JP6757468B2 - イソシアネートの製造方法 - Google Patents
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Description
本願は、2017年5月15日に日本に出願された特願2017−096776号、特願2017−096766号、特願2017−096767号、特願2017−096768号、特願2017−096769号、特願2017−096770号、特願2017−096771号、特願2017−096772号、特願2017−096773号、特願2017−096774号、特願2017−096775号及び特願2017−096781号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
第2に、ホスゲン法においては、腐食性の高い塩化水素が大量に副生するため、塩化水素を除去するためのプロセスが必要となる。さらに、製造されたイソシアネートには多くの場合、加水分解性塩素が含有されることになる。このため、ホスゲン法で製造されたイソシアネートを使用すると、ポリウレタン製品の耐候性、耐熱性に悪影響を及ぼす場合がある。
[1] カルバメートの熱分解によってイソシアネートを製造する方法であって、
カルバメートと、ポリイソシアネート化合物とを含む混合液を調製する工程と、
前記混合液を、熱分解反応器に連続的に導入して、カルバメートの熱分解反応をおこなう工程と、
前記ポリイソシアネート化合物よりも標準沸点が低い低沸点分解生成物を、前記反応器から気体状で連続的に抜き出す低沸点分解生成物回収工程と、
前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分を高沸点成分として反応器から連続的に抜き出す高沸点成分回収工程と、を有する、イソシアネートの製造方法。
[2] 前記混合液が不活性溶媒を含み、
前記低沸点分解生成物回収工程において、前記不活性溶媒を、前記ポリイソシアネート化合物よりも低沸点の分解生成物と共に、前記反応器から気体状で連続的に抜き出し、
前記不活性溶媒は、熱分解反応条件下において実質的に不活性であり、かつ、その沸点が、熱分解によって生成するイソシアネートとヒドロキシ化合物の、それぞれの沸点の間にある、[1]に記載のイソシアネートの製造方法。
[3] 前記カルバメートが、下記式(20)で表されるカルバメートである[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記熱分解反応器が管型反応器である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5] 前記熱分解反応器から気体状で取り出される低沸点分解生成物がイソシアネート化合物を含み、該低沸点分解生成物が気体状で蒸留塔に供給され、該蒸留塔にてイソシアネートを分離する工程を更に含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の方法。
[6] 前記熱分解反応を行う工程は、
前記混合液を、縦型の管型反応器からなる第1反応器に連続的に導入し、第1反応器内部を流下させながら第1の分解反応を実施し、第1反応器の下部より前記液相成分を得る液相成分製造工程と、
前記液相成分を、槽型反応器からなる第2反応器に導入し、第2の分解反応を実施することによって、カルバメートをイソシアネートとヒドロキシ化合物とに分解する分解工程とを含み、
前記低沸点分解生成物回収工程において、前記低沸点分解生成物を、前記第1反応器、または前記第1反応器及び前記第2反応器の両方から気体状で連続的に取り出し、
前記高沸点成分物回収工程において、前記液相成分が、前記低沸点分解生成物の標準沸点よりも標準沸点が高い高沸点分解生成物を含み、前記高沸点分解生成物を前記第2反応器から前記ポリイソシアネート化合物と共に連続的に取り出し、
前記イソシアネートは、前記低沸点分解生成物と、前記高沸点分解生成物に含まれており、
前記第1の反応器の温度と前記第2の反応器の温度の差が50℃以内である、ことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の製造方法。
[7] 前記低沸点分解生成物回収工程において、不活性溶媒の蒸気が前記低沸点分解生成物と共に、前記第1反応器、または前記第1反応器及び前記第2反応器の両方から気体状で連続的に取り出され、
次いで、該連続的に取り出された気体成分を、前記不活性溶媒の蒸気の1部または全部を凝縮させるが、前記低沸点分解生成物の1部または全部を凝縮させない温度に保たれた部分凝縮器に導入することによって、前記低沸点分解生成物を主成分とする気体状成分と、前記不活性溶媒を主成分とする液状成分とに分離し、液状成分の1部または全部を第1反応器、または第1反応器と第2反応器の両方に戻すリサイクル工程を更に有する、[6]に記載のイソシアネートの製造方法。
[8] 前記第1反応器として、固体充填材及び固体触媒のいずれか一方または両方を内部に充填した管型反応器を使用する、[6]又は[7]に記載のイソシアネートの製造方法。
[9] 前記第1反応器として、内部にトレイを設置した管型反応器を使用する、[6]又は[7]に記載のイソシアネートの製造方法。
[10] 前記第1反応器として、内部にトレイを設置し、かつ固体充填材及び固体触媒のいずれか一方または両方を充填した管型反応器を使用する、[6]又は[7]に記載のイソシアネートの製造方法。
[11] 前記第2反応器から生じる気体成分を、前記第1反応器の下部から導入する、[6]〜[10]のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
[12] 熱分解反応条件下で、実質的に不活性であり、かつ気体状態の搬送剤を前記第1反応器及び前記第2反応器のいずれか一方または両方の下部から導入し、気体成分を反応器上部より搬出させる、[6]〜[11]のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
[13] 前記搬送剤を、前記第2反応器の液中に導入する、[6]〜[12]のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
本実施形態は、カルバメートを熱分解して、イソシアネートを製造する方法である。
本実施形態のイソシアネートの製造方法は、
カルバメートとポリイソシアネート化合物とを含む混合液を調製する工程と、
前記混合液を、熱分解反応器に連続的に導入して、カルバメートの熱分解反応をおこなう工程と、
前記ポリイソシアネート化合物よりも低沸点の分解生成物を、前記反応器から気体状で連続的に抜き出す低沸点分解生成物回収工程と、
前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分を反応器から連続的に抜き出す高沸点成分回収工程と、を有する。
本実施形態により製造されるイソシアネートとは、IUPAC(The International Union of Pure and Applied Chemistry)で定められた Nomenclature(IUPAC Nomenclature of Organic Chemistry)記載の規則C−8に定められる“イソシアネート(isocyanates)”の項の「The isocyanic acid tautomer, HN=C=O,of cyanic acid, HOC=N and its hydrocarbyl derivatives:RN=C=O.」のうち、後半部の「its hydrocarbonyl derivatives:RN=C=O」に相当する化合物であり、好ましくは、下記式(2)で表される化合物である。
式(2)において、R1は、好ましくは炭素原子数3〜85の有機基であり、より好ましくは炭素原子数3〜30の有機基である。
R1は、好ましくは、脂肪族基、芳香族基、又は、脂肪族基と芳香族基とが結合してなる基を表す。具体的なR1としては、環式炭化水素基(単環式炭化水素基、縮合多環式炭化水素基、架橋環式炭化水素基、スピロ炭化水素基、環集合炭化水素基、側鎖のある環式炭化水素基炭化水素基)、ヘテロ環基、ヘテロ環式スピロ基、ヘテロ架橋環基等の環式基、非環式炭化水素基、非環式炭化水素基と1種以上の環式基とが結合した基、及び、前記基が特定の非金属原子(炭素、酸素、窒素、硫黄又はケイ素)と共有結合している基が挙げられる。
特定の非金属原子と共有結合しているとは、例えば、前記基が、下記式(3)〜(15)で表されるいずれかの基と共有結合で結合している状態である。
また、前記式(2)において、cが1である単官能イソシアネート化合物として、後述する式(A−2)で表されるエステル結合またはアミド結合を有するイソシアネートであって、イソシアネート基を1個有するイソシアネートであってもよい。
なお、前記した化合物に構造異性体が存在する場合は、その構造異性体も前記例に含まれる。
中でも、下記一般式(I)で表される脂肪族イソシアネートを製造する方法であることが好ましい。
前記一般式(I)の中の基の定義において、アルキレン基は、好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状アルキレン基を表し、好ましくは、炭素数2〜4の直鎖状又は分枝状アルキレン基を表し、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基等が挙げられ、中でもエチレン基が好ましい。
本実施形態で製造されるイソシアネート化合物は、下記式(19)で表される化合物であることも好ましい。
Y4〜Y6は、好ましくは、単結合あるいは炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基であり、より好ましくは、単結合あるいは炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基である。
また、本実施形態のイソシアネートとして、下記式(A−1)又は(A−2)で表される化合物であってもよい。
Xは酸素原子または第2級アミノ基(−NH−)を表すが、好ましくは酸素原子を表す。
Rwは炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子をあらわす。
cは2又は3を表す。
前記式(A−1)で表される化合物の好ましい例として下記式で表される化合物が挙げられる。
なお、α-アミノ酸では、α炭素へのアミノ基やカルボキシル基などの結合様式が立体的に2通り可能であり、それぞれ、D型、L型の光学異性体として区別される。本実施形態で使用されるアミノ酸(およびアミノ酸骨核を有する化合物)は、D型、L型でもよく、その混合物やラセミ体であってもよい。工業的に安価に入手できる多くのアミノ酸は、発酵で生産されるアミノ酸で、L型であることがほとんどであるが、それらは好ましく使用できる。本明細書中では、立体配置を示していないが、D型、L型のいずれかを示している。
Ryaは、イソシアネート基、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子を含んでもよい、炭素数1以上の脂肪族基または炭素数6以上の芳香族基、または水素原子を表し、
Rvaは、イソシアネート基を含んでもよい炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子を表し、
dは1〜4のいずれかの整数を表す。
前記式(V−1)において、e12は0〜5のいずれかの整数を表し、Rdは炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基を表す。
前記式(IV−1)において、Rcは前記式(I−1)で示される基が好ましい。
以下、各工程についてそれぞれ説明する。
本工程は、カルバメートと、ポリイソシアネート化合物とを含む混合液を調製する工程である。本実施形態において材料として使用するカルバメートは、後述する、炭酸エステルと、アミン化合物とを反応させることにより製造する、炭酸エステルに由来するカルバメートを使用することが好ましい。本工程において使用する不活性溶媒、ポリイソシアネート化合物についても後述する。
カルバメートの量が上記下限値以上であると、イソシアネートの空時収率がより向上し、工業的に実施する場合には有利となる傾向がある。また、上記上限値以下であると、熱分解時に副反応がより抑制される傾向にある。
一方、前記混合液におけるポリイソシアネート化合物は、混合液の総質量に対して、10質量%以上99質量%以下となるように調製し、20質量%以上80質量%以下が好ましく、20質量%以上70質量%以下がより好ましい。
前記混合液は、不活性溶媒を含有することも好ましい。該不活性溶媒を含有することで、カルバメートの熱分解反応によって生成するイソシアネートとヒドロキシ化合物とが再結合しカルバメートを生成する反応を抑制する効果を奏する。
不活性溶媒を含有する場合、前記混合液中の不活性溶媒は、混合液の総質量に対して、1質量%以上80質量%以下となるように調製し、3質量%以上70質量%以下が好ましく、5質量%以上60質量%以下がより好ましい。
本工程は、前記カルバメートを熱分解反応器に連続的に導入して熱分解反応に付すことによってイソシアネートを得る工程であり、カルバメートから、イソシアネートとヒドロキシ化合物(好ましくは芳香族ヒドロキシ化合物)を生成させる反応である。本工程は液相で行うことが好ましい。
反応温度を一定にするために、上記反応器に公知の冷却装置、加熱装置を設置してもよい。
反応時間(滞留時間)に、特に制限はなく、通常0.001〜100時間が好ましく、0.005〜50時間がより好ましく、0.01〜10時間が特に好ましい。
これらの他にも、例えば、蒸留塔、多段蒸留塔、多管式反応器、内部に支持体を備えた反応器、強制循環反応器、落膜蒸発器、落滴蒸発器のいずれかを含む反応器を用いる方式、およびこれらを組み合わせた方式等、公知の種々の方法が用いられる。
前記ポリイソシアネート化合物よりも低い標準沸点を有する低沸点分解生成物を素早く反応系から連続的に抜き出す観点からは、充填塔、管型反応器が好ましく、管型反応器がより好ましく、管型薄膜蒸発器、管型流下膜蒸発器等の反応器を用いる方法がより更に好ましく、生成する低沸点分解成分を気相にすみやかに移動させられる気−液接触面積の大きな構造がより好ましい。
充填材の材質は、磁製、金属製等特に限定されない。本実施形態においては、熱伝導性の高い材質でできた充填材が好ましい。
触媒としては、例えば、ルイス酸およびルイス酸を生成する遷移金属化合物、有機スズ化合物、銅族金属、亜鉛、鉄族金属の化合物、具体的には、AlXa 3、TiXa 3、TiXa 4、VOXa 3、VXa 5、ZnXa 2、FeXa 3、SnXa 4(式中、Xaは、ハロゲン、アセトキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基である)で表されるルイス酸およびルイス酸を生成する遷移金属化合物; (CH3)3SnOCOCH3、(C2H5)SnOCOC6H5、Bu3SnOCOCH3、Ph3SnOCOCH3、Bu2Sn(OCOCH3)2、Bu2Sn(OCOC11H23)2、Ph3SnOCH3、(C2H5)3SnOPh、Bu2Sn(OCH3)2、Bu2Sn(OC2H5)2、Bu2Sn(OPh)2、Ph2Sn(CH3)2、(C2H5)3SnOH、PhSnOH、Bu2SnO、(C8H17)2SnO、Bu2SnCl2、BuSnO(OH)等で表される有機スズ化合物;CuCl、CuCl2、CuBr、CuBr2、CuI、CuI2、Cu(OAc)2、Cu(acac)2、オレフィン酸銅、Bu2Cu、(CH3O)2Cu、AgNO3、AgBr、ピクリン酸銀、AgC6H6ClO4等の銅族金属の化合物;Zn(acac)2等の亜鉛の化合物;Fe(C10H8)(CO)5、Fe(CO)5、Fe(C4H6)(CO)3、Co(メシチレン)2(PEt2Ph2)、CoC5F5(CO)7、フェロセン等の鉄族金属の化合物等が挙げられる。(Buはブチル基、Phはフェニル基、acacはアセチルアセトンキレート配位子を表す。)1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミンなどのアミン類も使用に適する。中でもジラウリン酸ジブチルスズ、オクチル酸鉛、スタナオクトエートなどの有機金属触媒が好ましい。これらの化合物は単独でも二種類以上の混合物として使用してもよい。
本工程は、カルバメートの熱分解反応によって生成する低沸点の分解生成物を、不活性溶媒を用いる場合は不活性溶媒と共に、熱分解反応器から気体状で連続的に抜き出す工程である。ここでいう低沸点の分解生成物とは、カルバメートの熱分解反応によって生成するイソシアネートおよびヒドロキシ化合物のうち、熱分解反応器に供給されるポリイソシアネート化合物よりも標準沸点が低い化合物を指す。好ましくは、ヒドロキシ化合物及びイソシアネートの少なくとも一方、より好ましくはヒドロキシ化合物とイソシアネートの両方である。
同様な効果を奏するものとして、低沸点の有機溶媒類、例えばジクロルメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン等の低級炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類を用いることができる。これらの搬送剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの搬送剤は、予め加熱して用いることが好ましい。
高沸点成分回収工程では、前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分を反応器から連続的に抜き出し回収する。上記した低沸点分解生成物回収工程で、熱分解反応器に供給されるポリイソシアネート化合物よりも標準沸点が低い化合物と不活性溶媒を気体状態で回収したことから、本工程で回収される高沸点成分は、前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分であり、熱分解反応に供給されるポリイソシアネート化合物と標準沸点が同じか、標準沸点が高い成分であると解される。高沸点成分には、カルバメートの熱分解によって生成するイソシアネートとカルバメートによる副反応生成物、前記イソシアネートによる副反応生成物、カルバメートによる副反応生成物、これらの副反応生成物がさらに反応して生成する化合物等が含まれる場合が多い。これらの化合物は上記した低沸点分解生成物回収工程で気体状態で回収されない場合が多い一方、反応器の表面に付着して閉塞等を引き起こす原因となる場合が多く、熱分解反応に供給されるポリイソシアネート化合物とともに熱分解反応器から液相成分として連続的に回収することによって反応器表面への付着を防止する効果を奏する。
上で示した方法だけでなく、例えば、次に示すような方法で実施することもができる。なお、以下の例では、カルバメートと不活性溶媒とポリイソシアネート化合物とからなる混合液を使用する場合を記載しているが、不活性溶媒を用いない場合でも同様である。
前記混合液を、縦型の管型反応器からなる第1反応器に連続的に導入し、第1反応器内部を流下させながら第1の分解反応を実施し、第1反応器の下部より前記液相成分を得る液相成分製造工程と、
前記液相成分を、槽型反応器からなる第2反応器に導入し、第2の分解反応を実施することによって、前記液相成分に含まれるカルバメートをイソシアネートとヒドロキシ化合物とに分解する分解工程とを含むことが好ましい。
ポリイソシアネート化合物とカルバメートを含む混合液は、縦型の管型反応器からなる第1反応器の上部から連続的に導入し、反応器内部を流下させながら第1の分解反応を実施し、反応器の下部より液相成分(反応混合物)を得る。本実施形態においては、導入する前に第1反応器を反応温度以下の温度に予熱することが好ましい。
前記混合液は、不活性溶媒を更に含むことが好ましい。前記混合液は、溶液または溶融状態で反応器に導入することが好ましく、懸濁状態で導入してもよい。
また、管型反応器の断面形状も特に限定されず、円形のものが好ましい。
管型反応器の長さは、カルバメートの種類、濃度、分解反応温度、圧力、充填材の有無、充填材の種類、トレイの有無、トレイの種類、その他の反応条件等によって適宜調整すればよい。
一例をあげると、管型反応器の長さは、50cm以上15m以下が好ましく、1m以上7m以下がより好ましい。断面が円形の場合には、その直径は1cm以上3m以下が好ましく、2cm以上50cm以下がより好ましい。
本実施形態においては、管型反応器は、固体充填材及び固体触媒のいずれか一方または両方を内部に充填した管型反応器であることが好ましい。
充填された固体充填材は、流下する液状成分の表面積を増加させ、滞留時間を増加させる効果を奏する。また、分解反応熱を液状成分に与える良好な媒体となる。
これらの固体触媒は、分解温度を低下させたり、反応温度を高めるために有効である。特に熱伝導性の良好なものは、熱分解反応熱を供給する観点から好ましい。
このような固体触媒としては、特開昭57−158746号公報、特開昭57−158747号公報、特開昭57−158748号公報及び特開昭57−159751号公報に記載された触媒を好適に用いることができる。
例えば、希土類元素、アンチモン、ビスマスの単体およびこれらの元素の酸化物、硫化物及び塩類;ホウ素単体及びホウ素化合物、周期律表の銅族、亜鉛族、アルミニウム族、炭素族、チタン族の金属およびこれらの金属の酸化物及び硫化物、周期律表の炭素を除く炭素族、チタン族、バナジウム族、クロム族元素の炭化物及び窒化物等が好ましい。
液分配器は、充填材層の上部に設置されており、充填層に液を均一に分布させるものである。液分配器の形状は特に限定されない。例えば、通常の充填塔の使用されているようなリング型分配器、せき流型分配器、とい型分配器、オリフィス型分配器が挙げられる。
分解反応速度を上げるためには、高温であることが好ましいが、副反応を抑制する観点からは低温が好ましい。使用するカルバメートの種類によって、温度を適宜調整すればよい。反応管の温度分布は、上部から下部まで均一であってもよく、温度勾配をつけてもよい。
低沸点分解生成物は、ポリイソシアネート化合物の標準沸点よりも低い標準沸点を有し、好ましくはヒドロキシ化合物とイソシアネートの少なくとも一方であり、より好ましくはヒドロキシ化合物とイソシアネートの両方である。
管型の第1反応器で、未分解のカルバメートまたは/及び未分解のカルバメート基を有するイソシアネート化合物等を完全に分解しようとすると、反応温度をより高温にしたり、滞留時間をより長くする必要がある。しかしながら、このように反応条件をより厳しくすると、副反応が起こりやすくなり、ポリマー状の副生物が生成することがある。このため、管型の第1反応器でのカルバメートの完全分解は行わず、残存するカルバメート等を、高沸点生成物(ポリイソシアネート化合物と同じ、またはポリイソシアネート化合物よりも高い標準沸点を有する)及びポリイソシアネート化合物と共に液相成分として、第1反応器の下部より液状で連続的に取り出すことも好ましい。
前記第1反応器の下部より液状で取り出された液相成分(反応混合物)は、第1反応器に接続され、槽型反応器からなる第2反応器に導入される。この第2反応器において、カルバメートはイソシアネートとヒドロキシ化合物にさらに分解(第2の分解反応)される。第2反応器に導入される液相成分中に、第1反応器で得られた低沸点分解生成物や不活性溶媒が含まれていても良い。
前記液相成分製造工程において生成した低沸点分解生成物(ポリイソシアネート化合物よりも低い標準沸点を有し、好ましくはヒドロキシ化合物および/またはイソシアネートである)と不活性溶媒は気化し、第1反応器の上部より気体状で連続的に取り出す。第1反応器の上部より取り出される気体成分は、ポリイソシアネート化合物の一部を含んでいても良い。
第2反応器より取り出される気体成分は、第2反応器の上部より第1反応器の下部に導入することが好ましい。この場合、第1反応器の下部に導入される気体成分に、低沸点分解生成物以外にポリイソシアネート化合物が含まれることが好ましい。
また、第2反応器は1槽でもよく、2槽以上の多段槽としてもよい。
上記の低沸点分解生成物回収工程で回収されなかった高沸点成分は、不活性溶媒および/またはポリイソシアネート化合物と共に第2反応器から連続的に取り出すことにより、高沸点成分を連続的に得ることができる。高沸点成分がイソシアネートを含み、該イソシアネートを蒸留によって分離する場合には、可能な限り低温で行うことが好ましく、150℃以下で行うことがより好ましい。
第1反応器の上部、または第1反応器と第2反応器のそれぞれの上部より連続的に抜き出した低沸点分解生成物と、不活性溶媒蒸気からなる気体成分を、不活性溶媒および/またはポリイソシアネート化合物の蒸気の一部分、大部分又は全部を凝縮させるが、低沸点分解生成物(好ましくはヒドロキシ化合物)の大部分又は全部を凝縮させない温度に保たれた部分凝縮器に導入することによって、大部分又は全部の気体状の低沸点分解生成物と、不活性溶媒を主成分とする液状成分とに分離し、液状成分の一部又は全部を第1反応器、または第1反応器と第2反応器のそれぞれに戻す方法としてもよい。
この方式は、副反応を抑制するために特に効果的である。また、第2反応器の上部より抜き出した低沸点分解生成物と不活性溶媒蒸気からなる気体成分は、反応管の下部より第1反応器に導入することが好ましい。
第1反応器及び第2反応器において生成する低沸点分解生成物を反応器から速やかに抜き出すために、第1反応器及び第2反応器のいずれか一方または両方の下部から搬送剤を導入することも好ましい。搬送剤は予熱されて反応器に導入されることが好ましい。
反応器及び部分凝縮器のいずれか一方又は両方から抜き出した搬送剤と低沸点分解生成物、溶媒蒸気を含む気体成分は、部分凝縮等の方法によって、それぞれの成分に分離され、搬送剤は循環再使用できる。
このような搬送剤としては、熱分解反応条件下で実質的に不活性で、かつ気体状態であることが好ましい。
同様な効果を奏するものとして、低沸点の有機溶媒類、例えばジクロルメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン等の低級炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類を用いることができる。これらの搬送剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態において、原料として用いることができるカルバメートは、下記のカルバメート製造工程により製造することが好ましい。
これらの溶媒は単独でも2種類以上の混合物として使用することもできる。アミン化合物のアミノ基に対して過剰量使用される炭酸エステルも、該反応における溶媒として好適に使用される。
該芳香族ヒドロキシ化合物としては、該芳香族ヒドロキシ化合物を構成する芳香族炭化水素環に直接結合するヒドロキシル基を1つ有する化合物が好ましい。本実施形態に用いることができる芳香族ヒドロキシ化合物の具体例については後述する。
本実施形態においては、アミン化合物の供給が、アルコール、水、または炭酸エステルとの混合物として行われることが好ましい。
反応温度は、通常、0℃〜150℃の範囲が好ましい。反応速度を高めるためには高温が好ましいが、一方で、高温では好ましくない反応も起こる場合があるので、10℃〜100℃の範囲がより好ましい。反応温度を一定にするために、上記反応器に公知の冷却装置、加熱装置を設置してもよい。
触媒を使用する場合には、反応を短時間で完結でき、反応温度を低くすることができる。
塩基性化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物等の無機塩基等の無期塩基、アンモニア、アミン、フォスファゼン等の有機塩基が用いられ、中でも、アミンが好ましく、脂肪族アミンの場合は第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンがより好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンもしくはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
上記の方法によって、カルバメートと、余剰の炭酸エステルと、炭酸エステルに由来するヒドロキシ化合物を含有する反応混合物が得られる。
上記の方法により得られるカルバメートは、下記式(20)で表されるカルバメートであることが好ましい。
なお、前記式(20)で表されるカルバメートは、後述される〔カルバメート製造工程〕で製造されるカルバメートだけでなく、本実施形態で使用するカルバメートをも表す。
R3の脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。直鎖状アルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられる。これらの中でも、エチル基、n−ブチル基、イソペンチル基が好ましい。
該R1を構成する炭素原子の数は1〜30が好ましい。
具体的な2価のR1基としては、メチレン基、エチレン基、n−トリメチレン基、n−テトラメチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基等が挙げられる。中でも、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基が好ましい。
具体的な3価のR1基としては、オクタメチレンジイル−4−メチル基が好ましい。
1価のR20としては下記式(20−1)又は式(20−2)で表される基、2価のR20としては下記式(20−3)、式(20−4)、式(20−5)又は式(20−6)で表される基、3価のR20としては下記式(20−7)、式(20−8)又は式(20−9)で表される基、4価のR20としては下記式(20−10)、式(20−11)、式(20−12)又は式(20−13)で表される基が好ましい。
炭素数6〜15の芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フラニル基、ベンゾジオキソリル基等が挙げられる。
前記式(20−1)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
また、前記式(20−2)において、R222は、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基を表し、好ましくは炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、さらに好ましくはエチレン基である。
前記式(20−2)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
また、前記式(20−3)において、R232はR212と同じ基である。
前記式(20−3)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
また、前記式(20−4)において、R242は、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基であり、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基、より好ましくはエチレン基である。
前記式(20−4)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
また、前記式(20−5)において、R252はR212と同じ基を表す。
前記式(20−5)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
また、前記式(20−6)において、R262は2価の基であって炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基を表し、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基であり、より好ましくはエチレン基である。
前記式(20−6)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
また、前記式(20−7)において、R272はR212と同じ基を表し、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
前記式(20−7)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
R282は、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基を表し、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。
前記式(20−8)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
また、前記式(20−9)において、R292は、3価の基である、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基を表す。
また、前記式(20−10)において、R2002はR212と同じ基を表す。
また、前記式(20−11)において、R2102は、4価の基であって、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子を表し、好ましくは炭素数5〜10の脂肪族飽和炭化水素基である。
前記式(20−11)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
R2302は炭素数1〜15の脂肪族基又は炭素数6〜15の芳香族基を表し、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。
前記式(20−13)で表される好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
また、前記式(20)においてcが1である単官能カルバメートとして、後述する式(B−2)で表されるエステル結合またはアミド結合を有するカルバメートであって、カルバメート基を1個有するイソシアネートであってもよく、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチルメタクリレートであってもよい。
e=3、f=h=0、j=l=0、k=1、Rgがエチレン基である、2−(カルバミン酸エチルエステル)エチル−2,5−ジ(カルバミン酸エチルエステル)ペンタノエート、2−(カルバミン酸メチルエステル)エチル−2,5−ジ(カルバミン酸メチルエステル)ペンタノエート、2−(カルバミン酸ブチルエステル)エチル−2,5−ジ(カルバミン酸ブチルエステル)ペンタノエート、2−(カルバミン酸フェニルエステル)エチル−2,5−ジ(カルバミン酸フェニルエステル)ペンタノエート、2−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)エチル−2,5−ジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ペンタノエート、
e=4、f=h=0、Rgがエチレン基、j=l=0、k=1である、2−(カルバミン酸メチルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸メチルエステル)ヘキサノエート、2−(カルバミン酸エチルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸エチルエステル)ヘキサノエート、2−(カルバミン酸ブチルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸ブチルエステル)ヘキサノエート、2−(カルバミン酸フェニルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸フェニルエステル)ヘキサノエート、2−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)エチル−2,6−ジ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ヘキサノエート、
d=2、Rgがエチレン基、e=1、f=h=0、j=k=1、l=0である、ビス(2−(カルバミン酸エチルエステル)エチル)−2−(カルバミン酸エチルエステル)ブタンジオエート、ビス(2−(カルバミン酸メチルエステル)エチル)−2−(カルバミン酸メチルエステル)ブタンジオエート、ビス(2−(カルバミン酸ブチルエステル)エチル)−2−(カルバミン酸ブチルエステル)ブタンジオエート、ビス(2−(カルバミン酸フェニルエステル)エチル)−2−(カルバミン酸フェニルエステル)ブタンジオエート、
d=2、Rgがエチレン基、e=2、f=h=0、j=k=1、l=0である、ビス(2−(カルバミン酸エチルエステル)エチル)−2−(カルバミン酸エチルエステル)ペンタンジオエート、ビス(2−(カルバミン酸メチルエステル)エチル)−2−(カルバミン酸メチルエステル)ペンタンジオエート、ビス(2−(カルバミン酸ブチルエステル)エチル)−2−(カルバミン酸ブチルエステル)ペンタンジオエート、ビス(2−(カルバミン酸フェニル)エチル)−2−(カルバミン酸フェニル)ペンタンジオエート、
d=i=2、Rgがエチレン基、j=k=l=1、e=3、f=2、h=0である、トリス(2−(カルバミン酸エチルエステル)エチル)ヘキサン−1,3,6−トリカルボキシレート、トリス(2−(カルバミン酸メチルル)エチル)ヘキサン−1,3,6−トリカルボキシレート、トリス(2−(カルバミン酸ブチルエステル)エチル)ヘキサン−1,3,6−トリカルボキシレート、トリス(2−(カルバミン酸フェニルエステル)エチル)ヘキサン−1,3,6−トリカルボキシレート、
等が挙げられる。
その他、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル(フェノキシカルボニル)グルタミネート、ビス(2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル)(フェノキシカルボニル)アスパルテート、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル 2,5−ビス((フェノキシカルボニル)アミノ)ペンタノエートが挙げられる。
R3はフェニル基が好ましい。
Y4〜Y6は、好ましくは、単結合、あるいは、炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基であり、より好ましくは、単結合あるいは炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基であり、より好ましくは単結合である。
R3は、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基である。
1,3,5−トリ(カルバミン酸エチルエステル)ベンゼン、1,3,5−トリ(カルバミン酸エチルエステル)2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸エチルエステル)プロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸エチルエステル)プロパン−2−イル)−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸エチルエステル)メチル)−2−メチルベンゼン、2,2’−((2−(カルバミン酸エチルエステル)1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス((カルバミン酸エチルエステル)ベンゼン)
1,3,5−トリ(カルバミン酸ブチルエステル)ベンゼン、1,3,5−トリ(カルバミン酸ブチルエステル)2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ブチルエステル)プロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ブチルエステル)プロパン−2−イル)−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ブチルエステル)メチル)−2−メチルベンゼン、2,2’−((2−(カルバミン酸ブチルエステル)1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス((カルバミン酸ブチルエステル)ベンゼン)
1,3,5−トリ(カルバミン酸フェニルエステル)ベンゼン、1,3,5−トリ(カルバミン酸フェニルエステル)2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸フェニルエステル)プロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸フェニルエステル)プロパン−2−イル)−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸フェニルエステル)メチル)−2−メチルベンゼン、2,2’−((2−(カルバミン酸フェニルエステル)1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス((カルバミン酸フェニルエステル)ベンゼン)
1,3,5−トリ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ベンゼン、1,3,5−トリ(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)プロパン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)プロパン−2−イル)−2−メチルベンゼン、1,3,5−トリス(1−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)メチル)−2−メチルベンゼン、2,2’−((2−(カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス((カルバミン酸ジメチルフェニルエステル)ベンゼン)等が挙げられる。
Rxbは、カルバメート基、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子を含んでもよい、炭素数1以上の脂肪族基または炭素数6以上の芳香族基を表す。
R3は前記式(20)で定義した基を表し、好ましくはフェニル基を表す。
Rwは炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子をあらわし、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基を表す。
cは2又は3を表す。
前記式(B−1)において、Rxbは好ましくはアミノ酸から−NHCOOH基を除いた構造であり、より好ましくは炭素数1〜15の脂肪族基または炭素数6〜15の芳香族基である。
前記式(B−1)で表される化合物の好ましい例として下記式で表される化合物が挙げられる。
Rybは、カルバメート基、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子を含んでもよい、炭素数1以上の脂肪族基または炭素数6以上の芳香族基、または水素原子を表す。
Rvbは、カルバメート基を含んでいてもよい、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子を表す。
dは1〜4のいずれかの整数を表す。
前記式(i−2)〜(iv−2)において、窒素原子、硫黄原子が結合する原子は炭素原子である。
前記式(V−2)において、e22は0〜5のいずれかの整数を表し、Rdは炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基を表す。
前記式(IV−2)において、Rcは前記式(I−1)で示される基が好ましい。
本実施形態におけるカルバメートとして下記式で表される化合物が挙げられる。
以下、本実施形態に用いる各材料について説明する。
本実施形態に用いることができる不活性溶媒は、反応条件下において実施的に不活性であり、沸点が生成するイソシアネートとヒドロキシル化合物のそれぞれの沸点の間にあるものであれば特に限定されない。
このような熱分解性溶媒としては、脂肪族類、脂環族類、置換基を有していてもよい芳香族類、非置換の炭化水素類又はこれらの混合物類が挙げられる。
また、エーテル、ケトン、エステル等の酸素原子を有していてもよい化合物類であってもよく、チオエーテル、スルホキシド、スルホン等の硫黄原子を有していてもよい化合物類であってもよい。
本実施形態で使用するポリイソシアネート化合物としては、イソシアネートを重合して得られるポリイソシアネート化合物が好ましく、中でも、上記式(2)にてcが2であるジイソシアネートを公知の方法で重合し、下記式(A)で示される単位と、下記式(25)〜(29)で表される単位のうち少なくとも1つ以上の単位とを有し、下記式(25)〜(29)のR5に結合している基が下記式(B)で表される基または下記式(30)で表される基であるポリイソシアネート化合物が好ましい。なお、ポリイソシアネート化合物を構成する窒素原子は炭素原子と結合している。
本実施形態のポリイソシアネート化合物の構造は、使用するイソシアネート化合物、イソシアネート組成物の組成、反応条件等によって異なるが、好ましくは、下記式で表される構造を含む。
本実施形態の製造方法に用いる炭酸エステルは、下記式(32)で表わされる化合物が好ましい。
R30の脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられる。
また、該金属原子は、金属イオンとして存在していても、金属原子単体として存在していてもよい。金属原子としては、2価ないし4価の原子価をとりうる金属原子が好ましく、中でも、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、銅、チタンから選ばれる1種もしくは複数種の金属がより好ましい。
本実施形態において、反応溶媒として使用する芳香族ヒドロキシ化合物としては、フェノール、メチル−フェノール(各異性体)、エチル−フェノール(各異性体)、プロピル−フェノール(各異性体)、ブチル−フェノール(各異性体)、ペンチル−フェノール(各異性体)、ヘキシル−フェノール(各異性体)、ヘプチル−フェノール(各異性体)、オクチル−フェノール(各異性体)、ノニル−フェノール(各異性体)、デシル−フェノール(各異性体)、ドデシル−フェノール(各異性体)、フェニル−フェノール(各異性体)、フェノキシフェノール(各異性体)、クミル−フェノール(各異性体)等のモノ置換フェノール類等を挙げることができる。これらの芳香族ヒドロキシ化合物の中でも、炭酸ジアリールを構成する基ArO(Arは芳香族基であり、Oは酸素原子を表す)に水素原子が付加した化合物ArOHに相当する化合物がより好ましく使用される。これは、炭酸ジアリールとアミン化合物との反応によって得られる反応混合物における化合物の種類を少なくすることができ、分離操作を簡素化することができるためである。
本実施形態に材料として用いることができるアミン化合物としては、下記式(34)で表されるアミン化合物が好ましい。
式(34)において、R1は、好ましくは炭素原子数3〜85の有機基であり、より好ましくは炭素原子数3〜30の有機基である。
特定の非金属原子と共有結合しているとは、例えば、前記基が、前記式(3)〜(15)で表されるいずれかの基と共有結合で結合している状態である。
また、前記式(34)においてcが1である単官能アミン化合物として、後述する式(C−2)で表されるエステル結合またはアミド結合を有するアミン化合物であって、アミノ基を1個有するアミン化合物であってもよい。
炭素数8〜30の芳香族基を含有するジアミンとしては、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、テトラメチルキシリレンジアミン、ナフタレンジアミンが挙げられる。
なお、前記した化合物に構造異性体が存在する場合は、その構造異性体も前記例に含まれる。
中でも、下記一般式(III)で表される脂肪族アミンであることが好ましい。
本実施形態において、アミン化合物としては、下記式(38)で表される化合物も好ましく使用される。
Y4〜Y6は、好ましくは、単結合あるいは炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数2〜20であって脂肪族基と脂肪族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数7〜20であって脂肪族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエステル結合で結合した2価の基、炭素原子数14〜20であって芳香族基と芳香族基がエーテル結合で結合した2価の基であり、より好ましくは、単結合あるいは炭素原子数1〜20の2価の脂肪族基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基であり、より更に好ましくは単結合である。
また、3官能のアミンとして、3分子の前記2官能のアミンが、イソシアヌレート環構造やビウレット結合等を介して3量体化した化合物を用いることもできる。
また、アミン化合物として、下記式(C−1)又は式(C−2)で表される化合物を用いることができる。
Rxcは、第1級アミノ基、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子を含んでもよい、炭素数1以上の脂肪族基または炭素数6以上の芳香族基を表す。
Rwは炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子をあらわし、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基を表す。
cは2または3を表す。
前記式(C−1)で表される化合物の好ましい例として下記式で表される化合物が挙げられる。
Rycは、第1級アミノ基、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子を含んでもよい、炭素数1以上の脂肪族基または炭素数6以上の芳香族基、または水素原子を表す。
Rvcは、第1級アミノ基を含んでもよい、炭素数1〜15の脂肪族基、炭素数6〜15の芳香族基または水素原子をあらわし、
dは1〜4のいずれかの整数を表す。
前記式(V−3)において、e32は0〜5のいずれかの整数を示し、Rdは炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基を表す。
本実施形態におけるアミン化合物として下記式で表される化合物が挙げられる。
1)NMR分析方法
装置:日本国、日本電子(株)社製JNM−A400 FT−NMRシステム
(1)1Hおよび13C−NMR分析サンプルの調製
サンプル溶液を約0.3g秤量し、重クロロホルム(米国、アルドリッチ社製、99.8%)を約0.7gと内部標準物質としてテトラメチルシラン(日本国、和光純薬工業社製、和光一級)を0.05g加えて均一に混合した溶液をNMR分析サンプルとした。
(2)定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
装置:日本国、島津社製 LC−10ATシステム
カラム:日本国、東ソー社製 Silica−60カラム 2本直列に接続
展開溶媒:ヘキサン/テトラヒドロフラン=80/20(体積比)の混合液
溶媒流量:2mL/分
カラム温度:35℃
検出器:R.I.(屈折率計)
(1)液体クロマトグラフィー分析サンプル
サンプルを約0.1g秤量し、テトラヒドロフラン(日本国、和光純薬工業社製、脱水)を約1gと内部標準物質としてビスフェノールA(日本国、和光純薬工業社製、一級)を約0.02g加えて均一に混合した溶液を、液体クロマトグラフィー分析のサンプルとした。
(2)定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
装置:日本国、島津社製 GC−2010
カラム:米国、アジレントテクノロジーズ社製 DB−1
長さ30m、内径0.250mm、膜厚1.00μm
カラム温度:50℃で5分間保持後、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温
200℃で5分間保持後、昇温速度10℃/分で300℃まで昇温
検出器:FID
(1)ガスクロマトグラフィー分析サンプル
サンプルを約0.05g秤量し、アセトン(日本国、和光純薬工業社製、脱水)を約1gと内部標準物質としてトルエン(日本国、和光純薬工業社製、脱水)を約0.02g加えて均一に混合した溶液を、ガスクロマトグラフィー分析のサンプルとした。
(2)定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
装置:日本国、セイコー電子社製、SPQ−8000
(1)誘導結合型プラズマ質量分析サンプル
試料約0.15gを希硫酸で灰化させた後、希硝酸に溶解した。
(2)定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
(混合溶媒調製工程)
公知の手法で得たN,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジフェニルエステル(以下、カルバメート体と称する)10質量%、オルトジクロロベンゼン60質量%、ポリイソシアネート(旭化成株式会社製 ポリイソシアネート(商品名:デュラネート) グレード:TPA−100)30質量%からなる混合溶媒を得た。
上記で得た混合溶媒を図1に示す熱分解反応装置に連続的に導入した。具体的には、まず、原料予熱器1を160℃に予熱し、混合溶媒を原料予熱器1を経由して管型第1反応器2の上部に送り、600g/hrの流量で連続的に導入した。
管型第1反応器2は内径5cmであり、上部に導入された原料混合物を均一に分配するための分配器が設置されており、内部にはステンレススチール製のラシヒリングが充填されてなる充填層が設けられていた。また、充填層には15cm毎に液再分配器が設けられていた。
前記管型第1反応器2および前記槽型第2反応器3の温度は共に250℃に保ち、圧力は8kg/cm2に保った。
反応液の平均滞留時間は、管型第1反応器2中で20分、槽型第2反応器中で15分であった。
前記管型第1反応器2の上部から出る気体成分は、150℃に保たれた部分凝縮器4を通過させることによって、大部分がオルトジクロロベンゼンからなる液成分と、少量のオルトジクロロベンゼン蒸気を含むフェノール蒸気および窒素ガスからなる気体成分に分離した。
実施例1で使用したカルバメート体を下記表に示す各種カルバメートにしたこと以外は実施例1に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
下記表において、「低沸溶媒」は「不活性溶媒」を意味し、「高沸溶媒」は「ポリイソシアネート化合物」を意味する。
撹拌機を具備する1Lの4口フラスコを用い、窒素雰囲気下で、炭酸ジフェニル510g(2.4モル)とトリエチルアミン136g(1.35モル)と、リジンβ−アミノエチルエステル三塩酸塩150g(0.34モル)をトルエン中で50℃で8時間反応させた。反応液をサンプリングし、液体クロマトグラフィーで分析したところ、目的とするカルバメートが、リジンβ−アミノエチルエステル三塩酸塩に対して約82モル%で生成していた。
ロータリエバポレーターを用いて有機層からトルエンを留去して得た固体の1H−NMR分析をおこなったところ、該固体は、2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル−2,6−ビス((フェノキシカルボニル)アミノ)ヘキサノエートであった。
(混合溶媒調製工程)
2−((フェノキシカルボニル)アミノ)エチル−2,6−ビス((フェノキシカルボニル)アミノ)ヘキサノエート(以下、カルバメートと呼称する場合がある)10質量%、オルトジクロロベンゼン60質量%、ポリイソシアネート(旭化成株式会社製 ポリイソシアネート(商品名:デュラネート) グレード:TPA−100)30質量%からなる混合溶媒を得た。
上記で得た混合溶媒を図1に示す熱分解反応装置に連続的に導入した。具体的には、まず、原料予熱器1を160℃に予熱し、混合溶媒を原料予熱器1を経由して管型第1反応器2の上部に送り、600g/hrの流量で連続的に導入した。
管型第1反応器2は内径5cmであり、上部に導入された原料混合物を均一に分配するための分配器が設置されており、内部にはステンレススチール製のラシヒリングが充填されてなる充填層が設けられていた。また、充填層には15cm毎に液再分配器が設けられていた。
前記管型第1反応器2および前記槽型第2反応器3の温度は共に250℃に保ち、圧力は8kg/cm2に保った。
反応液の平均滞留時間は、管型第1反応器2中で20分、槽型第2反応器中で15分であった。
前記管型第1反応器2の上部から出る気体成分は、150℃に保たれた部分凝縮器4を通過させることによって、大部分がオルトジクロロベンゼンからなる液成分と、少量のオルトジクロロベンゼン蒸気を含むフェノール蒸気および窒素ガスからなる気体成分に分離した。
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例12に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。なお、アルギニンを使用する場合は公知の方法によりオルニチンに加水分解して使用した。また、グルタミン、アスパラギンを使用する場合は、公知の方法により、それぞれ、グルタミン酸、アスパラギン酸に加水分解して使用した。
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例12に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
実施例1で使用したリジンアミノエチルエステル塩酸塩のアミノ酸基を下記表に示す各種アミノ酸あるいはアミノ酸誘導体を導入した事、および混合溶媒調製工程で使用したポリイソシアネートを下記表に示したものとした事以外は実施例12に記載した操作を行った。なお、表内に記載のポリイソシアネートとしてはいずれも旭化成株式会社製 ポリイソシアネート(商品名:デュラネート グレード:TKA−100、24A−100、TLA−100)を用いた。本操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
実施例1で実施した調合工程後の工程に代わり、下記の工程とした。
「混合液を調製する工程」で得た混合液を第1の貯槽101に投入した。第1の充填層106、第2の充填層107、及び第3の充填層108からなる熱媒ジャケットを具備する反応器100に、オルトジクロロベンゼン、ポリイソシアネート(旭化成株式会社製 ポリイソシアネート(商品名:デュラネート) グレード:TPA−100)を投入した。
前記熱媒ジャケットを通過する熱媒の温度を270℃とし、内部の圧力を調整しながら、第3の充填層108の上部に具備する第6のライン16、第3の部分凝縮器115、第3の貯槽103、第4の送液ポンプ112、及び、第7のライン17を経由してオルトジクロロベンゼンが還流する状態を形成させた。同様に、第2の充填層107の上部に具備する第4のライン14、第2の部分凝縮器114、第4の貯槽104、第3の送液ポンプ111、及び、第5のライン15を経由してオルトジクロロベンゼンが還流する状態を形成させた。同様に、第1の充填層106の上部に具備する第2のライン12、第1の部分凝縮器113、第5の貯槽105、第2の送液ポンプ110、及び、第3のライン13を経由してオルトジクロロベンゼンが還流する状態を形成させた。
ここに、第1の貯槽101から第1のライン10及び第5の送液ポンプ116を経由して反応器100に上記混合液を500g/hrで供給し、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジフェニルエステルの熱分解をおこなった。熱分解で生成したフェノールとオルトジクロロベンゼンを含む混合液を、第3の充填層108の上部に具備する第6のライン16、第3の部分凝縮器115を経由して第3の貯槽103に回収した。同時に、熱分解で生成したヘキサメチレンジイソシアネートとオルトジクロロベンゼンとを含む混合液を、第2の充填層107の上部に具備する第4のライン14、第2の部分凝縮器114を経由して第4の貯槽104に回収した。同時に、熱分解で生成したヘキサメチレンジイソシアネートとオルトジクロロベンゼンとを含む混合液を、第1の充填層106の上部に具備する第2のライン12、第1の部分凝縮器113を経由して第5の貯槽105に回収した。一方、反応器100内部における液面が一定となるように、第8のライン11及び第1の送液ポンプを経由して反応器100の底部よりポリイソシアネートを含む反応液を抜出し、第2の貯槽102に回収した。第4の貯槽104に回収したヘキサメチレンジイソシアネートの収率は58%であった。また、上記運転を200時間継続しておこなうことができた。
実施例81で使用したカルバメート体を下記表に示す各種カルバメートにしたこと以外は実施例81に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例81に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。なお、アルギニンを使用する場合は公知の方法によりオルニチンに加水分解して使用した。また、グルタミン、アスパラギンを使用する場合は、公知の方法により、それぞれ、グルタミン酸、アスパラギン酸に加水分解して使用した。
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例92と同じ方法で操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
実施例92で使用したリジンアミノエチルエステル塩酸塩のアミノ酸基を下記表に示す各種アミノ酸あるいはアミノ酸誘導体を導入した事、および混合溶媒調製工程で使用したポリイソシアネートを下記表に示したものとした事以外は実施例92に記載した操作を行った。なお、表内に記載のポリイソシアネートとしてはいずれも旭化成株式会社製 ポリイソシアネート(商品名:デュラネート グレード:TKA−100、24A−100、TLA−100)を用いた。本操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
実施例81で実施した調合工程後の工程に代わり、下記の工程とした。
(カルバメートの熱分解)
上述の「混合液を調製する工程」で得た混合液を第10の貯槽201に投入した。充填塔210にオルトジクロロベンゼンを投入し、リボイラー206の温度を200℃とし、第15のライン25、第7の送液ポンプ208、及び第16らのラインを経由して、オルトジクロロベンゼンを循環させた。同時に、充填等210の内部の圧力を調整しながら、充填塔210の上部に具備する第13のライン23、第4の部分凝縮器205、第12の貯槽203、第8の送液ポンプ209、及び第14のライン24を経由してオルトジクロロベンゼンが還流する状態を形成させた。
ここに、第10の貯槽201から第10のライン20及び第6の送液ポンプ207を経由して、あらかじめ250℃に加熱したフォーリングフィルム型反応器200に上記混合液を500g/hrで供給し、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジフェニルエステルの熱分解をおこなった。熱分解で生成したフェノールとヘキサメチレンジイソシアネートとオルトジクロロベンゼンを含む気体を、第12のライン22を経由して充填塔210に供給した。一方、副生物を含むポリイソシアネートをフォーリングフィルム型反応器200の底部から第11のライン21を経由して第11の貯槽202に回収した。第12のライン22を経て回収した気体成分は充填塔210で蒸留分離し、第13のライン23、第4の部分凝縮器205を経由して、フェノールとオルトジクロロベンゼンを含む混合液を第12の貯槽203に回収した。一方、ヘキサメチレンジイソシアネートとオルトジクロロベンゼンと少量のポリイソシアネートを含む混合液を、第17のライン27を経由して第13の貯槽204に回収した。第13の貯槽204に回収したヘキサメチレンジイソシアネートの収率は88%であった。また、上記運転を200時間継続しておこなうことができた。
実施例161で使用したカルバメート体を下記表に示す各種カルバメートにしたこと以外は実施例161に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた事以外は実施例161に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。なお、アルギニンを使用する場合は公知の方法によりオルニチンに加水分解して使用した。また、グルタミン、アスパラギンを使用する場合は、公知の方法により、それぞれ、グルタミン酸、アスパラギン酸に加水分解して使用した。
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例172と同じ方法で操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
実施例172で使用したリジンアミノエチルエステル塩酸塩のアミノ酸基を下記表に示す各種アミノ酸あるいはアミノ酸誘導体を導入した事、および混合溶媒調製工程で使用したポリイソシアネートを下記表に示したものとした事以外は実施例172に記載した操作を行った。なお、表内に記載のポリイソシアネートとしてはいずれも旭化成株式会社製 ポリイソシアネート(商品名:デュラネート グレード:TKA−100、24A−100、TLA−100)を用いた。
本操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
実施例1で使用したポリイソシアネートを使用しなかった事以外は実施例1に記載と同じ方法で運転を行った。反応開始後、約1時間でほぼ定常状態になり、約5時間後に、反応管の下部より得られたオルトジクロロベンゼン溶液を分析した結果、カルバメートの反応率は98%であったが、ヘキサメチレンジイソシアネートの選択率は62%であり、ポリマー状副生物がかなり増え、マスバランスも合わなくなってきており、反応器内部へのポリマー状副生物の付着が推定された。さらに3時間反応を続けたが、マスバランスが大幅に合わなくなったので反応を中断し、反応管内部を調べた結果、下部の充填材、その支持板、液再分配器および内壁にポリマー状物質がかなり多量に付着していることが認められた。
実施例1で使用したポリイソシアネートの代わりにβ-フェネチルアルコールを使用した事以外は実施例1に記載と同じ方法で運転を行った。反応開始後、約1時間でほぼ定常状態になり、約5時間後に、反応管の下部より得られたオルトジクロロベンゼン・β-フェネチルアルコール溶液を分析した結果、カルバメートの反応率は98%であったが、ヘキサメチレンジイソシアネートの選択率は64%であり、ポリマー状副生物がかなり増え、マスバランスも合わなくなってきており、反応器内部へのポリマー状副生物の付着が推定された。さらに2時間反応を続けたが、マスバランスが大幅に合わなくなったので反応を中断し、反応管内部を調べた結果、下部の充填材、その支持板、液再分配器および内壁にポリマー状物質がかなり多量に付着していることが認められた。
実施例1で使用したポリイソシアネートの代わりにフタル酸を使用した事以外は実施例1に記載と同じ方法で運転を行った。反応開始後、約1時間でほぼ定常状態になり、約5時間後に、反応管の下部より得られたオルトジクロロベンゼン・フタル酸溶液を分析した結果、カルバメートの反応率は98%であったが、ヘキサメチレンジイソシアネートの選択率は54%であり、ポリマー状副生物がかなり増え、マスバランスも合わなくなってきており、反応器内部へのポリマー状副生物の付着が推定された。さらに2時間反応を続けたが、マスバランスが大幅に合わなくなったので反応を中断し、反応管内部を調べた結果、下部の充填材、その支持板、液再分配器および内壁にポリマー状物質がかなり多量に付着していることが認められた。
実施例1で管型第一反応器2と部分凝縮器4の流路を閉止した事以外は実施例1に記載と同じ方法で運転を行った。反応開始後、約5時間運転したが、ヘキサメチレンジイソシアネートの選択率は12%であり、反応が効率的に進まなかった。経時的にポリマー状副生物が増え、マスバランスも合わなくなってきており、反応器内部へのポリマー状副生物の付着が推定された。さらに4時間反応を続けたが、マスバランスが大幅に合わなくなったので反応を中断し、反応管内部を調べた結果、下部の充填材、その支持板、液再分配器および内壁にポリマー状物質がかなり多量に付着していることが認められた。
実施例1で使用したカルバメートを公知の方法で合成したオクチルカルバメートを用い、ポリイソシアネートを使用しなかった事以外は実施例1に記載と同じ方法で運転を行った。反応開始後、約1時間でほぼ定常状態になり、約5時間後に、反応管の下部より得られたオルトジクロロベンゼン溶液を分析した結果、カルバメートの反応率は98%であったが、オクチルイソシアネートの選択率は50%であり、ポリマー状副生物がかなり増え、マスバランスも合わなくなってきており、反応器内部へのポリマー状副生物の付着が推定された。さらに5時間反応を続けたが、マスバランスが大幅に合わなくなったので反応を中断し、反応管内部を調べた結果、下部の充填材、その支持板、液再分配器および内壁にポリマー状物質がかなり多量に付着していることが認められた。
実施例1で使用したカルバメートを公知の方法で合成したオクチルカルバメートを用い、ポリイソシアネートの代わりにβ-フェネチルアルコールを使用した事以外は実施例1に記載と同じ方法で運転を行った。反応開始後、約5時間でほぼ定常状態になり、約5時間後に、反応管の下部より得られたオルトジクロロベンゼン・β-フェネチルアルコール溶液を分析した結果、カルバメートの反応率は98%であったが、オクチルイソシアネートの選択率は52%であり、ポリマー状副生物がかなり増え、マスバランスも合わなくなってきており、反応器内部へのポリマー状副生物の付着が推定された。さらに5時間反応を続けたが、マスバランスが大幅に合わなくなったので反応を中断し、反応管内部を調べた結果、下部の充填材、その支持板、液再分配器および内壁にポリマー状物質がかなり多量に付着していることが認められた。
実施例1で使用したカルバメートを公知の方法で合成したオクチルカルバメートを用い、ポリイソシアネートの代わりにフタル酸を使用した事以外は実施例1に記載と同じ方法で運転を行った。反応開始後、約5時間でほぼ定常状態になり、約5時間後に、反応管の下部より得られたオルトジクロロベンゼン・フタル酸溶液を分析した結果、カルバメートの反応率は98%であったが、オクチルイソシアネートの選択率は42%であり、ポリマー状副生物がかなり増え、マスバランスも合わなくなってきており、反応器内部へのポリマー状副生物の付着が推定された。さらに5時間反応を続けたが、マスバランスが大幅に合わなくなったので反応を中断し、反応管内部を調べた結果、下部の充填材、その支持板、液再分配器および内壁にポリマー状物質がかなり多量に付着していることが認められた。
温度計、撹拌機、窒素シール管を備えたガラス製四つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート1000gを入れ、フラスコ内の空気を窒素で置換し撹拌しながら70℃に加熱した。反応液の屈折率測定により、ヘキサメチレンジイソシアネートの転化率が20%になるまで触媒(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を徐々に添加し、20%になった時点で85%リン酸水溶液を0.5g添加して反応を停止した。このとき、転化率20%を達成するために必要な触媒量は、反応に用いたヘキサメチレンジイソシアネートに対して220質量ppmであった。
反応後、反応液を濾過し、流下式薄膜蒸留装置を用いて、1回目160℃(27Pa)、2回目150℃(13Pa)で未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを除去し、ヘキサメチレンジイソシアネートの重合体であるイソシアヌレート化合物を得た。
温度計、撹拌機、窒素シール管を備えたガラス製四つ口フラスコに、トルエンジイソシアネート(異性体混合物)1000gを入れ、フラスコ内の空気を窒素で置換し撹拌しながら70℃に加熱した。反応液の屈折率測定により、トルエンジイソシアネートの転化率が20%になるまで触媒(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を徐々に添加し、20%になった時点で85%リン酸水溶液を0.5g添加して反応を停止した。
反応後、反応液を濾過し、流下式薄膜蒸留装置を用いて、1回目160℃(27Pa)、2回目150℃(13Pa)で未反応のトルエンジイソシアネートを除去し、トルエンジイソシアネートの重合体であるイソシアヌレート化合物を得た。
温度計、撹拌機、窒素シール管を備えたガラス製四つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(異性体混合物)1000gを入れ、フラスコ内の空気を窒素で置換し撹拌しながら70℃に加熱した。反応液の屈折率測定により、イソホロンジイソシアネートの転化率が20%になるまで触媒(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を徐々に添加し、20%になった時点で85%リン酸水溶液を0.5g添加して反応を停止した。
反応後、反応液を濾過し、流下式薄膜蒸留装置を用いて、1回目180℃(10Pa)、2回目170℃(10Pa)で未反応のイソホロンジイソシアネートを除去し、イソホロンジイソシアネートの重合体であるイソシアヌレート化合物を得た。
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例1に記載した操作を行い、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得た。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例81に記載した操作を行い、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得た。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた以外は実施例161に記載した操作を行い、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得た。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた事以外は実施例161に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた事以外は実施例12に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
下記表に示すカルバメート製造原料及び熱分解反応原料を用いた事以外は実施例81に記載した操作を行ったところ、原料カルバメート体に相当するイソシアネートを得ることができた。この分解反応を200時間連続運転したが、いずれも反応器内部へのポリマー状副生物の付着も見られず、安定した成績で原料に対応するイソシアネートを製造する事ができた。
Claims (12)
- カルバメートの熱分解によってイソシアネートを製造する方法であって、
カルバメートと、ポリイソシアネート化合物とを含む混合液を調製する工程と、
前記混合液を、熱分解反応器に連続的に導入して、カルバメートの熱分解反応をおこなう工程と、
前記ポリイソシアネート化合物よりも標準沸点が低い低沸点分解生成物を、前記反応器から気体状で連続的に抜き出す低沸点分解生成物回収工程と、
前記低沸点分解生成物回収工程で気体状で回収されなかった液相成分を高沸点成分として反応器から連続的に抜き出す高沸点成分回収工程と、を有する、イソシアネートの製造方法において、
前記混合液が不活性溶媒を含み、
前記低沸点分解生成物回収工程において、前記不活性溶媒を、前記ポリイソシアネート化合物よりも低沸点の分解生成物と共に、前記反応器から気体状で連続的に抜き出し、
前記不活性溶媒は、熱分解反応条件下において実質的に不活性であり、かつ、その沸点が、熱分解によって生成するイソシアネートとヒドロキシ化合物の、それぞれの沸点の間にあるイソシアネートの製造方法。 - 前記熱分解反応器が管型反応器である、請求項1または2に記載のイソシアネートの製造方法。
- 前記熱分解反応器から気体状で取り出される低沸点分解生成物がイソシアネート化合物を含み、該低沸点分解生成物が気体状で蒸留塔に供給され、該蒸留塔にてイソシアネートを分離する工程を更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
- 前記熱分解反応を行う工程は、
前記混合液を、縦型の管型反応器からなる第1反応器に連続的に導入し、第1反応器内部を流下させながら第1の分解反応を実施し、第1反応器の下部より前記液相成分を得る液相成分製造工程と、
前記液相成分を、槽型反応器からなる第2反応器に導入し、第2の分解反応を実施することによって、カルバメートをイソシアネートとヒドロキシ化合物とに分解する分解工程とを含み、
前記低沸点分解生成物回収工程において、前記低沸点分解生成物を、前記第1反応器、または前記第1反応器及び前記第2反応器の両方から気体状で連続的に取り出し、
前記高沸点成分回収工程において、前記液相成分が、前記低沸点分解生成物の標準沸点よりも標準沸点が高い高沸点分解生成物を含み、前記高沸点分解生成物を前記第2反応器から前記ポリイソシアネート化合物と共に連続的に取り出し、
前記イソシアネートは、前記低沸点分解生成物と、前記高沸点分解生成物に含まれており、
前記第1の反応器の温度と前記第2の反応器の温度の差が50℃以内である、ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。 - 前記低沸点分解生成物回収工程において、不活性溶媒の蒸気が前記低沸点分解生成物と共に、前記第1反応器、または前記第1反応器及び前記第2反応器の両方から気体状で連続的に取り出され、
次いで、該連続的に取り出された気体成分を、前記不活性溶媒の蒸気の1部または全部を凝縮させるが、前記低沸点分解生成物の1部または全部を凝縮させない温度に保たれた部分凝縮器に導入することによって、前記低沸点分解生成物を主成分とする気体状成分と、前記不活性溶媒を主成分とする液状成分とに分離し、液状成分の1部または全部を第1反応器、または第1反応器と第2反応器の両方に戻すリサイクル工程を更に有する、請求項5に記載のイソシアネートの製造方法。 - 前記第1反応器として、固体充填材及び固体触媒のいずれか一方または両方を内部に充填した管型反応器を使用する、請求項5又は6に記載のイソシアネートの製造方法。
- 前記第1反応器として、内部にトレイを設置した管型反応器を使用する、請求項5又は6に記載のイソシアネートの製造方法。
- 前記第1反応器として、内部にトレイを設置し、かつ固体充填材及び固体触媒のいずれか一方または両方を充填した管型反応器を使用する、請求項5又は6に記載のイソシアネートの製造方法。
- 前記第2反応器から生じる気体成分を、前記第1反応器の下部から導入する、請求項5〜9のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
- 熱分解反応条件下で、実質的に不活性であり、かつ気体状態の搬送剤を前記第1反応器及び前記第2反応器のいずれか一方または両方の下部から導入し、気体成分を反応器上部より搬出させる、請求項5〜10のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
- 前記搬送剤を、前記第2反応器の液中に導入する、請求項5〜11のいずれか1項に記載のイソシアネートの製造方法。
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