JP6745680B2 - 多層構造シングル丸編地 - Google Patents

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Description

本発明は、多層構造シングル丸編地に関し、さらに詳しくは、本発明は、シングル丸編地でありながら、軽量嵩高性に富み、ストレッチ性があり、ソフトで吸水速乾性に優れる衣料用および裏地に適した多層構造シングル丸編地に関するものである。
従来からシングル丸編地は衣料用編物として知られている。たとえば天竺組織(図1)、鹿の子組織などは、薄く、軽量でかつストレッチ性を有することから、Tシャツ、ポロシャツなどのシャツ類に多く使用されているが、その一方、生地が変化し易くランなど走りやすいなど物理的に不安定で、ボリューム感がなく、透けるなどの欠点があった。
そのほか二層構造シングル丸編地として、少なくとも3種類の糸により構成されるためボリューム感を有するインレー組織(図2)が知られており、主にスエットスーツ、トレーナーなどに使用されているが、ストレッチ性もなく、またインレー組織は編地表面変化にも限界があり、ほとんどが表面のフラットなタイプのものしか得られないという欠点があった。
このため特許文献1において、シングル丸編地でありながら、裏糸が表糸の内側に表糸と相似形状に配置される二重編目部と二重編目間のブリッジ構造を形成する特殊構造とすることで、薄くて嵩高性に富んだ二重シングル丸編地が提供されている(図3)。しかし、この丸編地では裏糸が少なく、嵩高性・ソフト感・軽量感に限界があり、スウェットやジャージ用途、インナー用途では、一般商品と差別化した更なる高度化品が求められている。
また、特許文献2や3のように、表糸と裏糸で構成される二層構造シングル丸編地を用いた縫製品の提案もなされている。
特開平10−273857号公報 特開2011−102458号公報 特開2013−104158号公報
本発明の課題は、かかる従来の二層構造シングル丸編地を進化させ、ストレッチ性や吸水速乾性を維持しながら、軽量でありながら嵩高性とハリ・コシ感やソフト感のある風合いを向上させ、効率的に低コストで製造可能な衣料用の多層構造シングル丸編地を提供することにある。
上記本発明の課題は、少なくとも表糸と裏糸で構成される多層構造シングル丸編地であり、裏糸が表糸よりなる表1編目の内側に表糸と相似形状に配置される多重編目部と、裏糸が編目の間でブリッジ状となる部位を有する多層構造シングル丸編地によって達成できる。また本発明の多層構造シングル丸編地においては、表糸がニット、タック、ウエルトの少なくとも2種の編目形状に編成されることが好ましい。
すなわち、上記の課題を解決するために、本発明に係る多層構造シングル丸編地は、少なくとも表糸と裏糸で構成されるシングル丸編地であり、10コース中にブリッジ構造を有する裏糸が11本以上存在し、同じコースに存在する2本以上の裏糸は、異なるブリッジ構造を形成し、同じコースに存在する2本以上の裏糸のうち、少なくとも1本の裏糸は、表糸よりなる表1編目の内側に表糸と相似形状に配置される多重の編目を、少なくとも1箇所形成していることを特徴とするものからなる。ここで、異なるブリッジ構造とは、橋渡し状に飛ばした編目の間隔やブリッジ高さ、形成する編目の形状の少なくとも一部が異なる場合には異なるブリッジ構造とする。
上記本発明に係る多層構造シングル丸編地においては、10コース中の少なくとも1コースが、2種以上の裏糸を持ち、裏糸の一方は3ウェル以上のブリッジ構造を持ち、裏糸の他の一方は1ウェル以上4ウェル以下のブリッジ構造を持つことが好ましい。ここで、10コース中の少なくとも1コースとは、たとえば図9に示すように、1コース未満の編目がある場合には、前後コースいずれかのコースと同一コースとして裏糸をカウントする。
また、上記多層構造シングル丸編地において、同じコースにおいて異なる編目の糸を3種以上有する部位を持つことが好ましい。
本発明の多層構造シングル丸編地の性能に関しては、軽量感やボリューム、柔らかさを得るために、嵩高性が5.0g/m以上であることが好ましい。
また、軽量な生地に紫外線遮蔽効果を持たせる場合には、目付が150g/m以下でかつ後述のように定義される紫外線遮蔽率が80%以上であることが好ましい。また、紫外線遮蔽効果を表す尺度として知られているUPF(Ultraviolet Protection Factor)値としては、UPF15以上であることが好ましい。
さらに、スポーツ向けや夏用ファッションなどでは、淡色や白色の製品が多く、透け感を抑制する必要があり、生地性能としては目付が150g/m以下でかつ後述のように分光測色計を用いて測定、定義される防透け度が80%以上であることも好ましい。
加えて、スポーツ向けや夏季の着用など汗を考慮する必要のある各用途では、肌面の吸水速度が3秒以下であり、表面と肌面の保水率比が3倍以上であることが好ましい。
また、後述の如く、表目カバーファクタが1.0以上であることが好ましく、編地を形成する糸の少なくとも一つが伸縮復元率30%以上であることが好ましく、さらに編地を形成する糸の少なくとも一つが沸騰水収縮率5%以上であることが好ましい。
本発明に係る多層構造シングル丸編地によれば、軽量嵩高性に富み、ストレッチ性があり、ソフトで吸水速乾性に優れる衣料用および裏地に適したシングル丸編地を提供することができる。従来の二層構造シングル丸編地では、ストレッチ性や嵩高性が小さく、編地表面変化に制限のある組織であったり、多重編目間のブリッジ構造部を形成する特殊二層構造シングル丸編地でストレッチ性を改善したりしているが、嵩高性・ハリ・コシ感やソフト感・軽量感の改善に限界があった。本発明による編成構造を採用することにより、軽量嵩高性が大きく、ストレッチ性もあり、ハリ・コシ感やソフトで軽量感のある風合いの多層構造シングル丸編地を提供することができる。
従来の編地の一例を示す編地断面モデル図である。 従来の編地の別の例を示す編地断面モデル図である。 従来の編地のさらに別の例を示す編地断面モデル図である 従来の編地のさらに別の例を示す編地断面モデル図である 本発明に係る多層構造シングル丸編地の一例を示す編地断面モデル図である。 本発明に係る多層構造シングル丸編地の別の例を示す編地断面モデル図である。 本発明に係る多層構造シングル丸編地のさらに別の例を示す編地断面モデル図である。 本発明に係る多層構造シングル丸編地のさらに別の例を示す編地断面モデル図である。 本発明に係る多層構造シングル丸編地のさらに別の例を示す編地断面モデル図である。 本発明に係る多層構造シングル丸編地のさらに別の例を示す編地断面モデル図である。 本発明に係る多層構造シングル丸編地のさらに別の例を示す編地断面モデル図である。 図1の編地の編方図である。 図2の編地の編方図である。 図3の編地の編方図である。 図4の編地の編方図である。 図5の編地の編方図である。 図6の編地の編方図である。 図7の編地の編方図である。 図8の編地の編方図である。 図9の編地の編方図である。 図10の編地の編方図である。 図11の編地の編方図である。 実施例5の編地の編方図である。 実施例7の編地の断面モデル図である。 実施例7の編地の編方図である。
以下に、本発明に係る多層構造シングル丸編地の実施の形態について、従来のシングル二層構造丸編地と比較しつつ、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す図中、符号a〜hは1コースを形成させるに必要な表編目、イ〜ハは編地構成糸(イは表糸、ロ、ハは裏糸)、A、Bは表編目と裏糸の間に形成される空間を示している。
また、図1〜11はコース方向編地断面モデル図の例であり、図12〜22は、図1〜11の各々に対応する編方図を示している。
また、図1〜3は、従来のシングル二層構造丸編地である天竺組織とインレー組織のコース方向編地断面モデル図の例であり、図12〜14は、図1〜3の各々に対応する編方図を示している。
まず、従来から代表的なシングル丸編地である天竺組織とインレー組織について説明する。図1と図12は天竺組織、図2と図13は天竺変形組織、図3と図14はインレー組織のそれぞれの例である。
図1の天竺組織は、表糸イの1種類のみの構成糸で1コースを形成する一層構造シングル丸編地であり、図12における給糸口も最小1給糸で編成されている(C1〜C8は編針を示している)。この天竺組織においては他の図で見られるような表編目と裏糸の間の空間Aは形成されない。
また、図2は天竺変形組織の一例であり、表糸イと裏糸ロの2種類の構成糸で1コースを形成する一層構造シングル丸編地である。図13における給糸口も最小2給糸で編成される。
表糸イはb1、c1、e1、f1、h1でニットによる編目を形成し、a1とd1、g1はウエルト状態を取る。一方、裏糸ロは表糸イがウエルト状態であるa1とd1、g1でニットによる編目を形成し、b1、c1、e1、f1、h1でウエルト状態を取ることにより、表糸イと裏糸ロの2種類の糸で1コースを形成する。
この編目においては、表糸イと裏糸ロの間に空間Aが形成されるが、表糸イと裏糸ロが密着した状態のため、空間Aは微小なものである。ここで、表糸と裏糸については、編地表面をより多く形成している糸を表糸とし、編地表面に出ていても、裏側に回る比率が大きいものは裏糸として扱う。
また、図1と図2は共に天竺組織であり、薄く、軽く、ストレッチ性を有するものの、その編地構造から嵩高性が低くボリューム感を出すことができず、透け感もあり、かつ、破裂強力、ピリング、スナッグなど、強度保持性を主とする物性面で劣るため、その用途としてはシャツ類などの軽衣料に限定されるものである。
図3と図14は、同じくシングル丸編地の代表的なインレー組織を示している。表糸イと裏糸ロの2種類の構成糸で1コースを形成する。裏糸ロは表糸イにタックされ編地裏側に配置されて固定される二層構造シングル丸編地である。
このインレー組織は、裏糸ロがタック編みされた挿入糸であるためストレッチ性が悪く、編地の柄が制約され、挿入糸である裏糸ロが小さな力で抜けやすいため編地のスナッキングなどの物性が悪いという問題点を持っている。
この組織は表糸イと裏糸ロの間に空間Aが形成されるものの、裏糸ロがタック編による挿入糸であるため、安定した空間Aの形状を取ることは不可能である。また、給糸口を多く必要とするため、生産性にも劣るものである。
図4と図15は、従来のストレッチ性に優れた二層構造シングル丸編地組織の一例である。表糸イと裏糸ロの2種類の構成糸からなり、表糸イはニット編目a1〜h1で1コースを形成し、裏糸ロは編目a1、c1、e1、g1で、表糸イの裏側に相似形状で配置された二重編目を形成し、裏側を橋渡し状に1編目飛ばして裏面にブリッジ構造を作り、二層構造の丸編地を形成する。ここで、本発明におけるブリッジ構造について、図4のように二重編目間で1編目以上飛ばした裏糸で裏面に形成される橋渡し構造の他、図2に示したようにニット編目間で1編目以上飛ばした裏糸で裏面に形成される小さい橋渡し構造、図3に示したようにタック編目間で1編目以上飛ばした裏糸で裏面に形成される小さい橋渡し構造も含めブリッジ構造とする。
図4の組織は、裏糸ロがニット編によって形成しているため、安定した空間Aの形状を維持し、上記に示す天竺やインレー組織よりも嵩高性を持ち、ストレッチ性の低下も起こりにくい特徴を持ち、生産性の低下も小さい。しかしながら、裏糸ロが着用時の小さい荷重によって押しつぶされ、軽量感や嵩高感が薄れるため、これらの性能の進化素材が求められている。
次に、本発明についての例である図5〜11および図16〜22について説明する。
図5、図7、図9、図10は本発明の基本編形態を示すものである。
即ち、図5では、表糸イと裏糸ロ、裏糸ハの3種類の構成糸からなり、表糸イはニットにより表編目a1〜h1で1コースを形成する。裏糸ハは表編目b1の内側に相似形状で配置され二重編目を形成した後、表編目c1、d1、e1の裏側を橋渡し状に3編目飛ばし、表編目f1の内側に表編目b1と同様に二重編目を形成し、3ウェルのブリッジ構造にて空間Aが形成される。さらに加えて、裏糸ロがa1、c1、e1、g1にインレーと同様な組織にてタックで、b1、d1、f1、h1をそれぞれ1編目飛ばし、裏側に1ウェルのブリッジ構造を形成して空間Bを形成する。
ここで、図5の裏面において空間Aは大きいブリッジ構造を持ち、ついで空間Bのブリッジ構造が同一コース上に形成され、形成されたブリッジ構造は空間の大きさによるソフト性と嵩高性を併せ持つ編地となる。
この図5に対応する編方図は図16であり、表糸イによる表編目を形成させる給糸口と裏糸ハによる裏編目を形成させる給糸口の2給糸口で給糸され、さらに別の給糸口で給糸される裏糸ロによる3つの給糸口で編成される。
このとき表糸イと裏糸ハの給糸口での編機のカム形状を、給糸口におけるシリンダー針を完全なニットクリア位置をとらないで上下させる形状と、シンカーを不均一に前後させるシンカーキャップの形状とすることで、本発明の多層構造シングル丸編地を容易に製造することができる。加えて、裏糸ロは別の給糸口で図16に示すタック編で編成する。
本発明において、給糸口で表糸イによるa1〜h1の編目を編成した後、次の給糸口で裏糸ハを編針C2、C6(図12に図示)で編目を編成させる際、給糸口における編針C2での編成後の編目b1と編針C6での編成後の編目f1をクリアさせないことで、図1に示した1編目二重ニット構造と裏糸の橋渡し形状による空間Aを有する特殊な多層構造シングル丸編地が形成される。
図6および図17においても、図5および図16の編成方法と類似の実施形態を示しており、裏糸イと裏糸ハは3ウェルのブリッジ構造を形成しているが、二重ニット構造の裏糸ハで得られる空間Aが空間Bより大きい構造となっている。
また、図7および図18は、本発明における図5および図16の方法とは別の編成方法による実施態様例を示す編地断面モデル図と編方図の例である。
図7では、表編目は表糸イ、裏糸ロ、裏糸ハの3種類の構成糸により1コースを形成する。表糸イは表編目b1、c1、e1、f1、h1のニットとa1、d1、g1のウエルトの1編目飛ばしで交互に配置され、裏糸ロは表編目a1、d1、g1のニットとb1、c1、e1、f1、h1のウエルトの2編目飛ばしで交互に配置されて1コースとし、2ウェルのブリッジ構造を形成しつつ空間Bを形成する。さらに同コースに、裏糸ハは表編目b1の内側に相似形状で配置され二重編目を形成した後、表編目c1、d1、e1の裏側を橋渡し状に3編目飛ばし、表編目f1の内側に表編目b1と同様に二重編目を形成し、3ウェルのブリッジ構造にて空間Aが形成され多層構造シングル編地が形成される。
図8および図19おいても、図7および図18の編成方法と類似の実施形態であるが、裏糸ロの配置により図7および図18とは異なる柄を示す編成方法である。
図9および図20は、本発明のさらに別の編成例を示す編地断面モデル図と編方図である。
表糸イと裏糸ロ、裏糸ハの3種類の構成糸により1.3コースを形成する。表糸イはニットによる編目a1〜h1で表面を編成し、裏糸ロは表編目a2、d2、g2のニットを形成しつつ、b1、c1、e1、f1、h1のウェルトの2編目飛ばしであり、2ウェルのブリッジ構造で空間Bを形成し、表糸イの形成するコースとb1、c1、e1、f1、h1でコースを共有する、1.3コースとなり、裏糸ロにて空間Bを形成する。裏糸ハが表編目b1とf1の内側に二重編目を形成し、裏側を橋渡し状に3編目飛ばして空間Aを形成する。
ここで、1.3コースとは、図9に示す編目のように表糸イで1コースを作り、編目をクリアした後に、裏糸ロでa2、d2、g2の編目は新しい編目を形成するが、b1、c1、e1、f1、h1が編目を形成しないため0.33コースとなり、1コースに満たず、表糸イで形成する前後のコースと同時にカウントするため1.3コースとなる。
図10および図21は、本発明のさらに別の編成例を示す編地断面モデル図と編方図である。
表糸イと裏糸ロ、裏糸ハの3種類の構成糸により1コースを形成する。表糸イはニットによる編目a1〜h1で表面を編成し、裏糸ロが表編目d1の内側に二重編目を形成し、編目h1でタック編を形成して、裏側を橋渡し状に3編目飛ばして3ウェルのブリッジ構造で空間Bを形成する。ついで、裏糸ハが表編目b1、f1の内側に二重編目を形成し、裏側を橋渡し状に3編目飛ばして3ウェルのブリッジ構造で空間Aを形成する。
図11および図22は、本発明のさらに別の編成例を示す編地断面モデル図と編方図である。
表糸イと裏糸ロ、裏糸ハの3種類の構成糸により1コースを形成する。表糸イはニットによる編目a1〜h1で表面を編成し、裏糸ロが表編目b1、f1の内側に二重編目を形成しつつd1、h1の編目にタックで連結し、裏側を橋渡し状に2編目飛ばして2ウェルのブリッジ構造で空間Bを形成する。ついで、裏糸ハが表編目b1、f1の内側に二重編目を形成し、裏側を橋渡し状に3編目飛ばして3ウェルのブリッジ構造で空間Aを形成する。ここで、編目b1、f1は三重編目を形成している。
本発明は前述した課題を解決するために、本発明の多層構造シングル丸編地は、少なくとも表糸と裏糸で構成されるシングル丸編地であり、10コース中にブリッジ構造を有する裏糸が11本以上存在することが必要である。シングル丸編地はダブル丸編地に比べ薄く軽い特徴があり、シングル丸編地において、10コース中にブリッジ構造を有する裏糸を11本以上有することで、シングル丸編地でありながら厚みのある編地が得られる。ここで、10コース中に存在するブリッジ構造を有する裏糸が10本以下であれば、従来の二層構造丸編地のように裏糸であるブリッジ構造がつぶれ易く、厚みを持つ編地とするには表糸からなる表層を厚くしなければならない。表層が厚くなれば編地における糸の充填率が高くなり、軽い編地が得られ難い。本発明のように、10コース中にブリッジ構造をもつ裏糸が11本以上、つまり、2本以上のブリッジ構造を有する糸が、1コースまたは1コースに合わさるコース(1コースに合わさるコースとは、たとえば図9に示すような場合)中に存在することで、編地厚さ方向の荷重に対し、2本以上の裏糸で荷重を支えることとなり、つぶれ難い編地となるため、柔らかく厚みがあり、大きい嵩高の編地が得られる。さらに好ましくは、10コース中にブリッジ構造を有する裏糸が15本以上である。ここで、量産性が低下する手法となるが、例えば1コース中に3本以上の裏糸を形成させる方法も可能である。
ここで、裏糸の2本以上とは、図5〜図11のように、ブリッジ構造が異なるように編成された裏糸が2種以上存在することであり、例えば、同一または異種の糸を2本引き揃えで編成された裏糸は、2種の裏糸に含まれない。ただし、同一または異種の2本の糸で、飛ばしたウェル数は同じであっても、ニットまたはタックする編目が異なる場合には、2種の糸として扱う。
このように編目とブリッジ構造を形成することで、裏糸を2本以上有する上記コースの一部において2種以上の裏糸が同じコースまたは同じコースに合わさるコース内に配置されることになる。
また、上記コースの一部において、少なくとも一種の裏糸が表糸よりなる表1編目の内側に表糸と相似形状に配置される多重の編目を、少なくとも1箇所以上有することが必要である。1編目に多重ニット構造となる相似形状の多重編目部により、ストレッチ性を損なうことなく、大きな肌面のブリッジ構造による空間を形成でき、形態安定性や破裂強力、ピリング、スナッグなどの強度保持性を主とする物性安定性にも優れたものとなる。ここで多重の編目とは二重以上の相似形状を形成した編目である。
また、本発明の多層構造シングル丸編地は、裏糸が多重編目部と多重編目部の間で橋渡し状となる橋渡し部により空気層が形成されるため、保温性が良好で軽量で嵩高な編物となる。この多重編目部と多重編目部の間隔は、橋渡し部に空気層が形成されるものであれば特に限定されないが、生産性、生地の物性面から、1編目以上20編目以下が好ましい。
本発明の多層構造シングル丸編地は、10コース中の少なくとも1コース(1コースに合わさるコースも含む)に、2種以上の裏糸を持ち、裏糸の一方は3ウェル以上のブリッジ構造を持ち、裏糸の他の一方は1ウェル以上4ウェル以下のブリッジ構造を持つことが好ましい。一方が3ウェル以上のブリッジ構造をもつことで大きいブリッジ構造を形成できるがつぶれやすいが、他方の裏糸を1ウェル以上4ウェル以下の小〜中程度の大きさのブリッジ構造とすることで、大きいブリッジ構造を支え、編地の嵩高性を向上させる効果が得られる。ここで、裏糸の一方が3ウェル、他方が3ウェルの同程度の大きさブリッジ構造を形成することも可能で、3ウェルや4ウェルのブリッジ構造では2本以上となることで編地の嵩高性を高く保つことが可能である。裏糸の両方が2ウェル以下では、ブリッジ構造が小さいため好ましくない傾向がある。また、一方が3ウェル以上のブリッジ構造でかつ、他方も5ウェル以上となった場合には、嵩高性の高い編地の作成は可能であるが、スナッキングの悪化や表面感が粗悪になり易いため好ましくない。
本発明の多層構造シングル丸編地は、同じコースにおいて異なる編目を形成する糸を3種以上有する部位を持つことが好ましい。本発明におけるブリッジ構造で形成される空間については、飛ばした編目の数と表編目との結合する編目形態で大きさ(高さ)が決定し、飛ばした編目の数が大きいほど空間が大きく、また表糸と結合する編目が、相似形状の多重編目の空間は安定した状態で最も大きく、ついで一重編目(図2のような天竺変形組織)、タック編目(図3のようなインレー組織)の順となる。この編目の違いが異なる編目という。異なる編目の糸とは、ニット編目で表を形成する糸と、相似形状の多重編目の裏側を形成する糸やタック(インレー組織)などで形成する糸、またこれらの組合せなどであり、3種類以上の糸を混ぜることにより、安定した嵩高性のある編地が得られやすい。
このように編地の裏面に大きさ(高さ)の異なるブリッジ構造を形成することで、表面を含めると三層構造シングル編地となる。また、編地裏面のブリッジ構造の大きさが同じであれば、二層構造のシングル編地となる。さらに、裏面に大きさが異なる三段階のブリッジ構造を形成することや、表を形成する編目をプレーティングによるリバーシブル構造とし、裏面に大きさの異なる二段階のブリッジ構造を形成することで四層構造のシングル編地とすることもできる。
また、大きいブリッジ構造、物性的にも安定した編地を作成する方法として、生機の状態で安定した編地としつつ、染色加工工程の熱処理により生地表の編目を高密度化する方法も挙げられる。この場合、ブリッジ部分を除く編目を形成する糸の太さと編目の長さによって密度が決定する。これを表目カバーファクタとし、表目カバーファクタが1.0以上であることが、大きいブリッジを持ち、ブリッジ抜けのない安定した編地である好ましい範囲として挙げられる。さらに好ましくは、表目カバーファクタが1.5以上の高密度でハリ・コシ感と嵩高性が得られる良好な編地となる。
また、編地を形成する糸の少なくとも一つが伸縮復元率30%以上であることが好ましい。編地を形成する糸の少なくとも一つが伸縮復元率30%以上であれば、編目において捲縮が発現することで高密度の編地と類似の効果が得られる。また、伸縮復元率が30%以上であることで編地のストレッチ性も得られるため、ストレッチ性が求められる用途に好適に用いられる。より好ましい範囲としては、伸縮復元率が40%以上である。
また、編地を形成する糸の少なくとも一つが沸騰水収縮率5%以上であることが好ましい。編地を形成する糸の少なくとも一つが沸騰水収縮率5%以上であれば、編地の構造を詰める効果があり、より膨らみ・ハリ・コシ感がある生地となる。より好ましい範囲としては、伸縮復元率30%以上かつ沸騰水収縮率が5%以上であり、高密度で嵩高性のある編地が得られやすく、軽量感とハリ・コシ感が同時に得られる編地になる傾向がある。
本発明の多層構造シングル丸編地は、嵩高性が5.0g/m以上であることが好ましい。嵩高性は3.5g/mあれば軽量感のある生地となるが、5.0g/m以上とすることで他商品と差別化できる軽量感や保温性など効果が小さくなるためである。
本発明の多層構造シングル丸編地は、目付が150g/m以下でかつ紫外線遮蔽率が80%以上であることが好ましく、紫外線遮蔽効果を表す尺度として知られているUPFとしては、UPF15以上であることが好ましい。編地が厚くなれば光の反射回数が多く、紫外線が透過しにくくなるが、編地が重くなる。本発明の多層シングル構造の丸編地にすることで、生地に厚みがあり軽く紫外線遮蔽が高い素材となる。ここで、使用する糸にフルダルなどの従来の紫外線遮蔽性の高い糸を使うなどで、より高い紫外線遮蔽効果が得られるため好ましい。
本発明の多層構造シングル丸編地は、目付が150g/m以下でありかつ分光測色計を用いて測定される防透け度が80%以上であることが好ましい。紫外線遮蔽と同様に、生地の厚みが増すことで可視光の透過も少なくなり、本発明の多層構造シングル丸編地構造で、従来なかった軽く透けにくい素材が得られるため好ましい。
本発明の多層構造シングル丸編地は、肌面の吸水速度が3秒以下であり、表面と肌面の保水率比が3倍以上であることが好ましい。肌面の吸水速度は3秒以下とすることで、肌面への汗残りがなく、肌面のブリッジ構造により肌側が点接触構造となるため、ベトツキ感が少なく、表面と肌面の保水率比を3倍以上とすることで、肌側から表側に汗が移動することとなり、厚地でありながら、ベトツキ感がなく、速乾性の高い編地が得られる。
このように本発明の多層構造シングル丸編地は、前述した従来の編地や従来のストレッチ性に優れた二層構造シングル丸編地とは異なった、複数の裏糸の特殊ブリッジ構造により形成される空間AとBにより、優れた嵩高性とソフト感、ストレッチ性や保温性のあるシングル丸編地を形成することができる。また、本発明の多層構造シングル丸編地を用いた製品では、肌に接する面(裏面)が点接触することとなり、着用者が接触時の冷感性が低く、発汗した場合のベトツキ間が抑制される。
本発明の多層構造シングル丸編地において、特に、表糸をニット、タック、ウエルトの少なくとも2種を組み合わせた編目形状に編成することにより、編地表面変化もプレーン調からメッシュ調、鹿の子調、ツイル調、ヘリンボーン調など多彩に取れ、幅広い組織変化が可能である。
本発明において、表糸と裏糸の素材種も限定されることはなく、合成繊維のモノフィラメント糸、マルチフィラメント糸や仮ヨリ加工糸および紡績糸、天然繊維使いの紡績糸や合成繊維との混紡糸など適宜使用でき、各々を100%使いもしくは他の糸と交編してもよい。
特に、合成繊維マルチフィラメント糸の原糸あるいは仮ヨリ加工糸を表裏に配置、または、表糸に綿糸などの天然繊維紡績糸、裏糸に合成繊維マルチフィラメント糸を配置することにより、より軽量嵩高性に優れ、かつ裏糸がブリッジ構造のため各フィラメントがバラバラとなり、衣料として用いると毛細管現象による吸汗速乾性に優れたものが得られる。
また、本発明では表糸、裏糸の太さも特に限定されず、編機のゲージによって異なるものの、28ゲージ編機の場合は一本の糸として20デニールから600デニール程度まで使用できる。特に表糸に太い糸と細い糸を組み合わせると、編地の表面変化がより大きく広がることになる点で好ましい。
一方、従来品と同一厚さ程度、同一嵩高性程度の編地においても、その目付が低いために、使用糸量も少なく効率的に低コストで製造できる。
以上の構成を有する多層構造シングル丸編地には、親水性樹脂を付与する吸水加工を施すことが望ましい。これは、多層構造シングル丸編地は、肌面がブリッジ構造となっており、単繊維間隙が大きいため毛細管効果が小さく、親水性樹脂を付与しないと、肌から生地裏面のブリッジ構造部への水の移動が悪く、水分接触時の吸水性が阻害され易くなってしまうためである。逆に、生地を親水化することで、一旦肌から生地裏面のブリッジ構造に水が移動すると、同様の毛細管効果から、生地裏面から生地表面に水が移動しやすく、また生地裏面への濡れ戻りが小さい生地となる。
ここで、親水性樹脂とは、水酸基やエーテル基に代表される親水基を持った樹脂のことであり、布帛の製造に使用する場合は、吸水加工剤に含まれるものである。
吸水加工を施す工程は、使用する加工剤に応じて定められる。この工程は、たとえば浴中処理またはバッド・ドライ処理によって実現される。また、濃度、温度などの吸水加工条件についても、使用する加工剤に応じて定められる。
本発明の多層構造シングル丸編地は、適宜選択することにより、シャツ地用途である薄地分野からトレーニングウェア用途のように中厚地分野までの生地展開が可能であり、次のように幅広い分野に展開可能である。例えば、衣料用としてはスポーツウェア類のトレーニングウェア、野球ユニフォーム、スエットスーツ、競技シャツ・パンツ、テニスシャツ、ゴルフシャツ、サイクルシャツなど、ユニフォーム類のワーキングユニフォーム、オフィスユニフォームなど、アウターウェア類のシャツ・ブラウス、ワンピース、ジャケット、パンツなど、インナーウェア類の肌着などに好ましく使用される。また衣料用資材類としては裏地、芯地などにも好ましく使用され、その他、帽子、靴材、手袋、シーツなどにも使用可能である。
以下、本発明について実施例を用いて説明するが、実施例における各評価は次のとおり行なうものとする。
(1)嵩高度:
次式により得られるものとする。
嵩高度(cm3 /g)=t/w×1000
ここで、t:編地の厚さ(mm)、w:編地の目付(g/m2 )を意味し、嵩高度が大きい程、嵩高性がありボリューム感に富むことを示す。
(2)軽量感、ボリューム感、ストレッチ性、ハリ・コシ感:
編地の触覚評価を男女10人で行ない、次の判定基準により判定を行なう。◎、○を合格とする。
◎:非常に優れている、○:優れている、△:中位、×:劣っている。
(3)紫外線遮蔽率:
染色工程において染料を使用しない点以外は、製品と同じ工程を通過した白色生地を試料とし、分光光度計を用いて280〜400nmの波長の光の透過率を測定し、次式から紫外線遮蔽率を算出した。また、蛍光増白加工生地の場合は蛍光カットフィルター(東芝社製、UV−D33S)を使用した。
紫外線遮蔽率(%)=100−(280〜400nmの透過率の積分値/(400−280))
(4)防透け度:
染色工程において染料を使用しない点以外は、製品と同じ工程を通過した白色生地を試料とし、ミノルタ(株)製分光測色計CM−3600dを用いて、試料の裏面に白板を添えたときのL*値(Lw)と黒板を添えたときL*値(Lb)および白色板のみのL*値(白板)と黒板のみのL*値(黒板)を測定し、次式から算出した。
防透け度(%)=100−(Lw−Lb)/(白板L*値−黒板L*値)×100
(5)表裏拡散面積比:
10cm×10cmの水を吸わないフラットなフィルムの中心に、パイロット社製のインク原液を表面張力により直径が約1cmとなるように、注射器を用いて0.1cc置く。その上に、10cm×10cmの淡色の生地を表面が上になるようにのせ、3分間放置後、生地表面および生地裏面(肌面)のインクの拡散面積をデジタルプラニメータ(内田洋行社製、KP−90)で測定し、面積比(表面の拡散面積/裏面の拡散面積)を算出する。同様の操作を3枚の生地で実施し、平均値を出す。
拡散面積の大小は、インク液の吸収および拡散状態を示すものである。表面の拡散面積が大きく、かつ、面積比が大きいものは、吸水したインク液を効率よく表面側に移動させることができるので、いわゆる吸水、透水および拡散能力に優れていると言える。
(6)表裏保水率比:
10cm×10cmの水を吸わないフラットなフィルムの中心に蒸留水1.0ccを滴下し、その上に10cm×10cmの試料を、裏面(肌面)を下にして静かに置き、60秒間放置した後、この試料を、同一サイズにカットした2枚のろ紙の間にサンドイッチ状に挟み、同サイズの水を吸わないフラットなフィルム上に置き、5g/cmの荷重をかけて60秒間放置した。その後、もとの試料重量と吸水後の試料重量の差から試料の保水重量を算出した。また、表面と裏面(肌面)に接した各々のろ紙の含水重量から試料の表面および裏面(肌面)の保水率を算出した。これらの結果から、表裏保水率比(表面の保水率/裏面の保水率)を算出した。このような操作を試料3枚について同様に行い、平均値を求めた。
表裏保水率比が大きいほど、蒸留水を効率よく表面側に移動させる、透水能力に優れる。さらに、着用時においては吸水された汗が肌面に戻ることを抑える効果が高いことを意味する。すなわち、表裏保水率比が大きいほど発汗時においてもベタツキ感が少なく、着心地の良い素材であることを意味する。
(7)乾燥時間:
温度20℃、65%RH環境下で、10cm×10cmの水を吸わないフラットなフィルムの中心に蒸留水0.3ccを注射器で置き、その上に同環境下で12時間以上調湿し、あらかじめ重量を測定しておいた10cm×10cmの試料を静かに重ねて1分間静置し、水分を吸水させ、質量を測定する。その後、試料を吊り干しし、5分ごとに質量を測定し、残留水分率が10%未満になるまでに掛かった時間を乾燥時間とした。
(8)保温性(clo値):
カトーテック(株)製KES−7保温性試験機を用い、11cm×11cm(実測部は10cm×10cm)の試験片を熱板(BT−Box)上に取付けて、40℃の熱板温度で試験機付属の電力計の変動が最少となる安定状態なるまでにウォーミングアップを行う。それから測定を開始し、60秒間中の消費電力(W)および試験機の外気温度(即ちT−Box温度℃)を読取る。次式によって保温性clo値を求め、試験片3枚を用いて各1回ずつ行い、3回測定の平均値で表わす。
clo値=(1/0.155)×(ΔT×A)/W
ここで、ΔT:熱板温度と外気温度の差(℃)、W :試験片を取り付けた時の消費電力、A:熱板の面積(0.01m)である。
(9)表目カバーファクタ:
JISL1096(2015年度版)に記載の編目長及びカバーファクタの計算方法を参考に、表目カバーファクタを以下の式にて算出した。表目カバーファクタは、連続した10コース、20ウェルのループを平均値としている。ここで、完全編組織のコースの倍数が10コースとならない場合には、10コース以上で最小の完全編組織の倍数にて測定する。完全編組織とは、基本となる組織の最小単位のことである。
表目カバーファクタ(K)=√(繊度(tex))/編目長(mm:1編目分の編目長)
ここで、繊度は、1つの編目を形成する全ての繊度:tex
繊度は、1つの編目が多重ループの場合には、多重分の繊度となる。
また、編目長は、編目1つ分の長さ:mmであり、タック、ウェルト部分は除外する。
編目長は、分解糸から糸長を測定し、多重ループ部分の裏糸は、分解糸のニットループのみを電子顕微鏡などで読み取り、一つの編目として平均化している。
(10)伸縮復元率:
JISL1013(2015年度版)に記載の伸縮復元率の計算方法にて算出した。
(11)沸騰水収縮率:
JISL1013(2015年度版)に記載の沸騰水収縮率の計算方法にて算出した。
(実施例1)
36ゲージのシングル丸編機にて、表糸イとして84T−72−F60A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を、裏糸ロとして84T−72−B20A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を、裏糸ハとして56T−72−F60A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を用い、図17の編方図の給糸口、各々に給糸して10コース中の裏糸の本数が20本の編物を編成した(ダブル(W)ブリッジ構造)。
この生機を通常のポリエステル編物の染色加工法に従いリラックス・精練、染色、仕上げセットを行い、目付125g/m2 の編地を得た。この編地はシングル丸編地でありながら、表1に示すとおり軽量感、ボリューム感、ストレッチ性に優れ、また洗濯収縮率などの形態安定性や、破裂強力、ピリング、スナッグなどの物性的にも優れたものであり、トレーニングウェアなどに適するものであった。
(実施例2)
36ゲージのシングル丸編機にて、表糸イとして84T−72−F60A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を、裏糸ロとして84T−72−B20A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を、裏糸ハとして56T−72−F60A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を用い、図20の編方図の給糸口、各々に給糸して10コース中の裏糸の本数が16本の編物を編成した。
この生機を通常のポリエステル編物の染色加工法に従いリラックス・精練、染色、仕上げセットを行い、目付109g/m2 の編地を得た。この編地はシングル丸編地でありながら、表1に示すとおり軽量感、ボリューム感、ストレッチ性に優れ、また洗濯収縮率などの形態安定性や、破裂強力、ピリング、スナッグなどの物性的にも優れたものであり、トレーニングウェアなどに適するものであった。
(実施例3)
36ゲージのシングル丸編機にて、表糸イとして84T−72−F60A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を、裏糸ロとして84T−72−B20A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を、裏糸ハとして56T−72−F60A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を用い、図16の編方図の給糸口、各々に給糸して10コース中の裏糸の本数が20本の編物を編成した。
この生機を通常のポリエステル編物の染色加工法に従いリラックス・精練、染色、仕上げセットを行い、目付116g/m2 の編地を得た。この編地はシングル丸編地でありながら、表1に示すとおり軽量感、ボリューム感、ストレッチ性に優れ、また洗濯収縮率などの形態安定性や、破裂強力、ピリング、スナッグなどの物性的にも優れたものであり、トレーニングウェアなどに適するものであった。
(実施例4)
36ゲージのシングル丸編機にて、表糸イとして84T−72−F60A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を、裏糸ロとして56T−24−B20A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を、裏糸ハとして56T−72−F60A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を用い、図22の編方図の給糸口、各々に給糸して10コース中の裏糸の本数が20本の編物を編成した。
この生機を通常のポリエステル編物の染色加工法に従いリラックス・精練、染色、仕上げセットを行い、目付132g/m2 の編地を得た。この編地はシングル丸編地でありながら、表1に示すとおり軽量感、ボリューム感、ストレッチ性に優れ、また洗濯収縮率などの形態安定性や、破裂強力、ピリング、スナッグなどの物性的にも優れたものであり、トレーニングウェアなどに適するものであった。
(実施例5)
36ゲージのシングル丸編機にて、表糸イとして84T−72−F60A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を、裏糸ロとして84T−72−B20A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を、裏糸ハとして56T−72−F60A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を用い、図23の編方図の給糸口、各々に給糸して10コース中の裏糸の本数が13.3本の編物を編成した。ここで、図23は図17に類似しているが、裏糸を持たないコースを部分的に入れた組織となっている。
この生機を通常のポリエステル編物の染色加工法に従いリラックス・精練、染色、仕上げセットを行い、目付107g/m2 の編地を得た。この編地はシングル丸編地でありながら、表1に示すとおり軽量感、ボリューム感、ストレッチ性に優れ、また洗濯収縮率などの形態安定性や、破裂強力、ピリング、スナッグなどの物性的にも優れたものであり、トレーニングウェアなどに適するものであった。
(実施例6)
36ゲージのシングル丸編機にて、表糸イとして84T−72−F60A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を、裏糸ロとして84T−72−B20A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を、裏糸ハとして56T−72−F60A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を用い、図17の編方図の給糸口、各々に給糸して10コース中の裏糸の本数が20本の編物を編成した。
この生機を通常のポリエステル編物の染色加工法に従いリラックス・精練、染色、仕上げセットを行い、目付120g/m2 の編地を得た。この編地はシングル丸編地でありながら、表1に示すとおり軽量感、ボリューム感は3W以上の裏糸がある生地に比べ劣るが、ストレッチ性に優れ、また洗濯収縮率などの形態安定性や、破裂強力、ピリング、スナッグなどの物性的にも優れたものであり、トレーニングウェアなどに適するものであった。
(実施例7)
36ゲージのシングル丸編機にて、表糸イとして84T−72−混繊仮撚糸(東レ社製カチオン可染ポリエステルとポリエチレンテレフタレートとの60:40混繊仮撚糸)を、裏糸ロとして84T−72−B20A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を用い、裏糸ハとして84T−48−PBT/PET(東レ社製ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートの50:50のサイドバイサイド複合糸)を、図24の編地断面モデル図に示す編地となるように、図25の編方図の給糸口、各々に給糸して10コース中の裏糸の本数が20本の編物を編成した。
この生機を通常のポリエステル編物の染色加工法に従いリラックス・精練、染色、仕上げセットを行い、目付183g/m2 の編地を得た。この編地はシングル丸編地でありながら、表1に示すとおり軽量感、ボリューム感、ストレッチ性、ハリ・コシ感に優れ、また洗濯収縮率などの形態安定性や、破裂強力、ピリング、スナッグなどの物性的にも優れたものであり、ポリシャツやジャケットなどに適するものであった。
(実施例8)
実施例7と同じ作成方法にて、裏糸ハの糸を84T−48−WS9A(東レ社製ポリブチレンテレフタレート仮撚糸)とした編地を作成した。
この生機を通常のポリエステル編物の染色加工法に従いリラックス・精練、染色、仕上げセットを行い、目付173g/m2 の編地を得た。この編地はシングル丸編地でありながら、表1に示すとおり軽量感、ボリューム感、ストレッチ性、ハリ・コシ感に優れ、また洗濯収縮率などの形態安定性や、破裂強力、ピリング、スナッグなどの物性的にも優れたものであり、ポリシャツやジャケットなどに適するものであった。
(比較例1)
通常の28ゲージのシングル丸編機にて、表糸イとして167T−72−B20Z(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を用い、図12の編方図の給糸口に給糸して裏糸がない天竺組織の編地を編成した。
この生機を実施例1と同様に染色し、目付140g/m2 の編地を得た。
得られた編地は表1に示すとおり、実施例1の編地に比べ薄く、嵩高度が低いものであった。
(比較例2)
実施例1と同じ丸編機にて、表糸として84T−72−F60A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を、裏糸ロとして167T−72−B20Z(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を用い、図14の編方図の給糸口、各々に給糸し、10コース中の裏糸の本数が10本のインレイ組織の編地を編成した。
この生機を実施例1と同様に染色を行い、目付125g/m2 の編地を得た。得られた編地は表1に示すとおり、実施例1の編地に比べ薄く、嵩高度も低く、かつ、物性的にも不安定なものであった。
(比較例3)
実施例1と同じ丸編機にて、表糸イとして84T−72−F60A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を、裏糸ロとして84T−72−B20A(東レ社製ポリエステル仮撚加工糸)を用い、図15の編方図の給糸口、各々に給糸し、10コース中の裏糸の本数が10本の2層シングル編物を編成した。
この生機を実施例1と同様に染色し、目付150g/m2 の編地を得た。得られた編地は、表1に示す通り、目付が重く軽量感に劣るものであった。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0006745680
本発明の多層構造シングル丸編地は、従来のシングル丸編地や二層シングル丸編地に比べ、軽量嵩高性や着用快適性などを具備し、スポーツウェア、ユニフォームウェア、アウターウェア、肌着などの衣料用および裏地、靴材などの資材用に適した優れた編地であり、効率よく、低コストで製造可能である。
a1〜h1、a2〜h2、a3〜h3:編目
イ:表糸
ロ:裏糸
ハ:裏糸
A:表編目と裏糸の間に形成される空間
B:表編目と裏糸の間に形成される空間
C1〜C8:編針

Claims (10)

  1. 少なくとも表糸と裏糸で構成されるシングル丸編地であり、10コース中にブリッジ構造を有する裏糸が11本以上存在し、同じコースに存在する2本以上の裏糸は、異なるブリッジ構造を形成し、同じコースに存在する2本以上の裏糸のうち、少なくとも1本の裏糸は、表糸よりなる表1編目の内側に表糸と相似形状に配置される多重の編目を、少なくとも1箇所形成していることを特徴とする多層構造シングル丸編地。
  2. 10コース中の少なくとも1コースが、2種以上の裏糸を持ち、裏糸の一方は3ウェル以上のブリッジ構造を持ち、裏糸の他の一方は1ウェル以上4ウェル以下のブリッジ構造を持つことを特徴とする、請求項1に記載の多層構造シングル丸編地。
  3. 同じコースにおいて異なる編目の糸を3種以上有する部位を持つことを特徴とする、請求項1または2に記載の多層構造シングル丸編地。
  4. 嵩高性が5.0g/m以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の多層構造シングル丸編地。
  5. 目付が150g/m以下でかつ紫外線遮蔽率が80%以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の多層構造シングル丸編地。
  6. 目付が150g/m以下でかつ分光測色計を用いて測定される防透け度が80%以上であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の多層構造シングル丸編地。
  7. 肌面の吸水速度が3秒以下であり、表面と肌面の保水率比が3倍以上であることを特徴とする,請求項1〜6のいずれかに記載の多層構造シングル丸編地。
  8. 表目カバーファクタが1.0以上であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の多層構造シングル丸編地。
  9. 編地を形成する糸の少なくとも一つが伸縮復元率30%以上であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の多層構造シングル丸編地。
  10. 編地を形成する糸の少なくとも一つが沸騰水収縮率5%以上であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の多層構造シングル丸編地。
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