JP6723160B2 - 薬液注入装置 - Google Patents

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Description

本発明は、患者に薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入システム等に関し、特には、例えば心筋解析検査のために患者に血管拡張剤と造影剤とを注入する薬液注入システム等関する。
現在、医療用の画像診断装置として、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、超音波診断装置、血管造影(アンギオグラフィ)撮像装置等が知られている。このような撮像装置を使用する際、患者に造影剤や生理食塩水など(以下、これらをまとめて単に「薬液」とも言う)を注入することがある。
現在、心筋虚血などの心疾患を検査するため、心筋に負荷を付与する血管拡張剤を薬液として患者に注入し、心臓およびその周辺の透視画像を撮像することもある。その場合、例えば、最初に血管拡張剤を注入し、その後、造影剤も注入する方法もある。この検査においては、注入された薬液による効果があらわれている状態でスキャンを行うことで、負荷状態の心臓断面画像が撮像される。続いて、必要に応じて中和剤を注入し、心筋に負荷がかかっていない安静状態の透視画像が造影されて撮像される。そして、こうして得られた両状態の心臓断面画像に基づいて、心筋虚血評価が行われる。なお、安静状態を最初に撮像してから負荷状態を撮像する手法もある。その場合は当然ながら安静状態を撮像してから負荷状態を撮像するまでに中和剤を注入する必要はない。
特許文献1には、血管拡張剤や造影剤を注入することができるMRI用の薬液注入システムが開示されている。同文献の手技では、MRI装置を利用して心筋解析検査を実施することができる。
特許4623943号
ところで、心筋解析検査を行う場合、MRI装置であれば患者の被曝の問題はないことから、患者に薬液を投与した後、ある一定時間にわたって撮像を継続することができる(言い換えれば比較的長時間のダイナミック撮像を行うことができる)。これに対して一般的にCT装置の場合、従来、被曝の観点から長時間にわたって撮像を行うのは好ましくない。また、心臓のような断続的に動いている対象を撮像するには高速な撮像を行う必要がある(たとえば心臓の拡張期または収縮期のタイミングで撮像する)。このようにCT撮像においてはなど幾つかの課題があった。
一方で、近年、CT装置の高性能化が進んできており、CT装置を利用した心筋解析検査も提案されるようになってきている。CT装置で心筋解析検査が行えれば、MR装置やSPECT装置(核医学検査(RI:ラジオアイソトープ検査などとも呼ばれる)を行うための装置で、患者に投与した放射性薬剤からの放射線を検出する機器を有する)を備えていない施設でも簡便に実施できるという利点がある。このようなCT装置を利用した心筋解析検査は簡便で有用である。この場合も、血管拡張剤を薬液として患者に適切なタイミングで適切な量・速度で注入できるシステムの開発が望まれる。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、例えば心筋虚血検査のために患者に血管拡張剤と造影剤等とを適切な注入条件で自動注入することができるシステムを提供することにある。なお、本出願は、上記目的以外の目的の他の発明をも開示する。
上記課題を解決するための本発明の一形態の薬液注入システムは下記のとおりである:
輸液ポンプと、
薬液注入装置と、
を備えた薬液注入システムであって、
前記輸液ポンプは、心筋解析検査用の薬剤が充填されたシリンジのピストン部材を移動させるピストン駆動機構を有するものであり、
前記薬液注入装置は、
造影剤が充填されたシリンジのピストン部材を移動させるピストン駆動機構を少なくとも有する注入ヘッドと、
ディスプレイと、
制御部と、を有し、
前記制御部は、前記ディスプレイに、
前記注入ヘッドの注入動作条件、および、前記輸液ポンプの注入動作条件を含む注入プロトコルを設定するための設定画面を表示するように構成されている、
薬液注入システム。
「輸液ポンプの注入動作条件」は、(i)薬液の注入速度、注入量、注入時間、注入時刻(一部または全部)のような情報を含むものであってもよい。または、(ii)単に、輸液ポンプ側の動作開始および/または動作終了のタイミングの情報のみを含むものであってもよい。
(用語の説明)
(I.薬液注入装置の一般的説明)
「薬液注入装置」は、一形態では、次の構成要素を備えている:ピストン駆動機構、制御部(制御ユニット)、および、ディスプレイ等。ここで、これらの構成要素は、薬液注入装置を構成するいずれの機器に備えられていてもよい。すなわち、薬液注入装置が注入ヘッドおよびコンソール等を備える場合には、(i)注入ヘッドにピストン駆動機構が備えられ、コンソールに制御部とディスプレイとが備えられてもよいし、(ii)注入ヘッドとコンソールの双方に制御部が設けられもよいし、(iii)注入ヘッドとコンソールの双方にディスプレイが設けられもよい。このような制御部(制御ユニット)が、例えば撮像装置の一部として設けられていてもよい。
「注入ヘッド」は、基本的には、シリンジを保持する1つまたは複数のシリンジ保持部と、そのシリンジのピストンを前進および/または後退させる1つまたは複数のピストン駆動機構と、制御回路(制御部)とを有する。シリンジの装着方法としては、主に、(i)シリンジ保持部が、一例で、ヘッド上面の凹部として形成されそこにシリンジがセットされるいわゆるサイドローディングのタイプと、(ii)シリンジ保持部がヘッド前面に形成されシリンジの基端部が保持されるいわゆるフロントローディングのタイプとがある。本発明の一形態においては、いずれのタイプの注入ヘッドをも含む。また、シリンジ内から薬液を送出するもの以外として、例えば所定の収納体内から薬液を押し出すことにより薬液を送出する方式するものも本願の「注入ヘッド」に含まれうる。
「輸液ポンプ」とは、注入ヘッドとは別体に設けられた独立の機器である。輸液の方式は、ローラー方式、フィンガー方式、ボルメトリック方式、ミッドプレス方式、シリンジ方式(いわゆるシリンジポンプ)等のうちいずれであっても構わない。
「輸液ポンプ」は、一例で、注入ヘッドと同様、シリンジを保持する1つまたは複数のシリンジ保持部と、そのシリンジのピストンを前進および/または後退させる1つまたは複数のピストン駆動機構と、制御回路(制御部)とを有する。
薬液注入装置または注入ヘッドは、次のようなもののうち1つまたは複数を有してもよい:
−1つまたは複数の圧力センサ、
−1つまたは複数のシリンジ検出センサ(例えば磁石センサ、ホールセンサ、光学センサ、接触式センサ、物理的スイッチ等)、
−1つまたはシリンジピストン検出センサ(例えば磁石センサ、ホールセンサ、光学センサ、接触式センサ、物理的スイッチ等)、
−1つまたは複数の傾斜センサ、
−1つまたは複数の回転検出センサ(例えばロータリエンコーダ、または、回転に応じてスリットにより光の遮断・非遮断状態が切り換わりこれによりパルス信号が生成されそれを利用して位置計測を行うことができるカウンタ等)、
−1つまたは複数のモータ電流検出器、等。
なお、上記のような部品または要素を輸液ポンプが備えていてもよい。
・圧力センサ:圧力センサは、例えばピストン部材を押す圧力を検出するためのものであり、これにより、薬液の圧力推定値を求めることができる。圧力センサは、一例でロードセルであってもよい。ロードセルは、ピストン駆動機構のラム部材がピストン部材を押す圧力を検出できるような位置に設けられていればよい。ロードセルの検出結果を利用して、例えば、薬液を注入しているときの薬液の圧力の推定値を求める場合、その算出は、注入回路の抵抗(例えば針のサイズ等)、薬液の濃度、注入条件なども考慮して行われてもよい。他の態様では、薬液の圧力を直接的に検出する圧力センサなどを有していてもよい。さらに他の態様では、例えば所定の押圧力でスイッチがオン/オフされるようなスイッチを利用し、例えば、所定の押圧力でそのスイッチが押されたときに一定圧力に達していることを判定するような方式も採用し得る。
・シリンジ検出センサ:シリンジ検出センサは、シリンジ、アダプタ、および/または保護ケースが装着されたか否かを検出する、あるいは、どのような種類のシリンジ、アダプタ、および/または保護ケースが装着されたかを判定するのに用いられるものである。このようなセンサとしては、接触式または非接触式のいずれであってもよく、例えば次のようなものを利用できる:物理的な接触を利用した接触センサ、電気的に対象物を検出する電気センサ、磁気センサ、ホールセンサ、光センサ、近接センサ、等。
・傾斜センサ:傾斜センサは、注入ヘッドの傾きを検出する。一般に、この種の注入ヘッドは、その前端側(つまりシリンジ側)が上方となるような姿勢でシリンジ内への薬液吸引が実施される。一方、薬液注入は、注入ヘッドの前端側が相対的に下方となるような姿勢(先端側をやや下に向けた姿勢)で実施される。傾斜センサの検出結果を用いることで、例えば、望ましくない姿勢での薬液吸引または薬液注入することを防止することも可能である。
・ロータリエンコーダ:ピストン駆動機構のモータや送りネジの回転数および/または回転方向を検出するためのロータリエンコーダ等が設けられていてもよい。
・モータ電流検出器:ロードセル等を用いずモータ電流に基づいて薬液の圧力推測値を算出することも可能である。この方式においては、モータ電流検出器により、モータの動作中、モータ電流を監視し、そのモータ電流に基づいて薬液の圧力推定値を求める。
薬液注入装置または注入ヘッドは、さらに、次のようなもののうち1つまたは複数を有してもよい:
−1つまたは複数のヘッドディスプレイ、
−1つまたは複数のヘッド状況表示部、
−1つまたは複数の物理ボタン、
−1つまたは複数のRFID通信デバイス、
−1つまたは複数のデータレシーバ、
−1つまたは複数のデータトランスミッタ、等。
なお、上記のような部品または要素を輸液ポンプが備えていてもよい。
・ディスプレイ:所定の情報を表示するためのディスプレイが注入ヘッドに設けられていてもよい。ディスプレイは、例えば、注入ヘッドの筐体の一部に設けられていてもよい。あるいは、筐体とは別体に用意されたサブディスプレイであってもよい。ディスプレイは、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Organic Electro−Luminescence)ディスプレイ等を利用した表示部であってもよいが、LED(Light Emitting Diode)を利用した表示部であってもよい。このディスプレイに表示される内容としては、特に限定されないが、次のようなものであってもよい:注入動作中の所定の状態表示、注入予定の薬液注入条件、注入された薬液注入条件、薬液注入量、薬液圧力、注入速度、等。
例えば、注入ヘッドの筐体の一部に、注入ヘッドの所定の状態を医師又は医療従事者に知らせるための所定の発光部が設けられていてもよい。光源としては、一例でLED(Light Emitting Diode)等を利用できる。このような発光部は、ヘッド状況表示部としての機能を有し、発光色や発光パターンを変化させることにより、注入ヘッドの種々の状況を医師又は医療従事者に知らせることができる。
・物理ボタン:物理ボタンとしては、特に限定されないが、次のようなものであってもよい。ラム部材を前進させるための前進ボタン、ラム部材を後退させるための後退ボタン、前進ボタンまたは後退ボタンと同時に押すことでラム部材の移動速度を早くするアクセラレータボタン、および、ヘッドの動作を停止させる停止ボタン等。これらの物理ボタンは注入ヘッドの筐体の上面、側面、下面、後端面等に適宜配置可能である。二筒式の注入ヘッドの場合、一方のピストン駆動機構のための物理ボタンの配置と、他方のピストン駆動機構のための物理ボタンの配置とが非対称となっていてもよい。
・RFID通信デバイス:シリンジ、アダプタ、または保護カバーにICタグなどのデータキャリア手段が付されている場合には、同タグの情報を読み取る無線通信デバイスが設けられていてもよい。この無線通信デバイスは、単にICタグからデータの読取りを行うRFIDリーダであってもよいし、または、ICタグにデータの書込みを行うことも可能なRFIDリーダ/ライタであってもよい。
「データキャリア手段」に記録されている情報としては、(i)シリンジであれば、例えば、充填されている薬液に関する、製造メーカ、薬液の種類、品番、含有成分(特に、薬液が造影剤の場合はヨード含有濃度など)、充填量、ロット番号、消費期限等から選ばれる1つまたは複数の情報であってもよい。また、シリンジに関する、製造メーカ、品番といった固有識別番号、許容圧力値、シリンジの容量、ピストンストローク、必要な各部の寸法、ロット番号などから選ばれる1つまたは複数の情報であってもよい。(ii)薬液バッグのような薬液収容容器であれば、例えば、収容されている薬液に関する、製造メーカ、薬液の種類、品番、含有成分(特に、薬液が造影剤の場合はヨード含有濃度など)、充填量、ロット番号、消費期限等から選ばれる1つまたは複数の情報であってもよい。「データキャリア手段」とは、所定のデータを記憶可能な媒体のことをいい、具体的には、バーコード(一次元バーコード、二次元バーコード)やRFIDタグ(本明細書ではICタグともいう)等が含まれる。好ましくは、非接触で情報の読込みを行えるものである。
・データレシーバ:データレシーバは、有線または無線により、外部から注入ヘッド等に対して送信されたデータを受けるためのものである。データレシーバは、一例で、次のようなデータを外部から受けるようになっていてもよい:撮像装置によって生成された任意のデータ、病院システムによって生成された任意のデータ、等。
・データトランスミッタ:データトランスミッタは、有線または無線により、注入ヘッド等から外部に対して所定のデータを送り出すためのものである。データレシーバおよびデータトランスミッタの通信プロトコルは、通信の相手方である他の機器との通信方式を考慮して適宜好適なものを採用すればよい。なお、外部機器との通信を行うデータトランスミッタ等はコンソールまたはその他の機器に設けられていてもよい。データトランスミッタにより注入ヘッドから外部に送信可能なデータとしては、次のようなものの1つまたは複数であってもよい:使用された造影剤の名称等(造影剤識別情報)、造影剤の注入総量、造影剤の注入時間、造影剤の注入圧力、造影剤の注入速度、設定した注入プロトコル等。また、次のようなものの1つまたは複数:患者の識別情報(例えば患者ID)、検査識別情報(例えば検査ID)、撮像時刻に関する情報、等。このような情報は、上述した造影剤に関する情報と組み合わせて送信されてもよい。
注入ヘッドおよびコンソールは、外部機器と通信を行うための通信部が設けられていてもよい。この通信部を介して外部機器から入力された注入条件に応じて、造影剤の注入量や注入の速度等を調節するようにピストン駆動機構が動作制御されるように構成されていてもよい。こうした通信部を輸液ポンプが備えていてもよい。
なお、コンソールに、または、他の機器(薬液注入装置の一部を構成する)に、上記のようなレシーバおよび/またはトランスミッタが備えられ、コンソール等が外部の機器(例えば撮像装置や、ネットワーク上の所定のサーバ等)データの送受信可能に構成されていてもよい。
・異常検出について:上記のような各種センサを利用して、次のようなもののうち1つまたは複数の注入異常を検出可能に構成されていることが好ましい。
−ピストン駆動機構が正常に動作しないことによる注入異常、
−シリンジが注入ヘッドに正常に搭載されていないことによる注入異常、
−シリンジ内に注入動作を行うに足りる薬液が残存していないことによる注入異常、
−カテーテルや注射針が患者に正常に挿入されていないことによる注入異常、
−薬液経路の途中でキンクが生じているなどに起因した注入異常、
−検出される薬液の圧力値が所定の範囲(上限および下限を有する所定範囲、または、所定の上限リミット、所定の下限リミットなど)にないという注入異常、等。
−薬液注入時、例えば、薬液経路が詰まったりしている場合には、ピストン駆動機構の駆動力が所定範囲を上回ることとなる。他方、注入針が患者から抜けているような場合には、駆動力が所定範囲を下回ることとなる。このような駆動力の変化をみることによって、薬液が正常に注入されているか否を検知できる。
−センサにより、所定量の薬液が正常に装填されていないことが検知された場合、その検知結果が通信部から外部に送信されてもよい。
−その他、例えば、延長チューブの途中に圧力を測定する圧力センサを設け、薬液が所定の圧力で注入されているかを検知してもよい。
上記のような異常検出機能を輸液ポンプが備えていてもよい。
「薬液」とは、例えば、造影剤、生理食塩水、またはそれらを混合したもの、あるいはその他の液剤(例えば血管拡張剤やベータブロッカー等)などをいう。
「造影剤」の具体例としては、ヨード濃度240mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度3.3Pa・s、比重1.268〜1.296)、ヨード濃度300mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度6.1mPa・s、比重1.335〜1.371)、ヨード濃度350mg/mlの造影剤(例えば、37℃において粘度10.6mPa・s、比重1.392〜1.433)等がある。なお、ヨード系以外にも、MRI検査で用いられるガドリニウム系の造影剤であってもよい。
「生理食塩水」の生理食塩水の具体例としては、生理食塩水20mL中に塩化ナトリウム180mgを含有した生理食塩水(例えば、20℃において粘度0.9595mPa・s、比重1.004〜1.006)等がある。
「注入プロトコル」とは、どのような薬液を、どれくらいの量、どれくらいの注入速度および注入時間で注入するか等を示すものである。
「注入条件」とは、どのような薬液をどのような注入パターンで注入するかを示す条件のことをいう。具体的には、注入量、注入時間、注入速度といったパラメータによって規定される。
「身体区分」とは、患者の体のうちどの区分が撮像されるのかを示すものであり、例えば頭部、胸部、腹部、脚部などの区分が該当する。
「撮像部位」とは、撮像される部位(すなわち、造影する部位)をいい、例えば心臓、肝臓、腎臓などの臓器や、血管や、腫瘍部などが該当する。
「リアルタイム」とは、コンピュータによるリアルタイム処理に関連するものであり、必ずしも同時である必要はなく、コンピュータの処理等に起因する若干の遅れを含むものであってもよい。
「モジュール」とは、有形な要素だけでなく、例えば所定の機能を果たすコンピュータプログラムの要素のことをも意味する。
「コンピュータ」とは、一般的にコンピュータと呼ばれている集積回路のみに限らず、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理コントローラ、特定応用向け集積回路、及び他のプログラム可能な回路を広範に指すものとする。デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、またはタブレット型コンピュータ等を含む。「コンピュータ」は、別の言い方をすれば、コンピュータプログラムをデータ読取して対応する処理動作を実行できるハードウェアであれば良く、例えば、CPU(Central Processing Unit)を主体として、これに、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/F(Interface)ユニット、等の各種デバイスが接続されたハードウェアなどである。
なお、本発明で云う各種手段は、その機能を実現するように形成されていれば良く、例えば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与されたデータ処理装置、コンピュータプログラムによりデータ処理装置の内部に実現された所定の機能、これらの組み合わせ、等で良い。
また、本発明で云う各種手段は、個々に独立した存在である必要もなく、複数の手段が1個の装置として形成されていること、ある手段が他の手段の一部であること、ある手段の一部と他の手段の一部とが重複していること、等も可能である。
また、本発明で云う記憶媒体とは、コンピュータに各種処理を実行させるためのコンピュータプログラムが事前に格納されたハードウェアであれば良く、例えば、コンピュータに固定されているメモリおよびHDD(Hard Disc Drive)、コンピュータに交換自在に装填されるCD(Compact Disc)−ROMおよびFD、不揮発性のメモリカード(フラッシュメモリ)等で実施することが可能である。
「接続」−本明細書において、所定の機器と他の機器とが接続されていると言った場合には、有線接続または無線接続のいずれの態様であってもよい。また、他の機器を制御することができるように一方向または双方向に接続されている形態は、「操作可能に接続(operably connected/linked)」と表すこともできる。
「電気的に接続」とは、一方向または双方向に電気的信号の送信が行えるように構成要素どうしが接続されていることをいい、有線接続または無線接続のいずれの形態であってもよい。また、構成要素どうしが互いに直接接続されているものに加え、他の要素を介して間接的に接続されている場合も含む。
「制御部」とは、一形態では、CPUおよびメモリ等を有し演算処理を行うものであり、「コントローラ」、「プロセッサ」、「コントローラユニット(制御ユニット)」、「コントローラ回路(制御回路)」、「コントローラモジュール(制御モジュール)」、「プロセッサ部」、「演算部」、「プロセッサユニット」、「プロセッサモジュール」等と呼ぶこともできる。「制御部」は、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、プログラマブル論理コントローラ、特定応用向け集積回路、および他のプログラム可能な回路などで構成することができる。本明細書において、「制御部」は、物理的に1つの構成であってもよいが、2つまたは3以上の制御部が機能的に協働して1つの「制御部」を構成するものであってもよい。
制御部における基本的な処理は、一例で、まずメモリに記憶されたコンピュータプログラムを読み込み、次にコンピュータプログラムの指示に従って入力装置や記憶装置からデータを受け取り、そのデータを演算・加工した上で、データをメモリなどの記憶装置やディスプレイなどの出力装置に出力するというものである。
「コンピュータプログラム」は、それを記憶した記憶媒体を所定の装置・デバイス・機構等で読み出し、それらのコンピュータを所定の機能で動作させるものであってもよい。この場合、コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は本発明の一形態を構成することになる。また、コンピュータプログラムは、通信ネットワーク(一例でインターネット)を介して提供されるものであってもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分プログラムであってもよい。
「入力装置/入力デバイス」(コンピュータシステムに対する入力手段)としては、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックボール、手動によりまたは機械によって操作される物理的スイッチ、マイク、音声入力、グラフィカル・ユーザ・インターフェース等であってもよい。医師又は医療従事者の動きを認識(一例で非接触)してその動きに応じた所定の入力を認識するものであってもよい。
「部(「エレメント」または「モジュール」等としても表現できる)」−本明細書で例えば「(機能の名称)」+「部」で表わされるものは、コンピュータの機能として実現可能なものである。このような「部(エレメント)、モジュール等」」は、システムにおけるいずれの機器に備わっていてもよい。また、必ずしも1つの機器内に備わっている必要はなく、相当する機能が2つ以上の機器に分散して備えられていてもよい。さらに、通信ネットワーク(例えばインターネット)を介して、所定の1つまたは複数の「部」のみが外部のサーバ等に備えられていてもよい。このような「部(エレメント)、モジュール等」」は、コンピュータが論理的に有する各種の機能であってもよい。
「手段」および「部」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random AccessMemory)、I/F(Interface)ユニット等を有するハードウェア、これらハードウェアを動作させるためのソフトウェア、センサ等の1つまたは複数により構成されるものであってもよい。それらは専用の機構であっても、また他の手段を兼ねていても良いし、さらにコンピュータシステム上の論理的な構成であってもよい。これらの具体的構成は、本明細書を参照することにより、当業者は容易に構成することができる。
「グラフィカル・ユーザ・インターフェース」(GUI)とは、例えば、画面上のアイコン、画像ボタン、プルダウンメニュー、または数値入力ウィンドウなどを、カーソルによりまたはタッチパネルの場合にはタッチすることにより、視覚的に操作できるインターフェースのことをいう。
「アイコン」とは 、(i)所定の情報を表示しかつ操作者によって選択することができるものと、(ii)単に所定の情報を表示するためのものであって選択できるようには構成されていないものとの両方を含むものであってもよい。画面に表示される全てまたは一部のアイコンは、それぞれの表示箇所をタッチペンあるいは操作者の指等でタッチすることで、または、画面上のカーソルによって、選択可能である。
(注入プロトコル設定の基本的な考え方)
患者に注入すべき造影剤の量は、以下のように決定可能である。すなわち、本注入においては、造影剤の注入量(ml)は、患者の体重(kg)や所定の比例係数等をパラメータとする計算式で計算できる。この比例係数は、患者の体重1kg当たりの必要なヨード量(mgI/kg)および造影剤のヨード濃度(mgI/ml)に基づいて決定することができる。例えば、患者の体重をW(kg)、必要なヨード量をI(mgI/kg)、ヨード濃度をC(mgI/ml)としたとき、造影剤の注入量は、
式:造影剤注入量(ml)=W(kg)×I(mgI/kg)/C(mgI/ml)
で計算できる。または、単位体重および単位時間当りの必要なヨード量をI’(mgI/kg/sec)、造影剤の注入時間をT(sec)としたとき、
式:造影剤注入量(ml)=W(kg)×(I′(mgI/kg/sec)/C(mgI/ml))×T(sec)
によって造影剤の注入量を計算することもできる。
本注入における造影剤の注入量を計算するためには、一例で患者の体重、必要なヨード量、およびヨード濃度が入力され、これら入力されたデータを用いて、コンピュータが、本注入での造影剤の注入量を算出してもよい。なお、これらの情報の一部は、例えば、医師又は医療従事者によって手入力されてもよいし、シリンジのICタグから読み取られてもよいし、または外部のサーバ内の情報(例えば病院システムの電子カルテ等)から取得されてもよい。
(II.撮像装置)
撮像装置としては、例えばX線CT装置等であってもよく、一般的には、撮像部(一例でガントリ)と、患者を載せるベッド(寝台)と、それらの動作を制御する動作制御部と、透視撮像データを収集処理するデータ収集部と、全体の動作を制御するメインコントローラ等を有している。メインコントローラは、例えばコンソールとして設けられることもある。撮像装置は、また、所定の情報を表示する1つまたはそれ以上のディスプレイを有することもある。
撮像装置と薬液注入装置との間、撮像装置のその他の機器との間、薬液注入装置とその他の機器との間といった、機器間の通信プロトコルとしては種々のものを利用でき、例えば、CANopen、HL7、DICOM等のプロトコルが挙げられる。
本発明によれば、例えば心筋虚血検査のために患者に血管拡張剤と造影剤等とを適切な注入条件で自動注入することができるシステムを提供することができる。
本発明の一形態のシステムを模式的に示す図である。 本発明のシステムの模式的なブロック図である。 コンソールの制御部のブロック図の一例である。 病院システムの一例である。 注入ヘッドおよびそれに装着されるシリンジ等を示す斜視図である。 注入ヘッドと輸液ポンプとを示す斜視図である。 輸液ポンプの平面図である。 輸液ポンプの操作部の一例である。 本発明のシステムのグラフィカル・ユーザ・インターフェースの一例である。 本発明のシステムのグラフィカル・ユーザ・インターフェースの一例である。 本発明のシステムのグラフィカル画像の一例である。 本発明のシステムのグラフィカル画像の一例である。 心筋解析検査(負荷状態)のフローチャートである。 本発明の別の形態のシステム模式的なブロック図である。 本発明の別の形態の輸液ポンプの斜視図である(前面側から見た全体)。 図12の輸液ポンプの斜視図である(後面側から見た一部)。 表示部に表示される表示内容の一例を示す図である。 前進、後退、注入中の表示例を示す図である。 圧力、シリンジ、ラムに関するアラーム表示例を示す図である。 状態遷移図である(全般)。 状態遷移図である(前進および停止)。 状態遷移図である(オートリターンおよび停止)。 状態遷移図である(注入および停止)。
本発明の実施の形態を図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明では、基本的に、図面に表された1つの具体的な形態に基づいて説明を行うが、各構成の具体的形態は特定のものに限定されるものではない。
本実施形態の撮像システム1は、図1に例示するように、撮像装置1100と、薬液注入装置100と、輸液ポンプ410とを備える。撮像システム1は、図3に例示するように、病院システムの一部を構成するものであってもよい(詳細後述)。
薬液注入装置100は、一例で可動式スタンド180に保持された複数の注入ヘッド110と、コンソール150とを備えている。注入ヘッド110には第1の薬液(例えば造影剤)の入ったシリンジ200Cと、第2の薬液(例えば生理食塩水)が入ったシリンジ200Sとが装着される。
なお、以下の説明では、シリンジ200C、200Sを区別せずに単に「シリンジ200」ということもある。「注入ヘッド」は、インジェクタまたはインジェクションヘッドなどとも呼ばれる。
以下、本実施形態のシステムの各構成について次の順序で説明する:
1.薬液注入装置
(1)注入ヘッド
(2)輸液ポンプ
(3)コンソール
2.撮像装置
3.病院システム
4.動作
5.他の実施形態
なお、輸液ポンプは、注入ヘッドと機能的に共通する構成を幾つか有するものであるので説明の都合上、1.(2)で説明しているが、薬液注入装置とは別の装置であることに留意されたい。
1.薬液注入装置
(1)注入ヘッド
注入ヘッド110としては、一例で、2本のシリンジを装着可能な二筒式のものとして構成されている(図1、図2A、図4参照)。一方のシリンジ200Cに造影剤が充填され、もう一方のシリンジ200Sに生理食塩水が充填されていてもよい。他の態様では、2本とも造影剤(濃度が異なる)であってもよいし、または、造影剤と所定の希釈剤とでもあってもよい。
(シリンジ)
シリンジ200の構成は概略次のとおりである。シリンジ200は、図4等に示すように、中空筒状のシリンダ部材221と、そのシリンダ部材221にスライド自在に挿入されたピストン部材222とを有している。シリンダ部材221は、その基端部にシリンダフランジ221aが形成されるとともに先端部に導管部221bが形成されたものであってもよい。ピストン部材222をシリンダ部材221内に押し込むことにより、シリンジ内の薬液が導管部221bを介して外部に押し出される。
なお、シリンジは予め薬液が充填されたプレフィルドタイプであってもよいし、空のシリンジに薬液を吸引して使用する吸引式のものであってもよい。「ピストン部材」は必ずしも図示のような長いロッドのものに限らず、いわゆるロッドレスタイプのもの(単に「プランジャ」などと称することもできる)であってもよい。なお、このことは後述する輸液ポンプにセットされるシリンジについても同様である。
(チューブ)
各シリンジ200の導管部221bには、延長チューブ(エクステンションチューブ)230が連結される。延長チューブ230は、いわゆるT字管またはY字管であってもよく、図4に示すように、一方のシリンジ200Cの導管部221bから分岐部まで延びるチューブ231aと、他方のシリンジ200Sの導管部221bから分岐部まで延びるチューブ231bと、分岐部から患者に向けて延びるチューブ231cとを有するものであってもよい。チューブ231cの先端側(不図示)には例えば注入針が接続される。この注入針を患者の血管に穿刺して、シリンジ200Cおよび/またはシリンジ200S内の薬液を押し出すことで血管内に薬液が注入される。
なお、造影剤と生理食塩水とを同時注入する際に、両者を良好に混和させることができるように、スパイラルチューブと呼ばれるチューブを利用してもよい(例えば株式会社根本杏林堂社製のミキシングチューブ、「SPIRAL FLOW」チューブ(登録商標)等)。このスパイラルチューブでは、造影剤と生理食塩水との合流部に、旋回流を生じさせるコネクタ(不図示)が設けられている。
(ICタグ)
シリンジの一部にICタグ225が付されていてもよい。このICタグ225には、シリンジに関する情報(シリンジの識別情報、シリンジの耐圧、シリンダ部材の内径、ピストン部材のストローク等)や、該シリンジに充填された薬液の情報(名称(例えば製品名)、ヨード量またはガドリニウム量などの成分情報、消費期限、薬液容量等)が記憶されている。ICタグは、そのタグに固有のユニークIDを有していてもよい。ICタグは、シリンジサイズ、シリンジの製造番号、および薬剤標準化コードから選ばれる少なくとも1つの情報を有していてもよい。ICタグ225を貼り付ける位置としては、一例で、シリンダ部材221の外周面であってもよく、具体的には、外周面のうちシリンダフランジの付近であってもよい。
(ヘッド構造)
再び図4を参照し、注入ヘッド110は、一例として前後方向に長く延びるような筐体を有しており、この筐体の上面先端側には、それぞれシリンジ200C、200Sが載せられる2つの凹部120aが形成されている。凹部120aはシリンジ保持部として機能する部分である。凹部120aに対しては、シリンジ200が直接装着されてもよいし、または、所定のシリンジアダプタ121、122を介して装着されてもよい。図4では、各シリンジ200のシリンダフランジ221aおよびその近傍を保持するシリンジアダプタ121、122が一例として図示されている。シリンジアダプタの形状や機能は特定のものに限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。
(内部構造)
注入ヘッド110は、また、図2Aおよび図4に示すように、シリンジ200のピストン部材222を押し込むピストン駆動機構130を有している。ピストン駆動機構130は二系統設けられており、各機構130は独立して動作する。ピストン駆動機構130は、例えばシリンジ内への薬液吸引のために、ピストン部材222を後退させてもよい。2つのピストン駆動機構130は同時に駆動されてもよいし、別々のタイミングで駆動されてもよい。
ピストン駆動機構130は、図2Aに示すように、駆動源であるモータ131と、その駆動モータの回転出力を直線運動に変換する伝達機構132と、その機構に連結され、ピストン部材222を前進および/または後退させるシリンジプレッサー(ラム部材)133とを有するものであってもよい。このようなピストン駆動機構としては、薬液注入装置で一般に用いられる公知の機構を用いることができる。なお、モータ以外のアクチュエータを駆動源としてもよい。
典型的なピストン駆動機構の動作としては、次のようなものが挙げられる:薬液注入(ラム部材の前進)および薬液吸引(ラム部材の後退)。「薬液注入」では、所定のモータ制御信号にしたがってモータを動作させラム部材を前進させることにより、設定された注入プロトコル(注入条件)に従った薬液注入を行う。「薬液吸引」では、所定の制御信号にしたがってモータを動作させピストン部材を後退させることにより、シリンジ内に薬液を吸引する。なお、プレフィルドシリンジの場合には、薬液吸引は実施しなくてよい。
なお、ピストン駆動機構130は、シリンジプレッサー部材がピストン部材222を押圧する力を検出するためのロードセル138を有していてもよい。ロードセルの検出結果を利用して、例えば、薬液を注入しているときの薬液の圧力の推定値を求めることができる。この推定値の算出は、針のサイズ、薬液の濃度、注入条件なども考慮して行われる。他にも、ロードセル138を用いるのではなく、駆動モータ130のモータ電流に基づいて圧力の算出を行うものであってもよい。
シリンジにICタグ225が付されている場合には、注入ヘッド110は、同ICタグ225の情報を読み取るおよび/または同ICタグ225に情報を書き込むリーダ/ライタ(不図示)を有していてもよい。このリーダ/ライタは、シリンジ200が装着される凹部120aに設けられていてもよい。なお、リーダ/ライタは、ICタグ225の情報を読み取る機能のみを有するものであってもよい。
注入ヘッド110は、ピストン駆動機構130等の動作を制御するための制御回路145を有していてもよい。制御部155は、プロセッサおよびメモリ等を有する制御回路として構成することができる。
図4に示すように、注入ヘッド110の筐体の上面および側面には、注入ヘッド110に各種動作を行わせるための複数の物理ボタンも設けられている。これらの物理ボタンの一部は、例えば、所定の情報を術者に知らせるために発光するように構成されていてもよい。
(2)輸液ポンプ
輸液ポンプ410は、シリンジ200V内の薬液を注入するためのものであり、シリンジ200Vのピストン部材を動かすためのピストン駆動機構430を有している。
シリンジ200Vには、一例で、心筋負荷剤である血管拡張剤(VD:Vasodilator)が充填されている。このシリンジ200Vは、一形態では、造影剤シリンジ等よりは小型のものであってもよい。例えば20〜80ml程度の薬剤を収容するものであってもよい。
血管拡張剤としては、アデノシン三リン酸(ATP:Adenosine Triphosphate)のATP製剤を利用可能である。シリンジ200Vとしては、シリンダ部材211とそれにスライド自在に挿入されたピストン部材222(図5B参照)等を有する一般的な構成のものであってもよい。なお、心筋解析検査以外の用途で本装置を利用するような場合には当然ながら他の薬液をシリンジに充填して輸液ポンプに装着してもよい。
ピストン駆動機構430は、図2Aに例示するように、駆動源の一例としてのモータ431と、モータからの出力を直線運動に変換して伝達する伝達機構432と、進退移動するプレッサー部材433とを有している。モータに代えて他のアクチュエータを駆動源として利用してもよい。
モータ431の出力は、注入ヘッド110のものと比較してより低いものであってもよい。これは、血管拡張剤の場合、造影剤注入ほどの高圧注入は必要ないためである。ピストン駆動機構430は、例えば、血管拡張剤を5〜15ml/min程度の速度で比較的低速で注入するように、そのプレッサー部材433を比較的低速で移動させように構成されていてもよい。例えば、血管拡張剤であるATPの注入速度が患者体重当たり0.10〜0.20mg/Kg/min程度であってもよい。
輸液ポンプ410も、ピストン部材を押圧する力を検出するためのロードセル438を有していることが、一形態において好ましい。これにより、その検出結果に基いて注入中の薬液圧力を算出することができるためである。ロードセル以外の圧力センサ、スイッチ等を利用してもよいことは前述の通りである。ロードセルの代わりに、モータ電流方式で薬液圧力の算出を行うものであってもよい。
輸液ポンプ410の外装に関わる構成については特に限定されるものはないが、例えば、図5Aのようなものであってもよい。この例では、輸液ポンプ410は、モータや回路基板等を内蔵する筐体411を有し、その一部に、シリンジ保持部420aが形成されている。
シリンジ保持部420aは、シリンジの少なくとも一部を受け入れる凹部として形成されたものであってもよく、例えば、シリンジ保持部420aの一部には、シリンジのシリンダフランジ221a(図5Bも参照)が挿入されるフランジ受け溝421が形成されていてもよい。また、セットされたシリンジが外れるのを防止するために、シリンジを上から押さえるフランジ押さえ422が設けられていてもよい。フランジ押さえ422は、一端が筐体411の一部に回動自在に保持され、その先端側がシリンジ上方となるように回転させられることで、シリンジを上から押さえるようなものであってもよい。このような機構による押さえ方式は、構造が簡単であり、高圧注入を要しない血管拡張剤シリンジを良好に押さえることができる。
筐体411の一部には、輸液ポンプ410の動作を切り替えるための複数の物理的ボタン配置された操作部440が設けられていてもよい(図5C参照)。
操作部440は、具体的には、次のもののうち1つまたは複数を有する
−前進ボタン(443a):プレッサー部材を前進させるためのボタンである。例えば、押されている間のみ、プレッサー部材が前進する。
−後退ボタン(443b):プレッサー部材を後退させるためのボタンである。例えば、押されている間のみ、プレッサー部材が後退する。
−リターンボタン(445):プレッサー部材を退避位置まで自動的に戻すボタンである。
−停止ボタン(447):プレッサー部材の移動を停止させるためのボタンである。
−電源ボタン(449):電源をON/OFFするためのボタンである。
−注入開始ボタン(449):自動注入を開始するためのボタンである。なお、電源ボタンと兼用の構成となっていてもよい。
−注入速度切替えボタン(441):注入速度を切り替えるボタンである。
具体的な一形態として、この注入速度切替えボタン441を押すたびに、上記のような低速、中速、高速が順にまたは逆順にループ状に切り替わるようになっていてもよい。三段階に限らず、二段階のみの速度切替えであってもよいし、四段階以上の速度切替えが行われる構成であってもよい。
詳細な図示は省略するが、輸液ポンプ410は、1つまたは複数の表示部(不図示)を有していてもよい。例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等を有するものとして構成してもよいし、照明デバイス(LED)等を有するものとして構成してもよい。このような表示部には、例えば、血管拡張剤の注入中の速度、残量、注入量、圧力といった情報のうち1つまたは複数が表示されるように構成されていてもよい。7セグLED文字表示部として構成された表示部であってもよい。
本実施形態では、一例として、可動式のキャスタースタンドに注入ヘッド110と輸液ポンプ410が保持される。具体的には、図5Aに示すように、スタンドの一部である取付部181によって注入ヘッド110が回動自在(注入時にシリンジ側を下向きとし、エア抜き動作等の際にはシリンジ側を上向きとすることができるように)に保持されている。他方、輸液ポンプ410もこれと同様に、スタンドの一部である保持部材183によって回動自在(注入時にシリンジ側を下向きとし、エア抜き動作等の際にはシリンジ側を上向きとすることができるように)に構成されている。なお、上記の回動とは一例で水平軸周りの回動であってもよい。
なお、注入ヘッド110や輸液ポンプ410を保持する手段としては他にも、例えば、天井懸垂式のアームなどを利用してもよい。図2Aに示すように、輸液ポンプ410はACコード495bや電源回路495aを含む電源部を有している。この例ではAC電源を例示しているが、当然ながらバッテリ等のDC電源を利用してもよい。さらに別の態様では、薬液注入装置100(注入ヘッド110、コンソール150のいずれであっても構わない)から輸液ポンプ410に給電される構成であってもよい。この場合、ACコード495bや電源回路495aは省略されてもよい。注入ヘッド110経由の場合、例えば図2Aの破線で示した電力供給線197a経由で電力供給され、コンソール150経由の場合、電力供給線197b経由で電力供給されるものであってもよい。
(制御回路)
輸液ポンプ410は、図2Aに示すように、ピストン駆動機構430の動作を制御するための制御回路455を有していてもよい。制御回路455は、輸液ポンプ410に内蔵される回路基板として構成されたものであってもよい。制御回路455は、プロセッサおよびメモリ等、外部機器(例えばコンソール150および/またはその他の外部機器)との通信モジュール等を有するものであってもよい。この通信は、有線または無線のいずれの方式であっても構わない。
通信可能に接続される態様としては、さらに例えば、輸液ポンプが注入ヘッドに所定の信号、情報、データ等をやりとりするように電気的に接続されていてもよい。やり取りされる信号、情報、データ等としては、輸液ポンプの注入開始、注入停止、および/または注入終了に関するものであってもよい。また、注入ヘッドの注入開始、注入停止、および/または注入終了に関するものであってもよい。
また、輸液ポンプが撮像装置と直接に所定の信号、情報、データ等をやりとりするように電気的に接続されていてもよい。
再び図2Aを参照し、制御回路455は、ロードセル438に電気的に接続され、その検出結果を利用して現在の薬液の注入圧力を算出するように構成されていてもよい。別の態様では、ロードセル438等の検出結果を利用してコンソール側の制御部155がそのような計算を行ってもよい。ロードセル438を省略した構成では、モータ電流に基づいて制御回路455が圧力の算出を行うように構成されていてもよい。
制御回路455またはコンソールの制御部155は、「圧力リミット」として所定の基準値(例えば2.0kgf/cm:約30PSI)のデータを有しており、現在の薬液圧力がその基準値に達したかもしくはそれより大きいか否かを判定する。そして、そのこの判定がYesの場合には、アラームを発する、注入動作停止を停止する、注入履歴にその旨の記録を行う等のうち1つまたは複数の動作を実行するように構成されていることも好ましい。
これにより、注入ヘッドによる注入だけでなく、輸液ポンプに関しても、注入異常を検出することが可能となるので、より安全な検査を行えるものとなる。「圧力リミット」は、使用するシリンジに適したものであればどのような値であっても構わない。医師または医療従事者によって入力されるものであってもよいし、あるいは、システム内のデータベース等から自動的に設定されるものであってもよい。
制御回路455は、各種物理的ボタン(図5C参照)が押されたことを認識し、それに基づいて、輸液ポンプの動作を制御する。また、制御回路455は、各種物理的ボタン(図5C参照)が押されたことを表わす信号をコンソール側の制御部155に送るように構成されていてもよい。制御部155は、その信号に基いて、例えば、他の機器の動作の開始または停止、あるいは、警告の表示といった動作を行うように構成されていてもよい。
制御回路455は、また、いわゆるセルフチェック機能を備えていてもよい。すなわち、医師又は医療従事者から所定の入力(一例で所定の物理的ボタンを1回押す)があった際、または、電源を入れた際に自動的に、ロードセル等が正常に機能するかどうかのチェックプログラム(例えばロードセルの抵抗値等が所定の基準値内にあるか否かを確認するようなものであってもよい)を実行する。制御回路455は、セルフチェクの結果、ロードセル等に故障があると判定した場合、その旨をコンソールの制御部155に送るように構成されていてもよい。コンソールの制御部155は、その信号に基づき、ディスプレイ151に警告を表示するように構成されていてもよい。ロードセル以外に関するセルフチェックについては他の実施形態の中で別途説明するものとする。
当然ながら、輸液ポンプのセルフチェックを開始させるトリガは、同ヘッドの物理的ボタンを押下することに限定されるものではない。例えば、コンソール150のディスプレイに表示された所定のアイコン等を選択すると、コンソールの制御部155が輸液ポンプにセルフチェックを実施させるように構成されていてもよい。
(3)コンソール
コンソール150は、一例でCT撮像室などの検査室に隣接した操作室内に置かれて使用されるものであってもよい。コンソール150は、所定の画像を表示するディスプレイ151と、タッチパネル153と、制御部155と、1つまたは複数の物理的ボタン157と、メモリやハードディスクなどの記憶部159との一部または全部を有している。
ディスプレイ151は、タッチパネル式ディスプレイであってもよいがこれに限定されるものではない。コンソール150は、音および/または音声を出力するためのスピーカ等(不図示)を有していてもよい。
なお、詳細な図示は省略するが、撮像装置との接続のための接続インターフェース、注入ヘッド110との接続のための接続インターフェース、輸液ポンプ410との接続のための接続インターフェースとを備えている。
なお、コンソールは、本発明の一形態として、一例として、制御部、ディスプレイ、タッチパネル、物理的ボタン、注入ヘッドとの通信を行うモジュール、撮像装置との通信を行うモジュール等を一体的に構成したものである。ただし、本発明の他の形態において、このように一体的な構成は本質的な事項ではなく、上記のような制御部やディスプレイ等が別々の機器として構成されていてもよいことがある点に留意されたい。
(機器間の接続)
コンソール150と撮像装置1100は互いに接続される。コンソール150と撮像装置1100間では、所定のデータまたは電気的信号が一方向または総方向に送信可能となっている。これにより例えば、両機器の動作タイミングの同期が可能となる。動作タイミングのトリガを生成する機器は、コンソールまたは撮像装置のいずれであってもよい。コンソール150等によって生成された所定のトリガに応じて、撮像装置の所定の動作が開始または停止されてもよい。逆に、撮像装置1100によって生成された所定のトリガに応じて、薬液注入装置100側の所定の動作が開始または停止されてもよい。
コンソール150と注入ヘッド110とが互いに接続される。その結果、コンソールと注入ヘッド間では、所定のデータまたは電気的信号が送受信可能となっている。所定のデータ等としては、例えば、コンソール側で設定された注入プロトコルに従った、モータ駆動信号がコンソール側から注入ヘッド側へと送信されてもよい。また、例えばロードセル138の検出値が注入ヘッド側からコンソール側に送信されてもよい。
コンソール150と輸液ポンプ410とが互いに接続される。その結果、コンソールと注入ヘッド間では、所定のデータまたは電気的信号が送受信可能となっている。所定のデータ等としては、例えば、コンソール側で設定された注入プロトコルに従った、モータ駆動信号がコンソール側から注入ヘッド側へと送信されてもよい。また、例えばロードセル438の検出値が注入ヘッド側からコンソール側に送信されてもよい。
なお、コンソール150と輸液ポンプ410の接続としては、「通信」に該当するようなものでなく、単に電気的信号を一方から他方に与えるような接続形態であってもよい。例えば、輸液ポンプの動作の開始、停止、またはその両方のトリガとなる電気的信号が、薬液注入装置側から送られるものであってもよい。このような接続の一例としては薬液注入装置の一部と輸液ポンプの一部とが端子等を介して電気的に接続されているようなものであってもよい。
(コンソールの機能)
制御部155は、注入プロトコルの作成や注入の実行などを制御する機能を有し、一例として、図2Bに示すように、
−設定画面表示部155a、
−注入プロトコル作成部155b、
−注入制御部155c、
−履歴生成部155d、および、
−履歴出力部155e、
を含んでいてもよい。
設定画面表示部155aは、注入プロトコルを設定するための画面、具体的には、注入プロトコル設定用のGUI(グラフィカルユーザインターフェース)をディスプレイ151に表示させる機能に相当するものであってもよい。注入プロトコル設定用のGUIデータは、薬液注入装置、撮像装置、病院システムまたはその他のコンピュータの任意の記憶デバイス内に格納されていてもよい。
プロトコル作成部155bは、例えば、医師又は医療従事者によるディスプレイ151のタッチパネル等への入力操作を受け付け、その内容が反映された注入プロトコルを作成する機能に相当するものである。プロトコル作成部155bは、例えば、薬液の種類、薬液の注入速度、薬液の注入量、患者の身体情報、撮像を行う患者の身体区分、および撮像部位などから選ばれる少なくとも1つの入力にもとづき、それに対応して、注入プロトコルの所定のパラメータを作成または変更する。
注入制御部155cは、作成された注入プロトコルにしたがってピストン駆動機構130の動作を制御する機能に相当するものであってもよい。注入制御部155bは、ピストン駆動機構130の一方のみを動作させること、および、両方を同時に動作させることを行うものであってもよい。注入制御部155bは、また、輸液ポンプ410のピストン駆動機構430の動作制御をすることもある。
履歴生成部155dは、注入履歴データを生成する機能に相当するものであってもよい。「注入履歴データ」としては、例えば、
−注入作業ごとに固有の識別情報である注入作業ID、
−注入開始および終了の日時、
−薬液注入装置の識別情報、
−造影剤および/または生理食塩水の注入条件、
−薬液や撮像部位の識別情報、
−使用した血管拡張剤(ATP製剤)のデータ、
−血管拡張剤の注入条件(注入速度、量、時間等)、等、
−使用した血管拡張剤と造影剤の組合せに関する情報、
の少なくとも1つであってもよい。
これらはテキストデータであってもよい。また、横軸と縦軸との一方が経過時間で他方が注入速度の経時グラフの画像データなどであってもよい。あるいは、横軸と縦軸との一方が経過時間で他方が注入圧力の経時グラフの画像データなどであってもよい。注入履歴データとしては、シリンジのICタグから取得した、または医師又は医療従事者によって手動で入力された、または外部ネットワーク等から入力された薬液の情報やシリンジの情報であってもよい。
履歴出力部155eは、注入履歴データを外部に送信する機能に相当するものであってもよい。具体的には、外部の所定の機器および/またはネットワーク上のデータベースにデータを送信するものであってもよい。
なお、各部155a〜155eの各機能は、実装されたプログラムによってコンピュータが実行するものであってもよい。プログラムは、コンソール内の所定の記憶手段(例えば記憶部159でもよい)に予め記憶されたものであってもよい。
記憶部159(図2A参照)には、例えば、ディスプレイ151に表示される画像やGUIのデータなどが記憶されていてもよい。また、注入条件を設定するための計算式などを含むアルゴリズムや、注入プロトコルのデータが記憶されていてもよい。注入速度は、一定であってもよいし、時間とともに変化するものであってもよい。造影剤と生理食塩水とを注入する場合、それらの薬液をどのような順序で注入するかといった情報も、注入プロトコルに含まれる。なお、このような注入プロトコルに関する情報は、不図示のインターフェースを介して接続された外部機器から入力されてもよい。また、コンソール150がスロット(不図示)を有し、そこに差し込まれる外部記憶媒体を通じて入力されてもよい。
図2Aに示すように、本実施形態の薬液注入装置はACコード195bや電源回路195aを含む電源部を有している。この例ではコンソール150に設けられたAC電源を例示しているが、当然ながらバッテリ等のDC電源を利用してもよい。
2.撮像装置
撮像装置1100は、例えばX線CT装置、MRI装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、超音波診断装置、血管造影(アンギオグラフィ)撮像装置等などである。撮像装置1000は、図1に模式的に示すように、ガントリ1101と、患者を載せるベッド1103と、それら(ガントリ内の撮像部1103bとベッド1103)の動作を制御する制御部1103a(図2A参照)とを備えている。
詳細な図示は省略するが、撮像装置1100は、透視撮像データを収集処理するデータ収集部等を有している。撮像装置1100自体は、従来公知のものを利用可能であるので以下、主要な構成要素のみ説明する。以下ではCT装置を例として説明する。
ガントリ1101は、患者が通過可能な中央開口部を有しており、この内部を、ベッド1103上に横臥した患者が横方向に移動できるようになっている。ガントリ1101の内部には、X線管やコリメータ等を有しX線を患者に向けて照射するX線照射部(不図示)と、患者を透過したX線の検出を行う検出部(不図示)等が配置されている。X線照射部および検出部は、撮像部1103bを構成するものであり、それらの位置関係を保ったまま患者の体軸の周りを回転しながらスキャンを行う。このスキャンによるデータが、データ収集部(不図示)によって取得され、透視撮像データ(投影データ)が収集される。
なお、CT装置としては、患者に対して所定方向からX線を照射して透過像を得ることができるものであればどのようなタイプであっても構わない。一例で、例えば、患者の3方向の断面画像を得ることができるマルチスライスCT装置であってもよい。
本発明は心筋解析の検査を対象とするものであるので、X線CT装置を利用した心筋の血流動態検査を行える撮像装置であることも好ましい。X線CT装置を用いて心筋の血流動態(パーフュージョン:perfusion)の検査は一例で次のように行なわれる。すなわち、造影剤を注入したうえで撮影を行い、得られた造影CTデータを解析することによりパーフュージョン像が生成される。通常、このような心筋パーフュージョン像の撮影は単独検査ではなく、心臓の造影検査の一環として実施される。例えば、心筋パーフュージョン像の撮影の場合には、心筋パーフュージョン像のスキャンとは別に、冠動脈、心内腔壁運動のような心機能解析のためのスキャンも実施されることもある。また、患者への造影剤注入量およびX線による被曝をより低減させつつ、より短時間で心筋パーフュージョン像を作成するための試みもなされている。すなわち、血流情報取得用のスキャンを追加することなく、心筋画像取得用のスキャンで得られた冠動脈造影CT画像データや心筋造影CT画像データ等の情報から、血流情報をも取得する技法等である。
撮像装置は、心電図同期撮像を行うことができるように心電計1150(ECG、図2A参照)に接続され、それによって取得された心電図データに同期して(すなわち、同データからトリガ情報を得て)撮像を行うように構成されたものであることが好ましい。
3.病院システム
病院システムは、一例として、図3に示すように、撮像装置、薬液注入装置、カルテ管理装置であるHIS、撮像管理装置であるRIS、データ保存装置であるPACS、画像閲覧装置である画像ビューア、プリンタ等を備える。必ずしもこれらの全てが揃っている必要はない。
(HIS)
HISは、専用のコンピュータプログラムが実装されたコンピュータであり、カルテ管理システムを有する。カルテ管理システムで管理される電子カルテは、例えば、
−固有の識別情報であるカルテID、
−患者ごとの患者ID、
−患者の氏名などの個人データ、
−患者の疾病に関するカルテデータ、等のデータを含むものであってもよい。
カルテデータには、治療全般に関連した個人条件データとして、患者の体重、性別、年齢、等が登録されていてもよい。
(RIS)
RISは、患者から透視画像データを撮像するための撮像オーダデータを固有の識別情報で管理する。この撮像オーダデータは、HISから取得する電子カルテに基づいて作成される。撮像オーダデータは、例えば、
−固有の識別情報である撮像作業ID、
−CT撮像やMR撮像などの作業種別、
−前述の電子カルテの患者IDとカルテデータ、
−CT装置の識別情報、
−撮像開始および終了の日時、
−身体区分または撮像部位、
−撮像作業に対応した造影剤などの薬液種別からなる適正種別、
−撮像作業に適合した薬液IDからなる適正ID、等のデータを含むものであってもよい。
(PACS)
PACSは、撮像装置から撮像オーダデータが付与された透視画像データを受信して保存する。
(画像ビューア)
画像ビューアは、ワークステーションなどのコンピュータシステムであり、ネットワークに接続され、例えばPACS内に保存された画像データを参照して、医師等による閲覧を可能にするものであってもよい。
4.動作
(1)プロトコル設定段階
本実施形態の薬液注入装置は、一例として次のように動作する。まず、「注入プロトコルの設定」に関して説明し、その後、注入の動作について説明する。
注入プロトコルの設定画面として、本実施形態におけるコンソール150は、図6のようなグラフィカル画像を表示する。具体的には、コンソール150は、最初の状態では、人体画像630は表示されているが注入プロトコルウィンドウ610(詳細下記)は表示されていないグラフィカル画像を表示する。
人体画像630は、複数の身体区分アイコンを含んでいる。身体区分アイコンとしては、一例で、頭部、胸部、腹部、下肢部のうち1つまたは複数であってもよい。医師又は医療従事者が、その1つ(例えば胸部)を選択し、その後、心筋解析検査であること示すアイコン(ここでは不図示)を選択すると、コンソール150は、注入プロトコルウィンドウ610を表示させる。
「心筋解析検査であること示すアイコン」としては、例えば、身体区分アイコンを選択するとその下位項目(撮像部位)として表示されるものであってもよい。身体区分アイコンを選択したか否かに関わらず、選択前から、画面上に表示されているアイコンであってもよい。「アイコン」としては、画面上でタッチされて選択されるものの他にも、マウスやトラックボールのカーソルにより選択されるものであってもよい。アイコンではなく、注入ヘッド、コンソール、またはその他の機器に設けられた物理的ボタンやスイッチを押下することで、コンソール150がそれを認識し、注入プロトコルウィンドウ610を表示させるように構成されていてもよい。別の形態としては、身体区分アイコン(頭部、胸部、腹部等)のうちの1つとして心筋解析検査用のアイコンが表示されており、これを選択することで注入プロトコルウィンドウ610が表示するようになっていてもよい。
この注入プロトコルウィンドウ610は、
(i)血管拡張剤の注入条件のデータと、
(ii)造影剤の注入条件のデータと、
(iii)希釈造影剤の注入条件のデータと、
(iv)生理食塩水の注入条件のデータと、
をグラフの形態でグラフィカルに表示したものである。
(VD条件ボックス)
血管拡張剤の注入フェーズは、第1のフェーズである。注入プロトコルウィンドウ610のグラフ(横軸が時間軸)において、条件ボックス611が血管拡張剤の注入条件に対応している。条件ボックス611は、グラフ中、もっとも左よりの位置に表示されている。条件ボックス611の表示は適宜変更可能であるが、一例で、血管拡張剤であることを示す「VD」の文字を含むものであってもよい。
血管拡張剤の注入条件は、一例で、30ml〜40mlの血管拡張剤を、200秒以上の時間をかけて(より具体的には例えば220秒、250秒)かけてゆっくりと注入するものである。このような所定の注入条件が予めデフォルト条件として記憶部159(図2A)等に記憶されており、コンソール150がこれをデフォルト条件として提示するものであってもよい。ただし、この条件に、必ずしも血管拡張剤の注入速度や注入量等の情報までが含まれていなくてもよい。つまり、輸液ポンプ410において、予めこれらの条件が設定されるような場合、単に、血管拡張剤の注入開始のタイミングの情報のみを含むものであってもよい。注入終了については輸液ポンプ側のタイマー等に基いて判定してもよいし、コンソール150側からトリガ信号を与えてもよい。
なお、血管拡張剤の比較的低速な注入を実現するために、コンソール150の制御部155および/または輸液ポンプの制御回路455(これらをまとめて1つの制御部ととらえてもよい)が、輸液ポンプ410のピストン駆動機構430の動作を制御する。一例で、一定速度でモータ431を回転させてもよい。
注入プロトコルの設定において、オペレータが「VD」の条件ボックス611に触れると、その「注入量」、「注入時間」、「注入速度」といったパラメータの1つまたは複数を、任意に修正変更できるように構成されていることも好ましい。タッチパネル式ではなく、カーソル等でボックスを選ぶ構成としてもよい。
(造影剤開始ディレイ時間表示ボックス)
ディレイ時間表示ボックス613は、血管拡張剤の注入から造影剤注入までの時間を設定するためのボックスである。ディレイ時間表示ボックス613は選択可能なアイコンとして表示されたものであってもよい。一例で、250秒の血管拡張剤注入においては、220秒経過した時点で造影剤の注入が開始される。換言すれば、血管拡張剤の注入終了前30秒の時点から、造影剤の注入が開始される。この例では、その「30」秒を示す文字がボックス613内に表示されている。これは、デフォルト値として表示されるものであってもよい。
患者や使用する薬剤などによって、造影剤の注入を開始するためのタイミングは異なることとなるものと想定される。そこで、この時間表示ボックス613条件に触れると、その時間を、任意に修正変更できるように構成されていることも好ましい。
図7は、ディレイ時間を変更する様子の一例を示すものであるが、このように、変更対象となるボックスに触れると、例えばテンキー画面621等が表示され、そのテンキーを用いて所望の数値を入力できるように構成されていてもよい。この図ではディレイ時間を変更する様子を例示しているが、前述の血管拡張剤の注入条件を変更する場合、および/または、後述する造影剤等の注入条件を変更する場合も、同様のテンキー画面621で変更できるようになっていてもよい。
(造影剤および生理食塩水の注入条件ボックス)
本実施形態の注入プロトコルでは、次いで、造影剤の注入、造影剤と生理食塩水の同時注入、生理食塩水の後押し注入が行われる。注入プロトコルウィンドウ610では、これらの3つのフェーズをそれぞれ注入条件ボックス615、616、617として含んでいる。
この注入プロトコルの第2フェーズは、造影剤の注入である。図6の注入条件ボックス615では、一例で、注入速度が4.5ml/sec、注入量が70mlに設定されている。注入条件ボックス615は選択可能なアイコンとして表示されたものであってもよい。造影剤注入は、この例では、血管拡張剤の完了前から開始されるので、30秒間(一例)は造影剤の注入と血管拡張剤の注入とが同時に行なわれるということになる。
この注入プロトコルの第3フェーズは、造影剤と生理食塩水の同時注入である。注入条件ボックス616は、一例で、造影剤と生理食塩水とが50:50で同時注入され(50%希釈)、注入速度が4.0ml/sec、注入量が20mlに設定されている。注入条件ボックス616も選択可能なアイコンとして表示されたものであってもよい。
なお、「50:50」という希釈率はあくまで一例であって、任意の割合(例えば、30:70、40:60、60:40、70:30)の別のデフォルトの希釈率が設定されていてもよい。希釈率を変更するために当該アイコンを選択すると、所定のグラフィカル・ユーザ・インターフェースが表示され、それを操作することで、例えば「50:50」から別の希釈率に変更できるようになっていることも好ましい。
この注入は、上記造影剤の注入に引き続いて(ホールド時間等を挟むことなく)実施される。
この注入プロトコルの第3フェーズは、生理食塩水のみの注入である。注入条件ボックス617は、一例で、注入速度が4.0ml/sec、注入量が20mlに設定されている。注入条件ボックス617も選択可能なアイコンとして表示されたものであってもよい。
この注入も、上記同時注入に引き続いて(ホールド時間等を挟むことなく)実施される。
上記注入条件ボックス615、616、617に関しても、オペレータが条件ボックスに触れると、その「注入量」、「注入時間」、「注入速度」といったパラメータの1つまたは複数を、任意に修正変更できるように構成されていることが好ましい。
上記注入条件ボックス615、616、617は、それぞれ、それぞれのフェーズの注入時間に関わらず、同じ横幅に表示されるものであってもよい。別の態様としては、それぞれのフェーズの注入時間に対応した横幅で注入条件ボックス615、616、617が表示されるようになっていてもよい。各ボックス615、616、617はそれぞれ別々の色で表示されていることが、視認しやすく、好ましい。例えば造影剤に関連するボックス615については第1の色(例えば緑)、生理食塩水に関連するボックス617は第2の色(例えば青)であってもよい。また、同時注入に関連するボックス616はそれらの中間の色で表したり、または、ボックスの一部を第1の色とし残りの一部第2の色で表したりしてもよい。
注入プロトコルウィンドウ610のグラフにおいて、前述のとおり横軸は時間であるが、その経過時間の始点「0:00」は、血管拡張剤の注入開始時間(すなわち第1フェーズの始点)であってもよいが、この例では、造影剤注入の開始時間(すなわち第2フェーズの始点)となっており、ここからの経過時間が表示される態様となっている。
図6の画面では図示されていないが、例えば、撮像装置によるスキャン開始タイミングが、同画面内に表示されていることも好ましい。「スキャン開始タイミング」は、注入プロトコルに含まれる一情報として設定されるものであってもよい。すなわち、薬液注入装置100が、このスキャン開始タイミングの情報を注入プロトコルとして記憶しており、注入開始後、スキャン開始のタイミングとなったら薬液注入装置100が撮像装置1100にトリガ信号を送信し、それに基いて、撮像装置1100が撮像を開始するように構成されたものであってもよい。なお、撮像装置1100は、心電計の計測結果を参照して心電図同期撮影を行うものであってもよい。
「スキャン開始タイミング」は、造影剤の注入開始から、例えば15秒〜25秒後の範囲内である。このタイミングは、デフォルト情報として注入プロトコルに含まれていてもよく、上述した他のパラメータのように、画面上に表示され、必要に応じて医師又は医療従事者によって変更されるように構成されていてもよい。
(2)一連の注入動作
心筋解析の一連の検査手順およびシステムの注入動作は、一例として下記のように行なわれる。
まず、図10のフローのステップS1において、医師又は医療従事者が、使用するシリンジの用意し、それを注入ヘッド110、輸液ポンプ410へ装着する。そして、各シリンジ110、410に対して延長チューブが接続される。限定されるものではないが、図2Aに示すように、例えば造影剤および生理食塩水は延長チューブ230経由で患者右手から注入され、一方、血管拡張剤は延長チューブ235経由で患者左手から注入されるような接続態様であってもよい。
必要に応じて、さらに別の薬剤を注入するための経路が設けられていてもよい。この例としては、例えば心拍数を下げる薬剤が挙げられる。具体的には、心臓に存在するβ1受容体を選択的に遮断することで心拍数を低下させる作用を持つベータブロッカー等の薬剤である。なお、これは、例えばチューブ230の一部に付加的に接続された経路を通じて注入されるものであってもよく、また、装置を用いた注入ではなく、医師等が手動でシリンジを操作して注入するものであってもよい。このベータブロッカー注入のための経路は、例えば、チューブ230上に注入経路の切り替えを行う活栓(一例で三方活栓)が設けられ、この活栓により、(i)ベータブロッカーを注入できる状態と、(ii)造影剤等を注入できる状態とを切替可能に構成されていてもよい。
図10のフローに戻り、ステップS2で注入プロトコルの設定を行う。注入プロトコル設定(ステップS2)では、医師または医療従事者が、コンソール150を操作して行う。このタイミングは特に限定されるものではなく、回路接続(S1)の前後または回路接続と並行して行なわれてもよい。
本実施形態のシステムによれば、コンソール150のディスプレイ状のGUI経由で、所定のアイコン等を選択すれば、デフォルトの注入プロトコルが提示されるように構成あれている。したがって、1つ1つのフェーズの注入量や注入速度を数値入力したりする必要なく(数値の微調整を行う場合等は別として)、非常に簡単に設定することができる。
提示された注入プロトコルの条件に対して微調整を行う必要がある場合であっても、医師又は医療従事者は、ボックス611、613、615〜617(図6参照)に触れて条件を変更するという直感的かつ簡単な操作で変更を行うことができる。しかも、全体的な注入プロトコルが図6に示すような視覚的なグラフで表示されるので、設定した注入プロトコルの最終的な確認も行い易い。したがって、注入条件を誤って設定してしまうといった人為的なミスを無くすことができる。
次いで、ステップS3で、医師または医療従事者が、システムに対して所定の注入開始の入力を行う。具体的には、注入ヘッドの物理的なボタンを押下することにより、または、コンソールのディスプレイ上で所定のアイコンをタッチすることにより、またはそれらの組合せによるものであってもよい。そして、ステップS4では、この入力をトリガとして、薬液注入装置100が設定した注入プロトコルにしたがった一連の注入動作を開始する。
まず、システムは、第1フェーズとして、輸液ポンプ410のピストン駆動機構430を動作させる。これは、例えば薬液注入装置100が輸液ポンプ410に対してトリガとなる電気的信号を付与し、それに応じてピストン駆動機構430が自動注入を開始するものであってもよい。なお、輸液ポンプ410の注入条件(注入速度、注入量、またはそれらの両方、等)については、コンソール150等で設定してそれを輸液ポンプに送るというものであってもよいが、そうでなくてもよい。つまり、輸液ポンプ410側で、例えば物理的ボタンを押すことにより、あるいは、所定のユーザインターフェース(不図示)を通じて、予め設定済みとなっていてもよい。
輸液ポンプ410により、血管拡張剤がシリンジ200Vから比較的低速かつ一定の速度で自動的に注入される。手動で注入を行う場合に比べて、より適切な条件でかつ安全な注入を行うことができる。
第1フェーズの上記血管拡張剤の注入が終わる30秒前(一例)となったら、次いで、薬液注入装置100は、第2フェーズとして、注入ヘッド110の造影剤側のピストン駆動機構130を動作させる。これにより、シリンジ200Cから造影剤が所定の速度で注入される。血管拡張剤の注入が終わる30秒前(一例)となったか否かは、例えば、薬液注入装置100が、同装置内のタイマー(経過時刻計測部)の情報に基いて判定するものであってもよい。
次いで、薬液注入装置100は、第2フェーズが終了した後、第3フェーズとして、注入ヘッド110の両方のピストン駆動機構130を動作させる。これにより、シリンジ200C、シリンジ200Sから同時に造影剤と生理食塩水とが押し出される。これらの薬液は、延長チューブ230の途中で合流して混和され、希釈造影剤として注入される。
その後、薬液注入装置100は、第3フェーズが終了した後、第4フェーズとして、注入ヘッド110の生理食塩水側のピストン駆動機構130を動作させる。これにより、シリンジ200Sから生理食塩水が一定の速度で注入される。
本実施形態の薬液注入装置100では、上記のように注入が開始された後、その注入状態が表示される。具体的には、血管拡張剤の注入中においては、ステップS5の「状態表示」として、コンソール150のディスプレイ151に図8に示すようなグラフィカル画像625が表示される。
この画像では、シリンジから薬剤が注入されている様子が静止画として、または、動画として(アニメーションとして)表示される。注入した薬剤の量、または、残量、またはそれらの両方を、数値としてテキスト表示してもよい。また、注入からの経過時間、または、残時間、またはそれらの両方を、数値としてテキスト表示してもよい。図8では、一例として注入開始後の経過時間として「30」secがリアルタイム表示される例を示している。また、造影剤の注入開始までの残り時間が表示される構成としてもよく、例えば、「造影剤注入開始まであとXXsecです」のような表示が現れるようになっていてもよい。表示の一態様として、ブリンク表示(点滅表示)を採用してもよい。また、一例として、造影剤注入開始まで所定の時間となった時点で、警報(メッセージ表示、音または音声の発生などどのようなものであってもよい)を発生させるように構成されていてもよい。このような構成は、CT撮像等におけるX線被曝に対する注意喚起となるので、医師または医療従事者により安全な検査を促すことができるという利点がある。
造影剤や生理食塩水の注入に切り替わった後(すなわち、第2フェーズ以降)は、注入している薬液の圧力グラフ(図9参照)がリアルタイム表示されるようになっていてもよい。この画面では、造影剤注入、希釈造影剤注入、および生理食塩水注入のそれぞれのフェーズの注入圧力が、注入ヘッド110のロードセル138の検出結果等に基づいて算出され、リアルタイムにグラフ表示される。
(CT撮像)
設定された注入プロトコルにしたがって、本システムでは、所定のタイミングで撮像装置が連動して自動的に撮像が実施される(ステップS6)。すなわち、薬液注入装置100からトリガとなる信号が撮像装置1100に送信され、撮像装置1100が、血管拡張剤と造影剤が注入された負荷状態の透視画像を撮影する。
生理食塩水の後押し注入が完了したところで一連の薬液注入を終了する(ステップS7)。
その後、ステップS8では、薬液注入装置100は、注入履歴データを作成する。注入履歴データとしては、前述したように、造影剤や生理食塩水の注入量、注入時間、注入速度、注入時刻等だけでなく、血管拡張剤の注入量、注入時間、注入速度、注入時刻等を含むものであってもよい。より具体的な内容については、「注入履歴生成部155d」に関する前記説明を参照されたい。
ステップS9ではそれを保存する。薬液注入装置100に属するいずれの機器内の記憶領域か、または、ネットワーク等を介して接続されるデータベース等に当該データが保存される。
(作用効果)
以上のように構成された本実施形態のシステムによれば、注入ヘッドの動作(つまり造影剤と生理食塩水の注入)および輸液ポンプの動作(つまり血管拡張剤の注入)を、予め設定した注入プロトコルにしたがって、自動的に実行することができる。したがって、血管拡張剤や造影剤、生理食塩水等を所望の速度、量、タイミングで注入することが可能となり、心臓の機能に対する血管拡張剤の良好な作用や、造影剤による良好な撮像結果を得ることができる。特に、血管拡張剤は所定量以上を注入してしまうと心臓に過度に負担がかかるおそれがあるところ、本実施形態のように造影剤注入用の注入装置とは異なる、専用の注入装置(輸液ポンプ)で注入を行う構成によれば、検査をより安全なものとすることができる。
また、第1フェーズが血管拡張剤の注入フェーズであり、その後(部分的にオーバーラップしていてもよい)の第2フェーズが造影剤の注入フェーズとして設定されている本実施形態の注入プロトコルによれば、血管拡張剤で心筋に負荷を与えつつ、それが造影された透視画像を得ることができ、心筋解析に好ましい。
さらに、第3フェーズが造影剤と生理食塩水との同時注入フェーズであり、第4フェーズが生理食塩水の後押しフェーズである本実施形態の注入プロトコルによれば、心臓の左心と右心とを均一的に良好に造影させることができるので、心筋解析により好ましいプロトコルである。
このような複数のフェーズを含む注入プロトコルの設定に関しても、本実施形態のシステムによれば、1つ1つのフェーズの注入速度や注入時間を数値入力するようなものではなく、システムが予め図6のようなプロトコル設定用のGUI(610)を有している。このGUIでは、各フェーズとして、所定のデフォルト値が提示される。医師又は医療従事者はその内容を確認し、必要に応じて数値を修正して最終的な注入プロトコルとすればよい。特に、各フェーズの条件がボックス611、615、616、617等内に表示されグラフの形態で示されているので非常に直感的に内容の確認や修正を行うことができる。したがって、注入条件の設定ミス等の低減も大いに期待できるものとなる。
また、図8のような、グラフィカル画像により現在血管拡張剤の注入が行なわれていることを視認できるので、例えば、注入ヘッドから離れたコンソールのところでも注入状況の確認を行うことができる。
以上、本発明の一形態について説明したが本発明は上記に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
(a1)図1では、1つの二筒式注入ヘッド110と1つの一筒式の輸液ポンプ410を利用する構成を示したが、1つの注入ヘッドに3つのピストン駆動機構が備えられた多筒式の注入ヘッドを利用してもよい。
(a2)また、1つの制御部(制御装置)で、設定され注入プロトコルにしたがって複数のピストン駆動機構を正確に駆動させることができるものである限り、例えば一筒式の注入ヘッドを複数利用するものであってもよい。
(a3)図2Aに関し、コンソールの制御部155とディスプレイ151とは必ずしも一体的に構成されている必要はない。薬液注入装置100全体として、当該制御部155に相当する演算部と、GUI等を表示するディスプレイが設けられていれば、例えばGUIを通じて容易に注入プロトコルを設定できるという上記実施形態のような作用効果は同様に得ることができるためである。コンソールの制御部155が輸液ポンプ410に指令を与えてその動作を制御(少なくとも注入開始や注入停止等)する例を説明したが、別の形態としては、注入ヘッドの制御部145がそのような役割を果たすように構成してもよい。この場合、例えば、図2Aの信号線198を介して制御部145、455どうしが接続されていてもよい。図では両者が互いに直接接続されているが、電気的信号のやりとりまたはデータの送信もしくは受信を行うことができる限り、当然ながら、他の回路等を介在させた状態で間接的に接続されていてもよい。
(a4)注入プロトコル設定用のGUIや、注入状況を表示するグラフィカル画像は、コンソールのディスプレイ以外のディスプレイに表示されてもよい。この例としては、注入ヘッドの筐体に一体的に設けられた、あるいは、その近傍に設置されたヘッドディスプレイであってもよい。ヘッドディスプレイとしては、タッチパネル式のものであってもよいし、そうでなくてもよい。
(a5)輸液ポンプに関し、必ずしも血管拡張剤に限らず、他の薬剤を自動注入するものであってもよい。
(a6)輸液ポンプの動作に関し、例えばその制御回路またはコンソールの制御部が、実際の薬液の注入速度を算出し、それが所定の上限値を超えていないか、および/あまたは、所定の下限値を下回っていないかを判定する機能を有していることも好ましい。上限値を超えていた場合や下回っていた場合には、エラーガイダンスを発する等の構成となっていることも好ましい。こうした構成により、血管の損傷や誤診の発生を防止することができる。
(a7)血管拡張剤に加え他の薬剤を注入するために、さらに、第2の輸液ポンプがシステムに備えられていてもよい。この薬剤としては、心拍を下げるなどの作用をもつベータブロッカー剤等であってもよい。この場合も、血管拡張剤を注入するための輸液ポンプを例として上述した同ポンプの技術的事項を、当該第2の輸液ポンプに適宜応用してもよい。第2の輸液ポンプの注入速度は例えば5ml/min〜15ml/minであってもよい。
(a8)上記した実施形態では、造影剤の注入フェーズ、希釈造影剤の注入フェーズ、生理食塩水の注入フェーズを有し、その希釈造影剤の注入フェーズでは造影剤および生理食塩水が一定割合で注入されるものを例示した。しかしながら、この中間フェーズにおいて、造影剤の注入速度が線形的に減少し、かつ、生理食塩水の注入速度は線形的に増加するようないわゆる「クロス注入」(または「台形クロス注入」)と称されるような注入条件を設定してもよい。
5.他の実施形態
(輸液ポンプ)
他の形態に係る輸液ポンプについて、図11、図12を参照して説明する。
図12の輸液ポンプA410は、ピストン駆動機構とそれに電気的に接続された制御回路等を備えている点では上記実施形態のものと同様である。但し、ピストン駆動機構の具体的な構造、シリンジを保持するための構造、および各種情報を表示する表示部の態様等が異なっている。
なお、以下の説明では、上述した実施形態と共通する個所についての重複する説明は省略し、相違する個所を中心に説明するものとする。また、図11〜図14では「A410」のように符号の最初にアルファベット文字「A」を付して示しているが、数字部分については、上述した実施形態と同一または対応する数字を付している。なお、説明の都合上、以下では、「A430」、「430」のようにアルファベット文字を付したものと指定なものとが混在することもある。もっとも、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、以下に説明する事項に代えて、上記実施形態の輸液ポンプの構成および動作を採用するようにしてもよい。
輸液ポンプA410は、シリンジ200∨内の薬液を注入するためのものであり、シリンジのピストン部材を動かすためのピストン駆動機構A430を有している。
輸液ポンプA410は筐体を有しており、その筐体内に制御回路455(図11参照)が配置されている。ピストン駆動機構A430のうちモータ431や伝達機構432も、筐体内に配置されている。一方、プレッサー部材A433は筐体の外側に突出した状態となっている。プレッサー部材は「ラム」とも称される部材である。プレッサー部材の先端部には、ピストン部材に当接する部材が設けられており、この部材には弾性的に開閉可能な一対の爪が取り付けられている。
筐体の前端からは2本の支持バーA481が前方に向かって延び出している。この例では2本の支持バーA481は互いに平行に配置されている。支持バーA481の前端にシリンジ保持構造A420が設けられている。
シリンジ保持構造A420は、凹状に形成されシリンジの一部を受けるシリンジ保持部A420aを有している。また、シリンジ保持構造A420には、その上面から下方(図12の図示下方)に向かって所定深さに形成された受け溝A421を有している。この受け溝A421には、シリンジアダプタA423が取外し可能に取り付けられるように構成されている。なお、シリンジアダプタによるシリンジの保持方式としては、より具体的には、一例で特開2010−213977(出願人:株式会社根本杏林堂)に開示された方式を利用することができる。シリンジアダプタA423はシリンジのフランジ部周辺を保持して受け溝A421に取外し自在に装着される。
ピストン駆動機構の仕様としては、特に限定されるものではないが、一例として、少なくとも10PSIの圧力で薬液注入を行うことができるもの、好ましくは少なくとも20PSIの圧力で薬液注入を行うことができるものであってもよい。
輸液ポンプA410の筐体には、次のようなボタンが配置されている。なお、これらは必ずしも全て必須というわけではなく1つまたは幾つかが省略されてもよい:
−スタートボタン(注入開始ボタン)A446
−ストップボタン(停止ボタン)A447
−速度アップボタンA444
−速度ダウンボタンA444
−オートリターンボタン(リターンボタン)A445
−低速前進ボタンA443a′
−中速前進ボタンA443a
−低速後退ボタンA443b′
−中速後退ボタンA443b
−電源ボタンA449
スタートボタンA446は注入を開始するためのボタンであり、ストップボタンA447は停止するためのボタンである。速度アップボタンA444は注入速度を設定(アップ)させるためのボタンであり、速度ダウンボタンA444は注入速度を設定(ダウン)させるためのボタンである。オートリターンボタンA445は、オートリターン、すなわちプレッサー部材を所定の後退位置まで自動で移動させるためのボタンである。オートリターン動作は、一例で、オートリターンボタンを1回押しただけでは実行されず、長押しした場合にのみ実行されるようになっていてもよい。長押しの時間としては、一例で0.5秒以上または2秒以上である。
低速前進ボタンA443a′、中速前進ボタンA443a、低速後退ボタンA443b′、中速後退ボタンA443bは、それぞれ、低速前進、中速前進、低速後退、中速後退を行うためのボタンである。これらのボタンは、押している間のみプレッサー部材が移動する。電源ボタンは、ポンプの電源をON/OFFするためのボタンである。「中速」とは、一例で、1.0ml/sec〜3.0ml/secの範囲内の速度であってもよい。「低速」とは、一例で、0.1ml/sec〜1.0ml/secの範囲内の速度であってもよい。
また、表示部ないし表示デバイスとして次のようなものが配置されている。これらは全て必須というわけではなく1つまたは幾つかが省略されてもよい:電源表示部(電源発光部、電源LED)、状態表示部、設定速度表示部、時間表示部、電池残量表示部、速度単位表示部、圧力オーバ表示部、シリンジセンサ表示部(シリンジセンサ発光部、シリンジセンサLED)、クランプセンサ表示部(クランプセンサ発光部、クランプセンサLED)。なお表示部の具体的な内容については他の図面も参照して後述するものとする。
上記のようなボタンおよび表示部は、いずれも、装置の制御回路455(図11参照)に電気的に接続されている。制御回路は、ボタンが押されたことを検出し、それに応じて、装置を所定動作させる。制御回路は、所定の条件となった場合(例えば検出対象の値が所定の基準値に達した場合や、所定のボタンが押された場合等。但し、これらに限定されない。)に、上記の表示部の点灯のON/OFFの切替えを行う。また、予め設定されたパターンにしたがって光源(例えば1つまたは複数のLED)の点灯/消灯を制御する。
輸液ポンプA410は、この例では、クランプセンサA477を有している。クランプセンサA477は、プレッサー部材A433がピストン部材(不図示)に当接(完全には当接していないがセンサが反応する状態をも含む)したか否かを判定するために利用される。クランプセンサA477としては種々のセンサを利用可能であるが、一例で、対象物に当接することで検出を行う接触式のセンサ(スイッチ)であってもよい。他にも、非接触式に検出を行うセンサであってもよい。非接触式のものとしては、光学式、磁気式、静電容量式など種々の方式を利用可能である。一例で、ホール素子、光電センサ、CCDセンサ、静電容量型近接スイッチ、近接センサなどを利用してもよい。
クランプセンサA477は、制御回路455に電気的に接続されている。制御回路455は、センサの検出結果に応じて、種々の動作制御を行うように構成されている(詳細下記)。クランプセンサA477は、この例では図12に示すように、プレッサー部材の前面に配置されている。より具体的には、プレッサー部材の前面から突出するように配置されている。
輸液ポンプA410は、また、シリンジセンサA478を有している。シリンジセンサA478は、シリンジが所定位置にセットされているか否かを判定するために利用される。シリンジセンサA478としても種々のセンサを利用可能であるが、一例で、対象物に当接することで検出を行う接触式のセンサであってもよい。他にも、非接触式に検出を行うセンサであってもよい。非接触式のものとしては、光学式、磁気式、静電容量式など種々の方式を利用可能である。一例で、ホール素子、光電センサ、CCDセンサ、静電容量型近接スイッチ、近接センサなどを利用してもよい。
シリンジセンサA478も、制御回路455に電気的に接続されている。制御回路455は、センサの検出結果に応じて、種々の動作制御を行うように構成されている(詳細下記)。シリンジセンサA478は、シリンジ保持部420a内の一部に配置されている。より具体的には、シリンジ保持部の凹部から突出するように配置されている。
なお、上記センサA477、478のいずれかまたは両方に関し、図の例では1つずつ配置された構成であるが、複数のセンサを配置するようにしてもよい。また、センサの配置位置は必ずしもプレッサー部材やシリンジ保持部に限定されるものではなく、他の任意の位置としてもよい。
(動作制御の一例)
1.輸液ポンプの基本動作
輸液ポンプA410の基本動作は次のとおりである。なお、以下の説明で述べる動作の順番は必要に応じて変更可能である。
すなわち、まず操作者がポンプの電源を入れる。電源は、例えば図13に示すように、筐体の一部に設けられた物理的なボタンA449であってもよい。
次いで、輸液ポンプにシリンジおよび注入回路を取り付ける。シリンジは、エア抜きが行われた状態のものであることが、一形態において、好ましい。
次いで、注入条件の設定を行う。注入条件は、薬液注入装置のコンソール上で設定され、それがコンソールから輸液ポンプへ送信され、輸液ポンプ側で設定されるものであってもよい。または、操作者によってマニュアル入力されるものであってもよい。すなわち、操作者が輸液ポンプの速度アップボタン/速度ダウンボタンA444を押すことで設定されるものであってもよい。一形態として、例えばボタンを押した際に0.01ml/sec単位で数値が変わる構成としてもよい。
輸液ポンプに搭載されるシリンジの容量が一定の場合(つまり容量が固定値の場合)、上記で設定した注入速度と容量とを用いて注入時間を算出することができる。注入ポンプはこの計算を行い、注入時間を設定する。これにより、「注入条件」である「注入速度」および「注入時間」の設定が完了する。
次いで、薬液の注入を実施する。薬液注入は、一例で、シリンジ内の薬液を全て注入する全量注入であってもよい。注入を開始する条件の具体例については後述するものとする。
次いで、注入回路およびシリンジを取り外す。その後、輸液ポンプの電源を切る。
2.クランプセンサを利用した動作制御
シリンジを輸液ポンプA410に取り付ける際、操作者は、シリンジをシリンジ保持部A420aにセットした後、プレッサー部材A433を前進させる。例えば、前進ボタンを押すことでこの動作が行われる。プレッサー部材A433は、その前端面がシリンジのピストン部材の後端面に当接するまで前進させられ、この位置までくると、プレッサーA433の一対の爪がピストン後端面を保持する。この状態では、ピストン後端面がクランプセンサA477に当接する。クランプセンサA477からの電気的信号にしたがって、輸液ポンプA410(具体的には制御回路455)がシリンジが適正に装着されたと判断する。
本実施形態では、薬液の注入を実施する際も(例えば、スタートボタンを押した後)、クランプセンサA477による検出が継続的に行われる。制御回路455は、クランプセンサA477の検出結果に基づき、クランプセンサがOFFとなっているか否か(つまり、シリンジが適正に装着されているか否か)の判定を行う。
上記判定でクランプセンサA477がOFFとなっていると判定した場合、制御回路455は、所定のアラームを発生させる。アラームとしては、音、音声、それらの組合せを発するもの、発光部を点灯または点滅させるもの、文字等を表示するもの等、種々の態様のものを利用可能である。
アラームに代えてまたはアラームとともに、プレッサー部材A433を前進させないような制御を行ってもよい。具体的には、制御回路455は、仮にスタートボタンA446が押されたとしても、クランプセンサA477によってシリンジが適正に装着されていると判定されていない状態では、ピストン駆動機構430を動作させない。
このような構成によれば、シリンジが適正に装着されていないのにプレッサー部材A433が前進して不適当な薬液注入が行われてしまうことを未然に防止することができる。
3.シリンジセンサを利用した動作制御
シリンジをシリンジ保持部A420aにセットすると、シリンジがシリンジセンサA478に当接して同センサがONとなる。制御回路455は、シリンジセンサA478のこの電気的信号にしたがって、シリンジがシリンジ保持部A420aにセットされたことを検出する。
本実施形態の輸液ポンプA410は、次のような制御を行うものであってもよい。すなわち、まず、上記のようにシリンジセンサA478の結果に基づいてシリンジがシリンジ保持部420aにセットされているか否かを判断する。
次いで、セットされている状態では、仮に操作者が「中速前進」、「中速後退」、「オートリターン」のいずれかを押したとしても、ピストン駆動機構430を動作させない。
このような構成によれば次のような利点が得られる。すなわち、輸液ポンプA410は、この例では、患者の身体機能に対する影響が比較的大きい薬剤(例えば心拍数をコントロールする薬剤など)を注入するものである。したがって、少なくとも、所定量以上の注入が行われないような構成となっていることが好ましい。そこで、上記のように少なくとも「中速前進」が禁止される構成によれば、操作者の誤操作によって所定量以上の注入が行われてしまうことを防止することが可能となる。一方、「中速後退」や「オートリターン」が禁止されていることで、血液を薬液チューブ内に引き込んでしまうようなことも防止することが可能となる。
なお、「中速前進」、「中速後退」、「オートリターン」は必ずしも全てが禁止される必要はない。本発明の一形態では、そのうちの1つのみが禁止される。他の形態では、そのうちの2つ(複数)が禁止される。
輸液ポンプA410は次のような動作を行うように構成されていることも好ましい。具体的には、輸液ポンプA410は、シリンジがセットされている状態では、操作者によるマニュアル動作(例えば、ボタンを押すことによるプレッサー部材の前進、後退、またはそれらの両方)を禁止するものであってもよい。言い換えれば、輸液ポンプA410は、プログラムされた薬液条件にしたがった自動注入のみを許容する構成となっている。
このような構成によれば、プログラムされた薬液条件以外の条件での注入は実行できないこととなるので、人為的なミスによるご注入をより一層防止することが可能となる。
4.シリンジセンサとクランプセンサの結果の組合せを利用した動作制御
上記した2つのセンサの検出結果を利用して、下記の表のような動作制御を行うようにしてもよい。ここで、表中の「○」は、ボタンが押されたときにその動作が可能であることを示し、「×」はボタンが押されてもその動作が実施できないことを示している。
○:動作可能
×:動作不可
薬液注入をより安全に実施する観点から、シリンジセンサON、かつ、クランプセンサONの状態で、スタートボタンが押された場合に、注入が開始されるように構成されていることも好ましい。少なくともシリンジセンサOFFの状態ではスタートボタンが押されても薬液注入は開始しない、少なくともクランプセンサOFFの状態ではスタートボタンが押されても薬液注入は開始しない構成としてもよい。
クランプセンサおよびシリンジセンサの少なくとも一方の検出結果に応じて、ピストン駆動機構を動作させないようにすることは安全な薬液注入の点で好ましい。このような動作制御は、薬液注入を開始するタイミングに実施してもよいが、薬液注入中にクランプセンサおよびシリンジセンサの少なくとも一方の検出結果が変化した場合(例えばシリンジが外れた場合などが想定される)に行うようにしてもよい。
5.動作中の状況表示
輸液ポンプA410は、一例で、図14に示すような表示部A470を有している。表示部A470は、
−注入動作表示部(状態表示部)A471、
−アラームインジケータ(状態表示部)A472、
−注入速度表示部(設定速度表示部)A473、
−注入時間表示部A475
−電池残量表示部A474。
を有している。
注入動作表示部A471は、一例で発光する複数のセグメントを含んでいる。複数のセグメントは円形に配置されていてもよい。これら複数のセグメントをポンプの動作に応じて所定のパターンで発光部を発行させることで、現在どのような動作が行われているかを知らせることができる。一例で、図15のようなパターンでの表示を行ってもよい。前進動作中は、注入動作表示部A471の複数のセグメントの円形のうち前方半分側のみを点灯させる。点滅であってもよい。後退動作中は、円形の後方半分側のみを点灯または点滅させる。注入中は、個々のセグメントを順に点灯させていき回転しているように見える表示としてもよい。
アラームインジケータA472は、この例では、「PRS」、「Syringe」、および「RAM」のインジケータ(発光部)を含んでいる。
「PRS」は圧力を意味する。この例ではチューブを模式的に表した表示が一例で設けられている。輸液ポンプA410は、薬液注入中の圧力の検出を行い、その検出圧力と所定のリミット値とを比較し、検出圧力がリミット値に達したか(または超えたか)否かを判定する。検出圧力がリミット値に達した(または超えたか)場合、輸液ポンプは、「PRS」インジケータを点灯または点滅させる。これにより、圧力リミットオーバであることを操作者に知らせることができる。
「Syringe」は、シリンジの装着を示すものである。この例ではシリンジを模式的に表した表示が一例で設けられている。輸液ポンプA410は、シリンジセンサA478の検出結果に基づき、シリンジが装着されているか否かを判定する。シリンジが未装着の状態で、注入操作を行おうとした場合(すなわちプレッサー部材の前進)には、輸液ポンプは、「Syringe」インジケータを点灯または点滅させる。
「RAM」は、プレッサー部材のクランプ状態を示すものである。この例ではプレッサー部材を模式的に表した表示が一例で設けられている。輸液ポンプA410は、クランプセンサA477の検出結果に基づき、プレッサー部材が正しくピストン後端面を保持しているか否かを判定する。正しく保持していない状態で、注入操作を行おうとした場合(すなわちプレッサー部材の前進)には、輸液ポンプは、「RAM」インジケータを点灯または点滅させる。
注入速度表示部A473は、設定された注入速度を表示する。注入時間表示部A475は、注入が終了するまでの時間を表示する。電池残量表示部A474には、電池残量を表示する。
5.アラーム表示(ワーニング表示)
各種センサの検出結果に基づいて、どの箇所にエラーが生じているかを判定し、それを例えば図16のようなアラーム表示で操作者に知らせるような構成としてもよい。
図16(a)は、圧力オーバであることを示すものであり、チューブの箇所(「PRS」)にアラーム表示が表示されている。なお、圧力が所定基準値内に戻ったときにアラーム表示が消えるように構成されていてもよい。
図16(b)は、シリンジの装着異常を示すものであり、シリンジの箇所(「Syringe」)にアラーム表示が表示されている。なお、シリンジを装着することで当該表示が消えるように構成されていてもよい。または、ストップスイッチまたは他の任意のボタンを押すことで当該表示が消えるように構成されていてもよい。
図16(c)は、クランプ異常を示すものであり、シリンジの箇所(「RAM」)にアラーム表示が表示されている。なお、シリンジをクランプしたことを検出した場合に当該表示が消えるように構成されていてもよい。または、ストップスイッチまたは他の任意のボタンを押すことで当該表示が消えるように構成されていてもよい。
6.状態遷移の具体的説明
図17は、輸液ポンプの状態遷移の一例である。図に示すように、輸液ポンプは電源ONの後、所定の初期化動作を行うものであってもよい。具体的な一例について以下、説明する。当然ながら以下に示す具体的な動作手順やタイミング、時間等は、本発明のあくまで一例である。
(電源ON/セルフチェック)
電源ONに関し、電源スイッチを長押しすることで電源が入る構成であってもよい。電源のONにより自動的に初期化動作(下記)が行われる構成であってもよい。初期化動作としては、装置内の1つまたは複数の電気的要素の動作確認のためのセルフチェック等が挙げられる。具体的な一例として、ポンプ内部の記憶媒体(不図示)のデータのSUMをチェックし、SUMが一致しない場合には異常と判定する構成であってもよい。異常と判定されなかった場合、初期化完了となり、ピストン駆動機構が動作可能な状態となる。異常と判定された場合、所定のアラームを発するか、動作を禁止する状態となるような構成であってもよい。
図18は、前進移動の状態遷移の一例である。
装置内のリミットスイッチ(前進リミット、不図示)がOFFとなっている状態で、低速前進ボタンが押された場合、低速前進状態に遷移する。
−ボタンを離す、
−他のボタンを押す、
−前進リミットがONとなる、
−シリンジセンサの入力が切り替わる、
−圧力が所定のリミット値(一例で、10PSI、15PSI)に達する等
のうち少なくとも1つがあった場合に、停止に遷移する。なお、クランプセンサやシリンジセンサの検出結果に応じて停止に遷移するようになっていてもよいことは上述した通りである。
中速前進から停止への遷移は、例えば、
−ボタンを離す、
−他のボタンを押す、
−前進リミットがONとなる、
−シリンジセンサの入力が切り替わる、
−クランプセンサの入力が切り替わる、
−圧力が所定のリミット値(一例で、10PSI、15PSI)に達する等
のうち少なくとも1つがあった場合に行われてもよい。
図19は、オートリターンに関する状態遷移の一例である。
装置内のリミットスイッチ(後端リミット、不図示)がOFFとなっている状態でオートリターンボタンが押された場合、オートリターンが行われる。オートリターン待ちからオートリターンへの遷移の条件は、ボタンの長押しであってもよい。
−他のボタンを押す、
−後端リミットがONとなる、
−シリンジセンサの入力が切り替わる、
−クランプセンサの入力が切り替わる、
のうち少なくとも1つがあった場合に、停止に遷移する。
図20は、注入に関する状態遷移の一例である。
装置内のリミットスイッチ(前進リミット、不図示)がOFFとなっている状態でスタートボタンが押された場合、他の注入禁止条件がないことを条件に、注入が行われる。
−他のボタンを押す、
−前進リミットがONとなる、
−シリンジセンサの入力がOFFとなる、
−クランプセンサの入力がOFFとなる、
−圧力が所定のリミット値(一例で、10PSI、15PSI、30PSI)に達する
のうち少なくとも1つがあった場合に、停止に遷移する。
(付記1)
本出願は、以下の発明を開示する:
1.A:輸液ポンプ(410)と、
B:薬液注入装置(100)と、
を備えた薬液注入システムであって、
前記輸液ポンプは、心筋解析検査用の薬剤が充填されたシリンジ(200V)のピストン部材を移動させるピストン駆動機構(430)を有するものであり、
前記薬液注入装置は、
造影剤が充填されたシリンジ(200C)のピストン部材を移動させるピストン駆動機構(130)を少なくとも有する注入ヘッド(110)と、
ディスプレイ(151)と、
制御部(155)と、を有し、
前記制御部(155)は、前記ディスプレイ(151)に、
前記注入ヘッドの注入動作条件、および、前記輸液ポンプの注入動作条件を含む注入プロトコルを設定するための設定画面(GUI)を表示するように構成されている、
薬液注入システム。
2.さらに、前記注入プロトコルを記憶する記憶部(159)を有する。
3.前記注入ヘッド(110)が、希釈剤または生理食塩水が充填されたシリンジ(200C)のピストン部材を移動させる他のピストン駆動機構(130)も有する。
4.前記注入プロトコルの設定画面(GUI)は、第1フェーズとして血管拡張剤の注入フェーズを含み、第2フェーズとして造影剤の注入フェーズを含む。
5.前記注入プロトコルの設定画面(GUI)は、さらに、第3フェーズとして造影剤と生理食塩水の同時注入フェーズを含み、第4フェーズとして生理食塩水の後押し注入フェーズを含む。
6.前記制御部(155)は、前記ディスプレイに、血管拡張剤の注入が行なわれていることを示すグラフィカル画像(650)を表示するように構成されている。
別の態様に係るシステムは、
A:輸液ポンプ(410)と、
B:薬液注入装置(100)と、
を備えた薬液注入システムであって、
前記輸液ポンプは、心筋解析検査用の薬剤を患者に向けて注入するための駆動機構(430)を有するものであり、
前記薬液注入装置は、
造影剤が充填されたシリンジ(200C)のピストン部材を移動させるピストン駆動機構(130)と、
前記ピストン駆動機構の動作を制御する制御部(145、155、またはその両方)と、を有し、
前記制御部(145、155、またはその両方)は、
前記輸液ポンプに対しても接続され、所定の注入プロトコルにしたがって、所定のタイミングで前記輸液ポンプに対して電気的信号を送るように構成されている。
8.前記制御部は、前記輸液ポンプに対して、その動作の開始および停止の少なくとも一方のトリガとなる電気的信号を送る。
9.さらに、撮像装置を備え、前記制御部(155)は、前記撮像装置にも接続されている。
10.前記薬液注入装置がコンソール(150)を備え、前記コンソールに、前記制御部および前記ディスプレイが設けられている。
11.さらに、心筋解析検査用の前記薬剤とは別の他の薬剤(例えばベータブロッカー)を患者に向けて注入するための別の輸液ポンプも備える。
(付記2)
本出願は、また、次の発明を開示する:
A1.コンピュータが、所定のディスプレイに、
前記注入ヘッドの注入動作条件、および、前記輸液ポンプの注入動作条件を含む注入プロトコルを設定するための設定画面(GUI)を表示する、
システムの作動方法。
A2.コンピュータが、前記設定画面(GUI)に対する操作者による入力を受け付ける、上記記載のシステムの作動方法。
A3.コンピュータが、上記入力に応じて前記注入プロトコルに含まれるパラメータを変更する、上記記載のシステムの作動方法。
A4.コンピュータが、設定された注入プロトコルにしたがって、注入ヘッドおよび輸液ポンプの動作を制御して、心筋解析用の薬液と少なくとも造影剤とを薬液注入装置から注入させる、上記記載のシステムの作動方法。
A5.コンピュータが、設定された注入プロトコルにしたがって、そのコンピュータに有線または無線で接続された撮像装置の動作タイミングを制御する、上記記載のシステムの作動方法。
A6.コンピュータが、薬液注入中に、心筋解析用の薬液の注入が行なわれていることを示すグラフィカル画像をディスプレイに表示させる、システムの作動方法。
A7.メモリ等の記憶媒体に、
−第1フェーズとして血管拡張剤の注入条件、
−第2フェーズとして造影剤の注入条件、
を少なくとも含む注入プロトコルのデータ(単なる数値データの場合も含む)を有し、
コンピュータが、操作者による所定の入力があったときに、その注入プロトコルのデータを読込み、ディスプレイに表示する。
A8.さらに、第3、第4フェーズとして、造影剤および生理食塩水の同時注入の条件と、生理食塩水の注入条件とを含む。
(付記3)
本出願は、以下の発明を開示する:
B1.A:輸液ポンプ(A410)と、
B:薬液注入装置(100)と、
を備えた薬液注入システムであって、
前記輸液ポンプは、
シリンジ(200V)のピストン部材を移動させるピストン駆動機構(430)と、
それに電気的に接続された制御回路(455)と、
を有し、さらに、
前記シリンジのピストン部材を検出するための第1のセンサ(A477)および前記シリンジがセットされたことを検出する第2のセンサ(A478)の少なくとも一方を有する、
薬液注入システム。
B2.前記第1のセンサが、ピストン部材を検出するセンサである。
B3.前記第2のセンサが、シリンジのシリンダ部材を検出するセンサである。
B4−1.前記制御回路は、第1のセンサの検出結果がOFFの場合(換言すれば、第1のセンサの検出結果に基づきピストン部材の存在を検出していない場合)、注入開始のための入力がなされたとしても、前記ピストン駆動を動作させないように構成されている。
B4−2.前記制御回路は、第2のセンサの検出結果がOFFの場合(換言すれば、第2のセンサの検出結果に基づきシリンジの存在を検出していない場合)、注入開始のための入力がなされたとしても、前記ピストン駆動を動作させないように構成されている。
B4−3.前記制御回路は、第1および第2のセンサの検出結果がいずれもOFFの場合、注入開始のための入力がなされたとしても、前記ピストン駆動を動作させないように構成されている。
B5.前記制御回路は、
−第1のセンサの検出結果がOFFの場合、
−第2のセンサの検出結果がOFFの場合、または、
−第1および第2のセンサの検出結果がいずれもOFFの場合、
(i)操作者が前進ボタンを押したとしても前記ピストン駆動を動作させない、
(ii)操作者が後退ボタンを押したとしても前記ピストン駆動を動作させない、または、
(iii)上記(i)と(ii)の両方
を行うように構成されている。別の態様として、ピストン駆動機構の動作中に上記のような検出が行われた場合に、ピストン駆動の動作を停止するようにしてもよい。
B6−1.さらに、前記輸液ポンプが、
モータ電流を利用した第1の圧力検出手段、および/または
圧力センサを利用した第2の圧力検出手段
を備える。
B6−2.さらに、前記輸液ポンプが、
エラーが検出された位置を表示するためのアラームインジケータ(状態表示部)を含む表示部を備える。
B7.上記システムに含まれる輸液ポンプ。
1 撮像システム
100 薬液注入装置(造影剤注入装置)
110 注入ヘッド(インジェクタヘッド)
111 筐体
121、122 アダプタ
120a シリンジ保持部(凹部)
130 ピストン駆動機構
131 モータ
132 伝達機構
133 ラム部材
138 ロードセル
155 制御回路
150 コンソール
151 ディスプレイ
153 タッチパネル
157 物理的ボタン(スイッチ)
159 記憶部
180 スタンド
195a 電源回路
195b ACコード
197a、197b 電力供給線
198 信号線
200C、200S、200V シリンジ
221 シリンダ部材
222 ピストン部材
225 ICタグ
230 延長チューブ
235 延長チューブ
410 輸液ポンプ
411 筐体
420a シリンジ保持部(凹部)
422 押さえ部材
431 モータ
432 伝達機構
433 プレッサー部材
438 ロードセル
440 操作部
455 制御回路
495a 電源回路
495b ACコード
610 注入プロトコルウィンドウ
611、613、615〜617 ボックス
621 テンキー
625 グラフィカル画像
630 人体画像
1100 撮像装置
1101 ガントリ
1103 ベッド
1150 心電計
A410 輸液ポンプ
A420 シリンジ保持構造
A420a シリンジ保持部
A421 受け溝
A423 シリンジアダプタ
A430 ピストン駆動機構
A433 プレッサー部材
A470 表示部
A477 クランプセンサ
A478 シリンジセンサ
A481 支持バー

Claims (10)

  1. 輸液ポンプと、
    造影剤注入装置と、
    を備えた薬液注入システムであって、
    前記輸液ポンプは、心筋解析検査用の薬剤を患者に向けて注入するための駆動機構およびその駆動機構の動作を制御する制御回路を有するものであり、
    前記造影剤注入装置は、造影剤が充填されたシリンジのピストン部材を移動させるピストン駆動機構を少なくとも有する注入ヘッドと、ディスプレイと、制御部と、を有し、
    前記制御部は、前記ディスプレイに、前記注入ヘッドの注入動作条件、および、前記輸液ポンプの注入動作条件を含む注入プロトコルを設定するための設定画面を表示するように構成されるとともに、前記輸液ポンプに対して、その動作の開始および停止の少なくとも一方のトリガとなる電気的信号を送るように構成されている、
    薬液注入システム。
  2. さらに、
    前記注入プロトコルを記憶する記憶部を有する、
    請求項1に記載の薬液注入システム。
  3. 前記注入ヘッドが、希釈剤または生理食塩水が充填されたシリンジのピストン部材を移動させる他のピストン駆動機構も有する、
    請求項1または2に記載の薬液注入システム。
  4. 前記注入プロトコルの設定画面は、
    第1フェーズとして血管拡張剤の注入フェーズを含み、
    第2フェーズとして造影剤の注入フェーズを含む、
    請求項3に記載の薬液注入システム。
  5. 前記注入プロトコルの設定画面は、さらに、
    第3フェーズとして造影剤と生理食塩水の同時注入フェーズを含み、
    第4フェーズとして生理食塩水の後押し注入フェーズを含む、
    請求項4に記載の薬液注入システム。
  6. 前記制御部は、前記ディスプレイに、
    血管拡張剤の注入が行なわれていることを示すグラフィカル画像を表示するように構成されている、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の薬液注入システム。
  7. 輸液ポンプと、
    造影剤注入装置と、
    を備えた薬液注入システムであって、
    前記輸液ポンプは、心筋解析検査用の薬剤を患者に向けて注入するための駆動機構およびその駆動機構の動作を制御する制御回路を有するものであり、
    前記造影剤注入装置は、
    造影剤が充填されたシリンジのピストン部材を移動させるピストン駆動機構と、
    前記ピストン駆動機構の動作を制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、
    前記輸液ポンプに対しても接続され、所定の注入プロトコルにしたがって、所定のタイミングで前記輸液ポンプに対して電気的信号を送るように構成されるとともに、前記輸液ポンプに対して、その動作の開始および停止の少なくとも一方のトリガとなる電気的信号を送るように構成されている、
    薬液注入システム。
  8. さらに、撮像装置を備え、
    前記制御部は、前記撮像装置にも接続されている、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の薬液注入システム。
  9. 前記造影剤注入装置がコンソールを備え、
    前記コンソールに、前記制御部および前記ディスプレイが設けられている、請求項1〜のいずれか一項に記載の薬液注入システム。
  10. さらに、
    心筋解析検査用の前記薬剤とは別の他の薬剤を患者に向けて注入するための別の輸液ポンプも備える、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の薬液注入システム。
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