JP7251318B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、より耐傷性および加工性に優れた化粧シートを提供することを目的とする。
上記構成によれば、表面保護層の硬さと層厚、および透明樹脂層との関係を上記範囲とすることで、化粧シートの耐傷性と加工性をさらに向上させることができる。
また本発明の一態様は、前記下層を構成する樹脂成分の主材料が、熱硬化性樹脂である。
また本発明の一態様は、前記中層を構成する樹脂成分の主材料が、熱硬化性樹脂と電離放射線硬化性樹脂の混合組成物または熱硬化性樹脂である。
また本発明の一態様は、前記上層を構成する樹脂成分の主材料が、熱硬化性樹脂と電離放射線硬化性樹脂の混合組成物である。
また本発明の一態様は、前記下層の熱硬化性樹脂は、アクリルポリオールとイソシアネート硬化剤からなり、前記下層のガラス転移点Tgが35℃以上100℃以下であり、前記下層を構成する前記アクリルポリオールの重量平均分子量が20,000以上200,000以下である。
以下に、本発明に基づく第1実施形態について図面を参照して説明する。ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状および構造等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。また本実施形態では、化粧シートとして床用化粧シートを想定して説明するが、他の用途の化粧材用の化粧シートにも適用可能である。
図1は、本実施形態に係る化粧シート1の概略を示す模式断面図である。化粧シート1は、原反層2の上に絵柄模様層3、接着層7(感熱接着層、アンカーコート層、ドライラミ接着剤層)、透明樹脂層4および表面保護層5がこの順に積層されて構成される。また、原反層2の裏面側には、隠蔽層8およびプライマ層6が設けられている。この隠蔽層8およびプライマ層6はなくてもよい。化粧シート1の総厚は、例えば45μm以上250μm以下の範囲内が好ましい。また表面保護層5は、表面保護層5は、透明樹脂層4側の下層5cと、下層5cの上に形成された中層5bと、中層5bの上に形成された上層5aを有しており、フィラー51を含有している。
原反層2としては、例えば紙、合成樹脂、あるいは合成樹脂の発泡体、ゴム、不織布、合成紙、金属箔等から任意に選定したものが使用可能である。紙としては、薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙等が例示できる。合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリル等が例示できる。ゴムとしては、エチレン-プロピレン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合ゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合ゴム、ポリウレタン等が例示できる。不織布としては、有機系や無機系の不織布が使用できる。金属箔の金属としては、アルミニウム、鉄、金、銀等が例示できる。
プライマ層6としては、後述の絵柄模様層3と同じ材料を用いることができる。プライマ層6は、化粧シート1の裏面に施されることから、化粧シート1がウエブ状に巻取りされることを考慮すると、ブロッキングを避けて且つ接着剤との密着を高めるために、プライマ層6に無機充填剤を添加させてもよい。無機充填剤としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、硫酸バリウム等が例示できる。
原反層2の層厚は、印刷作業性やコストなどを考慮すれば、20μm以上150μm以下の範囲内が好ましい。
絵柄模様層3は、原反層2に対してインキを用いて施された絵柄印刷の層である。インキのバインダとしては、例えば、硝化綿、セルロース、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独若しくは各変性物の中から適宜選定して用いることができる。バインダは、水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでもよく、また一液タイプでも硬化剤を使用した二液タイプでもよい。更に、硬化性のインキを使用し、紫外線や電子線等の照射によりインキを硬化させる方法を用いてもよい。中でも最も一般的な方法は、ウレタン系のインキを用いるもので、イソシアネートによって硬化させる方法である。絵柄模様層3に対し、バインダ以外には、例えば、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤などが添加されていてもよい。汎用性の高い顔料としては、例えば、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。
透明樹脂層4の樹脂材料としては、オレフィン系樹脂が好適に用いられる。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンなどの他に、αオレフィン(例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセンなど)を単独重合あるいは二種類以上共重合させたものや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体などのように、エチレン又はαオレフィンとそれ以外のモノマーとを共重合させたものが挙げられる。
表面保護層5の樹脂材料としては、電離放射線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂が好適に用いられる。電離放射線硬化性樹脂材料としては、各種モノマーや市販されているオリゴマーなど、公知のものを用いることができ、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET3A)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PET4A)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)等の多官能モノマーや、紫光UV-1700B(日本合成化学製)のような多官能オリゴマー、もしくはこれらの混合物を用いることが好ましい。
イソシアネート化合物としては、上記同様、特に限定されるものではないが、例えばトルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。
表面保護層5の上層5aは、層厚が5μm以上10μm以下の範囲内であり、マルテンス硬さが200N/mm2以上300N/mm2以下の樹脂層である。上層5aのマルテンス硬さを200N/mm2未満とした場合、耐傷性が低下し好ましくない。また、上層5aのマルテンス硬さを300N/mm2より大きくした場合、耐割れ性と加工性が低下し好ましくない。例えば、上層5aを構成する樹脂成分の主材料として電離放射線硬化性樹脂を使用することで、上層5aのマルテンス硬さを200N/mm2以上とすることが可能である。
表面保護層5の中層5bは、層厚が3μm以上10μm以下の範囲内であり、マルテンス硬さが150N/mm2以上の樹脂層である。中層5bのマルテンス硬さは、上層5aのマルテンス硬さ以下にすることで、加工性が向上し好ましい。中層5bのマルテンス硬さを150N/mm2未満とした場合、耐傷性が低下し好ましくない。中層5bのマルテンス硬さを300N/mm2より大きくした場合、耐割れ性と加工性が低下し好ましくない。例えば、中層5bを構成する樹脂成分の主材料として、電離放射線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂を混合した混合組成物若しくは熱硬化性樹脂を使用することで、中層5bのマルテンス硬さを150N/mm2以上とすることが可能である。
また、乾燥後の塗布量が3μm以上10μm以下の範囲内となるように、中層5b用の塗工液を塗布することで、中層5bの層厚を5μm以上10μm以下の範囲内に設定することができる。なお、中層5bの層厚を5μm未満とした場合、耐傷性が低下し好ましくない。
表面保護層5の下層5cは、層厚が3μm以上10μm以下の範囲内であり、マルテンス硬さが80N/mm2以上の樹脂層である。また、下層5cのマルテンス硬さは、中層5bのマルテンス硬さ以下にすることで、加工性が向上し好ましい。なお、下層5cのマルテンス硬さを80N/mm2未満とした場合、耐傷性が低下し好ましくない。例えば、下層5cを構成する樹脂成分の主材料として電離放射線硬化性樹脂若しくは熱硬化性樹脂を使用することで、下層5cのマルテンス硬さを80N/mm2以上とすることが可能である。但し、電離放射線硬化性樹脂に比べ、熱硬化性樹脂の方が透明樹脂層4への密着性がよいため、下層5cを構成する樹脂成分の主材料は熱硬化性樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂のガラス転移点Tgが50℃未満の場合には、下層5cとして目的とするマルテンス硬さが確保できない可能性や、シート作製時における塗工が困難になる可能性がある。また、ガラス転移点Tgは、100℃以下であることが好ましい。ガラス転移点Tgが100℃より高い場合には、材料としての汎用性が低くコストが高くなるおそれがある。
また、乾燥後の塗布量が3μm以上10μm以下の範囲内となるように、下層5c用の塗工液を塗布することで、下層5bの層厚を3μm以上10μm以下の範囲内に設定することができる。下層5cの層厚を3μm未満とした場合、耐傷性が低下し好ましくない。
また図1に示したように、化粧シート1の表面保護層5は、少なくとも上層5aに対し、光沢調整剤として、粒径が4μm以上20μm以下の範囲内の球状粒子からなるフィラー51を含んでもよい。フィラー51の最適な粒径は、粒子の材質や、保護層の厚みで異なるが、表面保護層5の厚みの概ね二倍以下である。二倍を超えると表面保護層5からフィラー51の粒子が脱落しやすくなり耐傷性が低下する。
球状シリカは、1mL/g以上の細孔容積を有することが好ましい。細孔容積が大きいと耐傷性に優れる傾向を示すが、バインダ樹脂成分がシリカ細孔へ含侵することが影響すると考えられる。また、細孔容積が大きいシリカは、艶を落とす機能も大きく、光沢調整剤の必要添加量を減ずる効果も大きい。なお、光沢調整剤の含有量は、表面保護層5全体の質量に対して、1質量%以上30質量%以下の範囲内が好ましい。より好ましくは、2質量%以上20質量%以下の範囲内である。
接着層7の材料は特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系などの樹脂材料から適宜選択して用いることができる。塗工方法は接着剤の粘度などに応じて適宜選択することができるが、一般的には、グラビアコートが用いられ、絵柄模様層3の上面に対してグラビアコートによって塗布された後、透明樹脂層4とラミネートするようにされている。なお、接着層7は、透明樹脂層4と絵柄模様層3との接着強度が十分に得られる場合には、省略することができる。
また、化粧シート1に基材Bに対する隠蔽性を付与したい場合には、原反層2に着色シートを用いることや、別途不透明な隠蔽層8を設けることで対応可能である。隠蔽層8としては、基本的には絵柄模様層3と同じ材料から構成することができるが、隠蔽性を目的としているので、顔料としては、例えば不透明な顔料、酸化チタン、酸化鉄等を使用することが好ましい。また隠蔽性を上げるために、例えば、金、銀、銅、アルミ等の金属を添加することも可能である。一般的にはフレーク状のアルミを添加させることが多い。
本実施形態の化粧シート1を形成する際の積層方法は特に限定するものではなく、例えば、熱圧を応用した方法、押し出しラミネート方法およびドライラミネート方法など、一般的に用いられる公知の方法から適宜選択して形成することができる。エンボス模様4aを形成する場合には、一旦、上記積層方法によってラミネートした後に熱圧によってエンボス模様4aを入れる方法や、冷却ロールに凹凸模様を設けて押し出しラミネートと同時にエンボス模様4aを形成する方法を用いることができる。
本実施形態の化粧シート1は、表面保護層5のマルテンス硬さを適正な範囲に調整するとともに、表面保護層5の層厚を上層5aは、5μm以上10μm以下に、中層5b、および下層5cは3μm以上10μm以下に設定することで、耐傷性を高く設定しながら加工性も良好となる。このとき、本実施形態の化粧シート1は、表面保護層5(上層5a、中層5bおよび下層5b)のマルテンス硬さおよび層厚を規定することに加えて、透明樹脂層4のマルテンス硬さを40N/mm2以上とすることで、より確実に耐傷性が高くなるように設定している(後述の実施例を参照)。
<実施例1>
高結晶性ホモポリプロピレン樹脂100質量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010;BASF社製)を0.5質量部、トリアジン系紫外線吸収剤(CYASORB UV-1164;SUNCHEM製)を0.5質量部、NOR型光安定剤(Tinuvin XT850 FF;BASF社製)を0.5質量部それぞれ配合した樹脂を、押出機を用いて溶融押出しして、厚さ100μmの透明な高結晶性ポリプロピレンシートからなる、シート状の透明樹脂層4を製膜した。なお、押出時に温調管理することで、マルテンス硬さを40N/mm2とした。得られた透明樹脂層4の両面にコロナ処理を施し、シート表面の濡れ張力を40dyn/cm以上とした。
エンボス模様4aを施した透明樹脂層4に、熱硬化組成物1を乾燥後塗布量3μm(乾燥後の膜厚で記載する。以下同様)、熱硬化組成物2を乾燥後塗布量3μm、熱硬化組成物と電離放射線硬化性組成物の混合組成物を乾燥後塗布量5μmの厚さとなるように順次積層した。これにより、熱硬化による下層5cおよび中層5bの2層と、光硬化による上層5aの1層からなる表面保護層5を形成し、実施例1-1として総厚195μmの化粧シート1を得た。
表面保護層5を形成するために用いた熱硬化組成物1、熱硬化組成物2、熱硬化組成物と電離放射線硬化性組成物の混合組成物は、下記の通りである。
熱硬化組成物1は、下記のポリオール溶液Aに、下記の硬化剤、光沢調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤を配合して構成した。
・ポリオール溶液A
撹拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた四つ口フラスコ内に、メチルメタクリレートを60g、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを20g、ブチルアクリレートを20g導入し、酢酸エチル100gを加えて溶解し、油浴上で窒素雰囲気下撹拌した。これに0.2gのα,α’-アゾビスイソブチロニトリルを配合することで重合を開始し、60℃の油浴上で5時間加熱撹拌を続けて、無色、粘稠なポリオール溶液Aを得た。
配合:80質量部
・硬化剤
品名:デュラネート TSE-100(旭化成社製)
配合:5質量部
・光沢調整剤(無機粒子)
品名:サイロホービック702(富士シリシア化学(株)製)
性状:不定形、平均粒子径4μm、吸油量170mL/100g
配合:10質量部
・紫外線吸収剤
品名:Tinuvin 400(BASF社製)
配合:5.0質量部
・光安定剤
品名:Tinuvin 123(BASF社製)
配合:2.0質量部
・希釈溶剤
品名:酢酸エチル
配合:50質量部
熱硬化組成物2は、ポリオール溶液Aに、下記の硬化剤、光沢調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤を配合して構成した。
・ポリオール溶液A
配合:80質量部
・硬化剤
品名:タケネート D-110(三井化学社製)
配合:5質量部
・光沢調整剤(無機粒子)
品名:サイロホービック702(富士シリシア化学(株)製)
性状:不定形、平均粒子径4μm、吸油量170mL/100g
配合:10質量部
・紫外線吸収剤
品名:Tinuvin 400(BASF社製)
配合:5.0質量部
・光安定剤
品名:Tinuvin 123(BASF社製)
配合:2.0質量部
・希釈溶剤
品名:酢酸エチル
配合:50質量部
熱硬化組成物と電離放射線硬化性組成物の混合組成物は、下記のポリオール溶液BおよびUV樹脂に、下記の硬化剤、光開始剤、光沢調整剤、光安定剤を配合して構成した。
・ポリオール溶液B
撹拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた四つ口フラスコ内に、メチルメタクリレートを80g、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを20g、酢酸エチル100gを加えて溶解し、油浴上で窒素雰囲気下撹拌した。これに0.2gのα,α’-アゾビスイソブチロニトリルを配合することで重合を開始し、60℃の油浴上で5時間加熱撹拌を続けて、無色、粘ちょうなポリオール溶液Bを得た。
配合:80質量部
・UV樹脂
品名:UA-33H
性状:分子量1400、官能基数9
配合:60質量部
・硬化剤
品名:デュラネート 24A-100(旭化成社製)
配合:3質量部
・光開始剤
品名:イルガキュア184
配合:8質量部
・光沢調整剤(無機粒子)
品名:サイロホービック702(富士シリシア化学(株)製)
性状:不定形、平均粒子径4μm、吸油量170mL/100g
配合:10質量部
・光安定剤
品名:Tinuvin 123(BASF社製)
配合:2.0質量部
・希釈溶剤
品名:酢酸エチル
配合:60質量部
下層5cの乾燥後塗布量を10μmに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして実施例2の化粧シート1を得た。
<実施例3>
中層5bの乾燥後塗布量を10μmに置き換えた以外は、全て実施例2と同様にして実施例3の化粧シート1を得た。
<実施例4>
上層5aの乾燥後塗布量を10μmに置き換えた以外は、全て実施例3と同様にして実施例4の化粧シート1を得た。
上層5aの、熱硬化組成物と電離放射線硬化性組成物の混合組成物中のポリオール溶液およびUV樹脂を下記のように置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして実施例5の化粧シート1を得た。
・ポリオール溶液B
配合:20質量部
・UV樹脂
品名:U-6LPA
性状:分子量760、官能基数6
配合:90質量部
熱硬化組成物2中のポリオール溶液を下記のポリオール溶液Cに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして実施例6の化粧シート1を得た。
・ポリオール溶液C
撹拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた四つ口フラスコ内に、メチルメタクリレートを90g、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを10g、酢酸エチル100gを加えて溶解し、油浴上で窒素雰囲気下撹拌した。これに0.2gのα,α’-アゾビスイソブチロニトリルを配合することで重合を開始し、60℃の油浴上で5時間加熱撹拌を続けて、無色、粘稠なポリオール溶液Cを得た。
熱硬化組成物中の硬化剤を24A-100(旭化成社製)に置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして実施例7の化粧シート1を得た。
<実施例8>
透明樹脂層4のマルテンス硬さを70N/mm2とした以外は、全て実施例1と同様にして実施例8の化粧シート1を得た。
<実施例9>
熱硬化組成物および電離放射線硬化性組成物中の光沢調整剤をサイリシア430(富士シリシア化学(株)製、性状:不定形、平均粒子径4μm、吸油量230mL/100g)に置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして実施例9の化粧シート1を得た。
熱硬化組成物2中のポリオール溶液を下記のポリオール溶液Dに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして実施例10の化粧シート1を得た。
・ポリオール溶液D
撹拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた四つ口フラスコ内に、メチルメタクリレートを60g、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを20g、ブチルアクリレートを20g導入し、酢酸エチル100gを加えて溶解し、油浴上で窒素雰囲気下撹拌した。これに0.3gのα,α’-アゾビスイソブチロニトリルを配合することで重合を開始し、60℃の油浴上で5時間加熱撹拌を続けて、無色、粘稠なポリオール溶液Dを得た。
熱硬化組成物2中のポリオール溶液を下記のポリオール溶液Eに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして実施例11の化粧シート1を得た。
・ポリオール溶液E
撹拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた四つ口フラスコ内に、メチルメタクリレートを60g、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを20g、ブチルアクリレートを20g導入し、酢酸エチル100gを加えて溶解し、油浴上で窒素雰囲気下撹拌した。これに0.1gのα,α’-アゾビスイソブチロニトリルを配合することで重合を開始し、60℃の油浴上で5時間加熱撹拌を続けて、無色、粘稠なポリオール溶液Eを得た。
上層5aの乾燥後塗布量を4μmに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして比較例1の化粧シート1を得た。
<比較例2>
上層5aの乾燥後塗布量を11μmに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして比較例2の化粧シート1を得た。
<比較例3>
中層5bの乾燥後塗布量を2μmに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして比較例3の化粧シート1を得た。
中層5bの乾燥後塗布量を11μmに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして比較例4の化粧シート1を得た。
<比較例5>
下層5cの乾燥後塗布量を4μmに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして比較例5の化粧シート1を得た。
<比較例6>
下層5cの乾燥後塗布量を11μmに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして比較例6の化粧シート1を得た。
上層5aの、ポリオール溶液の配合量を120質量部に、UV樹脂の配合量を40質量部に置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして比較例7の化粧シート1を得た。
<比較例8>
上層5aの、ポリオール溶液の配合量を10質量部に、UV樹脂の配合量を95質量部に置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして比較例8の化粧シート1を得た。
<比較例9>
熱硬化組成物2中の硬化剤を24A-100(旭化成社製)に置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして比較例9の化粧シート1を得た。
熱硬化組成物2中の硬化剤をD-110(三井化学社製)に置き換えた以外は、全て実施例6と同様にして比較例10の化粧シート1を得た。
<比較例11>
熱硬化組成物1中の硬化剤をE405-70B(旭化成社製)に置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして比較例11の化粧シート1を得た。
<比較例12>
熱硬化組成物1中のポリオール溶液をポリオール溶液Cに、硬化剤を24A-100(旭化成社製)置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして比較例12の化粧シート1を得た。
<比較例13>
透明樹脂層4のマルテンス硬さを35N/mm2とした以外は、全て実施例1と同様にして比較例13の化粧シート1を得た。
マルテンス硬さの測定方法について説明する。各化粧シートのマルテンス硬さは、ISO14577に準拠したマルテンス硬さ測定装置(フィッシャースコープHM2000;株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)を用いて測定を行った。なお、測定は断面から行うため、サンプルについて化粧シート1を冷間硬化タイプのエポキシ樹脂やUV硬化性樹脂などの樹脂に包埋して十分に硬化させた後に、化粧シート1の断面が現れるように切断し、機械研磨を施すことによって測定面を得た。具体的な測定方法は、各サンプルの測定面に対して圧子を押し込み、その押し込み深さと荷重からマルテンス硬さを算出する。測定条件を、試験力10mN、試験力負荷所要時間10秒、試験力保持時間5秒として測定を行った。
上記の方法により得られた実施例1~11および比較例1~13の化粧シート1について、ウレタン系の接着剤を用いて木質の基材Bに貼り付けた後、鉛筆硬度試験および耐汚染性試験を行った。各評価試験の詳しい評価方法を下記に説明する。
試験方法はJIS-K5600に準拠し、4B、3B、2B、B、HB、F、H、2H、3Hの鉛筆を用い、化粧シート1に対して鉛筆の角度を45±1°に固定して、当該鉛筆に750gの荷重を負荷した状態でスライドさせて、化粧シート1に傷が形成されるか否かの判定をした。評価結果として、表1には、化粧シート1の表面に傷が付かない最高硬度の鉛筆硬度を表示した。なお、最高硬度が「H」、「2H」、「3H」であれば合格とした。
各化粧シート1の表面に、汚染物質として1%水酸化ナトリウムを滴下し、24時間放置した後、拭き取った。評価基準は次の通りである。
○:汚染残りが無かった。
×:明らかな汚染残りがあった。
基材Bの裏面から、基材Bと化粧シート1とを貼り合わせている境界までV型の溝を入れる。次に、化粧シート1の面が山折りとなるように基材Bを当該V型の溝に沿って90度まで曲げ、化粧シート1の表面の折れ曲がった部分に白化が生じていないかを目視で観察し、加工適性の優劣の評価を行う。加工適性の評価は下記のように行った。
○:白化なし
△:一部白化あり(製品として許容されるレベルの白化)
×:白化あり
したがって、上層5a、中層5b、下層5cおよび透明樹脂層4が以下の条件を満たすことで、より耐傷性および加工性に優れた化粧シート1を得られることがわかる。上層5aは、層厚が5μm以上10μm以下であり、マルテンス硬さが200N/mm2以上300N/mm2以下である。中層5bは、層厚が3μm以上10μm以下であり、マルテンス硬さが150N/mm2以上且つ上層5aのマルテンス硬さ以下である。下層5cは、層厚が3μm以上10μm以下であり、マルテンス硬さが80N/mm2以上且つ中層5bのマルテンス硬さ以下である。透明樹脂層4のマルテンス硬さが40N/mm2以上且つ下層5cのマルテンス硬さ以下である。
2 原反層
3 絵柄模様層
4 透明樹脂層
4a エンボス模様
5 表面保護層
5a 上層
5b 中層
5c 下層
6 プライマ層
7 接着層
8 隠蔽層
51 フィラー
B 基材
Claims (6)
- 透明樹脂層の上に表面保護層を有し、
前記表面保護層は、前記透明樹脂層側の下層と、前記下層の上に形成された中層と、さらに前記中層の上に形成された上層を有し、
前記上層は、層厚が5μm以上10μm以下であり、マルテンス硬さが200N/mm2以上300N/mm2以下であり、
前記中層は、層厚が3μm以上10μm以下であり、マルテンス硬さが150N/mm2以上且つ前記上層のマルテンス硬さ以下であり、
前記下層は、層厚が3μm以上10μm以下であり、マルテンス硬さが80N/mm2以上且つ前記中層のマルテンス硬さ以下であり、
前記透明樹脂層のマルテンス硬さが40N/mm2以上且つ前記下層のマルテンス硬さ以下であることを特徴とする化粧シート。 - 前記表面保護層は、少なくとも前記上層に疎水性無機材料からなる光沢調整剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
- 前記下層を構成する樹脂成分の主材料が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧シート。
- 前記中層を構成する樹脂成分の主材料が、熱硬化性樹脂と電離放射線硬化性樹脂の混合組成物または熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧シート。
- 前記上層を構成する樹脂成分の主材料が、熱硬化性樹脂と電離放射線硬化性樹脂の混合組成物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧シート。
- 前記下層の熱硬化性樹脂は、アクリルポリオールとイソシアネート硬化剤からなり、
前記下層のガラス転移点Tgが35℃以上100℃以下であり、
前記下層を構成する前記アクリルポリオールの重量平均分子量が20,000以上200,000以下であることを特徴とする請求項3に記載の化粧シート。
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