JP6722001B2 - 接着剤組成物、積層体、及び、積層体の製造方法 - Google Patents

接着剤組成物、積層体、及び、積層体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6722001B2
JP6722001B2 JP2016041585A JP2016041585A JP6722001B2 JP 6722001 B2 JP6722001 B2 JP 6722001B2 JP 2016041585 A JP2016041585 A JP 2016041585A JP 2016041585 A JP2016041585 A JP 2016041585A JP 6722001 B2 JP6722001 B2 JP 6722001B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
support
adhesive layer
layer
adhesive
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016041585A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017155170A (ja
Inventor
孝広 吉岡
孝広 吉岡
弘毅 田村
弘毅 田村
洋文 今井
洋文 今井
正宏 増島
正宏 増島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd filed Critical Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Priority to JP2016041585A priority Critical patent/JP6722001B2/ja
Priority to TW106102973A priority patent/TWI713684B/zh
Priority to KR1020170027355A priority patent/KR102254781B1/ko
Publication of JP2017155170A publication Critical patent/JP2017155170A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6722001B2 publication Critical patent/JP6722001B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J153/00Adhesives based on block copolymers containing at least one sequence of a polymer obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds; Adhesives based on derivatives of such polymers
    • C09J153/02Vinyl aromatic monomers and conjugated dienes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B37/00Methods or apparatus for laminating, e.g. by curing or by ultrasonic bonding
    • B32B37/12Methods or apparatus for laminating, e.g. by curing or by ultrasonic bonding characterised by using adhesives
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B38/00Ancillary operations in connection with laminating processes
    • B32B38/16Drying; Softening; Cleaning
    • B32B38/162Cleaning
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B43/00Operations specially adapted for layered products and not otherwise provided for, e.g. repairing; Apparatus therefor
    • B32B43/006Delaminating
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B7/00Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
    • B32B7/04Interconnection of layers
    • B32B7/12Interconnection of layers using interposed adhesives or interposed materials with bonding properties

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、接着剤組成物、積層体、及び、積層体の製造方法に関する。
半導体素子(電子部品)を含む半導体パッケージ(半導体装置)としては、WLP(Wafer Level Package)等が知られている。WLP及びPLP等の半導体パッケージには、ベアチップの端部にある端子をチップエリア内に再配置する、ファンイン型WLP(Fan-in Wafer Level Package)等のファンイン型技術と、チップエリア外に端子を再配置する、ファンアウト型WLP(Fan-out Wafer Level Package)等のファンアウト型技術とが知られている。特に、ファンアウト型技術は、パネル上に半導体素子を配置してパッケージ化するファンアウト型PLP(Fan-out Panel Level Package)に応用されており、半導体装置の集積化、薄型化及び小型化等を実現するため、これらのようなファンアウト型技術が注目を集めている。
特許文献1には、アクリル系共重合体からなるポリマー粒子を含む水系エマルジョンと、有機系微粒子と、上記アクリル系共重合体を硬化させ得る硬化剤と、4級アンモニウム化合物と、を含有する光拡散性粘着剤組成物が記載されている。
特許文献2には、スチレン−オレフィン系ブロック共重合体と、(メタ)アクリル酸エステルと、溶剤と、を必須成分として含む硬化性組成物が記載されている。
特許文献3には、連鎖的重合性モノマーと、逐次的反応で架橋する架橋剤と、当該架橋剤と反応する被架橋性基を有する被架橋性ポリマーとを含有する樹脂組成物を、連鎖的重合並びに逐次的架橋反応により架橋した架橋レリーフ形成層を支持体上に有し、上記架橋レリーフ形成層の、25℃における周波数100Hzでの貯蔵弾性率E’(MPa)が1≦E’≦30の関係を満たし、かつ、25℃における引っ張り破断時の最大伸び率L(%)が30≦L≦300の関係を満たすレーザ彫刻型フレキソ印刷版原版が記載されている。
特許文献4には、被研削基材と、上記被研削基材と接している接合層と、光吸収剤及び熱分解性樹脂を含む光熱変換層と、光透過性支持体と、を含み、但し、上記光熱変換層は、上記接合層とは反対側の上記被研削基材の表面を研削した後に、放射エネルギーが照射されたときに分解して、研削後の基材と上記光透過性支持体とを分離するものである、積層体が記載されている。
特許文献5には、シクロオレフィン構造を有するポリマーと、当該ポリマーに相溶する(メタ)アクリレートモノマーと、を含むことを特徴とする接着剤組成物が記載されている。
特開2010−053347号公報(2010年3月11日公開) 特開2010−077384号公報(2010年4月8日公開) 特開2011−206931号公報(2011年10月20日公開) 特開2004−64040号公報(2004年2月26日公開) 特開2014−105316号公報(2014年6月9日公開)
しかしながら、特許文献1〜5には、ファンアウト型技術において、封止体を製造するときに求められるような、高い薬品耐性を備え、高温に加熱したときにおいて、高い粘弾性を維持することができる接着層を形成することができる接着剤組成物に関して、何ら開示していない。
本発明者らは、ファンアウト型技術において、ブロック共重合体と重合性モノマーとを含んだ硬化型接着剤組成物を用いることで、高い薬品耐性を備え、高温に加熱したときに高い粘弾性を維持することができる接着層を形成することができ、当該接着層が、封止体を形成するために有用であることを見出し、本願発明を完成させた。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ファンアウト型技術により、封止体を形成するための積層体に用いられる接着剤組成物であって、高い薬品耐性を備え、高温において高い粘弾性を維持することができる接着層を形成することができる接着剤組成物、及びその関連技術を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係る接着剤組成物は、素子が実装される配線層と、上記素子と、上記素子を封止する封止材とを備えている封止体を、上記封止体を支持する支持体上に接着層を介して積層してなる積層体における、上記接着層を形成するための接着剤組成物であって、上記接着剤組成物は、ブロック共重合体と、重合性モノマーと、重合開始剤と、を含んでいることを特徴としている。
また、本発明に係る積層体は、素子が実装される配線層と、上記素子と、上記素子を封止する封止材とを備えている封止体を、上記封止体を支持する支持体上に接着層を介して積層してなる積層体であって、上記接着層は、ブロック共重合体と、重合性モノマーの重合体と、重合開始剤と、を含んでなることを特徴としている。
本発明によれば、ファンアウト型技術により、封止体を形成するための積層体に用いられる接着剤組成物であって、高い薬品耐性を備え、高温において高い粘弾性を維持することができる接着層を形成することができる接着剤組成物、及びその関連技術を提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施形態1に係る積層体の製造方法について説明する図である。 本発明の実施形態2に係る積層体の製造方法について説明する図である。 本発明の実施形態3に係る積層体の製造方法について説明する図である。 本発明の実施形態4に係る積層体の製造方法について説明する図である。
<接着剤組成物>
本発明に係る接着剤組成物は、素子が実装される配線層と、上記素子と、上記素子を封止する封止材とを備えている封止体を、上記封止体を支持する支持体上に接着層を介して積層してなる積層体における、上記接着層を形成するための接着剤組成物である。言い換えれば、素子が実装される配線層と、上記素子と、上記素子を封止する封止材とを備えている封止体を支持体上に形成するための接着層を、当該支持体上に形成するための接着剤組成物である。
接着剤組成物は、接着層を形成するための樹脂組成として、ブロック共重合体と重合性モノマーとを含んでおり、当該重合性モノマーを重合させる重合開始剤と、当該樹脂組成の塗布作業性を調整するための希釈溶剤とを含んでいる。なお、接着剤組成物は、接着層を形成するための樹脂組成として、ブロック共重合体と重合性モノマーとからなる樹脂組成を採用することがより好ましい。
接着剤組成物は、加熱又は減圧環境等に置くことにより希釈溶剤を除去し、ブロック共重合体中において重合開始剤によって重合性モノマーを重合させることで接着層を形成する。接着層は、ブロック共重合体を含んでいることにより、高い薬品耐性を備えており、重合性モノマーを重合させることにより、高温に加熱したときにおいて、高い粘弾性、つまり、高い動的複素弾性率を維持することができる。よって、様々なレジスト溶剤を用いて配線層を形成すること、及び、高温において封止材によって素子を封止することを求められるファンアウト型技術において好適に使用することができる接着層を形成することができる。
〔ブロック共重合体〕
ブロック共重合体は、モノマー単位が連続して結合したブロック部位が2種以上結合した重合体であり、典型的には、重合体ブロックを有する熱可塑性エラストマーである。ブロック共重合体を含んでいることで、高い洗浄性、及び高い耐薬品性を備えた接着層を形成することができる。
ブロック共重合体は、ジブロック共重合体又はトリブロック共重合体であることが好ましく、トリブロック共重合体であることがより好ましい。また、ジブロック共重合体とトリブロック共重合体とを組み合わせて用いてもよい。
また、ブロック共重合体は、変性剤を用いることにより、当該ブロック共重合体の末端が官能基によって変性されていてもよい。ここで、官能基としては、例えば、アミノ基、酸無水物基(好ましくは無水マレイン酸基)、イミド基、ウレタン基、エポキシ基、イミノ基、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、及びアルコキシシラン基(当該アルコキシ基は炭素数1〜6であることが好ましい)が挙げられる。このように、変性剤によって変性されたブロック共重合体は、エラストマーであり、かつ、極性をもたらす官能基を有している。このため、接着層の柔軟性及び接着性を向上させることができる。
また、ブロック共重合体は、スチレンブロックを含んでいることが好ましく、主鎖の両末端がスチレンブロックであるトリブロック共重合体であることがより好ましい。スチレンブロックを両末端に配置したトリブロック共重合体を用いることにより、接着層の熱安定性を高めることができる。
スチレンブロックを含んでいるブロック共重合体としては、例えば、スチレン−オレフィン系ブロック共重合体を挙げることができる。
スチレン−オレフィン系ブロック共重合体としては、例えば、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SBBS)、及び、これらの水添物、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー)(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEEPS)、スチレンブロックが反応架橋型のスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SeptonV9461(株式会社クラレ製)、SeptonV9475(株式会社クラレ製))、スチレンブロックが反応架橋型のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(反応性のポリスチレン系ハードブロックを有する、SeptonV9827(株式会社クラレ製))、及び、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレンブロックコポリマー(SEEPS−OH:末端水酸基変性)等が挙げられることができる。
また、ブロック共重合体は、水添物であることが好ましく、より具体的には、スチレンブロック及び共役ジエンブロックのブロック共重合体の水添物であることがより好ましい。ブロック共重合体の水添物を用いることにより、熱に対する安定性を向上させることができ、分解や重合等の変質を起こり難くすることができる。さらに、炭化水素系溶剤への高い相溶性をもたらすことができ、レジスト溶剤への低い相溶性、つまり、レジスト溶剤への高い耐性をもたらすことができる。
ブロック共重合体として用いられ得る市販品としては、例えば、株式会社クラレ製「セプトン(商品名)」、株式会社クラレ製「ハイブラー(商品名)」、旭化成株式会社製「タフテック(商品名)」及びJSR株式会社製「ダイナロン(商品名)」等が挙げられる。
ブロック共重合体のスチレンブロックの含有量は、10重量%以上、65重量%以下であることが好ましく、13重量%以上、45重量%以下であることがより好ましい。ブロック共重合体は、スチレンブロックの含有量が、より多くなるほど、高い温度に加熱したときにおいて高い動的複素弾性率を維持することができる傾向を示す。また、スチレンブロックの含有量が、より少なくなるほど、炭化水素系溶剤への高い相溶性を得ることができる傾向を示す。
また、ブロック共重合体の重量平均分子量は、50,000以上、150,000以下であることが好ましく、60,000以上、120,000以下であることがより好ましい。ブロック共重合体は、重量平均分子量がより大きいほど、高い温度に加熱したときにおいて高い動的複素弾性率を維持することができる傾向を示す。また、重量平均分子量がより小さいほど、例えば、炭化水素系溶剤への高い相溶性を得ることができる傾向を示す。
また、ブロック共重合体は、スチレンブロックの含有量が、10重量%以上、65重量%以下であり、かつ、重量平均分子量が、50,000以上、150,000以下であるように調整されていることが、最も好ましい。接着剤組成物は、スチレンブロックの含有量が上記の範囲内であり、重量平均分子量が上記の範囲内である1つのブロック共重合体を用いてもよく、複数の種類のブロック共重合体を混合することで、スチレンブロックの含有量を上記の範囲内となるように調整するとともに、重量平均分子量が上記の範囲内となるように調整されていてもよい。
例えば、スチレン単位の含有量が30重量%である株式会社クラレ製のセプトン(商品名)のSepton4033と、スチレン単位の含有量が13重量%であるセプトン(商品名)のSepton2063とを重量比1対1で混合すると、接着剤に含まれるブロック共重合体全体に対するスチレン含有量は21〜22重量%となり、従って10重量%以上となる。また、例えば、スチレン単位が10重量%のものと60重量%のものとを重量比1対1で混合すると35重量%となり、上記の範囲内となる。本発明はこのような形態でもよい。また、接着剤組成物に含まれる複数の種類のエラストマーは、全て上記の範囲内でスチレンブロックを含み、かつ、上記の範囲内の重量平均分子量であることが最も好ましい。
ブロック共重合体におけるスチレンブロックの含有量を上記の範囲内に調整するとともに、重量平均分子量を上記の範囲内に調整することによって、接着層を炭化水素系溶剤により、膨潤させ、部分的に溶解させることができ、容易に除去することができる。さらに、レジストリソグラフィーに用いられるレジスト溶剤(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等)、酸(フッ化水素酸等)並びにアルカリテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等に対する高い耐性を得ることができる。また、ブロック共重合体におけるスチレンブロックの含有量を上記の範囲内に調整するとともに、重量平均分子量を上記の範囲内に調整することによって、ベースとなる樹脂であるブロック共重合体自体の耐熱性及び高温における粘弾性を向上させることで、後述する重合性モノマーの配合量を少なくすることができる。
接着剤組成物に含まれるブロック共重合体の量としては、例えば、ブロック共重合体と重合性モノマーとの合計量を100重量%として、50重量%以上、99重量%以下の範囲内が好ましく、60重量%以上、95重量%以下の範囲内がより好ましく、80重量%以上、95重量%以下の範囲内が最も好ましい。接着剤組成物に含まれるブロック共重合体の量が、50重量%以上、99重量%以下の範囲内であることにより、接着層において、ブロック共重合に由来する炭化水素系溶剤に対する高い相溶性を維持することができ、接着層の洗浄による除去を容易にすることができる。
〔重合性モノマー〕
接着剤組成物には、重合性モノマーが含まれている。重合性モノマーは、ラジカル重合により高分子化するモノマーであることが好ましく、典型的には、多官能(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。
多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、2官能以上の(メタ)アクリル酸エステルであってもよく、3官能以上である多官能の(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。2官能又は3官能以上である(メタ)アクリル酸エステルを用いることにより、接着層のブロック共重合体中において、(メタ)アクリル酸エステルの重合体による三次元網目構造を好適に形成することができ、接着層における薬品耐性を高めることができ、高温に加熱したときにおける当該接着層の粘弾性、つまり、動的複素弾性率を高めることができる。
2官能の(メタ)アクリル酸エステルとしては、主鎖における重量平均分子量が200以上1000以下であるポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコール主鎖における重量平均分子量50以上、700以下であるポリプロピレングリコールジアクリレート、オキシエチレン構成単位の重合度が、1以上、23以下であるポリエチレングリコールジメタクリレート等のポリエーテルジ(メタ)アクリレートを挙げることができ、オキシエチレン構成単位の重合度が、3以上、30以下であるエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、オキシエチレン構成単位の重合度が、2.3以上30以下であるエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート等のビスフェノール型ジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。また、エトキシ化ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2,2ビス[4−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、グリセリンジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート等のエーテル骨格を有するジ(メタ)アクリレートを挙げることができ、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)クリレート等の炭素骨格、又は環状炭化水素骨格を有するジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
なお、ブロック共重合体との相溶性の観点から、上述の多官能(メタ)アクリル酸エステルのうち、炭化水素骨格を備えているエステルが好ましく、環状炭化水素骨格を備えているエステルがより好ましい。
2官能の(メタ)アクリル酸エステルとして用いられ得る市販品としては、例えば、新中村化学株式会社製「701A(商品名)」、「A−200(商品名)」、「A−400(商品名)」、「A−600(商品名)」、「A−1000(商品名)」、「A−B1206PE(商品名)」、「ABE−300(商品名)」、「A−BPE−10(商品名)」、「A−BPE−20(商品名)」、「A−BPE−30(商品名)」、「A−BPE−4(商品名)」、「A−BPEF(商品名)」、「A−BPP−3(商品名)」、「A−DCP(商品名)」、「A−DOD−N(商品名)」、「A−HD−N(商品名)」、「A−NOD−N(商品名)」、「APG−100(商品名)」、「APG−200(商品名)」、「APG−400(商品名)」、「APG−700(商品名)」、「A−PTMG−65(商品名)」、「1G(商品名)」、「2G(商品名)」、「3G(商品名)」、「4G(商品名)」、「9G(商品名)」、「14G(商品名)」、「23G(商品名)」、「BPE−80N(商品名)」、「BPE−100(商品名)」、「BPE−200(商品名)」、「BPE−500(商品名)」、「BPE−900(商品名)」、「BPE−1300N(商品名)」、「DCP(商品名)」、「DOD−N(商品名)」、「HD−N(商品名)」、「NOD−N(商品名)」、「NPG−N(商品名)」、「1206PE(商品名)」、「701(商品名)」及び「9PG(商品名)」等が挙げられる。
多官能の(メタ)アクリル酸エステルとして用いられ得る市販品としては、例えば、新中村化学株式会社製「A−9300(商品名)」、「A−9300−1CL(商品名)」、「A−GLY−9E(商品名)」、「A−GLY−20E(商品名)」、「A−TMM−3(商品名)」、「A−TMM−3−L(商品名)」、「A−TMM−3LM−N(商品名)」、「A−TMPT(商品名)」、「AD−TMP(商品名)」、「ATM−35E(商品名)」、「A−TMMT(商品名)」、「A−9550(商品名)」、「A−DPH(商品名)」及び「TMPT(商品名)」等が挙げられる。
接着剤組成物に含まれる重合性モノマーの量としては、例えば、ブロック共重合体と重合性モノマーとの合計量を100重量%として、1重量%以上、50重量%以下の範囲内が好ましく、1重量%以上、20重量%よりも少ない範囲内がより好ましい。重合性モノマーの量が多くなるほどに、接着層を高温に加熱したときにおける動的複素弾性率を高めることができる。また、接着層の薬品耐性を高めることができ、特に、PGMEAのみならず、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のレジスト溶剤に対する耐性を高めることができる。また、重合性モノマーの量が少なくなるほどに、接着層は、ブロック共重合体に由来する、炭化水素系溶剤を用いたときの高い洗浄性を保つことができる。よって、接着剤組成物は、ブロック共重合体におけるスチレンブロックの含有量及び重量平均分子量を調整することにより、ブロック共重合体自体の動的複素弾性率を高め、比較的少量の重合性モノマーを配合することで、動的複素弾性率を高めることが好ましい。特に、ブロック共重合体と重合性モノマーとの合計量を100重量%として、1重量%以上、20重量%よりも少ない範囲内の重合性モノマーを配合することで、高い粘弾性を維持すること、及び、溶剤により容易に除去することという、一見、トレードオフの関係を取り得る課題の両方を解決することができる。
なお、多官能(メタ)アクリル酸エステルには、高温に加熱したときにおける粘弾性を低下させない程度において、単官能(メタ)アクリル酸エステル、並びに、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、及び、酢酸ビニル等の重合性モノマーを併用してもよい。
(接着層の複素弾性率)
接着剤組成物によって形成される接着層は、ブロック共重合体、および重合性モノマーの重合体により、高温に加熱したときにおける複素弾性率が高められている。このため、接着層上において、封止体を形成するときにおける、高温(100℃以上、400℃以下)、高圧(10kgf以上)の環境下において接着層が歪むことを防止することができる。ここで、接着剤組成物により形成される接着層の複素弾性率(E*)は、適応される温度条件により異なるが、例えば、1000Pa以上であることが好ましく、10000Pa以上であることがより好ましい。封止体を形成するときに適応される温度において、接着層の動的複素弾性率(E*)が、10000Pa以上であれば、その高温プロセスにおいて、圧力が加えられたときに接着層が歪むことをより好適に防止することができる。なお、動的複素弾性率(E*)は、6インチSiウェハに対して接着剤組成物をスピンコートし、所定の厚さの膜(接着層)を形成する。その膜を剥離して所定の大きさにカットすることで試料を作製するとよい。また、当該試料を周波数1Hzの条件にて、5℃/分の昇温速度で、封止体を形成するときに想定される温度以上の温度まで昇温させながら、動的複素弾性率(E*)を測定すればよい。例えば、封止体を形成するときに想定される温度が100〜200℃程度であれば、例えば、50℃から250℃まで温度を上昇させながら、動的複素弾性率(E*)を測定するとよい。
(希釈溶剤)
接着剤組成物に含まれる希釈溶剤は、ブロック共重合体、及び重合性モノマーを溶解することができるものであればよく、例えば、非極性の炭化水素系溶剤、極性及び無極性の石油系溶剤等を用いることができる。
好ましくは、希釈溶剤は、縮合多環式炭化水素を含み得る。溶剤が縮合多環式炭化水素を含むことによって、接着剤組成物を液状形態で(特に低温にて)保存した場合に生じ得る白濁化を避けることができ、製品安定性を向上させることができる。
炭化水素系溶剤としては、直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素が挙げられる。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の直鎖状の炭化水素、炭素数3から15の分岐状の炭化水素;p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン、ジフェニルメンタン、1,4−テルピン、1,8−テルピン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン、ツジャン、カラン、ロンギホレン等の飽和脂肪族炭化水素、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、α−ピネン、β−ピネン、α−ツジョン、β−ツジョン等が挙げられる。
また、石油系溶剤としては、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ナフタレン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレンなどが挙げられる。
また、縮合多環式炭化水素とは、2つ以上の単環がそれぞれの環の辺を互いに1つだけ共有してできる縮合環の炭化水素であり、2つの単環が縮合されてなる炭化水素を用いることが好ましい。
そのような炭化水素としては、5員環及び6員環の組み合わせ、又は2つの6員環の組み合わせが挙げられる。5員環及び6員環を組み合わせた炭化水素としては、例えば、インデン、ペンタレン、インダン、テトラヒドロインデン等が挙げられ、2つの6員環を組み合わせた炭化水素としては、例えば、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン(テトラリン)及びデカヒドロナフタレン(デカリン)等が挙げられる。
また、希釈溶剤が上記縮合多環式炭化水素を含む場合、溶剤に含まれる成分は上記縮合多環式炭化水素のみであってもよいし、例えば、飽和脂肪族炭化水素等の他の成分を含有していてもよい。この場合、縮合多環式炭化水素の含有量は、炭化水素系溶剤の全量を100重量部としたとき、40重量部以上であることが好ましく、60重量部以上であることがより好ましい。縮合多環式炭化水素の上記含有量が40重量部以上である場合には、上記樹脂に対する高い溶解性を発揮することができる。炭化水素系溶剤が縮合多環式炭化水素と飽和脂肪族炭化水素とを含有する場合には、縮合多環式炭化水素の臭気を緩和させることができる。
なお、本発明の接着剤組成物における溶剤の含有量は、当該接着剤組成物を用いて成膜する接着層の厚さに応じて適宜調整すればよいが、例えば、接着剤組成物の全量を100重量部としたとき、20重量部以上、90重量部以下の範囲であることが好ましい。希釈溶剤の含有量が上記範囲内であれば、粘度調整が容易となる。
〔重合開始剤〕
重合開始剤は、上述の重合性モノマーを重合させることができればよく、特に限定されるものではないが、熱重合開始剤又は光重合開始剤等が好ましく、熱重合開始剤であることがより好ましい。
(熱重合開始剤)
熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物及びアゾ系重合開始剤等が挙げられる。これら熱重合開始剤は、加熱されることにより発生するラジカルによって、重合性モノマーを重合させる。
過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシカーボネート及びパーオキシケタール等が挙げられる。具体的には、過酸化アセチル、過酸化ジクミル、過酸化tert−ブチル、過酸化tert−ブチルクミル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル(BPO)、過酸化2−クロロベンゾイル、過酸化3−クロロベンゾイル、過酸化4−クロロベンゾイル、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化4−ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ブチル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過ギ酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過4−メトキシ酢酸tert−ブチル及び過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル、ジクミル−パーオキサイド、tert−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキシル−モノカーボネート、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン及び1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等が挙げられる。
市販されている過酸化物としては、例えば、日本油脂株式会社製の商品名「パークミル(登録商標)」、商品名「パーブチル(登録商標)」、商品名「パーオクタ(登録商標)」、「パーロイル(登録商標)」及び「パーヘキサ(登録商標)」等が挙げられる。
アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)硝酸塩、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−アリルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1’−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタノエート)及びポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)等が挙げられる。
熱重合開始剤の配合量は、100重量部の重合性モノマーに対して、0.1重量部以上、20重量部以下であることが好ましく、1重量部以上、5重量部以下であることがより好ましい。これにより、接着層に含まれている重合性モノマーを好適に重合させることができる。なお、熱重合開始剤は、接着剤組成物を使用する直前において、公知の方法により、接着剤組成物に配合するとよい。また、熱重合開始剤は、後述する添加溶剤に希釈してから、接着剤組成物に配合してもよい。
熱重合開始剤の1分間半減温度は、90℃以上、200℃以下であることが好ましく、120℃以上、180℃以下であることがより好ましい。
また、熱重合開始剤の1時間半減温度は、50℃以上、140℃以下であることが好ましく、80℃以上、140℃以下であることがより好ましい。
熱重合開始剤の1分間半減温度が、90℃以上、200℃以下であり、1時間半減温度が、50℃以上、140℃以下であることにより、熱重合開始剤を配合した後から、重合性モノマーが重合し、ゲル化するまでの時間を長くすることができる。これにより、支持体上に接着剤組成物を塗布するときの作業可能時間を長くすることができる。また、熱重合開始剤の1分間半減温度が、90℃以上、200℃以下であり、1時間半減温度が、50℃以上、140℃以下であることにより、支持体上に接着剤組成物を塗布し、加熱することで希釈溶剤を除去するときに、同時に、ラジカルを発生させ、重合性モノマーの重合を予備的に開始させることができる。作業可能時間を長くすることができるという観点からは、熱重合開始剤の1分半減温度及び1時間半減温度はより高い方が好ましい。また、速やかにゲル化させるという観点からは、熱重合開始剤の1分半減温度及び1時間半減温度はより低い方が好ましい。
なお、熱重合開始剤の理論活性酸素量は、3.0%以上、13.0%以下であることが好ましく、理論活性酸素量に応じて、熱重合開始剤の配合量を適宜調整するとよい。
(光重合開始剤)
接着剤組成物は、光重合開始剤によって、重合性モノマーを重合させることで、高い耐薬品性、及び、高い耐熱性を備え、さらに、高い洗浄性を備えた接着層を形成することができる。なお、重合開始剤として光重合開始剤を用いる場合には、遮光状態を維持することができるように接着剤組成物を包装すれば、光重合開始剤を配合した状態で当該接着剤組成物を製品化することができる。
光重合開始剤としては、具体的には、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(即ち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(即ち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−t−ブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−t−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン及び2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。また、光重合開始剤として、市販品である「IRGACURE OXE02」、「IRGACURE OXE01」,「IRGACURE 369」、「IRGACURE 651」及び「IRGACURE 907」(商品名:何れもBASF社製)並びに「NCI−831」(商品名:ADEKA社製)等も用いることができる。
光重合開始剤の配合量は、100重量部の重合性モノマーに対して、0.1重量部以上、20重量部以下であることが好ましく、1重量部以上、5重量部以下であることがより好ましい。
(添加溶剤)
熱重合開始剤及び光重合開始剤は、添加溶剤に溶解して接着剤組成物に配合することが好ましい。添加溶剤としては、特に限定されないが、接着剤組成物に含まれる成分を溶解する有機溶剤を用いることができる。
有機溶剤としては、例えば、接着剤組成物の各成分を溶解し、均一な溶液にすることができればよく、1つの有機溶剤のみを用いてもよく、2つ以上の有機溶剤を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤の具体例としては、例えば、極性基として酸素原子、カルボニル基又はアセトキシ基等を有するテルペン溶剤が挙げられ、例えば、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、イソメントール、ネオメントール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルピネン−1−オール、テルピネン−4−オール、ジヒドロターピニルアセテート、1,4−シネオール、1,8−シネオール、ボルネオール、カルボン、ヨノン、ツヨン、カンファーが挙げられる。また、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン(CH)、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、又はジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、上記多価アルコール類又は上記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテル又はモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体(これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい);ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル等の芳香族系有機溶剤等を挙げることができる。
添加溶剤の含有量は、熱重合開始剤及び光重合開始剤の種類等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、樹脂成分を溶解する希釈溶剤(主溶剤)と添加溶剤との合計を100重量部としたとき、添加溶剤の含有量は、1重量部以上、50重量部以下であることが好ましく、1重量部以上、30重量部以下であることがより好ましい。添加溶剤の含有量が上記範囲内であれば、熱重合開始剤及び光重合開始剤を十分に溶解することができる。
<積層体>
本発明の一実施形態に係る積層体は、素子が実装される配線層と、上記素子と、上記素子を封止する封止材とを備えている封止体を、上記封止体を支持する支持体上に接着層を介して積層してなる積層体であって、上記接着層は、ブロック共重合体と、重合性モノマーの重合体と、重合開始剤と、を含んでなる。また、支持体と接着層との間に分離層を備えている。
本発明の一実施形態に係る積層体は、本発明の一実施形態に係る接着剤組成物を用いて接着層が形成されている。このため、支持体に形成された接着層上において、好適に配線層を形成し、好適に素子を封止することがきる。よって、本発明の一実施形態に係る接着剤組成物を用いて接着層が形成されている積層体も本発明の範疇である。
〔封止体〕
封止体は、素子が実装される配線層と、素子と、素子を封止する封止材とを備えている。封止体は複数の素子を備えていることが好ましく、このような封止体をダイシングすることにより、複数の電子部品を得ることができる。
(配線層)
配線層は、RDL(Redistribution Layer:再配線層)とも呼ばれ、素子に接続する配線を構成する薄膜の配線体であり、単層又は複数層の構造を有し得る。一実施形態において、配線層は、誘電体(例えば、酸化シリコン(SiOx)、感光性エポキシ等の感光性樹脂等)に、導電体(例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、金及び銀等の金属並びに銀−錫合金等の合金)によって配線が形成されたものであり得るが、これに限定されない。
(素子)
素子は、半導体素子又はその他の素子であり、単層又は複数層の構造を有し得る。なお、素子が半導体素子である場合、封止体をダイシングすることにより得られる電子部品は、半導体装置となる。
(封止材)
封止材としては、例えば、エポキシ樹脂を含有する封止材等を用いることができる。封止材は、素子毎に設けられているものではなく、配線層に実装された複数の素子の全てを一体的に封止しているものであることが好ましい。
〔支持体〕
支持体は、封止体の形成時に、封止体の各構成要素の破損又は変形を防ぐために必要な強度を有していればよい。また、支持体は、当該支持体上に形成された分離層を変質させることができる波長の光を透過させる材料によって形成されている。
支持体の材料としては、例えば、ガラス、シリコン及びアクリル系樹脂等を用いることができるが、これらに限定されない。支持体の形状としては、例えば、板状の円形の支持体を用いることができるが、これに限定されない。
〔接着層〕
接着層は、ブロック共重合体と、重合性モノマーの重合体と、重合開始剤と、を含んでなり、封止体を支持体上に固定するため、並びに、分離層を保護するために用いられる。
ここで、接着層を形成するための接着剤組成物は、上述した通りであり、ブロック重合体、重合性モノマー及び重合開始剤は、上述したものと同様であるため、その説明を省略する。
なお、重合性モノマーの重合体としては、多官能(メタ)アクリル酸エステルの重合体であることが好ましい。多官能(メタ)アクリル酸エステルは、上述したものと同様であるため、説明を省略する。
接着層の厚さは、支持体及び封止体の種類、並びに封止体を形成するときに実施する処理等に応じて適宜設定すればよいが、0.1μm以上、50μm以下であることが好ましく、1μm以上、10μm以下であることがより好ましい。1μm以上であることにより、封止体を、支持体上に好適に固定することができる。10μm以下であることにより、後の工程において接着層の除去を容易にすることができる。
〔分離層〕
分離層は、光を照射することで変質する層である。支持体を介して分離層に光を照射して分離層を変質させることによって、支持体を封止体から分離させることができる。
なお、本明細書において、分離層が「変質する」とは、分離層がわずかな外力を受けて破壊され得る状態、又は分離層と接する層との接着力が低下した状態になる現象を意味する。光を吸収することによって生じる分離層の変質の結果として、分離層は、光の照射を受ける前の強度又は接着性を失う。つまり、光を吸収することによって、分離層は脆くなる。分離層の変質とは、分離層が、吸収した光のエネルギーによる分解、立体配置の変化又は官能基の解離等を生じることであり得る。分離層の変質は、光を吸収することの結果として生じる。
よって、例えば、サポートプレートを持ち上げるだけで分離層が破壊されるように変質させて、サポートプレートと基板とを容易に分離することができる。より具体的には、例えば、支持体分離装置等により、積層体における基板及びサポートプレートの一方を載置台に固定し、吸着手段を備えた吸着パッド(吸着部)等によって他方を保持して持ち上げることで、サポートプレートと基板とを分離するか、又はサポートプレートの周縁部分端部の面取り部位を、クランプ(ツメ部)等を備えた分離プレートによって把持することにより力を加え、基板とサポートプレートとを分離するとよい。また、例えば、接着剤を剥離するための剥離液を供給する剥離手段を備えた支持体分離装置によって、積層体における基板からサポートプレートを剥離してもよい。当該剥離手段によって積層体における接着層の周端部の少なくとも一部に剥離液を供給し、積層体における接着層を膨潤させることにより、当該接着層が膨潤したところから分離層に力が集中するようにして、基板とサポートプレートとに力を加えることができる。このため、基板とサポートプレートとを好適に分離することができる。
積層体に加える力は、積層体の大きさ等により適宜調整すればよく、限定されるものではないが、例えば、直径が300mm程度の積層体であれば、0.1〜5kgf程度の力を加えることによって、基板とサポートプレートとを好適に分離することができる。
分離層の厚さは、例えば、0.05μm以上、50μm以下の範囲内であることがより好ましく、0.3μm以上、1μm以下の範囲内であることがさらに好ましい。分離層の厚さが0.05μm以上、50μm以下の範囲に収まっていれば、短時間の光の照射及び低エネルギーの光の照射によって、分離層に所望の変質を生じさせることができる。また、分離層の厚さは、生産性の観点から1μm以下の範囲に収まっていることが特に好ましい。
なお、分離層と支持体との間に他の層がさらに形成されていてもよい。この場合、他の層は光を透過する材料から構成されていればよい。これによって、分離層への光の入射を妨げることなく、好ましい性質等を有する層を、適宜追加することができる。分離層を構成している材料の種類によって、用い得る光の波長が異なる。よって、他の層を構成する材料は、すべての光を透過させる必要はなく、分離層を構成する材料を変質させ得る波長の光を透過させることができる材料から適宜選択し得る。
また、分離層は、光を吸収する構造を有する材料のみから形成されていることが好ましいが、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、光を吸収する構造を有していない材料を添加して、分離層を形成してもよい。また、分離層における接着層に対向する側の面が平坦である(凹凸が形成されていない)ことが好ましく、これにより、分離層の形成が容易に行え、かつ貼り付けにおいても均一に貼り付けることが可能となる。
(フルオロカーボン)
分離層は、フルオロカーボンからなっていてもよい。分離層は、フルオロカーボンによって構成されることにより、光を吸収することによって変質するようになっており、その結果として、光の照射を受ける前の強度又は接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、支持体を持ち上げる等)ことによって、分離層が破壊されて、支持体と封止体とを分離し易くすることができる。分離層を構成するフルオロカーボンは、プラズマCVD(化学気相堆積)法によって好適に成膜することができる。
フルオロカーボンは、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。分離層に用いたフルオロカーボンが吸収する範囲の波長の光を分離層に照射することにより、フルオロカーボンを好適に変質させ得る。なお、分離層における光の吸収率は80%以上であることが好ましい。
分離層に照射する光としては、フルオロカーボンが吸収可能な波長に応じて、例えば、YAGレーザ、ルビーレーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、LDレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、COレーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He−Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、又は、非レーザ光を適宜用いればよい。フルオロカーボンを変質させ得る波長としては、これに限定されるものではないが、例えば、600nm以下の範囲の波長を用いることができる。
(光吸収性を有している構造をその繰り返し単位に含んでいる重合体)
分離層は、光吸収性を有している構造をその繰り返し単位に含んでいる重合体を含有していてもよい。該重合体は、光の照射を受けて変質する。該重合体の変質は、上記構造が照射された光を吸収することによって生じる。分離層は、重合体の変質の結果として、光の照射を受ける前の強度又は接着性を失っている。よって、わずかな外力を加える(例えば、支持体を持ち上げる等)ことによって、分離層が破壊されて、支持体と封止体とを分離し易くすることができる。
光吸収性を有している上記構造は、光を吸収して、繰り返し単位として該構造を含んでいる重合体を変質させる化学構造である。該構造は、例えば、置換若しくは非置換のベンゼン環、縮合環又は複素環からなる共役π電子系を含んでいる原子団である。より詳細には、該構造は、カルド構造、又は上記重合体の側鎖に存在するベンゾフェノン構造、ジフェニルスルフォキシド構造、ジフェニルスルホン構造(ビスフェニルスルホン構造)、ジフェニル構造若しくはジフェニルアミン構造であり得る。
上記構造が上記重合体の側鎖に存在する場合、該構造は以下の式によって表され得る。
Figure 0006722001
(式中、Rはそれぞれ独立して、アルキル基、アリール基、ハロゲン、水酸基、ケトン基、スルホキシド基、スルホン基又はN(R)(R)であり(ここで、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)、Zは、存在しないか、又は−CO−、−SO−、−SO−若しくは−NH−であり、nは0又は1〜5の整数である。)
また、上記重合体は、例えば、以下の式のうち、(a)〜(d)の何れかによって表される繰り返し単位を含んでいるか、(e)によって表されるか、又は(f)の構造をその主鎖に含んでいる。
Figure 0006722001
(式中、lは1以上の整数であり、mは0又は1〜2の整数であり、Xは、(a)〜(e)において上記の“化1”に示した式の何れかであり、(f)において上記の“化1”に示した式の何れかであるか、又は存在せず、Y及びYはそれぞれ独立して、−CO−又はSO−である。lは好ましくは10以下の整数である。)
上記の“化1”に示されるベンゼン環、縮合環及び複素環の例としては、フェニル、置換フェニル、ベンジル、置換ベンジル、ナフタレン、置換ナフタレン、アントラセン、置換アントラセン、アントラキノン、置換アントラキノン、アクリジン、置換アクリジン、アゾベンゼン、置換アゾベンゼン、フルオリム、置換フルオリム、フルオリモン、置換フルオリモン、カルバゾール、置換カルバゾール、N−アルキルカルバゾール、ジベンゾフラン、置換ジベンゾフラン、フェナントレン、置換フェナントレン、ピレン及び置換ピレンが挙げられる。例示した置換基がさらに置換基を有している場合、その置換基は、例えば、アルキル、アリール、ハロゲン原子、アルコキシ、ニトロ、アルデヒド、シアノ、アミド、ジアルキルアミノ、スルホンアミド、イミド、カルボン酸、カルボン酸エステル、スルホン酸、スルホン酸エステル、アルキルアミノ及びアリールアミノから選択される。
上記の“化1”に示される置換基のうち、フェニル基を2つ有している5番目の置換基であって、Zが−SO−である場合の例としては、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,6−ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)スルホン、及びビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。
上記の“化1”に示される置換基のうち、フェニル基を2つ有している5番目の置換基であって、Zが−SO−である場合の例としては、ビス(2,3−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(5−クロロ−2,3−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)スルホキシド、ビス(5−クロロ−2,4−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,5−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,5−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,3,4−トリヒドロキシ−6−メチルフェニル)−スルホキシド、ビス(5−クロロ−2,3,4−トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(5−クロロ−2,4,6−トリヒドロキシフェニル)スルホキシド等が挙げられる。
上記の“化1”に示される置換基のうち、フェニル基を2つ有している5番目の置換基であって、Zが−C(=O)−である場合の例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,5,6’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,6−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−アミノ−2’−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−2’−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ジエチルアミノ−2’−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−4’−メトキシ−2’−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、及び4−ジメチルアミノ−3’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
上記構造が上記重合体の側鎖に存在している場合、上記構造を含んでいる繰り返し単位の、上記重合体に占める割合は、分離層の光の透過率が0.001%以上、10%以下になる範囲内にある。該割合がこのような範囲に収まるように重合体が調製されていれば、分離層が十分に光を吸収して、確実かつ迅速に変質し得る。すなわち、封止体からの支持体の除去が容易であり、該除去に必要な光の照射時間を短縮させることができる。
上記構造は、その種類の選択によって、所望の範囲の波長を有している光を吸収することができる。例えば、上記構造が吸収可能な光の波長は、100nm以上、2,000nm以下の範囲内であることがより好ましい。この範囲内のうち、上記構造が吸収可能な光の波長は、より短波長側であり、例えば、100nm以上、500nm以下の範囲内である。例えば、上記構造は、好ましくはおよそ300nm以上、370nm以下の範囲内の波長を有している紫外光を吸収することによって、該構造を含んでいる重合体を変質させ得る。
上記構造が吸収可能な光は、例えば、高圧水銀ランプ(波長:254nm以上、436nm以下)、KrFエキシマレーザ(波長:248nm)、ArFエキシマレーザ(波長:193nm)、F2エキシマレーザ(波長:157nm)、XeClレーザ(波長:308nm)、XeFレーザ(波長:351nm)若しくは固体UVレーザ(波長:355nm)から発せられる光、又はg線(波長:436nm)、h線(波長:405nm)若しくはi線(波長:365nm)等である。
上述した分離層は、繰り返し単位として上記構造を含んでいる重合体を含有しているが、分離層はさらに、上記重合体以外の成分を含み得る。該成分としては、フィラー、可塑剤、及び支持体の剥離性を向上し得る成分等が挙げられる。これらの成分は、上記構造による光の吸収、及び重合体の変質を妨げないか、又は促進する、従来公知の物質又は材料から適宜選択される。
(無機物)
分離層は、無機物からなっていてもよい。分離層は、無機物によって構成されることにより、光を吸収することによって変質するようになっており、その結果として、光の照射を受ける前の強度又は接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、支持体1を持ち上げる等)ことによって、分離層が破壊されて、支持体と封止体とを分離し易くすることができる。
上記無機物は、光を吸収することによって変質する構成であればよく、例えば、金属、金属化合物及びカーボンからなる群より選択される1種類以上の無機物を好適に用いることができる。金属化合物とは、金属原子を含む化合物を指し、例えば、金属酸化物、金属窒化物であり得る。このような無機物の例示としては、これに限定されるものではないが、金、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、チタン、クロム、SiO、SiN、Si、TiN、及びカーボンからなる群より選ばれる1種類以上の無機物が挙げられる。なお、カーボンとは炭素の同素体も含まれ得る概念であり、例えば、ダイヤモンド、フラーレン、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノチューブ等であり得る。
上記無機物は、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。分離層に用いた無機物が吸収する範囲の波長の光を分離層に照射することにより、上記無機物を好適に変質させ得る。
無機物からなる分離層に照射する光としては、上記無機物が吸収可能な波長に応じて、例えば、YAGレーザ、ルビーレーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、LDレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、COレーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He−Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、又は、非レーザ光を適宜用いればよい。
無機物からなる分離層は、例えばスパッタ、化学蒸着(CVD)、メッキ、プラズマCVD、スピンコート等の公知の技術により、支持体上に形成され得る。無機物からなる分離層の厚さは特に限定されず、使用する光を十分に吸収し得る膜厚であればよいが、例えば、0.05μm以上、10μm以下の範囲内の膜厚とすることがより好ましい。また、分離層を構成する無機物からなる無機膜(例えば、金属膜)の両面又は片面に予め接着剤を塗布し、支持体に貼り付けてもよい。
なお、分離層として金属膜を使用する場合には、分離層の膜質、レーザ光源の種類、レーザ出力等の条件によっては、レーザの反射や膜への帯電等が起こり得る。そのため、反射防止膜や帯電防止膜を分離層の上下又はどちらか一方に設けることで、それらの対策を図ることが好ましい。
(赤外線吸収性の構造を有する化合物)
分離層は、赤外線吸収性の構造を有する化合物によって形成されていてもよい。該化合物は、赤外線を吸収することにより変質する。分離層は、化合物の変質の結果として、赤外線の照射を受ける前の強度又は接着性を失っている。よって、わずかな外力を加える(例えば、支持体を持ち上げる等)ことによって、分離層が破壊されて、支持体と封止体とを分離し易くすることができる。
赤外線吸収性を有している構造、又は赤外線吸収性を有している構造を含む化合物としては、例えば、アルカン、アルケン(ビニル、トランス、シス、ビニリデン、三置換、四置換、共役、クムレン、環式)、アルキン(一置換、二置換)、単環式芳香族(ベンゼン、一置換、二置換、三置換)、アルコール及びフェノール類(自由OH、分子内水素結合、分子間水素結合、飽和第二級、飽和第三級、不飽和第二級、不飽和第三級)、アセタール、ケタール、脂肪族エーテル、芳香族エーテル、ビニルエーテル、オキシラン環エーテル、過酸化物エーテル、ケトン、ジアルキルカルボニル、芳香族カルボニル、1,3−ジケトンのエノール、o−ヒドロキシアリールケトン、ジアルキルアルデヒド、芳香族アルデヒド、カルボン酸(二量体、カルボン酸アニオン)、ギ酸エステル、酢酸エステル、共役エステル、非共役エステル、芳香族エステル、ラクトン(β−、γ−、δ−)、脂肪族酸塩化物、芳香族酸塩化物、酸無水物(共役、非共役、環式、非環式)、第一級アミド、第二級アミド、ラクタム、第一級アミン(脂肪族、芳香族)、第二級アミン(脂肪族、芳香族)、第三級アミン(脂肪族、芳香族)、第一級アミン塩、第二級アミン塩、第三級アミン塩、アンモニウムイオン、脂肪族ニトリル、芳香族ニトリル、カルボジイミド、脂肪族イソニトリル、芳香族イソニトリル、イソシアン酸エステル、チオシアン酸エステル、脂肪族イソチオシアン酸エステル、芳香族イソチオシアン酸エステル、脂肪族ニトロ化合物、芳香族ニトロ化合物、ニトロアミン、ニトロソアミン、硝酸エステル、亜硝酸エステル、ニトロソ結合(脂肪族、芳香族、単量体、二量体)、メルカプタン及びチオフェノール及びチオール酸等の硫黄化合物、チオカルボニル基、スルホキシド、スルホン、塩化スルホニル、第一級スルホンアミド、第二級スルホンアミド、硫酸エステル、炭素−ハロゲン結合、Si−A結合(Aは、H、C、O又はハロゲン)、P−A結合(Aは、H、C又はO)、又はTi−O結合であり得る。
上記炭素−ハロゲン結合を含む構造としては、例えば、−CHCl、−CHBr、−CHI、−CF−、−CF、−CH=CF、−CF=CF、フッ化アリール、及び塩化アリール等が挙げられる。
上記Si−A結合を含む構造としては、SiH、SiH、SiH、Si−CH、Si−CH−、Si−C、SiO−脂肪族、Si−OCH、Si−OCHCH、Si−OC、Si−O−Si、Si−OH、SiF、SiF、及びSiF等が挙げられる。Si−A結合を含む構造としては、特に、シロキサン骨格及びシルセスキオキサン骨格を形成していることが好ましい。
上記P−A結合を含む構造としては、PH、PH、P−CH、P−CH−、P−C、A −P−O(Aは脂肪族又は芳香族)、(AO)−P−O(Aはアルキル)、P−OCH、P−OCHCH、P−OC、P−O−P、P−OH、及びO=P−OH等が挙げられる。
上記構造は、その種類の選択によって、所望の範囲の波長を有している赤外線を吸収することができる。具体的には、上記構造が吸収可能な赤外線の波長は、例えば1μm以上、20μm以下の範囲内であり、2μm以上、15μm以下の範囲内をより好適に吸収することができる。さらに、上記構造がSi−O結合、Si−C結合及びTi−O結合である場合には、9μm以上、11μm以下の範囲内であり得る。なお、各構造が吸収できる赤外線の波長は当業者であれば容易に理解することができる。例えば、各構造における吸収帯として、非特許文献:SILVERSTEIN・BASSLER・MORRILL著「有機化合物のスペクトルによる同定法(第5版)−MS、IR、NMR、UVの併用−」(1992年発行)第146頁〜第151頁の記載を参照することができる。
分離層の形成に用いられる、赤外線吸収性の構造を有する化合物としては、上述のような構造を有している化合物のうち、塗布のために溶媒に溶解することができ、固化されて固層を形成することができるものであれば、特に限定されるものではない。しかしながら、分離層における化合物を効果的に変質させ、支持体と封止体との分離を容易にするには、分離層における赤外線の吸収が大きいこと、すなわち、分離層に赤外線を照射したときの赤外線の透過率が低いことが好ましい。具体的には、分離層における赤外線の透過率が90%より低いことが好ましく、赤外線の透過率が80%より低いことがより好ましい。
一例を挙げて説明すれば、シロキサン骨格を有する化合物としては、例えば、下記化学式(1)で表される繰り返し単位及び下記化学式(2)で表される繰り返し単位の共重合体である樹脂、あるいは下記化学式(1)で表される繰り返し単位及びアクリル系化合物由来の繰り返し単位の共重合体である樹脂を用いることができる。
Figure 0006722001
(化学式(2)中、Rは、水素、炭素数10以下のアルキル基、又は炭素数10以下のアルコキシ基である。)
中でも、シロキサン骨格を有する化合物としては、上記化学式(1)で表される繰り返し単位及び下記化学式(3)で表される繰り返し単位の共重合体であるt−ブチルスチレン(TBST)−ジメチルシロキサン共重合体がより好ましく、上記化学式(2)で表される繰り返し単位及び下記化学式(3)で表される繰り返し単位を1:1で含む、TBST−ジメチルシロキサン共重合体がさらに好ましい。
Figure 0006722001
また、シルセスキオキサン骨格を有する化合物としては、例えば、下記化学式(4)で表される繰り返し単位及び下記化学式(5)で表される繰り返し単位の共重合体である樹脂を用いることができる。
Figure 0006722001
(化学式(4)中、Rは、水素又は炭素数1以上、10以下のアルキル基であり、化学式(5)中、Rは、炭素数1以上、10以下のアルキル基、又はフェニル基である。)
シルセスキオキサン骨格を有する化合物としては、このほかにも、特開2007−258663号公報(2007年10月4日公開)、特開2010−120901号公報(2010年6月3日公開)、特開2009−263316号公報(2009年11月12日公開)、及び特開2009−263596号公報(2009年11月12日公開)において開示されている各シルセスキオキサン樹脂を好適に利用することができる。
中でも、シルセスキオキサン骨格を有する化合物としては、下記化学式(6)で表される繰り返し単位及び下記化学式(7)で表される繰り返し単位の共重合体がより好ましく、下記化学式(6)で表される繰り返し単位及び下記化学式(7)で表される繰り返し単位を7:3で含む共重合体がさらに好ましい。
Figure 0006722001
シルセスキオキサン骨格を有する重合体としては、ランダム構造、ラダー構造、及び籠型構造があり得るが、何れの構造であってもよい。
また、Ti−O結合を含む化合物としては、例えば、(i)テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、及びチタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート等のアルコキシチタン;(ii)ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、及びプロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等のキレートチタン;(iii)i−CO−[−Ti(O−i−C−O−]−i−C、及びn−CO−[−Ti(O−n−C−O−]−n−C等のチタンポリマー;(iv)トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、チタニウムステアレート、ジ−i−プロポキシチタンジイソステアレート、及び(2−n−ブトキシカルボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタン等のアシレートチタン;(v)ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン等の水溶性チタン化合物等が挙げられる。
中でも、Ti−O結合を含む化合物としては、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン(Ti(OC[OCN(COH))が好ましい。
上述した分離層は、赤外線吸収性の構造を有する化合物を含有しているが、分離層はさらに、上記化合物以外の成分を含み得る。該成分としては、フィラー、可塑剤、及び支持体の剥離性を向上し得る成分等が挙げられる。これらの成分は、上記構造による赤外線の吸収、及び化合物の変質を妨げないか、又は促進する、従来公知の物質又は材料から適宜選択される。
(赤外線吸収物質)
分離層は、赤外線吸収物質を含有していてもよい。分離層は、赤外線吸収物質を含有して構成されることにより、光を吸収することによって変質するようになっており、その結果として、光の照射を受ける前の強度又は接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、支持体を持ち上げる等)ことによって、分離層が破壊されて、支持体と封止体とを分離し易くすることができる。
赤外線吸収物質は、赤外線を吸収することによって変質する構成であればよく、例えば、カーボンブラック、鉄粒子、又はアルミニウム粒子を好適に用いることができる。赤外線吸収物質は、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。分離層に用いた赤外線吸収物質が吸収する範囲の波長の光を分離層に照射することにより、赤外線吸収物質を好適に変質させ得る。
(反応性ポリシルセスキオキサン)
分離層は、反応性ポリシルセスキオキサンを重合させることにより形成することができる。これにより、分離層は、高い耐薬品性と高い耐熱性とを備えている。
本明細書中において、反応性ポリシルセスキオキサンとは、ポリシルセスキオキサン骨格の末端にシラノール基、又は、加水分解することによってシラノール基を形成することができる官能基を有するポリシルセスキオキサンであり、当該シラノール基又はシラノール基を形成することができる官能基を縮合することによって、互いに重合することができるものである。また、反応性ポリシルセスキオキサンは、シラノール基、又は、シラノール基を形成することができる官能基を備えていれば、ランダム構造、籠型構造、ラダー構造等のシルセスキオキサン骨格を備えている反応性ポリシルセスキオキサンを採用することができる。
また、反応性ポリシルセスキオキサンは、下記化学式(8)に示す構造を有していることがより好ましい。
Figure 0006722001
化学式(8)中、R”は、それぞれ独立して、水素及び炭素数1以上、10以下のアルキル基からなる群より選択され、水素及び炭素数1以上、5以下のアルキル基からなる群より選択されることがより好ましい。R”が、水素又は炭素数1以上、10以下のアルキル基であれば、分離層形成工程における加熱によって、化学式(8)によって表される反応性ポリシルセスキオキサンを好適に縮合させることができる。
化学式(8)中、pは、1以上、100以下の整数であることが好ましく、1以上、50以下の整数であることがより好ましい。反応性ポリシルセスキオキサンは、化学式(8)で表される繰り返し単位を備えることによって、他の材料を用いて形成するよりもSi−O結合の含有量が高く、赤外線(0.78μm以上、1,000μm以下)、好ましくは遠赤外線(3μm以上、1,000μm以下)、さらに好ましくは波長9μm以上、11μm以下における吸光度の高い分離層を形成することができる。
また、化学式(8)中、R’は、それぞれ独立して、互いに同じか、又は異なる有機基である。ここで、Rは、例えば、アリール基、アルキル基、及び、アルケニル基等であり、これらの有機基は置換基を有していてもよい。
R’がアリール基である場合、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等を挙げることができ、フェニル基であることがより好ましい。また、アリール基は、炭素数1〜5のアルキレン基を介してポリシルセスキオキサン骨格に結合していてもよい。
R’がアルキル基である場合、アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基を挙げることができる。また、Rがアルキル基である場合、炭素数は1〜15であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。また、Rが、環状のアルキル基である場合、単環状又は2〜4環状の構造をしたアルキル基であってもよい。
R’がアルケニル基である場合、アルキル基の場合と同様に、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルケニル基を挙げることができ、アルケニル基は、炭素数が2〜15であることが好ましく、2〜6であることがより好ましい。また、Rが、環状のアルケニル基である場合、単環状又は2〜4環状の構造をしたアルケニル基であってもよい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、及びアリル基等を挙げることができる。
また、R’が有し得る置換基としては、水酸基及びアルコキシ基等を挙げることができる。置換基がアルコキシ基である場合、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキルアルコキシ基を挙げることができ、アルコキシ基における炭素数は1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
また、一つの観点において、反応性ポリシルセスキオキサンのシロキサン含有量は、70モル%以上、99モル%以下であることが好ましく、80モル%以上、99モル%以下であることがより好ましい。反応性ポリシルセスキオキサンのシロキサン含有量が70モル%以上、99モル%以下であれば、赤外線(好ましくは遠赤外線、さらに好ましくは波長9μm以上、11μm以下の光)を照射することによって好適に変質させることができる分離層を形成することができる。
また、一つの観点において、反応性ポリシルセスキオキサンの重量平均分子量(Mw)は、500以上、50,000以下であることが好ましく、1,000以上、10,000以下であることがより好ましい。反応性ポリシルセスキオキサンの重量平均分子量(Mw)が500以上、50,000以下であれば、溶剤に好適に溶解させることができ、サポートプレート上に好適に塗布することができる。
反応性ポリシルセスキオキサンとして用いることができる市販品としては、例えば、小西化学工業株式会社製のSR−13、SR−21、SR−23及びSR−33等を挙げることができる。
<積層体の製造方法、及び封止体の製造方法>
本発明の一実施形態に係る積層体の製造方法は、素子が実装される配線層と、上記素子と、上記素子を封止する封止材とを備えている封止体を、上記封止体を支持する支持体上に接着層を介して積層してなる積層体の製造方法であって、上記支持体上に、上述の接着剤組成物を塗布することにより上記接着層を形成する接着層形成工程を包含している。ここで、上記支持体は、光を透過する材料からなる支持体であり、上記接着層形成工程前に、上記支持体上に光を照射することにより変質する分離層が形成されている。
また、本発明の一実施形態に係る封止体の製造方法は、本発明の一実施形態に係る積層体の製造方法によって、上記積層体を製造する積層体製造工程と、上記積層体形成工程後、上記支持体を介して光を照射することで、上記分離層を変質させることにより、上記積層体から上記支持体を分離する分離工程と、分離工程後、上記封止体側に残る上記接着層の残渣を炭化水素系溶剤によって除去する接着層除去工程とを包含している。
〔実施形態1〕
図1は、本発明の実施形態1の封止体の製造方法の各工程を説明する図である。本実施形態に係る封止体の製造方法は、分離層形成工程、接着層形成工程、封止体形成工程、及び接着層除去工程をこの順に実施する。
[分離層形成工程]
図1の(a)に示すように、分離層形成工程では、光を透過する支持体1の一方の平面部1aに、例えば、化学気相成長(CVD)法等により、光を照射することで変質する分離層2を形成する。なお、「一方の平面部」とは、支持体1が有する平面部のうちの一つを指す。また、「平面部」は、実質的に平面と見なせる程度の微細な凹凸を有していてもよい。
[接着層形成工程]
図1の(b)に示すように、接着層形成工程では、例えば、スピンコート、ディッピング、ローラーブレード、スプレー塗布、スリット塗布等の方法により上述の接着剤組成物を塗布し、加熱するか、又は、減圧環境下に置くことにより、接着剤組成物に含まれている希釈溶剤を除去する。その後、接着層が熱重合開始剤を含んでいる場合、加熱することにより、当該接着層が含んでいる重合性モノマーを重合させるとよい。なお、接着層3を加熱する条件は、熱重合開始剤における1分間半減温度、及び、1時間半減温度に基づき、適宜設定すればよいが、例えば、50℃以上、300℃以下の範囲内の温度において、真空下又は窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下にて行うことがより好ましい。
また、接着層が光重合開始剤を含んでいる場合、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下にて露光することにより、当該接着層が含んでいる重合性モノマーを重合させるとよい。なお、露光する条件は、光重合開始剤の種類に応じて適宜設定すればよい。
[封止体形成工程]
図1の(c)〜(f)に示すように、封止体形成工程では、配線層4上に、封止体7を形成する。本実施形態における封止体形成工程では、配線層形成工程、実装工程、封止工程、薄化工程、及び接着層除去工程をこの順に行う。
[配線層形成工程]
図1の(c)に示すように、配線層形成工程では、接着層3上に配線層4を形成する。
一実施形態において、配線層4の形成手順としては、まず、接着層3上に、酸化シリコン(SiOx)、感光性樹脂等の誘電体層を形成する。酸化シリコンからなる誘電体層は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法等により形成することができる。感光性樹脂からなる誘電体層は、例えば、スピンコート、ディッピング、ローラーブレード、スプレー塗布及びスリット塗布等の方法により感光性樹脂を塗布することによって形成することができる。
続いて、誘電体層に、金属等の導電体によって配線を形成する。配線の形成手法としては、例えば、フォトリソグラフィー(レジストリソグラフィー)等のリソグラフィー処理、エッチング処理等の公知の半導体プロセス手法を用いることができる。
このように、フォトリソグラフィー処理、及びエッチング処理等を行うときにおいて、接着層3は、フッ化水素酸等の酸、TMAH等のアルカリ、及び、レジスト溶剤に曝される。特に、ファンアウト型技術においては、レジスト溶剤として、PGMEA以外に、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノン等が用いられる。しかしながら、接着層3は、ブロック共重合体中において重合性モノマーを重合させることにより耐薬品性が高められている。このため、酸、アルカリのみならず、レジスト溶剤に曝されることによって接着層3が、溶解、又は剥離することを防止することができる。よって、接着層3上に配線層4を好適に形成することができる。
図1の(d)に示すように、実装工程では、配線層4上に素子5を実装する。配線層4上への素子5の実装は、例えば、チップマウンター等を用いて行うことができる。
図1の(e)に示すように、封止工程では、素子5を封止材6によって封止する。特に限定されるものではなく、参考として、封止材6は、例えば、100℃以上に加熱された状態で、高粘度の状態を維持しつつ、成形型を用いて射出成形される。このため、素子5を封止材6によって封止するときに、接着層3は、100℃以上の温度にて加圧される。しかしながら、接着層3は、ブロック共重合体中において重合性モノマーを重合させることにより、高温に加熱されたときにおける動的複素弾性率が高められている。このため、100℃以上の温度にて加圧されることで、素子5を封止材6によって封止することにより形成される封止体7に歪みが生じることを防止することができる。よって、接着層3上において、封止体7を好適に形成することができる。
図1の(f)に示すように、薄化工程では、封止材6を薄化する。封止材6は、例えば、素子5と同等の厚さにまで薄化してもよい。
また、薄化工程後に封止材上へのバンプの形成、及び、絶縁層の形成等の処理をさらに行ってもよい。
以上の工程によって得られた図1の(g)に示す積層体8は、光を透過する支持体1と、光を照射することで変質する分離層2と、接着層3と、封止体7と、がこの順に積層されてなり、封止体7は、素子5を実装する配線層4と、素子5と、素子5を封止する封止材6とを備えており、分離層2は、支持体1に接している部分以外が接着層3によって被覆されている。このような積層体8は、本発明に係る積層体の製造方法の過程においてのみ製造されるものであり、単離された封止体7を製造するために好適に利用することができる。
[分離工程]
図1の(h)に示すように、分離工程では、支持体1を介して、分離層2に光Lを照射することで、分離層2を変質させる。照射する光Lの種類及び波長は、支持体1の透過性及び分離層2の材質に応じて適宜選択すればよく、例えば、YAGレーザ、ルビーレーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、LDレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、COレーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He−Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、又は、非レーザ光を用いることができる。これにより、分離層2を変質させて、支持体1と封止体7とを容易に分離可能な状態とすることができる。
また、レーザ光を照射する場合のレーザ光照射条件の一例としては、以下の条件を挙げることができるが、これに限定されない:レーザ光の平均出力値は、1.0W以上、5.0W以下であることが好ましく、3.0W以上、4.0W以下であることがより好ましい;レーザ光の繰り返し周波数は、20kHz以上、60kHz以下であることが好ましく、30kHz以上、50kHz以下であることがより好ましい;レーザ光の走査速度は、100mm/s以上、10,000mm/s以下であることが好ましい。
その後、図1の(i)に示すように、分離工程では、支持体1と封止体7とを分離する。例えば、支持体1と封止体7とが互いに離れる方向に力を加えることにより、支持体1と、封止体7とを分離する。例えば、支持体1及び封止体7の一方をステージに固定した状態で、他方をベローズパッド等の吸着パッドを備えた分離プレートにより吸着保持しつつ持ち上げることにより、支持体1と封止体7とを分離することができる。
(洗浄工程)
図1の(h)に示すように、洗浄工程では、支持体1が分離された封止体7に残留している接着層3と分離層2とを除去する。例えば、有機溶剤を含んでいる洗浄液等によって接着層3及び分離層2の残渣を除去する洗浄工程を行う。接着層3は、洗浄液として、接着剤組成物に用いられる希釈溶剤、つまり、炭化水素系溶剤を好ましく用いることができ、特に、p−メンタン等のテルペン系溶剤、及び、テトラヒドロナフタレン等の縮合環炭化水素を用いることがより好ましい。
以上により、単離された封止体7を得ることができる。
また、さらに、封止体7に対して、ソルダーボール形成、ダイシング処理、及び、酸化膜形成等の処理を行ってもよい。
〔実施形態2〕
本発明の別の実施形態(実施形態2)について説明すれば以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。実施形態2に係る積層体の製造方法、及び封止体の製造方法は、分離層形成工程、接着層形成工程、封止体形成工程、及び分離工程洗浄工程をこの順に実施し、封止体形成工程では、接着層3上に素子を配置する。
[分離層形成工程〜接着層形成工程]
図2の(a)及び(b)に示すように、分離層形成工程、分離層周縁部分除去工程及び接着層形成工程は、実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
[封止体形成工程]
図2の(c)〜(f)に示すように、封止体形成工程では、接着層3上に、封止体7を形成する。本実施形態における封止体形成工程では、素子配置工程、封止工程、薄化工程、及び配線層形成工程をこの順に行う。
図2の(c)に示すように、素子配置工程では、接着層3上に素子5を配置する。接着層3上への素子5の配置は、接着層3を加熱した状態で、例えば、チップマウンター等を用いて行うことができる。
図2の(d)に示すように、封止工程では、素子5を封止材6によって封止する。封止材6は、例えば、成形型を用いて射出成形する。なお、実施形態1の場合と同様に、封止工程において素子5を封止するときに、接着層3に歪みが生じることを防止することができることは言うまでもない。
図2の(e)に示すように、薄化工程では、封止材6を薄化する。封止材6は、例えば、素子5の端子部が封止材6から露出するまで薄化すればよい。
図2の(f)に示すように、配線層形成工程では、封止材6によって封止された素子5上に配線層4を形成する。
一実施形態において、配線層4の形成手順としては、実施形態1と同様に行うことができるため、その説明を省略する。
以上の工程により、実施形態1と同様に、積層体9を得ることができる。
その後、図2の(g)及び(h)に示すように、分離工程において、支持体1から分離層2に向かって光を照射することにより、分離層2を変質させることにより支持体1を積層体9から分離する。また、その後、洗浄工程において、実施形態1同様に、炭化水素系溶剤を用いて接着層3を除去することにより、封止体7を得ることができる(図2の(i))。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について説明すれば以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上述の実施形態1及び2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。実施形態3に係る積層体の製造方法、及び封止体の製造方法は、分離層形成工程、分離層周縁部分除去工程、接着層形成工程、封止体形成工程、及び接着層除去工程をこの順に実施する。
[分離層形成工程]
図3の(a)に示すように、分離層形成工程は、実施形態1及び2と同様であるため、その説明を省略する。
[分離層周縁部分除去工程]
図3の(b)に示すように、分離層周縁部分除去工程では、例えば、EBR(Edge Bead Removal)処理により、支持体1の周縁部分1b全周に形成された分離層2を除去する。周縁部分1bは、平面部1aの周縁部分である。これにより、図3の(b)に示すように、平面部1a上には、分離層2が除去された周縁部分1bに囲まれた部分に、分離層2が形成されている状態となる。EBR処理の詳細については後述する。
[接着層形成工程]
図3の(c)に示すように、接着層形成工程では、支持体1における周縁部分1b全周の分離層2を除去した側の面に、接着層3を形成する。これにより、支持体1上に形成された分離層2の全面を接着層3によって被覆する。なお、接着層3を形成する方法は、実施形態1〜2と同じであるため、その説明を省略する。
[封止体形成工程]
図3の(d)〜(g)に示すように、封止体形成工程では、接着層3上に、封止体7’を形成する。本実施形態における封止体形成工程では、配線層形成工程、素子配置工程、封止工程、及び薄化工程をこの順に行う。
図3の(d)に示すように、実施形態3では、配線層形成工程において、接着層3上に形成された配線層4の外周端部をトリミング処理により除去する。なお、配線層4のトリミングには、グラインダ等の公知の手段によって研削することにより除去すればよい。これにより、後の工程において、積層体8’(図3)においてEBR処理を好適に行うことができる。
なお、配線層4を形成する方法は、実施形態1及び2と同じであるため、その説明を省略する。
図3の(e)〜(g)に示すように、実施形態3においても、素子配置工程、封止工程、及び薄化工程を行う。なお、実施形態3における、素子配置工程、封止工程、及び薄化工程は、実施形態1と同様に行うことができるため、その説明を省略する。
[接着層除去工程]
図3の(h)に示すように、接着層除去工程では、例えば、EBR処理により、支持体1の周縁部分1b全周に形成された接着層3を除去する。接着層3のうち、支持体1の周縁部分1b全周に形成された部分は、分離層2を介さずに、支持体1と封止体7’とを接着しているため、当該部分を除去しておくことにより、分離層2を変質させたときに、支持体1と封止体7’とを円滑に分離することができる。
特に、支持体1上に形成されている分離層2の外周端部2aよりも外側に形成された接着層3を除去しておくことにより、支持体1と封止体7’とが、必ず分離層2を介して接着されている状態にすることができるため、分離層2を変質させたときに、支持体1と封止体7’とをより円滑に分離することができる。
[分離工程〜洗浄工程]
図3の(i)〜(k)に示すように、実施形態1と同様に、分離工程、及び洗浄工程を行うことにより、封止体7’を製造することができる。
(EBR処理)
上述の(A)分離層周縁部分除去工程において、支持体1の周縁部分1b全周に形成された分離層2を除去するためのEBR処理、及び、(B)接着層除去工程において、支持体1の周縁部分1b全周に形成された接着層3を除去するためのEBR処理は、例えば、(i)溶剤によって溶解して除去する方法、(ii)カッター又はブレードなどを用いて物理的に切断して除去する方法、(iii)大気圧下でのアッシングにより除去する方法などが挙げられる。この中でも、強度及び実用性の観点から、溶剤によって除去する方法が好ましい。
溶剤によって除去する方法において用いられる溶剤としては、除去対象となる分離層2又は接着層3を溶解し得るものであればよく、特に限定されないので、当業者は、除去対象の組成に応じて、適宜選択することができる。例えば、接着層3に対して、特に、p−メンタン等のテルペン系溶剤、及び、テトラヒドロナフタレン等の縮合環炭化水素を用いることができる。また、分離層2に対しては、例えば、モノイソプロパノールアミン(MIPA)等の第一級脂肪族アミン、2−(メチルアミノ)エタノール(MMA)等の第二級脂肪族アミン、トリエタノールアミン等の第三級の脂肪族アミン、シクロヘキシルアミン等の脂環式アミン、ベンジルアミン等の芳香族アミン及びN‐ヒドロキシエチルピペリジン等の複素環式アミンからなる群より選択される少なくとも1種のアミン類、又は、それらを含む溶剤等を用いることができる。なお、溶剤には、上述の(添加溶剤)の欄に列挙されたもののうち、テルペン溶剤以外の有機溶剤を好適に用いることができる。
溶剤を供給する方法としては、例えば、溶剤の噴出によって、除去対象に溶剤を供給する方法、除去対象を溶剤中に浸漬させる方法が挙げられる。
溶剤の噴出によって、除去対象に溶剤を供給する方法としては、均一に溶剤を供給するために、支持体1を回転させながら、除去対象に溶剤を供給する方法が好ましい。支持体1を回転させながら、溶剤を供給する方法としては、例えば、溶剤を噴出するノズルを支持体1の周縁部分1bの直ぐ外側の直上に配置し、溶剤を支持体1の周縁部分1bの直ぐ外側に滴下しながら、支持体1を、スピンナーを用いて回転させる方法が挙げられる。これにより、溶剤を支持体1の周縁部分1bの全周の直ぐ外側に供給することができる。なお、配置するノズルの数に制限はなく、1つ以上であればよい。
支持体1の回転及び溶剤の噴出を伴う上記方法において、支持体1の回転速度、溶剤をノズルから供給するときの溶剤の流量、及び溶剤の供給時間は、除去対象の組成、除去対象の厚さ、使用する溶剤の種類、及び除去の程度に応じて異なり得るものであるが、当業者であれば、その最適条件を困難なく検討及び決定することができる。
また、溶剤による除去対象の溶解後は、支持体1等を乾燥することが好ましい。乾燥工程を経ることによって、不要な溶剤、除去対象部分ではない分離層2又は接着層3に浸入した溶剤を除去することができる。
乾燥方法としては、スピンナー等を用いて支持体1を回転させることによる振り切り乾燥、Nガスなどの噴霧によるエアブローでの乾燥、ベークによる乾燥、及び減圧による乾燥等が挙げられる。なお、これらの乾燥方法としては、いずれかの方法を単独で用いる方法、あるいは任意の2つ以上の方法を組み合わせて用いる方法のいずれも可能である。
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について説明すれば以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上述の実施形態1〜3にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。実施形態4に係る積層体の製造方法、及び封止体の製造方法は、分離層形成工程、分離層周縁部分除去工程、接着層形成工程、封止体形成工程、及び接着層除去工程をこの順に実施する。
[分離層形成工程〜接着層形成工程]
分離層形成工程、分離層周縁部分除去工程、及び、接着層形成工程は、実施形態3と同じであるため、その説明を省略する。
[封止体形成工程]
封止体形成工程では、接着層3上に、素子5を配置して封止する。つまり、実施形態2と同じ工程によって、封止体7’を形成する。その後、図4の(a)に示すように、封止体7’の外周端部をトリミング処理により除去する。なお、封止体4のトリミングには、グラインダ等の公知の手段によって研削することにより除去すればよい。これにより、後の工程において、積層体9’(図4)においアミンR処理を好適に行うことができる。
[接着層除去工程]
図4の(b)に示すように、実施形態3と同じく、実施形態4においても、封止体7’の外周端部をトリミング処理することにより、分離層2の外周端部2aよりも外側に形成された接着層3を除去することができる。このため、分離層2を変質させたときに、支持体1と封止体7’とをより円滑に分離することができる。
その後、実施形態1〜3と同様に、接着層3を炭化水素系溶剤により除去することにより、封止体7’を製造することができる。
〔別の実施形態〕
本発明の一実施形態に係る、接着剤組成物、積層体、積層体の製造方法、及び封止体の製造方法は、上述の実施形態に限定されない。上述の実施形態1〜4において、WLP技術では、支持体1として、上面視における形状が円形である支持体1が好適に使用され得る。しかしながら、半導体装置の技術分野では、さらなる高密度集積化や生産効率の向上のために、円形である支持体1のサイズの大型化の他に、上面視における形状が四角形である大型パネルを支持体として使用することが検討されている。このような四角形の大型パネルを用いて半導体装置を製造する方法は、PLP(Panel level Package)技術として知られ、ファンアウト型技術により実施され得る。ここで、本願の一実施形態に係る接着剤組成物は、ブロック共重合体と重合性モノマーとを含んだ硬化型接着剤組成物を用いることで、高温に加熱したときに高い粘弾性を維持することができる。このため、パネル上において素子を配置して封止するPLP(Panel level Package)技術においても、封止体に歪みが生じることを防止することができる。従って、ファンアウト型のPLP技術において使用する実施形態も、一実施形態に係る接着剤組成物、積層体、積層体の製造方法、及び封止体の製造方法本発明の範疇である。なお、PLP技術において、パネルには、ガラス又はシリコン等の材料によって形成されたパネルを好適に使用することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
<実施例>
以下に示すベースポリマー(ブロック共重合体)、硬化モノマー(重合性モノマー)、及び重合開始剤を用いて接着剤組成物を調製し、当該接着剤組成物を用いて形成した接着層の薬品耐性及び洗浄性の評価、及び、動的複素弾性率の測定を行った。
〔接着剤組成物の調製、及び接着層の形成〕
〔実施例1〕
まず、実施例1の接着剤組成物として、80重量部のSepton2002(ベースポリマー:株式会社クラレ製、SEPS:スチレン−イソプレン−スチレンのトリブロック共重合体、スチレン含有量30%、分子量53,000)と、20重量部のトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(硬化モノマー:新中村化学株式会社製、「A−DCP(商品名)」)とをデカヒドロナフタレン280重量部に溶解することにより、接着剤組成物の主剤を調製した。次いで、硬化剤として、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート20重量部に対する配合量が、0.4重量部となるように、ジアルキルパーオキサイド(熱重合開始剤:日本油脂株式会社製、「パークミルD(商品名)」)を酢酸ブチル20重量部に溶解した。その後、上記主剤に上記硬化剤を配合することで接着剤組成物を調製した。
次いで、実施例1の接着剤組成物を、スピンコート法により、ガラス支持体(ガラス支持体、8インチ、厚さ700μm)に塗布し、90℃及び140℃のそれぞれにおいて5分間ずつベークすることにより接着層に含まれている溶剤を除去した。次いで、窒素ガス雰囲気下において、200℃、1時間の条件で、接着層を加熱することにより、硬化モノマーを重合させた。これにより、実施例1の接着層を形成した(膜厚5μm)。なお、同様の条件において、4枚のガラス支持体上に接着層を形成し、夫々を耐薬品性の評価及び洗浄性の評価に用いた。
(薬品耐性の評価)
薬品耐性の評価は、23℃、5分間の条件において、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びPGMEAの夫々に1枚ずつ接着層を形成したガラス支持体を浸漬し、その後、各薬品に対する積層体の重量変化及び外観変化に基づいて評価した。耐薬品性の評価は、重量及び外観に変化が見られない場合は「○」とし、重量変化又は外観変化(クラックの有無)が見られた場合は「×」と判定した。結果を表1に示す。
(洗浄性の評価)
実施例1の接着層を形成したガラス支持体を、1,000rpmの条件で回転させ、剥離液としてp−メンタンを供給することにより、当該ガラス支持体をスピン洗浄した。洗浄後のガラス支持体における残渣の有無を顕微鏡により確認した。なお、残渣があると、目視により、顕微鏡から出る高輝度の光により残渣部分が乱反射して白く見える。残渣が多く見られた場合には、洗浄性を「×」と評価し、残渣がほとんど見られなかった場合に、洗浄性を「△」と評価し、残渣が全く見られなかった場合に、洗浄性を「○」と評価した。結果を表1に示す。
〔実施例2〜32〕
実施例2〜32として、実施例1と異なる組成において、ベース樹脂、硬化モノマー、及び重合開始剤を配合し、これら接着剤組成物を用いて、接着層を形成した。その後、実施例1と同じ条件にて、薬品耐性、及び、洗浄性の評価を行った。実施例2〜32の組成の詳細、及び、各評価結果を表1〜4に示す。
〔比較例1、2〕
比較例1、2として、硬化モノマー及び、重合開始剤を含んでいない接着剤組成物を調製し、実施例1における200℃、1時間の条件で、接着層を加熱しないこと以外は、実施例1と同じ手順でガラス支持体上に接着層を形成した。また、実施例1と同じ条件にて、薬品耐性、及び、洗浄性の評価を行った。比較例1及び比較例2の組成の詳細、及び、各評価結果を、表5に示す。
なお、実施例2〜32、並びに、比較例1、2において使用したベースポリマー、硬化モノマー、及び開始剤は以下に示す通りである。
〔ベースポリマー〕
・以下の化学式(9)で示されるスチレン−イソプレン−スチレンのトリブロック共重合体:SEPS(クラレ社製、「Septon2002(商品名)」、スチレン含有量30%、分子量53000)
・以下の化学式(9)で示されるスチレン−イソプレン−スチレンのトリブロック共重合体:SEPS(クラレ社製、「Septon2004(商品名)」、スチレン含有量18%、分子量90000)
Figure 0006722001
〔硬化モノマー〕
・以下の化学式(10)で示されるトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学株式会社製、「A−DCP(商品名)」)
・以下の化学式(11)で示されるトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学株式会社製、「DCP(商品名)」)
Figure 0006722001
Figure 0006722001
〔開始剤〕
・ジアルキルパーオキサイド(1分間半減温度/175.2℃、1時間半減温度/135.7℃、理論活性酸素量/5.92%:日本油脂株式会社製、「パークミルD(商品名)」)
・パーオキシエステル(1分間半減温度/124.3℃、1時間半減温度/84.4℃、理論活性酸素量/5.87%:日本油脂株式会社製、「パーオクタO(商品名)」)
Figure 0006722001
Figure 0006722001
Figure 0006722001
Figure 0006722001
Figure 0006722001
(各評価結果)
表1〜5に示すように、実施例1〜32の接着層はいずれも、レジスト溶剤であるシクロペンタノン、シクロヘキサノン、及び、PGMEAに対する薬品耐性が良好であった(○)。これに対して、硬化モノマーを含まない比較例1及び2の接着層は、PGMEAに対する薬品耐性は良好であったものの、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンへの薬品耐性は低かった(×)。これらの結果から、実施例1〜32の接着層を形成したガラス支持体上において、フォトリソグラフィー処理を行い、配線層を形成することができることを確認することができた。
また、硬化モノマーの含有量が、15重量%以下である実施例2〜4、6〜8、10〜12、14〜16、18〜20、22〜24、26〜28及び30〜32は、薬品耐性のみならず、p−メンタンによる洗浄性にも優れていた(○)。よって、ベースポリマーの含有量を80重量%よりも多くし、硬化モノマーの含有量を20重量%よりも少なくすることによって、高い薬品耐性のみならず、高い洗浄性を備えた接着層を形成することができることを確認することができた。
<接着層の動的複素弾性率測定試験>
上述の実施例2、6の接着層剤組成物と、比較例1、2の接着剤組成物とについて、夫々によって形成される接着層における動的複素弾性率(E*)を測定した。
実施例2の接着剤組成物を、固形分濃度25%以上になるように調整し、6インチのSiウェハに対してスピンコートし、90℃及び140℃で各5分間ベークし、窒素雰囲気下、200℃で1時間処理して50μmの接着層(膜)を形成した。その膜を20mm(測定幅は10mmに合わせる)×5mmの大きさに切りとり試験片とした。動的複素弾性率(E*)は、動的粘弾性測定装置Rheologel−E4000(UBM株式会社製)を用いて、周波数1Hzの条件にて、5℃/分の昇温速度で、50℃から250℃まで温度を上昇させながら、測定した。結果を表9に示す。なお、実施例6、比較例1、及び比較例2の接着剤組成物を用いた接着層についても、実施例2の接着剤組成物と同じ条件にて、動的複素弾性率を測定した。測定結果を以下の表6に示す。
Figure 0006722001
表6に示すように、実施例2、6については、250℃という高温において高い動的複素弾性率を維持することができることを確認することができた。一方、比較例1、2の接着剤組成物を用いて形成した接着層は、200℃以上の高温において、サンプルの軟化が著しく、動的複素弾性率を正確に測定することができなかった。これにより、硬化モノマーを硬化させた接着層は、硬化モノマーを加えていない接着層と比較して、特に、200℃以上の高温環境において圧力を加えられても、歪みが生じることを防止することができることを確認することができた。
<接着層に含まれるベースポリマーの評価>
比較例2におけるベースポリマーであるS2004をシクロオレフィンポリマーに置き換えた比較例3の接着剤組成物、及び、実施例22におけるベースポリマーであるS2004を、シクロオレフィンポリマーに置き換えた比較例4の接着剤組成物を調製した。また、実施例22と同じ手順にて比較例4の接着層を形成し、比較例2と同じ手順にて比較例3の接着層を形成した。その後、実施例22及び比較例2〜4の接着層における動的複素弾性率(E*)の測定を行った。また、比較例2の接着剤組成物と、比較例3の接着剤組成物とについて、夫々によって形成される接着層における溶解速度を測定した。
比較例3及び4の接着剤組成物の組成を表7に示す。なお、比較例3及び4のベースポリマーとしては、以下の化学式(12)で示されるシクロオレフィンポリマー:三井化学株式会社製、「APL8008T(商品名)」(下記化学式(12)、Mw=100,000、Mw/Mn=2.1、m:n=80:20(モル比))を使用した。
Figure 0006722001
Figure 0006722001
(接着層の動的複素弾性率測定試験)
実施例22、比較例3及び比較例4の接着剤組成物を用いた接着層について、上述の比較例2の接着剤組成物と同じ条件にて、動的複素弾性率を測定した。測定結果を以下の表8に示す。
Figure 0006722001
表8に示すように、実施例22及び比較例4の接着層における動的複素弾性率を比較すると、50℃の条件では、比較例4の接着層の方がより高い動的複素弾性率を示しているが、より高い温度である150℃の条件では、実施例22の接着層の方が、より高い動的複素弾性率を示している。このことから、実施例22の接着層の方が、より高い温度条件においても、高い動的複素弾性率を維持できることを確認できた。なお、比較例2と比較例3とにおける接着層の動的複素弾性率を比較しても、ブロック共重合体を用いた比較例2の接着層の方が、より高い温度において、より高い動的複素弾性率を維持している。このため、接着剤組成物は、ベースポリマーとして、ブロック共重合体を用いる方が、高い温度領域において高い動的複素弾性率を維持することができることを確認することができた。
(溶解速度の測定)
比較例2及び3の接着剤組成物を実施例1と同様の条件でガラス支持体に塗布し、同様の条件でベークことにより、接着層を形成した(膜厚5μm)。接着剤層が形成された支持体を、25℃に保持したp−メンタンに浸漬させ、接着剤層が完全に溶解するまでの時間を測定した。この溶解時間(T(sec))と、予め測定しておいた接着剤層の厚さ(L(nm))とから溶解速度(L/T(nm/sec))を算出した。溶解速度の測定結果を表9に示す。
Figure 0006722001
表9に示すように、ブロック共重合体をベースポリマーとして使用した比較例2のほうが、シクロオレフィン系樹脂をベースポリマーとして使用した比較例3よりも溶解速度が速い結果となった。この結果から、シクロオレフィンポリマーよりもブロック共重合体をベースポリマーとして用いた接着層のほうがより迅速に洗浄により除去することができることは明らかである。
本発明は、特にファンアウト型技術による半導体装置の製造において好適に利用することができる。
1 支持体
3 接着層
4 配線層
5 素子
6 封止材
7、7' 封止体
8、8'、9、9' 積層体

Claims (14)

  1. 素子が実装される配線層と、上記素子と、上記素子を封止する封止材とを備えている封止体を、上記封止体を支持する支持体上に接着層を介して積層してなる積層体における、上記接着層を形成するための接着剤組成物であって、
    上記積層体において、上記支持体は光を透過する支持体であり、当該支持体と上記接着層との間に、光を吸収することにより変質する分離層を備えており、
    上記接着剤組成物は、
    ブロック共重合体と、
    重合性モノマーと、
    重合開始剤と、を含んでおり、
    上記ブロック共重合体は、両末端にスチレンブロックを有しているトリブロック共重合体の水添物であり、
    上記重合性モノマーは、炭化水素骨格を備えている(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする接着剤組成物。
  2. 上記ブロック共重合体と上記重合性モノマーとの合計量に対する上記重合性モノマーの量が、1重量%以上、50重量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項に記載の接着剤組成物。
  3. 上記ブロック共重合体のスチレンブロックの含有量は、10重量%以上、65重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着剤組成物。
  4. 上記ブロック共重合体の重量平均分子量は、50,000以上、150,000以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  5. 上記(メタ)アクリル酸エステルは、多官能の(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  6. 上記重合開始剤は、熱重合開始剤又は光重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  7. 素子が実装される配線層と、上記素子と、上記素子を封止する封止材とを備えている封止体を、上記封止体を支持する支持体上に接着層を介して積層してなる積層体であって、
    上記積層体において、上記支持体は光を透過する支持体であり、当該支持体と上記接着層との間に、光を吸収することにより変質する分離層を備えており、
    上記接着層は、
    ブロック共重合体と、
    重合性モノマーの重合体と、
    重合開始剤と、を含んでおり、
    上記ブロック共重合体は、両末端にスチレンブロックを有しているトリブロック共重合体の水添物であり、
    上記重合性モノマーは、炭化水素骨格を備えている(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする積層体。
  8. 上記ブロック共重合体と上記重合性モノマーの重合体との合計量に対する上記重合性モノマーの重合体の量が、1重量%以上、50重量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項に記載の積層体。
  9. 上記ブロック共重合体のスチレンブロックの含有量は、10重量%以上、65重量%以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の積層体。
  10. 上記ブロック共重合体の重量平均分子量は、50,000以上、150,000以下であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 上記(メタ)アクリル酸エステルの重合体は、多官能の(メタ)アクリル酸エステルの重合体であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 素子が実装される配線層と、上記素子と、上記素子を封止する封止材とを備えている封止体を、上記封止体を支持する支持体上に接着層を介して積層してなる積層体の製造方法であって、
    上記積層体において、上記支持体は光を透過する支持体であり、当該支持体と上記接着層との間に、光を吸収することにより変質する分離層が形成されており、
    上記分離層上に、請求項1〜のいずれか1項に記載の接着剤組成物を塗布することにより上記接着層を形成する接着層形成工程と、を包含していることを特徴とする積層体の製造方法。
  13. 素子が実装される配線層と、上記素子と、上記素子を封止する封止材とを備えている封止体を、上記封止体を支持する支持体上に接着層を介して積層してなる積層体の製造方法であって、
    上記積層体において、上記支持体は光を透過する支持体であり、当該支持体と上記接着層との間には、光を吸収することにより変質する分離層が形成されており、
    上記分離層上に、請求項に記載の接着剤組成物を塗布し、加熱又は露光することにより上記接着層を形成する接着層形成工程を包含していることを特徴とする積層体の製造方法。
  14. 請求項12又は13に記載の積層体の製造方法により、積層体を製造する積層体製造工程を包含しており、
    積層体製造工程後、上記支持体を介して上記分離層に光を照射することにより、上記分離層を変質させ、積層体から上記支持体を分離する分離工程と、
    上記封止体側に残留する接着層を、炭化水素系溶剤により除去する洗浄工程と、を包含していることを特徴とする封止体の製造方法。
JP2016041585A 2016-03-03 2016-03-03 接着剤組成物、積層体、及び、積層体の製造方法 Active JP6722001B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016041585A JP6722001B2 (ja) 2016-03-03 2016-03-03 接着剤組成物、積層体、及び、積層体の製造方法
TW106102973A TWI713684B (zh) 2016-03-03 2017-01-25 接著劑組成物、層合體及層合體之製造方法
KR1020170027355A KR102254781B1 (ko) 2016-03-03 2017-03-02 접착제 조성물, 적층체 및 적층체의 제조 방법

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016041585A JP6722001B2 (ja) 2016-03-03 2016-03-03 接着剤組成物、積層体、及び、積層体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017155170A JP2017155170A (ja) 2017-09-07
JP6722001B2 true JP6722001B2 (ja) 2020-07-15

Family

ID=59808226

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016041585A Active JP6722001B2 (ja) 2016-03-03 2016-03-03 接着剤組成物、積層体、及び、積層体の製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6722001B2 (ja)
KR (1) KR102254781B1 (ja)
TW (1) TWI713684B (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7033915B2 (ja) * 2017-12-28 2022-03-11 東京応化工業株式会社 接着剤組成物、積層体及びその製造方法、並びに電子部品の製造方法
JP6832462B1 (ja) * 2019-12-27 2021-02-24 東京応化工業株式会社 接着剤組成物、積層体、積層体の製造方法、及び電子部品の製造方法
CN113948685B (zh) * 2021-09-09 2023-11-28 广州理文科技有限公司 一种锂离子电池硅基复合负极材料及其制备方法
CN114228166B (zh) * 2021-10-26 2024-02-02 深圳市优凯特粘胶制品有限公司 一种遮光扩散复合膜制备工艺
CN114605945B (zh) * 2022-04-11 2023-09-26 惠州瑞德新材料科技股份有限公司 一种耐高温电子元器件用胶及其制备方法

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4133731A (en) * 1978-03-03 1979-01-09 Shell Oil Company Radiation cured, high temperature adhesive composition
JP4410366B2 (ja) * 2000-01-27 2010-02-03 電気化学工業株式会社 カバーテープ
JP2003137914A (ja) * 2001-11-01 2003-05-14 Hitachi Chem Co Ltd アクリル樹脂組成物及び半導体用接着剤
JP4565804B2 (ja) 2002-06-03 2010-10-20 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 被研削基材を含む積層体、その製造方法並びに積層体を用いた極薄基材の製造方法及びそのための装置
JP5016296B2 (ja) * 2006-11-22 2012-09-05 東京応化工業株式会社 接着剤組成物、及び接着フィルム
JP2010077384A (ja) * 2008-03-24 2010-04-08 Aica Kogyo Co Ltd 硬化性組成物、及びフィルム積層体
JP2010053347A (ja) 2008-07-31 2010-03-11 Jsr Corp 光拡散性粘着剤組成物、光拡散性粘着シート及びその製造方法
JP5049366B2 (ja) 2010-03-29 2012-10-17 富士フイルム株式会社 レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版
JP5680128B2 (ja) * 2012-04-13 2015-03-04 東京応化工業株式会社 接着剤組成物、接着フィルム、及び貼付方法
JP6022878B2 (ja) * 2012-09-28 2016-11-09 東京応化工業株式会社 積層体の製造方法、および分離層形成装置
JP6216575B2 (ja) * 2012-10-25 2017-10-18 東京応化工業株式会社 接着剤組成物及び接着フィルム
JP6244088B2 (ja) 2012-11-29 2017-12-06 東京応化工業株式会社 接着剤組成物、接着フィルムおよび積層体
JP6318144B2 (ja) * 2013-03-27 2018-04-25 株式会社クラレ 積層体、保護フィルム及び積層体の製造方法
JP6381994B2 (ja) * 2014-06-27 2018-08-29 東京応化工業株式会社 剥離用組成物及び剥離方法
JP6371615B2 (ja) * 2014-07-11 2018-08-08 綜研化学株式会社 粘着剤組成物、粘着シート、積層体、画像表示装置及び入出力装置

Also Published As

Publication number Publication date
KR20170103686A (ko) 2017-09-13
TW201800538A (zh) 2018-01-01
TWI713684B (zh) 2020-12-21
KR102254781B1 (ko) 2021-05-21
JP2017155170A (ja) 2017-09-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6722001B2 (ja) 接着剤組成物、積層体、及び、積層体の製造方法
JP6842878B2 (ja) 接着剤組成物、及びその利用
JP6034796B2 (ja) ウエハと当該ウエハの支持体とを接着するための接着剤組成物、及びその利用
TWI607877B (zh) 支持體分離方法
TWI669214B (zh) 層合體之製造方法、密封基板層合體之製造方法、密封基板層合體及密封基板
TWI720004B (zh) 支撐體分離方法
JP6612683B2 (ja) 積層体の製造方法、及びその利用
TWI611931B (zh) 層合體之製造方法、基板之處理方法及層合體
TW201410476A (zh) 層合體
JP6691816B2 (ja) 封止体の製造方法
TWI591148B (zh) Laminates and methods for producing laminates
JP2020107754A (ja) 電子部品の製造方法、及びキット
TW201936850A (zh) 接著劑組成物、層合體及其製造方法,以及電子零件之製造方法
JP6715142B2 (ja) 接着剤組成物、及びその利用
JP6971139B2 (ja) 接着剤組成物、接着層付き支持体、接着フィルム、積層体及びその製造方法、並びに電子部品の製造方法
TWI636884B (zh) 處理方法
JP7004566B2 (ja) 積層体及びその製造方法、並びに電子部品の製造方法
JP7374719B2 (ja) 接着剤組成物、積層体及びその製造方法、並びに電子部品の製造方法
TW201919859A (zh) 層積體之製造方法、電子裝置之製造方法、層積體、以及層積體製造系統
TWI841608B (zh) 電子零件之製造方法,及套組
TWI628707B (zh) 處理方法
KR20180121342A (ko) 접착제 조성물, 접착층이 형성된 지지체, 접착 필름, 적층체 및 그 제조 방법, 그리고 전자 부품의 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190924

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191008

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200421

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200525

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200616

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200619

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6722001

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150