JP6720588B2 - 化粧シート及び化粧板 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧シート及び化粧板に関する。
従来、様々な物品の表面には、意匠性を付与するために、化粧シートが積層されている。例えば、建築物の壁面に用いられる壁装材、床面に用いられる床用化粧材等には、表面に化粧シートが積層され、用いられている。
現在の床用の化粧シートには、住宅施工後の物件引き渡し前に行われる清掃の際に、大半の汚れは容易に除去できるが、住宅施工時に付着した汚れが取れ難いという問題がある。特に、取れ難い汚れの内の大半の割合を占める石膏の粉は、白いので汚れが目立ち、且つ、粒子が小さい(細かい)。そのため、上記石膏の粉は、清掃しにくい汚染物質といえる。
従来の技術として、化粧シートの表面凹凸形状を規定することで、上記汚染物質が凹部に入り込みにくくし、結果として易掃性(清掃がしやすい性質)の低下を防ぐ化粧シートが開示されている(特許文献1)。
特開2014−069507号公報
しかしながら、上記化粧シートは、上記汚染物質を除去することは可能であるが、汚れを除去する際の拭き取り性(拭き取り抵抗)については考慮されていない。拭き取る際に抵抗が大きいと引っかかるような感覚となり、汚れを拭き取りにくい。また、油汚れ(皮脂汚れ等)の拭き取り性についても考慮されておらず、多様な易掃性の向上という観点では課題がある。
本発明は、適度に拭き取り抵抗がなく、住宅施工時に発生する汚れだけでなく、油汚れも拭き取り易い化粧シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、適度に拭き取り抵抗がなく、住宅施工時に発生する石膏粉等の汚れだけでなく、油汚れも拭き取り易い化粧シートを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、表面保護層のぬれ張力及び樹脂硬さを規定することにより、上記課題を解決できることを見出した。本発明はこのような知見に基づき完成されたものである。
即ち、本発明は、下記の化粧シート及び化粧板に関する。
1. 基材シート上に、少なくとも表面保護層を有する化粧シートであって、
前記表面保護層のぬれ張力が30mN/m以上35mN/m未満であり、且つ、前記表面保護層のマルテンス硬さが70N/mm以上である化粧シート。
2. 前記表面保護層が、疎水化処理された無機フィラーを含有する、上記項1に記載の化粧シート。
3. 前記疎水化処理された無機フィラーの粒子径が、モード径で1〜10μmである、上記項2に記載の化粧シート。
4. 前記疎水化処理された無機フィラーの含有量が、前記表面保護層を構成する樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上30質量部以下である、上記項2又は3に記載の化粧シート。
5. 前記疎水化処理された無機フィラーが、シリカである、上記項2〜4のいずれかに記載の化粧シート。
6. 前記表面保護層を構成する樹脂が電離放射線硬化型樹脂である、上記項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
7. 前記表面保護層の厚みが10μm以上である、上記項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
8. 上記項1〜7のいずれかに記載の化粧シートが被着材上に積層されている化粧板。
本発明の化粧シートは、適度に拭き取り抵抗がなく、住宅施工時に発生する汚れが拭き取り易いだけでなく、油汚れも拭き取り易い。言い換えれば、本発明の化粧シートは、多様な種類の汚れに対する易掃性に優れる。そのため、本発明の化粧シートを、特に床用の化粧シートとして好適に使用することができる。
本発明の化粧シートの一例を示す断面図である。 本明細書におけるマルテンス硬さの測定に用いるダイヤモンド圧子(a)、押し込み操作の模式図(b)及び押し込み荷重と変位の一例(c)を示す図である。
≪1.本発明の化粧シート≫
本発明の化粧シートは、基材シート上に、少なくとも表面保護層を有する化粧シートであって、前記表面保護層のぬれ張力が30mN/m以上35mN/m未満であり、且つマルテンス硬さが70N/mm以上であることを特徴とする。上記特徴を有する化粧シートは、適度に拭き取り抵抗がなく、住宅施工時の汚れ(特に汚染物質の内の大半の割合を占める、取り難い石膏粉)が化粧シート表面に存在していても、当該汚れが取り易いことに加えて、皮脂汚れ等の油汚れも容易に拭き取ることができる。言い換えれば、本発明の化粧シートは、多様な種類の汚れに対する易掃性に優れる。そのため、本発明の化粧シートを、特に床用として好適に使用することができる。
以下、本発明の化粧シートについて詳細に説明する。なお、本発明の化粧シートにおいて、表面とは、いわゆる「おもて面」であり、本発明の化粧シートが被着材等に積層されて用いられる際に、被着材と接触する面とは反対側の面であり、積層後に視認される面である。また、本明細書では、本発明の化粧シートについて、上記表面の方向を「おもて」又は「上」と称し、その反対側を「裏」又は「下」と称する場合がある。
本発明の化粧シートは、基材シート上に、少なくとも表面保護層を有する化粧シートであって、前記表面保護層のぬれ張力が30mN/m以上35mN/m未満であり、且つ、前記表面保護層のマルテンス硬さが70N/mm以上であるという要件を満たせば、具体的な構成(層構成)については限定されない。本発明の化粧シートの一例として、図1に示すような、基材シート3上に、絵柄模様層4、接着剤層5、透明性樹脂層6、プライマー層7及び表面保護層8を順に積層し、基材シート3の裏面に裏面プライマー層2を設け、最表面側にエンボス加工が施された化粧シート1が挙げられる。以下、かかる層構成の化粧シート1を代表例として、各層について具体的に説明する。但し、以下の各層の説明においては、符号は省略する。また、本明細書における層厚は、化粧シートにエンボス等の凹凸形状がない個所で測定した値である。
基材シート
本発明の化粧シートは、基材シートを有する。
基材シートは、その表面(おもて面)に絵柄模様層等が順次積層される層である。基材シートとしては、例えば、熱可塑性樹脂により形成されたシート(フィルム)が好適である。具体的には、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、アイオノマー、アクリル酸エステル系重合体、メタアクリル酸エステル系重合体等が挙げられる。前記基材シートは、これら樹脂を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることにより形成される。なお、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、他の(メタ)と記載された部分についても同様である。
基材シートは、着色されていてもよい。この場合は、上記のような熱可塑性樹脂に対して着色材(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色材としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すれば良い。
基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
基材シートの厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には20〜300μmが好ましい。
基材シートは、必要に応じて、絵柄模様層等を形成するインキの密着性を高めるために表面(おもて面)にコロナ放電処理を施してもよい。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すれば良い。また、必要に応じて、基材シートの裏面にコロナ放電処理を施したり、絵柄模様層を形成したり、後述する裏面プライマー層、バッカー層等を形成したりしてもよい。
絵柄模様層
本発明の化粧シートは、絵柄模様層を有していてもよい。
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄(意匠)を付与する層であり、絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、レザー模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた印刷法により、基材シート表面に形成すればよい。インキとしては、シートのVOCを低減する観点からは水性組成物を用いることもできる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤は、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに用いてもよい。
結着材樹脂としては、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂等が変性したものないし前記天然ゴム等の混合物、その他の樹脂できる。上記結着材樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、層厚は0.1〜10μm程度である。
接着剤層
透明性樹脂層と絵柄模様層との密着性を高めるため、絵柄模様層上に接着剤層を形成してもよい。接着剤層は、透明性接着剤層であることが好ましく、当該透明性接着剤層としては、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら接着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
接着剤層の厚みは特に限定されないが、厚みが0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度である。
透明性樹脂層
本発明の化粧シートは、透明性樹脂層を有していてもよい。
透明性樹脂層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。前記透明性樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、アイオノマー、アクリル酸エステル系重合体、メタアクリル酸エステル系重合体、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等を挙げることができる。これら樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の透明性樹脂層は、ポリプロピレン樹脂を代表とするオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、透明性樹脂層を構成する樹脂が上記オレフィン系樹脂であることがより好ましい。
なお、透明性樹脂層は、透明性を有する限り着色されていても良いが、特に着色剤を配合しない方が望ましい。
透明性樹脂層の厚みは、通常は20〜200μm程度であるが、シートの用途等に応じて上記範囲を超えてもよい。
プライマー層
透明性樹脂層の上には、プライマー層を設けてもよい。プライマー層は、公知のプライマー剤を透明性樹脂層の表面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿との混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンとのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100g/m、好ましくは0.1〜50g/m程度である。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
表面保護層
本発明の化粧シートは、表面保護層を有する。表面保護層は、化粧シートの最表面の層として設けられる。
表面保護層を構成する樹脂は、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂(例えば、電子線硬化型樹脂)等の硬化型樹脂が好ましい。特に、高い表面硬度による耐傷性、凸形状保持性、生産性等の観点から、表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含むことが好ましく、表面保護層を構成する樹脂が電離放射線硬化型樹脂であることがより好ましい。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤等を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法は、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線及び/又は電子線が望ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度である。
表面保護層の厚みは、特に限定されず、最終製品の特性に応じて適宜設定できる。表面保護層の厚みは、10μm以上が好ましく、11〜30μmがより好ましい。
本発明の化粧シートにおける表面保護層は、ぬれ張力が30mN/m以上35mN/m未満であり、且つ、マルテンス硬さが70N/mm以上である。表面保護層のぬれ張力及びマルテンス硬さを上記範囲に設定することで、適度に拭き取り抵抗がなく、住宅施工時の汚れが拭き取り易く、さらに油汚れも拭く取り易くなる。
表面保護層のぬれ張力は、30mN/m以上35mN/m未満であり、30mN/m以上34mN/m以下が好ましい。
表面保護層のぬれ張力を30mN/m以上35mN/m未満にする手法として、例えば、1)表面保護層に疎水化処理された無機フィラーを添加する方法、2)シリコーン等の添加剤を適量添加する方法、等が挙げられ、表面保護層に疎水化処理された無機フィラーを添加する方法によりぬれ張力を調整することが好ましい。
なお、本明細書におけるぬれ張力は、JIS K6768(1999年)(プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法)に従って測定される値である。
無機フィラーとしては、疎水化処理されていれば特に限定されない。例えば、シリカ、酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイヤモンド、金剛砂、ガラス繊維等が挙げられる。
疎水化処理の方法は特に限定されず、公知の方法で行うことができる。例えば、シリコーンオイル系処理剤によって無機フィラーを疎水化処理する方法;アルキルシラザン系処理剤、トリメチルシリル化剤、及び/又はアルコキシシランで無機フィラーを処理した後に上述のシリコーンオイル系処理剤によって無機フィラーを疎水化処理する方法;シリコーンオイル系処理剤によって無機フィラーを疎水化処理した後に、さらにトリメチルシリル化剤又はアルキルシラザン系処理剤で処理する方法;アルコキシシランによって無機フィラーを疎水化処理する方法;アルコキシシランによって無機フィラーを処理した後に、さらにシリコーンオイル系処理剤、又はシリコーンオイル系処理剤及びアルコキシシランで処理する方法;ダイマージオールシロキサン、及び/又はトリメチルシラノール若しくは環状シロキサンを用いて無機フィラーを処理する方法などが挙げられる。また、上述の疎水化処理の方法だけでなく、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等の各種カップリング剤;リン酸系、 脂肪酸系等の界面活性剤;油脂、ステアリン酸等によって処理する方法も、疎水化処理の方法として挙げられる。以下、未処理の無機フィラーを疎水化処理するための上述の各製品(例えば、シリコーンオイル系処理剤等の処理剤、シランカップリング剤、界面活性剤等の全て)を、纏めて疎水化処理剤ともいう。
シリコーンオイル系処理剤としては、特に限定されず、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等のストレートシリコーンオイル;アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、片末端反応性変性シリコーンオイル、異種官能基変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、親水性特殊変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル等を用いることができる。
アルキルシラザン系処理剤としては、特に限定されず、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ビニルシラザン等が挙げられる。
トリメチルシリル化剤としては、特に限定されず、例えば、トリメチルシラノール、トリメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、アミノメチルトリメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシランが挙げられる。
アルコキシシランとしては、特に限定されず、例えば、後述のシランカップリング剤中のアルコキシシラン化合物が挙げられる。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物;トリメチルクロロシラン、ジエチルジクロロシラン等のクロロシラン化合物などが挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、特に限定されず、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート等が挙げられる。
アルミネート系カップリング剤としては、特に限定されず、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用することができる。油脂としては、特に限定されず、各種公知の油脂を使用することができる。
上述の各種疎水化処理剤で無機フィラーを疎水化処理する方法としては、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。例えば、未処理の無機フィラーに疎水化処理剤の原液、又は疎水化処理剤を水若しくは有機溶剤に希釈したものを添加(例えば噴霧)する方法(乾式処理法);未処理の無機フィラーを疎水化処理剤の原液、疎水化処理剤含有水溶液又は疎水化処理剤含有有機溶剤中で処理(例えば浸漬)し、その後、乾燥させる方法(湿式処理法);などが挙げられる。このような処理により、無機フィラー表面の一部若しくは全部が(a)疎水化処理剤で被覆されるか、(b)疎水化処理剤を吸着するか、又は(c)疎水化処理剤で被覆され、且つ吸着する((a)及び(b)の組み合わせとなる)、等が生じる。その結果、疎水化処理された無機フィラーが得られる。なお、上記各種疎水化処理剤は、1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
疎水化処理された無機フィラーは、1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、疎水化処理された無機フィラーは、各種市販品を使用することができる。
本発明で使用される疎水化処理された無機フィラーの中でも、床用途物性、表面保護層のコーティング適性、化粧シート表面の艶消し効果等の観点から、疎水化処理されたシリカを使用することが好ましい。
表面保護層中の疎水化処理された無機フィラーの含有量は、易掃性の観点から、表面保護層を構成する樹脂(樹脂成分)100質量部に対して0.5〜30質量部であることが好ましく、1〜25質量部であることがより好ましく、5〜20質量部であることがさらに好ましい。
疎水化処理された無機フィラーの粒子径(及び平均粒子径)は特に限定されない。例えば、モード径(粒子径分布の極大値を示す粒子径であり、出現比率が最も大きい粒子径)が1〜10μm程度である疎水化処理された無機フィラーが好ましく、モード径が2〜6μmである疎水化処理された無機フィラーがより好ましい。また、易掃性向上の観点からは、疎水化処理された無機フィラーの粒子径を、表面保護層の厚みの1/2以下とすることが好ましい。例えば、表面保護層の厚みが10μmであれば、無機フィラーの粒子径を5μm以下にすることが好ましい。本発明の疎水化処理された無機フィラーの粒子径(モード径)は、光散乱法で測定された値である。
疎水化処理された無機フィラーの形状は、特に限定されず、例えば、球状、立方体状、ロッド状、板状、針状等が挙げられる。
表面保護層のマルテンス硬さは70N/mm以上であり、物を落とした等の際に発生する衝撃傷によるシートの割れを考慮すると、70N/mm以上200N/mm以下が好ましく、70N/mm以上140N/mm以下がより好ましい。
表面保護層のマルテンス硬さを調整する方法としては、例えば、1)異なる硬さの樹脂に変更する(異なる硬さを有する2種類以上の硬化型樹脂を混合する)、2)表面保護層に艶消し剤又は充填剤に代表される各種添加剤を加える、等によって適宜調整することができる。
なお、本明細書におけるマルテンス硬さは、表面皮膜物性試験機(PICODENTOR HM−500、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)を用いてナノインデンテーション法にて測定される値であり、具体的な測定方法は次の通りである。この測定方法では、図2(a)に示されるダイヤモンド圧子(ビッカーズ圧子)を用いて、図2(b)に示すように測定試料にダイヤモンド圧子を押し込み、表面にできたピラミッド形のくぼみの対角線の長さからその表面積A(mm)を計算し、試験荷重F(N)を割ることにより硬さを求める。押し込み条件は、室温(実験室環境温度)において、図2(c)に示される通り、先ず0〜5mNまでの負荷を10秒間で加え、次に5mNの負荷で5秒間保持し、最後に5〜0mNまでの除荷を10秒間で行う。そして、表面積A、試験荷重Fに基づきF/Aにより求められる硬度が前記マルテンス硬さである。なお、本明細書では、マルテンス硬さを測定したい層以外の層の硬度の影響を回避するために、マルテンス硬さを測定したい層の断面のマルテンス硬さを測定した。これに際し、化粧シートを樹脂(冷間硬化タイプのエポキシ2液硬化樹脂)で埋包し、室温で24時間以上放置して硬化させた後、硬化した埋包サンプルを機械研磨してマルテンス硬さを測定したい層の断面を露出させ、当該断面に(無機充填材等の微粒子が測定対象層中に含まれる場合には当該微粒子を避けた位置に)ダイヤモンド圧子を押し込むことにより測定対象面の断面のマルテンス硬さを測定した。
表面保護層には、必要に応じて、溶剤、染料、顔料等の着色剤、艶消し剤、増量剤等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の各種添加剤を加えることができる。
電離放射線硬化型樹脂を含む表面保護層を形成する方法としては、例えば、(1)電離放射線硬化型樹脂等の樹脂、疎水化処理された無機フィラー、並びに(2)必要に応じて、その他の樹脂、紫外線吸収剤、抗菌剤、上記各種添加剤、などを含む溶液(表面保護層形成用樹脂組成物)をグラビアコート法、ロールコート法等の塗工法により塗工した後、電離放射線硬化型樹脂を硬化させることにより表面保護層を形成する方法が挙げられる。
裏面プライマー層
基材シートの裏面(絵柄模様層が積層される面と反対側の面)には、必要に応じて、裏面プライマー層を設けてもよい。例えば、当該化粧シートと被着材とを積層して化粧板を作製する際に効果的である。
裏面プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートに塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100g/m、好ましくは0.1〜50g/m程度である。
裏面プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
バッカー層
基材シートの裏面(基材シートの裏面に絵柄模様層がある場合には絵柄模様層の裏面)には、バッカー層(耐傷性を高めたり、被着材の影響を緩和したりするための合成樹脂層)を設けてもよい。なお、上記耐傷性は特に部分的に荷重がかかった場合の凹み傷を言う。本発明の化粧シートは、バッカー層を設けなくても十分な耐傷性は有しているが、バッカー層を設けることにより耐傷性などの諸性能をより高めることができる。
バッカー層を形成する方法としては、溶融樹脂の押出し成形が好適であり、例えば、Tダイを用いた押出し成形が好適である。
基材シートの裏面とバッカー層とを接着させる方法としては、基材シートと溶融樹脂を押出し成形することによって得られるバッカー層とを熱融着によって接着する方法、基材シートとバッカー層との間に接着剤層(更に必要に応じてプライマー層)を設けることによって接着する方法等が挙げられる。
バッカー層を構成する樹脂としては限定的ではないが、熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET−G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等が挙げられる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
バッカー層の厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定でき、一般には100〜800μmが好ましい。この中でも、100〜600μmがより好ましい。
バッカー層には、必要に応じ、コロナ放電処理、プラズマ処理、脱脂処理、表面粗面化処理等の公知の易接着処理を接着面に施すこともできる。また、被着材との接着性を考慮して裏面にプライマー層を更に設けてもよい。
エンボス加工
化粧シートの最表層側には、必要に応じてエンボス加工を施してもよい。
エンボス加工方法は特に限定されず、例えば、表面保護層のおもて面を加熱軟化させてエンボス版により加圧及び賦形した後、冷却する方法が好ましい方法として挙げられる。最終製品である化粧シート又は表面保護層の材質によっては、例えば、透明性樹脂層のおもて面を加熱軟化させてエンボス版により加圧及び賦形した後、その上に表面保護層を形成してもよい。
エンボス加工には、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機が用いられる。凹凸形状としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
≪2.本発明の化粧板≫
上記化粧シートを被着材上に積層することにより、化粧板とすることができる。被着材は、限定的でなく、公知の化粧板に用いられるものと同様のものを用いることができる。上記被着材としては、例えば、木質材、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラス等が挙げられる。特に、上記化粧シートは、木質材に好適に使用することができる。木質材としては、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、チップボード、又はチップボードが積層された複合基材等が挙げられる。上記木質材としては、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)を用いることが好ましい。
化粧シートと被着材とを積層する積層方法は限定的でなく、例えば接着剤により化粧シートを被着材に貼着する方法等を採用することができる。接着剤は、被着材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すればよい。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン−アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
このようにして製造された化粧板は、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装材;バルコニー、ベランダ等の外装材;窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧板や家具;又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板等に用いることができる。特に、上記化粧板は床用化粧材として好適に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例の態様に限定されない。
実施例1
60μm厚さの着色ポリプロピレンフィルムからなる基材シートの裏面にプライマー層(裏面プライマー層)を設けた。次に、基材シートの表面に絵柄模様層を印刷により形成し、さらに当該絵柄印刷層上に接着剤層を形成した。次に、当該接着剤層の上に80μm厚さの透明ポリプロピレン系樹脂のシートを押出しラミネート方式で積層し、透明性樹脂層を形成した。次に、透明ポリプロピレン系樹脂シートの表面にコロナ放電処理を施した後、2液硬化型ウレタン樹脂を塗工することによりプライマー層を形成した。次に、当該プライマー層の表面に、2官能ウレタンアクリレートオリゴマーα70質量部、6官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー30質量部及びシリコーンオイルで疎水化処理されたシリカ(モード径3μm)14質量部を含む表面保護層形成用樹脂組成物をグラビアコート方式で塗工して塗膜(13μm)を形成した後、酸素濃度200ppm以下の環境下において電子線照射装置を用いて加速電圧175keV、5Mradの条件で電子線を照射することにより上記塗膜を硬化させて表面保護層を形成した。さらに、表面保護層側を赤外線非接触方式のヒーターで加熱し、基材シート及び透明性樹脂層を軟らかくした後、熱圧によるエンボス加工を行うことにより、木目導管模様の凹凸模様を賦形した。これにより、化粧シートを作製した。作製した化粧シートで測定した表面保護層のマルテンス硬さは140N/mmであった。
実施例2
疎水化処理化されたシリカ(モード径3μm)に代えて、モード径5μmの疎水化処理化されたシリカを使用する以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。
実施例3
表面保護層のマルテンス硬さを140N/mmから70N/mmに代える以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。
比較例1
疎水化処理されたシリカ(モード径3μm)に代えて、疎水化処理されていないシリカ(未処理シリカ)(モード径11μm)を使用する以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。
比較例2
疎水化処理されたシリカ(モード径3μm)に代えて未処理シリカ(モード径11μm)を使用し、且つ、表面保護層の厚みを13μmから15μmに、マルテンス硬さを140N/mmから110N/mmに代える以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。
比較例3
疎水化処理されたシリカ(モード径3μm)14質量部に代えて未処理シリカ(モード径11μm)を12質量部使用し、且つ、表面保護層の厚みを13μmから15μmに、マルテンス硬さを140N/mmから60N/mmに代える以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。
比較例4
疎水化処理されたシリカ(モード径3μm)に代えて未処理シリカ(モード径3μm)を使用し、且つ、シリコーンを1質量部添加する以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。
比較例5
疎水化処理されたシリカ(モード径3μm)に代えて、未処理シリカ(モード径3μm)を使用する以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。
比較例6
疎水化処理されたシリカ(モード径3μm)に代えて、未処理シリカ(モード径5μm)を使用する以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。
比較例7
疎水化処理されたシリカ(モード径3μm)に代えて未処理シリカ(モード径3μm)を使用し、且つ、表面保護層のマルテンス硬さを140N/mmから70N/mmに代える以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。
比較例8
疎水化処理されたシリカ(モード径3μm)に代えて未処理シリカ(モード径3μm)を使用し、且つ、表面保護層のマルテンス硬さを140N/mmから60N/mmに代える以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。
比較例9
表面保護層のマルテンス硬さを140N/mmから60N/mmに代える以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。
なお、実施例1〜3及び比較例1〜9において、表面保護層のマルテンス硬さは、表面皮膜物性試験機(PICODENTOR HM−500、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)を用いて測定した。具体的には、図2(a)に示されるダイヤモンド圧子(ビッカーズ圧子)を用いて、図2(b)に示すように測定試料にダイヤモンド圧子を押し込み、表面にできたピラミッド形のくぼみの対角線の長さからその表面積A(mm)を計算し、試験荷重F(N)を割ることにより硬さを求めた。押し込み条件は、室温(実験室環境温度)において、図2(c)に示される通り、先ず0〜5mNまでの負荷を10秒間で加え、次に5mNの負荷で5秒間保持し、最後に5〜0mNまでの除荷を10秒間で行った。そして、表面積A、試験荷重Fに基づきF/Aにより求められる硬度を前記マルテンス硬さとした。なお、マルテンス硬さを測定したい表面保護層以外の層の硬度の影響を回避するために、表面保護層の断面のマルテンス硬さを測定した。これに際し、化粧シートを樹脂(冷間硬化タイプのエポキシ2液硬化樹脂)で埋包し、室温で24時間以上放置して硬化させた後、硬化した埋包サンプルを機械研磨して表面保護層の断面を露出させ、当該断面に(無機充填材等の微粒子が表面保護層中に含まれる場合には当該微粒子を避けた位置に)ダイヤモンド圧子を押し込むことにより表面保護層面の断面のマルテンス硬さを測定した。
表面保護層のぬれ張力は、JIS K6768(1999年)(プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法)に準じて測定した。具体的には、ぬれ張力試験用混合液(商品名:ぬれ張力試験用混合液No.30〜36、和光純薬工業株式会社製)を、紙軸綿棒(川本産業株式会社製)を使用して表面保護層のおもて面に広げ、ぬれ張力を測定した。
(化粧板の作製)
厚みが2.5mmの中密度木質繊維板(MDF)上に水性エマルジョン接着剤(中央理化工業(株)製リカボンドBA−10L (主剤):BA−11B (硬化剤)=100:2.5(質量比))を80g/mで均一に塗工し、化粧シートを貼り合わせて、室温で3日間養生することにより化粧板を作製した。
評価1:石膏粉の易掃性
まず、パテ粉(ヤヨイ化学工業株式会社製、ワイドスーパー60)を硬化させて、♯180のヤスリにて削ることにより、石膏粉を得た。次に、実施例及び比較例の各化粧シートの表面全面に対して、前記石膏粉を約0.5g/尺角散布した。次いで、乾いた雑巾(タオル生地)で前記石膏粉を各化粧シート表面上で薄く伸ばした。最後に、前記石膏粉による汚れ残りがなくなるように水で湿らせた雑巾(タオル生地)で2回拭き、その拭いた後の各化粧シート表面を評価した。評価基準は、以下の通りである。
+++:汚れ残りなし
++:部分的に軽微な汚れ残りあり
+:全体に軽微な汚れ残りあり
−:全体に汚れ残りあり
評価2:油(オレイン酸)の易掃性
オレイン酸を、実施例及び比較例の各化粧シートの表面全面に対して約10g/m塗布した。前記オレイン酸による汚れ残りがなくなるように、水で湿らせた雑巾(タオル生地)で1回拭き、その拭いた後の各化粧シート表面を評価した。評価2の評価基準は、以下の通りである。
+++:汚れ残りなし
++:汚れが目立たない
+:薄く汚れあり
−:汚れ残りあり
評価3:易掃性(拭き抵抗(滑り性))
東工大式滑り試験機(O−Y・PSM)を用いて、靴下(素材は綿100%)による滑り抵抗値(C.S.R値)を測定した。評価基準は、以下の通りである。
+++:評価値が0.3未満
++:評価値が0.3以上0.4未満
−:評価値が0.4以上
評価4:ワックス塗布適性
床用ワックス(ハイテクフローリングコート:(株)リンナイ製)を各化粧シートの表面に塗布し(約10ml/m)、塗布後の表面状態を目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。
++:均一にワックスが塗布できている
−:ワックスをはじき、均一に塗布できていない
評価5:耐傷性(ホフマンスクラッチ試験)
ホフマンスクラッチ試験機(BYK−Gardner社製)を用いて評価した。具体的には、各化粧板の化粧シートの表面保護層に対して、45度の角度で接するようにスクラッチ刃(直径7mmの円柱のエッジ部)をセットし、該スクラッチ刃を引っ張るように移動させて表面を擦った。その際、100〜500g荷重の範囲で100gずつスクラッチ刃にかける荷重を変化させて、前記表面保護層に傷が発生するか否かを確認した。評価基準は以下の通りである。
+++:500gにおいて、傷が見られないもの
++:300gにおいて、傷が見られないもの
+:300gにおいて、若干傷が見られるもの
−:300gにおいて、傷が明らかに目立つもの
これらの結果を、以下の表1及び表2に示す。
なお、表1及び表2中の樹脂の種類は以下の通りである。
2官能α:2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(ポリオール成分がポリエステルジオール、ガラス転移温度:25℃、重量平均分子量1500)
2官能β:2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(ポリオール成分がポリエステルジオール、ガラス転移温度:25℃、重量平均分子量1200)
2官能γ:2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(ポリオール成分がポリエステルジオール、ガラス転移温度:−55℃、重量平均分子量5000)
6官能 :6官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー(ガラス転移温度:200℃以上、重量平均分子量1500、共栄社化学株式会社製UA306H)
1. 化粧シート
2. 裏面プライマー層
3. 基材シート
4. 絵柄模様層
5. 接着剤層
6. 透明性樹脂層
7. プライマー層
8. 表面保護層
9. エンボス模様(木目板導管溝)

Claims (6)

  1. 基材シート上に、少なくとも表面保護層を有する化粧シートであって、
    前記表面保護層のぬれ張力が30mN/m以上35mN/m未満であり、且つ、前記表面保護層のマルテンス硬さが70N/mm以上であり、
    前記表面保護層が、疎水化処理された無機フィラーを含有し、
    前記疎水化処理された無機フィラーの粒子径が、モード径で1〜10μmである、
    化粧シート。
  2. 前記疎水化処理された無機フィラーの含有量が、前記表面保護層を構成する樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上30質量部以下である、請求項に記載の化粧シート。
  3. 前記疎水化処理された無機フィラーが、シリカである、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記表面保護層を構成する樹脂が電離放射線硬化型樹脂である、請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 前記表面保護層の厚みが10μm以上である、請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の化粧シートが被着材上に積層されている化粧板。
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