JP6735266B2 - 工作機械、加工方法、および加工プログラム - Google Patents

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Description

本開示は、工作機械に生じる強制びびり振動を抑制するための技術に関する。
工作機械でワークを加工する際、工具の刃先が微小に振動することがある。このような振動は、びびり振動と呼ばれる。びびり振動が生じると、ワークの加工精度が低下してしまう。
びびり振動には、強制びびり振動と、再生びびり振動がある。強制びびり振動は、断続切削により発生する振動であり、工具の振動周波数が工具の固有振動数に等しくなったときに生じる。再生びびり振動は、工具の振動周波数と工具によるワークの切込み深さとの関係が所定の条件を満たした場合に生じる振動である。
強制びびり振動を抑制するための技術として、特開2012−115963号公報(特許文献1)がある。特開2012−115963号公報に開示される工作機械は、強制びびり振動が発生した場合に主軸回転数を上昇させていき、各主軸回転数での振動強度を記憶する。当該工作機械は、主軸回転数の変更前よりも振動強度が増加した時点で主軸回転数の上昇を停止する。当該工作機械は、記憶された主軸回転数の中で振動強度が最小となる主軸回転数を選択する。
特開2012−115963号公報
従来、主軸回転数を上昇させていく過程で振動強度が一旦増加すると、その後に主軸回転数を上昇させたとしても、振動強度が低下することはないと考えられていた。しかしながら、発明者らは、振動強度が一旦増加した後に主軸回転数をさらに上昇させると、振動強度がさらに低下する可能性があることを新たに発見した。そのため、特許文献1に示される工作機械のように、振動強度が一旦増加した時点で主軸回転数の探索が停止されると、振動強度が最小となる主軸回転数を探索することができない可能性がある。
本開示は上述のような問題点を解決するためになされたものであって、ある局面における目的は、強制びびり振動の振動強度を従来よりも抑制することができる工作機械を提供することである。他の局面における目的は、強制びびり振動の振動強度を従来よりも抑制することができる加工方法を提供することである。他の局面における目的は、強制びびり振動の振動強度を従来よりも抑制することができる加工プログラムを提供することである。
ある局面に従うと、工作機械は、ワークまたは工具を回転するための主軸と、上記主軸または上記工具の振動周波数を検知するためのセンサと、上記振動周波数に基づいて、上記主軸または上記工具に生じているびびり振動の振動強度を算出するための算出部と、上記主軸の回転数を制御するための設定値を調整するための調整部とを備える。上記調整部は、上記びびり振動が生じたことに基づいて、上記主軸の回転数の変動範囲を決定し、当該変動範囲内において上記主軸の回転数を変化させるとともに当該複数の回転数の各々について上記振動強度を取得し、当該複数の回転数の内、上記振動強度が上記主軸の回転数を変化させる前と比較して相対的に小さくなる回転数を上記設定値として用いる。
好ましくは、上記調整部は、上記変動範囲内で変化させた複数の回転数の内、上記振動強度が最小となる回転数を上記設定値として用いる。
好ましくは、上記調整部は、上記変動範囲内において上記主軸の回転数を所定値ずつ変化させるとともに各回転数について上記振動強度を順次取得し、値が隣り合う回転数について取得された振動強度の増加度合いが所定閾値を超えた時点で、上記主軸の回転数を変化させることを停止する。
好ましくは、上記算出部は、上記振動周波数をフーリエ変換することで周波数ごとの振動強度を算出し、当該算出された複数の振動強度の内で最大の振動強度を上記振動強度として算出する。
好ましくは、上記工具による上記ワークの切込み深さと上記主軸の回転数との切削条件の関係においてびびり振動が生じない切削条件の範囲を安定領域とした場合、上記工作機械は、上記安定領域内の切削条件の内、他の回転数よりも相対的に切込み深さを深くすることが可能な複数の回転数を特定するための特定部をさらに備える。上記変動範囲は、上記特定された複数の回転数の内の第1回転数と、当該複数の回転数の内で当該第1回転数に隣接する第2回転数との間に含まれる。
好ましくは、上記変動範囲は、上記第1回転数と、上記第1回転数および上記第2回転数の平均値との間に含まれる。
好ましくは、上記びびり振動の周波数をfcとし、上記工具の刃数をzとし、上記主軸の現在の回転数をNとし、60×fc/(z×N)の整数部分をkとした場合、上記変動範囲は、下記式(1)に示されるNの範囲に相当する。
Figure 0006735266
他の局面に従うと、工作機械による加工方法が提供される。上記工作機械は、ワークまたは工具を回転するための主軸と、上記主軸または上記工具の振動周波数を検知するためのセンサを備える。上記加工方法は、上記振動周波数に基づいて、上記主軸または上記工具に生じているびびり振動の振動強度を算出するステップと、上記主軸の回転数を制御するための設定値を調整するステップとを備える。上記調整するステップは、上記びびり振動が生じたことに基づいて、上記主軸の回転数の変動範囲を決定し、当該変動範囲内において上記主軸の回転数を変化させるとともに当該複数の回転数の各々について上記振動強度を取得し、当該複数の回転数の内、上記振動強度が上記主軸の回転数を変化させる前と比較して相対的に小さくなる回転数を上記設定値として用いるステップとを含む。
他の局面に従うと、工作機械で実行される加工プログラムが提供される。上記工作機械は、ワークまたは工具を回転するための主軸と、上記主軸または上記工具の振動周波数を検知するためのセンサを備える。上記加工プログラムは、上記工作機械に、上記振動周波数に基づいて、上記主軸または上記工具に生じているびびり振動の振動強度を算出するステップと、上記主軸の回転数を制御するための設定値を調整するステップとを実行させる。上記調整するステップは、上記びびり振動が生じたことに基づいて、上記主軸の回転数の変動範囲を決定し、当該変動範囲内において上記主軸の回転数を変化させるとともに当該複数の回転数の各々について上記振動強度を取得し、当該複数の回転数の内、上記振動強度が上記主軸の回転数を変化させる前と比較して相対的に小さくなる回転数を上記設定値として用いるステップとを含む。
ある局面において、強制びびり振動の振動強度を従来よりも抑制することができる。
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
実施の形態に従う工作機械の一例を示す図である。 強制びびり振動の抑制方法を説明するための図である。 実施の形態に従う工作機械の機能構成の一例を示す図である。 算出部による振動強度の算出処理を概略的に示す図である。 図2に示されるグラフG2における変動範囲ΔR付近を拡大した図である。 ワークWの切削態様の一例を示す図である。 図6に示される切削態様をZ方向から表わす図である。 主軸回転数の調整処理を表わすフローチャートである。 実施の形態に従う工作機械の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
[A.工作機械100の構成]
図1を参照して、工作機械100の構成について説明する。図1は、工作機械100の一例を示す図である。
図1には、マシニングセンタとしての工作機械100が示されている。以下では、マシニングセンタとしての工作機械100について説明するが、工作機械100は、マシニングセンタに限定されない。たとえば、工作機械100は、旋盤であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。また、工作機械100は、工具が鉛直方向に取り付けられる縦形のマシニングセンタであってもよいし、工具が水平方向に取り付けられる横形のマシニングセンタであってもよい。
図1に示されるように、工作機械100は、主要な構成として、ベッド12と、サドル18と、コラム21と、主軸頭41と、テーブル26とを有する。
ベッド12は、サドル18やコラム21などを搭載するためのベース部材であり、工場などの据え付け面に設置されている。
ベッド12には、コラム21が取り付けられている。コラム21は、ベッド12に固定されている。コラム21は、全体として、ベッド12の上面に立設される門形形状を有する。
より具体的には、コラム21は、その構成部位として、側部22(22s,22t)と、頂部23とを有する。側部22は、ベッド12の上面から鉛直上方向に立ち上がるように設けられている。側部22sおよび側部22tは、水平方向に平行なX軸方向に間隔を隔てて配置されている。頂部23は、X軸方向に沿って側部22sから側部22tまで延設されている。
なお、工作機械100の機械構成は、基本的には、X軸方向における中心に対して左右対称の構造を有している。本実施の形態において、参照番号に「s」および「t」が付された構成は、その左右対称に対応する一対の部品である。
ベッド12には、サドル18が取り付けられている。サドル18は、ベッド12に対して、X軸方向にスライド移動可能に設けられている。サドル18には、主軸頭41が取り付けられている。主軸頭41は、側部22s、頂部23、側部22tおよびベッド12に囲まれた空間を通って、テーブル26に向けて延出している。主軸頭41は、水平方向に平行であり、X軸方向に直交するZ軸方向にスライド移動可能に設けられている。
主軸頭41は、主軸42と、ハウジング43とを有する。主軸42は、ハウジング43の内部に配置され、Z軸方向に平行な中心軸AX1を中心に、モータ駆動により回転可能に設けられている。このとき、ハウジング43は回転しない。主軸42には、加工対象であるワークを加工するための工具が装着される。主軸42の回転に伴って、主軸42に装着された工具が中心軸AX1を中心に回転する。なお、工作機械100が旋盤である場合には、主軸42には、ワークが装着される。この場合、主軸42の回転に伴って、主軸42に装着されたワークが回転する。
ハウジング43には、工具32または主軸42の振動周波数を検知するための加速度センサ110が設けられている。好ましくは、複数の加速度センサ110がハウジング43に設けられ、各加速度センサ110は、工具32または主軸42の異なる方向(たとえば、X,Y,Z方向)の振動を検知する。なお、工具32または主軸42の振動周波数を検知するためのセンサは、加速度センサ110に限定されず、工具32または主軸42の振動周波数を検知することが可能な任意のセンサが用いられ得る。
ベッド12、サドル18および主軸頭41には、サドル18のX軸方向へのスライド移動および主軸頭41のZ軸方向へのスライド移動を可能とするための送り機構や案内機構、駆動源としてのサーボモータなどが適宜、設けられている。
コラム21には、テーブル26が取り付けられている。テーブル26は、コラム21に対して、鉛直方向に平行であり、X軸方向およびZ軸方向に直交するY軸方向にスライド移動可能に設けられている。
テーブル26は、ワークを固定するための装置であり、パレット27と、回転機構部29(29s,29t)とを有する。
パレット27は、金属製の台であり、各種のクランプ機構を用いてワークが取り付けられる。パレット27は、回転機構部29によって、X軸に平行な中心軸AX2を中心に旋回可能に設けられている(a軸旋回)。回転機構部29sおよび回転機構部29tは、X軸方向に間隔を隔てて配置されている。パレット27は、回転機構部29sおよび回転機構部29tの間に装着されている。パレット27は、さらに、パレット27の主面に直交する中心軸を中心に旋回可能に設けられてもよい(b軸旋回)。
コラム21およびテーブル26には、テーブル26のY軸方向へのスライド移動を可能とするための送り機構や案内機構、駆動源としてのサーボモータなどが適宜、設けられている。
サドル18のX軸方向へのスライド移動、主軸頭41のZ軸方向へのスライド移動およびテーブル26のY軸方向へのスライド移動が組み合わさって、主軸42に装着された工具によるワークの加工位置が3次元的に移動する。
工作機械100は、マガジン30と、自動工具交換装置(ATC:Automatic Tool Changer)36とをさらに有する。マガジン30は、主軸42に装着する交換用の工具32を収容するための装置である。自動工具交換装置36は、主軸42およびマガジン30の間で工具を交換するための装置である。
マガジン30は、マガジン本体部31と、柱部材14,16と、台部材33とを有する。
マガジン本体部31は、複数の工具保持部34と、スプロケット35とを有する。工具保持部34は、工具32を保持可能なように構成されている。複数の工具保持部34は、スプロケット35の周囲に環状に配列されている。スプロケット35は、モータ駆動により、Y軸に平行な中心軸AX3を中心に回転可能に設けられている。スプロケット35の回転に伴って、複数の工具保持部34が中心軸AX3を中心に回転移動する。
マガジン本体部31は、柱部材14,16と、台部材33とによって、ベッド12から鉛直上方向に距離を設けた位置に支持されている。
スプロケット35の回転に伴って、特定の工具32を保持する工具保持部34が機械前方の所定位置に割り出される。特定の工具32は、工具搬送装置(図示しない)によってZ軸方向に搬送され、工具交換位置まで移動する。自動工具交換装置36が有するダブルアーム37が旋回することにより、工具交換位置に搬送された特定の工具32と、主軸42に装着された工具とが交換される。主軸42に装着され得る工具32は、たとえば、エンドミルなどのフライスを含む。
[B.主軸回転数の調整処理]
工作機械100がワークを加工する際、工具32の刃先が微小に振動するびびり振動が生じることがある。びびり振動には、強制びびり振動と、再生びびり振動とがある。強制びびり振動は、工作機械100が振動源となり発生する振動であり、工具32や主軸42などの部品の振動周波数が当該部品の固有振動数に等しくなったときに生じる。再生びびり振動は、工具32の振動周波数と工具32によるワークの切込み深さとの関係が所定の条件を満たしたときに生じる振動である。
以下では、図2を参照して、強制びびり振動の抑制方法について説明する。図2は、強制びびり振動の抑制方法を説明するための図である。
図2(A)には、主軸42の回転数と、工具32によるワークWの切込み深さとの関係がグラフG1として示されている。グラフG1は、安定ローブ(安定限界線図)とも称される。以下では、主軸42の回転数を単に「主軸回転数」ともいう。なお、主軸42は、工具32と連動するため、主軸回転数は、工具32の回転数と同義である。
グラフG1の横軸は、主軸回転数を表わす。主軸回転数の単位は、たとえば、「rpm(Rotation Per Minute)」で表わされる。すなわち、主軸回転数は、単位時間当たりの回転数を表わす。グラフG1の縦軸は、工具32によるワークWの切込み深さを表わす。ここでいう切込み深さとは、主軸42の軸方向における工具32とワークWとの接触部分の長さのことをいう。
グラフG1には、境界線50が示されている。ワークの切込み深さが境界線50よりも小さい範囲は、再生びびり振動が生じにくい切削条件を表わす。当該範囲は、安定領域Aとして示されている。安定領域Aは、工具32によるワークWの切込み深さと主軸回転数との関係について再生びびり振動が生じない切削条件の範囲を表わす。ワークの切込み深さが境界線50よりも大きい範囲は、再生びびり振動が生じやすい切削条件を表わす。当該範囲は、不安定領域Bとして示されている。不安定領域Bは、工具32によるワークWの切込み深さと主軸回転数との関係につい再生びびり振動が生じる切削条件の範囲を表わす。
図2(B)には、主軸回転数と強制びびり振動の振動強度との関係がグラフG2として示されている。グラフG2は、主軸回転数が常に安定領域内となる切込み深さ「h」に設定された場合の主軸回転数と強制びびり振動の振動強度との関係を示す。グラフG2の横軸は、主軸回転数を表わす。主軸回転数の単位は、たとえば、rpmで表わされる。グラフG2の縦軸は、びびり振動の振動強度を表わす。びびり振動の振動強度の算出方法の詳細については後述する。
ワークWの切込み深さと主軸回転数との切削条件が安定領域A内に存在すれば再生びびり振動は生じない。しかしながら、ワークWの切込み深さと主軸回転数との切削条件が安定領域A内に存在したとしても、強制びびり振動が生じることがある。強制びびり振動は、主軸回転数を変えることで抑制され得るが、ワークWの切込み深さと主軸回転数との切削条件が不安定領域Bに入れば、今度は再生びびり振動が生じてしまう。そのため、工作機械100は、強制びびり振動と再生びびり振動との両方を抑制するように切削条件を変更する必要がある。強制びびり振動が生じているか否か、および、再生びびり振動が生じているか否かは、振動強度の大きさで判断され得る。したがって、工作機械100は、振動強度を可能な限り小さくなるように切削条件を設定すれば、強制びびり振動および再生びびり振動の種類に関係なくびびり振動を抑制することができる。
従来、強制びびり振動の振動強度は、切れ刃通過周波数の整数倍が固有振動数と一致する境界線50の山部分M1,M2において最大となり、山部分M1,M2の中間となる境界線50の谷部分V1において最小になると考えられていた。すなわち、主軸回転数が「r1」から「r10」に上昇するにつれて振動強度が小さくなり、主軸回転数が回転数「r10」から回転数「r20」に上昇するにつれて、振動強度が再び大きくなると考えられていた。
しかしながら、発明者らは、グラフG2に示されるように、主軸回転数が回転数「r1」から回転数「r10」に上昇する過程で振動強度が一様に小さくならず、主軸回転数が回転数「r10」から回転数「r20」に上昇する過程で振動強度が一様に大きくならないことを発見した。このような発見自体が新規であり、発明者らの功績と言える。
振動強度が主軸回転数に対して一様に変化しない理由の1つとして、工具32や主軸42など複数の部品がワークの加工に複合的に関与していることが挙げられる。これらの部品の固有振動数は異なるため、固有振動数は各箇所で異なる。そのため、振動強度が主軸回転数に対して一様に変化しないと考えられる。
本実施の形態に従う工作機械100は、主軸回転数に対して振動強度が一様に変化しない場合であっても、強制びびり振動の振動強度を抑制できるように主軸回転数を調整する。より具体的には、工作機械100は、強制びびり振動が生じたことに基づいて、主軸回転数の変動範囲ΔRを決定する。その後、工作機械100は、変動範囲ΔR内において主軸回転数を変化させるとともに各主軸回転数について振動強度を取得する。
以下では、変動範囲ΔRから選択された主軸回転数を「設定候補の主軸回転数」ともいう。図2には、設定候補の主軸回転数として、主軸回転数「r1」〜「r10」が示されている。
主軸回転数「r1」〜「r10」がそれぞれ設定された場合、振動強度は、それぞれ、「a1」〜「a10」となる。工作機械100は、設定候補の主軸回転数「r1」〜「r10」の内、振動強度が主軸回転数を変化させる前と比較して相対的に小さくなる主軸回転数を設定値として用いる。これにより、工作機械100は、振動強度が主軸回転数に対して一様に変化しない場合であっても、より確実に振動強度を抑制することができる。
好ましくは、工作機械100は、設定候補の主軸回転数「r1」〜「r10」の内、振動強度が最小となる主軸回転数「r8」を設定値として用いる。これにより、工作機械100は、びびり振動の振動強度を最小にすることができる。
なお、工作機械100は、主軸回転数の変化前よりも振動強度が小さくなる主軸回転数であれば、設定候補の主軸回転数「r1」〜「r10」の内の任意の主軸回転数を設定値として用い得る。すなわち、工作機械100は、必ずしも、振動強度が最小となる主軸回転数「r8」を設定値として用いる必要はない。たとえば、工作機械100は、設定候補の主軸回転数「r1」〜「r10」の内で、振動強度が2番目に小さい主軸回転数「r9」を設定値として用いてもよい。あるいは、工作機械100は、設定候補の主軸回転数「r1」〜「r10」の内、振動強度が変更前の主軸回転数よりも相対的に小さくなる所定数の主軸回転数を特定し、当該主軸所定数の平均値または中央値を設定値として用いてもよい。
[C.変動範囲ΔRの決定方法]
主軸回転数の変動範囲ΔRは、種々の方法で決定される。以下では、引き続き図2を参照して、変動範囲ΔRの決定方法の具体例1〜3について説明する。
(C1:変動範囲ΔRの決定方法の具体例1)
まず、変動範囲ΔRの決定方法の具体例1について説明する。
本具体例においては、工作機械100は、安定領域Aの山部分M1,M2における主軸回転数「r1」,「r20」に基づいて、主軸回転数の変動範囲ΔRを決定する。山部分M1,M2における主軸回転数「r1」,「r20」は、安定領域A内の切削条件の内、他の主軸回転数よりも相対的に切込み深さを深くすることが可能な主軸回転数に相当する。すなわち、主軸回転数「r1」,「r20」は、所定範囲内の主軸回転数の内で切込み深さを最大または略最大にすることができる主軸回転数に相当する。工作機械100は、このような山部分M1,M2における主軸回転数「r1」,「r20」に基づいて、主軸回転数の変動範囲ΔRを決定する。
一例として、山部分における主軸回転数は、下記式(2)に従って算出される。
Figure 0006735266
式(2)に示される「N」は、安定領域A内の山部分における主軸回転数に相当する。「fc」は、びびり振動の周波数を表わす。「z」は、切削工具の刃数を表わす。「k」は、びびり振動の次数と称される。次数は、工具32の第1の刃がワークに接触してから第2の刃がワークに接触するまでの間に工具32の振動によって生じる加工面の波数を表わす。上記式(2)は、Tobiasの式の変形例である。上記式(2)の「fc」を工具の固有振動数とし、「k」を自然数とした場合、上記式(2)は、Tobiasの式になる。上記式(2)に示される「k」は、下記式(3)で表される。
Figure 0006735266
式(3)に示される「n」は、現在の主軸回転数(変更前の主軸回転数)を表わす。式(3)に示される「[]」は、ガウス記号であり、括弧内の整数部分を抽出する。すなわち、式(3)においては、「60×fc/(n×z)」の整数部分が抽出される。
工作機械100は、上記式(3)に現在の主軸回転数を代入し、現在の主軸回転数に対応する次数「k」を算出する。その後、工作機械100は、算出した次数「k」を上記式(2)に代入し、主軸回転数「N」を算出する。当該主軸回転数「N」は、山部分M1における主軸回転数「r1」に相当する。
次に、工作機械100は、上記式(2)の「k」を「k−1」と置き換えた上で主軸回転数「N」を算出する。当該主軸回転数「N」は、山部分M20における主軸回転数「r20」に相当する。このとき、上記式(2)の「k」を「k+n」(n:整数)とすることで、山部分におけるさらに多くの主軸回転数が算出されてもよい。
工作機械100は、上記式(2),(3)に基づいて算出された主軸回転数「r1」(第1回転数)と主軸回転数「r20」との間に含まれるように変動範囲ΔRを決定する。すなわち、本具体例においては、主軸回転数「r1」,「r20」の間であれば、任意の変動範囲ΔRが採用され得る。工作機械100は、広範囲の変動範囲ΔR内で主軸回転数を変動させることで、振動強度を最小にできる主軸回転数を確実に発見することができる。
(C2:変動範囲ΔRの決定方法の具体例2)
次に、変動範囲ΔRの決定方法の具体例2について説明する。
本具体例においては、工作機械100は、安定領域Aの山部分M1における主軸回転数「r1」と、安定領域Aの谷部分V1における主軸回転数「r10」とに基づいて、主軸回転数の変動範囲ΔRを決定する。
山部分M1における主軸回転数「r1」は、安定領域A内の切削条件の内、他の主軸回転数よりも相対的に切込み深さを深くすることが可能な主軸回転数に相当する。すなわち、主軸回転数「r1」は、所定範囲内の主軸回転数の内で切込み深さを最大または略最大にすることができる主軸回転数に相当する。
谷部分V1における主軸回転数「r10」は、安定領域A内の切削条件の内、他の主軸回転数よりも切込み深さが相対的に浅くなる主軸回転数に相当する。すなわち、主軸回転数「r10」は、所定範囲内の主軸回転数の内で切込み深さが最小または略最小となる主軸回転数に相当する。
工作機械100は、このような山部分M1における主軸回転数「r1」と、谷部分V1における主軸回転数「r20」とに基づいて、主軸回転数の変動範囲ΔRを決定する。
山部分M1における主軸回転数「r1」は、上記式(2)、(3)に基づいて算出される。当該主軸回転数「r1」の算出方法については上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。
谷部分V1における主軸回転数「V1」は、たとえば、隣接する山部分における主軸回転数「r1」,「r20」に基づいて算出される。一例として、工作機械100は、主軸回転数「r1」,「r20」の平均値を谷部分V1における主軸回転数「r10」として算出する。
工作機械100は、山部分M1における主軸回転数「r1」と、谷部分V1における主軸回転数「r10」との間に含まれるように変動範囲ΔRを決定する。すなわち、工作機械100は、現在の主軸回転数に一番近い山部分における主軸回転数と、当該山部分に隣接する谷部分における主軸回転数との間になるように変動範囲ΔRを決定する。
このようにして決定された変動範囲ΔRには、振動強度が最小となる主軸回転数が含まれている可能性が高い。また、主軸回転数の探索範囲がより限定されることで、主軸回転数の探索時間が短縮される。工作機械100は、このようにして決定された変動範囲ΔR内で主軸回転数を変動させることで、振動強度を最小にできる主軸回転数を確実かつ早期に発見することができる。
(C3:変動範囲ΔRの決定方法の具体例3)
次に、変動範囲ΔRの決定方法の具体例3について説明する。
本具体例においては、工作機械100は、安定領域Aの山部分M1の両隣に位置する谷部分の主軸回転数の間になるように、主軸回転数の変動範囲ΔRを決定する。上述の「変動範囲ΔRの決定方法の具体例2」では、谷部分における主軸回転数が山部分M1,M2における主軸回転数「r1」,「r20」の平均値となるように算出される例について説明を行ったが、本具体例では、谷部分における主軸回転数は、上記式(2),(3)に基づいて算出される。
より具体的には、工作機械100は、上記式(2)の「k」を「k+0.5」に置き換えて算出される主軸回転数を下限値とし、上記式(2)の「k」を「k−0.5」に置き換えて算出される主軸回転数を上限値として、変動範囲ΔRを決定する。すなわち、下記式(4)に示される「N」の範囲は、変動範囲ΔRに相当する。
Figure 0006735266
上記式(4)に示される「N」、「fc」、「z」、「k」については上記式(2)で説明した通りであるので、それらの説明については繰り返さない。
工作機械100は、上記式(4)を用いることで、谷部分の主軸回転数を容易に算出することができる。このようにして決定された変動範囲ΔRには、振動強度が最小となる主軸回転数が含まれている可能性が高い。工作機械100は、このようにして決定された変動範囲ΔR内で主軸回転数を変動させることで、振動強度を最小にできる主軸回転数を確実に発見することができる。
[D.工作機械100の機能構成]
図3〜図7を参照して、工作機械100の機能について説明する。図3は、工作機械100の機能構成の一例を示す図である。
工作機械100は、主要なハードウェア構成として、制御装置101と、記憶装置120とを含む。制御装置101は、たとえば、NC(Numerical Control)プログラムを実行するためのNC制御装置である。NC制御装置は、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
図3に示されるように、制御装置101は、工作機械100に生じているびびり振動の振動強度を算出するための算出部140と、主軸回転数を調整するための調整部150と、主軸42を駆動するモータへの制御指令値を出力するための出力部160とを含む。
以下では、算出部140、調整部150、および出力部160の機能の詳細について順に説明する。
(D1.算出部140)
まず、図4を参照して、算出部140の機能について説明する。図4は、算出部140による振動強度の算出処理を概略的に示す図である。
算出部140は、FFT(Fast Fourier Transform)部142と、抽出部144とを含む。FFT部142は、ワークの加工中において加速度センサ110(図1参照)によって検知される加速度を所定のサンプリングレートでサンプリングし、当該サンプリング結果をフーリエ変換する。典型的には、FFT部142は、工具32がワークWに接触している間において加速度をサンプリングする。図4には、サンプリング結果の一例として、振動周波数70Aが示されている。
FFT部142は、振動周波数70Aを高速フーリエ変換することで振動周波数70Aを周波数分解し、周波数ごとの振動強度を算出する。図4には、フーリエ変換の結果の一例として、スペクトル70Bが示されている。スペクトル70Bの横軸は、周波数を表わす。スペクトル70Bの縦軸は、振動強度を表わす。当該振動強度は、振幅の大きさを示す。
抽出部144は、スペクトル70Bに示される各周波数についての振動強度の内で、最大の振動強度を工具32または主軸42の振動強度として抽出する。図4の例では、周波数「f」における振動強度が工具32または主軸42の振動強度として抽出される。算出された振動強度は、調整部150に順次出力される。
なお、上述では、一方向における加速度の検知結果から振動強度が算出される例について説明を行ったが、複数方向(たとえば、図1に示されるX〜Z方向)における加速度の検知結果から振動強度が算出されてもよい。この場合、各方向について検知された振動強度の最大値が振動強度として採用される。あるいは、各方向について検知された振動強度の平均値が振動強度として算出される。
(D2.調整部150)
次に、図5を参照して、調整部150の機能について説明する。図5は、図2に示されるグラフG2における変動範囲ΔR付近を拡大した図である。
調整部150は、変更部152と、設定部154とを含む。変更部152は、強制びびり振動が発生したことに基づいて、主軸回転数の変動範囲ΔRを決定する。変動範囲ΔRの決定方法については上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。変更部152は、決定した変動範囲ΔR内で主軸回転数の設定値124を所定値ずつ上昇させる。図5の例では、変更部152は、主軸回転数「r1」から主軸回転数「r10」まで順に設定値124を変更している。その結果、主軸42の振動強度は、「a1」〜「a10」の順に変化したとする。
このとき、調整部150は、安定領域Aに収まるようにワークWの切込み深さを順次変えてもよいし、現在設定されている切込み深さを維持してもよい。調整部150は、現在設定されている切込み深さを維持する場合、安定領域Aに収まる範囲内で主軸回転数を順次変える。異なる言い方をすれば、調整部150は、不安定領域Bにおける切削条件を採用しないように、主軸回転数を順次変える。
変更部152は、値が隣り合う主軸回転数について取得された振動強度の増加度合いが所定閾値を超えた時点で、主軸回転数を変化させることを停止する。主軸42の振動強度が所定閾値よりも大きくなった場合には、その後に主軸回転数が変更されたとしても振動強度がさらに大きくなり、工具、工作機械、ワークへのダメージが増大する危険があるためである。また、主軸42の振動強度が所定閾値よりも大きくなった場合には、その後に主軸回転数が変更されたとしても振動強度が下がる可能性が低い。図5の例では、主軸回転数が「r9」から「r10」に変更されたときに、振動強度は「a9」から「a10」に増加している。値が隣り合う主軸回転数「r9」,「r10」について取得された振動強度「a9」,「a10」の増加度合いが所定閾値を超えている場合には、変更部152は、主軸回転数を変化させることを停止する。変更部152は、主軸回転数の変更を途中で止めることで、主軸回転数の調整処理に要する時間を短縮でき、かつ振動強度の増大を未然に防ぐことができる。
設定部154は、変動範囲ΔR内において変更された主軸回転数「r1」〜「r10」の内、振動強度が主軸回転数の変更前よりも相対的に小さくなる主軸回転数を設定値124として用いる。このとき、設定部154は、振動強度が主軸回転数の変更前よりも小さくなる主軸回転数であれば、主軸回転数「r1」〜「r10」の内から任意の主軸回転数を採用し得る。ある局面において、図5に示されるように、設定部154は、主軸回転数「r1」〜「r10」の内、振動強度が最小となる主軸回転数「r8」を設定値124として用いる。これにより、工作機械100は、強制びびり振動の振動強度を最小にすることができる。
(D3.出力部160)
出力部160は、現在の設定値124に従って、後述のサーボドライバ106(図9参照)に対する制御指令値を生成する。当該制御指令値は、たとえば、回転速度や目標位置などを含む。サーボドライバ106は、出力部160からの制御指令値を受け付けたことに基づいて、主軸42を駆動するサーボモータ107(図9参照)を制御する。出力部160から、逐次的に制御指令値が出力されることで、ワークが加工される。
図6は、ワークWの切削態様の一例を示す図である。図7は、図6に示される切削態様をZ方向から表わす図である。
図6および図7には、エンドミルとしての工具32が示されている。工具32は、その側面に複数の刃を有し、回転しながらワークWに接触することでワークWを切削する。図6および図7の例では、工具32は、出力部160からの制御指令値に従って予め定められた加工経路Lに沿ってワークWを繰り返し切削している。
より具体的には、工具32は、切削幅Apの1段目の切削部分を切削幅Aeごとに順次切削する。次に、工具32は、切削幅Apの2段目の切削部分を切削幅Aeごとに順次切削する。次に、切削幅Apの3段目の切削部分を切削幅Aeごとに順次切削する。次に、切削幅Apの4段目の切削部分を切削幅Aeごとに順次切削する。このように、工具32は、予め定められた加工経路Lに沿って等分の切削幅Ae,ApでワークWを順次切削することでワークWを任意の形状に加工する。
[E.工作機械100の制御構造]
図8を参照して、工作機械100の制御構造について説明する。図8は、主軸回転数の調整処理を表わすフローチャートである。図8の処理は、工作機械100の制御装置101がプログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
ステップS110において、制御装置101は、上述の算出部140(図3参照)として、工作機械100に強制びびり振動が発生しているか否かを判断する。より具体的には、制御装置101は、加速度センサ110(図1参照)による出力値に基づいて、現在の振動強度を算出する。振動強度の算出方法については図4で説明した通りであるので、その説明については繰り返さない。制御装置101は、現在の振動強度が所定閾値を超えている場合に、強制びびり振動が発生していると判断する。制御装置101は、強制びびり振動が発生していると判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS112に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御装置101は、図8に示される処理を終了する。
ステップS112において、制御装置101は、上述の調整部150(図3参照)として、主軸回転数の変動範囲ΔR(図2参照)を決定する。変動範囲ΔRの決定方法については上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。
ステップS120において、制御装置101は、上述の調整部150として、主軸回転数を現在値よりも所定値増加させる。主軸回転数の増加量は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。
ステップS122において、制御装置101は、上述の算出部140として、ステップS120での変更後の主軸回転数において、加速度センサ110(図1参照)からの出力信号を所定のサンプリングレートでサンプリングし、当該サンプリング結果を振動周波数として取得する。
ステップS124において、制御装置101は、上述の算出部140として、ステップS122で取得した振動周波数に基づいて、振動強度を算出する。振動強度の算出方法については図4で説明した通りであるので、その説明については繰り返さない。
ステップS126において、制御装置101は、上述の算出部140として、ステップS120での変更後の主軸回転数と、ステップS124で算出された振動強度とを対応付けた上で、これらの対応関係を後述の検知情報123(図9参照)に書き込む。
ステップS130において、制御装置101は、上述の調整部150として、主軸回転数の変更を終了するか否かを判断する。一例として、制御装置101は、次にステップS120で主軸回転数を所定値増加させた場合において、当該増加後の主軸回転数が変動範囲ΔRを超えるときには、主軸回転数の変更を終了すると判断する。また、制御装置101は、ステップS124で前回に算出された振動強度から、ステップS124で今回に算出された振動強度への増加度合いが所定閾値を超えている場合には、主軸回転数の変更を終了すると判断する。制御装置101は、主軸回転数の変更を終了すると判断した場合(ステップS130においてYES)、制御をステップS132に切り替える。そうでない場合には(ステップS130においてNO)、制御装置101は、制御をステップS120に戻す。
ステップS132において、制御装置101は、上述の調整部150として、ステップS126で検知情報123に記憶された主軸回転数と振動強度との組み合わせの内から、振動強度が相対的に小さくなる主軸回転数を設定値として用いる。好ましくは、制御装置101は、検知情報123に示される主軸回転数の内から、振動強度が最小となる主軸回転数を設定値として用いる。
[F.工作機械100のハードウェア構成]
図9を参照して、工作機械100のハードウェア構成の一例について説明する。図9は、工作機械100の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
工作機械100は、主軸42と、制御装置101と、ROM102と、RAM103と、通信インターフェイス104と、表示インターフェイス105と、サーボドライバ106と、サーボモータ107と、入力インターフェイス109と、加速度センサ110と、記憶装置120とを含む。
制御装置101は、工作機械100の加工プログラム122(NCプログラム)などの各種プログラムを実行することで工作機械100の動作を制御する。制御装置101は、加工プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120またはROM102からRAM103に加工プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、加工プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
通信インターフェイス104には、LANやアンテナなどが接続される。工作機械100は、通信インターフェイス104を介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、サーバーや、その他の通信端末などを含む。工作機械100は、当該通信端末から加工プログラム122をダウンロードできるように構成されてもよい。
表示インターフェイス105は、ディスプレイ130と接続され、制御装置101などからの指令に従って、ディスプレイ130に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ130は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはその他の表示機器である。
サーボドライバ106は、制御装置101から目標回転数の入力を受け、主軸42が目標回転数で回転するようにサーボモータ107を制御する。より具体的には、サーボドライバ106は、サーボモータ107のエンコーダ(図示しない)の出力信号から主軸42の回転数を算出し、当該回転数が目標回転数よりも小さい場合にはサーボモータ107の回転数を上げ、当該回転数が目標回転数よりも大きい場合にはサーボモータ107の回転数を下げる。このように、サーボドライバ106は、主軸42の回転数のフィードバックを逐次的に受けながら主軸42の回転数を目標回転数に近付ける。
入力インターフェイス109は、入力デバイス131に接続され得る。入力デバイス131は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置120は、本実施の形態に従う加工プログラム122、主軸回転数に対する振動強度の検知結果を格納するための検知情報123、加工プログラム122で参照される設定値124(たとえば、主軸回転数)などを格納する。加工プログラム122、検知情報123、および設定値124の格納場所は、記憶装置120に限定されず、制御装置101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
加工プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う加工プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、加工プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが加工プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で工作機械100が構成されてもよい。
[G.まとめ]
以上のようにして、工作機械100は、強制びびり振動が発生した場合に、主軸回転数の変動範囲ΔRを決定し、変動範囲ΔR内で主軸回転数を所定値ずつ上昇させるとともに、各主軸回転数での振動強度を算出する。このとき、工作機械100は、各主軸回転数に対応付けて各主軸回転数での振動強度を記憶しておく。その後、工作機械100は、記憶された主軸回転数の内から、振動強度が最小となる主軸回転数を設定値として用いる。これにより、工作機械100は、振動強度が主軸回転数に対して一様に変化しない場合であっても、より確実に振動強度を抑制することができる。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
12 ベッド、14,16 柱部材、18 サドル、21 コラム、22,22s,22t 側部、23 頂部、26 テーブル、27 パレット、29,29s,29t 回転機構部、30 マガジン、31 マガジン本体部、32 工具、33 台部材、34 工具保持部、35 スプロケット、36 自動工具交換装置、37 ダブルアーム、41 主軸頭、42 主軸、43 ハウジング、50 境界線、70A 振動周波数、70B スペクトル、100 工作機械、101 制御装置、102 ROM、103 RAM、104 通信インターフェイス、105 表示インターフェイス、106 サーボドライバ、107 サーボモータ、109 入力インターフェイス、110 加速度センサ、120 記憶装置、122 加工プログラム、123 検知情報、124 設定値、130 ディスプレイ、131 入力デバイス、140 算出部、142 FFT部、144 抽出部、150 調整部、152 変更部、154 設定部、160 出力部。

Claims (8)

  1. ワークまたは工具を回転するための主軸と、
    前記主軸または前記工具の振動周波数を検知するためのセンサと、
    前記振動周波数に基づいて、前記主軸または前記工具に生じているびびり振動の振動強度を算出するための算出部と、
    前記主軸の回転数を制御するための設定値を調整するための調整部とを備え、
    前記調整部は、前記びびり振動が生じたことに基づいて、前記主軸の回転数の変動範囲を決定し、当該変動範囲内において前記主軸の回転数を変化させるとともに当該複数の回転数の各々について前記振動強度を取得し、当該複数の回転数の内、前記振動強度が前記主軸の回転数を変化させる前と比較して相対的に小さくなる回転数を前記設定値として用い
    前記工具による前記ワークの切込み深さと前記主軸の回転数との切削条件の関係においてびびり振動が生じない切削条件の範囲を安定領域とした場合、当該安定領域内の切削条件の内、他の回転数よりも相対的に切込み深さを深くすることが可能な複数の回転数を特定するための特定部をさらに備え、
    前記変動範囲は、前記特定された複数の回転数の内の第1回転数と、当該複数の回転数の内で当該第1回転数に隣接する第2回転数との間に含まれる、工作機械。
  2. 前記調整部は、前記変動範囲内で変化させた複数の回転数の内、前記振動強度が最小となる回転数を前記設定値として用いる、請求項1に記載の工作機械。
  3. 前記調整部は、前記変動範囲内において前記主軸の回転数を所定値ずつ変化させるとともに各回転数について前記振動強度を順次取得し、値が隣り合う回転数について取得された振動強度の増加度合いが所定閾値を超えた時点で、前記主軸の回転数を変化させることを停止する、請求項1または2に記載の工作機械。
  4. 前記算出部は、前記振動周波数をフーリエ変換することで周波数ごとの振動強度を算出し、当該算出された複数の振動強度の内で最大の振動強度を前記振動強度として算出する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の工作機械。
  5. 前記変動範囲は、前記第1回転数と、前記第1回転数および前記第2回転数の平均値との間に含まれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の工作機械。
  6. ワークまたは工具を回転するための主軸と、
    前記主軸または前記工具の振動周波数を検知するためのセンサと、
    前記振動周波数に基づいて、前記主軸または前記工具に生じているびびり振動の振動強度を算出するための算出部と、
    前記主軸の回転数を制御するための設定値を調整するための調整部とを備え、
    前記調整部は、前記びびり振動が生じたことに基づいて、前記主軸の回転数の変動範囲を決定し、当該変動範囲内において前記主軸の回転数を変化させるとともに当該複数の回転数の各々について前記振動強度を取得し、当該複数の回転数の内、前記振動強度が前記主軸の回転数を変化させる前と比較して相対的に小さくなる回転数を前記設定値として用い、
    前記びびり振動の周波数をfcとし、前記工具の刃数をzとし、前記主軸の現在の回転数をNとし、60×fc/(z×N)の整数部分をkとした場合、前記変動範囲は、下記式(1)に示されるNの範囲に相当する、
    Figure 0006735266

    工作機械。
  7. 工作機械による加工方法であって、
    前記工作機械は、
    ワークまたは工具を回転するための主軸と、
    前記主軸または前記工具の振動周波数を検知するためのセンサを備え、
    前記加工方法は、
    前記振動周波数に基づいて、前記主軸または前記工具に生じているびびり振動の振動強度を算出するステップと、
    前記主軸の回転数を制御するための設定値を調整するステップとを備え、
    前記調整するステップは、前記びびり振動が生じたことに基づいて、前記主軸の回転数の変動範囲を決定し、当該変動範囲内において前記主軸の回転数を変化させるとともに当該複数の回転数の各々について前記振動強度を取得し、当該複数の回転数の内、前記振動強度が前記主軸の回転数を変化させる前と比較して相対的に小さくなる回転数を前記設定値として用いるステップ
    前記加工方法は、さらに、前記工具による前記ワークの切込み深さと前記主軸の回転数との切削条件の関係においてびびり振動が生じない切削条件の範囲を安定領域とした場合、当該安定領域内の切削条件の内、他の回転数よりも相対的に切込み深さを深くすることが可能な複数の回転数を特定するステップを備え、
    前記変動範囲は、前記特定するステップで特定された複数の回転数の内の第1回転数と、当該複数の回転数の内で当該第1回転数に隣接する第2回転数との間に含まれる、加工方法。
  8. 工作機械で実行される加工プログラムであって、
    前記工作機械は、
    ワークまたは工具を回転するための主軸と、
    前記主軸または前記工具の振動周波数を検知するためのセンサを備え、
    前記加工プログラムは、前記工作機械に、
    前記振動周波数に基づいて、前記主軸または前記工具に生じているびびり振動の振動強度を算出するステップと、
    前記主軸の回転数を制御するための設定値を調整するステップとを実行させ、
    前記調整するステップは、前記びびり振動が生じたことに基づいて、前記主軸の回転数の変動範囲を決定し、当該変動範囲内において前記主軸の回転数を変化させるとともに当該複数の回転数の各々について前記振動強度を取得し、当該複数の回転数の内、前記振動強度が前記主軸の回転数を変化させる前と比較して相対的に小さくなる回転数を前記設定値として用いるステップ
    前記加工プログラムは、前記工作機械に、さらに、前記工具による前記ワークの切込み深さと前記主軸の回転数との切削条件の関係においてびびり振動が生じない切削条件の範囲を安定領域とした場合、当該安定領域内の切削条件の内、他の回転数よりも相対的に切込み深さを深くすることが可能な複数の回転数を特定するステップを実行させ、
    前記変動範囲は、前記特定するステップで特定された複数の回転数の内の第1回転数と、当該複数の回転数の内で当該第1回転数に隣接する第2回転数との間に含まれる、加工プログラム。
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