JP6741399B2 - 食物繊維を含有するパン用生地及びパン - Google Patents

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Description

本発明は、食物繊維を含有するパン用生地及びパンに関する。
近年、食物繊維の有する様々な健康増進機能が明らかとなり、消費者の健康志向の高まりから、主食や間食として摂取しやすい食物繊維を高含有するパンが求められている。
従来より、結晶セルロース等の水に不溶性の食物繊維を配合したものが知られているが、水に不溶性の食物繊維を多量に含むと、パンの食感が粉っぽく繊維質になりざらつきを感じるという問題を生じる。一方、水溶性食物繊維をパンに多量に含むと、製パン性の悪化、外観の悪化や、食感がもちもちとして重くなり口ごなれが悪化したり、著しく硬い食感になる等の問題を生じる。
それらの問題を解消するために、水溶性食物繊維である難消化性デキストリンを1〜7重量%含有するパン生地があるが(特許文献1の実施例1〜3)、特許文献1のパン生地では保水効果の高い保水剤を含有していないため、水が難消化性デキストリンに一旦吸水された後、構造を保ちきれずに排水され、生地中のグルテン間の架橋形成不足を引き起こすため、生地物性が悪化し製パン性が悪く、更に得られるパンの食感が硬く、前記問題は解決されていない。
また低粘性の水溶性食物繊維を0.42〜22.5重量%と、ヒドロキシプロピル基の平均置換度が特定範囲である加工デンプンを3〜41.85重量%含むベーカリー食品があるが(特許文献2)、プロピル基を持つ加工デンプンの配合量が多いため、加工デンプン特有のもちもちした食感が目立ち、パン本来の食感とかけ離れた食感である。
水溶性食物繊維材料と澱粉誘導体を含む増粘多糖類とを一定の比率で含有する水溶液を乾燥させて得られる水溶性食物繊維含有組成物を約6重量%含有するパン生地(特許文献3の実施例1〜5)があるが、得られるパンの食感と口ごなれが従来のパンと比して劣る上に、水溶性食物繊維の水への溶解度を70%以下に低下させるために予め水溶性食物繊維と増粘多糖類とを熱水に混合溶解させて噴霧乾燥するという特別な前処理を施す必要があり、パンの製造工程として煩雑で経済的にも問題がある。
特許文献3よりも更に食感を改善したパンとして、水溶性食物繊維材料と油脂を一定の比率で混合して得られる水溶性食物繊維を約2〜8重量%含有するパン生地(特許文献4の実施例1〜4)があるが、製造時のミキシング時間を短縮する効果は認められるものの生地物性の改善効果はなく、得られるパンの食感と口ごなれがなお従来のパンと比して劣る上に、水溶性食物繊維を予め油脂と混合しておく必要がありパンの製造工程として煩雑である。
特開2001−45960号公報 特開平10−243777号公報 特開2006−254901号公報 特開2010−213654号公報
本発明の目的は、食物繊維を多く配合しても、従来のパンと同等に製パン性および食感が良く、外観の良好なパンを提供することである。さらに好適には、上記に加え、栄養表示上の強化表示基準や特定保健用食品の認定基準を満たしているパンを提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の水溶性食物繊維と特定の保水剤とを特定量併用し、両者をパン用生地製造工程の後半に添加することで、食物繊維を多く配合しても、従来のパンと同等に製パン性、食感及び外観が良く、またさらにグルテン、ビタミンC、乳化剤を添加すると、より製パン性、食感及び外観が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、パン用生地に含まれる穀粉100重量部に対して、30℃の水への溶解度が85g/100gHO以上の水溶性食物繊維を10〜17重量部、100gの水に対し20g溶解した後30℃でB型粘度計を用い測定した粘度が4〜200Pa・sである保水剤としてヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプンを0.8〜2.4重量部及びビタミンCを配合してなり、前記水溶性食物繊維保水剤及びビタミンCを、穀粉が粉状でなくなるまで水分と混練した後に添加してなるパン用生地に関する。好ましくは、30℃の水への溶解度が85g/100gHO以上の水溶性食物繊維が難消化性デキストリンである上記記載のパン用生地、特に好ましくは、グルテン、乳化剤のうち少なくとも1種を添加してなる上記記載のパン用生地、ビタミンCの量がパン用生地に含まれる穀粉100重量部に対して0.005〜0.015重量部である上記記載のパン用生地に関する。本発明の第二は、上記記載のパン用生地を加熱調理してなるパンに関する。好ましい実施態様は、食物繊維をパン全体中6〜12重量%含有する上記記載のパンに関する。より好ましくは、難消化性デキストリンをパン全体中2〜10重量%含有する上記記載のパンに関する。本発明の第三は、パン用生地に含まれる穀粉100重量部に対して、30℃の水への溶解度が85g/100gHO以上の水溶性食物繊維を10〜17重量部、100gの水に対し20g溶解した後30℃でB型粘度計を用い測定した粘度が4〜200Pa・sである保水剤としてヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプンを0.8〜2.4重量部及びビタミンCを配合してなるパン用生地の製造方法であって、前記水溶性食物繊維保水剤及びビタミンCを、穀粉が粉状でなくなるまで水分と混練した後に添加することを特徴とするパン用生地の製造方法に関する。
本発明に従えば、食物繊維を多く配合しても、従来のパンと同等に製パン性および食感が良く、外観の良好なパンを提供することができる。また好適には、上記に加え、栄養表示上の強化表示基準や特定保健用食品の認定基準を満たしているパンを提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明のパン用生地は、特定の水溶性食物繊維及び特定の保水剤を特定量配合してなり、前記水溶性食物繊維及び保水剤を穀粉と水分との混練後に添加することを特徴とする。
本発明において、水溶性繊維とは水及び/又は熱水に溶解性を示す食物繊維の総称である。そして、本発明のパン用生地に含まれる水溶性食物繊維は、30℃の水への溶解度が85g/100gHO以上であることが好ましい。該水への溶解度が85g/100gHO以上の食物繊維としては、難消化性デキストリンを例示することができる。
前記30℃の水への溶解度が85g/100gHO以上である水溶性食物繊維の配合量は、パン用生地に含まれる穀粉100重量部に対して4.5〜17重量部であり、8.6〜17重量部が好ましく、10〜16重量部がより好ましい。該水溶性食物繊維の配合量が4.5重量部未満であると、パン用生地中における水溶性食物繊維の含有量が少ないために食物繊維を高含有するパンを得られず、また製パン性、外観、食感について課題が生じず、本発明の効果を享受できない場合がある。また該水溶性食物繊維の配合量が17重量部を超えると、パン用生地中における該水溶性食物繊維の含有量が多すぎて製パン性、外観、食感の悪化が著しく、製パン性および食感、外観が従来のパンと同等に良好なパンが得られない場合がある。
なお、本発明において製造時に配合される30℃の水への溶解度が85g/100gHO以上である水溶性食物繊維の前記配合量とは、穀粉由来の水溶性食物繊維とは別に配合される水溶性食物繊維の配合量をいい、前記穀粉に含有される水溶性食物繊維を含まない。
また、本発明のパン用生地には、本発明の効果を損なわない限り、上記30℃の水への溶解度が85g/100gHO以上である水溶性食物繊維以外にも、30℃の水への溶解度が85g/100gHO未満である水溶性食物繊維や、不溶性食物繊維を配合しても良い。なお、パン用生地に使用される穀粉自体にも食物繊維が含まれていることがあり、パン用生地及びパン中の食物繊維の総含有量は、穀粉由来の食物繊維と、パン用生地に配合する食物繊維との合計量となる。
前記穀粉としては、通常パンに使用されるものであれば由来や精製度合いに特に制限はなく、由来としては小麦、大麦、ライ麦、ソバ、コメ等が例示でき、グルテンの前駆物質であるグルテニンやグリアジンを含む観点からは小麦、大麦、ライ麦が好ましく、ペントザンなどの吸水性の高い繊維質等のグルテン形成を阻害する物質を含まず、混練の際に一定量のグルテンを形成する観点からは小麦がより好ましい。精製度合いに関しては、精製度合いの高い通常の小麦粉等を用いても良いし、グラハム粉や全粒粉等の精製度合いの低いものを用いても良い。
なお、前記各穀粉にはおおよそ以下の量の水溶性食物繊維および不溶性食物繊維が含まれる。強力粉:水溶性食物繊維1.2重量%、不溶性食物繊維1.5重量%、薄力粉:水溶性食物繊維1.2重量%、不溶性食物繊維1.3重量%、コメ粉:水溶性食物繊維0重量%,不溶性食物繊維0.6重量%。
前記30℃の水への溶解度が85g/100gHO未満である水溶性食物繊維としては、具体的には分岐マルトデキストリン、グアーガム、グアーガム分解物、ペクチン、イヌリン、β-グルカン、ポリデキストロース、マンナン、寒天、アルギン酸塩及びアルギン酸プロピレンエステル等を例示することができる。該30℃の水への溶解度が85g/100gHO未満である水溶性食物繊維の含有量はできるだけ少ないほどよく、前記穀粉が小麦由来の場合にはパン用生地に含まれる穀粉100重量部に対して1〜7重量部が好ましく、1〜3重量部がより好ましく、1〜2重量部が更に好ましい。該水溶性食物繊維の含有量が1重量部より少ないと穀粉の量が少なすぎてパンにならない場合があり、該水溶性食物繊維の含有量が7重量部を超えると、溶け残った該水溶性食物繊維がゲル状になって生地物性が悪化したり、食感が咀嚼時にパンの食塊が糊状の塊となり口の中で長く残るために口どけが悪くなる(いわゆる、くちゃつく)等の悪影響が生じる場合がある。また前記穀粉がコメ由来の場合にも、前記水溶性食物繊維の含有量はできるだけ少ないほどよく、パン用生地に含まれる穀粉100重量部に対して5重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましく、全く含有しないことが更に好ましい。該水溶性食物繊維の含有量が5重量部を超えると、溶け残った該水溶性食物繊維がゲル状になって生地物性が悪化したり、くちゃつく等の悪影響が生じる場合がある。
前記不溶性食物繊維とは、食物繊維のうち水及び熱水に対して不溶性の食物繊維であり、具体的にはセルロース、ヘミセルロース、リグニン、ふすま、各種野菜および果実由来のファイバー、キチン及びキトサン等を例示することができる。該不溶性食物繊維の含有量は少ないほどよく、パン用生地に含まれる穀粉100重量部に対して0.6〜4.2重量部が好ましく、0.6〜3.0重量部がより好ましく、0.6〜2.6重量部が更に好ましい。不溶性食物繊維の含有量が4.2重量部を超えると、パンの食感が粉っぽく繊維質になりざらつきを感じさせてしまう場合がある。
本発明のパン用生地に含まれる保水剤とは、100gの水に対し20g溶解した後30℃でB型粘度計を用い測定した粘度が4〜200Pa・sを満たす加工デンプン、多糖類、増粘剤等であればよく、該条件を満たす保水剤は、高次構造中に水を抱き込みその後崩壊しにくいために保水効果が高い。前記保水剤として、具体的にはヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、を例示することができ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を用いればよい。なお、100gの水に対し20g溶解した後30℃でB型粘度計を用い測定した粘度が4〜200Pa・sの範囲外となるもの、例えば、後述の比較例1で使用しているヒドロキシプロピルデンプンは、本発明で用いる前記保水剤には含まれない。
前記保水剤の配合量は、パン用生地に含まれる穀粉100重量部に対して0.8〜2.4重量部であり、0.8〜2.0重量部が好ましく、0.8〜1.9重量部がより好ましい。保水剤の配合量が0.8重量部未満であると、製パン性が悪化したり、外観の悪化が生じたり、パンのボリュームが小さくなるために著しく食感が硬くなる等の問題が生じる場合がある。また保水剤の配合量が2.4重量部を超えると、食感がもちもちとして重くなり口ごなれが悪化する場合がある。
本発明のパン用生地には、穀粉、イーストおよび水分を必ず含み、更には上記食物繊維や保水剤以外に、本発明の効果を阻害しない限り、グルテン、ビタミンC、乳化剤、その他通常パンに使用される原材料を使用してもよい。
パン用生地における水分含有量は、パン用生地に含まれる穀粉100重量部に対して75.5〜83.5重量部が好ましく、77.5〜81.5重量部がより好ましい。水分含有量が75.5重量部未満であると、生地の伸展性が失われ、外観の悪化が生じたり食感が重く硬いパンとなる場合があり、83.5重量部より多いと製パン性が悪化したり、外観の悪化や咀嚼時にパンの食塊が糊状の塊となり口の中で長く残るために口どけが悪くなるなどの問題が生じる場合がある。
前記水分としては、水、牛乳などの水を含む液体などが挙げられる。
前記グルテンは、パン用生地中のグルテン間の架橋形成を更に補強して生地物性を良くし、該生地を焼成して得られるパンの比容積をより大きくするために、パン用生地中に添加することが好ましい。添加するグルテンは穀類から選別されたものであれば特に制限はないが、小麦、大麦、ライ麦等の穀物由来であって、パン用生地中においてグルテン間の架橋を補強するものであればよく、例えば予め精製され粉末状に乾燥されたグルテンを穀粉などの他の粉体材料と同じタイミングで別途配合すれば良い。
前記グルテンの添加量は、パン用生地に含まれる穀粉100重量部に対して0.5〜1.5重量部が好ましく、0.7〜1.2重量部がより好ましい。グルテン添加量が0.5重量部未満であると、パン用生地中のグルテン間の架橋形成が十分に補強されず、グルテン添加の効果が十分に享受できない場合がある。またグルテン添加量が1.5重量部を超えると、グルテン間の架橋が強固になりすぎてパン用生地の伸びを悪くするためにパンのボリュームが落ち、パンの食感はくちゃつきがひどくて硬く、口の中に残留感のある口溶け口ごなれが悪いものとなってしまう場合がある。
前記ビタミンCは、食用であってパン用生地中においてグルテン間の架橋形成を促進するものであればよく、パン用生地中のグルテン間の架橋形成を更に補強して生地物性を良くするために、パン用生地中に添加することが好ましい。
前記ビタミンCの添加量は、パン用生地に含まれる穀粉100重量部に対して0.005〜0.015重量部が好ましく、0.007〜0.012重量部がより好ましい。ビタミンC添加量が0.005重量部未満であると、グルテン間の架橋形成が十分に促進されず、ビタミンC添加の効果が十分に享受できない場合がある。またビタミンC添加量が0.015重量部を超えると、効果が頭打ちとなってしまう場合がある。
前記乳化剤は、パン用生地中に形成されるグルテン間の滑りを向上させ、発酵および焼成中に発生するガスを生地内に閉じ込め、ガス抜けすることなく生地を膨らませ更に柔らかで大きなパンとするために、パン用生地中に添加することが好ましい。前記乳化剤としては、具体的にはグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、シュガーエステル及びレシチンなどが挙げられる。なお、前記有機酸モノグリセリドは、脂肪酸モノグリセリドにさらに有機酸がエステル結合したモノグリセリド誘導体のことであり、該有機酸としては、酢酸、クエン酸、コハク酸、ジアセチル酒石酸、乳酸などが挙げられる。
前記乳化剤の添加量は、パン用生地に含まれる穀粉100重量部に対して0.2〜0.4重量部が好ましく、0.25〜0.35重量部がより好ましい。乳化剤の添加量が0.2重量部未満であると、乳化剤の添加の効果が十分に享受できない場合がある。また乳化剤の添加量が0.4重量部を超えると、効果が頭打ちとなってしまう場合がある。
本発明のパン用生地中には、前記グルテン、ビタミンC、乳化剤のうち少なくとも1種を添加することが好ましい。
前記その他通常パンに使用される原材料としては、油脂製品、pH調整剤、糖類、卵、乳製品、ココア、でん粉、前記以外の穀物由来の物、食塩、フルーツ、ナッツ、香辛料、酵母、酒、果汁、豆乳及びそれらの加工品、前記以外の乳化剤、酵素、香料、着色料、膨張剤、ビタミンC以外の酸化剤、酸化防止剤、増粘剤、酸味料、甘味料、保存料、酵素、イーストフード、その他の生地改良剤等の食品添加物等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、クエン酸、コハク酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
前記パン用生地を焼成、フライ、蒸しなど加熱調理することで、所望のパンを得ることができる。ここで前記パンとしては、具体的には食パン、バンズ、ロールパン、ベーグル、バゲットやパリジャン等のフランスパン、菓子パン、惣菜パン、デニッシュ、蒸しパン、中華まんじゅう、ドーナツ等が挙げられ、更にこれらのパンにチョコレートやクリーム、ジャム、あんこ、バター、マーガリン等のフィリングをコーティングしたりサンドしたり包餡した加工品等でもよい。
本発明のパンにおいては、前記パン用生地を加熱調理した際に、およそ8〜20重量%の水分が蒸発して失われるので、該パン用生地を加熱調理して得られたパン全体中では、30℃の水への溶解度が85g/100gHO以上である水溶性食物繊維の含有量は2.4〜10重量%であり、保水剤の量は0.5〜1.5重量%であり、穀粉由来の食物繊維を含む水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維の合計含有量は4.1〜12重量%であることが好ましい。
なお、パン全体中の水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維の合計含有量が6重量%以上であると、栄養表示上の強調表示の基準を満たすため、前記パン全体中の食物繊維の合計含有量は6〜12重量%がより好ましい。
また、特定保健用食品として、難消化性デキストリンの一日摂取目安量が3〜8gであると「お腹の調子を整える」効果を、一食当たりの摂取目安量が4〜6gであると「おだやかな糖の吸収」効果をそれぞれ謳う基準を満たすため、30℃の水への溶解度が85g/100gHO以上である水溶性食物繊維としての難消化性デキストリンのパン全体中の含有量は2〜10重量%がより好ましい。
また、前記パン中に含まれるグルテン、ビタミンC、乳化剤の含有量は、それぞれ0.28〜0.84重量%、0.0028〜0.0084重量%、0.11〜0.23重量%であることが好ましい。
本発明のパン用生地の製造方法は、パン用生地を製造するに際して、30℃の水への溶解度が85g/100gHO以上の水溶性食物繊維および100gの水に対し20g溶解した後30℃でB型粘度計を用い測定した粘度が4〜200Pa・sである保水剤を、前記穀粉が粉状でなくなるまで水分と混練した後に添加する点に特徴がある。
前記のように、殻粉が粉状でなくなるまで水分と混練してから、水溶性食物繊維と保水剤とを添加してパン用生地を製造することで、水溶性食物繊維や保水剤を使用した従来のパンで見られていた問題点が解消されるだけでなく、食物繊維を多く配合しても、従来のパンと同等に製パン性および食感が良く、外観も優れたものとなる。
本発明において、前記殻粉が粉状でなくなるまで水分と混練した状態としては、殻粉と水分とを常法により混練し、粉状の殻粉が概ね見えなくなった状態をいう。また、粉状の殻粉が、混練物中にいわゆるダマになって存在する場合もあるが、このようなダマを含む混練物も本発明でいう殻粉が粉状でなくまるまで水分と混練した状態に含まれる。
また、水分と混練する殻粉の量としては、パン用生地に使用する殻粉の全量でもよいが、一部でもよい。例えば、パン用生地をストレート製法で製造する場合、殻粉全量を水分と混練した混練物に前記水溶性食物繊維および保水剤を添加すればよい。また、パン用生地を中種製法で製造する場合、殻粉の一部を水分と混練した中種を予め作製し、この中種に残りの殻粉、前記水溶性食物繊維および保水剤を添加すればよい。なお、中種を作製するのに用いる殻粉の量としては特に限定はない。
また、前記水溶性食物繊維および保水剤を添加する前記穀粉および水分の混練物中にはイーストが配合されていればよい。前記混練物中に配合されるイーストは、パン用生地に使用するイーストの全量であっても一部でもよい。
本発明のパン用生地の製造方法を以下に具体的に例示する。
全材料を一度に捏ね上げる製法であるストレート製法では、穀粉全量と、必要に応じて砂糖等の糖類、脱脂粉乳などの乳製品、食塩、イーストフード、乳化剤、グルテン、ビタミンC等をミキサー内で混和する。その後、イーストと水分を加えてミキシングを開始し、穀粉が粉状でなくなったら水溶性食物繊維と保水剤を加え、その後生地に繋がりが出始めたら油脂を加え、更にミキシングを継続して十分に生地の伸展性が得られるまで生地を捏ね上げる。該生地を25〜30℃で0〜120分間発酵させる。前記発酵中に、必要に応じて発酵途中の生地を取りだしてパンチと呼ばれる生地中のガス抜き工程を実施しても良い。発酵が終了した生地を分割し丸め、更に20〜60分間生地を休めた後、成型を行い、最終発酵槽で30〜120分間発酵を行うことにより、ストレート製法によるパン用生地が得られる。
全材料の一部で生地を作り発酵させたのち、残り材料を加え、2度目のミキシングで生地を作り上げる製法である中種製法では、使用する穀粉全量の50〜80%量とイーストに水分を加えてから穀粉が粉状でなくなくなるまでミキシングし、中種生地を作製する。その際、必要に応じてイーストフード等を添加しても良い。前記中種生地を25〜30℃で2〜4時間又は冷蔵で12時間以上発酵させた後、残りの穀粉、水溶性食物繊維、保水剤、さらには必要に応じて食塩、砂糖等の糖類、脱脂粉乳などの乳製品、卵、油脂等を添加し、水分を加えて2度目のミキシングを行い、本捏生地を得る。捏ね上げた生地を25〜30℃で15〜60分間発酵させた後、生地の分割、丸めを行い、更に20〜60分間生地を休めた後、成型を行い、最終発酵槽で35〜39℃で30〜120分間発酵を行うことにより、中種製法によるパン用生地が得られる。
前記水溶性食物繊維及び保水剤を添加するタイミングは、ストレート製法の場合は油脂を添加する前且つ穀粉が粉状でなくなった後が好ましい。また、中種法の場合は穀粉が粉状でなくなくなるまでミキシングされた後、即ち本捏時に添加することが好ましい。該添加タイミングが本捏工程より前だとグルテン同士の架橋形成が阻害され、パンのボリューム低下を引き起こしたり、パンの食感はくちゃつきがひどくて硬く、口の中に残留感のある口溶け口ごなれが悪いものとなってしまう場合がある。
なお、穀粉、水分、水溶性食物繊維、保水剤以外の原材料は、全量を一括で添加してもよいし、複数回に分割して添加してもよく、更に添加する形態はそのまま生地混合物に添加してもよいし、水中油型乳化油脂組成物や油中水型乳化油脂組成物などの乳化物やショートニングなどの油脂中に含有させて添加してもよい。
本発明のパンの製造方法は、前記パン用生地を、常法に従って焼成、フライ、蒸しなど加熱調理すれば良い。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<水溶性食物繊維の溶解度の測定>
水溶性食物繊維の30℃の水への溶解度は、次に述べる方法にて測定した。水100gを入れた密閉可能な透明容器と正確に秤量した各水溶性食物繊維(溶質)85gを用意し、各容器に各溶質を入れて加熱溶解し、完全溶解した前記溶液を徐々に冷却し、ゲル化が起きた温度を記録した。ゲル化が起きた温度が30℃未満の場合、30℃の水への溶解度は85g/100gHO以上であると判断した。ゲル化が起きた温度が30℃以上の場合、水100gに溶解する溶質の量を適宜変更して前記と同様の操作を繰り返しゲル化が起きた温度を記録し、縦軸:温度、横軸:溶質量としたグラフを得て、30℃での溶解度を算出した。
<保水剤及びヒドロキシプロピルデンプンの粘度の測定>
保水剤及びヒドロキシプロピルデンプンの粘度は、次に述べる方法にて測定した。100gの水に対し各保水剤又はヒドロキシプロピルデンプン20gを完全に加熱溶解した後、徐々に冷却し、30℃の時点でB型粘度計(RION社製「VISCOTESTER VT−04F」、ローターNo.1及びNo.2)を用い、100gの水に対し20g溶解した後30℃における粘度を測定した。
<生地の製パン性評価>
実施例及び比較例でパン用生地を作製した際の生地の状態を観察し、製パン性を評価した。その際の評価基準は以下の通りである。
5点:べとつきがなく、張りがありかつ伸びやかな状態であり生地の状態として非常に良く、生地の製パン性が非常に良好である。
4点:ややべとつきがあるが、張りと伸びやかさがある状態であり生地の状態として良く、生地の製パン性が良好である。
3点:べとつきが有り、張りがやや不足しているが伸びやかな状態であり生地の状態として問題はなく、生地の製パン性に問題はない。
2点:べとつきがやや強く、張りがやや乏しく腰がないために生地の状態としてやや悪く、生地の製パン性がやや悪い。
1点:べとつきが強く、張り及び腰がなくミキサーから生地を取り出すことが困難な状態で、丸めや成型も困難であるために生地の状態として悪く、生地の製パン性が悪い。
<パンの比容積の測定>
加熱調理後のパンの比容積は、次に述べる方法にて測定した。パン用生地300gをロール状に成型した後、容積1300mlのケースに入れ、38℃、湿度75%の発酵槽で60分間発酵した後、200℃の釜で25分間焼成した。焼成されたパンの容積をレーザー体積計(ASTEX社製「WinVM2000」)で測定し、容積/重量の比を比容積として算出した。前記測定によって得られた比容積の値が5.1cm/g以上であれば、パンの比容積は大きいと言える。
<食感の評価>
実施例及び比較例で得られたパンを熟練したパネラー10名に食べてもらって官能評価を行い、それを平均して評価結果とした。その際の評価基準は以下の通りである。
5点:柔らかさ、口ごなれが共に従来のパンと同等以上であり、ざらつきがなく、非常に好ましい。
4点:柔らかさ、口ごなれが共に従来のパンと同等又は同等以上であり、ざらつきがほとんどなく、更に好ましい。
3点:柔らかさ、口ごなれが共に問題のないレベルであり、ざらつきがほとんどなく、好ましい。
2点:柔らかさ、口ごなれ、ざらつきのうち少なくとも1つが従来のパンよりやや劣り、満足のいくレベルではない。
1点:柔らかさ、口ごなれ、ざらつきのうち少なくとも1つが従来のパンより明らかに劣り、問題のあるレベルである。
<外観評価>
実施例及び比較例で得られたパンを熟練したパネラー10名に観察してもらって評価を行い、それを平均して評価結果とした。その際の評価基準は以下の通りである。
5点:比容積が大きく、釜伸び、焼き色が共に非常に良好であり、外観は非常に良好である。
4点:比容積が大きく、釜伸び、焼き色が共に良好であり、外観は更に良好である。
3点:比容積が大きく、釜伸び、焼き色共に問題のないレベルであり、外観は良好である。
2点:比容積の大きさ、釜伸び、焼き色のうち少なくとも1つにやや問題があり、外観は満足のいくレベルではない。
1点:比容積の大きさ、釜伸び、焼き色のうち少なくとも1つに問題があり、外観が悪い。
<総合評価>
生地の製パン性、焼成後のパンの食感及び外観を総合的に判断して、以下の基準に従い総合評価を行った。
5点:生地の製パン性、焼成後のパンの食感及び外観の何れも4.0点以上であり、とても好ましい。
4点:生地の製パン性、焼成後のパンの食感及び外観の何れも3.0点以上であり、最も点数の低い項目が3.0点以上4.0点未満であり、好ましい。
3点:生地の製パン性、焼成後のパンの食感及び外観の何れも2.5点以上であり、最も点数の低い項目が2.5点以上3.0点未満であり、問題はない。
2点:生地の製パン性、焼成後のパンの食感及び外観のうち少なくとも何れかが1.5点以上2.5点未満であり、あまり好ましくない。
1点:生地の製パン性、焼成後のパンの食感及び外観のうち少なくとも何れかが1.0点以上1.5点未満であり、好ましくない。
<実施例・比較例で使用した原料>
1)強力粉:日清製粉(株)製「ミリオン(登録商標)」(水溶性食物繊維:1.2重量%、不溶性食物繊維:1.5重量%、水分:11重量%)
2)イースト:(株)カネカ製「イーストSK」(水分:70重量%)
3)イーストフード:(株)カネカ製「イーストフードC」(水分:10重量%)
4)難消化性デキストリン:松谷化学工業(株)製「ファイバーソル(登録商標)2」(難消化性デキストリン含有量:平均90重量%、水分:4重量%)
5)不溶性食物繊維:旭化成工業(株)製「アビセルFD−F20」(結晶セルロース含有量:96重量%、水分:4重量%)
6)保水剤1:松谷化学工業(株)製「パインソフト(登録商標)B」(成分:ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、水分:3重量%)
7)保水剤2:松谷化学工業(株)製「マツノリン(登録商標)P−7」(成分:ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、水分:3重量%)
8)ヒドロキシプロピルデンプン:松谷化学工業(株)製「松谷ゆり2」(成分:ヒドロキシプロピルデンプン、水分:3重量%)
9)小麦グルテン:長田産業(株)製「フメリットA」(水分:5重量%)
10)ビタミンC:扶桑化学工業(株)製「L−アスコルビン酸」
11)乳化剤:デュポン社製「PANODAN A2020/B」(成分:ジアセチル酒石酸モノグリセリド)
12)ショートニング:(株)カネカ製「エバーライト(登録商標)G」
(対照:従来のパン)中種法による食パンの作製
表1に示すパン用生地の配合に従い、強力粉70重量部、イースト2重量部、イーストフード0.1重量部、水42重量部を20コートミキサーボール(関東混合機工業(株)製「HPi−20M」)に投入し、低速で3分間、中速で2分間混合し中種生地を得た。該生地を28℃で4時間発酵させた後、強力粉30重量部、上白糖6重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩2重量部、水24重量部を添加した後、低速で2分間、中速で4分間、高速で3分間混合した。その後、ショートニング5重量部を投入し、さらに低速で2分間、中速で4分間、高速で9分間混合し本捏生地を得た。該生地を28℃で15分間発酵させた後、1個当たり240gになるよう量りとって6個分割し丸めを行い、さらに28℃で20分間生地を寝かせた。該生地をモルダー((株)フジサワ・マルゼン製「FM−31Z」)で成型した後、生地6個を3斤用ケースに入れ、38℃、湿度75%の発酵槽で60分間最終発酵させた後、蓋をかぶせ上火190℃、下火195℃の釜で35分間焼成し、従来配合の食パンを得た。得られたパン用生地およびパンの評価結果を表1に示した。
Figure 0006741399
(実施例1)中種法による食パンの作製
表1に示すパン用生地の配合に従い、強力粉70重量部、イースト2重量部、イーストフード0.1重量部、水42重量部を20コートミキサーボール(関東混合機工業(株)製「HPi−20M」)に投入し、低速で3分間、中速で2分間混合し中種生地を得た。該生地を28℃で4時間発酵させた後、強力粉30重量部、イースト0.3重量部、難消化性デキストリン13重量部、上白糖6重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩2重量部、保水剤1.5重量部、小麦グルテン1.0重量部、ビタミンC0.01重量部、乳化剤0.3重量部、水24重量部を添加した後、低速で2分間、中速で4分間、高速で3分間混合した。その後、ショートニング5重量部を投入し、さらに低速で2分間、中速で4分間、高速で9分間混合し本捏生地を得た。該生地を28℃で15分間発酵させた後、1個当たり240gになるよう量りとって6個分割し丸めを行い、さらに28℃で20分間生地を寝かせた。該生地をモルダー((株)フジサワ・マルゼン製「FM−31Z」)で成型した後、生地6個を3斤用ケースに入れ、38℃、湿度75%の発酵槽で60分間最終発酵させた後、蓋をかぶせ上火190℃、下火195℃の釜で35分間焼成し、食パンを得た。得られたパン用生地およびパンの評価結果を表1に示した。
(実施例2〜3)中種法による食パンの作製
表1の配合に従い、難消化性デキストリン、保水剤、小麦グルテンのうち少なくとも1つの配合量を変更した以外は、実施例1と同様にしてパン用生地及びパンを得た。得られたパン用生地およびパンの評価結果を表1に示した。
(実施例4〜6)中種法による食パンの作製
表1の配合に従い、保水剤の種類及び/又は添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてパン用生地及びパンを得た。得られたパン用生地およびパンの評価結果を表1に示した。
(実施例7)中種法による食パンの作製
表1の配合に従い、難消化性デキストリン、保水剤及び小麦グルテンの配合量を変更し、本捏時に不溶性食物繊維を1.0重量部添加した以外は、実施例1と同様にしてパン用生地及びパンを得た。得られたパン用生地およびパンの評価結果を表1に示した。
(比較例1:特開2001−45960の実施例3準拠)中種法による食パンの作製
表1に示すパン用生地の配合に従い、強力粉70重量部、イースト3重量部、イーストフード0.15重量部、水54重量部を20コートミキサーボール(関東混合機工業(株)製「HPi−20M」)に投入し、低速で3分間、中速で2分間混合し中種生地を得た。該生地を28℃で4時間発酵させた後、強力粉30重量部、イースト0.5重量部、難消化性デキストリン9重量部、不溶性食物繊維3.85重量部、上白糖8重量部、脱脂粉乳3重量部、食塩3重量部、ヒドロキシプロピルデンプン15.4重量部、水33.3重量部を添加した後、低速で2分間、中速で4分間、高速で3分間混合した。その後、ショートニング8重量部を投入し、さらに低速で2分間、中速で4分間、高速で9分間混合し本捏生地を得た。該生地を28℃で15分間発酵させた後、1個当たり240gになるよう量りとって6個分割し丸めを行い、さらに28℃で20分間生地を寝かせた。該生地をモルダー(フジサワ・マルゼン(株)製「FM−31Z」)で成型した後、生地6個を3斤用ケースに入れ、38℃、湿度75%の発酵槽で60分間最終発酵させた後、蓋をかぶせ上火190℃、下火195℃の釜で35分間焼成し、特開2001−45960の実施例3準拠の食パンを得た。得られたパン用生地およびパンの評価結果を表1に示した。
(比較例2)中種法による食パンの作製
表1に示すパン用生地の配合に従い、強力粉70重量部、イースト3重量部、イーストフード0.15重量部、難消化性デキストリンを13.0重量部、水42重量部を20コートミキサーボール(関東混合機工業(株)製「HPi−20M」)に投入し、低速で3分間、中速で2分間混合し中種生地を得た。なお、前記難消化性デキストリンを添加するタイミングは強力粉の添加と同時であり、その際、強力粉は水と十分に混練されておらず、粉状であった。前記生地を28℃で4時間発酵させた後、強力粉30重量部、イースト0.3重量部、上白糖6重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩2重量部、保水剤1.5重量部、小麦グルテン1.0重量部、ビタミンC0.010重量部、乳化剤0.30重量部、水24.0重量部を添加した後、低速で2分間、中速で4分間、高速で3分間混合した。その後、ショートニング5重量部を投入し、さらに低速で2分間、中速で4分間、高速で9分間混合し本捏生地を得た。該生地を28℃で15分間発酵させた後、1個当たり240gになるよう量りとって6個分割し丸めを行い、さらに28℃で20分間生地を寝かせた。該生地をモルダー(フジサワ・マルゼン(株)製「FM−31Z」)で成型した後、生地6個を3斤用ケースに入れ、38℃、湿度75%の発酵槽で60分間最終発酵させた後、蓋をかぶせ上火190℃、下火195℃の釜で35分間焼成し、食パンを得た。得られたパン用生地およびパンの評価結果を表1に示した。
表1に示す結果より、実施例1〜7で得られたパン用生地及びパンは、いずれも食物繊維の含有量が多く、そのうち難消化性デキストリンの含有量が相当量を占めているにも関わらず、難消化性デキストリンを配合していない対照のパン用生地及びパンと比べても、製パン性や、パンの食感および外観も遜色なく、総合評価点が同等程度であることがわかる。
一方、100gの水に対し20g溶解した後30℃でB型粘度計を用い測定した粘度が0.1Pa・sであるヒドロキシプロピルデンプンを高含有させた比較例1で作製されたパン用生地は、実施例1〜7で作製されたパン用生地と比べて、生地の製パン性や、前記パン用生地を用いて作製したパンの食感および外観が劣っており、総合評価点も2ポイント以上低いものであった。
また、比較例2では、難消化性デキストリンを中種生地作製時に添加したため、強力粉が水と十分に混練されてはおらず、強力粉が粉状の段階の時に難消化性デキストリンを添加した比較例2のパン用生地は、実施例1〜7で作製されたパン用生地と比べて、生地の製パン性や、前記パン用生地を用いてなるパンの食感および外観が劣っており、総合評価点も2ポイント以上低いものであった。

Claims (6)

  1. パン用生地に含まれる穀粉100重量部に対して、30℃の水への溶解度が85g/100gHO以上の水溶性食物繊維を10〜17重量部、100gの水に対し20g溶解した後30℃でB型粘度計を用い測定した粘度が4〜200Pa・sである保水剤としてヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプンを0.8〜2.4重量部、ビタミンCを0.005〜0.015重量部、グルテンを0.5〜1.5重量部および乳化剤を0.2〜0.4重量部配合してなり、前記水溶性食物繊維、保水剤、ビタミンC、グルテンおよび乳化剤、穀粉が粉状でなくなるまで水分と混練された混練物に添加されたパン用生地。
  2. 30℃の水への溶解度が85g/100gHO以上の水溶性食物繊維が難消化性デキストリンである請求項1に記載のパン用生地。
  3. 請求項1または2に記載のパン用生地加熱調理されたパン。
  4. 食物繊維をパン全体中6〜12重量%含有する請求項に記載のパン。
  5. 難消化性デキストリンをパン全体中2〜10重量%含有する請求項3又は4に記載のパン。
  6. パン用生地に含まれる穀粉100重量部に対して、30℃の水への溶解度が85g/100gH2O以上の水溶性食物繊維を10〜17重量部、100gの水に対し20g溶解した後30℃でB型粘度計を用い測定した粘度が4〜200Pa・sである保水剤としてヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプンを0.8〜2.4重量部ビタミンCを0.005〜0.015重量部、グルテンを0.5〜1.5重量部および乳化剤を0.2〜0.4重量部配合してなるパン用生地の製造方法であって、前記水溶性食物繊維、保水剤ビタミンC、グルテンおよび乳化剤を、穀粉が粉状でなくなるまで水分と混練した後に添加することを特徴とするパン用生地の製造方法。
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