来の木製の麹蓋に代えて、ステンレス製の麹蓋を使用しているが、従来の麹蓋で製造された、実施例2及び3、並びに比較例1及び2で製造された麹と比較して遜色のない酵素力価を有していることが確認できた。ステンレス製の麹蓋は従来の木製の麹蓋と比較して洗浄及び殺菌などが容易であるため、製麹に必要な労力を大幅に軽減することが可能になる。
また、実施例では、水分発散の際に、加圧状態にすることによって製麹時間を短縮していたが、実施例1、2、3、及び、並びに比較例1及び2で製造された麹と比較して遜色のない酵素力価を有していることが確認できた。このように、本発明の製麹装置及び製麹方法によれば、製麹時間を短縮することができる。
また、実施例では、品温が設定温度より高いか又は下回るときに、それぞれ減圧状態又は加圧状態になるよう制御することにより、手入れを全く行わずに製麹したが、実施例1、2、3、及び、並びに比較例1及び2で製造された麹と比較して遜色のない酵素力価を有していることが確認できた。このように、本発明の製麹装置及び製麹方法によれば、製麹に必要な労力を大幅に軽減することが可能になる。
したがって、本実施形態では醸造所100において恒温容器10と水分発散装置14aと質量計17という1.5m×1.5m×1.5m程度の大きさの製麹装置を用いて、従来型の2.6m×3.5m×2.55m程度の大きさを有する麹室と同程度の品質の麹を製造することができることが実証された。約85%を超える体積の低減が可能であり、醸造所内に麹室を設置することができ、醸造所とは別に麹室を設ける必要がなくなるため、醸造所全体を小型化することが可能になる。
以上述べた実施形態及び実施例は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。したがって、本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
10 恒温容器(内囲器)
10a 扉
11 麹蓋
12 温度センサ
13 湿度センサ
14a 水分発散装置(減圧装置)
14b 水分発散装置(加圧装置)
15a 排気用ホース
15b 吸気用ホース
15c 吸入用ホース
16 自動弁
17 質量計
18 圧力センサ
19 材料
20 空調手段
30 制御手段
100 醸造所(外囲器)
101 出入口

Claims (23)

  1. 少なくとも澱粉および蛋白質を含む材料を、主として麹菌で培養して得られる麹の製麹装置であって、
    前記製麹装置は、製麹する材料を収容する内囲器と、前記材料から水分を発散させる水分発散手段と、前記材料の温度を測定する温度計と、前記水分散手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記温度計により測定された前記材料の温度が最高温度に到達する前の温度である38℃から45℃になったときに、前記水分発散手段を作動させ
    前記水分発散手段は、前記内囲器の内部を吸引する吸引機構と、前記内囲器及び該吸引機構に連結されている排気用ホースと、前記内囲器の内部と前記内囲器の外部との間を連通している吸気用ホースと、を備え
    前記吸気用ホースは、閉鎖状態と開放状態を切り替える弁と、前記内囲器の外部の空気を前記内囲器の内部に吸入する吸入機構と、前記内囲器及び該吸入機構に連結されている吸入用ホースと、を備え、前記弁の開放時に前記吸気用ホースを通じて前記内囲器の内部の空気を吸気又は排気させ、
    前記弁が前記制御手段によって制御される自動弁であり、前記制御手段がタイマー制御によって前記弁を開閉させ、
    前記内囲器の内部の圧力が前記内囲器の外部の圧力よりも低い第1の所望の範囲の圧力となるように前記制御手段が前記吸引機構及び前記弁を制御し、前記内囲器の内部の圧力が前記内囲器の外部の圧力よりも高い第2の所望の範囲の圧力となるように前記制御手段が前記吸入機構及び前記弁を制御し、前記制御手段が前記タイマー制御により、前記第1の所望の圧力となる時間と前記第2の所望の圧力となる時間とを制御す
    ことを特徴とする、製麹装置。
  2. 前記最高温度に到達する前の温度は、39℃から43℃であることを特徴とする、請求項1に記載の製麹装置。
  3. 前記第1の所望の圧力は、前記内囲器の外部の圧力よりも10hPaから35hPa低い圧力であり、前記第2の所望の圧力は、前記内囲器の外部の圧力よりも5hPaから15hPa高い圧力であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製麹装置。
  4. 少なくとも澱粉および蛋白質を含む材料を、主として麹菌で培養して得られる麹の製麹装置であって、
    前記製麹装置は、製麹する材料を収容する内囲器と、前記材料から水分を発散させる水分発散手段と、前記材料の温度を測定する温度計と、前記水分発散手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記温度計により測定された前記材料の温度が最高温度に到達する前の温度である38℃から45℃になったときに、前記水分発散手段を作動させ、
    前記水分発散手段は、前記内囲器の内部を吸引する吸引機構と、前記内囲器及び該吸引機構に連結されている排気用ホースと、前記内囲器の内部と前記内囲器の外部との間を連通している吸気用ホースと、を備え
    前記吸気用ホースは、閉鎖状態と開放状態を切り替える弁と、前記内囲器の外部の空気を前記内囲器の内部に吸入する吸入機構と、前記内囲器及び該吸入機構に連結されている吸入用ホースと、を備え、前記弁の開放時に前記吸気用ホースを通じて前記内囲器の内部の空気を吸気又は排気させ、
    前記弁が前記制御手段によって制御される自動弁であり、前記制御手段がタイマー制御によって前記弁を開閉させ、
    前記材料の温度が設定された温度よりも高いときに、前記内囲器の内部の圧力が前記内囲器の外部の圧力よりも低い第1の所望の範囲の圧力となるように前記制御手段が前記吸引機構及び前記弁を制御し、前記材料の温度が設定された温度よりも低いときに、前記内囲器の内部の圧力が前記内囲器の外部の圧力よりも高い第2の所望の範囲の圧力となるように前記制御手段が前記吸入機構及び前記弁を制御し、前記制御手段が前記タイマー制御により、前記第1の所望の圧力となる時間と前記第2の所望の圧力となる時間とを制御する
    ことを特徴とする製麹装置。
  5. 前記最高温度に到達する前の温度は、39℃から43℃であることを特徴とする、請求項4に記載の製麹装置。
  6. 前記第1の所望の圧力は、前記内囲器の外部の圧力よりも10hPaから35hPa低い圧力であり、前記第2の所望の圧力は、前記内囲器の外部の圧力よりも1hPaから10hPa高い圧力であることを特徴とする、請求項4または5に記載の製麹装置。
  7. 前記内囲器を収容する外囲器をさらに備え、前記外囲器は該外囲器の内部の温度及び湿度を調整することのできる空調手段を備えていることを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の製麹装置。
  8. 前記内囲器は、恒温容器であることを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の製麹装置。
  9. 前記材料の質量変化を測定する質量計をさらに備えていることを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の製麹装置。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の製麹装置を用いた製麹方法であって、
    内囲器の内部に材料を設置する工程と、製麹工程において該材料から水分を発散させる水分発散工程とを有し、該水分発散工程を、該材料の温度が最高温度に到達する前の温度である38℃から45℃になったときに実施し、
    前記水分発散工程は、前記内囲器の内部を常圧状態よりも低い圧力である減圧状態にするステップと、前記内囲器の内部を前記常圧状態にするステップと、前記内囲器の内部を前記常圧状態よりも高い圧力である加圧状態にするステップと、前記内囲器の内部を前記常圧状態にするステップと、を順に繰り返す
    ことを特徴とする、製麹方法。
  11. 前記最高温度に到達する前の温度は、39℃から43℃であることを特徴とする、請求項10に記載の製麹方法。
  12. 前記減圧状態は、前記常圧状態よりも10hPaから35hPa低い圧力であることを特徴とする、請求項10または11のいずれか1項に記載の製麹方法。
  13. 前記減圧状態が1分間から10分間継続し、前記加圧状態が5秒間から35秒間継続し、前記常圧状態が30秒間継続することを特徴とする、請求項10から12のいずれか1項に記載の製麹方法。
  14. 前記減圧状態が3分間から7分間継続し、前記加圧状態が15秒間から25秒間継続し、前記常圧状態が30秒間継続することを特徴とする、請求項10から12のいずれか1項に記載の製麹方法。
  15. 前記加圧状態は、前記常圧状態よりも5hPaから15hPa高い圧力であることを特徴とする、請求項10から14のいずれか1項に記載の製麹方法。
  16. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の製麹装置を用いた製麹方法であって、
    内囲器の内部に材料を設置する工程と、製麹工程において該材料から水分を発散させる水分発散工程とを有し、該水分発散工程を、該材料の温度が最高温度に到達する前の温度である38℃から45℃になったときに実施し、
    前記水分発散工程は、前記材料の温度が設定温度よりも高い温度にあるときに前記内囲器の内部を常圧状態よりも低い圧力である減圧状態にするステップと、前記内囲器の内部を前記常圧状態にするステップとを繰り返し、前記材料の温度が該設定温度よりも低い温度にあるときに前記内囲器の内部を前記常圧状態よりも高い圧力である加圧状態にするステップと、前記内囲器の内部を前記常圧状態にするステップとを繰り返すことを特徴とする、製麹方法。
  17. 前記最高温度に到達する前の温度は、39℃から43℃であることを特徴とする、請求項16に記載の製麹方法。
  18. 前記材料の温度が前記設定温度よりも高い温度にあるときに前記減圧状態が10秒間から30秒間継続し、前記常圧状態が1秒間から10秒間継続し、前記材料の温度が前記設定温度よりも低い温度にあるときに前記加圧状態が1秒間から10秒間継続し、前記常圧状態が20秒間から60秒間継続することを特徴とする、請求項16または17に記載の製麹方法。
  19. 前記減圧状態は、前記常圧状態よりも10hPaから35hPa低い圧力であることを特徴とし、前記加圧状態は、前記常圧状態よりも1hPaから10hPa高い圧力であることを特徴とする、請求項16から18のいずれか1項に記載の製麹方法。
  20. 前記減圧状態にするステップが前記内囲器の内部の空気を前記内囲器の外部に排出するものであり、前記加圧状態にするステップが前記内囲器内に前記内囲器の外部の空気を吸入することを特徴とする、請求項10から19のいずれか1項に記載の製麹方法。
  21. 前記内囲器が外囲器の内部に収容されており、該外囲器の温度が前記内囲器の温度よりも低い温度である条件で実施することを特徴とする、請求項10から20のいずれか1項に記載の製麹方法。
  22. 前記内囲器の温度が30℃以上に維持され、前記外囲器の温度が5℃から20℃に維持された条件で実施することを特徴とする、請求項21に記載の製麹方法。
  23. 前記材料の質量の変化率があらかじめ設定した値に達したときに前記材料を前記内囲器から取り出すことを特徴とする、請求項10から22のいずれか1項に記載の製麹方法。
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