JP7033915B2 - 接着剤組成物、積層体及びその製造方法、並びに電子部品の製造方法 - Google Patents
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Description
半導体パッケージの技術としては、ファンイン型技術、ファンアウト型技術が挙げられる。ファンイン型技術による半導体パッケージとしては、ベアチップ端部にある端子をチップエリア内に再配置する、ファンイン型WLP(Fan-in Wafer Level Package)等が知られている。ファンアウト型技術による半導体パッケージとしては、該端子をチップエリア外に再配置する、ファンアウト型WLP(Fan-out Wafer Level Package)等が知られている。
特許文献1には、シクロオレフィン構造を有するポリマーと、当該ポリマーに相溶する(メタ)アクリレートモノマーと、を含有する接着剤組成物が開示されている。
特許文献1に記載の接着剤により基板と支持体とが貼り合わされている場合、前記の高温処理の影響によって、例えば封止操作の前後で基板の位置ずれを生じる等の問題があった。また、前記の高温処理の際に、封止材が含有する樹脂中の水分等が気化してガスを発生し、封止材層と支持体との間にボイドが生じて、支持体が剥がれやすくなる等の問題の発生が懸念される。また、前記の薬液処理の影響によって、基板と支持体との接着性が低下する等の問題も懸念される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性及び耐薬品性がより高められて、高温処理及び薬液処理の影響を受けにくい接着層を形成できる接着剤組成物、積層体及びその製造方法、並びに電子部品の製造方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の第1の態様は、下記一般式(u1-1)で表される構成単位(u1)を有するエラストマーを含有することを特徴とする、接着剤組成物である。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明の第1の態様に係る接着剤組成物は、一般式(u1-1)で表される構成単位(u1)を有するエラストマーを含有する。
本実施形態の接着剤組成物は、樹脂成分(P)(以下「(P)成分」ともいう。)を含有する。この(P)成分は、少なくとも、前記構成単位(u1)を有するエラストマー(以下「(EP1)成分」ともいう。)を含む。
(P)成分は、前記(EP1)成分に加えて、これ以外の樹脂を含んでもよい。尚、本実施形態における(P)成分は、樹脂の他、接着層を構成するマトリックスとなり得るモノマー、例えば後述する硬化性モノマーを包含するものとする。
本実施形態において、(EP1)成分は、下記一般式(u1-1)で表される構成単位(u1)を有する。
一般式(u1-1)で表される構成単位(u1)は、ベンゼン環に、少なくとも1つのR01(脂環式基を含む基)が結合している。
構成単位(u1)を有するエラストマーを含有することで、形成する接着層の複素弾性率E*及びガラス転移温度(Tg)が高くなり、耐熱性及び耐薬品性がより高められる。
Rα1における炭素数1~5のアルキル基は、炭素数1~5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。中でも、Rα1は、メチル基又は水素原子が好ましく、水素原子がより好ましい。
R01における脂環式基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。
単環式の脂環式基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式の脂環式基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7~30のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋炭素環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンが挙げられる。すなわち、多環式の脂環式基としては、架橋炭素環式基、縮合環式基が挙げられる。
R02におけるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
R02におけるアルキル基は、炭素数1~8であり、炭素数1~5が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
R02におけるアリール基は、炭素数6~12であり、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
Rにおけるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
Rにおけるアルキル基は、炭素数1~8であり、炭素数1~5が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
mは、1~5の自然数であり、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
n1は、0以上の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
(EP1)成分中の構成単位(u1)の割合は、(EP1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、1~40モル%が好ましく、5~35モル%がより好ましく、10~30モル%がさらに好ましい。
構成単位(u1)の割合が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、耐熱性及び耐薬品性がより高められやすくなり、一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
(EP1)成分は、前記構成単位(u1)以外の構成単位を有してもよい。
(EP1)成分としては、例えば接着層への柔軟性の付与の点から、前記構成単位(u1)に加えて、さらに、一般式(u2-1)で表される構成単位(u2)を有するエラストマーが好適に挙げられる。
構成単位(u2)は、下記一般式(u2-1)で表される構成単位である。
(EP1)成分中の構成単位(u2)の割合は、(EP1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、1~50モル%が好ましく、5~40モル%がより好ましく、10~40モル%がさらに好ましい。
構成単位(u2)の割合が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、接着層への柔軟性が高められやすくなり、一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
かかるモル比が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、耐熱性及び耐薬品性がより高められやすくなり、一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、接着層への柔軟性が高められやすくなる。
「オレフィン系モノマー」とは、分子内に炭素原子間(C-C間)の二重結合を1つ以上もつ脂肪族炭化水素をいう。
「オレフィン系モノマーから誘導される構成単位」とは、オレフィン系モノマーのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1,3-ブタジエン等が好ましい。
(EP1)成分が有する、オレフィン系モノマーから誘導される構成単位は、1種でもよく、2種以上でもよい。
前記(EP1)成分中の、オレフィン系モノマーから誘導される構成単位の割合は、(EP1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、10~90モル%が好ましく、20~90モル%がより好ましく、30~90モル%がさらに好ましい。
かかる(EP1)成分として具体的には、構成単位(u1)と、構成単位(u2)と、エチレンから誘導される構成単位と、プロピレンから誘導される構成単位と、を有する共重合体;構成単位(u1)と、構成単位(u2)と、1,3-ブタジエンから誘導される構成単位と、1-ブテンから誘導される構成単位と、を有する共重合体などが好適に挙げられる。
(EP1)成分のMwが、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、溶剤への溶解性がより向上し、一方、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、接着層としての強度が保たれ維持されやすくなる。
(EP1)成分の分子量分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0~3.0が好ましく、1.0~2.5がより好ましく、1.0~2.0が特に好ましい。尚、Mnは数平均分子量を示す。
(P)成分に占める、(EP1)成分の含有割合は、(P)成分の総量(100質量%)に対して、20質量%以上が好ましく、20~100質量%がより好ましく、25~100質量%がさらに好ましく、50~100質量%が特に好ましい。(EP1)成分の含有割合が、前記の好ましい範囲内であれば、耐熱性及び耐薬品性がより高められやすくなる。
本実施形態における(P)成分が含んでもよい、前記(EP1)成分以外の樹脂としては、例えば、構成単位(u1)を有しないエラストマー(以下これを「(EP2)成分」ともいう。)、シクロオレフィンポリマー、アクリル樹脂、接着層を構成するマトリックスとなり得る硬化性モノマー等が挙げられる。
構成単位(u1)を有しないエラストマー((EP2)成分)は、例えば、主鎖の構成単位として、スチレンから誘導される構成単位、又はスチレン誘導体から誘導される構成単位(これらをまとめて「スチレン単位」という。)を有する重合体が好適に挙げられる。
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素数1~5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、「上記α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部又は全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
スチレンのベンゼン環に結合してもよい置換基としては、例えば、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のアルコキシアルキル基、アセトキシ基、カルボキシ基等が挙げられる。
尚、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
スチレン単位の割合が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、支持体と基板との貼合性又は研削性を低下させることなく、薄化、実装等のプロセスに供することが容易となる。前記の好ましい範囲の上限値以下であると、接着剤組成物が形成する接着層の耐薬品性を好適に維持することができる。
(EP2)成分の重量平均分子量が、前記の好ましい範囲内であれば、炭化水素系の溶剤に容易に溶解して除去される接着層を形成できる接着剤組成物が得られやすくなる。また、(EP2)成分の重量平均分子量が、前記の好ましい範囲内であることにより、接着剤組成物が形成する接着層の耐薬品性が高められる。
前記(EP2)成分として用いることが可能なエラストマーの市販品としては、例えば、株式会社クラレ製の「セプトン(商品名)」、株式会社クラレ製の「ハイブラー(商品名)」、旭化成株式会社製の「タフテック(商品名)」、JSR株式会社製の「ダイナロン(商品名)」等が挙げられる。
かかる質量比が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、耐熱性及び耐薬品性がより高められやすくなり、一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、接着層の柔軟性が高められて接着性がより向上する。
また、エラストマーの中でも、主鎖の両端がスチレンとされたブロック重合体であるものがより好ましい。熱安定性の高いスチレンで両末端がブロックされていることで、より高い耐熱性を得られやすい。
より具体的には、エラストマーは、スチレンと共役ジエンとのブロックコポリマーの水添物であることがより好ましい。これにより、熱に対する安定性が一層向上し、分解や重合等の変質が起こりにくい。また、熱安定性の高いスチレンで両末端がブロックされていることでより高い耐熱性を示す。さらに、炭化水素系の溶剤への溶解性及び溶剤への耐性の観点からもより好ましい。
シクロオレフィンポリマーとしては、例えば、シクロオレフィンモノマーを含む単量体成分の開環重合体、シクロオレフィンモノマーを含む単量体成分を付加重合させた付加重合体が好適に挙げられる。
かかる共重合可能なモノマーとしては、例えば、アルケンモノマーが好適に挙げられる。このアルケンモノマーは、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいし、炭素数2~10のアルケンモノマーが挙げられ、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、1-ヘキセン等のα-オレフィンが好ましく、これらの中でも、エチレンを単量体単位とすることがより好ましい。
単量体成分を重合するときの重合方法や重合条件等については、特に制限はなく、常法に従って適宜設定すればよい。
シクロオレフィンポリマーの重量平均分子量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、当該ポリマーの軟化温度を、支持体と基板との貼り合わせに適した温度に制御しやすくなる。前記の好ましい範囲の上限値以下であると、炭化水素系の溶剤に容易に溶解して除去される接着層を形成できる接着剤組成物が得られやすくなる。
前記シクロオレフィンポリマーとして用いることが可能な市販品としては、例えば、ポリプラスチックス株式会社製の「TOPAS(商品名)」、三井化学株式会社製の「APEL(商品名)」、日本ゼオン株式会社製の「ZEONOR(商品名)」、日本ゼオン株式会社製の「ZEONEX(商品名)」、JSR株式会社製の「ARTON(商品名)」等が挙げられる。
本実施形態において、(P)成分は、前記(EP1)成分に加えて、アクリル樹脂を含んでもよい。(P)成分がアクリル樹脂を含むことにより、支持体と基板との接着性をより向上させることができる。
アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを単量体として用いて重合した樹脂(単独重合体、共重合体)が挙げられる。
「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルの少なくとも一方を意味する。
ここでいう炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2-エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基(ステアリル基)、n-ノナデシル基、n-エイコシル基等であり、炭素数15~20のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステルが好ましい。
この中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステルと、を重合した樹脂がより好ましい。
かかる重合可能な単量体としては、例えばスチレン、スチレン誘導体、マレイミド基を含有するモノマー等が挙げられる。ここでのスチレン誘導体は、上記「スチレン誘導体」と同様である。ここでのマレイミド基を含有するモノマーは、上記構成単位(u21)を誘導する単量体と同様のものが挙げられる。
この中でも、アクリル樹脂としては、鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステルと、スチレンと、を重合した樹脂が特に好ましい。
アクリル樹脂の重量平均分子量が前記の好ましい範囲内であることによって、例えば基板と支持体との貼り合わせに適した熱流動性を有する接着剤組成物を容易に提供することができる。
(P)成分が含んでもよいアクリル樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
本実施形態において、(P)成分は、前記の(P1)成分に加えて、硬化性モノマーを含んでもよい。(P)成分が硬化性モノマーを含むことにより、接着層の耐熱性をより向上させることができる。
硬化性モノマーは、ラジカル重合により高分子化するモノマーであることが好ましく、典型的には、多官能型の硬化性モノマーが挙げられ、多官能型の(メタ)アクリレートモノマーが特に好ましい。
硬化性モノマーは、環状構造を含むものが好ましく、多環式脂肪族構造を含むものがより好ましい。硬化性モノマーが、好ましくは環状構造、より好ましくは多環式脂肪族構造を含んでいることで、シクロオレフィンポリマーとの相溶性をより高めることができる。また、シクロオレフィンポリマーと併用した硬化性モノマーを重合させることによって、接着層の耐熱性をさらに高めることができる。
本実施形態の接着剤組成物は、上述した(P)成分以外の成分(任意成分)をさらに含有してもよい。
かかる任意成分としては、例えば、以下に示す溶剤成分、重合禁止剤、重合開始剤、可塑剤、接着補助剤、安定剤、着色剤、界面活性剤等が挙げられる。
本実施形態の接着剤組成物は、溶剤成分に、(P)成分と必要に応じて任意成分とを溶解して調製することができる。
溶剤成分には、例えば、接着剤組成物用の各成分を溶解し、均一な溶液にすることができるものを用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、炭化水素溶剤及び石油系溶剤を、以下まとめて「(S1)成分」ともいう。(S1)成分以外の溶剤成分を「(S2)成分」ということがある。
すなわち、本実施形態の接着剤組成物は、固形分(溶剤成分を除いた配合成分の合計量)濃度が10~80質量%の範囲内であることが好ましい。
溶剤成分の含有量が前記の好ましい範囲内であれば、粘度調整が容易となる。
本実施形態の接着剤組成物は、さらに、重合禁止剤を含有してもよい。
重合禁止剤は、熱や光によるラジカル重合反応を防止する機能を有する成分をいう。
重合禁止剤としては、フェノール骨格を有するものが好ましい。例えば、かかる重合禁止剤には、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤を用いることが可能である。
本実施形態の接着剤組成物は、さらに、重合開始剤を含有していてもよい。
重合開始剤は、上述した硬化性モノマーの重合反応を促進させる機能を有する成分をいう。重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤、光重合開始剤等が挙げられる。
重合開始剤は、硬化性モノマーと組み合わせて用いることが好適である。この重合開始剤の使用量は、硬化性モノマーの使用量に応じて調整するとよい。
当該試験片のTgが、前記の好ましい範囲の下限値以上であれば、より耐熱性が高められた接着層を容易に形成でき、一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、接着層の柔軟性が維持されやすくなる。
当該試験片の複素弾性率E*150が、前記の好ましい範囲の下限値以上であれば、より耐熱性が高められた接着層を容易に形成でき、一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、接着層の柔軟性が維持されやすくなる。
当該試験片の複素弾性率E*50が、前記の好ましい範囲の下限値以上であれば、より耐熱性が高められた接着層を容易に形成でき、一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、接着層の柔軟性が維持されやすくなる。
当該比(E*50/E*150)が、前記の好ましい範囲の下限値以上であれば、より耐熱性が高められた接着層を容易に形成でき、一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、接着層の柔軟性が維持されやすくなる。
さらに、本実施形態の接着剤組成物によって形成される接着層は、前記の高温処理の際に、封止材が含有する樹脂から発生するガスを通しにくく、デバイス層からのガス放出が抑制される。
本発明の第2の態様に係る積層体は、支持体、接着層及びデバイス層がこの順に積層したものである。
図1に示す積層体100は、支持基体1と分離層2とが積層した支持体12と、接着層3と、基板4及び封止材層5からなるデバイス層45と、を備えている。積層体100において、支持体12、接着層3及びデバイス層45が、この順に積層している。
尚、図1の例では、支持体12は、支持基体1および分離層2からなるが、これに限定されず、支持基体のみから支持体を構成してもよい。
図2に示す積層体200は、デバイス層が、基板4、封止材層5及び配線層6からなるデバイス層456である以外は、積層体100と同様の構成である。
図3に示す積層体300は、デバイス層が配線層6からなる以外は、積層体100と同様の構成である。
図4に示す積層体400は、デバイス層が、配線層6、基板4及び封止材層5からなるデバイス層645である以外は、積層体100と同様の構成である。
積層体100、積層体200、積層体300及び積層体400における各接着層3は、上述した第1の態様に係る接着剤組成物の乾燥体である。
接着層3の厚さは、例えば1μm以上、200μm以下の範囲内であることが好ましく、5μm以上、150μm以下の範囲内であることがより好ましい。
支持体は、基板を支持する部材であり、接着層を介して支持体上に基板が固定される。図1及び図2の例では、支持体12は、支持基体1と、支持基体1上に設けられた分離層2と、を備えている。なお、分離層2を設けない場合には、支持基体1が支持体となる。
支持基体は、光を透過する特性を有し、基板を支持する部材である。図1及び図2のように分離層を設ける場合、支持基体は、分離層及び接着層を介して基板に貼り合わされる。分離層を設けない場合には、支持基体は、接着層を介して基板に貼り合される。そのため、支持基体としては、デバイスの薄化、基板の搬送、基板への実装等の際に、基板の破損又は変形を防ぐために必要な強度を有していることが好ましい。また、支持基体は、分離層を変質させることができる波長の光を透過するものが好ましい。
支持基体の材料としては、例えば、ガラス、シリコン、アクリル系樹脂等が用いられる。支持基体の形状としては、例えば矩形、円形等が挙げられるが、これに限定されない。
また、支持基体としては、さらなる高密度集積化や生産効率の向上のために、円形である支持基体のサイズを大型化したもの、平面視における形状が四角形である大型パネルを用いることもできる。
分離層は、接着層に隣接し、光の照射により変質して、支持体に貼り合わされる基板から支持基体を分離可能とする層である。
この分離層は、後述の分離層形成用組成物を用いて形成することができ、例えば、分離層形成用組成物が含有する成分を焼成することにより、又は化学気相堆積(CVD)法により形成される。この分離層は、支持基体を透過して照射される光を吸収することによって好適に変質する。
分離層が「変質する」とは、分離層が外力を受けて破壊され得る状態、又は分離層と接する層との接着力が低下した状態になる現象をいう。分離層は、光を吸収することによって脆くなり、光の照射を受ける前の強度又は接着性を失う。かかる分離層の変質は、吸収した光のエネルギーによる分解、立体配置の変化又は官能基の解離等を生じることで起こる。
分離層は、光を吸収する材料のみから形成されていることが好ましいが、本発明における本質的な特性を損なわない範囲で、光を吸収する構造を有していない材料が配合された層であってもよい。
分離層を形成するための材料である分離層形成用組成物は、例えば、フルオロカーボン、光吸収性を有している構造を含む繰り返し単位を有する重合体、無機物、赤外線吸収性の構造を有する化合物、赤外線吸収物質、反応性ポリシルセスキオキサン、又はフェノール骨格を有する樹脂成分を含有するものが挙げられる。
また、分離層形成用組成物は、任意成分としてフィラー、可塑剤、熱酸発生剤成分、光酸発生剤成分、有機溶剤成分、界面活性剤、増感剤、又は支持基体の分離性を向上し得る成分等を含有してもよい。
分離層は、フルオロカーボンを含有していてもよい。フルオロカーボンによって構成される分離層は、光を吸収することで変質するようになっており、その結果、光の照射を受ける前の強度又は接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、支持体を持ち上げる等)ことによって、分離層が破壊されて、支持体と、基板又は配線層とを分離し易くすることができる。分離層を構成するフルオロカーボンは、プラズマCVD法によって好適に成膜することができる。
フルオロカーボンは、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。分離層に用いたフルオロカーボンが吸収する範囲の波長の光を分離層に照射することにより、フルオロカーボンを好適に変質させ得る。分離層における光の吸収率は、80%以上であることが好ましい。
分離層は、光吸収性を有している構造を含む繰り返し単位を有する重合体を含有していてもよい。該重合体は、光の照射を受けて変質する。
光吸収性を有している構造は、例えば、置換若しくは非置換のベンゼン環、縮合環又は複素環からなる共役π電子系を含む原子団が挙げられる。光吸収性を有している構造は、より具体的には、カルド構造、又は該重合体の側鎖に存在するベンゾフェノン構造、ジフェニルスルフォキシド構造、ジフェニルスルホン構造(ビスフェニルスルホン構造)、ジフェニル構造若しくはジフェニルアミン構造が挙げられる。
上記の光吸収性を有している構造は、その種類に応じて、所望の範囲の波長を有している光を吸収することができる。例えば、上記の光吸収性を有している構造が吸収可能な光の波長は、100~2000nmの範囲内であることが好ましく、100~500nmの範囲内であることがより好ましい。
分離層は、無機物からなるものであってもよい。この無機物は、光を吸収することによって変質するものであればよく、例えば、金属、金属化合物及びカーボンからなる群より選択される1種類以上が好適に挙げられる。金属化合物とは、金属原子を含む化合物であり、例えば金属酸化物、金属窒化物が挙げられる。
このような無機物としては、金、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、チタン、クロム、SiO2、SiN、Si3N4、TiN、及びカーボンからなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
尚、カーボンとは、炭素の同素体も含まれ得る概念であり、例えばダイヤモンド、フラーレン、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノチューブ等を包含する。
上記無機物は、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。
無機物からなる分離層は、例えばスパッタ、化学蒸着(CVD)、メッキ、プラズマCVD、スピンコート等の公知の技術により、支持基体上に形成され得る。
分離層は、赤外線吸収性の構造を有する化合物を含有していてもよい。この、赤外線吸収性の構造を有する化合物は、赤外線を吸収することにより変質する。
赤外線吸収性を有している構造、又はこの構造を有する化合物としては、例えば、アルカン、アルケン(ビニル、トランス、シス、ビニリデン、三置換、四置換、共役、クムレン、環式)、アルキン(一置換、二置換)、単環式芳香族(ベンゼン、一置換、二置換、三置換)、アルコールもしくはフェノール類(自由OH、分子内水素結合、分子間水素結合、飽和第二級、飽和第三級、不飽和第二級、不飽和第三級)、アセタール、ケタール、脂肪族エーテル、芳香族エーテル、ビニルエーテル、オキシラン環エーテル、過酸化物エーテル、ケトン、ジアルキルカルボニル、芳香族カルボニル、1,3-ジケトンのエノール、o-ヒドロキシアリールケトン、ジアルキルアルデヒド、芳香族アルデヒド、カルボン酸(二量体、カルボン酸アニオン)、ギ酸エステル、酢酸エステル、共役エステル、非共役エステル、芳香族エステル、ラクトン(β-、γ-、δ-)、脂肪族酸塩化物、芳香族酸塩化物、酸無水物(共役、非共役、環式、非環式)、第一級アミド、第二級アミド、ラクタム、第一級アミン(脂肪族、芳香族)、第二級アミン(脂肪族、芳香族)、第三級アミン(脂肪族、芳香族)、第一級アミン塩、第二級アミン塩、第三級アミン塩、アンモニウムイオン、脂肪族ニトリル、芳香族ニトリル、カルボジイミド、脂肪族イソニトリル、芳香族イソニトリル、イソシアン酸エステル、チオシアン酸エステル、脂肪族イソチオシアン酸エステル、芳香族イソチオシアン酸エステル、脂肪族ニトロ化合物、芳香族ニトロ化合物、ニトロアミン、ニトロソアミン、硝酸エステル、亜硝酸エステル、ニトロソ結合(脂肪族、芳香族、単量体、二量体)、メルカプタンもしくはチオフェノールもしくはチオール酸等の硫黄化合物、チオカルボニル基、スルホキシド、スルホン、塩化スルホニル、第一級スルホンアミド、第二級スルホンアミド、硫酸エステル、炭素-ハロゲン結合、Si-A1結合(A1は、H、C、O又はハロゲン)、P-A2結合(A2は、H、C又はO)又はTi-O結合が挙げられる。
これらの中でも、Ti-O結合を含む化合物としては、ジ-n-ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン(Ti(OC4H9)2[OC2H4N(C2H4OH)2]2)が好ましい。
さらに、上記構造がSi-O結合、Si-C結合又はTi-O結合である場合には、9~11μmの範囲内が好ましい。
分離層は、赤外線吸収物質を含有していてもよい。この赤外線吸収物質は、光を吸収することによって変質するものであればよく、例えば、カーボンブラック、鉄粒子、又はアルミニウム粒子を好適に用いることができる。
赤外線吸収物質は、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。分離層に用いた赤外線吸収物質が吸収する範囲の波長の光を分離層に照射することにより、赤外線吸収物質を好適に変質させ得る。
分離層は、反応性ポリシルセスキオキサンを重合させることにより形成することができる。これにより形成される分離層は、高い耐薬品性と高い耐熱性とを備えている。
反応性ポリシルセスキオキサンのシロキサン含有量が、前記の好ましい範囲内であれば、赤外線(好ましくは遠赤外線、より好ましくは波長9~11μmの光)を照射することによって好適に変質させることができる分離層を形成することができる。
反応性ポリシルセスキオキサンの重量平均分子量(Mw)が、前記の好ましい範囲内であれば、溶剤に好適に溶解させることができ、サポートプレート上に好適に塗布することができる。
分離層は、フェノール骨格を有する樹脂成分を含有していてもよい。フェノール骨格を有することで、加熱等により容易に変質(酸化等)して光反応性が高まる。
ここでいう「フェノール骨格を有する」とは、ヒドロキシベンゼン構造を含んでいることを意味する。
フェノール骨格を有する樹脂成分は、膜形成能を有し、好ましくは分子量が1000以上である。当該樹脂成分の分子量が1000以上であることにより、膜形成能が向上する。当該樹脂成分の分子量は、1000~30000がより好ましく、1500~20000がさらに好ましく、2000~15000が特に好ましい。当該樹脂成分の分子量が、前記の好ましい範囲の上限値以下であることにより、分離層形成用組成物の溶媒に対する溶解性が高められる。
尚、樹脂成分の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を用いるものとする。
デバイス層は、金属又は半導体により構成される部材と、前記部材を封止又は絶縁する樹脂と、の複合体である。具体的には、デバイス層は、封止材層及び配線層の少なくとも一方を含み、さらに基板を含むことができる。
図1に示す積層体100では、デバイス層45は、基板4及び封止剤層5により構成されている。図2に示す積層体200では、デバイス層456は、基板4と封止材層5、及び配線層6により構成されている。図3に示す積層体300では、デバイス層は配線層6により構成されている。図4に示す積層体400では、デバイス層645は、配線層6、基板4及び封止材層5により構成されている。
基板(ベアチップ)は、支持体に支持された状態で、薄化、実装等のプロセスに供される。基板には、例えば集積回路や金属バンプ等の構造物が実装される。
基板としては、典型的には、シリコンウェーハ基板が用いられるが、これに限定されず、セラミックス基板、薄いフィルム基板、フレキシブル基板等を用いてもよい。
封止材層は、基板を封止するために設けられるものであり、封止材を用いて形成される。封止材には、金属又は半導体により構成される部材を、絶縁又は封止の可能な部材が用いられる。
本実施形態において、封止材としては、樹脂を含む樹脂組成物が用いられる。封止材に用いられる樹脂は、金属又は半導体を、封止及び/又は絶縁の可能なものであれば、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド等が挙げられる。
封止材は、樹脂のほか、フィラー等の他の成分を含んでいてもよい。フィラーとしては、例えば、球状シリカ粒子等が挙げられる。
電子部品製造プロセス中の熱処理工程で、このように水蒸気が発生すると、接着層中のボイドの原因となる。本実施形態の積層体では、接着層の材料として、構成単位(u1)を有するエラストマーを含有する接着剤組成物が用いられている。これにより、接着層の弾性率が高められ、より硬い膜が形成される。そのため、デバイス層と支持体との間におけるボイドの発生が抑制される。
配線層は、RDL(Redistribution Layer:再配線層)とも呼ばれ、基板に接続する配線を構成する薄膜の配線体であり、単層又は複数層の構造を有し得る。配線層は、パターン化された樹脂材料(感光性を有するポリイミドや、感光性を有するアクリル樹脂等)の間に導電体(例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、金及び銀等の金属並びに銀-錫合金等の合金)によって配線が形成されたものであり得るが、これに限定されない。
本発明の第3の態様は、支持体、接着層及びデバイス層がこの順に積層した積層体の製造方法であり、接着層形成工程と、デバイス層形成工程と、を有する。前記積層体の製造方法は、さらに、分離層形成工程を含んでいてもよい。デバイス層形成工程は、基板固定工程、封止工程、研削工程及び配線層形成工程のいずれかを含むことができる。
第1実施形態に係る積層体の製造方法は、支持体を作製する工程と、接着層形成工程と、デバイス層形成工程と、を有する。
図5は、積層体の製造方法の一実施形態の一部を説明する概略工程図である。図5(a)は、支持体を作製する工程を説明する図であり、図2(b)は、接着層形成工程を説明する図である。
図6は、接着層付き支持体123から積層体100を製造する方法の一実施形態を説明する概略工程図である。図6(a)は、接着層付き支持体123を示す図であり、図6(b)は、基板固定工程を示す図であり、図6(c)は、封止工程を説明する図である。
図7は、積層体100から積層体200を製造する方法の一実施形態を説明する概略工程図である。図7(a)は、積層体100を示す図であり、図7(b)は、研削工程を説明する図であり、図7(c)は再配線形成工程を説明する図である。
実施形態における支持体を作製する工程は、支持基体上の一方に、分離層形成用組成物を用いて分離層を形成して、支持体を得る工程である。
図5(a)では、支持基体1上に、分離層形成用組成物(フルオロカーボンを含有するもの)を用いることにより分離層2が形成されている(すなわち、分離層付き支持基体が作製されている)。
例えば、支持体を作製する工程では、加熱環境下もしくは減圧環境下、支持基体1上に塗布された分離層形成用組成物の塗工層から溶剤成分を除去して成膜する(分離層2を形成する)、又は、支持基体1上に、蒸着法により成膜する(分離層2を形成する)ことで、支持体12を得る。
実施形態における接着層形成工程は、支持体上の一方に、上述した実施形態の接着層形成用組成物を用いて接着層を形成する工程である。
図5(b)では、支持体12の分離層2側の面に、上述した実施形態の接着層形成用組成物を用いて接着層3が形成されている(すなわち、接着層付き支持体123が作製されている)。
本実施形態におけるデバイス層形成工程では、金属又は半導体により構成される部材と、前記部材を封止又は絶縁する樹脂との複合体であるデバイス層を形成する。デバイス層形成工程は、基板固定工程、封止工程、研削工程、および配線層形成工程のいずれかを含むことができる。
その一実施態様において、デバイス層形成工程は、基板固定工程および封止工程を含む。この場合、デバイス層形成工程は、さらに、研削工程および配線層形成工程を含んでいてもよい。
他の実施態様において、デバイス層形成工程は、配線層形成工程を含む。この場合、デバイス層形成工程は、さらに、基板固定工程、封止工程および研削工程を含んでいてもよい。
基板固定工程は、接着層を介して、支持体上に基板(ベアチップ)を固定する工程である。
図6(b)では、分離層2が形成された支持基体1(支持体12)と、基板4とが、接着層3を介して積層され、支持体12、接着層3、基板4の順に積み重なった構造体30が得られている。
封止工程は、支持体上に固定された基板を、封止材を用いて封止する工程である。
図6(c)では、接着剤層3を介して支持体12に固定された基板4の全体が、封止材層5により封止された積層体100が得られている。積層体100において、基板4および封止材層5は、デバイス層45を構成する。
その際、温度条件は、例えば130~170℃である。
基板4に加えられる圧力は、例えば50~500N/cm2である。
研削工程は、前記封止工程の後、封止体における封止材部分(封止材層5)を、基板の一部が露出するように研削する工程である。
封止材部分の研削は、例えば図7(b)に示すように、封止材層5を、基板4とほぼ同等の厚さになるまで削ることにより行う。
配線層形成工程は、前記研削工程の後、前記の露出した基板上に配線層を形成する工程である。
図7(c)では、基板4及び封止材層5上に、配線層6が形成されている。これにより、積層体200を得ることができる。積層体200において、基板4、封止材層5および配線層6は、デバイス層456を構成する。
まず、封止材層5上に、酸化シリコン(SiOx)、感光性樹脂等の誘電体層を形成する。酸化シリコンからなる誘電体層は、例えばスパッタ法、真空蒸着法等により形成することができる。感光性樹脂からなる誘電体層は、例えばスピンコート、ディッピング、ローラーブレード、スプレー塗布、スリット塗布等の方法により、封止材層5上に、感光性樹脂を塗布することで形成することができる。
しかしながら、上述した、構成単位(u1)を有するエラストマーを含有する接着剤組成物が用いて接着層3を形成することにより、封止材層5からのガスの放出が抑制される。このため、封止材層5と支持体12との間でのボイド発生を防止することができ、配線層6を好適に形成することができる。
かかる積層体100または積層体200は、基板4に設けられた端子がチップエリア外に広がる配線層6に実装される、ファンアウト型技術に基づく過程において作製される積層体である。
本発明の第4の態様に係る電子部品の製造方法は、前記第3の態様に係る積層体の製造方法により積層体を得た後、分離工程と、除去工程と、を有する。
実施形態における分離工程は、支持基体1を介して分離層2に光(矢印)を照射して、分離層2を変質させることにより、デバイス層456から支持基体1を分離する工程である。
図8(a)に示すように、分離工程では、支持基体1を介して、分離層2に光(矢印)を照射することで、分離層2を変質させる。
照射する光の種類及び波長は、支持基体1の透過性、及び分離層2の材質に応じて適宜選択すればよく、例えば、YAGレーザ、ルビーレーザ、ガラスレーザ、YVO4レーザ、LDレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、CO2レーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He-Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、非レーザ光を用いることができる。これにより、分離層2を変質させて、支持基体1とデバイス層456とを容易に分離可能な状態とすることができる。
レーザ光の平均出力値は、1.0W以上、5.0W以下が好ましく、3.0W以上、4.0W以下がより好ましい。レーザ光の繰り返し周波数は、20kHz以上、60kHz以下が好ましく、30kHz以上、50kHz以下がより好ましい。レーザ光の走査速度は、100mm/s以上、10000mm/s以下が好ましい。
例えば、支持基体1とデバイス層456とが互いに離れる方向に力を加えることにより、支持基体1とデバイス層456とを分離する。具体的には、支持基体1又はデバイス層456側(配線層6)の一方をステージに固定した状態で、他方をベローズパッド等の吸着パッドを備えた分離プレートにより吸着保持しつつ持ち上げることにより、支持基体1とデバイス層456とを分離することができる。
積層体200に加える力は、積層体200の大きさ等により適宜調整すればよく、限定されるものではないが、例えば、直径が300mm程度の積層体であれば、0.1~5kgf(0.98~49N)程度の力を加えることによって、支持基体1とデバイス層456とを好適に分離することができる。
実施形態における除去工程は、前記分離工程の後、デバイス層に付着する接着層及び分離層を除去する工程である。
図8(b)では、分離工程の後、デバイス層456に接着層3及び分離層2が付着している。本実施形態では、除去工程において、デバイス層456に付着する接着層3及び分離層2を除去することにより、電子部品50が得られている。
洗浄液には、有機溶剤を含有する洗浄液が好適に用いられる。この洗浄液における有機溶剤としては、分離層形成用組成物に配合の有機溶剤、接着層形成用組成物に配合の溶剤成分を用いることが好ましい。
上述した実施形態の接着層形成用組成物を用いて形成される接着層は、炭化水素系の溶剤に対する溶解性が高められている。このため、実施形態において、接着層の洗浄除去性は良好である。
(実施例1~5、比較例1~2)
表1に示す樹脂成分を、溶媒(デカヒドロナフタレン)に溶解して、各例の接着剤組成物(樹脂成分濃度30質量%)をそれぞれ調製した。
尚、以下に示す樹脂成分についての重量平均分子量及び分散度は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の値を用いて求めた。
また、以下に示す樹脂成分についての1%重量減少温度(℃)は、窒素雰囲気下において、25℃で加熱を開始し、1分間隔で10℃ずつ加熱温度を上げた場合に、初期重量の1重量%分の重量が減少したときの温度である。尚、本実施例においては、この1%重量減少温度を、熱重量測定装置で測定した。
各例の接着剤組成物について、以下に示す方法により、複素弾性率(E*150、E*50)、ガラス転移温度(Tg)をそれぞれ求めた。また、各例の接着剤組成物を用いて形成される接着層について、以下に示す方法により、耐薬品性、洗浄除去性をそれぞれ評価した。これらの結果を表2に示した。
各例の接着剤組成物について、動的粘弾性測定装置Rheogel-E4000(UBM株式会社製)を用い、150℃及び50℃における複素弾性率(E*150、E*50)をそれぞれ測定し、また、複素弾性率の比(E*50/E*150)を求めた。
まず、接着剤組成物を、離型剤付のPETフィルム上に塗布し、大気圧下のオーブンによって、50℃で60分間、次いで150℃で60分間、加熱して試験片を形成した(厚さ500μm)。その後、PETフィルムから剥がした試験片(サイズ2cm×0.5cm、厚さ500μm)の複素弾性率率を、前記の動的粘弾性測定装置を用いて測定した。
測定条件を、周波数1Hzの引張条件において、開始温度25℃から300℃まで、昇温速度5℃/分で昇温する条件とした。
比較例1、2の接着剤組成物について、150℃での引張の条件では試験片が切れたため、測定不可であった。実施例1~5の接着剤組成物を用いた場合では、同じ温度において、比較例1、2の接着剤組成物を用いた場合に比べて、高い複素弾性率を示し、加えて、より高温側まで測定可能であった。
上記と同様にして各例の接着剤組成物を用いて形成した試験片(接着層)について、動的粘弾性測定装置Rheogel-E4000(UBM株式会社製)を用い、周波数1Hzの条件にて、5℃/分の昇温速度で、25℃から300℃まで温度を上昇させることにより測定した粘弾性の変化に基づき、ガラス転移温度を求めた。
各例の接着剤組成物を、ガラス基板に塗布し、乾燥して、厚さ50μmの接着層を形成した。次いで、この接着層が形成されたガラス基板を、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に70℃、10分間浸漬した。この後、浸漬前後の膜厚変化の割合(膨潤度)を求め、下記の評価基準に従い、耐薬品性を評価した。
評価基準
○:かかる膜厚変化の割合が20%未満であった。
×:かかる膜厚変化の割合が20%以上であった。
ガラス支持基体(サイズ10cm×10cm、厚さ700μm)上に、流量400sccm、圧力700mTorr、高周波電力2500W及び成膜温度240℃の条件下、反応ガスとしてC4F8を使用したCVD法により、分離層であるフルオロカーボン膜(厚さ1μm)を形成して支持体を作製した。
次いで、各例の接着剤組成物を塗布した支持体をそれぞれ、160℃で4分間、予備加熱することにより、厚さ5μmの接着層を形成した。
上述のように形成した接着層上に、封止基板(デバイス層)を配置し、次いで、10Paよりも低圧の減圧条件下、貼付装置を用い、215℃に加熱した押圧用プレート(300mmφ)にて押圧して、4トンの力を加えつつ、3分間圧縮して積層体を得た。
上記デバイス層形成工程で得られた積層体に対し、ガラス支持基体側から分離層(フルオロカーボン膜)に向かって、波長532nmのレーザ光を照射した。これにより、当該分離層を変質させて、前記積層体が備える前記基板(ベアチップ)から前記ガラス支持基体を分離し、接着層が露出した封止基板を得た。
[除去工程]
次いで、得られた封止基板に対し、洗浄液としてp-メンタンを用いてスプレー洗浄を5分間行い、封止基板に付着する接着層を除去して電子部品を得た。
前記の除去工程において、以下に示す評価基準に従い、洗浄除去性を評価した。
評価基準
○:スプレー洗浄後、封止基板に接着層の残渣が全く見られなかった場合
×:スプレー洗浄後、封止基板に接着層の残渣が見られた場合
Claims (15)
- 樹脂成分(P)を含有する接着剤組成物であって、
前記樹脂成分(P)は、下記一般式(u1-1)で表される構成単位(u1)、及び、下記一般式(u2-1)で表される構成単位(u2)を有する共重合体からなるエラストマーを含有し、
前記エラストマーが有する前記構成単位(u1)と前記構成単位(u2)とのモル比は、構成単位(u1)/構成単位(u2)=53/47~5である、接着剤組成物。
- 前記エラストマーが有する構成単位(u1)の割合は、前記エラストマーを構成する全構成単位(100モル%)に対して1~40モル%である、請求項1に記載の接着剤組成物。
- 前記一般式(u1-1)中のR01は、架橋炭素環式基を含む基である、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
- 前記架橋炭素環式基における架橋炭素部位が、前記一般式(u1-1)中のベンゼン環を構成する炭素と直接に結合する、請求項3に記載の接着剤組成物。
- 前記エラストマーの含有量は、前記樹脂成分(P)総量100質量%に対して、20質量%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
- 支持体、接着層及びデバイス層がこの順に積層した積層体における前記接着層を形成するために用いられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
- 前記デバイス層は、金属又は半導体により構成される部材と、前記部材を封止又は絶縁する樹脂と、の複合体である、請求項6に記載の接着剤組成物。
- 前記接着剤組成物を塗布し、乾燥させることで試験片を得たときに、当該試験片のガラス転移温度(Tg)が、100℃以上となる、請求項1~7のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
- 前記接着剤組成物を塗布し、乾燥させることで、厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、当該試験片の150℃における複素弾性率E*150が、0.1MPa以上となる、請求項1~8のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
- 前記接着剤組成物を塗布し、乾燥させることで、厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、当該試験片の50℃における複素弾性率E*50が、30MPa以上となる、請求項1~9のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
- 前記条件で動的粘弾性測定を行った際の、50℃における複素弾性率E*50と、150℃における複素弾性率E*150との比(E*50/E*150)が、5000以下となる、請求項9又は10に記載の接着剤組成物。
- 支持体、接着層及びデバイス層がこの順に積層した積層体であって、
前記接着層は、請求項1~11のいずれか一項に記載の接着剤組成物の乾燥体である、積層体。 - 支持体、接着層及びデバイス層がこの順に積層した積層体の製造方法であって、
前記支持体上に、請求項1~11のいずれか一項に記載の接着剤組成物を用いて前記接着層を形成する接着層形成工程と、
金属又は半導体により構成される部材と、前記部材を封止又は絶縁する樹脂と、の複合体であるデバイス層を、前記接着層上に形成するデバイス層形成工程と、
を有する、積層体の製造方法。 - 前記支持体が、支持基体及び光の照射により変質する分離層から構成されており、
前記接着層形成工程が、前記分離層上に接着層を形成する工程である、請求項13に記載の積層体の製造方法。 - 請求項14に記載の積層体の製造方法により積層体を得た後、
前記支持基体を介して前記分離層に光を照射して、前記分離層を変質させることにより、前記デバイス層から前記支持基体を分離する分離工程と、
前記分離工程の後、前記デバイス層に付着する前記接着層及び前記分離層を除去する除去工程と、
を有する、電子部品の製造方法。
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