JP6711747B2 - 固定式等速自在継手 - Google Patents

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Description

この発明は、固定式等速自在継手に関する。
自動車や各種産業機械の動力伝達系を構成する等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸をトルク伝達可能に連結すると共に、前記二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達することができる。等速自在継手は、角度変位のみを許容する固定式等速自在継手と、角度変位および軸方向変位の両方を許容する摺動式等速自在継手とに大別され、例えば、自動車のエンジンから駆動車輪に動力を伝達するドライブシャフトにおいては、デフ側(インボード側)に摺動式等速自在継手が使用され、駆動車輪側(アウトボード側)には固定式等速自在継手が使用される。
固定式等速自在継手として、ツェッパ型等速自在継手やアンダーカットフリー型等速自在継手が知られている。近年、軽量・コンパクトを兼ね備えた8個ボールタイプのツェッパ型等速自在継手もあり、目的に応じて様々な固定式等速自在継手を使い分けている。
前述した固定式等速自在継手よりも高負荷容量化を図るべく、隣り合った対になる2つトラック溝が互いに平行な平面上に形成された固定式等速自在継手が提案されている(特許文献1)。
特許第4969758号公報
固定式等速自在継手の軽量、コンパクト化を図るためには、各構成部品の強度確保、その中でも特に、内側継手部材、保持器の強度確保が必要である。ツェッパ型等速自在継手やアンダーカットフリー型等速自在継手では、組立ての際、ボールをトラック溝に挿入するために使用領域以上に角度(組込み角)をとり、その角度でボールと保持器のポケット間で干渉しないように保持器のポケットの周方向長さを設定する必要がある。コンパクト化しても保持器のポケットの周方向長さは変わらないため、保持器の柱部が細くなり、保持器の強度確保が困難となる。また、コンパクト化を図るとボールとトラック溝との接触面圧を一定以下に抑えるために、ボールのピッチ円直径PCDを小さく、ボール径を大きく設定する必要があり、その結果、内側継手部材の球状外周面の端部の肉厚が薄くなり、内側継手部材の強度の確保が困難となる。
その解決手段として、特許文献1の等速自在継手では、対になった隣り合う2つのトラック溝が互いに平行な平面状に形成することによって、隣り合う2個のボールを保持器の1つのポケットに配置することで保持器の柱部を太くでき、内側継手部材の球状外周面の端部の肉厚を確保することにより、強度の向上を図っている。
しかし、特許文献1の等速自在継手のような対になった隣り合う2つのトラック溝が互いに平行な平面上に形成する形状では、常用角度域では、対になった片側のボール(ボール個数の半分)でしかトルクを伝達できないため、ボールとトラック溝との接触面圧が大きくなり、耐久性が低下する。この問題に着目したのが本発明である。
上記のような問題に鑑み、本発明は、常用角度域から高角度域まで大きな負荷容量を確保できる軽量・コンパクトな固定式等速自在継手を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の目的を達成するために種々検討した結果、常用角度域は、継手の軸線を含む平面上にトラック溝部を配置すると共に、高角度域は、間隔をもった互いに平行な平面上に対になった隣り合うトラック溝部を配置し、両トラック溝部を滑らかに接続するという新たな着想を行い、本発明に至った。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、球状内周面に長手方向に延びる複数のトラック溝が形成され、軸方向に離間する開口側と奥側を有する外側継手部材と、球状外周面に長手方向に延びる複数のトラック溝が前記外側継手部材のトラック溝に対向して形成された内側継手部材と、対向する各トラック溝間に組込まれたトルク伝達ボールと、このトルク伝達ボールを保持し、前記外側継手部材の球状外周面と前記内側継手部材の球状外周面に案内される保持器とからなる固定式等速自在継手において、前記外側継手部材(2)のトラック溝(7)は、第1の2対のトラック溝(7A1、7B1、7A3、7B3)と第2の2対のトラック溝(7A2、7B2、7A4、7B4)から構成され、前記第1の2対のトラック溝(7A1、7B1、7A3、7B3)は、それぞれ、継手の軸線(N−N)を含む第1の平面(PT1)の両側に間隔をおいて配置され、かつ、この第1の平面(PT1)を基準して互いに対称に形成され、前記第2の2対のトラック溝(7A2、7B2、7A4、7B4)は、それぞれ、前記継手の軸線(N−N)を含み、前記第1の平面(PT1)に直交する第2の平面(PT2)の両側に間隔をおいて配置され、この第2の平面(PT2)を基準にして互いに対称に形成され、前記トラック溝(7)は、それぞれ、常用角度域トラック溝部(7f)と、高角度域トラック溝部(7h)と、これら両トラック溝部(7f、7h)間を滑らかに繋ぐ遷移トラック溝部(7t)とからなり、前記第1の2対のトラック溝(7A1、7B1、7A3、7B3)の前記高角度域トラック溝部(7h)の軌道中心線(Xh)を含む平面(B1、B1’)は、それぞれ、前記第1の平面(PT1)に対して平行に形成され、前記第2の2対のトラック溝(7A2、7B2、7A4、7B4)の前記高角度域トラック溝部(7h)の軌道中心線(Xh)を含む平面(B2、B2’)は、前記第2の平面(PT2)に対して平行に形成され、前記第1の2対のトラック溝(7A1、7B1、7A3、7B3)の前記常用角度域トラック溝部(7f)の軌道中心線(Xf)を含む平面(A1、A1’)は、前記継手の軸線(N−N)を中心として前記第1の平面(PT1)に対して角度をもって形成されており、前記第2の2対のトラック溝(7A2、7B2、7A4、7B4)の前記常用角度域トラック溝部(7f)の軌道中心線(Xf)を含む平面(A2、A2’)は、前記継手の軸線(N−N)を中心として前記第2の平面(PT2)に対して角度をもって形成されており、前記外側継手部材の少なくとも前記常用角度域トラック溝部(7f)は曲線状の軌道中心線(Xf)を有し、その曲率中心(O1)が継手中心(O)に対して軸方向にオフセットされており、前記内側継手部材(3)のトラック溝(9)の軌道中心線(Y)は、作動角0°の状態で継手中心(O)を含み継手の軸線(N−N)に直交する平面(P)を基準として、前記外側継手部材(2)の対となるトラック溝(7)の軌道中心線(X)と鏡像対称に形成されていることを特徴とする。ここで、本明細書および特許請求の範囲において、トラック溝の軌道中心線とは、トラック溝に沿ってトルク伝達ボールが移動するときのトルク伝達ボールの中心の軌跡を意味する。
上記の構成により、常用角度域から高角度域まで大きな負荷容量を確保できる軽量・コンパクトな固定式等速自在継手を実現することができる。
具体的には、上記の外側継手部材(7)の高角度域トラック溝部(7h)も曲線状の軌道中心線(Xh)を有し、その曲率中心(O3)が継手中心(O)に対して軸方向にオフセットされていることが好ましい。これにより、常用角度域トラック溝部(7f)、高角度域トラック溝部(7h)、遷移トラック溝部(7t)の各軌道中心線が滑らかな形状となり、加工面で有利である。
上記の外側継手部材の常用角度域トラック溝部(7f)の軌道中心線(Xf)の曲率中心(O1)と高角度域トラック溝部(7h)の軌道中心線(Xh)の曲率中心(O3)が、それぞれ、継手中心(O)に対して外側継手部材の奥側にオフセットされていることが好ましい。これにより、トラック溝間のくさび角によるボールの軸方向力が外側継手部材の基部となる奥側に作用するので、強度面で安定する。
上記の常用角度域トラック溝部(7f)の軌道中心線(Xf)の曲率中心(O1)の軸方向のオフセット量と、高角度域トラック溝部(7h)の軌道中心線(Xh)の曲率中心(O3)の軸方向のオフセット量が等しいことが好ましい。この場合は、常用角度域トラック溝部(7f)、高角度域トラック溝部(7h)、遷移トラック溝部(7t)の各軌道中心線がさらに滑らかな形状となり、加工面で一層有利である。
上記対になるトラック溝(7A1、7B1、7A2、7B2、7A3、7B3、7A4、7B4)の中心間の角度(β1)が、互いに隣接した対のトラック溝(7B1、7A2、7B2、7A3、7B3、7A4、7B4、7A1)の中心間の角度(β2)よりも小さくしたことにより、2個のボールを保持器のポケットに収容するために好適な構成となる。
上記の保持器(5)が、対になるトラック溝(7A1、7B1、7A2、7B2、7A3、7B3、7A4、7B4)に組込まれた2個のボールを収容するポケットを有することにより、保持器の柱部の幅を増加させて、強度を向上させることができる。
本発明によれば、常用角度域から高角度域まで大きな負荷容量を確保できる軽量・コンパクトな固定式等速自在継手を実現することができる。
本発明の一実施形態に係る固定式等速自在継手を示し、(a)図は、図2(a)のA1−A1線に沿った縦断面図で、(b)図は、図2(a)のB1−B1線に沿った断面図である。 (a)図は、図1(a)の右側面図で、(b)図は、図1(a)のC−C線で矢視した横断面図である。 図1(a)の外側継手部材、保持器および内側継手部材の分解斜視図である。 (a)図は、図1(a)の外側継手部材の右側面図で、(b)図は、(a)図のA1−N線に沿った縦断面図で、(c)図は、(a)図のB1−N’線に沿った断面図である。 図4(a)のB1−N’−B1線に沿った外側継手部材の断面を含む正面図である。 (a)図は、図1(a)の内側継手部材の右側面図で、(b)図は、(a)図のA1−N線に沿った縦断面図で、(c)図は、(a)図のB1−N’線に沿った断面図である。 図6(a)の内側継手部材の正面図である。 (a)図は、図6(b)のD−D線で矢視した断面図で、(b)図は、図6(c)のE−E線で矢視した断面図である。
本発明の一実施形態に係る固定式等速自在継手を図1〜図8に基づいて説明する。図1(a)は、本実施形態に係る固定式等速自在継手を示し、図2(a)のA1−A1線に沿った縦断面図で、図1(b)は、図2(a)のB1−B1線に沿った断面図である。図2(a)は、図1(a)の右側面図で、図2(b)は、図1(a)のC−C線で矢視した横断面図で、トルク伝達ボールを除いた状態で図示している。
本実施形態の固定式等速自在継手1は、外側継手部材2、内側継手部材3、トルク伝達ボール(単に、ボールともいう)4および保持器5を主な構成とする。図2(a)、図2(b)に示すように、外側継手部材2の球状内周面6には4対のトラック溝7A1、7B1、7A2、7B2、7A3、7B3、7A4、7B4が長手方向に形成されている。内側継手部材3の球状外周面8には、外側継手部材2のトラック溝7A1、7B1、7A2、7B2、7A3、7B3、7A4、7B4と対向する4対のトラック溝9A1、9B1、9A2、9B2、9A3、9B3、9A4、9B4が長手方向に形成されている。外側継手部材2のトラック溝7と内側継手部材3のトラック溝9との間にトルクを伝達する8個のボール4が1個ずつ組み込まれている。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、外側継手部材2のトラック溝7A1、7B1、7A2、7B2、7A3、7B3、7A4、7B4を総称する場合は符号7を用い、内側継手部材3のトラック溝9A1、9B1、9A2、9B2、9A3、9B3、9A4、9B4を総称する場合は符号9を用いる。また、トラック溝7A1、7A2、7A3、7A4および7B1、7B2、7B3、7B4を総称する場合は、符号7A、7Bを用いる。内側継手部材3の場合も同じ要領とする。また、後述する常用角度域トラック溝部、高角度域トラック溝部、遷移トラック溝部の符号についても同じ要領とする。
外側継手部材2の球状内周面6と内側継手部材3の球状外周面8の間に、ボール4を保持する保持器5が配置されている。ボール4は保持器5のポケット5aに収容されている。保持器5の球状外周面12は外側継手部材2の球状内周面6に摺動自在に嵌合し、保持器5の球状内周面13は内側継手部材3の球状外周面8に摺動自在に嵌合し、案内される。
図2(a)、図2(b)に示すように、外側継手部材2の4対のトラック溝7A1、7B1、7A2、7B2、7A3、7B3、7A4、7B4は、第1の2対のトラック溝7A1、7B1、7A3、7B3と第2の2対のトラック溝7A2、7B2、7A4、7B4とから構成されている。同様に、内側継手部材3の4対のトラック溝9A1、9B1、9A2、9B2、9A3、9B3、9A4、9B4は、第1の2対のトラック溝9A1、9B1、9A3、9B3と第2の2対のトラック溝9A2、9B2、9A4、9B4とから構成されている。
外側継手部材2の第1の2対のトラック溝7A1、7B1、7A3、7B3は、継手の軸線N−Nを含む第1の平面PT1の両側に間隔をおいて配置され、第1の平面PT1を基準にして互いに対称に形成されている。外側継手部材2の第2の2対のトラック溝7A2、7B2、7A4、7B4は、継手の軸線N−Nを含み、第1の平面PT1に直交する第2の平面PT2の両側に間隔をおいて配置され、第2の平面PT2を基準にして互いに対称に形成されている。
同様に、内側継手部材2の第1の2対のトラック溝9A1、9B1、9A3、9B3は、継手の軸線N−Nを含む第1の平面PT1の両側に間隔をおいて配置され、第1の平面PT1を基準にして互いに対称に形成されている。内側継手部材2の第2の2対のトラック溝9A2、9B2、9A4、9B4は、継手の軸線N−Nを含み、第1の平面PT1に直交する第2の平面PT2の両側に間隔をおいて配置され、第2の平面PT2を基準にして互いに対称に形成されている。
図1(a)に示すように、外側継手部材2のトラック溝7の継手中心Oの軸方向近傍の常用角度域に常用角度域トラック溝部7fが形成されている。図示の常用角度域トラック溝部7fは、具体的には、トラック溝7A1の常用角度トラック溝であるので、正確には常用角度域トラック溝部7A1fである。常用角度域トラック溝部7A1fは曲線状の軌道中心線Xfを有し、軌道中心線Xfの曲率中心O1は継手中心Oから奥側にf1の量で軸方向にオフセットしている。図2(a)に示すように、常用角度域トラック溝部7A1fの軌道中心線Xfを含む平面A1は、継手の軸線N−Nを中心として第1の平面PT1に対して角度β1/2をもって形成されている。
ここで、外側継手部材2の常用角度域トラック溝部7fの説明において、図面との整合性を正確にするため、特定の常用角度域トラック溝部7A1fを例にして説明したが、その内容は、他の常用角度域トラック溝部7fにおいても同様である。すなわち、外側継手部材2の4対のトラック溝7A1、7B1、7A2、7B2、7A3、7B3、7A4、7B4のうち、トラック溝7A1、7A2、7A3、7A4は互いに同一形状であり、トラック溝7B1、7B2、7B3、7B4は互いに同一形状である。そして、第1の平面PT1を基準にしてトラック溝7A1、7B1およびトラック溝7A3、7B3が対称であり、第2の平面PT2を基準にしてトラック溝7A2、7B2およびトラック溝7A4、7B4が対称である。したがって、トラック溝7A1、7A2、7A3、7A4とトラック溝7B1、7B2、7B3、7B4とは、第1の平面PT1あるいは第2の平面PT2を基準にして対称であるという関係を除けば、各トラック溝7の形状は同一形状であり、各トラック溝7の常用角度域トラック溝部7fも同一形状である。このため、上述した特定の常用角度域トラック溝部7A1fについての説明内容は、他の常用角度域トラック溝部7fにおいても同様に適用することができる。上記のトラック溝や常用角度域トラック溝部の形状の関係は内側継手部材2についても同じである。また、後述する高角度域トラック溝部及び遷移トラック溝部の形状の関係についても同じである。したがって、以降の説明は、同じ要領とする。
図1(a)に示すように、内側継手部材3のトラック溝9の継手中心Oの軸方向近傍の常用角度域に常用角度域トラック溝部9A1fが形成されている。常用角度域トラック溝部9A1fは曲線状の軌道中心線Yfを有し、軌道中心線Yfの曲率中心O2は継手中心Oから開口側にf1だけ軸方向にオフセットしている。内側継手部材3の常用角度域トラック溝部9A1fの軌道中心線Yfの曲率中心O2と外側継手部材2の常用角度域トラック溝部7A1fの軌道中心線Xfの曲率中心O1は、継手中心Oに対して軸方向の反対側に等距離f1の量でオフセットしている。図2(a)に示すように、内側継手部材3の常用角度域トラック溝部9fの軌道中心線Yfを含む平面A1は、継手の軸線N−Nを中心として第1の平面PT1に対して角度β1/2をもって形成されている。
図1(b)に示すように、外側継手部材2のトラック溝7の継手の開口側および奥側の高角度域に高角度域トラック溝部7hが形成されている。高角度域トラック溝部7A1hは曲線状の軌道中心線Xhを有する。図2(a)に示すように、高角度域トラック溝部7A1hの軌道中心線Xhを含む平面B1は、第1の平面PT1に対して平行に形成されている。第1の平面PT1上の継手軸線N−Nおよび継手中心Oを図面の水平方向に平面B1に投影したのが、投影軸線N’−N’および投影中心O’である。高角度域トラック溝部7A1hの曲線状の軌道中心線Xhの曲率中心O3は、投影中心O’に対して、投影軸線N’−N’に沿って軸方向の奥側にf2だけオフセットされている。
同様に、内側継手部材3のトラック溝9の開口側および奥側の高角度域に高角度域トラック溝部9hが形成されている。高角度域トラック溝部9hは曲線状の軌道中心線Yhを有する。図2(a)に示す平面B1は、内側継手部材3の高角度域トラック溝部9A1hの軌道中心線Yhも含んでいる。高角度域トラック溝部9A1hの曲線状の軌道中心線Yhの曲率中心O4は、投影中心O’に対して、投影軸線N’−N’に沿って軸方向の開口側にf2だけオフセットされている。内側継手部材3の高角度域トラック溝部9A1hの軌道中心線Yhの曲率中心O4と外側継手部材2の高角度域トラック溝部7A1hの軌道中心線Xhの曲率中心O3は、投影中心O’に対して投影軸線N’−N’に沿って軸方向の反対側に等距離f2でオフセットしている。内側継手部材3の高角度域トラック溝部9A1hの軌道中心線Yhを含む平面B1は、第1の平面PT1に対して平行に形成されている。
図2(a)に示すように、外側継手部材2の第1の2対のトラック溝7A1、7B1、7A3、7B3および第2の2対のトラック溝7A2、7B2、7A4、7B4の対になるトラック溝7A1、7B1の中心間、7A3、7B3の中心間、7A2、7B2の中心間、7A4、7B4の中心間の角度は、いずれもβ1に設定されている。これに対して、互いに隣接した対のトラック溝7B1、7A2の中心間、7B2、7A3の中心間、7B3、7A4の中心間、7B4、7A1の中心間の角度はβ2に設定されている。本実施形態の外側継手部材2では、対になるトラック溝の中心間の角度β1を隣接した対のトラック溝の中心間の角度β2よりも小さく設定している。内側継手部材2のトラック溝9の中心間の角度関係についても同じである。
対になるトラック溝の中心間の角度β1を小さくすることにより、図2(b)に示すように、保持器5のポケット5aの周方向長さを抑制しつつ、対になるトラック溝に組込まれた2個のボール4を1つのポケット5aに収容することができる。これにより、保持器5の柱部5bの幅を増加させて、強度を向上させることができる。
ここで、対になるトラック溝の中心間の角度β1を小さくできる理由を説明する。前述したように、外側継手部材2および内側継手部材3の高角度域トラック溝部7h、9hの軌道中心線Xh、Yhは、それぞれ平面B1、B1’、B2、B2’上に配置されている。平面B1、B1’は第1の平面PT1に平行に形成され、平面B2、B2’は第2の平面PT2に平行に形成されている。すなわち、高角度域トラック溝部7h、9hの軌道中心線Xh、Yhは、第1の平面PT1あるいは第2の平面PT2に平行に形成されている。このため、高角時の強度確保に特に関係する内側継手部材3の端部のトラック溝9A、9B間のリブ部3a〔図2(a)参照〕の肉厚減少が生じなく、かつ、トラック溝9と内周孔(中間シャフトとの連結孔)との最小肉厚が増加する。このため、対になるトラック溝の中心間の角度β1を小さくすることができる。
図1(a)、図1(b)に示す外側継手部材2および内側継手部材3のトラック溝7、9の常用角度域トラック溝部7f、9fと高角度域トラック溝部7h、9hとの間は遷移トラック溝部7t、9t(図3参照)により滑らかに接続される。
図3は本実施形態の固定式等速自在継手1を分解した斜視図である。外側継手部材2および内側継手部材3のトラック溝7、9の常用角度域トラック溝部7f、9f、高角度域トラック溝部7h、9h、およびこれらの間を滑らかに接続する遷移トラック溝部7t、9tの概要が図示されている。図3において、各トラック溝7、9の二点鎖線は溝底を示す。保持器5には、ボール4を2個ずつ収容する(図示省略)ポケット5aが周方向に等間隔で4個設けられている。これにより、保持器5の柱部5bの幅を増加させて、強度を向上させている。
次に、外側継手部材2のトラック溝7の詳細を図4、図5に基づいて説明する。図4(a)は、図1(a)の外側継手部材の右側面図で、図4(b)は、図4(a)のA1−N線に沿った縦断面図で、図4(c)は、図4(a)のB1−N’線に沿った断面図である。図5は、図4(a)のB1−N’−B1線に沿った断面図である。
図4(b)に示すように、外側継手部材2のトラック溝7A1の常用角度域トラック溝部7A1fの軌道中心線Xfは曲線状に形成され、その曲率中心O1は継手中心Oから奥側にf1の距離で軸方向にオフセットされている。そして、常用角度域トラック溝部7A1fは、継手中心Oを中心にして開口側および奥側へ角度θ1の範囲で形成されている。
ここで、常用角度域トラック溝部7f(7A1f)の範囲を規定する角度θ1について説明する。作動角θ(図示省略)を取ったとき、外側継手部材2および内側継手部材3の継手中心Oを含み、継手軸線N−Nに垂直な平面Pに対して、ボール4がθ/2だけ移動する。ここで、常用角度域について定義する。継手の常用角とは、水平で平坦な路面上で1名乗車時の自動車において、ステアリングを直進状態にした時にフロント用ドライブシャフトの固定式等速自在継手で生じる作動角をいう。常用角は、通常、2°〜15°の間で車種ごとの設計条件に応じて選択・決定される。そして、上記の自動車が、連続走行する曲線道路などで固定式等速自在継手に生じる作動角も使用頻度の多い作動角となる。この使用頻度の多い作動角も車種ごとの設計条件に応じて決定されが、使用頻度の多い作動角は最大20°を目処とする。本明細書および特許請求の範囲において、常用角度域とは、上記の使用頻度の多い作動角を含む意味で用いる。実用性を考慮して、常用角度域トラック溝部7f(7A1f)の範囲を規定する角度θ1は3°〜10°に設定する。ただし、角度θ1は3°〜10°に限定されるものではなく、車種の設計条件に応じて適宜設定することができる。角度θ1を3°〜10°に設定することで種々の車種に汎用することができる。
図4(c)に示すように、高角度域トラック溝部7A1hの軌道中心線Xhは曲線状に形成され、その曲率中心O3は、投影中心O’から奥側にf2の量で軸方向にオフセットされている。そして、高角度域トラック溝部7A1hは、投影中心O’を中心にして開口側および奥側において角度θ2以上の範囲で形成されている。前述したように、投影軸線N’−N’および投影中心O’は、第1の平面PT1上の継手軸線N−Nおよび継手中心Oを図面の水平方向に平面B1に投影したものである。
ここで、高角度域トラック溝部7h(7A1h)の範囲を規定する角度θ2について説明する。継手の高角度域とは、自動車が、例えば、交差点の右折・左折時、車庫入れ時などに生じる35°以上の高作動角をいい、車種ごとの設計条件に応じて選択・決定される。本明細書および特許請求の範囲において、高角度域とは上記の意味で用いる。実用性を考慮して、高角度域トラック溝部7A1hの範囲を規定する角度θ2は17.5°に設定する。ただし、角度θ2は17.5°に限定されるものではなく、車種の設計条件に応じて適宜設定することができる。角度θ2を17.5°に設定することで種々の車種に汎用することができる。
本実施形態における外側継手部材2のトラック溝7では、常用角度域トラック溝部7A1fの曲線状の軌道中心線Xfの曲率中心O1のオフセット量f1と高角度域トラック溝部7A1hの曲線状の軌道中心線Xhの曲率中心O3のオフセット量f2を同じ値に設定している。ただし、これに限られず、オフセット量f1とf2を異なる値にしてもよい。
外側継手部材2のトラック溝7の常用角度域トラック溝部7fと高角度域トラック溝部7hの間を接続する遷移トラック溝部7tを図5に基づいて説明する。図5では、外側継手部材2の球状内周面6の正面位置にトラック溝7A2、7B2が図示されている。ここでは、トラック溝7A2を例にとって説明する。トラック溝7A2に図示された二点鎖線は、常用角度域トラック溝部7A2f、高角度域トラック溝部7A2hおよび遷移トラック溝部7A2tの各溝底を示す。
常用角度域トラック溝部7A2fの軌道中心線Xfを含む平面A1〔図4(a)、図4(b)参照〕は、継手軸線N−Nを中心として第1の平面PT1に対して角度β1/2をもって形成されているので、図5では、常用角度域トラック溝部7A2fの溝底は、溝幅の上方に偏った状態で図示される。常用角度域トラック溝部7A2fは軸方向の範囲Lfoに位置する。軸方向の範囲Lfoは、図4(b)で前述した角度θ1の範囲に対応している。
一方、高角度域トラック溝部7A2hの軌道中心線Xhを含む平面B1〔図4(a)、図4(c)参照〕は、第1の平面PT1に対して平行に形成されているので、図5では、高角度域トラック溝部7A2hの溝底は、溝幅の中央位置に図示される。高角度域トラック溝部7A2hは軸方向の範囲Lhoに位置する。軸方向の範囲Lhoは、図4(c)で前述した角度θ2以上の範囲に対応している。
上記のような配置関係であるので、常用角度域トラック溝部7A2fの軌道中心線Xfの端部と、対向する高角度域トラック溝部7A2hの軌道中心線Xhの端部は、互いに捩じれた状態になっている。
上記のような互いに捩じれた状態になっている常用角度域トラック溝部7A2fの軌道中心線Xfの端部と、高角度域トラック溝部7A2hの軌道中心線Xhの端部との間を滑らかに接続する軌道中心線(図示省略)を有するのが遷移トラック溝部7A2tである。遷移トラック溝部7A2tの軌道中心線は3次元的に湾曲した曲線で形成されている。遷移トラック溝部7A2tは、後述する内側継手部材3の遷移トラック溝部と対向して外側継手部材2の奥側に向かって広がるくさび状トラックを形成する。遷移トラック溝部7A2tは軸方向の範囲Ltoに位置する。
次に、内側継手部材3のトラック溝9の詳細を図6〜図8に基づいて説明する。図6(a)は、図1(a)の内側継手部材の右側面図で、図6(b)は、図6(a)のA1−N線に沿った縦断面図で、図6(c)は、図6(a)のB1−N’線に沿った断面図である。図7は、図6(a)の上側から見た内側継手部材の正面図である。図8(a)は、図6(b)のD−D線で矢視した断面図で、図8(b)は、図6(c)のE−E線で矢視した断面図である。
内側継手部材3のトラック溝9の軌道中心線Yは、作動角0°の状態で継手中心Oを含み継手軸線に直交する平面Pを基準として、外側継手部材2の対となるトラック溝7の軌道中心線Xと鏡像対称に形成されている。具体的には、図6(b)に示すように、内側継手部材3のトラック溝9A1の常用角度域トラック溝部9A1fの軌道中心線Yfは曲線状に形成され、その曲率中心O2は継手中心Oから開口側にf1の量で軸方向にオフセットされている。そして、常用角度域トラック溝部9A1fは、継手中心Oを中心にして開口側および奥側へ角度θ1の範囲で形成されている。内側継手部材3の常用角度域トラック溝部9f(9A1f)の範囲を規定する角度θ1および常用角度域の定義については、外側継手部材2おいて前述した内容と同じである。
図6(c)に示すように、高角度域トラック溝部9A1hの軌道中心線Yhは曲線状に形成され、その曲率中心O4は、投影中心O’から開口側にf2の量で軸方向にオフセットされている。そして、高角度域トラック溝部9A1hは、投影中心O’を中心にして開口側および奥側において角度θ2以上の範囲で形成されている。前述したように、投影軸線N’−N’および投影中心O’は、第1の平面PT1上の継手軸線N−Nおよび継手中心Oを図面の水平方向に平面B1に投影したものである。内側継手部材3の高角度域トラック溝部9h(9A1h)の範囲を規定する角度θ2および高角度域の定義については、外側継手部材2おいて前述した内容と同じである。
内側継手部材3のトラック溝9においても、常用角度域トラック溝部9A1fの曲線状の軌道中心線Yfの曲率中心O2のオフセット量f1と高角度域トラック溝部9A1hの曲線状の軌道中心線Yhの曲率中心O4のオフセット量f2を同じ値に設定している。ただし、これに限られず、オフセット量f1とf2を異なる値にしてもよい。
内側継手部材3のトラック溝9の常用角度域トラック溝部9fと高角度域トラック溝部9hの間を接続する遷移トラック溝部9tを図7に基づいて説明する。図7では、内側継手部材3の球状外周面8の正面位置にトラック溝9A1、9B1が図示されている。ここでは、トラック溝9A1を例にとって説明する。図7においても、トラック溝9A1に図示された二点鎖線は、常用角度域トラック溝部9A1f、高角度域トラック溝部9A1hおよび遷移トラック溝部9A1tの各溝底を示す。
常用角度域トラック溝部9A1fの軌道中心線Xfを含む平面A1〔図6(a)、図6(b)参照〕は、継手軸線N−Nを中心として第1の平面PT1に対して角度β1/2をもって形成されているので、図7では、常用角度域トラック溝部9A1fの溝底は、溝幅の上方に偏った状態で図示される。常用角度域トラック溝部9A1fは軸方向の範囲Lfiに位置する。軸方向の範囲Lfiは、図6(b)で前述した角度θ1の範囲に対応している。
一方、高角度域トラック溝部9A1hの軌道中心線Yhを含む平面B1〔図6(a)、図6(c)参照〕は、第1の平面PT1に対して平行に形成されているので、図7では、高角度域トラック溝部9A1hの溝底は、溝幅の中央位置に図示される。高角度域トラック溝部9A1hは軸方向の範囲Lhiに位置する。軸方向の範囲Lhiは、図6(c)で前述した角度θ2以上の範囲に対応している。
上記のような配置関係であるので、常用角度域トラック溝部9A1fの軌道中心線Yfの端部と、対向する高角度域トラック溝部9A1hの軌道中心線Yhの端部は、互いに捩じれた状態になっている。
上記のような互いに捩じれた状態になっている常用角度域トラック溝部9A1fの軌道中心線Yfの端部と、高角度域トラック溝部9A1hの軌道中心線Yhの端部との間を滑らかに接続する軌道中心線を有するのが遷移トラック溝部9A1tである。遷移トラック溝部9A1tの軌道中心線は3次元的に湾曲した曲線で形成されている。遷移トラック溝部9A1tは軸方向の範囲Ltiに位置する。
以上のように、内側継手部材3のトラック溝9の軌道中心線Yは、作動角0°の状態で継手中心Oを含み継手軸線に直交する平面Pを基準として、外側継手部材2の対となるトラック溝7の軌道中心線Xと鏡像対称に形成されている。
常用角度域トラック溝部9fと高角度域トラック溝部9hにおけるボール4とトラック溝との接触状態を図8に基づいて説明する。図8(a)は、ボール4が常用角度域トラック溝部9fに位置する状態を示し、図8(b)は、ボール4が高角度域トラック溝部9hに位置する状態を示す。
図8(a)に示すように、ボール4と常用角度域トラック溝部9fは、常用角度域トラック溝部9B1fに図示のように、継手の軸線N−Nを含む平面A1、A1’に対して接触角αをもって接触している。そのため、常用角度域では、対の常用角度域トラック溝部9A1f、9B1fの両側のボールがトルク伝達することができる。すなわち、8個のボールの全てがトルク伝達できるので、ボール4と常用角度域トラック溝部9fとの接触面圧が小さくなり、耐久性が向上する。図示は省略するが、外側継手部材2の常用角度域トラック溝部7fとボール4との接触状態も上記と同様であり、本実施形態の固定式等速自在継手1は、常用角度域の負荷容量、耐久性を確保することができる。
図8(b)に示すように、ボール4と高角度域トラック溝部9hは、高角度域トラック溝部9B1hに図示のように、第1の平面PT1に平行な平面B1、B1’に対して接触角αをもって接触している。そのため、高角度域では、対の高角度域トラック溝部9A1h、9B1hのうちの片側のボールがほとんどのトルクを伝達する。
具体的には、図8(b)において、高角度域トラック溝部9B1hでは、内側継手部材3を白抜き矢印の方向に回転させトルクを負荷した場合、平面B1’上のボール4’に発生するトルク伝達方向ベクトルf’とボール4’と高角度域トラック溝部9B1hの接触方向ベクトルb’は大きな角度、すなわち直線に近い状態で交わるのに対し、平面B1上のボール4に発生するトルク伝達方向ベクトルfと高角度域トラック溝部9A1hの接触方向ベクトルbは小さな角度、すなわち屈曲した状態で交わる。そのため、対の高角度域トラック溝部9A1h、9B1hのうち、高角度域トラック溝部9B1hのボール4’がほとんどのトルクを伝達し、高角度域トラック溝部9A1hのボール4は、ほとんどトルク伝達できないことになる。このように、高角度域では、対の高角度域トラック溝部9A1h、9B1hのうちの片側のボール(8個のボールの半分)がほとんどのトルクを伝達することになる。しかし、高角度域では、従来のツェッパ型等速自在継手であっても、半分程度のボールでしかトルク伝達することができないことから、ボールとトラック溝との接触面圧が不利になることはなく、高角時に強度確保に特に関係する内側継手部材3の端部のトラック溝9A、9B間のリブ部3a〔図2(a)参照〕の肉厚減少が生じなく、かつ、トラック溝9と内周孔との最小肉厚が増加し、負荷容量を確保することができる。
外側継手部材2の常用角度域トラック溝部7fとボール4との接触状態および高角度域トラック溝部7hとボール4との接触状態については図示を省略するが、上述した内側継手部材2の接触状態と同様である。
以上説明したように、本実施形態の固定式等速自在継手1は、要約すると、外側継手部材2と内側継手部材3が、それぞれ4対のトラック溝7、9を有し、各トラック溝7、9が継手の軸線N−Nを中心とする平面A1、A1’、A2、A2’上に軌道中心線Xf、Yfを配置した常用角度域トラック溝部7f、9fと、継手の軸線N−Nを含む平面PT1、PT2に平行な平面B1、B1’、B2、B2’に軌道中心線Xh、Yhを配置した高角度域トラック溝部7h、9hと、両トラック溝部7f、7h、9f、9hを滑らかに接続する遷移トラック溝部7t、9tとから構成されているので、常用角度域から高角度域まで大きな負荷容量を確保できる軽量・コンパクトな固定式等速自在継手1を実現することができる。
本実施形態では、高角度域トラック溝部7h、9hの曲線状の軌道中心線Xh、Yhの曲率中心O3、O4を投影軸線N’−N’上に配置したものを例示したが、これに限られず、投影軸線N’−N’から半径方向にオフセットさせたものや、高角度域トラック溝部7h、9hの曲線状の軌道中心線の曲率中心を外側継手部材2の半径方向外側に配置し、高角度域トラック溝部7h、9hの曲線状の軌道中心線をS字形状にしてもよい。さらに、高角度域トラック溝部7h、9hの軌道中心線を投影軸線N’−N’に平行な直線状にすることもできる。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 固定式等速自在継手
2 外側継手部材
3 内側継手部材
4 トルク伝達ボール
5 保持器
5a ポケット
6 球状内周面
7 トラック溝
7f 常用角度域トラック溝部
7h 高角度域トラック溝部
7t 遷移トラック溝部
7A トラック溝
7B トラック溝
8 球状外周面
9 トラック溝
9f 常用角度域トラック溝部
9h 高角度域トラック溝部
9t 遷移トラック溝部
9A トラック溝
9B トラック溝
12 球状外周面
13 球状内周面
A1 平面
A2 平面
B1 平面
B2 平面
N 継手の軸線
O 継手中心
P 平面
PT1 第1の平面
PT2 第2の平面
X 軌道中心線
Xf 軌道中心線
Xh 軌道中心線
Y 軌道中心線
β1 角度
β2 角度

Claims (6)

  1. 球状内周面に長手方向に延びる複数のトラック溝が形成され、軸方向に離間する開口側と奥側を有する外側継手部材と、球状外周面に長手方向に延びる複数のトラック溝が前記外側継手部材のトラック溝に対向して形成された内側継手部材と、対向する各トラック溝間に組込まれたトルク伝達ボールと、このトルク伝達ボールを保持し、前記外側継手部材の球状外周面と前記内側継手部材の球状外周面に案内される保持器とからなる固定式等速自在継手において、
    前記外側継手部材(2)のトラック溝(7)は、第1の2対のトラック溝(7A1、7B1、7A3、7B3)と第2の2対のトラック溝(7A2、7B2、7A4、7B4)から構成され、
    前記第1の2対のトラック溝(7A1、7B1、7A3、7B3)は、それぞれ、継手の軸線(N−N)を含む第1の平面(PT1)の両側に間隔をおいて配置され、かつ、この第1の平面(PT1)を基準して互いに対称に形成され、
    前記第2の2対のトラック溝(7A2、7B2、7A4、7B4)は、それぞれ、前記継手の軸線(N−N)を含み、前記第1の平面(PT1)に直交する第2の平面(PT2)の両側に間隔をおいて配置され、この第2の平面(PT2)を基準にして互いに対称に形成され、
    前記トラック溝(7)は、それぞれ、常用角度域トラック溝部(7f)と、高角度域トラック溝部(7h)と、これら両トラック溝部(7f、7h)間を滑らかに繋ぐ遷移トラック溝部(7t)とからなり、
    前記第1の2対のトラック溝(7A1、7B1、7A3、7B3)の前記高角度域トラック溝部(7h)の軌道中心線(Xh)を含む平面(B1、B1’)は、それぞれ、前記第1の平面(PT1)に対して平行に形成され、
    前記第2の2対のトラック溝(7A2、7B2、7A4、7B4)の前記高角度域トラック溝部(7h)の軌道中心線(Xh)を含む平面(B2、B2’)は、前記第2の平面(PT2)に対して平行に形成され、
    前記第1の2対のトラック溝(7A1、7B1、7A3、7B3)の前記常用角度域トラック溝部(7f)の軌道中心線(Xf)を含む平面(A1、A1’)は、前記継手の軸線(N−N)を中心として前記第1の平面(PT1)に対して角度をもって形成されており、
    前記第2の2対のトラック溝(7A2、7B2、7A4、7B4)の前記常用角度域トラック溝部(7f)の軌道中心線(Xf)を含む平面(A2、A2’)は、前記継手の軸線(N−N)を中心として前記第2の平面(PT2)に対して角度をもって形成されており、
    前記外側継手部材(2)の少なくとも前記常用角度域トラック溝部(7f)は曲線状の軌道中心線(Xf)を有し、その曲率中心(O1)が継手中心(O)に対して軸方向にオフセットされており、
    前記内側継手部材(3)のトラック溝(9)の軌道中心線(Y)は、作動角0°の状態で継手中心(O)を含み継手の軸線(N−N)に直交する平面(P)を基準として、前記外側継手部材(2)の対となるトラック溝(7)の軌道中心線(X)と鏡像対称に形成されていることを特徴とする固定式等速自在継手。
  2. 前記外側継手部材(2)の前記高角度域トラック溝部(7h)も曲線状の軌道中心線(Xh)を有し、その曲率中心(O3)が継手中心(O)に対して軸方向にオフセットされていることを特徴とする請求項1に記載の固定式等速自在継手。
  3. 前記外側継手部材(2)の前記常用角度域トラック溝部(7f)の軌道中心線(Xf)の曲率中心(O1)と前記高角度域トラック溝部(7h)の軌道中心線(Xh)の曲率中心(O3)が、それぞれ、継手中心(O)に対して前記外側継手部材(2)の奥側にオフセットされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固定式等速自在継手。
  4. 前記常用角度域トラック溝部(7f)の軌道中心線(Xf)の曲率中心(O1)の軸方向のオフセット量と、前記高角度域トラック溝部(7h)の軌道中心線(Xh)の曲率中心(O3)の軸方向のオフセット量が等しいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の固定式等速自在継手。
  5. 前記対になるトラック溝(7A1、7B1、7A2、7B2、7A3、7B3、7A4、7B4)の中心間の角度(β1)が、互いに隣接した対のトラック溝(7B1、7A2、7B2、7A3、7B3、7A4、7B4、7A1)の中心間の角度(β2)よりも小さいこと特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の固定式等速自在継手。
  6. 前記保持器(5)が、前記対になるトラック溝(7A1、7B1、7A2、7B2、7A3、7B3、7A4、7B4)に組込まれた2個のボールを収容するポケットを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の固定式等速自在継手。
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