JP6754286B2 - 加圧式筆記具 - Google Patents
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Description
また、特許文献1の構造では、筆圧でレフィルが後退することにより加圧室が圧縮される構造であるため、筆記時にレフィルが後方に沈むことで使用者に違和感を生じさせる場合があった。
「1.軸筒内に、筆記具用インキ組成物を充填したインキ収容筒と、該インキ収容筒の前方部にボールペンチップと、を具備したボールペンレフィルを収容してなり、
前記ボールペンチップの前端部が前記軸筒の先端開口部から突出した状態で当該ボールペンチップを後退させることで、前記軸筒内に設けた加圧機構により前記筆記具用インキ組成物の後端に圧力を加える加圧式筆記具であって、
前記ボールペンレフィルは、前方領域が前記軸筒内において撓み変形可能または傾動可能なように後方領域が当該軸筒内に支持されており、
前記軸筒内に、前記ボールペンレフィルを覆うように配置された筒状体と、前記筒状体の外面に形成された段部と前記軸筒の内面に形成された内段との間に圧縮状態で配置された第一の弾発部材と、前記筒状体の後部に連結され前記加圧機構を内装する後部筒状体と、を備え、
前記筒状体は外周面に被押圧部を有しており、
前記軸筒は内周面に押圧部を有しており、
前記押圧部と前記被押圧部の少なくとも一方は、軸方向前方に向かって次第に大径となるテーパ面であり、
前記ボールペンレフィルの前方領域が撓み変形または傾動した際には、前記押圧部により前記被押圧部を当該軸筒に対して軸方向前方に相対移動させることで、前記後部筒状体と前記加圧機構とが当接して当該加圧機構を作動させ、前記筆記具用インキ組成物の後端に圧力を加えることを特徴とする加圧式筆記具。
2.前記加圧機構は、前記ボールペンレフィルの後方に内外を連通する空気孔を有するシリンダーと、前記シリンダーの後方に当該シリンダーに対し前後動可能に配設したピストンと、前記シリンダーの内部に前記ボールペンレフィルの後部内孔と前記ピストンとの間を連通する加圧室と、を備え、
前記ボールペンレフィルの後部内孔に前記シリンダーにおける縮径された前部、該シリンダーの後端開口部に前記ピストンの前部がそれぞれ装着され、
前記ピストンが前記シリンダーに対して前方に相対移動することで、前記加圧室が加圧されることを特徴とした前記1項に記載の加圧式筆記具である。
3.前記シリンダーの内周面に形成された内方段部と前記ピストン外周面に形成された前段部との間に圧縮状態で配置された第ニの弾発部材により当該ピストンに対して当該シリンダーを前方に弾発することで、前記シリンダーにより前記ボールペンレフィルを前方へ押圧したことを特徴とする前記2項に記載の加圧式筆記具。
4.前記ボールペンレフィルの外周面に形成された先段部と前記筒状体の内周面に形成された前段部との間に圧縮状態で配置された第三の弾発部材により、前記筒状体に対して前記ボールペンレフィルを後方に弾発し、少なくとも非使用時は、第三の弾発部材の弾発力より第二の弾発部材の弾発力を大きく構成したことを特徴とする前記3項に記載の加圧式筆記具。
5.前記筆記具用インキ組成物の後端に加える圧力は、大気圧を1000hPaとした場合、1000hPaより高く、1500hPa以下としたことを特徴とする前記1項ないし4項のいずれか1項に記載の加圧式筆記具。」である。
尚、本発明で、「前」とは、ボールペンレフィルのボールペンチップ側を指し、「後」とは、その反対側を指す。また、「内方」とは、軸筒の軸心方向を指し、「外方」とは、その反対方向を指す。
このため、ボールペンレフィルに対して斜めに筆圧が掛かった場合でも、筆圧の軸方向成分及び軸方向に対して垂直な成分の両成分を使用することで効率的にボールペンレフィル内の筆記具用インキ組成物の後端が加圧された状態となり、筆記時に筆記具用インキ組成物の流出量が増えることで、筆跡濃度の向上、筆記時のかすれの防止、ボールペンチップの先端を上向きにして筆記しても空気の巻き込みを防止すること等の効果を奏する。
また、ボールペンレフィルに対して斜めに筆圧が掛かった場合、ボールペンレフィルは筆圧の軸方向成分でしか後退せず、筆記角度を傾けるほどに筆記時にボールペンレフィルが後退する長さが短くなる。結果として、筆記時にボールペンレフィルが後退することにより生じる違和感を軽減し、筆記感を向上させる効果を奏する。
尚、軸筒の押圧部と筒状体の被押圧部は、筆圧が掛かった際に滑りやすいよう、互いの当接部の表面粗さを低く形成するこが好ましく、また、当接部に潤滑剤を塗布してもよい。
また、軸筒の押圧部及び先部材の被押圧部を金属で形成する場合は、切削性から黄銅やアルミが好適に使用でき、潤滑性及び耐久性を向上させるため、表面に潤滑性のある表面処理を施してもよい。潤滑性の表面処理としては、例えば無電解ニッケルメッキ、スズ−コバルトメッキ等のメッキ処理、またはアルマイト等の表面処理から選択することができる。
更に、前記潤滑剤としては、例えばシリコン、グリス、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛、タルク等が好適に使用できる。
尚、第一の弾発部材は、少なくとも筒状体と、当該筒状体に連結した後部筒状体と、後部筒状体に内装された加圧機構と、当該加圧機構に装着されたボールペンレフィルと、を後方に弾発しているため、第一の弾発部材の取り付け時の荷重はそれぞれの部位の自重の合計より高く設定することが好ましく、また、筆記時に軸筒の押圧部と筒状体の被押圧部とが当接した際、筒状体の被押圧部がすぐに摺動できるように、第一の弾発部材の弾発力をなるべく小さく設定することが好ましい。
前記加圧機構は、例えば、シリンダーと当該シリンダーに対して前後動可能に装着したピストンと当該シリンダー内の加圧室とを備え、ボールペンレフィルの後部にシリンダーを装着し、更にシリンダーの後方からピストンを装着し、シリンダー内にボールペンレフィルの内部まで連通する加圧室を形成した構成でもよく、ボールペンレフィルの後部に内孔を有するピストンを装着し、ピストンの後方からシリンダーを当該ピストンに被せるように装着し、シリンダー内にボールペンレフィルの内部まで連通する加圧室を形成した構成でもよい。
また、シリンダーは後部に対して前部を縮径して形成することが好ましく、シリンダーの縮径した前部をボールペンレフィルの後部内孔に装着することで、筒状体に収納可能であればインキ収容筒をシリンダーの外径に影響されること無く太く形成できるようになるため、インキ収容筒の容量を増やすことができる。
更に、ボールペンレフィル内が無制限に加圧されるとボールペンチップの先端からのインキ流出量が多くなりすぎることから、シリンダーに対してピストンの前後への移動距離はストッパーを設けて制限することが好ましい。
尚、前記第ニの弾発部材は、非使用時に加圧式筆記具本体の重量(自重)がペン先に掛かった状態(例えばペン立てにボールペンチップを下にして挿した状態)で保管しても、自重では加圧機構が作動してボールペンレフィル内のインキが漏れ出ないよう、第ニの弾発部材の取り付け時の弾発力を少なくとも自重より高く設定することが好ましい。
尚、少なくとも取り付け時は、第三の弾発部材の弾発力より第二の弾発部材の弾発力を大きく構成した方が、非筆記時は前記加圧室が加圧されないため好ましく、第三の弾発部材の弾発力から第二の弾発部材の弾発力を引いた値が加圧式筆記具本体の重量(自重)より大きくなるよう構成することで、非使用時に加圧式筆記具本体の自重がペン先に掛かった状態(例えばペン立てにボールペンチップを下にして挿した状態)で保管しても、自重では加圧機構が作動してボールペンレフィル内のインキが漏れ出ないため、より好ましい。
尚、前記筆記具用インキ組成物の後端に加える圧力は、加圧前と加圧後の圧縮空間の体積変化量を測定して計算によって測定することができる。この時、20℃、大気圧を1000hPaとして計算を行う。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用して用いることができ、2〜60重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
図1は、本実施例の加圧式筆記具1の概略縦断面図であり、図2は、図1の加圧式筆記具1において、ボールペンレフィル5を紙面に当接させた状態の縦断面図であり、図3は図2においてボールペンレフィルに筆圧を掛けた状態を示す縦断面図である。
また、具体的には、前軸8は硬質なポリカーボネート樹脂を射出成形することで形成してあり、押圧部8bの表面粗さ(算術平均粗さRa)を0.8μm以下に形成してある。
具体的には、第1コイルスプリング16の取付時の弾発力は30gfに設定した。
具体的には、先部材15は黄銅を切削加工し、そのテーパ面15cは軸心に対して45度の傾斜で拡径する平らな傾斜面で形成してある。また表面を滑りやすくするように、先部材の表面に潤滑性の無電解ニッケルメッキを施し、テーパ面表面の表面粗さ(算術平均粗さRa)を0.6μm以下に形成した。
また、シリンダー19の内孔19bには、シリンダー19の内側部19dとピストン20の前端とOリング21とにより囲まれた加圧空間22(加圧室)が形成され、加圧空間22は空気孔19cによりシリンダー19の外部と通気される。
尚、装着部19gは、シリンダー19にボールペンレフィル5を装着した際、シリンダー19とボールペンレフィル5との間の気密が確保され、且つ、手で簡単に着脱可能になるよう外方への突出量(外径)を調整してある。
具体的には、シリンダー19へのボールペンレフィル5の取り付け時の掛かる力は2.3kgfであった。
更に、ピストン20の前部20bの側面には軸周方向に溝状の溝部20dが形成されてあり、溝部20dには合成ゴムで形成したOリング21(密閉部材)を嵌着してある。このOリング21の外側部はシリンダー19の内側部19dに摺接しており、シリンダー19の後端開口部19aをピストン20とOリング21とで空気が漏れないように密閉してある。
尚、シリンダー19が後退した際、シリンダー19の後端にピストン20の鍔部20fが当接することで、シリンダー19の後退を制限し、シリンダー19内の加圧空間22の圧縮量を規制してある。
具体的には、実施例の第2コイルスプリング18(第二の弾発部材)の取り付け時の弾発力は320gfであり、第3コイルスプリング16(第三の弾発部材)の取り付け時の弾発力は250gfであり、加圧式筆記具1の自重は18gで形成した。
また、後部筒状体4の貫通孔4bには後軸7の突起部7cが挿入してあり、軸筒2に対して、後部筒状体4と、後部筒状体4に連結された筒状体3と、後部筒状体4に内包された加圧機構6と、筒状体に内包され加圧機構6(シリンダー19)に挿着されたボールペンレフィル5と、が傾動できるよう、突起部7cに対して貫通孔4bの直径を少し大きく形成してある。尚、突起部7cは、貫通孔4bに挿入することで軸筒2に対して後部筒状体4の軸心を合わせており、突起部7cと貫通孔4bの径差は最小限にすることが望ましい。
筆記の際、軸筒2は、その軸方向に対して鋭角を成す(図2及び図3参照)ように把持されるのが一般的である。このため、ボールペンチップ13の前端部13aには、軸筒2の軸方向に対して直交する成分と当該軸方向の成分とを含む筆圧が加えられる。本実施例の加圧式筆記具1は、筆記時に図2の状態からボールペンチップ13の前端部13aに筆圧が加えられると、筆圧の軸方向に対して直交する成分と軸方向の成分とにより、シリンダー19内の加圧空間22が加圧され、それによりボールペンレフィル5内の筆記具用インキ組成物11及びインキ追従体12がボールペンチップ13側に押圧されることで、ボールペンチップ13の前端部13aからのインキ流出量が増加し、筆記時の筆記濃度が上がり、また、筆記時のかすれを防止することができる。
これにより、第1コイルスプリング16の弾発力に抗して、筒状体3と後部筒状体4とが前方に移動し、後部筒状体4の底部4aとピストン20の後端部20aが当接していることからピストン20も第2コイルスプリング17の弾発力に抗して前方へ移動する。
これと同時に、筆圧の軸方向の成分によって、ボールペンレフィル5が軸筒2に対して軸方向後方に押圧される。そして、第2コイルスプリング17の弾発力に抗して、ボールペンレフィル5及びボールペンレフィルが装着されたシリンダー19が軸筒2に対して後方に相対移動される。
また、軸筒2を筆記面に対して斜めに把持して筆記しても、筆圧の軸方向に垂直な成分と軸方向の成分とによりボールペンレフィル5内の筆記具用インキ組成物11を効率よく加圧することができ、単位時間当たりのインキ流出量を増大させ、筆記時の筆記濃度を濃くさせ、筆記時のかすれを防止することができた。
更に、筆圧が掛かった際、筆圧の軸方向に対して直交する成分によりピストン20が後方から押圧されて加圧空間が加圧されるため、ボールペンレフィル5の後退量が最小限で済む。このため、筆記時にボールペンレフィルが後退することで発生する違和感を減らことができ筆記感が向上した。
更にまた、軸筒2の押圧部と筒状体3(先部材15)の被押圧部15 の少なくとも一部とが常に当接するよう構成することで、ボールペンレフィル5に筆圧が掛かった際にボールペンチップ13の前端部13aががたつくことを防止し、筆記動作と略同時にシリンダー19の加圧室が加圧されるため筆記開始から濃い筆跡での筆記ができるものとなった。
また、本発明は筆記時のみ加圧する方式とすることにより、本来筆記し難い非浸透面への筆記を確実にできるものとなった。
2…軸筒、
3…筒状体、3a…前段部、
4…後部筒状体、4a…底部、4b…貫通孔、
5…ボールペンレフィル、5a…先段部、5b…内周部、5c…後部内孔、
6…加圧機構、
7…後軸、7a…蓋部、7b…前端面、7c…突起部、
8…前軸、8a…開口部、8b…押圧部、8c…後端部、
9…先口、9a…前端開口部、
10…インキ収容筒、
11…筆記具用インキ組成物、
12…インキ追従体、
13…ボールペンチップ、13a…前端部、
14…継手部材、14a…鍔状部、14b…内段部
15…先部材、15a…後段部、15b…被押圧部、15c…テーパ面、
16…第1コイルスプリング(第一の弾発部材)、
17…第2コイルスプリング(第二の弾発部材)、
18…第3コイルスプリング(第三の弾発部材)、
19…シリンダー、19a…後端開口部、19b…内孔、19c…空気孔、
19d…内側部、19e…前部、19f…後部外周部、19g…装着部、
19h…窓部、19i…内方段部、
20…ピストン、20a…後端部、20b…前部、20c…突起部、20d…溝部、
20e…前段部、20f…鍔部、
21…Oリング、
22…加圧空間(加圧室)、
23…隙間部。
Claims (5)
- 軸筒内に、筆記具用インキ組成物を充填したインキ収容筒と、該インキ収容筒の前方部にボールペンチップと、を具備したボールペンレフィルを収容してなり、
前記ボールペンチップの前端部が前記軸筒の先端開口部から突出した状態で当該ボールペンチップを後退させることで、前記軸筒内に設けた加圧機構を作動させ、前記筆記具用インキ組成物の後端に圧力を加える加圧式筆記具であって、
前記ボールペンレフィルは、前方領域が前記軸筒内において撓み変形可能または傾動可能なように後方領域が当該軸筒内に支持されており、
前記軸筒内に、前記ボールペンレフィルを覆うように配置された筒状体と、前記筒状体の外面に形成された段部と前記軸筒の内面に形成された内段との間に圧縮状態で配置された第一の弾発部材と、前記筒状体の後部に連結され前記加圧機構を内装する後部筒状体と、を備え、
前記筒状体は外周面に被押圧部を有しており、
前記軸筒は内周面に押圧部を有しており、
前記押圧部と前記被押圧部の少なくとも一方は、軸方向前方に向かって次第に大径となるテーパ面であり、
前記ボールペンレフィルの前方領域が撓み変形または傾動した際には、前記押圧部により前記被押圧部を当該軸筒に対して軸方向前方に相対移動させることで、前記後部筒状体と前記加圧機構とが当接して当該加圧機構を作動させ、前記筆記具用インキ組成物の後端に圧力を加えることを特徴とする加圧式筆記具。 - 前記加圧機構は、前記ボールペンレフィルの後方に内外を連通する空気孔を有するシリンダーと、前記シリンダーの後方に当該シリンダーに対し前後動可能に配設したピストンと、前記シリンダーの内部に前記ボールペンレフィルの後部内孔と前記ピストンとの間を連通する加圧室と、を備え、
前記ボールペンレフィルの後部内孔に前記シリンダーにおける縮径された前部、該シリンダーの後端開口部に前記ピストンの前部がそれぞれ装着され、
前記ピストンが前記シリンダーに対して前方に相対移動することで、前記加圧室が加圧されることを特徴とした請求項1に記載の加圧式筆記具である。 - 前記シリンダーの内周面に形成された内方段部と前記ピストン外周面に形成された前段部との間に圧縮状態で配置された第ニの弾発部材により当該ピストンに対して当該シリンダーを前方に弾発することで、前記シリンダーにより前記ボールペンレフィルを前方へ押圧したことを特徴とする請求項2に記載の加圧式筆記具。
- 前記ボールペンレフィルの外周面に形成された先段部と前記筒状体の内周面に形成された前段部との間に圧縮状態で配置された第三の弾発部材により、前記筒状体に対して前記ボールペンレフィルを後方に弾発し、少なくとも非使用時は、第三の弾発部材の弾発力より第二の弾発部材の弾発力を大きく構成したことを特徴とする請求項3に記載の加圧式筆記具。
- 前記筆記具用インキ組成物の後端に加える圧力は、大気圧を1000hPaとした場合、1000hPaより高く、1500hPa以下としたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の加圧式筆記具。
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