JP6673252B2 - 有段式自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、有段式自動変速機の制御装置に関し、特に、目標変速特性に基づいて変速を実行する有段式自動変速機の制御装置に関するものである。
従来から、複数の摩擦係合要素の掛け替えにより変速ギヤ段を形成する有段式自動変速機では、実際の変速特性が目標変速特性と一致するように、摩擦係合要素の油圧制御が行われている。具体的には、目標変速特性は、通常、変速進行度((入力軸回転速度−変速前同期回転速度)/(変速後同期回転速度−変速前同期回転速度))に応じた入力軸回転速度の目標勾配を含んでいて、実際の入力軸回転速度の勾配が目標勾配と一致するように、摩擦係合要素の油圧制御が行われる。かかる目標変速特性では、変速初期(変速進行度が小さい場合)には油圧応答遅れを考慮して相対的に小さな目標勾配△1が、変速中盤(変速進行度が中程度の場合)には相対的に大きな目標勾配△2が、変速終盤(変速進行度が大きい場合)には吹き上がりを抑えるべく相対的に小さな目標勾配△3が設定されるのが一般的である。
ところで、目標変速特性は、アップシフトでは入力軸回転速度を下げるように設定される一方、ダウンシフトでは入力軸回転速度を上げるように設定されるが、例えば経年変化等により解放側摩擦係合要素の摩擦係数が小さくなると、ダウンシフトの際に、解放側摩擦係合要素の解放タイミングが締結側摩擦係合要素の締結タイミングに比べて早くなり過ぎ、吹き上がりが生じるという問題がある。
そこで、例えば特許文献1には、ダウンシフト時に、入力軸回転速度の吹き上がりを検知すると、目標変速時間が長くなるように補正することで、次回の変速時における吹き上がり状態を解消する自動変速機の制御装置が開示されている。
特開平11−210874号公報
ところで、上記のような目標変速特性に基づく変速制御では、アップシフトからダウンシフトまたはダウンシフトからアップシフトへ切替わる多重変速が変速初期に行われた場合には、変速完了までに要する時間が必要以上に長くなるという問題がある。なお、以下の説明では、便宜上、n速(nは正の整数)→n+1速のアップシフトおよびn+1速→n速のダウンシフトで、且つ、変速中の車速の変化がなく、アップシフトでの変速前同期回転速度ωBUとダウンシフトでの変速後同期回転速度ωADとが同じであると仮定する。
例えば、アップシフトの変速開始時には、変速機入力軸回転速度が、変速前同期回転速度ωBUから相対的に小さな目標勾配△U1で低下した後、変速中盤において相対的に大きな目標勾配△U2で低下するような目標変速特性が設定される。そうして、アップシフトにおける変速中盤に、換言すると、入力軸回転速度が変速前同期回転速度ωBUからある程度低下したときにダウンシフトに切替わり新たな目標変速特性が設定されると、入力軸回転速度と変速後同期回転速度ωADとに差があり、ダウンシフトにおける変速中盤に当たることから、相対的に大きな目標勾配△D2で更新設定後の変速が開始される。それ故、それ以降のダウンシフトでは、入力軸回転速度が、変速中盤において相対的に大きな目標勾配△D2で上昇した後、変速終盤において相対的に小さな目標勾配△D3で上昇しながら変速後同期回転速度ωADに至るように、油圧制御が行われるので、変速完了までに要する時間が必要以上に長くなるという問題は生じない。
これに対し、アップシフト初期に、換言すると、入力軸回転速度が変速前同期回転速度ωBUからほとんど低下していないときにダウンシフトに切替わり新たな目標変速特性が設定されると、入力軸回転速度と変速後同期回転速度ωADとの差が小さく、ダウンシフトにおける変速終盤に当たってしまうため、係合完了に向けた相対的に小さな目標勾配△D3で更新設定後の変速が開始されることになる。
しかも、アップシフトからダウンシフトに切替わっても、摩擦係合要素の油圧応答遅れにより、アップシフト方向に変速が進行(ダウンシフトにおける変速進行度が低下)することがある。このような変速進行度の低下が生じても、アップシフト初期にダウンシフトに切替わった場合には、相対的に小さな目標勾配△D3しかバッファ(記憶)されていないため、入力軸回転速度がなかなか上昇せず、変速完了までに要する時間が必要以上に長くなるという問題がある。
特に、上記特許文献1のもののように、ダウンシフト時に入力軸回転速度の吹き上がりを検知すると、目標変速時間が長くなるように補正するものでは、アップシフト初期にダウンシフトに切替わる多重変速が実行されると、変速時間が一層長くなるおそれがある。また、以上のような問題は、ダウンシフト初期にアップシフトに切替わる場合にも生じ得るものである。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、目標変速特性に基づいて変速を実行する有段式自動変速機の制御装置において、目標変速特性の更新設定後に多重変速が行われた場合でも、変速完了までに要する時間が長くなるのを抑制する技術を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明に係る有段式自動変速機の制御装置では、多重変速が行われた場合に目標変速特性を更新設定するのみならず、目標変速特性の更新設定後に変速が大きく後戻りした場合にも、実際の入力軸回転速度に見合うように、目標変速特性を更新設定するようにしている。
具体的には、本発明は、変速機入力軸回転速度の目標勾配を含む目標変速特性に基づいて、変速ギヤ段を形成する複数の摩擦係合要素の油圧を制御することで変速を実行する有段式自動変速機の制御装置を対象としている。
そして、この制御装置は、変速開始時、および、アップシフトからダウンシフトまたはダウンシフトからアップシフトへの切替え時に、車両状態に基づいて目標変速特性を更新設定する特性更新手段と、上記特性更新手段によって更新設定された目標変速特性を保持する特性保持手段と、上記特性更新手段によって更新設定された目標変速特性のうち、更新設定時の変速進行度以降の目標変速特性に基づいて、更新設定後の変速を実行する実行手段と、を備え、上記特性更新手段は、目標変速特性を更新設定してから変速進行度が所定値以上低下した場合にも、目標変速特性を更新設定するように構成されていることを特徴とするものである。
なお、以下では、説明の便宜上、n速→n+1速のアップシフトおよびn+1速→n速のダウンシフトで、且つ、変速中の車速の変化がないと仮定するが、本発明は、このような場合に限定されるものではない。
この構成によれば、アップシフトからダウンシフトまたはダウンシフトからアップシフトへの切替え時に目標変速特性が更新設定されるので、変速開始後に多重変速が行われた場合でも、切替え後の変速態様に応じた変速を実行することができる。
例えば、アップシフトにおける変速中盤以降(例えば変速進行度0.5)にダウンシフトに切替わると、ダウンシフトにおける目標変速特性へ更新設定され、且つ、更新設定時の変速進行度(0.5)以降の目標変速特性に基づいてダウンシフトが実行される。これにより、例えば、入力軸回転速度が、変速中盤において相対的に大きな目標勾配で上昇した後、変速終盤において相対的に小さな目標勾配で上昇しながら変速後同期回転速度に至るようにダウンシフトが行われるので、変速完了までに要する時間が必要以上に長くなるのを抑えることができる。
一方、例えば、アップシフト初期(例えば変速進行度0.1)にダウンシフトに切替わると、ダウンシフトにおける目標変速特性へ更新設定され、且つ、更新設定時の変速進行度(0.9)以降の目標変速特性に基づいてダウンシフトが実行される。そうして、変速終盤には吹き上がりを抑えるべく相対的に小さな目標勾配が設定されるのが一般的であるところ、変速進行度0.9以降の目標変速特性に基づいてダウンシフトが実行される場合には、相対的に小さな目標勾配に基づいて摩擦係合要素の油圧制御が行われることになる。
ここで、アップシフトからダウンシフトに切替わっても、摩擦係合要素の油圧応答遅れにより、アップシフト方向に変速が進行(変速進行度が低下)することがあるが、変速進行度の低下が小さく、相対的に小さな目標勾配によっても、変速完了までに要する時間が必要以上に長くならない場合には、更新設定された目標変速特性が保持される。
一方、変速進行度の低下が大きく、目標変速特性を更新設定してから変速進行度が所定値以上(例えば変速進行度が0.5まで)低下した場合には、目標変速特性が更新設定され、且つ、更新設定時の変速進行度(0.5)以降の目標変速特性に基づいてダウンシフトが実行される。これにより、低下した入力軸回転速度に見合った相対的に大きな目標勾配がバッファされるので、油圧応答遅れにより低下した入力軸回転速度を、相対的に大きな目標勾配で上昇させることができる。
以上のように、本発明によれば、多重変速がどの段階で行われるかに拘わらず、変速完了までに要する時間が必要以上に長くなるのを抑えることができる。
しかも、本発明では、一回の変速において多重変速が複数回行われた場合でも、目標変速特性を更新設定してから変速進行度が所定値以上低下すると、目標変速特性が更新設定されるので、変速完了までに要する時間を適正化することができる。
以上説明したように、本発明に係る有段式自動変速機の制御装置によれば、目標変速特性の更新設定後にアップシフトからダウンシフトまたはダウンシフトからアップシフトへ切替る多重変速が行われた場合でも、変速完了までに要する時間が長くなるのを抑制することができる。
本発明に係る自動変速機が搭載される車両を模式的に示す概略構成図である。 トルクコンバータおよび自動変速機の構成を模式的に示す骨子図である。 自動変速機における変速ギヤ段毎の摩擦係合要素の係合状態または解放状態を示す係合表である。 車両の制御系の構成を示すブロック図である。 ECUが実行する目標変速特性更新制御の一例を示すフローチャートである。 目標変速特性更新制御の一例を示すタイミングチャートである。 目標変速特性および多重変速の際の目標変速特性を模式的に説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る自動変速機3が搭載される車両10を模式的に示す概略構成図である。車両10は、図1に示すように、エンジン1と、トルクコンバータ2と、自動変速機3と、油圧制御装置4と、ECU5と、を備えている。この車両10は、例えばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式であり、エンジン1の出力が、トルクコンバータ2および自動変速機3を介してデファレンシャル装置6に伝達され、左右の駆動輪(前輪)7に分配されるようになっている。
−エンジン−
エンジン1は、走行用の駆動力源であり、例えば多気筒ガソリンエンジンである。エンジン1は、スロットルバルブ(図示せず)のスロットル開度(吸入空気量)、燃料噴射量、点火時期等により運転状態を制御可能に構成されている。
−トルクコンバータ−
図2は、トルクコンバータ2および自動変速機3の構成を模式的に示す骨子図である。なお、図2では、トルクコンバータ2および自動変速機3の回転中心軸に対して、下側半分を省略して上側半分のみを示している。トルクコンバータ2は、図2に示すように、エンジン1の出力軸であるクランクシャフト1aに連結されたポンプインペラ21と、自動変速機3に連結されたタービンランナ22と、トルク増幅機能を有するステータ23と、エンジン1と自動変速機3とを直結するためのロックアップクラッチ24と、を含んでいる。
−自動変速機−
自動変速機3は、エンジン1と駆動輪7との間の動力伝達経路に設けられ、複数の変速ギヤ段を形成することで、入力軸3aの回転を変速して出力軸3bに出力する有段式自動変速機として構成されている。この自動変速機3では、入力軸3aがトルクコンバータ2のタービンランナ22に連結され、出力軸3bがデファレンシャル装置6等を介して駆動輪7に連結されている。
この自動変速機3は、第1遊星歯車装置31aを主体として構成される第1変速部31、第2遊星歯車装置32aと第3遊星歯車装置32bとを主体として構成される第2変速部32、第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1および第2ブレーキB2等によって構成されている。
第1変速部31を構成する第1遊星歯車装置31aは、ダブルピニオン型の遊星歯車機構であって、サンギヤS1と、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP1と、これらピニオンギヤP1を自転および公転可能に支持するプラネタリキャリアCA1と、ピニオンギヤP1を介してサンギヤS1と噛み合うリングギヤR1と、を備えている。
プラネタリキャリアCA1は、入力軸3aに連結され、当該入力軸3aと一体的に回転するようになっている。サンギヤS1は、トランスミッションケース30に回転不能に固定されている。リングギヤR1は、中間出力部材として機能し、入力軸3aに対して減速されてその減速回転を第2変速部32に伝達する。
第2変速部32を構成する第2遊星歯車装置32aは、シングルピニオン型の遊星歯車機構であって、サンギヤS2と、ピニオンギヤP2と、そのピニオンギヤP2を自転および公転可能に支持するプラネタリキャリアRCAと、ピニオンギヤP2を介してサンギヤS2と噛み合うリングギヤRRと、を備えている。
また、第2変速部32を構成する第3遊星歯車装置32bは、ダブルピニオン型の遊星歯車機構であって、サンギヤS3と、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP2およびピニオンギヤP3と、それらピニオンギヤP2およびピニオンギヤP3を自転および公転可能に支持するプラネタリキャリアRCAと、ピニオンギヤP2およびピニオンギヤP3を介してサンギヤS3と噛み合うリングギヤRRと、を備えている。なお、ピニオンギヤP2、プラネタリキャリアRCAおよびリングギヤRRは、第2遊星歯車装置32aと第3遊星歯車装置32bとで共用されている。
サンギヤS2は、第1ブレーキB1によりトランスミッションケース30に選択的に連結される。また、サンギヤS2は、第3クラッチC3を介してリングギヤR1に選択的に連結される。さらに、サンギヤS2は、第4クラッチC4を介してプラネタリキャリアCA1に選択的に連結される。サンギヤS3は、第1クラッチC1を介してリングギヤR1に選択的に連結される。プラネタリキャリアRCAは、第2ブレーキB2によりトランスミッションケース30に選択的に連結される。また、プラネタリキャリアRCAは、第2クラッチC2を介して入力軸3aに選択的に連結される。リングギヤRRは、出力軸3bに連結され、その出力軸3bと一体的に回転するようになっている。
第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1および第2ブレーキB2は、いずれも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる摩擦係合要素であり、油圧制御装置4およびECU5によって制御される。
図3は、変速ギヤ段毎の第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1および第2ブレーキB2の係合状態または解放状態を示す係合表である。なお、図3の係合表において、○印は「係合状態」を示し、空白は「解放状態」を示している。
図3に示すように、この例の自動変速機3では、第1クラッチC1および第2ブレーキB2が係合されることにより、変速比(入力軸3aの回転速度/出力軸3bの回転速度)が最も大きい第1変速ギヤ段(1st)が成立する。第1クラッチC1および第1ブレーキB1が係合されることにより第2変速ギヤ段(2nd)が成立する。
第1クラッチC1および第3クラッチC3が係合されることにより第3変速ギヤ段(3rd)が成立し、第1クラッチC1および第4クラッチC4が係合されることにより第4変速ギヤ段(4th)が成立する。
第1クラッチC1および第2クラッチC2が係合されることにより第5変速ギヤ段(5th)が成立し、第2クラッチC2および第4クラッチC4が係合されることにより第6変速ギヤ段(6th)が成立する。
第2クラッチC2および第3クラッチC3が係合されることにより第7変速ギヤ段(7th)が成立し、第2クラッチC2および第1ブレーキB1が係合されることにより第8変速ギヤ段(8th)が成立する。なお、第3クラッチC3および第2ブレーキB2が係合されることにより後進段(Rev)が成立する。
−油圧制御装置−
油圧制御装置4は、自動変速機3の複数の摩擦係合要素(第1〜第4クラッチC1〜C4並びに第1および第2ブレーキB1,B2)の係合および解放を制御する。また、油圧制御装置4は、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ24を制御する機能も有する。なお、油圧制御装置4は、自動変速機3の各摩擦係合要素の油圧アクチュエータ(図示せず)、および、その各油圧アクチュエータにそれぞれ制御油圧を供給するリニアソレノイドバルブ(図示せず)等を備えている。
−ECU−
ECU(制御装置)5は、エンジン1の運転制御および自動変速機3の変速制御等を行うように構成されている。具体的には、ECU5は、図4に示すように、CPU51と、ROM52と、RAM53と、バックアップRAM54と、入力インターフェース55と、出力インターフェース56と、を含んでいる。
CPU51は、ROM52に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。ROM52には、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。RAM53は、CPU51による演算結果や各センサの検出結果等を一時的に記憶するメモリである。バックアップRAM54は、イグニッションオフの際に保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
入力インターフェース55には、クランクポジションセンサ81、入力軸回転速度センサ82、出力軸回転速度センサ83、アクセル開度センサ84、スロットル開度センサ85、およびエアフロメータ86等が接続されている。
クランクポジションセンサ81は、エンジン1の回転速度を算出するために設けられている。入力軸回転速度センサ82は、自動変速機3の入力軸3aの回転速度ωi(=タービン回転速度ωt)を算出するために設けられている。出力軸回転速度センサ83は、自動変速機3の出力軸3bの回転速度ωoを算出するために設けられている。なお、出力軸3bの回転速度ωoから車速vを算出することが可能である。アクセル開度センサ84は、アクセルペダル(図示せず)の踏込量(操作量)であるアクセル開度を検出するために設けられている。スロットル開度センサ85は、スロットルバルブのスロットル開度を検出するために設けられている。エアフロメータ86は、エンジン1の吸入空気量を検出するために設けられている。
出力インターフェース56には、インジェクタ91、イグナイタ92、スロットルモータ93および油圧制御装置4等が接続されている。インジェクタ91は、燃料噴射弁であり、燃料噴射量を調整可能である。イグナイタ92は、点火プラグ(図示せず)による点火時期を調整するために設けられている。スロットルモータ93は、スロットルバルブのスロットル開度を調整するために設けられている。
そして、ECU5は、各センサの検出結果等に基づいて、スロットル開度、燃料噴射量および点火時期等を制御することにより、エンジン1の運転状態を制御可能に構成されている。また、ECU5は、油圧制御装置4を制御することにより、自動変速機3の変速制御およびトルクコンバータ2のロックアップクラッチ24の制御を実行可能に構成されている。
ECU5による変速制御では、例えば、車速vおよびアクセル開度をパラメータとする変速マップに基づいて目標変速ギヤ段が設定される。なお、変速マップは、車速vおよびアクセル開度に応じて、適正な変速ギヤ段(最適な効率となる変速ギヤ段1st〜8th)を求めるための複数の領域が設定されたマップであって、ECU5のROM52内に記憶されている。変速マップには、各領域を区画するための複数の変速線(1st〜8thの各変速領域を区画するためのアップシフト線およびダウンシフト線)が設定されている。
そして、ECU5は、現在の変速ギヤ段が目標変速ギヤ段になるように、入力軸回転速度ωiの目標勾配を含む目標変速特性に基づき、油圧制御装置4を介して第1〜第4クラッチC1〜C4並びに第1および第2ブレーキB1,B2の油圧を制御することで変速を実行する。ECU5は、このような目標変速特性に基づく変速を実行する際、後述する目標変速特性更新制御を行うことで、変速完了までに要する時間の適正化を図るように構成されている。
−変速モデルを用いた変速制御−
上記目標変速特性更新制御を説明する前に、自動変速機3において、実際の変速特性を目標変速特性に一致させるような制御操作量を決定するための変速制御の概略について説明する。
一般的な変速制御としては、例えば変速ショックや変速時間等が適切であるか否かを実車にて評価しつつ適合により予め定められた制御マップに基づいて、変速時の各摩擦係合要素のトルク容量(あるいは油圧指令値)を決定して変速を実行する手法がある。この制御マップを用いる手法では、パワーオンダウンシフトやパワーオフアップシフト等の変速パターンおよび変速前後の変速ギヤ段の組み合わせに応じて、多数の制御マップを作成しておく必要がある。そのため、有段式自動変速機の変速ギヤ段が多段化されるほど、適合作業に多くの労力が必要となってしまう。
そこで、本実施形態では、変速制御として、制御マップを用いる手法に替えて、実際の変速特性を目標変速特性に一致させるような制御操作量を決定する変速モデルを用いて変速を実行する手法を採用している。目標変速特性は、変速時に実現したい変化態様を定める要素(例えば、変速時間、回転速度勾配、駆動力等)の目標値である。制御操作量は、制御対象に対して操作する要素(エンジントルク、クラッチトルク等)の要求値である。
以下、変速モデルを用いた変速制御について説明する。変速中における運動方程式は、下記の式(1)および式(2)で表される。
Figure 0006673252
この式(1)および式(2)は、自動変速機3を構成する相互に連結された各回転要素の運動方程式、および、自動変速機3を構成する遊星歯車装置における関係式から導き出されたものである。各回転要素の運動方程式は、各回転要素におけるイナーシャと回転速度時間変化率との積で表されるトルクを、遊星歯車装置の3つの部材、および摩擦係合要素の両側の部材のうち各回転要素に関与する部材に作用するトルクにて規定した運動方程式である。また、遊星歯車装置における関係式は、遊星歯車装置の歯車比を用いて、その遊星歯車装置の3つの部材におけるトルクの関係と回転速度時間変化率の関係とを各々規定した関係式である。
式(1)および式(2)において、dωt/dtは、タービン回転速度ωt(すなわち自動変速機3の入力軸回転速度ωi)の時間微分すなわち時間変化率であり、入力軸3a側の回転部材の速度変化量としての入力軸3aの加速度(角加速度、以下、入力軸加速度という)を表している。この入力軸加速度dωt/dtが本発明でいう入力軸回転速度ωiの勾配に相当する。dωo/dtは、自動変速機3の出力軸回転速度ωoの時間変化率であり、出力軸加速度を表している。Ttは、入力軸3a側の回転部材上のトルクとしての入力軸3a上のトルクであるタービントルクすなわち変速機入力トルクTiを表している。このタービントルクTtは、トルクコンバータ2のトルク比tを考慮すればエンジントルクTe(=Tt/t)と同意である。Toは、出力軸3b側の回転部材上のトルクとしての出力軸3b上のトルクである変速機出力トルクを表している。Tcaplは、変速時に係合動作を行う摩擦係合要素のトルク容量(以下、係合側クラッチトルクという)である。Tcdrnは、変速時に解放動作を行う摩擦係合要素のトルク容量(以下、解放側クラッチトルクという)である。a1,a2,b1,b2,c1,c2,d1,d2はそれぞれ、式(1)および式(2)を導き出した際に定数としたものであり、各回転要素におけるイナーシャおよび遊星歯車装置の歯車比から設計的に定められる係数である。この定数の具体的な数値は、例えば変速の種類(例えば変速パターンや変速前後の変速ギヤ段の組み合わせ)毎に異なる。したがって、上記運動方程式としては1つの所定のものであるが、自動変速機3の変速には、変速の種類毎に異なる定数とされたそれぞれの変速の種類に対応する運動方程式が用いられる。
式(1)および式(2)は、目標変速特性と制御操作量との関係を定式化した自動変速機3のギヤトレーン運動方程式である。目標変速特性は、変速時間および駆動力の各目標値を表現でき、ギヤトレーン運動方程式上で取り扱えるものである。本実施形態では、変速時間を表現できる物理量の一例として入力軸加速度dωt/dtを用いている。また、駆動力を表現できる物理量の一例として変速機出力トルクToを用いている。ここで、本実施形態では、目標変速特性を、入力軸加速度dωt/dtの目標値(目標勾配)としている。なお、目標変速特性については、変速時間の目標値(目標変速時間)等であってもよい。
一方、本実施形態では、目標変速特性を成立させる制御(フィードバック制御)の制御操作量を、タービントルクTt(エンジントルクTeも同意)と、係合側クラッチトルクTcaplと、解放側クラッチトルクTcdrnとの3つの値で設定している。そうすると、運動方程式が式(1)および式(2)の2式で構成されることに対して、制御操作量が3つあるため、2つの目標変速特性を成立させる制御操作量を一意に解くことはできない。なお、各式中の出力軸加速度dωo/dtは、出力軸回転速度センサ83の検出値である出力軸回転速度ωoから算出される。
そこで、本実施形態では、式(1)および式(2)の運動方程式の解を求めるための拘束条件として、解放側クラッチと係合側クラッチとで受け持つ伝達トルクのトルク分担率を用いる。トルク分担率を拘束条件とすることで、変速中における解放側クラッチと係合側クラッチとのトルクの受け渡し(つまり変速進行度)を運動方程式に組み込むことができ、かつ制御操作量を一意に解くことができる。
トルク分担率は、自動変速機3の変速時に解放側クラッチと係合側クラッチとで受け持つ必要がある合計の伝達トルク(合計伝達トルク)を、例えば入力軸3a上のトルク(入力軸上合計伝達トルク)に置き替えたときに、その入力軸上合計伝達トルクに対して両摩擦係合要素が各々分担する伝達トルクの割合である。そして、このようなトルク分担率を変速中において変速進行度に応じて変化させていく。
本実施形態では、係合側クラッチのトルク分担率を「xapl」とし、解放側クラッチのトルク分担率を「xdrn」として、それぞれのトルク分担率を、変速中のトルクの受け渡しを反映するように時系列で変化するトルク分担率x(例えば0≦x≦1)を用いて次式(3)および次式(4)のように定義する。
xapl=x ・・・(3)
xdrn=1−x ・・・(4)
係合側クラッチトルクTcaplと解放側クラッチトルクTcdrnとの関係式は、入力軸3a上のトルクに置き替えた「Tcapl」および「Tcdrn」と、式(3)および式(4)とに基づいて、「x」(=xapl)と「1−x」(=xdrn)とを用いて定義することができる。そして、式(1)、式(2)、および、「Tcapl」と「Tcdrn」との関係式から、制御操作量である、タービントルクTt、係合側クラッチトルクTcapl、および、解放側クラッチトルクTcdrnを算出する関係式が導き出される。タービントルクTt(エンジントルクTeも同意)は、「x」(=xapl)、「1−x」(=xdrn)、入力軸加速度dωt/dt、および、変速機出力トルクTo等を用いた関係式にて表される。同様に、係合側クラッチトルクTcaplは、「x」(=xapl)、入力軸加速度dωt/dt、および、変速機出力トルクTo等を用いた関係式にて表される。同様に、解放側クラッチトルクTcdrnは、「1−x」(=xdrn)、入力軸加速度dωt/dt、および、変速機出力トルクTo等を用いた関係式にて表される。
つまり、本実施形態の変速モデルは、目標変速特性と制御操作量とを含む自動変速機3の運動方程式(式(1)、(2))と、トルク分担率を表す関係(式(3)、(4))とを用いて、目標変速特性に基づいて制御操作量を算出するものである。このように、本実施形態では、式(1)、(2)に、トルク分担率xにて設定した拘束条件を追加することで、変速モデルを用いて自動変速機3の変速を実行する。よって、2つの目標変速特性に対して3つの制御操作量があったとしても、上記変速モデルを用いて3つの制御操作量を適切に決定することができる。この変速モデルとしては1つの所定のものであるが、上述したように変速の種類(例えば変速パターンや変速前後の変速ギヤ段の組み合わせ)毎に異なる定数とされたギヤトレーン運動方程式が用いられるので、自動変速機3の変速には、それぞれの変速の種類に対応する変速モデルが用いられることになる。
そして、ECU5は、変速パターン毎に変速進行度に応じて、目標変速特性および制御操作量を算出する。なお、変速パターンというのは、例えば、パワーオンアップシフト、パワーオフアップシフト、パワーオンダウンシフト、およびパワーオフダウンシフトである。
例えば、パワーオンアップシフトの場合、目標変速ギヤ段に応じた摩擦係合要素に対する油圧制御を開始すると、まず、各摩擦係合要素における要求トルク容量の分担が変化するトルク相の段階となり、その後、自動変速機3の変速比が変化するイナーシャ相の段階を経て、変速終了となる。つまり、自動変速機3の変速は、トルク相前の段階、トルク層の段階、イナーシャ相の段階、変速終了時の段階へと進行する。
このような変速の進行に対応して変化する好適なトルク分担率が、変速パターン毎の変速進行度に応じて設定されたマップ等が予め実験またはシミュレーション等によって作成されており、ECU5のROM52に記憶されている。ECU5は、変速制御の際に変速進行度に応じたトルク分担率を読み出して、そのトルク分担率を目標変速特性とともに変速モデルに適用し、制御操作量(入力軸3aの要求入力トルク、係合側および解放側の摩擦係合要素の要求トルク容量)を算出する。
そして、ECU5は、要求トルク容量になるように、変速進行度に応じて係合側および解放側の摩擦係合要素の制御(油圧制御)を行う。また、ECU5は、目標変速特性に基づいて変速進行度に応じて、実際の入力軸回転速度ωiが目標入力軸回転速度になるように変速制御を行う。
−目標変速特性更新制御−
次に、ECU5が実行する目標変速特性更新制御について説明する。
上述の如く、ECU5は、入力軸回転速度ωiの変速進行度に応じた目標勾配(=入力軸加速度dωt/dt)を含む目標変速特性に基づいて、変速ギヤ段を形成する第1〜第4クラッチC1〜C4並びに第1および第2ブレーキB1,B2の油圧制御を行うことで変速を実行する。なお、「変速進行度」は、(入力軸回転速度−変速前同期回転速度)/(変速後同期回転速度−変速前同期回転速度)である。
具体的には、ECU5は、変速開始時に車両状態に基づいて目標変速特性を更新設定するように構成されている。より詳しくは、ECU5は、変速マップに基づいて目標変速ギヤ段が設定されると、例えば、変速開始時の変速機入力トルクTiおよび車速v(出力軸回転速度センサ83の出力信号から算出)に基づき、ROM52に記憶された変速特性マップを参照して目標変速特性を更新設定する。変速特性マップは、車両状態を示す変速機入力トルクTiおよび車速vをパラメータとして、それら変速機入力トルクTiおよび車速vに応じて要求される、入力軸回転速度ωiの目標勾配や目標変速時間が予め実験またはシミュレーション等によって設定されたマップである。
また、ECU5は、更新設定された目標変速特性に基づいて変速を実行しているときに、アップシフトからダウンシフトまたはダウンシフトからアップシフトへ切替る多重変速が行われる場合には、アップシフトからダウンシフトまたはダウンシフトからアップシフトへの切替え時に、車両状態に基づいて目標変速特性を更新設定するように構成されている。具体的には、ECU5は、目標変速ギヤ段が変更されると、アップシフトからダウンシフトまたはダウンシフトからアップシフトへの切替え時の変速機入力トルクTiおよび車速vに基づき変速特性マップを参照して目標変速特性を更新設定する。
なお、ECU5は、変速開始時、および、アップシフトからダウンシフトまたはダウンシフトからアップシフトへの切替え時以外は、原則として、更新設定された目標変速特性を保持するように構成されている。
図7(a)は、ダウンシフトにおける目標変速特性の一例を模式的に説明する図である。ECU5によって更新設定される目標変速特性は、変速進行度に応じた入力軸回転速度ωiの目標勾配を含んでいる。かかる目標変速特性では、変速初期(変速進行度が小さい場合)には油圧応答遅れを考慮して相対的に小さな目標勾配△1が、変速中盤(変速進行度が中程度の場合)には相対的に大きな目標勾配△2が、変速終盤(変速進行度が大きい場合)には吹き上がりを抑えるべく相対的に小さな目標勾配△3が設定される。
そうして、ECU5は、更新設定された目標変速特性のうち、更新設定時の変速進行度以降の目標変速特性に基づいて、更新設定後の変速を実行する。
図7(b)は、アップシフト変速中盤以降にダウンシフトに切替わる多重変速の一例を模式的に説明する図である。以下の説明では、便宜上、n速(nは正の整数)→n+1速のアップシフトおよびn+1速→n速のダウンシフトで、変速中の車速vの変化がなく、アップシフトでの変速前同期回転速度ωBUとダウンシフトでの変速後同期回転速度ωADとが同じであると仮定する。なお、このような仮定は、あくまでも説明の便宜上のものであり、これに限らず、例えば飛越変速や、変速中の車速vに変化がある場合にも本発明を適用することができる。
図7(b)に示すように、アップシフトの変速開始時には、変速前同期回転速度ωBUから小さな目標勾配△U1で低下した後、変速中盤において大きな目標勾配△U2で低下するような目標変速特性(図7(b)の破線参照)に更新設定される。その後、アップシフトにおける変速中盤等(例えば変速進行度0.5)にダウンシフトに切替わると、ECU5は、図7(b)の破線で示す目標変速特性を、図7(b)の一点鎖線で示す目標変速特性に更新設定する。そうして、ECU5は、更新設定された目標変速特性(図7(b)の一点鎖線)のうち、更新設定時の変速進行度(0.5)以降の目標変速特性(図7(b)の太一点鎖線)に基づいて、更新設定後の変速を実行する。それ故、それ以降のダウンシフトでは、入力軸回転速度ωiが、変速中盤において大きな目標勾配△D2で上昇した後、変速終盤において小さな目標勾配△D3で上昇しながら変速後同期回転速度ωADに至るように、油圧制御が行われる。
これに対し、アップシフト初期にダウンシフトに切替わったり、ダウンシフト初期にアップシフトに切替わったりする多重変速が行われた場合には、変速完了までに要する時間が必要以上に長くなる場合がある。図7(c)は、アップシフト初期にダウンシフトに切替わる多重変速の一例を模式的に説明する図である。
図7(c)に示すように、アップシフト初期(例えば変速進行度0.1)にダウンシフトに切替わると、ECU5は、図7(c)の破線で示す目標変速特性を、図7(c)の一点鎖線で示す目標変速特性に更新設定する。そうして、ECU5は、更新設定された目標変速特性(図7(c)の一点鎖線)のうち、更新設定時の変速進行度(0.9)以降の目標変速特性(図7(c)の太一点鎖線)に基づいて、更新設定後の変速を実行する。このため、係合完了に向けた相対的に小さな目標勾配△D3で更新設定後の変速が開始されることになる。
しかも、アップシフトからダウンシフトに切替わっても、摩擦係合要素の油圧応答遅れにより、アップシフト方向に変速が進行(ダウンシフトにおける変速進行度が低下)することがある。このような変速進行度の低下が生じても、アップシフト初期にダウンシフトに切替わった場合には、小さな目標勾配△D3しかバッファ(記憶)されていないため、入力軸回転速度ωiがなかなか上昇せず、変速完了までに要する時間が必要以上に長くなる場合がある。
そこで、本実施形態では、変速開始時や多重変速が行われた場合に目標変速特性を更新設定するのみならず、変速が大きく後戻りした場合にも、実際の入力軸回転速度ωiに見合うように、目標変速特性を更新設定するようにしている。
具体的には、ECU5は、目標変速特性を更新設定してから変速進行度が所定値R以上低下した場合にも、目標変速特性を更新設定するように構成されている。なお、この場合にも、ECU5は、更新設定された目標変速特性のうち、更新設定時の変速進行度以降の目標変速特性に基づいて、更新設定後の変速を実行する。
このように、目標変速特性を更新設定してから変速進行度が所定値R以上低下した場合(例えば変速進行度が0.5まで低下した場合)には、目標変速特性が更新設定され、且つ、更新設定時の変速進行度(0.5)以降の目標変速特性に基づいてダウンシフトが実行されることから、低下した入力軸回転速度ωiに見合った相対的に大きな目標勾配(例えば図7の△D2)がバッファされる。したがって、油圧応答遅れにより低下した入力軸回転速度ωiを、相対的に大きな目標勾配で上昇させることができ、これにより、変速完了までに要する時間が必要以上に長くなるのを抑えることができる。
しかも、ECU5は、一回の変速において多重変速が複数回行われる場合でも、目標変速特性を更新設定してから変速進行度が所定値R以上低下すると、目標変速特性を更新設定するので、変速完了までに要する時間を適正化することができる。
−フローチャートおよびタイミングチャート−
次に、ECU5が実行する目標変速特性更新制御の一例を、図5に示すフローチャートおよび図6に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。なお、図5に示すフローチャートは所定時間間隔で繰り返されるものである。
<図6(a)の時刻t0の場合>
フローチャートにおけるステップST1では、ECU5が、変速制御中か否かを判定する。図6(a)の時刻t0では、未だ変速が開始されていないので、ステップST1での判定はNOとなり、そのままRETURNする。
<図6(a)の時刻t1の場合>
ステップST1では、ECU5が、変速制御中か否かを判定するが、図6(a)の時刻t1は変速中なので、ステップST1での判定はYESとなり、ステップST2に進む。
次のステップST2では、ECU5が、変速開始時、または、アップシフトからダウンシフトへの切替え時、または、ダウンシフトからアップシフトへの切替え時か否かを判定する。例えば、ECU5は、車速vおよびアクセル開度をパラメータとする変速マップに基づいて目標変速ギヤ段が設定された時点を変速開始時と判定する。図6(a)の時刻t1は、変速開始時なので、ステップST2での判定はYESとなり、ステップST3に進む。
次のステップST3では、ECU5が、例えば変速開始時の変速機入力トルクTiおよび車速vに基づき変速特性マップを参照して目標変速特性を更新設定する。具体的には、図6(b)の破線で示すようなアップシフト用の目標変速特性を更新設定して、ステップST4に進む。
次のステップST4では、ECU5が、更新設定時の変速進行度以降の目標変速特性に基づいて、更新設定後の変速を開始する。図6(a)の時刻t1は、変速開始時であり、変速進行度は0.0であることから、ECU5は、図6(b)の破線で示すような目標変速特性をそのまま適用して変速を開始し、その後RETURNする。これにより、アップシフト初期の目標勾配△U1がバッファされるので、ECU5が、目標勾配△U1に基づき上記変速モデルを用いて、摩擦係合要素の油圧制御を開始する。
<図6(a)の時刻t2の場合>
図6(a)の時刻t2は、変速制御中なので、ステップST1での判定はYESとなり、ステップST2に進む。次のステップST2では、ECU5が、変速開始時、または、アップシフトからダウンシフトへの切替え時、または、ダウンシフトからアップシフトへの切替え時か否かを判定するが、図6(a)の時刻t2は、アップシフト初期であり、変速開始時および多重変速開始時のいずれにも該当しないので、ステップST2での判定はNOとなり、ステップST5に進む。
次のステップST5では、ECU5が、目標変速特性を更新設定してから変速進行度が所定値R以上低下したか否かを判定する。図6(a)の時刻t2では、目標勾配△U1に基づき、入力軸回転速度ωiが緩やかに低下しており、図6(b)に示すように変速が進行しているので、ステップST5での判定はNOとなり、ステップST6に進む。
次のステップST6では、ECU5が、目標変速特性を保持し、その後RETURNする。これにより、変速開始時に更新設定された図6(b)の破線で示すような目標変速特性が保持されるので、ECU5が、目標勾配△U1に基づき上記変速モデルを用いて、摩擦係合要素の油圧制御を継続する。
<図6(a)の時刻t3の場合>
図6(a)の時刻t3は、変速制御中なので、ステップST1での判定はYESとなり、ステップST2に進む。次のステップST2では、ECU5が、変速開始時、または、アップシフトからダウンシフトへの切替え時、または、ダウンシフトからアップシフトへの切替え時か否かを判定する。図6(a)の時刻t3は、まさにアップシフトからダウンシフトへの切替え時なので、ステップST2での判定はYESとなり、ステップST3に進む。
次のステップST3では、ECU5が、例えば切替え時の変速機入力トルクTiおよび車速vに基づき変速特性マップを参照して目標変速特性を更新設定する。具体的には、図6(c)の破線で示すようなダウンシフト用の目標変速特性を設定して、ステップST4に進む。
次のステップST4では、ECU5が、更新設定時の変速進行度以降の目標変速特性に基づいて、更新設定後の変速を開始する。図6(a)の時刻t3では、ダウンシフトとして見れば変速進行度が0.9であることから、ECU5は、図6(c)の破線で示す目標変速特性のうち、更新設定時の変速進行度0.9以降の目標変速特性(図6(c)の太破線)に基づいて、更新設定後の変速を開始し、その後RETURNする。これにより、ダウンシフト終盤の相対的に小さな目標勾配△D13がバッファされるので、ECU5が、目標勾配△D13に基づき上記変速モデルを用いて、摩擦係合要素の油圧制御を開始する。
<図6(a)の時刻t4の場合>
図6(a)の時刻t4は、変速制御中なので、ステップST1での判定はYESとなり、ステップST2に進む。また、図6(a)の時刻t4は、変速開始時および多重変速開始時のいずれにも該当しないので、ステップST2での判定はNOとなり、ステップST5に進む。
次のステップST5では、ECU5が、目標変速特性を更新設定してから変速進行度が所定値R以上低下したか否かを判定する。図6(a)の時刻t4では、摩擦係合要素の油圧応答遅れによりアップシフト方向に変速が進行しているが、未だ変速進行度が所定値R(例えば0.4)以上低下していないので、ステップST5での判定はNOとなり、ステップST6に進む。次のステップST6では、ECU5が、図6(c)の太破線で示す目標変速特性を保持し、その後RETURNする。
<図6(a)の時刻t5の場合>
図6(a)の時刻t5は、変速制御中なので、ステップST1での判定はYESとなり、ステップST2に進む。また、図6(a)の時刻t5は、変速開始時および多重変速開始時のいずれにも該当しないので、ステップST2での判定はNOとなり、ステップST5に進む。
次のステップST5では、ECU5が、目標変速特性を更新設定してから変速進行度が所定値R以上低下したか否かを判定する。図6(a)の時刻t5では、摩擦係合要素の油圧応答遅れによりアップシフト方向に変速が未だ進行していることと、相対的に小さい目標勾配△D13しかバッファされていないこととが相俟って、変速進行度が所定値R(0.4)だけ低下して0.5まで下がっているので、ステップST5での判定はYESとなり、ステップST3に進む。
次のステップST3では、ECU5が、変速進行度が所定値Rだけ低下した時の変速機入力トルクTiおよび車速vに基づき変速特性マップを参照して目標変速特性を更新設定する。具体的には、図6(d)の破線で示すようなダウンシフト用の目標変速特性を設定して、ステップST4に進む。
次のステップST4では、ECU5が、更新設定時の変速進行度以降の目標変速特性に基づいて、更新設定後の変速を開始する。図6(a)の時刻t5では、変速進行度が0.5であることから、ECU5は、図6(d)の破線で示す目標変速特性のうち、更新設定時の変速進行度0.5以降の目標変速特性(図6(d)の太破線)に基づいて、更新設定後の変速を開始し、その後RETURNする。これにより、ダウンシフトにおける変速中盤の相対的に大きな目標勾配△D22がバッファされるので、ECU5が、目標勾配△D22に基づき上記変速モデルを用いて、摩擦係合要素の油圧制御を開始する。
<図6(a)の時刻t6の場合>
図6(a)の時刻t6は、変速制御中なので、ステップST1での判定はYESとなり、ステップST2に進む。また、図6(a)の時刻t6は、変速開始時および多重変速開始時のいずれにも該当しないので、ステップST2での判定はNOとなり、ステップST5に進む。
次のステップST5では、ECU5が、目標変速特性を更新設定してから変速進行度が所定値R以上低下したか否かを判定する。図6(a)の時刻t6では、摩擦係合要素の油圧応答遅れによるアップシフト方向への変速が収束し、図6(d)に示すように変速が進行しているので、ステップST5での判定はNOとなり、ステップST6に進む。次のステップST6では、ECU5が、目標変速特性を保持し、その後RETURNする。これにより、入力軸回転速度ωiが、変速中盤において相対的に大きな目標勾配△D22で上昇した後、変速終盤において相対的に小さな目標勾配△D23で上昇しながら同期回転速度ωADに至るように、摩擦係合要素の油圧制御が行われる。
なお、請求項との関係では、ECU5が実行するステップST2およびステップST3の処理が請求項における「変速開始時、および、アップシフトからダウンシフトまたはダウンシフトからアップシフトへの切替え時に、車両状態に基づいて目標変速特性を更新設定する特性更新手段」に相当する。また、ステップST6の処理が請求項における「更新設定された目標変速特性を保持する特性保持手段」に相当する。さらに、ステップST4の処理が請求項における「更新設定された目標変速特性のうち、更新設定時の変速進行度以降の目標変速特性に基づいて、更新設定後の変速を実行する実行手段」に相当する。また、ステップST5およびステップST3の処理が請求項における「目標変速特性を更新設定してから変速進行度が所定値以上低下した場合にも、目標変速特性を更新設定するように構成されている特性更新手段」に相当する。
以上のように、本実施形態によれば、変速開始後に多重変速が行われた場合にも、車両状態に基づいて目標変速特性が更新設定されるので、切替え後の変速態様に応じた変速を実行することができる。
さらに、目標変速特性を更新設定してから変速進行度が所定値R以上低下した場合にも、目標変速特性が更新設定され、且つ、更新設定時の変速進行度以降の目標変速特性に基づいてダウンシフトが実行されることから、低下した入力軸回転速度ωiに見合った相対的に大きな目標勾配がバッファされるので、油圧応答遅れにより低下した入力軸回転速度ωiを、相対的に大きな目標勾配で上昇させることができる。これにより、多重変速がどの段階で行われるかに拘わらず、変速完了までに要する時間が必要以上に長くなるのを抑えることができる。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記実施形態では、アップシフトからダウンシフトに切替わる多重変速の場合に本発明を適用したが、これに限らず、ダウンシフトからアップシフトに切替わる多重変速の場合に本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態では、一回の変速において多重変速が一回だけ行われる場合について説明したが、これに限らず、一回の変速において複数回多重変速が行われてもよく、この場合でも、変速完了までに要する時間を適正化することができる。
さらに、上記実施形態では、前進8速の自動変速機3の制御に本発明を適用したが、これに限らず、前進7速以下または前進9速以上の自動変速機の制御に本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態では、FF車両10に本発明を適用したが、これに限らず、FR(フロントエンジン・リアドライブ)車両に本発明を適用してもよい。
さらに、上記実施形態では、多気筒ガソリンエンジン1を搭載した車両10に本発明を適用したが、これに限らず、ディーゼルエンジン等を搭載した車両に本発明を適用してもよい。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明によれば、目標変速特性の更新設定後にアップシフトからダウンシフトまたはダウンシフトからアップシフトへ切替る多重変速が行われた場合でも、変速完了までに要する時間が必要以上に長くなるのを抑制することができるので、目標変速特性に基づいて変速を実行する有段式自動変速機の制御装置に適用して極めて有益である。
3 自動変速機
5 ECU(制御装置)
B1 第1ブレーキ(摩擦係合要素)
B2 第2ブレーキ(摩擦係合要素)
C1 第1クラッチ(摩擦係合要素)
C2 第2クラッチ(摩擦係合要素)
C3 第3クラッチ(摩擦係合要素)
C4 第4クラッチ(摩擦係合要素)

Claims (1)

  1. 変速機入力軸回転速度の目標勾配を含む目標変速特性に基づいて、変速ギヤ段を形成する複数の摩擦係合要素の油圧を制御することで変速を実行する有段式自動変速機の制御装置であって、
    変速開始時、および、アップシフトからダウンシフトまたはダウンシフトからアップシフトへの切替え時に、車両状態に基づいて目標変速特性を更新設定する特性更新手段と、
    上記特性更新手段によって更新設定された目標変速特性を保持する特性保持手段と、
    上記特性更新手段によって更新設定された目標変速特性のうち、更新設定時の変速進行度以降の目標変速特性に基づいて、更新設定後の変速を実行する実行手段と、を備え、
    上記特性更新手段は、目標変速特性を更新設定してから変速進行度が所定値以上低下した場合にも、目標変速特性を更新設定するように構成されていることを特徴とする有段式自動変速機の制御装置。
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