JP7350284B2 - 薬液注入装置および注入プロトコル設定プログラム - Google Patents

薬液注入装置および注入プロトコル設定プログラム Download PDF

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Description

本発明は、薬液注入装置および注入プロトコル設定プログラムに関し、特には、関心部位においてコントラスト差を付けつつ異なる種類の血管等を同タイミングで強調可能な注入プロトコルを設定する薬液注入装置および注入プロトコル設定プログラムに関する。
現在、医療用の画像診断装置として、CT(Computed Tomography)スキャナ、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、超音波診断装置、血管造影(アンギオグラフィ)撮像装置等が知られている。このような撮像装置を使用する際、被検者に造影剤や生理食塩水など(以下、これらを単に「薬液」とも言う)を注入することがある。
造影剤を注入しての断層画像撮像は種々の手技で実施されている。また、近年、術前に例えば3次元モデルによって血管の走行状態を確認すること等も行われるようになってきている。例えば肺や肝臓を対象として、区域切除を円滑に実施できるように手術シミュレーションが行われることもある。こうした手術シミュレーションにおいては、通常、動静脈を区別できるようになっていることが望ましい。そのために、従来、動脈層と静脈相とで時相を変えて2回撮像する手技などが提案されている(なお、手技自体ではないものの、動脈相や静脈相で時相が異なることに着目しそれぞれのデータを分類できるようにした技術として、例えば特許文献1参照)。
特開2009-131421号公報
造影剤の注入から各血管等に到達するまでの時間の相違に起因して、造影効果が現れる時間は、血管の種類や臓器の種類によって異なることとなる。例えば、通常、動脈はより早く造影効果が現れ、一方、静脈はそれより遅れて造影効果が現れる。
ここで、上述のとおり、動脈と静脈を撮像するのに動脈相と静脈相とのそれぞれのタイミングで撮像を行う手法(2回撮像)もあるが、この手法では、動脈相の撮像時間から少し遅れて静脈相の撮像が行われるので、体動や呼吸や臓器の動きによって、動脈および静脈を正しい位置関係で撮像できないことがある。動脈相の所定のタイミング(時刻t1)で撮像した動脈画像と、静脈相の所定のタイミング(時刻t2)で撮像した静脈画像とを組み合わせることを前提としているものの、これらは同時刻に撮像されたものではないため、時刻t1から時刻t2の間に血管の位置が動いてしまうと、正しい位置関係が保たれなくなるためである。
一方で、断層画像から動脈と静脈(言い換えれば第1の種類の血管と第2の種類の血管)とを良好に区分して描画するためには、例えば動脈のCT値と静脈のCT値との間に十分な差が付いていること(かつ、造影剤が注入されていない通常状態に比べてある程度造影もされている)が望ましい。これにより、例えば、ワークステーションで3次元モデルを作成する場合でも、各血管を良好に区分することが可能となる。
そこで本発明の目的は、関心部位においてコントラスト差を付けつつ異なる種類の血管等を同タイミングで強調可能な注入プロトコルを設定する薬液注入装置および注入プロトコル設定プログラムを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の一形態の薬液注入装置は下記の通りである:
1つまたは複数の収容容器内の薬液を被検者へ向けて押し出す1つまたは複数の駆動機構と、
前記薬液の注入プロトコルを設定する機能を有する制御ユニットと、
を備え、前記薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置であって、
前記制御ユニットは、
A:被検者に注入すべき造影剤の体重当たりの必要ヨード量の情報を取得する処理と、
B:被検者の体重の情報を取得する処理と、
C:造影剤の成分情報、および、被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量と前記体重の情報に基づき注入すべき造影剤量を計算する処理と、
D:造影剤を注入する第1の造影剤フェーズ、第2の造影剤フェーズ、およびそれらフェーズの間のインターバルフェーズを少なくとも含み、撮像対象である動脈および静脈を同時に強調することが可能な注入プロトコルを設定する処理であって、
d1:計算された前記造影剤量を前記第1の造影剤フェーズと第2の造影剤フェーズとに振り分ける割合の情報の入力を受け付け、
d2:前記第1の造影剤フェーズの注入時間の情報の入力を受け付け、
d3:前記第2の造影剤フェーズの注入時間の情報の入力を受け付け、
d4:前記インターバルフェーズの継続時間の情報の入力を受け付け、
それらの情報に基づいて注入プロトコルを設定する処理と、
を行うように構成されている、薬液注入装置。
(用語の説明)
「薬液」とは、例えば、造影剤、生理食塩水、またはそれらを混合したものをいう。
「注入プロトコル」とは、どのような薬液を、どれくらいの量、どれくらいの速度で注入するかを示すものである。
「収納容器」とは、薬液を収容する容器のことをいい、シリンジの他にも、薬液収納バッグ等も含まれる。
「(動脈および静脈等を)同時に強調する」の「同時に」とは、必ずしも厳密に同時刻である必要はなく、両血管(対象物)がともに造影されている状態がある程度の時間(例えば数秒~数十秒)継続する状態をいう。
「同一」という語句に関し、所定の数値と「同一」といった場合には、その数値と完全に同一な場合に加え、当該数値の10%の値をその数値に加除した一定の数値範囲をも含むものとする。例えば、「10」と同一であるとは、10±1の範囲をいう。
本発明によれば、関心部位において異なる種類の血管(さらには実質臓器も含めた異なる対象物)をコントラスト差を付けつつ同タイミングで強調可能な注入プロトコルを設定する薬液注入装置および注入プロトコル設定プログラムを提供することができる。
薬液注入装置の構成例を示す斜視図である。 注入ヘッドおよびそれに装着される薬液シリンジを示す斜視図である。 薬液注入装置および撮像装置のブロック図である。 コンソールの制御部の一部の機能を示すブロック図である。 注入プロトコルの一例を示す図である。 本実施形態における注入プロトコルの設定の例を示すフローチャートである。 動静脈分離描出可能なタイムデンシティカーブ(TDC)の一例である。 操作者からの入力を受け付けるためのグラフィカルユーザーインターフェースの一例である。 操作者からの入力を受け付けるためのグラフィカルユーザーインターフェースの他の例である。
以下、本発明の一形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下では、薬液注入装置を例として説明するが、本発明は、適切な注入プロトコルを設定するという観点では、他の情報処理デバイスにも適用可能である。
1.装置構成
薬液注入装置について図1~図4を参照して説明する。本発明の一形態に係る薬液注入装置100は、可動式スタンド111の上部に保持された注入ヘッド110と、一例としてケーブル102で注入ヘッド110と電気的に接続されたコンソール150とを備えている。この例では、注入ヘッド110には、2つのシリンジ200C、200P(図2参照)が並列に取外し自在に装着される。
なお、以下の説明では、シリンジ200C、200Pを区別せずに単にシリンジ200ということもある。「注入ヘッド」は、インジェクターまたはインジェクションヘッドなどとも呼ばれる。ケーブル102で接続する形態の他にも、例えば、無線方式で注入ヘッド110とコンソール150とが通信する構成としてもよいし、また、注入ヘッド110を例えば天吊り式のアーム(不図示)に保持させる構成としてもよい。
[シリンジ]
シリンジ200C、200P(図2参照)に充填される薬液としては、造影剤および生理食塩水などが挙げられる。例えば、一方のシリンジ200Cに造影剤が充填され、もう一方のシリンジ200Pに生理食塩水が充填されていてもよい。他の例として、濃度の異なる造影剤が第1のシリンジ、第2のシリンジのそれぞれに充填されてもよい。
シリンジ200は、中空筒状のシリンダ部材221と、そのシリンダ部材221にスライド自在に挿入されたピストン部材222とを有している。シリンダ部材221は、その基端部にシリンダフランジ221aが形成されるとともに先端部に導管部221bが形成されている。ピストン部材222をシリンダ部材221内に押し込むことにより、シリンジ内の薬液が導管部221bを介して外部に押し出される。なお、シリンジは予め薬液が充填されたプレフィルドタイプであってもよいし、空のシリンジに薬液を吸引して使用する吸引式のものであってもよい。
各シリンジ200の導管部221bには、延長チューブ230が連結される。延長チューブ230は、いわゆるT字管またはY字管であってもよい。延長チューブ230は、この例では、一方のシリンジ200Cの導管部221bから分岐部まで延びるチューブ231aと、他方のシリンジ200Pの導管部221bから分岐部まで延びるチューブ231bと、分岐部から被検者に向けて延びるチューブ231cとを有している。チューブ231cの先端側には注入針(不図示)が接続される。この注入針を被検者の血管に穿刺して、シリンジ200Cおよび/またはシリンジ200P内の薬液を押し出すことで血管内に薬液が注入される。なお、延長チューブ230としては、国際公開2011-125303号(WO2011/125303)に開示されるミキシングデバイスを利用するものであってもよい。このミキシングデバイスは、2つの流路から流れ込んだそれぞれの薬液を、旋回流を利用して混ぜ合わせる機能を有するものである。
図3に示すように、シリンダ部材221の一部にICタグ225が付されていてもよい。このICタグ225は、無線通信を行うものであり、シリンジに関する情報(シリンジの識別情報、シリンジの耐圧、シリンダ部材の内径、ピストン部材のストローク等)や、該シリンジに充填された薬液の情報(名称(例えば製品名)、ヨード量などの成分情報、消費期限、薬液容量等)が記憶されている。ICタグは、そのタグに固有のユニークIDを有していてもよい。ICタグは、シリンジサイズ、シリンジの製造番号、および薬剤標準化コードから選ばれる少なくとも1つの情報を有していてもよい。なお、ICタグ225としては、例えば、RFID(Radio frequency identification)タグを利用することができる。ICタグ225を貼り付ける位置としては、一例で、シリンダ部材221の外周面であってもよく、具体的には、外周面のうちシリンダフランジの付近であってもよい。
[注入ヘッド]
注入ヘッド110は、図2に示すように、一例として前後方向に長く延びるような筐体120を有しており、この筐体の上面には、それぞれシリンジ200C、200Pが載せられる2つの凹部120aが形成されている。凹部120aはシリンジ保持部として機能する。
凹部120aに対しては、シリンジ200が直接装着されてもよいし、または、所定のシリンジアダプタを介して装着されてもよい。図2では、各シリンジ200のシリンダフランジ221aおよびその近傍を保持するシリンジアダプタS121、S122が一例として図示されている。シリンジアダプタの形状や機能は特定のものに限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。
注入ヘッド110は、また、図2および図3に示すように、シリンジ200のピストン部材222を押し込む機能を少なくとも有するピストン駆動機構130を有している。ピストン駆動機構130は二系統設けられており、各機構130は独立して動作する。ピストン駆動機構130は、例えばシリンジ内への薬液吸引のために、ピストン部材222を後退させる機能を有するものであってもよい。2つのピストン駆動機構130は同時に駆動されてもよいし、別々のタイミングで駆動されてもよい。
ピストン駆動機構130は、詳細な図示は省略するが、駆動モータ(不図示)と、その駆動モータの回転出力を直線運動に変換する運動変換機構(不図示)と、その運動変換機構に連結され、ピストン部材222を前進および/または後退させるシリンジプレッサー(ラム部材)とを有するものであってもよい。このようなピストン駆動機構としては、薬液注入装置で一般に用いられる公知の機構を用いることができる。
なお、ピストン駆動機構130は、シリンジプレッサーがピストン部材220を押圧する力を検出するためのロードセル(不図示)を有していてもよい。ロードセルの検出結果を利用して、例えば、薬液を注入しているときの薬液の圧力の推定値を求めることができる。この推定値の算出は、シリンジや針のサイズ、薬液の濃度、注入条件なども考慮して行われる。当然ながら、注入回路の構成(チューブの経や長さ等)を考慮して算出を行うようにしてもよい。上記の他にも、ロードセル(不図示)を用いるのではなく、駆動モータ(不図示)のモータ電流に基づいて圧力の算出を行うものであってもよい。
シリンジにICタグ225が付されている場合には、注入ヘッド110は、図3に示すように、同ICタグ225の情報を読み取るおよび/または同ICタグ225に情報を書き込むリーダ/ライタ145を有していている。このリーダ/ライタ145は、シリンジ200が装着される凹部120aに設けられていてもよい。なお、リーダ/ライタ145は、ICタグ225の情報を読み取る機能のみを有するものであってもよい。
注入ヘッド110は、図3に示すように、ピストン駆動機構130やリーダ/ライタ145の動作を制御するための制御部144を有していてもよい。また、例えば、ICタグ225から読み取られた情報を一時的に記憶する記憶部146を有していてもよい。制御部144は、プロセッサおよびメモリ等を有する制御回路として構成することができる。
注入ヘッド110の筐体120の上面および側面には、注入ヘッド110に各種動作を行わせるための複数の物理ボタンも設けられている。これらの物理ボタンの一部は、例えば、所定の情報を操作者に知らせるために発光するように構成されていてもよい。
以上の構成の他にも、例えばピストン駆動機構に代えて異なる方式で薬液を送出する構成を利用してもよい。一例として、薬液の入った薬液容器に接続されたチューブをローラ等で押しつぶすようにして内部の薬液を送り出すチューブポンプといった駆動機構を利用することができる。
[コンソール]
コンソール150は、検査室に隣接した操作室内に置かれて使用されるものであってもよい。コンソール150は、所定の画像を表示する表示ユニット151と、その筐体前面に設けられた操作パネル159と、筐体内に配置された制御回路(詳細下記)などを有している。操作パネル159は、1つまたは複数の物理ボタンが配置された部分であり、操作者によって操作される。表示ユニット151は、タッチパネル式ディスプレイであってもよいし、単なるディスプレイであってもよい。コンソール150は、音および/または音声を出力するためのスピーカ等(不図示)を有していてもよい。
コンソール150は、図3のブロック図では、接続されている各部の動作を制御する制御部155と、種々のデータが記憶される記憶部154と、所定の外部機器と接続するためのインターフェース端子158と、を有するものとして描かれている。コンソール150は、注入ヘッド110との接続のためのインターフェースと、撮像装置との接続のためのインターフェースとを有していてもよい。コンソール150は、操作者の手元で操作されるハンドユニット157(図1では不図示)を有していてもよい。
制御部155は、メモリやプロセッサ等を有し、実装されたコンピュータプログラムにしたがって種々の処理を行うものであってもよい。制御部155は、一例として、図4に示すように、設定画面表示部155a、注入プロトコル作成部155b、注入制御部155c、履歴生成部155d、および履歴出力部155eを含んでいてもよい。
設定画面表示部155aは、注入プロトコルを設定するための情報やグラフィカルユーザーインターフェースを表示ユニット151に表示させる機能に相当する。本実施形態では、少なくとも、後述する動脈静脈分離描出プロトコルが設定可能に構成されている。
プロトコル作成部155bは、例えば、操作者による表示ユニット151のタッチパネル等への入力操作を受け付け、その内容が反映された注入プロトコルを作成する機能に相当する。このように操作者によって入力される条件としては、例えば、薬液の種類、薬液の注入速度、薬液の注入量、被検者の身体情報、撮像を行う被検者の身体区分、および撮像部位などから選ばれる少なくとも1つであってもよい。なお、操作者による入力は、タッチパネルを介した入力操作などに限らず、他にも、例えば操作者の音声を解析して入力情報を得る音声入力や、操作者の身体の動きを解析して入力情報を得るジェスチャ入力等も利用可能である(本明細書で開示されるタッチパネルを介した入力は、それぞれ、音声入力、ジェスチャ入力、それらの組合せといった他の種々の入力方式に置き換えられ得る)。
注入制御部155cは、作成された注入プロトコルにしたがってピストン駆動機構130の動作を制御する機能に相当する。注入制御部155bは、ピストン駆動機構130の一方のみを動作させること、および、両方を同時に動作させることを行うものであってもよい。
履歴生成部155dは、注入履歴データを生成する機能に相当する。「注入履歴データ」としては、例えば、注入作業ごとに固有の識別情報である注入作業ID、注入開始および終了の日時、薬液注入装置の識別情報、前述の注入条件である薬液や撮像部位の識別情報などであってもよい。これらはテキストデータであってもよい。また、横軸と縦軸との一方が経過時間で他方が注入圧力もしくは注入速度の経時グラフの画像データなどであってもよい。注入履歴データとしては、シリンジのICタグから取得した、または操作者によって手動で入力された、または外部ネットワーク等から入力された薬液の情報やシリンジの情報であってもよい。
履歴出力部155eは、注入履歴データを外部に送信する機能に相当する。具体的には、外部の所定の機器および/またはネットワークにデータを送信するものであってもよい。シリンジのICタグから取得した、または操作者によって手動で入力された、または外部ネットワーク等から入力された薬液の情報やシリンジの情報が、薬液注入装置から病院内の医療情報システムに送信され、例えば会計処理機能を備えるシステムが、その情報に基づいて会計処理を行うようなシステム構成も可能である。
なお、各部155a~155eの各機能は、実装されたプログラムによって制御部155が実行するものであってもよい。プログラムは、コンソール内の所定の記憶手段(例えば記憶部154でもよい)に予め記憶されたものであってもよい。
記憶部154には、例えば、表示ユニット151に表示される画像・グラフィカルユーザーインターフェースのデータなどが記憶されていてもよい。また、注入条件を設定するための計算式などを含むアルゴリズムや、注入プロトコルのデータが記憶されていてもよい。注入速度は、一定であってもよいし、時間とともに変化するものであってもよい。
なお、このような注入プロトコルに関する情報は、インターフェース端子158を介して接続された外部機器から入力されてもよい。また、コンソール150がスロット(不図示)を有し、そこに差し込まれる情報記憶媒体を通じて入力されてもよい。
[撮像装置]
撮像装置300は、例えばX線CTスキャナであり、図3に示すように、被検者の透視画像を撮像する撮像部303bと、被検者を載せるベッド304と、それらの動作を制御する制御部303aとを有するものであってもよい。他にも、不図示の表示デバイス(例えばディスプレイ)が設けられ、この表示デバイスに種々の情報が表示されるようになっていてもよい。具体的な例としては、薬液注入装置の注入に関する情報(設定された注入条件の情報や、実際に注入を行った際の注入結果情報等)がその表示デバイスに表示される構成としてもよい。
2.注入動作の一例
基本的な動作として、本実施形態の薬液注入装置は一例として次のように動作する。まず、コンソール150の表示ユニット151に注入プロトコル設定用の画面が表示される。この画面では、次のようなパラメータの少なくとも1つが入力、選択、または変更される:撮像の対象である身体区分、撮像の対象である部位(撮像部位という)、被検者の体重などの情報、注入する薬液の種類、等。
これらのパラメータを選択するための画像は順次あるいは一括して表示されてもよい。上記のようなパラメータの入力、選択、または変更は、装置の機能によって自動的になされるものであってもよいし、操作者の操作によりなされるものであってもよい。
パラメータの入力が完了したら、操作者は画面上の所定のボタン(例えば確認ボタン)を押す。注入プロトコルを作成する場合には、画面に表示された注入プロトコル作成用の画像に従い、例えば、(i)予め用意された幾つかの基本パターンのうち1つを選択し、その内容を確認もしくは必要に応じて変更する、(ii)画面上に表示された注入グラフ内に幾つかの基準点をプロットしていくことにより任意の注入プロトコルを作成する、等の方式によって行うことができる。
注入プロトコルが作成されたら、操作者により所定の注入開始ボタンが操作された後、その注入プロトコルに基づいてピストン駆動機構130が動作制御され、被検者への薬液注入が行われる。
[動脈静脈分離描出プロトコル]
次に、図5を参照して、本実施形態の薬液注入装置で設定可能な他の注入プロトコルについて説明する。この注入プロトコルは、例えば、成人の肝動脈と門脈(門静脈)とを分離描出するのに好適な注入プロトコルの一例である。なお、ここでは、造影の対象が大まかに分けて2種類であり、フェーズが2つ含まれる例を示すが、本発明はこれに限らず3およびそれ以上の複数フェーズが含まれるものであってもよい。各フェーズはそれぞれ別々の対象物を造影する目的で条件設定される。
図5に示すように、この注入プロトコルは、それぞれ造影剤を注入する第1の造影剤フェーズ701(Ph1)および第2の造影剤フェーズ703(Ph2)を含んでいる。これらのフェーズ間は、継続時間が「x」秒のインターバルフェーズ702(造影効果をもたらさないフェーズ)となっている。
(第1の造影剤フェーズ)
第1の造影剤フェーズ701では、造影剤を、例えば、2.0~8.0ml/sec(2.0ml/sec以上8.0ml/sec以下を意味する)の注入速度、20~30secの注入時間で注入する。注入量は60~150ml程度であることが好ましい。特に、造影剤の速度は、低すぎると所望の造影効果が得られないおそれがあるので2.0ml/sec以上であることが好ましい。
(インターバルフェーズ)
インターバルフェーズ702の主な役割としては、第1および第2の造影剤フェーズ701、703間の時間を十分にあける点にある。インターバルフェーズ702の時間としては、例えば、5sec以上、10sec、または20sec以上であることが好ましい。インターバルフェーズ702の時間としては、実施する検査等にもよるが、例えば、30sec以下、60sec以下、120sec、または180sec以下であることが一形態において好ましい。
図5の例では、インターバルフェーズ702の中で、さらに、生理食塩水を注入するフェーズ702aを設けている。なお、こうした生理食塩水注入を行わずに、インターバルフェーズ702を完全な注入不実施フェーズとしてもよい。生理食塩水を注入する場合、例えば、2.0~8.0ml/secの注入速度、5~10secの注入時間とすることが好ましい(総注入量としては例えば30ml程度)。この注入速度は、一例として、第1の造影剤フェーズ701の注入速度と同一であってもよい。インターバルフェーズ702の一部または全部が生理食塩水注入であってもよい。別の態様として、例えば薬液のルート確保を目的とした生理食塩水の微速注入(2.0ml/sec未満であっても構わない)を、インターバルフェーズ702の一部または全部で行うようにしてもよい。なお、このような微速注入は、下記するフェーズ704での生理食塩水の注入や、さらに他の生理食塩水注入の場合において実施されてもよい。
(第2の造影剤フェーズ)
第2の造影剤フェーズ703では、造影剤を、例えば、2.0~8.0ml/secの注入速度、5~20secの注入時間で注入する。注入量は20~80ml程度であることが好ましい。
(生理食塩水注入フェーズ)
必須ではないが、図5の例では、第2の造影剤フェーズ703の後にさらに生理食塩水を注入するフェーズ704を設けている。このフェーズ704は、例えば、2.0~8.0ml/secの注入速度、5~10secの注入時間とすることが好ましい。フェーズ704に続いて生理食塩水を微速注入(一例として2.0ml/sec未満)するフェーズを設けてもよい。フェーズ704に続いて注入されるこの生理食塩水の微速注入は、実施する検査等にもよるが、例えば腎臓の保護や薬液の排出促進の役割を果たす。
図5の注入プロトコルにおいて、各フェーズの注入速度は必ずしも同一でなくてもよく、異なる注入速度であってもよい。とりわけ、造影剤フェーズ701、703に関しては、一定の注入速度に限らず、注入速度が経時的に減少する(または増加する)可変速度としてもよい。可変速度のより具体的な条件として、「可変定数」(そのフェーズの終了時の注入速度を開始時の注入速度で割った値。例えば3.0ml/secから1.5ml/secに速度が経時的に減少する場合であれば、可変定数は0.5となる)が、0.3以上1.0未満であってもよく、または0.5以上1.0未満であってもよい。
また、速度の変化に関し、直線的に速度が減少または増加するものであってもよいし、階段状に速度が減少または増加するものであってもよい。具体的な態様としては、例えば、1つのフェーズ内で複数の速度が設定されている(一例で、3.0ml/sec→2.5ml/sec→2.0ml/sec→1.5ml/sec)ことによって、所定の速度まで変化するものとしてもよい。
一例として、第1の造影剤フェーズ701において、注入する造影剤量を変えることなく、注入速度を「一定速度」から「可変速度(経時的に減速する)」に変更した場合、次のような造影効果を得ることが可能となる。すなわち、このような可変注入の場合、一定速度注入と比較して、注入開始後の比較的早いタイミングで大量の造影剤が注入されることとなり、その結果、タイムデンシティーカーブ(図7、TDC:Time Density Curve)の「動脈」の最初のピークの形状が、前倒し(より早いタイミングにピークが現れる)となった形状となる。このように、血管内に十分な量の造影剤が供給されているということは、その後、造影剤が血管の末梢側まで良好に送られ得ることを意味し、また、静脈や実質器官のCT値を全体的に上昇させる効果も期待することができる。
なお、造影剤フェーズでは、複数の薬液を同時に押し出して所望濃度の薬液を注入する希釈注入を行うようにしてもよい。
[動脈静脈分離撮影プロトコルによる造影効果]
図5の注入プロトコルによれば、図7のような造影効果を得ることができる。被検者の血管から注入された造影剤は、体循環(大循環)によって、心臓、大動脈、動脈、毛細血管と流れ、次いで静脈、大静脈、心臓へと循環する。肝臓に関しては、腸などを経由した静脈血が門脈経由で流入する。こうした体循環のために、肝臓への造影剤の到達タイミングとしては、まず、動脈経由の造影剤が先に到達し、それから一定の時間をおいた後で(造影剤が腸などを循環して門脈を通じて流入するタイミングで)、門脈経由の造影剤が到達することとなる。
図7のタイムデンシティーカーブでは、動脈のCT値は時刻30~50sec付近で最初のピークを示しており、この例では、CT値が350(HU)以上まで上昇している。このピークは、図5の第1の造影剤フェーズ701の造影剤による造影効果に対応している。
一方、静脈のCT値は、50secを越えたあたりから徐々に上昇し始める。静脈のCT値は、動脈ほど高い値とはならないが、この例では、70~80sec付近で100(HU)まで上昇し、造影されていない状態(約50HU)から50(HU)ほどCT値が高くなっている。
再び動脈のCT値に着目すると、110sec付近で2つ目のピークを示している。このピークでも、CT値は350(HU)以上まで上昇している。この2つ目のピークは、図5の第2の造影剤フェーズ703の造影効果に対応している。
動脈のCT値が2つ目のピークを示しているタイミング(時刻t)では、動脈のCT値が少なくとも300(HU)以上であり、静脈のCT値も100(HU)以上と、いずれも十分に強調された状態となっている。したがって、このタイミングにおいて一回の撮像により、両血管の造影画像を良好に取得することができる。すなわち本実施形態の手法では、動脈相のタイミングで一回撮像を行い、静脈相のタイミングでもう一度撮像を行うというものではなく、同時に両血管を撮像するものであるので、動脈と静脈を正確な位置関係で撮ることができる。しかも、両血管はいずれも造影剤によってCT値が高められていながら、かつ、動脈と静脈のCT値に十分な差(この例では約200HU)が付けられている。したがって、取得される断層画像においても、動脈と静脈の濃度差を得ることができ、ひいては、例えば3次元画像化する際に、両血管を良好に分離描出することが可能となる。上記では、動脈と静脈の例を挙げたが、本発明はそれ以外にも、造影剤の到達時間が異なる第1の血管、第2の血管を分離描画する場合にも応用可能である。さらに、血管だけでなく実質臓器をも分離抽出する際にも有用である。
なお、限定されるものではないが、2つ目のピーク(動脈のCT値)としては、例えば300HUの状態が5sec以上、好ましくは8sec以上続くようなものであることが、CT装置による撮像タイミングを作るという点で、好ましい。
図7に示すように、動脈のCT値が2つ目のピークを過ぎると、動脈のCT値は徐々に低下し、具体的にこの例では150(HU)程度まで低下する。一方、静脈のCT値が低下していくのには時間を要し、図7に示す経過時間の範囲(~200sec)では、未だ100(HU)以上を保った状態が続いている。
[注入プロトコル作成手順]
上述したような注入プロトコルは、次のような手順で設定可能である。以下、図6のフローチャートを参照しながら説明するが、ステップの実行順序は必ずしも同図に示すものに限定されるものではない。
まず、ステップS1として、薬液注入装置100のコンソール150は、体重当たりヨード量(mgI/kg)(つまりその被検者に対し造影剤の成分であるヨードを体重当たりどれくらい注入するべきかを示す数値)を設定する。体重当たりヨード量は、この例では650mgI/kgである。
体重当たりヨード量は、例えば、撮像を行う身体区分(一例で「腹部」等)や部位(一例で「肝臓」、「胃」等)などの情報に紐付けされて、予め数値が設定されていてもよい。コンソール150によるこの設定は、例えば、(a)コンソールがユーザインターフェース(一例でグラフィカルユーザーインターフェース)を提供し、それを介して操作者が入力を行い、その入力を受け付けてコンソールが所定の値を設定するものであってもよいし、または、(b)操作者による直接の入力によらずに設定されるもの;例えば身体区分および/または撮像部位を選択するとそれに対応した値が自動的に設定されるものであってもよい。上記の他にも、例えばネットワーク等を介して所定の機器から薬液注入装置等に読み込まれるものであってもよい。また、キーボードなどのデバイスを通じた入力、音声入力、ジェスチャ入力等であってもよい。入力に関するこのような留意点は、ステップS1の入力に限らず、他のステップ等にも応用可能である。
次いで、ステップS2として、コンソール150は、被検者の体重(kg)を設定する。この例では60kgである。
この設定も、上記同様、例えば、(a)コンソールがユーザインターフェース(一例でグラフィカルユーザーインターフェース)を提供し、それを介して操作者が入力を行い、その入力を受け付けてコンソールが所定の値を設定するものであってもよいし、または、(b)操作者による直接の入力によらずに設定されるもの;例えばコンソール等に接続された他の機器から被検者の体重情報が読み込まれ、自動的に設定されるものであってもよい。体重情報以外にも、限定されるものではないが、その患者や検査に応じて、所定の計算式および/または計算に使用する所定の係数といった付加情報が薬液注入装置に読み込まれる構成としてもよい。身長情報および/または性別情報等が読み込まれる構成でもよい。
次いで、ステップS3として、上記で得られた体重当たりヨード量の情報と体重の情報とを利用し、コンソール150は、注入すべき造影剤の量を計算する。この例では、300mgIの造影剤を使用すると仮定し、注入量を130(ml)と求める。
次いで、ステップS4として、コンソール150は、第1の造影剤フェーズ701(Ph1)と第2の造影剤フェーズ703(Ph2)とで注入する量の割合、つまり、上記で求めた「130(ml)」をどのような割合で第1および第2の造影剤フェーズに振り分けるかの情報を設定する。この例では7:3である。したがって、この例では、第1の造影剤フェーズの注入量は91ml、第2の造影剤フェーズの注入量は39mlということにある。
この設定も、やはり上記同様、例えば、(a)コンソールがユーザインターフェース(一例でグラフィカルユーザーインターフェース)を提供し、それを介して操作者が入力を行い、その入力を受け付けてコンソールが所定の割合を設定するものであってもよいし、または、(b)操作者による直接の入力によらずに設定されるもの;例えば身体区分および/または撮像部位を選択するとそれに対応した値が自動的に設定されるものなどであってもよい。
次いで、ステップS5として、コンソール150は、各造影剤フェーズ701、703の注入時間(継続時間)を設定する。この例では25sec、8secである。
この設定も、上記同様、例えば、(a)コンソールがユーザインターフェース(一例でグラフィカルユーザーインターフェース)を提供し、それを介して操作者が入力を行い、その入力を受け付けてコンソールが所定の値を設定するものであってもよいし、または、(b)操作者による直接の入力によらずに設定されるもの;例えば身体区分および/または撮像部位を選択するとそれに対応した値が自動的に設定されるものなどであってもよい。
次いで、ステップS6として、コンソール150は、インターバル時間を設定する。この例では、20secである。
この設定も、やはり上記同様、例えば、(a)コンソールがユーザインターフェース(一例でグラフィカルユーザーインターフェース)を提供し、それを介して操作者が入力を行い、その入力を受け付けてコンソールが所定の値を設定するものであってもよいし、または、(b)操作者による直接の入力によらずに設定されるもの;例えば身体区分および/または撮像部位を選択するとそれに対応した値が自動的に設定されるものであってもよい。
特に、本実施形態の注入プロトコルでは、第1の造影剤フェーズと第2の造影剤フェーズとの間に充分な時間をおくことが、必要以上の造影剤を注入するのを防止しつつ図7に示したようなタイムデンシティーカーブを得るうえで重要である。そこで、コンソール150は、インターバル時間の下限値のデータをもっており、入力された時間とその下限値とを比較して、例えば最短15secを下回らないように、設定を行うものであることが一形態において好ましい(例えば、その下限値を下回るような数値である場合には所定のアラートを発する構成としてもよい)。同様に、上限値についても、コンソール150が所定の上限値のデータをもっており、入力された時間とその上限値とを比較して、例えば最長30secを超えないように設定を行うものであることも好ましい(例えば、その上限値を超える数値である場合には所定のアラートを発する構成としてもよい)。このような構成によれば、一例としてインターバル時間が15secを下回らないような適切な範囲内に設定することが可能となり、その結果、図7のような、動静脈分離抽出に資するタイムデンシティーカーブを得ることができるものとなる。仮にインターバル時間が短すぎる場合、タイムデンシティーカーブの第1のピークと第2のピークとを十分に分離できないこととなり(言い換えれば、第1の造影剤フェーズの造影効果が残存して影響が第2のピークに及ぶこととなり)、各血管の分離描画に好適でなくなるおそれがある。
図5の例を見ると、2つのフェーズ702a、704で生理食塩水の注入を実施するようになっている。コンソール150は、これらのフェーズの入力を受け付け、設定するようになっていてもよい。これらのフェーズの設置に関し、(a)コンソール150は、例えば、操作者による、生理食塩水注入量、注入時間および注入速度の少なくとも1つの情報の入力を受け付けて、それに基づいて該フェーズの注入条件を設定するものであってもよい。または、例えば(b)造影剤フェーズ701、703の注入条件に対応した所定の注入条件が、それぞれフェーズ702a、704の条件として自動的に設定されるようになっていてもよい(例えば注入速度同一)。
[グラフィカルユーザーインターフェースの一例]
限定されるものではないが、本実施形態では、図8に示すようなグラフィカルユーザーインターフェース720を利用するものであってもよい。
このグラフィカルユーザーインターフェース720は、ヨード量の設定のためのアイコン721、量割合の設定のためのアイコン722、第1の造影剤フェーズの注入時間設定のためのアイコン723、第2の造影剤フェーズの注入時間設定のためのアイコン724、インターバル時間(一時停止時間)の設定のためのアイコン725、および圧力リミットの設定のためのアイコン726を含んでいる。なお、図8で示されている具体的な数値はあくまで例示であり、本発明を限定するものではない。また、アイコン721~726のうちいずれか1つまたは幾つかが省略されてもよい。
各アイコン721~726は、それ自体にタッチすることで数値が変わるように構成されたものであってもよいし、タッチするとテンキー等が現れてそれを介して操作者が数値入力できるように構成されたものであってもよいし、図示のとおり上下の矢印アイコンに触れて数値を変更できるように構成されたものであってもよい(後述する図9の例も同様)。
[撮像装置の管電圧値に応じた造影剤量の調整]
造影剤の注入量を計算する際に、撮像装置の管電圧値を考慮して量の増減を行うようにしてもよい。限定されるものではないが、例えば国際公開2016/152841に開示された方式を利用するものであってもよい。注入プロトコル設定手順の一例を、管電圧値として120kV、100kV、80kVの中から選択する場合について説明する。
一例として、薬液注入装置の所定の制御部が、造影剤の名称、被検者の体重当たりの必要とされるヨード量、シリンジの圧力リミット値、各シリンジ内の薬液の残容量、被検者の体重、造影剤の注入時間を、所定のディスプレイに表示させる。ここで、造影剤の名称、シリンジの圧力リミット値は、各シリンジのICタグから読み出されたデータであってもよい。被検者の体重、被検者の体重当たりの必要とされるヨード量、造影剤の注入時間は、一例としてデフォルトの値であり、これらの値は必要に応じて操作者が任意に変更することができる。
液注入装置の所定の制御部は、これらのデータを用いて、造影剤の注入量L(mL)および注入速度S(mL/sec)を算出する。造影剤の注入量L(mL)は、被検者の体重をW(kg)、被検者の体重1kg当たりのヨード量をI(mgI/kg)、造影剤単位量当たりのヨード含有量をC(mgI/mL)、造影剤の注入時間をT(sec)としたとき下記で与えられる。
造影剤の注入速度S(mL/sec)は、
S(mL/sec)=L(mL)/T(sec) ・・・式(2)
で与えられる。例えば、W=60(kg)、I=600(mgI/kg)、C=300(mgI/mL)、T=30(sec)とすると、式(1)より、造影剤の注入量L=120(mL)と算出され、式(2)より、造影剤の注入速度S=4.0(mL/sec)と算出される。
上記式(1)では被検者の体重当たりに必要とされるヨード量Iを用いて造影剤の注入量Lを算出しているが、撮像部位(例えば、心臓など)によっては、被検者の体重当たりおよび時間当たりに必要とされるヨード量I’(mgI/kg/sec)を用いて注入量を算出することもできる。この場合の注入量の算出には、以下の式(1’)を用いることができる。
なお、造影剤の注入量が少なすぎたり、造影剤の注入速度が低すぎたりすると、造影剤が目的の部位に到達するまでの間に、血液中に拡散したり、周囲の組織に吸収されたりする現象が生じ得る。そこで、造影剤の注入量および注入速度の下限値を予め設定しておき、所定の制御部が、それらの値を算出された注入量および注入速度と比較し、算出された注入量および注入速度の少なくとも一方が、予め設定されている値より小さい場合に、警告を発するようにしてもよい。
ところで、被検者の症状などによっては、撮像時の被検者の被曝量を抑制するために、より低い管電圧で撮像を行うことがある。その場合、管電圧値を考慮して注入プロトコルを設定することができる。管電圧を考慮した注入プロトコルの設定は、注入プロトコルの設定に必要な全てのデータが入力され、かつ、注入プロトコルが確定されていない段階で行うことができる。
管電圧を考慮した注入プロトコルを設定する場合、一例で、操作者が必要に応じて、使用される撮像装置の管電圧値の変更等を行う。通常の管電圧よりも低い管電圧で撮像を行う場合、造影剤と生理食塩水とを同時に注入する注入プロトコル、すなわち、造影剤量が減量され、減量された分だけ造影剤が生理食塩水で希釈された希釈注入プロトコルが設定される。このときの造影剤の減量割合は、管電圧値が低ければ低いほど高くなる(別の言い方をすれば、造影剤の割合が低くなる)ように設定される。
以下、造影剤の減量割合が管電圧値に応じて予め定められている場合の注入プロトコルの設定例について説明する。例えば、造影剤と生理食塩水との割合が、管電圧値に応じて以下のテーブルに示すように定められているとする。なお、当然ながら、テーブル以外にも、所定の計算式やアルゴリズムで管電圧値と増減割合との対応関係が規定される構成としてもよい。
表1において、管電圧値が120kVのときは、生理食塩水による造影剤の希釈は行わず、前述した式(1)で算出された注入量L(mL)および式(2)で算出された注入速度S(mL/sec)で造影剤のみを注入する注入プロトコルが得られる。
ここで、管電圧値が120kVよりも低い値の場合は、算出された造影剤の注入量および注入速度は、管電圧値に応じて予め定められた所定の割合で減量され、減量された分が生理食塩水の注入量および注入速度として算出される。
具体的には、管電圧値が100kVの場合は、造影剤と生理食塩水との割合が8:2とされ、所定の制御部が、テーブルから、造影剤の割合0.8および生理食塩水の割合0.2をそれぞれ読み出す。造影剤の注入量および注入速度は、制御部において、造影剤のみを注入する場合の造影剤の注入量および注入速度をそれぞれ0.8倍した値として算出される。同様に、生理食塩水の注入量および注入速度が、造影剤のみを注入する場合の造影剤の注入量及び注入速度をそれぞれ0.2倍した値として算出される。
上述のように、被検者のX線被曝を少なくするためにより低い管電圧で撮像を行う場合、管電圧値に応じて造影剤の注入量を少なくすることで、所望のCT値を確保しつつ被検者への身体的負荷を軽減することができる。
以上、本実施形態の一例について説明したが、本発明は上記の具体的構成や手順に限定されるものではない。例えば次のような変更も採用可能である:
(a1)上記では、被検者の体重が入力され、その体重情報と、体重当たり必要ヨード量(例えば単位:mgI/Kg)等を用い、被検者に注入すべき薬液量を計算することを例示した。しかしながら、注入すべき薬液量を算出するために、従来公知の他の算出方式を採用してもよい。例えば、除脂肪体重(Lean Body Weight:LBW)計算方式、体表面積(Body Surface Area:BSA)計算方式、循環血液量(Blood Volume:BV)計算方式、調整体重(Adjust Body Weight:AdBW)計算方式等を利用することができる。また、造影剤の注入条件を設定する際、被検者の身体的特徴のパラメータとしては心拍数等が考慮されてもよい。
(a2)本発明においては、例えば図5のような注入プロトコルの結果として、図7のようなタイムデンシティーカーブが得られるということを操作者が予め予測できることが望ましい。この点、例えば、国際公開2016/084373に開示されているシミュレータ等を利用して、注入プロトコルに対する撮像画像予測を行うようにしてもよい。別の態様として、上記とは逆に、例えば図7のように取得したいタイムデンシティーカーブを入力すると、それを得るための理想的な注入プロトコルを1つまたは複数提案するような可能なデバイスを利用するようにしてもよい。
(b1)上記では、例えば図1に示すように、注入ヘッドとコンソールとが別体に構成された薬液注入装置を示した。しかしながら、注入ヘッドとコンソールとが一体となったような薬液注入装置、換言すれば、1つの装置で、注入プロトコルの設定、薬液注入中の各種状態の表示、およびピストン駆動機構の動作制御等を行うことができるような構成としてもよい。
(b2)上記では、制御部155が注入プロトコル作成の機能を備え、制御部144がピストン駆動機構130の動作を制御する機能を備えるものであったが、どの制御部にどのような機能をもたせるかについては適宜変更可能である。
(b3)生理食塩水の注入が不要な場合には、二筒式ではなく、一筒式の注入ヘッドを利用してもよい。
(b4)上記では、薬液注入装置100のコンソール150が注入プロトコルを作成する例を示したが、本発明は必ずしもそれに限定されない。他の情報処理デバイス(例えば、可搬性のタブレット端末、ネットワークに接続されたワークステーション、撮像装置の一部として設けられたコンピュータ等)が、注入プロトコルの作成を行うものであってもよい。他の情報処理デバイスが本発明に係る方法で注入プロトコルを作成し、その注入プロトコルが薬液注入装置に転送されることで、同注入プロトコルに従った所望の薬液注入が実行されるようになっていてもよい。注入プロトコルやその他のデータの転送に関し、(i)ネットワーク経由で所定の機器と薬液注入装置との間のデータのやりとりが行われてもよいし、(ii)ネットワーク経由ではなく、可搬の情報記憶媒体(スティック状やカード状など任意の形態であってもよい)を薬液注入装置の所定の機器のスロット(インターフェース)に接続してデータのやりとりを行うようにしてもよい。
(撮像タイミング自動検出機能)
造影剤による造影効果に応じて撮像装置が自動的に動作するように、所定の対象箇所のCT値の変化を機器で監視し、CT値がある閾値に達したら、所定の時間をおいて撮像が自動的に開始される構成となっていてもよい。
(複数の体重当たりヨード量等の入力)
上述した実施形態では、フェーズ1、フェーズ2に共通した単一の体重当たりヨード量を入力する例について説明したが、本発明は他にも、複数の体重当たりヨード量(mgI/kg)が入力されてもよい。また、体重当たりおよび時間当たりに必要とされるヨード量(mgI/kg/sec)が入力される構成や、体重当たりヨード量と体重当たり時間当たりヨード量の両方が入力される構成であってもよい。造影のためのフェーズは2つに限らず3つ以上でもよい。
図9は、注入プロトコル設定に必要な情報を入力するためのグラフィカルユーザーインターフェースの他の例である。この例では、第1の造影剤フェーズの条件決定に用いられる体重当たりヨード量がアイコン821経由で入力される。第1の造影剤フェーズの注入時間は、アイコン821′経由で入力される。これらのアイコンを介した入力、および、以下に述べるアイコンを介した入力に関し、数値の入力の手法は特に限定されるものではなく、テンキー(不図示)を用いた入力であってもよいし、いくつかの候補が予め登録されておりそこから1つを選択する方式であってもよいし、上下キーを用いて数値の変更や候補の選択等が行われるものであってもよい。
図9では図示されていないが、被検者の体重情報は予め入力されているものとする。また、第1の造影剤フェーズの注入パターンの形状(具体的には、一定速度か、可変速度か、または多段に変化する速度か等)も、デフォルト設定により、もしくは、アイコンの選択等により決定されているものとする。
この条件のもと、上記のように体重当たりヨード量と注入時間の情報が入力されることで、第1の造影剤フェーズでの注入量、注入速度等の条件が計算される。
図9の上から2段目(アイコン822、822′参照)および3段目(アイコン823参照)は、インターバルフェーズの条件決定に用いられる情報を入力するためのものである。この例では、アイコン822を介して、生理食塩水の注入量(例示として「20」mL)が入力されている。また、アイコン823を介して、生理食塩水注入後、薬液注入書一時的に停止する時間(例示として「10」sec)が入力される。
図9の例では、さらに、第2の造影剤フェーズの条件決定に用いられる体重当たりヨード量がアイコン824経由で入力される。この例では「120」mgI/kgとなっているが、当然ながら第1の造影剤フェーズの数値と異なる値を入力するようにしてもよい。第2の造影剤フェーズの注入時間はアイコン824′経由で入力される。
このように、第1の造影剤フェーズと第2の造影剤フェーズとで異なる体重当たりヨード量を入力することができるようになっているので、各フェーズの造影対象物(血管、実質臓器等)が良好に造影される条件を設定することができる。
第2の造影剤フェーズ後の生理食塩水フェーズについては、アイコン825を介して注入量の入力を行うことができる。圧力リミットについてのアイコン826を介した入力については上述した実施形態のものと共通であるので詳細な説明は省略する。なお、図9の例では、アイコン827を用いて撮像装置との連動に関する入力(一例で時間の入力)を行うことができる。
図9のように、複数のフェーズで造影剤を注入する場合であって、かつ、それぞれのフェーズに対して異なる体重当たりヨード量(一例)を設定できる構成によれば、造影特性の異なる別々の対象物を良好に造影できるという利点がある。また、所定のフェーズとその他のフェーズとで、異なる薬液条件の導出方式(例えば、あるフェーズでは体重当りヨード量および体重等に基づく計算が行われ、別のフェーズでは体表面積に基づく計算が行われる等)が利用されてもよい。
図8や図9のようなグラフィカルユーザーインターフェースでは、アイコンを介して数値の選択等が行われるが、アイコンにデフォルトで表示される数値は操作者が自由に設定できるように構成されていてもよい。
(付記)
本明細書は以下の発明を開示する(カッコ内の符号は本発明を限定することを意図するものではない):
1.1つまたは複数の収容容器内の薬液を被検者へ向けて押し出す1つまたは複数の駆動機構(130)と、
上記薬液の注入プロトコルを設定する機能を有する制御ユニット(155)と、
を備え、上記薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置(100)であって、
上記制御ユニット(155)は、
A:被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量の情報を取得する処理と、
B:被検者の体重の情報を取得する処理と、
C:造影剤の成分情報、および、被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量と上記体重の情報に基づき注入すべき造影剤量を計算する処理と、
D:造影剤を注入する第1の造影剤フェーズ(701)、第2の造影剤フェーズ(703)、およびそれらフェーズの間のインターバルフェーズ(702)を少なくとも含み、撮像対象である動脈および静脈を同時に強調することが可能な注入プロトコルを設定する処理であって、
d1:計算された上記造影剤量を上記第1の造影剤フェーズと第2の造影剤フェーズとに振り分ける割合(70:30)の情報の入力を受け付け、
d2:上記第1の造影剤フェーズの注入時間の情報(25sec)の入力を受け付け、
d3:上記第2の造影剤フェーズの注入時間の情報(8sec)の入力を受け付け、
d4:上記インターバルフェーズの継続時間の情報(20sec)の入力を受け付け、
それらの情報に基づいて注入プロトコルを設定する処理と、
を行うように構成されている、薬液注入装置。
2.上記制御ユニットは、上記インターバルフェーズの継続時間を最短でも10秒以上に設定する、上記記載の薬液注入装置。
3.上記被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量は、体重当たり必要ヨード量である、上記記載の薬液注入装置。
4.上記制御ユニット(155)は、さらに、上記インターバルフェーズ(702)中に生理食塩水を注入するフェーズ(702a)を設定する、上記記載の薬液注入装置。
5.上記制御ユニット(155)は、さらに、上記第2の造影剤フェーズの後に生理食塩水を注入するフェーズ(704)を設定する、上記記載の薬液注入装置。
6.上記第1および/または第2の造影剤フェーズの注入速度は、
(i)注入時間の経過にしたがって速度が増加または減少する可変速度である、または、
(ii)速度が変化しない一定速度である、上記記載の薬液注入装置。
7.上記収容容器は、シリンダ部材にピストン部材がスライド自在に挿入されたシリンジであり、上記駆動機構は、上記ピストン部材を移動させるピストン駆動機構である、上記記載の薬液注入装置。
8.上記シリンジを保持するように構成されるとともに、上記ピストン駆動機構が設けられた注入ヘッド(110)と、上記制御ユニットが設けられたコンソール(150)と、を備える、上記記載の薬液注入装置。
9.被検者の少なくとも造影剤を含む薬液を注入する際の注入プロトコルを作成するデータ処理装置であって、
A:被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量の情報を取得する処理と、
B:被検者の体重の情報を取得する処理と、
C:造影剤の成分情報、および、被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量と上記体重の情報に基づき注入すべき造影剤量を計算する処理と、
D:造影剤を注入する第1の造影剤フェーズ、第2の造影剤フェーズ、およびそれらフェーズの間のインターバルフェーズを少なくとも含み、撮像対象である第1の血管および第2の血管を同時に強調することが可能な注入プロトコルを設定する処理であって、
d1:計算された上記造影剤量を上記第1の造影剤フェーズと第2の造影剤フェーズとに振り分ける割合(70:30)の情報の入力を受け付け、
d2:上記第1の造影剤フェーズの注入時間の情報の入力を受け付け、
d3:上記第2の造影剤フェーズの注入時間の情報の入力を受け付け、
d4:上記インターバルフェーズの継続時間の情報の入力を受け付け、
それらの情報に基づいて注入プロトコルを設定する処理と、
を行うように構成されている、データ処理装置。
「データ処理装置」は、1つまたは複数のプロセッサとメモリと記憶デバイス等を含んだ処理装置であり、例えば、可搬のタブレット端末、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータまたはワークステーション等であってもよい。また、必ずしもスタンドアロンな装置である必要はなく、他の機器の一部に組み込まれたものであってもよい。
10.被検者の少なくとも造影剤を含む薬液を注入する際の注入プロトコルを作成するためのコンピュータプログラムであって、
1つまたは複数のプロセッサに、
A:被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量の情報を取得する処理と、
B:被検者の体重の情報を取得する処理と、
C:造影剤の成分情報、および、被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量と上記体重の情報に基づき注入すべき造影剤量を計算する処理と、
D:造影剤を注入する第1の造影剤フェーズ、第2の造影剤フェーズ、およびそれらフェーズの間のインターバルフェーズを少なくとも含み、撮像対象である第1の血管および第2の血管を同時に強調することが可能な注入プロトコルを設定する処理であって、
d1:計算された上記造影剤量を上記第1の造影剤フェーズと第2の造影剤フェーズとに振り分ける割合(70:30)の情報の入力を受け付け、
d2:上記第1の造影剤フェーズの注入時間の情報の入力を受け付け、
d3:上記第2の造影剤フェーズの注入時間の情報の入力を受け付け、
d4:上記インターバルフェーズの継続時間の情報の入力を受け付け、
それらの情報に基づいて注入プロトコルを設定する処理と、
を実行させる、コンピュータプログラム。
「1つまたは複数のプロセッサ」は、1つの筐体内に収容されたものであってもよいし、別々の筐体内に収容されたものであってもよい。
本明細書は、さらに、複数の注入フェーズを含む注入プロトコルを設定する方法に関し、「被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量の情報」を少なくとも2つ入力可能な設定方法をも開示する。具体的には:
S1.1つまたは複数の収容容器内の薬液を被検者へ向けて押し出す1つまたは複数の駆動機構(130)と、
上記薬液の注入プロトコルを設定する機能を有する制御ユニット(155)と、
を備え、上記薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置(100)であって、
上記制御ユニット(155)は、
被検者の身体的特徴に関連付けられた第1の必要ヨード量の情報の入力を受け付ける処理と、
被検者の身体的特徴に関連付けられた第2の必要ヨード量の情報の入力を受け付ける処理と、
前記身体的特徴の情報の入力を受け付ける処理と、
前記第1の必要ヨード量の情報と前記身体的特徴の情報とに少なくとも基づき、第1の造影剤フェーズ(参考として符号701)の注入条件を算出する処理と、
前記第2の必要ヨード量の情報と前記身体的特徴の情報とに少なくとも基づき、第2の造影剤フェーズ(参考として符号703)の注入条件を算出する処理と、
を行うように構成されている、薬液注入装置。
造影剤フェーズが3つ以上の場合に、第3の必要ヨード量の情報が入力されるようになっていてもよい。これによれば、例えば、それぞれのフェーズで造影特性の異なる別々の対象物(一例で、動脈、静脈および実質臓器等)を造影する場合であっても、良好にその造影を行うことができる。3フェーズの場合の例としては特に限定されるものではないが、動脈、静脈、門脈、実質臓器、膀胱等のうち3つが選ばれるようなものであってもよい。
上記の注入プロトコル設定に関する技術的思想は、それぞれの造影剤フェーズについて別々の「被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量の情報」を利用できることを特徴の1つとしている。したがって、そのような趣旨を逸脱しない範囲で、当該技術は、注入プロトコルを設定する方法またはコンピュータプログラムの発明として表現するこが可能である。また、実行主体は必ずしも薬液注入装置に限定される必要はないため、例えば注入プロトコル設定装置のような発明として記載することもできる。また、当該技術的思想は、その趣旨を逸脱しない範囲で、本明細書に開示された他の実施形態の1つまたは複数の技術的特徴と組合せ利用することができる。
「被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量の情報」としては、例えば、体重当たり必要ヨード量、および/または、体重当たり時間当たり必要ヨード量であってもよい。このような構成によれば、被検者の体重等に応じた適切量の造影剤量を設定することが可能となる。
上記S1.の装置に関し、制御ユニットは、一連の注入プロトコルを作成するための注入プロトコルテンプレートを有しており、
この注入プロトコルテンプレートは、上記第1の造影剤フェーズと第2の造影剤フェーズとを含み、操作者が、当該注入プロトコルテンプレートのパラメータを確認または変更することで、最終的な一連の注入プロトコルが作成される、上記記載の装置。
操作者が1つ1つのフェーズを手入力していくことによっても一連の注入プロトコルは作成可能であるが、その作業が煩雑であり、また、適切なプロトコルが作成されるか否かは操作者の知識や熟練度等に依存することにもなり得る。したがって、このように、複数の造影剤フェーズが含まれるプロトコルがテンプレートして用意されていることで、操作者は、そのテンプレートの所定のパラメータ(特に限定されないが、例えば、注入速度、注入量、希釈に関する情報、注入速度が一定速度もしくは可変速度であるか等)を確認・変更して所望の注入プロトコルを作成することが可能となる。
さらに、上記注入プロトコルテンプレートは、
上記第1の造影剤フェーズの直後の第1の生理食塩水フェーズ(参考として符号702a)、および/または、
上記第2の造影剤フェーズの直後の第2の生理食塩水フェーズ(参考として符号704a)を含む、
上記記載の装置。
さらに、上記注入プロトコルテンプレートは、
上記第1の造影剤フェーズと上記第2の造影剤フェーズとの間のインターバル時間のパラメータ、および、
上記第1の生理食塩水フェーズの終了から上記第2の造影剤フェーズの開始までの時間のパラメータ、
の少なくとも一方を含み、操作者が、そのパラメータを入力および/または変更することができるようになっている、上記記載の装置。
上記S1として開示した発明も当然ながら方法の発明またはコンピュータプログラムの発明等として表現可能である。また、本明細書に開示される任意の技術的事項をこの発明と組み合わせて使用することも可能である。逆に、S1に関連付けてここで説明した技術的事項が前述した本発明の他の実施態様と組み合わされてもよい。
100 薬液注入装置
102 ケーブル
110 注入ヘッド
120 筐体
120a 凹部
111 可動式スタンド
130 ピストン駆動機構
200 シリンジ
221 シリンダ部材
222 ピストン部材
225 ICタグ
230 延長チューブ
300 撮像装置
303a 制御部
300b 撮像部
304 ベッド
701、703 造影剤フェーズ
702 インターバルフェーズ
702a、704 生理食塩水フェーズ
720、820 グラフィカルユーザーインターフェース

Claims (10)

  1. 1つまたは複数の収容容器内の薬液を被検者へ向けて押し出す1つまたは複数の駆動機構と、
    前記薬液の注入プロトコルを設定する機能を有する制御ユニットと、
    を備え、前記薬液として少なくとも造影剤を注入する薬液注入装置であって、
    前記制御ユニットは、
    A:被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量の情報を取得する処理と、
    B:被検者の体重の情報を取得する処理と、
    C:造影剤の成分情報、および、被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量と前記体重の情報に基づき注入すべき造影剤量を計算する処理と、
    D:造影剤を注入する第1の造影剤フェーズ、第2の造影剤フェーズ、およびそれらフェーズの間のインターバルフェーズを少なくとも含み、血管および臓器のうちの複数の撮像対象強調することが可能な注入プロトコルを設定する処理であって、
    d1:計算された前記造影剤量を前記第1の造影剤フェーズと第2の造影剤フェーズとに振り分ける割合の情報の入力を受け付け、
    d2:前記第1の造影剤フェーズの注入時間の情報の入力を受け付け、
    d3:前記第2の造影剤フェーズの注入時間の情報の入力を受け付け、
    d4:前記インターバルフェーズの継続時間の情報の入力を受け付け、
    それらの情報に基づいて注入プロトコルを設定する処理と、
    E:受け付けた前記インターバルフェーズの継続時間の情報が予め定められた範囲から外れる場合に、アラートを発する処理と、
    を行うように構成されている、
    薬液注入装置。
  2. 前記制御ユニットは、前記インターバルフェーズの継続時間を最短でも10秒以上に設定する、請求項1に記載の薬液注入装置。
  3. 前記被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量は、体重当たり必要ヨード量である、請求項1に記載の薬液注入装置。
  4. 前記制御ユニットは、さらに、前記インターバルフェーズ中に生理食塩水を注入するフェーズを設定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬液注入装置。
  5. 前記制御ユニットは、さらに、前記第2の造影剤フェーズの後に生理食塩水を注入するフェーズを設定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬液注入装置。
  6. 前記第1および/または第2の造影剤フェーズの注入速度は、
    (i)注入時間の経過にしたがって速度が増加または減少する可変速度である、または、
    (ii)速度が変化しない一定速度である、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の薬液注入装置。
  7. 前記収容容器は、シリンダ部材にピストン部材がスライド自在に挿入されたシリンジであり、
    前記駆動機構は、前記ピストン部材を移動させるピストン駆動機構である、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の薬液注入装置。
  8. 前記シリンジを保持するように構成されるとともに、前記ピストン駆動機構が設けられた注入ヘッドと、
    前記制御ユニットが設けられたコンソールと、
    を備える、請求項7に記載の薬液注入装置。
  9. 被検者の少なくとも造影剤を含む薬液を注入する際の注入プロトコルを作成するためのデータ処理装置であって、
    A:被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量の情報を取得する処理と、
    B:被検者の体重の情報を取得する処理と、
    C:造影剤の成分情報、および、被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量と前記体重の情報に基づき注入すべき造影剤量を計算する処理と、
    D:造影剤を注入する第1の造影剤フェーズ、第2の造影剤フェーズ、およびそれらフェーズの間のインターバルフェーズを少なくとも含み、血管および臓器のうちの複数の撮像対象強調することが可能な注入プロトコルを設定する処理であって、
    d1:計算された前記造影剤量を前記第1の造影剤フェーズと第2の造影剤フェーズとに振り分ける割合の情報の入力を受け付け、
    d2:前記第1の造影剤フェーズの注入時間の情報の入力を受け付け、
    d3:前記第2の造影剤フェーズの注入時間の情報の入力を受け付け、
    d4:前記インターバルフェーズの継続時間の情報の入力を受け付け、
    それらの情報に基づいて注入プロトコルを設定する処理と、
    E:受け付けた前記インターバルフェーズの継続時間の情報が予め定められた範囲から外れる場合に、アラートを発する処理と、
    を行うように構成されている、データ処理装置。
  10. 被検者の少なくとも造影剤を含む薬液を注入する際の注入プロトコルを作成するためのコンピュータプログラムであって、
    1つまたは複数のプロセッサに、
    A:被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量の情報を取得する処理と、
    B:被検者の体重の情報を取得する処理と、
    C:造影剤の成分情報、および、被検者の身体的特徴に関連付けられた必要ヨード量と前記体重の情報に基づき注入すべき造影剤量を計算する処理と、
    D:造影剤を注入する第1の造影剤フェーズ、第2の造影剤フェーズ、およびそれらフェーズの間のインターバルフェーズを少なくとも含み、血管および臓器のうちの複数の撮像対象強調することが可能な注入プロトコルを設定する処理であって、
    d1:計算された前記造影剤量を前記第1の造影剤フェーズと第2の造影剤フェーズとに振り分ける割合の情報の入力を受け付け、
    d2:前記第1の造影剤フェーズの注入時間の情報の入力を受け付け、
    d3:前記第2の造影剤フェーズの注入時間の情報の入力を受け付け、
    d4:前記インターバルフェーズの継続時間の情報の入力を受け付け、
    それらの情報に基づいて注入プロトコルを設定する処理と、
    E:受け付けた前記インターバルフェーズの継続時間の情報が予め定められた範囲から外れる場合に、アラートを発する処理と、
    を実行させる、注入プロトコル設定プログラム。
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