JP6730496B2 - エレクトレット部品および発電装置 - Google Patents

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Description

この発明は、時計における機械部品を構成する時計部品および時計部品の製造方法に関する。
従来、機械式時計においては、ひげぜんまいとテン輪(テン真付)とによって構成され、駆動機構(ムーブメント)を規則正しく一定の速度を保って動作させる調速機(テンプ)が用いられている。テン輪は、規則正しく一定の速度を保つ、いわゆる等時性のあるひげぜんまいの伸縮により、規則正しく往復回転運動をおこなう。テンプには、ガンギ車とアンクルとによって構成される脱進機が連結されており、ひげぜんまいからのエネルギーが伝達されることによって、動作(振動)を持続する。
一般に、ひげぜんまいは、金属を加工することによって形成されるひげぜんまいが広く知られている。金属を加工することによって形成されるひげぜんまいは、加工精度のばらつきや、金属が有する内部応力の影響などによって、設計通りの形状が得られない場合があった。規則的にテンプを振動させる必要があるひげぜんまいが、設計通りの形状が得られない場合、テン輪も等時性のある運動ができなくなる。この場合、一日あたりの時計の進みまたは遅れの程度を示す、いわゆる時計の歩度にずれが生じてしまう。
近年、シリコン基板をエッチング加工することによって時計部品を製造する試みがなされている。シリコン基板をエッチング加工することによって形成される時計部品は、従来の金属部品を用いて形成される時計部品に比べて軽量化できる。また、シリコン基板をエッチング加工することによって形成される時計部品は、精度よく大量生産ができる。このため、シリコン基板をエッチング加工することによって形成される時計部品を用いることにより、小型で軽量の時計の製造が期待されている。
シリコン基板のエッチングに際しては、ドライエッチング技術である反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)技術を用いることができる。このRIE技術は、近年において進歩しており、RIE技術の中でも、深掘りRIE(Deep RIE)技術が開発され、アスペクト比が高いエッチングができる。RIE技術を用いてシリコン基板をエッチングすることにより、エッチングがフォトレジストなどでマスクした部分の下に回り込まず、垂直深さ方向においてマスクパターンを忠実に再現でき、時計部品を設計通りの形状で精度よく製造することができる。
シリコンを用いて形成された時計部品は、金属よりも温度特性がよく、金属を用いて形成された従来のひげぜんまいよりも環境温度に対して変形しにくい。このため、時計の調速機構を構成する時計部品にRIE技術などのドライエッチング技術を応用することが考えられている。一方で、シリコンは脆性材料であるため、シリコンを用いて形成された時計部品は、時計が大きな衝撃を受けたときに破損してしまう恐れがある。
このような不具合を解消するため、従来、たとえば、ひげぜんまいを平面視したときの一平面であるぜんまい部の上面に開口部を設けてひげぜんまいの質量を減少させることにより、開口部のないひげぜんまいと同等の剛性を維持しつつ衝撃による影響を受け難くするようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
特開2012−21984号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載された従来の技術は、開口部を設けることにより開口部の部分が薄くなるため、開口部周辺の強度が不足して、時計に大きな衝撃が加わった場合に、ひげぜんまいが破損してしまうことがあるという問題があった。具体的に、たとえば、ひげぜんまいの大きさは、当該ひげぜんまいが組み込まれる時計のサイズなどに応じて異なり、一般的な腕時計の場合、直径が5mm〜8mm程度のひげぜんまいが用いられる。
このような直径のひげぜんまいにおいては、ぜんまい部を構成する部分の上面の幅は数十μmとなり、上述した特許文献1に記載された従来の技術は、このように薄い部分に開口部を設けることにより、却ってぜんまい部が破損し易くなってしまうという問題があった。このようなひげぜんまいの破損は、具体的には、たとえば、時計に大きな衝撃が加わった場合に、隣り合うコイル形状のぜんまい部が接触することによって生じる。
また、シリコンのような脆性材料を用いて形成されたひげぜんまいに対して、何らかの衝撃が加わった場合、当該ひげぜんまいの角部に応力が集中する。このため、時計に大きな衝撃が加わった場合、当該衝撃の影響によって、ひげぜんまいの角部に欠けやひび割れが生じてしまう。ひげぜんまいが破損したり、一部が欠けたりすると、テン輪が規則正しい往復回転運動をおこなうことができず、時計として機能しなくなってしまう。また、破損したひげぜんまいの破片が飛び散って駆動機構に入り込んだ場合、時計そのものに致命的な障害を起こす恐れがあるという問題があった。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、製造にかかる精度が高く、軽量化を図ることができ、かつ、外部から衝撃が加えられた場合にも破壊し難く高い強度を発揮することができる時計部品および時計部品の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる時計部品は、時計を構成する時計部品であって、非導電性の第1の材料を主成分として形成された母材と、前記母材の表面の少なくとも一部に設けられた中間膜と、前記中間膜に積層され、前記第1の材料よりも粘靱性の高い第2の材料を主成分とする緩衝膜と、を備えたことを特徴とする。
また、この発明にかかる時計部品の製造方法は、非導電性の第1の材料を主成分として形成された基板をエッチングして時計部品の形状をなす母材を形成する工程と、前記母材の表面の少なくとも一部に中間膜を形成する工程と、前記中間膜に、前記第1の材料よりも粘靱性の高い第2の材料を主成分とする材料を積層して緩衝膜を形成する工程と、を含んだことを特徴とする。
また、この発明にかかるエレクトレット部品は、第1の材料を主成分として形成された母材の表面に、複数の帯電体が設けられたエレクトレット部品であって、前記母材の表面の帯電体が設けられた部分以外の位置に、中間膜と、前記中間膜に積層され、前記第1の材料よりも粘靱性の高い第2の材料を主成分とする緩衝膜と、を備えたことを特徴とする。
また、この発明にかかるエレクトレット部品は、上記の発明において、前記母材の、前記複数の帯電体の間に開口が設けられていることを特徴とする。
また、この発明にかかるエレクトレット部品は、上記の発明において、前記母材は円板形状であり、前記母材が、軸が嵌合される軸穴を備え、前記軸穴の内周面に、前記中間膜と、前記緩衝膜と、を備えたことを特徴とする。
また、この発明にかかるエレクトレット部品は、上記の発明において、前記第1の材料が、シリコンであることを特徴とする。
また、この発明にかかるエレクトレット部品は、上記の発明において、前記第2の材料が、樹脂であることを特徴とする。
また、この発明にかかるエレクトレット部品は、上記の発明において、前記中間膜の材料が、金属であることを特徴とする。
また、この発明にかかるエレクトレット部品は、上記の発明において、前記金属が、銅、金またはニッケルであることを特徴とする。
また、この発明にかかる発電装置は、上記の発明のエレクトレット部品を用いることを特徴とする。
この発明にかかる時計部品および時計部品の製造方法によれば、製造にかかる精度が高く、軽量化を図ることができ、かつ、外部から衝撃が加えられた場合にも破壊し難く高い強度を発揮することができるという効果を奏する。
図1は、機械式時計の駆動機構を示す説明図である。 図2は、この発明にかかる実施の形態1のひげぜんまいの構造を示す説明図である。 図3は、図2におけるA−A’断面を示す説明図である。 図4は、この発明にかかる実施の形態1のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その1)である。 図5は、この発明にかかる実施の形態1のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その2)である。 図6は、この発明にかかる実施の形態1のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その3)である。 図7は、この発明にかかる実施の形態1のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その4)である。 図8は、この発明にかかる実施の形態1のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その5)である。 図9は、この発明にかかる実施の形態1のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その6)である。 図10は、この発明にかかる実施の形態2のひげぜんまいの構造を示す説明図である。 図11は、図10におけるB−B’断面を示す説明図である。 図12は、この発明にかかる実施の形態2のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その1)である。 図13は、この発明にかかる実施の形態2のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その2)である。 図14は、この発明にかかる実施の形態3のひげぜんまいの構造を示す説明図である。 図15は、図14におけるC−C’断面を示す説明図である。 図16は、この発明にかかる実施の形態3のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その1)である。 図17は、この発明にかかる実施の形態3のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その2)である。 図18は、この発明にかかる実施の形態3のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その3)である。 図19は、この発明にかかる実施の形態3のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その4)である。 図20は、この発明にかかる実施の形態3のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その5)である。 図21は、この発明にかかる実施の形態3のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その6)である。 図22は、この発明にかかる実施の形態3のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その7)である。 図23は、この発明にかかる実施の形態3のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その8)である。 図24は、この発明にかかる実施の形態3のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その9)である。 図25は、この発明にかかる実施の形態3のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その10)である。 図26は、この発明にかかる実施の形態3のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その11)である。 図27は、この発明にかかる実施の形態4のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その1)である。 図28は、この発明にかかる実施の形態4のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その2)である。 図29は、この発明にかかる実施の形態4のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その3)である。 図30は、この発明にかかる実施の形態4のひげぜんまいの製造方法を示す説明図(その4)である。 図31は、実施の形態5のアンクルの構造を示す説明図である。 図32は、図31におけるD−D’断面を示す説明図である。 図33は、実施の形態6の歯車の構造を示す説明図である。 図34は、この発明にかかる実施の形態6のエレクトレットを示す説明図(その1)である。 図35は、この発明にかかる実施の形態6のエレクトレットを示す説明図(その2)である。 図36は、機械式時計における駆動機構の一部を示す説明図(その1)である。 図37は、機械式時計における駆動機構の一部を示す説明図(その2)である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる時計部品および当該時計部品の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
<実施の形態1>
(機械式時計の駆動機構)
まず、この発明にかかる実施の形態1の製造方法によって製造される、この発明にかかる実施の形態1の時計部品が組み込まれる時計の駆動機構として、機械式時計の駆動機構について説明する。図1は、機械式時計の駆動機構を示す説明図である。図1においては、この発明にかかる実施の形態1の製造方法によって製造される、この発明にかかる実施の形態1の時計部品が組み込まれる機械式時計の駆動機構を示している。
図1において、この発明にかかる実施の形態1の製造方法によって製造される時計部品が組み込まれる機械式時計の駆動機構101は、香箱102、脱進機103、調速機構(テンプ)104、輪列(駆動輪列)105などを備えている。香箱102は、薄い円筒形状をなす箱の内側に、図示を省略する動力ぜんまいを収容している。香箱102の外周部の香箱車と呼ばれる歯車が設けてあり、輪列105を構成する番車と噛み合っている。
動力ぜんまいは、巻回された状態の長尺状の金属薄板であって、香箱102の中に収容されている。動力ぜんまいの中心の端部(巻回された状態において内周側に位置する端部)は、香箱102の中心軸(香箱真)に取り付けられている。動力ぜんまいの外側の端部(巻回された状態において外周側に位置する端部)は、香箱102の内面に取り付けられている。
脱進機103は、ガンギ車106およびアンクル107によって構成される。ガンギ車106は、カギ型の歯を備えた歯車であって、ガンギ車106の歯はアンクル107に噛み合う。アンクル107は、ガンギ車106の歯に噛み合うことによってガンギ車106の回転運動を往復運動に変換する。
テンプ104は、ひげぜんまい108やテン輪109などによって構成される。ひげぜんまい108とテン輪109とは、テン輪109の中心に設けられたテン芯109aによって連結されている。ひげぜんまい108は、巻回された状態の長尺状の部材であって、渦巻き形状をなしている(図2を参照)。ひげぜんまい108は、機械式時計に組み込まれて駆動機構101を構成した状態において、優れた等時性を示すように設計されている。
テンプ104は、ひげぜんまい108のバネ力による伸縮によって、規則正しく往復運動をおこなうことができる。テン輪109は、リング形状をなし、アンクル107からの反復運動を調節・制御して、一定速度の振動を保つ。テン輪109は、テン輪109がなすリング形状の内側には、テン芯109aから放射状に延設するアームが設けられている。
輪列105は、香箱102からガンギ車106の間に設けられて、それぞれが噛み合わされた複数の歯車によって構成される。具体的には、輪列105は、二番車110、三番車111、四番車112などによって構成される。香箱102の香箱車は、二番車110と噛み合っている。四番車112には秒針113が装着され、二番車110には分針114が装着されている。図1においては、時針や各歯車を支持する地板などは図示を省略する。
駆動機構101においては、動力ぜんまいの中心は逆回転できないように香箱102の中心(香箱真)に固定されており、動力ぜんまいの外側の端部は香箱の内周面に固定されているため、香箱102の中心(香箱真)に巻き付けられた動力ぜんまいが元に戻ろうとすると、巻き上げられた方向と同じ方向にほどけようとする動力ぜんまいの外側の端部に付勢されて、香箱102が巻き上げられたぜんまいがほどける方向と同じ方向に回転する。香箱102の回転は、二番車110、三番車111、四番車112に順次伝達され、四番車112からガンギ車106に伝達される。
ガンギ車106にはアンクル107が噛み合っているため、ガンギ車106が回転すると、ガンギ車106の歯(衝撃面)がアンクル107の入り爪を押し上げ、これによってアンクル107におけるテンプ104側の先端がテンプ104を回転させる。テンプ104が回転すると、アンクル107の出爪が即座にガンギ車106を停止させる。テンプ104がひげぜんまい108の力で逆回転すると、アンクル107の入り爪が解除され、ガンギ車106が再び回転する。
このように、調速機構104は、等時性のあるひげぜんまい108の伸縮によってテンプ104に規則正しい往復回転運動を繰り返させ、脱進機103は、テンプ104に対して往復運動するための力を与え続けるとともに、テンプ104からの規則正しい振動によって輪列105における各歯車を一定速度で回転させる。ガンギ車106、アンクル107、テンプ104は、テンプ104の往復運動を回転運動に変換する調速機構を構成する。
(ひげぜんまい108の構造)
図2は、この発明にかかる実施の形態1のひげぜんまい108の構造を示す説明図である。図2においては、実施の形態1のひげぜんまい108を図1における矢印X方向から見た平面図を示している。より具体的には、図2においては、ひげぜんまい108を、輪列105を構成する歯車110〜112などの回転軸体の軸方向から平面視した状態を示している。以降、実施の形態1のひげぜんまい108に、符号108aを付して説明する。
図2において、ひげぜんまい108aは、ひげ玉3と、ぜんまい部2と、ひげ持4と、から構成されている。ひげ玉3は、中心部に、回転軸体であるテン真と嵌合するための貫通孔31を有するひげ玉3を備えている。ぜんまい部2は、ひげ玉3の貫通孔31を中心にして、ひげ玉3に巻回されるように設計されたコイル形状をなしている。ひげ持4は、ぜんまい部2の巻き終わりと接続している。ぜんまい部2は、巻き始め部分において、接続部32を介してひげ玉3と接続している。
図3は、図2におけるA−A’断面を示す説明図である。図3においては、ぜんまい部2の4つの周回部分を拡大して示している。図3に示すように、ぜんまい部2は、内側の周回から、ぜんまい腕201a、201b、201c、201dが接続されることによって1つの構造体をなしている。
ぜんまい腕201のうち、ぜんまい腕201aはぜんまい部2のうちのもっとも内周側に位置し、内周側から外周側に向かって順次ぜんまい腕201b、ぜんまい腕201cが位置し、ぜんまい腕201dはぜんまい部2のうちのもっとも外周側に位置する。各ぜんまい腕201a〜201dは、たとえば、幅は50μm、高さは100μmとすることができる。
ぜんまい腕201a〜201dは、母材11a、11b、11c、11dの表面に、中間膜51a、51b、51c、51d、および、緩衝膜21a、21b、21c、21dを順次積層して構成されている。緩衝膜21a〜21dは、ひげぜんまい108aにおける最表面に形成されている。上述したように、ぜんまい腕201a〜201dは一体の1つの構造物をなしているため、母材11a〜11dも1つの構造体をなしている。同様に、中間膜51a〜51dも1つの構造体をなし、緩衝膜21a〜21dも1つの構造体をなしている。
母材11a〜11dは、第1の材料を用いて形成されている。第1の材料としては、たとえば、水晶、セラミックス、シリコン、シリコン酸化物などを主成分とする材料を用いることができる。第1の材料としてシリコンを用いて母材11a〜11dを形成することにより、ひげぜんまい108aの軽量化を図ることができる。
また、第1の材料としてシリコンを用いて母材11a〜11dを形成することにより、ひげぜんまい108aの製造に際しての良好な加工性を確保することができる。具体的に、第1の材料としてシリコンを用いて母材11を形成することにより、深掘りRIE技術を用いてひげぜんまい108aを製造することができる。
深掘りRIE技術は、半導体製造技術として一般によく用いられている。深掘りRIE技術は、ドライエッチング加工の一つである反応性イオンエッチングの一つであって、高い精度での微細加工をおこなうことができる技術として広く知られている。深掘りRIE技術を用いてシリコン基板をドライエッチングして加工することにより、ひげぜんまい108aを高精度に製造することができる。また、深掘りRIE技術を用いてひげぜんまい108aを製造することにより、ぜんまい部2と、ひげ玉3と、ひげ持4とを、一体に形成することができる。
中間膜51a〜51dは、母材11a〜11dを形成する第1の材料よりも粘靭性の高い材料を用いて形成されている。粘靭性は、外部からの圧力に対して壊れにくい性質、いわゆる「粘り強さ」を示す。粘靭性が高い材料は、良好な粘り強さを示す。具体的には、中間膜51a〜51dは、たとえば、シリコン酸化物(SiO2)、アルミナ(酸化アルミニウム:Al23)、DLC(Diamond‐Like Carbon)などを用いて形成してもよい。
シリコン酸化物によって形成される中間膜51a〜51dは、シリコンを大気中に暴露することによって形成されるシリコン酸化物によって形成される自然酸化膜を含む。DLCは、炭素(C)の同位体や炭化水素を主成分として構成され、アモルファス構造をなす。DLCは、硬質の膜であり、近年、プラズマイオンを注入したり、スパッタリングにより金属元素を添加するなどの各種の方法により導電性が付与されたものが存在する。
また、中間膜51a〜51dは、導電性を有していてもよく、たとえば、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)などの金属材料を用いて形成してもよい。また、具体的には、中間膜51a〜51dは、複数の材料を混合してなる合金を用いて形成してもよい。
具体的に、中間膜51a〜51dは、たとえば、母材11a〜11dの表面に、銅(Cu)を0.2μmの厚さで成膜することによって形成することができる。また、具体的に、中間膜51a〜51dは、たとえば、母材11a〜11dを形成するシリコンを大気中に暴露することによって形成される自然酸化膜によって実現してもよい。
中間膜51a〜51dを形成する材料は、たとえば、ひげぜんまい108aなどの時計部品に求められる硬さに応じて適宜設定することができる。ひげぜんまい108aなどの時計部品に求められる硬さは、たとえば、機械式時計の仕様、使用環境、製造にかかるコストなどに応じて任意に設定することができる。また、ひげぜんまい108aなどの時計部品に求められる硬さは、中間膜51a〜51dの材料に限らず、たとえば、中間膜51a〜51dの膜厚によっても調整することができる。
具体的には、たとえば、ひげぜんまい108aなどの時計部品に高い硬度を求める場合、銅(Cu)や金(Au)よりも固い金属であるチタン(Ti)を用いることができる。一方、たとえば、ひげぜんまい108aなどの時計部品に柔軟性やしなやかさを求める場合、比較的柔らかい特性を有する銅(Cu)や金(Au)を用いることができる。銅(Cu)や金(Au)は、柔らかい特性ゆえにしなやかさを発揮することができ、これによりひげぜんまい108aの変形に追従して変形することができるので、ひげぜんまい108aをシリコンを用いて形成する場合にも当該ひげぜんまい108aの脆弱性(もろさ)を低減することができる。
緩衝膜21a〜21dは、第2の材料を主成分として形成されている。第2の材料は、第1の材料よりも粘靭性の高い材料によって実現することができる。具体的には、たとえば、第1の材料がシリコンである場合、第2の材料はシリコンよりも粘靭性の高い樹脂によって実現することができる。第2の材料としては、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、高分子合成材料であるパラキシリレン系ポリマーなどを用いることができる。
アクリル樹脂は、近年、さまざまな改良がなされており、電着法によって一定の厚みで成膜ができ、かつ、パターニングができる電着レジストと称されるアクリル樹脂が開発されている。このようなアクリル樹脂からなる電着レジストを用いることにより、ひげぜんまい108aなどの精密かつ複雑な形状の時計部品の表面に、一定(均一)の膜厚の緩衝膜21a〜21dを設けることができる。
一定の周期で伸縮運動することが求められるひげぜんまい108aにおいては、ひげぜんまい108aの表面に設ける緩衝膜21a〜21dの厚さが一様でないとバランスを崩して偏心してしまう。電着レジストと称されるアクリル樹脂を用いることにより、一定(均一)の膜厚の緩衝膜21a〜21dを設けることができるため、ひげぜんまい108aを正しく動作させることができる。このように、アクリル樹脂からなる電着レジストは、精密かつ複雑な形状の時計部品、特に、伸縮することによって動作するひげぜんまい108aなどに用いる緩衝膜21a〜21dの材料として適している。
また、ひげぜんまい108aに限らず、他の時計部品においても、いわゆる「緩衝膜溜り」のような緩衝膜21a〜21dの厚さが偏った部分が表面にあったり、緩衝膜21a〜21dの膜厚が場所によって異なっていたりすると、たとえば、可動したときに他の構造体と擦れてしまったり、動作に偏りが生じたりするなどの不具合を生じさせる場合がある。また、緩衝膜21a〜21dが母材11a〜11dの表面から出っ張っていると、時計部品の外形形状が設計時の寸法と異なってしまう場合がある。このような場合、設計通りの形状にならないために、所定の性能を有さない時計部品(不良品)となってしまう。
これに対し、第2の材料として電着レジストと称されるアクリル樹脂を用いて、緩衝膜21a〜21dを電着法によって形成することにより、母材11a〜11dの表面に一定(均一)の膜厚の緩衝膜21a〜21dを設けることができるので、上記のような不具合を回避することができる。緩衝膜21a〜21dは、たとえば、5μmの厚さで形成する。
緩衝膜21a〜21dの形成を電着法で行うときは、中間膜51a〜51dを電着時に電圧を印加する電極として用いることができる。電着法による物体の電着においては、下地の電極の上部(表面)に、電着される材料(たとえば、アクリル樹脂)が形成される。したがって、形成したい緩衝膜21a〜21dの形状に合わせた形状の中間膜51a〜51dを設けておくことにより、下地となる中間膜51a〜51dの形状を反映した緩衝膜21a〜21dを容易に形成することができる。
(ひげぜんまい108aの製造方法)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の時計部品の製造方法として、ひげぜんまい108aの製造方法について説明する。図4〜図9は、この発明にかかる実施の形態1のひげぜんまい108aの製造方法を示す説明図である。図4〜図6においては、ひげぜんまい108aにおける母材11a〜11dを形成する工程を示している。図7〜図9においては、母材11a〜11dの表面に、金属膜および緩衝膜を順次形成する工程を示している。図4〜図9においては、上述した図3に相当する位置を示している。
ひげぜんまい108aの製造に際しては、まず、シリコン基板60を準備する。シリコン基板60は、少なくともひげぜんまい108aが取り出せる大きさの面積と厚みとを有する。シリコン基板60は、ひげぜんまいの生産性を考慮に入れれば、ひげぜんまい108aが多数個取り出せる大きさであるのが好ましい。
つぎに、図4に示すように、シリコン基板60のおもて面にマスク層90aを形成し、シリコン基板60の裏面にマスク層90bを成膜する。マスク層90a、90bは、後段の工程においておこなう深掘りRIE技術を用いた加工での保護膜として機能する。マスク層90a、90bは、シリコンよりもエッチング速度が遅い酸化シリコン(SiO2)によって形成することが好ましい。酸化シリコンを用いる場合、マスク層90a、90bは、たとえば、公知の気相成長技術またはCVD法に代表される成膜技術を用いて形成することができる。マスク層90a、90bは、たとえば、シリコン基板60のおもて面において酸化シリコンを1μmの膜厚で成長させることによって形成することができる。
つぎに、図5に示すように、シリコン基板60のおもて面に、マスク層91aを形成する。マスク層91aは、マスク層90aを、ひげぜんまい108aの形状にパターン化することによって形成することができる。マスク層91aは、一般に広く知られているフォトリソグラフィ法を用いた加工によって、ひげぜんまい108aの形状にパターン化することができる。
つぎに、図6に示すように、シリコン基板60を、ひげぜんまい108aの形状に加工する。シリコン基板60は、たとえば、SF6とC48との混合ガス(SF6+C48)300を用いて、深掘りRIE技術によって、マスク層91aを介してドライエッチングをおこなうことにより加工することができる。
シリコン基板60は、マスク層91aを介してドライエッチングをおこなうことにより、所定の幅のひげぜんまいの形状に加工することができる。また、シリコン基板60は、ドライエッチングの処理時間を管理することによって所定の高さ(深さ)に加工することができる。シリコン基板60に対するマスク層91aを介したドライエッチングにより、図6において符号11a〜11dで示すように、ぜんまい腕201a〜201dとなる母材11a〜11dが形成される。
つぎに、図7に示すように、加工後のシリコン基板60からマスク層90bおよびマスク層91aを除去して、ひげぜんまい108aの母材11a〜11dを露出させる。マスク層90bおよびマスク層91aは、たとえば、上記のようにドライエッチングされたシリコン基板60を、フッ化水素酸を主成分とする公知のエッチング液に浸漬することによって除去することができる。
つぎに、図8に示すように、母材11a〜11dの表面に、中間膜51a〜51dを形成する。中間膜51a〜51dは、たとえば、母材11a〜11dの表面全体に形成する。中間膜51a〜51dを形成する材料は、上述したように、たとえば、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)などを用いることができる。
銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)などを用いた中間膜51a〜51dは、たとえば、真空成膜法の一種であるスパッタリング法を用い、たとえば、0.2μmの厚さで形成する。あるいは、中間膜51a〜51dは、たとえば、シリコン基板60を大気中に暴露することによってシリコン基板60の表面に形成される自然酸化膜(シリコン酸化物)によって実現してもよい。
中間膜51a〜51dは、後段の工程において緩衝膜21a〜21dを設ける際の下地になる。また、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)などを用いた中間膜51a〜51dは、後述する電着法を用いて緩衝膜21a〜21dを形成する場合には、電極として機能する。緩衝膜21a〜21dを電極として機能させる場合、中間膜51a〜51dは、電気的な抵抗が低い材料を用いて形成することが好ましい。
つぎに、図9に示すように、中間膜51a〜51dの表面に、緩衝膜21a〜21dを形成する。上述したように、緩衝膜21a〜21dは、ひげぜんまい108aに対して外部から加えられた衝撃力を緩和し、シリコンのような脆性材料からなる母材11a〜11dを破壊から保護するために設けられる。このため、緩衝膜21a〜21dを構成する第2の材料は、母材11a〜11dを構成する第1の材料よりも、粘靭性の高い材料を用いる。
また、緩衝膜21a〜21dを形成する第2の材料は、ひげぜんまい108aなどの時計部品に求める硬度や、中間膜51a〜51dを形成する材料に応じて選択することができる。換言すれば、中間膜51a〜51dを形成する材料は、緩衝膜21a〜21dを形成する第2の材料に応じて選択することができる。
たとえば、中間膜51a〜51dを銅(Cu)を用いて形成した場合、緩衝膜21a〜21dを構成する第2の材料は、アクリル樹脂やエポキシ樹脂によって実現することが好ましい。緩衝膜21a〜21dは、たとえば、スピンコート装置により回転させた状態のシリコン基板60に、アクリル樹脂やエポキシ樹脂を吹き付ける手法(たとえば、スパッタリング)や、液状化した樹脂を滴下して形成する手法(たとえば、スピンコート)、液状化した樹脂を入れた液槽に基板を浸漬させた後に取り出して形成する手法など、公知の各種の技術を用いて容易に形成することができる。
具体的に、たとえば、液状化した樹脂を滴下して形成する手法を用いて緩衝膜21a〜21dを形成する場合、まず、液状化した所定の樹脂が満たされたディスペンサー(図示を省略する)を用意する。つぎに、可動台(図示を省略する)に載せたひげぜんまい108aを所定の方向に可動させるなどして、このディスペンサーから緩衝膜21a〜21dの樹脂を滴下する。このとき、ぜんまい腕201a〜201dの表面の中間膜51a〜51dからはみ出ないように滴下する。
その後、所定の硬化処理をおこなって樹脂を硬化させる。樹脂を硬化させる硬化処理は、たとえば、紫外線硬化性を有する樹脂を用いた場合は所定時間の紫外線の照射によって実現することができる。また、硬化処理は、たとえば、熱硬化性を有する樹脂を用いた場合は所定時間の加熱によって実現することができる。これにより、ぜんまい腕201a〜201dの表面に形成した中間膜51a〜51dの表面に、緩衝膜21a〜21dを形成することができる。
緩衝膜21a〜21dは、電着法を用いて形成することもできる。樹脂を滴下して緩衝膜21a〜21dを形成する手法では、ごくまれに、均一に樹脂を形成できない場合がある。これに対し、電着法を用いることにより、中間膜51a〜51dの表面に、緩衝膜21a〜21dを構成する樹脂を一定の厚みで成膜することができ、かつ、容易にパターニングすることができるようになる。電着法によって緩衝膜21a〜21dを形成する際には、電着レジストと称されるアクリル樹脂を用いる。電着法とは、電気分解によって析出した物質を電圧が印加された中間膜51a〜51d上に付着させ形成する成膜法であり、広く知られている。
具体的に、たとえば、電着法を用いて緩衝膜21a〜21dを形成する場合、あらかじめ、ひげぜんまい108aの所定の部分に、中間膜51a〜51dを形成する。電着法を用いて緩衝膜21a〜21dを形成する場合は、中間膜51a〜51dは、たとえば、電気的な抵抗が低い銅(Cu)を用いて形成することが好ましい。中間膜51a〜51dの形成と同時に、この中間膜51a〜51dと電気的に接続された端子領域(図示を省略する)を形成しておく。この端子領域は、ひげぜんまい108aの形状に影響しない部分に設ける。
つぎに、中間膜51a〜51dおよび端子領域が形成された状態のシリコン基板60を、公知の把持装置などにより固定した状態で、電着レジストを含有する電着液が満たされた液槽に浸漬させる。このとき、中間膜51a〜51dと電気的に接続されている端子領域にプローブなどを接触させておく。このプローブ等は、所定の電源手段に接続されており、これにより、中間膜51a〜51dに所定の電圧を印加することができる。
端子領域にプローブなどを接触させた状態で電着液槽中に浸漬された中間膜51a〜51dに所定の電圧を印加すると、液槽内において、電気分解によって析出した電着レジストが中間膜51a〜51dの表面に付着する。電圧は、電着レジストが所定の膜厚に達するまで印加する。電着レジストは、特に限定しないが、たとえば、5μmの厚さで成膜する。電着レジストの膜厚は、機械式時計の仕様などに鑑みて自由に設定することができる。このように、電着法を用いて緩衝膜21a〜21dを形成する場合は、電圧を印加する時間を管理することにより、電着レジストの膜厚を容易に調整することができる。
その後、電圧の印加を終了し、液槽からシリコン基板60を取り出す。これにより、中間膜51a〜51dの形状を反映した緩衝膜21a〜21dを、中間膜51a〜51dの表面に、一定の膜厚で形成することができる。電着法を用いることにより、緩衝膜21a〜21dを形成する前と後とでひげぜんまい108aの形状を大きく異ならせることなく、緩衝膜21a〜21dを形成することができる。
また、具体的には、たとえば、中間膜51a〜51dを自然酸化膜(シリコン酸化物)によって実現する場合、緩衝膜21a〜21dを構成する第2の材料は、パラキシリレン系ポリマーなどの樹脂材料によって実現することが好ましい。パラキシリレン系ポリマーは、有機化合物であるパラキシリレンのポリマーであって、ひげぜんまい108aの表面において重合反応を起こさせることによって薄膜状に形成することができる。
パラキシリレン系ポリマーは、コンフォーマル被覆性に優れている。すなわち、パラキシリレン系ポリマーを用いることにより、たとえば、腕時計に用いられるひげぜんまい108aなどの時計部品のように、微細で、溝・孔・エッジ部分などにより複雑な形状であっても、ピンホールがなく均一な膜厚の緩衝膜21a〜21dを形成することができる。パラキシリレン系ポリマーによる緩衝膜21a〜21dは、たとえば、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)の一つである気相蒸着重合法を用いて形成することができる。
上述のような製造方法により、緩衝膜21a〜21dが全面に形成されたひげぜんまい108aを製造することができる。実施の形態1の時計部品であるひげぜんまい108aは、当該時計部品の形状をなす主要な部材である母材11a〜11dが非導電性材料の第1の材料(たとえば、シリコン)で構成されており、母材11a〜11dの表面の少なくとも一部に中間膜51a〜51dを有している。そして、この中間膜51a〜51dの表面に、第1の材料よりも粘靭性の高い第2の材料からなる緩衝膜21a〜21dを設けている。
このように、実施の形態1の時計部品は、シリコンを用いて形成された母材11a〜11dを備えている。これにより、深掘りRIE技術を用いたエッチング加工により、高い精度での微細加工をおこなうことができ、微細で複雑な形状をなす時計部品を、高精度かつ加工精度のばらつきを抑えて製造することができる。
また、実施の形態1の時計部品は、母材11a〜11dの表面の少なくとも一部に、母材11a〜11dを形成するシリコンよりも粘靭性の高い材料を用いて形成された中間膜51a〜51dを備えている。これにより、実施の形態1の時計部品は、シリコンを用いて母材11a〜11dを形成した場合にも、シリコンのもろさを緩和し、強固な時計部品を実現することができる。
また、実施の形態1の時計部品は、中間膜51a〜51dの表面に、粘靱性の高い緩衝膜21a〜21dを備えている。これにより、実施の形態1の時計部品は、緩衝膜21a〜21dがクッションの役割を果たし、時計部品が他の構造体と当接したとしても、緩衝膜21a〜21dによって衝撃を緩和することができる。また、実施の形態1の時計部品は、緩衝膜21a〜21dを備えることにより、角部などへの応力集中によるひびや欠けを防止することができる。これにより、時計部品の耐久性の向上を図ることができる。
以上説明したように、実施の形態1の時計部品は、シリコン材料を用いて形成された母材11a〜11dの表面の少なくとも一部に設けられた中間膜51a〜51dによりシリコンのもろさを緩和し、さらに中間膜51a〜51dの表面に設けられた粘靱性の高い緩衝膜21a〜21dにより時計部品に対する外部からの衝撃を緩和して、角部などへの応力集中によるひびや欠けを防止することができる。
実施の形態1の時計部品によれば、中間膜51a〜51dと緩衝膜21a〜21dとの、異なる2つの膜を備えることにより、強固であって、かつ、衝撃により他の構造体との当たりや応力の集中が発生しても破壊し難い時計部品を実現することができる。
また、実施の形態1の時計部品によれば、金属材料などの導電性を有する材料を用いて中間膜51a〜51dを形成することにより、中間膜51a〜51dを電極として用いることもできる。この場合、緩衝膜21a〜21dを電着法を用いて形成することもでき、電着法を用いることにより、一定の膜厚であって、下地(たとえば、中間膜51a〜51d)の被覆性が高い緩衝膜21a〜21dを形成することができる。
また、実施の形態1の時計部品によれば、金属材料を用いる場合にも、当該金属材料は母材11a〜11dの表面を覆う中間膜51a〜51dを形成する材料として用いている。すなわち、中間膜51a〜51dの膜厚は、シリコンの厚さに対して極めて薄い。これにより、実施の形態1の時計部品は、シリコンの有する優れた温度特性を悪化させることがない。
このため、母材11a〜11dを形成するシリコンと比較して、時計部品としての温度特性が劣る金属材料を用いて中間膜51a〜51dを形成した場合にも、所定の板材形状の金属を圧延するなどして形成した金属板などと異なり、シリコンなどの第1の材料の温度特性を悪化させることがない。これにより、実施の形態1の時計部品は、シリコンの有する優れた温度特性を発揮させるとともに、高い強度を発揮させることができる。
このように、実施の形態1の時計部品によれば、シリコンなどを主成分とする第1の材料を用いて母材11a〜11dを形成することにより、製造にかかる精度の高いひげぜんまい108aの軽量化を図ることができ、かつ、中間膜51a〜51dや緩衝膜21a〜21dを設けることにより、外部から衝撃が加えられた場合にも破壊し難く、高い強度を発揮させることができる。
<実施の形態2>
つぎに、この発明にかかる実施の形態2の製造方法によって製造される、この発明にかかる実施の形態2の時計部品としてのひげぜんまいについて説明する。実施の形態2においては、上述した実施の形態1と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。実施の形態2においては、ひげぜんまい108に、符号108bを付して説明する。
図10は、この発明にかかる実施の形態2のひげぜんまい108bの構造を示す説明図である。図10においては、実施の形態2のひげぜんまい108bを図1における矢印X方向から見た平面図を示している。図11は、図10におけるB−B’断面を示す説明図である。図10および図11において、実施の形態2のひげぜんまい108bは、内側の周回から、ぜんまい腕202a、202b、202c、202dが接続されることによって1つの構造体をなすぜんまい部2を備えている。
ぜんまい腕202a〜202dは、たとえば、実施の形態1と同様に、幅は50μm、高さは100μmとすることができる。ぜんまい部2の両端部は、実施の形態1と同様に、中間膜52a、52b、52c、52dと、緩衝膜22a、22b、22c、22dと、が重ねて形成されている。ぜんまい腕202a〜202dにおいて、母材11a〜11dは、たとえば、実施の形態1と同様に、シリコンを用いて形成することができる。
また、ぜんまい腕202a〜202dにおいて、中間膜52a〜52dは、第1の材料からなる母材11a〜11dの4つの角部1100を覆うように設けられている。中間膜52a〜52dは、実施の形態1と同様の材料を用いて、実施の形態1の製造方法と同様にして形成することができる。中間膜52a〜52dの膜厚は、たとえば、実施の形態1と同様に、0.2μmとすることができる。
また、ぜんまい腕202a〜202dにおいて、緩衝膜22a〜22dは、中間膜52a〜52dの上層に設けられている。緩衝膜22a〜22dは、第2の材料を主成分として用いて形成されている。緩衝膜22a〜22dの膜厚は、特に限定しないが、たとえば、5μmとすることができる第2の材料は、たとえば、実施の形態1と同様に、樹脂や電着レジストによって実現することができる。第2の材料として電着レジストを用いる場合、第1の実施の形態と同様に、中間膜52a〜52dの表面に、一定の膜厚の緩衝膜22a〜22dを形成することができる。
電着レジストはフォトレジストと同様であるから、公知のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを組み合わせることにより、ぜんまい腕202a〜202dにおける母材11a〜11dの4つの角部1100のみに、所定の形状でパターン化された緩衝膜22a〜22dを形成することができる。
ひげぜんまい108bに何らかの衝撃が加わった場合、角部1100に応力が集中する。このため、シリコンのような脆性材料を用いてひげぜんまい108bを形成する場合、衝撃の影響によって角部1100に欠けやひび割れが生じてしまうことが懸念される。これに対し、実施の形態2のひげぜんまい108は、図11に示すように、応力が集中するひげぜんまい108bの角部1100に、中間膜52a〜52dと、粘靭性の高い緩衝膜22a〜22dと、を設けることによって、角部1100にかかる衝撃を緩和することができる。これにより、強靱なひげぜんまい108bを実現することができる。
(ひげぜんまい108bの製造方法)
つぎに、この発明にかかる実施の形態2の時計部品の製造方法として、ひげぜんまい108bの製造方法について説明する。図12および図13は、この発明にかかる実施の形態2のひげぜんまい108bの製造方法を示す説明図である。ひげぜんまい108bの製造に際しては、まず、上述した実施の形態1における図4〜図9の工程と同様にして、母材11a〜11dの表面に、中間膜52a〜52dおよび緩衝膜22a〜22dを順次形成する。実施の形態2においては、たとえば、電着法を用いた電着レジストによって形成された緩衝膜22a〜22dを例にして説明する。
つぎに、緩衝膜22a〜22dを所定の形状にパターニングする。緩衝膜22a〜22dのパターニングは、図12に示すように、電着レジストからなる緩衝膜21a〜21dを、露光マスク500、510を介して、所定の部分だけ紫外光600で露光することによっておこなう。
実施の形態2における緩衝膜22a〜22dの形成に際しては、たとえば、露光部分が現像されて溶解するタイプの感光性材料による電着レジストを用いることができる。この場合、パターンを残したい部分が露光されないようにマスクするように設計された露光マスク500、510を用いる。たとえば、ひげぜんまい108bの角部1100に緩衝膜を残したい場合、露光マスク500、510は、この角部1100に紫外光600が照射されないような形状とする。
緩衝膜22a〜22dのパターニングに際しては、図12に示すように、紫外光600をひげぜんまい108bに対して斜め方向から照射することにより、ひげぜんまい108bの側面80にも紫外光600を照射することができる。緩衝膜22a〜22dのパターニングに際しては、具体的には、たとえば、図12に示すように、母材11a〜11dの表面に対して斜め方向から紫外光600を照射する露光装置を用いて、400mJ/cm2の露光量で照射をおこなう。
つぎに、図13に示すように、電着レジストからなる緩衝膜21a〜21dにおける露光された部分を除去する。露光された部分を除去することにより、ひげぜんまい108bの角部1100のみをパターン化する緩衝膜22a〜22dを形成することができる。露光された部分の除去は、当該露光された部分を、公知の現像液を用いて溶解させることによって除去することができる。露光された部分の除去は、具体的には、たとえば、現像液として25℃の電解還元イオン水を用いて、20分間現像することによっておこなう。
その後、ひげぜんまい108bの角部1100だけにパターン化された緩衝膜22a〜22dをマスクとして用いて、中間膜51a〜51dをエッチングする。たとえば、中間膜51a〜51dが銅(Cu)を用いて形成されている場合、塩化第二銅系エッチング液を用いて中間膜51a〜51dのエッチングをおこなうことができる。
これにより、図11に示すように、中間膜51a〜51dのうち、緩衝膜22a〜22dに覆われていない部分が、エッチングによって除去され、緩衝膜22a〜22dと同じ形状でパターニングされた中間膜52a〜52dが形成される。中間膜51a〜51dのうち、緩衝膜22a〜22dに覆われていない部分がエッチングによって除去されると、エッチングによって除去された部分に対応する部分の母材11a〜11dが露出される。このようにして、図11に示すように、母材11a〜11dの表面の一部に形成された緩衝膜22a〜22dを備えたひげぜんまい108bを製造することができる。
以上説明したように、実施の形態2の時計部品は、緩衝膜21a〜21dを電着レジストによってあらかじめ形成しておくことにより、通常のフォトレジストを用いた公知のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを組み合わせて、緩衝膜21a〜21dに対して容易に加工を施すことができる。これにより、母材11a〜11dの4つの角部1100のみを覆う緩衝膜22a〜22dを容易に形成することができる。
実施の形態2の製造方法においては、図13に示す状態で、以降の加工を止めることもできる。この場合、中間膜51a〜51dは、母材11a〜11dの表面を覆ったままになる。このような構成とすることにより、ひげぜんまい108bの強度を高めることができる。図11に示す構造にするか、図13に示す構造にするかは、たとえば、ひげぜんまい108bが搭載される機械式時計の仕様や使用環境などに鑑みて選択することができる。
<実施の形態3>
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の製造方法によって製造される、この発明にかかる実施の形態3の時計部品が組み込まれる時計の駆動機構としてのひげぜんまいについて説明する。実施の形態3においては、上述した実施の形態1、2と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。実施の形態3においては、ひげぜんまい108に、符号108cを付して説明する。
図14は、この発明にかかる実施の形態3のひげぜんまい108cの構造を示す説明図である。図14においては、実施の形態3のひげぜんまい108cを図1における矢印X方向から見た平面図を示している。図15は、図14におけるC−C’断面を示す説明図である。図14および図15において、実施の形態3のひげぜんまい108cは、内側の周回から、ぜんまい腕203a、203b、203c、203dが接続されることによって1つの構造体をなすぜんまい部2を備えている。ぜんまい腕203a〜203dは、たとえば、実施の形態1、2と同様に、幅は50μm、高さは100μmとすることができる。
ぜんまい部2において、母材11a〜11dのおもて面側の端面(平面)81には、幅方向の中央部分に、当該平面81から母材11a〜11dの裏側の端面(平面)82側に凹む溝部71a、71b、71c、71dが設けられている。溝部71a〜71dは、所定の幅で所定の深さで凹んでいる。これにより、母材11a〜11dのおもて面側には、平面81と溝部71a〜71dとによって段差部が形成されている。
また、ぜんまい部2において、母材11a〜11dの平面82には、幅方向の中央部分に、当該平面82から平面81側に凹む溝部72a、72b、72c、72dが設けられている。溝部72a〜72dは、所定の幅で所定の深さで凹んでいる。これにより、母材11a〜11dの裏面側には、平面82と溝部72a〜72dとによって段差部が形成されている。
溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dは、幅が20μmであって、深さが40μmの寸法に形成されている。溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dの寸法は、特に限定されるものではない。溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dの内側(内面)には、中間膜53a、53b、53c、53dが設けられている。
中間膜53a〜53dは、上述した実施の形態1、2と同様に、母材11a〜11dを形成する第1の材料よりも粘靭性の高い材料を用いて形成されている。中間膜53a〜53dは、たとえば、シリコン酸化物、アルミナ、DLC、金属材料、金属材料とその他の材料とを混合した合金などを用いて形成することができる。中間膜53a〜53dは、たとえば、上述した実施の形態1、2と同様に、たとえば、0.2μmの厚さで形成することができる。
中間膜53a〜53dの表面であって当該中間膜53a〜53dの上層には、緩衝膜23a〜23dが設けられている。緩衝膜23a〜23dは、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72d内に充填されるようにして設けられている。緩衝膜23a〜23dは、たとえば、上述した実施の形態1、2と同様に、第1の材料よりも粘靱性の高い第2の材料を用いて形成されている。具体的には、緩衝膜23は、たとえば、樹脂や電着レジストなどを第2の材料として用いることができる。電着レジストを用いることにより、中間膜53a〜53dの上層に、一定の膜厚(たとえば、5μm)の緩衝膜23a〜23dを形成することができる。実施の形態3において、緩衝膜23a〜23dは、図15に示すように、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dを充填するように設けられている。
一般的に、樹脂はシリコンよりも密度が小さい。このため、ひげぜんまい108cのように、シリコンによって形成された母材11a〜11dに溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dを設け、この溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dに樹脂によって形成された緩衝膜23を充填することにより、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dの体積の分だけ、さらなるひげぜんまい108cの軽量化を図ることができる。
また、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dの内部を、金属材料を用いて形成された中間膜53a〜53dによって覆うことにより、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dを設ける(母材11a〜11dから溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dの分の体積を除去する)ことによるひげぜんまい108cの強度低下を補い、ひげぜんまい108cの強度を向上させることができる。
さらに、中間膜53a〜53dの上層に、粘靭性の高い緩衝膜23を設けることにより、ひげぜんまい108cが破壊されにくくなり、ひげぜんまい108cの耐久性の向上を図ることができる。また、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dの角部分を覆うようにして中間膜53a〜53dを設けることにより、ひげぜんまい108cが強い衝撃を受けた場合にも角部に応力が集中して破損することを防止することができる。これにより、強固なひげぜんまい108cを製造することができる。
また、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dの内部に、緩衝膜23を設けることにより、母材11a〜11dの内側に樹脂を設けることができ、これにより、ぜんまい部2をしなやかにして、ぜんまい部2を折れにくくすることができる。
上述した実施の形態3においては、平面81、82を凹形状に凹ませることによって、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dを形成し、段差部を構成したが、段差部は凹形状によって構成されるものに限るものではない。たとえば、平面81、82を、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dとは反対方向に凸形状に突出させることによって凸部を構成し、当該凸部を覆うようにして中間膜53a〜53dと緩衝膜23とを形成してもよい。これにより、強固なひげぜんまい108cを製造することができる。
実施の形態3においては、平面81および平面82の両方に、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dを設けたひげぜんまい108cについて説明したが、これに限るものではない。溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dは、平面81または平面82のいずれか一方のみに設けてもよい。
(ひげぜんまい108cの製造方法)
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の時計部品の製造方法として、ひげぜんまい108cの製造方法について説明する。図16〜図26は、この発明にかかる実施の形態3のひげぜんまい108cの製造方法を示す説明図である。ひげぜんまい108cの製造に際しては、まず、シリコン基板61を準備する。シリコン基板61は、少なくともひげぜんまい108cが取り出せる大きさの面積と厚みとを有する。シリコン基板61は、ひげぜんまいの生産性を考慮に入れれば、ひげぜんまい108cが多数個取り出せる大きさであることが好ましい。
つぎに、図16に示すように、シリコン基板61のおもて側の端面である平面81のおもて面側にマスク層92aを形成し、シリコン基板61の裏側の端面である平面82の裏面側にマスク層92bを形成する。マスク層92a、92bには、ひげぜんまいの所定の部分に溝部を形成するための開口パターンが形成されている。
マスク層92a、92bは、後段の工程においておこなう深掘りRIE技術を用いた加工での保護膜として機能する。マスク層92a、92bは、シリコンよりもエッチング速度が遅い酸化シリコン(SiO2)によって形成することが好ましい。マスク層92a、92bは、たとえば、酸化シリコンを1μmの膜厚で成長させることによって形成することができる。
つぎに、図17に示すように、処理時間を管理しながら、SF6とC48との混合ガス(SF6+C48)300を用いて、深掘りRIE技術によって、マスク層92a、92bを介してドライエッチングをおこなう。これにより、マスク層92a、92bによって覆われていない部分、すなわち所定の形状で空けられた開口パターン部分がエッチング加工される。
すなわち、平面81側に溝部71a〜71dが形成され、平面82側に溝部72a〜72dが形成されたシリコン基板62が形成される。溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dは、特に限定しないが、たとえば、幅が20μm、深さが40μmとなるように形成する。シリコン基板61を深掘りRIE技術でドライエッチングする際は、平面81側においておこなうドライエッチングと、平面82側においておこなうドライエッチングとのように、面ごとに2回に分けてエッチングしてもよい。
つぎに、図18に示すように、シリコン基板62から、マスク層92a、92bを除去する。マスク層92a、92bは、たとえば、シリコン基板62を、フッ化水素酸を主成分とする公知のエッチング液に浸漬することによって除去することができる。これにより、平面82側に設けられたマスク層92aと、平面81側に設けられたマスク層92bと、を一度に除去することができる。
つぎに、図19に示すように、シリコン基板62のおもて面側の平面81、および、溝部71a〜71dの内壁に、マスク層93aを成膜する。また、図19に示すように、シリコン基板62の裏面側の平面82、および、溝部72a〜72dの内壁に、マスク層93bを成膜する。
マスク層93a、93bは、後段の工程においておこなう深掘りRIE技術を用いた加工での保護膜として機能する。マスク層93a、93bは、シリコンよりもエッチング速度が遅い酸化シリコン(SiO2)によって形成することが好ましい。マスク層93a、93bは、たとえば、酸化シリコンを1μmの膜厚で成長させることによって形成することができる。
つぎに、図20に示すように、マスク層93aを加工して、ひげぜんまい108cの形状にパターン化されたマスク層94aを形成する。マスク層93aの加工に際しては、一般に広く知られているフォトリソグラフィ法により加工をおこなう。これにより、ひげぜんまい108cの形状にパターン化されたマスク層94aを形成することができる。
つぎに、図21に示すように、処理時間を管理しながら、SF6とC48との混合ガス(SF6+C48)300を用いて、深掘りRIE技術によって、マスク層94a、93bを介してドライエッチングをおこなう。これにより、マスク層94aによって覆われていない部分、すなわち所定の形状で空けられた開口パターン部分がエッチング加工され、シリコン基板62が、所定の幅と所定の高さの母材13a〜13dの形状に加工される。
つぎに、図22に示すように、マスク層93b、94aを除去する。マスク層93b、94aは、たとえば、シリコン基板62を、フッ化水素酸を主成分とする公知のエッチング液に浸漬することによって除去することができる。これにより、図22に示すようなひげぜんまい108cの母材13a〜13dが露出される。露出された状態の母材13a〜13dには、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dがそれぞれ形成されている。
つぎに、図23に示すように、母材13a〜13dの表面を覆うように中間膜55a〜53dを形成する。中間膜55a〜55dは、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dの内側にも設ける。中間膜55a〜55dは、上述した各種の材料を用いて形成することができ、たとえば、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)などを用いて形成することができる。具体的に、中間膜55a〜55dは、たとえば、銅(Cu)を用いて中間膜53a〜53dを形成する場合、真空成膜法の一種であるスパッタリング法を用いて形成することができる。また、中間膜55a〜55dは、たとえば、0.2μmの厚さに形成する。
つぎに、図24に示すように、中間膜55a〜55dの上層に緩衝膜25a〜25dを形成する。緩衝膜25a〜25dは、上述したように、ひげぜんまい108cに外部から加わる衝撃を緩和する。このため、緩衝膜25a〜25dは、衝撃の緩和に適するように、母材13a〜13dを構成する第1の材料よりも、粘靭性の高い材料を用いて形成する。実施の形態3においては、緩衝膜25a〜25dを所定の形状に加工する必要があるため、衝撃の緩和に適しているとともに、加工がしやすい材料を選択する。
粘靭性が高く、かつ、パターニングできる(加工がしやすい)材料としては、たとえば、電着法に用いられる、アクリル樹脂からなる電着レジストが好ましい。アクリル樹脂からなる電着レジストを用いることによって、一定の厚みの緩衝膜25a〜25dを形成することができ、かつ、当該緩衝膜25a〜25dのパターニングも良好におこなうことができる。
このようなアクリル樹脂からなる電着レジストを緩衝膜25a〜25dとして用いることにより、図24に示すように、シリコンからなる母材13a〜13d上に形成された銅(Cu)からなる中間膜55a〜55dの上層に、電着レジストからなる緩衝膜25a〜25dを容易に形成することができる。緩衝膜25a〜25dの膜厚は、特に限定しないが、たとえば、5μmの厚さで形成することができる。
つぎに、図25に示すように、電着レジストからなる緩衝膜25a〜25dを、露光マスク520、530を介して、所定の部分だけ紫外光600で露光する。実施の形態3において用いる電着レジストは、実施の形態2において説明したように、たとえば、露光部分が現像されて溶解するタイプの感光性材料による電着レジストを用いることができる。露光マスク520、530は、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dの部分の緩衝膜25a〜25dが、紫外光600により露光しないように設計されている。
緩衝膜25a〜25dのパターニングに際しては、図25に示すように、紫外光600をひげぜんまい108cに対して斜め方向から照射することにより、ひげぜんまい108cの側面80にも紫外光600を照射することができる。緩衝膜25a〜25dのパターニングに際しては、具体的には、たとえば、図25に示すように、母材13a〜13dの表面に対して斜め方向から紫外光600を照射する露光装置を用いて、400mJ/cm2の露光量で照射をおこなう。
つぎに、図26に示すように、電着レジストからなる緩衝膜25a〜25dにおける露光された部分を除去する。露光された部分を除去することにより、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dの近傍のみに緩衝膜23a〜23dが残存するひげぜんまい108cを形成することができる。露光された部分の除去は、当該露光された部分を、公知の現像液を用いて溶解させることによって除去することができる。露光された部分の除去は、具体的には、たとえば、上述した実施の形態2と同様に、現像液として25℃の電解還元イオン水を用いて、20分間現像することによっておこなう。
その後、ひげぜんまい108cの溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dに形成された緩衝膜23a〜23dをマスクとして用いて、中間膜55a〜55dをエッチングする。たとえば、中間膜55a〜55dが銅(Cu)を用いて形成されている場合、塩化第二銅系エッチング液を用いて中間膜55a〜55dのエッチングをおこなうことができる。
これにより、図15に示すように、中間膜53a〜53dのうち、緩衝膜23a〜23dに覆われていない部分が、エッチングによって除去され、緩衝膜23a〜23dによって覆われた部分に中間膜53a〜53dが形成された状態で残る。中間膜53a〜53dのうち、緩衝膜23a〜23dに覆われていない部分がエッチングによって除去されると、エッチングによって除去された部分に対応する部分の母材13a〜13dが露出される。このようにして、図15に示すように、母材13a〜13dの表面の一部に形成された緩衝膜23a〜23dを備えたひげぜんまい108cを製造することができる。
実施の形態3の製造方法においては、図26に示す状態で、以降の加工を止めることもできる。この場合、中間膜53a〜53dは、母材13a〜13dの表面を覆ったままになる。このような構成とすることにより、ひげぜんまい108cの強度を高めることができる。図15に示す構造にするか、図26に示す構造にするかは、たとえば、ひげぜんまい108cが搭載される機械式時計の仕様や使用環境などに鑑みて選択することができる。
図14および図15に示すように、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dを有するひげぜんまいは、上述のような第3の製造方法によって容易に製造できる。実施の形態3においては、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dの内側に緩衝膜23a〜23dが充填される場合を例にして説明したが、これに限定されるものではない。電着法による緩衝膜23a〜23dの形成において、形成時間等を管理することにより、中間膜53a〜53dの上部に一定の膜厚で緩衝膜23a〜23dを形成できる。
また、上述の第3の製造方法では、段差部として凹部形状の溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dに緩衝膜23a〜23dを形成する製造方法を示したが、凸部形状の段差部(図示を省略する)であっても同様の製造方法で製造することができる。すなわち、段差部を形成する際に、平面81、82に凸部を形成するようにマスクをパターニングすればよい。このように、どの部分をマスクし、どの部分をエッチングするかは、半導体装置の加工でも広く用いられているため、詳細な説明は省略する。
<実施の形態4>
(ひげぜんまいの製造方法)
つぎに、この発明にかかる実施の形態4の時計部品の製造方法として、この発明にかかる実施の形態4のひげぜんまいの製造方法について説明する。実施の形態4においては、上述した実施の形態1〜3と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。実施の形態4においては、図30に示すひげぜんまい108(108d)の製造方法について説明する。
図27〜図30は、この発明にかかる実施の形態4のひげぜんまい108dの製造方法を示す説明図である。ひげぜんまい108dの製造に際しては、まず、シリコン基板61を準備する。シリコン基板61は、少なくともひげぜんまい108dが取り出せる大きさの面積と厚みとを有する。シリコン基板61は、ひげぜんまい108dの生産性を考慮に入れれば、ひげぜんまい108dが多数個取り出せる大きさであることが好ましい。
つぎに、図27に示すように、シリコン基板61の平面81のおもて面側に第1マスク層95aを形成し、シリコン基板61の平面82の裏面側にマスク層95bを形成する。マスク層95a、95bには、シリコン基板61がそれぞれ母材13a〜13dを形成するように、ひげぜんまい108dの形状に応じた所定の部分に開口パターンが形成されている。
また、図27に示すように、第1マスク層95aの上層に、ひげぜんまい108dの所定の部分に溝部71a〜71dを形成するための開口パターンが形成された第2マスク層97aを形成し、第1マスク層95bの上層に、ひげぜんまい108dの所定の部分に溝部72a〜72dを形成するための開口パターンが形成された第2マスク層97bを形成する。また、第2マスク層97a、97bには、マスク層95a、95bにおける開口パターンに応じた位置に、ひげぜんまい108dの形状に応じた開口パターンが形成されている。
第1マスク層95a、95bは、後段の工程においておこなう深掘りRIE技術を用いた加工での保護膜として機能する。たとえば、第1マスク層95a、95bは、シリコンよりもエッチング速度が遅い酸化シリコン(SiO2)によって形成することが好ましい。第1マスク層95a、95bは、たとえば、酸化シリコンを1μmの膜厚で成長させることによって形成することができる。
第2マスク層97a、97bは、後段の工程においておこなう第1マスク層95a、95bに溝形状をパターニングする際の保護膜として機能する。第2マスク層97a、97bは、第1マスク層95a、95bのエッチングに対して耐食性のある材料によって形成することが好ましい。たとえば、第1マスク層95a、95bが酸化シリコンを用いて形成されている場合、第2マスク層97a、97bは、感光性レジストを1μmの膜厚で成長させることによって形成することができる。
つぎに、図28に示すように、処理時間を管理しながら、SF6とC48との混合ガス(SF6+C48)300を用いて、深掘りRIE技術によって、第1マスク層95a、95bを介してドライエッチングをおこなう。これにより、第1マスク層95a、95bによって覆われていない部分、すなわち、ひげぜんまい108dの形状に応じた所定の部分が加工され、所定の幅と所定の高さの母材14a〜14dが形成される。
つぎに、図29に示すように、第2マスク層97a、97bをマスクとして用いて、第1マスク層95a、95bをパターニングする。第1マスク層95a、95bは、上述したように、酸化シリコン(SiO2)からなるので、このパターニングは、第2マスク層97a、97bが形成されたシリコン基板61を、フッ化水素酸を主成分とする公知のエッチング液に浸漬することによって除去することができる。
これにより、図29に示すように、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72bとなる部分の第1マスク層95a、95bが除去され、第2マスク層97a、97bと平面的に重なった加工後の第1のマスク層96a、96bが形成される。平面81側においては、溝部71a〜71dとなる部分のマスクが開口してシリコンの母材14a、14b、14c、14dが露出した状態になる。また、平面82側の第1のマスク層95bのうち、ひげぜんまい108cの形状に応じた所定の部分も除去される。このとき、第2マスク層97a、97bが感光性レジストであれば、フッ化水素酸を主成分とする公知のエッチング液に浸漬しても、第2マスク層97a、97bが侵されてしまうことはない。
つぎに、図30に示すように、処理時間を管理しながら、SF6とC48との混合ガス(SF6+C48)300を用いて、深掘りRIE技術によって、第2マスク層97a、97bおよび加工後の第1のマスク層96a、96bを介して、ドライエッチングをおこなう。これにより、第2マスク層97a、97bおよび加工後の第1のマスク層96a、96bによって覆われていない部分、すなわち溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72bに相当する部分がエッチング加工され、シリコン基板62が、所定の幅と所定の高さの母材13a〜13dの形状に加工される。
つぎに、第2マスク層97a、97bおよび加工後の第1のマスク層96a、96bを除去する。これにより、上述した図22に示すような、ひげぜんまい108dの母材13a〜13dが形成される。母材13a〜13dのおもて面(平面81)および裏面(平面82)には、それぞれ、溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dが形成されている。
加工後のマスク層96a、96bは、たとえば、シリコン基板62を、フッ化水素酸を主成分とする公知のエッチング液に浸漬することによって除去することができる。また、第2マスク層97a、97bは、たとえば、シリコン基板62を、アセトンのような有機溶媒の液に浸漬することによって除去することができる。以降は、図23〜26と同様にして、図14および図15に示したひげぜんまい108dを形成することができる。
このように、実施の形態4の製造方法は、上述した実施の形態3と同様に、ぜんまい腕203a〜203dに段差部である溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dを設け、この溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dに中間膜53a〜53dと緩衝膜23a〜23dとを設けるひげぜんまい108dの製造方法であって、外形形状を形成する工程の後に、段差部である溝部を形成することができる。実施の形態4の製造方法においては、凹部形状である溝部71a〜71dおよび溝部72a〜72dに中間膜53a〜53dと緩衝膜23a〜23dを形成する製造方法を示したが、上述した実施の形態3と同様に、凸部形状の段差であっても同様の製造方法で製造することができる。
<実施の形態5>
つぎに、この発明にかかる実施の形態5の製造方法によって製造される、この発明にかかる実施の形態5の時計部品が組み込まれる時計の駆動機構としてのアンクル107について説明する。実施の形態5においては、上述した実施の形態1〜4と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
図31は、実施の形態5のアンクル107の構造を示す説明図である。図31においては、実施の形態5のアンクル107を図1における矢印X方向から見た平面図を示している。図32は、図31におけるD−D’断面を示す説明図である。図31および図32において、アンクル107は、機械式時計のテンプ(調速機構)104の一部品を実現する。
アンクル107は、輪列105によって伝達される動力によって回転しようとするガンギ車106を、規則正しく進めたり止めたりする。アンクル107は、アンクル107の回転中心である軸孔10から、それぞれ異なる3方向に向かって延出する1本のサオ部6と2本のウデ部7a、7bとを備えている。
サオ部6の先端には、コの字状に開口したハコ部8が設けられている。ひげぜんまい108(108a〜108c)によって規則正しい周期で回転往復運動する振り石がハコ部8に当接することに応じて、アンクル107は軸孔10を中心に、規則正しい周期で往復運動する。
ウデ部7a、7bの先端には、爪割り溝9a、9bが設けられている。爪割り溝9a、9bには、爪石と称する部品が押し込まれて固定されている。ひげぜんまい108(108a〜108c)から、振り石を介して、アンクル107に伝わった規則正しい動きは、爪石によってガンギ車106を弾くことによりガンギ車106に伝えられ、ガンギ車106を進めたり止めたりする。
このようなテンプ104においては、各部品の軽量化を図ることにより、ひげぜんまい108(108a〜108c)が発生させた動力の伝達効率を上げることができる。このため、実施の形態5のアンクル107においては、当該アンクル107の母材15を形成する第1の材料として、軽量であってかつ良好な加工性を有するシリコンが用いられている。
以上説明したように、実施の形態5のアンクル107は、シリコンを用いて母材15を形成することにより、当該母材15を形成するシリコンを、深掘りRIE技術を用いて加工することができる。具体的には、図31に示すように、アンクル107の一部に穴12を空けて、肉抜き形状にしたアンクル107を容易に実現することができる。穴12は、アンクル107を厚さ方向に沿って貫通している。アンクル107を肉抜き形状にすることにより、母材15をシリコンによって形成することによる軽量化に加えて、さらなる軽量化を図ることができる。
また、実施の形態5のアンクル107は、母材15の表面に中間膜53を形成し、中間膜53の上層にさらに緩衝膜24を形成することによって、肉抜きすることによる強度の低下に起因する破損を防止することができる。すなわち、母材15の表面に上述した各種の材料などを用いて形成される中間膜53を設けることによりシリコンのもろさを緩和し、さらに中間膜53の表面に第1の材料であるシリコンよりも粘靭性の高い第2の材料を用いて形成される緩衝膜24を設けることによりアンクル107に対する外部からの衝撃を緩和して、角部などへの応力集中によるひびや欠けをなどの破損を防止することができる。
ハコ部8は、振り石と直接接触する部分であり、ハコ部8の表面に緩衝膜24を設けると、振り石からの力の伝達効率が低下する。このため、アンクル107においては、図32に示すように、アンクル107のうちのハコ部8などのように、目的や機能に応じて、同一の部品において部分的に緩衝膜24を設けていない。
また、アンクル107などの時計部品においては、当該時計部品を用いる機械式時計の仕様などに応じて、ハコ部8の緩衝膜24に加えてハコ部8の中間膜53も除去し、母材15である第1の材料(この例では、シリコン)を露出させてもよい。これにより、振り石からの力を効率よくガンギ車106に伝達することができる。
実施の形態5においては、アンクル107を厚さ方向に沿って貫通する複数の穴12を設けて肉抜き形状としたが、アンクル107の形状はこれに限るものではない。たとえば、上述した実施の形態3で説明したように、アンクル107の表面に段差部となる溝部を設ける構成としてもよい。これにより、母材15をシリコンによって形成することによる軽量化に加えて、さらなる軽量化を図ることができる。
また、このように溝部を設けることによって軽量化を図る場合、当該溝部の形状に沿って緩衝膜53や緩衝膜24を設けたり、溝部を緩衝膜24で充填するようにしてもよい。これによって、肉抜きすることによる強度の低下に起因する破損を防止することができる。
実施の形態5においては、肉抜きによる軽量化、および、肉抜きによる強度の低下に起因する破損の防止を図った時計部品として、アンクル107を例に挙げて説明したが、これに限るものではない。このような時計部品は、アンクル107に代えて、あるいは、アンクル107に加えて、歯車(番車、ガンギ車)、テン輪などの他の時計部品によって実現することができる。
<実施の形態6>
つぎに、この発明にかかる実施の形態6の製造方法によって製造される、この発明にかかる実施の形態6の時計部品が組み込まれる時計の駆動機構としての歯車について説明する。実施の形態6においては、上述した実施の形態1〜5と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
図33は、実施の形態6の歯車の構造を示す説明図である。図33において、実施の形態6の歯車331は、軸332が嵌合される軸孔331aを備えている。歯車331は、シリコンを用いて形成された母材16を備えている。軸孔331aの内周面に位置する母材16の表面には、中間膜54が設けられている。中間膜54は、上述した各種の材料を用いて形成することができる。中間膜54の上層には、第2の材料を用いて形成された緩衝膜25が設けられている。
以上説明したように、実施の形態6の歯車331は、シリコンを用いて母材16を形成することにより、歯車331の軽量化を図り、かつ、軸孔331aの内周面に中間膜54および緩衝膜25を設けることにより、歯車331に対する外部からの衝撃を緩和して、角部などへの応力集中によるひびや欠けをなどの破損を防止することができる。
<実施の形態7>
つぎに、この発明にかかる実施の形態7の製造方法によって製造される、この発明にかかる実施の形態7の時計部品としてのエレクトレットについて説明する。実施の形態7においては、上述した実施の形態1〜6と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
図34および図35は、この発明にかかる実施の形態6のエレクトレットを示す説明図である。図34においては、エレクトレットを斜め方向から見た状態を示し、図35においては、エレクトレットを正面から見た状態を示している。図34および図35において、エレクトレット(electret:電石)340は、電場をかけることにより誘電分極する誘電体において電場をなくしても誘電分極が残留する(電場を形成し続ける)物質により形成された荷電体であって、図示を省略する発電装置などに用いられる。
エレクトレット340は、軸341が嵌合される軸穴351を備えている。エレクトレット340は、軸341を中心として、当該軸341から放射状に配置された帯電体342を備えている。帯電体342の正面には、帯電膜が設けられている。帯電膜は、たとえば、コロナ放電などの処理がおこなわれることによって、プラスあるいはマイナスの電荷に帯電している。
帯電体342と帯電体342との間には、軸341を中心とする円の円周方向に沿って、開口343が設けられている。これにより、エレクトレット340の軽量化を図ることができる。帯電体342は、図示を省略する弾性部材を介して軸341に接続される。エレクトレット340は、外部から振動が加えられた場合に、軸341の周りにおいて揺動運動するように構成されている。
実施の形態6のエレクトレット340は、シリコン製の基板を深掘りRIE技術を用いて加工することによって形成された母材を備えている。エレクトレット340の形状は、母材によって構成されている。エレクトレット340において、帯電膜が設けられた部分すなわち帯電体342の正面以外の位置には、中間膜および緩衝膜(いずれも図示を省略する)が設けられている。中間膜および緩衝膜は、帯電膜が設けられた部分以外のすべての部分に設けられ、軸穴351の内周面にも設けられている。
中間膜は、エレクトレット340の母材の表面のうち、帯電体342の正面以外を覆うように設けられている。緩衝膜は、中間膜の上層に積層され、帯電体342の正面以外を覆うように設けられている。中間膜および緩衝膜は、それぞれ、上述した実施の形態と同様の材料を用いて形成されている。
このようなエレクトレット340は、軽量化が求められる一方で、非常に微細な部品であるため、シリコンなどを用いて形成すると、外部からの衝撃に対する耐性が低くなることが懸念される。実施の形態6のエレクトレット340は、母材の表面のうち、帯電体342の正面以外の位置に中間膜および緩衝膜が設けられているため、母材15をシリコンによって形成することによる軽量化を図るとともに、中間膜および緩衝膜によって外部からの衝撃を緩和することができる。
また、エレクトレット340においては、軸穴351の内周面に中間膜および緩衝膜を設けることにより、軸穴351の内周面と軸341の外周面とが、緩衝膜を介して接触する。これにより、軸穴351に軸341を嵌め込む場合にエレクトレット340に対して衝撃が加えられた場合にも、当該衝撃を緩和することができる。これにより、軸穴351に軸341を嵌め込む際にエレクトレット340が割れたりひびが入ったりすることを防止できる。
<実施の形態8>
つぎに、この発明にかかる実施の形態8の製造方法によって製造される、この発明にかかる実施の形態8の時計部品としての軸石について説明する。実施の形態8においては、上述した実施の形態1〜7と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
図36および図37は、機械式時計における駆動機構の一部を示す説明図である。図36において、機械式時計における駆動機構は、ルビーなどの石によって形成される軸受けである軸石361を備えている。図36に示す軸石361は、円板形状をなし、中央部に軸穴361aが形成されている。
機械式時計において、軸石361は、たとえば、図36に示すように、地板362に切り欠き363を形成し、当該切り欠き363内に軸石361を嵌め込むことによって保持する。切り欠き363は、軸石361に対して複数箇所で当接するように突出する突出部362aを備え、軸石361の外表面の形状とは異型形状をなす。
切り欠き363は、軸石361がちょうど切り欠き363内に嵌り込むような同型形状ではなく、切り欠き363の内側に向かって突出する複数の突出部362aを軸石361の外周面に当接させることによって軸石361を支持する。切り欠き363は、軸石361に対して、突出部362aを介して矢印で示す方向に当接力を作用させることによって軸石361を支持する。
このように、突出部362aを軸石361に当接させることによって軸石361を保持する場合、確実に保持するためには、軸石361に対して突出部362aを強く当接させる必要があるが、強く当接させることにより軸石361における突出部362aが当接する位置に負担がかかる。一方で、軸石361に対する突出部362aの当接力が弱いと、軸石361を十分に保持することが難しい。特に、地板362の外側の端部(外際)に軸石361を配置する場合、軸石361を保持することが難しい。
これに対し、実施の形態8の軸石361は、ルビーやシリコンなどを第1の材料として形成されている母材の表面に、中間膜を設け、当該中間膜の上層に緩衝膜を設けることによって形成されている(いずれも詳細な図示および符号を省略する)。すなわち、軸石361の母材は、中間膜および緩衝膜によって覆われている。
このように、母材の表面に中間膜および緩衝膜を設けた軸石361とすることにより、当該軸石361を強く保持するために軸石361に対して突出部362aを強く当接させた場合にも、軸石361を損傷することなく、当該軸石361を確実に保持することができる。
軸石361は、図36に示した形状に限らない。たとえば、図36に示した形状の軸石361は、に代えて、図37に示すような形状の軸石371としてもよい。軸石371は、地板362の端部(外際)から内側に入り込み、地板362の内側において横方向に広がるように切り欠かれた切り欠き373に嵌め込まれることによって支持されている。軸石371は、切り欠き373と同様の形状を有し、地板362の端部よりも内側が横方向に広がる、略T字形状をなしている。また、軸石371は、中央部から端にずれて、軸穴371aが形成されている。シリコン素材をフォトリソグラフィで加工した軸石371を用いれば、このように異型形状の作製も容易である。
このような形状の軸石371および切り欠き373とすることにより、軸石371を安定して保持することができる。これにより、軸穴371aを地板362の端部(外際)に近い位置に配置することができる。軸石の形状は、図36や図37に示した形状に限るものではなく、たとえば、地板362の端部(外際)に頂角が配置されるように地板362によって支持された三角形状の軸石としてもよい。このような三角形状の軸石においては、地板362の端部(外際)に配置された頂角に軸穴を設けることができる。
<実施の形態9>
つぎに、この発明にかかる実施の形態9の製造方法によって製造される、この発明にかかる実施の形態8の時計部品としてのバックラッシュ補正部材について説明する。バックラッシュ補正部材は、機械式時計における輪列105あるいはネジなどのように、歯車(あるいはネジ)と互いに嵌合して運動を伝達する機構において、当該機構における歯車(あるいはネジ)の運動方向に意図的に設けられた隙間(いわゆる、バックラッシュ)を補正するために設けられる。バックラッシュ補正部材については、従来技術として、たとえば、特許第4851945号に記載されている。
具体的には、バックラッシュ補正部材は、たとえば、歯車(あるいはネジ)が嵌合相手と嵌合する歯(あるいはネジ山)の位置に設けられる。あるいは、バックラッシュ補正部材は、歯車(あるいはネジ)と嵌合相手との間に設けられる。バックラッシュ補正部材は、歯車(あるいはネジ)と嵌合する歯部を備え、当該歯部を介して歯車(あるいはネジ)の回転が伝達された場合、歯車(あるいはネジ)と連動して回転する。歯部は、回転方向に対して弾性変形するように構成されている。これにより、バックラッシュ補正部材は、歯車(あるいはネジ)と嵌合相手との間のバックラッシュを補正する。
このバックラッシュ補正部材における、少なくとも歯部を母材とし、当該母材である歯部に、上述した中間膜および緩衝膜を設ける。これにより、歯車(あるいはネジ)などの動力が伝達されることによる衝撃を緩和して、当該歯車(あるいはネジ)がバックラッシュ補正部材の歯部へ衝突することによって当該歯部に応力が集中することに起因する、バックラッシュ補正部材のひびや欠けを防止することができる。また、緩衝膜を設けることにより、衝撃を緩和することができるので、バックラッシュ補正部材および当該バックラッシュ補正部材に衝突する歯車やネジなどの損傷を防止することができる。
以上のように、この発明にかかる時計部品および時計部品の製造方法は、時計における機械部品を構成する時計部品および時計部品の製造方法に有用であり、特に、機械式時計の調速機構に用いられる時計部品および時計部品の製造方法に適している。
108、108a、108b、108c ひげぜんまい
2 ぜんまい部
3 ひげ玉
4 ひげ持
5 アンクル
6 サオ部
7a、7b ウデ部
8 ハコ部
9a、9b 爪割り溝
10 軸孔
11a〜11d、13a〜13d 母材
21a〜21d、22a〜22d、23a〜23d、24a〜24d、25a〜25d 緩衝膜
31 貫通孔
32 接続部
51a〜51d、52a〜52d、53a〜53d、54、55a〜55d 中間膜
60、61、62 シリコン基板
80 側面
81、82 平面
331 歯車
331a 軸孔
340 エレクトレット
341 軸
342 帯電体
351、361a、371a 軸穴
361、371 軸石
362 地板
363、373 切り欠き
500、510、520、530 露光マスク

Claims (8)

  1. 第1の材料を主成分として形成された母材の表面に、複数の帯電体が設けられたエレクトレット部品であって、
    前記母材の表面の帯電体が設けられた部分以外の位置に、
    中間膜と、
    前記中間膜に積層され、前記第1の材料よりも粘靱性の高い第2の材料を主成分とする緩衝膜と、
    を備えたことを特徴とするエレクトレット部品。
  2. 前記母材の、前記複数の帯電体の間に開口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のエレクトレット部品。
  3. 前記母材は円板形状であり、前記母材は、軸が嵌合される軸穴を備え、
    前記軸穴の内周面に、前記中間膜と、前記緩衝膜と、を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のエレクトレット部品。
  4. 前記第1の材料は、シリコンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のエレクトレット部品。
  5. 前記第2の材料は、樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のエレクトレット部品。
  6. 前記中間膜の材料は、金属であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のエレクトレット部品。
  7. 前記金属は、銅、金またはニッケルであることを特徴とする請求項6に記載のエレクトレット部品。
  8. 請求項1〜7のいずれか一つに記載のエレクトレット部品を用いることを特徴とする発電装置。
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