JP4165748B2 - ノック式ボールペン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールペンチップを軸筒先端開口部から出没可能なノック式ボールペンに関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
「実公平7−30386号公報」
【特許文献2】
「特開平9−175082号公報」
【特許文献3】
「特許第3197542号公報」
【0003】
インキ収容管の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを具備し、ノック体を押圧作動することにより、ボールペンチップを軸筒先端開口部から出没可能なノック式ボールペンについてはよく知られている。こうしたノック式ボールペンに収容するボールペンレフィルとして、インキ収容管内にボールぺン用インキ、ボールぺン用インキの後端面に密接してインキの消費に追従するインキ追従体を直に収容し、インキ収容管の先端部にはチップホルダーを介して、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを装着し、さらに、インキ収容管の後端部には内外を連通する通気孔を有する尾栓を装着したものはよく知られている。
【0004】
前記従来のインキ収容管にインキ吸蔵体を配設しない、インキを直詰めするタイプのボールペンレフィルを用いたノック式ボールペンは、チップ先端部からインキが垂れ下がる現象について注意が必要となる。特にノック式ボールペンは常時ボールペンチップが露出しているので、インキの垂れ下がりを防止することは重要な課題である。
【0005】
こうしたノック式ボールペンにおいて、インキの垂れ下がりを防止するため、チップ内にコイルスプリングを配設し、コイルスプリングの弾発力により、非使用時にはボールをチップ先端縁の内壁面に押圧し、筆記時の押圧力によりチップ先端縁の内壁とボールに間隙を与えインキを流出させる弁機構を具備することも知られているが、ボールに用いる材質は、超硬材やセラミック材、チップ本体に用いる材質もステンレス鋼、真鍮、硬質樹脂等の硬質材であるため完全に密閉することは困難である。
【0006】
ところで、油性ボールペンのインキ吐出のメカニズムは、チップ先端のボールが回転し、ボールに付着したインキが筆記面に転写されることによって筆跡となり、水性ボールペンのインキ吐出のメカニズムは、チップ先端のボールの回転を背景にして、筆記面に毛管、浸透作用によってインキが移行することによって筆跡となる等、インキの特性によってインキ吐出のメカニズムは相違するものの、チップ先端からインキ吐出を行うには、加圧により強制的にインキを吐出可能としない限り、チップ先端部にインキを供給するインキ収容管は、内部のインキの減少に伴って内圧が低下してインキ供給が不能となることから、このインキ収容管の内外を連通する空気孔を形成して内圧を緩和し、インキの供給が良好に行えるようにする必要がある。その構造としては、インキ収容管の後端部に内部に連通する通気孔を形成したり、通気孔を形成した尾栓を装着したものなどが採用されている。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】
しかし、前記のような通気孔を開口したものでは、通常インキ収容管の内部と外部とが連通していることから、筆記具を使用しなくても長期間の放置によって、インキが蒸発するドライアップ現象が生じ、筆記できなくなる恐れがある。
【0008】
こうした問題を鑑み、実公平7−30386号公報「ノック式水性筆記具レフィールの空気孔開閉装置」や特開平9−175082号公報「ノック式筆記具」等で、非筆記時に通気孔を開閉する機構が開示されている。
【0009】
しかしながら、ボールペンチップを軸筒先端開口部から出没可能なノック式ボールペンにおいては、ボールペンチップが軸筒先端開口部から突出した状態から、没入させるときに発生するノック衝撃によって、インキが逆流する恐れがあった。
【0010】
本発明は、従来のボールペンレフィルの構造を踏襲することができ、インキのドライアップ及びチップ先端部からのインキ垂れ下がりを防止し、且つノック衝撃によるインキ逆流の発生しにくい、インキを直詰めしたノック式ボールペンを提供するものである。
【0011】
【課題を解決する手段】
前記目的を達成するために本発明では、軸筒内に、先端部にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して具備し、後端部に内外を連通する空気孔を形成してなるインキ収容管を、コイルスプリングにより軸筒後端方向に付勢して摺動自在に配置し、ノック体を押圧作動することにより、前記ボールペンチップのチップ先端部を軸筒先端開口部から出没可能な、前記インキ収容管にボールペン用インキを直詰めしてなるノック式ボールペンであって、前記軸筒内に、前記ノック体に連動する押圧部が摺動可能な空間部を形成した固定部材を固設し、前記固定部材に、前記チップ先端部が没入時に前記空気孔を閉鎖し、前記チップ先端部が突出時に前記空気孔を開放する、弾性体で形成した弁部材を具備する。
【0012】
本発明に使用する弁部材は、力を加えると変形を起こし力を取り去ると変形も元に戻る弾性変形可能な弾性体からなり、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、塩化ビニル樹脂、ブタジエンゴム、ウレタンゴム、ポリエチレン樹脂、その他合成ゴム等が例示できる。弾性体で形成することにより密閉性が向上するので好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に図面に示す実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
図1から図5に示すノック式ボールペン1は、前軸2と後軸3を螺合した軸筒内にボールペンレフィルがコイルスプリング6によって後軸後端3a方向に付勢された状態で収納されている。ボールペンレフィルの構造は、従来から知られているもので、インキ収容管7内にボールぺン用インキ16、ボールぺン用インキ16の後端面に密接してインキの消費に追従するインキ追従体17を直に収容し、インキ収容管7の先端部にはチップホルダー8を介して、ボールを回転自在に抱持し、先端縁の内壁をボールと同形の球面状に形成したボールペンチップ9を装着してある。また、インキ収容管7の後端部には内外を連通する空気孔10aを有する尾栓10を装着したものである。
【0014】
ボールペンチップ9のチップ先端部9aを前軸2の先端開口部2aから出没させる機構は、従来から知られているもので、簡単に説明すると、後軸3の内壁面に回転カム5を前後に摺動案内し回転させるためのカム溝(図示せず)を形成し、このカム溝に、回転カム5に形成した突起5aを係合して配設してある。回転カム5の後端には、前記回転カム5を摺動し回転を付与するためのカム部を先端に有したノック体4を、ノック体4の後端部が後軸後端3aより外方に突出した状態に配設した構造である。
【0015】
回転カム5の前方には、ノック体4に連動し、空気流路13aを有する押圧部材13を配設してある。また、後軸3内には、弾性体からなる弁部材11をチップ先端部9が前軸先端開口部2aより没入した状態で、尾栓10の空気孔10aを閉鎖するように、後軸3内に固設した固定部材12に固着されている。固定部材12には、押圧部材13が摺動可能とするため空間部12aを形成してある。
【0016】
図1に示す状態からノック体4を押圧作動すると、前述のとおり、回転カム5が回転力を付与された状態で前進し、回転カム5の前方に配設した押圧部材13を前進させ、尾栓10に当接し、その後、図3に示すように、ボールペンチップ9の先端部9aが前軸の先端開口部2aから突出した状態を維持する。この状態で、ノック体4への押圧力を解除しても、ノック体4は前軸の先端開口部2a方向に移動したままなので、チップ先端部9aが突出した状態がノック体4からも確認できる。その結果、弁部材11は尾栓10から離れ、尾栓10に形成された空気孔10aを開口し、押圧部材13に形成した空気流路13aと尾栓10に形成された空気孔10aが連通するので、筆記によりインキを消費するとこれと当量の空気が置換して空気孔10aからインキ収容管7内に進入し、筆記不良を生じることがない。図3に示す状態から再度ノック体4を押圧作動すると、チップ先端部9aが前軸2内に没入し、図1に示す状態に戻る。
【0017】
非使用時には弁部材11によって尾栓10の空気孔10aを閉鎖することによってインキが空気孔10aを通って蒸発するインキのドライアップを防止し、長期間放置しても筆記可能となる。また、空気の置換ができないため、チップ先端部9aからのインキ垂れ下がりを防止することができる。また、弁部材11を弾性体で形成することにより、尾栓10の空気孔10aの閉鎖を効果的に行えるともに、チップ先端部9aが突出した状態から没入する時の衝撃を吸収する緩衝材にもなる。
【0018】
ボールペンチップ9の形状や構造は特に限定されるものではなく、図示はしていないが、非使用時にはチップ先端に回転自在に抱持したボールを、コイルスプリングにより直接または押圧体を介して、ボールの後端に当接させ、チップ先端縁の内壁面に押圧して、筆記時の押圧力によりチップ先端縁の内壁とボールに間隙を与えインキを流出させる弁機構を具備すると、ドライアップ及びインキ垂れ下がりの防止効果が向上するので好ましい。
【0019】
また、弁部材の配設構造は前記実施例に限定されるものではないが、軸筒内に固設してあるので、尾栓の空気孔との位置ずれが発生しにくく、また、チップ先端部が没入時に尾栓の空気孔を閉鎖する閉鎖力を、弾性体の硬度によっても異なるが、ボールペンレフィルを付勢するコイルスプリングの付勢力によって設定することができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明のノック式ボールペンは、前述した構成なので、従来のボールペンレフィルの構造を踏襲することができ、インキのドライアップ及びチップ先端部からのインキ垂れ下がりを防止し、且つノック衝撃によるインキ逆流の発生しにくい、インキを直詰めしたノック式ボールペンを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のノック式ボールペンを示す縦断面図である。
【図2】図1における一部省略した要部拡大図である。
【図3】図1におけるチップ先端部を突出した状態を示す縦断面図である。
【図4】図1におけるA−A断面図である。
【図5】図1における一部省略した要部の部品図である。
【符号の説明】
1 ノック式ボールペン
2 前軸
2a 先端開口部
3 後軸
3a 後端部
4 ノック体
5 回転カム
6 コイルスプリング
7 インキ収容管
8 チップホルダー
9 ボールペンチップ
10 尾栓
10a 空気孔
11 弁部材
12 固定部材
13 押圧部材
14 クリップ
15 グリップ部材
16 ボールペン用インキ
17 インキ追従体

Claims (1)

  1. 軸筒内に、先端部にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して具備し、後端部に内外を連通する空気孔を形成してなるインキ収容管を、コイルスプリングにより軸筒後端方向に付勢して摺動自在に配置し、ノック体を押圧作動することにより、前記ボールペンチップのチップ先端部を軸筒先端開口部から出没可能な、前記インキ収容管にボールペン用インキを直詰めしてなるノック式ボールペンであって、前記軸筒内に、前記ノック体に連動する押圧部が摺動可能な空間部を形成した固定部材を固設し、前記固定部材に、前記チップ先端部が没入時に前記空気孔を閉鎖し、前記チップ先端部が突出時に前記空気孔を開放する、弾性体で形成した弁部材を具備したことを特徴とするノック式ボールペン。
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